IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ミツトヨの特許一覧

特開2024-37476一次元測定機および一次元測定機の制御プログラム
<>
  • 特開-一次元測定機および一次元測定機の制御プログラム 図1
  • 特開-一次元測定機および一次元測定機の制御プログラム 図2
  • 特開-一次元測定機および一次元測定機の制御プログラム 図3
  • 特開-一次元測定機および一次元測定機の制御プログラム 図4
  • 特開-一次元測定機および一次元測定機の制御プログラム 図5
  • 特開-一次元測定機および一次元測定機の制御プログラム 図6
  • 特開-一次元測定機および一次元測定機の制御プログラム 図7
  • 特開-一次元測定機および一次元測定機の制御プログラム 図8
  • 特開-一次元測定機および一次元測定機の制御プログラム 図9
  • 特開-一次元測定機および一次元測定機の制御プログラム 図10
  • 特開-一次元測定機および一次元測定機の制御プログラム 図11
  • 特開-一次元測定機および一次元測定機の制御プログラム 図12
  • 特開-一次元測定機および一次元測定機の制御プログラム 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037476
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】一次元測定機および一次元測定機の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/347 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
G01D5/347 110M
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142369
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100134511
【弁理士】
【氏名又は名称】八田 俊之
(72)【発明者】
【氏名】矢野 龍介
【テーマコード(参考)】
2F103
【Fターム(参考)】
2F103BA18
2F103CA01
2F103CA03
2F103DA01
2F103DA12
2F103EB06
2F103EB12
2F103EB32
2F103ED06
2F103ED11
2F103FA15
(57)【要約】
【課題】スケールの汚れ度合いを検出することを目的とする。
【解決手段】一次元測定機は、目盛を有するスケールと、前記スケールの前記目盛に向けて光を出射する光源と、前記光源が出射して前記スケールを介した前記光を受光する受光部と、を有し、前記スケールに沿って移動可能な移動部と、前記移動部が前記スケールに沿って移動しながら前記光源から前記スケールに向かって出射された前記光の光量に関する情報を検出する光量情報検出部と、前記光量情報検出部が検出した前記光の光量に関する情報に基づいて前記スケールの汚れ度合いを検出する汚れ検出部と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目盛を有するスケールと、
前記スケールの前記目盛に向けて光を出射する光源と、前記光源が出射して前記スケールを介した前記光を受光する受光部と、を有し、前記スケールに沿って移動可能な移動部と、
前記移動部が前記スケールに沿って移動しながら前記光源から前記スケールに向かって出射された前記光の光量に関する情報を検出する光量情報検出部と、
前記光量情報検出部が検出した前記光の光量に関する情報に基づいて前記スケールの汚れ度合いを検出する汚れ検出部と、を備える一次元測定機。
【請求項2】
前記光量情報検出部は、前記受光部が前記光の受光量の変化に基づいて出力する電気信号が所定の大きさになるように前記光源に供給する電流値を制御する光電式エンコーダの制御部から前記光源に供給された電流値を取得して前記光の光量に関する情報として前記電流値の大きさを検出し、
前記汚れ検出部は、前記電流値の大きさに基づいて前記スケールの汚れ度合いを検出する、請求項1に記載の一次元測定機。
【請求項3】
前記汚れ検出部は、前記電流値が大きい場合は小さい場合に比べて前記スケールの汚れ度合いが大きいと検出する、請求項2に記載の一次元測定機。
【請求項4】
前記光量情報検出部は、前記光源に供給される電流値が略一定であるときに前記受光部が前記光の受光量の変化に基づいて出力する電気信号の大きさを前記光の光量に関する情報として検出し、
前記汚れ検出部は、前記電気信号の大きさに基づいて前記スケールの汚れ度合いを検出する、請求項1に記載の一次元測定機。
【請求項5】
前記汚れ検出部は、前記電気信号の大きさが小さい場合は大きい場合に比べて前記スケールの汚れ度合いが大きいと検出する、請求項4に記載の一次元測定機。
【請求項6】
前記スケールの汚れ度合いに関する情報を表示する表示部を備える、請求項1または2に記載の一次元測定機。
【請求項7】
前記汚れ検出部は、前記スケールの汚れ度合いに応じて異なる通知を前記表示部に表示させる、請求項6に記載の一次元測定機。
【請求項8】
前記汚れ検出部は、前記光の光量に関する情報に基づいて前記スケールの汚れ度合いが大きい位置を特定し、特定した前記位置を示す情報を前記表示部に表示させる、請求項6に記載の一次元測定機。
【請求項9】
前記汚れ検出部は、前記光の光量に関する情報を示すグラフに前記スケールの汚れ度合いに関する1または複数の閾値を併記して前記表示部に表示させる、請求項6に記載の一次元測定機。
