(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038222
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】撮像装置、撮像方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 23/60 20230101AFI20240312BHJP
H04N 23/12 20230101ALI20240312BHJP
G06T 3/4015 20240101ALI20240312BHJP
【FI】
H04N23/60 500
H04N23/12
G06T3/4015
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023223033
(22)【出願日】2023-12-28
(62)【分割の表示】P 2023510510の分割
【原出願日】2022-01-18
(31)【優先権主張番号】P 2021056872
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 太郎
(72)【発明者】
【氏名】河口 武弘
(72)【発明者】
【氏名】藤原 慎也
(72)【発明者】
【氏名】西山 幸徳
(57)【要約】 (修正有)
【課題】画像に生じるモアレを抑制する撮像装置、撮像方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】撮像装置は、イメージセンサ及びプロセッサを備える。プロセッサは、イメージセンサにより撮像されることで得られた撮像画像データに対して画像補間処理(モザイク処理)を行い、撮像画像データに基づいて表される撮像画像に含まれる複数の画素について、撮像装置と被写体との間の距離を表す距離データを取得し、距離データに基づいて、複数の画素から補正対象画素を特定し、補正対象画素の補正対象画素データに対して、画像補間処理により発生する偽信号を補正する補正処理を行う。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージセンサ及びプロセッサを備えた撮像装置であって、
前記プロセッサは、
前記イメージセンサにより撮像されることで得られた撮像画像データに対して画像補間処理を行い、
前記撮像画像データに基づいて表される撮像画像に含まれる複数の画素について、前記撮像装置と被写体との間の距離を表す距離データを取得し、
前記距離データに基づいて、前記複数の画素から補正対象画素を特定し、
前記補正対象画素の補正対象画素データに対して、前記画像補間処理により発生する偽信号を補正する補正処理を行う
撮像装置。
【請求項2】
前記補正対象画素は、前記複数の画素のうち、第1既定周波数よりも高い第1高周波成分の画素データに対応する画素である
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記撮像画像データ及び前記距離データに基づいて、前記複数の画素から、前記第1高周波成分の画素データに対応する画素を特定する
請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記補正処理は、彩度を下げる処理、又はフィルタリング処理である
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記画像補間処理によって得られる画像補間画像と、前記距離データに基づいて得られる距離画像との類似度が既定類似度以上である場合には、前記複数の画素のうち、前記画像補間画像の類似領域に含まれる画素を前記補正対象画素として特定する
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記類似度が既定類似度以上であれば、前記複数の画素のうち、前記距離画像内の連続している画素に対応する画素を前記補正対象画素として特定する
請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記補正処理は、前記補正対象画素以外に前記類似領域に含まれる画素の色で前記補正対象画素の色を補間する処理である
請求項5又は請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記距離データから信頼度が第1信頼度以上である第1距離データを取得し、
前記複数の画素のうち、前記第1距離データに対応する画素を前記補正対象画素として特定する
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項9】
イメージセンサ及びプロセッサを備えた撮像装置であって、
前記プロセッサは、
前記イメージセンサにより撮像されることで得られた撮像画像に含まれる複数の画素について、前記撮像装置と被写体との間の距離に関する距離データを取得し、
前記距離データに対して方向判別処理を行い、
前記方向判別処理の結果に基づいて、前記撮像画像を表す撮像画像データに対する画像補間処理を行う
撮像装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、
前記距離データから信頼度が第2信頼度以上である第2距離データを取得し、
前記第2距離データに対して前記方向判別処理を行う
請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記イメージセンサは、複数の位相差画素を有し、
前記プロセッサは、前記撮像画像データから、前記位相差画素の位相差画素データに基づいて前記距離データを取得する
請求項1から請求項10の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記位相差画素は、非位相差画素データと、前記位相差画素データとを選択的に出力する画素であり、
前記非位相差画素データは、前記位相差画素の全領域によって光電変換が行われることで得られる画素データであり、
前記位相差画素データは、前記位相差画素の一部の領域によって光電変換が行われることで得られる画素データである
請求項11に記載の撮像装置。
【請求項13】
撮像装置のイメージセンサにより撮像されることで得られた撮像画像データに対して画像補間処理を行うこと、
前記撮像画像データに基づいて表される撮像画像に含まれる複数の画素について、前記撮像装置と被写体との間の距離を表す距離データを取得すること、
前記距離データに基づいて、前記複数の画素から補正対象画素を特定すること、及び、
前記補正対象画素の補正対象画素データに対して、前記画像補間処理により発生する偽信号を補正する補正処理を行うこと
を備える撮像方法。
【請求項14】
撮像装置のイメージセンサにより撮像されることで得られた撮像画像に含まれる複数の画素について、前記撮像装置と被写体との間の距離に関する距離データを取得すること、
前記距離データに対して方向判別処理を行うこと、及び、
前記方向判別処理の結果に基づいて、前記撮像画像を表す撮像画像データに対する画像補間処理を行うこと
を備える撮像方法。
【請求項15】
コンピュータに、
撮像装置のイメージセンサにより撮像されることで得られた撮像画像データに対して画像補間処理を行うこと、
前記撮像画像データに基づいて表される撮像画像に含まれる複数の画素について、前記撮像装置と被写体との間の距離を表す距離データを取得すること、
前記距離データに基づいて、前記複数の画素から補正対象画素を特定すること、及び、
前記補正対象画素の補正対象画素データに対して、前記画像補間処理により発生する偽信号を補正する補正処理を行うこと
を含む処理を実行させるためのプログラム。
【請求項16】
コンピュータに、
撮像装置のイメージセンサにより撮像されることで得られた撮像画像に含まれる複数の画素について、前記撮像装置と被写体との間の距離に関する距離データを取得すること、
前記距離データに対して方向判別処理を行うこと、及び、
前記方向判別処理の結果に基づいて、前記撮像画像を表す撮像画像データに対する画像補間処理を行うこと
を含む処理を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、撮像装置、撮像方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2006-14261号公報に記載の画像処理装置は、画像データから白とび画素を検出する白とび検出部と、白とび検出部の検出した白とび画素の周囲に偽色画素検出領域を設定する偽色画素検出領域設定部と、偽色画素検出領域設定部の設定した領域内において、偽色に対応する色を有する画素を偽色画素として特定する偽色検出部と、偽色検出部の検出した偽色画素について、周囲画素値に基づく画素値補正処理を実行する画素値補正部と、を有する。
【0003】
特開2009-33699号公報に記載の画像処理装置は、異なる複数の色光を光電変換する画素を有する単板式の撮像素子によって得られた、各画素が単色の輝度情報を有した色モザイク画像を用いて、各画素が複数色の輝度情報を有したカラー画像を生成する画像処理装置であって、色モザイク画像を、同一の色光の画素値だけを含む複数の色プレーンに分解する色プレーン分解部と、色プレーン分解部により分解された複数の色プレーン毎に、色プレーンによって値の異なる係数を用いて、色モザイク画像から生成されるカラー画像の画素位置から、色収差補正が施された場合のカラー画像の画素位置に対応する色モザイク画像上のサンプリング座標であって色プレーン毎に異なるサンプリング座標をそれぞれ算出する座標変換部と、色プレーン分解部により分解された複数の色プレーン毎に、座標変換部により算出されたサンプリング座標における画素値を、色プレーン内に含まれる同一の色光の画素値から補間生成するサンプリング部と、サンプリング部により補間生成された各色プレーンの補間値を合成することによりカラー画像を生成する色生成部と、を備える。
【0004】
国際公開第2014/122804号パンフレットに記載の画像処理装置は、撮像素子から出力されたモザイク画像データに対して、デモザイク処理を行い、デモザイク画像データを生成するデモザイク処理手段と、デモザイク処理手段により得られたデモザイク画像データに基づいて、輝度に関する画像データである輝度系画像データを取得する輝度系画像データ取得手段と、輝度系画像データ取得手段により取得された輝度系画像データに対して、点像復元処理を行う点像復元処理実行手段と、被写体の撮影条件に関する撮影情報に基づいて、点像復元処理の実行に関する制御情報を取得する情報取得手段と、情報取得手段により取得した制御情報に基づいて、点像復元処理実行手段の処理動作を制御する点像復元処理制御手段と、を備える。
【発明の概要】
【0005】
