(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038402
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】キャップ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/32 20060101AFI20240312BHJP
A61M 5/50 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
A61M5/32 500
A61M5/50
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024004967
(22)【出願日】2024-01-17
(62)【分割の表示】P 2021542266の分割
【原出願日】2019-09-27
(31)【優先権主張番号】18306289.2
(32)【優先日】2018-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ティミス
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・マーク・ケンプ
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ・ダスバッハ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】キャップアセンブリが再装着されるのを防止する薬剤送達デバイスを提供する。
【解決手段】薬剤送達デバイスのハウジングに取り外し可能に取り付けられるように構成されたキャップ本体と、キャップ本体に取り付けられるように構成されたキャップ蓋とを含み、キャップ本体は、キャップアセンブリがその使用準備完了位置で薬剤送達デバイスに取り付けられたときに、キャップ本体の近位端と、キャップ本体の遠位端にあるキャップ蓋とを通して、薬剤送達デバイスのニードルスリーブを受けるように構成され、キャップ蓋は、キャップアセンブリが取り外されて薬剤送達デバイスが使用された後、再キャップ防止要素は、近位方向に延びる突出部を含み、薬剤送達デバイスが使用された後、再キャップしようと試みたとき、キャップアセンブリがハウジングに完全に再装着されるのを防止するために、薬剤送達デバイスのニードルスリーブに係合するように構成される。
【選択図】
図8b
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達デバイス(20)用のキャップアセンブリ(60、70、80)であって:
薬剤送達デバイスのハウジング(11)に取り外し可能に取り付けられるように構成されたキャップ本体(61、71、81)と;
該キャップ本体に取り付けられるように構成されたキャップ蓋(65、75、85)と;を含み、
ここで、キャップ本体とキャップ蓋とは、それらの使用準備完了位置で、薬剤送達デバイスの遠位端(D)に別々に位置するように構成された2つの別個の構成要素であり;
キャップ本体は、キャップアセンブリがその使用準備完了位置で薬剤送達デバイスに取り付けられたときに、キャップ本体の近位端(P)と、キャップ本体の遠位端にあるキャップ蓋とを通して、薬剤送達デバイスのニードルスリーブ(19)を受けるように構成され;
キャップ蓋は、キャップアセンブリが取り外されて薬剤送達デバイスが使用された後、薬剤送達デバイスのハウジングにキャップアセンブリが再装着されるのを防止するように構成された再キャップ防止要素(66)を含み、
再キャップ防止要素は、近位方向に延びる突出部(39)を含み、薬剤送達デバイスが使用された後、再キャップしようと試みたとき、キャップアセンブリが薬剤送達デバイスのハウジングに完全に再装着されるのを防止するために、薬剤送達デバイスのニードルスリーブに係合するように構成される、
前記キャップアセンブリ。
【請求項2】
キャップ蓋(65、75、85)は、第1のロッキング要素(37)を含み、キャップ本体(61、71、81)は、第2のロッキング要素(38)を含み、第1および第2のロッキング要素は、キャップ蓋がキャップ本体に取り付けられた後、キャップ蓋をキャップ本体の内部に保持するために協働するように構成される、請求項1に記載のキャップアセンブリ(60、70、80)。
【請求項3】
再キャップ防止要素(66)を形成する突出部(39)は、キャップ蓋(65、75)の蓋部分(36)から延びる、請求項1または2に記載のキャップアセンブリ(60、70、80)。
【請求項4】
第1のロッキング要素(37)も突出部(39)に位置する、請求項2に従属するときの請求項3に記載のキャップアセンブリ(60、70、80)。
【請求項5】
再キャップ防止要素(66)は、薬剤送達デバイス(20)内でニードルスリーブを使用準備完了位置へ近位方向に移動するために、キャップ蓋(75、85)がキャップ本体(71、81)に取り付けられるときにニードルスリーブ(19)に係合するように構成されたツーリング面(76)を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のキャップアセンブリ(70、80)。
【請求項6】
再キャップ防止要素(66)は、キャップ蓋(75、85)の蓋部分(36)から長手方向に所定の距離だけ延び、ニードルスリーブの第2のロッキング要素(47)が薬剤送達デバイス(20)のハウジング(11)の第1のロッキング要素(42)を越えて近位方向に移動されるように、ニードルスリーブ(19)を近位方向に移動するように構成される、請求項3に従属するときの請求項5に記載のキャップアセンブリ(70、80)。
【請求項7】
キャップ本体(81)は、キャップ蓋保持要素(88)を含み、キャップ蓋保持要素(88)は、キャップ蓋およびキャップ本体の第1および第2のロッキング要素(37、38)の協働によるキャップ本体へのキャップ蓋の取付け前にキャップ本体内にキャップ蓋
(85)を部分的に保持するように構成される、請求項5または6に記載のキャップアセンブリ(80)。
【請求項8】
キャップ本体(61、71、81)は、薬剤送達デバイス(20)のハウジング(11)の内部に少なくとも部分的に受けられるように構成される、請求項1~7のいずれか1項に記載のキャップアセンブリ(60、70、80)。
【請求項9】
キャップ本体(61、71、81)は、キャップ本体の遠位セクション(22a)と近位セクション(22b)との間に形成されたショルダ(27)を含み、ショルダは、使用準備完了位置にあるときに薬剤送達デバイス(20)の主本体の遠位端(D)に当接するように構成される、請求項1~8のいずれか1項に記載のキャップアセンブリ(60、70、80)。
【請求項10】
キャップ本体(61、71、81)の近位セクション(22b)は、キャップ本体が薬剤送達デバイスのハウジングに取り付けられるときに、ニードルスリーブ(19)のロッキング要素(47)を非ロッキング位置に移動するために、薬剤送達デバイス(20)のハウジング(11)内で長手方向に所定の距離だけ延びるように構成される、請求項9に記載のキャップアセンブリ(60、70、80)。
【請求項11】
薬剤送達デバイス(20)用のサブアセンブリであって:
近位(P)および遠位(D)端部を有し、第1のロッキング要素(42)を含むハウジング(11)と;
請求項1~10のいずれか1項に記載のキャップアセンブリ(60、70、80)と;
ハウジング内に少なくとも部分的に受けられ、使用中に針(17)を露出するように近位方向に移動されるように構成されたニードルスリーブ(19)であって、第2のロッキング要素(47)を含むニードルスリーブと;を含み、
ここで、サブアセンブリが使用準備完了位置にあるとき、キャップ本体(61、71、81)は、ハウジングの遠位端に取り付けられ、ニードルスリーブの第2のロッキング要素は、第2のロッキング要素が非ロッキング位置に移動され、キャップ蓋(65、75、85)がキャップ本体の遠位端に取り付けられるように、キャップ本体に係合され、または少なくとも部分的に受けられ;
キャップアセンブリがハウジングから取り外され、サブアセンブリが使用後の位置になった後、ニードルスリーブは使用後の位置にあり、第2のロッキング要素は、第2のロッキング要素が第1のロッキング要素に対して係合可能であるロッキング位置に移動されて、再装着試行中にニードルスリーブをハウジングに対して近位方向に移動することができる距離を少なくとも制限し、
キャップ蓋の再キャップ防止要素(66)はニードルスリーブに係合し、該ニードルスリーブがその使用後の位置になった後、キャップアセンブリがハウジングに完全に取り付けられるのを防止する、
前記サブアセンブリ。
【請求項12】
ハウジング(11)、一端に針(17)を有するシリンジ(18)、ニードルスリーブ(19)、および請求項1~10のいずれか1項に記載のキャップアセンブリ(60、70、80)を含む薬剤送達デバイス(20)。
【請求項13】
シリンジ(18)は薬剤を含む、請求項12に記載の薬剤送達デバイス(20)。
【請求項14】
薬剤送達デバイス(20)をプライミングする方法であって:
キャップ本体(61、71、81)をニードルスリーブ(19)の上に配置する工程と;
キャップ本体の近位端がニードルスリーブのロッキング要素(47)をその非ロッキング位置に移動するまで、キャップ本体を薬剤送達デバイスのハウジング(11)内へ近位方向に移動する工程と;
ニードルスリーブのロッキング要素がハウジングのロッキング要素(42)を越えて近位方向に移動されるまで、ニードルスリーブを近位方向に移動する工程と;
キャップ蓋(65、75、85)がキャップ本体に固定的に取り付けられるまで、キャップ蓋(65、75、85)をキャップ本体に近位方向に移動する工程と
を含む前記方法。
【請求項15】
ニードルスリーブ(19)およびキャップ蓋(65、75、85)をハウジング(11)に対して近位方向に移動する工程は、キャップ蓋を使用してニードルスリーブを近位方向に移動することによって同時に完了される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤送達デバイス用のキャップに関する。キャップは、特に、しかし排他的にではなく、注射デバイス用である。本発明はまた、上記キャップを組み立て、上記キャップの薬剤送達デバイスへの再装着を防止する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動注射器などの注射デバイスは、患者の注射部位に薬剤を投薬するための技術分野で知られている。そのような注射デバイスは、典型的には、本体およびキャップを含む。注射シリンジが本体内にあり、時としてニードルガードで覆われている。キャップおよびニードルシールドは、ニードルシリンジのニードルを遮蔽するために本体に着脱可能に取り付けられる。薬剤を投薬するために、最初にキャップおよびニードルシールドを本体から取り外して、針を露出させる。次いで、注射部位で患者の身体に針が挿入されて、薬剤が投薬される。
【0003】
注射部位で患者の身体に薬剤が送達された後、キャップは、従来の注射デバイスの本体に再装着される。しかし、その場合、注射デバイスが以前に使用されたかどうかをキャップ位置から見分けることは不可能である。したがって、使用済みの注射デバイスの再利用により、患者の身体に薬剤が送達されず、感染などが広がる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、改良されたキャップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、薬剤送達デバイス用のキャップアセンブリであって、薬剤送達デバイスのハウジングに取り外し可能に取り付けられるように構成されたキャップ本体と、キャップ本体に取り付けられるように構成されたキャップ蓋と、を含み、ここで、キャップ本体とキャップ蓋とは、それらの使用準備完了位置で、薬剤送達デバイスの遠位端に別々に位置するように構成された2つの別個の構成要素であり、キャップ本体は、キャップアセンブリがその使用準備完了位置で薬剤送達デバイスに取り付けられたときに、キャップ本体の近位端と、キャップ本体の遠位端にあるキャップ蓋とを通して、薬剤送達デバイスのニードルスリーブを受けるように構成され、キャップ蓋は、キャップアセンブリが取り外されて薬剤送達デバイスが使用された後、薬剤送達デバイスのハウジングにキャップアセンブリが再装着されるのを防止するように構成された再キャップ防止要素を含み、再キャップ防止要素は、近位方向に延びる突出部を含み、薬剤送達デバイスが使用された後、再キャップしようと試みたとき、キャップアセンブリが薬剤送達デバイスのハウジングに完全に再装着されるのを防止するために、薬剤送達デバイスのニードルスリーブに係合するように構成される、キャップアセンブリが提供される。
【0006】
キャップ蓋は、第1のロッキング要素を含むことがあり、キャップ本体は、第2のロッキング要素を含むことがあり、第1および第2のロッキング要素は、キャップ蓋がキャップ本体に取り付けられた後、キャップ蓋をキャップ本体の内部に保持するために協働するように構成される。
【0007】
突出部は、キャップ蓋の蓋部分から延びる再キャップ防止要素を形成することがある。第1のロッキング要素も突出部に位置することがある。
【0008】