【請求項10】
スケールの目盛に向けて光を出射する光源と前記光源が出射して前記スケールを介した前記光を受光する受光部とを有する移動部が前記スケールに沿って移動しながら前記光源から前記スケールに向かって出射された前記光の光量に関する情報を検出し、
検出した前記光の光量に関する情報に基づいて前記スケールの汚れ度合いを検出する、処理をコンピュータに実行させることを特徴とする一次元測定機の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一次元測定機および一次元測定機の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一方向における被測定物の各種寸法(例えば、高さ、段差、穴径等)を測定する一次元測定機が知られている(例えば特許文献1)。一次元測定機は、一方向における被測定物の各種寸法を測定するために、光電式エンコーダを内蔵している。光電式エンコーダとして、一方向に沿って配設された目盛を有するスケールと、光を出射する光源と、光源から出射されスケールを介した光を受光する受光部と、を備える構成が知られている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-221414号公報
【特許文献2】特開2018-44782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一次元測定機が使用される環境によっては、内蔵された光電式エンコーダのスケールの表面に汚れが付着し、スケール値が読み取れなくなることがある。スケール値が読み取れなくなると、被測定物の寸法等の測定が出来なくなってしまう。したがって、スケール値が突然読み取れなくなることは、生産活動に大きな影響を及ぼすことになる。そこで、スケール値が突然読み取れなくなることを抑制するために、スケールの汚れ度合いを検出できることが望まれている。
【0005】
1つの側面では、本発明は、一次元測定機に内蔵されたスケールの汚れ度合いを検出できる一次元測定機および一次元測定機の制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様では、本発明に係る一次元測定機は、目盛を有するスケールと、前記スケールの前記目盛に向けて光を出射する光源と、前記光源が出射して前記スケールを介した前記光を受光する受光部と、を有し、前記スケールに沿って移動可能な移動部と、前記移動部が前記スケールに沿って移動しながら前記光源から前記スケールに向かって出射された前記光の光量に関する情報を検出する光量情報検出部と、前記光量情報検出部が検出した前記光の光量に関する情報に基づいて前記スケールの汚れ度合いを検出する汚れ検出部と、を備える。
【0007】
上記一次元測定機において、前記光量情報検出部は、前記受光部が前記光の受光量の変化に基づいて出力する電気信号が所定の大きさになるように前記光源に供給する電流値を制御する光電式エンコーダの制御部から前記光源に供給された電流値を取得して前記光の光量に関する情報として前記電流値の大きさを検出し、前記汚れ検出部は、前記電流値の大きさに基づいて前記スケールの汚れ度合いを検出してもよい。
【0008】
上記一次元測定機において、前記汚れ検出部は、前記電流値が大きい場合は小さい場合に比べて前記スケールの汚れ度合いが大きいと検出してもよい。
【0009】
上記一次元測定機において、前記光量情報検出部は、前記光源に供給される電流値が略一定であるときに前記受光部が前記光の受光量の変化に基づいて出力する電気信号の大きさを前記光の光量に関する情報として検出し、前記汚れ検出部は、前記電気信号の大きさに基づいて前記スケールの汚れ度合いを検出してもよい。
【0010】
上記一次元測定機において、前記汚れ検出部は、前記電気信号の大きさが小さい場合は大きい場合に比べて前記スケールの汚れ度合いが大きいと検出してもよい。
【0011】
上記一次元測定機において、前記スケールの汚れ度合いに関する情報を表示する表示部を備えてもよい。
【0012】
上記一次元測定機において、前記汚れ検出部は、前記スケールの汚れ度合いに応じて異なる通知を前記表示部に表示させてもよい。
【0013】
上記一次元測定機において、前記汚れ検出部は、前記光の光量に関する前記情報に基づいて前記スケールの汚れ度合いが大きい位置を特定し、特定した前記位置を示す情報を前記表示部に表示させてもよい。
【0014】
上記一次元測定機において、前記汚れ検出部は、前記光の光量に関する情報を示すグラフに前記スケールの汚れ度合いに関する1または複数の閾値を併記して前記表示部に表示させてもよい。
【0015】
1つの態様では、本発明に係る一次元測定機の制御プログラムは、スケールの目盛に向けて光を出射する光源と前記光源が出射して前記スケールを介した前記光を受光する受光部とを有する移動部が前記スケールに沿って移動しながら前記光源から前記スケールに向かって出射された前記光の光量に関する情報を検出し、検出した前記光の光量に関する情報に基づいて前記スケールの汚れ度合いを検出する、処理をコンピュータに実行させる一次元測定機の制御プログラムである。
【発明の効果】
【0016】
スケールの汚れ度合いを検出することができるため、一次元測定機にエラーが発生した場合にスケール汚れが原因であることを早期に判別でき、一次元測定機を長時間使用できなくなることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、第1の実施形態に係る一次元測定機を示す斜視図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る一次元測定機の内部構造の一部を示す図である。
