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特開2024-39390セメント製造設備のCO2回収システムおよびセメント製造設備のCO2回収方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039390
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】セメント製造設備のCO2回収システムおよびセメント製造設備のCO2回収方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 7/44 20060101AFI20240314BHJP
【FI】
C04B7/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143909
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】521297587
【氏名又は名称】UBE三菱セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】島 裕和
【テーマコード(参考)】
4G112
【Fターム(参考)】
4G112KA05
(57)【要約】
【課題】原料起源のCOと燃料起源のCOとを効率よく回収することができるセメント製造設備のCO回収システムを提供する。
【解決手段】セメント製造用キルン10および間接加熱型仮焼炉20を有し、間接加熱型仮焼炉20から排出された燃焼排ガスを含む排ガスが流れる燃焼排ガス管30と、燃焼排ガス管30と接続する吸気口と、排気口とを有する排ガス熱交換器40と、排ガス熱交換器40の排気口と接続する排ガス導入口と、酸化カルシウム導入口と、炭酸カルシウム取出口と、排ガス排出口とを有し、ガス導入口から導入された排ガスと酸化カルシウム導入口から導入された酸化カルシウムとを接触させることにより、前記排ガス中のCOと酸化カルシウムを反応させて炭酸カルシウムを生成させる反応装置50と、反応装置50の炭酸カルシウム取出口から取り出された炭酸カルシウムを間接加熱型仮焼炉20の原料導入口に搬送する搬送装置と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメント製造用キルン、および、原料導入口と、仮焼物取出口と、CO取出口とを備え、前記原料導入口から導入されたセメント原料を、燃焼ガスを用いて間接的に仮焼してセメント原料仮焼物とCOを生成させる間接加熱型仮焼炉を有するセメント製造設備のCO回収システムであって、
前記間接加熱型仮焼炉から排出された燃焼排ガスを含む排ガスが流れる燃焼排ガス管と、
前記燃焼排ガス管と接続する吸気口と、排気口とを有する排ガス熱交換器と、
前記排ガス熱交換器の前記排気口と接続する排ガス導入口と、酸化カルシウム導入口と、炭酸カルシウム取出口と、ガス排出口とを有し、前記排ガス導入口から導入された排ガスと前記酸化カルシウム導入口から導入された酸化カルシウムとを接触させることにより、前記排ガス中のCOと前記酸化カルシウムを反応させて炭酸カルシウムを生成させる反応装置と、
前記反応装置の前記炭酸カルシウム取出口から取り出された前記炭酸カルシウムを、前記間接加熱型仮焼炉の前記原料導入口に搬送する搬送装置と、を有するセメント製造設備のCO回収システム。
【請求項2】
前記セメント製造用キルンにおいて生成した排ガスを、前記排ガス熱交換器の前記吸気口に搬送する配管を有する請求項1に記載のセメント製造設備のCO回収システム。
【請求項3】
前記セメント原料仮焼物が酸化カルシウムを含み、前記間接加熱型仮焼炉の前記仮焼物取出口から取り出された前記セメント原料仮焼物を、前記セメント製造用キルンに搬送する第1搬送路と、前記反応装置の前記酸化カルシウム導入口に搬送する第2搬送路とを有する請求項1または2に記載のセメント製造設備のCO回収システム。
【請求項4】
前記第2搬送路に冷却器が配置されている請求項3に記載のセメント製造設備のCO回収システム。
【請求項5】
