(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037470
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G11B 20/10 20060101AFI20240312BHJP
G06F 11/10 20060101ALI20240312BHJP
G06F 3/06 20060101ALI20240312BHJP
G11B 15/68 20060101ALI20240312BHJP
G11B 20/18 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
G11B20/10 301Z
G06F11/10 604
G06F3/06 305C
G06F3/06 303Z
G11B15/68
G11B20/18 512C
G11B20/18 532B
G11B20/18 572G
G11B20/18 572B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142363
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大石 豊
(72)【発明者】
【氏名】近藤 理貴
(72)【発明者】
【氏名】増田 優子
(72)【発明者】
【氏名】大塚 美咲
【テーマコード(参考)】
5D044
【Fターム(参考)】
5D044AB03
5D044BC01
5D044CC02
5D044DE03
5D044DE37
5D044DE48
5D044DE68
5D044FG18
5D044GK12
(57)【要約】
【課題】データ及びパリティデータを磁気テープに記録する際の所要時間を短縮することができる情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムを得る。
【解決手段】情報処理装置は、1つのグループ内のデータの数の設定値及びパリティデータの数の設定値に従って、磁気テープへの記録対象のデータを用いてパリティデータを生成し、データ及びそのデータから生成したパリティデータを複数の磁気テープに分散して記録する制御を行い、データ及び前記パリティデータの記録に使用可能なテープドライブの使用状況に影響を及ぼすイベントの発生に応じて、データの数の設定値及びパリティデータの数の設定値の少なくとも一方を変更する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのプロセッサを備える情報処理装置であって、
前記プロセッサは、
1つのグループ内のデータの数の設定値及びパリティデータの数の設定値に従って、磁気テープへの記録対象のデータを用いてパリティデータを生成し、
前記データ及びそのデータから生成したパリティデータを複数の磁気テープに分散して記録する制御を行い、
前記データ及び前記パリティデータの記録に使用可能なテープドライブの使用状況に影響を及ぼすイベントの発生に応じて、前記データの数の設定値及び前記パリティデータの数の設定値の少なくとも一方を変更する
情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記データの数の設定値及び前記パリティデータの数の設定値の合計値が、前記データ及び前記パリティデータの記録に使用可能なテープドライブの数の1以外の約数になるように、前記データの数の設定値及び前記パリティデータの数の設定値の少なくとも一方を変更する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記イベントは、前記テープドライブの故障、前記テープドライブの復旧、前記テープドライブのクリーニング要求、前記テープドライブのクリーニング終了、前記磁気テープに記録されたデータの読み取り要求、及び前記磁気テープに記録されたデータの読み取り完了の少なくとも1つである
請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
1つのグループ内のデータの数の設定値及びパリティデータの数の設定値に従って、磁気テープへの記録対象のデータを用いてパリティデータを生成し、
前記データ及びそのデータから生成したパリティデータを複数の磁気テープに分散して記録する制御を行い、
前記データ及び前記パリティデータの記録に使用可能なテープドライブの使用状況に影響を及ぼすイベントの発生に応じて、前記データの数の設定値及び前記パリティデータの数の設定値の少なくとも一方を変更する
処理を情報処理装置が備えるプロセッサが実行する情報処理方法。
【請求項5】
1つのグループ内のデータの数の設定値及びパリティデータの数の設定値に従って、磁気テープへの記録対象のデータを用いてパリティデータを生成し、
前記データ及びそのデータから生成したパリティデータを複数の磁気テープに分散して記録する制御を行い、
前記データ及び前記パリティデータの記録に使用可能なテープドライブの使用状況に影響を及ぼすイベントの発生に応じて、前記データの数の設定値及び前記パリティデータの数の設定値の少なくとも一方を変更する
