(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039037
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
H01S 5/02208 20210101AFI20240313BHJP
H01L 33/48 20100101ALI20240313BHJP
H01L 33/62 20100101ALI20240313BHJP
F21V 3/00 20150101ALI20240313BHJP
F21V 3/02 20060101ALI20240313BHJP
F21V 17/00 20060101ALI20240313BHJP
H01S 5/343 20060101ALI20240313BHJP
H01S 5/0234 20210101ALI20240313BHJP
H01S 5/02218 20210101ALI20240313BHJP
H01S 5/02234 20210101ALI20240313BHJP
H01S 5/042 20060101ALI20240313BHJP
H01L 33/56 20100101ALI20240313BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240313BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20240313BHJP
【FI】
H01S5/02208
H01L33/48
H01L33/62
F21V3/00 510
F21V3/02 500
F21V3/00 100
F21V17/00 155
H01S5/343 610
H01S5/0234
H01S5/02218
H01S5/02234
H01S5/042 612
H01L33/56
F21Y115:10 500
F21Y115:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023215395
(22)【出願日】2023-12-21
(62)【分割の表示】P 2021177949の分割
【原出願日】2021-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山ノ井 拓也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 博文
(57)【要約】
【課題】信頼性の高い発光装置を提供する。
【解決手段】 発光装置は、上面を有する側壁部と、周囲を前記側壁部に囲まれた第1面と、を有する基体と、前記第1面に配置された発光素子と、前記側壁部の上面に配置された接合部材と、前記側壁部及び前記第1面の上方に配置され、前記接合部材によって前記側壁部の上面と接合される透光性部材と、を備え、上面視において、前記基体は矩形であり、前記側壁部の上面は、前記基体の一辺の中央部に位置する第1上面と、前記第1上面と前記基体の隅部との間に位置する第2上面と、前記基体の隅部に位置する第3上面と、を有し、前記接合部材は、前記第1上面、前記第2上面及び前記第3上面に連続的に配置され、少なくとも一辺において、前記第1上面に位置する第1接合部が、前記第2上面に位置する第2接合部よりも前記基体の一辺と直交する方向における幅が広く、前記第1接合部が、前記第2接合部の外縁よりも前記第1面から離れる方向に延在している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面を有する側壁部と、周囲を前記側壁部に囲まれた第1面と、を有する基体と、
前記第1面に配置された発光素子と、
前記側壁部の上面に配置された接合部材と、
前記側壁部及び前記第1面の上方に配置され、前記接合部材によって前記側壁部の上面と接合される透光性部材と、
を備え、
上面視において、前記基体は矩形であり、
前記側壁部の上面は、前記基体の一辺の中央部に位置する第1上面と、前記第1上面と前記基体の隅部との間に位置する第2上面と、前記基体の隅部に位置する第3上面と、を有し、
前記接合部材は、前記第1上面、前記第2上面及び前記第3上面に配置され、少なくとも前記基体の一辺において、前記第1上面に位置する第1接合部が、前記第2上面に位置する第2接合部よりも前記基体の一辺と直交する方向における幅が広く、
前記第1接合部が、前記第2接合部の外縁よりも前記第1面から離れる方向に延在している発光装置。
【請求項2】
上面視において、前記第2接合部が前記第1面から離隔して配置されており、
前記第1接合部が、前記第2接合部の内縁よりも前記第1面側に延在している請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記透光性部材の下面が、前記第1面の上方に配置される第1領域と、前記側壁部の上方に配置される第2領域と、を有し、
前記透光性部材の前記下面の前記第2領域に配置され、前記第1領域を囲む金属膜を有し、
前記接合部材は、前記金属膜を介して前記透光性部材と接合されており、
前記金属膜は、前記第1上面の上方に位置する第1金属部と、前記第2上面の上方に位置する第2金属部と、を有し、
前記第1金属部の前記基体の一辺と直交する方向における幅は、前記第2金属部の前記基体の一辺と直交する方向における幅よりも広い請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第2金属部が前記第1領域から離隔して配置されており、
