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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037538
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】貼付装置及び貼付方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 37/00 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
B32B37/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142457
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂▲崎▼ 良樹
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AB11A
4F100AG00A
4F100AK42B
4F100AT00A
4F100AT00B
4F100BA02
4F100BA07
4F100CB00B
4F100CB05B
4F100EJ42
4F100EK03A
4F100EK04B
4F100EK06
4F100GB41
4F100JL13B
(57)【要約】
【課題】基板の他方の面の機能の低下を防ぎながら、基板の一方の面に貼付部材を貼付けることができる貼付装置及び貼付方法を提供する。
【解決手段】貼付装置100は、第1搬送部10とローラ30とを備え、ローラ30の回転軸30Aの延びる方向に見た状態にて、回転軸30Aを通り且つ第1搬送部10の第1搬送面10Sに垂直な仮想線L1とローラ30の外周縁との交点のうち上側のものを天頂部30Uとし、第1搬送面10Sの延長線10SLが、天頂部30Uと回転軸30Aを結ぶ線分における天頂部30Uと回転軸30Aを除く部分と交差し、貼付部材2が第1搬送部10とローラ30の間を通ってローラ30に載置された状態で、第1搬送部10による基板1の搬送が行われ、基板1の裏面1Bが貼付部材2及びローラ30に接触して、裏面1Bに貼付部材2が貼付けられる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の一方の面に貼付部材を貼り付ける貼付装置であって、
前記基板を搬送する第1搬送部と、
前記第1搬送部に対して前記基板の搬送方向の下流側に配置された、前記搬送方向に交差する方向に延びる回転軸を有する回転体と、を備え、
前記回転体の回転軸の延びる方向に見た状態にて、前記回転軸を通り且つ前記第1搬送部の第1搬送面に垂直な仮想線と、前記回転体の外周縁との交点のうち、前記回転軸よりも鉛直方向側とは反対側にあるものを第1天頂部とし、
前記回転体の回転軸の延びる方向に見た状態にて、前記第1搬送面の延長線が、前記第1天頂部と前記回転軸を結ぶ線分における前記第1天頂部と前記回転軸を除く部分と交差し、
前記貼付部材が前記第1搬送部と前記回転体の間を通って前記回転体の外周面上に載置された状態で、前記第1搬送部による前記基板の搬送が行われ、前記基板の前記一方の面が前記貼付部材及び前記回転体に接触して、前記一方の面に前記貼付部材が貼付けられる、貼付装置。
【請求項2】
請求項1に記載の貼付装置であって、
前記第1搬送部は、前記基板の前記一方の面と当接した状態で前記基板を搬送する、貼付装置。
【請求項3】
請求項1に記載の貼付装置であって、
前記貼付部材の一端部は、前記基板が前記貼付部材及び前記回転体に接触する前の状態において、前記第1搬送面の延長線と前記回転体との交点のうちの前記第1搬送部側の交点、よりも前記第1搬送部の搬送方向の下流側に配置され、
前記第1搬送部により搬送された前記基板の搬送方向下流側の端部が、前記貼付部材及び前記回転体に接触したことを契機として、前記貼付部材の前記一端部を、前記第1搬送部の搬送方向の下流側に引っ張って前記貼付部材を移動させる駆動部を更に備える、貼付装置。
【請求項4】
請求項3に記載の貼付装置であって、
前記第1搬送部は、前記基板における搬送方向の上流側の端部を押して、前記基板を搬送する、貼付装置。
【請求項5】
請求項1に記載の貼付装置であって、
前記貼付部材が前記回転体の外周面上に載置された状態にて、前記回転軸の延びる方向における前記貼付部材の中央部が、前記方向における前記貼付部材の両端部よりも前記回転体の外周面から離れる状態を形成する、形状制御部を更に備える、貼付装置。
【請求項6】
請求項1に記載の貼付装置であって、
前記基板が前記貼付部材及び前記回転体に接触している状態において、前記基板の他方の面には前記貼付装置を構成する物体が非接触となっている、貼付装置。
【請求項7】
請求項1に記載の貼付装置であって、
前記回転体の前記第1搬送部側と反対側の隣に配置された、前記基板を搬送する第2搬送部を更に備える、貼付装置。
【請求項8】
請求項7に記載の貼付装置であって、