再キャップ防止要素は、薬剤送達デバイス内でニードルスリーブを使用準備完了位置へ近位方向に移動するために、キャップ蓋がキャップ本体に取り付けられるときにニードルスリーブに係合するように構成されることがある。
【0009】
再キャップ防止要素は、キャップ蓋の蓋部分から長手方向に所定の距離だけ延びることがあり、ニードルスリーブの第2のロッキング要素が薬剤送達デバイスの主本体の第1のロッキング要素を越えて近位方向に移動されるように、ニードルスリーブを近位方向に移動するように構成される。
【0010】
キャップ本体は、キャップ蓋保持要素を含むことがあり、キャップ蓋保持要素は、キャップ蓋およびキャップ本体の第1および第2のロッキング要素の協働によるキャップ本体へのキャップ蓋の取付け前にキャップ本体内にキャップ蓋を部分的に保持するように構成される。
【0011】
キャップ本体は、薬剤送達デバイスのハウジングの内部に少なくとも部分的に受けられるように構成される。
【0012】
キャップ本体は、キャップ本体の遠位セクションと近位セクションとの間に形成されたショルダを含むことがあり、ショルダは、使用準備完了位置にあるときに薬剤送達デバイスの主本体の遠位端に当接するように構成される。
【0013】
キャップ本体の近位セクションは、キャップ本体が薬剤送達デバイスの主本体に取り付けられるときに、ニードルスリーブのロッキング要素を非ロッキング位置に移動するために、薬剤送達デバイスの主本体内で長手方向に所定の距離だけ延びるように構成されることがある。
【0014】
本発明の別の態様によれば、薬剤送達デバイス用のサブアセンブリであって、近位および遠位端部を有し、第1のロッキング要素を含むハウジングと、上記請求項のいずれか1項に記載のキャップアセンブリと、ハウジング内に少なくとも部分的に受けられ、使用中に針を露出するように近位方向に移動されるように構成されたニードルスリーブであって、第2のロッキング要素を含むニードルスリーブと、を含み、ここで、サブアセンブリが使用準備完了位置にあるとき、キャップ本体は、ハウジングの遠位端に取り付けられ、ニードルスリーブの第2のロッキング要素は、第2のロッキング要素が非ロッキング位置に移動され、キャップ蓋がキャップ本体の遠位端に取り付けられるように、キャップ本体に係合され、または少なくとも部分的に受けられ、キャップアセンブリがハウジングから取り外され、サブアセンブリが使用後の位置になった後、ニードルスリーブは使用後の位置にあり、第2のロッキング要素は、第2のロッキング要素が第1のロッキング要素に対して係合可能であるロッキング位置に移動されて、再装着試行中にニードルスリーブをハウジングに対して近位方向に移動することができる距離を少なくとも制限し、キャップ蓋の再キャップ防止要素はニードルスリーブに係合し、ニードルスリーブがその使用後の位置になった後、キャップアセンブリがハウジングに完全に取り付けられるのを防止する、サブアセンブリが提供される。
【0015】
本発明のさらなる態様によれば、ハウジング、一端に針を有するシリンジ、ニードルスリーブ、および請求項1~10のいずれか1項に記載のキャップアセンブリを含む薬剤送達デバイスが提供される。
【0016】
シリンジは薬剤を含むことがある。
【0017】
本発明の別の態様によれば、薬剤送達デバイスをプライミングする方法であって:キャ
ップ本体をニードルスリーブの上に配置する工程と;キャップ本体の近位端がニードルスリーブのロッキング要素をその非ロッキング位置に移動するまで、キャップ本体を薬剤送達デバイスのハウジング内へ近位方向に移動する工程と;ニードルスリーブのロッキング要素がハウジングのロッキング要素を越えて近位方向に移動されるまで、ニードルスリーブを近位方向に移動する工程と;キャップ蓋がキャップ本体に固定的に取り付けられるまで、キャップ蓋をキャップ本体に近位方向に移動する工程と、を含む方法が提供される。
【0018】
ニードルスリーブおよびキャップ蓋をハウジングに対して近位方向に移動する工程は、キャップ蓋を使用してニードルスリーブを近位方向に移動することによって同時に完了されることがある。
【0019】
別の態様によれば、薬剤送達デバイス用のキャップアセンブリであって、薬剤送達デバイスのハウジングに取り外し可能に取り付けられるように構成されたキャップ本体と、キャップ本体に取り付けられるように構成されたキャップ蓋と、を含み、ここで、キャップ本体とキャップ蓋とは、それらの使用準備完了位置で、薬剤送達デバイスの遠位端に別々に位置するように構成された2つの別個の構成要素であり、キャップ本体は、キャップアセンブリがその使用準備完了位置で薬剤送達デバイスに取り付けられたときに、キャップ本体の近位端と、キャップ本体の遠位端にあるキャップ蓋とを通して、薬剤送達デバイスのニードルスリーブを受けるように構成された、キャップアセンブリが提供される。
【0020】
別の態様によれば、薬剤送達デバイス用のキャップであって、一体に形成されたキャップ本体およびキャップ蓋を含み、キャップ蓋は、使用準備完了位置で薬剤送達デバイスのハウジングに取り外し可能に取り付けられるように構成され、ここで、キャップ本体は、キャップアセンブリがその使用準備完了位置で薬剤送達デバイスに取り付けられたときに、キャップ本体の近位端を通して、薬剤送達デバイスのニードルスリーブを受けるように構成され、キャップ本体は、キャップアセンブリが取り外されて薬剤送達デバイスが使用された後、薬剤送達デバイスのハウジングにキャップアセンブリが再装着されるのを防止するように構成された再キャップ防止要素を含み、再キャップ防止要素は、近位方向に延びる脚部を含み、薬剤送達デバイスが使用された後、再キャップしようと試みたとき、キャップアセンブリが薬物送達デバイスのハウジングに完全に再装着されるのを防止するために、薬物送達デバイスのニードルスリーブに係合するように構成される、キャップが提供される。
【0021】
次に、単に例として、添付図面を参照して実施形態を述べる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1A】自動注射器のハウジングにキャップが取り付けられた状態での、自動注射器の概略側面図である。
【
図1B】キャップがハウジングから取り外された状態での、
図1Aの自動注射器の概略側面図である。
【
図2】本発明による薬剤送達デバイスの斜視図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態のキャップ本体の概略平面図である。
【
図4】
図3のキャップ本体の概略断面斜視図である。
【
図6a】
図3のキャップ本体および
図5のキャップ蓋を有する薬剤送達デバイスを、その事前プライミング位置、その使用準備完了位置、およびその使用後の位置で示す概略側断面図である。
【
図6b】
図3のキャップ本体および
図5のキャップ蓋を有する薬剤送達デバイスを、その事前プライミング位置、その使用準備完了位置、およびその使用後の位置で示す概略側断面図である。
【
図6c】
図3のキャップ本体および
図5のキャップ蓋を有する薬剤送達デバイスを、その事前プライミング位置、その使用準備完了位置、およびその使用後の位置で示す概略側断面図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態のキャップ蓋の概略斜視図である。
【
図8a】再キャップ防止要素を含む本発明による薬剤送達デバイスを、その事前プライミング位置、その使用準備完了位置、およびその使用後の位置で示す概略正面断面図である。
【
図8b】再キャップ防止要素を含む本発明による薬剤送達デバイスを、その事前プライミング位置、その使用準備完了位置、およびその使用後の位置で示す概略正面断面図である。
【
図8c】再キャップ防止要素を含む本発明による薬剤送達デバイスを、その事前プライミング位置、その使用準備完了位置、およびその使用後の位置で示す概略正面断面図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態のキャップ本体の概略断面斜視図である。
【
図11】本発明の第2の実施形態のキャップ蓋の概略斜視図である。
【
図12a】
図11に示されるキャップ蓋および再キャップ防止要素を含む薬剤送達デバイスを、その事前プライミング位置、その使用準備完了位置、およびその使用後の位置で示す概略正面断面図である。
【
図12b】
図11に示されるキャップ蓋および再キャップ防止要素を含む薬剤送達デバイスを、その事前プライミング位置、その使用準備完了位置、およびその使用後の位置で示す概略正面断面図である。
【
図12c】
図11に示されるキャップ蓋および再キャップ防止要素を含む薬剤送達デバイスを、その事前プライミング位置、その使用準備完了位置、およびその使用後の位置で示す概略正面断面図である。
【
図13】本発明の第3の実施形態のキャップ蓋の概略断面斜視図である。
【
図14】
図13のキャップ蓋に部分的に取り付けられた本発明の第3の実施形態のキャップ本体の概略側断面図である。
【
図15a】
図13のキャップ蓋、
図14のキャップ本体、および再キャップ防止要素を含む薬剤送達デバイスを、その事前プライミング位置、その使用準備完了位置、およびその使用後の位置で示す概略正面断面図である。
【
図15b】
図13のキャップ蓋、
図14のキャップ本体、および再キャップ防止要素を含む薬剤送達デバイスを、その事前プライミング位置、その使用準備完了位置、およびその使用後の位置で示す概略正面断面図である。
【
図15c】
図13のキャップ蓋、
図14のキャップ本体、および再キャップ防止要素を含む薬剤送達デバイスを、その事前プライミング位置、その使用準備完了位置、およびその使用後の位置で示す概略正面断面図である。
【
図16a】
図15a~
図15cの薬剤送達デバイスを、その事前プライミング位置、その使用準備完了位置、およびその使用後の位置で示す概略側断面図である。
【
図16b】
図15a~
図15cの薬剤送達デバイスを、その事前プライミング位置、その使用準備完了位置、およびその使用後の位置で示す概略側断面図である。
【
図16c】
図15a~
図15cの薬剤送達デバイスを、その事前プライミング位置、その使用準備完了位置、およびその使用後の位置で示す概略側断面図である。
【
図19】薬剤送達デバイスのハウジング内の
図18のニードルスリーブの概略正面図である。
【
図20a】
図17のキャップおよび
図18のニードルスリーブを含む薬剤送達デバイスの概略断面正面図であって、デバイスは、その事前プライミング位置、その使用準備完了位置、およびその使用後の位置で示されている図である。
【
図20b】
図17のキャップおよび
図18のニードルスリーブを含む薬剤送達デバイスの概略断面正面図であって、デバイスは、その事前プライミング位置、その使用準備完了位置、およびその使用後の位置で示されている図である。
【
図20c】
図17のキャップおよび
図18のニードルスリーブを含む薬剤送達デバイスの概略断面正面図であって、デバイスは、その事前プライミング位置、その使用準備完了位置、およびその使用後の位置で示されている図である。
【
図21a】
図20a~
図20cに示される薬剤送達デバイスを、その事前プライミング位置、その使用準備完了位置、およびその使用後の位置で示す概略側断面図である。
【
図21b】
図20a~
図20cに示される薬剤送達デバイスを、その事前プライミング位置、その使用準備完了位置、およびその使用後の位置で示す概略側断面図である。
【
図21c】
図20a~
図20cに示される薬剤送達デバイスを、その事前プライミング置、その使用準備完了位置、およびその使用後の位置で示す概略側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書で述べる薬物送達デバイスは、患者に薬剤を注射するために構成される。たとえば、送達は、皮下、筋肉内、または静脈内でありうる。そのようなデバイスは、患者または看護師や医師などの介護者が操作することができ、様々なタイプの安全シリンジ、ペン型注射器、または自動注射器を含むことができる。デバイスは、使用前に封止されているアンプルへの穿孔を必要とするカートリッジベースのシステムを含むことができる。これらの様々なデバイスによって送達される薬剤の体積は、約0.5ml~約3mlの範囲でありうる。さらに別のデバイスは、大容量デバイス(「LVD」)またはパッチポンプを含むことができ、ある期間(たとえば、約5、15、30、60、または120分間)にわたって患者の皮膚に付着して、「大きい」体積の薬剤(典型的には、約2ml~約10ml)を送達するように構成される。
【0024】
また、本明細書で述べるデバイスは、特定の薬剤と組み合わせて、所要の仕様の範囲内で動作するようにカスタマイズされる。たとえば、デバイスは、特定の期間内(たとえば、自動注射器の場合には約3~約20秒、LVDの場合には約10分~約60分)に薬剤を注射するようにカスタマイズされる。他の仕様としては、低レベルもしくは最小レベルの不快感、または人的要因、保存寿命、使用期限、生体適合性、環境への配慮などに関連する特定の条件を挙げることができる。そのような条件のばらつきは、たとえば約3cP~約50cPの粘度の範囲内の薬物など、様々な要因により生じる可能性がある。したがって、薬物送達デバイスは、サイズが約25~約31ゲージの範囲の中空針を含むことが多い。一般的なサイズは、27および29ゲージである。