本開示の技術に係る一つの実施形態は、従来既知のデモザイク処理のみが行われる場合に比して、画像に生じるモアレを抑制することができる撮像装置、撮像方法、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1態様は、イメージセンサ及びプロセッサを備えた撮像装置であって、プロセッサは、イメージセンサにより撮像されることで得られた撮像画像データに対して画像補間処理を行い、撮像画像データに基づいて表される撮像画像に含まれる複数の画素について、撮像装置と被写体との間の距離を表す距離データを取得し、距離データに基づいて、複数の画素から補正対象画素を特定し、補正対象画素の補正対象画素データに対して、画像補間処理により発生する偽信号を補正する補正処理を行う撮像装置である。
【0007】
本開示の第2態様は、第1態様に係る撮像装置において、補正対象画素は、複数の画素のうち、第1既定周波数よりも高い第1高周波成分の画素データに対応する画素である撮像装置である。
【0008】
本開示の第3態様は、第2態様に係る撮像装置において、プロセッサは、撮像画像データ及び距離データに基づいて、複数の画素から、第1高周波成分の画素データに対応する画素を特定する撮像装置である。
【0009】
本開示の第4態様は、第1態様から第3態様の何れか一つの撮像装置において、補正処理は、彩度を下げる処理、又はフィルタリング処理である撮像装置である。
【0010】
本開示の第5態様は、第1態様から第3態様の何れか一つの撮像装置において、プロセッサは、画像補間処理によって得られる画像補間画像と、距離データに基づいて得られる距離画像との類似度が既定類似度以上である場合には、複数の画素のうち、画像補間画像の類似領域に含まれる画素を補正対象画素として特定する撮像装置である。
【0011】
本開示の第6態様は、第5態様に係る撮像装置において、プロセッサは、類似度が既定類似度以上であれば、複数の画素のうち、距離画像内の連続している画素に対応する画素を補正対象画素として特定する撮像装置である。
【0012】
本開示の第7態様は、第5態様又は第6態様に係る撮像装置において、補正処理は、補正対象画素以外に類似領域に含まれる画素の色で補正対象画素の色を補間する処理である撮像装置である。
【0013】
本開示の第8態様は、第1態様から第7態様の何れか一つの撮像装置において、プロセッサは、距離データから信頼度が第1信頼度以上である第1距離データを取得し、複数の画素のうち、第1距離データに対応する画素を補正対象画素として特定する撮像装置である。
【0014】
本開示の第9態様は、イメージセンサ及びプロセッサを備えた撮像装置であって、プロセッサは、イメージセンサにより撮像されることで得られた撮像画像に含まれる複数の画素について、撮像装置と被写体との間の距離に関する距離データを取得し、距離データに対して方向判別処理を行い、方向判別処理の結果に基づいて、撮像画像を表す撮像画像データに対する画像補間処理を行う撮像装置である。
【0015】
本開示の第10態様は、第9態様に係る撮像装置において、プロセッサは、距離データから信頼度が第2信頼度以上である第2距離データを取得し、第2距離データに対して方向判別処理を行う撮像装置である。
【0016】
本開示の第11態様は、第1態様から第10態様の何れか一つの撮像装置において、イメージセンサは、複数の位相差画素を有し、プロセッサは、撮像画像データから、位相差画素の位相差画素データに基づいて距離データを取得する撮像装置である。
【0017】
本開示の第12態様は、第11態様に係る撮像装置において、位相差画素は、非位相差画素データと、位相差画素データとを選択的に出力する画素であり、非位相差画素データは、位相差画素の全領域によって光電変換が行われることで得られる画素データであり、位相差画素データは、位相差画素の一部の領域によって光電変換が行われることで得られる画素データである撮像装置である。
【0018】
本開示の第13態様は、撮像装置のイメージセンサにより撮像されることで得られた撮像画像データに対して画像補間処理を行うこと、撮像画像データに基づいて表される撮像画像に含まれる複数の画素について、撮像装置と被写体との間の距離を表す距離データを取得すること、距離データに基づいて、複数の画素から補正対象画素を特定すること、及び、補正対象画素の補正対象画素データに対して、画像補間処理により発生する偽信号を補正する補正処理を行うことを備える撮像方法である。
【0019】
本開示の第14態様は、撮像装置のイメージセンサにより撮像されることで得られた撮像画像に含まれる複数の画素について、撮像装置と被写体との間の距離に関する距離データを取得すること、距離データに対して方向判別処理を行うこと、及び、方向判別処理の結果に基づいて、撮像画像を表す撮像画像データに対する画像補間処理を行うことを備える撮像方法である。
【0020】
本開示の第15態様は、コンピュータに、撮像装置のイメージセンサにより撮像されることで得られた撮像画像データに対して画像補間処理を行うこと、撮像画像データに基づいて表される撮像画像に含まれる複数の画素について、撮像装置と被写体との間の距離を表す距離データを取得すること、距離データに基づいて、複数の画素から補正対象画素を特定すること、及び、補正対象画素の補正対象画素データに対して、画像補間処理により発生する偽信号を補正する補正処理を行うことを含む処理を実行させるためのプログラムである。
【0021】
本開示の第16態様は、コンピュータに、撮像装置のイメージセンサにより撮像されることで得られた撮像画像に含まれる複数の画素について、撮像装置と被写体との間の距離に関する距離データを取得すること、距離データに対して方向判別処理を行うこと、及び、方向判別処理の結果に基づいて、撮像画像を表す撮像画像データに対する画像補間処理を行うことを含む処理を実行させるためのプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1実施形態に係る撮像装置の構成の一例を示す概略構成図である。
【
図2】第1実施形態に係る撮像装置の光学系及び電気系のハードウェア構成の一例を示す概略構成図である。
【
図3】第1実施形態に係る光電変換素子の構成の一例を示す概略構成図である。
【
図4】第1実施形態に係るCPUの機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】第1実施形態に係るCPUが実行する画像生成処理の一例を示す説明図である。
【
図6】第1実施形態に係るデモザイク処理の一例を示す説明図である。
【
図7】第1実施形態に係るCPUが実行する画像生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8】第2実施形態に係るCPUが実行する画像生成処理の一例を示す説明図である。
【
図9】第2実施形態に係るCPUが実行する画像生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10】第3実施形態に係るCPUが実行する画像生成処理の一例を示す説明図である。
【
図11】第3実施形態に係るCPUが実行する画像生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面に従って本開示の技術に係る撮像装置、撮像方法、及びプログラムの一例について説明する。
【0024】
先ず、以下の説明で使用される文言について説明する。
【0025】
CPUとは、“Central Processing Unit”の略称を指す。GPUとは、“Graphics Processing Unit”の略称を指す。TPUとは、“Tensor processing unit”の略称を指す。NVMとは、“Non-volatile memory”の略称を指す。RAMとは、“Random Access Memory”の略称を指す。ICとは、“Integrated Circuit”の略称を指す。ASICとは、“Application Specific Integrated Circuit”の略称を指す。PLDとは、“Programmable Logic Device”の略称を指す。FPGAとは、“Field-Programmable Gate Array”の略称を指す。SoCとは、“System-on-a-chip”の略称を指す。SSDとは、“Solid State Drive”の略称を指す。USBとは、“Universal Serial Bus”の略称を指す。HDDとは、“Hard Disk Drive”の略称を指す。EEPROMとは、“Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory”の略称を指す。ELとは、“Electro-Luminescence”の略称を指す。I/Fとは、“Interface”の略称を指す。UIとは、“User Interface”の略称を指す。fpsとは、“frame per second”の略称を指す。MFとは、“Manual Focus”の略称を指す。AFとは、“Auto Focus”の略称を指す。CMOSとは、“Complementary Metal Oxide Semiconductor”の略称を指す。CCDとは、“Charge Coupled Device”の略称を指す。A/Dとは、“Analog/Digital”の略称を指す。PCとは、“Personal Computer”の略称を指す。ISOとは、“International Organization for Standard”の略称を指す。
【0026】
本明細書において、「平行」とは、完全な平行の他に、本開示の技術が属する技術分野で一般的に許容される誤差であって、本開示の技術の趣旨に反しない程度の誤差を含めた意味合いでの平行を指す。また、本明細書の説明において、「一致」とは、完全な一致の他に、本開示の技術が属する技術分野で一般的に許容される誤差であって、本開示の技術の趣旨に反しない程度の誤差を含めた意味合いでの一致を指す。
【0027】
[第1実施形態]
一例として
図1に示すように、撮像装置10は、被写体を撮像する装置であり、コントローラ12、撮像装置本体16、及び交換レンズ18を備えている。撮像装置10は、本開示の技術に係る「撮像装置」の一例であり、コントローラ12は、本開示の技術に係る「コンピュータ」の一例である。コントローラ12は、撮像装置本体16に内蔵されており、撮像装置10の全体を制御する。交換レンズ18は、撮像装置本体16に交換可能に装着される。交換レンズ18には、フォーカスリング18Aが設けられている。フォーカスリング18Aは、撮像装置10のユーザ(以下、単に「ユーザ」と称する)等が撮像装置10による被写体に対する焦点の調整を手動で行う場合に、ユーザ等によって操作される。
【0028】
図1に示す例では、撮像装置10の一例として、レンズ交換式のデジタルカメラが示されている。ただし、本例は、あくまでも一例に過ぎず、撮像装置10は、レンズ固定式のデジタルカメラであってもよいし、スマートデバイス、ウェアラブル端末、細胞観察装置、眼科観察装置、又は外科顕微鏡等の各種の電子機器に内蔵されるデジタルカメラであってもよい。
【0029】
