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特開2024-38745基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038745
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/67 20060101AFI20240313BHJP
【FI】
H01L21/68 L
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142993
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原 直樹
(72)【発明者】
【氏名】天野 富大
(72)【発明者】
【氏名】檜山 真
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA15
5F131BB04
5F131BB23
5F131CA69
5F131DA32
5F131DA42
5F131DB02
5F131DB52
5F131DB62
5F131DB76
5F131DB82
5F131EA03
5F131GA14
5F131HA09
5F131HA12
5F131KA12
5F131KA47
5F131KA55
5F131KA62
5F131KA72
5F131KB02
5F131KB32
(57)【要約】
【課題】受光部が正反射光を受光することに起因する基板の有無の誤検知を抑制できる技術を提供する。
【解決手段】基板を保持可能な保持面を有する保持部と、前記保持面に保持された前記基板の裏面へ向かうように照射光を照射するように配置された発光部と、照射された前記照射光の正反射光は受光せず、前記照射光の拡散反射光を受光可能に配置された受光部と、を備えた光検出部と、前記受光部の受光状態により前記基板の有無を判定することが可能なよう構成される制御部と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持可能な保持面を有する保持部と、
前記保持面に保持された前記基板の裏面へ向かうように照射光を照射するように配置された発光部と、照射された前記照射光の正反射光は受光せず、前記照射光の拡散反射光を受光可能に配置された受光部と、を備えた光検出部と、
前記受光部の受光状態により前記基板の有無を判定することが可能なよう構成される制御部と、
を備えた、
基板処理装置。
【請求項2】
前記受光部が正反射光及び拡散反射光の何れも受光しない場合は、前記制御部は、前記保持面に前記基板が保持されていると判定する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記受光部が拡散反射光を受光した場合は、前記制御部は、前記拡散反射光が、前記基板の裏面で反射した反射光か、前記基板の裏面以外の拡散反射面で反射した反射光か、を判定することにより、前記基板の有無を判定する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記照射光の、前記保持面への入射角は、0°より大きく、反射光としての前記正反射光が前記受光部へ入射しない角度である、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記基板が変形または位置ずれすることにより前記基板の前記裏面が前記保持面に対して傾斜する場合、
前記入射角が、前記基板の前記裏面が前記保持面に対して平行である場合の前記入射角より大きく又は小さくなるように、前記発光部が配置されることにより、前記受光部が前記反射光としての前記正反射光を受光しない、
請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記入射角は、前記基板の反りに基づいて設定される角度である、請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記入射角は、前記基板の前記保持面に対する位置ずれに基づいて設定される角度である、請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記照射光は、前記光検出部の上面から射出され、前記光検出部の上面が前記保持面に対して傾斜することにより、前記照射光の前記保持面への入射角が0°より大きくなっている、請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記受光部が受光した前記拡散反射面からの拡散反射光に基づき、前記光検出部と前記拡散反射面との距離を検知し、検知された距離から前記基板の有無を判定する、請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記保持部は多段に配置され、下方に配置された第一保持部及び上方に配置された第二保持部を備え、
前記発光部は、前記第一保持部の前記保持面に保持される前記基板の裏面へ向かうように、かつ、前記第二保持部の裏面へ向かうように照射光を照射するように配置され、
前記受光部は、前記第一保持部の前記保持面に前記基板が保持されていない場合には拡散反射面としての前記第二保持部の裏面で反射した拡散反射光を受光するように配置された、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記基板の前記裏面が拡散反射面である場合に、
前記受光部は、前記第一保持部の前記保持面に前記基板が保持されている場合には前記裏面で反射した反射光としての拡散反射光を受光し、
前記制御部は、前記受光部が受光した拡散反射光に基づき、前記光検出部と前記第二保持部の裏面との距離、又は、前記光検出部と前記基板の裏面との距離を検知し、検知された距離から、前記基板の有無を判定する、請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記第一保持部は、前記保持面に前記基板が保持されていない状態で前記照射光を通過させて前記第二保持部の裏面に照射し、かつ、前記第二保持部の裏面からの反射光を通過させて前記受光部で受光させる光通過領域としての切欠きを有する、請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記照射光は、前記第一保持部からみて前記切欠きの外側に向かって傾斜して照射される、請求項12に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記光検出部の位置が調整可能とされ、前記照射光の前記保持面への入射角が調整可能である、請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項15】
保持部に基板を保持させる工程と、
