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特開2024-39089点検記録管理システム、点検記録管理方法
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  • 特開-点検記録管理システム、点検記録管理方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039089
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】点検記録管理システム、点検記録管理方法
(51)【国際特許分類】
   B66C 15/00 20060101AFI20240314BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
B66C15/00 A
G05B23/02 301V
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143375
(22)【出願日】2022-09-09
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.THUNDERBOLT
(71)【出願人】
【識別番号】000005902
【氏名又は名称】株式会社三井E&S
(72)【発明者】
【氏名】小濱 大輔
(72)【発明者】
【氏名】和田 定弘
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 俊和
【テーマコード(参考)】
3C223
3F204
【Fターム(参考)】
3C223AA15
3C223AA22
3C223BA03
3C223FF09
3C223FF12
3C223FF26
3C223FF46
3C223FF52
3C223FF53
3C223HH06
3C223HH08
3F204AA01
3F204AA08
3F204AA09
3F204CA05
3F204FB20
3F204FC03
(57)【要約】
【課題】クレーン等の点検において、紙面による点検結果の管理によらず、多岐にわたる関係者間で最新の情報を円滑に共有するシステムを提供する。
【解決手段】クレーン等の点検記録管理システムであって、少なくとも次の各ステップを実行するよう構成され、表示ステップでは、操作端末のディスプレイ上に、ユーザが選択したクレーン等に係る点検情報を表示させ、受付ステップでは、点検情報に基づきユーザが入力した点検結果を受け付け、保管ステップでは、点検結果をサーバの記憶部22に保管し、通知ステップでは、点検結果を管理者へ通知し、承認ステップでは、管理者による承認結果を受け付け、記録ステップでは、承認結果を記憶部22に記録する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーン等の点検記録管理システムであって、
少なくとも次の各ステップを実行するよう構成され、
表示ステップでは、操作端末のディスプレイ上に、ユーザが選択したクレーン等に係る点検情報を表示させ、
受付ステップでは、前記点検情報に基づき前記ユーザが入力した点検結果を受け付け、
保管ステップでは、前記点検結果をサーバの記憶部に保管し、
通知ステップでは、前記点検結果を管理者へ通知し、
承認ステップでは、前記管理者による承認結果を受け付け、
記録ステップでは、前記承認結果を前記記憶部に記録する、点検記録管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の点検記録管理システムにおいて、
前記受付ステップでは、画像および文字の情報をさらに受け付ける、点検記録管理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の点検記録管理システムにおいて、
識別ステップをさらに備え、
前記識別ステップでは、前記保管ステップにおいて前記点検結果が前記記憶部に保管されていない前記クレーン等を識別する、点検記録管理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の点検記録管理システムにおいて、
更新ステップをさらに備え、
前記更新ステップでは、前記承認結果が前記記憶部に記録されると、前記点検情報を更新する、点検記録管理システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の点検記録管理システムにおいて、
前記通知ステップおよび前記通達ステップでは、前記クレーン等の部品毎にあらかじめ設定した使用時間経過時に、部品交換推奨時期を、前記管理者および前記ユーザへさらに通知または通達する、点検記録管理システム。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の点検記録管理システムにおいて、
診断ステップをさらに備え、
前記診断ステップでは、あらかじめ学習させた学習済みデータに基づき、前記クレーン等の各部品の余寿命を診断し、