撮像装置本体16には、イメージセンサ20が設けられている。イメージセンサ20は、本開示の技術に係る「イメージセンサ」の一例である。イメージセンサ20は、CMOSイメージセンサである。イメージセンサ20は、少なくとも1つの被写体を含む撮像エリアを撮像する。交換レンズ18が撮像装置本体16に装着された場合に、被写体を示す被写体光は、交換レンズ18を透過してイメージセンサ20に結像され、被写体の画像を示す画像データがイメージセンサ20によって生成される。
【0030】
第1実施形態では、イメージセンサ20としてCMOSイメージセンサを例示しているが、本開示の技術はこれに限定されず、例えば、イメージセンサ20がCCDイメージセンサ等の他種類のイメージセンサであっても本開示の技術は成立する。
【0031】
撮像装置本体16の上面には、レリーズボタン22及びダイヤル24が設けられている。ダイヤル24は、撮像系の動作モード及び再生系の動作モード等の設定の際に操作され、ダイヤル24が操作されることによって、撮像装置10では、動作モードとして、撮像モード、再生モード、及び設定モードが選択的に設定される。撮像モードは、撮像装置10に対して撮像を行わせる動作モードである。再生モードは、撮像モードで記録用の撮像が行われることによって得られた画像(例えば、静止画像及び/又は動画像)を再生する動作モードである。設定モードは、撮像に関連する制御で用いられる各種の設定値を設定する場合などに撮像装置10に対して設定する動作モードである。
【0032】
レリーズボタン22は、撮像準備指示部及び撮像指示部として機能し、撮像準備指示状態と撮像指示状態との2段階の押圧操作が検出可能である。撮像準備指示状態とは、例えば待機位置から中間位置(半押し位置)まで押下される状態を指し、撮像指示状態とは、中間位置を超えた最終押下位置(全押し位置)まで押下される状態を指す。なお、以下では、「待機位置から半押し位置まで押下される状態」を「半押し状態」といい、「待機位置から全押し位置まで押下される状態」を「全押し状態」という。撮像装置10の構成によっては、撮像準備指示状態とは、ユーザの指がレリーズボタン22に接触した状態であってもよく、撮像指示状態とは、操作するユーザの指がレリーズボタン22に接触した状態から離れた状態に移行した状態であってもよい。
【0033】
撮像装置本体16の背面には、指示キー26及びタッチパネル・ディスプレイ32が設けられている。タッチパネル・ディスプレイ32は、ディスプレイ28及びタッチパネル30(
図2も参照)を備えている。ディスプレイ28の一例としては、ELディスプレイ(例えば、有機ELディスプレイ又は無機ELディスプレイ)が挙げられる。ディスプレイ28は、ELディスプレイではなく、液晶ディスプレイ等の他種類のディスプレイであってもよい。
【0034】
ディスプレイ28は、画像及び/又は文字情報等を表示する。ディスプレイ28は、撮像装置10が撮像モードの場合に、ライブビュー画像用の撮像、すなわち、連続的な撮像が行われることにより得られたライブビュー画像の表示に用いられる。ここで、「ライブビュー画像」とは、イメージセンサ20によって撮像されることにより得られた画像データに基づく表示用の動画像を指す。ライブビュー画像を得るために行われる撮像(以下、「ライブビュー画像用撮像」とも称する)は、例えば、60fpsのフレームレートに従って行われる。60fpsは、あくまでも一例に過ぎず、60fps未満のフレームレートであってもよいし、60fpsを超えるフレームレートであってもよい。
【0035】
ディスプレイ28は、撮像装置10に対してレリーズボタン22を介して静止画像用の撮像の指示が与えられた場合に、静止画像用の撮像が行われることで得られた静止画像の表示にも用いられる。また、ディスプレイ28は、撮像装置10が再生モードの場合の再生画像等の表示にも用いられる。更に、ディスプレイ28は、撮像装置10が設定モードの場合に、各種メニューを選択可能なメニュー画面の表示、及び、撮像に関連する制御で用いられる各種の設定値等を設定するための設定画面の表示にも用いられる。
【0036】
タッチパネル30は、透過型のタッチパネルであり、ディスプレイ28の表示領域の表面に重ねられている。タッチパネル30は、指又はスタイラスペン等の指示体による接触を検知することで、ユーザからの指示を受け付ける。なお、以下では、説明の便宜上、上述した「全押し状態」には、撮像開始用のソフトキーに対してユーザがタッチパネル30を介してオンした状態も含まれる。
【0037】
第1実施形態では、タッチパネル・ディスプレイ32の一例として、タッチパネル30がディスプレイ28の表示領域の表面に重ねられているアウトセル型のタッチパネル・ディスプレイを挙げているが、これはあくまでも一例に過ぎない。例えば、タッチパネル・ディスプレイ32として、オンセル型又はインセル型のタッチパネル・ディスプレイを適用することも可能である。
【0038】
指示キー26は、各種の指示を受け付ける。ここで、「各種の指示」とは、例えば、メニュー画面の表示の指示、1つ又は複数のメニューの選択の指示、選択内容の確定の指示、選択内容の消去の指示、ズームイン、ズームアウト、及びコマ送り等の各種の指示等を指す。また、これらの指示はタッチパネル30によってされてもよい。
【0039】
一例として
図2に示すように、イメージセンサ20は、光電変換素子72を備えている。光電変換素子72は、受光面72Aを有する。光電変換素子72は、受光面72Aの中心と交換レンズ18の光軸OAとが一致するように撮像装置本体16内に配置されている(
図1も参照)。光電変換素子72は、マトリクス状に配置された複数の画素を有しており、受光面72Aは、複数の画素によって形成されている。各画素は、フォトダイオード(図示省略)を有する物理的な画素であり、受光した光を光電変換し、受光量に応じた電気信号を出力する。
【0040】
交換レンズ18は、撮像レンズ40を備えている。撮像レンズ40は、対物レンズ40A、フォーカスレンズ40B、ズームレンズ40C、及び絞り40Dを有する。対物レンズ40A、フォーカスレンズ40B、ズームレンズ40C、及び絞り40Dは、被写体側(物体側)から撮像装置本体16側(像側)にかけて、光軸OAに沿って、対物レンズ40A、フォーカスレンズ40B、ズームレンズ40C、及び絞り40Dの順に配置されている。
【0041】
また、交換レンズ18は、制御装置36、第1アクチュエータ37、第2アクチュエータ38、及び第3アクチュエータ39を備えている。制御装置36は、撮像装置本体16からの指示に従って交換レンズ18の全体を制御する。制御装置36は、例えば、CPU、NVM、及びRAM等を含むコンピュータを有する装置である。制御装置36のNVMは、例えば、EEPROMである。ただし、これは、あくまでも一例に過ぎず、EEPROMに代えて、又は、EEPROMと共に、HDD、及び/又はSSD等を制御装置36のNVMとして適用してもよい。また、制御装置36のRAMは、各種情報を一時的に記憶し、ワークメモリとして用いられる。制御装置36において、CPUは、NVMから必要なプログラムを読み出し、読み出した各種プログラムをRAM上で実行することで撮像レンズ40の全体を制御する。
【0042】
なお、ここでは、制御装置36の一例として、コンピュータを有する装置を挙げているが、これは、あくまでも一例に過ぎず、ASIC、FPGA、及び/又はPLDを含むデバイスを適用してもよい。また、制御装置36として、例えば、ハードウェア構成及びソフトウェア構成の組み合わせによって実現される装置を用いてよい。
【0043】
第1アクチュエータ37は、フォーカス用スライド機構(図示省略)及びフォーカス用モータ(図示省略)を備えている。フォーカス用スライド機構には、光軸OAに沿ってスライド可能にフォーカスレンズ40Bが取り付けられている。また、フォーカス用スライド機構にはフォーカス用モータが接続されており、フォーカス用スライド機構は、フォーカス用モータの動力を受けて作動することでフォーカスレンズ40Bを光軸OAに沿って移動させる。
【0044】
第2アクチュエータ38は、ズーム用スライド機構(図示省略)及びズーム用モータ(図示省略)を備えている。ズーム用スライド機構には、光軸OAに沿ってスライド可能にズームレンズ40Cが取り付けられている。また、ズーム用スライド機構にはズーム用モータが接続されており、ズーム用スライド機構は、ズーム用モータの動力を受けて作動することでズームレンズ40Cを光軸OAに沿って移動させる。
【0045】
なお、ここでは、フォーカス用スライド機構とズーム用スライド機構とが別々に設けられている形態例を挙げているが、これはあくまでも一例に過ぎず、フォーカス及びズームを共に実現可能な一体型のスライド機構であってもよい。また、この場合、フォーカス用モータとズーム用モータとを用いずに、1つのモータによって生成された動力がスライド機構に伝達されるようにすればよい。
【0046】
第3アクチュエータ39は、動力伝達機構(図示省略)及び絞り用モータ(図示省略)を備えている。絞り40Dは、開口40D1を有しており、開口40D1の大きさが可変な絞りである。開口40D1は、例えば、複数枚の絞り羽根40D2によって形成されている。複数枚の絞り羽根40D2は、動力伝達機構に連結されている。また、動力伝達機構には絞り用モータが接続されており、動力伝達機構は、絞り用モータの動力を複数枚の絞り羽根40D2に伝達する。複数枚の絞り羽根40D2は、動力伝達機構から伝達される動力を受けて作動することで開口40D1の大きさを変化させる。開口40D1の大きさが変化することで、絞り40Dによる絞り量が変化し、これによって露出が調節される。
【0047】
フォーカス用モータ、ズーム用モータ、及び絞り用モータは、制御装置36に接続されており、制御装置36によってフォーカス用モータ、ズーム用モータ、及び絞り用モータの各駆動が制御される。なお、第1実施形態では、フォーカス用モータ、ズーム用モータ、及び絞り用モータの一例として、ステッピングモータが採用されている。したがって、フォーカス用モータ、ズーム用モータ、及び絞り用モータは、制御装置36からの命令によりパルス信号に同期して動作する。なお、ここでは、フォーカス用モータ、ズーム用モータ、及び絞り用モータが交換レンズ18に設けられている例が示されているが、これは、あくまでも一例に過ぎず、フォーカス用モータ、ズーム用モータ、及び絞り用モータのうちの少なくとも1つが撮像装置本体16に設けられていてもよい。なお、交換レンズ18の構成物及び/又は動作方法は、必要に応じて変更可能である。
【0048】
撮像装置10では、撮像モードの場合に、撮像装置本体16に対して与えられた指示に従ってMFモードとAFモードとが選択的に設定される。MFモードは、手動で焦点を合わせる動作モードである。MFモードでは、例えば、ユーザによってフォーカスリング18A等が操作されることで、フォーカスリング18A等の操作量に応じた移動量でフォーカスレンズ40Bが光軸OAに沿って移動し、これによって焦点の位置が調節される。AFモードでは、AFが行われる。AFとは、イメージセンサ20から得られる信号に従って焦点の位置を調節する処理を指す。例えば、AFモードでは、撮像装置本体16によって撮像装置10と被写体との間の距離が演算され、被写体に焦点が合う位置にフォーカスレンズ40Bが光軸OAに沿って移動し、これによって焦点の位置が調節される。