前記基板の裏面へ向かうように照射光を照射する工程と、
照射した前記照射光の正反射光を受光せず前記照射光の拡散反射光を受光する工程と、
受光した反射光の受光状態により、前記基板の有無を判定する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項16】
保持部に基板を保持させる手順と、
前記基板の裏面へ向かうように照射光を照射する手順と、
照射した前記照射光の正反射光を受光せず前記照射光の拡散反射光を受光する手順と、
受光した反射光の受光状態により、前記基板の有無を判定する手順と、
をコンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
基板受載板を用いて基板を搬送する基板処理装置において、下部変位センサがウェーハの有無を検知する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の基板処理装置は、ウェーハを保持させるための上フィンガ及び下フィンガを備えている。そして、下フィンガにウェーハが保持されているか否かを検知するために、下部変位センサからレーザ光線を射出する。
【0004】
レーザ光線は、上フィンガの裏面で反射する。この反射したレーザ光線は、下フィンガにウェーハが保持されていない場合は、下部変位センサによって受光される。一方、下フィンガにウェーハが保持されている場合は、レーザ光線は、ウェーハに遮られるため、下部変位センサによって受光されない。
【0005】
このように、従来、下部変位センサが反射光を受光するか否かによって、ウェーハの有無を確認する技術がある。
【0006】
下部変位センサが反射光を受光するか否かによって、ウェーハの有無を確認する他の技術としては、下部変位センサの発光部から射出したレーザ光線をウェーハの裏面で反射させ、反射光としての正反射光を受光しない位置に、受光部を配置する基板処理装置もある。
【0007】
しかし、このような基板処理装置では、ウェーハが変形または位置ずれしている場合や、フィンガが変形している場合等に、反射光の反射角がずれて、受光部が正反射光を受光することがある。このとき、下部変位センサはウェーハの有無を誤検知する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010-103252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本開示は、受光部が正反射光を受光することに起因する基板の有無の誤検知を抑制できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様によれば、基板を保持可能な保持面を有する保持部と、前記保持面に保持された前記基板の裏面へ向かうように照射光を照射するように配置された発光部と、照射された前記照射光の正反射光は受光せず、前記照射光の拡散反射光を受光可能 に配置された受光部と、を備えた光検出部と、前記受光部の受光状態により前記基板の有無を判定することが可能なよう構成される制御部と、を備えた技術が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、受光部が正反射光を受光することに起因する基板の有無の誤検知を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示に於ける基板処理装置を示す概略横断面図である。
図2】本開示に於ける基板処理装置を示す概略縦断面図である。
図3】本開示に於ける基板処理装置のプラズマ処理ユニットを示す概略縦断面図である。
図4】本開示の実施の形態を示す搬送室の概略縦断面図である。
図5】本開示の実施の形態を示す要部拡大図である。
図6】本開示の実施の形態を示す要部拡大図である。
図7】本開示の実施の形態を示す要部拡大図である。
図8】本開示の実施の形態を示す要部拡大図である。
図9A】本開示の実施の形態においてウェーハの裏面が保持面に対して平行である場合を示す要部拡大図である。
図9B】本開示の実施の形態においてウェーハの裏面が保持面に対して傾斜している場合を示す要部拡大図である。
図9C】本開示の実施の形態においてウェーハの裏面が元の保持面に対して傾斜している場合を示す要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の一態様について、図1図9を参照しながら説明する。なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率は必ずしも一致していない。また、各図において、同一構成には同一符号を付している。但し、明細書中に特段の断りが無い限り、各構成要素は一つに限定されず、複数存在してもよい。
【0014】
先ず、図1図3に於いて、本開示の基板処理装置の1例であり、アッシング処理を行う為のアッシャ装置とも呼ばれる基板処理装置1について説明する。
【0015】
基板処理装置1は、EFEM(Equipment Front End Module)2と、ロードロックチャンバ部3と、トランスファーモジュール部4と、アッシング処理がなされる処理室として用いられるプロセスチャンバ部5、及び本開示の制御部の一例としてのコントローラ20とを備え、該コントローラ20はEFEM2と、ロードロックチャンバ部3と、トランスファーモジュール部4と、プロセスチャンバ部5を駆動制御する。
【0016】
制御部であるコントローラ20は、図示しない演算部(CPU)、一時記憶部(RAM)、記憶部、I/Oポートを少なくとも有する。コントローラ20は、I/Oポートを介して基板処理装置1の各構成に接続され、操作部あるいは通信部を通じて外部接続機器(図示せず)からの指示に応じて記憶部からプログラムやレシピを呼び出し、その内容に応じて各構成の動作を制御する。
【0017】
なお、コントローラ20は、専用のコンピュータとして構成してもよいし、汎用のコンピュータとして構成してもよい。例えば、上述のプログラムを格納した、コンピュータ読み取り可能な外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク及びUSBメモリ(USB Flash Drive)やメモリカード等の半導体メモリ)を用意し、外部記憶装置を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすることにより、本実施形態に係るコントローラ20を構成することができる。
【0018】
また、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用いてもよいし、制御部が、通信部を介して情報を受信し、外部記憶装置を介さずにプログラムを供給するようにしてもよい。また、キーボードやタッチパネル等の操作部を用いて、コントローラ20に指示をしてもよい。
【0019】