前記セメント製造用キルンに搬送する前記セメント原料仮焼物の量と、前記反応装置の前記酸化カルシウム導入口に搬送する前記セメント原料仮焼物の量とを制御する酸化カルシウム量制御装置を有する請求項3に記載のセメント製造設備のCO回収システム。
【請求項6】
前記酸化カルシウム量制御装置は、前記反応装置の前記排ガス導入口から導入されたガスのCO濃度および前記反応装置の前記ガス排出口から排気されるガスのCO濃度の一方または両方に基づいて、前記反応装置の前記酸化カルシウム導入口に搬送する酸化カルシウム量を調整する請求項5に記載のセメント製造設備のCO回収システム。
【請求項7】
前記酸化カルシウム量制御装置は、前記反応装置の前記ガス取出し排出口から排気されるガスの温度、前記炭酸カルシウム取出口から取り出させる炭酸カルシウムの温度の一方または両方に基づいて、前記反応装置の前記酸化カルシウム導入口に搬送する酸化カルシウム量を調整する請求項5に記載のセメント製造設備のCO回収システム。
【請求項8】
前記酸化カルシウム量制御装置は、さらに前記反応装置の前記排ガス導入口から導入されたガスの温度、反応装置の前記酸化カルシウム導入口に導入された酸化カルシウムの温度と一方または両方に基づいて、前記反応装置の前記酸化カルシウム導入口に搬送する酸化カルシウム量を調整する請求項7に記載のセメント製造設備のCO回収システム。
【請求項9】
前記排ガス熱交換器は、セメント原料投入口と、前記セメント原料投入口から供給されたセメント原料と前記燃焼排ガスとを分離する固気分離装置とを含むプレヒータであって、前記プレヒータの前記セメント原料投入口から供給するセメント原料の量を制御するセメント原料量制御装置を有する請求項1または2に記載のセメント製造設備のCO回収システム。
【請求項10】
前記反応装置内に、冷却部を有する請求項1または2に記載のセメント製造設備のCO回収システム。
【請求項11】
前記冷却部が、水の吸熱によって水蒸気を発生させるボイラである請求項10に記載のセメント製造設備のCO回収システム。
【請求項12】
前記間接加熱型仮焼炉の内圧を減圧する減圧装置を有する請求項1または2に記載のセメント製造設備のCO回収システム。
【請求項13】
前記反応装置の内圧を加圧する加圧装置を有する請求項1または2に記載のセメント製造設備のCO回収システム。
【請求項14】
前記セメント製造用キルンおよび前記間接加熱型仮焼炉を除く他の装置で発生したCO含有ガスを、前記排ガス熱交換器の前記吸気口もしくは前記反応装置の前記排ガス導入口に搬送する配管を有する請求項1または2に記載のセメント製造設備のCO回収システム。
【請求項15】
セメント製造用キルン、および、原料導入口と、仮焼物取出口と、CO取出口とを備える間接加熱型仮焼炉を有するセメント製造設備のCO回収方法であって、
前記間接加熱型仮焼炉の前記原料導入口から導入されたセメント原料を、燃焼ガスを用いて間接的に加熱、仮焼してセメント原料仮焼物とCOを生成させて、前記COを回収するCO回収工程と、
前記間接加熱型仮焼炉から排出された燃焼排ガスを、排ガス熱交換器に導入して450℃以下に冷却する冷却工程と、
450℃以下に冷却された前記燃焼排ガスと酸化カルシウムとを接触させることにより、前記燃焼排ガス中のCOと前記酸化カルシウムを反応させて炭酸カルシウムを生成させる炭酸カルシウム生成工程と、
前記炭酸カルシウムを前記間接加熱型仮焼炉の前記原料導入口に供給する炭酸カルシウム供給工程と、を含むセメント製造設備のCO回収方法。
【請求項16】
前記排ガス熱交換器に前記燃焼ガスを導入する前に、前記燃焼排ガスと前記セメント製造用キルンにおいて生成した排ガスとを混合して混合排ガスを生成させる混合工程を含み、前記冷却工程において、前記混合排ガスを450℃以下に冷却する請求項15に記載のセメント製造設備のCO回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメント製造設備のCO回収システムおよびセメント製造設備のCO回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セメント製造設備では、セメントの製造時にCOが多量に発生する。セメントの製造時に発生するCOには、原料起源のCOと燃料起源のCOとがある。原料起源のCOは、セメント原料の主要成分である炭酸カルシウム(石灰石)が熱分解して酸化カルシウム(生石灰)を生成することによって発生するCOである。燃料起源のCOは、セメント原料を焼成する際の熱源として利用した燃焼ガスの排ガス中のCOである。