前記回転体の回転軸の延びる方向に見た状態にて、前記回転軸を通り且つ前記第2搬送部の第2搬送面に垂直な仮想線と、前記回転体の外周縁との交点のうち、前記回転軸よりも鉛直方向側とは反対側にあるものを第2天頂部とし、前記回転軸よりも鉛直方向側にあるものを天底部とし、
前記回転体の回転軸の延びる方向に見た状態にて、前記第2搬送面の延長線は、前記第2天頂部と交差する又は前記第2天頂部よりも前記天底部側に位置する、貼付装置。
【請求項9】
基板を搬送可能な第1搬送部に対して前記基板の搬送方向の下流側に配置された前記搬送方向に交差する方向に延びる回転軸を有する回転体の外周面に、前記第1搬送部と前記回転体の間を通して、貼付部材の一部を載置する第1工程と、
前記第1搬送部によって前記基板を搬送して、前記基板を、前記貼付部材及び前記回転体に接触させて、前記基板を前記回転体に乗り上げさせ、前記基板の自重により、前記基板の一方の面に前記貼付部材を貼付ける第2工程と、を備える、貼付方法。
【請求項10】
請求項9に記載の貼付方法であって、
前記回転体の回転軸の延びる方向に見た状態にて、前記回転軸を通り且つ前記第1搬送部の第1搬送面に垂直な仮想線と、前記回転体の外周縁との交点のうち、前記回転軸よりも鉛直方向側とは反対側にあるものを第1天頂部とし、
前記回転体の回転軸の延びる方向に見た状態にて、前記第1搬送面の延長線が、前記第1天頂部と前記回転軸を結ぶ線分における前記第1天頂部と前記回転軸を除く部分と交差する位置に、前記回転体を配置する、貼付方法。
【請求項11】
請求項9に記載の貼付方法であって、
前記第1工程では、前記第1搬送部の第1搬送面の延長線と前記回転体との交点のうちの前記第1搬送部側の交点よりも、前記第1搬送部の搬送方向の下流側に、前記貼付部材の一端部を配置する、貼付方法。
【請求項12】
請求項11に記載の貼付方法であって、
前記基板の搬送方向の下流側の端部が前記貼付部材及び前記回転体に接触したことを契機として、前記貼付部材の前記一端部を、前記第1搬送部による搬送方向の下流側に引っ張る第3工程を更に備える、貼付方法。
【請求項13】
請求項12に記載の貼付方法であって、
前記第3工程を開始した後に、前記第1搬送部による前記基板の搬送を停止する、貼付方法。
【請求項14】
請求項9に記載の貼付方法であって、
前記第1工程では、前記基板の前記搬送方向に直交する方向の幅よりも狭い幅を持つ前記貼付部材を前記回転体の外周面に載置する、貼付方法。
【請求項15】
請求項14に記載の貼付方法であって、
前記第2工程では、前記基板の搬送方向の上流側の端部を押して、前記基板を搬送する、貼付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貼付装置及び貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、柔軟性及び通気性を有する多孔質性シートと、真空吸引により多孔質性シートを介して機能性フイルムを保持する保持面を有する保持装置と、多孔質性シート上から機能性フイルムを被貼付面に対して押圧しつつ移動するローラとを用い、粘着剤層を一方の面に有する機能性フイルムを粘着剤層によって被貼付面の一端から他端にまで貼付けする方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-20110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板の一方の面と他方の面のうちの一方の面に貼付部材を貼り付ける際、他方の面の機能の低下を防ぎながら、この作業を行う状況が発生し得る。特許文献1では、このような状況を考慮していない。
【0005】
本開示の目的は、基板の一方の面と他方の面のうち他方の面の機能の低下を防ぎながら、一方の面に貼付部材を貼付けることができる貼付装置及び貼付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の技術は以下に示すものである。
【0007】
(1)
基板の一方の面に貼付部材を貼り付ける貼付装置であって、
上記基板を搬送する第1搬送部と、
上記第1搬送部に対して上記基板の搬送方向の下流側に配置された、上記搬送方向に交差する方向に延びる回転軸を有する回転体と、を備え、
上記回転体の回転軸の延びる方向に見た状態にて、上記回転軸を通り且つ上記第1搬送部の第1搬送面に垂直な仮想線と、上記回転体の外周縁との交点のうち、上記回転軸よりも鉛直方向側とは反対側にあるものを第1天頂部とし、
上記回転体の回転軸の延びる方向に見た状態にて、上記第1搬送面の延長線が、上記第1天頂部と上記回転軸を結ぶ線分における上記第1天頂部と上記回転軸を除く部分と交差し、
上記貼付部材が上記第1搬送部と上記回転体の間を通って上記回転体の外周面上に載置された状態で、上記第1搬送部による上記基板の搬送が行われ、上記基板の上記一方の面が上記貼付部材及び上記回転体に接触して、上記一方の面に上記貼付部材が貼付けられる、貼付装置。
【0008】
(2)
(1)に記載の貼付装置であって、
上記第1搬送部は、上記基板の上記一方の面と当接した状態で上記基板を搬送する、貼付装置。
【0009】
(3)
(1)又は(2)に記載の貼付装置であって、