【0049】
撮像装置本体16は、イメージセンサ20、コントローラ12、画像メモリ46、UI系デバイス48、外部I/F50、通信I/F52、光電変換素子ドライバ54、及び入出力インタフェース70を備えている。また、イメージセンサ20は、光電変換素子72及びA/D変換器74を備えている。
【0050】
入出力インタフェース70には、コントローラ12、画像メモリ46、UI系デバイス48、外部I/F50、通信I/F52、光電変換素子ドライバ54、及びA/D変換器74が接続されている。また、入出力インタフェース70には、交換レンズ18の制御装置36も接続されている。
【0051】
コントローラ12は、撮像装置10の全体を制御する。すなわち、
図2に示す例では、画像メモリ46、UI系デバイス48、外部I/F50、通信I/F52、光電変換素子ドライバ54、及び制御装置36がコントローラ12によって制御される。コントローラ12は、CPU62、NVM64、及びRAM66を備えている。CPU62は、本開示の技術に係る「プロセッサ」の一例であり、NVM64及び/又はRAM66は、本開示の技術に係る「メモリ」の一例である。
【0052】
CPU62、NVM64、及びRAM66は、バス68を介して接続されており、バス68は入出力インタフェース70に接続されている。なお、
図2に示す例では、図示の都合上、バス68として1本のバスが図示されているが、バス68は、複数本のバスであってもよい。バス68は、シリアルバスであってもよいし、データバス、アドレスバス、及びコントロールバス等を含むパラレルバスであってもよい。
【0053】
NVM64は、非一時的記憶媒体であり、各種パラメータ及び各種プログラムを記憶している。各種プログラムには、後述のプログラム65(
図4参照)が含まれる。NVM64は、例えば、EEPROMである。ただし、これは、あくまでも一例に過ぎず、EEPROMに代えて、又は、EEPROMと共に、HDD、及び/又はSSD等をNVM64として適用してもよい。また、RAM66は、各種情報を一時的に記憶し、ワークメモリとして用いられる。CPU62は、NVM64から必要なプログラムを読み出し、読み出したプログラムをRAM66で実行する。CPU62は、RAM66上で実行するプログラムに従って画像処理を行う。
【0054】
光電変換素子72には、光電変換素子ドライバ54が接続されている。光電変換素子ドライバ54は、光電変換素子72によって行われる撮像のタイミングを規定する撮像タイミング信号を、CPU62からの指示に従って光電変換素子72に供給する。光電変換素子72は、光電変換素子ドライバ54から供給された撮像タイミング信号に従って、リセット、露光、及び電気信号の出力を行う。撮像タイミング信号としては、例えば、垂直同期信号及び水平同期信号が挙げられる。
【0055】
交換レンズ18が撮像装置本体16に装着された場合、撮像レンズ40に入射された被写体光は、撮像レンズ40によって受光面72Aに結像される。光電変換素子72は、光電変換素子ドライバ54の制御下で、受光面72Aによって受光された被写体光を光電変換し、被写体光の光量に応じた電気信号を、被写体光を示す撮像データ73としてA/D変換器74に出力する。具体的には、A/D変換器74が、露光順次読み出し方式で、光電変換素子72から1フレーム単位で且つ水平ライン毎に撮像データ73を読み出す。A/D変換器74は、光電変換素子72から読み出されるアナログの撮像データ73をデジタル化する。
【0056】
UI系デバイス48は、ディスプレイ28を備えている。CPU62は、ディスプレイ28に対して、画像メモリ46に記憶された画像データ80を表示させる。画像データ80は、後述する通り、撮像データ73に基づいて生成されたデータである。また、CPU62は、ディスプレイ28に対して各種情報を表示させる。
【0057】
UI系デバイス48は、ユーザからの指示を受け付ける受付デバイス76を備えている。受付デバイス76は、タッチパネル30及びハードキー部78を備えている。ハードキー部78は、指示キー26(
図1参照)を含む複数のハードキーである。CPU62は、タッチパネル30によって受け付けられた各種指示に従って動作する。なお、ここでは、ハードキー部78がUI系デバイス48に含まれているが、本開示の技術はこれに限定されず、例えば、ハードキー部78は、外部I/F50に接続されていてもよい。
【0058】
外部I/F50は、撮像装置10の外部に存在する装置(以下、「外部装置」とも称する)との間の各種情報の授受を司る。外部I/F50の一例としては、USBインタフェースが挙げられる。USBインタフェースには、スマートデバイス、パーソナル・コンピュータ、サーバ、USBメモリ、メモリカード、及び/又はプリンタ等の外部装置(図示省略)が直接的又は間接的に接続される。
【0059】
通信I/F52は、ネットワーク(図示省略)に接続される。通信I/F52は、ネットワーク上のサーバ等の通信装置(図示省略)とコントローラ12との間の情報の授受を司る。例えば、通信I/F52は、コントローラ12からの要求に応じた情報を、ネットワークを介して通信装置に送信する。また、通信I/F52は、通信装置から送信された情報を受信し、受信した情報を、入出力インタフェース70を介してコントローラ12に出力する。
【0060】
一例として
図3に示すように、光電変換素子72の受光面72Aには、複数の感光画素72Bが2次元状に配列されている。各感光画素72Bには、カラーフィルタ(図示省略)、及びマイクロレンズ72Cが配置されている。
図3では、受光面72Aに平行である1つの方向(例えば、2次元状に配列された複数の感光画素72Bの行方向)をX方向とし、X方向に直交する方向(例えば、2次元状に配列された複数の感光画素72Bの列方向)をY方向としている。複数の感光画素72Bは、X方向及びY方向に沿って配列されている。各感光画素72Bは、独立した一対のフォトダイオードPD1及びPD2を含む。
【0061】
フォトダイオードPD1には、撮像レンズ40を透過した被写体を示す光束(以下、「被写体光束」とも称する)が瞳分割されることで得られた第1光束(例えば、撮像レンズ40(
図2参照)における第1の瞳部分領域を通過する光束)が入射され、フォトダイオードPD2には、被写体光束が瞳分割されることで得られた第2光束(例えば、撮像レンズ40(
図2参照)における第2の瞳部分領域を通過する光束)が入射される。フォトダイオードPD1は、第1光束に対する光電変換を行う。フォトダイオードPD2は、第2光束に対する光電変換を行う。
【0062】
一例として、光電変換素子72は、1つの感光画素72Bに一対のフォトダイオードPD1及びPD2が設けられた像面位相差方式の光電変換素子である。一例として、光電変換素子72は、全ての感光画素72Bが撮像及び位相差に関するデータを出力する機能を兼ね備えている。撮像モードにおいて撮像が行われる場合に、光電変換素子72は、一対のフォトダイオードPD1及びPD2を合わせて1つの感光画素72Bとすることで、非位相差画素データ73Aを出力する。また、AFモードでは、光電変換素子72は、一対のフォトダイオードPD1及びPD2のそれぞれから信号を検出することにより、位相差画素データ73Bを出力する。すなわち、光電変換素子72に設けられた全ての感光画素72Bは、いわゆる位相差画素である。
【0063】
感光画素72Bは、非位相差画素データ73Aと、位相差画素データ73Bとを選択的に出力可能である。非位相差画素データ73Aは、感光画素72Bの全領域によって光電変換が行われることで得られる画素データであり、位相差画素データ73Bは、感光画素72Bの一部の領域によって光電変換が行われることで得られる画素データである。ここで、「感光画素72Bの全領域」とは、フォトダイオードPD1とフォトダイオードPD2とを合わせた受光領域である。また、「感光画素72Bの一部の領域」とは、フォトダイオードPD1の受光領域、又はフォトダイオードPD2の受光領域である。
【0064】
なお、非位相差画素データ73Aは、位相差画素データ73Bに基づいて生成することも可能である。例えば、位相差画素データ73Bを、一対のフォトダイオードPD1及びPD2に対応する一対の画素信号ごとに加算することにより、非位相差画素データ73Aが生成される。また、位相差画素データ73Bには、一対のフォトダイオードPD1及びPD2のうちの一方から出力されたデータのみが含まれていてもよい。例えば、位相差画素データ73BにフォトダイオードPD1から出力されたデータのみが含まれている場合には、非位相差画素データ73Aから位相差画素データ73Bを画素ごとに減算することにより、フォトダイオードPD2から出力されるデータを作成することが可能である。
【0065】
感光画素72Bは、本開示の技術に係る「位相差画素」の一例である。複数の感光画素72Bには、赤(R)、緑(G)、又は青(B)のカラーフィルタ(図示省略)が既定のパターン配列(例えば、ベイヤ配列、RGBストライプ配列、R/G市松配列、X-Trans(登録商標)配列、又はハニカム配列等)でマトリクス状に配置されている。以下、複数の感光画素72Bに割り当てられたカラーフィルタで複数の感光画素72Bを区別する場合には、赤色のカラーフィルタが割り当てられた感光画素72BをR感光画素と称し、緑色のカラーフィルタが割り当てられた感光画素72BをG感光画素と称し、青色のカラーフィルタが割り当てられた感光画素72BをB感光画素と称する。
【0066】
撮像データ73は、RAWデータ81及び位相差画素データ73Bを含む。撮像データ73は、本開示の技術に係る「撮像画像データ」の一例である。RAWデータ81は、アナログの非位相差画素データ73AがA/D変換されることによって得られる。すなわち、RAWデータ81は、光電変換素子72から出力された非位相差画素データ73Aがデジタル化されることによって得られるデータである。CPU62は、A/D変換器74からデジタル化された撮像データ73を取得し、取得した撮像データ73に基づいて距離データ82を取得する。例えば、CPU62は、撮像データ73から位相差画素データ73Bを取得し、取得した位相差画素データ73Bに基づいて距離データ82を生成する。CPU62(
図2参照)は、RAWデータ81及び距離データ82に基づいて、後述する画像生成処理を行うことにより、画像データ80(
図2参照)を生成する。CPU62は、生成した画像データ80を画像メモリ46に記憶させる。
【0067】
一例として
図4に示すように、NVM64には、プログラム65が記憶されている。プログラム65は、本開示の技術に係る「プログラム」の一例である。CPU62は、NVM64からプログラム65を読み出し、読み出したプログラム65をRAM66上で実行する。CPU62は、RAM66上で実行するプログラム65に従って、撮像データ73(
