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特開2024-39369地震探査方法、地下のモニタリング方法、地震探査システムおよび震源装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039369
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】地震探査方法、地下のモニタリング方法、地震探査システムおよび震源装置
(51)【国際特許分類】
   G01V 1/00 20240101AFI20240314BHJP
【FI】
G01V1/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143876
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】辻 健
【テーマコード(参考)】
2G105
【Fターム(参考)】
2G105AA02
2G105BB01
2G105CC01
2G105DD02
2G105EE01
2G105EE02
2G105LL02
2G105LL04
(57)【要約】
【課題】より精度の良い地下のモニタリングを可能とする技術を提供する。
【解決手段】地震探査方法は、地下に配置された震源装置10が振動を発生させる振動発生工程と、震源装置10が発生させた振動に基づく振動信号を信号取得装置20が取得する取得工程と、を含む。震源装置10は、回転軸を中心に回転する偏心した回転体170,180と、回転体を回転させることにより振動を発生させる駆動部160と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下に配置された震源装置が振動を発生させる振動発生工程と、
前記震源装置が発生させた振動に基づく振動信号を信号取得装置が取得する取得工程と、を含み、
前記震源装置は、回転軸を中心に回転する偏心した回転体と、前記回転体を回転させることにより前記振動を発生させる駆動部と、を備える、
地震探査方法。
【請求項2】
前記震源装置は、地中に形成された穴に配置されている、
請求項1に記載の地震探査方法。
【請求項3】
前記震源装置は、地下水面よりも深い位置に配置されている、
請求項2に記載の地震探査方法。
【請求項4】
前記穴には、複数の前記震源装置が配置されており、
前記複数の震源装置は、前記穴が延びる方向に配列されている、
請求項2に記載の地震探査方法。
【請求項5】
前記震源装置は、前記回転体および前記駆動部を収容する収容部と、前記収容部を前記穴の内表面と結合させる結合機構とをさらに備える、
請求項2に記載の地震探査方法。
【請求項6】
前記信号取得装置は、前記振動信号を取得する受振器を有し、
前記受振器は、前記震源装置が配置されている穴を第1の穴とするとき、地中に形成された前記第1の穴とは異なる第2の穴に配置されている、
請求項2に記載の地震探査方法。
【請求項7】
前記信号取得装置は、前記穴において前記穴が延びる方向に沿って配置された光ファイバと、前記光ファイバにレーザ光を伝搬させる光源と、前記伝搬されたレーザ光に基づき前記振動信号を取得する取得部と、を備える、
請求項2に記載の地震探査方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の地震探査方法を含む、
地下のモニタリング方法。
【請求項9】
地下に配置された、振動を発生させる震源装置と、
前記震源装置が発生させた振動に基づく振動信号を取得する信号取得装置と、を備え、
前記震源装置は、回転軸を中心に回転する偏心した回転体と、前記回転体を回転させることにより前記振動を発生させる駆動部と、を有する、
地震探査システム。
【請求項10】
回転軸を中心に回転する偏心した回転体と、前記回転体を回転させることにより振動を発生させる駆動部とを有する震源部と、
前記震源部を内部空間に収容する収容部と、を備え、
前記収容部は、前記内部空間の開口部を通じて前記震源部を脱着できるように、前記震源部を収容する、
震源装置。
【請求項11】
前記震源装置は、地中に形成された穴に配置されるものであり、前記穴の内表面と前記収容部とを結合させる結合機構をさらに備える、
請求項10に記載の震源装置。
【請求項12】
前記震源部を収容する収容部をさらに備え、
前記収容部は、耐圧容器を含む、
請求項10に記載の震源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震探査方法、地下のモニタリング方法、地震探査システムおよび震源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人工的に発生させた地震波の伝搬を観測することによって、地質構造の探査が行われている。たとえば、特許文献1には、互いに偏心量が等しい1対の偏心ロータの回転軸を平行にして軸支するとともに、両偏心ロータの偏心部の一が互いに対称となるように位相を合わせて両偏心ロータを反対方向同一回転速度で駆動することにより、1軸方向に往復する地震波を連続して発生させる回転震源装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-142344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本願発明者は、以下の課題を認識するに至った。すなわち、回転震源装置を地上に設置すると、その地震波は地上の環境の影響を受け、地質構造の探査の精度が低下する。このため、地上に設置した回転震源装置を用いる特許文献1に記載の技術では、精度良く地下をモニタリングできなかった。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その例示的な目的の一つは、より精度の良い地下のモニタリングを可能とする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、地震探査方法である。地震探査方法は、地下に配置された震源装置が振動を発生させる振動発生工程と、震源装置が発生させた振動に基づく振動信号を信号取得装置が取得する取得工程と、を含む。震源装置は、回転軸を中心に回転する偏心した回転体と、回転体を回転させることにより振動を発生させる駆動部と、を備える。
【0007】
本発明の別の態様は、地下のモニタリング方法である。地下のモニタリング方法は、上記地震探査方法を含む。
【0008】
本発明の別の態様は、地震探査システムである。地震探査システムは、地下に配置された、振動を発生させる震源装置と、震源装置が発生させた振動に基づく振動信号を取得する信号取得装置と、を備える。震源装置は、回転軸を中心に回転する偏心した回転体と、回転体を回転させることにより振動を発生させる駆動部と、を有する。
【0009】
本発明の別の態様は、震源装置である。震源装置は、回転軸を中心に回転する偏心した回転体と、回転体を回転させることにより振動を発生させる駆動部とを有する震源部と、震源部を内部空間に収容する収容部と、を備える。収容部は、内部空間の開口部を通じて震源部を脱着できるように、震源部を収容する。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、より精度の良い地下のモニタリングを可能とする技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る地震探査システムの概略構成図である。
図2】同実施形態に係る管理装置の機能ブロック図である。
図3】同実施形態に係る地震探査システムの模式的な構成および地下の断面を示す図である。
図4】同実施形態に係る震源ユニットの模式的な構成を示す図である。
図5】同実施形態に係る震源部の模式的な断面図である。
図6】同実施形態に係る地震探査システムの動作例を示すフローチャートである。
図7】第2実施形態に係る地震探査システムの模式的な構成および地下の断面を示す図である。