図3図3は、第1の実施形態におけるスケールおよびヘッドを示す断面図である。
図4図4は、第1の実施形態における光電式エンコーダの制御部および一次元測定機の制御部の機能構成を示すブロック図である。
図5図5(a)および図5(b)は、第1の実施形態における光量制御部の制御について示すグラフである。
図6図6は、第1の実施形態において、光源に供給される電流値とスケールの汚れ度合いとの関係を示す図である。
図7図7は、第1の実施形態における一次元測定機のハードウェア構成および光電式エンコーダのハードウェア構成を示すブロック図である。
図8図8は、第1の実施形態における汚れ度合いの検出処理の一例を示すフローチャートである。
図9図9(a)および図9(b)は、第1の実施形態において、表示部に表示されるスケール汚れチェック画面の一例を示す図である。
図10図10(a)および図10(b)は、汚れ度合いの他の通知方法を示す図である。
図11図11(a)および図11(b)は、第2の実施形態における光量制御部の制御について示すグラフである。
図12図12は、第2の実施形態において、リサージュ信号の大きさとスケールの汚れ度合いとの関係を示す図である。
図13図13は、第2の実施形態における汚れ度合いの検出処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。
【0019】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る一次元測定機100を示す斜視図である。図2は、第1の実施形態に係る一次元測定機100の内部構造の一部を示す図である。図1および図2において、測定機本体10が載置される定盤50の平面方向で互いに直交する方向をX軸方向およびY軸方向とし、定盤50の上面の法線方向をZ軸方向とする。また、図2において、点線Aより左側は支柱12の内部を示し、点線Aより右側は支柱12の外部を示すとともに、図の明瞭化のためにスケール13にハッチングを付している。一次元測定機100は、スケール13、ヘッド17、および専用の制御部を有する光電式エンコーダを内蔵し、Z軸方向における被測定物の各種寸法(例えば、段差、高さ、穴径等)を測定する。図1に示すように、一次元測定機100は、測定機本体10と、制御部20と、表示部30と、操作部40と、を備える。
【0020】
図1および図2に示すように、測定機本体10は、定盤50の上面に載置されるベース11と、ベース11上に設けられ、Z軸方向に伸びる支柱12と、を備える。支柱12の内部には、Z軸方向に伸びるスケール13が設けられている。支柱12にはガイド14が設けられ、ガイド14によってZ軸方向に移動可能なスライダ15が支柱12に取り付けられている。スライダ15は、ハンドル8またはモータ等の駆動手段によってZ軸方向に移動する。スライダ15には保持手段18によってプローブ16が保持され、プローブ16はスライダ15と共にZ軸方向に移動可能となっている。また、スライダ15には保持手段19によってヘッド17が保持されている。ヘッド17は、スケール13に対向するように支柱12の内部に設けられ、スライダ15と共にZ軸方向に移動することでスケール13に沿ってZ軸方向に移動可能となっている。
【0021】
図3は、第1の実施形態におけるスケール13およびヘッド17を示す断面図である。図3に示すように、スケール13は、Z軸方向に沿って反射率が異なる高反射部60と低反射部61とを一定間隔で交互に有する目盛62を備える。スケール13は、例えば、長尺状のガラススケールであり、ソーダガラス等の基材を用いて低反射部61を形成し、基材上に設けられた金属パターンにより高反射部60を形成している。ヘッド17は、基板63に形成された光源64と、基板65に形成された受光素子66と、を備える。光源64は例えばLED(Light Emitting Diode)光源である。受光素子66は例えばPD(Photodiode)である。
【0022】
光源64は、スケール13の目盛62に向けて光67を出射する。受光素子66は、スケール13の目盛62で反射した光67を受光し、受光した光67の光量変化を電気信号に変換する。受光素子66が出力する電気信号に基づいてスケール13に対するヘッド17の移動量を測定することができ、その結果、被測定物の各種寸法を測定することができる。
【0023】
図1に示すように、一次元測定機100の制御部20は、光電式エンコーダの制御部から取得する信号に基づいて、スケール13の汚れ度合いの検出を行う。表示部30は、制御部20の指示の下、各種情報を表示する。操作部40は、使用者等による入力操作を受け付ける。なお、表示部30は、タッチディスプレイとして構成されることで、操作部40の一部の機能を有していてもよい。
【0024】