前記第1金属部が、前記第2金属部の内縁よりも前記第1領域側に延在している請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記第1金属部が、前記第2金属部の外縁よりも前記第1領域から離れる方向に延在している請求項3又は4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記基体は、セラミックからなる請求項1~5のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記透光性部材は、無機材料からなる請求項1~6のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記発光素子は、紫外線を発光する発光素子である請求項1~7のいずれか一項に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光装置において、基体に設けられた凹部に発光素子を配置し、凹部の上方を覆うように透光性部材をAuSn等の接合材料を用いて基体に接合した構成が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような発光装置においては、さらなる信頼性の向上が求められている。本開示は、信頼性の高い発光装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様の発光装置は、上面を有する側壁部と、周囲を前記側壁部に囲まれた第1面と、を有する基体と、前記第1面に配置された発光素子と、前記側壁部の上面に配置された接合部材と、前記側壁部及び前記第1面の上方に配置され、前記接合部材によって前記側壁部の上面と接合される透光性部材と、を備え、上面視において、前記基体は矩形であり、前記側壁部の上面は、前記基体の一辺の中央部に位置する第1上面と、前記第1上面と前記基体の隅部との間に位置する第2上面と、前記基体の隅部に位置する第3上面と、を有し、前記接合部材は、前記第1上面、前記第2上面及び前記第3上面に連続的に配置され、少なくとも一辺において、前記第1上面に位置する第1接合部が、前記第2上面に位置する第2接合部よりも前記基体の一辺と直交する方向における幅が広く、前記第1接合部が、前記第2接合部の外縁よりも前記第1面から離れる方向に延在している。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、信頼性の高い発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態1に係る発光装置の概略上面図である。
【
図2】実施形態1に係る発光装置の概略下面図である。
【
図3】
図1のIII-III線における概略断面図である。
【
図4】接合部材30の配置を示す概略上面図である。
【
図6】接合部材を配置する工程における接合部材の配置例を示す概略上面図である。
【
図7】接合部材を配置する工程における接合部材の他の配置例を示す概略上面図である。
【
図8】実施形態2に係る発光装置の第1金属膜の配置を示す概略上面図である。
【
図9】実施形態2の透光性部材における第2金属膜の配置を示す概略下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施形態について適宜図面を参照して説明する。但し、以下に説明する形態は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。また、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。
以下、図面に基づいて本発明を詳細に説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、及びそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が制限されるものではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一もしくは同等の部分又は部材を示す。
さらに以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための発光装置を例示するものであって、本発明を以下に限定するものではない。また、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また、一の実施の形態、実施例において説明する内容は、他の実施の形態、実施例にも適用可能である。また、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。
【0009】
[実施形態1]
図1は、本実施形態に係る発光装置の概略上面図である。
図2は、本実施形態に係る発光装置の概略下面図である。
図3は、
図1のIII-III線における概略断面図である。
【0010】
図3に示す発光装置100は、基体10と、発光素子20と、透光性部材40と接合部材30とを備える。
【0011】
