(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037475
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】ろ過装置、フィルタ固定治具、及びろ過方法
(51)【国際特許分類】
G01N 1/04 20060101AFI20240312BHJP
G01N 1/10 20060101ALI20240312BHJP
B01D 29/01 20060101ALI20240312BHJP
G01N 1/40 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
G01N1/04 H
G01N1/10 B
B01D29/04 510A
B01D29/04 530A
G01N1/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142368
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石丸 真子
(72)【発明者】
【氏名】福薗 真一
(72)【発明者】
【氏名】久松 光湖
【テーマコード(参考)】
2G052
4D116
【Fターム(参考)】
2G052AA06
2G052AA36
2G052AA40
2G052AD09
2G052BA22
2G052CA02
2G052CA12
2G052EA03
2G052EA14
2G052GA11
2G052JA04
2G052JA05
4D116AA07
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4D116VV30
(57)【要約】
【課題】フィルタ容器と弾性体との間で気密を行う部位とフィルタ容器を固定する部位とを分けることによって、フィルタ容器と弾性体との気密を保ちつつ、且つフィルタ容器を小さい力で容易に取り付け又は取り外しを行う。
【解決手段】ろ過装置は、液体試料が投入される入口11、及び入口11より開口面積が小さい出口12を有するファンネル10と、ファンネル10の出口12を有する先端部が挿入され、液体試料に含まれる対象物を捕集するフィルタ23を有するフィルタ容器20と、フィルタ23を通過した液体試料の流路となる貫通穴41を有するゴム栓40と、フィルタ容器20に当接してフィルタ容器20を支持し、且つフィルタ容器20をゴム栓40に対して押し付けるフィルタ固定治具30と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体試料をフィルタろ過するろ過装置であって、
前記液体試料が投入される入口、及び前記入口より開口面積が小さい出口を有するファンネルと、
前記ファンネルの前記出口を有する先端部が結合される入口、および出口を持ち、前記入口と前記出口との間に前記液体試料に含まれる対象物を捕集するフィルタを有する筒状のフィルタ容器と、
前記フィルタを通過した前記液体試料の流路となる貫通穴を有し、前記貫通穴の入口周囲が前記フィルタ容器に接触する弾性体と、
前記フィルタ容器に当接して前記フィルタ容器を支持し、且つ前記フィルタ容器を前記弾性体に対して押し付けるフィルタ固定治具と、を備え、
前記フィルタ固定治具が前記フィルタ容器を前記弾性体に押し付けることによって、前記弾性体の前記貫通穴の前記入口周囲を前記フィルタ容器の前記入口周囲に対応する接触面で気密する
ことを特徴とするろ過装置。
【請求項2】
前記ファンネルの前記入口の開口面積は、前記ファンネルの前記先端部が挿入される前記フィルタ容器の開口の開口面積、または前記フィルタの有効面積のいずれか小さい方と比較し4倍以上である
ことを特徴とする請求項1に記載のろ過装置。
【請求項3】
前記フィルタ容器の前記接触面は、前記フィルタ容器を前記弾性体に対して押し付ける方向に対して90°±45°以内の角度を持つ面である
ことを特徴とする請求項1に記載のろ過装置。
【請求項4】
前記弾性体の前記貫通穴の前記入口周囲の径は、前記フィルタ容器の前記接触面の外径より小さい
ことを特徴とする請求項1に記載のろ過装置。
【請求項5】
前記フィルタ固定治具は、
前記フィルタ容器に当接して前記フィルタ容器を支持し、前記フィルタ容器を前記弾性体に押し付ける押さえと、
前記押さえを固定するカバーと、を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のろ過装置。
【請求項6】
前記押さえの内周面又は外周面にはネジ加工が施され、前記カバーの前記ネジ加工が施された前記内周面又は前記外周面に対向する面にはネジ加工が施され、