図8】第3実施形態に係る地震探査システムの模式的な構成および地下の断面を示す図である。
図9】第4実施形態に係る地震探査システムの模式的な構成および地下の断面を示す図である。
図10】同実施形態に係るレーザ装置の機能ブロック図である。
図11】第5実施形態に係る震源ユニットの模式的な構成を示す図である。
図12】第6実施形態に係る震源部の模式的な構成を示す断面図である。
図13】第7実施形態に係る震源部の模式的な構成を示す断面図である。
図14】第8実施形態に係る震源部を模式的に示す図である。
図15】第9実施形態に係る震源ユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(背景)
近年、温室効果ガスである二酸化炭素を地中で処理する技術であるCCS(Carbon Capture and Storage)は、現実的な手段として注目されている。CCSでは、地上から二酸化炭素を地中に送るための井戸(以下、「圧入井」ともいう。)を用いて二酸化炭素を地中に圧入し、地中に二酸化炭素を貯留する。
【0014】
IEA(International Energy Agency)は、15%の二酸化炭素の排出の削減を2020年に提言している。しかしながら、この15%削減という目標は非常に高い目標であり、これをCCSで実現するためには、世界で数千ヵ所の大規模スケールの二酸化炭素を貯留するためのサイト(以下、「CO2貯留サイト」ともいう。)が必要となり、日本で必要な圧入井は、240~480本程度であると考えられている。
【0015】
安全を担保するためにCO2貯留サイトをモニタリングする必要があるが、実現するための現実的な方法が確立されていない。このような状況に鑑み、本願発明者は、以下の実施形態で説明するように、CO2貯留サイトを連続的にモニタリングできる地震探査システムに想到するに至った。
【0016】
(実施形態)
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、以下に述べる構成は例示であり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0017】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、複数の構成要素の各々に同一符号のみを付する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。たとえば、結合機構140aおよび結合機構140bのそれぞれを特に区別しないとき、これらを単に「結合機構140」と称する。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る地震探査システム1の概略構成図である。図1に示すように、本実施形態に係る地震探査システム1は、震源装置10、信号取得装置20および管理装置30を備える。本実施形態に係る地震探査システム1は、地震探査をベースとした地下のモニタリングを行う。具体的には、地震探査システム1は、地震探査による地質構造の調査を、一定の期間を空けて複数回行う。この調査の間隔において、地下の状態に変化がある場合には、地震探査システム1は、その変化を地震探査の結果の違いとして捉えることができる。
【0019】
本実施形態に係る震源装置10は、地中に形成された穴に配置されており、その穴の内部で振動を発生させる。震源装置10が広い周波数を含む波形(チャープ)の振動を発生させ、震源装置10の近傍に設置された第1の受振器20a(後述)で記録された発振波形と、震源装置10から離れた位置に設置された第2の受振器20b(後述)で記録された波形とを管理装置30がクロスコヒーレンス解析する。これにより、震源装置10でインパルス震源を発振し、それを第2の受振器20bで記録した場合と同等の結果を得ることが可能となる。本実施形態に係る震源装置10は、回転軸を中心に回転する偏心した回転体と回転させることにより振動を発生させる。なお、震源装置10は、地中に形成された穴にピストンを打ち込み、その衝撃により地下において振動を発生させるように構成されてよい。
【0020】
信号取得装置20は、震源装置10が発生させた振動に基づく振動信号を取得し、その振動信号を管理装置30に伝達する。信号取得装置20は、各種の公知の地震計を有してよく、具体的には、受振器などを有してよい。本実施形態では、信号取得装置20は、震源装置10の近傍に設置された第1の受振器20aと、第1の受振器20aよりも震源装置10から離れた位置に設置された第2の受振器20bとを有する。第1の受振器20aは、震源装置10が発生させた振動に基づく第1の振動信号を取得し、第1の振動信号を管理装置30に伝達する。第2の受振器20bは、震源装置10が発生させた振動に基づく第2の振動信号を取得し、第2の振動信号を管理装置30に伝達する。
【0021】
管理装置30は、地震探査システム1の動作を管理する。具体的には、管理装置30は、震源装置10の動作を制御したり、信号取得装置20に振動信号の取得を指示したり、信号取得装置20の検知結果に基づいて各種の処理を行ったりする。たとえば、管理装置30は、震源装置10に電力を供給したり、震源装置10に振動を発生させたりできる。また、管理装置30は、受振器に振動信号の記録を指示するトリガ信号を送信し、振動信号を時間情報とともに記録したり、信号取得装置20からの振動信号を用いて地質を解析したりできる。管理装置30は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Read Access Memory)およびROM(Read Only Memory)などを備えてよい。また、管理装置30は、正確な時刻を記録するためのGPS(Global Positioning System)を備えてよい。
【0022】
図2は、第1実施形態に係る管理装置30の機能ブロック図である。図2に示すように、本実施形態に係る管理装置30は、処理部300、記憶部320、出力部340、通信部360および電力供給部380を備える。
【0023】
処理部300は、各種の処理を行い、具体的には、震源装置10に制御信号を伝達したり、信号取得装置20から振動信号を受け取り、その振動信号を用いた演算処理を行ったりする。処理部300の機能は、制御部302、受信部304および演算部306によって実現される。なお、制御部302、受信部304および演算部306は、個別に用意してよい。
【0024】
制御部302は、制御信号を震源装置10に伝達し、震源装置10の動作を制御する。具体的には、制御部302は、震源装置10のモータの動作条件(たとえば、回転速度など)を制御してよい。
【0025】
受信部304は、信号取得装置20から振動信号を受け取り、その振動信号を演算部306に伝達する。演算部306は、振動信号に基づき各種の演算処理を行い、その結果を記憶部320および出力部340に伝達する。たとえば、演算部306は、振動信号に基づき、地質の解析に関する処理を行ってよい。
【0026】
本実施形態に係る演算部306は、2つの受振器(第1の受振器20aおよび第2の受振器20b)が取得した振動信号(第1の振動信号および第2の振動信号)を解析する。具体的には、演算部306は、第1の振動信号および第2の振動信号を同期して、同期したこれらの振動信号に基づいて、各種の公知の解析技術を用いて地質に関する解析を行う。
【0027】
より具体的には、演算部306は、第1の振動信号を原関数とし、クロスコヒーレンスの手法(下記文献を参照。)を用いて、第1の振動信号および第2の振動信号に基づき、地質を解析するための原信号を取得する。演算部306は、この原信号を用いて、地質を解析できる。
【0028】