上記貼付部材の一端部は、上記基板が上記貼付部材及び上記回転体に接触する前の状態において、上記第1搬送面の延長線と上記回転体との交点のうちの上記第1搬送部側の交点、よりも上記第1搬送部の搬送方向の下流側に配置され、
上記第1搬送部により搬送された上記基板の搬送方向下流側の端部が、上記貼付部材及び上記回転体に接触したことを契機として、上記貼付部材の上記一端部を、上記第1搬送部の搬送方向の下流側に引っ張って上記貼付部材を移動させる駆動部を更に備える、貼付装置。
【0010】
(4)
(1)から(3)のいずれかに記載の貼付装置であって、
上記第1搬送部は、上記基板における搬送方向の上流側の端部を押して、上記基板を搬送する、貼付装置。
【0011】
(5)
(1)から(4)のいずれかに記載の貼付装置であって、
上記貼付部材が上記回転体の外周面上に載置された状態にて、上記回転軸の延びる方向における上記貼付部材の中央部が、上記方向における上記貼付部材の両端部よりも上記回転体の外周面から離れる状態を形成する、形状制御部を更に備える、貼付装置。
【0012】
(6)
(1)から(5)のいずれかに記載の貼付装置であって、
上記基板が上記貼付部材及び上記回転体に接触している状態において、上記基板の他方の面には上記貼付装置を構成する物体が非接触となっている、貼付装置。
【0013】
(7)
(1)から(6)のいずれかに記載の貼付装置であって、
上記回転体の上記第1搬送部側と反対側の隣に配置された、上記基板を搬送する第2搬送部を更に備える、貼付装置。
【0014】
(8)
(7)に記載の貼付装置であって、
上記回転体の回転軸の延びる方向に見た状態にて、上記回転軸を通り且つ上記第2搬送部の第2搬送面に垂直な仮想線と、上記回転体の外周縁との交点のうち、上記回転軸よりも鉛直方向側とは反対側にあるものを第2天頂部とし、上記回転軸よりも鉛直方向側にあるものを天底部とし、
上記回転体の回転軸の延びる方向に見た状態にて、上記第2搬送面の延長線は、上記第2天頂部と交差する又は上記第2天頂部よりも上記天底部側に位置する、貼付装置。
【0015】
(9)
基板を搬送可能な第1搬送部に対して上記基板の搬送方向の下流側に配置された上記搬送方向に交差する方向に延びる回転軸を有する回転体の外周面に、上記第1搬送部と上記回転体の間を通して、貼付部材の一部を載置する第1工程と、
上記第1搬送部によって上記基板を搬送して、上記基板を、上記貼付部材及び上記回転体に接触させて、上記基板を上記回転体に乗り上げさせ、上記基板の自重により、上記基板の一方の面に上記貼付部材を貼付ける第2工程と、を備える、貼付方法。
【0016】
(10)
(9)に記載の貼付方法であって、
上記回転体の回転軸の延びる方向に見た状態にて、上記回転軸を通り且つ上記第1搬送部の第1搬送面に垂直な仮想線と、上記回転体の外周縁との交点のうち、上記回転軸よりも鉛直方向側とは反対側にあるものを第1天頂部とし、
上記回転体の回転軸の延びる方向に見た状態にて、上記第1搬送面の延長線が、上記第1天頂部と上記回転軸を結ぶ線分における上記第1天頂部と上記回転軸を除く部分と交差する位置に、上記回転体を配置する、貼付方法。
【0017】
(11)
(9)又は(10)に記載の貼付方法であって、
上記第1工程では、上記第1搬送部の第1搬送面の延長線と上記回転体との交点のうちの上記第1搬送部側の交点よりも、上記第1搬送部の搬送方向の下流側に、上記貼付部材の一端部を配置する、貼付方法。
【0018】
(12)
(11)に記載の貼付方法であって、
上記基板の搬送方向の下流側の端部が上記貼付部材及び上記回転体に接触したことを契機として、上記貼付部材の上記一端部を、上記第1搬送部による搬送方向の下流側に引っ張る第3工程を更に備える、貼付方法。
【0019】
(13)
(12)に記載の貼付方法であって、
上記第3工程を開始した後に、上記第1搬送部による上記基板の搬送を停止する、貼付方法。
【0020】
(14)
(9)から(13)のいずれかに記載の貼付方法であって、
上記第1工程では、上記基板の上記搬送方向に直交する方向の幅よりも狭い幅を持つ上記貼付部材を上記回転体の外周面に載置する、貼付方法。
【0021】
(15)
(9)から(14)のいずれかに記載の貼付方法であって、
上記第2工程では、上記基板の搬送方向の上流側の端部を押して、上記基板を搬送する、貼付方法。
【発明の効果】
【0022】
本開示の技術によれば、基板の他方の面の機能の低下を防ぎながら、基板の一方の面に貼付部材を貼付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本開示の技術に係る貼付装置100を鉛直方向(重力のかかる方向)に見た状態を示す平面模式図である。
図2図1に示す貼付装置100の側面図である。
図3図1に示す貼付装置100による貼付け動作の開始時の状態を示す模式図である。
図4図2の部分拡大図であり、第1搬送面10Sと第2搬送面20Sとローラ30との位置関係を説明するための図である。
図5】貼付装置100の動作を説明するための状態遷移図である。
図6】貼付装置100の好ましい構成を示す平面模式図である。
図7】貼付装置100の第一変形例である貼付装置100Aの平面模式図である。