なお、記憶部や外部記憶装置は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶部単体のみを含む場合、外部記憶装置単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。
【0020】
EFEM2は、第1FOUP(Front Opening Unified Pod)6、第2FOUP7及び第1FOUP6と第2FOUP7からロードロックチャンバ部3へ、本開示の基板の一例としてのウェーハ12を搬送する第1の搬送部である大気ロボット8を備える。第1FOUP6及び第2FOUP7には25枚のウェーハ12が収納され、大気ロボット8は、横行、進退、回転可能であるアーム部を有し、該アーム部の先端にはウェーハ12を5枚一括載置可能なツィーザ10が設けられている。アーム部が第1FOUP6又は第2FOUP7から5枚ずつウェーハ12を抜出し、搬送する。
【0021】
ロードロックチャンバ部3は、第1ロードロックチャンバ9、第2ロードロックチャンバ11と、第1FOUP6と第2FOUP7から搬送されたウェーハ12を第1ロードロックチャンバ9、第2ロードロックチャンバ11内でそれぞれ保持する第1バッファユニット13、第2バッファユニット14を備えている。
【0022】
第1バッファユニット13、第2バッファユニット14は、第1ボート15、第2ボート16と、その下部の第1インデックスアセンブリ17、第2インデックスアセンブリ18を備え、第1ボート15、第2ボート16と、その下部の第1インデックスアセンブリ17、第2インデックスアセンブリ18は、第1ロードロックチャンバ9のθ回転軸19、第2ロードロックチャンバ11のθ回転軸21により同時に回転する。
【0023】
トランスファーモジュール部4は、搬送室22を備えており、第1ロードロックチャンバ9、第2ロードロックチャンバ11は、該搬送室22と隣接している。又、該搬送室22には、真空アームロボットユニット25が貫通して設けられており、搬送室22内部には、第2の搬送部として用いられる複節アーム26が設けられ、該複節アーム26は伸縮自在且つ回転自在であり、該複節アーム26の先端部には、表面にウェーハ12を載置可能で先端が2又に分かれた構造となっている石英製の基板受載板(以下、フィンガ組27と称す。フィンガ組27は、本開示の保持部の一例である。)が、少なくとも上下2枚重ねて取付けられている。
【0024】
プロセスチャンバ部5は、処理室として用いられる第1プラズマ処理ユニット28、第2プラズマ処理ユニット29と、その上部に設けられた第1プラズマ発生室31、第2プラズマ発生室32を備え、第1プラズマ処理ユニット28、第2プラズマ処理ユニット29は、第1ゲートバルブ23、第2ゲートバルブ24を介して搬送室22に取付けられている。
【0025】
第1プラズマ処理ユニット28、第2プラズマ処理ユニット29はウェーハ12を載置する第1サセプタテーブル33、第2サセプタテーブル34を備え、第1サセプタテーブル33、第2サセプタテーブル34をそれぞれ貫通して第1リフターピン35、第2リフターピン36が設けられている。又、第1リフターピン35、第2リフターピン36は、Z軸37、Z軸38の方向にそれぞれ上下する。
【0026】
第1プラズマ発生室31、第2プラズマ発生室32は、第1反応容器39、第2反応容器(図示せず)をそれぞれ備え、第1反応容器39、第2反応容器の外部には、第1高周波コイル42、第2高周波コイル(図示せず)が設けられている。又、第1高周波コイル42、第2高周波コイルに高周波電力を印加することで、第1ガス導入口44、第2ガス導入口(図示せず)から導入されたアッシング処理用の反応ガスをプラズマ化し、該プラズマを用いて第1サセプタテーブル33、第2サセプタテーブル34上に載置されたウェーハ12上のレジストをアッシング(プラズマ処理)する。
【0027】
次に、図3に於いて、第1プラズマ処理ユニット28の詳細について説明する。尚、第2プラズマ処理ユニット29は第1プラズマ処理ユニット28と同様の構成である為、その説明を省略する。
【0028】
第1プラズマ処理ユニット28は、半導体基板や半導体素子に乾式処理であるアッシングを施す高周波無電極放電型のプラズマ処理ユニットであり、第1プラズマ発生室31、半導体基板等のウェーハ12を収容する第1プロセスチャンバ46及び第1高周波コイル42を備えている。なお、第1プラズマ処理ユニット28には、第1高周波コイル42に高周波電力を供給する高周波電源47、及び該高周波電源47の発信周波数を制御する周波数整合器48を含めてもよい。又、高周波電源47の出力側にはRFセンサ53が接地され、進行波、反射波等をモニタしている。該RFセンサ53によってモニタされた反射電力は、周波数整合器48に入力され、該周波数整合器48は反射波が最小となる様周波数を制御する。
【0029】
第1プラズマ発生室31は、減圧可能に構成され、且つプラズマ用の反応ガスが供給され、第1反応容器39と、該第1反応容器39の外周に巻回された第1高周波コイル42と、該第1高周波コイル42の外周に配置され、且つ電気的に接地された外側シールド49とで構成される。
【0030】
第1反応容器39は、通常軸線が垂直になる様に配置され、トッププレート51及び第1プロセスチャンバ46によって上下端が気密に封止される。第1反応容器39上部のトッププレート51には、図示しないガス供給ユニットから伸張され、且つ所要のプラズマ用の反応ガスを供給する為のガス供給管52が、第1ガス導入口44に付設されている。ガス供給ユニットは、ガスの流量を制御する機能を持ち、具体的には流量制御部であるマスフローコントローラ54及びガス供給バルブ55を有している。
【0031】
又第1反応容器39の下方の第1プロセスチャンバ46の底面には、複数、例えば4本の支柱56によって支持されるサセプタ57が設けられ、該サセプタ57には、第1サセプタテーブル33及びサセプタ57上のウェーハ12を加熱する基板加熱部58が具備される。
【0032】
サセプタ57の下方には排気板59が配設され、サセプタ57と排気板59の間にバッフルリング61が設けられる。該バッフルリング61、サセプタ57、排気板59で第1排気室62が形成される。又、バッフルリング61は円筒形状であり、外周には多数の通気口が一定の間隔毎に設けられている。従って、第1排気室62は第1プロセスチャンバ46と仕切られ、又通気口によって第1プロセスチャンバ46と連通している。
【0033】
排気板59には、排気連通孔63が設けられ、該排気連通孔63によって第1排気室62と第2排気室64が連通される。又、該第2排気室64には、排気管65が連通されており、該排気管65には排気装置66が設けられている。
【0034】
尚、流量制御部及び排気装置66によってガスの供給量、排気量を調整することにより、第1プロセスチャンバ46の圧力が調整される。
【0035】
