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特開2024-38757生体情報測定装置及び生体情報測定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038757
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】生体情報測定装置及び生体情報測定方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/304 20210101AFI20240313BHJP
   A61B 5/313 20210101ALI20240313BHJP
   A61B 5/296 20210101ALI20240313BHJP
【FI】
A61B5/304
A61B5/313
A61B5/296
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143015
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和洋
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA04
4C127EE01
4C127EE03
4C127EE05
4C127FF01
4C127KK07
(57)【要約】
【課題】消費電力を低減できる生体情報測定装置及び生体情報測定方法を提供する。
【解決手段】生体情報測定装置10は、N個の測定部20を有するセンサ部11と、N個の測定部20からそれぞれ出力されるN個の出力信号Soを、予め決められた順番で順次取得する制御部50とを有する。N個の測定部20の各々は、増幅器30を有する。制御部50は、N個の出力信号Soの取得順に応じて、N個の測定部20に対してHレベルのシャットダウン信号SHDNを順次出力する。制御部50は、N個の測定部20の各々に対して、対応する出力信号Soの取得に基づいてLレベルのシャットダウン信号SHDNを出力する。制御部50は、取得順がi番目の測定部20に対してHレベルのシャットダウン信号SHDNを出力する場合に、取得順が(i+1)番目の測定部20に対してもHレベルのシャットダウン信号SHDNを出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N(Nは3以上の自然数)個の測定部を有するセンサ部と、
前記N個の測定部からそれぞれ出力されるN個の出力信号を、予め決められた順番で順次取得する制御部と、を有し、
前記N個の測定部の各々は、生体電極と、前記生体電極により測定された生体情報を増幅して前記出力信号を生成する増幅器とを有し、
前記増幅器は、シャットダウン信号が入力されるシャットダウン端子を有し、
前記増幅器は、第1レベルの前記シャットダウン信号に基づいて、前記出力信号の生成を実行する駆動モードで動作するとともに、第2レベルの前記シャットダウン信号に基づいて、前記出力信号の生成を休止するシャットダウンモードで動作し、
前記制御部は、前記N個の出力信号の取得順に応じて、前記N個の測定部に対して前記第1レベルのシャットダウン信号を順次出力し、
前記制御部は、前記N個の測定部の各々に対して、対応する前記出力信号の取得に基づいて前記第2レベルのシャットダウン信号を出力し、
前記制御部は、前記取得順がi(iは1以上の自然数)番目の前記測定部に対して前記第1レベルのシャットダウン信号を出力する場合に、前記取得順が(i+1)番目の前記測定部に対しても前記第1レベルのシャットダウン信号を出力する生体情報測定装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記N個の出力信号を、1→2→…→N→1→2…の順番で順次取得し、
前記制御部は、前記取得順がj(jは1からN-1までの自然数)番目の前記測定部に対して前記第1レベルのシャットダウン信号を出力する場合に、前記取得順が(j+1)番目の前記測定部に対しても前記第1レベルのシャットダウン信号を出力し、
前記制御部は、前記取得順がN番目の前記測定部に対して前記第1レベルのシャットダウン信号を出力する場合に、前記取得順が1番目の前記測定部に対しても前記第1レベルのシャットダウン信号を出力する請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記シャットダウン信号を生成するシャットダウン信号生成回路を有し、
前記シャットダウン信号生成回路は、
前記取得順がj番目の前記測定部が有する前記増幅器の動作モードを制御する第1制御信号がアノード端子に入力される第1ダイオード及び第2ダイオードと、
前記取得順がN番目の前記測定部が有する前記増幅器の動作モードを制御する第2制御信号がアノード端子に入力される第3ダイオード及び第4ダイオードと、を有し、
前記第1ダイオードのカソード端子は、前記取得順がj番目の前記測定部が有する前記増幅器の前記シャットダウン端子に接続されており、
前記第2ダイオードのカソード端子は、前記取得順が(j+1)番目の前記測定部が有する前記増幅器の前記シャットダウン端子に接続されており、
前記第3ダイオードのカソード端子は、前記取得順がN番目の前記測定部が有する前記増幅器の前記シャットダウン端子に接続されており、
前記第4ダイオードのカソード端子は、前記取得順が1番目の前記測定部が有する前記増幅器の前記シャットダウン端子に接続されている請求項2に記載の生体情報測定装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記N個の出力信号を順次取得し、アナログ信号である前記出力信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路と、
前記A/D変換回路により生成された前記デジタル信号に対して解析処理を施す制御装置と、を有する請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項5】
前記N個の測定部は、第1方向に沿って前記取得順と一致する順番で並んで設けられている請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項6】
前記N個の前記増幅器の出力端子の各々と前記制御部とを接続するとともに、前記出力信号を伝達する第1信号線と、
前記N個の増幅器の前記シャットダウン端子の各々と前記制御部とを接続するとともに、前記シャットダウン信号を伝達する第2信号線と、を有する請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項7】
N(Nは3以上の自然数)個の測定部からそれぞれ出力されるN個の出力信号を、予め決められた順番で順次取得する第1ステップと、
前記N個の出力信号の取得順に応じて、前記N個の測定部に対して第1レベルのシャットダウン信号を順次出力し、前記測定部が有する増幅器の動作モードを前記出力信号の生成を実行する駆動モードに設定する第2ステップと、
前記取得順がi(iは1以上の自然数)番目の前記出力信号の取得に基づいて、前記i番目の前記測定部に対して第2レベルの前記シャットダウン信号を出力し、前記i番目の測定部が有する増幅器の動作モードを前記出力信号の生成を休止するシャットダウンモードに設定する第3ステップと、を有し、