図3に示す例においては、基体10は、平板状の基部11と、基部11の上に配置される側壁部12と、を有している。基部11と側壁部12は一体とされていてもよく、別体でもよい。基体10は、上面12aを有する側壁部12と、周囲を側壁部12に囲まれた第1面11aとを有する。第1面11aは、基部11の上面に位置している。側壁部12の内壁面12cと基部11の第1面11aとによって凹部を画定している。基部11の第1面11aは、凹部の底である。第1面11aに発光素子20が配置されている。発光素子20は、基体10の側壁部12の内壁面12cと、基部11の第1面11aと、透光性部材40の下面40bとによって画定される空間13内に位置する。
【0012】
図4に示すように、上面視において、基体10の形状は矩形である。本明細書において、矩形とは、4つの辺と4つの角部を含む形状であって、角部は、直角、丸みを帯びた形状、または、
図4のように円弧状に面取りされた形状(匙面)等とすることができる。基部11の第1面11aの形状は、上面視において例えば矩形である。基部11の第1面11aよりも外側に、側壁部12の上面12aが位置している。側壁部12の上面12aの形状は、上面視において外形が矩形であって、内部に矩形の開口部を有する枠状である。
【0013】
側壁部12の上面12aは、基体10の一辺の中央部に位置する第1上面121aと、第1面121aと基体10の隅部との間に位置する第2上面122aと、基体10の隅部に位置する第3上面123aとを有する。
図4に示す例では、側壁部12の上面12aは、矩形の外形を構成する各辺において、第1上面121a及び第2上面122aを有している。また、外形を構成する四隅に第3上面123aを有している。すなわち、側壁部12の上面12aは、4つの第1上面121aと、8つの第2上面122aと、4つの第3上面とを有している。上面視において、枠状の側壁部12の内縁(矩形の開口部)の4つの辺は、第1上面121a及び第2上面122aの内縁によって構成されている。また、側壁部12における矩形の開口部の4つの角部は、第3上面123aの内縁によって構成されている。上面視において、第1上面121aと第2上面122aとの境界は、発光素子20と基体10の外形を構成する辺との間、すなわち、発光素子20の側面を基体10の側壁部12へ投影した領域において任意の位置に設定することができる。
図4に示すように、第1上面121aと第2上面122aとの境界は、後述する第1接合部31と第2接合部32との境界と一致する。また、上面視において、第2上面122aと第3上面123aとの境界は、側壁部12の矩形の開口部における辺と、丸みを帯びた角部の曲線と、の境目に位置する。
【0014】
基体10の第1面11aに、正負の上面配線14が配置されている。発光素子20は、基体10の第1面11aにフリップチップ実装されている。具体的には、同一面側に正負の電極を有する発光素子20を用い、発光素子20の正負の電極が、導電性部材を介して基体10の正負の上面配線14にそれぞれ電気的に接続されている。導電性部材としては、例えば、金と錫、錫と銀と銅などを主成分とする共晶半田、銀、金、パラジウムなどを含む導電ペースト、銀または金などを含むバンプ等を用いることができる。なお、発光素子20は、ワイヤによって基体10の上面配線14に接続(フェイスアップ実装)されていてもよい。また、上面に正負いずれか一方の電極を有し、下面に他方の電極を有する発光素子を用いてもよい。
【0015】
基体10の第1面11aと反対側に位置する第2面10bには、下面配線15が配置されている。基体10の基部11は、貫通孔を有しており、貫通孔内に内部配線(図示せず)が配置されている。上面配線14と下面配線15とは、それぞれ内部配線により接続されている。基体10の第2面10b側に、第2凹部16を有していてもよいし、有していなくてもよい。第2凹部16は、基体10の第2面10bから外側面10cにかけて配置される。第2凹部16を有する場合は、下面配線15は、第2凹部16を画定する基体10の外側面16cにも配置されている。発光装置100の下面配線15を、半田等を用いて他の実装基板等に接合する際に、半田が第2凹部16に入り込むことが可能となっている。これにより、下面配線15をより安定して電気的に接続することができる。
【0016】
透光性部材40は、少なくとも発光素子20からの光を透過させる透光性を有する部材であり、発光素子20から出射される光の60%以上を透過し、好ましくは90%以上を透過する。透光性部材40の形状は、上面視において例えば矩形である。透光性部材40は、
図1及び
図3に示されるような平板状のほか、上面及び/又は下面が球面や非球面などのレンズ状であってもよい。
【0017】
接合部材30は、基体10の側壁部12の上面12aと透光性部材40とを接合する。接合部材30は、第1上面121aに接合する部分である第1接合部31と、第2上面122aに接合する部分である第2接合部32と、第3上面123aに接合する部分である第3接合部33と、を有する。
図4に示す例では、上面視において、接合部材30は、第1上面121a、第2上面122a及び第3上面123aに連続的に配置されている。第1接合部31、第2接合部32、及び第3接合部33は一体でもよく、別体でもよい。
【0018】
