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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037584
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】増設装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/00 20060101AFI20240312BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20240312BHJP
   B65H 1/00 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
B65H3/00 310C
G03G21/16 104
B65H1/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142511
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】松岡 直
【テーマコード(参考)】
2H171
3F343
【Fターム(参考)】
2H171FA01
2H171FA03
2H171FA28
2H171GA31
2H171HA23
2H171HA25
2H171KA05
2H171KA13
2H171NA08
2H171QA02
2H171QA08
2H171QB32
2H171SA10
2H171SA14
2H171SA22
2H171SA26
2H171WA18
3F343FA02
3F343FB01
3F343FC27
3F343GA03
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343HA21
3F343HA32
3F343HA39
(57)【要約】
【課題】筐体外部からの侵入液体が筐体内部の電装部品に接触することを、装置の複雑化を招くことなく、安定して阻止する。
【解決手段】画像形成装置本体の下方に増設される増設装置200であって、筐体内部の底面上における電装部品222dの周囲の少なくとも一部に、筐体外部からの侵入液体Wが該底面上を該電装部品に向かって流れるのを阻止する阻止手段230を有することにより、筐体外部からの侵入液体が筐体内部の電装部品に接触することを、装置の複雑化を招くことなく、安定して阻止する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体の下方に増設される増設装置であって、
筐体内部の底面上における電装部品の周囲の少なくとも一部に、筐体外部からの侵入液体が該底面上を該電装部品に向かって流れるのを阻止する阻止手段を有することを特徴とする増設装置。
【請求項2】
請求項1に記載の増設装置であって、
前記阻止手段は、前記底面から突出するように少なくとも2重以上の壁部で構成される阻止壁であることを特徴とする増設装置。
【請求項3】
請求項2に記載の増設装置であって、
前記壁部間には液体排出手段が設けられていることを特徴とする増設装置。
【請求項4】
請求項3に記載の増設装置において、
前記液体排出手段は、前記壁部間から液体を排出する液体排出孔を含むことを特徴とする増設装置。
【請求項5】
請求項4に記載の増設装置において、
前記壁部間における前記底面は、前記液体排出孔に向かって下方に傾斜していることを特徴とする増設装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の増設装置において、
前記液体排出孔から排出された液体を収容する液体収容部が着脱可能に設けられていることを特徴とする増設装置。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の増設装置において、
前記電装部品の上方に、筐体外部からの侵入液体が該電装部品に向かって落下するのを阻止する天板部材が設けられ、
前記天板部材は、前記阻止壁よりも外側まで延出していることを特徴とする増設装置。
【請求項8】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の増設装置において、
前記電装部品は、配線上に配置されるコネクタを含むことを特徴とする増設装置。
【請求項9】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の増設装置において、
前記電装部品は、一次回路部品を含むことを特徴とする増設装置。