図8図7に示す貼付装置100Aを左右方向Yに見た側面図である。
図9図7及び図8に示す貼付装置100Aの動作を説明するための状態遷移図である。
図10】貼付装置100の第二変形例である貼付装置100Bの平面模式図である。
図11図10のA-A矢視の断面模式図である。
図12図10のB-B矢視の断面模式図である。
図13】第1搬送面10Sと第2搬送面20Sとローラ30との位置関係の第一変形例を説明するための図であり、図4に対応する図である。
図14】第1搬送面10Sと第2搬送面20Sとローラ30との位置関係の第二変形例を説明するための図であり、図4に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本開示の技術に係る貼付装置100を鉛直方向(重力のかかる方向)に見た状態を示す平面模式図である。図2は、図1に示す貼付装置100の側面図である。図3は、図1に示す貼付装置100による貼付け動作の開始時の状態を示す模式図である。
【0025】
図1及び図2では、鉛直方向を下方向Z1と記載し、下方向Z1の反対方向を上方向Z2と記載し、下方向Z1と上方向Z2を合わせて上下方向Zと記載している。また、上下方向Zに垂直な平面に沿う2方向であって、互いに交差する2方向のうちの一方を前後方向Xと記載し、その2方向のうちの他方を左右方向Yと記載している。図1及び図2の例では、前後方向Xと左右方向Yは直交している。また、前後方向Xの一方の方向を前方向X1と記載し、前方向X1の反対方向を後方向X2と記載している。
【0026】
貼付装置100は、図2に示すような表面1Aと表面1Aの反対面である裏面1Bとを有する基板1の裏面1Bに、貼付部材2を貼付ける処理を行う装置である。基板1は、例えば半導体基板又はガラス基板等で構成されており、表面1Aに、配線パターン、半導体素子、又はカラーフィルタ等の光学部材、等の各種部材が形成されるものである。
【0027】
このような各種部材を表面1Aに形成する過程では、裏面1B側から加熱を行いながら表面1Aに機能膜を成膜したり、チャンバー等で基板1を減圧しながら表面1Aに機能膜を成膜したり、といった処理が行われる。これらの処理を行う際には、裏面1Bを保護したり、裏面1Bに遮光性能を付与したりすることが求められる場合がある。貼付装置100は、裏面1Bを保護したり、裏面1Bに光学性能を付与したりするために、保護シート又は遮光シート等の貼付部材を裏面1Bに貼付ける際に用いられる。このような貼付部材の裏面1Bへの貼付けは、表面1Aに形成された機能膜に物理的に接触することなく(機能膜の機能品質を低下させることなく)行うことが求められる。貼付装置100では、表面1Aに形成された機能膜の機能低下を防ぎながら、裏面1Bに貼付部材を貼付けることができるように構成されている。
【0028】
貼付装置100は、基板1を前方向X1に搬送する第1搬送部10と、第1搬送部10に対して前方向X1側(第1搬送部10による基板1の搬送方向の下流側)に配置されたローラ30と、ローラ30の第1搬送部10側とは反対側の隣に配置され、裏面1Bに貼付部材2が貼付けられた状態の基板1を前方向X1に搬送する第2搬送部20と、貼付部材2を待機させるための待機部40と、を備える。
【0029】
第1搬送部10は、前後方向Xに配列された複数(本形態では3つ)の搬送ローラ11を備える。搬送ローラ11は、その軸方向が左右方向Yと一致する状態で配置されている。第1搬送部10を構成する各搬送ローラ11の上端縁を含む平面が、第1搬送部10の第1搬送面10S(図2参照)を構成している。図2の例では、第1搬送面10Sは、上下方向Zに垂直となっている。基板1は、裏面1Bが第1搬送面10Sと対面する状態で各搬送ローラ11の上に載置されて、第1搬送部10によって前方向X1へと搬送される。換言すると、第1搬送部10は、基板1の裏面1Bと当接した状態で基板1を搬送する。
【0030】
各搬送ローラ11は、図示省略のモータ等のアクチュエータによって回転駆動される駆動ローラであってもよいし、従動ローラであってもよい。なお、第1搬送部10は、ベルトコンベヤで構成されていてもよい。第1搬送部10がベルトコンベヤで構成される場合には、ベルトの上端面が第1搬送面10Sを構成する。
【0031】
第2搬送部20は、前後方向Xに配列された複数(本形態では3つ)の搬送ローラ21を備える。搬送ローラ21は、その軸方向が左右方向Yと一致する状態で配置されている。第2搬送部20を構成する各搬送ローラ21の上端縁を含む平面が、第2搬送部20の第2搬送面20S(図2参照)を構成している。図2の例では、第2搬送面20Sは、上下方向Zに垂直となっている。基板1は、裏面1Bが第2搬送面20Sと対面する状態で各搬送ローラ21の上に載置されて、第2搬送部20によって前方向X1へと搬送される。換言すると、第2搬送部20は、貼付部材2が貼付けられた裏面1Bと当接した状態で基板1を搬送する。
【0032】
各搬送ローラ21は、駆動ローラであってもよいし、従動ローラであってもよい。なお、第2搬送部20は、ベルトコンベヤで構成されていてもよい。第2搬送部20がベルトコンベヤで構成される場合には、ベルトの上端面が第2搬送面20Sを構成する。図2の例では、第1搬送面10Sは、第2搬送面20Sよりも下側(下方向Z1側)に位置している。