前記第2ステップでは、前記取得順がi番目の前記測定部に対して前記第1レベルのシャットダウン信号を出力する場合に、前記取得順が(i+1)番目の前記測定部に対しても前記第1レベルのシャットダウン信号を出力する生体情報測定方法。
【請求項8】
前記第1ステップでは、前記N個の出力信号を、1→2→…→N→1→2…の順番で順次取得し、
前記第2ステップでは、前記取得順がj(jは1からN-1までの自然数)番目の前記測定部に対して前記第1レベルのシャットダウン信号を出力する場合に、前記取得順が(j+1)番目の前記測定部に対しても前記第1レベルのシャットダウン信号を出力し、
前記第2ステップでは、前記取得順がN番目の前記測定部に対して前記第1レベルのシャットダウン信号を出力する場合に、前記取得順が1番目の前記測定部に対しても前記第1レベルのシャットダウン信号を出力する請求項7に記載の生体情報測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報測定装置及び生体情報測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器としては、被検者の身体に装着され、その被検者の生体情報に対応する信号を測定する生体情報測定装置(センサデバイス)が知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の生体情報測定装置は、被検者の生体情報に対応する電気信号を検出するセンサ部と、センサ部により検出された電気信号に対して信号処理を施す制御部とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-56243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、生体情報測定装置では、消費電力の低減が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一観点によれば、N(Nは3以上の自然数)個の測定部を有するセンサ部と、前記N個の測定部からそれぞれ出力されるN個の出力信号を、予め決められた順番で順次取得する制御部と、を有し、前記N個の測定部の各々は、生体電極と、前記生体電極により測定された生体情報を増幅して前記出力信号を生成する増幅器とを有し、前記増幅器は、シャットダウン信号が入力されるシャットダウン端子を有し、前記増幅器は、第1レベルの前記シャットダウン信号に基づいて、前記出力信号の生成を実行する駆動モードで動作するとともに、第2レベルの前記シャットダウン信号に基づいて、前記出力信号の生成を休止するシャットダウンモードで動作し、前記制御部は、前記N個の出力信号の取得順に応じて、前記N個の測定部に対して前記第1レベルのシャットダウン信号を順次出力し、前記制御部は、前記N個の測定部の各々に対して、対応する前記出力信号の取得に基づいて前記第2レベルのシャットダウン信号を出力し、前記制御部は、前記取得順がi(iは1以上の自然数)番目の前記測定部に対して前記第1レベルのシャットダウン信号を出力する場合に、前記取得順が(i+1)番目の前記測定部に対しても前記第1レベルのシャットダウン信号を出力する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一観点によれば、消費電力を低減できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態の生体情報測定システムを示すブロック図である。
図2】一実施形態の生体情報測定装置の使用状態を示す概略斜視図である。
図3】一実施形態の生体情報測定方法を示す説明図である。
図4】一実施形態の生体情報測定方法を示す説明図である。
図5】一実施形態の生体情報測定方法を示す説明図である。
図6】一実施形態の生体情報測定方法を示す説明図である。
図7】一実施形態の生体情報測定方法を示す説明図である。
図8】変更例の生体情報測定装置の使用状態を示す概略斜視図である。
図9】変更例の生体情報測定装置の使用状態を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態について添付図面を参照して説明する。
なお、添付図面は、便宜上、特徴を分かりやすくするために特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率については各図面で異なる場合がある。
【0009】
(生体情報測定システム1の全体構成)
図1に示すように、生体情報測定システム1は、生体情報測定装置10と、情報管理装置80とを有している。
【0010】
(生体情報測定装置10の構成)
生体情報測定装置10は、例えば、センサ部11と、制御ユニット12と、電源装置13とを有している。生体情報測定装置10は、例えば、センサ部11から出力される信号を制御ユニット12に伝達する第1信号線14と、制御ユニット12から出力される信号をセンサ部11に伝達する第2信号線15とを有している。
【0011】
電源装置13は、例えば、センサ部11と制御ユニット12とに対して、それらセンサ部11と制御ユニット12とが動作するために必要な電力を供給するように構成されている。電源装置13は、例えば、センサ部11又は制御ユニット12に内蔵されていてもよいし、センサ部11及び制御ユニット12の外部に設けられていてもよい。電源装置13としては、例えば、ボタン型やコイン型の電池を用いることができる。本実施形態の電源装置13は、制御ユニット12に内蔵されたボタン型の電池である。
【0012】
図2に示すように、生体情報測定装置10は、例えば、被検者の身体B1に装着される。生体情報測定装置10は、被検者の生体情報を取得するように構成されている。身体B1としては、例えば、被検者の腕や足が挙げられる。本実施形態の身体B1は、被検者の前腕である。生体情報としては、例えば、生体電位が挙げられる。ここで、生体電位とは、生体情報の電位の変化を捉えるものであればよく、例えば、心電図、筋電図、脳波、心拍などが含まれる。本実施形態の生体情報測定装置10は、被検者の生体情報として、被検者の筋繊維(筋肉)が収縮活動するときに発生する活動電位である筋電位を示す筋電信号を測定するように構成されている。本実施形態の生体情報測定装置10は、被検者の身体B1の複数部位(複数箇所)の筋電信号を測定するように構成されている。本実施形態のセンサ部11は、筋電位に応じた筋電信号を検出する筋電センサである。
【0013】
(センサ部11の構成)
センサ部11は、N(Nは3以上の自然数)個のチャンネルを有している。センサ部11は、N個(ここでは、3個)のチャンネルに対応したN個(ここでは、3個)の測定部21,22,23を有している。3個の測定部21,22,23は、例えば、被検者の身体B1の互いに異なる部位に取り付けられる。換言すると、センサ部11では、筋電位の測定部位毎に測定部21,22,23が設けられている。例えば、センサ部11が被検者の前腕に装着された場合に、3個の測定部21,22,23は被検者の腕の長手方向に沿って並んで取り付けられる。各測定部21,22,23は、当該測定部21,22,23が取り付けられた部位における筋電位を測定し、その筋電位に応じた筋電信号を出力する。なお、3つの測定部21,22,23は互いに同じ構成を有しているため、ここでは測定部21の構成について詳述し、測定部22,23の構成については詳細な説明を省略する。