【請求項10】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の増設装置において、
当該増設装置は、前記画像形成装置で画像が形成されるシートを給送するシート給送装置であることを特徴とする増設装置。
【請求項11】
電装部品を筐体内部に備えた画像形成装置であって、
筐体内部の底面上における電装部品の周囲の少なくとも一部に、筐体外部からの侵入液体が該底面上を該電装部品に向かって流れるのを阻止する阻止手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増設装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置本体の下方に増設される増設装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、画像形成部を備える本体筐体部(画像形成装置本体)の下方に取り付けられた増設給紙装置(増設装置)を備える画像形成装置が開示されている。画像形成装置の本体筐体部には、画像形成部の下方に本体給紙トレイが配置され、本体給紙トレイ内の用紙が給送されると、本体給紙トレイ内の搬送路を通じて画像形成部に搬送され、当該用紙に画像が形成される。一方、増設給紙装置のトレイから用紙が給送されると、増設給紙装置内の搬送路から本体給紙トレイ内の搬送路を通って画像形成部に搬送され、当該用紙に画像が形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の画像形成装置においては、何らかの原因で画像形成装置の外部から液体が侵入したとき、その侵入液体が画像形成装置の内部装置又は画像形成装置本体の下方に増設される増設装置の電装部品に接触し、画像形成装置の動作不良や故障を引き起こすおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、画像形成装置本体の下方に増設される増設装置であって、筐体内部の底面上における電装部品の周囲の少なくとも一部に、筐体外部からの侵入液体が該底面上を該電装部品に向かって流れるのを阻止する阻止手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、筐体外部からの侵入液体が筐体内部の電装部品に接触することを、装置の複雑化を招くことなく阻止することができ、侵入液体による画像形成装置の動作不良や故障の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係るプリンタを示す概略模式図。
図2】同プリンタの増設給紙装置の概略構成を模式的に示す斜視図。
図3】増設給紙装置における駆動機構格納部の従来構成の一例を、プリンタ後側(背面側)から見たときの説明図。
図4】実施形態における増設給紙装置の駆動機構格納部を、プリンタ後側(背面側)から見たときの説明図。
図5】駆動機構格納部に設けられる阻止壁の壁部間の底面が水抜き孔に向かって下方に傾斜している構成を模式的に示す斜視図。
図6】駆動機構格納部に設けられる阻止壁の構成を模式的に示す斜視図。
図7】プリンタ後側の壁面に水抜き孔が形成された変形例を模式的に示す斜視図。
図8】コネクタの上方に天板部材を設けた変形例を模式的に示す斜視図。
図9】水抜き孔から排出された液体を収容する液体収容部を設けた変形例を模式的に示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る増設装置を、画像形成装置本体の下方に増設されるシート給送装置としての増設給紙装置に適用した一実施形態について説明する。
【0009】
なお、本実施形態では、電子写真方式による画像形成装置に増設される増設装置を例に挙げて説明するが、電子写真方式以外の画像形成装置(インクジェット方式や孔版印刷方式等の画像形成装置)であってもよい。また、増設装置は、画像形成装置本体の下方に増設される装置であって、電装部品が筐体内部の底面上に設置されているものであれば、シート給送装置に限らず、シート給送装置以外の装置であってもよい。
【0010】
まず、本実施形態に係る画像形成装置としてのプリンタの基本的な構成について説明する。
図1は、本実施形態に係るプリンタを示す概略模式図である。
同図において、本プリンタは、潜像担持体としての感光体1や、プリンタ本体の本体筐体50に対して着脱可能に構成された給紙カセット100、プリンタ本体の下方に増設される増設給紙装置200などを備えている。給紙カセット100及び増設給紙装置200は、記録材として、複数の記録シートSをシート束の状態で収容している。
【0011】