上記の様に構成された基板処理装置1に於いては、第1FOUP6、第2FOUP7から第1ロードロックチャンバ9、第2ロードロックチャンバ11へとウェーハ12が搬送される。この際、先ず図2に示される様に、大気ロボット8が第1FOUP6、第2FOUP7のポッドにツィーザ10を挿入し、5枚のウェーハ12をツィーザ10上へ載置する。この時、取出すウェーハ12の高さ方向の位置に合わせて大気ロボット8のツィーザ10及びアーム部を上下させる。
【0036】
ウェーハ12をツィーザ10へ載置した後、大気ロボット8がθ回転軸67を中心に回転し、又横行、進退の協働により第1バッファユニット13、第2バッファユニット14の第1ボート15、第2ボート16にウェーハ12を搭載する。この時、第1ボート15、第2ボート16は、第1ロードロックチャンバ9のZ軸68及び第2ロードロックチャンバ11のZ軸69方向に動作し、第1ボート15、第2ボート16は、大気ロボット8から25枚のウェーハ12を受取る。25枚のウェーハ12を受取った後、第1ボート15、第2ボート16の最下層にあるウェーハ12がトランスファーモジュール部4の高さ位置に合う様、第1ボート15、第2ボート16をZ軸68、Z軸69方向に動作させる。
【0037】
第1バッファユニット13、第2バッファユニット14によって保持されているウェーハ12を、複節アーム26が回転伸縮することでウェーハ12を受取り、フィンガ組27に搭載する。トランスファーモジュール部4のθ回転軸71方向で複節アーム26を回転し、更にトランスファーモジュール部4のY軸72方向に複節アーム26を延伸し、第1サセプタテーブル33、第2サセプタテーブル34上に移載する。
【0038】
ここで、ウェーハ12を、フィンガ組27から第1サセプタテーブル33、第2サセプタテーブル34へ移載する工程を説明する。
【0039】
フィンガ組27と、第1リフターピン35、第2リフターピン36との協働により、ウェーハ12を第1サセプタテーブル33、第2サセプタテーブル34上に移載する。又、逆の動作により、処理が終了したウェーハ12を第1サセプタテーブル33、第2サセプタテーブル34から、複節アーム26を介したフィンガ組27によって第1ロードロックチャンバ9、第2ロードロックチャンバ11内の第1バッファユニット13、第2バッファユニット14にウェーハ12を移載する。
【0040】
以上の様に構成された基板処理装置1では、第1ロードロックチャンバ9、第2ロードロックチャンバ11へウェーハ12が搬送され、第1ロードロックチャンバ9、第2ロードロックチャンバ11内が真空引き(真空置換)され、第1ロードロックチャンバ9、第2ロードロックチャンバ11から、搬送室22を経てウェーハ12が第1プラズマ処理ユニット28、第2プラズマ処理ユニット29へと搬送され、第1プラズマ処理ユニット28、第2プラズマ処理ユニット29でウェーハ12からレジスト除去がなされ(除去工程)、レジストの除去がなされたウェーハ12が、搬送室22を経て再び第1ロードロックチャンバ9、第2ロードロックチャンバ11へ搬送される。
【0041】
次に、図4図7に於いて、本開示に於けるウェーハの検出装置について説明する。
【0042】
図中、73は複節アーム26を収納する気密容器73である。該気密容器73は中空構造で上方向に開放されており、該気密容器73の上端にはリング状の蓋74が被せられ、該蓋74の上部は光を透過させる上部透明樹脂板75で閉塞されている。気密容器73の壁面には第1ロードロックチャンバ9、第2ロードロックチャンバ11と連通したウェーハ搬送孔76が穿設されており、開閉自在なゲート弁78がウェーハ搬送孔76を閉塞可能に設けられている。又、該ウェーハ搬送孔76と対向する位置の気密容器73の壁面には、第1プラズマ処理ユニット28、第2プラズマ処理ユニット29と連通したウェーハ搬送孔76′が穿設され、開閉自在なゲート弁78′がウェーハ搬送孔76′を閉塞可能に設けられている。気密容器73の底部には下部レーザ透過孔77が穿設されており、該下部レーザ透過孔77は光を透過させる下部透明樹脂板79で閉塞されている。
【0043】
ウェーハ12の検出が行われるトランスファーモジュール部4では、気密容器73を蓋74と上部透明樹脂板75とゲート弁78,78′と下部透明樹脂板79で閉塞することで搬送室22を画成している。
【0044】
該搬送室22の下部には、真空アームロボットユニット25が気密容器73を貫通して設けられ、搬送室22内部で第2の搬送部として複節アーム26を構成している。又、該複節アーム26は伸縮自在且つ回転自在な構造であり、該複節アーム26の先端部にはフィンガ組27が取付けられている。又、該フィンガ組27は略同形状の上フィンガ81と下フィンガ82が重なった状態を具備している。上フィンガ81、下フィンガ82は共に先端が2又に分かれた構造となっている。又、上フィンガ81と下フィンガ82の表面にはそれぞれウェーハ12の位置合せを行う座刳83が設けられ、該座刳83上にウェーハ12を載置可能な構造となっている。図5に示すように、該座刳83は、ウェーハ12を保持可能な保持面83Aを形成している。また、上フィンガ81の裏面は、拡散反射面となっている。
【0045】
なお、上フィンガ81は本開示の第二保持部の一例であり、下フィンガ82は本開示の第一保持部の一例である。このように、本開示の保持部の一例であるフィンガ組27は多段に配置され、下方に配置された第一保持部としての下フィンガ82及び上方に配置された第二保持部としての上フィンガ81を備えている。
【0046】
又、下部レーザ透過孔77は、複節アーム26を介して移動する下フィンガ82の先端部と対向可能な位置に穿設されている。
【0047】
上フィンガ81の根本部2箇所には、座刳83を跨ぐ形で上部レーザ透過孔84が穿設され、該上部レーザ透過孔84は下フィンガ82の表面と対向している。又、上部透明樹脂板75よりも上方で、フィンガ組27と対向する位置には上部変位センサ85が配設されている。該上部変位センサ85は発光部92から上部検出レーザ光線86を射出し、該上部検出レーザ光線86が座刳83よりも外側の上部レーザ透過孔84aを通り、下フィンガ82の根本部の表面で反射し、反射した上部検出レーザ光線86が座刳83部分の上部レーザ透過孔84bを通り、上部変位センサ85の受光部93に受光される様傾けて配設する。
【0048】
尚、上部変位センサ85の発光部92が射出した上部検出レーザ光線86と、下フィンガ82の根本部の表面で反射した上部検出レーザ光線86の一方が上部レーザ透過孔84aを通り、他方が上部レーザ透過孔84bを通ればよいので、発光部92及び受光部93の位置を入れ替えて、上部変位センサ85の発光部90が射出した上部検出レーザ光線86が上部レーザ透過孔84bを通り、下フィンガ82の根本部の表面で反射した上部検出レーザ光線86が上部レーザ透過孔84aを通る様に上部変位センサ85を配設してもよい。