【0014】
図1に示すように、測定部21は、例えば、2つの生体電極25,26と、増幅器31とを有している。図示は省略するが、測定部21は、例えば、基板の一方の面に2つの生体電極25,26が設けられ、基板の他方の面に増幅器31が設けられるように構成されている。そして、2つの生体電極25,26が被検者の身体B1(図2参照)に接触するように設けられている。
【0015】
2つの生体電極25,26は、プラス側の生体電極25と、マイナス側の生体電極26とを有している。2つの生体電極25,26は、それら生体電極25,26が取り付けられた部位の筋電位を測定する。ここで、生体電極25,26により測定される筋電位は、数μV~数mV程度の微弱な電位である。また、筋電位の周波数帯域は、5Hz~500Hz程度である。
【0016】
増幅器31は、2つの入力端子35,36と、1つの出力端子37と、1つのシャットダウン端子41とを有している。2つの入力端子35,36にはそれぞれ2つの生体電極25,26が接続されている。2つの入力端子35,36には、2つの生体電極25,26により測定された筋電位が入力される。出力端子37は、第1信号線14を介して制御ユニット12に接続されている。換言すると、第1信号線14は、増幅器31の出力端子37と制御ユニット12とを接続している。シャットダウン端子41は、第2信号線15を介して制御ユニット12に接続されている。換言すると、第2信号線15は、増幅器31のシャットダウン端子41と制御ユニット12とを接続している。なお、増幅器31は、例えば、差動増幅器である。
【0017】
増幅器31は、2つの生体電極25,26から入力される微弱な筋電位を増幅した筋電信号である出力信号So1を生成する。増幅器31は、出力信号So1を、第1信号線14を通じて制御ユニット12に出力する。ここで、増幅器31から出力される出力信号So1は、アナログ信号である。増幅器31のシャットダウン端子41には、制御ユニット12で生成されたシャットダウン信号SHDN1が入力される。増幅器31は、例えば、Hレベル(第1レベル)のシャットダウン信号SHDN1がシャットダウン端子41に入力されると、出力信号So1の生成を実行する駆動モードにて動作する。増幅器31は、Lレベル(第2レベル)のシャットダウン信号SHDN1がシャットダウン端子41に入力されると、出力信号So1の生成を休止するシャットダウンモードにて動作する。
【0018】
測定部22は、例えば、2つの生体電極25,26と、増幅器32とを有している。増幅器32は、2つの入力端子35,36と、1つの出力端子37と、1つのシャットダウン端子42とを有している。増幅器32は、2つの生体電極25,26から入力される微弱な筋電位を増幅した筋電信号である出力信号So2を生成する。増幅器32は、出力信号So2を、第1信号線14を通じて制御ユニット12に出力する。増幅器32のシャットダウン端子42には、制御ユニット12で生成されたシャットダウン信号SHDN2が入力される。増幅器32は、Hレベルのシャットダウン信号SHDN2に応じて駆動モードにて動作し、Lレベルのシャットダウン信号SHDN2に応じてシャットダウンモードにて動作する。
【0019】
測定部23は、例えば、2つの生体電極25,26と、増幅器33とを有している。増幅器33は、2つの入力端子35,36と、1つの出力端子37と、1つのシャットダウン端子43とを有している。増幅器33は、2つの生体電極25,26から入力される微弱な筋電位を増幅した筋電信号である出力信号So3を生成する。増幅器33は、出力信号So3を、第1信号線14を通じて制御ユニット12に出力する。増幅器33のシャットダウン端子43には、制御ユニット12で生成されたシャットダウン信号SHDN3が入力される。増幅器33は、Hレベルのシャットダウン信号SHDN3に応じて駆動モードにて動作し、Lレベルのシャットダウン信号SHDN3に応じてシャットダウンモードにて動作する。
【0020】
(制御ユニット12の構成)
制御ユニット12は、例えば、制御部50と、通信部70とを有している。制御部50は、例えば、3本の第1信号線14と電気的に接続されるとともに、3本の第2信号線15と電気的に接続されている。制御部50は、通信部70と電気的に接続されている。
【0021】
制御部50は、例えば、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路51と、制御装置52と、シャットダウン信号SHDN1,SHDN2,SHDN3を生成するシャットダウン信号生成回路60とを有している。
【0022】
A/D変換回路51は、例えば、3本の第1信号線14と電気的に接続されている。A/D変換回路51は、N個の測定部21,22,23からそれぞれ出力されるN個の出力信号So1,So2,So3(アナログ信号)を所定のサンプリングレートに基づいて取得し、取得したアナログ信号をデジタル信号に変換する。A/D変換回路51は、N個の出力信号So1,So2,So3を、予め決められた順番で順次取得する。A/D変換回路51は、例えば、N個の出力信号So1,So2,So3を、1→2→…→N→1→2…の順番で順次取得する。具体的には、本実施形態のA/D変換回路51は、N個(ここでは、3個)の出力信号So1,So2,So3を、So1→So2→So3→So1→So2…の順番で順次取得する。すなわち、A/D変換回路51では、測定部21から出力された出力信号So1が1番目に取得され、測定部22から出力された出力信号So2が2番目に取得され、測定部23から出力された出力信号So3が3番目に取得される。さらに、A/D変換回路51では、N番目(ここでは、3番目)の出力信号So3が取得された後に、So1→So2→So3の順番での取得が繰り返される。A/D変換回路51は、デジタル信号に変換した生体情報(ここでは、筋電信号)を制御装置52に出力する。A/D変換回路51におけるサンプリングレート(サンプリング周波数)は、例えば、1kHz程度とすることができる。
【0023】
以下の説明では、便宜上、出力信号So1を1番目の出力信号So1と称し、出力信号So2を2番目の出力信号So2と称し、出力信号So3を3番目の出力信号So3と称する場合がある。また、1番目の出力信号So1を出力する測定部21を1番目の測定部21と称し、2番目の出力信号So2を出力する測定部22を2番目の測定部22と称し、3番目の出力信号So3を出力する測定部23を3番目の測定部23と称する場合がある。また、1番目の出力信号So1を出力する増幅器31を1番目の増幅器31と称し、2番目の出力信号So2を出力する増幅器32を2番目の増幅器32と称し、3番目の出力信号So3を出力する増幅器33を3番目の増幅器33と称する場合がある。また、増幅器31のシャットダウン端子41を1番目のシャットダウン端子41と称し、増幅器32のシャットダウン端子42を2番目のシャットダウン端子42と称し、増幅器33のシャットダウン端子43を3番目のシャットダウン端子43と称する場合がある。また、出力信号So1,So2,So3を総称する場合には出力信号Soと称し、測定部21,22,23を総称する場合には測定部20と称し、増幅器31,32,33を総称する場合には増幅器30と称する。