給紙カセット100内の記録シートSの束は、本体トレイ101上に載置されており、本体給紙ローラ41が回転駆動することにより本体トレイ101から送り出される。送り出された記録シートSは、本体給紙ローラ41と分離パッド48との分離ニップにおいて、最上位シートのみが分離されて給紙され、第一搬送路である本体給紙路R1内に至る。その後、記録シートSは上方の搬送ローラ対である中継ローラ対42の搬送ニップに挟み込まれて(挟持されて)、本体給紙路R1内を搬送方向上流側から下流側へと搬送される。
【0012】
また、増設給紙装置200内の記録シートSの束は、増設トレイ203上に載置されており、増設給紙ローラ201が回転駆動することにより増設トレイ203から送り出される。送り出された記録シートSは、増設給紙ローラ201と分離パッド202との分離ニップにおいて、最上位シートのみが分離されて給紙される。給紙された記録シートSは、本体筐体50内の給紙カセット100内を通って本体給紙路R1内に至る。その後は、給紙カセット100から送りされた記録シートSと同様、記録シートSは上方の搬送ローラ対である中継ローラ対42の搬送ニップに挟み込まれて(挟持されて)、本体給紙路R1内を搬送方向上流側から下流側へと搬送される。
【0013】
本体給紙路R1の下流端は、共通搬送路R3に連通しており、共通搬送路R3には、レジストローラ対43が配設されている。共通搬送路R3には、レジストローラ対43の搬送方向上流側に、記録シートSを検知するレジストセンサ49が配置されている。記録シートSは、停止中のレジストローラ対43のニップに先端を突き当てた状態で搬送が一時停止される。その突き当ての際、記録シートSのスキューが補正される。なお、レジストセンサ49は、イニシャル動作や装置異常停止解除時の残シートの確認動作などにも利用される。
【0014】
レジストローラ対43は、記録シートSを転写ニップで感光体1の表面のトナー像に重ね合わせ得るタイミングで回転駆動を開始し、記録シートSを転写ニップに向けて送り出す。この際、中継ローラ対42が同時に回転駆動を開始して、一時停止していた記録シートSの搬送を再開する。
【0015】
本プリンタの本体筐体50には、手差しトレイ31、手差し給紙ローラ32、分離パッド33、手差し底板34、手差し底板カム35などを備えた手差し給紙部30が設けられている。この手差し給紙部30の手差しトレイ31に手差しされた記録シートSは、手差し給紙ローラ32の回転駆動によって手差しトレイ31から第二搬送路である手差し給紙路R2へ送り出される。手差し給紙路R2の下流端は、本体給紙路R1の下流端とともに共通搬送路R3に合流している。手差し給紙ローラ32によって送り出された記録シートSは、手差し給紙路R2内において、手差し給紙ローラ32と分離パッド33との当接による分離ニップを経た後に、共通搬送路R3へ送り込まれ、レジストローラ対43へと搬送される。その後、この記録シートSは、給紙カセット100から送り出される記録シートSと同様に、レジストローラ対43を経た後に転写ニップに送られる。
【0016】
図中時計回り方向に回転駆動せしめられるドラム状の感光体1の周囲には、クリーニングブレード、回収スクリュウ、帯電ローラ、帯電クリーニングローラ、スクレーパ、潜像書込装置7、現像装置8、転写ローラ10などが配設されている。帯電ローラは、感光体1に接触しながら回転して帯電ニップを形成している。この帯電ローラには、帯電用電源から電圧が印加されている。これにより、帯電ニップにおいて、感光体1の表面と帯電ローラの表面との間に生じる帯電バイアスによって、感光体1の表面が一様に帯電せしめられる。
【0017】
潜像書込装置7は、LEDアレイを具備しており、感光体1の一様帯電した表面に対してLED光による光書き込みを行う。感光体1の一様帯電された表面部分のうち、書き込み光が照射された領域の電位が減衰し、感光体1の表面に静電潜像が形成される。静電潜像は、感光体1の回転に伴って、現像装置8に対向する現像領域を通過する。現像装置8は、循環搬送部や現像部を有しており、循環搬送部には、トナーと磁性キャリアとを含有する現像剤を収容している。現像領域では、感光体1の静電潜像にトナーが選択的に付着して静電潜像が現像される。現像装置8の上方には、トナーカートリッジ9が配設されている。
【0018】
現像によって感光体1上に形成されたトナー像(画像)は、感光体1の回転に伴って、感光体1と転写ローラ10とが当接する転写ニップに進入する。転写ローラ10には、感光体1の潜像電位とは逆極性の電圧が印加されており、これにより、転写ニップ内には転写バイアスが形成されている。
【0019】
上述したように、レジストローラ対43は、記録シートSを転写ニップ内で感光体1上のトナー像に重ね合わせうるタイミングで転写ニップに向けて送り出す。転写ニップでトナー像に密着せしめられた記録シートには、転写バイアスやニップ圧の作用により、感光体1上のトナー像が転写される。