前記押さえが前記カバーにねじ込まれることによって、前記フィルタ容器は前記弾性体に対して押し付けられた状態で固定される
ことを特徴とする請求項5に記載のろ過装置。
【請求項7】
前記フィルタ固定治具による前記弾性体に対する前記フィルタ容器の押しつけ距離は、2mm以内である
ことを特徴とする請求項1に記載のろ過装置。
【請求項8】
前記フィルタ固定治具は、前記ファンネルを支持するファンネル支持部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のろ過装置。
【請求項9】
液体試料をフィルタするフィルタが設けられる筒状のフィルタ容器を、前記フィルタ容器の下流側に配置され且つ前記フィルタを通過した前記液体試料の流路となる貫通穴を有し、前記貫通穴の入口周囲が前記フィルタ容器に接触する弾性体に固定するフィルタ固定治具であって、
前記フィルタ容器の少なくとも一部を収容するフィルタ収容部と、
前記フィルタ収容部に収容された前記フィルタ容器に当接して前記フィルタ容器を支持し、且つ前記フィルタ容器を前記弾性体に対して押し付けるフィルタ支持部と、を備え、
前記フィルタ支持部が前記フィルタ容器を前記弾性体に押し付けることによって、前記弾性体の前記貫通穴の前記入口周囲を前記フィルタ容器の前記入口周囲に対応する接触面で気密する
ことを特徴とするフィルタ固定治具。
【請求項10】
前記フィルタ容器の前記接触面は、前記フィルタ容器を前記弾性体に対して押し付ける方向に対して90°±45°以内の角度を持つ面である
ことを特徴とする請求項9に記載のフィルタ固定治具。
【請求項11】
前記フィルタ支持部を有する押さえと、前記押さえを固定するカバーと、を有する
ことを特徴とする請求項9に記載のフィルタ固定治具。
【請求項12】
前記押さえの内周面又は外周面にはネジ加工が施され、前記カバーの前記ネジ加工が施された前記内周面又は前記外周面に対向する面にはネジ加工が施され、前記押さえを前記カバーにねじ込むことによって、前記フィルタ容器は前記弾性体に対して押し付けられた状態で固定される
ことを特徴とする請求項11に記載のフィルタ固定治具。
【請求項13】
前記フィルタ支持部による前記弾性体に対する前記フィルタ容器の押しつけ距離は、2mm以内である
ことを特徴とする請求項9に記載のフィルタ固定治具。
【請求項14】
前記フィルタ容器に取り付けられるファンネルを支持するファンネル支持部をさらに有する
ことを特徴とする請求項9に記載のフィルタ固定治具。
【請求項15】
液体試料に含まれる対象物を捕集するフィルタを有する筒状のフィルタ容器、前記液体試料の流路となる貫通穴を有し、前記貫通穴の入口周囲が前記フィルタ容器に接触する弾性体、及び前記フィルタ容器を固定するフィルタ固定治具を準備すること、
前記フィルタ固定治具を前記フィルタ容器に当接させて、前記フィルタ容器を支持すること、
前記支持された前記フィルタ容器を前記弾性体に押し付けて、前記弾性体の前記貫通穴の前記入口周囲を前記フィルタ容器の前記入口周囲に対応する接触面で気密すること、及び、
前記フィルタ容器に前記液体試料を投入して、前記フィルタで前記対象物を捕集すること、を有する
ことを特徴とするろ過方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水、医薬品、試薬、飲料、化粧品などの液体試料から、微生物などの微粒子や、分析対象の物質を捕集するための、ろ過装置、フィルタ固定治具、及びろ過方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メンブレンフィルタ法は、液体試料をメンブレンフィルタでろ過し、フィルタ上に微粒子や、フィルタに親和性のある物質などを捕集し検出する方法である。例えば10mL又はそれ以上の液体試料から菌を検出する場合、試料全量を増菌培地に直接添加することが難しいため、フィルタろ過による菌の濃縮が必要となる。また、メンブレンフィルタ法は、分析を阻害する物質が液体中に存在する場合、その物質を除去する目的でも用いられる。
【0003】
一般にフィルタろ過には、吸引マニホールドと呼ばれる吸引ろ過のための装置が用いられる。吸引マニホールドは、土台となる配管、配管に接続された吸引ポンプ及びアダプタからなり、アダプタ上にフィルタ容器を固定して、フィルタ下流側を吸引ポンプで陰圧にすることにより、吸引ろ過を行う。フィルタ容器には、液体試料の容量に応じたサイズのファンネル(漏斗)を結合することで、容量の多い試料のろ過が可能となる。
【0004】