【0024】
制御装置52は、例えば、制御部50に含まれる各回路の動作を統括制御するよう構成されている。制御装置52は、例えば、A/D変換回路51における出力信号So1,So2,So3の取得順を制御する信号を生成し、その信号をA/D変換回路51に出力する。制御装置52は、例えば、A/D変換回路51で生成されたデジタル信号、つまり生体情報(ここでは、筋電信号)に対して所定の解析処理を施して解析結果情報を生成する。制御装置52は、例えば、A/D変換回路51で生成されたデジタル信号、つまり生体情報(ここでは、筋電信号)又は解析結果情報を通信部70に出力する。
【0025】
制御装置52は、3つの増幅器31,32,33の動作モードをそれぞれ制御する制御信号SH1,SH2,SH3を生成し、それら制御信号SH1,SH2,SH3をシャットダウン信号生成回路60に出力する。ここで、制御信号SH1は1番目の増幅器31の動作モードを制御するものであり、制御信号SH2は2番目の増幅器32の動作モードを制御するものであり、制御信号SH3は3番目の増幅器33の動作モードを制御するものである。このため、以下の説明では、便宜上、制御信号SH1を1番目の制御信号SH1と称し、制御信号SH2を2番目の制御信号SH2と称し、制御信号SH3を3番目の制御信号SH3と称する場合がある。
【0026】
制御装置52は、例えば、N個の出力信号So1,So2,So3の取得順に応じて、N個の増幅器31,32,33を駆動モードで動作させるために、制御信号SH1,SH2,SH3をHレベルからLレベルに順次切り替える。制御装置52は、例えば、制御信号SH1、制御信号SH2、制御信号SH3の順番で制御信号SH1,SH2,SH3をHレベルからLレベルに順次切り替える。制御装置52は、例えば、出力信号So1,So2,So3の取得に基づいて、対応する増幅器31,32,33をシャットダウンモードで動作させるために、対応する制御信号SH1,SH2,SH3をHレベルからLレベルに切り替える。制御装置52は、例えば、A/D変換回路51で1番目の出力信号So1の取得が終了した後に、1番目の制御信号SH1をHレベルからLレベルに切り替える。制御装置52は、例えば、A/D変換回路51で2番目の出力信号So2の取得が終了した後に、2番目の制御信号SH2をHレベルからLレベルに切り替える。制御装置52は、例えば、A/D変換回路51で3番目の出力信号So3の取得が終了した後に、3番目の制御信号SH3をHレベルからLレベルに切り替える。
【0027】
なお、A/D変換回路51における出力信号So1,So2,So3の取得順を制御する信号と制御信号SH1,SH2,SH3とは、同一の信号であってもよいし、異なる信号であってもよい。
【0028】
制御装置52は、[1]コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサ、[2]各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する、特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路、或いは[3]それらの組み合わせ、を含む回路として構成し得る。プロセッサは、中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)と、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等のメモリとを含んでいる。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリ、つまりコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0029】
シャットダウン信号生成回路60は、制御装置52から入力される制御信号SH1,SH2,SH3に基づいて、シャットダウン信号SHDN1,SHDN2,SHDN3を生成する。なお、以下の説明では、シャットダウン信号SHDN1,SHDN2,SHDN3を総称する場合には、シャットダウン信号SHDNと称する。
【0030】
シャットダウン信号生成回路60は、例えば、複数(ここでは、6つ)のダイオード61,62,63,64,65,66を有している。
ダイオード61,62のアノード端子には、制御信号SH1が入力される。ダイオード63,64のアノード端子には、制御信号SH2が入力される。ダイオード65,66のアノード端子には、制御信号SH3が入力される。
【0031】
ダイオード61のカソード端子は、ダイオード66のカソード端子と接続されている。ダイオード61,66のカソード端子は、第2信号線15を介して測定部21の増幅器31のシャットダウン端子41に接続されている。
【0032】
ダイオード62のカソード端子は、ダイオード63のカソード端子と接続されている。ダイオード62,63のカソード端子は、第2信号線15を介して測定部22の増幅器32のシャットダウン端子42に接続されている。
【0033】
ダイオード64のカソード端子は、ダイオード65のカソード端子と接続されている。ダイオード64,65のカソード端子は、第2信号線15を介して測定部23の増幅器33のシャットダウン端子43に接続されている。
【0034】
1番目の制御信号SH1は、ダイオード61を介してシャットダウン信号SHDN1として1番目の増幅器31に入力されるとともに、ダイオード62を介してシャットダウン信号SHDN2として2番目の増幅器32に入力される。
【0035】
2番目の制御信号SH2は、ダイオード63を介してシャットダウン信号SHDN2として2番目の増幅器32に入力されるとともに、ダイオード64を介してシャットダウン信号SHDN3として3番目の増幅器33に入力される。
【0036】
3番目の制御信号SH3は、ダイオード65を介してシャットダウン信号SHDN3として3番目の増幅器33に入力されるとともに、ダイオード66を介してシャットダウン信号SHDN1として1番目の増幅器31に入力される。
【0037】
ここで、Hレベルのシャットダウン信号SHDNは、Lレベルのシャットダウン信号SHDNよりも電圧が高い。また、Hレベルの制御信号SH1,SH2,SH3は、Lレベルの制御信号SH1,SH2,SH3よりもそれぞれ電圧が高い。このため、シャットダウン信号生成回路60では、例えば2つの制御信号SH1,SH3のいずれか一方がHレベル、他方がLレベルである場合には、Hレベルの制御信号が優先される。例えば、シャットダウン信号生成回路60のダイオード61,66では、2つの制御信号SH1,SH3のいずれか一方がHレベルになると、そのHレベルの制御信号が優先され、シャットダウン信号SHDN1がHレベルになる。例えば、シャットダウン信号生成回路60のダイオード62,63では、2つの制御信号SH1,SH2のいずれか一方がHレベルになると、そのHレベルの制御信号が優先され、シャットダウン信号SHDN2がHレベルになる。例えば、シャットダウン信号生成回路60のダイオード64,65では、2つの制御信号SH2,SH3のいずれか一方がHレベルになると、そのHレベルの制御信号が優先され、シャットダウン信号SHDN3がHレベルになる。
【0038】