接合部材30は、基体10の少なくとも一辺において、第1接合部31が第2接合部32よりも、その接合部材30が配置されている基体10の一辺と直交する方向における幅が広い。これにより、接合部材30の第1接合部31と基体10の第1上面121aとの接触面積、及び接合部材30の第1接合部31と透光性部材40との接触面積を広くすることができる。また、第1接合部31のみの幅を広くすることで、接合部材30を用いる量を極力抑えて、発光装置のコストの増加を抑えつつ、発光装置の凹部内を気密に封止することができる。また、発光素子20からの光が接合部材30に吸収されることを低減することができる。基部11と側壁部12とを有する基体10を用いた発光装置は、熱収縮による反りが発生し、基体10の一辺の中央部における側壁部12の高さが、その周辺の側壁部12の高さよりも低くなることが生じ得る。そのため、接合部材30の第1接合部31と基体10の第1上面121aとの接触面積、及び接合部材30の第1接合部31と透光性部材40との接触面積を広くすることによって、この部分における接合部材30と基体10、及び接合部材30と透光性部材40との接合力を強くすることができる。これにより、基体10の一辺の中央部における接合部材30と基体10との間、及び接合部材30と透光性部材40との間の剥離を防止することができる。接合部材30は、基体10の対向する二辺において、第1接合部31が第2接合部32よりも基体10の辺と直交する方向における幅を広くなるように配置することが好ましい。側壁部12の上面視における外形及び開口形状が長方形である場合は、長辺側の対向する二辺において、第1接合部31が第2接合部32よりも基体10の辺と直交する方向における幅が広くなるように配置することが好ましい。また、基体10の4辺それぞれにおいて、第1接合部31が第2接合部32よりも基体10の辺と直交する方向における幅が広くなるように配置することが好ましい。
【0019】
上面視において、基体10の一辺の長さは、例えば2mm以上8mm以下とすることができる。基体10の辺に直交する方向における基体10の第1上面121a及び第2上面122aの幅は、例えば0.3mm以上0.7mm以下とすることができる。
図1に示す例においては、第1上面121aと第2上面122aは、基体10の辺に直交する方向における幅が等しい。第1上面121aと第2上面122aは、基体10の辺に直交する方向における幅が異なっていてもよい。基体10の辺と平行な方向における第1上面121aの長さは、後述する第2接合部32の幅(
図4における32W)よりも長いことが好ましい。基体10の辺と平行な方向における第1上面121aの長さは、例えば300μm以上1000μm以下とすることができる。
【0020】
基体10の辺に直交する方向における基体10の上面12aの幅(
図4における12W)に対する接合部材30の第1接合部31の幅(
図4における31W)が占める割合は、例えば50%以上とすることが好ましい。基体10の辺に直交する方向における接合部材30の第1接合部31の幅は、例えば0.15mm以上0.65mm以下とすることができる。基体10の辺に直交する方向における基体10の上面12aの幅(
図4における12W)に対する接合部材30の第2接合部32の幅(
図4における32W)が占める割合は、例えば30%以上とすることが好ましい。基体10の辺に直交する方向における接合部材30の第2接合部32の幅は、例えば0.09mm以上0.6mm以下とすることができる。
【0021】
基体10の上面12aには第1金属膜51が配置されていることが好ましい。
図6に示す例においては、第1金属膜51は、接合部材30と基体10の側壁部12の上面12aとの間に位置している。第1金属膜51は、上面視において外形が矩形の枠状であって、四隅の角部が丸みを帯びた形状である。第1金属膜51を有する場合は、第1金属膜51の上に接合部材30が配置される。なお、第1金属膜51を有していない場合は、基体10の側壁部12の上面12aに接合部材30が配置される。
【0022】
図5に示すように、透光性部材40の下面40bの外周部に第2金属膜52が配置されていることが好ましい。第2金属膜52は、接合部材30と透光性部材40の下面40bとの間に位置する。第2金属膜52は、基体10の側壁部12の上面12aと対向するように配置される。第2金属膜52は、透光性部材40の下面40bを見た平面視において外形が矩形の枠状であって、四隅の角部が丸みを帯びた形状である。第2金属膜52を有する場合は、接合部材30は、第2金属膜52を介して透光性部材40と接合される。なお、第2金属膜52を有していない場合は、接合部材30は、透光性部材40の下面40bと直接接合される。
図5に示す例においては、第2金属膜52は、全周にわたって同じ幅で形成されている。
【0023】
第1金属膜51及び第2金属膜52は、例えば、タングステン、モリブデン、ニッケル、金、銀、白金、チタン、銅、アルミニウム、ルテニウムなどの金属材料を用いることが好ましい。第1金属膜51及び第2金属膜52は、接合部材30に対して高い濡れ性を有することが好ましい。
【0024】
発光装置100は、ツェナーダイオード等の保護素子を有していてもよいし、有していなくてもよい。
図4に示す例では、基体10の第1面11aに保護素子90が配置されている。
以下、発光装置100を構成する各要素について説明する。
【0025】
(基体10)
基体10は、発光素子20を配置するためのものである。