【0003】
セメント製造設備のCOの排出量を削減するために、セメントの製造時に発生するCOを回収するシステムが検討されている。原料起源のCOを高効率で回収できるシステムとして、燃焼ガスを用いて、炭酸カルシウムの熱分解温度以上に加熱した熱媒体と、セメント原料とを混合か焼炉で混合し、セメント原料を加熱して仮焼することによって生成した原料起源のCOを回収するシステムが検討されている(特許文献1、2)。特許文献1には、熱媒体を加熱するために用いた燃焼ガスの排ガス(燃焼排ガス)とセメント原料をプレヒータに供給して、セメント原料を燃焼排ガスで予熱することが記載されている。また、特許文献2には、仮焼後のセメント原料の一部を熱交換器で降温させた後、プレヒータに戻して、セメント原料と燃焼排ガスと接触させて、セメント原料中の酸化カルシウムに燃焼排ガス中の燃料起源のCOを吸収させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-292715号公報
【特許文献2】特開2011-088760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているセメント製造設備では、セメント原料を燃焼排ガスで予熱しているため、セメント製造設備における熱源を有効活用することができる。しかしながら、燃焼排ガスは高温であるため、セメント原料を燃焼排ガスで予熱する際に、炭酸カルシウムの一部が熱分解して、プレヒータ内にて原料起源のCOが生成することがある。また、特許文献2に記載されているセメント製造設備では、酸化カルシウムと燃焼排ガス中のCOとを反応させることによって発生した反応熱により燃焼排ガスの温度がさらに上昇して、酸化カルシウムとCOとの反応が抑制され、燃料起源のCOを酸化カルシウムに吸収させることが困難となるおそれがあった。
【0006】
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、原料起源のCOと燃料起源のCOとを効率よく回収することができるセメント製造設備のCO回収システムおよびセメント製造設備のCO回収方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の態様1のセメント製造設備のCO回収システムは、セメント製造用キルン、および、原料導入口と、仮焼物取出口と、CO取出口とを備え、前記原料導入口から導入されたセメント原料を、燃焼ガスを用いて間接的に仮焼してセメント原料仮焼物とCOを生成させる間接加熱型仮焼炉を有するセメント製造設備のCO回収システムであって、前記間接加熱型仮焼炉から排出された燃焼排ガスを含む排ガスが流れる燃焼排ガス管と、前記燃焼排ガス管と接続する吸気口と、排気口とを有する排ガス熱交換器と、前記排ガス熱交換器の前記排気口と接続する排ガス導入口と、酸化カルシウム導入口と、炭酸カルシウム取出口と、ガス排出口とを有し、前記排ガス導入口から導入された排ガスと前記酸化カルシウム導入口から導入された酸化カルシウムとを接触させることにより、前記燃焼排ガス中のCOと前記酸化カルシウムを反応させて炭酸カルシウムを生成させる反応装置と、前記反応装置の前記炭酸カルシウム取出口から取り出された前記炭酸カルシウムを、前記間接加熱型仮焼炉の前記原料導入口に搬送する搬送装置と、を有する構成とされている。
【0008】