換言すると、制御信号SH1がHレベルになると、1番目の増幅器31に入力されるシャットダウン信号SHDN1がHレベルになるとともに、2番目の増幅器32に入力されるシャットダウン信号SHDN2がHレベルになる。また、制御信号SH2がHレベルになると、2番目の増幅器32に入力されるシャットダウン信号SHDN2がHレベルになるとともに、3番目の増幅器33に入力されるシャットダウン信号SHDN3がHレベルになる。また、制御信号SH3がHレベルになると、3番目の増幅器33に入力されるシャットダウン信号SHDN3がHレベルになるとともに、1番目の増幅器31に入力されるシャットダウン信号SHDN1がHレベルになる。
【0039】
このように、シャットダウン信号生成回路60では、j(jは1からN-1までの自然数)番目の制御信号がHレベルになると、j番目のシャットダウン信号SHDNがHレベルになるとともに、(j+1)番目のシャットダウン信号SHDNがHレベルになる。換言すると、シャットダウン信号生成回路60は、j番目の測定部20に対してHレベルのシャットダウン信号SHDNを出力する場合に、(j+1)番目の測定部20に対してもHレベルのシャットダウン信号SHDNを出力する。例えば、シャットダウン信号生成回路60は、1番目の測定部21に対してHレベルのシャットダウン信号SHDN1を出力する場合に、2番目の測定部22に対してもHレベルのシャットダウン信号SHDN2を出力する。例えば、シャットダウン信号生成回路60は、2番目の測定部22に対してHレベルのシャットダウン信号SHDN2を出力する場合に、3番目の測定部23に対してもHレベルのシャットダウン信号SHDN3を出力する。また、シャットダウン信号生成回路60では、N番目(ここでは、3番目)の制御信号SH3がHレベルになると、N番目のシャットダウン信号SHDN3がHレベルになるとともに、1番目のシャットダウン信号SHDN1がHレベルになる。換言すると、シャットダウン信号生成回路60は、N番目(ここでは、3番目)の測定部23に対してHレベルのシャットダウン信号SHDN3を出力する場合に、1番目の測定部23に対してもHレベルのシャットダウン信号SHDN1を出力する。
【0040】
シャットダウン信号生成回路60では、2つの制御信号SH1,SH3が共にLレベルになると、シャットダウン信号SHDN1がHレベルからLレベルに切り替わる。シャットダウン信号生成回路60では、2つの制御信号SH1,SH2が共にLレベルになると、シャットダウン信号SHDN2がHレベルからLレベルに切り替わる。シャットダウン信号生成回路60では、2つの制御信号SH2,SH3が共にLレベルになると、シャットダウン信号SHDN3がHレベルからLレベルに切り替わる。
【0041】
図2に示すように、N個の測定部21,22,23は、出力信号So1,So2,So3の取得順と一致する順番で第1方向に沿って並んで設けられている。ここで、本実施形態の第1方向は、被検者の身体B1である腕の長手方向に一致する方向であって、手首側から上腕側に向かう方向である。すなわち、本実施形態のセンサ部11では、被検者の手首側から上腕側に向かって、出力信号So1,So2,So3の取得順と一致する順番、つまり測定部21、測定部22、測定部23の順番に並んでN個の測定部21,22,23が設けられている。具体的には、被検者の手首に最も近い位置に1番目の測定部21が設けられ、その測定部21よりも上腕側に2番目の測定部22が設けられ、その測定部22よりも上腕側に3番目の測定部23が設けられている。
【0042】
(通信部70の構成)
図1に示すように、通信部70には、所定の無線通信方式により情報管理装置80と通信を行うためのアンテナ71が接続されている。通信部70は、例えば、送信回路である。通信部70は、センサ部11により取得した生体情報(ここでは、筋電信号)や解析結果情報を含む送信情報をアンテナ71に送信する。通信部70は、アンテナ71を通じて、送信情報を無線通信によって情報管理装置80に送信する。なお、無線通信方式の例としては、BLE(Bluetooth Low Energy、Bluetoothは登録商標)、ZigBee(登録商標)、ANT+(登録商標)、NFCなどが挙げられる。
【0043】
(情報管理装置80の構成)
情報管理装置80は、例えば、アンテナ81を有し、生体情報測定装置10から送信される情報を受信する。情報管理装置80は、例えば、受信した情報を記憶装置に記憶する。記憶装置としては、例えば、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)を用いることができる。情報管理装置80は、例えば、受信した情報を表示装置に表示する。情報管理装置80は、例えば、受信した情報に対して所定の解析処理を施した解析結果を表示装置に表示する。表示装置としては、例えば、液晶表示装置(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electronic Luminescence)を用いることができる。情報管理装置80は、例えば、受信した情報を、音やバイブレーションなどの所定の動作で報知する。音としては、例えば、言葉を音で表現した音声や言葉を伴わないベル音などの音、及びそれらを組み合わせた音などを含む。
【0044】
情報管理装置80は、生体情報測定装置10と一緒に被検者の身体B1(図2参照)に装着されるように設けてもよいし、身体B1から離れた位置に設けるようにしてもよい。
(生体情報測定方法)
次に、生体情報測定装置10を用いた生体情報測定方法について説明する。
【0045】
図2に示すように、まず、被検者の身体B1、ここでは前腕に生体情報測定装置10を装着する。生体情報測定装置10は、N個の測定部21,22,23の各々が有する生体電極25,26(図1参照)が身体B1の皮膚に接触するように身体B1に装着される。
【0046】
次に、図3に示すように、生体情報測定装置10による生体情報測定を開始する。この測定開始時には、N個の制御信号SH1,SH2,SH3が全てLレベルになっており、N個のシャットダウン信号SHDN1,SHDN2,SHDN3が全てLレベルになっている。このため、N個の増幅器31,32,33が全てシャットダウンモードになっている。
【0047】
そこで、図4に示すように、まず、制御装置52は、出力信号So1,So2,So3の取得順に応じて、1番目の制御信号SH1をLレベルからHレベルに遷移させる。シャットダウン信号生成回路60は、Hレベルの制御信号SH1を入力すると、Hレベルのシャットダウン信号SHDN1を出力するとともに、Hレベルのシャットダウン信号SHDN2を出力する。これにより、Hレベルのシャットダウン信号SHDN1が入力される増幅器31が駆動モードに切り替わるとともに、Hレベルのシャットダウン信号SHDN2が入力される増幅器32が駆動モードに切り替わる。その後、増幅器31,32,33におけるシャットダウンモードから駆動モードへの切り替え時間以上の時間待機する。ここで、増幅器31,32,33におけるシャットダウンモードから駆動モードへの切り替え時間は、100μs~200μs程度とすることができる。
【0048】