【0049】
又、本開示では上部検出レーザ光線86を下フィンガ82の根本部で反射させているが、上部検出レーザ光線86の反射位置は、下フィンガ82のウェーハ12の載置箇所よりも外側であればよいので、上部レーザ透過孔84と上部変位センサ85の位置関係により下フィンガ82の先端部等に反射位置を変更してもよい。
【0050】
一方、下フィンガ82の先端部の外端には欠損部である切欠き87が設けられ、該切欠き87は、上フィンガ81の裏面と対向している。下部レーザ透過孔77の下方、該下部レーザ透過孔77と対向する位置には、本開示の光検出部の一例としての下部変位センサ88が配設されている。該下部変位センサ88は、発光部90及び受光部91を備えている。
【0051】
切欠き87は、下フィンガ82の保持面83Aにウェーハ12が保持されていない状態で、照射光としての下部検出レーザ光線89を通過させて上フィンガ81の裏面に照射し、かつ、上フィンガ81の裏面からの反射光を通過させて受光部91で受光させる光通過領域である。
【0052】
図5に示すように、下部変位センサ88の内部において、発光部90は、下フィンガ82の保持面83Aに保持されたウェーハ12の裏面へ向かうように、照射光として下部検出レーザ光線89を照射するように配置されている。一方、受光部91は、照射された下部検出レーザ光線89の正反射光は受光せず、下部検出レーザ光線89の拡散反射光を受光可能に配置されている。なお、「ウェーハ12の裏面へ向かうように」とは、ウェーハ12が下フィンガ82の保持面83Aに保持されている場合に、下部検出レーザ光線89がウェーハ12の裏面に照射されることを示す。ウェーハ12の周辺であってウェーハ12の裏面以外の部分に下部検出レーザ光線89が照射される態様は含まない。
【0053】
より詳しくは、発光部90は、第一保持部である下フィンガ82の保持面83Aに保持されるウェーハ12の裏面へ向かうように、かつ、第二保持部である上フィンガ81の裏面へ向かうように、下部検出レーザ光線89を照射するように配置されている。一方、受光部91は、下フィンガ82の保持面83Aにウェーハ12が保持されていない場合には、拡散反射面としての上フィンガ81の裏面で反射した拡散反射光を受光するように配置されている。また、受光部91は、発光部90より下フィンガ82の先端側に配置されている。
【0054】
図9Aに示すように、照射光である下部検出レーザ光線89の、保持面83Aへの入射角である角度θ1は、0°より大きく、正反射光である下部検出レーザ光線89Aが受光部91へ入射しない角度である。角度θ1がこのような角度であることにより、受光部91に正反射光が入射されることを抑制できる。一方、拡散反射面で反射した拡散反射光は、受光部91で受光される。
【0055】
なお、下部検出レーザ光線89は、発光部90及び受光部91が収容された下部変位センサ88の上面から射出され、下部変位センサ88の上面が、座刳83の保持面83Aに対して傾斜することにより、下部検出レーザ光線89の保持面83Aへの入射角が0°より大きくなっている。下部変位センサ88は、上面が下フィンガ82の先端側へ向くように傾斜している。また、下部変位センサ88の上面の、座刳83の保持面83Aに対する傾斜角度である角度θ4は、一例として、3°である。この角度は、4°程度以内とすることが好ましいが、4°以上としてもよい。また、下部変位センサ88は、上面が下フィンガ82の基端側へ向くように傾斜させてもよい。このように、下部変位センサ88の傾斜角度である角度θ4を調整すれば、容易に下部検出レーザ光線89の、保持面83Aへの入射角である角度θ1を調整できる。
【0056】
下フィンガ82の座刳83上にウェーハ12を載置していない状態では、発光部90から射出した下部検出レーザ光線89が、図4に示すように下部レーザ透過孔77を通り、座刳83部分の切欠き87bを通過して上フィンガ81の裏面で反射する。上フィンガ81の裏面は拡散反射面であるため、反射した拡散反射光である下部検出レーザ光線89Bが座刳83よりも外側の切欠き87aを通り、下部レーザ透過孔77を通って下部変位センサ88の受光部91に受光される。
【0057】
一方、下フィンガ82の座刳83上にウェーハ12が載置されている状態では、発光部90から射出した下部検出レーザ光線89が、下部レーザ透過孔77を通り、ウェーハ12の裏面で反射する。ウェーハ12の裏面は正反射面の場合、図5に示すように、反射した正反射光である下部検出レーザ光線89Aは、下部変位センサ88の受光部91に受光されない。
【0058】
また、下部検出レーザ光線89は下フィンガ82からみて切欠き87の外側に向かって傾斜して照射される。「切欠き87の外側」とは、下フィンガ82の外端側、図5における紙面右側のことである。
【0059】
仮に下部検出レーザ光線89が下フィンガ82からみて切欠き87の「内側」に向かって傾斜して照射された場合、ウェーハ12の裏面で反射した正反射光は、切欠き87の内側の壁面、すなわち図5に示す切欠き87の内側端87cに入射され易い。この場合、内側端87cで反射した拡散反射光が下部変位センサ88の受光部91に受光される場合がある。これに対して、下部検出レーザ光線89が下フィンガ82からみて切欠き87の「外側」に向かって傾斜して照射されることにより、そのような拡散反射光の受光が抑制される。
【0060】
なお、下フィンガ82に切欠き87を設けず、下部変位センサ88の発光部90が射出した下部検出レーザ光線89が該ウェーハ12の載置箇所を通り、上フィンガ81の裏面で反射した下部検出レーザ光線89が、下フィンガ82の外側且つウェーハ12の載置箇所を通らず、下部変位センサ88の受光部91に受光される様該下部変位センサ88を配設してもよい。
【0061】
次に、ウェーハ12の検出を行う場合について説明する。ウェーハ12の検出、すなわちウェーハ12の有無は、受光部91、93の受光状態により、コントローラ20の判定部20Aによって判定される。
【0062】
フィンガ組27が移動して、配設した上部変位センサ85、下部変位センサ88でウェーハ12を検出可能な位置にフィンガ組27(及びウェーハ12)を移動させる。
【0063】
上部変位センサ85であれば、発光部92から射出した上部検出レーザ光線86が上部レーザ透過孔84aを通り、下フィンガ82の表面で反射し、上部レーザ透過孔84bを通る経路をとる為、ウェーハ12が上フィンガ81に載置されていなければ、上部検出レーザ光線86は上部変位センサ85の受光部93で受光される。
【0064】
又、ウェーハ12が上フィンガ81の座刳83に載置されていれば、下フィンガ82の表面で反射した上部検出レーザ光線86がウェーハ12に遮られる為、上部検出レーザ光線86は上部変位センサ85の受光部93に受光されない。
【0065】