図4は、第1の実施形態における光電式エンコーダの制御部90の機能構成および一次元測定機100の制御部20の機能構成を示すブロック図である。図4に示すように、光電式エンコーダの制御部90は、原点検出部91と、信号出力部92と、光量制御部93と、を有する。原点検出部91は、スケール13の原点を検出する。信号出力部92は、受光素子66が出力する電気信号から90°位相が異なる2相正弦波信号(リサージュ信号)を検出して出力する。光量制御部93は、光源64に供給する電流値を増減させることで光源64が出射する光67の光量を増減させ、リサージュ信号が所定の大きさになるように制御する。例えば、一次元測定機100の使用環境によっては、オイルミスト等の異物が支柱12の隙間から内部に侵入してスケール13の表面に汚れとして付着することがある。スケール13の表面が汚れると、受光素子66が受光する光67の強度が低下するため、リサージュ信号の振幅が小さくなることがある。このように、リサージュ信号の振幅の大きさが予め設定された大きさと比較して小さくなる場合、光量制御部93は、光源64に供給する電流値を大きくして光源64が出射する光67の光量を増加させる。なお、反対に、リサージュ信号の振幅の大きさが予め設定された大きさと比較して大きくなる場合では、光量制御部93は、光源64に供給する電流値を小さくして光源64が出射する光67の光量を減少させる。
【0025】
図5(a)および図5(b)は、第1の実施形態における光量制御部93の制御について示すグラフである。図5(a)に示すように、光量制御部93は、スケール13の汚れ度合いが大きいほど光源64に供給する電流値を大きくする。これにより、図5(b)に示すように、スケール13の汚れ度合いが大きくなった場合でも、受光素子66が受光する光67の強度が所定の大きさに保たれるため、リサージュ信号の振幅の大きさを略一定の大きさに保つことができる。
【0026】
しかしながら、スケール13の汚れ度合いが酷く(大きく)なると、光源64に供給する電流値を大きくしても、受光素子66が受光する光67の強度が大きくならず、スケール13の目盛62で反射した光67の光量変化を検出できないことがある。そこで、一次元測定機100の制御部20は、スケール13の目盛62で反射した光67の光量変化が受光素子66で突然検出できなくなることを抑制するために、スケール13の汚れ度合いの検出を行う。
【0027】
図4に示すように、一次元測定機100の制御部20は、移動制御部21と、位置演算部22と、光量情報検出部23と、汚れ検出部24と、を有する。移動制御部21は、一次元測定機100に備わる内蔵モータを駆動してスライダ15を動かすことで、ヘッド17をスケール13のZ軸方向における一端から他端にかけてスケール13に沿って移動させるとともに、光電式エンコーダの制御部90に指示して光源64からスケール13に向かって光67を出射させる。位置演算部22は、移動制御部21がヘッド17をスケール13に沿って移動させているときに、光電式エンコーダの制御部90の原点検出部91が出力した原点情報と信号出力部92が出力したリサージュ信号とからヘッド17のスケール13に対する位置を演算する。光量情報検出部23は、位置演算部22がヘッド17の位置を演算するのに合わせて、光電式エンコーダの制御部90の光量制御部93から光源64に供給した電流値を取得して電流値の大きさを検出し、電流値の大きさとヘッド17のスケール13に対する位置とを関連付ける。汚れ検出部24は、光量情報検出部23が検出した電流値の大きさからスケール13の汚れ度合いを検出する。図5(a)に示したように、スケール13の汚れ度合いによって光源64に供給される電流値の大きさが変わることから、光量情報検出部23が検出した電流値の大きさからスケール13の汚れ度合いを検出することができる。
【0028】
図6は、第1の実施形態において、光源64に供給される電流値とスケール13の汚れ度合いとの関係を示す図である。図6の左側のグラフは、スケール13のZ軸方向の各位置において光源64に供給される電流値を示し、右側の図は、スケール13の汚れ度合いをハッチングの粗密で示している。ハッチングが粗いほど汚れが少なく、ハッチングが細かいほど汚れが多いことを示している。図6に示すように、スケール13の汚れ度合いが大きい箇所ほど、光源64に供給される電流値が大きくなる。したがって、汚れ検出部24は、光量情報検出部23が検出した電流値に基づいてスケール13の汚れ度合いを検出することができる。汚れ検出部24は、検出したスケール13の汚れ度合いに関する情報を表示部30に表示する。
【0029】
図4に示す記憶部70は、汚れ検出部24が検出したスケール13の汚れ度合いに関する情報等、各種情報を記憶する。
【0030】
図7は、第1の実施形態における一次元測定機100のハードウェア構成および光電式エンコーダ110のハードウェア構成を示すブロック図である。図7に示すように、一次元測定機100は、記憶装置71と、メモリ72と、プロセッサ73と、表示装置74と、入力装置75と、インターフェース76と、を有する。これらの各部はバス77により相互に接続される。光電式エンコーダ110は、記憶装置111と、メモリ112と、プロセッサ113と、ヘッド17と、インターフェース114と、を有する。これらの各部はバス115により相互に接続される。
【0031】
記憶装置71および記憶装置111は、フラッシュメモリ等の不揮発性の半導体メモリまたはハードディスクドライブである。一次元測定機100の記憶装置71には、汚れ検出プログラム78が記憶されている。
【0032】
メモリ72およびメモリ112は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等のデータを一時的に記憶するハードウェアである。図4における記憶部70は、記憶装置71とメモリ72によって実現される。
【0033】
プロセッサ73およびプロセッサ113は、一次元測定機100または光電式エンコーダ110の各部を制御するCPU(Central Processing Unit)等のハードウェアである。一次元測定機100のプロセッサ73は、メモリ72と協働して汚れ検出プログラム78を実行する。このように、メモリ72とプロセッサ73とが協働して汚れ検出プログラム78を実行することにより、図4における移動制御部21、位置演算部22、光量情報検出部23、および汚れ検出部24の機能が実現される。