【0033】
ローラ30は、第1搬送部10と第2搬送部20の間に配置されており、第1搬送部10による基板1の搬送方向に交差する方向に延びる回転軸30Aを有する円柱状又は円筒状の回転体である。本形態では、回転軸30Aの延びる方向(ローラ30の軸方向)は、左右方向Yと一致している。すなわち、図2は、回転軸30Aの延びる方向に貼付装置100を見た状態を示している。
【0034】
待機部40は、第1搬送部10の下方に配置されており、貼付部材2が載置可能な板状の載置部41と、貼付部材2が下方に落下するのを防ぐために載置部41の後端から上側に突出した板状の突出部42と、を備える。図3に示すように、貼付部材2は、その一端部がローラ30の外表面に載置され、その他端部が載置部41に載置されることで、待機部40に待機した待機状態となる。この待機状態では、貼付部材2の一部(前端部)は、第1搬送部10とローラ30の間を通って、この間を下側から上側に引き出された状態で、ローラ30の外表面に載置される。
【0035】
貼付部材2は、基板1の裏面1Bと同等の平面積又は裏面1Bよりも小さな平面積を有したシート状の部材である。貼付部材2は、一例として、自己粘着性を持つシートで構成されており、一方の面が粘着面2Aを構成している。貼付部材2は、粘着面2Aがローラ30の外表面側とは反対側に向く状態で待機部40にて待機する。貼付部材2を、自己粘着性を持つシートとすることで、基板1に対する必要な処理を行った後に、基板1から貼付部材2を容易に剥がすことができる。なお、貼付部材2の粘着面2Aは、接着剤が塗布された接着面に置き換えられてもよい。貼付部材2は、一例として、PET(ポリエチレンテレフタレート)を基材とするものを用いることができる。
【0036】
図4は、図2の部分拡大図であり、第1搬送面10Sと第2搬送面20Sとローラ30との位置関係を説明するための図である。図4には、第1搬送面10Sの延長線10SLと、第2搬送面20Sの延長線20SLと、回転軸30Aを通り且つ第1搬送面10Sに垂直な仮想線L1と、が示されている。仮想線L1は、回転軸30Aを通り且つ第2搬送面20Sに垂直な仮想線ということもできる。
【0037】
図4には、仮想線L1とローラ30の外周縁との交点のうち、回転軸30Aよりも上側にあるものが天頂部30Uとして示され、回転軸30Aよりも下側にあるものが天底部30Dとして示されている。また、図4には、延長線10SLとローラ30の外周縁との交点のうち、第1搬送部10側のものが交点P1として示されている。
【0038】
天頂部30Uは、第1天頂部を構成している。なお、天頂部30Uは、回転軸30Aを通り且つ第2搬送面20Sに垂直な仮想線とローラ30の外周縁との交点のうち、回転軸30Aよりも上側にある第2天頂部を構成してもいる。
【0039】
天底部30Dは、回転軸30Aを通り且つ第2搬送面20Sに垂直な仮想線とローラ30の外周縁との交点のうち、回転軸30Aよりも下側にある天底部を構成してもいる。
【0040】
第1搬送部10とローラ30は、延長線10SLが、天頂部30Uと回転軸30Aを結ぶ線分(仮想線L1のうちの天頂部30Uから回転軸30Aまでの部分)における天頂部30Uと回転軸30Aを除く部分と交差する状態にて、配置されている。図4の例では、第1搬送部10とローラ30は、延長線10SLが天頂部30Uと回転軸30Aとの中間付近にて交差する状態にて配置されている。また、第2搬送部20とローラ30は、延長線20SLが、天頂部30Uと交差する状態にて配置されている。
【0041】
なお、第2搬送部20とローラ30は、延長線20SLが、天頂部30Uよりも天底部30D側に位置する状態にて配置されていてもよい。例えば、延長線20SLが、天頂部30Uと回転軸30Aの間に位置したり、天底部30Dと回転軸30Aの間に位置していたり、してもよい。
【0042】
図3に示した待機状態にある貼付部材2の前端部は、第1搬送面10Sの延長線10SLとローラ30との交点P1よりも、前方向X1側(第1搬送部10の搬送方向の下流側)に配置される。例えば、図4において破線で示した貼付部材2のように、待機状態にある貼付部材2の前端部は、ローラ30の外表面のうち、天頂部30Uと交点P1の間の領域に配置される。待機状態にある貼付部材2の前端部は、ローラ30の外表面のうち、図4に示した天頂部30Uよりも前側の領域に配置されてもよい。
【0043】
次に、以上のように構成された貼付装置100の動作について説明する。図5は、貼付装置100の動作を説明するための状態遷移図である。
【0044】
まず、図3に示すように、貼付部材2が待機部40にて待機している状態で、第1搬送部10の各搬送ローラ11の上に基板1が載置される。そして、第1搬送部10によって基板1の搬送が開始される。第1搬送部10による基板1の搬送は、各搬送ローラ11を駆動することで行ってもよいし、各搬送ローラ11を従動ローラとし、基板1の後端部1Rの後端面を図示省略の押圧部材等で前方向X1に向かって押し出すことで行ってもよい。