続いて、駆動モードに切り替わった増幅器31は、生体電極25,26で測定された筋電位を増幅して出力信号So1を生成し、その出力信号So1を制御部50のA/D変換回路51に出力する。同様に、駆動モードに切り替わった増幅器32は、生体電極25,26で測定された筋電位を増幅して出力信号So2を生成し、その出力信号So2をA/D変換回路51に出力する。そして、A/D変換回路51は、出力信号So1,So2のうち取得順が1番目の出力信号So1を取得する。例えば、A/D変換回路51は、Hレベルの制御信号SH1に基づいて、所定のサンプリングレートにて出力信号So1を取得する。ここで、A/D変換回路51におけるサンプリングレートは、1kHz程度とすることができる。A/D変換回路51は、取得した出力信号So1(アナログ信号)をデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号を制御装置52に出力する。制御装置52は、例えば、A/D変換回路51から入力されるデジタル信号に対して所定の解析処理を施す。これにより、1番目の測定部21が取り付けられた部位における生体情報(ここでは、筋電信号)をデジタル信号として取得することができる。
【0049】
なお、図4に示したステップでは、制御信号SH2,SH3がLレベルであるため、3番目の増幅器33に入力されるシャットダウン信号SHDN3がLレベルとなる。このため、増幅器33はシャットダウンモードのままである。これにより、1番目の出力信号So1を取得する期間は増幅器33を休止状態にできる。このため、増幅器33が駆動モードである場合に比べて、増幅器33における消費電力を低減できる。
【0050】
次に、図5に示すように、制御装置52は、出力信号So1,So2,So3の取得順に応じて、2番目の制御信号SH2をLレベルからHレベルに遷移させる。シャットダウン信号生成回路60は、Hレベルの制御信号SH2を入力すると、Hレベルのシャットダウン信号SHDN2を出力するとともに、Hレベルのシャットダウン信号SHDN3を出力する。これにより、Hレベルのシャットダウン信号SHDN2が入力される増幅器33は駆動モードのまま継続して動作し、Hレベルに遷移したシャットダウン信号SHDN3が入力される増幅器33は駆動モードに切り替わる。このとき、2番目の増幅器32は、1番目の増幅器31を駆動モードに切り替える際に、増幅器31と一緒に駆動モードに切り替えられている(図4参照)。このため、増幅器32は、Hレベルのシャットダウン信号SHDN2に応じて、駆動モードを維持した状態のまま動作する。ここで、測定開始時に1番目の増幅器31を駆動モードに切り替えた際には、シャットダウンモードから駆動モードへの切り替え時間以上の時間だけ待機する必要があった。これに対し、2番目の増幅器32は、1番目の増幅器31と一緒に駆動モードに切り替えられているため、2番目の制御信号SH2がLレベルからHレベルに遷移する時には既に駆動モードで動作している。このため、増幅器32は、2番目の制御信号SH2がHレベルに遷移した後に、シャットダウンモードから駆動モードへの切り替え時間以上待機することなく、駆動モードにて動作させることができる。
【0051】
続いて、駆動モードで動作している増幅器32は、出力信号So2を継続してA/D変換回路51に出力する。また、駆動モードに切り替わった増幅器33は、生体電極25,26で測定された筋電位を増幅して出力信号So3を生成し、その出力信号So3をA/D変換回路51に出力する。そして、A/D変換回路51は、出力信号So2,So3のうち取得順が2番目の出力信号So2を取得する。例えば、A/D変換回路51は、Hレベルの制御信号SH2に基づいて、所定のサンプリングレートにて出力信号So2を取得する。A/D変換回路51は、取得した出力信号So2(アナログ信号)をデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号を制御装置52に出力する。制御装置52は、例えば、A/D変換回路51から入力されるデジタル信号に対して所定の解析処理を施す。これにより、2番目の測定部22が取り付けられた部位における生体情報(ここでは、筋電信号)をデジタル信号として取得することができる。
【0052】
また、図5に示すステップでは、制御装置52は、出力信号So1の取得に基づいて、1番目の制御信号SH1をHレベルからLレベルに遷移させる。例えば、制御装置52は、A/D変換回路51における出力信号So1の取得が終了した後に、制御信号SH1をLレベルに遷移させる。これにより、制御信号SH1,SH3が共にLレベルになるため、シャットダウン信号SHDN1がLレベルとなる。このLレベルのシャットダウン信号SHDN1に基づいて、増幅器31が駆動モードからシャットダウンモードに切り替えられる。これにより、2番目の出力信号So2を取得する期間は増幅器31を休止状態にできる。このため、増幅器31が駆動モードのまま動作する場合に比べて、増幅器31における消費電力を低減できる。
【0053】
次に、図6に示すように、制御装置52は、出力信号So1,So2,So3の取得順に応じて、3番目の制御信号SH3をLレベルからHレベルに遷移させる。シャットダウン信号生成回路60は、Hレベルの制御信号SH3を入力すると、Hレベルのシャットダウン信号SHDN3を出力するとともに、Hレベルのシャットダウン信号SHDN1を出力する。これにより、Hレベルのシャットダウン信号SHDN3が入力される増幅器33は駆動モードを維持したまま動作し、Hレベルに遷移したシャットダウン信号SHDN1が入力される増幅器31は駆動モードに切り替わる。このとき、3番目の増幅器33は、2番目の増幅器32を駆動モードに切り替える際に、増幅器32と一緒に駆動モードに切り替えられている(図5参照)。このため、増幅器33は、制御信号SH3がLレベルからHレベルに遷移する前から、駆動モードにて動作している。したがって、増幅器33は、3番目の制御信号SH3がHレベルに遷移した後に、シャットダウンモードから駆動モードへの切り替え時間以上待機することなく、駆動モードにて動作させることができる。
【0054】
続いて、駆動モードで動作している増幅器33は、出力信号So3を継続してA/D変換回路51に出力する。また、駆動モードに切り替わった増幅器31は、生体電極25,26で測定された筋電位を増幅して出力信号So1を生成し、その出力信号So1をA/D変換回路51に出力する。そして、A/D変換回路51は、出力信号So3,So1のうち取得順が3番目(N番目)の出力信号So3を取得する。例えば、A/D変換回路51は、Hレベルの制御信号SH3に基づいて、所定のサンプリングレートにて出力信号So3を取得する。A/D変換回路51は、取得した出力信号So3(アナログ信号)をデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号を制御装置52に出力する。制御装置52は、例えば、A/D変換回路51から入力されるデジタル信号に対して所定の解析処理を施す。これにより、3番目の測定部23が取り付けられた部位における生体情報(ここでは、筋電信号)をデジタル信号として取得することができる。
【0055】
また、図6に示すステップでは、制御装置52は、出力信号So2の取得に基づいて、2番目の制御信号SH2をHレベルからLレベルに遷移させる。例えば、制御装置52は、A/D変換回路51における出力信号So2の取得が終了した後に、制御信号SH2をLレベルに遷移させる。これにより、制御信号SH1,SH2が共にLレベルになるため、シャットダウン信号SHDN2がLレベルとなる。このLレベルのシャットダウン信号SHDN2に基づいて、増幅器32が駆動モードからシャットダウンモードに切り替えられる。これにより、3番目の出力信号So3を取得する期間は増幅器32を休止状態にできる。このため、増幅器32が駆動モードのまま動作する場合に比べて、増幅器32における消費電力を低減できる。