メンブレンフィルタ法は、液体試料中の菌(細菌、真菌)を検出する用途にも使用されている。従来法の菌検出法では、直径47mmのメンブレンフィルタで試料をろ過した後に、フィルタを寒天培地上に置いてフィルタ上で菌を増殖させ、培地上に生じたコロニーを目視で検出する。あるいは、メンブレンフィルタで試料をろ過した後に、フィルタを液体培地中に投入して菌を増殖させ培地の混濁を目視で検出する、という方法が取られてきた。この方法では、菌が目視可能な数まで増殖するのに1日から数日かかり、試験時間が長いという欠点があった。
【0005】
そこで目視よりも菌を迅速に検出する方法として、菌体に含まれる物質を検出する技術(アデノシン三リン酸(以下、ATP)生物発光法、核酸増幅法、免疫学的方法など)や、菌を直接計数する固相サイトメトリーなどの計測技術が開発されてきている。これらの方法では、菌の濃縮率向上が菌検出感度の向上につながる。そこで、従来よりも直径の小さいフィルタでろ過し、フィルタの単位面積当たりの菌数を向上する方法が取られる。例えば直径10mmのフィルタを用いることで、47mmのフィルタと比較して濃縮率が約20倍向上する。これは、菌検出以外の分析、例えば液体試料中の微粒子をフィルタに捕集し有機物質量を測定する場合や、液体試料中の抗原と親和性のある抗体を固定したフィルタで抗原を捕集し蛍光検出する場合などでも同様である。
【0006】
径の小さいフィルタを用いた容量の大きい液体試料のろ過は、フィルタ容器に、フィルタ容器の口径よりも口径の大きいファンネル(漏斗)を接続して実施される。ここで、口径の小さいフィルタ容器に口径の大きなファンネルを接続した不安定な形状のものを、流路の気密を保持しつつ直立に固定する方策が必要となる。特殊なろ過装置を導入するのではなく、従来のように手作業で吸引マニホールドを用いたろ過を行いたいというユーザの要求を実現するためには、フィルタ容器とファンネルとを、吸引マニホールドのアダプタに固定する治具が必要となる。
【0007】
特許文献1では、フィルタ容器の1次側にファンネル、2次側に吸引流路を接続する装置構成が開示されている。特許文献1には、フィルタ容器及びファンネルは、個別に可動装置に接続されており、フィルタ容器、ファンネル、及び流路の着脱の自動化を実現するための装置構成が開示されている。しかし、従来の吸引マニホールドを用いた手作業でのろ過を行いたいというユーザの要望に応えるためには、手作業で簡単にフィルタ容器とファンネルとの着脱を行うことができるという要件を満たすための技術が必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
液体中の物質をフィルタ上に濃縮して分析する場合、フィルタ径が小さい方が濃縮率は高くなり、分析感度が向上する。径の小さなフィルタ容器の上に径が大きなファンネルを接続した不安定な形状のものを、気密を保持しながら直立に固定するには、一般的には、穴付きゴム栓やOリングを内蔵した固定具にフィルタ容器を挿入し、フィルタ容器の外側面とゴム栓やOリングとが接する部位で固定する方法がとられる。この場合、フィルタ容器の固定と流路の気密は、フィルタ容器の側面の同じ部位(ゴム栓やOリングが接する部位)が担っている。そのため、フィルタ上に捕集した物質を分析するためにろ過後にフィルタ容器を取り外す必要がある場合、ゴム栓やOリングとの間の摩擦により、フィルタ容器を強い力で引き抜かなければならないという問題が生じる。従来と同様に手作業でろ過を実施したいというユーザを想定した場合、手作業で小さいフィルタ容器を強い力で引き抜くこととなる。この場合、フィルタ容器の内部に不用意に触れたりフィルタ容器を落としたりしてフィルタ容器を汚染するリスクが高くなり、その後の分析精度が低下するという問題があった。
【0010】
そこで、本開示は、フィルタ容器と弾性体との間で気密を行う部位と、フィルタ容器を固定する部位とを分けることによって、フィルタ容器と弾性体との気密を保ち、且つフィルタ容器を小さい力で容易に取り付け又は取り外し可能とするろ過装置、フィルタ固定治具、及びろ過方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示のろ過装置は、液体試料をフィルタろ過するろ過装置であって、液体試料が投入される入口、及び入口より開口面積が小さい出口を有するファンネルと、ファンネルの出口を有する先端部が結合される入口、および出口を持ち、入口と出口との間に液体試料に含まれる対象物を捕集するフィルタを有する筒状のフィルタ容器と、フィルタを通過した液体試料の流路となる貫通穴を有し、貫通穴の入口周囲がフィルタ容器に接触する弾性体と、フィルタ容器に当接してフィルタ容器を支持し、且つフィルタ容器を弾性体に対して押し付けるフィルタ固定治具と、を備え、フィルタ固定治具がフィルタ容器を弾性体に押し付けることによって、弾性体の貫通穴の入口周囲をフィルタ容器の入口周囲に対応する接触面で気密する。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、フィルタ容器と弾性体との間で気密を行う部位とフィルタ容器を固定する部位とを分けることによって、フィルタ容器と弾性体との気密を保ちつつ、且つフィルタ容器を小さい力で容易に取り付け又は取り外しが可能となる。