【0020】
図1において、感光体1と転写ローラ10とが当接する転写ニップを通過した記録シートSは、定着装置44に送られる。定着装置44は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ44aと、これに向けて押圧される加圧ローラ44bとの当接によって定着ニップを形成している。定着ニップに挟み込まれた記録シートSの表面には、加熱や加圧の作用によってトナー像が定着せしめられる。その後、定着装置44を通過した記録シートSは、排紙路R4を経た後、排紙ローラ対46の排紙ニップに挟み込まれる。
【0021】
本プリンタは、記録シートSの片面だけに画像を形成する片面モードと、記録シートSの両面に画像を形成する両面モードとを切り替えて実行することができる。片面モードの場合や、両面モードであって既に記録シートの両面に画像を形成している場合には、排紙ローラ対46が正転駆動を続けることで、排紙路R4内の記録シートSを機外に排出する。排出された記録シートSは、本体筐体50の上面に設けられたスタック部にスタックされる。
【0022】
一方、両面モードであって、かつ記録シートSの片面だけにしか画像を形成していない場合には、排紙ローラ対46の排紙ニップに記録シートSの後端部が進入したタイミングで、排紙ローラ対46が逆転駆動される。このとき、排紙路R4の下流端付近に配設された切換爪47が作動して、排紙路R4を塞ぐとともに、反転再送路R5の入口を開く。排紙ローラ対46の逆転駆動によって逆戻りを開始した記録シートSは、反転再送路R5内に送り込まれる。反転再送路R5の下流端は、共通搬送路R3のレジストローラ対43の上流側に合流しており、反転再送路R5内を搬送された後、共通搬送路R3のレジストローラ対43へと再送される。その後、転写ニップでもう一方の面にもトナー像が転写された後、定着装置44と排紙路R4と排紙ローラ対46とを経て機外に排出される。
【0023】
本実施形態の定着装置44は、加圧ローラ44bの表面に付着したトナーや紙粉などの付着物を除去するクリーニングローラ44dを備えている。このクリーニングローラ44dは、接離機構により加圧ローラ44bに対して接離する。
【0024】
また、定着装置44は、排紙路R4の定着ニップから切換爪47までを構成する部材も備えている。具体的には、定着装置44は、排紙ガイド部材59と、排紙反転ガイド部材58と、中継搬送ローラ対51とを備えている。排紙ガイド部材59は、定着ニップを抜けた記録シートSの定着ローラ44aとの接触面に対向し、記録シートSを切換爪47まで案内するガイド部59aを有している。排紙反転ガイド部材58は、排紙ガイド部58aと、反転ガイド部58bとを備えている。排紙ガイド部58aは、定着ニップを抜けた記録シートSの加圧ローラ44bとの接触面に対向し、記録シートSを切換爪47まで案内する。反転ガイド部58bは、切換爪47を抜けた反転再送路R5の記録シートの画像形成面に対向しガイドする。また、排紙反転ガイド部材58は、反転再送路R5内の記録シートを搬送する反転搬送ローラ対52の従動コロ52bも取り付けられている。
【0025】
また、本プリンタの本体筐体50の図1中左側側面には、開閉カバー55が設けられている。この開閉カバー55には、反転再送路R5の記録シートの非画像形成面に対向しガイドする反転ガイド部材57を備えており、反転ガイド部材57には、反転搬送ローラ対52の駆動ローラ52aが取り付けられている。
【0026】
図2は、本実施形態における増設給紙装置200の概略構成を模式的に示す斜視図である。
図3は、増設給紙装置200における駆動機構格納部220の従来構成の一例を、プリンタ後側(背面側)から見たときの説明図である。
本実施形態の増設給紙装置200は、主に、記録シートSの束を収容するシートトレイを有するトレイ格納部210と、電装部品や駆動機構などを格納する駆動機構格納部220とを有している。トレイ格納部210には、上述した増設給紙ローラ201と分離パッド202と増設トレイ203のほか、除湿用のヒータ204や、増設給紙ローラ201等を駆動する駆動源であるモータ205などが備わっている。駆動機構格納部220には、図3に示すように、駆動機構221やアクチュエータの一部、配線であるハーネス222、PCBからなる制御基板223などの電装部品が格納されている。
【0027】
増設給紙装置200の上面は、図3に示すように、本体筐体50の下面に設けられる端子に接続される入力端子225,226が備わっている。入力端子225には、本体筐体50の端子から商用電源からの交流電流が入力され、入力端子226には、本体筐体50で生成されたDC電源(例えば24V)からの直流電流が入力される。