【0056】
以上のステップにより、N個の出力信号So1,So2,So3を、So1→So2→So3の順番で取得することができる。
次に、図7に示すように、制御装置52は、出力信号So1,So2,So3の取得順に応じて、1番目(N+1番目)の制御信号SH1をLレベルからHレベルに遷移させる。シャットダウン信号生成回路60は、Hレベルの制御信号SH1を入力すると、Hレベルのシャットダウン信号SHDN1を出力するとともに、Hレベルのシャットダウン信号SHDN2を出力する。これにより、Hレベルのシャットダウン信号SHDN1が入力される増幅器31は駆動モードを維持したまま動作し、Hレベルに遷移したシャットダウン信号SHDN2が入力される増幅器32は駆動モードに切り替わる。このとき、1番目の増幅器31は、3番目の増幅器33を駆動モードに切り替える際に、増幅器33と一緒に駆動モードに切り替えられている(図6参照)。このため、増幅器31は、制御信号SH1がLレベルからHレベルに遷移する前から、駆動モードにて動作している。したがって、増幅器31は、1番目の制御信号SH1がHレベルに遷移した後に、シャットダウンモードから駆動モードへの切り替え時間以上待機することなく、駆動モードにて動作させることができる。
【0057】
続いて、駆動モードで動作している増幅器31は、出力信号So1を継続してA/D変換回路51に出力する。また、駆動モードに切り替わった増幅器32は、生体電極25,26で測定された筋電位を増幅して出力信号So2を生成し、その出力信号So2をA/D変換回路51に出力する。そして、A/D変換回路51は、出力信号So1,So2のうち取得順が(N+1)番目(1番目)の出力信号So1を取得する。例えば、A/D変換回路51は、Hレベルの制御信号SH1に基づいて、所定のサンプリングレートにて出力信号So1を取得する。A/D変換回路51は、取得した出力信号So1(アナログ信号)をデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号を制御装置52に出力する。制御装置52は、例えば、A/D変換回路51から入力されるデジタル信号に対して所定の解析処理を施す。これにより、1番目の測定部21が取り付けられた部位における生体情報(ここでは、筋電信号)をデジタル信号として取得することができる。
【0058】
また、図7に示すステップでは、制御装置52は、出力信号So3の取得に基づいて、3番目の制御信号SH3をHレベルからLレベルに遷移させる。例えば、制御装置52は、A/D変換回路51における出力信号So3の取得が終了した後に、制御信号SH3をLレベルに遷移させる。これにより、制御信号SH2,SH3が共にLレベルになるため、シャットダウン信号SHDN3がLレベルとなる。このLレベルのシャットダウン信号SHDN3に基づいて、増幅器33が駆動モードからシャットダウンモードに切り替えられる。これにより、1番目の出力信号So1を取得する期間は増幅器33を休止状態にできる。このため、増幅器33が駆動モードのまま動作する場合に比べて、増幅器33における消費電力を低減できる。
【0059】
その後、図5図7に示したステップを繰り返すことにより、N個の出力信号So1,So2,So3を、So1→So2→So3→So1→So2→So3…の順番で順次取得することができる。
【0060】
本実施形態の生体情報測定方法では、対応する出力信号Soの取得に基づいて増幅器30をシャットダウンモードに設定するようにした。これにより、対応する出力信号Soの取得期間ではない期間に増幅器30をシャットダウンモードに設定することができる。このため、増幅器30における消費電力を低減することができ、生体情報測定装置10における消費電力を低減することができる。さらに、本実施形態の生体情報測定方法では、取得順がi(iは1以上の自然数)番目の増幅器30を駆動モードに切り替える際に、取得順が次の(i+1)番目の増幅器30も一緒に駆動モードに切り替えるようにした。これにより、次に取得される出力信号Soを出力する(i+1)番目の増幅器30を事前に駆動モードに切り替え始めることができるため、(i+1)番目の増幅器30を駆動モードに切り替える時間を見かけ上、短縮することができる。
【0061】
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
(1)生体情報測定装置10は、N個(本実施形態では、3個)の測定部20を有するセンサ部11と、N個の測定部20からそれぞれ出力されるN個の出力信号Soを、予め決められた順番で順次取得する制御部50とを有する。N個の測定部20の各々は、生体電極25,26と、生体電極25,26により測定された生体情報を増幅して出力信号Soを生成する増幅器30とを有する。増幅器30は、Hレベルのシャットダウン信号SHDNに基づいて、出力信号Soの生成を実行する駆動モードで動作する。増幅器30は、Lレベルのシャットダウン信号SHDNに基づいて、出力信号Soの生成を休止するシャットダウンモードで動作する。制御部50は、N個の出力信号Soの取得順に応じて、N個の測定部20に対してHレベルのシャットダウン信号SHDNを順次出力する。制御部50は、N個の測定部20の各々に対して、対応する出力信号Soの取得に基づいてLレベルのシャットダウン信号SHDNを出力する。
【0062】
この構成によれば、対応する出力信号Soの取得が終了した後に、増幅器30がシャットダウンモードに切り替えられる。これにより、対応する出力信号Soの取得期間ではない期間に増幅器30を休止状態に設定することができる。このため、増幅器30が常に駆動モードで動作する場合に比べて、増幅器30における消費電力を低減することができる。この結果、生体情報測定装置10における消費電力を低減することができる。
【0063】
(2)ところで、生体情報測定装置10における消費電力を低減させるためには、制御部50で取得される出力信号Soに対応する増幅器30のみを駆動モードで動作させ、それ以外の全ての増幅器30をシャットダウンモードに設定する測定方法も考えられる。この測定方法では、1番目の出力信号So1を取得する際には、1番目の増幅器31のみを駆動モードで動作させ、それ以外の全ての増幅器32,33をシャットダウンモードに設定する。また、2番目の出力信号So2を取得する際には、2番目の増幅器32のみを駆動モードで動作させ、それ以外の全ての増幅器31,33をシャットダウンモードに設定する。また、3番目の出力信号So3を取得する際には、3番目の増幅器33のみを駆動モードで動作させ、それ以外の全ての増幅器31,32をシャットダウンモードに設定する。このような測定方法では、制御部50におけるサンプリングレートが高くなり、増幅器30における動作モードの切り替え時間が長くなると、出力信号Soの取得タイミングに対して増幅器30の駆動モードへの切り替えが間に合わなくなる場合がある。すると、所望のタイミングで所望の出力信号Soを取得することができない、という問題が生じる。