【0045】
第1搬送部10による基板1の搬送が進むと、図5の状態ST1にて示されるように、基板1の裏面1Bのうちの前端縁が、ローラ30の外周面上に載置されている貼付部材2及びローラ30に接触する。この接触位置は、回転軸30Aよりも上側である。このため、この接触により、基板1からの力を受けたローラ30は図中の時計回りに回転する。本形態では、第1搬送面10Sの延長線10SLよりも上側にローラ30の一部が存在するため、上記の接触の後も搬送が継続されることで、図5の状態ST2にて示されるように、基板1は、貼付部材2越しにローラ30に乗り上げた状態となる。状態ST2では、基板1の前端部1Fとローラ30とで貼付部材2が挟まれた形となり、基板1の自重によって、前端部1Fの裏面1Bが貼付部材2の粘着面2Aに押圧されて、裏面1Bに貼付部材2が貼付けられる。
【0046】
状態ST2から更に基板1の搬送が進むことで、ローラ30は時計回りに回転し、基板1及び貼付部材2が前方向X1に送られることで、裏面1Bには、順次、貼付部材2が貼付けられていく。最終的には、図5の状態ST3にて示されるように、裏面1Bの必要範囲の全てに貼付部材2が貼り付けられる。
【0047】
なお、ローラ30を駆動ローラとし、状態ST1にて示されるように、基板1がローラ30及び貼付部材2に接触したタイミングで、ローラ30を回転駆動してもよい。このようにすることで、第1搬送部10から第2搬送部20への基板1の受け渡しを補助できる。
【0048】
ローラ30を乗り越えた後の基板1は、裏面1Bに貼付部材2が貼付けられた状態で、搬送ローラ21の上に載置されて、第2搬送部20によって所望の位置まで搬送される。第2搬送部20による基板1の搬送は、各搬送ローラ21を駆動することで行ってもよいし、各搬送ローラ21を従動ローラとし、基板1の後端部1Rを図示省略の押圧部材等で前方向X1に向かって押し出すことで行ってもよい。
【0049】
貼付装置100では、図3に示す状態で基板1の搬送が開始されてから、図5に示す状態ST3に至るまでの過程において、貼付装置100を構成する物体が基板1の表面1Aに非接触の状態が維持される。例えば、ローラ30の上方には、基板1に圧力を加えるための対向ローラ等の物体は存在していない。これは、貼付装置100では、前述したように、基板1の自重を利用して、基板1の裏面1Bに貼付部材2を貼付けることができるためである。
【0050】
このように、貼付装置100によれば、基板1の表面1Aに物体を接触させることなく、基板1の裏面1Bに貼付部材2を貼付けることができる。したがって、基板1の表面1Aに形成された機能膜の機能低下を防ぎつつ、保護シート又は遮光シート等の必要な機能を持つ貼付部材2を、基板1の裏面1Bに貼付けることができる。貼付装置100によれば、第1搬送部10とローラ30と第2搬送部20だけで、基板1に貼付部材2の貼付けが可能なため、装置の製造コストを下げることができる。また、対向ローラ等は不要なため、貼付装置100の上下方向の高さを低くできる。
【0051】
また、本形態の貼付装置100では、延長線20SLが天頂部30Uと交差しているため、基板1がローラ30を乗り越えて第2搬送部20の第2搬送面20Sに移動する際に、基板1に加わる衝撃を最小限とすることができる。これにより、基板1の表面1Aの機能低下をより防ぐことができる。なお、延長線20SLは、天頂部30Uと同じ位置かそれよりも下にあればよいが、上記の衝撃緩和の観点からは、延長線20SLが、天頂部30Uから回転軸30Aまでの間に位置していることが好ましい。
【0052】
ローラ30は、基板1と接触した際の基板1への衝撃を緩和するために、少なくとも外周面がゴム等の弾性体で構成されていることが好ましい。また、第1搬送部10による基板1の搬送は、基板1をローラ30にスムーズに乗り上げさせることを考慮すると、基板1の後端を押圧部材によって前方向X1に押し出す方法を採用することが好ましい。
【0053】
一例として、貼付部材2を厚み20μm以上(好ましくは100μm以上)のPET基材を持つ自己粘着シートとし、基板1を厚み0.5mm以上1.1mmの無アルカリガラス基板とし、上下方向Zにおける延長線10SLと天頂部30Uとの距離を2mm以上且つローラ30の半径未満とし、ローラ30の径をφ10mm以上80mm以下とし、ローラ30をショア硬度90A以下の弾性体で構成し、基板1の後端を押圧部材によって前方向X1に押し出して基板1を搬送する構成で検証した。この結果、基板1の裏面1Bに貼付部材2を問題なく貼付けることができた。この検証からは、特に、ローラ30の径をφ80mmとし、上記距離を4mmとするのが好ましいことが分かった。
【0054】
図6は、貼付装置100の好ましい構成を示す平面模式図である。図6に示す貼付装置100は、第1搬送部10及び第2搬送部20の構成要素として、押圧部材12が追加された点を除いては、貼付装置100と同じ構成である。
【0055】
押圧部材12は、図示省略のアクチュエータによって、第1搬送面10Sとローラ30と第2搬送面20Sの上方を前後方向Xに移動可能に構成されている。押圧部材12は、搬送ローラ11上に載置された基板1の後端部1Rの後端面に当接した状態で前方向X1に移動して、基板1を前方向X1に押し出して搬送する。
