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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039071
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】発光装置およびそれに用いる拡散部材
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/58 20100101AFI20240313BHJP
   H01L 33/56 20100101ALI20240313BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20240313BHJP
【FI】
H01L33/58
H01L33/56
H01L33/62
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024015427
(22)【出願日】2024-02-05
(62)【分割の表示】P 2022122171の分割
【原出願日】2022-07-29
(31)【優先権主張番号】P 2021178946
(32)【優先日】2021-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100206140
【弁理士】
【氏名又は名称】大釜 典子
(72)【発明者】
【氏名】熊野 誠実
(72)【発明者】
【氏名】久保 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】岩浅 真規子
(57)【要約】
【課題】照明ムラを低減した発光装置を提供する。
【解決手段】基板、基板に形成された配線、電極を有する発光素子および発光素子の発光面側に配置された拡散部材を含む発光装置であって、発光素子の主波長が500~560nmの範囲内にあり、拡散部材を平面視したときの1辺と平行な第1の方向とそれに直交する第2の方向とし、拡散部材の外形中心を通り第1の方向と平行で拡散部材の光出射面と垂直な第1測定面と、外形中心を通り第2の方向と平行で拡散部材の光出射面と垂直な第2測定面との各々において、外形中心を通り光出射面と直交し発光観測方向に伸びる垂線を基準とし、外形中心での角度が-60°以上60°以下の範囲において、発光装置の発光色の色度x、yを測定したとき、第1測定面での色度xの色度差Δxの最大値と最小値の差と、第2測定面での色度xの色度差Δxの最大値と最小値の差との平均値αが0.0024未満である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に形成された配線と、
前記配線と電気的に接続された電極を有する発光素子と、
前記電極が形成された面とは反対側の前記発光素子の発光面側に配置された拡散部材と、を含む発光装置であって、
前記発光素子の主波長が500nm以上560nm以下の範囲内にあり、
前記拡散部材を平面視したときに、前記拡散部材の1つの辺と平行な第1の方向と、該第1の方向と直交する第2の方向とし、
前記拡散部材を平面視したときの外形中心を通り、前記第1の方向と平行で、且つ前記拡散部材の光出射面と垂直な第1測定面と、前記外形中心を通り、前記第2の方向と平行で、且つ前記拡散部材の前記光出射面と垂直な第2測定面と、の各々において、前記外形中心を通り前記光出射面と直交して発光観測方向に伸びる垂線を基準とし、前記外形中心における角度が-60°以上60°以下の範囲において、前記発光装置の発光色の色度xおよび色度yを測定したとき、前記第1測定面で測定した前記色度xの色度差Δxの最大値と最小値の差と、前記第2測定面で測定した前記色度xの色度差Δxの最大値と最小値の差との平均値αが0.0024未満である、発光装置。
【請求項2】
基板と、
前記基板に形成された配線と、
前記配線と電気的に接続された電極を有する発光素子と、
前記電極が形成された面とは反対側の前記発光素子の発光面側に配置された拡散部材と、を含む発光装置であって、
前記発光素子の主波長が420nm以上560nm以下の範囲内にあり、
前記拡散部材を平面視したときに、前記拡散部材の1つの辺と平行な第1の方向と、該第1の方向と直交する第2の方向とし、
前記拡散部材を平面視したときの外形中心を通り、前記第1の方向と平行で、且つ前記拡散部材の光出射面と垂直な第1測定面と、前記外形中心を通り、前記第2の方向と平行で、且つ前記拡散部材の前記光出射面と垂直な第2測定面と、の各々において、前記外形中心を通り前記光出射面と直交して発光観測方向に伸びる垂線を基準とし、前記外形中心における角度が-60°以上60°以下の範囲において、前記発光装置の発光色の色度xおよび色度yを測定したとき、前記第1測定面で測定した前記色度yの色度差Δyの最大値と最小値の差と、前記第2測定面で測定した前記色度yの色度差Δyの最大値と最小値の差との平均値βが、前記拡散部材に代えて透明部材を備えた発光装置の発光色を測定して求めた当該平均値β’の30%未満である、発光装置。
【請求項3】
基板と、
前記基板に形成された配線と、
前記配線と電気的に接続された電極を有する発光素子と、
前記電極が形成された面とは反対側の前記発光素子の発光面側に配置された拡散部材と、を含む発光装置であって、
前記発光素子の主波長が420nm以上560nm以下の範囲内にあり、
前記拡散部材を平面視したときに、前記拡散部材の1つの辺と平行な第1の方向と、該第1の方向と直交する第2の方向とし、
前記拡散部材を平面視したときの外形中心を通り、前記第1の方向と平行で、且つ前記拡散部材の光出射面と垂直な第1測定面と、前記外形中心を通り、前記第2の方向と平行で、且つ前記拡散部材の前記光出射面と垂直な第2測定面と、の各々において、前記外形中心を通り前記光出射面と直交して発光観測方向に伸びる垂線を基準とし、前記外形中心における角度が-60°以上60°以下の範囲において、前記発光装置の発光色の色度xおよび色度yを測定したとき、前記第1測定面で測定した前記色度yの色度差Δyの最大値と最小値の差と、前記第2測定面で測定した前記色度yの色度差Δyの最大値と最小値の差との平均値βが、以下の式(1)を満たす、発光装置。

β<0.0006y+0.0006 (1)

ここで、yは、前記外形中心を通り前記光出射面と直交して発光観測方向に伸びる前記垂線上で測定した、前記発光装置の前記発光色の前記色度yである。
【請求項4】
基板と、
前記基板に形成された配線と、
前記配線と電気的に接続された電極を有する発光素子と、
前記電極が形成された面とは反対側の前記発光素子の発光面側に配置された拡散部材と、を含む発光装置であって、
前記発光素子の主波長が420nm以上480nm以下の範囲内にあり、
前記拡散部材を平面視したときに、前記拡散部材の1つの辺と平行な第1の方向と、該第1の方向と直交する第2の方向とし、
前記拡散部材を平面視したときの外形中心を通り、前記第1の方向と平行で、且つ前記拡散部材の光出射面と垂直な第1測定面と、前記外形中心を通り、前記第2の方向と平行で、且つ前記拡散部材の前記光出射面と垂直な第2測定面と、の各々において、前記外形中心を通り前記光出射面と直交して発光観測方向に伸びる垂線を基準とし、前記外形中心における角度が-60°以上60°以下の範囲において、前記発光装置の発光色の色度xおよび色度yを測定したとき、前記第1測定面で測定した前記色度yの色度差Δyの最大値と最小値の差と、前記第2測定面で測定した前記色度yの色度差Δyの最大値と最小値の差との平均値βが0.0006未満である、発光装置。
【請求項5】
前記第1測定面および前記第2測定面の各々での測定において、前記色度xの範囲が0.04以上0.25以下であり、前記色度yの範囲が0.45以上0.77以下である、請求項1に記載の発光装置。
【請求項6】
前記発光素子の主波長が420nm以上480nm以下の範囲内にある、請求項2または3に記載の発光装置。
【請求項7】
前記第1測定面および前記第2測定面の各々での測定において、前記色度xの範囲が0.04以上0.25以下であり、前記色度yの範囲が0.01以上0.77以下である、請求項2~4のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記拡散部材は、透光体と、前記透光体と前記発光素子の発光面との間に配置される拡散層と、を含み、
前記拡散層は、樹脂および前記樹脂中に配置された粒子状の拡散材を含む、
請求項1~4のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項9】
前記拡散層における前記拡散材の濃度は、前記樹脂を100質量%として0.1質量%以上20質量%以下の範囲内にあり、
前記拡散材の粒径が0.1μm以上2.0μm以下の範囲内にある、請求項8に記載の発光装置。
【請求項10】
前記拡散材は、酸化アルミニウム、酸化チタン、リン酸イットリウムからなる群から選択される1種以上である、請求項8に記載の発光装置。
【請求項11】
前記拡散層は、さらにフィラーを含む、請求項8に記載の発光装置。
【請求項12】
前記フィラーは、酸化ケイ素の粒子である、請求項11に記載の発光装置。
【請求項13】
発光素子の発光面側に配置して、当該発光素子からの光を拡散するための拡散部材であって、
前記拡散部材を平面視したときに、前記拡散部材の1つの辺と平行な第1の方向と、該第1の方向と直交する第2の方向とし、
主波長が523nmの発光素子の発光面に前記拡散部材を配置して当該発光素子からの光を当該拡散部材に通過させ、前記拡散部材を平面視したときの外形中心を通り、前記第1の方向と平行で、且つ前記拡散部材の光出射面と垂直な第1測定面と、前記外形中心を通り、前記第2の方向と平行で、且つ前記拡散部材の前記光出射面と垂直な第2測定面と、の各々において、前記外形中心を通り前記光出射面と直交して発光観測方向に伸びる垂線を基準とし、前記外形中心における角度が-60°以上60°以下の範囲において、前記拡散部材を通過した前記光の発光色の色度xおよび色度yを測定したとき、前記第1測定面で測定した前記色度yの色度差Δyの最大値と最小値の差と、前記第2測定面で測定した前記色度yの色度差Δyの最大値と最小値の差との平均値βが、前記拡散部材に代えて透明部材を前記発光素子の発光面に配置し、該透明部材を通過した前記発光素子からの前記光の発光色を測定して求めた前記平均値β’の30%未満である、拡散部材。
【請求項14】
前記拡散部材は、透光体と、前記透光体と前記発光素子の発光面との間に配置される拡散層と、を含み、
前記拡散層は、樹脂および前記樹脂中に配置された粒子状の拡散材を含む、
請求項13に記載の拡散部材。
【請求項15】
前記拡散層における前記拡散材の濃度は、前記樹脂を100質量%として0.1質量%以上20質量%以下の範囲内にあり、
前記拡散材の粒径が0.1μm以上2.0μm以下の範囲内にある、請求項14に記載の拡散部材。
【請求項16】
前記拡散材は、酸化アルミニウム、酸化チタン、リン酸イットリウムからなる群から選択される1種以上である、請求項14に記載の拡散部材。
【請求項17】
前記拡散層は、さらにフィラーを含む、請求項14に記載の拡散部材。