図3参照)に基づいて画像データ80を生成する画像生成処理を行う。
【0068】
画像生成処理は、CPU62がプログラム65に従って、RAWデータ取得部101、デモザイク処理部102、距離データ取得部103、信頼度判定部104、高信頼度距離データ取得部105、高周波成分判定部106、高周波成分データ取得部107、補正対象画素特定部108、及びモアレ補正処理部109として動作することで実現される。
【0069】
一例として
図5に示すように、RAWデータ取得部101は、イメージセンサ20により撮像されることで得られた撮像データ73に含まれるRAWデータ81を取得する。
【0070】
デモザイク処理部102は、RAWデータ81に対してデモザイク処理を行う。デモザイク処理は、本開示の技術に係る「画像補間処理」の一例である。一例として
図6には、光電変換素子72(
図3参照)として、R感光画素、G感光画素、及びB感光画素がベイヤ配列で配列された光電変換素子を用いた場合のデモザイク処理の流れの一例が模式的に示されている。RAWデータ81は、各R感光画素から出力されたR画素データと、各G感光画素から出力されたG画素データと、各B感光画素から出力されたB画素データとで構成される。RAWデータ81は、RAW画像91を表すデータである。RAW画像91は、R感光画素に対応するR画素、G感光画素に対応するG画素、及びB感光画素に対応するB画素を有する。R画素は、「R」が表示された画素であり、G画素は、「G」が表示された画素であり、B画素は、「B」が表示された画素である。
【0071】
デモザイク処理は、三板化処理、補間処理、及び合成処理を有する。三板化処理では、RAWデータ81が、R画像データ92、G画像データ93、及びB画像データ94に分割される。R画像データ92は、R感光画素から出力されたR画素データによって構成されており、R画像95を表すデータである。G画像データ93は、G感光画素から出力されたG画素データによって構成されており、G画像96を表すデータである。B画像データ94は、B感光画素から出力されたB画素データによって構成されており、B画像97を表すデータである。
【0072】
補間処理では、R画像データ92に対して、足りない画素の周囲に配置されたG画素とB画素とで足りない画素の赤色の成分を補間する処理が実行される。また、補間処理では、G画像データ93に対して、足りない画素の周囲に配置されたR画素とB画素とで足りない画素の赤色の成分を補間する処理が実行される。また、補間処理では、B画像データ94に対して、足りない画素の周囲に配置されたR画素とG画素とで足りない画素の赤色の成分を補間する処理が実行される。そして、補間処理の後の合成処理では、R画像データ92、G画像データ93、及びB画像データ94が合成されることにより、デモザイク画像データ83が生成される。このように、デモザイク処理部102でデモザイク処理が行われることにより、デモザイク画像データ83が得られる。
【0073】
ところで、例えば、被写体像に画素ピッチよりも細かいエッジが含まれる場合には、エッジに対応する非位相差画素データ73Aが正確に得られないことがある。この場合には、補間処理を行っても、エッジに起因して偽信号が発生することにより、デモザイク画像データ83に基づいて表されるデモザイク画像140に鮮やかな色調となって見えるモアレが生ずる虞がある。デモザイク画像140は、本開示の技術に係る「画像補間画像」の一例である。
【0074】
例えば、
図5に示す例は、被写体130が2つの線状物131を有する例である。
図5に示す例では、被写体130が撮像されることで得られたRAWデータ81に対してデモザイク処理を行った結果、デモザイク画像データ83に基づいて表されるデモザイク画像140には、偽信号に起因する偽色画素141が生じている。本例では、偽信号に起因する偽色画素141が生じる現象をモアレと称する。このようにモアレが発生すると、画質が低下する。
【0075】
そこで、第1実施形態では、画像データ80に基づいて表される画像145にモアレが生じることを抑制するために、CPU62が、距離データ取得部103、信頼度判定部104、高信頼度距離データ取得部105、高周波成分判定部106、高周波成分データ取得部107、補正対象画素特定部108、及びモアレ補正処理部109として動作する。
【0076】
距離データ取得部103は、撮像データ73に含まれる位相差画素データ73Bに基づいて距離データ82を取得する。距離データ82は、デモザイク画像140に含まれる複数の画素のそれぞれについて、撮像装置10と被写体との間の距離を表すデータである。また、距離データ82は、距離画像143を表すデータである。
【0077】
距離画像143には、被写体130が有する2つの線状物131に対応する2つの線画像144が含まれる。2つの線画像144は、被写体130にピントが合っている合焦画素によって形成されている。一方、距離画像143を構成する複数の画素のうち合焦画素以外の画素は、被写体130にピントが合っていない非合焦画素である。フォトダイオードPD1から出力された第1信号による被写体の像と、フォトダイオードPD2から出力された第2信号による被写体の像との位相差(すなわち、ずれ量及びずれ方向)が0である画素は被写体130にピントが合っている合焦画素であり、位相差が0でない画素は被写体130にピントが合っていない非合焦画素である。
【0078】
信頼度判定部104は、距離データ82に信頼度が既定信頼度以上である高信頼度距離データ84が含まれるか否かを判定する。例えば、信頼度判定部104は、距離画像143に含まれる複数の画素に、信頼度が既定信頼度以上である画素が含まれるか否かを判定することにより、距離データ82に信頼度が既定信頼度以上である高信頼度距離データ84が含まれるか否かを判定する。
【0079】
例えば、信頼度判定部104は、複数の画素のそれぞれについて、距離データ82に基づいて位相差を算出した結果、位相差が既定位相差より小さい画素を信頼度が既定信頼度以上の画素であると判断し、位相差が既定位相差以上である画素を信頼度が既定信頼度より低い画素であると判断する。既定位相差は、例えば、画素の全階調の5%未満の値に設定される。
【0080】
また、信頼度判定部104は、複数の画素のそれぞれについて、距離データ82に基づいて被写体までの距離を算出した結果、合焦している画素の被写体までの距離と対象画素の被写体までの距離との距離の差が既定距離以下である画素を信頼度が既定信頼度以上の画素であると判断する。また、信頼度判定部104は、合焦している画素の被写体までの距離と対象画素の被写体までの距離との距離の差が既定距離より大きい画素を信頼度が既定信頼度より低い画素であると判断する。既定距離は、合焦している画素の被写体までの距離の±5%の距離に設定される。
【0081】
また、信頼度判定部104は、複数の画素のそれぞれについて、距離データ82に基づいて画像認識処理を行い、被写体が立体であると認識した画素を信頼度が既定信頼度以上の画素であると判断し、被写体が平面であると認識した画素を信頼度が既定信頼度より低い画素であると判断する。
【0082】
また、信頼度判定部104は、フォーカスレンズ40Bが既定位置よりも像側の位置にある条件で撮像が行われた場合の複数の画素の全てを信頼度が既定信頼度以上の画素であると判断し、フォーカスレンズ40Bが既定位置から被写体側の位置にある条件で撮像が行われた場合の複数の画素の全てを信頼度が既定信頼度より低い画素であると判断する。既定位置は、ユーザによって任意に定められてもよいし、撮像条件等に基づいてCPU62で算出されてもよい。
【0083】
また、信頼度判定部104は、絞り値が既定絞り値以下である条件で撮像が行われた場合の複数の画素の全てを信頼度が既定信頼度以上の画素であると判断し、絞り値が既定絞り値より大きい条件で撮像が行われた場合の複数の画素の全てを信頼度が既定信頼度より低い画素であると判断する。既定絞り値は、ユーザによって任意に定められてもよいし、撮像条件等に基づいてCPU62で算出されてもよい。
【0084】
また、信頼度判定部104は、ISO感度が既定感度以下である条件で撮像が行われた場合の複数の画素の全てを信頼度が既定信頼度以上の画素であると判断し、ISO感度が既定感度より大きい条件で撮像が行われた場合の複数の画素の全てを信頼度が既定信頼度より低い画素であると判断する。既定感度は、ユーザによって任意に定められてもよいし、撮像条件等に基づいてCPU62で算出されてもよい。
【0085】
そして、信頼度判定部104は、距離画像143に含まれる複数の画素に信頼度が既定信頼度以上である画素が含まれる場合には、距離データ82に信頼度が既定信頼度以上である高信頼度距離データ84が含まれると判定する。一方、信頼度判定部104は、複数の画素に信頼度が既定信頼度以上である画素が含まれない場合には、距離データ82に信頼度が既定信頼度以上である高信頼度距離データ84が含まれないと判定する。
【0086】
高信頼度距離データ取得部105は、信頼度判定部104によって距離データ82に信頼度が既定信頼度以上である高信頼度距離データ84が含まれると判定された場合、距離データ82から高信頼度距離データ84を取得する。
【0087】
例えば、高信頼度距離データ取得部105は、信頼度判定部104で信頼度が既定信頼度以上であると判断された画素に対応する位相差画素データ73Bを距離データ82から抽出することにより、抽出した位相差画素データ73Bによって構成された高信頼度距離データ84を取得する。第1実施形態では、上記要領により、距離データ82から信頼度が既定信頼度以上である高信頼度距離データ84が取得される。信頼度が既定信頼度以上である高信頼度距離データ84は、本開示の技術に係る「信頼度が第1信頼度以上である第1距離データ」の一例である。
【0088】
高周波成分判定部106は、高信頼度距離データ84に周波数が第1既定周波数よりも高い第1高周波成分の画素データ(以下、第1高周波成分データ85と称する)が含まれるか否かを判定する。第1高周波成分データ85は、偽信号に対応する信号成分を有するデータである。第1既定周波数は、実験及び又はコンピュータシミュレーション等を用いて任意に設定される。
【0089】
高周波成分判定部106は、例えば、フーリエ変換等の周波数解析処理、又はハイパスフィルタ処理等の高周波成分抽出処理を行うことにより、高信頼度距離データ84に第1高周波成分データ85が含まれるか否かを判定する。
【0090】
高周波成分データ取得部107は、高周波成分判定部106によって高信頼度距離データ84に第1高周波成分データ85が含まれていると判定された場合、高信頼度距離データ84から第1高周波成分データ85を取得する。第1高周波成分データ85は、本開示の技術に係る「第1高周波成分の画素データ」の一例である。
【0091】
補正対象画素特定部108は、デモザイク画像140に含まれる複数の画素のうち、第1高周波成分データ85に対応する画素を、補正の対象である補正対象画素として特定する。デモザイク画像140は、本開示の技術に係る「撮像画像」の一例である。