図3に示す例においては、基体10は、平板状の基部11と、基部11の上に配置される側壁部12と、を有している。基部11の第1面11aに発光素子20が配置され、側壁部12の上面12aに接合部材30が配置される。側壁部12によって画定される基部11の第1面11aの形状は、上面視において例えば矩形である。
【0026】
基体10は、絶縁性の基材と、上面配線14と、下面配線15とを含む。絶縁性の基材の材料としては、セラミックス、ガラスエポキシ、樹脂などを例示することができる。セラミックスとしては、耐熱性および耐候性の高いものを用いることが好ましく、このようなセラミックスとしては、アルミナ、窒化アルミニウム、ムライトなどを例示することができる。
【0027】
基体10の第1面11aは、上面配線14を有している。基体10の第2面10bは、下面配線15を有している。上面配線14及び下面配線15の材料は、当該分野で公知の材料によって形成することができる。上面配線14及び下面配線15は、例えば、銅、アルミニウム、金、銀、タングステン等の金属を用いることができる。
【0028】
(発光素子20)
発光素子20は、基体10の第1面11aに配置される。発光素子20としては、発光ダイオード、レーザダイオード等を用いることができる。
【0029】
発光素子20の発光ピーク波長は特に限定されず、所望の発光ピーク波長のものを適宜選択することができ、例えば250nm以上600nm以下のものを用いることができる。例えば、紫外光を発する発光ダイオードを用いることで、殺菌用又は除菌用の光源として用いることができる。紫外光を発する発光素子20の発光ピーク波長は、例えば、400nm以下である。
【0030】
発光素子20は、例えばInXAlYGa1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)を含む窒化物半導体層を用いたものであることが好ましい。深紫外から紫外の波長域で発光する発光素子を用いる場合は、少なくともAlを含む窒化物半導体層を有するものであることが好ましい。発光素子20は、少なくとも、発光層を含む半導体層と、正負の電極と、を有する。
【0031】
図4に示す例においては、発光素子20は、基体10の第1面11aの中央に配置されている。また、
図4に示す例においては、発光装置100は、1つの発光素子20が配置されている。発光装置100は、複数の発光素子20が配置されてもよい。発光素子20は、上面視において、例えば、矩形状とすることができる。この場合、発光素子20の上面視における一辺の長さは、例えば、50μm以上3000μm以下であることが好ましく、300μm以上2000μm以下であることがさらに好ましい。また、発光素子20の上面視における形状は、例えば、三角形、六角形等の多角形等でもよい。
【0032】
(接合部材30)
接合部材30は、基体10と透光性部材40との間に配置され、基体10と透光性部材40とを接合する。接合部材30は、発光装置100が第1金属膜51及び第2金属膜52を有する場合は、第1金属膜51と第2金属膜52との間に配置される。接合部材30は、例えば、半田、低融点ガラス、樹脂等が挙げられる。半田の材料としては、Au-Sn、Au-In等が挙げられる。樹脂としては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0033】
基体10と透光性部材40とを接合する接合部材30が、
図4に示すように第1上面121a、第2上面122a及び第3上面123aに連続的に配置される。すなわち、接合部材30が枠状の側壁部12の上面12aの全周にわたって配置されることで、発光装置の凹部内を気密に封止することができる。
【0034】
図4に示す例では、上面視において、接合部材30の内縁は側壁部12の開口部から離隔して配置されている。これにより、上面視において接合部材30が第1面11aに隣接して配置される場合と比べて、発光素子20からの光が接合部材30に吸収されることを低減することができる。
図4に示すように、上面視において、第2接合部32が第1面11aから離隔して配置され、第1接合部31が、第2接合部32の内縁よりも第1面11a側に延在するようにしてもよい。
【0035】
(透光性部材40)
透光性部材40は、基体10に配置された発光素子20からの光を透過させて、発光装置100の外部に光を放出させる機能を有する。透光性部材40の材料としては、サファイア、ホウ珪酸ガラス、石英ガラス、フッ化カルシウムガラス、アルミノホウ珪酸ガラス、オキシナイトライドガラス、カルコゲナイドガラスからなる群から選択された少なくとも1種からなる無機材料を例示することができる。透光性部材40の厚みは0.1mm以上7mm以下が挙げられる。
【0036】
図3に示すように、透光性部材40の下面40bは、基体10の第1面11aの上方に位置する第1領域41bと、基体10の側壁部12の上方に位置する第2領域42bとを含む。第1領域41bは、空間13を隔てて発光素子20の上面に対向している。透光性部材40の下面40bの第2領域42bは、接合部材30によって、基体10の側壁部12の上面12aと接合される。
【0037】
以下、接合部材30によって基体10と透光性部材40とを接合する方法について説明する。
図6に示すように、基体10の上面12a(第1金属膜51を有する場合は、第1金属膜51の上面)に接合部材30aを印刷法やディスペンス法等により配置する。