前記通知ステップおよび通達ステップにおいて、前記余寿命も併せて、前記管理者および前記ユーザへさらに通知または通達する、点検記録管理システム。
【請求項7】
請求項6に記載の点検記録管理システムにおいて、
学習ステップをさらに備え、
前記学習ステップでは、前記画像データを教師データとして、前記学習済みデータを生成または更新する、点検記録管理システム。
【請求項8】
クレーン等の点検記録管理方法であって、
少なくとも次の各ステップを備え、
表示ステップでは、操作端末のディスプレイ上に、ユーザが選択したクレーン等に係る点検情報を表示させ、
受付ステップでは、前記点検情報に基づき前記ユーザが入力した点検結果を受け付け、
保管ステップでは、前記点検結果をサーバの記憶部に保管し、
通知ステップでは、前記点検結果を管理者へ通知し、
承認ステップでは、前記管理者による承認結果を受け付け、
記録ステップでは、前記承認結果を前記記憶部に記録する、点検記録管理方法。
【請求項9】
請求項8に記載の点検記録管理方法において、
前記受付ステップでは、画像および文字の情報をさらに受け付ける、点検記録管理方法。
【請求項10】
請求項9に記載の点検記録管理方法において、
識別ステップをさらに備え、
前記識別ステップでは、前記保管ステップにおいて前記点検結果が前記記憶部に保管されていない前記クレーン等を識別する、点検記録管理方法。
【請求項11】
請求項10に記載の点検記録管理方法において、
更新ステップをさらに備え、
前記更新ステップでは、前記承認結果が前記記憶部に記録されると、前記点検情報を更新する、点検記録管理方法。
【請求項12】
請求項8から請求項11のいずれか1項に記載の点検記録管理方法において、
前記通知ステップおよび前記通達ステップでは、前記クレーン等の部品毎にあらかじめ設定した使用時間経過時に、部品交換推奨時期を、前記管理者および前記ユーザへさらに通知または通達する、点検記録管理方法。
【請求項13】
請求項8から請求項11のいずれか1項に記載の点検記録管理方法において、
診断ステップをさらに備え、
前記診断ステップでは、あらかじめ学習させた学習済みデータに基づき、前記クレーン等の各部品の余寿命を診断し、
前記通知ステップおよび通達ステップにおいて、前記余寿命も併せて、前記管理者および前記ユーザへさらに通知または通達する、点検記録管理方法。
【請求項14】
請求項13に記載の点検記録管理方法において、
学習ステップをさらに備え、
前記学習ステップでは、前記画像データを教師データとして、前記学習済みモデルを生成または更新する、点検記録管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点検記録管理システム、点検記録管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
クレーン、フォークリフト、高所作業車、ショベルローダー、フォークローダー、ストラドルキャリヤー、車両系建設機械、不整地運搬車等の機器(以下、「クレーン等」という。)を所有する事業者は、当該クレーン等に対して、労働安全衛生法、労働安全衛生規則、クレーン等安全規則等で規定されている各種点検の実施を課され、点検は、あらかじめ作成され、紙面に印刷されたチェックリストにより実施されることが主である。
【0003】
また、点検の種類によって、クレーン等使用者またはメンテナンス作業者等が点検を実施し、点検結果は、点検を実施した者の管理者やクレーン等の管理者(以下、「管理者」という。)等が場面に応じて承認する。そして、事業者は、定められた期間、点検結果を保管しなければならない。、
【0004】
特許文献1には、プラントにおける定期点検において、GPS機能とカメラ機能を用いて点検報告書の作成を支援するシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-139724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、クレーン等における点検は、日々の使用前点検、月例点検、年次点検、さらには突発的な点検等、点検の頻度は高く、その都度管理者による点検記録の承認が必要である。また、事業者によっては非常に多くのクレーン等を保有しており、紙面による点検記録の運用は保管スペースが多く必要となるため、コスト増につながっている。加えて、紙面による管理は汚損や紛失リスクも残る。さらに、上述の通り、関係者が多岐にわたるため、点検実施者が異なる場合では、点検の実施日時や点検完了の情報が円滑に共有されないという問題がある。
【0007】
上記事情に鑑み、本発明は、紙面による点検結果の管理によらず、多岐にわたる関係者間で最新の情報を円滑に共有するシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点は、クレーン等の点検記録管理システムであって、
次の各ステップを実行するよう構成され、
表示ステップでは、操作端末のディスプレイ上に、ユーザが選択したクレーン等に係る点検情報を表示させ、
受付ステップでは、前記点検情報に基づき前記ユーザが入力した点検結果を受け付け、