【請求項18】
前記フィラーは、酸化ケイ素の粒子である、請求項17に記載の拡散部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置およびそれに用いる拡散部材に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)を用いた小型の発光装置として、近年、発光素子とほぼ同等のサイズを有するパッケージ、いわゆるCSP(Chip Scale Package)の開発が進められている。
【0003】
かかる発光装置の一例として、波長変換部材を備えた白色発光装置が提案されており、基板上に設けられた発光素子の上に、蛍光体を含む板状の波長変換部材が配置されている(例えば特許文献1)。
同様の構造を有する発光装置の別の例としては、透光性部材を備えた発光装置が知られている(例えば特許文献2)。特許文献2には、拡散効果を有する透光性部材、例えば拡散材を添加した拡散部材を使用することが記載されている。
【0004】
白色発光装置以外の発光装置として、例えば、青色発光装置および緑色発光装置では、青色の発光素子または緑色の発光素子が用いられる。近年、Car Body Lightingと呼ばれる自動車外装装飾の用途、自動化運転時に車外への情報伝達を目的としたCommunication Lamp用途において、青色発光装置、緑色発光装置等のカラーLEDの需要拡大が見込まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-117912号公報
【特許文献2】特開2021-108358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、緑色発光および青色発光のCSPでは、発光装置内の構造に起因した照明ムラが生じることがある。
【0007】
そこで本発明の一実施形態では、照明ムラが低減された発光装置を提供することを目的とする。
本発明の別の実施形態では、発光装置の照明ムラの低減に適した拡散部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の態様に係る発光装置は、
基板と、
前記基板に形成された配線と、
前記配線と電気的に接続された電極を有する発光素子と、
前記電極が形成された面とは反対側の前記発光素子の発光面側に配置された拡散部材と、を含む発光装置であって、
前記発光素子の主波長が500nm以上560nm以下の範囲内にあり、
前記拡散部材を平面視したときに、前記拡散部材の1つの辺と平行な第1の方向と、該第1の方向と直交する第2の方向とし、
前記拡散部材を平面視したときの外形中心を通り、前記第1の方向と平行で、且つ前記拡散部材の光出射面と垂直な第1測定面と、前記外形中心を通り、前記第2の方向と平行で、且つ前記拡散部材の前記光出射面と垂直な第2測定面と、の各々において、前記外形中心を通り前記光出射面と直交して発光観測方向に伸びる垂線を基準とし、前記外形中心における角度が-60°以上60°以下の範囲において、前記発光装置の発光色の色度xおよび色度yを測定したとき、前記第1測定面で測定した前記色度xの色度差Δxの最大値と最小値の差と、前記第2測定面で測定した前記色度xの色度差Δxの最大値と最小値の差との平均値αが0.0024未満である。
【0009】
本開示の第2の態様に係る発光装置は、
基板と、
前記基板に形成された配線と、
前記配線と電気的に接続された電極を有する発光素子と、
前記電極が形成された面とは反対側の前記発光素子の発光面側に配置された拡散部材と、を含む発光装置であって、
前記発光素子の主波長が420nm以上560nm以下の範囲内にあり、
前記拡散部材を平面視したときに、前記拡散部材の1つの辺と平行な第1の方向と、該第1の方向と直交する第2の方向とし、
前記拡散部材を平面視したときの外形中心を通り、前記第1の方向と平行で、且つ前記拡散部材の光出射面と垂直な第1測定面と、前記外形中心を通り、前記第2の方向と平行で、且つ前記拡散部材の前記光出射面と垂直な第2測定面と、の各々において、前記外形中心を通り前記光出射面と直交して発光観測方向に伸びる垂線を基準とし、前記外形中心における角度が-60°以上60°以下の範囲において、前記発光装置の発光色の色度xおよび色度yを測定したとき、前記第1測定面で測定した前記色度yの色度差Δyの最大値と最小値の差と、前記第2測定面で測定した前記色度yの色度差Δyの最大値と最小値の差との平均値βが、前記拡散部材に代えて透明部材を備えた発光装置の発光色を測定して求めた当該平均値β’の30%未満である。
【0010】
本開示の第3の態様に係る発光装置は、
基板と、
前記基板に形成された配線と、
前記配線と電気的に接続された電極を有する発光素子と、
前記電極が形成された面とは反対側の前記発光素子の発光面側に配置された拡散部材と、を含む発光装置であって、
前記発光素子の主波長が420nm以上560nm以下の範囲内にあり、
前記拡散部材を平面視したときに、前記拡散部材の1つの辺と平行な第1の方向と、該第1の方向と直交する第2の方向とし、
前記拡散部材を平面視したときの外形中心を通り、前記第1の方向と平行で、且つ前記拡散部材の光出射面と垂直な第1測定面と、前記外形中心を通り、前記第2の方向と平行で、且つ前記拡散部材の前記光出射面と垂直な第2測定面と、の各々において、前記外形中心を通り前記光出射面と直交して発光観測方向に伸びる垂線を基準とし、前記外形中心における角度が-60°以上60°以下の範囲において、前記発光装置の発光色の色度xおよび色度yを測定したとき、前記第1測定面で測定した前記色度yの色度差Δyの最大値と最小値の差と、前記第2測定面で測定した前記色度yの色度差Δyの最大値と最小値の差との平均値βが、以下の式(1)を満たす。

β<0.0006y+0.0006 (1)

ここで、yは、前記外形中心を通り前記光出射面と直交して発光観測方向に伸びる前記垂線上で測定した、前記発光装置の前記発光色の前記色度yである。
【0011】
本開示の第4の態様に係る発光装置は、
基板と、
前記基板に形成された配線と、
前記配線と電気的に接続された電極を有する発光素子と、
前記電極が形成された面とは反対側の前記発光素子の発光面側に配置された拡散部材と、を含む発光装置であって、
前記発光素子の主波長が420nm以上480nm以下の範囲内にあり、
前記拡散部材を平面視したときに、前記拡散部材の1つの辺と平行な第1の方向と、該第1の方向と直交する第2の方向とし、
前記拡散部材を平面視したときの外形中心を通り、前記第1の方向と平行で、且つ前記拡散部材の光出射面と垂直な第1測定面と、前記外形中心を通り、前記第2の方向と平行で、且つ前記拡散部材の前記光出射面と垂直な第2測定面と、の各々において、前記外形中心を通り前記光出射面と直交して発光観測方向に伸びる垂線を基準とし、前記外形中心における角度が-60°以上60°以下の範囲において、前記発光装置の発光色の色度xおよび色度yを測定したとき、前記第1測定面で測定した前記色度yの色度差Δyの最大値と最小値の差と、前記第2測定面で測定した前記色度yの色度差Δyの最大値と最小値の差との平均値βが0.0006未満である。
【0012】
本開示に係る拡散部材は、
発光素子の発光面側に配置して、当該発光素子からの光を拡散するための拡散部材であって、
前記拡散部材を平面視したときに、前記拡散部材の1つの辺と平行な第1の方向と、該第1の方向と直交する第2の方向とし、
主波長が523nmの発光素子の発光面に前記拡散部材を配置して当該発光素子からの光を当該拡散部材に通過させ、前記拡散部材を平面視したときの外形中心を通り、前記第1の方向と平行で、且つ前記拡散部材の光出射面と垂直な第1測定面と、前記外形中心を通り、前記第2の方向と平行で、且つ前記拡散部材の前記光出射面と垂直な第2測定面と、の各々において、前記外形中心を通り前記光出射面と直交して発光観測方向に伸びる垂線を基準とし、前記外形中心における角度が-60°以上60°以下の範囲において、前記拡散部材を通過した前記光の発光色の色度xおよび色度yを測定したとき、前記第1測定面で測定した前記色度yの色度差Δyの最大値と最小値の差と、前記第2測定面で測定した前記色度yの色度差Δyの最大値と最小値の差との平均値βが、前記拡散部材に代えて透明部材を前記発光素子の発光面に配置し、該透明部材を通過した前記発光素子からの前記光の発光色を測定して求めた前記平均値β’の30%未満である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一実施形態に係る発光装置は、照明ムラを低減することができる。
本発明の別の実施形態に係る拡散部材は、発光装置の照明ムラの低減に適している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の実施形態1に係る発光装置の模式断面図である。
図2図2は、本発明の実施形態1に係る発光装置の模式上面図である。
図3図3は、指向色度の測定方向を示す模式斜視図である。
図4図4は、拡散部材の製造方法を示す模式断面図である。
図5図5(a)~図5(c)は、拡散部材の製造方法を示す模式断面図である。
図6図6は、拡散部材の製造方法の変形例を示す模式平面図である。
図7】実施例1~8に係る測定用試料の指向色度(Δx)を示すグラフである。
図8】実施例1~8に係る測定用試料の指向色度(Δy)を示すグラフである。
図9】実施例1~8に係る測定用試料からの発光が照射された平面の写真である。
図10】実施例9~15に係る測定用試料の指向色度(Δy)を示すグラフである。
図11】実施例9~15に係る測定用試料からの発光が照射された平面の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の発光装置は、発光装置の発光色は発光素子の発光色と同一であり、また、指向色度は測定角度に依存せずに一定であると考えられていた。しかしながら、発明者らが照明ムラを解消するために発光装置の指向特性を様々な観点から検討したところ、測定角度によって色度(色度x、y)にずれが生じていることを発見した。そして、照明ムラと色度x、yのずれ(色度差Δx、Δy)との関係を調べたところ、測定角度θが-60°以上60°以下の範囲における色度差Δx、Δyの最大値と最小値の差と、照明ムラとの間に相関性があること、そして、この角度範囲における色度差Δx、Δyの最大値と最小値の差を所定値未満に抑えることにより、照明ムラの小さい発光装置が得られることを初めて見出し、本開示に係る発明を完成するに至った。
【0016】
色度差Δx、Δyは、輝度ムラに比べて評価方法が簡便であるため、照明ムラの評価および制御の指標として有利である。
そこで本発明の実施形態では、照明ムラを適切に評価できる指標として、色度差Δx、Δyの最大値と最小値の差を用いることとし、この指標に基づいて、照明ムラを低減した発光装置を提供する。
【0017】
色度差Δxは、主に、主波長が500nm以上560nm以下(緑色)の発光素子を用いた発光装置の指標として適している。
色度差Δyは、主に、主波長が420nm以上560nm以下(青色~緑色)の発光素子、特に、420nm以上480nm以下(青色)の発光素子を用いた発光装置の指標として適している。
