(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037972
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】外用製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/192 20060101AFI20240312BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240312BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240312BHJP
A61P 25/02 20060101ALI20240312BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240312BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240312BHJP
A61M 35/00 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
A61K31/192
A61P17/00
A61P29/00
A61P25/02
A61K9/08
A61K47/10
A61M35/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023214227
(22)【出願日】2023-12-19
(62)【分割の表示】P 2018247455の分割
【原出願日】2018-12-28
(31)【優先権主張番号】P 2017253305
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高根 俊輔
(57)【要約】
【課題】炭素数1~4のアルコール、及び水を含有する外用剤が、スポンジ状塗布部を備える容器に充填された製剤であって、液出量が適度に抑制された製剤を提供する。
【解決手段】(a)外用剤;及び(b)前記外用剤(a)を収容する容器を含む外用製剤であって、前記外用剤(a)が:ロキソプロフェン及び/又はその薬学的に許容される塩;炭素数1~4のアルコール;並びに水を含有する外用剤であり、かつ前記容器(b)が、スポンジ状部材で覆われた開口部を、前記外用剤を患部に塗布可能に備える容器である、外用製剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)外用剤、及び
(b)前記外用剤(a)を収容する容器
を含む外用製剤であって、
前記外用剤(a)が:
ロキソプロフェン及び/又はその薬学的に許容される塩;
炭素数1~4のアルコール;並びに
水
を含有する外用剤であり、かつ
前記容器(b)が、スポンジ状部材で覆われた開口部を、前記外用剤を患部に塗布可能に備える容器である、外用製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は外用製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
有効成分を、低級アルコール及び水を含む溶媒に溶解又は分散させた外用剤が用いられている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、有効成分を、炭素数1~4のアルコール及び水を含む溶媒に溶解又は分散させた外用剤を製剤化するに際し、スポンジ状部材で覆われた開口部(スポンジ状塗布部)が設けられた容器に充填することを着想した。患部への塗布時には、外用剤は、スポンジ状部材を通過して容器外に排出される。
【0005】
しかし、このようにして得られる外用製剤においては、外用剤がスポンジを過度に通過しやすくなり、液出量が過度に多くなる傾向があることを本発明者らは見出した。本発明は、炭素数1~4のアルコール、及び水を含有する外用剤が、スポンジ状塗布部を備える容器に充填された製剤であって、液出量が適度に抑制された外用製剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
項1.
(a)外用剤、及び
(b)前記外用剤(a)を収容する容器
を含む外用製剤であって、
前記外用剤(a)が:
ロキソプロフェン及び/又はその薬学的に許容される塩;
炭素数1~4のアルコール;並びに
水
を含有する外用剤であり、かつ
前記容器(b)が、スポンジ状部材で覆われた開口部を、前記外用剤を患部に塗布可能に備える容器である、外用製剤。
項2.
前記ロキソプロフェンの薬学的に許容される塩が、ロキソプロフェンナトリウム水和物である、項1に記載の外用製剤。
項3.
前記外用剤(a)が、さらにモノテルペンを含有する、項1又は2に記載の外用製剤。項4.