このような構成とされた本発明の態様1のセメント製造設備のCO回収システムによれば、間接加熱型仮焼炉でセメント原料を、燃焼ガスを用いて間接的に仮焼してセメント原料仮焼物とCOを生成させるので、間接加熱型仮焼炉内に高濃度のCOを生成させることができる。また、反応装置にて、前記燃焼排ガス中のCOと酸化カルシウムを反応させて炭酸カルシウムを生成させ、生成した炭酸カルシウムを搬送装置にて間接加熱型仮焼炉に供給するので、前記燃焼排ガス中のCOを回収することができる。さらに、前記燃焼排ガスの温度を、排ガス熱交換器を用いて低減させた後、反応装置にて酸化カルシウムとCOとを反応させるので、反応装置内でのCOと酸化カルシウムとの反応が促進される。よって、前記燃焼排ガス中のCOを回収効率が向上する。したがって、本発明のセメント製造設備のCO回収システムによれば、原料起源のCOと燃料起源のCOとを効率よく回収することができる。さらに、酸化カルシウムと前記燃焼排ガス中のCOとの反応によって発生した熱を、セメント原料の予熱などに利用することによって燃焼ガスの使用量を少なくすることができる。
【0009】
本発明の態様2は、態様1のセメント製造設備のCO回収システムにおいて、前記セメント製造用キルンから排出されたキルン排ガスを、前記排ガス熱交換器の前記吸気口に搬送する配管を有する構成とされている。
本発明の態様2のセメント製造設備のCO回収システムによれば、前記間接加熱型仮焼炉から排出された燃焼排ガス中のCOとともに、セメント製造用キルンから排出されたキルン排ガス中のCOを回収することができる。また、前記キルン排ガス中のCOと酸化カルシウムとを反応させることによって発生した反応熱を、セメント原料の予熱などに利用することによって燃焼ガスの使用量をより少なくすることができる。
【0010】
本発明の態様3は、態様1または態様2のセメント製造設備のCO回収システムにおいて、前記セメント原料仮焼物が酸化カルシウムを含み、前記間接加熱型仮焼炉の前記仮焼物取出口から取り出された前記セメント原料仮焼物を、前記セメント製造用キルンに搬送する第1搬送路と、前記反応装置の前記酸化カルシウム導入口に搬送する第2搬送路とを有する構成とされている。
本発明の態様3のセメント製造設備のCO回収システムによれば、セメント原料仮焼物を用いて前記燃焼排ガス中のCOを回収することができる。また、前記燃焼排ガス中のCOに接触させる酸化カルシウムの量の調整が容易になる。
【0011】
本発明の態様4は、態様3のセメント製造設備のCO回収システムにおいて、前記第2搬送路に冷却器が配置されている構成とされている。
本発明の態様4のセメント製造設備のCO回収システムによれば、前記間接加熱型仮焼炉から排出された燃焼排ガスと接触させる酸化カルシウムの温度を低下させることができるので、前記燃焼排ガス中のCOと酸化カルシウムとを反応させることによって反応熱が発生しても、生成する炭酸カルシウムの温度を所定の温度に保つことができる。このため、前記燃焼排ガスの温度が上昇しにくくなり、前記燃焼排ガス中のCOをより高い効率で回収することができる。
【0012】
本発明の態様5は、態様3または態様4のセメント製造設備のCO回収システムにおいて、前記セメント製造用キルンに搬送する前記セメント原料仮焼物の量と、前記反応装置の前記酸化カルシウム導入口に搬送する前記セメント原料仮焼物の量とを制御する酸化カルシウム量制御装置を有する構成とされている。
本発明の態様5のセメント製造設備のCO回収システムによれば、反応装置に搬送する酸化カルシウムの量を調整することが可能となるので、前記燃焼排ガス中のCOを回収するために必要な量の酸化カルシウムを反応装置に供給することができる。このため、前記燃焼排ガス中のCOをさらに高い効率で回収することができる。
【0013】
本発明の態様6は、態様5のセメント製造設備のCO回収システムにおいて、前記酸化カルシウム量制御装置は、前記反応装置の前記排ガス導入口から導入されたガスのCO濃度および前記反応装置の前記ガス排出口から排気されるガスのCO濃度の一方または両方に基づいて、前記反応装置の前記酸化カルシウム導入口に搬送する酸化カルシウム量を調整する構成とされている。
本発明の態様6のセメント製造設備のCO回収システムによれば、前記燃焼排ガス中のCOを回収するために必要な量の酸化カルシウムを反応装置に確実に供給することができる。このため、燃焼ガス中のCOをさらに高い効率で回収することができる。
【0014】