【0025】
本明細書で述べる送達デバイスは、1つまたはそれ以上の自動機能を含むこともできる。たとえば、針挿入、薬剤注射、および針後退のうちの1つまたはそれ以上を自動化することができる。1つまたはそれ以上の自動化工程のためのエネルギーは、1つまたはそれ以上のエネルギー源によって提供することができる。エネルギー源は、たとえば、機械的、空気圧的、化学的、または電気的エネルギーを含むことがある。たとえば、機械的エネルギー源としては、エネルギーを蓄積または解放するためのばね、てこ、エラストマー、または他の機械的機構を挙げることができる。1つまたはそれ以上のエネルギー源を単一のデバイスに組み合わせることができる。デバイスは、エネルギーをデバイスの1つまたはそれ以上の構成要素の動きに変換するためのギア、弁、または他の機構をさらに含むことができる。
【0026】
自動注射器の1つまたはそれ以上の自動機能は、それぞれ起動機構によって起動される。そのような起動機構としては、ボタン、レバー、ニードルスリーブ、または他の起動構成要素のうちの1つまたはそれ以上を挙げることができる。自動機能の起動は、単工程または多工程のプロセスでありうる。すなわち、ユーザは、自動機能を引き起こすために、
1つまたはそれ以上の起動構成要素を起動させる必要がありうる。たとえば、単工程プロセスでは、ユーザは、薬剤の注射を引き起こすために、自分の身体にニードルスリーブを押し当てることがある。他のデバイスは、自動機能の多工程起動を必要とすることがある。たとえば、ユーザは、注射を引き起こすために、ボタンを押し下げて、ニードルシールドを後退させる必要がある。
【0027】
さらに、1つの自動機能の起動が、1つまたはそれ以上の後続の自動機能を起動し、それにより起動シーケンスを形成することがある。たとえば、第1の自動機能の起動は、針挿入、薬剤注射、および針後退のうちの少なくとも2つを起動させることがある。また、いくつかのデバイスは、1つまたはそれ以上の自動機能を生じさせるために特定の工程シーケンスを必要とすることもある。他のデバイスは、一連の独立した工程で動作することがある。
【0028】
いくつかの送達デバイスは、安全シリンジ、ペン型注射器、または自動注射器の1つまたはそれ以上の機能を含むことができる。たとえば、送達デバイスは、(自動注射器において通常見られるような)薬剤を自動的に注射するように構成された機械的エネルギー源と、(ペン型注射器において通常見られるような)用量設定機構とを含むことができる。
【0029】
本開示のいくつかの実施形態によれば、例示的な薬物送達デバイス10が
図1Aおよび
図1Bに示されている。デバイス10は、上述したように、薬剤を患者の体内に注射するために構成されている。デバイス10はハウジング11を含み、ハウジング11は、典型的には、注射予定の薬剤を含むリザーバ(たとえばシリンジ)と、送達プロセスの1つまたはそれ以上の工程を容易にするために必要とされる構成要素とを含む。デバイス10はまた、ハウジング11に着脱可能に取り付けることができるキャップアセンブリ12を含むことができる。典型的には、ユーザは、キャップ12をハウジング11から取り外さなければ、デバイス10を操作することができない。
【0030】
図示されるように、ハウジング11は実質的に円筒形であり、長手方向軸A-Aに沿って実質的に一定の直径を有する。ハウジング11は、遠位領域Dおよび近位領域Pを有する。「遠位」という用語は、注射部位に比較的近い位置を表し、「近位」という用語は、注射部位から比較的遠い位置を表す。
【0031】
デバイス10はまた、ハウジング11に連結されたニードルスリーブ19を含み、ハウジング11に対するスリーブ19の動きを可能にすることができる。たとえば、スリーブ19は、長手方向軸A-Aに平行な長手方向で移動することができる。具体的には、近位方向へのスリーブ19の動きは、針17がハウジング11の遠位領域Dから延びることを可能にすることができる。
【0032】
針17の挿入は、いくつかの機構によって行うことができる。たとえば、針17は、ハウジング11に対して固定的に位置し、最初は、延ばされたニードルスリーブ19内に位置する。スリーブ19の遠位端を患者の身体に配置し、ハウジング11を遠位方向に移動することによるスリーブ19の近位運動により、針17の遠位端が露出される。そのような相対運動は、針17の遠位端が患者の体内に延びることを可能にする。そのような挿入は、患者がスリーブ19に対してハウジング11を手で移動することによって針17が手動で挿入されるので、「手動」挿入と呼ばれる。
【0033】
別の挿入形態は「自動」であり、針17がハウジング11に対して移動する。そのような挿入は、スリーブ19の動きによって、またはたとえばボタン13など別の起動形態によってトリガすることができる。
図1Aおよび
図1Bに示されるように、ボタン13は、ハウジング11の近位端に位置する。しかし、他の実施形態では、ボタン13は、ハウジ
ング11の側面に位置することもある。
【0034】
他の手動または自動機能は、薬物注射もしくは針後退、またはその両方を含むことができる。注射は、栓またはピストン14がシリンジ18内部の近位位置からシリンジ18内部のより遠位の位置に移動されて、シリンジ18から針17を通して薬剤を押し出すプロセスである。いくつかの実施形態では、駆動ばね(図示せず)は、デバイス10が起動される前に圧縮されている。駆動ばねの近位端は、ハウジング11の近位領域P内部に固定することができ、駆動ばねの遠位端は、ピストン14の近位面に圧縮力を加えるように構成することができる。起動後、駆動ばねに蓄積されたエネルギーの少なくとも一部を、ピストン14の近位面に加えることができる。この圧縮力は、ピストン14に作用して、ピストン14を遠位方向に移動することができる。そのような遠位運動は、シリンジ18内部の液体薬剤を圧縮するように作用し、液体薬剤を針17から押し出す。
【0035】
注射後、針17をスリーブ19またはハウジング11内部に後退させることができる。ユーザがデバイス10を患者の身体から取り外す際にスリーブ19が遠位方向に移動するとき、後退が生じることがある。これは、針17がハウジング11に対して固定的に位置するままであるときに生じることがある。スリーブ19の遠位端が針17の遠位端を越えて移動して針17が覆われた後、スリーブ19をロックすることができる。そのようなロッキングは、ハウジング11に対するスリーブ19の任意の近位運動をロックすることを含むことができる。
【0036】
針17がハウジング11に対して移動される場合、別の形態の針後退が生じることがある。そのような動きは、ハウジング11内部のシリンジ18がハウジング11に対して近位方向に移動される場合に生じることがある。この近位運動は、遠位領域Dに位置する収縮ばね(図示せず)を使用することによって実現することができる。圧縮された収縮ばねは、起動されるとき、シリンジ18に十分な力を供給して、シリンジ18を近位方向に移動することができる。十分な後退後、針17とハウジング11との任意の相対運動をロッキング機構でロックすることができる。さらに、ボタン13、またはデバイス10の他の構成要素を、必要に応じてロックすることができる。
【0037】
ここで
図2を参照すると、本発明による薬剤送達デバイス20が示されている。この薬剤送達デバイスは、上述したデバイス10に類似しているので、同じ構成には同じ参照番号を用いる。図示されるように、薬剤送達デバイス20は、ハウジング11に取り外し可能に取り付けることができるキャップアセンブリ60、70、80を含む。ユーザは、キャップ60、70、80をハウジング11から取り外さなければ、デバイス20を操作することができない。
【0038】
図示されるように、ハウジング11は実質的に正方形断面を有し、長手方向軸A-Aに沿って実質的に一定の直径を有する。しかし、ハウジング11の断面は任意の形状でよいことを理解されたい。ハウジング11は、遠位領域Dおよび近位領域Pを有する。「遠位」という用語は、注射部位に比較的近い位置を表し、「近位」という用語は、注射部位から比較的遠い位置を表す。
【0039】
図3および
図4を参照すると、本発明のキャップアセンブリ12の一部の概略上面図および斜視断面図を見ることができる。デバイス20内の薬剤が患者に注射予定であるとき、キャップアセンブリ12は、薬剤送達デバイス20のハウジング11から取り外され、したがって注射部位に対して配置されないことを理解されたい。しかし、デバイス20の説明の一貫性を保つために、キャップアセンブリ12がハウジング11に取り付けられているときにハウジング11から最も遠いキャップアセンブリ12の端部を遠位領域D’と呼ぶ。キャップアセンブリ12がハウジング11に取り付けられるとき、その領域が針1
7の端部に比較的近いからである。キャップアセンブリ12の近位領域P’は、キャップアセンブリ12がハウジング11に取り付けられるときに針17の先端から比較的遠いキャップアセンブリ12の領域である。
【0040】
図3および
図4に示されるキャップアセンブリ12の部分は、キャップ本体21である。キャップ本体21は、薬剤送達デバイス20のハウジング11の遠位端Dに取り外し可能に取り付けられるように構成される。キャップアセンブリ12は、以下でより詳細に述べるように、キャップ本体21およびキャップ蓋35を含む。キャップ本体21は、概して管状であり、開いた近位端P’および実質的に開いた遠位端D’を含む。開端キャップ本体21は、製造および組立て中にキャップ本体21を両端から工具で固定することを可能にし、これは、リフタの必要性をなくし、部材の排出を助ける。キャップ本体21の近位端P’は、キャップ本体21がその使用準備完了位置でハウジング11に取り付けられるときに、キャップ本体21の開端部を通してニードルスリーブ19を受けるように構成される。キャップ本体21の遠位端D’は、キャップ蓋がキャップ本体21に取り付けられるときに、キャップ本体21の開端部を通してキャップ蓋を受けるように構成される。
【0041】
キャップ本体21は、外壁部材22を含む。外壁部材22は、外面23、内面24、遠位端面25、および近位端面26を含む。外壁部材22は、キャップ本体21の周りに延びるショルダ27をさらに含む。ショルダ27は、キャップ本体21の遠位セクションと近位セクションとの間に位置する。すなわち、ショルダ27は、キャップ本体21の近位および遠位端面25、26の間に位置する。好ましくは、ショルダ27は、長手方向でキャップ本体21のほぼ中央にある。ショルダ27は、外壁部材22に実質的に垂直に、かつ端面25、26に平行に延びる。ショルダ27は、外壁部材22を遠位セクション22aおよび近位セクション22bに分割する。
【0042】
外壁部材22の近位セクション22bは、キャップ本体21がハウジング11に取り付けられ、デバイス20がその使用準備完了位置にあるときに、ハウジング11の遠位端の内部に位置するように構成される。キャップ本体21のショルダ27は、その使用準備完了位置で、ハウジング11の遠位端に当接する。キャップ本体21は、外壁部材22の近位セクション22bの外面23bとハウジング11の内面との摩擦によってハウジング11内に保持される。摩擦は、2つの部材間の締まり嵌めによって引き起こされる。さらに、近位セクション22bの外面23bは、締まり嵌めを引き起こすかまたは強化する少なくとも1つの突出部28を含むことがある。
【0043】
キャップ本体21は、内壁部材30をさらに含むことがある。内壁部材30は管状であり、概して円筒形であり、外壁部材22の内部に含まれる。内壁部材30は、ニードルシールド(図示せず)を受けるように構成される。内壁部材30は、キャップ本体21がハウジング11に取り付けられ、デバイス20がその使用準備完了位置にあるときにニードルシールドを把持するために構成された把持要素31を含むことがある。その後、キャップ本体21がハウジング11から取り外されるとき、把持要素31はまた、ニードルシールド32もハウジング11から取り外されることを保証する。内壁部材30は、リブ33によって外壁部材22に連結される。
【0044】
ここで
図5を参照すると、キャップアセンブリ12と共に使用するためのキャップ蓋35が示されている。キャップ蓋35は、キャップ本体21とは別個の構成要素である。キャップ蓋35は、キャップ本体21とは別個に、薬剤送達デバイス20の残りの部分に連結される。キャップ蓋35は、キャップ本体21の内部に位置可能である。本出願に関連する「内部」という用語は、「実質的に内部」を意味することを意図されている。すなわち、キャップ蓋35の少なくとも一部は、キャップ本体21の内部に受けられるか、または内部に位置するように構成される。
【0045】
キャップ蓋35は、キャップ蓋35がキャップ本体21の内部に位置するときにキャップ本体21の開いた遠位端D’を閉じるように構成された蓋部分36を含む。キャップ蓋35は、キャップ蓋35の蓋部分36がキャップ本体21の開端部D’を閉じない第1の位置と、キャップ蓋35の蓋部分36がキャップ本体21の開端部D’を閉じる第2の位置とを有する。
図5に示されるキャップ蓋35の第1の位置は、キャップ蓋35がキャップ本体21に取り付けられていないときであり、第2の位置は、キャップ蓋35がキャップ本体21に連結されているときである。
【0046】