処理を情報処理装置が備えるプロセッサに実行させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のデータからパリティデータを生成し、複数のデータとパリティデータとを異なる磁気テープに記録する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1つ以上のデータからパリティデータを生成し、そのデータとパリティデータとを複数の磁気テープに分散して記録する場合、データの記録に使用可能なテープドライブの数によっては、磁気テープの入れ替えが頻発してしまう場合がある。この場合、データ及びパリティデータを磁気テープに記録する際の所要時間が長くなってしまう。
【0005】
本開示は、以上の事情を鑑みてなされたものであり、データ及びパリティデータを磁気テープに記録する際の所要時間を短縮することができる情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様の情報処理装置は、少なくとも一つのプロセッサを備える情報処理装置であって、プロセッサは、1つのグループ内のデータの数の設定値及びパリティデータの数の設定値に従って、磁気テープへの記録対象のデータを用いてパリティデータを生成し、データ及びそのデータから生成したパリティデータを複数の磁気テープに分散して記録する制御を行い、データ及びパリティデータの記録に使用可能なテープドライブの使用状況に影響を及ぼすイベントの発生に応じて、データの数の設定値及びパリティデータの数の設定値の少なくとも一方を変更する。
【0007】
第2の態様の情報処理装置は、第1の態様の情報処理装置において、プロセッサは、データの数の設定値及びパリティデータの数の設定値の合計値が、データ及びパリティデータの記録に使用可能なテープドライブの数の1以外の約数になるように、データの数の設定値及びパリティデータの数の設定値の少なくとも一方を変更する。
【0008】
第3の態様の情報処理装置は、第1の態様又は第2の態様の情報処理装置において、上記イベントは、テープドライブの故障、テープドライブの復旧、テープドライブのクリーニング要求、テープドライブのクリーニング終了、磁気テープに記録されたデータの読み取り要求、及び磁気テープに記録されたデータの読み取り完了の少なくとも1つである。
【0009】
第4の態様の情報処理方法は、1つのグループ内のデータの数の設定値及びパリティデータの数の設定値に従って、磁気テープへの記録対象のデータを用いてパリティデータを生成し、データ及びそのデータから生成したパリティデータを複数の磁気テープに分散して記録する制御を行い、データ及びパリティデータの記録に使用可能なテープドライブの使用状況に影響を及ぼすイベントの発生に応じて、データの数の設定値及びパリティデータの数の設定値の少なくとも一方を変更する処理を情報処理装置が備えるプロセッサが実行するものである。
【0010】
第5の態様の情報処理プログラムは、1つのグループ内のデータの数の設定値及びパリティデータの数の設定値に従って、磁気テープへの記録対象のデータを用いてパリティデータを生成し、データ及びそのデータから生成したパリティデータを複数の磁気テープに分散して記録する制御を行い、データ及びパリティデータの記録に使用可能なテープドライブの使用状況に影響を及ぼすイベントの発生に応じて、データの数の設定値及びパリティデータの数の設定値の少なくとも一方を変更する処理を情報処理装置が備えるプロセッサに実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、データ及びパリティデータを磁気テープに記録する際の所要時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】情報処理システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】パックドオブジェクトを説明するための図である。
【
図4】情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】情報処理装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】パリティデータの生成処理を説明するための図である。
【
図7】パックドオブジェクト及びパリティデータの磁気テープへの記録処理を説明するための図である。
【
図8】設定値変更処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】データ記録処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本開示の技術を実施するための形態例を詳細に説明する。
【0014】
まず、
図1を参照して、本実施形態に係る情報処理システム10の構成を説明する。
図1に示すように、情報処理システム10は、情報処理装置12及びテープライブラリ14を含む。情報処理装置12の例としては、サーバコンピュータ等が挙げられる。
【0015】
テープライブラリ14は、複数のスロット(図示省略)及び複数のテープドライブ18を備え、各スロットには記録媒体の一例としての磁気テープTが格納される。各テープドライブ18は、情報処理装置12に接続される。テープドライブ18は、情報処理装置12による制御によって、磁気テープTに対するデータの書き込み又は読み取りを行う。磁気テープTの例としては、LTO(Linear Tape-Open)テープが挙げられる。