【0013】
上述した以外の、課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明にて明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】実施例1のろ過装置を用いてろ過を行う方法を示したフローチャートである。
【
図7】実施例6のフィルタ固定治具の例を示した6面図である。
【
図8】実施例6のフィルタ固定治具の例を示した斜視図及び断面図である。
【
図9】実施例7のフィルタ固定治具の例を示した6面図である。
【
図10】実施例7のフィルタ固定治具の例を示した斜視図及び断面図である。
【
図11】実施例8のフィルタ固定治具の例を示した6面図である。
【
図12】実施例8のフィルタ固定治具の例を示した斜視図及び断面図である。
【
図13】実施例9のろ過装置の例を示した図である。
【
図14】実施例10のフィルタ固定治具の例を示した6面図である。
【
図15】実施例10のフィルタ固定治具の例を示した斜視図及び断面図である。
【
図16】実施例9及び10のろ過装置を用いてろ過を行う方法を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施の形態において、その構成要素は、特に明示した場合及び原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0016】
以下、図面を参照しながら本開示の実施の形態を説明する。
【実施例0017】
図1は、実施例1のろ過装置の例を示した図である。
図1を参照して、実施例1のろ過装置1の構成を説明する。
図1の(A)は、実施例1のろ過装置1をアダプタ60に取り付けた状態を示した図であり、(B)は、フィルタ容器20を分解した状態を示した図であり、(C)は、フィルタ固定治具30を分解した状態を示した図である。
【0018】
(ろ過装置1の構成)
ろ過装置1は、ファンネル10と、フィルタ容器20と、フィルタ固定治具30と、弾性体40と、を備える。このろ過装置1は、液体試料をフィルタろ過する装置である。実施例1の弾性体40は、市販の穴付きゴム栓である。以下、弾性体40を、穴付きゴム栓40又はゴム栓40と呼ぶ。ファンネル10、フィルタ容器20及びフィルタ固定治具30を備える構造体は、この市販の穴付きゴム栓40に取り付け及び取り外しが可能である。穴付きゴム栓40は、繰り返し使用可能なものであって、手作業での取り扱いが容易であるという利点がある。この穴付きゴム栓40の貫通穴41の穴径D41がフィルタ容器20(カバー22)の外径D24より小さければ、ろ過装置1に対して使用可能であるため、市販の穴付きゴム栓40を使うことができるという利点もある。吸引マニホールド50の上流側には、アダプタ60が接続可能であって、このアダプタ60には穴付きゴム栓40が取り付けられる。また、吸引マニホールド50の下流側には、吸引ポンプ70が接続可能である。ファンネル10に投入された液体試料は、吸引ポンプ70の駆動によって、ファンネル10からフィルタ容器20、穴付きゴム栓40、アダプタ60、及び吸引マニホールド50の順に通過する。
【0019】
吸引マニホールド50は、市販品であって、例えばPall社のラボラトリーマニホールド(Product ID:4889)である。また、アダプタ60は、この吸引マニホールド50に接続可能なアダプタであって、例えばPall社のラボラトリーマニホールドスタンダードアダプタ(Product ID:4892)である。吸引マニホールド50は、例えばメルク社の吸引マニホールド(カタログ番号:EZFITH0LD3)であってもよい。メルク社の吸引マニホールドであれば、部品の取り付けを工具なしで実施可能であり、洗浄や滅菌といったメンテナンスが容易である。上記に例示したマニホールドには、カップ状になったアダプタ60が取り付け可能であって、このアダプタ60には、アダプタ60のサイズに適合するゴム栓40が嵌め込まれる。ゴム栓40の外面とアダプタ60の内面が接することで、液体試料の流路の気密が保たれる。
【0020】
(ファンネル10)
ファンネル10は、滅菌可能な素材であり、例えば金属製又は樹脂製である。金属製であれば耐久性が高く、洗浄や滅菌を繰り返して使用可能であり、経済的である。一方、樹脂製であれば、安価であり、使い捨てとすることで洗浄作業が不要となり、利便性が向上する。また、透明な樹脂を使用することで、ろ過の進行状況がクリーンベンチの外からでも目視で確認できるという利点もある。