保管ステップでは、前記点検結果をサーバの記憶部に保管し、
通知ステップでは、前記点検結果を管理者へ通知し、
承認ステップでは、前記管理者による承認結果を受け付け、
記録ステップでは、前記承認結果を前記記憶部に記録する、点検記録管理システムである。
【0009】
また、本発明の第2の観点は、クレーン等点検記録管理方法であって、
次の各ステップを備え、
表示ステップでは、操作端末のディスプレイ上に、ユーザが選択したクレーン等に係る点検情報を表示させ、
受付ステップでは、前記点検情報に基づき前記ユーザが入力した点検結果を受け付け、
保管ステップでは、前記点検結果をサーバの記憶部に保管し、
通知ステップでは、前記点検結果を管理者へ通知し、
承認ステップでは、前記管理者による承認結果を受け付け、
記録ステップでは、前記承認結果を前記記憶部に記録する、点検記録管理方法である。
【0010】
本発明の点検記録管理システムおよび点検記録管理方法によれば、クレーン等の点検に係る関係者は、ネットワークを介してサーバ上で最新の点検情報や点検結果を確認することができ、従来の紙面による運用に比べ、点検結果の承認プロセスの簡略化を達成しつつ、点検情報の保管スペースおよび、汚損や紛失リスクを減ずることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】クレーン点検記録管理システム1の全体図
図2】サーバ2のハードウェア構成を示すブロック図
図3】本実施形態に係るフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図を参照しながら詳細に説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0013】
図1は、クレーン点検記録管理システム1の全体図を示す。点検記録管理システム1は、主として、ユーザ操作端末3と、管理者操作端末4と、サーバ2と、を備え、これらがネットワークを通じて接続されている。なお、ここでいうネットワークは、プライベートネットワークに限られず、パブリックネットワークや仮想ネットワークであっても良い。また、図1はクレーンを対象機器とした点検記録管理システムを示しているが、対象機器はこれに限られず、フォークリフト、高所作業車、ショベルローダー、フォークローダー、ストラドルキャリア、車両系建設機械、不整地運搬車等の、点検と点検記録の保管が義務付けられている機器も対象になり得る。
【0014】
ユーザ操作端末3は、クレーンの点検結果を入力または確認する者が所有する端末であり、スマートフォン、タブレットPC、ノートパソコン、ウェアラブル電子機器、携帯電話などを挙げることができるが、これに限られず、固定式のコンピュータでも良い。なお、クレーン点検記録管理システム1が有するユーザ操作端末3は1台に限られず、複数台存在して良い。
【0015】
ユーザ操作端末3は、後述するサーバ2における通信部とネットワークを介して接続され、入力情報をサーバ2に転送可能に、また、ネットワークを介してサーバ2に保管されるデータを確認できるよう構成される。
【0016】
管理者操作端末4は、クレーンの点検結果を承認する者が所有する端末であり、スマートフォン、タブレットPC、ノートパソコン、ウェアラブル電子機器、携帯電話などを挙げることができるが、これに限られず、固定式のコンピュータでも良い。なお、クレーン点検記録管理システム1が有する管理者操作端末4は1台に限られず、複数台存在して良い。
【0017】
管理者操作端末4は、後述するサーバ2における通信部とネットワークを介して接続され、入力情報をサーバ2に転送可能に、また、ネットワークを介してサーバ2に保管されるデータを確認できるよう構成される。
【0018】
サーバ2は、通信部21と、記憶部22と、制御部23と、を有し、これらの構成要素がサーバ2の内部において通信バス34を介して電気的に接続されている。なお、サーバ2は、ローカルに存在するサーバ装置を利用することができるが、クラウドサーバであってもよい。
【0019】
通信部21は、USB、IEEE1394、Thunderbolt、有線LANネットワーク通信等といった有線型の通信手段の他、無線LANネットワーク通信、5G、LTE、3G等のモバイル通信、Bluetooth(登録商標)通信等が採用されるが、これに限られない。サーバ2は、通信部21を介して、ユーザ操作端末3および管理者操作端末4とネットワークを介して点検情報や点検結果の送受信を行う。詳細は後述する。
【0020】
記憶部22は、前述のユーザ操作端末3および管理者操作端末4により入力された情報を保管、または記録(以下、「記憶等」という。)する。これは、例えば、制御部23によって実行されるサーバ2に係る種々のプログラム等を記憶等するソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、あるいは、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶等するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施され得る。また、これらの組み合わせであっても良い。