【0034】
表示装置74は、図1および図4における表示部30を実現するためのハードウェアであり、液晶ディスプレイ等の表示デバイスである。
【0035】
入力装置75は、使用者等が一次元測定機100を操作するためのキーボードやタッチパネル等の入力デバイスである。入力装置75により図1における操作部40が実現される。
【0036】
インターフェース76およびインターフェース114は、有線または無線の通信を行うハードウェアである。インターフェース76とインターフェース114との間で通信が行われることで、一次元測定機100と光電式エンコーダ110との間で情報の入出力が行われる。
【0037】
次に、第1の実施形態における汚れ度合いの検出処理の一例について、図8のフローチャートに沿って説明する。図8の処理は、一次元測定機100の制御部20によって実行される。図8に示すように、制御部20の汚れ検出部24は、使用者またはメンテナンス作業者による操作部40の操作に応じて制御部20が汚れ検出プログラム78を起動すると、表示部30にスケール汚れチェック画面を表示させる(ステップS10)。
【0038】
図9(a)および図9(b)は、第1の実施形態において、表示部30に表示されるスケール汚れチェック画面80の一例を示す図である。図9(a)には、汚れ度合いの検出処理が実行される前のスケール汚れチェック画面80が示され、図9(b)には、汚れ度合いの検出処理が実行された後のスケール汚れチェック画面80が示されている。ステップS10において表示部30に表示されるスケール汚れチェック画面80は、図9(a)の汚れ度合いの検出処理が実行される前の画面である。図9(a)に示すように、スケール汚れチェック画面80には、エラー閾値とワーニング閾値が設定されている。ここでは、一例として、エラー閾値は15mA、ワーニング閾値は12mAであるとする。エラー閾値は、スケール13の汚れ度合いが酷く(大きく)、受光素子66がスケール13の目盛62で反射した光67の光量変化を検出することが困難な状態にあるか否か切り分ける閾値である。ワーニング閾値は、スケール13の汚れ度合いが悪くなりつつあり、スケール13の清掃を使用者等に薦めるか否かを切り分ける閾値である。これらの値は、使用者またはメンテナンス作業者が操作部40を操作することで任意に変更可能となっている。なお、エラー閾値は、スケール13およびヘッド17の固有の値であることから、使用者またはメンテナンス作業者による変更はできないようにしてもよい。
【0039】
過去に汚れ度合いの検出処理が実行されている場合には、汚れ度合いの検出処理を実行した日付と、光源64に供給された最大電流値および最大電流値となったスケール13のZ軸方向における座標位置と、が関連付けて表示される。例えば、直近3回分の汚れ度合いの検出処理の結果が表示される。
【0040】
また、スケール汚れチェック画面80には、例えば履歴クリアボタン81、履歴保存ボタン82、グラフ保存ボタン83、実行ボタン84、およびcloseボタン85が表示されている。履歴クリアボタン81は、スケール汚れチェック画面80に実施履歴として表示するために記憶部70に記憶されていた情報を削除するためのボタンである。履歴保存ボタン82は、検出した汚れ度合いに関する情報を記憶部70に記憶させるためのボタンである。グラフ保存ボタン83は、測定した電流値に関するグラフ(図9(b)におけるスケール汚れチェック画面80の右上のグラフ)を記憶部70に記憶させるためのボタンである。実行ボタン84は、汚れ度合いの検出処理を実行させるためのボタンである。closeボタン85は、スケール汚れチェック画面80を閉じるためのボタンである。
【0041】
図8に戻り、使用者またはメンテナンス作業者によって実行ボタン84が選択されると(ステップS12:Yes)、移動制御部21は、ヘッド17をスケール13のZ軸方向における最下端から最上端に向かってスケール13に沿って一定速度で移動させながら、光電式エンコーダの制御部90に指示して光源64からスケール13に向けて光67を出射させる(ステップS14)。制御部90の光量制御部93は、リサージュ信号の振幅の大きさが所定の大きさになるよう、光源64に供給する電流値を制御して光源64から出射される光量を制御する。このため、スケール13の汚れ度合いに応じて光源64に供給される電流値の大きさが変化する。次いで、位置演算部22は光電式エンコーダの原点検出部91から出力された原点情報と信号出力部92から出力されたリサージュ信号とに基づきスケール13に対するヘッド17の位置を求め、光量情報検出部23は各位置において光電式エンコーダの光量制御部93から光源64に供給した電流値を取得して電流値の大きさを検出する(ステップS16)。例えば、光量情報検出部23は、位置演算部22によりヘッド17がスケール13に対して一定のピッチ(例えば1mm)だけZ軸方向に上昇したことが演算されるごとに、光量制御部93から光源64に供給される電流値の大きさを検出する。
【0042】
次いで、汚れ検出部24は、ステップS16で検出された電流値の中にエラー閾値以上の電流値があるか否かを判断する(ステップS18)。エラー閾値以上の電流値がある場合(ステップS18:Yes)、汚れ検出部24は、スケール13の汚れが酷く(大きく)、スケール13を用いた被測定物の寸法測定が困難な状態にあるとして、スケール13の汚れ度合いがエラー状態にあることを検出する(ステップS20)。