【0021】
ファンネル10は、液体試料が投入される入口11、及び入口より開口面積が小さい出口12を有する。具体的には、入口11の開口面積は、出口12の開口面積の4倍以上である。ファンネル10の入口11の内径D11は、フィルタ容器20(フィルタ本体部21)の内径D21より大きい。また、ファンネル10は、100mL程度の液体を保持することが可能な容積を有する。ファンネル10の容積は、液体試料の量に合わせて適宜選択することができる。ファンネル10の出口12の外径D12は、フィルタ本体部21の内径D21と略同じである。このため、フィルタ容器20にファンネル10の下部先端を差し込むことでファンネル10とフィルタ容器20との間の気密が保たれる。
【0022】
(フィルタ容器20)
フィルタ容器20は、フィルタ本体部21と、フィルタ本体部21の外周面をカバーするカバー22と、を有する。実施例1のフィルタ容器20は、フィルタ本体部21とカバー22との2パーツからなるフィルタアッセンブリである。フィルタ本体部21及びカバー22は、略円筒状であって、フィルタ本体部21の底面には、フィルタ23が固定されており、フィルタの有効面積(フィルタ全体のうち、試料液をろ過する面積)はフィルタ本体部21の底面内側の面積と略同じである。フィルタ本体部21及びカバー22の形状は、正円筒状に限らず、筒状であれば多角形の筒状であってもよいし、楕円形の筒状であってもよい。また、フィルタ本体部21及びカバー22の径は、不均一であってもよい。フィルタ23は、液体試料に含まれる対象物を捕集する。フィルタ本体部21には、ファンネル10の出口12を有する先端部が挿入される。ここでは、ファンネル10の出口12を有する先端部をフィルタ本体部21に挿入したが、ファンネル10の出口12を有する先端部とフィルタ本体部21とが結合されていればよい。フィルタ本体部21のカバー22に挿入される部分の外径D22は、カバー22の内径D23と略同じである。このため、フィルタ本体部21のカバー22に挿入される部分の外周面とカバー22の内周面とは接しており、フィルタ本体部21とカバー22との間の気密が保たれる。また、カバー22の底面24の外径D24は、ゴム栓40の貫通穴41の径D41より大きい。このため、カバー22の底面24がゴム栓40の上面42に当接し、気密が保たれる。なお、ファンネル10をフィルタ容器20にあらかじめ結合した状態で用意してもよい。また、ファンネル10の出口内径とフィルタ容器20の入り口外径を略同じとし、フィルタ容器20の入口部分をファンネル10の出口部分に挿入する構造としてもよい。あるいは、ファンネル10とフィルタ容器20が結合した構造の部材を樹脂などの素材で一体成型で製造し、ろ過後にファンネル10とフィルタ容器20の間の一定の位置で折って切り離すことができるようになっていてもよい。また、フィルタ容器20をテーパー状とし、入口面積はフィルタ有効面積も大きい形状としてもよい。
【0023】
(フィルタ固定治具30)
フィルタ固定治具30は、ベース31と、押さえ32とを有する。押さえ32は、フィルタ容器20に当接して、フィルタ容器20を支持する。ベース31は、フィルタ容器20を穴付きゴム栓40に対して押し付ける押さえ32を固定する。ベース31は、ゴム栓40の上部に嵌め込まれて、ゴム栓40に固定される。ベース31は、ゴム栓40の上部に嵌め込まれるテーパー形状のベース固定部33を有する。また、ベース31は、フィルタ容器20の一部又は全部を収容するフィルタ収容部34を有する。フィルタ収容部34の外周面には、雄ネジ加工が施された雄ネジ加工部35が形成されている。また、押さえ32の雄ネジ加工部35に対向する部分には、雌ネジ加工が施された雌ネジ加工部36が形成されている。雄ネジ加工部35に雌ネジ加工部36をねじ込むことによって、ベース31に対して押さえ32が固定される。フィルタ収容部34の内周面にネジ加工部を設け、押さえ32の外周面にネジ加工部を設けてもよい。
【0024】
フィルタ収容部34の内径D31は、カバー22の外径D24より大きい。このため、摩擦抵抗はなく且つ簡単に、フィルタ容器20をフィルタ収容部34に出し入れすることができる。また、押さえ32には、フィルタ本体部21の上面25に当接するフィルタ支持部37が形成されている。このフィルタ支持部37は、フィルタ本体部21の上面25に当接して、フィルタ本体部21の上方向への移動を規制する。フィルタ支持部37は、フィルタ容器20を穴付きゴム栓40に対して押し付けて、穴付きゴム栓40の貫通穴41の入口周囲をフィルタ容器20の前記入口周囲に対応する接触面で気密する。フィルタ支持部37の内径D32は、フィルタ本体部21の上面25の外径D25より小さい。また、押さえ32の上部には、ファンネル10を支持するファンネル支持部38が設けられており、ファンネル10の横揺れを防止する。