キャップ蓋35は、ロッキング要素37をさらに含む。ロッキング要素37は、キャップ蓋35がキャップ本体21に取り付けられるときに、キャップ蓋35をキャップ本体21に固定的に取り付けるように構成される。キャップ本体21は、
図6a~
図6cに示される対応するロッキング要素38をさらに含むことがある。ロッキング要素38は、キャップ蓋35をキャップ本体21に固定的に取り付けるために、キャップ蓋35のロッキング要素37と協働するように構成される。ロッキング要素38は、外壁部材22の遠位セクション22aの内面24上または内に位置する。第1のロッキング要素37は、第2のロッキング要素38に向かって外方向に、薬剤送達デバイス20の中心長手方向軸から離れるように延びる。
【0047】
図5に示されるように、キャップ蓋35は、キャップ蓋35の蓋部分36の内面40から延びる突出部39をさらに含むことがある。突出部39は近位方向に延びる。突出部は、限定はしないがたとえば脚部39でよい。ロッキング要素35は、蓋部分36の内面40からある距離で脚部39に位置し、その距離は、キャップ本体21の遠位端D’と外壁部材22の内面24にあるロッキング要素38との間の距離に対応する。ロッキング要素37は、限定はしないがたとえばスナップ嵌め要素でよく、ロッキング要素38は、限定はしないがたとえばスナップ嵌め要素または凹部でよい。当業者によって理解されるように、キャップ本体21およびキャップ蓋35のそれぞれに複数の対応するロッキング要素37、38がありうる。ロッキング要素37、38は、限定はしないがたとえば超音波、レーザ、または摩擦によって接着または溶接される。協働するロッキング要素37、38は、キャップ本体21およびキャップ蓋35の周りで等距離に離間配置されているか、またはいくつかの領域にグループ化される。好ましくは、ロッキング要素37、38は、締まり嵌めを誘発し、キャップ本体21とキャップ蓋35との間の横方向運動を防止するように離間配置される。
【0048】
ここで
図6a~
図6cを参照すると、
図5に示されるキャップ蓋35を含むキャップアセンブリ12と、薬剤送達デバイス20のハウジング11との概略側断面図であり、薬剤送達デバイス20は、
図6aにはその事前プライミング位置で示され、
図6bにはその使用準備完了位置で示され、
図6cではその使用後の位置で示されている。ハウジング11を含む薬剤送達デバイス20、ニードルスリーブ19、およびキャップ本体21は本実施形態の一部であるが、キャップ蓋35はそうではない。
【0049】
キャップ蓋35のロッキング要素37は、概して鋸歯状のプロファイルを有するが、ロッキング要素37は、ロッキング機能を提供する任意の他の幾何形状でもよいことを理解されたい。ロッキング要素37は、第1の表面37aおよび第2の表面37bを含む。第1の表面37aは、キャップ蓋35がキャップ本体21に取り付けられた後にキャップ本体21から取り外されるのを防止するように構成されたロッキング面である。
【0050】
ロッキング面37aは、キャップ本体21のロッキング要素38の凹部38aに位置するように構成される。凹部38aは、凹部38a内部にキャップ蓋35のロッキング面37aを保持するロッキング面38bを含む。ロッキング要素37、38のロッキング面3
7a、38bは、薬剤送達デバイス20の長手方向軸に対して概して垂直に延びる。いくつかの実施形態では、ロッキング面37a、38bは、キャップアセンブリ21の2つの部分のより信頼性の高いロッキングを提供するために、傾斜され、概して遠位方向に延びることがある。
【0051】
第1のロッキング要素37の第2の表面37bは、概して遠位方向に傾斜され、キャップ本体21へのキャップ蓋35の取付け中に脚部39を内方向に移動する。脚部39は弾性変形可能であり、したがって、第1のロッキング要素37が第2のロッキング要素38を通過した後、脚部39はその元の位置に跳ね戻って、キャップ本体21の第2のロッキング要素38内に第1のロッキング要素37を配置する。
【0052】
図6aは、ニードルスリーブ19がハウジング11の内部に受けられた状態での薬剤送達デバイス20のハウジング11の遠位端Dを示す。ハウジング11は、実質的に中空であり、内面41を含む。ハウジング11の内面41は、第1のロッキング要素42を含む。第1のロッキング要素42は、以下でより詳細に説明するように、薬剤送達デバイス20の使用後、ニードルスリーブ19が所定の点を越えてハウジング11に対して近位方向に移動するのを防止する、または少なくとも制限するように構成される。
【0053】
また、第1のロッキング要素42は、ハウジング11に対して遠位方向へのニードルスリーブ19の動きを可能にするように構成される。本実施形態では、第1のロッキング要素42は、ハウジング11の内面41から内方向に延びる突起を含む。
図6aに示されるように、突起は概して鋸歯状のプロファイルを有し、ニードルスリーブ19の遠位運動を可能にし、薬剤送達デバイス20の使用後の所定の点を越えるニードルスリーブ19の近位運動を防止する、または少なくとも制限する。
【0054】
上述した機能を実現するために、突起は、第1の表面44および第2の表面45を有する。第1の表面44は、薬剤送達デバイス20の使用後にニードルスリーブ19が所定の点を越えて近位方向に移動されるのを防止するように構成される。第1の表面44は、ニードルスリーブ19が係合するように構成された係合面であり、使用後に、所定の点を越えるハウジング11に対するニードルスリーブ19の近位運動を防止する、または少なくとも制限する。
【0055】
薬剤送達デバイス20の本実施形態では、第1の表面44は、薬剤送達デバイス20の長手方向軸に対して垂直に延びる。すなわち、ハウジング11の内面41から薬剤送達デバイス20の中心長手方向軸に向かって内方向に延びる。しかし、第1の表面44は、所定の点を越えるニードルスリーブ19の近位運動を防止する、または少なくとも制限するように任意の幾何形状で構成されることを理解されたい。一般に、第1の表面44は、ハウジング11の遠位領域Dの方向を向く。たとえば、代替実施形態では、第1の表面44は、ハウジング11の遠位領域Dに向けて傾斜される。
【0056】
第2の表面45は、薬剤送達デバイス20の使用後、遠位方向で所定の点を越えるニードルスリーブ19の動きを可能にするように構成されて、ニードルスリーブ19が針17全体を取り囲むようにし、それにより、対象の患者への薬剤の注射後に患者または介護者の皮膚に針17が誤って穿孔することはない。第2の表面45は、以下でより詳細に説明するように、ニードルスリーブ19が係合するように構成されるが、遠位方向へのその動きを阻止されることなく通過することができる傾斜面である。
【0057】
薬剤送達デバイス20の本実施形態では、第2の表面45は、ハウジング11の内面41から、鋭角を成すように薬剤送達デバイス20の長手方向軸に対して傾斜した角度で、概して内方向に延びる。第2の表面45は、ハウジング11の近位領域Pの方向に概して
面するように傾斜される。第2の表面45は、薬剤が患者に注射された後、ニードルスリーブ19の遠位方向への移動を可能にする任意の他の幾何形状になるように構成されることを理解されたい。たとえば、第2の表面45は、弧状プロファイルを含むことがあるが、代替形態はそのような形状に限定されない。
【0058】
ニードルスリーブ19は主本体46を含み、主本体46は、概して管状であり、キャップアセンブリ12が薬剤送達デバイス20のハウジング11から取り外されたときに針17の周りに延びるように構成される。注射中、ニードルスリーブ19は、ハウジング11に対して近位方向に移動され、針17が患者の皮膚を穿孔することを可能にする。
【0059】
ニードルスリーブ19は、第2のロッキング要素47をさらに含む。第2のロッキング要素47は、ハウジング11の第1のロッキング要素42と協働するように構成され、以下でより詳細に説明するように、薬剤送達デバイス20の使用後にニードルスリーブ19が所定の点を越えて近位方向に移動するのを防止する、または少なくとも制限する。ロッキング要素47は、ニードルスリーブ19の近位運動を防止することができるロッキング位置と、ニードルスリーブ19の近位運動を許可することができる非ロッキング位置とを有する。
【0060】
本実施形態では、ニードルスリーブ19の第2のロッキング要素47は、薬剤送達デバイス20の中心長手方向軸に対してニードルスリーブ19の主本体46の外側に位置する自由端49を有するアーム48を含む。
【0061】
第2のロッキング要素47のアーム48は、ニードルスリーブ19の主本体46からハウジング11の内面41に向かって延びるように構成される。アーム48は、薬剤送達デバイス20の長手方向軸に対して鋭角で延び、したがって概して薬剤送達デバイス20の近位領域Pに向かって延びる。アーム48の自由端49は、ハウジング11の第1のロッキング要素42の第1の表面44に係合するように構成され、ニードルスリーブ19が所定の点を越えて移動するのを防止する、または少なくとも制限する。アーム48は、そのロッキング位置に配設されるまたは外方向に付勢されることがあり、弾性変形可能でよい。
【0062】
図6aに示される事前プライミング位置に達するために、ニードルスリーブ19は、まず、ハウジング11の開いた遠位端Dに配置される。ハウジング11へのニードルスリーブ19の初期挿入中、ニードルスリーブ19のロッキング要素47はそのロッキング位置にあり、したがって、近位方向への動きは、第1のロッキング要素42の第1の表面44とアーム48の自由端49との接触によって停止される。
【0063】
第1のロッキング要素42の突起43を越えてニードルスリーブ19のアーム48の自由端49を移動することができるように、ロッキング要素47はその非ロッキング位置に移動されなければならない。これを実現するために、キャップ本体21がハウジング11に挿入される。キャップ本体21は、外壁部材22の下側セクション22bがニードルスリーブ19とハウジング11の内面41との間に位置するように、ハウジング11に挿入される。キャップ本体21は、キャップ本体21がハウジング11に取り付けられたときに、外壁部材22の端面26がニードルスリーブ19のアーム48に接触することができるように構成される。すなわち、外壁部材22の下側セクション22bの内面24は、ニードルスリーブ19と実質的に同じ幾何形状およびサイズである。
【0064】
次いで、キャップ本体21は、キャップ本体21のショルダ27が薬剤送達デバイス20のハウジング11の遠位端Dに当接するまで近位方向に動かされる。外壁部材22がニードルスリーブ19に対して近位方向に移動すると、外壁部材22の下側セクション22
bの近位端面26が第2のロッキング要素47のアーム48に接触する。外壁部材22の近位端面26とアーム48との最初の接触は、アーム48がニードルスリーブ19から延びる点、すなわちアーム48の自由端49とは反対側の端部に近接して生じる。
【0065】
キャップ本体21がニードルスリーブ19に対して近位方向に移動し続けるとき、キャップ本体21の外壁部材22の近位端面26がアーム48をその非ロッキング位置に内方向に移動する。すなわち、アーム48は、ニードルスリーブ19から延びる点を中心に枢動され、それにより、アーム48の自由端49がニードルスリーブ19に向けて回転されて、アーム48を薬剤送達デバイス20の長手方向軸と実質的に位置合わせする。
【0066】
キャップ本体21がハウジング11に完全に取り付けられているとき、すなわちショルダ27がハウジング11の遠位端に接触しているとき、外壁部材22の下側セクション22bは、アーム48の自由端49がハウジング11の第1のロッキング要素42の第1の表面44の内側にあるような距離だけ、ニードルスリーブ19のロッキング要素47のアーム48と重なる。したがって、アーム48の自由端49は、近位方向に移動するときに接触せずにハウジング11のロッキング要素42の第1の表面44を通過することができる。
【0067】
キャップ本体21が所定位置になると、キャップ蓋35がキャップ本体21に取り付けられる。キャップ蓋35は、キャップ本体21の遠位端に押し込まれる。キャップ蓋35がキャップ本体21に対して近位方向に移動され、脚部39がキャップ本体21内に移動すると、キャップ蓋35のロッキング要素37の第2の表面37bは、キャップ本体21の外壁部材22の内面24に接触し、脚部39は、薬剤送達デバイス20の長手方向軸に向けて内方向に移動される。ロッキング要素37の第1の表面37aがキャップ本体21のロッキング要素38の凹部38aの第1の表面38bを越えて移動するとき、脚部39はその元の位置に戻る。ロッキング要素37、38が協働するとき、キャップ蓋35は、キャップ本体21に固定的に取り付けられる。
【0068】
脚部39は、キャップ蓋35がキャップ本体21に取り付けられるときに脚部がニードルスリーブ19に接触しないように、キャップ蓋35に位置する。たとえば、
図6aに示されるように、脚部39は、外壁部材22の下側セクション22bと位置合わせされるように、または薬剤送達デバイス20の中心長手方向軸に対して外壁部材22の下側セクション22bの外側に位置するように、キャップ蓋35の蓋部分36に位置する。したがって、キャップ蓋35の脚部39は、
図6aに示されるように、外壁部材22の上側セクション22aとニードルスリーブ19との間に位置する。キャップ蓋35は、ロッキング要素37、38が係合してキャップ蓋35をキャップ本体21の内部に保持するまで、キャップ本体21に押し込まれる。