【0043】
エラー閾値以上の電流値がなかった場合(ステップS18:No)、汚れ検出部24は、測定した電流値の中にワーニング閾値以上の電流値があるか否かを判断する(ステップS22)。ワーニング閾値以上の電流値がある場合(ステップS22:Yes)、汚れ検出部24は、スケール13の汚れが酷く(大きく)なりつつあるためスケール13の清掃が望ましい状態にあるとして、スケール13の汚れ度合いがワーニング状態にあることを検出する(ステップS24)。
【0044】
ワーニング閾値以上の電流値がなかった場合(ステップS22:No)、汚れ検出部24は、スケール13は正常に使用できる状態にあるとして、スケール13の汚れ度合いは正常状態であることを検出する(ステップS26)。
【0045】
ステップS20、S24、S26の後、汚れ検出部24は、スケール13の汚れ度合いに関する情報を表示部30に表示させ、記憶部70に記憶させる(ステップS28)。例えば、図9(b)に示すように、汚れ検出部24は、スケール汚れチェック画面80におけるスケールの状態の欄に、ステップS20、S24、S26の結果に応じて、「エラー」、「ワーニング」、「正常」のいずれかを表示する。この際に、「エラー」、「ワーニング」、「正常」の文字の背景の色を変えてもよい。例えば、「エラー」を表示する場合には、赤色の背景に「エラー」の文字を重ねて表示し、「ワーニング」を表示する場合には、オレンジ色の背景に「ワーニング」の文字を重ねて表示し、「正常」を表示する場合には、緑色の背景に「正常」の文字を重ねて表示してもよい。また、「エラー」、「ワーニング」、「正常」を他の方法によって表示してもよく、例えば「×」、「△」、「〇」で表示する場合でもよい。汚れ検出部24は、実施履歴の欄に、今回の汚れ度合いの検出を行った日付と、最大電流値および最大電流値を検出したスケール13の座標位置と、を関連付けて表示する。これにより、スケール13の汚れ度合いの傾向からスケール13の清掃が必要になる時期を事前に推測でき、スケール13の目盛62が読み取れずに被測定物の寸法測定が突然できなくなることを抑制できる。また、汚れ検出部24は、スケール汚れチェック画面80の右上のグラフのように、測定した電流値を示すグラフにエラー閾値86とワーニング閾値87とを併記してスケール汚れチェック画面80に表示する。これにより、スケール13のZ軸方向における汚れ度合いを把握することができる。
【0046】
使用者またはメンテナンス作業者が履歴保存ボタン82を選択することで、汚れ検出部24は、今回の汚れ度合いの検出を行った日付と、最大電流値および最大電流値を検出したスケール13の座標位置と、を関連付けて記憶部70に記憶させる。これにより、次回の汚れ度合いの検出処理を行う際にスケール汚れチェック画面80を表示させたときに、実施履歴の欄に今回の検出結果が表示される。また、使用者またはメンテナンス作業者がグラフ保存ボタン83を選択することで、汚れ検出部24は、今回の汚れ度合いの検出を行った日付と、測定した電流値に関するグラフ(スケール汚れチェック画面80の右上のグラフ)と、を関連付けて記憶部70に記憶させる。なお、これらの記憶先は、記憶部70に限られず、一次元測定機100の外部の外付けメモリに記憶させることを選択できてもよい。
【0047】
なお、汚れ度合いの検出処理は、スケール汚れチェック画面80の実行ボタン84が選択されることで開始される場合に限られず、その他の方法によって開始される場合でもよい。例えば、一次元測定機100の主電源をONにして一次元測定機100を起動させた直後に自動的に汚れ度合いの検出処理を実行するようにしてもよい。また、汚れ度合いの検出結果は、スケール汚れチェック画面80に「エラー」、「ワーニング」、「正常」を表示することで通知する場合に限られず、その他の方法によって通知する場合でもよい。図10(a)および図10(b)は、汚れ度合いの他の通知方法を示す図である。図10(a)に示すように、表示部30に「ワーニング」等を通知するポップアップウィンドウ88を表示するようにしてもよいし、表示部30に表示されるステータスバーに「ワーニング」等の汚れ度合いを示すアイコン89を表示するようにしてもよい。アイコン89は、汚れ度合いが改善されるまで常時表示するようにしてもよい。図10(b)に示すように、一次元測定機100の状態を集約して表示部30に表示する画面に、スケール13の汚れ度合いの状態を示す欄を設けて、「ワーニング」等を表示するようにしてもよい。
【0048】
なお、図9(a)のスケール汚れチェック画面80において、過去の直近での電流値に関するグラフを表示するようにしてもよい。これにより、直近の汚れ度合いの検出処理でのスケール13全体の汚れ度合いを容易に把握できる。図9(a)のスケール汚れチェック画面80にグラフを表示している場合、実行ボタン84が選択されて汚れ度合いの検出処理が開始したときにグラフが削除されるようにしてもよい。
【0049】
以上のように、本第1の実施形態によれば、図8のように、光量情報検出部23は、ヘッド17(移動部)がスケール13に沿って移動しながら光源64からスケール13に向かって出射された光67の光量に関する情報である光源64に供給される電流値の大きさを検出する(ステップS16)。汚れ検出部24は、光量情報検出部23が検出した電流値の大きさに基づいてスケール13の汚れ度合いを検出する(ステップS18~S26)。これにより、スケール13の汚れ度合いが検出できるため、スケール13の目盛62で反射した光67の光量変化を受光素子66で突然検出できなくなることが抑制され、一次元測定機100を長時間使用できなくなることを抑制できる。また、受光素子66で光67の光量変化を検出できない原因がスケール13の汚れであることが早期に特定できるため、一次元測定機100を早期に復旧させることができる。