本発明の態様7は、態様5または態様6のセメント製造設備のCO回収システムにおいて、前記反応装置の前記ガス取出し排出口から排気されるガスの温度、前記炭酸カルシウム取出口から取り出させる炭酸カルシウムの温度の一方または両方に基づいて、前記反応装置の前記酸化カルシウム導入口に搬送する酸化カルシウム量を調整する構成とされている。
本発明の態様7のセメント製造設備のCO回収システムによれば、前記燃焼排ガス中のCOを回収するために必要な量の酸化カルシウムを反応装置に確実に供給することができる。このため、燃焼ガス中のCOをさらに高い効率で回収することができる。
【0015】
本発明の態様8は、態様7のセメント製造設備のCO回収システムにおいて、前記酸化カルシウム量制御装置は、さらに前記反応装置の前記排ガス導入口から導入されたガスの温度、反応装置の前記酸化カルシウム導入口に導入された酸化カルシウムの温度と一方または両方に基づいて、前記反応装置の前記酸化カルシウム導入口に搬送する酸化カルシウム量を調整する構成とされている。
本発明の態様8のセメント製造設備のCO回収システムによれば、前記燃焼排ガス中のCOを回収するために必要な量の酸化カルシウムを反応装置にさらに確実に供給することができる。このため、燃焼ガス中のCOをさらに高い効率で回収することができる。
【0016】
本発明の態様9は、態様1から態様8のいずれか一つのセメント製造設備のCO回収システムにおいて、前記排ガス熱交換器は、セメント原料投入口と、前記セメント原料投入口から供給されたセメント原料と前記燃焼排ガスとを分離する固気分離装置とを含むプレヒータであって、前記プレヒータの前記セメント原料投入口から供給するセメント原料の量を制御するセメント原料量制御装置を有する構成とされている。
本発明の態様9のセメント製造設備のCO回収システムによれば、前記燃焼排ガスの熱でセメント原料を予熱するので、セメント原料を間接加熱するときの熱量、すなわち燃焼ガスの使用量を少なくすることができる。よって、燃料起源のCOの発生量を低減させることができる。
【0017】
本発明の態様10は、態様1から態様9のいずれか一つのセメント製造設備のCO回収システムにおいて、前記反応装置内に、冷却部を有する構成とされている。
本発明の態様10のセメント製造設備のCO回収システムによれば、冷却部を用いて反応装置内の温度を低くすることにより、反応装置内でのCOと酸化カルシウムとの反応が促進される。よって、前記燃焼排ガス中のCOの回収効率が向上する。
【0018】
本発明の態様11は、態様10のセメント製造設備のCO回収システムにおいて、前記冷却部が、水の吸熱によって水蒸気を発生させるボイラである構成とされている。
本発明の態様11のセメント製造設備のCO回収システムによれば、反応装置内の温度を効率よく低下させることができる。
【0019】
本発明の態様12は、態様1から態様11のいずれか一つのセメント製造設備のCO回収システムにおいて、前記間接加熱型仮焼炉の内圧を減圧する減圧装置を有する構成とされている。
本発明の態様12のセメント製造設備のCO回収システムによれば、間接加熱型仮焼炉の内圧を減圧することによって、間接加熱型仮焼炉内での炭酸カルシウムの熱分解温度を下げることができる。これにより、セメント原料を間接加熱するときの熱量、すなわち燃焼ガスの使用量を少なくすることができる。よって、燃料起源のCOの発生量を低減させることができる。さらに、間接加熱型仮焼炉から排出された燃焼排ガスの温度を低下させることができ、前記排ガス熱交換器における原料起源のCOが生成することを抑制できる。
【0020】
本発明の態様13は、態様1から態様12のいずれか一つのセメント製造設備のCO回収システムにおいて、前記反応装置の内圧を加圧する加圧装置を有する構成とされている。
本発明の態様13のセメント製造設備のCO回収システムによれば、反応装置の内圧を加圧することによって、炭酸カルシウムの熱分解温度を高くすることができる。これにより、前記燃焼排ガス中のCOと酸化カルシウムとの反応が促進され、前記燃焼排ガス中のCOをさらに高い効率で回収することができる。
【0021】
本発明の態様14は、態様1から態様13のいずれか一つのセメント製造設備のCO回収システムにおいて、前記セメント製造用キルンおよび前記間接加熱型仮焼炉を除く他の装置で発生したCO含有ガスを、前記排ガス熱交換器の前記吸気口もしくは前記反応装置の前記排ガス導入口に搬送する配管を有する構成とされている。