【0028】
入力端子225に入力される交流電流は、分岐用のコネクタ222cを介して、交流連結コネクタ222dからヒータ204用の接続端子204aへと伝送されるとともに、増設給紙装置200の下面に設けられる出力端子227へと伝送される。増設給紙装置200の出力端子227は、本増設給紙装置200の下方に更に別の増設給紙装置を増設する場合に、当該別の増設給紙装置の入力端子225へ商用電源からの交流電流を供給する。
【0029】
また、入力端子226に入力される直流電流は、制御基板223に入力され、制御基板223からモータ205用の接続端子205aに伝送される。また、制御基板223からの直流電流は、分岐用のコネクタ222bを介して、他のコネクタ222aへ伝送されるとともに、増設給紙装置200の下面に設けられる出力端子228へと伝送される。増設給紙装置200の出力端子228は、本増設給紙装置200の下方に更に別の増設給紙装置を増設する場合に、当該別の増設給紙装置の入力端子226へDC電源(例えば24V)からの直流電流を供給する。
【0030】
何らかの原因でプリンタの外部から液体が侵入すると、プリンタ内部を伝って液体が下方へと流れていき、プリンタ本体の下方に増設されている増設給紙装置200の筐体内部にまで侵入する。増設給紙装置200は、一般的な防水性能を持つ機器とは異なり、高度な防水構造を持たず、水等の液体が少量でもプリンタ内部に侵入すると、その液体が増設給紙装置200の筐体内部へと容易に侵入してしまう。
【0031】
近年、省スペース化、コンパクト化が求められているため、増設給紙装置200に配置される電装部品(アクチュエータ、ハーネス222、制御基板223等)を、限られたスペースに配置しなければならず、これらの電装部品を侵入液体の触れない位置に配置することが困難である。具体的には、シート給送動作に必要な駆動機構の駆動源となるモータ205(アクチュエータ)、センサ・スイッチ類、それらを制御する制御基板223、それら全てを接続するハーネス222などの電装部品を、限られたスペースに配置する必要がある。モータやセンサ・スイッチ類を配置する位置は、必要な機能を実現するために限定される。また、制御基板223やハーネス222は、配置の自由度が比較的高いものの、スペースが限られている関係で、やはり配置位置が限定される。その結果、侵入液体の接触を回避すべき対象物である電装部品の少なくとも一部を筐体内部における底面上に配置しなければならないケースが生じる。
【0032】
増設給紙装置200の筐体内部へ侵入した液体は、下方へと流れていき、筐体内部の底面に到達し、その底面上を流れることになる。そのため、上述したように筐体内部の底面上に設置されている電装部品に侵入液体が接触し、プリンタの動作不良や故障を引き起こすという問題が発生しやすい。
【0033】
特に、本実施形態の増設給紙装置200では、図3に示すように、ハーネス222を構成するコネクタ222a~222dのうち、商用電源に直接接続される一次回路ハーネスのコネクタ222dが筐体内部の底面上に配置されている。商用電源からの交流電流が流れるコネクタ222dは、商用電源と直接的に接続されている一次回路であり、商用電源と絶縁できない部品であるため、商用電源から生成される二次側のDC電源から入力される電流が流れる部品(制御基板223、コネクタ222a,222bなど)よりも、液体接触によるリスクが高い。また、一次回路ハーネスは、商用電源から最初の回路保護素子(ヒューズ等)に至るまでの間、具体的には電源コードが接続されるインレットと一つ目のヒューズまでの区間は、液体接触によるショートが発生しても、ヒューズ等により保護されない。したがって、コネクタ222dが筐体内部の底面上に配置されている場合、これに侵入液体が接触することを安定して抑制できる構成が求められる。
【0034】
なお、二次側の部品であっても、機外設備の遮断器(ブレーカー)との組み合わせによっては、ヒューズ等が動作する前にブレーカーが動作し、他の機器の電源を落としてしまうなどの問題を引き起こすおそれがある。
【0035】
上述した問題を解決する方法としては、例えば、増設給紙装置200の筐体の隙間を無くし、外部からの液体の侵入を阻止するという方法が考えられる。しかしながら、増設給紙装置200は、プリンタ本体から電力供給を受ける構成であるため、プリンタ本体との配線経路を確保することが求められ、筐体を隙間なく埋めるなど、液体の侵入を阻止する構造とすることが難しい。
【0036】