【0016】
情報処理装置12により磁気テープTに対するデータの書き込み又は読み取りを行う場合、書き込み又は読み取り対象の磁気テープTがスロットから所定のテープドライブ18にロードされる。テープドライブ18にロードされた磁気テープTに対するデータの書き込み又は読み取りが完了すると、磁気テープTは、テープドライブ18から元々格納されていたスロットにアンロードされる。
【0017】
本実施形態では、一例として
図2に示すように、磁気テープTに記録するデータを取り扱う単位として、文書データ及び画像データ等のユーザが保存対象とするデータと、そのデータに関するメタデータとを含むオブジェクトを適用した形態例を説明する。
図2の例では、メタデータを「メタ」と表記している。なお、このオブジェクトを取り扱うストレージシステムは、オブジェクトストレージシステムと称される。メタデータには、例えば、オブジェクトキー等のオブジェクトの識別情報、オブジェクト名、データのサイズ、及びタイムスタンプ等の属性情報が含まれる。なお、オブジェクトを磁気テープTに記録する際のデータ及びメタデータの記録順は特に限定されず、メタデータ及びデータの順でもよいし、データ及びメタデータの順でもよい。
【0018】
また、本実施形態では、一例として
図3に示すように、1つ以上のオブジェクトが予め定められたルール(以下、「パッキングルール」という)に従ってまとめられたオブジェクト(以下、「パックドオブジェクト」という)単位でオブジェクトが磁気テープTに記録される。これは、情報処理装置12が磁気テープTへオブジェクトを記録する際のテープドライブ18への記録指示のコマンド発行によるオーバーヘッドの低減等を目的としている。パックドオブジェクトは、開示の技術に係る磁気テープTへの記録対象のデータの一例である。
図3の「obj」はオブジェクトを表している。なお、
図3では、1つのパックドオブジェクトに4つのオブジェクトが含まれる例を示しているが、これに限定されない。1つのパックドオブジェクトに3つ以下のオブジェクトが含まれてもよいし、5つ以上のオブジェクトが含まれてもよい。また、パックドオブジェクトに含まれるオブジェクトの個数は均一でなくてもよい。
【0019】
パッキングルールの例としては、同じ拡張子のデータを含む複数のオブジェクトを同じパックドオブジェクトにまとめる、又は同時に読み取られる可能性の高い複数のオブジェクトを同じパックドオブジェクトにまとめる、といったルールが挙げられる。また、パッキングルールの例としては、1つのパックドオブジェクトのサイズが予め定められた下限値以上上限値未満となるように複数のオブジェクトを1つのパックドオブジェクトにまとめる、といったルールが挙げられる。また、パッキングルールの例としては、1つのパックドオブジェクトに含まれるオブジェクトの数が予め定められた下限値以上上限値未満となるように複数のオブジェクトを1つのパックドオブジェクトにまとめる、といったルールが挙げられる。また、複数のパッキングルールを組み合わせてもよい。
【0020】
次に、
図4を参照して、本実施形態に係る情報処理装置12のハードウェア構成を説明する。
図4に示すように、情報処理装置12は、CPU(Central Processing Unit)20、一時記憶領域としてのメモリ21、及び不揮発性の記憶部22を含む。また、情報処理装置12は、液晶ディスプレイ等のディスプレイ23、キーボードとマウス等の入力装置24、ネットワークに接続されるネットワークI/F(InterFace)25、及び各テープドライブ18が接続される外部I/F26を含む。CPU20、メモリ21、記憶部22、ディスプレイ23、入力装置24、ネットワークI/F25、及び外部I/F26は、バス27に接続される。CPU20は、プロセッサの一例である。
【0021】
記憶部22は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はフラッシュメモリ等によって実現される。記憶媒体としての記憶部22には、情報処理プログラム30が記憶される。CPU20は、記憶部22から情報処理プログラム30を読み出してからメモリ21に展開し、展開した情報処理プログラム30を実行する。
【0022】
ところで、本実施形態に係る情報処理装置12は、ユーザ端末等の外部装置から送信されたデータ及びメタデータを受信する。この外部装置からのデータの送信には、例えば、情報処理システム10から提供されるHTTP(Hypertext Transfer Protocol) API(Application Programming Interface)が使用される。この場合、例えば、ユーザが送信対象とするデータはHTTPのbody部分に含まれ、そのデータに関するメタデータはHTTPのheader部分に含まれる。情報処理装置12は、受信したデータ及びメタデータを対応付けたオブジェクトを記憶部22に格納する。情報処理装置12は、記憶部22に格納された1つ以上のオブジェクトに基づいてパックドオブジェクトを生成し、生成したパックドオブジェクトを記憶部22に格納する。記憶部22には、このように生成されるパックドオブジェクトが順次格納される。