【0069】
ハウジング11のロッキング要素42を越えてニードルスリーブ19のロッキング要素47を近位方向に移動するために、
図6aの矢印によって示されるように、ツール(図示せず)を使用して、ニードルスリーブ19を近位方向に押す。ツールは、キャップ蓋35の蓋部分36を通って延びる穴50(
図6aに示されているが、
図5では省略されている)を通してニードルスリーブ19の遠位端に接触する。
【0070】
図6bを参照すると、ツールは、アーム48の自由端49がハウジング11の第1のロッキング要素42の第1の表面44を通過するまで、ニードルスリーブ19を近位方向に押す。ニードルスリーブ19がキャップ本体21に対して近位方向に移動すると、アーム48は移動して、キャップ本体21の下側セクション22bから出て、そのロッキング位置に戻る。
【0071】
本発明の薬剤送達デバイス20を、
図5~
図6cに示されるキャップアセンブリ12と共に使用するために、キャップアセンブリ21が取り外され、上述したようにデバイス20が使用される。デバイス20が使用された後、
図6cに示されるように、キャップアセンブリ12をハウジング11に再装着することが可能である。
図5~
図6cに示されるキャップ蓋35を使用するキャップアセンブリ12の使用は、デバイスの再キャップを可能にする。しかし、キャップアセンブリ12は、ハウジング11に再び取り付けることができるので、キャップアセンブリ12の位置は、デバイス20が使用されたかどうかをユーザに示さない。使用後のデバイス20の構成は、プライミングされる前のデバイスの構成と同様である。
【0072】
ここで
図7~
図9cを参照すると、本発明の第2の実施形態によるキャップアセンブリ60が示されている。キャップアセンブリ60は、
図3~
図6cを参照して上述したキャップアセンブリ12と同様であり、同じ構成には同じ参照番号が付されている。したがって、本明細書では同様の構成の詳細な説明は省略する。キャップアセンブリ60は、上述したキャップ本体21と同じキャップ本体61を含む。
【0073】
ここで
図7を参照すると、本発明の一実施形態によるキャップ蓋65が示されている。キャップ蓋65は、
図5~
図6cに関連して上述したキャップ蓋35と同様の構成を有し、同様の構成には同じ参照番号が付されている。
【0074】
上述したキャップ蓋35と
図7に示されるキャップ蓋65の実施形態とには2つの主な相違点がある。第1に、キャップ蓋65は、キャップ蓋65がキャップ本体61に取り付けられた後に本発明の薬剤送達デバイス20をプライミングするためのツール(図示せず)を必要としないので、蓋部分36を通って延びる穴を含まない。キャップ蓋65に穴がないことは、ユーザがデバイス20の使用法について混乱しないこと、すなわち針17がデバイス20のキャップアセンブリ60の穴から延び出るとは思わないことを保証し、また、デバイス20の外部からの穴がないことは、使用前に針17が汚染される可能性を低減する。
【0075】
第2に、本発明のキャップ蓋65は、再キャップ防止要素66を含む。再キャップ防止要素66は、キャップアセンブリ60が取り外されて薬剤デバイス20が使用された後、キャップアセンブリ60が薬剤送達デバイス20のハウジング11に完全に再装着されるのを防止するように構成される。再キャップ防止要素66は再キャップ防止面67を含み、再キャップ防止面67は、以下でより詳細に説明するように、ユーザがキャップアセンブリ60をハウジング11に再び取り付けようと試みたとき、ニードルスリーブ19の遠位端Dに係合するように構成される。
【0076】
再キャップ防止要素66は、キャップ蓋65の蓋部分36の内面40から近位方向に延びる突出部39を含む。すなわち、再キャップ防止要素66は、脚部39に位置するロッキング要素37と同様に、キャップ蓋65の蓋部分36の表面40から延びる。本実施形態では、ロッキング要素37と再キャップ防止面67との両方が、キャップ蓋65の蓋部分36の内面40から延びる脚部39に位置する。しかし、代替実施形態では、キャップ蓋65は少なくとも2つの脚部39を含むことがあり、以下で見るように、一方の脚部39はロッキング要素37を含み、別の脚部39は再キャップ防止要素66を形成する。複数の突出部39が図面に示されているが、キャップ蓋65は、ただ1つの突出部39、または任意の数の突出部39を含むこともできることを理解されたい。
【0077】
上述したように、再キャップ防止要素66の再キャップ防止面67は、ユーザがキャップアセンブリ60を再び取り付けようと試みたとき、ニードルスリーブ19の遠位端Dに係合するように構成される。したがって、再キャップ防止要素66の再キャップ防止面6
7は、
図8a~
図8cに示されるように、ニードルスリーブ19の遠位端Dに接触することができるように、薬剤送達デバイス20の長手方向軸からニードルスリーブ19と少なくとも同じ距離に、またはより短い距離に位置しなければならない。これを実現するために、キャップ蓋65の脚部39は、キャップ蓋35の脚部39よりもキャップ蓋65の蓋部分36の中央に位置する。
【0078】
再キャップ防止機能を提供するために、突出部39によって形成される再キャップ防止要素66の再キャップ防止面67は、キャップアセンブリ60が連結されたとき、すなわちキャップ蓋65がキャップ本体61に取り付けられたときに、ニードルスリーブ19の遠位端とロッキング要素47のアーム48の遠位端との距離が再キャップ防止要素66の再キャップ防止面67と外壁部材22の近位端面26との距離よりも大きくなるように、キャップ本体61内に延びなければならない。次に、相対距離の重要性について、
図8a~
図8cを参照して説明する。
【0079】
図8aは、その事前プライミング位置での本発明の第1の実施形態を示す。上述したように、この位置で、ニードルスリーブ19は、ハウジング11の遠位端Dに挿入されており、キャップ本体61は、ハウジング11の遠位端に取り付けられている。キャップ本体61は、キャップ本体61のショルダ27がハウジング11の遠位端Dに当接するようにハウジング11に取り付けられており、外壁部材22の下側セクション22bの近位端面26は、ロッキング要素47をそのロッキング位置からその非ロッキング位置に移動させている。次いで、キャップ蓋65がキャップ本体61に取り付けられる前に、
図8aの矢印によって示されるようにニードルスリーブ19を近位方向に移動するためにツール(図示せず)が使用される。
【0080】
上述したように薬剤送達デバイス20がプライミングされた後、
図8bに示されるように、キャップ蓋65がキャップ本体61に取り付けられる。キャップ蓋65の脚部39は、キャップ本体61の開いた遠位端D’に配置され、2つのロッキング要素37、38が協働してキャップアセンブリ60を固定してキャップ本体61を閉じるまで近位方向に動かされる。図示されるように、ニードルスリーブ19は、キャップ本体61へのキャップ蓋65の取付けを妨げないように、十分な距離だけ近位方向に移動される。すなわち、キャップ蓋65は、ニードルスリーブ19の遠位端に接触することなく、キャップ本体61に完全に取り付けることができる。
【0081】
再キャップ防止要素66を形成する脚部39は、ハウジング11の遠位端Dとハウジング11の内面41の突起との間の距離よりも大きいキャップ本体61の外壁部材22の近位端面26からの距離に再キャップ防止面67が位置するように構成される。
【0082】
使用後、薬剤送達デバイス20のハウジング11およびニードルスリーブ19は、
図8cに示される構成になる。ニードルスリーブ19は、第2のロッキング要素47のアーム48の自由端49が、第1のロッキング要素42の突起の第1の表面44よりもハウジング11の遠位端に近くなるように、ハウジング11に対して遠位方向に移動されている。
【0083】
ユーザは、ハウジング11のキャップアセンブリ60を交換しようと試みるとき、キャップ本体61をニードルスリーブ19の上に配置する。しかし、キャップアセンブリ60をハウジング11に対して近位方向に移動するプロセス中、キャップ蓋65の再キャップ防止要素66の再キャップ防止面67が、ニードルスリーブ19の遠位端に係合する。したがって、キャップアセンブリ60の任意のさらなる近位運動は、ニードルスリーブ19の近位運動も引き起こす。
【0084】
しかし、キャップ本体61の近位端面26がニードルスリーブ19のアーム48に接触
する前に、再キャップ防止要素66の再キャップ防止面67がニードルスリーブ19の遠位端に係合する。したがって、ニードルスリーブ19が近位方向に移動されるとき、アーム48はそのロッキング位置にある。再キャップ防止要素66の再キャップ防止面67とキャップ本体61の近位端面26との距離が、ハウジング11の遠位端Dとハウジング11の内面41の突起43との距離よりも大きいことにより、アーム48の自由端49が突起43の第1の表面44に係合するとき、キャップアセンブリ60およびニードルスリーブ19の遠位運動が停止される。
【0085】
アーム48の自由端49が突起の第1の表面44に接触するとき、ハウジング11に対するニードルスリーブ19の近位運動が防止されるか、または少なくとも制限される。ユーザがキャップアセンブリ12にさらに力を加えると、アーム48が変形することがある。しかし、アーム48は突起を通過することができず、したがって、ニードルスリーブ19は実質的に近位方向に移動することができない。
【0086】
その結果、ハウジング11へのキャップアセンブリ60の再キャップが防止される。さらに、キャップ本体61のショルダ27とハウジング11の遠位端Dとの間にギャップ68があり、これは、薬剤送達デバイス20が使用されたことをユーザに示す視覚的インジケータとなる。アーム48が変形された場合でさえ、ニードルスリーブ19は、キャップ本体61のショルダ27がハウジング11の遠位端Dに当接するのに十分なほどには近位方向に移動しない。
【0087】
ここで
図9~
図12cを参照すると、本発明の第2の実施形態によるキャップアセンブリ70が示されている。キャップアセンブリ70は、
図3、
図4、
図7、および
図8a~
図8cに関連して上述したキャップアセンブリ60と同様であり、同じ構成には同じ参照番号が付されている。したがって、本明細書では同様の構成の詳細な説明は省略する。
【0088】
図9は、本発明の第1の実施形態を参照して述べたキャップ本体61と同様のキャップ本体71の斜視断面図を示す。本発明の第2の実施形態では、キャップ本体71は、キャップ本体71のショルダ27を通って延びる穴72をさらに含む。穴72は、製造および/または組立て中にキャップ本体を保持するためのツール(図示せず)に使用することができる。さらに、キャップ本体71の第1のロッキング要素37の詳細図を見ることができる。
図10は、
図9に関連して言及した構成の拡大図を示す。
【0089】
図11および
図12a~
図12cを参照すると、キャップ蓋75の第2の実施形態が示されている。キャップ蓋65の第1の実施形態と同様に、第2の実施形態のキャップ蓋75は、蓋部分36の内面40から延びる脚部39に位置する第1のロッキング要素37を含む。脚部39は、薬剤送達デバイス20が使用された後、ハウジング11へのキャップアセンブリ70の再キャップを防止するように構成された再キャップ防止面67を有する再キャップ防止要素66をさらに含む。
【0090】
図11では、第1のロッキング要素37が、蓋部分36とは反対側の脚部39の端部に示されている。脚部39の近位端、すなわち蓋部分36とは反対側の脚部39の端部も、再キャップ防止要素66の再キャップ防止面67を含む。しかし、代替実施形態では、キャップ蓋75の第1のロッキング要素37は、脚部39に沿った任意の位置に位置することを理解されたい。
【0091】
本発明の第2の実施形態では、キャップ蓋75は、ツーリング面76をさらに含む。ツーリング面76は、ニードルスリーブ19を、
図12aに示されるその事前プライミング位置から、
図12bに示されるその使用準備完了位置に付勢するように構成される。このようにして、以下でより詳細に述べるように、キャップ蓋75を使用して、薬剤送達デバ
イス20をプライミングすることができる。これにより、デバイス20をプライミングするため、およびキャップ蓋75をキャップ本体71に取り付けるために2つの異なるツールを用いる必要がなくなる。そうではなく、ただ1つのツールがあればよく、両方の工程を同時に行うことができる。
図11に示されるように、ツーリング面76は、再キャップ防止面72と同じ表面でよい。しかし、
図12a~
図12cに示されるように、2つの表面は、別個であり独立していてもよいことを理解されたい。
【0092】
図12aを参照すると、キャップ蓋75は、蓋部分36の内面40から延びる脚部39を含む。ロッキング要素37は、脚部39の近位端、すなわち蓋部分36とは反対側の脚部39の端部に位置する。ロッキング要素37は、
図5に示されるキャップ蓋35に関して上述したのと同様に、第1の表面37aおよび第2の表面37bを含む。第1の表面37aは、ロッキング要素38の凹部38aの表面38bに係合して、取り付けられた後にキャップ蓋75がキャップ本体71から取り外されるのを防止するように構成されたロッキング面である。ロッキング要素37の第2の表面37bは、ロッキング要素37がキャップ本体21のロッキング要素38の凹部38aに位置するまで脚部39を内方向に移動するように傾斜されている。