Nakata, N., Snieder, R., Tsuji, T., Larner, K., Matsuoka, T. (2011). Shear wave imaging from traffic noise using seismic interferometry by cross-coherence. Geophysics, 76:SA97-SA106. https ://doi.org/10.1190/geo2010-0188.1
【0029】
記憶部320は、各種の情報を記憶する。たとえば、記憶部320は、制御部302が震源装置10を制御するための制御プログラム、演算部306が各種の演算を行うための演算プログラム、および演算部306の演算結果などを記憶してよい。
【0030】
出力部340は、各種の情報を出力する。出力部340は、各種の公知の表示装置または音声出力装置で構成されてよい。たとえば、出力部340は、演算部306の演算結果を表示してよい。具体的には、出力部340は、CO2貯留サイトをモニタリングするための画像を表示してよい。
【0031】
通信部360は、各種の情報を他の装置と送受信するための通信インタフェースである。通信部360は、たとえば演算部306による解析結果を他の装置に送信してよい。また通信部360は、遠隔で装置をコントロールする際に利用されてよい。
【0032】
電力供給部380は、電力を震源装置10に供給する。電力供給部380は、たとえば商用電源(図示しない)から電力を必要に応じて変換し、震源装置10にその電力を供給してよい。なお、電力供給部380は、管理装置30のために電力を供給してよい。さらに、小型の震源装置の場合には、12VのDCバッテリを用いてよい。その場合には太陽光パネルからの給電を実施してよい。
【0033】
図3は、第1実施形態に係る地震探査システム1の模式的な構成および地下の断面を示す図である。本実施形態に係る地震探査システム1は、地下に配置された震源ユニット12、地上422に配置された受振器20b(第2の受振器)および管理装置30を備える。
【0034】
本実施形態に係る震源ユニット12は、震源装置10および受振器20a(第1の受振器)を含む。震源ユニット12の震源装置10は、管理装置30による制御に応じて、振動を発生させることができる。受振器20aは、震源装置10が発生させた振動に基づく第1の振動信号を取得し、取得した第1の振動信号を管理装置30に伝達する。
【0035】
本実施形態では、鉛直方向に延びた穴42(「井戸」ともいう。)が地中に形成されている。本実施形態に係る震源ユニット12は、この穴42の内部に配置されており、必要に応じて、震源ユニット12を穴42から出したり、穴42に挿入したりできる。穴42において震源ユニット12が配置される位置の深さdは、特に限定されるものではないが、たとえば、100mあるいは1000m程度の深さであってよい。また深さを変えて多数の地点で震源ユニットを設置し、発振作業を行なってよい。さらにモニタリングする対象の近くに震源ユニットを設置できれば、より精度の良いデータの取得が期待できる。
【0036】
本実施形態では、地中には、地下水で満たされた地層である帯水層43が形成されている。本実施形態に係る穴42は、この帯水層43を貫通するように形成されている。このため、穴42には、帯水層43からの地下水が溜まっている。
【0037】
震源ユニット12は、帯水層43よりも深い位置に配置されてよい。震源ユニット12が帯水層43よりも高い位置にあり、通常時において震源ユニット12が水面よりも高い位置にある場合、降雨などによって穴42に溜まっている地下水の水位が変化し、震源ユニット12による動作(たとえば発生させる振動)が地下水の変化による影響を受け、モニタリングの精度が低下する場合がある。一方、本実施形態のように震源ユニット12を地下水面(たとえば、図3に示す帯水層43の水面432)よりも深い位置に配置することにより、降雨などによる地下水の水位の変動にかかわらず震源ユニット12が地下水に沈んでいるため、地下水の水位の変動によるモニタリングへの影響を抑制することが可能となる。
【0038】
受振器20bは、震源ユニット12が発生させた振動に基づく第2の振動信号を取得し、取得した第2の振動信号を管理装置30に伝達する。本実施形態に係る管理装置30は、受振器20aおよび受振器20bから伝達された第1の振動信号および第2の振動信号を含む振動信号に基づいて、たとえば地質などを解析できる。また、振動信号の時間変化から、地下で生じる変化をモニタリングできる。なお、本実施形態では、受振器20bは一台であるが、複数台(たとえば100台)の受振器を設置する方が好ましい。特に反射法地震探査、屈折法地震探査または表面波地震探査を実施する場合には、複数の受振器が必要となる。
【0039】
図3には、地震探査システム1が1つの穴42に配置された1つ震源ユニット12を備える例を示している。これに限らず、複数の穴が形成されてよく、この場合、地震探査システム1は、複数の穴のそれぞれに配置された複数の震源ユニットを有してよい。これにより、より多くの地点で振動を発生させ、より広範な領域の地質を解析したり地下をモニタリングしたりすることが可能となる。
【0040】
図4は、第1実施形態に係る震源ユニット12の模式的な構成を示す図である。Z軸は、鉛直方向を示し、X軸およびY軸は、水平方向をそれぞれ示す。X軸は、Z軸に垂直な方向であり、Y軸は、Z軸およびX軸に垂直な方向である。
【0041】
本実施形態に係る震源装置10は、主として、収容部100、支持体120、震源部130および結合機構140a,140bを備える。
【0042】
収容部100は、支持体120、震源部130および受振器20bを収容する。収容部100は、円筒形状を有し、そのサイズは、たとえば、長さ10cm程度、直径10cm程度であってよい。収容部100は、筐体102および蓋部104を備え、その内部には、筐体102および蓋部104で囲まれた内部空間106が形成されている。
【0043】
筐体102は、Z軸方向に延びた中空の円筒形状を有し、その下方の一端は、筐体102の一部を構成する底部103によって閉じられており、その上方の一端は、蓋部104によって閉じられている。
【0044】
蓋部104は、筐体102の上方の開口部を開閉可能に、筐体102に固定されている。蓋部104が閉じられると、収容部100の内部は密閉され、内部空間106に穴42に溜まっている地下水が入り込まないようになる。また、蓋部104が開けられると、支持体120を筐体102から取り出すことが可能となる。
【0045】
収容部100には、図示しない各種のセンサが配置されてよい。たとえば、温度センサおよび水圧センサなどが配置されてよい。これらのセンサは、管理装置30に接続され、温度および水圧などに関する測定結果を管理装置30に伝達できるように配置されてよい。
【0046】
支持体120は、Z軸方向に延びる中空の円筒形状を有し、その内部において震源部130および受振器20bを支持する。支持体120は、収容部100の筐体102に、脱着可能に固定されている。支持体120は、筐体102に直接的に固定されてよいし、固定具を介して筐体102に固定されてよい。なお、図4は、内部空間106において収容部100と支持体120との間に隙間が存在するように描かれているが、収容部100と支持体120との間には、隙間が存在しなくてよい。たとえば、支持体120は、筐体102と密着した状態で固定されることが好ましい。
【0047】
震源部130は、地震探査に利用される振動を発生させる。本実施形態に係る震源部130は、モータ(駆動部)および偏心した回転体を備え、モータが回転体を回転させることにより、振動が発生する。震源部130には、管理装置30に接続されたケーブル31が接続されている。震源部130のモータには、ケーブル31を通じて、管理装置30から電力が供給されたり、制御信号が伝達されたりする。これにより、震源部130は、振動を発生させることができる。
【0048】