以下に、図面を参照しながら、実施形態に係る発光装置について説明する。
【0018】
[実施形態1:発光装置]
実施形態1では、主波長が500nm以上560nm以下(緑色)の発光素子を用いた発光装置について、色度差Δxにより規定している。
【0019】
図1および2に示す発光装置100は、基板1と、基板1に実装された発光素子2と、発光素子2に配置された拡散部材30(拡散層3および透光体4を含む)とを有している。基板1には配線11が形成されている。発光素子2は、その下面に電極21が形成されている。発光素子2は、導電部材7を介して基板1にフリップチップ実装されてよい。これにより、発光素子2の電極21は、導電部材7を介して、基板1の配線11に電気的に接続される。
発光素子2は、主波長が500nm以上560nm以下の範囲内にある。
【0020】
発光素子2の上面(つまり、電極21が形成された面と反対側の面)は発光面23である。拡散部材30は、発光素子2の発光面23側に配置されている。拡散部材30は、接着層5を介して発光素子2に接合されてよい。発光素子2、拡散層3および透光体4の側面に沿って配置された被覆部材6を有してよい。
【0021】
拡散部材30の上面(発光素子2と対向している面と反対側の面)は光出射面33である。発光素子2の発光面23から出射した発光は、拡散部材30を通過して光出射面33から外部に取り出される。
【0022】
さらに基板1に導電部材7を介してフリップチップ実装された半導体素子8を有してよい。半導体素子8は、必要に応じて省略することもできる。
【0023】
発光装置100は、ある特定の測定面における指向色度が極めて均一であることに特徴を有する。
指向色度の測定方法について詳しく説明する。
【0024】
指向色度の測定は、2つの測定面(第1測定面Axz、第2測定面Ayz)の各々で行う。
まず、拡散部材30を平面視した状態で、拡散部材30の1つの辺(第1の辺30a)と平行な第1の方向xと、第1の方向xと直交する第2の方向yとを規定する。
第1測定面Axzは、xz面に平行な測定面であり、(i)拡散部材30を平面視したときの外形中心を通り、(ii)拡散部材30の第1の辺30aと平行な第1の方向xと平行で、且つ(iii)拡散部材30の光出射面33と垂直な面とする。
第2測定面Ayzは、yz面に平行な測定面であり、(i)拡散部材30を平面視したときの外形中心を通り、(ii)第2の方向yと平行で、且つ(iii)拡散部材30の光出射面33と垂直な面とする。
【0025】
「拡散部材30を平面視したときの外形中心」とは、例えば図2に示すように、平面視したときの拡散部材30が矩形の場合、対角線の交点Oが拡散部材30の外形中心である。拡散部材30が他の多角形の場合、全ての対角線が1点で交わるときは対角線の交点が外形中心である。全ての対角線が1点で交わらないときは、その外形の外接円の中心が外形中心である。
【0026】
「拡散部材30の1つの辺(第1の辺30a)」とは、拡散部材30を平面視したときのいずれか1つの辺のことである。図2に示すような矩形の拡散部材30の場合、第1の辺30aは、拡散部材30の4つの辺のいずれか1つの辺のことである。図2の発光装置100では、第1の辺30aは、x方向に伸びる辺としているが、これに限定されない。拡散部材30の外形が長方形の場合、長辺および短辺のいずれの辺でもよい。多角形の場合、その多角形を形成するいずれの辺でもよい。
【0027】
第1の方向xは、第1の辺30aと平行な方向のことである。第2の方向は、拡散部材30を平面視した状態において、第1の方向xと直交する方向、すなわちy方向である。ここで、図2に示す拡散部材30は平面視したときに矩形であるため、拡散部材30の第1の辺30aと直交する第2の辺30bは、第2の方向yと平行である。
なお、第2の方向yは、拡散部材30のいずれかの辺と平行である必要はない。拡散部材30が矩形以外の多角形状の場合(例えば六角形)、拡散部材30が、任意選択した1つの辺(第1の辺)に対して直交する辺を有していないことがある。その場合、拡散部材30のいずれの辺も、第2の方向yと平行にはならない。
【0028】
「拡散部材30の光出射面33と垂直な面」とは、光出射面33(図1図3におけるxy面と平行な面)と直交する面であり、たとえばxz面、yz面である。
【0029】
これらの定義を踏まえると、図1図3に示す発光装置100では、2つの測定面(第1測定面および第2測定面)は、交点Oを通り、xz面と平行な面およびyz面と平行な面、つまり、Axz面およびAyz面である。
なお、本明細書では、第1測定面をAxz面、第2測定面をAyz面としているが、それらを入れ替えてもよい。
【0030】
指向色度は、外形中心(交点O)から発光観測方向(z方向)に伸びる、拡散部材30の光出射面33と直交する垂線L(図1および図3)を基準として、外形中心(交点O)における角度θが-60°以上60°以下の範囲で測定される。
詳述すれば、第1測定面Axzにおける測定では、垂線Lを基準として、外形中心(交点O)における角度θが-60°以上60°以下の範囲、つまり、交点Oを中心とした120°の扇型の範囲で測定する。
同様に、第2測定面Ayzにおける測定では、垂線Lを基準として、外形中心(交点O)における角度θが-60°以上60°以下の範囲、つまり、交点Oを中心とした120°の扇型の範囲で測定する。
垂線Lは、発光装置100の光軸と平行である。
【0031】
第1測定面Axzおよび第2測定面Ayzの各々の面上において、上記測定範囲で発光装置100の発光色の色度xおよび色度yを測定する。
指向色度(配光色度)の測定に際しては、発光装置に1000mAの電流を通電して発光させて、ゴニオメータを使用してLEDを回転させることで測定方向を変えながら、CIE(国際照明委員会)が推奨している「平均LED光度」測定であるCondition Bの条件で、分光分布測定装置を用いて発光色の測定を行う。発光色の評価には、CIE表色系に基づくx値、y値を用いた。また、x値については、θ=0°における発光色の色度を基準値xとし、各測定について基準値xからのずれ(色度差Δx)の最大値と最小値の差を算出することで発光装置の指向色度を評価する。
【0032】
実施形態1に係る発光装置100において、第1測定面Axzにおける色度差Δxの最大値と最小値との差(これをΔxとする)と、第2測定面Ayzにおける色度差Δxの最大値と最小値との差(これをΔxとする)とをそれぞれ求め、ΔxとΔxの平均値α、つまり(Δx+Δx)/2が0.0024未満となるように制御する。ΔxとΔxとの平均値αを低く抑えることにより、照明ムラの少ない発光装置100を得ることができる。
【0033】
波長変換部材を用いない発光装置では色度差Δxは実質的に生じず、そのため、色度差Δxの最大値と最小値との差Δx、Δxはないと考えられていた。それにもかかわらず、実際には、照明ムラが生じる発光装置では、色度差Δxが生じ、かつΔxおよびΔxの少なくとも一方が0.0024以上になっていた理由は定かではないが、以下のように推測される。
発光素子2の電極21近傍ではより多くの電流が流れるため、波長の短い光が放出されるが、発光素子2の電極21から離れると電流がやや少なくなり、波長の長い光が放出される。そのため発光素子2の電極21のパターンに対応するように色度ムラが生じる。
発光装置100の照明パターンは、発光素子2の電極パターンに影響を受けるため、同様に発光素子2の電極パターンに影響を受ける色度ムラと強い相関性を示したものと推測される。
【0034】
発光装置100の発光色の一例は、色度xの範囲が0.04以上0.25以下で、色度yの範囲が0.45以上0.77以下である。この色度範囲の発光色は、緑色に相当する。
【0035】
[実施形態2:発光装置]
実施形態2に係る発光装置100では、発光装置100に用いる発光素子の種類と、指向色度の測定に用いる指標が異なる以外は、実施形態1の発光装置と同じである。実施形態2では、実施形態1との相違する点を中心に説明する。
【0036】
実施形態2では、発光ピークの波長が420nm以上560nm以下(青色~緑色)の発光素子を用いた発光装置と、発光ピークの波長が420nm以上480nm以下(青色)の発光素子を用いた発光装置について、色度差Δyにより規定している。
後述するように、色度差Δyは、発光ピークの波長範囲が420nm以上480nm以下の発光素子を用いた発光装置の指標として、特に好ましい。
【0037】
実施形態2では、3つの形態(第1の形態~第3の形態)を含み得る。各々の形態では、発光装置の照明ムラを低減するための指標の基準値の定め方が異なっている。
【0038】
(1)第1の形態
実施形態2の第1の形態に係る発光装置100は、実施形態1と同様に、基板1と、基板1に実装された発光素子2と、発光素子2に配置された拡散部材30(拡散層3および透光体4を含む)とを有している(図1参照)。
発光素子2の主波長は420nm以上560nm以下の範囲内にある。
【0039】
実施形態1で詳述した指向色度の測定方法に沿って、2つの測定面(第1測定面Axz、第2測定面Ayz)の各々で指向色度の測定を行う。
指向色度は、外形中心(交点O)から発光観測方向(z方向)に伸びる、拡散部材30の光出射面33と直交する垂線L(図1および図3)を基準として、外形中心(交点O)における角度θが-60°以上60°以下の範囲で測定される。
【0040】
第1測定面Axzおよび第2測定面Ayzの各々の面上において、上記測定範囲で発光装置100の発光色の色度xおよび色度yを測定する。
y値については、θ=0°における発光色の色度を基準値yとし、各測定について基準値yからのずれ(色度差Δy)の最大値と最小値の差を算出することで発光装置の指向色度を評価する。
【0041】
実施形態2の第1の形態に係る発光装置100において、第1測定面Axzにおける色度差Δyの最大値と最小値との差(これをΔyとする)と、第2測定面Ayzにおける色度差Δyの最大値と最小値との差(これをΔyとする)とをそれぞれ求め、さらにΔyとΔyの平均値βを求める。
【0042】
また、拡散部材30に代えて、透明部材を備えた発光装置(比較用の発光装置)を準備し、実施形態1で詳述した指向色度の測定方法に沿って、2つの測定面(第1測定面Axz、第2測定面Ayz)の各々で指向色度の測定を行う。
比較用の発光装置のy値については、θ=0°における発光色の色度を基準値y’とし、各測定について基準値y’からのずれ(色度差Δy’)の最大値と最小値の差を算出することで、比較用の発光装置の指向色度を評価する。
第1測定面Axzにおける色度差Δy’の最大値と最小値との差(これをΔy’とする)と、第2測定面Ayzにおける色度差Δyの最大値と最小値との差(これをΔy’とする)とをそれぞれ求め、さらにΔy’とΔy’の平均値β’を求める。
【0043】
実施形態2の第1の形態では、発光装置100の平均値βが、比較用の発光装置の平均値β’の30%未満となるように制御する。これにより、照明ムラの少ない発光装置100を得ることができる。
【0044】
なお、透明部材を備えた比較用の発光装置は、例えば、拡散部材30を備えた発光装置100から拡散部材30を除去し、拡散部材30の代わりに透明部材を固定して製造してもよい。