【0092】
モアレ補正処理部109は、補正対象画素として特定された画素の非位相差画素データ73Aに対して、デモザイク処理により発生する偽信号を補正する補正処理を行う。補正処理は、彩度を下げる処理、ローパスフィルタ処理、又はメディアンフィルタ処理である。彩度を下げる処理は、色差信号(例えば、Cb信号及びCr信号)のパラメータを調整する処理である。また、補正処理は、補正対象画素として特定された画素及びその周辺の画素から出力される非位相差画素データ73Aの最頻値を求める処理又は単純平均値を求める処理でもよい。補正対象画素として特定された画素の非位相差画素データ73Aは、本開示の技術に係る「補正対象画素データ」の一例である。ローパスフィルタ処理及びメディアンフィルタ処理は、それぞれ本開示の技術に係る「フィルタリング処理」の一例である。
【0093】
図5に示す例では、モアレ補正処理部109によって補正処理が行われることにより、デモザイク画像140に含まれる偽色画素141が補正され、画像データ80が表す画像145には、モアレが発生せずに、被写体130が有する2つの線状物131に対応する2つの線画像146が正常に表示される。
【0094】
次に、第1実施形態に係る撮像装置10の作用について
図7を参照しながら説明する。
図7には、第1実施形態に係る画像生成処理の流れの一例が示されている。
図7に示す画像生成処理は、例えば、AFモードにおいてレリーズボタン22により撮像指示が行われる前のライブビュー画像の表示中に実行される。
【0095】
図7に示す画像生成処理では、先ず、ステップS11で、RAWデータ取得部101は、イメージセンサ20により撮像されることで得られた撮像データ73に含まれるRAWデータ81を取得する。
【0096】
ステップS12で、デモザイク処理部102は、RAWデータ81に対してデモザイク処理を行う。
【0097】
ステップS13で、距離データ取得部103は、撮像データ73に含まれる位相差画素データ73Bに基づいて距離データ82を取得する。
【0098】
ステップS14で、信頼度判定部104は、距離データ82に信頼度が既定信頼度以上である高信頼度距離データ84が含まれるか否かを判定する。ステップS14において、距離データ82に高信頼度距離データ84が含まれる場合は、判定が肯定されて、
図7に示す処理は、ステップS15に移行する。一方、ステップS14において、距離データ82に高信頼度距離データ84が含まれない場合は、判定が否定されて、
図7に示す処理は、後述する補正処理を行わずに終了する。
【0099】
ステップS15で、高信頼度距離データ取得部105は、距離データ82から高信頼度距離データ84を取得する。
【0100】
ステップS16で、高周波成分判定部106は、高信頼度距離データ84に周波数が第1既定周波数よりも高い第1高周波成分データ85が含まれるか否かを判定する。ステップS16において、高信頼度距離データ84に第1高周波成分データ85が含まれる場合は、判定が肯定されて、
図7に示す処理は、ステップS17に移行する。一方、ステップS16において、高信頼度距離データ84に第1高周波成分データ85が含まれない場合は、判定が否定されて、
図7に示す処理は、後述する補正処理を行わずに終了する。
【0101】
ステップS17で、高周波成分データ取得部107は、高信頼度距離データ84から第1高周波成分データ85を取得する。
【0102】
ステップS18で、補正対象画素特定部108は、デモザイク画像140に含まれる複数の画素のうち、第1高周波成分データ85に対応する画素を、補正の対象である補正対象画素として特定する。
【0103】
ステップS19で、モアレ補正処理部109は、補正対象画素として特定された画素の非位相差画素データ73Aに対して、デモザイク処理により発生する偽信号を補正する補正処理を行う。
【0104】
図7に示す処理は、ステップS19の処理が実行された後、終了する。なお、上述の撮像装置10の作用として説明した撮像方法は、本開示の技術に係る「撮像方法」の一例である。
【0105】
以上説明したように、第1実施形態に係る撮像装置10では、CPU62は、イメージセンサ20により撮像されることで得られた撮像データ73に対してデモザイク処理を行う。また、CPU62は、デモザイク画像140に含まれる複数の画素のそれぞれについて、撮像装置10と被写体130との間の距離を表す距離データ82を取得し、距離データ82に基づいて、複数の画素から補正対象画素を特定する。そして、CPU62は、補正対象画素の非位相差画素データ73Aに対して、デモザイク処理により発生する偽信号を補正する補正処理を行う。したがって、例えばRAWデータ81に対するデモザイク処理のみが行われる場合に比して、画像145に生じるモアレを抑制することができる。
【0106】
また、CPU62は、距離データ82から、周波数が第1既定周波数よりも高い第1高周波成分データ85を取得し、複数の画素のうち、第1高周波成分データ85に対応する画素を補正対象画素として特定する。したがって、第1高周波成分データ85に対応する画素に対して、デモザイク処理により発生する偽信号を補正する補正処理を行うことができる。
【0107】
また、CPU62は、距離データ82から信頼度が既定信頼度以上である高信頼度距離データ84を取得し、複数の画素のうち、高信頼度距離データ84に対応する画素を補正対象画素として特定する。したがって、距離データ82の全体に基づいて補正対象画素を特定する場合に比して、補正処理すべき補正対象画素を特定する精度を向上させることができる。
【0108】
また、補正処理は、彩度を下げる処理、ローパスフィルタ処理、又はメディアンフィルタ処理である。したがって、補正対象画素の非位相差画素データ73Aに対して、デモザイク処理により発生する偽信号を補正する補正処理を行うことができる。
【0109】
また、イメージセンサ20は、位相差画素である複数の感光画素72Bを有し、CPU62は、撮像データ73から、位相差画素の位相差画素データ73Bに基づいて距離データ82を取得する。したがって、撮像データ73から距離データ82を取得することができる。
【0110】
また、感光画素72Bは、非位相差画素データ73Aと、位相差画素データ73Bとを選択的に出力する画素であり、非位相差画素データ73Aは、感光画素72Bの全領域によって光電変換が行われることで得られる画素データであり、位相差画素データ73Bは、感光画素72Bの一部の領域によって光電変換が行われることで得られる画素データである。したがって、撮像データ73から、RAWデータ81及び距離データ82を取得することができる。
【0111】
なお、第1実施形態では、CPU62は、RAWデータ81及び距離データ82から、周波数が第1既定周波数よりも高い第1高周波成分データをそれぞれ取得し、RAWデータ81及び距離データ82に基づいて、複数の画素から、第1高周波成分データを有する画素を補正対象画素として特定してもよい。本変形例では、距離データ82のみに基づいて補正対象画素を特定する場合に比して、補正処理すべき補正対象画素を特定する精度を向上させることができる。
【0112】
また、第1実施形態では、CPU62は、距離データ82から高信頼度距離データ84を取得し、高信頼度距離データ84から第1高周波成分データ85を取得するが、距離データ82から第1高周波成分データ85を取得してもよい。
【0113】
また、第1実施形態では、CPU62は、光電変換素子72に含まれる画素の各々に対応する位置について距離を取得するが、必ずしもすべての画素に対応する位置から距離を取得する必要はない。すなわち、距離を取得する画素を間引いてもよい。
【0114】
また、第1実施形態では、光電変換素子72は、1つの感光画素72Bに一対のフォトダイオードPD1及びPD2が設けられた像面位相差方式の光電変換素子であり、全ての感光画素72Bが撮像及び位相差に関するデータを出力する機能を兼ね備えているが、全ての感光画素72Bが撮像及び位相差に関するデータを出力する機能を兼ね備えていることには限定されない。光電変換素子72には、撮像及び位相差に関するデータを出力する機能を有しない画素が含まれていてもよい。また、光電変換素子72は、1つの感光画素72Bに一対のフォトダイオードPD1及びPD2が設けられた像面位相差方式の光電変換素子に限られず、非位相差画素データ73Aを取得するための撮像用の画素と、位相差画素データ73Bを取得するための位相差検出用の画素とを含むものであってもよい。この場合、位相差画素は、第1の瞳部分領域と第2の瞳部分領域とのうち一方を受光するように遮光部材が設けられる。
【0115】
また、第1実施形態では、位相差方式の光電変換素子72により距離データ82を取得しているが、位相差方式に限定されず、TOF方式の光電変換素子を用いて距離データ82を取得してもよいし、ステレオカメラ又は深度センサを用いて距離データ82を取得してもよい。なお、距離データ82は、イメージセンサ20のフレームレートに合わせて取得されるようにしてもよいし、イメージセンサ20のフレームレートで規定される時間間隔よりも長い時間間隔又は短い時間間隔で取得されるようにしてもよい。
【0116】
[第2実施形態]
一例として
図8に示すように、第2実施形態では、第1実施形態に対して、CPU62の機能的な構成が次のように変更されている。すなわち、CPU62は、RAWデータ取得部101、デモザイク処理部102、距離データ取得部103、信頼度判定部104、高信頼度距離データ取得部105、高周波成分判定部106、高周波成分データ取得部107、類似領域判定部110、類似領域データ取得部111、補正対象画素特定部112、及びモアレ補正処理部113として動作する。
【0117】
RAWデータ取得部101、デモザイク処理部102、距離データ取得部103、信頼度判定部104、高信頼度距離データ取得部105、高周波成分判定部106、及び高周波成分データ取得部107は、第1実施形態と同じである。
【0118】
一例として
図8には、被写体150のバリエーション、並びに、デモザイク画像データ83によって表されるデモザイク画像、及び距離データ82によって表される距離画像のバリエーションの一例が示されている。
【0119】
例えば、デモザイク画像の第1例である第1デモザイク画像160は、被写体150として立体形状物である第1被写体151にピントが合っている状態で第1被写体151を撮像することで得られた画像である。第1デモザイク画像160には、第1被写体151が有する2つの線状物152及び153に対応する2つの線画像161及び162が含まれる。
【0120】
デモザイク画像の第2例である第2デモザイク画像165は、被写体150として第1被写体151にピントが合っていない状態で第1被写体151を撮像することで得られた画像である。第2デモザイク画像165には、第1被写体151が有する2つの線状物152及び153が複数の画素の全体に亘ってぼやけた状態で表れている。
【0121】