【0093】
図12a~
図12cでは、ツーリング面76は、脚部39の端部に位置する。再キャップ防止要素71の再キャップ防止面67は、ツーリング面76と平行に形成され、しかしツーリング面76から離間配置されている。代わりに、ツーリング面76は、その内側に、薬剤送達デバイス20の長手方向軸の最も近くで、概して長方形の切欠き77を有する。切欠き77は、ツーリング面76の内縁部に沿って延びる。切欠き77は、薬剤送達デバイス20の長手方向軸に実質的に平行に延びる第1の表面78と、薬剤送達デバイス20の長手方向軸に実質的に垂直に延びる再キャップ防止面67とを形成する。
【0094】
切欠き77は、脚部39が内方向に移動されるときにキャップ本体71へのキャップ蓋75の挿入中にツーリング面76がニードルスリーブ19に接触することができるように十分に短い距離だけ、しかし再キャップ試行中にツーリング面76がニードルスリーブ19に接触しないように十分に大きい距離だけ、ツーリング面76内に延びるように構成されている。
【0095】
本実施形態では、ロッキング要素37、再キャップ防止要素66、およびツーリング面76は、キャップ蓋75の蓋部分36の内面40から延びる脚部39に位置する。しかし、代替実施形態では、キャップ蓋75は、少なくとも2つの脚部39を含むことがあり、一方の脚部39は、ロッキング要素37、再キャップ防止面67、およびツーリング面76のうちの少なくとも1つを含み、別の脚部39は、ロッキング要素37、再キャップ防止要素66、およびツーリング面76のうちの少なくとも1つを含む。これは、キャップ蓋75の蓋部分36から延びる脚部39の長さおよび位置を変えることによって実現される。
【0096】
図12aは、その事前プライミング位置にある本実施形態の薬剤送達デバイス20を示す。ハウジング11へのキャップ本体71の導入は、
図6a~
図6cおよび
図8a~
図8cに関して上述したのと同じであり、したがって本明細書では詳細な説明は省略する。
【0097】
キャップ蓋75がキャップ本体71の開いた遠位端Dに押し込まれると、キャップ蓋75の脚部39の端部にあるロッキング要素37の第2の表面37bが、外壁部材22に接触して内方向に移動され、これにより脚部39が曲げられる。脚部39の内方向運動により、脚部39の端部にあるツーリング面76が内方向に移動され、キャップ蓋75がキャップ本体71に対して近位方向に移動されると、ツーリング面76がニードルスリーブ19の遠位端に接触する。
【0098】
キャップ蓋75は遠位方向に移動され、ロッキング要素37の第1の表面37aがキャップ本体71の凹部38の第1の表面38bを通過し、可撓性で弾性の脚部39がその元の位置に移動して戻り、キャップ本体71の内部にキャップ蓋75を固定的に配置する。同時に、キャップ蓋75の蓋部分36は、ニードルスリーブ19の開いた遠位端を閉じる。脚部39が蓋部分36に対してその元の位置に移動して戻ることで、ツーリング面76および切欠き77の第1の表面78がニードルスリーブ19から離れるように移動され、互いのさらなる接触がなくなる。すなわち、
図12bに示されるように、ツーリング面76および切欠き77の第1の表面78は、ニードルスリーブ19の主本体46よりも薬剤送達デバイス20の中心長手方向軸から離れるように移動される。薬剤送達デバイス20の使用は上述したものと同じであり、したがって本明細書では詳細な説明は省略する。
【0099】
図12cは、再キャップ試行中の、使用後の構成における本発明の第2の実施形態の薬剤送達デバイス20を示す。再キャップ防止プロセスは、
図8a~
図8cに関して上述したものと同じであり、したがって本明細書では詳細な説明は省略する。第1の実施形態と第2の実施形態との主な相違点は、第2の実施形態では、キャップ蓋75のツーリング面76が、ニードルスリーブ19に接触せずにニードルスリーブ19を越えて移動され、上述したように再キャップ防止面67がニードルスリーブ19に接触して、薬剤送達デバイス20のハウジング11でのキャップアセンブリ70の再キャップを防止することである。
【0100】
ここで、
図13~
図16cを参照すると、本発明の第3の実施形態によるキャップアセンブリ80が示されている。キャップアセンブリ80は、
図9~
図12cに関連して上述したキャップアセンブリ70と同様の構成を有し、同じ構成には同じ参照番号が付されている。したがって、同様の構成の詳細な説明は省略する。
【0101】
本発明の第3の実施形態のキャップアセンブリ80は、
図14に示されるキャップ本体81を含む。キャップ本体81は、その開いた遠位端Dの近くに位置する凹部82を含む。本実施形態では、凹部82は、キャップ本体81の外壁部材22の遠位セクション22aの内面24の周りに有限の距離にわたって延びる。キャップ本体81の内面24の凹部82は、キャップ本体81のロッキング要素38の凹部38aと長手方向で位置合わせされる。凹部82は、ロッキング要素38の凹部38aよりもキャップ本体81の遠位端の近くに位置する。
【0102】
図13に戻って参照すると、本発明の第3の実施形態のキャップ蓋85は、キャップ蓋85の蓋部分36から延びる少なくとも2つの脚部86、87を含む。
図15a~
図15cに機能が示されている第1の脚部86は、
図12a~
図12cに示される第2の実施形態に関連して述べた脚部39と同様に構成される。しかし、
図15a~
図15cに示される再キャップ防止面67と第1の脚部86のツーリング面76とは同じ表面である。第1の脚部86は、第2の実施形態で述べた脚部39と同様であり、同じように機能するので、第1の脚部86の詳細な説明は本明細書では省略する。
【0103】
第2の脚部87は、キャップ本体81の開いた遠位端Dを閉じることなく、最初にキャップ蓋85をキャップ本体81の内部に部分的に配置するように構成される。第2の脚部87は、脚部87の近位端、すなわちキャップ蓋85の蓋部分36とは反対側の脚部87の端部に位置する保持要素88を含む。保持要素88は、ロッキング要素37に関連して述べたプロファイルと同様の、概して鋸歯状のプロファイルを有する。すなわち、保持要素88は、キャップ本体81の凹部82に保持要素88を保持するように構成された第1の表面88aと、近位方向の力が加えられたときに保持要素88が付勢されて凹部82から出るように傾斜されて構成された第2の表面88bとを含む。凹部82は保持面83を
含み、保持面83は、プライミング工程の前にキャップ本体81の内部にキャップ蓋85を部分的に保持するために第1の表面88aと協働するように構成される。これは、薬剤送達デバイス20をプライミングする前に、キャップ蓋85をキャップ本体81に対して所定位置に保持するための別個のツールの必要性をなくすので有利である。
【0104】
ここで
図15aを参照すると、事前プライミング位置にある薬剤送達デバイス20の第3の実施形態の概略断面正面図が示されている。
図16aは、同じ事前プライミング位置にある薬剤送達デバイス20の第3の実施形態の概略側断面図を示す。
【0105】
図8aおよび
図12aに示されるデバイス20と同様に、デバイス20は、ニードルスリーブ19をハウジング11の開いた遠位端Dに配置し、ニードルスリーブ19のロッキング要素37がハウジング11の内面40のロッキング要素38に係合するまでニードルスリーブを近位方向に移動することによって、その事前プライミング位置に配置される。次いで、キャップ本体81は、外壁部材22の下側セクション22bがニードルスリーブ19とハウジング11の内面40との間にあるように、ハウジング11に取り付けられる。キャップ本体81が近位方向に移動されると、外壁部材22の近位面24が、ロッキング要素47をそのロッキング位置からその非ロッキング位置に移動する。キャップ本体81は、ショルダ27がホース11の遠位端Dに当接するまで近位方向に移動される。
【0106】
次いで、
図16aに示されるように、キャップ蓋85をキャップ本体81の遠位端D’に部分的に取り付けることができる。すなわち、キャップ本体81の開いた遠位端D’を閉じることなくキャップ蓋85がキャップ本体81の内部に部分的に保持されるように、キャップ蓋85の第2の脚部87をキャップ本体81の内部に部分的に配置することができる。これは、キャップ蓋85の第2の脚部87にある保持要素88をキャップ本体81の凹部82に配置することによって行われる。
【0107】
図16aに示されるように、保持要素88がキャップ本体81の凹部82に位置するとき、ツーリング面76は、
図15aに示されるように、ニードルスリーブ19の遠位端の近くにまたは当接して位置する。いくつかの実施形態では、
図15a~
図16cに示されるように、第2の脚部87は第1の脚部86よりも長いことがあり、したがって、ニードルスリーブ19を近位方向に移動させずに、場合によってはニードルスリーブ19に全く触れずに、キャップ蓋85をキャップ本体81に最初に配置することができる。より具体的には、第2の脚部87の保持要素88は、ツーリング面76、再キャップ防止面67、およびロッキング要素47よりも、キャップ蓋85の蓋部分36から離れている。
図15a~
図16cに示される実施形態では、再キャップ防止面67とツーリング面76とは同じ表面である。
【0108】
図15aおよび
図16aに示される事前プライミング位置から
図15bおよび
図16bに示される使用準備完了位置に移動するためのプライミングプロセスは、
図8a~
図8cおよび
図12a~
図12cを参照して上述したプロセスと本質的に同じであり、したがって本明細書では詳細な説明は省略する。
【0109】
保持要素88がキャップ本体81の凹部82に位置するとき、キャップ蓋85が近位方向に移動され、
図15bおよび
図16bに示されるようにキャップ蓋85をその使用準備完了位置に完全に配置することができる。一実施形態では、キャップ本体81がハウジング11の遠位端Dに取り付けられる前に、キャップ蓋85をキャップ本体81に取り付けることができることが理解されたい。
【0110】
図15cおよび
図16cに示される薬剤送達デバイス20の第3の実施形態の再キャップ防止プロセスは、
図8a~
図8cおよび
図12a~
図12cを参照して上述したプロセ
スと本質的に同じであり、したがって本明細書では詳細な説明は省略する。しかし、
図16cに示されるように、蓋部分36での第2の脚部87の配置は、プライミングまたは再キャップ試行中のどの時点でも、保持要素88がニードルスリーブ19に接触することなく内面24の凹部82と協働することができるように構成される。
【0111】
ここで
図17~
図21cを参照すると、薬剤送達デバイス100が示されている。デバイス100は、前述したハウジング11と同様のハウジング101、キャップアセンブリ102、およびニードルスリーブ103を含む。
図17に示されるように、キャップアセンブリ102は、一体型キャップ本体104およびキャップ蓋105を含む。すなわち、キャップアセンブリ102は、2つの別個の部片としてではなく、1つの部片として形成される。それ以外の点では、キャップアセンブリ102は、上述した本発明のキャップアセンブリ12と同様である。
【0112】
キャップアセンブリ102は、キャップアセンブリ102の近位端から延びる弾性変形可能な脚部107の近位端P’に位置する再キャップ防止要素106をさらに含む。再キャップ防止要素106は、
図21a~
図21cに示されるハウジング101の内面110の当接面190に係合するように構成された再キャップ防止面108を含む。再キャップ防止要素106は、以下でより詳細に説明するように、デバイス100が使用された後にユーザがハウジング101にキャップアセンブリ102を再配置しようと試みたとき、脚部107の近位端にある再キャップ防止要素106をデバイス100の中心長手方向軸に対して外方向に移動するように構成された傾斜面111をさらに含む。
【0113】
図17から分かるように、キャップアセンブリ102は、複数の脚部107を有する。具体的には、図示されるキャップアセンブリ102は、互いに対向してキャップ本体104に配置された、キャップ本体104の外壁部材の下側部分から延びる2組の2つの脚部107a、107bを含む。各脚部107は、その近位端に再キャップ防止要素106を有することがある。
【0114】
図18を参照すると、ニードルスリーブ103が示されている。ニードルスリーブ103は、アーム115の形態で示されるロッキング要素114を含み、アーム115は、本発明に関連して上述したのと同様に、ハウジング101のロッキング要素116に係合して、ハウジング101に対するニードルスリーブ103の近位運動を制限するように構成される。ニードルスリーブ103は、その外面118に凹部117をさらに含む。凹部117は、デバイス100の長手方向軸に平行に延びる。凹部117a、117bの数は、キャップアセンブリ102の再キャップ防止要素106の数に等しい。以下でより詳細に説明するように、1つの凹部117は、1つの再キャップ防止要素106を少なくとも部分的に受けるように構成される。
【0115】
ここで
図19を参照すると、薬剤送達デバイス100は、プライミング前のデバイス100を示すために、キャップアセンブリ102がデバイス100に取り付けられる前にハウジング101に位置するニードルスリーブ103と共に示されている。図示されるように、凹部117は、キャップアセンブリ102をハウジング101に取り付けることを可能にするために目に見える。