【0045】
実施形態2の第1の形態は、Δyから求めた平均値βを指標として用いることにより、主波長が420nm以上560nm以下の範囲内にある発光素子2を備えた発光装置100を評価することができ、特に、主波長が420nm以上480nm以下の範囲内にある発光素子2を備えた発光装置100を評価できる点で優れている。
【0046】
照明ムラの指標としてΔxから求めた平均値αを用いる場合(実施形態1参照)、420nm以上480nm以下の波長範囲の発光素子2を備えた発光装置100では、照明ムラが生じる発光装置と、照明ムラが生じない発光装置との間で、平均値αの差が小さい。そのため、その波長範囲においては、平均値αは指標に適さない。
【0047】
これに対して、色度差Δyから求めた平均値βを用いると、発光素子2の波長範囲が420nm以上560nm以下の全体にわたって、照明ムラが生じる発光装置と、照明ムラが生じない発光装置との間で、平均値βの差が大きい。そのため、420nm以上480nm以下の波長範囲の発光素子2を備えた発光装置100では、Δyから求めた平均値βを指標として用いることが好適である。
【0048】
(2)第2の形態
実施形態2の第2の形態に係る発光装置100は、ΔyとΔyの平均値βに関する規定が、第1の形態に係る発光装置100と異なっている。それ以外については、第1の形態と同様であるため、詳細は省略する。
【0049】
実施形態2の第2の形態に係る発光装置100において、第1測定面Axzにおける色度差Δyの最大値と最小値との差Δyと、第2測定面Ayzにおける色度差Δyの最大値と最小値との差Δyとの平均値βは、以下の式(1)を満たすように制御する。これにより、照明ムラの少ない発光装置100を得ることができる。

β<0.0006y+0.0006 (1)

ここで、yは、θ=0°における発光色の色度yの基準値である。より詳しく説明すると、yは、発光装置100の拡散部材30を平面視したときの外形中心を通り、拡散部材の光出射面と直交して発光観測方向に伸びる垂線L上で測定した、発光装置100の発光色の色度yのことである。
【0050】
実施形態2の第2の形態は、Δyから求めた平均値βを指標として用いているため、第1の形態と同様に、発光素子2の主波長が420nm以上480nm以下の範囲内にある場合に特に好適である。
【0051】
(3)第3の形態
実施形態2の第3の形態に係る発光装置100は、ΔyとΔyの平均値βに関する規定が、第1の形態および第2の形態に係る発光装置100と異なっている。また、第3の形態は、主波長が420nm以上480nm以下の範囲内にある発光素子2を備えた発光装置100に限定している。それ以外については、第1の形態および第2の形態と同様であるため、詳細は省略する。
【0052】
実施形態2の第3の形態に係る発光装置100において、第1測定面Axzにおける色度差Δyの最大値と最小値との差Δyと、第2測定面Ayzにおける色度差Δyの最大値と最小値との差Δyとの平均値βは、0.0006未満となるように制御する。これにより、照明ムラの少ない発光装置100を得ることができる。
【0053】
実施形態2の第1~第3の形態に係る発光装置100の発光色の一例は、色度xの範囲が0.04以上0.25以下で、色度yの範囲が0.01以上0.77以下である。この色度範囲の発光色は、青色~緑色に相当する。
【0054】
[実施形態3:拡散部材]
実施形態3では、実施形態1および2に係る発光装置100に好適な拡散部材30について説明する。
図1に示すように、拡散部材30は、発光素子2の発光面側に配置して、当該発光素子2からの光を拡散するためのものである。拡散部材30は、特定波長(523nm)の発光素子2を用いた特性の測定結果から得られた色度差Δyにより規定される。
【0055】
測定では、主波長が523nmの発光素子2の発光面に拡散部材30を配置して当該発光素子2からの光を拡散部材30に通過させる。拡散部材30を通過した光について、実施形態1で詳述した指向色度の測定方法に沿って、2つの測定面(第1測定面Axz、第2測定面Ayz)の各々で指向色度の測定を行う。
指向色度は、外形中心(交点O)から発光観測方向(z方向)に伸びる、拡散部材30の光出射面33と直交する垂線L(図1および図3)を基準として、外形中心(交点O)における角度θが-60°以上60°以下の範囲で測定される。
【0056】
第1測定面Axzおよび第2測定面Ayzの各々の面上において、上記測定範囲で拡散部材30を通過した光の発光色の色度xおよび色度yを測定する。
y値については、θ=0°における発光色の色度を基準値yとし、各測定について基準値yからのずれ(色度差Δy)の最大値と最小値の差を算出することで拡散部材30の指向色度特性を評価する。
【0057】
拡散部材30を通過した光について、第1測定面Axzにおける色度差Δyの最大値と最小値との差(これをΔyとする)と、第2測定面Ayzにおける色度差Δyの最大値と最小値との差(これをΔyとする)とをそれぞれ求め、さらにΔyとΔyの平均値βを求める。
【0058】
また、拡散部材30に代えて、透明部材を通過した光についても、実施形態1で詳述した指向色度の測定方法に沿って、2つの測定面(第1測定面Axz、第2測定面Ayz)の各々で指向色度の測定を行う。
y値については、θ=0°における発光色の色度を基準値y’とし、各測定について基準値y’からのずれ(色度差Δy’)の最大値と最小値の差を算出することで、透明部材を通過した光の指向色度を評価する。
第1測定面Axzにおける色度差Δy’の最大値と最小値との差(これをΔy’とする)と、第2測定面Ayzにおける色度差Δyの最大値と最小値との差(これをΔy’とする)とをそれぞれ求め、さらにΔy’とΔy’の平均値β’を求める。
【0059】
実施形態3では、拡散部材30を通過した光の平均値βが、透明部材を通過した光の平均値β’の30%未満となるように制御する。これにより、発光装置100に適用したときに、照明ムラの少ない発光装置100を得ることができる。
【0060】
[実施形態1~3共通]
実施形態1および2の指向色度特性を実現可能な発光装置100、および実施形態3の拡散部材について、各構成要素の詳細を説明する。
【0061】
(基板)
基板1は、発光素子を配置させるための部材であり、発光素子2の電極と外部電極を電気的に接続するための配線を有する。基板1の主な材料としては、絶縁性材料であって、発光素子からの光および外光が透過しにくい材料が好ましい。例えば、アルミナや窒化アルミニウム等のセラミックス、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、BTレジン、ポリフタルアミド等の樹脂を挙げることができる。なお、樹脂を用いる場合には、必要に応じて、ガラス繊維、酸化ケイ素、酸化チタン、アルミナ等の無機フィラーを樹脂に混合してもよい。これにより、機械的強度の向上や熱膨張率の低減、光反射率の向上を図ることができる。配線は、上記絶縁性材料の上に、所定のパターンで形成され、配線の材料として、金、銀、銅およびアルミニウムから選択された少なくとも一種とすることができる。配線の形成方法として、金属メッキ、金属箔の配置による方法を適宜選択することができる。
【0062】
(発光素子)
発光素子2としては、発光ダイオードが好ましい。以下、実施形態1、2に係る発光装置、および実施形態3に係る拡散部材の特性測定のそれぞれに適した発光素子2について詳述する。
【0063】
(i)実施形態1
実施形態1では、主波長が500nm以上560nm以下の範囲内(緑色発光)にある発光素子2が好適である。この発光波長を有する発光素子2を用いることにより、緑色発光する発光装置が得られる。
【0064】
人間の目の光に対する感度(視感度)が高いと輝度が高く感じられるため、輝度ムラに基づいて照明ムラを評価し制御しようとする場合、視感度の高い波長域の発光では、正確な輝度測定が困難になるおそれがある。一方、色度xの測定感度は、波長依存性(色度依存性)がないため、視感度の高い発光であっても、正確な色度測定を行うことができる。
主波長が500nm以上560nm以下の範囲内にある緑色発光は視感度が高いため、緑色発光装置は、色度差Δxを指標として照明ムラを評価し制御する対象として特に好適である。
【0065】
具体的な発光素子2としては、例えば、窒化物半導体を用いた緑色発光素子を挙げることができる。半導体層の材料やその混晶度によって、発光波長を種々選択することができる。特に、上述した通り、主波長が500nm以上560nm以下の範囲内にある発光素子2が好適である。
【0066】
(ii)実施形態2
実施形態2では、主波長が420nm以上560nm以下の範囲内(青色発光~緑色発光)にある発光素子2が好適である。この発光波長を有する発光素子2を用いることにより、青色発光~緑色発光する発光装置が得られる。
【0067】
実施形態1と同様に、色度yの測定感度は、波長依存性(色度依存性)がないため、視感度に係わらず、正確な色度測定を行うことができる。
青色~緑色発光装置は、色度差Δyを指標として照明ムラを評価し制御する対象として適している。特に、主波長が420nm以上480nm以下の範囲内(青色発光)にある発光素子2は、Δyで評価することがより好ましい。よって、青色発光の発光素子2は、色度差Δyで評価する実施形態2に好適である。
【0068】
具体的な発光素子2としては、例えば、窒化物半導体を用いた青色~緑色発光素子を挙げることができる。半導体層の材料やその混晶度によって、発光波長を種々選択することができる。特に、上述した通り、主波長が420nm以上560nm以下(特に、420nm以上480nm以下)の範囲内にある発光素子2が好適である。
【0069】
(iii)実施形態3
実施形態3では、拡散部材30の特性を測定するため、特定波長(主波長が523nm(緑色発光))の発光素子2を用いる。主波長が523nm(緑色発光)の発光素子2を用いることにより、実施形態1のように色度差Δxを用いて特定した発光装置100にも、実施形態2のように色度差Δyを用いて特定した発光装置100にも適した拡散部材30を提供することができる。
【0070】
(拡散部材)
拡散部材30は、発光素子2からの光を散乱する部材である。拡散部材30の例としては、透光体の表面に拡散層を設けたものが挙げられる。なお、透光体の表面に凹凸を設けたもの、透光体の表面に光拡散フィルムを添付したもの等の部材も、拡散部材と同様の機能を発揮するため、本明細書では、それらも拡散部材に包含されるものとする。これらの拡散部材30は、発光装置100に、上述したような所望の光学的特性(指向色度)を付与することのできるように調整される。例えば、拡散層に添加する拡散材の量、透光体表面の凹凸の程度、光拡散フィルムの選定を適切に制御する。
【0071】
拡散部材30としては、特に、透光体4と、透光体4と発光素子2の発光面23との間に配置される拡散層3と、を含むものが好ましい。以下に、拡散層3と透光体4の好ましい形態について詳述する。
【0072】
(拡散層)
拡散層3は、例えば、樹脂31および樹脂31中に配置された粒子状の拡散材9を含む。樹脂31は、拡散材9のバインダーとして機能する。