【0025】
(穴付きゴム栓40)
穴付きゴム栓40は、フィルタ容器20の下流側に配置され、フィルタ容器20の底面24に接触する。穴付きゴム栓40は、フィルタ23を通過した液体試料の流路となる貫通穴41を有する。上記したベース31は、穴付きゴム栓40に嵌め込まれる。
【0026】
(実施例1のろ過装置1を用いてろ過を行う方法(ろ過方法))
図2は、実施例1のろ過装置を用いてろ過を行う方法(ろ過方法)を示したフローチャートである。
図2を参照して、実施例1のろ過装置1によるろ過方法を説明する。
【0027】
ユーザは、まず、吸引マニホールド50、穴付きゴム栓40、及びフィルタ固定治具30を用意し、それぞれを洗浄及び滅菌する(ステップS201)。吸引マニホールド50、及び穴付きゴム栓40は、定期的にこすり洗いを行い、計測対象物質を低減する処理を行うことが望ましい。たとえば菌検出が試験の目的であれば、高圧蒸気滅菌を行い、クリーンベンチなどの清浄な環境に設置して、以降は無菌的にろ過操作を行う。また、ベース31及び押さえ32も、こすり洗いを行い、滅菌をしたものを用意する。
【0028】
また、ユーザは、ファンネル10及びフィルタ容器20を滅菌する。フィルタ本体部21をカバー22に収納した状態で滅菌する(ステップS202)。
【0029】
次に、ユーザは、液体試料を用意する(ステップS203)。
【0030】
ユーザは、吸引マニホールド50に接続されたアダプタ60に穴付きゴム栓40を設置する(ステップS204)。
【0031】
そして、ユーザは、ベース31のベース固定部33にゴム栓40の上部をはめ込むことによって、ゴム栓40にベース31を固定する(ステップS205)。
【0032】
ユーザは、ゴム栓40に固定されたベース31のフィルタ収容部34にフィルタ容器20を挿入して、直立させる(ステップS206)。この時点では、フィルタ容器20は、ゴム栓40の上に載置された状態となっているだけで、ゴム栓40の上面42とカバー22の底面24との間の気密はない。
【0033】
ここで、ユーザは、押さえ32をベース31に対してねじ込み、フィルタ容器20を固定する(ステップS207)。ベース31の雄ネジ加工部35に対して押さえ32の雌ネジ加工部36を垂直下方向(
図1中のZ方向)にねじ込むと、押さえ32の内部上面のフィルタ支持部37がフィルタ本体部21の上面25に当接する。さらに、押さえ32をベース31に対してねじ込むと、ゴム栓40に対してフィルタ容器20が垂直下方向に押し付けられる。この操作により、フィルタ容器20が直立して固定されるとともに、ゴム栓40の上面42とカバー22の底面24との間の気密が保たれる。なお、押さえ32がフィルタ容器20をゴム栓40に押し付け過ぎると、ゴム栓40が変形あるいは損傷するため、押しつけ距離を制限するよう、ベース31に対する押さえ32のねじ込み距離を一定の値でストップする形状にしてもよい。押しつけ距離(ゴム栓40の上面42にフィルタ容器20が載置された状態から、ゴム栓40の方向にフィルタ容器20を移動させる距離)の最大許容値は、ゴム栓40の硬さに依存し、例えば2mm以内が好ましい。
【0034】
なお、液体試料の流路の形状は、円筒状であってもよいし、円筒状以外の形状であってもよい。例えば、ゴム栓40の貫通穴41の形状は、円筒以外の任意の形状とすることができる。入口と出口の形状や断面積が異なってもよい。ただし、気密を保つために、カバー22とゴム栓40とが接する接触面は、液体の流路を囲むように連続している必要がある。
【0035】
次に、ユーザは、フィルタ本体部21の上流側に滅菌済みのファンネル10を接続する(ステップS208)。このとき、フィルタ容器20が直立して固定されているので、ファンネル10を接続しても、ファンネル10の直立を保つことができる。また、押さえ32の上部のファンネル支持部38がファンネル10を支持することによって、さらにファンネル10の直立を安定させる役割を果たす。もしもファンネル10とフィルタ容器20とをあらかじめ結合した状態で用意した場合は、ステップS206にてファンネル10と結合したフィルタ容器20を直立させ、ステップ207にて押え32をベース31に対してネジ込むという手順となり、ステップS208は不要である。
【0036】
ユーザは、直立したファンネル10に液体試料を注ぎ入れる(ステップS209)。
【0037】