図5に示す例においては、複数の接合部材30aが間隔を開けて環状に配置されている。接合部材30aは、例えば、80μm~400μmの範囲の径で形成することが好ましく、90~200μmの範囲の径で形成することがさらに好ましい。また、隣接する接合部材30aの中心点同士の間隔は、80μm~1000μmの範囲に設定することが好ましく、100μm~400μmの範囲に設定することがさらに好ましい。このように複数の接合部材30aを間隔を開けて配置することによって、接合部材30aの量を低減することができる。第1上面121aにおいて、基体10の辺と直交する方向に2つの接合部材30aが配置されている。第1上面121aにおいて、接合部材30aは、基体10の辺と直交する方向に3つ以上配置してもよい。
図6に示す例においては、複数の接合部材30aはそれぞれ、同じ径で形成されている。
【0038】
接合部材30aを配置した後、接合部材30aを介して透光性部材40を基体10の上に配置し、接合部材30aを加熱して溶融させ、基体10と透光性部材40とを接合する。溶融した接合部材30a同士が繋がることによって、
図4に示すように第1上面121a、第2上面122a及び第3上面123aに連続的に配置された接合部材30とすることができる。これにより、発光素子20が位置する空間を気密封止することができる。
図5において第1上面121aに配置した複数の接合部材30aによって、基体10の一辺と直交する方向における幅が広い第1接合部31を構成することができる。なお、接合部材30aを配置する工程において、接合部材30aを例えば印刷法やディスペンス法によって第1上面121a、第2上面122a及び第3上面123aに連続的に形成してもよい。
【0039】
図7は、接合部材30aを配置する工程における接合部材30aの別の配置例を示す。
図7に示す例では、それぞれ間隔を開けて環状に配置された接合部材30aのうち、基体10の第1上面121aに配置される接合部材30Aの径が、他の部分に配置される接合部材30aの径よりも大きい。第1上面121aに配置する接合部材30Aは、例えば、100μm~300μmの範囲の径で形成することが好ましい。このような接合部材30Aを配置することで、基体10の一辺と直交する方向における幅が広い第1接合部31を構成することができる。
【0040】
[実施形態2]
図8は、実施形態2に係る発光装置における第1金属膜51の配置例を示す概略上面図である。
【0041】
図8に示す例において、第1金属膜51は、基体10の第1上面121aに位置する第1金属部511と、基体10の第2上面122aに位置する第2金属部512と、基体10の第3上面123aに位置する第3金属部513と、を有する。第1金属部511の基体10の一辺と直交する方向における幅は、第2金属部512の基体の一辺と直交する方向における幅よりも広い。
【0042】
接合部材30aを配置する工程において、実施形態1と同様に第1上面121aに形成する接合部材30aの量を他の部分よりも多くすることが好ましい。上述した接合部材30aを加熱する工程において、溶融した接合部材30aに対する濡れ性は、第1金属膜51が基材よりも高い。このため、溶融した接合部材30aは基材よりも第1金属膜51上に広がりやすい。基体10側において溶融した接合部材30aが濡れ広がる範囲は、第1金属膜51の形状と略同一になり得る。これにより、接合部材30aと第1金属部511との接触面積を広くすることができる。
【0043】
図8に示す例においては、第1金属部511が、第2金属部512の外縁よりも外側(第1面11aから離れる方向)に延在する延在部511eを有している。上述した接合部材30aを加熱する工程において、余剰の接合部材30aが延在部511eに向かって流れるようにすることで、接合部材30aが第1面11a側へ流れることを抑制することができる。
【0044】
図9は、実施形態2に係る発光装置における第2金属膜52の配置例を示す概略下面図である。
【0045】
図9に示す例において、第2金属膜52は、基体10の第1上面121aの上方に位置する第1金属部521と、基体10の第2上面122aの上方に位置する第2金属部522と、基体10の第3上面123aの上方に位置する第3金属部523と、を有する。第1金属部521の基体10の一辺と直交する方向における幅は、第2金属部522の基体10の一辺と直交する方向における幅よりも広い。上述した接合部材30aを加熱する工程において、溶融した接合部材30aは透光性部材40側において第2金属膜52上に広がりやすい。これにより、接合部材30aと第1金属部521との接触面積を広くすることができる。
【0046】
図9に示す例においては、第1金属部521が、第2金属部522の内縁よりも内側(第1領域41b側)に延在する延在部521eを有しており、第2金属部522及び第3金属部523は、透光性部材40の第1領域41bから離隔して配置されている。これにより、発光素子20からの光が第2金属部522及び第3金属部523によって遮られることを低減することができる。なお、第1金属部521は、第2金属部522の外縁よりも外側(第1領域41bから離れる方向)に延在する延在部を有していてもよい。
【符号の説明】
【0047】
10 基体
20 発光素子
30 接合部材
40 透光性部材
51 第1金属膜
52 第2金属膜
90 保護素子
100 発光装置