【0021】
制御部23は、サーバ2に関連する全体動作の処理、制御を行う。制御部23は、例えば、不図示の中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。制御部23は、記憶部22に記憶等された所定のプログラムを読み出すことによって、点検情報や点検結果の送受信と、ユーザおよび管理者への通知または通達を行う。すなわち、記憶部22に記憶等されているソフトウェアによる情報処理が、ハードウェアの一例である制御部23によって具体的に実現されることで、制御部23に含まれる機能部として実行され得る。これらの詳細な説明は後述する。なお、制御部23は単一であることに限定されず、機能ごとに複数の制御部23を有するように実施されても良く、また、それらの組み合わせであっても良い。
【0022】
図2は、サーバ2によって実現される機能を示すブロック図である。サーバ2は、主として、表示部231と、受付部232と、通知部233と、を備える。
【0023】
表示部231は、クレーンの点検を実施するにあたって、ユーザ操作端末3または管理者操作端末4において点検対象のクレーンを選択した際に、当該クレーンの点検情報や点検結果をユーザ操作端末3または管理者操作端末4へ送信し、ユーザ操作端末3または管理者操作端末4のディスプレイへ表示させるよう構成される。なお、当然ながらクレーン点検記録管理システム1に登録されるクレーンは1基に限られず、複数基存在して良く、また、クレーン以外の異なる機器を同一システムで管理しても良い。ここで、点検情報とは、当該クレーンに係る、点検項目、点検実施者の情報、点検結果承認者の情報、諸元、点検履歴、修理履歴、点検予定日、修理予定日、部品リスト等が挙げられるが、これに限られない。
【0024】
受付部232は、表示部231により表示された点検項目に従い入力された、点検実施者に係る情報を含むクレーンの点検結果、および、承認者に係る情報を含む点検結果の承認結果を受け付けるよう構成される。そして、受付部232で受け付けた情報は、サーバ2の記憶部22へ記憶等される。
このとき、点検項目に従い入力される情報は、画像や文字がさらにあっても良い。これにより、点検に係る詳細情報を、ユーザおよび管理者が、いつでも容易に確認することが可能となる。
【0025】
通知部233は、受付部232で受け付けた点検結果を管理者へ通知、または、受付部232で受け付けた承認結果をユーザへ通達、するよう構成される。
このとき、あらかじめ設定しておいたクレーン使用時間経過時に、部品交換の推奨時期を併せて通知または通達するよう構成されても良い。これにより、ユーザおよび管理者は、部品の交換忘れを防止しつつ、クレーンの予防保全が可能となる。
【0026】
図3は、点検記録管理システム1によって実行される情報処理の流れを示すフローチャート図である。以下、このフローチャート図の各フローに沿って、説明する。
【0027】
ユーザ操作端末3を用いてクレーンの点検を実施する際、ユーザが、ユーザ操作端末3から点検対象のクレーンを選択し(S101)、ユーザ操作端末3のディスプレイ上に当該クレーンに係る点検項目が記載されたチェックリストが表示される(S102)。このとき、サーバ2とユーザ操作端末3がリアルタイムに通信する必要はなく、例えばユーザ操作端末3にチェックリストを含む点検情報を事前にダウンロードされたものであっても良い。そして、点検実施者は、表示されたチェックリストに従い点検結果、氏名等の点検実施者に係る情報、点検箇所の写真や文字等(以下、点検結果等という。)を入力する(S103)。
【0028】
サーバ2は、表示されたチェックリストに従いユーザが入力した点検結果等を受け付ける(S104)。チェックリストに関しては、点検項目の全てについてそれぞれ良否の選択ができるよう構成されても良く、全項目を通じて1つの良否選択ができるように構成されても良い。そして、受け付けた情報は、記憶部22に保管し(S105)、当該情報を管理者へ通知する(S106)。ここで、制御部23が識別部(不図示)をさらに備え、記憶部22に保管された当該情報をもとに、点検が実施されていないクレーンを抽出し(S111)、抽出したクレーンを、ユーザ操作端末3または管理者操作端末4へ表示させる(S112)よう構成されても良い。なお、管理者への通知は、後述の通り、管理者が点検結果の承認可否を入力する(S107)まで断続的に行われても良く、通知のタイミング等は自由に設定できるものである。その後、点検結果の承認可否が入力されると、上記通知は中止される。このとき、あらかじめ設定したクレーン使用時間を経過していた場合は、部品交換の推奨時期も併せて、管理者へ通知するものであっても良い(S106)。
【0029】