図21cに示され、かつ以下でより詳細に述べるように、凹部117は、デバイス100の長手方向軸に平行な方向に、ある距離だけ延び、その距離において、デバイス100のプライミングの前には凹部117の遠位端が目に見え、かつデバイス100が使用された後には凹部117の近位端がハウジング101の当接面109よりもハウジング101の遠位端に近くなり、再キャップ防止機能を提供する。
【0116】
図18に示されるように、ニードルスリーブ103のロッキング要素116は、ニードルスリーブ103の凹部117から周方向に離間配置されている。
図18では、ロッキン
グ要素116と凹部117との周方向間隔は約90度である。しかし、代替デバイスでは間隔が異なることがあることを理解されたい。
【0117】
図20aおよび
図21aは、キャップアセンブリ102が省略された、事前プライミング位置にある薬剤送達デバイス100を示す。ツール120は、ニードルスリーブ103をハウジング101に対して近位方向に移動するために使用される。ツール120は、ニードルスリーブ103の上に配置され、矢印の方向に近位方向に移動し、ツール120の近位端がニードルスリーブ103のロッキング要素114に接触してそのロッキング位置からその非ロッキング位置にし、それにより、デバイス100をプライミングするために、ハウジング101のロッキング要素116を越えてニードルスリーブ103のロッキング要素114を近位方向に移動することができる。次いで、ツール120が取り外され、それにより、キャップアセンブリ102をハウジング101に取り付けることができる。
【0118】
図21a~
図21cに示されるように、ハウジング101の遠位端Dは、ハウジング101の遠位端面123から近位方向に延びる凹状領域122を含む。凹状領域122は、ハウジング101の内面110内に延びる切欠きによって形成される。凹状領域122は、デバイス100が使用された後、ユーザがキャップアセンブリ102をハウジング101に再び取り付けようと試みたときニードルスリーブ103の近位運動を制限するために、再キャップ防止要素106の再キャップ防止面108によって接触されるように構成された当接面109によって形成される近位端を有する。
【0119】
図20bおよび
図21bは、ハウジング101およびデバイス100に取り付けられたキャップアセンブリ102をその使用準備完了位置で示す。キャップアセンブリ102をハウジング101に取り付けるために、キャップアセンブリ102の近位端は、ニードルスリーブ103とハウジング101の内面110との間のハウジング101の開いた遠位端に挿入される。キャップアセンブリ102を挿入する間、傾斜面111は、ニードルスリーブ103の遠位端に接触し、デバイス100の中心長手方向軸から凹状領域122に向けて外方向に移動される。再キャップ防止要素106が凹部117の遠位端を通過すると、脚部107はその元の位置に戻り、再キャップ防止要素106は、ニードルスリーブ103の凹部117内に部分的に位置する。次いで、
図21bに示されるように、キャップアセンブリ102のショルダ125がハウジング101の遠位端に接触するまで、キャップアセンブリ102をハウジング101に対して近位方向に移動することができる。
【0120】
ここで
図20cおよび
図21cを参照すると、使用後の再キャップ防止位置にある薬剤送達デバイス100が示されている。ハウジング101へのキャップアセンブリ102の再装着は、
図20bおよび
図21bを参照して述べたものと同様である。しかし、この位置では、ニードルスリーブ103のロッキング要素114は、ハウジング101のロッキング要素116に係合して、ハウジング101に対するニードルスリーブ103のさらなる近位運動を防止する、または少なくとも制限する。
【0121】
したがって、再キャップ防止要素106が近位方向に移動されるとき、再キャップ防止要素106の傾斜面111は、ニードルスリーブ103の凹部117の近位端に接触する。その結果、再キャップ防止要素106は、再キャップ防止面108が凹状領域122の近位端で当接面109に接触して、キャップアセンブリ102のさらなる近位運動を防止するまで、デバイス100の中心長手方向軸から凹状領域122に向けて外方向に移動される。この位置では、
図21cに示されるように、キャップアセンブリ102のショルダ125とハウジング101の遠位端との間にギャップがあり、これは、デバイス100がすでに使用されていることを示す。
【0122】
「薬物」または「薬剤」という用語は、本明細書では同義的に用いられ、1つもしくは
それ以上の活性医薬成分またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物と、場合により薬学的に許容可能な担体と、を含む医薬製剤を記述する。活性医薬成分(「API」)とは、最広義には、ヒトまたは動物に対して生物学的効果を有する化学構造体のことである。薬理学では、薬剤または医薬は、疾患の治療、治癒、予防、または診断に使用されるか、さもなければ身体的または精神的なウェルビーイングを向上させるために使用される。薬物または薬剤は、限定された継続期間で、または慢性障害では定期的に使用可能である。
【0123】
以下に記載されるように、薬物または薬剤は、1つもしくはそれ以上の疾患の治療のために各種タイプの製剤中に少なくとも1つのAPIまたはその組合せを含みうる。APIの例としては、500Da以下の分子量を有する低分子、ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(たとえば、ホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素)、炭水化物および多糖、ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(ネイキッドおよびcDNAを含む)、RNA、アンチセンス核酸たとえばアンチセンスDNAおよびRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、およびオリゴヌクレオチドが挙げられうる。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに取り込み可能である。1つまたはそれ以上の薬物の混合物も企図される。
【0124】
薬物または薬剤は、薬物送達デバイスでの使用に適合化された一次パッケージまたは「薬物容器」に包含可能である。薬物容器は、たとえば、1つもしくはそれ以上の薬物の収納(たとえば、短期または長期の収納)に好適なチャンバを提供するように構成されたカートリッジ、シリンジ、リザーバ、または他の硬性もしくは可撓性のベッセルでありうる。たとえば、いくつかの場合には、チャンバは、少なくとも1日間(たとえば、1日間~少なくとも30日間)にわたり薬物を収納するように設計可能である。いくつかの場合には、チャンバは、約1カ月~約2年間にわたり薬物を収納するように設計可能である。収納は、室温(たとえば、約20℃)または冷蔵温度(たとえば、約-4℃~約4℃)で行うことが可能である。いくつかの場合には、薬物容器は、投与される医薬製剤の2つ以上の成分(たとえば、APIと希釈剤、または2つの異なる薬物)を各チャンバに1つずつ個別に収納するように構成されたデュアルチャンバカートリッジでありうるか、またはそれを含みうる。かかる場合には、デュアルチャンバカートリッジの2つのチャンバは、人体もしくは動物体への投薬前および/または投薬中に2つ以上の成分間の混合が可能になるように構成可能である。たとえば、2つのチャンバは、互いに流体連通するように(たとえば、2つのチャンバ間の導管を介して)かつ所望により投薬前にユーザによる2つの成分の混合が可能になるように構成可能である。代替的または追加的に、2つのチャンバは、人体または動物体への成分の投薬時に混合が可能になるように構成可能である。
【0125】
本明細書に記載の薬物送達デバイスに含まれる薬物または薬剤は、多くの異なるタイプの医学的障害の治療および/または予防のために使用可能である。障害の例としては、たとえば、糖尿病または糖尿病に伴う合併症たとえば糖尿病性網膜症、血栓塞栓障害たとえば深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症が挙げられる。障害のさらなる例は、急性冠症候群(ACS)、アンギナ、心筋梗塞、癌、黄斑変性、炎症、枯草熱、アテローム硬化症および/または関節リウマチである。APIおよび薬物の例は、ローテリステ2014年(Rote Liste 2014)(たとえば、限定されるものではないがメイングループ12(抗糖尿病薬剤)または86(オンコロジー薬剤))やメルク・インデックス第15版(Merck Index,15th edition)などのハンドブックに記載されているものである。
【0126】
1型もしくは2型糖尿病または1型もしくは2型糖尿病に伴う合併症の治療および/または予防のためのAPIの例としては、インスリン、たとえば、ヒトインスリン、もしくはヒトインスリンアナログもしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、GL
P-1アナログもしくはGLP-1レセプターアゴニスト、はそのアナログもしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)阻害剤、またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、またはそれらのいずれかの混合物が挙げられる。本明細書で用いられる場合、「アナログ」および「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドに存在する少なくとも1つのアミノ酸残基の欠失および/または交換によりおよび/または少なくとも1つのアミノ酸残基の付加により天然に存在するペプチドの構造たとえばヒトインスリンの構造から形式的に誘導可能な分子構造を有するポリペプチドを指す。付加および/または交換アミノ酸残基は、コード可能アミノ酸残基または他の天然に存在する残基または純合成アミノ酸残基のどれかでありうる。インスリンアナログは、「インスリンレセプターリガンド」とも呼ばれる。特に、「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドの構造から形式的に誘導可能な分子構造、たとえば、1つまたはそれ以上の有機置換基(たとえば脂肪酸)がアミノ酸の1つまたはそれ以上に結合したヒトインスリンの分子構造を有するポリペプチドを指す。場合により、天然に存在するペプチドに存在する1つまたはそれ以上のアミノ酸が、欠失し、および/または非コード可能アミノ酸を含めて他のアミノ酸によって置き換えられ、または天然に存在するペプチドに非コード可能なものを含めてアミノ酸が付加される。
【0127】
インスリンアナログの例は、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン(インスリングルリジン);Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン(インスリンリスプロ);Asp(B28)ヒトインスリン(インスリンアスパルト);位置B28のプロリンがAsp、Lys、Leu、ValまたはAlaに置き換えられたうえに位置B29のLysがProに置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28~B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0128】
インスリン誘導体の例は、たとえば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン、Lys(B29)(N-テトラデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデテミル、レベミル(Levemir)(登録商標));B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン、B29-N-オメガ-カルボキシペンタデカノイル-ガンマ-L-グルタミル-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデグルデク、トレシーバ(Tresiba)(登録商標));B29-N-(N-リトコリル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリンおよびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0129】
GLP-1、GLP-1アナログおよびGLP-1レセプターアゴニストの例は、たとえば、リキシセナチド(リキスミア(Lyxumia)(登録商標))、エキセナチド(エキセンジン-4、バイエッタ(Byetta)(登録商標)、ビデュリオン(Bydureon)(登録商標)、ヒラモンスターの唾液腺により産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(ビクトーザ(Victoza)(登録商標))、セマグルチド、タスポグルチド、アルビグルチド(シンクリア(Syncria)(登録商標))、デュラグルチド(トルリシティ(Trulicity)(登録商標))、rエキセンジン-4、CJC-1134-PC、PB-1023、TTP-054、ラングレナチド/HM-1