吸引マニホールド50に接続した吸引ポンプ70を作動させ、液体試料を吸引ろ過する(ステップS210)。吸引ポンプ70が作動すると、フィルタ23の下流側が陰圧となることから、ファンネル10内の液体は、フィルタ本体部21、フィルタ23、カバー22、ゴム栓40、及びアダプタ60を通過して、除去される。これにより、液体試料内の微粒子や、フィルタ23に結合する物質のみがフィルタ23に捕集される。
【0038】
吸引ろ過が終了すると、吸引ポンプ70は、停止される(ステップS211)。
【0039】
次に、ユーザは、フィルタ本体部21からファンネル10を取り外す(ステップS212)。このとき、ユーザは、片手でフィルタ固定治具30(ベース31又は押さえ32)を固定しながら、もう一方の手でファンネル10を垂直上方向(-Z方向)に引き抜く。あるいは、押さえ32の上部とファンネル10との間にU字状のヘラを差し込み、押さえ32の上部を支点にしてテコの原理でファンネル10を上方向に押し上げて、取り外すこともできる。
【0040】
次に、ユーザは、押さえ32をベース31から取り外す(ステップS213)。
【0041】
その後、ユーザは、フィルタ容器20をベース31から取り外す(ステップS214)。フィルタ容器20は、ゴム栓40の上面42に載置されているだけなので、ユーザは、抵抗なくフィルタ容器20を取り外すことができる。
【0042】
取り外したフィルタ容器20のフィルタ23上に捕集した物質は、検出のため、分析にかけられる(ステップS215)。
【0043】
一方、ベース31は、穴付きゴム栓40に固定されたままであるので、次のフィルタ容器20をフィルタ収容部34に挿入して、直立させ(ステップS206)、固定することによって(ステップS207)、吸引ろ過を繰り返し実施することができる。ただし、前の液体試料のろ過により穴付きゴム栓40が次の分析に影響があるほど汚染される可能性がある場合は、ベース31と穴付きゴム栓40とを取り外し、洗浄済みのものに交換する。
【0044】
(菌の検出方法)
実施例1のろ過装置1を、100mLの水試料中から菌(細菌および真菌)をアデノシン三リン酸(ATP)生物発光法により検出する方法に使用する手順の例を以下に述べる。
【0045】
ファンネル10及びフィルタ容器20は、予め滅菌処理される。穴付きゴム栓40、押さえ32、ベース31、アダプタ60、および吸引マニホールド50も、滅菌処理されることが望ましい。フィルタ23は、直径6mm、穴径0.45μmのものがフィルタ本体部21の底面に固定されている。カバー22の外径D24は12mm、フィルタ本体部21の内径D1は9mm、フィルタ本体部21の内容量は0.8mLである。ファンネル10の下部先端の外径D12は9mmで、フィルタ本体部21の内部に篏合する。ファンネル10の上部は、内径D11が60mm、高さが60mmとなっており、100mLの液体を保持可能である。穴付きゴム栓40の穴径D41は9mmであり、カバー22の外径D24の12mmより小さい。ベース31のフィルタ収容部34の内径D31は13mmであり、カバー22の外径D24の12mmより大きい。
【0046】
ユーザは、ベース31を穴付きゴム栓40に嵌め込み、フィルタ容器20をベース31のフィルタ収容部34に挿入し、押さえ32をねじ込んで固定する。そして、ユーザは、ファンネル10をフィルタ本体部21に差し込み、ファンネル10に液体試料100mLを注ぎ入れる。吸引ポンプ70が作動すると、液体試料が吸引ろ過される。これにより、フィルタ23上には菌が捕集され、液体は、ろ液として除去される。ユーザは、ファンネル10、押さえ32の順に取り外し、フィルタ容器20を取り出し、フィルタ23にATP消去液(ATP分解酵素の入った試薬溶液)400μLを添加して37℃でインキュベートし、フィルタ23に残った遊離ATPを除去する。フィルタ容器20をマイクロチューブ上に置いて遠心ろ過し、ATP消去液を、ろ液として除去する。フィルタ容器20からフィルタ本体部21を取り出して計測チューブにのせ、フィルタ23に抽出液(菌体を破壊して菌体内のATPを取り出す試薬溶液)50μLを添加する。遠心ろ過して抽出液を計測チューブに回収する。計測チューブにATP発光試薬(ルシフェリン―ルシフェラーゼ反応を用いて発光反応を起こす試薬溶液)を添加して、発光計測によりATPを定量する。ATP量は、液体試料中の菌量と比例するため、元の菌量を知ることができる。体積100mLの液体試料をフィルタろ過し、フィルタ23上に菌を濃縮して50uLの試薬でATPを抽出することで、2000倍の濃縮を達成している。
【0047】
菌検出法として一般的に実施されているメンブレンフィルタ法では、液体試料を直径47mm、穴径0.1~0.5μmのメンブレンフィルタでろ過し、フィルタ上に菌を捕集する。直径47mmのフィルタと比較した場合、直径6mmのフィルタでは濃縮率は約60倍高くすることができ、より高感度に検出することができる。