拡散部材30に添加する拡散材9の濃度および粒径を適切に制御することにより、拡散部材30を用いた発光装置100の光学的特性(指向色度)を所望の範囲に制御することができる。
【0073】
拡散層3における拡散材9の濃度は、樹脂31を100質量%としたときに0.1質量%以上20質量%以下の範囲とすることが好ましく、所望の光の拡散効果を発揮しつつ、光束の低下を抑制することができる。拡散材9の濃度は、樹脂31を100質量%としたときに3.0質量%以上15.0質量%以下の範囲内にあることがより好ましく、5.0質量%以上10.0質量%以下の範囲内にあることが最も好ましい。
【0074】
実施形態1において、拡散部材が拡散材9を含む場合は、拡散材9の粒径は0.1μm以上2.0μm以下とする。
【0075】
「拡散材の濃度」および「拡散材の粒径」は以下の手法で求める。
拡散部材30に含まれる拡散材9の濃度および粒径は、拡散部材30の断面のSEM-EDX像を用いて求める。SEM-EDX測定では、拡散部材30の厚さ方向に切断した断面において、発光素子と対面する側から拡散部材30の厚さの約1/2の位置で、10μm×10μmの範囲(観察範囲)内を観察する。そして、観察範囲内において、拡散部材30に含まれる拡散材9を特定する。この観察範囲の寸法であれば、数十~100個程度の拡散材を計測可能で、かつ、一度の測定で取得可能である。
【0076】
以下の手順により、SEM-EDX像から、拡散材の粒径を求める。そして、拡散材の粒径から、拡散材の濃度を計算(概算)する。なお、拡散材の濃度は、製造時には容易に特定できるが、発光装置の状態では正確に測定することは困難であるので、後述の方法で概算したものを「拡散材の濃度」として取り扱う。
【0077】
(拡散材の粒径)
SEM-EDX像の観察範囲内に含まれるすべての拡散材9(ただし、観察範囲の境界線上にある粒子は対象外とする)について、各々の粒子における最大径(最大寸法)を測定する。その最大径の頻度分布(体積基準)から中心値(メディアン値)を求め、これを拡散材9の粒径とする。
【0078】
(拡散材の濃度)
拡散材の濃度を求める際に対象とする拡散部材について、観察領域の奥行き方向における厚みはごく薄いものとし、観察領域の奥行き方向に粒子の重なりはなく、拡散材の濃度を概算する場合には大きな影響を与えないことを前提として、観察領域においては、(拡散部材の全面積)≒(拡散部材の全体積)、および(拡散材の断面積)≒(拡散材の体積)であるとみなす。
【0079】
観察領域における拡散部材の全面積(10μm×10μm=100μm)を、拡散部材の全体積V1とする。
次に、上記の方法で求めた「拡散材の最大径」から、1個あたりの拡散材粒子の断面積(π×(最大径(μm)/2))を求める。そして、粒径を求める際に数えた拡散材粒子の個数と、算出した「1個あたりの拡散材粒子の断面積」を掛けることにより、観察範囲内に含まれる拡散材の全断面積を求める。求めた拡散材の全断面積を、拡散材の全体積V2とする。
そして、拡散部材の全体積V1から、拡散材の全体積V2を引くことにより、樹脂の体積V3を求める(V3=V1-V2)。
【0080】
拡散材の全体積V2に、拡散材の比重を掛けることにより、観察範囲内に含まれる拡散材の質量を概算する。また、樹脂の体積V3に、樹脂の比重を掛けることにより、観察範囲内に含まれる樹脂の質量を概算する。
それらの計算(概算)結果を用いて、樹脂100質量%に対する拡散材の濃度(質量%)を求める。
【0081】
拡散材9は、樹脂31との屈折率差が大きく、拡散材9と樹脂31との界面で光が反射されるものを指す。実施形態1で使用する拡散材9は、樹脂との屈折率差が0.2以上の材料からなる。これにより、光拡散性能を発揮する。樹脂31として、本技術分野で通常使用される透光性樹脂(例えばシリコーン樹脂またはエポキシ樹脂)を用いる場合、拡散材9として、酸化アルミニウム、酸化チタン、リン酸イットリウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリコーン微粒子、アクリル微粒子、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、リン酸カルシウムなどを1種で、または2種以上を混合して用いることができる。特に、酸化アルミニウム、酸化チタン、リン酸イットリウムからなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
基本的には、拡散層3は蛍光体を含んでいないが、発光装置100の所望の光学的特性を阻害しない範囲であれば、少量の蛍光体を含んでもよい。
【0082】
拡散層3の厚さは、好ましくは20~100μmであり、より好ましくは20~50μmである。
【0083】
拡散層3には、フィラーを含有させてもよい。実施形態1で使用するフィラーは、粒径が0.5μm以上40μm以下であることが好ましい。フィラーの粒径の測定は、拡散材の粒径の測定と同様に行う。
拡散層3にフィラーを添加すると、拡散層3内における拡散材9の凝集を低減することができる。また、粒径の大きなフィラーを樹脂31中に高充填することにより、温度変化による拡散層3の膨張収縮を抑え、発光装置100の信頼性向上に寄与することができる。また、樹脂31よりも熱伝導率が高いフィラーを用い、発光素子側に配置すれば、樹脂31中にこもった熱を発光素子2側へと伝熱して、拡散層3の放熱性を高めることができ、発光装置100の信頼性向上に寄与することができる。
【0084】
フィラーは、酸化ケイ素の粒子が好適である。特に、粒子の形状が球状であると、拡散層3内で緻密に充填することができるため、フィラー添加による効果が顕著になるので好ましい。酸化ケイ素の粒子としては、KYKLOS MSR-11(龍森社製の球状シリカ)が好適である。
【0085】
(透明部材)
透明部材は、実施形態2および3において、拡散部材30と置き換えて、比較用のデータを取得するために使用される。
透明部材は、拡散材9を実質的に含まない部材(拡散材の濃度が、実質的に0質量%の部材)である。透明部材は、樹脂、ガラス等の透明な材料から形成することができる。
透明部材は、拡散部材30と同様にフィラーを含有してもよい。
【0086】
樹脂からなる透明部材は、拡散材を含まない樹脂ペーストから製造することができる。例えば、後述する拡散部材30の製造方法と同様に、透光体4の1つの主面に、拡散材9を含まない樹脂ペーストを配置し、樹脂ペーストを硬化させることにより製造してもよい(図4図5(a)参照)。なお、樹脂ペーストが拡散材9を含まないため、透光体4の2つの主面の上下が入れ替わるように透光体4を反転させても、させなくてもよい。
【0087】
ガラスからなる透明部材は、例えば、透明な板ガラスから製造することができる。透明なガラス板からなる透明部材は、透光体4の1つの主面に、透明な接着剤を用いて接着する。接着剤としては、接着層5と同様の接着剤を使用してもよい。
【0088】
上述したように、透光体4の上に、別部材の透明部材を形成してもよいが、透光体4と透明部材とを一つの部材として形成してもよい。具体的には、透光体4と透明部材を同一の材料(例えば、同一の樹脂材料、または同一のガラス材料)から形成する場合、1枚の透明な樹脂板、または1枚の透明なガラス板を、所望の寸法に加工して、透光体4および透明部材の両方を兼ねる部材として使用してもよい。
【0089】
(透光体)
透光体4は、その表面に形成された拡散層3を支持する部材である。透光体4には、ガラスまたは樹脂のような透光性材料からなる板状体を用いることができる。ガラスとして、例えば、ホウ珪酸ガラス、石英ガラス、低アルカリガラス、およびアルミノシリケートガラスから選択することができる。また、樹脂として、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、およびポリイミド樹脂から選択することができる。透光体4の厚さは、製造工程における機械的強度が低下せず、拡散層3を支持するために十分な機械的強度を有する厚さであればよい。また、透光体4の厚さは、厚すぎると、発光装置の小型化に支障をきたすので、適切な厚さにすることが好ましい。透光体4の主面(拡散層3が形成されている主面)は、発光素子2の上面(発光面23)よりも大きいことが好ましい。透光体4の主面全体に拡散層3を配置させることにより、拡散層3が配置された透光体4を発光素子2の上面(発光面23)に配置させたとき、多少の実装精度のずれが発生しても、発光素子2の上面(発光面23)全体に拡散層3を確実に配置させるためである。
【0090】
(接着層)
拡散部材30は、発光素子2と拡散層3の間に接着層5を介して、発光素子2と接合することが好ましい。接着層5を用いる場合、接着層5を構成する接着剤は、発光素子2からの出射光を拡散層3へと導光でき、発光素子2と拡散層3を光学的に連結できる材料が好ましい。具体例としては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、およびポリイミド樹脂等の有機樹脂を挙げることができるが、シリコーン樹脂が好ましい。接着層5の厚さは、薄ければ薄いほど好ましい。接着層5の厚さを薄くすることにより、放熱性が向上する点と、接着層5を透過する光の損失が少なくなることで、発光装置からの光出力が向上する点からである。
【0091】
接着層5は、発光素子2と拡散層3の間のみならず、発光素子2の側面にも配置されることが好ましい。発光素子2の側面に配置された接着層5の外側の面は、発光素子2の側面からの出射光を反射して、拡散層3内に入射させて、発光装置100の光取出し効率を向上させることができるからである。特に、図1に示すように、発光素子2の側面においては、鉛直方向の断面視で、発光素子2の側面と該発光素子の上面からはみ出した拡散層3の、発光素子側の面から形成される隅部に接着剤が延在し、その延在した接着層5の厚さが発光素子2の下部方向に向かって小さくなる断面三角形状であることが好ましい。さらに、その断面三角形状の接着層5に接するように被覆部材6の一部が配置され、その被覆部材6の一部がテーパー状になっていることが好ましい。これにより、発光素子2の側面からの出射光が、その断面三角形状の接着層とテーパー状の被覆部材6との界面にて反射される。さらに、発光素子2の上面よりも拡散層3の面積が大きいため発光素子2の上面から外へはみ出した拡散層3の外周部にも入射し易くなり、発光装置100の発光輝度をさらに向上させることができる。このような接着層5のはみ出しは、拡散部材30を、発光素子2の上面に接着する接着剤の量を調整して、発光素子2の上面との接着に必要な接着剤量以外の余剰分を発光素子2の側面にはみ出させることによって形成することもできる。
【0092】
また、拡散層3の樹脂31と、接着層5の接着剤の主な材料を同じ種類(好ましくは、同じ材料)に揃えることが好ましい。例えば、拡散層3の樹脂31にシリコーン樹脂を用いる場合には、接着層5の接着剤にもシリコーン樹脂を用いることが好ましい。拡散層3と接着層5の屈折率差を小さくすることができるので、接着層5から拡散層3への入射光を増加させることが可能となる。
【0093】
(半導体素子)