震源部130が発生させた振動に基づく第1の振動信号は、収容部100の内部に設置した受振器20aによって取得される。また、震源部130が発生させた振動は、収容部100の側面あるいは結合機構140a,140bを介して、穴42の周囲に伝達される。この振動に基づく第2の振動信号は、たとえば地上に配置されている受振器20bによって取得される。なお、震源部130の振動に基づく第1の振動信号は、収容部100の内部に設置された受振器で記録されてよい。
【0049】
震源部130が発生させる振動の条件は、震源部130を各種の部品を交換することにより調整できる。たとえば、震源部130が有するモータ、モータの駆動力を回転体に伝達するためのギア、および回転体を偏心させるための後述する錘の重さなどを変更することにより、振動の条件を調整できる。
【0050】
震源部130の部品を交換する場合には、まず、震源ユニット12を穴42から地上に取り出す。その後、蓋部104を開け、たとえば支持体120と筐体102とを固定する固定具を解除して支持体120を筐体102から取り出す。その後、震源部130の各部品を交換することによって、震源部130が発生させる振動の条件を調整できる。部品を交換した後に震源ユニット12を再度穴42に配置することにより、新たな条件の振動を震源部130に発生させることが可能となる。
【0051】
結合機構140a,140bは、収容部100の筐体102を穴42の内周面420と結合(カップリング)させる。結合機構140aおよび結合機構140bは、実質的に互いに同一の構成を有する。
【0052】
結合機構140は、押圧部142および結合部144を有する。押圧部142は、その一端が筐体102に接続されており、筐体102から離れる方向に延びており、その他端が結合部144に接続されている。押圧部142は、結合部144を穴42の内周面420に対して押圧可能に構成されている。具体的には、押圧部142は、水平方向(たとえばY軸方向)に伸縮可能に構成されており、図4において矢印で示す方向に伸びることによって結合部144を押圧する。なお、押圧部142が結合部144を押圧するための構成は、特に限定されるものではないが、たとえば、水圧式であってよいし、電気的に制御する方式であってよい。押圧部142が電気的に制御される押圧機構を有する場合、管理装置30が押圧機構を制御することによって、押圧機構が結合部144を押圧する力の強さが調整されてよい。
【0053】
押圧部142a,142bが結合部144a,144bを穴42の内周面420に対してそれぞれ押圧すると、収容部100は、穴42の内周面420に結合される。これにより、震源部130が発生させた振動が、収容部100、結合機構140および穴42の内周面420を介して、より確実に、周囲に伝達されるようになる。
【0054】
なお、ここでは、筐体102に2つの結合機構140a,140bが設けられている例を説明したが、結合機構の数は1つであってよいし、3つ以上であってよい。また、結合機構が一方向(Y軸方向)に収容部100を内周面420に結合させる例を説明したが、これに限らず、互いに異なる複数の方向に収容部100が内周面420に結合されるように、複数の結合機構が設けられてよい。たとえば、筐体102の外周面において複数の結合機構を周方向に並べて設け、収容部100を複数の方向に結合させてよい。
【0055】
図5は、第1実施形態に係る震源部130の模式的な断面図である。図5に示すように、本実施形態に係る震源部130は、モータ160(駆動部)、第1の回転体170および第2の回転体180を備える。
【0056】
モータ160は、管理装置30による制御に応じて駆動し、その駆動力を第1の回転体170に伝達する。本実施形態に係るモータ160は、本体162、回転軸164および伝達部166を有する。回転軸164は、その一部が本体162に収容されている。回転軸164は、X軸方向に延びており、その長さ方向を中心に回転可能に構成されている。伝達部166は、X軸方向の延びた円筒形状を有し、回転軸164を覆うように配置されており、回転軸172と一体的に回転可能に構成されている。
【0057】
モータ160には、速度センサ(図示しない。)が設けられてよい。速度センサは、管理装置30に接続され、回転軸164の回転速度を測定して、測定結果を管理装置30に伝達してよい。
【0058】
第1の回転体170は、回転軸172、被伝達部174、錘支持部176、ギア178および錘179を有する。回転軸172は、X軸方向に延びており、その長さ方向を中心に回転可能に構成されている。被伝達部174は、X軸方向に延びた円筒形状を有し、回転軸172を覆うように配置されており、回転軸172と一体的に回転可能に構成されている。また、ベルト168が、伝達部166の周囲および被伝達部174の周囲にわたって設けられている。
【0059】
円盤状の錘支持部176は、被伝達部174の周囲に設けられており、被伝達部174と一体的に回転可能に構成されている。円盤状のギア178は、錘支持部176の周囲に設けられており、錘支持部176と一体的に回転可能に構成されている。錘支持部176の円周の一部には、錘179が設けられている。この錘179により、第1の回転体170は、その中心(YZ平面上の回転軸172の位置)から錘179の中心に偏心している。図5に示す状態では、第1の回転体170は、その中心からY軸方向にr1離れた位置に偏心している。
【0060】
第2の回転体180は、回転軸182、錘支持部184、ギア186および錘188を有する。回転軸182は、X軸方向に延びており、その長さ方向を中心に回転可能に構成されている。円盤状の錘支持部184は、回転軸182の周囲に設けられており、回転軸182と一体的に回転可能に構成されている。円盤状のギア186は、錘支持部184の周囲に設けられており、錘支持部184と一体的に回転可能に構成されている。また、ギア186は、ギア178と嵌合するように配置されている。
【0061】
錘支持部184の円周の一部には、錘188が設けられている。この錘188により、第2の回転体180は、その中心(YZ平面上の回転軸182の位置)から錘188の中心に偏心している。図5に示す状態では、第2の回転体180は、その中心からY軸方向とは反対方向にr2離れた位置に偏心している。
【0062】
本実施形態では、錘179の質量および錘188の質量は、互いにm1で等しい。また、第1の回転体170および第2の回転体180には、互いに偏心量が等しくなるように、錘179および錘188が配置されている。すなわち、m1×r1=m1×r2となるように、錘179および錘188が配置されている。
【0063】
モータ160が駆動されると、回転軸164が回転し、この回転に伴い、伝達部166が回転軸164とともに回転する。このとき、駆動力が、ベルト168を介して、伝達部166から被伝達部174に伝達される。これにより、被伝達部174は、第1の回転体170を構成する他の部材とともに、回転軸172を中心に、時計回りの方向に回転する。このとき、第2の回転体180のギア186は、第1の回転体170のギア178から駆動力を受ける。これにより、ギア186は、第2の回転体180を構成する他の部材とともに、回転軸182を中心に、第1の回転体170とは反対方向(反時計回りの方向)に回転する。
【0064】
第1の回転体170および第2の回転体180の回転時における錘179および錘188の動作に着目すると、錘179,188の回転速度の水平方向(たとえばY軸方向)の成分は互いに打ち消し合い、錘179,188の回転速度の鉛直方向(Z軸方向)の成分が互いに強め合う。このため、震源部130は、モータ160の駆動によって第1の回転体170および第2の回転体180を回転させることにより、鉛直方向の振動を発生させることができる。
【0065】
本実施形態に係る震源部130は、連続的に同じ振動を発生させて、振動を重合する。これにより、発生する振動のエネルギーが小さくても、振動を遠地まで到達させることができる。震源部130は、錘の重さが10g程度の場合でも、1km先まで振動を到達させることができる。
【0066】