【0050】
また、本第1の実施形態では、光量情報検出部23は、受光素子66が光67の受光量の変化に基づいて出力する電気信号が所定の大きさになるように光源64に供給する電流値を制御する光量制御部93から光源64に供給された電流値を取得して電流値の大きさを検出する。汚れ検出部24は、光量情報検出部23が検出した電流値の大きさに基づいてスケール13の汚れ度合いを検出する。汚れ検出部24は、電流値が大きい場合は小さい場合に比べてスケール13の汚れ度合いが大きいと検出する。図6に示したように、光源64に供給される電流値とスケール13の汚れ度合いとは関係性が高いことから、上記方法によれば、スケール13の汚れ度合いを精度良く検出することができる。また、受光素子66が出力する電気信号が所定の大きさになるように光源64に供給される電流値が制御されている場合、スケール13の汚れ度合いに関わらず、受光素子66が出力する電気信号の大きさは略一定となるため、スケール13の汚れ度合いが把握しにくい。したがって、スケール13の汚れ度合いを検出することが好ましい。
【0051】
また、本第1の実施形態では、汚れ検出部24が検出したスケール13の汚れ度合いに関する情報を表示する表示部30を備える。これにより、使用者等はスケール13の汚れ度合いを視覚的に認識することができるため、スケール13の汚れ度合いを把握しやすくなる。
【0052】
また、本第1の実施形態では、汚れ検出部24は、図9(b)のように、スケール13の汚れ度合いに応じて異なる通知(「エラー」、「ワーニング」、「正常」の表示)を表示部30に表示させる。これにより、使用者等はスケール13の汚れ度合いの緊急性を容易に認識することができる。
【0053】
また、本第1の実施形態では、汚れ検出部24は、図9(b)のように、光67の光量に関する情報である光源64に供給する電流値に基づいてスケール13の汚れ度合いの大きい位置を特定し、特定した位置を示す情報を表示部30に表示させる。これにより、使用者等はスケール13のどの位置において汚れ度合いが大きいかを容易に把握することができる。
【0054】
また、本第1の実施形態では、汚れ検出部24は、図9(b)のように、光67の光量に関する情報である光源64に供給する電流値を示すグラフにスケール13の汚れ度合いに関するエラー閾値86およびワーニング閾値87を併記して表示部30に表示させる。これにより、使用者等はスケール13全体における汚れ度合いを視覚的に把握することができる。なお、上記第1の実施形態では、エラー閾値86とワーニング閾値87の2つの閾値を用いたが、閾値の数は1つの場合でもよいし、3つ以上の場合でもよい。
【0055】
また、本第1の実施形態では、スケール13の汚れ度合いの検出を実施した日付と、スケール13の汚れ度合いに関する情報と、を関連付けて記憶する記憶部70を備える。これにより、使用者等はスケール13の汚れ度合いの進み具合を過去に遡りながら把握することができる。
【0056】
(第2の実施形態)
上記第1の実施形態では、スケール13の汚れ度合いを検出する際、光量制御部93は、スケール13の汚れ度合いに応じて光源64に供給する電流値を変化させていたが、本第2の実施形態では、スケール13の汚れ度合いに関わらず、光源64に供給する電流値を略一定にする場合を示す。また、本第2の実施形態では、光量情報検出部23は、光電式エンコーダの信号出力部92からリサージュ信号を取得してリサージュ信号の大きさを検出し、リサージュ信号の大きさとヘッド17のスケール13に対する位置とを関連付ける。
【0057】
図11(a)および図11(b)は、第2の実施形態における光量制御部93の制御について示すグラフである。図11(a)に示すように、光量制御部93は、スケール13の汚れ度合いを検出する際、スケール13の汚れ度合いに関わらず、光源64に供給する電流値を略一定とする。スケール13の汚れ度合いが大きくなると受光素子66が受光する光67の強度が低下することから、図11(b)に示すように、スケール13の汚れ度合いが大きいほどリサージュ信号の振幅が小さくなる。
【0058】
図12は、第2の実施形態において、リサージュ信号の大きさとスケール13の汚れ度合いとの関係を示す図である。図12の左側のグラフは、スケール13のZ軸方向の各位置におけるリサージュ信号の振幅の大きさを示し、右側の図は、スケール13の汚れ度合いをハッチングの粗密で示している。図12に示すように、スケール13の汚れ度合いが大きい箇所ほど、受光素子66が受光する光67の強度が低下することから、リサージュ信号の振幅が小さくなる。したがって、汚れ検出部24は、光量情報検出部23が検出したリサージュ信号の振幅の大きさに基づいてスケール13の汚れ度合いを検出することができる。
【0059】
第2の実施形態における汚れ度合いの検出処理の一例について、図13のフローチャートに沿って説明する。図13の処理は、図8の処理と同様に制御部20によって実行される。図13に示すように、制御部20は、図8のステップS10、S12と同じ処理であるステップS40、S42を実行する。
【0060】