また、例えば、プリンタ外部から侵入する液体の侵入ルート上に専用の液体流路を設け、侵入液体が筐体内部の底面に到達しないように迂回させるという方法も考えられる。しかしながら、この方法では、プリンタ外部から侵入する液体の侵入ルートのすべてに専用の液体流路を設けなければならず、装置構成の複雑化を引き起こす。また、侵入ルートが少なくなるようにすれば専用の液体流路の構成は比較的簡易に済ませることができるが、侵入ルートを少なくするための構成が複雑化を招くため、やはり装置構成の複雑化を引き起こす。
【0037】
そのため、増設給紙装置200の筐体内部の底面上に設置されているコネクタ222dに侵入液体が接触することを、簡易な構成で抑制する方法が求められる。特に、本実施形態のプリンタは、家庭やオフィスなどの卓上に設置されて使用される安価で小型の画像形成装置であるため、簡易な構成でコストを抑えた方法により、増設給紙装置200の電装部品への侵入液体の接触を抑制することが求められる。
【0038】
図4は、本実施形態における増設給紙装置200の駆動機構格納部220を、プリンタ後側(背面側)から見たときの説明図である。
本実施形態においては、筐体内部の底面上におけるコネクタ222dの周囲の少なくとも一部に、当該底面から突出する阻止壁230を設け、筐体外部からの侵入液体Wが当該底面上をコネクタ222dに向かって流れるのを阻止する。本実施形態では、コネクタ222dの周囲という限られた箇所にだけ、底面から突出する阻止壁230という簡易な構造物を設けるという構成であるため、装置の複雑化を招くことなく、侵入液体Wがコネクタ222dに接触することを抑制できる。
【0039】
ここで、阻止壁230を構成する壁部の高さは、スペースが限られていること、他の部品との抵触を回避する必要があることなどの各種制限もあって、十分な高さとすることが困難であることが多い。
【0040】
そこで、本実施形態の阻止壁230は、少なくとも2重以上(本実施形態では2重)の壁部231,232から構成されている。これによれば、例えば侵入液体Wが勢いよく流れてきて、コネクタ222dの周囲外側の壁部231を乗り越えた場合でも、その内側の壁部232によって侵入液体Wがコネクタ222dへ向かうのを阻止できる。よって、勢いよく流れてくる侵入液体Wについてもコネクタ222dに接触することを抑制することができる。
【0041】
更に、本実施形態では、2重で構成された壁部231と壁部232との間に、液体排出手段としての液体排出孔として、筐体内部の底面に水抜き孔233を形成してある。これにより、コネクタ222dの周囲外側の壁部231を乗り越えて壁部231,232間に入り込んだ液体は、当該壁部間に蓄積されずに排出される。その結果、壁部231,232間の収容能力を超える量の液体が侵入してきた場合でも、壁部間の液体が水抜き孔233を介して順次排出され、液体が内側の壁部232を超えてコネクタ222dまで到達することを阻止することができる。
【0042】
なお、水抜き孔233の大きさ、数、配置箇所などは、適宜設定することができる。ただし、水抜き孔233の存在は筐体の強度に影響するため、また水抜き孔233の上方に電装部品があることにより安全性規格の要求(底面開孔等)を満足できないおそれがある。
【0043】
また、本実施形態では、図5に示すように、壁部231,232間における底面234が水抜き孔233に向かって下方に傾斜している。これによれば、壁部231,232間に侵入した液体Wを水抜き孔233から効率よく排出することができ、制限された高さの壁部231,232であっても、また、限られた数や大きさの水抜き孔233であっても、必要な液体排出量を実現することができる。
【0044】
また、本実施形態の増設給紙装置200では、駆動機構格納部220の筐体内部の壁面のうち、プリンタ前側とプリンタ後側の壁面からは液体Wが侵入できない構造となっている。そのため、本実施形態の阻止壁230は、図6に示すように、コネクタ222dの周囲のうちのプリンタ左右側に、駆動機構格納部220の筐体内部のプリンタ前側とプリンタ後側の壁面間にわたって配置されている。もちろん、プリンタ前側とプリンタ後側の壁面からも液体Wが侵入し得る構造の場合には、コネクタ222dの周囲のうちのプリンタ前後にも阻止壁230を配置してもよい。
【0045】
なお、本実施形態では、水抜き孔233が壁部231,232間の底面に形成されている例であるが、図7に示すように、例えばプリンタ後側の壁面(プリンタ背面)に水抜き孔235を形成するようにしてもよい。この場合、プリンタ後側の壁面にもともと隙間が形成されている構造(例えば、外装(後カバー)と構造体との間の隙間)であれば、その隙間を水抜き孔235として利用してもよい。
【0046】