半導体素子8は、発光素子2とは別に、その発光素子2に隣接して基板1に配置してよい。このような半導体素子8として、発光装置100の発光を目的としない別の発光素子の他、発光素子を制御するためのトランジスタや、以下に説明する保護素子を挙げることができる。保護素子は、発光素子2を過大な電圧印加による素子破壊や性能劣化から保護するための素子である。保護素子は、具体的には、規定電圧以上の電圧が印加されると通電状態になるツェナーダイオードで構成される。保護素子は、発光素子2と同様にp電極とn電極とを有する半導体素子8であり、発光素子2のp電極とn電極に対して逆並列となるように、すなわち、発光素子2のn電極およびp電極が、保護素子のp電極およびn電極とそれぞれに導電部材7より電気的に接続されている。保護素子の場合も、発光素子2の場合と同様に、各導電部材7の上に保護素子の各電極を対向させ、熱、超音波および荷重を印加することにより、導電部材7を介して保護素子の電極を基板1の配線と接合することができる。
【0094】
なお、基板1に配置した際の半導体素子8の高さは、発光素子2と拡散層3および透光体4を合わせた高さよりも低くすることが好ましい。被覆部材6にて半導体素子8を被覆し易くすることができるからである。
【0095】
(被覆部材)
被覆部材6は、発光装置100の正面輝度を高めるため、発光素子2の側面の少なくとも一部と拡散部材30の側面の少なくとも一部を覆うように必要に応じて配置される。被覆部材6を用いる場合、その材料としては、絶縁性材料を用いることが好ましい。また、ある程度の強度を確保するために、例えば熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等を用いることができる。より具体的には、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、BTレジン、PPAまたはフェノール樹脂などが挙げられる。また、これらの母体となる樹脂に、発光素子2からの光を吸収しにくく、かつ母体となる樹脂に対する屈折率差の大きい材料(例えば、上述したような拡散層3に添加される拡散材と同じ材料。)の粉末を分散することで、効率よく光を反射させることができる。
【0096】
被覆部材6を形成する材料の充填は、例えば、固定された基板1の上側において、基板1に対して任意に移動(可動)させることができる樹脂吐出装置を用いて行うことができる。すなわち、例えば樹脂が充填された樹脂吐出装置をその先端のノズルから液体樹脂を吐出しながら移動させることで、発光素子2と半導体素子8の近傍に被覆部材6の材料を注入する。樹脂吐出装置の移動速度は、用いる樹脂の粘度や温度等に応じて適宜調整することができる。吐出量の調整は、吐出時にかかる圧力等を一定にするなどにより調整することができる。被覆部材6の材料の粘度は、室温(20±5℃)で0.35~13.0Pa・s、好ましくは3.0~5.5Pa・sである。
【0097】
(導電部材)
導電部材7を用いる場合、導電部材7としては、バンプを用いることができ、バンプの材料としては、Auあるいはその合金、他の導電部材7として、共晶ハンダ(Au-Sn)、Pb-Sn、鉛フリーハンダ等を用いることができる。なお、図2では、導電部材7にバンプを用いた例を示しているが、導電部材7はバンプに限定されず、例えば導電ペーストであってもよい。
【0098】
(アンダフィル)
アンダフィルは、基板1に配置された発光素子2、発光素子2とは別の半導体素子8、導電部材7等を、塵芥、水分、外部からの衝撃等から保護するための部材である。アンダフィルは、基板1と発光素子2および半導体素子8との隙間や導電部材7と別の導電部材7の隙間に配置することができる。
【0099】
アンダフィルの材料としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂等を挙げることができる。また、このような材料に加えて、必要に応じて着色剤、拡散材、フィラー、蛍光体等を含有させることもできる。
【0100】
[実施形態4:発光装置および拡散部材の製造方法]
実施形態1および2に係る発光装置100、ならびに実施形態3に係る拡散部材の製造方法の一例を示す。
【0101】
(拡散部材30の製造方法)
図4および図5(a)~図5(c)は、拡散部材30の製造方法を示す模式断面図である。
透光体4の1つの主面に拡散材9と樹脂材料とを含む樹脂ペースト3Aを配置する。
【0102】
拡散層3は、透光体4の表面に例えば、印刷法により形成される。拡散層3の形成方法は印刷法に限定されるものではないが、以下に印刷法により形成方法を例示する。
拡散材9、樹脂材料よび溶剤を含む樹脂ペースト3Aを調製し、その樹脂ペースト3Aを透光体4の表面(主面)に塗布する。樹脂材料には、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびポリイミド樹脂等の有機樹脂を用いることができる。また樹脂ペースト3Aは、必要に応じて、フィラーを含んでよい。樹脂ペースト3Aの塗布は、例えば、透光体4の上に配置したスクリーン版の上に、樹脂ペースト3Aを供給し、その後、樹脂ペースト3Aがスクリーン版を透過するようにスキージを移動させ、透光体4の上に所定の厚さの樹脂ペースト3Aを塗布することにより行ってよい。これにより均一な厚さで樹脂ペースト3Aを塗布できる。
その後、樹脂ペースト3Aの樹脂材料を硬化させ、拡散層3を得る。樹脂材料の硬化は、樹脂材料の種類に応じて、乾燥、加熱または紫外線照射等の適切な方法により行う。
【0103】
なお、樹脂ペースト3Aを硬化させる前に、図4に示すように、透光体4の1つの主面上に樹脂ペースト3Aを塗布後、図5(a)に示すように、透光体4の樹脂ペースト3Aを塗布した主面を下向きにしてもよい。すなわち、透光体4の2つの主面の上下が入れ替わるように透光体4を反転させてもよい。そして、図5(b)に示すように、樹脂ペースト3A内において透光体4と接する面と反対側に拡散材9を沈降させる。この沈降の方法として、拡散材9にかかる重力を利用した自然沈降法を挙げることができる。これにより、透光体4の発光素子2と対向する主面に形成される拡散層3中の拡散材9の濃度を当該主面に垂直な方向では発光素子2に近い側の方を透光体に近い側より高くすることができる。そして、樹脂ペースト3A内で所望の拡散材9の分布が得られた状態(好ましくは、拡散材9が沈降しきった状態)で、樹脂ペースト3Aの樹脂材料を硬化させ、拡散層3を得る。これにより、透光体の主面に平行な方向では略同じ(略均一)とすることができる。
【0104】
本形態の拡散部材30は、上述した方法により得ることができる。しかし、このような方法により透光体4の上に形成した拡散層3は、透光体4の拡散層3を形成した主面に垂直な方向から平面視して、拡散層3の外周付近(以下、「周縁部」と呼ぶ。)では、拡散材9の濃度分布が所望の状態となっていない場合がある。特に、拡散層3の形成方法に印刷法を用いた場合には、図4に示されるように拡散層3が周縁部に近づくほど薄くなることがあり、周縁部から離れた部位と周縁部とで拡散材9の分布状態が異なり、拡散材の粒子が所望の位置から外れた位置に配置されることがある。このような問題を解消するため、図5(c)の切断線12に沿って、拡散層3の周縁部を除く内側の領域(拡散層3の周縁部および透光体4の周縁部を除く内側の領域)から拡散材9の分布が略同じ領域を選択して拡散層3および透光体4を所定形状に切り出す工程を更に含むことが好ましい。この切り出し工程により、拡散層3における拡散材9の濃度が、透光体の主面に平行な方向では略同じ分布の拡散部材を得ることができる。より好ましくは、拡散材9の量や上述した沈降の時間を調整し、さらに拡散部材として切り出す部位を選択することにより、図1に示されるように、切り出し工程により露出された拡散層の側面から、その側面に向かい合う側面までのスペースに拡散材9の粒子が隈なく並んだ状態にすることもできる。
【0105】
(拡散部材30の製造方法の変形例)
図6は、拡散部材30の製造方法の変形例を示す模式平面図である。図6に示す方法では、多くの拡散部材30をより効率的に製造できる。なお、特段の説明のない製造条件については、上述した条件を用いてよい。
透光体4の1つの主面に樹脂ペースト3Aを塗布する。次いで、透光体4の樹脂ペースト3Aを塗布した主面を下向きにして、樹脂ペースト3A内において透光体4と接する面と反対側に拡散材9を沈降させてもよい。次に、樹脂ペースト3Aの樹脂材料を硬化させ、拡散層3を得る。
その後、図6に示す切断線12に沿って切断する個片化工程を行うことで、所定形状の拡散部材30を複数得ることができる。
【0106】
なお、個片化工程において、好ましくは、拡散層3の周縁部13が個片化後の拡散部材30に含まれないように、拡散層3の周縁部13を除く内側の領域から個々の拡散部材30(拡散層3および透光体4)を切り出し、所定形状に個片化することが好ましい。また、切り出された複数の拡散部材30のうち、拡散層中の拡散材の分布が略同じ拡散部材30を選択して、その選択された拡散部材30を使って複数の発光装置100を製造することにより、これらの発光装置100ごとの光学的特性を均一化させることもできる。
【0107】
(発光装置100の製造方法)
このようにして得られた拡散部材30を用いて発光装置100を製造する方法を以下に示す。
発光装置100を製造する方法は、発光素子2を準備する工程と、発光素子2に拡散部材30を配置する工程と、を含む。
【0108】
発光素子2を準備する工程は、例えば、正電極と負電極とに絶縁分離された配線11が形成されている基板1に発光素子2および必要に応じて半導体素子8をフリップチップ実装することにより行う。
【0109】
発光素子2に拡散部材30を配置する工程は、例えば、発光素子2の上面(発光面23)に、接着層5を介して拡散部材30を接合する。接着層5は、拡散層3と発光素子2とを接着している。さらに、拡散層3は、発光素子2の上面(発光面23)の面積よりも大きく形成されてよく、この場合、拡散層3は、発光素子上面に覆われていない露出部を有して発光素子2に接合される。そのため、発光素子2の上面に拡散層3を配置する際に、発光素子2の上面からはみ出した接着剤は、発光素子2の側面と拡散層の露出部とに付着して、発光素子2の側面に接着層5のはみ出し部分を形成する。発光素子2の側面の接着層5は、鉛直方向の断面視で、層の厚さが発光素子2の拡散層3とは反対方向に向かって小さくなる断面三角形状を有してよい。これにより、発光素子2の側面からの出射光は、側面の接着層5で広い範囲の角度で反射されるため、拡散層3の外周部にも入射し易くなり、発光装置100の輝度をさらに向上させることができる。また、製造工程において、接着前の接着剤は、拡散層3に塗布することもできるし、発光素子2の上面に塗布することもできる。さらに、その際、接着剤の一部を、発光素子2の側面と拡散層3の、発光素子2側の面とからなる隅部に延在させることが好ましい。発光素子2の側面にはみ出した接着層5の一部を断面三角形状とするためである。
【0110】
必要に応じて、被覆部材6を配置してよい。発光素子2の側面および拡散部材30の側面に沿って被覆部材6を配置する。被覆部材6は、発光素子2から出射された光を反射させるためのものである。被覆部材6は、半導体素子8全体を覆ってよい。