このように、上部変位センサ85では、発光部92から射出して反射された検出レーザ光線を受光部93で受光できればウェーハ12は載置されていないと判別でき、検出レーザ光線を受光部93で受光できなければウェーハ12が載置されていると判別できる。すなわち、上部変位センサ85は下フィンガ82に載置されたウェーハ12の有無に拘わらず、上フィンガ81に載置されたウェーハ12の有無を検出できる。
【0066】
一方、下部変位センサ88であれば、ウェーハ12が下フィンガ82に載置されていなければ、発光部90から射出した下部検出レーザ光線89が下部レーザ透過孔77、切欠き87bを通り、拡散反射面とされた上フィンガ81の裏面で反射する。反射した拡散光である下部検出レーザ光線89Bは、切欠き87a、下部レーザ透過孔77を通る経路をとる。この為、拡散光である下部検出レーザ光線89は下部変位センサ88で受光される。
【0067】
一方、ウェーハ12の裏面は、正反射面とされている。このため、ウェーハ12が下フィンガ82の座刳83に載置されていれば、ウェーハ12の裏面で反射した正反射光である下部検出レーザ光線89Aは、下部変位センサ88の受光部91に受光されない。また、このとき、拡散光も受光部91に受光されない。
【0068】
このように、受光部91が正反射光及び拡散反射光の何れも受光しない場合、コントローラ20は、下フィンガ82の保持面を形成する座刳83にウェーハ12が保持されていると判断する。
【0069】
なお、本実施形態においてはウェーハ12の裏面を正反射面として説明したが、本開示の実施形態はこれに限らない。例えばウェーハ12の裏面が、拡散反射面である場合もある。この場合、受光部91は、第一保持部としての下フィンガ82の保持面83Aにウェーハ12が保持されている場合には、ウェーハ12の裏面で反射した反射光としての拡散反射光を受光する。
【0070】
ここで、発光部90から射出された下部検出レーザ光線89が拡散反射面で反射された場合、受光部91における拡散反射光の受光位置は、下部変位センサ88と拡散反射面との距離に応じて変化する。換言すると、下部変位センサ88と近い位置にある拡散反射面で反射された拡散反射光と、離れた位置にある拡散反射面で反射された拡散反射光とでは、受光部91における受光位置が異なる。
【0071】
このため、コントローラ20の判定部20Aは、受光部91が拡散反射光を受光した場合に、受光した拡散反射光の受光位置に基づき、下部変位センサ88と当該拡散反射面との距離を検知する。すなわち、判定部20Aは、下部変位センサ88と上フィンガ81の裏面との距離、又は、下部変位センサ88とウェーハ12の裏面との距離を検知する。そして、判定部20Aは、検知された距離から、ウェーハ12の有無を判定することができる。
【0072】
つまり、下フィンガ82の保持面83Aは、上フィンガ81の裏面と比較して、下部変位センサ88との位置が近い。このため、受光部91が拡散反射光を受光した場合、判定部20Aは、この拡散反射光が、拡散反射面であるウェーハ12の裏面で反射した反射光か、ウェーハ12の裏面以外の拡散反射面、すなわち、上フィンガ81の裏面で反射した反射光か、を判定する。これにより、判定部20Aは、ウェーハ12の有無を判定することができる。
【0073】
なお、判定部20Aは、下部変位センサ88と拡散反射面との距離を検知する際に、上フィンガ81の裏面を基準面として、この基準面との離隔距離を、判定基準値として導出する。
【0074】
例えば下部検出レーザ光線89が上フィンガ81の裏面で反射された際には、判定基準値が「0」として導出される。
【0075】
また、例えば上フィンガ81の裏面と下フィンガ82の保持面83Aとの離隔距離が10mmである場合において、下部検出レーザ光線89が保持面83Aに保持されたウェーハ12の裏面で反射された際には、判定基準値は「10」として導出される。
【0076】
判定部20Aは、判定基準値が5未満の場合は、下フィンガ82にウェーハ12が保持されていない、と判定する。一方、判定基準値が5以上の場合は、下フィンガ82にウェーハ12が保持されている、と判定する。なお、ウェーハ12の裏面が正反射面である場合は、受光部91において正反射光も拡散反射光も受光されないため、判定基準値は導出されない。
【0077】
本実施形態においては、下フィンガ82にウェーハ12が保持されているか否かを判定する閾値を「5」としている。この値は、上フィンガ81の裏面と下フィンガ82の保持面83Aとの離隔距離に応じて、適宜変更される。このように、下部変位センサ88と当該拡散反射面との距離を検知してウェーハ12の有無を判定することにより、判定基準が明確となる。これにより誤検知を抑制し易い。
【0078】
次に、ウェーハ12が変形または位置ずれする場合について説明する。
【0079】
基板処理装置1においては、その装置内で実行される基板処理内容に応じて、図9Bに示すように、ウェーハ12が変形する場合がある。このようなウェーハ12の変形量は、基板処理装置1毎に特有の傾向を示す。下フィンガ82に保持された状態のウェーハ12を採取して測定することにより、この変形量の平均値や最大値を導出することができる。
【0080】
同様に、基板処理装置1においては、その装置内で実行される基板処理内容に応じて、ウェーハ12の位置ずれが発生する場合がある。例えば図9Cに示すように、下フィンガ82がウェーハ12の重量や熱等によって位置ずれまたは変形することに起因して、ウェーハ12に保持面83Aに対する位置ずれが発生する。
【0081】
また、この位置ずれは、別の一例として、ウェーハ12が、座刳83の保持面83Aに対してずれて配置されることに起因して生じる場合がある。
【0082】
このようなウェーハ12のずれ量は、基板処理装置1毎に特有の傾向を示す。ウェーハ12を保持した状態の下フィンガ82や、下フィンガ82に保持された状態のウェーハ12を観察することにより、このずれ量の平均値や最大値を導出することができる。
【0083】
このように、ウェーハ12が変形または下フィンガ82に対して位置ずれすると、ウェーハ12の裏面が、保持面83Aに対して傾斜する。また、この傾斜角は、ウェーハ12や下フィンガ82を観察した過去の実績値から統計的に求められる。
【0084】
このように、ウェーハ12が変形または位置ずれすることにより、ウェーハ12の裏面が保持面83Aに対して傾斜する場合がある。このような場合は、下部検出レーザ光線89の入射角が、ウェーハ12の裏面が保持面83Aに対して平行である場合の入射角より大きく又は小さくなるように、発光部90が配置される。この結果、受光部91が反射光としての正反射光を受光しない。
【0085】
具体的には、図9Aに示すように、ウェーハ12の裏面が保持面83Aに対して平行である場合の、下部検出レーザ光線89の保持面83Aに対する入射角度を、角度θ1とする。この角度θ1は、上述したように、0°より大きく、正反射光である下部検出レーザ光線89Aが受光部91へ入射しない角度である。