また、仮に、コネクタ222dの上方から侵入液体Wがコネクタ222dに向かって落下してくるおそれがある構造の場合、図8に示すように、コネクタ222dの上方に天板部材236を設けてもよい。これにより、コネクタ222dに向かって落下してくる侵入液体Wを天板部材236で受け、侵入液体Wがコネクタ222dに接触することを阻止することができる。
【0047】
このとき、天板部材236は、コネクタ222dの周囲に配置される阻止壁230よりも外側まで延出するように構成する。これにより、天板部材236で受けた侵入液体Wが天板部材236の外縁部から筐体内部の底面上に落ちても、底面上に落ちた侵入液体Wは阻止壁230に阻止され、コネクタ222dへ接触することができない。
【0048】
また、本実施形態では、水抜き孔233から排出される液体は、増設給紙装置200の機外(プリンタの機外)にそのまま排水されてもよいが、図9に示すように、水抜き孔233から排出された液体を収容する液体収容部237を設けてもよい。これによれば、侵入液体Wを水抜き孔233から排出しても、プリンタの周囲を液体Wで汚すことがなくなる。このとき、液体収容部237は、増設給紙装置200に対して着脱可能に設けるのが好ましい。これによれば、ユーザーは、液体収容部237を使用するケースと使用しないケースとを選択することができる。その結果、例えば、侵入液体Wによるプリンタ周囲の汚れを防ぎたいユーザーは液体収容部237を取り付け、省スペースを優先したいユーザーは液体収容部237を取り外すということが可能になる。
【0049】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[第1態様]
第1態様は、画像形成装置本体(例えば本体筐体50)の下方に増設される増設装置(例えば増設給紙装置200)であって、筐体内部の底面上における電装部品(例えばコネクタ222d)の周囲の少なくとも一部に、筐体外部からの侵入液体Wが該底面上を該電装部品に向かって流れるのを阻止する阻止手段(例えば阻止壁230)を有することを特徴とするものである。
画像形成装置が使用される環境によっては、何らかの原因で画像形成装置の外部から液体が侵入することがある。例えば、家庭やオフィスなどで使用される画像形成装置では、使用者がこぼしてしまった飲み物が画像形成装置にかかってしまい、画像形成装置の内部に飲み物(液体)が侵入することがある。このように画像形成装置内部に液体が侵入すると、その侵入液体は画像形成装置の内部を下方へと流れていき、画像形成装置本体の下方に増設装置が増設されている場合には、その増設装置の筐体内部にも侵入する。そして、増設装置内の侵入液体は、増設装置の筐体内部における底面上を流れ、その底面上に設置されている電装部品に接触し、画像形成装置の動作不良や故障を引き起こすという問題が発生する。
この問題を解決する方法としては、例えば、画像形成装置外部から侵入する液体の侵入ルート上に専用の液体流路を設けて、侵入液体が筐体内部の底面に到達しないように迂回させるという方法が考えられる。しかしながら、この方法では、画像形成装置外部から侵入する液体の侵入ルートのすべてに専用の液体流路を設けなければ前記問題を解決できず、装置構成の複雑化を引き起こす。また、侵入ルートが制限されるようにすれば専用の液体流路の構成は比較的簡易に済ませることができるが、侵入ルートを制限するための構成が複雑化を招くため、やはり装置構成の複雑化を引き起こす。
そこで、本態様においては、筐体内部の底面上における電装部品の周囲の少なくとも一部に、筐体外部からの侵入液体が当該底面上を電装部品に向かって流れるのを阻止する阻止手段を設けている。本態様は、電装部品の周囲という限られた箇所にだけ阻止手段を設ける構成であるため、装置の複雑化を招くことなく、侵入液体が電装部品に接触することを抑制できる。
【0050】
[第2態様]
第2態様は、第1態様において、前記阻止手段は、前記底面から突出するように少なくとも2重以上の壁部231,232で構成される阻止壁であることを特徴とするものである。
本態様では、阻止手段が、底面から突出するように設けられる阻止壁という簡易な構造物であるため、装置の複雑化を招くことなく、侵入液体が電装部品に接触することを抑制できる。しかも、本態様では、阻止壁が少なくとも2重以上の壁部で構成されているため、例えば侵入液体が勢いよく流れてきて、電装部品の周囲外側の壁部を乗り越えた場合でも、その内側の壁部によって侵入液体が電装部品へ向かうのを阻止できる。よって、勢いよく流れてくる侵入液体についても電装部品に接触することを抑制することができる。
【0051】
[第3態様]
第3態様は、第2態様において、前記壁部間には液体排出手段が設けられていることを特徴とするものである。