【0056】
図6に示す構成の貼付装置100においては、基板1の左右方向Y(搬送方向に直交する方向)の幅よりも狭い幅を持つ貼付部材2を、待機部40及びローラ30に載置することが好ましい。
【0057】
例えば、図6に示したように、基板1の左右方向Yの略中央に貼付部材2が位置するように貼付部材2を待機させておく。そして、基板1の左右方向Yの両端部を押圧部材12によって押して搬送する構成とする。このようにすることで、例えば押圧部材12が、第1搬送部10とローラ30の間を通過する際に、押圧部材12と貼付部材2が干渉するのを防いで、基板1の搬送を良好に行うことができる。
【0058】
図7は、貼付装置100の第一変形例である貼付装置100Aの平面模式図である。図8は、図7に示す貼付装置100Aを左右方向Yに見た側面図である。貼付装置100Aは、貼付部材2を把持可能な把持装置50が追加された点を除いては、図6に示す貼付装置100と同じ構成である。
【0059】
把持装置50は、図7及び図8の例では、ローラ30と第2搬送部20との間の上方に配置されている。貼付装置100Aでは、待機状態にある貼付部材2の前端部が把持装置50の位置まで到達する。把持装置50は、待機状態にある貼付部材2の前端部を把持する。
【0060】
図9は、図7及び図8に示す貼付装置100Aの動作を説明するための状態遷移図である。図9に示す状態ST5は、図8と同じである。貼付装置100Aでは、この状態ST5から、押圧部材12が前方向X1に移動して基板1の搬送が開始される。
【0061】
そして、状態ST6に示すように、基板1が貼付部材2及びローラ30に接触すると、この接触を契機として、例えば、この接触と同時又はそれよりも少し後のタイミングにて、図示省略のアクチュエータによって把持装置50が駆動されて、把持装置50は前方向X1へと移動を開始する。つまり、上記の接触を契機として、貼付部材2の前端部は、把持装置50によって前側に引っ張られて、貼付部材2は前方向X1に移動する。把持装置50とこれを駆動する図示省略のアクチュエータは、駆動部を構成する。
【0062】
上記の接触によって基板1の裏面1Bの前端には貼付部材2が貼付いた状態となる。このため、把持装置50が前方向X1に移動することで、基板1もそれに連動して前方向X1に移動し、その移動の過程で、基板1の自重によって、裏面1Bには貼付部材2が貼付けられていく。そして、最終的には、状態ST7のように、裏面1Bの必要範囲の全てに貼付部材2が貼付けられた状態となる。
【0063】
第1搬送部10は、状態ST6にて、把持装置50の移動が開始されると、押圧部材12の移動を停止させる。つまり、貼付部材2の前端部を前方向X1に引っ張る工程が開始されると、第1搬送部10による基板1の搬送は停止される。第1搬送部10は、基板1の搬送を停止した後に、押圧部材12を初期位置(図8に示した位置)まで移動させる(状態ST7)。この押圧部材12の初期位置までの移動は、基板1への貼付部材2の貼付け処理と並行して行うことができる。このため、次の貼付対象の基板1を第1搬送面10Sに載置する処理を早く行うことができ、多数の基板1に対して貼付部材2を貼付ける際の作業効率を高めることができる。
【0064】
図10は、貼付装置100の第二変形例である貼付装置100Bの平面模式図である。図10では、待機部40に貼付部材2が待機している状態を示している。図11は、図10のA-A矢視の断面模式図である。図12は、図10のB-B矢視の断面模式図である。
【0065】
貼付装置100Bは、貼付部材2の形状を制御する形状制御装置60が追加された点を除いては、図1に示す貼付装置100と同じ構成である。形状制御装置60は、第1搬送部10とローラ30との間において、待機される貼付部材2よりも下方に配置されている。
【0066】
図11に示すように、形状制御装置60は、上下方向Zに沿って延びた棒状部材で構成されている。形状制御装置60は、貼付部材2における左右方向Yの中央部2Cの移動経路と図10の平面視で重なる位置に設けられている。形状制御装置60の上端面は、形状制御装置60が存在しない場合における貼付部材2の通過経路よりも上方向Z2に突出している。したがって、貼付部材2が前方向X1に移動していくと、貼付部材2の中央部2Cは、形状制御装置60を通過することで、貼付部材2の左右の端部2Eよりも上方向Z2に突き出る状態となり、その状態のまま、図12に示すように、ローラ30の外表面に載置される。このように、形状制御装置60は、貼付部材2がローラ30の外周面上に載置された状態にて、貼付部材2の中央部2Cが端部2Eよりもローラ30の外周面から離れる状態を形成する。
【0067】
なお、形状制御装置60は、図11に示した構成に限らない。例えば、図11に示した棒状部材の位置にエアー噴出機構を設け、ここからエアーを貼付部材2の中央部2Cに向かって吹き付けることで、貼付部材2の中央部2Cが端部2Eよりも盛り上がる状態を形成してもよい。
【0068】