本発明の態様14のセメント製造設備のCO回収システムによれば、セメント製造用キルンおよび間接加熱型仮焼炉を除く他の装置で発生したCOを効率よく回収することができ、大気に放出されるCOを低減することができる。
【0022】
本発明の態様15のセメント製造設備のCO回収方法は、セメント製造用キルン、および、原料導入口と、仮焼物取出口と、CO取出口とを備える間接加熱型仮焼炉を有するセメント製造設備のCO回収方法であって、前記間接加熱型仮焼炉の前記原料導入口から導入されたセメント原料を、燃焼ガスを用いて間接的に加熱、仮焼してセメント原料仮焼物とCOを生成させて、前記COを回収するCO回収工程と、前記間接加熱型仮焼炉から排出された燃焼排ガスを、排ガス熱交換器に導入して450℃以下に冷却する冷却工程と、450℃以下に冷却された前記燃焼排ガスと酸化カルシウムとを接触させることにより、前記燃焼排ガス中のCOと前記酸化カルシウムを反応させて炭酸カルシウムを生成させる炭酸カルシウム生成工程と、前記炭酸カルシウムを前記間接加熱型仮焼炉の前記原料導入口に供給する炭酸カルシウム供給工程と、を含む構成とされている。
【0023】
このような構成とされた本発明の態様15のセメント製造設備のCO回収方法によれば、CO回収工程にて、セメント原料を、燃焼ガスを用いて間接的に仮焼してセメント原料仮焼物とCOを生成させるので、間接加熱型仮焼炉内に高濃度のCOを生成させることができる。また、炭酸カルシウム生成工程にて、燃焼排ガス中のCOと酸化カルシウムを反応させて炭酸カルシウムを生成させ、炭酸カルシウム供給工程にて、生成した炭酸カルシウムを搬送装置にて間接加熱型仮焼炉に供給するので、燃焼排ガス中のCOを回収することができる。さらに、冷却工程にて、燃焼排ガスの温度を、排ガス熱交換器を用いて450℃以下に低減させた後、炭酸カルシウム生成工程にて、燃焼排ガス中のCOと酸化カルシウムとを反応させるので、COと酸化カルシウムとの反応が促進される。よって、燃焼排ガス中のCOを回収効率が向上する。したがって、態様13のセメント製造設備のCO回収方法によれば、原料起源のCOと燃料起源のCOとを効率よく回収することができる。さらに、酸化カルシウムと燃焼排ガス中のCOとの反応によって発生した熱を、セメント原料の予熱などに利用することによって、セメント原料を間接加熱するときの熱量(燃焼ガスの使用量)を少なくすることができる。よって、燃料起源のCOの発生量を低減させることができる。
【0024】
本発明の態様16は、態様15のセメント製造設備のCO回収方法において、前記排ガス熱交換器に前記燃焼ガスを導入する前に、前記燃焼排ガスと前記セメント製造用キルンにおいて生成した排ガスとを混合して混合排ガスを生成させる混合工程を含み、前記冷却工程において、前記混合排ガスを450℃以下に冷却する構成とされていてもよい。
本発明の態様16のセメント製造設備のCO回収方法によれば、燃焼排ガス中のCOとともに、セメント製造用キルンの排ガス中のCOを回収することができる。また、セメント製造用キルンの排ガス中のCOと酸化カルシウムとを反応させることによって発生した反応熱を、セメント原料の予熱などに利用することによって、セメント原料を間接加熱するときの熱量(燃焼ガスの使用量)、および、前記セメント製造用キルンにおける燃焼ガスの使用量を少なくすることができる。よって、燃料起源のCOの発生量を低減させることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、原料起源のCOと燃料起源のCOとを効率よく回収することができるセメント製造設備のCO回収システムおよびセメント製造設備のCO回収方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1実施形態に係るセメント製造設備のCO回収システムを示す概略構成図である。