基板1と発光素子2および半導体素子8の隙間や導電部材7と別の導電部材7の隙間には、アンダフィルが充填されてもよい。
【実施例0111】
(1)実施例1~8:緑色発光装置
実施例1~8として、図1図2に示す発光装置100の測定用試料を以下のように作製した。
発光素子2及び半導体素子8を基板1に載置した。具体的には、Auからなる導電部材7を用いて、サファイア基板上に半導体層が積層されて形成された、厚みが約0.15mmで、平面形状が約1.0mm四方の略正方形であり、主波長が523nmである発光素子2を、サファイア基板側が発光面となるように発光素子2及び半導体素子8を一列に配置してフリップチップ実装した。Auからなるバンプを予め設けた半導体素子8を基板1の配線11にフリップチップ実装した。
【0112】
次に、透光体4の表面、すなわち一方の主面全体に拡散層3を印刷により塗布した。透光体4の材料には、ホウ珪酸ガラスを板状に成形したものを用いた。透光体4の平面形状は、約1.15mm四方の略正方形であり、発光素子2の平面形状よりも、縦と横に約0.15mm大きく、厚みが約0.145mmである。拡散層3が形成された透光体では、拡散材として中心粒径0.4μmの酸化アルミナを用い、樹脂31としてシリコーン樹脂を用いて、板状の透光体4の一方の主面に印刷して、適切な大きさに切断して形成した。
【0113】
この拡散層3中の拡散材の濃度を、表1に示す。発光素子2の発光面23と向かい合う拡散層の平面形状は、透光体4の平面形状と同じく、約1.15mm四方の略正方形であり、厚さは約35μmであった。透光体4の厚さは約145μmで、透光体4と拡散層3の厚みは合わせて約180μmであった。
【0114】
次に、発光素子2の発光面23に、接着剤としてシリコーン樹脂を配置して、透光体4に形成させた拡散層3と発光素子2のサファイア基板とを接着させた。拡散層3の、発光素子側の面積は、発光素子2の上面の面積よりも大きく形成されており、拡散層3は、接合面から露出された露出面を有するようにして接合された。
【0115】
次に、発光素子2、拡散層3及び透光体4、並びに半導体素子8の周囲に被覆部材6を充填した。発光素子2、拡散層3及び透光体4の側面に沿って被覆部材6を配置するとともに、半導体素子8を被覆部材6の中に完全に埋没させた。被覆部材6の樹脂はジメチルシリコーン樹脂を使用し、光反射性材料に平均粒径が0.28μmの酸化チタン粒子を用いた。酸化チタン粒子は樹脂に対して60質量%含有させた。被覆部材6の厚みは発光素子2の側面から発光装置100の外部までの垂直な方向への厚みであり、半導体素子8が存在する方向の厚み以外は同一の厚みで最も薄い部分となり、厚みは225μmであった。このような工程により、図1、2に示されるような発光装置100を作製した。
【0116】
[色度および主波長]
発光装置の測定用試料について、マルチチャンネル分光器と積分球を組み合わせた光計測システムで色度および主波長を測定した。その評価結果を表1に示す。
【0117】
[指向色度]
また各測定用試料の発光色について、測定方向との関係(角度依存性)を調べた。指向色度(配光色度)の測定に際しては、各比較例及び実施例の発光装置に1000mAの電流を通電して発光させて、ゴニオメータを使用してLEDを回転させることで測定方向を変えながら、CIE(国際照明委員会)が推奨している「平均LED光度」測定であるCondition Bの条件で、分光分布測定装置を用いて発光色の測定を行った。Axz面およびAyz面の両方の測定面で測定を行った。発光色の評価には、CIE表色系に基づくx値、y値を用いた。θ=0°(垂線)における発光色の色度x、yをそれぞれ基準値x、yとし、各測定面おいてθ=-60°~60°の範囲における色度測定を行った。
【0118】
色度xについては、基準値xからのずれ(色度差Δx)の最大値と最小値の差Δx、Δxを算出し、それらの平均値αから発光装置の指向色度を評価した。評価結果を表1に示す。また、色度測定の結果の例として、Axz面における指向色度のグラフを図7に示す。
色度yについては、基準値yからのずれ(色度差Δy)の最大値と最小値の差Δy、Δyを算出し、それらの平均値βから発光装置の指向色度を評価した。評価結果を表2に示す。また、色度測定の結果の例として、Axz面における指向色度のグラフを図8に示す。
【0119】
[照明ムラ]
照明ムラについて、測定用試料からの発光が照射された平面に、発光素子の電極の形状が投影されるか否かを視認により確認した。測定用試料からの発光が照射された平面の写真を図9に示す。発光素子の電極の形状が投影されることによる照明ムラが認識できた場合を「×」、認識できなかった(照明ムラがなかった)場合を「○」とし、表1、2に記載した。
【0120】
【表1】
【0121】
【表2】
【0122】
(i)試料No.1~8を、色度xに基づいて評価する。
試料No.1~3の測定用試料は、拡散部材が拡散材を含んでいない(つまり、透明部材である)、または拡散材の量が適量ではないため、Δxの最大値と最小値との差Δx、Δxの平均値αが0.0024以上となり、照明ムラが生じていた。
試料No.4~8の測定用試料は、拡散材の量が適量であったため、Δxの最大値と最小値との差Δx、Δxの平均値が0.0024未満となり、照明ムラは確認されなかった。
【0123】
(ii)試料No.1~8を、色度yに基づいて評価する。
試料No.2~3の測定用試料では、Δyの最大値と最小値との差Δy、Δyの平均値βは、試料No.1の測定用試料(拡散部材の代わりに透明部材を備えた測定用試料)のΔyの最大値と最小値との差Δy、Δyの平均値β(=平均値β’)の30%以上であった。
試料No.1~3の測定用試料は、平均値βが0.0010以上であった。
また、試料No.1~3の測定用試料は、平均値βが式(1)を満たさなかった。つまり、平均値βが(0.0006y+0.0006)以上であった。

β<0.0006y+0.0006 (1)

そして、試料No.1~3の測定用試料では、照明ムラが生じていた。
【0124】
試料No.4~8の測定用試料は、平均値βが、試料No.1の測定用試料の平均値β(=平均値β’)の30%未満であった。
試料No.4~8の測定用試料は、平均値βが0.0010未満であった。
また、試料No.4~8の測定用試料は、平均値βが上記の式(1)を満たしていた。
そして、試料No.4~8の測定用試料では、照明ムラは確認されなかった。
【0125】
(2)実施例9~13:青色発光装置
主波長が470nmである発光素子2を用いる以外は、試料No.1~7と同じ条件で発光装置を作製し、試料No.9~15の測定用試料とした。
試料No.1~7と同様に、試料No.9~15の測定用試料の色度および主波長、指向色度、照明ムラを測定した。
試料No.9~15の測定用試料の測定結果を、表3、図10~11に示す。
【0126】
【表3】
【0127】
(i)試料No.9~15を、色度yに基づいて評価する。
試料No.9~11の測定用試料は、拡散部材が拡散材を含んでいない(つまり、透明部材である)、または拡散材の量が適量ではないため、照明ムラが生じていた。
試料No.9~11の測定用試料では、Δyの最大値と最小値との差Δy、Δyの平均値βは、試料No.9の測定用試料(拡散部材の代わりに透明部材を備えた測定用試料)のΔyの最大値と最小値との差Δy、Δyの平均値β(=平均値β’)の30%以上であった。
試料No.9~11の測定用試料は、平均値βが0.0006以上であった。
また、試料No.9~11の測定用試料は、平均値βが式(1)を満たさなかった。つまり、平均値β’、βが(0.0006y+0.0006)以上であった。

β<0.0006y+0.0006 (1)
【0128】
試料No.12~15の測定用試料は、拡散材の量が適量であったため、照明ムラは確認されなかった。
試料No.12~15の測定用試料は、平均値βが、試料No.9の測定用試料の平均値β(=平均値β’)の30%未満であった。
試料No.12~15の測定用試料は、平均値βが0.0006未満であった。
また、試料No. 12~15の測定用試料は、平均値βが上記の式(1)を満たしていた。
【0129】
本明細書の開示内容は、以下の実施形態を含む。
[項1]
基板と、
前記基板に形成された配線と、
前記配線と電気的に接続された電極を有する発光素子と、
前記電極が形成された面とは反対側の前記発光素子の発光面側に配置された拡散部材と、を含む発光装置であって、
前記発光素子の主波長が500nm以上560nm以下の範囲内にあり、
前記拡散部材を平面視したときに、前記拡散部材の1つの辺と平行な第1の方向と、該第1の方向と直交する第2の方向とし、
前記拡散部材を平面視したときの外形中心を通り、前記第1の方向と平行で、且つ前記拡散部材の光出射面と垂直な第1測定面と、前記外形中心を通り、前記第2の方向と平行で、且つ前記拡散部材の前記光出射面と垂直な第2測定面と、の各々において、前記外形中心を通り前記光出射面と直交して発光観測方向に伸びる垂線を基準とし、前記外形中心における角度が-60°以上60°以下の範囲において、前記発光装置の発光色の色度xおよび色度yを測定したとき、前記第1測定面で測定した前記色度xの色度差Δxの最大値と最小値の差と、前記第2測定面で測定した前記色度xの色度差Δxの最大値と最小値の差との平均値αが0.0024未満である、発光装置。
[項2]
基板と、
前記基板に形成された配線と、
前記配線と電気的に接続された電極を有する発光素子と、
前記電極が形成された面とは反対側の前記発光素子の発光面側に配置された拡散部材と、を含む発光装置であって、
前記発光素子の主波長が420nm以上560nm以下の範囲内にあり、
前記拡散部材を平面視したときに、前記拡散部材の1つの辺と平行な第1の方向と、該第1の方向と直交する第2の方向とし、
前記拡散部材を平面視したときの外形中心を通り、前記第1の方向と平行で、且つ前記拡散部材の光出射面と垂直な第1測定面と、前記外形中心を通り、前記第2の方向と平行で、且つ前記拡散部材の前記光出射面と垂直な第2測定面と、の各々において、前記外形中心を通り前記光出射面と直交して発光観測方向に伸びる垂線を基準とし、前記外形中心における角度が-60°以上60°以下の範囲において、前記発光装置の発光色の色度xおよび色度yを測定したとき、前記第1測定面で測定した前記色度yの色度差Δyの最大値と最小値の差と、前記第2測定面で測定した前記色度yの色度差Δyの最大値と最小値の差との平均値βが、前記拡散部材に代えて透明部材を備えた発光装置の発光色を測定して求めた当該平均値β’の30%未満である、発光装置。
[項3]
基板と、
前記基板に形成された配線と、
前記配線と電気的に接続された電極を有する発光素子と、
前記電極が形成された面とは反対側の前記発光素子の発光面側に配置された拡散部材と、を含む発光装置であって、
前記発光素子の主波長が420nm以上560nm以下の範囲内にあり、
前記拡散部材を平面視したときに、前記拡散部材の1つの辺と平行な第1の方向と、該第1の方向と直交する第2の方向とし、