デモザイク画像の第3例である第3デモザイク画像166は、被写体150として例えば印刷物等の平面形状物である第2被写体154にピントが合っている状態で第2被写体154を撮像することで得られた画像である。第2被写体154は、第1被写体151を撮像することで得られた画像を表示する印刷物等の平面形状物である。第3デモザイク画像166には、第2被写体154に含まれる2つの線画像155及び156に対応する2つの線画像167及び168が含まれる。
【0122】
距離画像の第1例である第1距離画像170は、第1被写体151にピントが合っている状態で第1被写体151を撮像することで得られた画像である。第1距離画像170には、第1被写体151が有する2つの線状物152及び153に対応する2つの線画像171及び172が含まれる。
【0123】
距離画像の第2例である第2距離画像173は、第1被写体151にピントが合っていない状態で第1被写体151を撮像することで得られた画像である。第2距離画像173は、複数の画素で第1被写体151との距離に差が生じておらず、複数の画素の全体に亘って均一な画像である。
【0124】
距離画像の第3例である第3距離画像174は、第2被写体154にピントが合っている状態で第2被写体154を撮像することで得られた画像である。第3距離画像174は、複数の画素で第2被写体154との距離に差が生じておらず、複数の画素の全体に亘って均一な画像である。
【0125】
モアレは、被写体像がエッジを有していることに起因して発生するため、合焦時に発生し、非合焦時には発生しない。つまり、第1デモザイク画像160には、偽色画素163が含まれ、第3デモザイク画像166には、偽色画素169が含まれるが、第2デモザイク画像165には、偽色画素が含まれない。
【0126】
また、デモザイク画像データ83によって表されるデモザイク画像と、距離データ82によって表される距離画像とは、被写体150の種別及び/又は撮像条件等に応じて、類似する場合と類似しない場合がある。
【0127】
例えば、立体形状物である第1被写体151にピントが合っている状態で第1被写体151を撮像することで得られた第1デモザイク画像160は、第1被写体151にピントが合っている状態で第1被写体151を撮像することで得られた第1距離画像170と類似し、第1被写体151にピントが合っていない状態で第1被写体151を撮像することで得られた第2距離画像173と類似しない。つまり、第1距離画像170には、第1デモザイク画像160に含まれる2つの線画像161及び162に対応する2つの線画像171及び172が含まれるが、第2距離画像173には、第1デモザイク画像160に含まれる2つの線画像161及び162に対応する2つの線画像が含まれていない。
【0128】
また、立体形状物である第1被写体151にピントが合っていない状態で第1被写体151を撮像することで得られた第2デモザイク画像165は、第1被写体151にピントが合っている状態で第1被写体151を撮像することで得られた第1距離画像170、及び第1被写体151にピントが合っていない状態で第1被写体151を撮像することで得られた第2距離画像173と類似しない。つまり、第2デモザイク画像165には、第1被写体151が有する2つの線状物152及び153が複数の画素の全体に亘ってぼやけた状態で表れているが、第1距離画像170及び第2距離画像173には、第1被写体151が有する2つの線状物152及び153が表れていない。
【0129】
また、例えば印刷物等の平面形状物である第2被写体154にピントが合っている状態で第2被写体154を撮像することで得られた第3デモザイク画像166は、第2被写体154にピントが合っている状態で第2被写体154を撮像することで得られた第3距離画像174と類似しない。つまり、第3距離画像174には、第3デモザイク画像166に含まれる2つの線画像167及び168に対応する2つの線画像が含まれていない。
【0130】
このように、デモザイク画像データ83によって表されるデモザイク画像と、距離データ82によって表される距離画像とは、被写体150の種別及び/又は撮像条件等に応じて、類似する場合と類似しない場合がある。
【0131】
類似領域判定部110は、デモザイク画像データ83及び高信頼度距離データ84に基づいて、デモザイク画像と距離画像との類似度が既定類似度以上であるか否かを判定する。既定類似度は、上述のデモザイク画像及び距離画像の類似及び非類似を判別し得る値に設定される。既定類似度は、固定値でもよく、ユーザによって設定された設定値でもよい。類似度の算出には、ボックスフィルタ、平均二乗誤差、及びテンプレートマッチングの少なくともいずれかが用いられてもよい。
【0132】
図8に示す例では、第1被写体151にピントが合っている状態で第1被写体151が撮像された場合に、第1デモザイク画像160に含まれる線画像161が、第1距離画像に含まれる線画像171と類似する類似領域に相当する。また、第1デモザイク画像160に含まれる線画像162が、第1距離画像に含まれる線画像172と類似する類似領域に相当する。
【0133】
類似領域データ取得部111は、デモザイク画像と距離画像との類似度が既定類似度以上であると判定された場合、デモザイク画像データ83から類似領域に対応するデータ(以下、類似領域データ86と称する)を取得する。
【0134】
補正対象画素特定部112は、類似領域データ86に基づいて、デモザイク画像の類似領域に含まれる画素を補正対象画素として特定する。
【0135】
図8に示す例では、例えば、補正対象画素特定部112は、第1デモザイク画像160の類似領域に含まれる画素のうち、第1高周波成分データ85に対応する画素(すなわち、偽色画素163に対応する画素)を、補正の対象である補正対象画素として特定する。
【0136】
モアレ補正処理部113は、補正対象画素として特定された画素の非位相差画素データ73Aに対して、デモザイク処理により発生する偽信号を補正する補正処理を行う。一例として、補正処理は、補正対象画素以外に類似領域に含まれる画素の色で補正対象画素の色を補間する処理である。
【0137】
図8に示す例では、例えば、モアレ補正処理部113は、線画像161に含まれる偽色画素163に対応する画素の非位相差画素データ73Aを、線画像161に含まれる画素164に対応する画素の非位相差画素データ73Aを用いて補正する。同様に、モアレ補正処理部113は、線画像162に含まれる偽色画素163に対応する画素の非位相差画素データ73Aを、線画像162に含まれる画素164に対応する画素の非位相差画素データ73Aを用いて補正する。
【0138】
そして、モアレ補正処理部109によって補正処理が行われることにより、第1デモザイク画像160に含まれる偽色画素163が補正され、画像データ80が表す画像175には、モアレが発生せずに、第1被写体151が有する2つの線状物152及び153に対応する2つの線画像176及び177が正常に表示される。
【0139】
次に、第2実施形態に係る撮像装置10の作用について
図9を参照しながら説明する。
図9には、第2実施形態に係る画像生成処理の流れの一例が示されている。
図9に示す画像生成処理において、ステップS21~ステップS27は、第1実施形態に係る画像生成処理のステップS11~ステップS17と同様である。
【0140】
図9に示す処理は、ステップS27の後に、ステップS28に移行する。ステップS28で、類似領域判定部110は、デモザイク画像データ83及び高信頼度距離データ84に基づいて、デモザイク画像と距離画像との類似度が既定類似度以上であるか否かを判定する。ステップS28において、デモザイク画像と距離画像との類似度が既定類似度以上である場合は、判定が肯定されて、
図9に示す処理は、ステップS29に移行する。一方、ステップS28において、デモザイク画像と距離画像との類似度が既定類似度未満である場合は、判定が否定されて、
図9に示す処理は、後述する補正処理を行わずに終了する。
【0141】
ステップS29で、類似領域データ取得部111は、デモザイク画像データ83から類似領域データ86を取得する。
【0142】
ステップS30で、補正対象画素特定部112は、類似領域データ86に基づいて、デモザイク画像の類似領域に含まれる画素を補正対象画素として特定する。
【0143】
ステップS31で、モアレ補正処理部113は、補正対象画素として特定された画素の非位相差画素データ73Aに対して、デモザイク処理により発生する偽信号を補正する補正処理を行う。
【0144】
図9に示す処理は、ステップS31の処理が実行された後、終了する。なお、上述の撮像装置10の作用として説明した撮像方法は、本開示の技術に係る「撮像方法」の一例である。
【0145】
以上説明したように、第2実施形態に係る撮像装置10では、CPU62は、デモザイク処理によって得られるデモザイク画像と、距離データ82に基づいて得られる距離画像との類似度が既定類似度以上である場合には、複数の画素のうち、デモザイク画像の類似領域に含まれる画素を補正対象画素として特定する。したがって、デモザイク画像データ83の全体に基づいて補正対象画素を特定する場合に比して、補正処理すべき補正対象画素を特定する精度を向上させることができる。
【0146】
なお、補正対象画素特定部112は、類似度が既定類似度以上であれば、複数の画素のうち、距離画像内の連続している画素に対応する画素を補正対象画素として特定してもよい。
【0147】
図8に示す例では、例えば、補正対象画素特定部112は、複数の画素のうち、第1距離画像170内の連続している画素(すなわち、線画像171及び172を形成する画素)に対応する画素を補正対象画素として特定してもよい。また、この場合に、例えば、モアレ補正処理部113は、複数の画素のうち、線画像171及び172を形成する画素に対応する画素の画素値を平均化することにより補正処理を行ってもよい。この場合には、第1距離画像170内の連続している画素に対応する画素の非位相差画素データ73Aに対して、デモザイク処理により発生する偽信号を補正する補正処理を行うことができる。
【0148】
また、第2実施形態では、CPU62は、距離データ82から高信頼度距離データ84を取得し、高信頼度距離データ84に基づいて類似領域データ86を取得するが、距離データ82に基づいて類似領域データ86を取得してもよい。
【0149】
また、第2実施形態では、CPU62は、高信頼度距離データ84から第1高周波成分データ85を取得し、第1高周波成分データ85及び類似領域データ86に基づいて、補正対象画素を特定するが、類似領域データ86に基づいて、補正対象画素を特定してもよい。
【0150】
[第3実施形態]
一例として
図10に示すように、第3実施形態では、第1実施形態に対して、CPU62の機能的な構成が次のように変更されている。すなわち、CPU62は、RAWデータ取得部101、距離データ取得部103、信頼度判定部104、高信頼度距離データ取得部105、方向判別処理部114、及びデモザイク処理部115として動作する。
【0151】