前記モノテルペンが、メントールである、項3に記載の外用製剤。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、炭素数1~4のアルコール、及び水を含有する外用剤が、スポンジ状塗布部を備える容器に充填された外用製剤であって、液出量が適度に抑制された外用製剤
を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明で用いるスポンジ状塗布部を備える容器の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.外用剤及びその調製方法
本発明で用いる外用剤は:
ロキソプロフェン及び/又はその薬学的に許容される塩;
炭素数1~4のアルコール;並びに
水
を含有する。
【0010】
1.1.ロキソプロフェン及びその薬学的に許容される塩(ロキソプロフェン類)
本発明で用いる外用剤は、ロキソプロフェン類を含有していることにより、スポンジ状塗布部における液出量が適度に抑制されたものとなる。
【0011】
ロキソプロフェン(2-[4-(2-オキソシクロペンチルメチル)フェニル]プロピオン酸)は、解熱、鎮痛及び消炎作用を有するプロピオン酸系非ステロイド性解熱鎮痛消炎剤(NSAID)である。
【0012】
本発明ではロキソプロフェンそのものの他、その薬学的に許容される塩も使用することができる。かかる塩には、ロキソプロフェン又はその薬学上許容される塩と、水又はアルコール等との溶媒和物も含まれる。これらは公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることもできる。
【0013】
本発明において、ロキソプロフェン類としては、ロキソプロフェンナトリウム水和物が好ましい。
【0014】
本発明で用いる外用剤は、ロキソプロフェン類としては、1種を単独で含んでいてもよいし、複数種を組み合わせて含んでいてもよい。
【0015】
ロキソプロフェン類の含有量は、スポンジ状塗布部における液出量が抑制されるという本発明の効果と、解熱、鎮痛及び消炎作用とを考慮して適宜設定することができ、特に制限されない。ロキソプロフェン類の含有量は、本発明で用いる外用剤全体に対して総量で、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で、例えば、0.1~20質量%とすることができる。液出量の抑制効果の観点では、ロキソプロフェン類の含有量は、外用剤全体に対して総量で、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で、好ましくは0.2質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上であり、さらに好ましくは1質量%以上である。また、十分な解熱、鎮痛及び消炎作用が得られる最小量という観点では、ロキソプロフェン類の含有量は、外用剤全体に対して総量で、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
【0016】
1.2.炭素数1~4のアルコール(低級アルコール)
本発明で用いる外用剤は、低級アルコールを含有する。低級アルコールは、特に限定されず、上記の成分に対して有効な基剤として機能するものであれば幅広く使用できる。
【0017】
低級アルコールとしては、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロパノール、並びにブタノール及びイソブタノール等を挙げることができ、
エタノール及びイソプロパノールが好ましい。
【0018】
外用剤は、低級アルコールを、外用剤全体に対して、好ましくは40~90質量%含有する。具体的には、外用剤は、低級アルコールとしてエタノールを含む場合、エタノールを、好ましくは50質量%以上、より好ましくは50~90質量%、さらに好ましくは60~90質量%、さらにより好ましくは65~80質量%含む。また、外用剤は、低級アルコールとしてイソプロパノールを含む場合、イソプロパノールを、好ましくは40質量%以上、より好ましくは40~90質量%、さらに好ましくは50~90質量%、さらにより好ましくは50~80質量%含む。
【0019】
1.3.モノテルペン
本発明で用いる外用剤は、モノテルペンを含んでいることによりスポンジ状塗布部における液出量がさらに適度に抑制されたものとなるため好ましい。モノテルペンは清涼作用も有する。
【0020】