前記拡散部材を平面視したときの外形中心を通り、前記第1の方向と平行で、且つ前記拡散部材の光出射面と垂直な第1測定面と、前記外形中心を通り、前記第2の方向と平行で、且つ前記拡散部材の前記光出射面と垂直な第2測定面と、の各々において、前記外形中心を通り前記光出射面と直交して発光観測方向に伸びる垂線を基準とし、前記外形中心における角度が-60°以上60°以下の範囲において、前記発光装置の発光色の色度xおよび色度yを測定したとき、前記第1測定面で測定した前記色度yの色度差Δyの最大値と最小値の差と、前記第2測定面で測定した前記色度yの色度差Δyの最大値と最小値の差との平均値βが、以下の式(1)を満たす、発光装置。

β<0.0006y+0.0006 (1)

ここで、yは、前記外形中心を通り前記光出射面と直交して発光観測方向に伸びる前記垂線上で測定した、前記発光装置の前記発光色の前記色度yである。

[項4]
基板と、
前記基板に形成された配線と、
前記配線と電気的に接続された電極を有する発光素子と、
前記電極が形成された面とは反対側の前記発光素子の発光面側に配置された拡散部材と、を含む発光装置であって、
前記発光素子の主波長が420nm以上480nm以下の範囲内にあり、
前記拡散部材を平面視したときに、前記拡散部材の1つの辺と平行な第1の方向と、該第1の方向と直交する第2の方向とし、
前記拡散部材を平面視したときの外形中心を通り、前記第1の方向と平行で、且つ前記拡散部材の光出射面と垂直な第1測定面と、前記外形中心を通り、前記第2の方向と平行で、且つ前記拡散部材の前記光出射面と垂直な第2測定面と、の各々において、前記外形中心を通り前記光出射面と直交して発光観測方向に伸びる垂線を基準とし、前記外形中心における角度が-60°以上60°以下の範囲において、前記発光装置の発光色の色度xおよび色度yを測定したとき、前記第1測定面で測定した前記色度yの色度差Δyの最大値と最小値の差と、前記第2測定面で測定した前記色度yの色度差Δyの最大値と最小値の差との平均値βが0.0006未満である、発光装置。
[項5]
前記第1測定面および前記第2測定面の各々での測定において、前記色度xの範囲が0.04以上0.25以下であり、前記色度yの範囲が0.45以上0.77以下である、項1に記載の発光装置。
[項6]
前記発光素子の主波長が420nm以上480nm以下の範囲内にある、項2または3に記載の発光装置。
[項7]
前記第1測定面および前記第2測定面の各々での測定において、前記色度xの範囲が0.04以上0.25以下であり、前記色度yの範囲が0.01以上0.77以下である、項2~4および6のいずれか1項に記載の発光装置。
[項8]
前記拡散部材は、透光体と、前記透光体と前記発光素子の発光面との間に配置される拡散層と、を含み、
前記拡散層は、樹脂および前記樹脂中に配置された粒子状の拡散材を含む、
項1~7のいずれか1項に記載の発光装置。
[項9]
前記拡散層における前記拡散材の濃度は、前記樹脂を100質量%として0.1質量%以上20質量%以下の範囲内にあり、
前記拡散材の粒径が0.1μm以上2.0μm以下の範囲内にある、請求項8に記載の発光装置。
[項10]
前記拡散材は、酸化アルミニウム、酸化チタン、リン酸イットリウムからなる群から選択される1種以上である、項8または9に記載の発光装置。
[項11]
前記拡散層は、さらにフィラーを含む、項8~10のいずれか1項に記載の発光装置。
[項12]
前記フィラーは、酸化ケイ素の粒子である、項11に記載の発光装置。
[項13]
発光素子の発光面側に配置して、当該発光素子からの光を拡散するための拡散部材であって、
前記拡散部材を平面視したときに、前記拡散部材の1つの辺と平行な第1の方向と、該第1の方向と直交する第2の方向とし、
主波長が523nmの発光素子の発光面に前記拡散部材を配置して当該発光素子からの光を当該拡散部材に通過させ、前記拡散部材を平面視したときの外形中心を通り、前記第1の方向と平行で、且つ前記拡散部材の光出射面と垂直な第1測定面と、前記外形中心を通り、前記第2の方向と平行で、且つ前記拡散部材の前記光出射面と垂直な第2測定面と、の各々において、前記外形中心を通り前記光出射面と直交して発光観測方向に伸びる垂線を基準とし、前記外形中心における角度が-60°以上60°以下の範囲において、前記拡散部材を通過した前記光の発光色の色度xおよび色度yを測定したとき、前記第1測定面で測定した前記色度yの色度差Δyの最大値と最小値の差と、前記第2測定面で測定した前記色度yの色度差Δyの最大値と最小値の差との平均値βが、前記拡散部材に代えて透明部材を前記発光素子の発光面に配置し、該透明部材を通過した前記発光素子からの前記光の発光色を測定して求めた前記平均値β’の30%未満である、拡散部材。
[項14]
前記拡散部材は、透光体と、前記透光体と前記発光素子の発光面との間に配置される拡散層と、を含み、
前記拡散層は、樹脂および前記樹脂中に配置された粒子状の拡散材を含む、
項13に記載の拡散部材。
[項15]
前記拡散層における前記拡散材の濃度は、前記樹脂を100質量%として0.1質量%以上20質量%以下の範囲内にあり、
前記拡散材の粒径が0.1μm以上2.0μm以下の範囲内にある、項14に記載の拡散部材。
[項16]
前記拡散材は、酸化アルミニウム、酸化チタン、リン酸イットリウムからなる群から選択される1種以上である、項14または15に記載の拡散部材。
[項17]
前記拡散層は、さらにフィラーを含む、項14~16のいずれか1項に記載の拡散部材。
[項18]
前記フィラーは、酸化ケイ素の粒子である、項17に記載の拡散部材。
【符号の説明】
【0130】
1 基板
2 発光素子
21 発光素子の電極
23 発光素子の発光面
30 拡散部材
30a 第1の辺
30b 第2の辺
3 拡散層
31 拡散層の樹脂
33 拡散部材の光出射面
3A 樹脂ペースト
4 透光体
5 接着層
6 被覆部材
7 導電部材
8 半導体素子
9 拡散材
11 配線
12 切断線
13 拡散層の周縁部
100 発光装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2024-03-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に形成された配線と、
前記配線と電気的に接続された電極を有する発光素子と、
前記電極が形成された面とは反対側の前記発光素子の発光面側に配置された拡散部材と、を含み、
波長変換部材を含まない発光装置であって、
前記発光素子の主波長が500nm以上560nm以下の範囲内にあり、
前記拡散部材を平面視したときに、前記拡散部材の1つの辺と平行な第1の方向と、該第1の方向と直交する第2の方向とし、
前記拡散部材を平面視したときの外形中心を通り、前記第1の方向と平行で、且つ前記拡散部材の光出射面と垂直な第1測定面と、前記外形中心を通り、前記第2の方向と平行で、且つ前記拡散部材の前記光出射面と垂直な第2測定面と、の各々において、前記外形中心を通り前記光出射面と直交して発光観測方向に伸びる垂線を基準とし、前記外形中心における角度が-60°以上60°以下の範囲において、前記発光装置の発光色の色度xおよび色度yを測定したとき、前記第1測定面で測定した前記色度xの色度差Δxの最大値と最小値の差と、前記第2測定面で測定した前記色度xの色度差Δxの最大値と最小値の差との平均値αが0.0024未満である、発光装置。
【請求項2】
基板と、
前記基板に形成された配線と、
前記配線と電気的に接続された電極を有する発光素子と、
前記電極が形成された面とは反対側の前記発光素子の発光面側に配置された拡散部材と、を含み、
波長変換部材を含まない発光装置であって、
前記発光素子の主波長が420nm以上560nm以下の範囲内にあり、
前記拡散部材を平面視したときに、前記拡散部材の1つの辺と平行な第1の方向と、該第1の方向と直交する第2の方向とし、
前記拡散部材を平面視したときの外形中心を通り、前記第1の方向と平行で、且つ前記拡散部材の光出射面と垂直な第1測定面と、前記外形中心を通り、前記第2の方向と平行で、且つ前記拡散部材の前記光出射面と垂直な第2測定面と、の各々において、前記外形中心を通り前記光出射面と直交して発光観測方向に伸びる垂線を基準とし、前記外形中心における角度が-60°以上60°以下の範囲において、前記発光装置の発光色の色度xおよび色度yを測定したとき、前記第1測定面で測定した前記色度yの色度差Δyの最大値と最小値の差と、前記第2測定面で測定した前記色度yの色度差Δyの最大値と最小値の差との平均値βが、以下の式(1)を満たす、発光装置。

β<0.0006y+0.0006 (1)

ここで、yは、前記外形中心を通り前記光出射面と直交して発光観測方向に伸びる前記垂線上で測定した、前記発光装置の前記発光色の前記色度yである。
【請求項3】
基板と、
前記基板に形成された配線と、
前記配線と電気的に接続された電極を有する発光素子と、
前記電極が形成された面とは反対側の前記発光素子の発光面側に配置された拡散部材と、を含み、
波長変換部材を含まない発光装置であって、
前記発光素子の主波長が420nm以上480nm以下の範囲内にあり、
前記拡散部材を平面視したときに、前記拡散部材の1つの辺と平行な第1の方向と、該第1の方向と直交する第2の方向とし、
前記拡散部材を平面視したときの外形中心を通り、前記第1の方向と平行で、且つ前記拡散部材の光出射面と垂直な第1測定面と、前記外形中心を通り、前記第2の方向と平行で、且つ前記拡散部材の前記光出射面と垂直な第2測定面と、の各々において、前記外形中心を通り前記光出射面と直交して発光観測方向に伸びる垂線を基準とし、前記外形中心における角度が-60°以上60°以下の範囲において、前記発光装置の発光色の色度xおよび色度yを測定したとき、前記第1測定面で測定した前記色度yの色度差Δyの最大値と最小値の差と、前記第2測定面で測定した前記色度yの色度差Δyの最大値と最小値の差との平均値βが0.0006未満である、発光装置。
【請求項4】
前記第1測定面および前記第2測定面の各々での測定において、前記色度xの範囲が0.04以上0.25以下であり、前記色度yの範囲が0.45以上0.77以下である、請求項1に記載の発光装置。
【請求項5】
前記発光素子の主波長が420nm以上480nm以下の範囲内にある、請求項2に記載の発光装置。
【請求項6】
前記第1測定面および前記第2測定面の各々での測定において、前記色度xの範囲が0.04以上0.25以下であり、前記色度yの範囲が0.01以上0.77以下である、請求項2または3に記載の発光装置。
【請求項7】
前記拡散部材は、透光体と、前記透光体と前記発光素子の発光面との間に配置される拡散層と、を含み、
前記拡散層は、樹脂および前記樹脂中に配置された粒子状の拡散材を含む、
請求項1~のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記拡散層における前記拡散材の濃度は、前記樹脂を100質量%として0.1質量%以上20質量%以下の範囲内にあり、
前記拡散材の粒径が0.1μm以上2.0μm以下の範囲内にある、請求項に記載の発光装置。
【請求項9】
前記拡散材は、酸化アルミニウム、酸化チタン、リン酸イットリウムからなる群から選択される1種以上である、請求項に記載の発光装置。
【請求項10】
前記拡散層は、さらにフィラーを含む、請求項に記載の発光装置。
【請求項11】
前記フィラーは、酸化ケイ素の粒子である、請求項10に記載の発光装置。