【0086】
そして、図9Bに示すように、ウェーハ12が変形し、反りが生じている場合は、下部検出レーザ光線89のウェーハ12の裏面に対する入射角度が、角度θ1+θ2となる。
【0087】
図9Bにおいては、ウェーハ12が保持面83Aに対して上方に沿っている。角度θ2は、ウェーハ12が保持面83Aに対して上方に反っている場合を正の値、下方に反っている場合を負の値とする。このため、角度θ1+θ2で表される角度は、ウェーハ12が保持面83Aに対して「上方」に沿っている場合は、角度θ1より大きい。
【0088】
したがって、ウェーハ12の裏面が正反射面である場合、正反射光である下部検出レーザ光線89Aは、ウェーハ12の裏面が保持面83Aに対して平行である場合と比較して、受光部91より離れた方向へ向かって反射する。すなわち、ウェーハ12が保持面83Aに対して上方に沿っていると、受光部91には、反射光としての正反射光が受光され難くなる。
【0089】
このような場合は、ウェーハ12の裏面が保持面83Aに対して平行である場合と比較して、発光部90は、下部検出レーザ光線89の保持面83Aに対する入射角を「小さく」配置することができる。
【0090】
一方、角度θ1+θ2で表される角度は、ウェーハ12が保持面83Aに対して「下方」に沿っている場合は、角度θ1より小さい。
【0091】
したがって、ウェーハ12の裏面が正反射面である場合、正反射光である下部検出レーザ光線89Aは、ウェーハ12の裏面が保持面83Aに対して平行である場合と比較して、受光部91に近い方向へ向かって反射する。すなわち、ウェーハ12が保持面83Aに対して下方に沿っていると、受光部91には、反射光としての正反射光が受光され易くなる。
【0092】
このような場合は、ウェーハ12の裏面が保持面83Aに対して平行である場合と比較して、発光部90は、下部検出レーザ光線89の保持面83Aに対する入射角を「大きく」配置することが好ましい。
【0093】
このように、下部検出レーザ光線89の保持面83Aに対する入射角は、ウェーハ12の反りに基づいて設定することができる。つまり、ウェーハ12に反りが生じているような場合でも、ウェーハ12の有無を正確に判定し易い。
【0094】
また、図9Cにおいては、下フィンガ82がウェーハ12の重量や熱等によって位置ずれまたは変形することに起因して、ウェーハ12が元の(換言すると、変形前の)保持面83Aに対して位置ずれしている。これにより、ウェーハ12は、「元の」保持面83Aに対して下方に傾いている。この傾斜角度である角度θ3は、ウェーハ12が保持面83Aに対して上方に傾いて場合を正の値、下方に傾いている場合を負の値とする。このため、角度θ1+θ3で表される角度は、ウェーハ12が保持面83Aに対して「下方」に傾いている場合は、角度θ1より小さい。
【0095】
このため、ウェーハ12の裏面が正反射面である場合、正反射光である下部検出レーザ光線89Aは、ウェーハ12の裏面が保持面83Aに対して平行である場合と比較して、受光部91に近い方向へ向かって反射する。すなわち、ウェーハ12が保持面83Aに対して下方に反っていると、受光部91には、反射光としての正反射光が受光され易くなる。
【0096】
このような場合は、ウェーハ12の裏面が保持面83Aに対して平行である場合と比較して、発光部90は、下部検出レーザ光線89の保持面83Aに対する入射角を「大きく」配置することが好ましい。
【0097】
このように、下部検出レーザ光線89の保持面83Aに対する入射角は、ウェーハ12の保持面83Aに対する位置ずれに基づいて設定することもできる。つまり、ウェーハ12に位置ずれが生じているような場合でも、ウェーハ12の有無を正確に判定し易い。
【0098】
上記の様に、下部変位センサ88は上フィンガ81に載置されたウェーハ12の有無に拘わらず、下フィンガ82に載置されたウェーハ12の有無を検出できる為、正確にウェーハ12の有無を検知し易い。
【0099】
なお、下部変位センサ88の位置は調整可能である。つまり、発光部90及び受光部91の配置位置及び発光部90から射出される下部検出レーザ光線89の射出角度が調整可能である。
【0100】
これにより、下フィンガ82の保持面83Aに保持されたウェーハ12が変形しても、下部検出レーザ光線89がウェーハ12の裏面で反射した場合の正反射光が受光部91に導入されないように、下部変位センサ88の位置を調整できる。
【0101】
また、下フィンガ82が熱やウェーハ12の重量により位置ずれまたは変形しても、下部検出レーザ光線89がウェーハ12の裏面で反射した場合の正反射光が受光部91に導入されないように、下部変位センサ88の位置を調整できる。
【0102】
上記の様な構成とすることで、ウェーハ12の変形、下フィンガ82の位置ずれ及び下フィンガ82の垂れ等によるウェーハ12の誤検知を抑制することが可能となる。
【0103】
尚、上記した各構成は、コントローラ20によって制御されるものである。すなわち、コントローラ20の記憶部に記憶されたプログラムによると、保持部としての下フィンガ82に基板としてのウェーハ12を保持させる手順と、ウェーハ12の裏面へ向かうように下部検出レーザ光線89を照射する手順と、照射した下部検出レーザ光線89の正反射光を受光せず、下部検出レーザ光線89の拡散反射光を受光する手順と、受光した反射光の受光状態により、ウェーハ12の有無を判定する手順と、をコンピュータによって基板処理装置に実行させることができる。
【0104】
また、本開示に係る基板処理装置1を用いることで、保持部としての下フィンガ82に基板としてのウェーハ12を保持させる工程と、ウェーハ12の裏面へ向かうように下部検出レーザ光線89を照射する工程と、照射した下部検出レーザ光線89の正反射光を受光せず、下部検出レーザ光線89の拡散反射光を受光する工程と、受光した反射光の受光状態により、ウェーハ12の有無を判定する工程と、を有する半導体装置の製造方法を採用できる。
【0105】
尚、上部変位センサ85、下部変位センサ88共に搬送経路中のウェーハ12を検出できればよく、上部変位センサ85と下部変位センサ88が同じ位置に設けられなくてもよい。
【0106】
又、本開示に於ける実施例では、気密容器73の蓋74の上部に光を透過させる上部透明樹脂板75で閉塞しているが、光を透過させる部分は上部変位センサ85が、上部検出レーザ光線86を射出し、受光できるだけの大きさがあればよいので、蓋74を更に気密性の高い材質で構成し、上部検出レーザ光線86が通過する箇所のみを透明部材とする構成としてもよい。
【0107】
本態様によれば、以下に示す1つ又は複数の効果が得られる。
【0108】
図5に示すように、この基板処理装置1では、発光部90からの下部検出レーザ光線89は、の下フィンガ82の保持面83Aに保持されたウェーハ12の裏面へ向かうように照射される。
【0109】