RAWデータ取得部101、距離データ取得部103、信頼度判定部104、及び高信頼度距離データ取得部105は、第1実施形態と同じである。
【0152】
方向判別処理部114は、高信頼度距離データ84に対して方向判別処理を行う。一例として、方向判別処理は、ソーベルフィルタ処理である。
【0153】
一例として
図10には、方向判別処理による方向判別処理結果87の一例が示されている。方向判別処理結果87は、被写体180について得られた高信頼度距離データ84に対して方向判別処理を行った結果である。第1処理画像181は、方向判別処理としてX方向のエッジを検出する第1方向判別処理を行った結果を示す画像であり、第2処理画像182は、方向判別処理としてY方向のエッジを検出する第2方向判別処理を行った結果を示す画像である。
【0154】
方向判別処理を行うことにより、RAWデータ81に基づいて表されるRAW画像91(
図6参照)に含まれる複数の画素のそれぞれについて画素値が得られる。そして、画素値の配列に基づいて、X方向又はY方向に連続する画素(以下、連続画素と称する)によって形成されるエッジの有無、エッジの位置、及びエッジの延びる方向が判別される。例えば、
図10に示す例では、第1方向判別処理により、Y方向に画素値が「0,0,0・・・」で並ぶ結果が得られている。これにより、連続画素によってY方向に延びるエッジがあることと、エッジのX方向の位置が判別される。また、
図10に示す例では、第2方向判別処理により、X方向に画素値が「0,0,0・・・」で並ぶ結果が得られている。これにより、連続画素によってX方向に延びるエッジがあることと、エッジのY方向の位置が判別される。
【0155】
デモザイク処理部115は、方向判別処理の結果に基づいて、RAWデータ81に対するデモザイク処理を行う。この場合に、デモザイク処理部115は、例えば、方向判別処理に基づいて、注目画素がどの方向のエッジに含まれるかを推定し、注目画素の非位相差画素データ73Aを、注目画素と同じエッジに含まれる近傍画素の非位相差画素データ73Aを優先した加重平均等の処理によって補間する。
【0156】
図10に示す例では、RAWデータ81に対するデモザイク処理において、連続画素に含まれる画素の画素データが補間されることにより、デモザイク画像データ88が表すデモザイク画像183には、モアレが発生せずに、被写体180に対応する被写体像が正常に表示される。
【0157】
第3実施形態において、RAWデータ81に基づいて表されるRAW画像91(
図3参照)は、本開示の技術に係る「撮像画像」の一例である。また、信頼度が既定信頼度以上である高信頼度距離データ84は、本開示の技術に係る「信頼度が第2信頼度以上である第2距離データ」の一例である。
【0158】
次に、第3実施形態に係る撮像装置10の作用について
図11を参照しながら説明する。
図11には、第3実施形態に係る画像生成処理の流れの一例が示されている。
図11に示す画像生成処理において、ステップS31は、第1実施形態に係る画像生成処理のステップS11と同様である。また、
図11に示す画像生成処理において、ステップS32~ステップS34は、第1実施形態に係る画像生成処理のステップS13~ステップ15と同様である。
【0159】
図11に示す処理は、ステップS34の後に、ステップS35に移行する。ステップS35で、方向判別処理部114は、高信頼度距離データ84に対して方向判別処理を行う。
【0160】
ステップS36で、デモザイク処理部115は、方向判別処理の結果に基づいて、RAWデータ81に対するデモザイク処理を行う。
【0161】
図11に示す処理は、ステップS36の処理が実行された後、終了する。なお、上述の撮像装置10の作用として説明した撮像方法は、本開示の技術に係る「撮像方法」の一例である。
【0162】
以上説明したように、第3実施形態に係る撮像装置10では、CPU62は、イメージセンサ20により撮像されることで得られたRAW画像91(
図6参照)に含まれる複数の画素のそれぞれについて、撮像装置10と被写体180との間の距離に関する距離データ82を取得する。また、CPU62は、距離データ82に対して方向判別処理を行い、方向判別処理の結果に基づいて、RAWデータ81に対するデモザイク処理を行う。したがって、例えば、RAWデータ81に対して方向判別処理を行う場合に比して、方向判別の精度を向上させることができる。
【0163】
また、方向判別の精度を向上させることができるので、例えば、RAWデータ81に対するデモザイク処理のみが行われる場合に比して、デモザイク画像183に生じるモアレを抑制することができる。
【0164】
また、CPU62は、距離データ82から信頼度が既定信頼度以上である高信頼度距離データ84を取得し、高信頼度距離データ84に対して方向判別処理を行う。したがって、距離データ82の全体に対して方向判別処理を行う場合に比して、補正処理すべき補正対象画素を特定する精度を向上させることができる。
【0165】
なお、第3実施形態では、CPU62は、距離データ82から高信頼度距離データ84を取得し、高信頼度距離データ84に対して方向判別処理を行うが、距離データ82に対して方向判別処理を行ってもよい。
【0166】
以上、第1実施形態乃至第3実施形態について説明したが、上記実施形態及び変形例は、矛盾が生じない限り互いに組み合わせることが可能である。また、上記実施形態及び変形例が組み合わされた場合に、重複する複数のステップがある場合、各種条件等に応じて複数のステップに優先順位が付与されてもよい。
【0167】
また、上記実施形態では、CPU62を例示したが、CPU62に代えて、又は、CPU62と共に、他の少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのGPU、及び/又は、少なくとも1つのTPUを用いるようにしてもよい。
【0168】
また、上記実施形態では、NVM64にプログラム65が記憶されている形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、プログラム65がSSD又はUSBメモリなどの可搬型の非一時的記憶媒体に記憶されていてもよい。非一時的記憶媒体に記憶されているプログラム65は、撮像装置10のコントローラ12にインストールされる。CPU62は、プログラム65に従って画像生成処理を実行する。
【0169】
また、ネットワークを介して撮像装置10に接続される他のコンピュータ又はサーバ装置等の記憶装置にプログラム65を記憶させておき、撮像装置10の要求に応じてプログラム65がダウンロードされ、コントローラ12にインストールされるようにしてもよい。
【0170】
なお、撮像装置10に接続される他のコンピュータ又はサーバ装置等の記憶装置、又はNVM64にプログラム65の全てを記憶させておく必要はなく、プログラム65の一部を記憶させておいてもよい。
【0171】
また、
図1及び
図2に示す撮像装置10にはコントローラ12が内蔵されているが、本開示の技術はこれに限定されず、例えば、コントローラ12が撮像装置10の外部に設けられるようにしてもよい。
【0172】
また、上記実施形態では、CPU62、NVM64、及びRAM66を含むコントローラ12が例示されているが、本開示の技術はこれに限定されず、コントローラ12に代えて、ASIC、FPGA、及び/又はPLDを含むデバイスを適用してもよい。また、コントローラ12に代えて、ハードウェア構成及びソフトウェア構成の組み合わせを用いてもよい。
【0173】
また、上記実施形態で説明した画像生成処理を実行するハードウェア資源としては、次に示す各種のプロセッサを用いることができる。プロセッサとしては、例えば、ソフトウェア、すなわち、プログラムを実行することで、画像生成処理を実行するハードウェア資源として機能する汎用的なプロセッサであるCPUが挙げられる。また、プロセッサとしては、例えば、FPGA、PLD、又はASICなどの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路が挙げられる。何れのプロセッサにもメモリが内蔵又は接続されており、何れのプロセッサもメモリを使用することで画像生成処理を実行する。
【0174】
画像生成処理を実行するハードウェア資源は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ、又はCPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、画像生成処理を実行するハードウェア資源は1つのプロセッサであってもよい。
【0175】
1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが、画像生成処理を実行するハードウェア資源として機能する形態がある。第2に、SoCなどに代表されるように、画像生成処理を実行する複数のハードウェア資源を含むシステム全体の機能を1つのICチップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、画像生成処理は、ハードウェア資源として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて実現される。
【0176】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路を用いることができる。また、上記の画像生成処理はあくまでも一例である。したがって、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
【0177】
以上に示した記載内容及び図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、及び効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用、及び効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容及び図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことは言うまでもない。また、錯綜を回避し、本開示の技術に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容及び図示内容では、本開示の技術の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
【0178】
本明細書において、「A及び/又はB」は、「A及びBのうちの少なくとも1つ」と同義である。つまり、「A及び/又はB」は、Aだけであってもよいし、Bだけであってもよいし、A及びBの組み合わせであってもよい、という意味である。また、本明細書において、3つ以上の事柄を「及び/又は」で結び付けて表現する場合も、「A及び/又はB」と同様の考え方が適用される。
【0179】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。