回転軸164の回転速度は、特に限定されるものではないが、たとえば20~60Hz程度の振動が発生する速度であってよい。一般的に、振動の周波数が高いほど、地震探査の分解能が高くなり、振動の周波数が低いほど、振動が減衰しにくく遠い場所まで振動を伝達することができる。振動は広い周波数の幅を有する方が好ましい。
【0067】
上述した震源部130の各種の部品は、振動の条件を調整するために、適宜交換することができる。たとえば、地震探査におけるモニタリングの対象に応じて、錘179,188の重さを変え、振動の条件を調整してよい。たとえば、モニタリングの対象がダムである場合、錘179,188の重さを10g程度にしてよい。モニタリングの対象が広域または深部であれば、錘の重さを100g程度にしてよい。
【0068】
図6は、第1実施形態に係る地震探査システム1の動作例を示すフローチャートである。以下、フローチャートに沿って、地震探査システム1の動作例を説明する。
【0069】
まず、管理装置30は、震源装置10に制御信号を伝達する(S101)。次いで、震源装置10は、S101において伝達された制御信号に基づいて、振動を発生させる(S103:振動発生工程)。次いで、信号取得装置20は、S103において発生した振動に基づく振動信号を取得する(S105:信号取得工程)。次いで、信号取得装置20は、S105において取得した振動信号を管理装置30に伝達する(S107)。次いで、管理装置30は、振動信号を取得し(S109)、その振動信号を解析する(S111)。
【0070】
なお、図6のフローチャートに示す各ステップの処理は、必ずしも図6に示す順序で実施される必要はない。論理的に矛盾のない範囲で、各ステップの順序を入れ替えたり、複数のステップを並列的に処理したりしてよい。また、S101~S109の処理を繰り返し継続的に実施することにより、振動信号のS/N比を高くすることが可能となる。
【0071】
(本実施形態の効果)
従来、地上に設置される震源装置の開発が行われてきた。しかしながら、降雨および氷雪などの地表付近の影響が地震探査におけるモニタリングの結果に強い影響を与える。特に、地震探査により地質構造の探査を繰り返し実施し、その微細な変化を捉えるモニタリングを行うときに、地上環境の影響が生じる。このため、従来の震源装置を用いた地震探査では、地表の影響を受けやすく、地質変化のモニタリングが難しかった。
【0072】
本実施形態に係る地震探査システム1によれば、管理装置30は、地下に配置された震源装置10から発生した振動に基づく振動信号を用いて地震探査することができる。このため、本実施形態に係る地震探査システム1によれば、地上に設置した震源装置の振動を用いてモニタリングする場合と比べて、地上における環境の影響を抑制することができるため、より精度良くモニタリングすることが可能となる。
【0073】
また、本実施形態に係る地震探査システム1によれば、モニタリングの対象となるターゲットが地下にあるため、ターゲットにより近い位置で振動を発生させることができる。このため、本実施形態に係る地震探査システム1によれば、より高い精度で、地震探査により地下をモニタリングすることが可能となる。
【0074】
また、本実施形態に係る地震探査システム1によれば、環境に配慮したモニタリングが可能となる。具体的には、本実施形態に係る地震探査システム1によれば、地下において振動を発生させるため、地上において振動を発生させる場合と比べて、振動による騒音を低減させることが可能となる。そのため本実施形態に係る地震探査システム1は、都市部や夜間でも利用が可能となる。
【0075】
従来の地震探査に用いられる震源装置(たとえばバイブロサイス)は、巨大であり、アクセスの悪い場所での運用は難しく、そのコストは高かった。これに対し、本実施形態に係る地震探査システム1によれば、小型の震源ユニット12を利用することにより、アクセスが悪い限られた場所でも振動を発生させることができる。このため、本実施形態に係る地震探査システム1によれば、より多様な場所で低コストで地震探査することが可能となる。たとえば、多数の穴を堀り、それぞれの穴に本実施形態に係る震源ユニット12を配置し、それらの震源ユニット12が発生させる振動に基づく振動信号を解析することによって、多くのCO2貯留サイトを同時にモニタリングできる。
【0076】
また、従来の震源装置は、常時の設置に向けて設計されておらず、連続的に地下をモニタリングために用いることはできなかった。従来の震源装置を用いた地震探査では、たとえば、数年に1回のモニタリングが一般的であった。これに対し、本実施形態に係る地震探査システム1によれば、震源ユニット12が小型であるため、定常的な設置が可能となる。また、震源ユニット12が連続的に振動を発生できる機構を有するため、定常的かつ連続的な地下のモニタリングが可能となる。たとえば、常にCO2貯留サイトをモニタリングすることによって、急なCO2の漏洩などに対応することが可能となる。
【0077】
また、従来、圧電素子を用いた震源装置を地下に配置して、振動を発生させることが試みられている。しかしながら、圧電素子を用いる場合、その振動が弱いため、地震探査するのに十分な強さをもつ振動を実現できなかった。これに対し、本実施形態に係る地震探査システム1によれば、偏心した回転体を回転させ、震源ユニット12と穴42の内周面420とのカップリングを結合機構140により強化することによって、十分な強さの振動を発生させて地震探査により地下をモニタリングすることができる。
【0078】
月面などに震源装置を設置するには、低重力の環境のため、震源装置と月面とのカップリングが地球上の場合と比べて弱くなる。本実施形態に係る地震探査システム1によれば、結合機構を用いて震源ユニット12を地中に形成された穴にカップリングさせるため、低重力であっても良好なカップリングを実現しつつ、安定した振動を発生させることができる。
【0079】
本実施形態に係る地震探査システム1は、海底下の貯留層でのモニタリングにも利用可能である。海底の地表部分は軟弱であるため、地表に震源装置を配置して振動を発生させたとしても、振動の減衰が大きく、良好な地震探査を行うことは難しい。これに対し、海底の深くでは、地表よりも岩盤が固くなっている。このため、本実施形態に係る地震探査システム1によれば、海底に穴を空け、そこに震源装置を地中に入れて固い岩盤に固定することにより、振動の減衰を抑制し、海底においても精度の良い地下のモニタリングを行うことが可能となる。
【0080】
また、本実施形態に係る地震探査システム1は、上述した例を含め、各種の用途に利用可能である。たとえば、地震探査システム1は、CO2地中貯留サイトでの貯留CO2分布および誘発地震のモニタリング、CO2地中貯留および水素地中貯留などのカーボンニュートラルに向けた貯留層のモニタリング、地熱貯留層のモニタリング、地下水のモニタリング、石油ガス開発における資源の貯留層のモニタリングなどの資源エネルギー・脱炭素分野、堤防、トンネルおよびダムなどの土木建築物の健全性モニタリングといった土木分野、月面および火星などの宇宙空間、および山間部などのアクセス困難な地域における地下のイメージングなどに利用可能である。
【0081】
(第2実施形態)
図7は、第2実施形態に係る地震探査システム2の模式的な構成および地下の断面を示す図である。第2実施形態に係る地震探査システム2は、3つの震源ユニット14a~14c、受振器22(第2の受振器)および管理装置32を備える。受振器22および管理装置32は、第1実施形態において説明した受振器20bおよび管理装置30と実質的に同一の構成をそれぞれ有してよい。
【0082】
震源ユニット14a~14cのそれぞれは、第1実施形態において説明した震源ユニット12と実質的に同一の構成を有してよく、振動を発生させることができる。第2実施形態に係る震源ユニット14a~14cは、1つの穴44に配置されており、より具体的には、穴44の延びる方向(すなわち、鉛直方向)に配列されている。なお、図7には、3つの震源ユニットを示しているが、2つの震源ユニットが配列されてよいし、4つ以上の震源ユニットが配列されてよい。
【0083】