このため、保持面83Aにウェーハ12が「保持されている」場合は、下部検出レーザ光線89はウェーハ12の裏面で反射する。この際、ウェーハ12の裏面が正反射面である場合は、受光部91で正反射光としての下部検出レーザ光線89Aを受光しない。また、ウェーハ12の裏面が拡散反射面である場合は、受光部91で反射光としての拡散反射光を受光する。
【0110】
一方、保持面に基板が「保持されていない」場合は、下部検出レーザ光線89は基板の裏面以外で反射する。この際も、受光部91は、反射光としての正反射光は受光せず、反射光としての拡散反射光を受光可能である。
【0111】
さらに、判定部20Aが、受光部91の受光状態によりウェーハ12が有無を判定する。つまり、受光部91で正反射光を受光したか否かと、受光部91で拡散反射光を受光した場合は、その拡散反射光の受光状態により、ウェーハ12の有無を判定できる。
【0112】
このように、本態様の基板処理装置1、コントローラ20の記憶部に記憶されたプログラム、及び、基板処理装置1を用いた半導体装置の製造方法では、受光部91において、正反射光である下部検出レーザ光線89Aを受光しないで、ウェーハ12の有無を判定できる。これにより、受光部91が正反射光を受光することに起因するウェーハ12の有無の誤検知を抑制できる。ウェーハ12の有無の誤検知を抑制できれば、生産効率が向上する。
【0113】
また、この基板処理装置1では、受光部91で正反射光及び拡散反射光の何れも受光しない場合は、判定部20Aは、裏面が正反射面であるウェーハ12が下フィンガ82の保持面83Aに保持されていると判定できる。このように、受光部91で正反射光及び拡散反射光の何れも受光しない場合は、ウェーハ12の有無の判定が容易である。
【0114】
一方、受光部91が拡散反射光を受光した場合は、判定部20Aは、この拡散反射光が、ウェーハ12の裏面で反射した反射光か、ウェーハ12の裏面以外の拡散反射面で反射した反射光か、を判定することにより、ウェーハ12の有無を判定できる。
【0115】
具体的には、判定部20Aは、受光部91が受光した拡散反射光に基づき、下部変位センサ88と拡散反射面との距離を検知し、検知された距離からウェーハ12の有無を判定する。
【0116】
つまり、保持部としてのフィンガ組27が多段に配置されている場合において、下フィンガ82の保持面83Aは、上フィンガ81の裏面と比較して、下部変位センサ88との位置が近い。このため、受光部91が拡散反射光を受光した場合は、コントローラ20の判定部20Aは、この拡散反射光が、拡散反射面であるウェーハ12の裏面で反射した反射光か、ウェーハ12の裏面以外の拡散反射面、すなわち、上フィンガ81の裏面で反射した反射光か、を判定することにより、ウェーハ12の有無を判定することができる。
【0117】
このように、受光部91が拡散反射光を受光した場合でも、受光部91が受光した拡散反射光に基づき、下部変位センサ88と拡散反射面との距離を検知することを通じて、ウェーハ12の有無を判定できる。すなわち、受光部91で正反射光を受光することができなくても、ウェーハ12の有無を判定できる。また、ウェーハ12の裏面が正反射面か拡散反射面かに関わらず、ウェーハ12の有無を判定できる。
【0118】
また、この基板処理装置1では、保持部としてのフィンガ組27が多段に配置されている。そして、受光部91は、上フィンガ81の裏面で反射した拡散反射光を受光することができる。これにより、判定部20Aは、下部変位センサ88と拡散反射面との距離を検知する際に、上フィンガ81の裏面を基準面として、この基準面との離隔距離を、判定基準値として導出することができる。下フィンガ82の保持面83Aと比較的近接している上フィンガ81の裏面を基準面とできれば、下部検出レーザ光線89の光路を短くできるため、判定に誤差が生じ難い。
【0119】
また、この基板処理装置1では、下フィンガ82に切欠き87が形成されている。上フィンガ81と、上フィンガ81と略同形状の下フィンガ82が重なった状態において、下フィンガにこのような切欠き87を設けることにより、下部検出レーザ光線89を、下フィンガ82の保持面83Aに保持されるウェーハ12の裏面へ向かうように、かつ、上フィンガ81の裏面へ向かうように照射し易い。
【0120】
なお、上記実施形態においては保持部としてのフィンガ組27が、上フィンガ81及び下フィンガ82の2枚組とされているが、本開示の実施形態はこれに限らない。例えば上フィンガ81の更に上段にフィンガを備える構成としてもよい。すなわち、本開示における「多段」の保持部とは、3段以上の保持部を含む。
【0121】
また、保持部は1つのフィンガで構成してもよい。この場合、上フィンガ81が省略される。また、上部変位センサ85も省略される。さらに、下フィンガ82にウェーハ12が保持されていない場合は、下部検出レーザ光線89は、搬送室22の内側において、上フィンガ81の裏面以外の部分の拡散反射面で反射する。すなわち、フィンガの数に関わらず、受光部91が正反射光を受光することに起因するウェーハ12の有無の誤検知を抑制できる、という効果を得ることができる。
【0122】
また、上記実施形態においては、下部変位センサ88の受光部91は、発光部90より下フィンガ82の先端側に配置されているが、本開示の実施形態はこれに限らない。例えば受光部91は、発光部90より下フィンガ82の基端側に配置してもよい。
【0123】
上述の態様では、一度に1枚または数枚の基板を処理する枚葉式の基板処理装置による基板有無の誤検知を抑制する例について説明した。本開示は上述の態様に限定されず、例えば、一度に複数枚の基板を処理するバッチ式の基板処理装置1を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用することができる。また、上述の態様では、コールドウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する例について説明した。本開示は上述の態様に限定されず、ホットウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用することができる。
【0124】
これらの基板処理装置を用いる場合においても、上述の態様や変形例と同様な処理手順、処理条件にて各処理を行うことができ、上述の態様や変形例と同様の効果が得られる。
また、上述の態様や変形例は、適宜組み合わせて用いることができる。このときの処理手順、処理条件は、例えば、上述の態様や変形例の処理手順、処理条件と同様とすることができる。
【符号の説明】
【0125】
12 ウェーハ(基板)
20 コントローラ(制御部)
82 下フィンガ(保持部)
83A 保持面
88 下部変位センサ(光検出部)
90 発光部
91 受光部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C