図2】本発明の第2実施形態に係るセメント製造設備のCO回収システムを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係るセメント製造設備のCO回収システムおよびセメント製造設備のCO回収方法について説明する。なお、以下に示す各実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0028】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るセメント製造設備のCO回収システムを示す概略構成図である。なお、図1において、実線の矢印は、物質の流れを模式的に表し、破線の矢印は、気体の流れを模式的に表している。
図1に示すように、セメント製造設備のCO回収システム101は、セメント製造用キルン10と、間接加熱型仮焼炉20とを有する。
【0029】
セメント製造用キルン10は、回転可能な円筒形の炉体11と、この炉体11の内部を加熱する主バーナ12とを備える。炉体11は一方の端部にセメント原料仮焼物導入部を有し、他方の端部にセメントクリンカ取出部を有する。セメントクリンカ取出部はクリンカクーラー13と接続されている。クリンカクーラー13は、冷却ファンなどの冷却装置を有する。セメント製造用キルン10は、セメント原料仮焼物を、主バーナ12を用いて焼成することにより、セメントクリンカとCOを生成させる。生成した原料起源のCOと主バーナ12の排ガスはキルン排ガス管14にて取り出される。クリンカクーラー13は、空気との熱交換によりセメントクリンカを冷却する。クリンカクーラー13からは、セメントクリンカを冷却したときに得られる高温空気CGが取り出される。
【0030】
間接加熱型仮焼炉20は、下部に原料導入口を、上部に仮焼物取出口を備える。仮焼物取出口は、仮焼物取出管21に接続されている。また、間接加熱型仮焼炉20は、内部に燃焼ガスが流れる燃焼ガス管23を備える。燃焼ガス管23の燃焼ガス排気口は燃焼排ガス管30に接続され、燃焼排ガス管30の他方の端部は固気分離装置31に接続されている。固気分離装置31はキルン排ガス管14と排ガス熱交換器40に接続されている。排ガス熱交換器40は反応装置50に接続されている。反応装置50は反応生成ガス熱交換器60に接続されている。
【0031】
間接加熱型仮焼炉20は、燃焼ガス管23を流れる燃焼ガスの熱によって、セメント原料を加熱、仮焼してセメント原料仮焼物とCOを生成させる。
セメント原料としては、例えば、主成分が石灰石(炭酸カルシウム)で、その他に粘土成分(SiO、Al、Fe)を含む混合粉末を用いることができる。このセメント原料を加熱、仮焼することによって、セメント原料中の石灰石の一部もしくは全部が熱分解して酸化カルシウムを含むセメント原料仮焼物とCOとが生成する。
【0032】
仮焼物取出管21は、間接加熱型仮焼炉20内で生成したセメント原料仮焼物とCOを外部に取り出すための配管である。仮焼物取出管21は、固気分離装置22に接続されている。固気分離装置22は、セメント原料仮焼物とCOとを分離する。固気分離装置22としては、例えば、サイクロンを用いることができる。固気分離装置22の気体取出口は、CO熱交換器70の吸気口(配管72a)と接続されている。固気分離装置22のセメント原料仮焼物取出口は搬送路Aと接続されている。
【0033】
CO熱交換器70は、上下方向に直列的に配置された3つの固気分離装置71a、71b、71cと、固気分離装置71a、71b、71cを接続する配管72a、72b、72cとを有する。最上段の固気分離装置71cは、排CO管72dが接続されている。排CO管72dは、送風機73が配置されている。最上段の固気分離装置71cと中段の固気分離装置71bとの間の配管72cは、セメント原料投入口が配置されている。セメント原料の投入量は、セメント原料量制御装置によって制御されている。最下段の固気分離装置71aの固形物取出口は搬送路Eと接続されている。搬送路Eは、間接加熱型仮焼炉20の原料導入口と接続されている。固気分離装置71a、71b、71cとしては、例えば、サイクロンを用いることができる。CO熱交換器70は、セメント原料投入口から導入されたセメント原料とCOとを接触させることによって、セメント原料を予熱するプレヒータとして作用する。
【0034】