震源ユニット14が発生させた振動に基づく振動信号は、その震源ユニット14が備える受振器(第1の受振器)および受振器22によって取得される。管理装置32は、その振動信号を用いて解析することができる。したがって、管理装置32は、震源ユニット14a~14cのそれぞれが発生させる振動に基づく振動信号を用いて、地質を解析できる。また、複数の震源ユニット14のそれぞれが発生させる振動の波形を変更および特徴化することにより、複数の震源ユニット14が同時に発振した場合にも、それぞれの震源ユニット14からの振動を区別して解析することが可能となる。
【0084】
このように複数の震源ユニット14a~14cを利用することにより、より詳細な地震探査を行うことが可能となる。また、複数の震源ユニット14a~14cを穴44の延びる方向に配列することによって、より空間解像度の高い地震探査による地下のモニタリングを行うことが可能となる。
【0085】
(第3実施形態)
図8は、第3実施形態に係る地震探査システム3の模式的な構成および地下の断面を示す図である。第3実施形態に係る地震探査システム3は、震源ユニット16、受振器24(第2の受振器)および管理装置34を備える。震源ユニット16、受振器24および管理装置34は、第1実施形態において説明した震源ユニット12、受振器20bおよび管理装置30と実質的に同一の構成をそれぞれ有してよい。
【0086】
図8に示すように、第3実施形態では、2つの鉛直方向に延びた穴46a,46bが地中に形成されている。一方の穴46aには、震源ユニット16が配置されており、他方の穴46bには、受振器24が配置されている。このように、第3実施形態では、受振器24は、上記実施形態とは異なり、地下に配置されている。
【0087】
震源ユニット16が備える受振器(第1の受振器)は、震源ユニット16が発生させた振動に基づく第1の振動信号を取得する。受振器24は、震源ユニット16が発生させた振動に基づく第2の振動信号を取得する。管理装置34は、振動信号(第1の振動信号および第2の振動信号)を受け取り、振動信号に基づく解析を行う。このとき、受振器24が地下に配置されているため、受振器24が取得する振動信号は、地上の環境からの影響を受けづらい。このため、本実施形態に係る地震探査システム3によれば、より精度よく地下の変化をモニタリングすることが可能となる。
【0088】
なお、図8において、穴46aには震源ユニット16のみが示されており、穴46bには受振器24のみが示されている。これに限らず、穴46aには、震源ユニット16に加えて受振器および他の震源ユニットが配置されてよいし、穴46bには、受振器24に加えて震源ユニットおよび他の受振器が配置されてよい。また穴46aには、震源ユニット16を複数設置してもよいし、穴46bには受振器を複数設置してもよい。
【0089】
(第4実施形態)
図9は、第4実施形態に係る地震探査システム4の模式的な構成および地下の断面を示す図である。第4実施形態に係る地震探査システム4は、震源ユニット18、信号取得装置26および管理装置36を備える。震源ユニット18は、第1実施形態に係る震源ユニット12と実質的に同一の構成を有してよいが、受振器20aを有しなくてよい。また、管理装置36は、第1実施形態に係る管理装置30と実質的に同一の構成を有してよい。
【0090】
第4実施形態に係る信号取得装置26は、レーザ装置37および光ファイバ260を備える。レーザ装置37は、光ファイバ260にレーザ光を出射し、光ファイバ260において反射されたレーザ光に基づいて、震源ユニット18が発生させる振動に基づく振動信号を取得する。レーザ装置37は、取得した振動信号を管理装置36に伝達する。
【0091】
図9に示すように、第4実施形態では、鉛直方向に延びた2つの穴48a,48bが地中に形成されている。一方の穴48aには、震源ユニット18が配置されており、他方の穴48bには、穴48bの延びる方向に沿って光ファイバ260が配置されている。
【0092】
図10は、第4実施形態に係るレーザ装置37の機能ブロック図である。図10に示すように、第4実施形態に係るレーザ装置37は、光源370および取得部372を備える。
【0093】
光源370は、レーザ光を出射するものであり、たとえば各種の公知のレーザ光源装置で構成されてよい。本実施形態では、光源370は、光ファイバ260にレーザ光を出射する。これにより、光ファイバ260においてレーザ光が伝搬され、その少なくとも一部は、反射されてレーザ装置37に戻る。
【0094】
取得部372は、光ファイバ260において伝搬されたレーザ光に基づく振動信号を取得する。具体的には、取得部372は、受光部を有し、光ファイバ260において反射されて、レーザ装置37に戻るレーザ光を受光部で検知する。このとき、震源ユニット18が振動を発生させていると、光ファイバ260は、その振動に応じて、長さ方向に伸縮する。光ファイバ260の伸縮により、レーザ装置37に戻るレーザ光の状態が変わるため、取得部372は、光ファイバ260の光レーザを検知することによって、震源ユニット18が発生させた振動に基づく振動信号を取得できる。
【0095】
本実施形態に係る地震探査システム4によれば、穴48bに配置された光ファイバ260を用いて振動信号を取得できる。このとき、光ファイバ260を用いることにより、複数の地震計を穴48bに一定の間隔で配置した場合と同様の機能を実現できる。たとえば、穴48に配置されている光ファイバ260の長さが1000mであるとき、10m毎に地震計が配列されている場合と同等の振動信号を取得することが可能となる。このため、本実施形態に係る地震探査システム4によれば、多数の地震計を使用しなくとも、低いコストで詳細に地震探査による地下のモニタリングを行うことが可能となる。さらに、光ファイバ260は、地下に配置されているため、振動信号が地表の影響を受けることを抑制できる。
【0096】
なお、図9において、穴48bに光ファイバ260のみが配置されている例を示しているが、穴48bには、震源ユニットが配置されてよい。この場合、光ファイバ260を用いて、同一の穴48bに配置された震源ユニットが発生させる振動に基づく振動信号を取得することも可能である。
【0097】
(第5実施形態)
図11は、第5実施形態に係る震源ユニット19の模式的な構成を示す図である。第5実施形態に係る震源ユニット19は、主として、結合機構の構成が第1実施形態に係る震源ユニット12と異なる。
【0098】
第5実施形態に係る震源ユニット19は、収容部100、支持体120、震源部130、受振器20aおよび結合機構62を備える。
【0099】
第5実施形態に係る結合機構62は、アーム構造を有し、収容部100に接続されている。具体的には、結合機構62は、収容部100から離れる方向に延びており、その一端は、たとえば水平面に平行な軸(たとえばX軸)を中心に回転可能に構成されたジョイント部(図示しない。)を介して、収容部100に接続されている。このため、結合機構62は、ジョイント部を中心に回転可能である。結合機構62の動作は、たとえば、地上に配置された管理装置にからの制御信号に基づいて電気的に制御されてよい。
【0100】
たとえば、結合機構62は、その他端622が穴49の内周面490に近づくように、図11に示す矢印の方向に回転できる。結合機構62の他端622が穴49の内周面490に接触して押圧することにより、震源ユニット19が穴49の内周面490と結合する。これにより、震源ユニット19が発生させる振動が、より確実に、収容部100の側面あるいは結合機構62を介して穴49の周囲に伝達されるようになる。
【0101】
(第6実施形態)
図12は、第6実施形態に係る震源部70の模式的な構成を示す断面図である。図12では、水平方向(図12では、X軸方向)に見た震源部70が示されている。図12に示すように、第6実施形態に係る震源部70は、モータ700、第1の回転体720および第2の回転体740を備える。
【0102】