モノテルペンとは、イソプレン単位2個からなる炭素数10個のテルペノイド化合物である。本発明において使用されるモノテルペンとしては、特に制限されないが、例えば、メントール、リモネン、メントン、カルボン、ジヒドロカルボン、ピネン、ゲラニオール、リナロール、チモール、ボルネオール、ペリルアルデヒド、シトラール、シトロネラール、カンフル、シネオール等が挙げられる。本発明において使用されるモノテルペンは、光学異性体が存在する場合、d体、l体、dl体のいずれであってもよい。
【0021】
また、本発明においては、モノテルペンを含む精油を使用してもよい。モノテルペンを含む精油は、公知のものから適宜選択して使用することができるが、例えば、メントールを含む精油としては、ハッカ油、ペパーミント油、スペアミント油等が挙げられる。
【0022】
本発明において、1種のモノテルペンを単独で使用してもよく、また2種以上のモノテルペンを組み合わせて使用してもよい。なかでも、好ましくはメントール、及びこれを含む精油、さらに好ましくはl-メントール及びこれを含む精油が挙げられる。
【0023】
モノテルペンの含有量は、スポンジ状塗布部における液出量が抑制されるという本発明の効果と、清涼剤としての効能とを考慮して適宜設定することができ、特に制限されない。モノテルペンの含有量は、本発明で用いる外用剤全体に対して総量で、例えば、0.1~20質量%とすることができる。液出量の抑制効果の観点では、モノテルペンの含有量は、本発明で用いる外用剤全体に対して総量で、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上である。また、十分な清涼作用が得られる最小量という観点では、モノテルペンの含有量は、本発明で用いる外用剤全体に対して総量で、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは6質量%以下である。
【0024】
1.4.その他の成分
外用剤には、本発明の効果を妨げない限り、上記成分の他に、血行促進成分を配合することもできる。
【0025】
血行促進成分としては、例えば、カプサイシノイド等が挙げられる。
【0026】
カプサイシノイドとしては、N-アシルワニリルアミドを使用できる。
【0027】
N-アシルワニリルアミドにおけるアシル基は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。また、N-アシルワニリルアミドにおけるアシル基の炭素数については、特に制限されず、例えば5~15、好ましくは6~11等とすることができる。
【0028】
N-アシルワニリルアミドとして、具体的には、ノナン酸バニリルアミド並びに;カプサイシン、ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン及びホモジヒドロカプサイシン等のカプサイシン類等が挙げられる。
【0029】
本発明において、カプサイシノイドは、精製品を使用してもよいが、カプサイシノイド以外に他の成分が含まれている混合物を使用してもよい。このようなカプサイシノイドを含む混合物としては、具体的には、トウガラシ抽出物(トウガラシエキス)、トウガラシチンキ及びトウガラシ末等のトウガラシ類が挙げられる。
【0030】
トウガラシ抽出物としては、特に限定されず、幅広く使用できる。トウガラシ抽出物として、単独種のトウガラシ抽出物を使用してもよいし、複数種のトウガラシ抽出物を組み合わせて使用してもよい。例えば、トウガラシ抽出物として、トウガラシのアルコール抽出物を使用できる。トウガラシのアルコール抽出物としては、例えば、トウガラシのエタノール抽出物を使用できる。
【0031】
本発明において、カプサイシノイドとしては、1種のカプサイシノイドを単独で使用してもよく、また、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0032】
カプサイシノイドの中でも、トウガラシ抽出物及び/又はノナン酸バニリルアミドが好ましい。
【0033】
さらに別の血行促進成分としては、例えば、ニコチン酸のエステル誘導体等が挙げられる。
【0034】
ニコチン酸のエステル誘導体としては、ニコチン酸のエステル誘導体としては、薬学的に許容されることを限度として特に制限されず、幅広く使用できる。例えば、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β-ブトキシエチルエステル及びニコチン酸メチルエステル等が挙げられる。これらのニコチン酸のエステル誘導体は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。ニコチン酸のエステル誘導体の中でも、ニコチン酸ベンジルエステルが好ましい。
【0035】
さらに別の血行促進成分としては、例えば、トコフェロール類等が挙げられる。
【0036】