本態様では、2重以上で構成された壁部と壁部との間に液体排出手段が設けられている。そのため、この壁部間には侵入液体が蓄積されずに排出されるので、壁部間の収容能力を超える量の液体が侵入してきた場合でも、侵入液体が電装部品に接触することを抑制することができる。
【0052】
[第4態様]
第4態様は、第3態様において、前記液体排出手段は、前記壁部間から液体を排出する液体排出孔(例えば水抜き孔233)を含むことを特徴とするものである。
これによれば、簡易な構成で、壁部間から液体を排出することができる。
【0053】
[第5態様]
第5態様は、第4態様において、前記壁部間における前記底面は、前記液体排出孔に向かって下方に傾斜していることを特徴とするものである。
これによれば、壁部間に侵入した液体を液体排出孔から効率よく排出することができる。
【0054】
[第6態様]
第6態様は、第4又は第5態様において、前記液体排出孔から排出された液体を収容する液体収容部237が着脱可能に設けられていることを特徴とするものである。
これによれば、ユーザーは、液体収容部を使用するケースと使用しないケースとを選択することができる。その結果、例えば、侵入液体によるプリンタ周囲の汚れを防ぎたいユーザーは液体収容部を取り付け、省スペースを優先したいユーザーは液体収容部を取り外すということが可能になる。
【0055】
[第7態様]
第7態様は、第1乃至第6態様のいずれかにおいて、前記電装部品の上方に、筐体外部からの侵入液体Wが該電装部品に向かって落下するのを阻止する天板部材236が設けられ、前記天板部材は、前記阻止壁よりも外側まで延出していることを特徴とするものである。
これによれば、電装部品に向かって落下してくる侵入液体を天板部材で受け、侵入液体が電装部品に接触することを阻止することができる。また、天板部材が阻止壁よりも外側まで延出しているので、天板部材236で受けた侵入液体が天板部材の外縁部から筐体内部の底面上に落ちても、底面上に落ちた侵入液体は阻止壁に阻止され、電装部品へ接触することを抑制できる。
【0056】
[第8態様]
第8態様は、第1乃至第7態様のいずれかにおいて、前記電装部品は、配線上に配置されるコネクタ222dを含むことを特徴とするものである。
これによれば、配線上に配置されるコネクタ222dに侵入液体が接触することを抑制することができる。
【0057】
[第9態様]
第9態様は、第1乃至第8態様のいずれかにおいて、前記電装部品は、一次回路部品(例えば商用電源からの電流が流れるコネクタ222d)を含むことを特徴とするものである。
これによれば、液体接触によるリスクが高い一次回路部品への侵入液体の接触を抑制することができる。
【0058】
[第10態様]
第10態様は、第1乃至第9態様のいずれかにおいて、当該増設装置は、前記画像形成装置で画像が形成されるシートを給送するシート給送装置(例えば増設給紙装置200)であることを特徴とするものである。
これによれば、一般的に画像形成装置本体の下方に増設されるシート給送装置内の電装部品が侵入液体に接触することを抑制することができる。
【0059】
[第11態様]
第11態様は、電装部品を筐体内部に備えた画像形成装置(例えばプリンタ)であって、筐体内部の底面上における電装部品の周囲の少なくとも一部に、筐体外部からの侵入液体が該底面上を該電装部品に向かって流れるのを阻止する阻止手段を有することを特徴とするものである。
本態様によれば、筐体外部からの侵入液体が筐体内部の電装部品に接触することを、装置の複雑化を招くことなく阻止することができ、侵入液体による画像形成装置の動作不良や故障の発生を抑制することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 :感光体
10 :転写ローラ
30 :手差し給紙部
50 :本体筐体
100 :給紙カセット
101 :本体トレイ
200 :増設給紙装置
201 :増設給紙ローラ
202 :分離パッド
203 :増設トレイ
204 :ヒータ
204a,205a:接続端子
205 :モータ
210 :トレイ格納部
220 :駆動機構格納部
221 :駆動機構
222 :ハーネス
222a~222d:コネクタ
223 :制御基板
225,226:入力端子
227,228:出力端子
230 :阻止壁
231 :壁部
232 :壁部
233 :水抜き孔
234 :底面
235 :水抜き孔
236 :天板部材
237 :液体収容部
S :記録シート
W :侵入液体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0061】
【特許文献1】特開2021-187657号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9