モータ700は、本体702、回転軸704および伝達部706を有する。回転軸704は、その一部が本体702に収容されている。回転軸704は、X軸方向に延びており、その長さ方向を中心に回転可能に構成されている。伝達部706は、X軸方向の延びた円筒形状を有し、回転軸704を覆うように設けられており、回転軸704と一体的に回転可能に構成されている。
【0103】
第1の回転体720は、回転軸722、被伝達部724、錘支持部726、ギア728および錘729を有する。回転軸722は、X軸方向に延びており、その長さ方向を中心に回転可能に構成されている。被伝達部724は、X軸方向に延びた円筒形状を有し、回転軸722を覆うように配置されており、回転軸722と一体的に回転可能に構成されている。また、伝達部706から被伝達部724に駆動力が伝達されるように、ベルト708が伝達部706の周囲および被伝達部724の周囲にわたって設けられている。
【0104】
円盤状の錘支持部726は、被伝達部724の周囲に設けられており、被伝達部724と一体的に回転可能に構成されている。円盤状のギア728は、錘支持部726の周囲に設けられており、錘支持部726と一体的に回転可能に構成されている。錘支持部726の円周の一部には、錘729が設けられている。この錘729により、第1の回転体720は、その中心(YZ平面上の回転軸722の位置)から錘729の中心に偏心している。図12に示す状態では、第1の回転体720は、その中心からY軸方向にr3離れた位置に偏心している。
【0105】
第2の回転体740は、回転軸742、錘支持部744、ギア746および錘748を有する。回転軸742は、X軸方向に延びており、その長さ方向を中心に回転可能に構成されている。円盤状の錘支持部744は、回転軸742の周囲に設けられており、回転軸742と一体的に回転可能に構成されている。円盤状のギア746は、錘支持部744の周囲に設けられており、錘支持部744と一体的に回転可能に構成されている。
【0106】
錘支持部744の円周の一部には、錘748が設けられている。この錘748により、第2の回転体740は、その中心(YZ平面上の回転軸742の位置)から離れた位置に偏心している。図12に示す状態では、第2の回転体740は、その中心からY軸方向にr4離れた位置に偏心している。
【0107】
本実施形態では、錘729の質量および錘748の質量は、互いにm2で等しい。また、第1の回転体720および第2の回転体740には、互いに偏心量が等しくなるように、錘729および錘748が配置されている。したがって、m2×r3=m2×r4となるように、錘729および錘748が配置されている。
【0108】
モータ700が駆動されると、回転軸704が回転し、この回転に伴い、伝達部706が回転軸704とともに回転する。このとき、駆動力が、ベルト708を介して、伝達部706から被伝達部724に伝達される。これにより、被伝達部724は、第1の回転体720を構成する他の部材とともに、回転軸722を中心に、時計回りの方向に回転する。このとき、第2の回転体740のギア746は、第1の回転体720のギア728から駆動力を受け、ギア746は、第2の回転体740を構成する他の部材とともに、回転軸742を中心に、第1の回転体720とは反対方向(反時計回りの方向)に回転する。
【0109】
第1の回転体720および第2の回転体740の回転時における錘729および錘748の動作に着目すると、錘729,748の回転速度の鉛直方向(Z軸方向)の成分は互いに打ち消し合い、錘729,748の回転速度の水平方向(たとえばY軸成分)の成分は互いに強め合う。この結果、震源部70は、モータ700の駆動によって第1の回転体720および第2の回転体740を回転させることにより、水平方向の振動を発生させることができる。
【0110】
このように本実施形態に係る震源部70によれば、水平面上の一方向の成分をもつ振動を発生させ、この振動を地震探査に利用することが可能となる。
【0111】
(第7実施形態)
図13は、第7実施形態に係る震源部75を模式的に示す断面図である。第7実施形態に係る震源部75は、主として、モータ750、第1の回転体760、第2の回転体770、第3の回転体780および第4の回転体790を備える。第7実施形態に係る震源部75は、主として、第3の回転体780および第4の回転体790を備える点で、第1実施形態に係る震源部130と相違する。
【0112】
第7実施形態に係るモータ750、第1の回転体760および第2の回転体770の構成は、第1実施形態に係るモータ160、第1の回転体170および第2の回転体180と実質的に同一の構成を有するため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0113】
第3の回転体780は、回転軸782、被伝達部784、錘支持部786、ギア788および錘789を有する。回転軸782は、X軸方向に延びており、その長さ方向を中心に回転可能に構成されている。被伝達部784は、X軸方向に延びた円筒形状を有し、回転軸782を覆うように配置されており、回転軸782と一体的に回転可能に構成されている。本実施形態では、第3の回転体780の被伝達部784の半径は、第1の回転体760の被伝達部764の半径より小さい。
【0114】
本実施形態では、モータ750の伝達部754から被伝達部784および第1の回転体760の被伝達部764に駆動力が伝達されるように、ベルト758が設けられている。具体的には、ベルト758が、被伝達部784の周囲、伝達部754の周囲および被伝達部764の周囲にわたって設けられている。
【0115】
円盤状の錘支持部786は、被伝達部784の周囲に設けられており、被伝達部784と一体的に回転可能に構成されている。円盤状のギア788は、錘支持部786の周囲に設けられており、錘支持部786と一体的に回転可能に構成されている。錘支持部786の円周の一部には、錘789が設けられている。この錘789により、第3の回転体780は、その中心(YZ平面上の回転軸782の位置)から錘789の中心に偏心している。図13に示す状態では、第3の回転体780は、その中心からY軸方向の反対にr5離れた位置に偏心している。
【0116】
第4の回転体790は、回転軸792、錘支持部794、ギア796および錘798を有する。回転軸792は、X軸方向に延びており、その長さ方向を中心に回転可能に構成されている。円盤状の錘支持部794は、回転軸792の周囲に設けられており、回転軸792と一体的に回転可能に構成されている。円盤状のギア796は、錘支持部794の周囲に設けられており、錘支持部794と一体的に回転可能に構成されている。
【0117】
錘支持部794の円周の一部には、錘798が設けられている。この錘798により、第4の回転体790は、その中心(YZ平面上の回転軸792の位置)から離れた位置に偏心している。図13に示す状態では、第4の回転体790は、その中心からY軸方向にr5離れた位置に偏心している。
【0118】
本実施形態では、錘789の質量および錘798の質量は、互いにm3で等しい。なお、m3は、第1の回転体760の錘769および第2の回転体770の錘778より軽くてよい。また、第3の回転体780および第4の回転体790には、互いに偏心量が等しくなるように、錘789および錘798が配置されている。したがって、m3×r5=m3×r5となるように、錘789および錘798が配置されている。
【0119】
本実施形態では、モータ750が駆動すると、伝達部754が回転し、その駆動力は、第1の回転体760の被伝達部764および第3の回転体780の被伝達部784に伝達される。このとき、第1の回転体760および第2の回転体770は、第1実施形態と同様にして、鉛直方向の振動を発生させる。
【0120】