トコフェロール類としては、特に限定されず、誘導体を含めて幅広く使用できる。トコフェロール自体の種類としては、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール及びδ-トコフェロールのいずれであってもよいが、α-トコフェロールが好ましい。
【0037】
トコフェロールの誘導体としては、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、酢酸、ニコチン酸、コハク酸等のカルボン酸とのエステル体、リン酸とのジエステル体等が挙げられる。これらのトコフェロールの誘導体の中でも、好ましくはカルボン酸とのエステル体、さらに好ましくは酢酸トコフェロール(トコフェロール酢酸エステル)が挙げられる。
【0038】
外用剤は、トコフェロール類を1種単独で含んでいてもよいし、複数種を組み合わせて含んでいてもよい。
【0039】
外用剤には、本発明の効果を妨げない限り、上記成分の他に、薬効補助剤を配合することもできる。
【0040】
かかる薬効補助剤としては、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸アンモニウム、グリチルリチン酸ステアリル等の抗炎症剤や皮膚保護剤;ジフェニルイミダゾール、ジフェンヒドラミン及びその薬学的に許容される塩、マレイン酸クロルフェニラミン等の抗ヒスタミン剤;アルニカチンキ、オウバクエキス、サンシシエキス、セイヨウトチノキエキス、ロートエキス、ベラドンナエキス、トウキエキス、シコンエキス、サンショウエキス等の生薬等が挙げられる。
【0041】
外用剤には、上記の成分の他、併用可能な活性成分、pH調節剤、防腐剤、保存剤、酸化防止剤、安定化剤等の通常の外用剤に使用される添加剤を適宜配合することができる。
【0042】
1.5.形態および製造方法
外用剤は、その形態を特に制限するものではないが、好ましくは液剤(ローション剤及び乳液剤を含む)である。
【0043】
外用剤は、かかる製剤形態に応じて、定法に従って調製することができる。例えば、ロキソプロフェン類、メントール、並びに必要に応じてその他の成分を、低級アルコール及び水を含む、下記に説明するような汎用の基剤と混合して溶解又は分散させ、所望のpHに調整する方法を挙げることができる。
【0044】
なお、pHとしては皮膚に悪影響のない範囲であれば制限されず、通常pH3.5~8.5、好ましくはpH4~8、より好ましくは4~7.5になるように調整される。
【0045】
例えば、外用剤を液剤として調製する場合は、ロキソプロフェン類と、メントールと、さらに必要に応じてその他の成分とを、低級アルコール及び水を主成分とする基剤と混合することにより調製できる。基剤には、多価アルコール、水及び乳化剤から選択される少なくとも一種を配合することができる。多価アルコールとしては、前記のもの等を用いることができる。
【0046】
乳化剤としては、特に限定されず、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ステアリン酸ポリオキシル、ラウロマクロゴール等の非イオン性界面活性剤等が挙げられる。乳化剤は、一種を単独で使用してもよいし、複数種を組み合わせて使用してもよい。
【0047】
外用剤は、好ましくは塗布形態の外用剤として調製され、局所的に外用投与することができる。
【0048】
外用剤の投与量は、治療すべき症状の程度により左右されるが、中に含まれている有効成分であるロキソプロフェン類の1日あたりの合計塗布投与量が100mg以下となる量であることが望ましい。
【0049】
外用剤は、好ましくは医薬である。本発明の医薬である外用剤は、外用消炎鎮痛剤として、肩こりに伴う肩の痛み、関節痛、腰痛、筋肉痛、腱鞘炎(手・手首の痛み)、肘の痛み(テニス肘等)、打撲痛、ねんざ痛、骨折痛、神経痛等の痛みに対して、鎮痛を目的とする好適に使用することができる。
【0050】
2.
スポンジ状塗布部を備える容器
本発明において、前記外用剤を、スポンジ状塗布部を備える容器に充填することで外用製剤(外用剤塗布製品)とすることができる。
本発明で用いる容器は、スポンジ状部材で覆われた開口部を、前記外用剤を患部に塗布
可能に備える容器である。患部への適用時には、外用剤は、スポンジ状部材を通過して容器外に排出される(
図1)。
【0051】
スポンジ状部材として、塗布液の吸放出性に優れ、強度及び肌触りが良好であることから、ポリウレタン及び低密度ポリエチレン(密度として、0.910~0.930g/cm3があげられる)が好ましく、ポリウレタンがより好ましい。
【0052】