【0048】
ここでは、ATP測定により菌検出を行う例を示したが、検出対象をATPに限るものではない。菌体が持つ物質、例えば脂質、糖、タンパク質、代謝物などの菌体構成物質の検出や、菌体内に含まれる酵素の活性を基質添加により検出する方法などで菌を検出してもよい。また、ここでは菌検出を行う例を示したが、検出対象を菌に限るものではない。純水や医薬品などに含まれる有機微粒子あるいは無機微粒子を検出する分析用途に使用することもできる。
【0049】
(実施例1の効果)
実施例1のフィルタ固定治具30を用いることで、フィルタ容器20と弾性体40との間で気密を行う部位と、フィルタ容器20を固定する部位とを分けることができる。気密と固定とを同じ部位で行わないため、フィルタ容器20を取り外す際に摩擦抵抗なく、手作業で簡単にフィルタ容器20を取り外すことができる。その結果、取り外し作業の際にフィルタ容器20のフィルタ23が汚染するリスクを低減することができる。また、フィルタ固定治具30を新たに用意するだけで、市販の吸引マニホールドおよびゴム栓を使用して面積の小さいメンブレンフィルタでろ過することが可能となる。
【0050】
一方、フィルタ容器20を固定しかつ気密を保つための代替案としては、穴付きゴム栓40の内径D41とカバー22の外径D24とを一致させ、フィルタ容器20を穴付きゴム栓40の貫通穴41に押し込むことで、フィルタ容器20を直立させる方法が考えられる。この場合、固定と気密とが共にカバー22の外側面で達成されるため、強固に固定される一方で、フィルタ容器20をゴム栓40から外すことが困難となる。フィルタ容器20が小さい場合、特に手作業では取り外しが難しい。これに対し、実施例1のろ過装置1では、固定と気密とをカバー22の外側面ではなく、フィルタ容器20の2つの水平面(底面24、及び上面25)で行うことによって、フィルタ容器20の取り外しが小さい力で容易となる。このように、実施例1では、手作業で簡単にフィルタ容器20の取り外しが可能であり、強い力でフィルタ容器20を取り外す必要がある従来の場合と比較して、フィルタ容器20を落としたり内部に触れたりして汚染してしまうリスクを低減することができる。
【0051】
なお、フィルタ容器20の水平面(底面24、及び上面25)とは、フィルタ容器20を直立させたときの垂直軸(図中のZ方向)に対し、90度の角度を持つ面を意味している。ただし、押さえ32がフィルタ容器20に垂直下方向の力を加えることができること、また、フィルタ容器20と弾性体40(ゴム栓40)とが垂直方向に力を加え合うことができるという機能を果たすことが可能である範囲として、フィルタ容器20の水平面(底面24、及び上面25)は、垂直軸に対し、90±45度までの範囲は許容される。
【0052】
また、ファンネル10の入口11の開口面積は、ファンネル10の先端部が挿入されるフィルタ容器20の開口の開口面積の4倍以上である。実施例1では、フィルタ固定治具30によってフィルタ容器20を安定に固定することができるので、開口面積が大きく不安定なファンネル10を安定に支持することができる。
【0053】
また、ゴム栓40の貫通穴41の径D41をフィルタ容器20の底面24の外径D24より小さくすることによって、貫通穴41の入口周辺と底面24との間で気密を保つことができる。
【0054】
また、ベース31及び押さえ32のそれぞれにネジ加工部35及び36を形成し、押さえ32をベース31にねじ込むことによって、より強固にフィルタ容器20を固定することが可能となる。
【0055】
また、押さえ32にファンネル支持部38を設けることによって、よりファンネル10を安定して固定することが可能となる。
実施例1では、フィルタ固定治具30のベース31をゴム栓40に固定したが、実施例2では、ベース331を補助アダプタ350に固定する。ベース331をアダプタ60に対して固定することで、フィルタ容器20及びファンネル10の固定が弾性体(ゴム栓40)に対して固定する場合より安定することが期待できる。しかし、ゴム栓40を導入する上部の径が大きく、下部の径が小さいテーパー状のカップを有するアダプタ60に対してベース331を固定することは難しい。そこで、実施例2では、補助アダプタ350をアダプタ60のカップに装着する。具体的には、補助アダプタ350とベース331のベース固定部333とが篏合するようにし、補助アダプタ350にベース331を固定する。また、固定ネジ351により、補助アダプタ350に対するベース331の固定をより強化してもよい。あるいは、ベース固定部333及び補助アダプタ350の両方にネジ山を加工し、互いにねじ込むことで固定してもよい。