【0023】
次に、
図5を参照して、本実施形態に係る情報処理装置12の機能的な構成について説明する。
図5に示すように、情報処理装置12は、設定部40、生成部42、制御部44、及び変更部46を含む。CPU20が情報処理プログラム30を実行することにより、設定部40、生成部42、制御部44、及び変更部46として機能する。
【0024】
設定部40は、ユーザから要求されるデータの冗長性を満たす1つのグループ内のデータの数の設定値(以下、「設定値D」という)及びパリティデータの数の設定値(以下、「設定値P」という)の初期値を設定する。例えば、ユーザから要求されるデータの冗長性が、3つのデータのうちの1つのデータが失われても、失われた1つのデータを復元できるようにしたいというものである場合、設定部40は、設定値Dを3に設定し、設定値Pを1に設定する。これは、3つのデータから1つのパリティデータを生成する構成(所謂3D+1Pの構成)を意味する。上記グループは、パリティグループと称されることもある。なお、ユーザにより要求されるデータの冗長性を満たしていれば、冗長度がより高くてもよい。上記の例において、設定部40は、設定値Dを3に設定し、設定値Pを2に設定してもよい。
【0025】
生成部42は、設定値D及び設定値Pに従って、パックドオブジェクトを用いてパリティデータを生成する。この設定値D及び設定値Pは、設定部40により設定された初期値であるか、又は後述する変更部46による変更後の値である。具体的には、
図6に示すように、生成部42は、設定値Dの数のパックドオブジェクトを用いて設定値Pの数のパリティデータを生成する。
図6では、設定値Dが3であり、設定値Pが1である場合の例を示している。この例におけるパリティデータは、3つのパックドオブジェクトのうちの1つのパックドオブジェクトが失われても、その1つのパックドオブジェクトを残りの2つのパックドオブジェクトとパリティデータとから復元可能な冗長符号である。
【0026】
なお、生成部42は、複数のパックドオブジェクトを用いてパリティデータを生成する場合、最大サイズのパックドオブジェクト以外のパックドオブジェクトに対してダミーデータを付加することにより複数のパックドオブジェクトのサイズを同一サイズにする処理を実行してもよい。この場合のダミーデータの例としては、0でパディングされたデータ、又は1でパディングされたデータ等が挙げられる。
【0027】
制御部44は、パックドオブジェクト、及びそのパックドオブジェクトから生成部42により生成されたパリティデータを複数の磁気テープTに分散して記録する制御を行う。本実施形態では、一例として
図7に示すように、制御部44は、設定値D及び設定値Pの合計値と同じ本数の磁気テープTにパックドオブジェクト及びパリティデータを分散して記録する制御を行う。これにより、1本の磁気テープTが使用不可能になった場合でも、残りの3本の磁気テープTに記録されたパックドオブジェクト及びパリティデータから、使用不可能になった1本の磁気テープTに記録されたパックドオブジェクトを復元することができる。
【0028】
また、本実施形態では、制御部44は、パックドオブジェクト及びパリティデータを複数の磁気テープTに並列に記録する制御を行う。例えば、設定値Dが3で、設定値Pが1で、かつデータの記録に使用可能なテープドライブ18の数が4以上である場合、制御部44は、3つのパックドオブジェクト及び1つのパリティデータを4本の磁気テープTに4並列で記録する制御を行う。また、例えば、設定値Dが3で、設定値Pが1で、かつデータの記録に使用可能なテープドライブ18の数が2である場合、制御部44は、まず、2つのパックドオブジェクトを2本の磁気テープTに2並列で記録する制御を行う。この場合、制御部44は、次に、残りの1つのパックドオブジェクト及び1つのパリティデータを2本の磁気テープTに2並列で記録する制御を行う。
【0029】
変更部46は、パックドオブジェクト及びパリティデータの記録に使用可能なテープドライブ18(以下、「使用可能テープドライブ」という)の使用状況に影響を及ぼすイベントの発生に応じて、設定値D及び設定値Pの少なくとも一方を変更する。変更部46は、この変更の際、変更後の設定値D及び設定値Pが、ユーザから要求されるデータの冗長性を満たすようにする。
【0030】
本実施形態では、変更部46は、設定値D及び設定値Pの合計値が、使用可能テープドライブの数の1以外の約数になるように、設定値D及び設定値Pの少なくとも一方を変更する。
【0031】
具体的には、例えば、設定値Dが3で、設定値Pが1で、かつ使用可能テープドライブの数が4の状態から、上記イベントの発生に応じて使用可能テープドライブの数が3になった場合、変更部46は、設定値Dを2に変更する。この場合、更に、上記イベントの発生に応じて使用可能テープドライブの数が4になった場合、変更部46は、設定値Dを3に変更する。
【0032】
上記イベントは、例えば、使用可能テープドライブの数を増減させるイベントである。上記イベントの具体的な例としては、テープドライブ18の故障、テープドライブ18の復旧、テープドライブ18のクリーニング要求、テープドライブ18のクリーニング終了、磁気テープTに記録されたパックドオブジェクトの読み取り要求、及び磁気テープTに記録されたパックドオブジェクトの読み取り完了の少なくとも1つが挙げられる。これらのイベントが発生すると、そのイベントに応じてテープドライブ18が使用不可能になるか、テープドライブ18が使用中になるか、又はテープドライブ18の使用が完了するため、使用可能テープドライブの数が増減する。