続いて、管理者は、記憶部22に保管された点検結果等の内容を確認の上、点検結果の承認可否を入力する(S107)。サーバ2は、通知を受けた管理者が入力した承認結果および氏名等の承認者に係る情報(以下、承認結果等という。)を受け付け(S108)、記憶部22へ記録する(S109)。このとき、制御部23が更新部(不図示)をさらに備え、記憶部22へ記録された承認結果等をもとに、点検対象のクレーンに係る点検情報を自動で更新する(S113)よう構成されても良い。その後、承認結果等をユーザへ通達し(S110)、一連のフローが完了する。なお、あらかじめ設定したクレーン使用時間を経過していた場合は、部品交換の推奨時期も併せて、ユーザへ通達する(S110)ものであっても良い。
【0030】
これにより、クレーンの点検に係る関係者は、ネットワークを介してサーバ上で最新の点検情報や点検結果を確認することができ、従来の紙面による運用に比べ、点検結果の承認プロセスの簡略化を達成しつつ、点検情報の保管スペースおよび、汚損や紛失リスクを減ずることができる。
【0031】
<その他の態様>
本発明の他の実施形態として、受付部232が、画像や文字の情報をさらに受け付けても良い。
なお、上記画像は、後述の自動診断に必要な画像であればよく、特定の画素数以上であることまでは要求されない。さらに可視光だけでなく、赤外線カメラ等で撮像されたものであってもよい。
また、上記文字も、文字に限定されず、画像と文字が混在したものであってもよく、ユーザおよび管理者が追記等できるようにサーバ2が有する編集プログラム等が対応可能なフォーマットであれば特段のファイル形式まで要求するものではない。
【0032】
これにより、点検に係る詳細情報を、ユーザおよび管理者が、いつでも容易に確認することが可能となることから、より好ましい。
【0033】
また、本発明の他の実施形態として、上述の通り、制御部23が識別部をさらに備えていても良い。識別部は、点検結果が記憶部22に保管されていないクレーンを抽出し、抽出したクレーンをユーザ操作端末3または管理者操作端末4に表示する。
【0034】
これにより、点検が実施されていないクレーンを、ユーザおよび管理者が、いつでも容易に確認することが可能となることから、より好ましい。
【0035】
また、本発明の他の実施形態として、上述の通り、制御部23が更新部をさらに備えていても良い。更新部は、承認結果が記憶部22に記録されると、点検対象のクレーンに係る点検情報を自動で更新する。このとき、更新する点検情報は、点検予定日や点検履歴が挙げられるが、これに限られない。また、例えば点検予定日の更新では、あらかじめ設定した日数後を点検予定日として設定することができる。
【0036】
これにより、ユーザおよび管理者は、点検実施予定日の入力作業を行うことなく、点検忘れを防止することが可能となることから、より好ましい。
【0037】
また、本発明の他の実施形態として、通知部233は、あらかじめ設定しておいたクレーン使用時間経過時に、部品交換の推奨時期を併せて通知または通達するよう構成されても良い。
【0038】
これにより、ユーザおよび管理者は、部品の交換忘れを防止しつつ、クレーンの予防保全が可能となることから、より好ましい。
【0039】
また、本発明の他の実施形態として、制御部23が診断部をさらに備えていても良い。診断部は、あらかじめ学習させた学習済みデータに基づき、点検対象クレーンの各部品の余寿命診断を行い、部品の交換時期を推定する。なお、学習済みデータはサーバ2の記憶部22に保管されるが、これに限られない。このとき、通知部233は、上述の通知または通達と併せて、余寿命診断結果や部品交換時期を、ユーザまたは管理者へ、通知または通達する。
なお、上記余寿命診断における、学習済みデータに基づく機械学習のアルゴリズムは特に限定されず、k近傍法、ロジスティック回帰、サポートベクターマシン、ニューラルネットワーク、トピックモデル、混合ガウスモデル等が適宜採用されれば良い。
【0040】
コンディションベースによる部品交換となるためメンテナンス費用の抑制につながり、また、最適な部品交換タイミングを把握できることから、より好ましい。
【0041】
また、本発明の他の実施形態として、制御部23が学習部をさらに備えていても良い。学習部は、受付部232で受け付けた画像データを教師データのもととして、学習済みデータを生成、または既に生成された学習済みデータを更新する。
例えば、診断部は、記憶部22に記憶等された所定のプログラムを呼び出し、受付部232で受け付けた画像データから特徴量を抽出(エッジ抽出)、解析を行うことで目的対象物を自動診断する。その結果が、記憶部22に随時保存され、必要に応じて、上記機械学習の教師データに組み込まれる。
【0042】
学習済みデータの高精度化による余寿命診断の精度向上へ繋がり、部品交換等のメンテナンス費用のさらなる抑制と、部品交換タイミングの最適化が可能となることから、より好ましい。
【0043】
なお、上述の実施形態は例として示したものであり、発明の範囲を限定することは意図しておらず、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0044】
1 クレーン点検記録管理システム
2 サーバ
3 ユーザ操作端末
4 管理者操作端末
21 通信部
22 記憶部
23 制御部
24 通信バス
231 表示部
232 受付部
233 通知部
図1
図2
図3