【0064】
これに対し、本実施形態の制御部50は、取得順がi番目の測定部20に対してHレベルのシャットダウン信号SHDNを出力する場合に、取得順が(i+1)番目の測定部20に対してもHレベルのシャットダウン信号SHDNを出力する。これにより、取得順がi番目の増幅器30が駆動モードに切り替えられる際に、取得順が次の(i+1)番目の増幅器30も一緒に駆動モードに切り替えられる。例えば、取得順が1番目の増幅器31が駆動モードに切り替えられる際に、取得順が2番目の増幅器32も一緒に駆動モードに切り替えられる。したがって、次に取得される出力信号So2を出力する2番目の増幅器32を事前に駆動モードに切り替え始めることができるため、2番目(i+1番目)の増幅器32を駆動モードに切り替える時間を見かけ上、短縮することができる。この結果、制御部50におけるサンプリングレートが高くなり、増幅器30における動作モードの切り替え時間が長くなった場合であっても、出力信号Soの取得タイミングに合わせて増幅器30を駆動モードに好適に切り替えることができる。これにより、所望のサンプリングレートでの出力信号Soの取得を実現しつつも、増幅器30のシャットダウンモードへの切り替えによる消費電力の低減を実現することができる。
【0065】
(3)制御部50は、シャットダウン信号SHDN1,SHDN2,SHDN3を生成するシャットダウン信号生成回路60を有する。シャットダウン信号生成回路60は、1番目の制御信号SH1がアノード端子に入力されるダイオード61,62と、2番目の制御信号SH2がアノード端子に入力されるダイオード63,64とを有する。シャットダウン信号生成回路60は、3番目の制御信号SH3がアノード端子に入力されるダイオード65,66を有する。ダイオード61,66のカソード端子は、1番目の増幅器31のシャットダウン端子41に接続されており、ダイオード62,63のカソード端子は、2番目の増幅器32のシャットダウン端子42に接続されている。ダイオード64,65のカソード端子は、3番目の増幅器33のシャットダウン端子43に接続されている。このように、シャットダウン信号生成回路60を、(N×2)個(本実施形態では、6個)のダイオード61~66のみにより構成することができる。これにより、シャットダウン信号生成回路60を簡易な構成とすることができる。
【0066】
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0067】
・上記実施形態の生体情報測定システム1では、制御ユニット12と情報管理装置80との間の通信を、無線通信を用いて行うようにしたが、これに限定されない。例えば、制御ユニット12と情報管理装置80との間の通信を、有線通信を用いて行うようにしてもよい。
【0068】
・上記実施形態では、センサ部11と制御ユニット12との間の通信を、第1信号線14及び第2信号線15を用いた有線通信で行うようにしたが、これに限定されない。例えば、センサ部11と制御ユニット12との間の通信を、無線通信を用いて行うようにしてもよい。
【0069】
・上記実施形態の生体情報測定装置10では、センサ部11及び制御ユニット12を、測定対象である身体B1に装着するようにしたが、これに限定されない。例えば、センサ部11及び制御ユニット12のうちセンサ部11のみを身体B1に装着するようにしてもよい。この場合の制御ユニット12は、身体B1に装着されずに、例えば身体B1から離れた位置に設けられる。
【0070】
・上記実施形態では、センサ部11が3個の測定部20を有するようにしたが、センサ部11が有する測定部20の数はこれに限定されない。センサ部11が有する測定部20の数は、4個以上であってもよい。
【0071】
図8に示すように、センサ部11は、7個の測定部20を有してもよい。本変更例のセンサ部11では、7個の測定部20が被検者の腕の長手方向に沿って一列に並んで設けられている。
【0072】
・上記実施形態のセンサ部11では、N個の測定部20を一列に並んで設けるようにしたが、N個の測定部20の配列は特に限定されない。
例えば図9に示すように、N個の測定部20を、マトリックス状に配列するようにしてもよい。例えば、N個の測定部20を、被検者の腕の長手方向に沿って並べるとともに、被検者の腕の短手方向に沿って並べるようにしてもよい。
【0073】
・上記実施形態のセンサ部11では、N個の測定部20を、第1方向に沿ってN個の出力信号Soの取得順と一致する順番で並ぶように設けたが、これに限定されない。例えば、N個の測定部20を、N個の出力信号Soの取得順とは異なる順番で並ぶように設けてもよい。例えば、図2に示すように測定部21,22,23がこの順番で並べられる場合に、N個の出力信号So1,So2,So3を、So2→So1→So3→So2→So1→So3…の順番でA/D変換回路51で取得するようにしてもよい。
【0074】
・上記実施形態の制御部50では、N個の出力信号So1,So2,So3を、So1→So2→So3→So1→So2→So3…の順番で取得するようにしたが、取得順はこれに限定されない。例えば、N個の出力信号So1,So2,So3を、So1→So2→So3→So2→So1→So2→So3…の順番で取得するようにしてもよい。
【0075】
・上記実施形態の制御部50は、i番目の測定部20にHレベルのシャットダウン信号SHDNを出力する場合に、(i+1)番目の測定部20にもHレベルのシャットダウン信号SHDNを出力するようにした。すなわち、i番目の増幅器30を駆動モードに切り替える際に、(i+1)番目の増幅器30も駆動モードに切り替えるようにした。換言すると、2個の増幅器30を一緒に駆動モードに切り替えるようにした。しかし、これに限定されない。例えば、M(Mは2からN-1までの自然数)個の測定部20を一緒に駆動モードに切り替えるようにしてもよい。例えば、センサ部11が4個以上の測定部20を有している場合には、3個の測定部20を一緒に駆動モードに切り替えるようにしてもよい。
【0076】
・上記実施形態では、生体情報の測定対象として人間の身体B1に具体化したが、生体情報の測定対象として動物の身体に具体化してもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 生体情報測定システム
10 生体情報測定装置
11 センサ部
12 制御ユニット
14 第1信号線
15 第2信号線
20,21,22,23 測定部
25,26 生体電極
30,31,32,33 増幅器
41,42,43 シャットダウン端子
50 制御部
51 A/D変換回路
52 制御装置
60 シャットダウン信号生成回路
61,63 ダイオード(第1ダイオード)
62,64 ダイオード(第2ダイオード)
65 ダイオード(第3ダイオード)
66 ダイオード(第4ダイオード)
B1 身体
SH1,SH2 制御信号(第1制御信号)
SH3 制御信号(第2制御信号)
SHDN,SHDN1,SHDN2,SHDN3 シャットダウン信号
So,So1,So2,So3 出力信号
図1
図2
図3
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図5
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図8
図9