【0033】
次に、
図8及び
図9を参照して、本実施形態に係る情報処理装置12の作用を説明する。CPU20が情報処理プログラム30を実行することによって、
図8に示す設定値変更処理、及び
図9に示すデータ記録処理が実行される。
図8に示す設定値変更処理は、例えば、ユーザにより実行開始の指示が入力装置24を介して入力された場合等に実行される。
図9に示すデータ記録処理は、例えば、ユーザにより実行開始の指示が入力装置24を介して入力された場合、又は所定数以上のパックドオブジェクトが記憶部22に格納された場合等に実行される。
【0034】
図8のステップS10で、設定部40は、前述したように、設定値D及び設定値Pの初期値を設定する。ステップS12で、変更部46は、パックドオブジェクト及びパリティデータの記録に使用可能なテープドライブ18の使用状況に影響を及ぼすイベントが発生するまで待機する。上記イベントが発生すると、ステップS12の判定が肯定判定となり、処理はステップS14に移行する。
【0035】
ステップS14で、変更部46は、前述したように、上記イベントの発生に応じて、設定値D及び設定値Pの少なくとも一方を変更する。ステップS14の処理が終了すると、処理はステップS12に戻る。
【0036】
図9のステップS20で、生成部42は、前述したように、設定値D及び設定値Pに従って、パックドオブジェクトを用いてパリティデータを生成する。この設定値D及び設定値Pは、上記設定値変更処理のステップS10で設定された初期値であるか、又は上記設定値変更処理のステップS14の処理による変更後の値である。
【0037】
ステップS22で、制御部44は、前述したように、パックドオブジェクト、及びそのパックドオブジェクトからステップS20で生成されたパリティデータを複数の磁気テープTに分散して記録する制御を行う。ステップS22の処理が終了すると、データ記録処理が終了する。
【0038】
ここで比較例として、設定値Dが3で、設定値Pが1で、かつ設定値D及び設定値Pが固定値である場合を例に説明する。また、この場合で、上記イベントの発生に応じて使用可能テープドライブの数が4から3になった場合を例に説明する。この場合、例えば、3つのパックドオブジェクトが3つのテープドライブ18を用いて3本の磁気テープTに記録される。少なくとも1つのパックドオブジェクトの磁気テープTへの記録が完了すると、1つのテープドライブ18に対して磁気テープTの入れ替えが行われ、入れ替え後の磁気テープTにパリティデータが記録される。
【0039】
これに対し、本実施形態では、前述したように、上記イベントの発生に応じて使用可能テープドライブの数が4から3になった場合、設定値Dが2に変更される。すなわち、2つのパックドオブジェクト及び1つのパリティデータが3つのテープドライブ18を用いて3本の磁気テープTに記録される。この場合、テープドライブ18に対する磁気テープTの入れ替えは行われない。従って、パックドオブジェクト及びパリティデータを磁気テープTに記録する際の所要時間を短縮することができる。
【0040】
なお、上記実施形態では、開示の技術をオブジェクトストレージシステムに適用した場合について説明したが、これに限定されない。開示の技術を、データをファイル単位で取り扱うファイルストレージシステムに適用する形態としてもよい。
【0041】
また、上記実施形態において、例えば、設定部40、生成部42、制御部44、及び変更部46といった各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0042】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0043】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System on Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0044】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
【0045】
また、上記実施形態では、情報処理プログラム30が記憶部22に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。情報処理プログラム30は、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、情報処理プログラム30は、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【符号の説明】
【0046】
10 情報処理システム
12 情報処理装置
14 テープライブラリ
18 テープドライブ
20 CPU
21 メモリ
22 記憶部
23 ディスプレイ
24 入力装置
25 ネットワークI/F
26 外部I/F
27 バス
30 情報処理プログラム
40 設定部
42 生成部
44 制御部
46 変更部
T 磁気テープ