1260C、CM-3、GLP-1エリゲン、ORMD-0901、NN-9924、NN-9926、NN-9927、ノデキセン、ビアドール-GLP-1、CVX-096、ZYOG-1、ZYD-1、GSK-2374697、DA-3091、MAR-701、MAR709、ZP-2929、ZP-3022、TT-401、BHM-034、MOD-6030、CAM-2036、DA-15864、ARI-2651、ARI-2255、エキセナチド-XTENおよびグルカゴン-Xtenである。
【0130】
オリゴヌクレオチドの例は、たとえば、家族性高コレステロール血症の治療のためのコレステロール低下アンチセンス治療剤ミポメルセンナトリウム(キナムロ(Kynamro)(登録商標))である。
【0131】
DPP4阻害剤の例は、ビダグリプチン、シタグリプチン、デナグリプチン、サキサグリプチン、ベルベリンである。
【0132】
ホルモンの例としては、脳下垂体ホルモンもしくは視床下部ホルモンまたはレギュラトリー活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニスト、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(Somatropine)(ソマトロピン(Somatropin))、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、リュープロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンが挙げられる。
【0133】
多糖の例としては、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリンもしくは超低分子量ヘパリンもしくはそれらの誘導体、もしくは硫酸化多糖たとえばポリ硫酸化形の上述した多糖、および/またはそれらの薬学的に許容可能な塩が挙げられる。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例は、エノキサパリンナトリウムである。ヒアルロン酸誘導体の例は、ハイランG-F20(シンビスク(Synvisc)(登録商標))、ヒアルロン酸ナトリウムである。
【0134】
本明細書で用いられる「抗体」という用語は、イムノグロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。イムノグロブリン分子の抗原結合部分の例としては、抗原への結合能を保持するF(ab)およびF(ab’)2フラグメントが挙げられる。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、組換え抗体、キメラ抗体、脱免疫化もしくはヒト化抗体、完全ヒト抗体、非ヒト(たとえばネズミ)抗体、または一本鎖抗体でありうる。いくつかの実施形態では、抗体は、エフェクター機能を有するとともに補体を固定可能である。いくつかの実施形態では、抗体は、Fcレセプターへの結合能が低減されているか、または結合能がない。たとえば、抗体は、Fcレセプターへの結合を支援しない、たとえば、Fcレセプター結合領域の突然変異もしくは欠失を有するアイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは突然変異体でありうる。抗体という用語は、4価二重特異的タンデムイムノグロブリン(TBTI)および/またはクロスオーバー結合領域配向を有する二重可変領域抗体様結合タンパク質(CODV)に基づく抗原結合分子も含む。
【0135】
「フラグメント」または「抗体フラグメント」という用語は、完全長抗体ポリペプチドを含まないが依然として抗原に結合可能な完全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を含む抗体ポリペプチド分子由来のポリペプチド(たとえば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)を指す。抗体フラグメントは、完全長抗体ポリペプチドの切断部分を含みうるが、この用語は、かかる切断フラグメントに限定されるものではない。本発明に有用な抗体フラグメントとしては、たとえば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、線状抗体、単一特異的または多重特異的な抗体フラグメント、たとえば、二重特異的、三重特異的、四重特異的および多重特異的抗体(たとえば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)、1価または多価抗体フラ
グメント、たとえば、2価、3価、4価および多価の抗体、ミニボディ、キレート化組換え抗体、トリボディまたはビボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュール免疫医薬(SMIP)、結合ドメインイムノグロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体が挙げられる。抗原結合抗体フラグメントの追加の例は当技術分野で公知である。
【0136】
「相補性決定領域」または「CDR」という用語は、特異的抗原認識を媒介する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。「フレームワーク領域」という用語は、CDR配列でないかつ抗原結合が可能になるようにCDR配列の適正配置を維持する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、典型的には抗原結合に直接関与しないが、当技術分野で公知のように、ある特定の抗体のフレームワーク領域内のある特定の残基は、抗原結合に直接関与しうるか、またはCDR内の1つもしくはそれ以上のアミノ酸と抗原との相互作用能に影響を及ぼしうる。
【0137】
抗体の例は、抗PCSK-9 mAb(たとえば、アリロクマブ)、抗IL-6 mAb(たとえば、サリルマブ)、および抗IL-4 mAb(たとえば、デュピルマブ)である。
【0138】
本明細書に記載のいずれのAPIの薬学的に許容可能な塩も、薬物送達デバイスで薬物または薬剤に使用することが企図される。薬学的に許容可能な塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。
【0139】
当業者は、本明細書で述べるAPI、公式、装置、方法、システム、および実施形態の様々な構成要素の変更(追加および/または除去)が、本開示の全範囲および精神から逸脱することなく行われ、本開示が、そのような変更形態およびそのすべての均等形態を含むことを理解されよう。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体に形成されたキャップ本体(104)とキャップ蓋(105)を有する薬剤送達デバイス用のキャップ(102)であって、キャップ蓋(105)は、使用準備完了位置で、薬剤送達デバイス(100)のハウジング(101)に取り外し可能に取り付けられるように構成され、
ここでキャップ本体(104)は、キャップ(102)がその使用準備完了位置で薬剤送達デバイス(100)に取り付けられたときに、キャップ本体(104)の近位端を通して、薬剤送達デバイス(100)のニードルスリーブ(103)を受けるように構成され、
キャップ本体(104)は、キャップ(102)が取り外されて薬剤送達デバイス(100)が使用された後、薬剤送達デバイス(100)のハウジング(101)にキャップ(102)が再装着されるのを防止するように構成された再キャップ防止要素(106)を含み、
再キャップ防止要素(106)は、近位方向に延びる脚部(107)を含み、薬剤送達デバイス(100)が使用された後、再キャップしようと試みたとき、キャップ(102)が薬剤送達デバイス(100)のハウジング(101)に完全に再装着されるのを防止するために、薬剤送達デバイス(100)のニードルスリーブ(103)に係合するように構成される、前記キャップ(102)。
【請求項2】
脚部(107)は弾性変形可能である、請求項1に記載のキャップ(102)。
【請求項3】
再キャップ防止要素(106)は、脚部(107)の近位端に位置する、請求項1または2に記載のキャップ(102)。
【請求項4】
再キャップ防止要素(106)は、ハウジング(101)の内面(110)の当接面(109)に係合するように構成された再キャップ防止面(108)を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のキャップ(102)。
【請求項5】
再キャップ防止要素(106)は、デバイス(100)が使用された後にユーザがハウジング(101)にキャップ(102)を再配置しようと試みたとき、脚部(107)の
近位端にある再キャップ防止要素(106)をデバイス(100)の中心長手方向軸に対して外方向に移動するように構成された傾斜面(111)を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のキャップ(102)。
【請求項6】
キャップ(102)は、複数の脚部(107)を有し、各脚部(107)は、その近位端に再キャップ防止要素(106)を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載のキャップ(102)。
【請求項7】
キャップ本体(104)は、薬剤送達デバイス(100)のハウジング(101)の内部に少なくとも部分的に受けられるように構成される、請求項1~6のいずれか1項に記載のキャップ(102)。
【請求項8】
キャップ本体(104)は、キャップ本体の遠位セクションと近位セクションとの間に形成されたショルダ(125)を含み、ショルダは、使用準備完了位置にあるときに薬剤送達デバイス(100)の主本体の遠位端に当接するように構成される、請求項1~7のいずれか1項に記載のキャップ(102)。
【請求項9】
薬剤送達デバイス(100)用のサブアセンブリであって:
近位および遠位端部を有し、第1のロッキング要素(116)と凹状領域(122)を含むハウジング(101)と;
請求項1~8のいずれか1項に記載のキャップ(102)と;
ハウジング内に少なくとも部分的に受けられ、使用中に針を露出するように近位方向に移動されるように構成されたニードルスリーブ(103)であって、第2のロッキング要素(114)と凹部(117)を含むニードルスリーブ(103)と;を含み、
ここで、サブアセンブリが使用準備完了位置にあるとき、キャップ本体(104)はハウジング(101)の遠位端に取り付けられ、再キャップ防止要素(106)は凹部(117)に受けられ、
キャップ(102)がハウジングから取り外され、サブアセンブリが使用後の位置になった後、ニードルスリーブ(103)は使用後の位置にあり、第2のロッキング要素(114)は、第2のロッキング要素(114)が第1のロッキング要素(116)に対して係合可能であるロッキング位置に移動されて、再装着試行中にニードルスリーブ(103)をハウジング(101)に対して近位方向に移動することができる距離を少なくとも制限し、再キャップ防止要素(106)は、ニードルスリーブ(103)がその使用後の位置になった後、キャップ(102)がハウジング(101)に完全に取り付けられるのを防止するために、ハウジング(101)の凹状領域(122)に受け入れ可能である、前記サブアセンブリ。
【請求項10】
サブアセンブリが使用後の位置になったときに、再キャップ防止要素(106)の近位方向への移動により、再キャップ防止要素(106)の傾斜面(111)とニードルスリーブ(103)の凹部(117)の近位端とが接触し、再キャップ防止要素(106)は、デバイス(100)の中心長手方向軸からハウジング(101)の凹状領域(122)に向けて外方向に付勢される、請求項5を引用する請求項9に記載のサブアセンブリ。
【請求項11】
サブアセンブリが使用後の位置になり、再キャップ防止要素(106)がハウジング(101)の凹状領域(122)に受けられているときに、キャップ(102)のさらなる近位運動を防止するために再キャップ防止要素(106)が凹状領域(122)に対して近位方向に付勢されるとき、再キャップ防止要素(106)の再キャップ防止面(108)と凹状領域(122)の近位端の当接面(109)とが接触する。請求項9または10に記載のサブアセンブリ。
【請求項12】
再キャップ防止要素(106)の再キャップ防止面(108)が凹状領域(122)の近位端で当接面(109)に接触したときに、キャップ(102)とハウジング(101)の遠位端との間にギャップが提供される、請求項11に記載のサブアセンブリ。
【請求項13】
ハウジング(101)、一端に針を有するシリンジ、ニードルスリーブ(103)、および請求項1~8のいずれか1項に記載のキャップ(102)を含む薬剤送達デバイス(100)。
【請求項14】
シリンジは薬剤を含む、請求項13に記載の薬剤送達デバイス(100)。
【外国語明細書】