次いで、移動制御部21は、ヘッド17をスケール13のZ軸方向における最下端から最上端に向かってスケール13に沿って一定速度で移動させながら、光電式エンコーダの制御部90に指示して光源64からスケール13に向けて光67を出射させる(ステップS44)。このとき、制御部90の光量制御部93は、光源64に供給する電流値の大きさを略一定とする。次いで、位置演算部22は光電式エンコーダの制御部90から出力された原点情報とリサージュ信号とに基づきスケール13に対するヘッド17の位置を求め、光量情報検出部23は各位置において光電式エンコーダの制御部90からリサージュ信号を取得してリサージュ信号の振幅の大きさを検出する(ステップS46)。
【0061】
次いで、汚れ検出部24は、ステップS46で検出されたリサージュ信号の振幅の大きさの中にエラー閾値以下の大きさがあるか否かを判断する(ステップS48)。エラー閾値以下の大きさがある場合(ステップS48:Yes)、汚れ検出部24は、スケール13の汚れ度合いがエラー状態にあることを検出する(ステップS50)。
【0062】
エラー閾値以下の大きさがなかった場合(ステップS48:No)、汚れ検出部24は、測定したリサージュ信号の振幅の大きさの中にワーニング閾値以下の大きさがあるか否かを判断する(ステップS52)。ワーニング閾値以下の大きさがある場合(ステップS52:Yes)、汚れ検出部24は、スケール13の汚れ度合いがワーニング状態にあることを検出する(ステップS54)。
【0063】
ワーニング閾値以下の大きさがなかった場合(ステップS52:No)、汚れ検出部24は、スケール13の汚れ度合いは正常状態にあることを検出する(ステップS56)。
【0064】
ステップS50、S54、S56の後、汚れ検出部24は、スケール13の汚れ度合いに関する情報を表示部30に表示させ、記憶部70に記憶させる(ステップS58)。
【0065】
以上のように、本第2の実施形態によれば、上記第1の実施形態と同様、図13のように、光量情報検出部23は、ヘッド17がスケール13に沿って移動しながら光源64からスケール13に向かって出射された光67の光量に関する情報であるリサージュ信号の大きさを検出する(ステップS46)。汚れ検出部24は、光量情報検出部23が検出したリサージュ信号の大きさに基づいてスケール13の汚れ度合いを検出する(ステップS48~S56)。これにより、スケール13の汚れ度合いが検出できるため、スケール13の目盛62で反射した光67の光量変化を受光素子66で検出することが突然できなくなることが抑制され、一次元測定機を長時間使用できなくなることが抑制される。また、受光素子66で光67の光量変化を検出できない原因がスケール13の汚れであることが早期に特定できるため、一次元測定機を早期に復旧させることができる。
【0066】
また、本第2の実施形態では、光量情報検出部23は、光源64に供給される電流値が略一定であるときに受光素子66が光67の受光量の変化に基づいて出力する電気信号(リサージュ信号)の大きさを検出する。汚れ検出部24は、光量情報検出部23が検出したリサージュ信号の大きさに基づいてスケール13の汚れ度合いを検出する。汚れ検出部24は、リサージュ信号の大きさが小さい場合は大きい場合に比べてスケール13の汚れ度合いが大きいと検出する。図12に示したように、リサージュ信号の大きさとスケール13の汚れ度合いとは関係性が高いことから、上記方法によれば、スケール13の汚れ度合いを精度良く検出することができる。光源64に供給される電流値が略一定とは、スケール13の汚れ度合いが大きくなるに連れて受光素子66が出力する電気信号の大きさが小さくなる関係が維持される程度に電流値が一定の場合である。
【0067】
なお、上記第1および第2の実施形態で説明した処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、処理装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体(ただし、搬送波は除く)に記録しておくことができる。
【0068】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD(Digital Versatile Disc)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の可搬型記録媒体の形態で販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0069】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0070】
なお、上記第1および第2の実施形態では一次元測定機を示しているが、一次元測定機以外の光電式エンコーダを備えた測定機、例えば三次元測定機にも適用可能である。
【0071】
以上、本願発明の実施形態について詳述したが、本願発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本願発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0072】
10 測定機本体
11 ベース
12 支柱
13 スケール
14 ガイド
15 スライダ
16 プローブ
17 ヘッド
20 制御部
21 移動制御部
22 位置演算部
23 光量情報検出部
24 汚れ検出部
30 表示部
40 操作部
60 高反射部
61 低反射部
62 目盛
64 光源
66 受光素子
70 記憶部
78 汚れ検出プログラム
80 スケール汚れチェック画面
90 制御部
91 原点検出部
92 信号出力部
93 光量制御部
100 一次元測定機
110 光電式エンコーダ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13