貼付部材2が自己粘着シートである場合には、基板1と貼付部材2の間に気泡が入るのを抑制することが望ましい。貼付装置100Bによれば、基板1の裏面1Bと貼付部材2とが接触するときに、まず、基板1の裏面1Bの左右方向Yの中央部において貼付部材2との接触がなされ、その後、基板1の自重によって、裏面1Bの左右方向Yの両端部に向かって、貼付部材2が接触していくことになる。このため、基板1と貼付部材2との間に発生した気泡は、基板1の左右方向Yの中央部から両端部に向かって押し出されていくことになり、気泡を適切に無くした状態で、貼付部材2の貼付けが可能となる。
【0069】
貼付装置100、100A、100Bでは、第1搬送面10Sと第2搬送面20Sが、いずれも、鉛直方向に垂直であるものとした。しかし、この構成に限定されるものではない。
【0070】
図13は、第1搬送面10Sと第2搬送面20Sとローラ30との位置関係の第一変形例を説明するための図であり、図4に対応する図である。図13に示す例では、第1搬送面10Sは、鉛直方向に交差し且つ鉛直方向に非垂直となっている。具体的には、第1搬送面10Sは、搬送方向の上流側の端部が搬送方向の下流側の端部よりも鉛直方向側に位置している。つまり、第1搬送面10Sは、左右方向Yに見た状態で、後下方向から前上方向に向かって延びる構成である。
【0071】
図13の例では、回転軸30Aを通り且つ第1搬送面10Sに垂直な仮想線L2と、回転軸30Aを通り且つ第2搬送面20Sに垂直な仮想線L1とが一致しておらず、別々に存在する。この場合、第1搬送面10Sの延長線10SLは、仮想線L2とローラ30の外周縁との交点のうちの上方向Z2側にあるものを第1天頂部P2として、第1天頂部P2と回転軸30Aを結ぶ線分における第1天頂部P2及び回転軸30Aを除く部分と交差する構成となっていればよい。この構成により、基板1が貼付部材2及びローラ30に接触した後、基板1がローラ30を乗り越えることができるようになる。
【0072】
図14は、第1搬送面10Sと第2搬送面20Sとローラ30との位置関係の第二変形例を説明するための図であり、図4に対応する図である。図14では、図13に示す例に対し、第2搬送面20Sが鉛直方向に交差し且つ鉛直方向に非垂直なものに変更されている。具体的には、第2搬送面20Sは、搬送方向の上流側の端部が搬送方向の下流側の端部よりも鉛直方向側に位置している。つまり、第2搬送面20Sは、左右方向Yに見た状態で、後下方向から前上方向に向かって延びる構成である。
【0073】
また、図14には、鉛直方向に垂直な平面PLに対する第1搬送面10Sの傾斜角θ1と、平面PLに対する第2搬送面20Sの傾斜角θ2が示されている。これら2つの角度の関係は、基板1と貼付部材2との貼付けを良好に行うために、傾斜角θ1が傾斜角θ2よりも大きいことが好ましい。
【0074】
図14の例では、第2搬送面20Sの延長線20SLは、回転軸30Aを通り且つ第2搬送面20Sに垂直な仮想線L3とローラ30の外周縁との交点のうちの上方向Z2側にあるものを第2天頂部P3とし、下方向Z1側にあるものを天底部P4として、第2天頂部P3と交差する又は第2天頂部P3よりも天底部P4側に位置する構成とすればよい。
【0075】
貼付装置100、100A、100Bに含まれる待機部40の構成は、図2に示したものに限らず、様々な構成を採用可能である。例えば、載置部41に吸引装置を設け、載置部41に載置された貼付部材2を粘着面2Aとは反対面側から吸引することで、貼付部材2を保持するようにしてもよい。この場合、突出部42は必須ではない。また、載置部41をベルトコンベアとして、貼付部材2の搬送を補助するようにしてもよい。
【0076】
また、待機部40の代わりに、貼付部材2の後端部を把持する把持装置(チャックや対向する2つのローラ)を設け、基板1がローラ30に接触したことを契機として、その把持装置による把持を解除する構成としてもよい。また、待機部40の代わりに、サクションローラを設けて、ローラ30とサクションローラに貼付部材2を掛け渡すことで、貼付部材2を保持してもよい。また、ローラ30と第2搬送部20の間に、貼付部材2の前端部を吸着する吸着装置を設け、基板1がローラ30に接触したことを契機として、その吸着装置による吸着を解除する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1A 表面
1B 裏面
1F 前端部
1R 後端部
1 基板
L1,L2,L3 仮想線
P1 交点
ST1,ST2,ST3,ST5,ST6,ST7 状態
2A 粘着面
2C 中央部
2E 端部
2 貼付部材
P2 第1天頂部
P3 第2天頂部
P4 天底部
10SL,20SL 延長線
10S 第1搬送面
10 第1搬送部
11,21 搬送ローラ
12 押圧部材
20S 第2搬送面
20 第2搬送部
30A 回転軸
30D 天底部
30U 天頂部
30 ローラ
40 待機部
41 載置部
42 突出部
50 把持装置
60 形状制御装置
100A,100B,100 貼付装置
1,2,3 仮想線L
θ1,θ2 傾斜角

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14