スポンジ状部材は、平均気孔径が、好ましくは100~500μmである。平均気孔径が、100μm以上だと、塗布液の浸透性及び放出率が向上する。また、平均気孔径が、500μm以下だと、含浸した塗布液の塗布面における保持性が向上し、液だれが生じにくくなる。これらの点で、平均気孔径は、より好ましくは100~400μm、さらに好ましくは150~350μmである。
【0053】
なお、本発明において、平均気孔径は、水銀圧入式ポロシメータにより測定した値である。
【0054】
スポンジ状部材は、連続気泡率が、好ましくは70%以上である。連続気泡率が、70%以上だと、塗布液の吸放出性及び保持性が良好となる。これらの点で、連続気泡率は、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上であり、とくに好ましくは95%以上であり、最も好ましくは100%である。
【0055】
なお、本発明において、連続気泡率は、ASTM D 1940-62Tに準拠して測定した値である。
【0056】
スポンジ状部材は、厚さが、好ましくは0.5~3.5mmである。厚さが、0.5mm以上だと、肌触りが良好となる。また、厚さが、3.5mm以下だと、膨潤による変形が生じにくくなるため、塗布液の放出性の低下が避けられる。これらの点で、厚さは、より好ましくは1.5~2.5mm、さらに好ましくは1.7~2.0mmである。
【0057】
容器の材質は、特に制限されず、幅広く選択することができる。容器の材質としては、ポリエチレン又はポリプロピレンが好ましい。
【実施例0058】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。なお、表中において単位は質量%を表わす。
【0059】
<試験例1>
以下の処方に従い、組成物を調製した。ろ紙(直径90mm、ADVANTEC製)の中央に、スポンジ(ポリウレタン製、平均気孔径280μm、連続気泡率100%、厚さ1.85mm)を置いた後、スポンジの中央部に調製した組成物200μLを滴下した。滴下60秒後に、ろ紙に染み出した組成物により形取られる円の直径を測定した。
【0060】
【0061】
エタノール水溶液の場合、表面張力が弱くなることから、スポンジを通過しやすく、液出量が多くなる傾向があった(比較例1)。一方、エタノール水溶液にロキソプロフェンナトリウム水和物を配合すると、液出量が適度に抑制された。具体的には、比較例1に比べて実施例1では液出量が14%程度抑制された。この結果、実施例1においてはスポンジから適量の組成物が放出されることが確認された。
【0062】
スポンジの平均気孔径をそれぞれ120μm、180μm及び450μmに変えたほかは上記と同じ条件で試験を行ったところ、実施例1の組成物を使用した場合の方が比較例1の組成物を使用した場合よりも液出抑制効果に優れていた。中でも、平均気孔径180μmのスポンジを使用したときは、平均気孔径280μmのスポンジを使用したときと同程度の液出抑制効果を示し、120μm及び450μmのスポンジを使用したときと比較して、特に液出抑制効果に優れていた。
【0063】
<試験例2>
以下の処方に従い、組成物を調製した。ろ紙(直径90mm、ADVANTEC製)の中央に、スポンジ(ポリウレタン製、平均気孔径280μm、連続気泡率100%、厚さ1.85mm)を置いた後、スポンジの中央部に調製した組成物300μLを滴下した。滴下90秒後に、ろ紙に染み出した組成物により形取られる円の直径を測定した。
【0064】
【0065】
エタノール水溶液にロキソプロフェンナトリウム水和物を配合した組成物に比べて、さらにl-メントールを配合した組成物においては、液出量がさらに抑制されることが分かった(実施例2、3、4)。
【0066】
試験例2の結果より、スポンジ状塗布部を有する塗布容器に充填される、エタノールと水を溶媒とする組成物において、ロキソプロフェンナトリウム水和物に加えてさらにl-メントールを配合することにより、塗布時の液だれがより効果的に抑制されることが分かった。
【0067】
<試験例3>
実施例3及び比較例1の組成物をそれぞれ、販売名「アンメルツ ゴールドEX」(2017年製、小林製薬株式会社製)の容器に充填し、実施例1及び2で使用したスポンジ状塗布部材を取り付けることにより、外用製剤を得た。この外用製剤の使用感について、6名のモニターを用いて官能試験を実施したところ、全員が比較例1の組成物に比べて実施例3の組成物では液だれがより抑制されていたと回答した。
【0068】
また、スポンジの素材を低密度ポリエチレン(密度0.92g/cm3、平均気孔径1
20μm、連続気泡率100%、厚さ1.7mm)に換えて同様の官能試験を行ったところ、全員が比較例1の組成物に比べて実施例3の組成物では液だれがより抑制されていたと回答した。