第3の回転体780の被伝達部784は、モータ750の駆動力を受け、第3の回転体780を構成する他の部材とともに、回転軸782を中心に、時計回りの方向に回転する。このとき、第4の回転体790のギア796は、第3の回転体780のギア788から駆動力を受け、ギア796は、第4の回転体790を構成する他の部材とともに、回転軸792を中心に、第3の回転体780とは反対方向(反時計回りの方向)に回転する。このとき、錘789および錘798は、回転速度の水平成分を互いに打ち消し合うため、第3の回転体780および第4の回転体790は、鉛直方向の振動を発生させる。
【0121】
第3の回転体780の被伝達部784は、モータ750の駆動力を受け、回転軸782を中心に回転する。このとき、被伝達部784の半径が被伝達部764の半径よりも小さいため、被伝達部784は、被伝達部764よりも速く回転する。この結果、第3の回転体780および第4の回転体790の組(以下、「第2の組」ともいう。)は、第1の回転体760および第2の回転体770の組(以下、「第1の組」ともいう。)よりも高い周波数の振動を発生させる。
【0122】
このように、本実施形態に係る震源部75によれば、互いに半径の異なる被伝達部764および被伝達部784を介して第1の組および第2の組を回転させることにより、互いに周波数の異なる振動を発生させることができる。これにより、より広い周波数の振動を発生させることが可能となる。この結果、震源探査システムは、ターゲットにより適した振動を発生させることが可能となる。
【0123】
また、本実施形態のように第2の組が第1の組よりも高い振動数の振動を発生させる場合には、第2の組の錘が第1の組の錘よりも軽いことは、広い周波数の幅で同等の振動エネルギーを発生させるうえで望ましい。
【0124】
(第8実施形態)
図14は、第8実施形態に係る震源部80を模式的に示す図である。図14では、水平方向(図14では、X軸方向)に見た震源部80が示されている。図14に示すように、第8実施形態に係る震源部80は、主として、モータ800、伝達部810、第1の回転体820a、第2の回転体820b、第3の回転体820c、第4の回転体820dおよび軸受812,814,816を有する。
【0125】
モータ800は、本体802および回転軸804を有する。回転軸804は、その一部が本体802に収容され、Z軸方向に延びており、その長さ方向を中心に回転可能に構成されている。
【0126】
伝達部810は、Z軸方向に延びた円筒形状を有しており、回転軸804の本体802とは反対側に、回転軸804と一体的に回転可能に設けられている。
【0127】
第1の回転体820a、第2の回転体820b、第3の回転体820cおよび第4の回転体820dは、この順でモータ800に近い方から順に、伝達部810の周囲に、伝達部810と一体的に回転可能に設けられている。第1の回転体820a、第2の回転体820b、第3の回転体820cおよび第4の回転体820dは、全て実質的に同一の構成を有する。
【0128】
また、軸受812は、第1の回転体820aよりもモータ800側において、伝達部810の周囲に、伝達部810を回転可能に支持するように設けられている。また、軸受814は、第4の回転体820dよりもモータ800とは反対側において、伝達部810の周囲に、伝達部810を回転可能に支持するように設けられている。さらに、軸受816は、第2の回転体820bと第3の回転体820cとの間において、伝達部810の周囲に、伝達部810を回転可能に支持する。なお、図14には、3つの軸受を示しているが、軸受の数は2つ以下であってよいし、4つ以上であってよい。軸受の数が多いほど、たとえば第1~第4の回転体820a~820dの回転が安定し、さらに軸受の消耗が少なく長期間の運用に有利になる。
【0129】
第1の回転体820aは、錘支持部822aおよび錘824aを有し、第2の回転体820bは、錘支持部822bおよび錘824bを有し、第3の回転体820cは、錘支持部822cおよび錘824cを有し、第4の回転体820dは、錘支持部822dおよび錘824dを有する。錘支持部822は、円盤状であり、伝達部810の周囲に設けられている。また、錘支持部822の円周の一部には、錘824が設けられている。本実施形態では、Z軸方向に見たとき、錘824a~824dは、全て同じ位置に配置されており、錘支持部822の回転時においても、その位置関係は変わらない。
【0130】
モータ800が駆動されると、回転軸804が回転する。回転軸804の回転に伴い、伝達部810が回転軸804を中心に、図14の矢印で示す方向に回転する。この回転に伴い、第1の回転体820a、第2の回転体820b、第3の回転体820cおよび第4の回転体820dは、回転軸804を中心に回転する。このとき、錘824a~824dは、全て同位相で回転する。このため、錘824a~824dの回転により発生する力は互いに強め合う。したがって、本実施形態に係る震源部80によれば、水平面内で回転する振動を発生させることができる。
【0131】
第8実施形態に係る震源部80が発生させる振動は、第6実施形態に係る震源部70とは異なり、互いに直交する2つの水平成分を有する。このため、第8実施形態に係る震源ユニットは、振動の2つの水平成分を検知できるように、互いに直交するように配置された2つの受振器を有してよい。
【0132】
上記実施形態によれば、第1実施形態に係る震源部130は、鉛直方向の振動を発生させることができ、第6実施形態に係る震源部70は、水平面上の一方向の振動を発生させることができ、第8実施形態に係る震源部80は、水平面内で回転する方向の振動を発生させることができる。このため、必要に応じて震源ユニットを地上に取り出し、震源部の構成を変更することによって、発生させる振動の成分の方向を所望の条件に変更できる。
【0133】
(第9実施形態)
図15は、第9実施形態に係る震源ユニット90の斜視図である。本実施形態に係る震源ユニット90は、地表98に配置される。第9実施形態に係る震源ユニット90は、収容部92(カプラ)、震源装置94および錘96を備える。
【0134】
収容部92は、円筒形の孔920で構成された、開口部922を有する内部空間を有し、その内部空間には、震源装置94が配置されている。収容部92は、たとえばコンクリートなどで構成されてよい。収容部92の上面には、収容部92を地表98に結合させるための錘96が配置される。錘96の重さによって収容部92が地表98に押圧されることにより、収容部92が地表98に結合される。これにより、震源装置94が発生させる振動が地面に伝達され易くなる。震源装置の振動が大きい場合には、錘96を増やしてもよい。
【0135】
震源装置94は、上記実施形態において説明した震源部を有してよい。この場合、Z軸に対応する方向は、水平方向になる。このため、図5に示す第1実施形態に示す震源部130を用いる場合、水平方向の振動を発生させることができる。また、Y軸方向に対応する方向が鉛直方向となるように、図12に示す第6実施形態に係る震源部70を配置すると、鉛直方向の振動を発生させることができる。震源装置94は、内部空間の開口部922から脱着可能に内部空間に配置されているため、必要に応じて収容部92から震源装置94を取り外すことができる。これにより、震源部の部材(たとえば、ギア、モータおよび錘など)を変更し、震源装置を再度収容部92に収容することによって、新たな条件の振動を用いて、地震探査することが可能となる。
【0136】
(補足)
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0137】
1,2,3,4 地震探査システム、10,94 震源装置、12,14,16,18,19,90 震源ユニット、20,26 信号取得装置、20,22,24 受振器、30,32,34,36 管理装置、37 レーザ装置、42、44,46,48,49 穴、62,140 結合機構、70,80 震源部、92,100 収容部、120 支持体、130 震源部、160 モータ、170 第1の回転体、180 第2の回転体、260 光ファイバ、370 光源、372 取得部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図15