搬送路Aとしては、パイプラインなどのセメント原料の搬送装置として利用されている装置を用いることができる。搬送路Aは、酸化カルシウム量制御装置55に接続されている。酸化カルシウム量制御装置55は、第1搬送路A1と第2搬送路A2とに接続されている。第1搬送路A1は、セメント原料仮焼物をセメント製造用キルン10に搬送する搬送路である。第2搬送路A2は、セメント原料仮焼物を反応装置50に搬送する搬送路である。酸化カルシウム量制御装置55は、セメント製造用キルン10に搬送するセメント原料仮焼物の量と、反応装置50の酸化カルシウム導入口に搬送するセメント原料仮焼物の量とを制御する。
【0035】
酸化カルシウム量制御装置55は、反応装置50のガス導入口(反応管51)から導入されたガスのCO濃度および反応装置50のガス排出口(固気分離装置52)から排気されるガスのCO濃度の一方または両方に基づいて、反応装置50の酸化カルシウム導入口に搬送する酸化カルシウム量を調整してもよい。あるいは、反応装置50のガス排出口から排気されるガスの温度、炭酸カルシウム取出口から取り出させる炭酸カルシウムの温度の一方または両方に基づいて、反応装置50の酸化カルシウム導入口に搬送する酸化カルシウム量を調整する構成としてもよい。さらに、反応装置50の排ガス導入口から導入されたガスの温度、反応装置50の酸化カルシウム導入口に導入された酸化カルシウムの温度と一方または両方に基づいて、反応装置50の酸化カルシウム導入口に搬送する酸化カルシウム量を調整する構成としてもよい。
【0036】
第2搬送路A2には、セメント原料仮焼物を冷却するための冷却器56が配置されている。冷却器56は、熱交換器であってもよい。
【0037】
燃焼ガス管23は、外部から供給された燃料ガスと燃焼用空気を含む混合気体の燃焼により燃焼ガスを生成させることにより、間接加熱型仮焼炉20内を加熱する。本実施形態では、燃料ガスとして天然ガスを用い、燃焼用空気として、クリンカクーラー13から取り出された高温空気CGを用いる。燃焼ガスとしては、天然ガス、石油、石炭などの燃料を別の燃焼炉で燃焼させて生成させた高温の燃焼ガスを用いることができる。
【0038】
燃焼排ガス管30は燃焼ガス管23から送られた排ガス(燃焼排ガス)を固気分離装置31に供給する。
【0039】
固気分離装置31は、燃焼排ガス管30に接続する燃焼排ガス導入口と、炭酸カルシウム取出口と、固形物取出口と、ガス排出口とを有する。また、反応装置50は、キルン排ガス管14に接続するキルン排ガス導入口を有する。固気分離装置31は、燃焼排ガスとキルン排ガスとを混合して、混合排ガスが生成される。固気分離装置31は、燃焼排ガスとキルン排ガスとを混合して、混合排ガスを生成させ、その混合排ガスとその混合排ガス中の固形分とを分離する。固気分離装置31の気体取出口は、排ガス熱交換器40の吸気口(配管42a)と接続されている。固気分離装置31の固形物取出口は、搬送路Bと接続されている。搬送路Bは、間接加熱型仮焼炉20の原料導入口と接続されている。
【0040】
排ガス熱交換器40は、上下方向に直列的に配置された3つの固気分離装置41a、41b、41cと、固気分離装置41a、41b、41cを接続する配管42a、42b、42cとを有する。最上段の固気分離装置41cは反応装置50と接続されている。最上段の固気分離装置41cと中段の固気分離装置41bとの間の配管42cに、セメント原料投入口を備える。セメント原料の投入量は、セメント原料量制御装置によって制御されている。最下段の固気分離装置41aの固形物取出口から取り出されたセメント原料は、キルン排ガス管14に搬送される。固気分離装置41a、41b、41cとしては、例えば、サイクロンを用いることができる。排ガス熱交換器40は、セメント原料投入口から導入されたセメント原料と混合排ガスとを接触させて、セメント原料を予熱するプレヒータとして作用する。排ガス熱交換器40の排気口は、反応装置50のガス導入口(反応管51)と接続されている。
【0041】
反応装置50は、排ガス導入口を有する反応管51と、反応管51と接続する固気分離装置52とを含む。
反応管51は、送風機53が配置されている。反応管51は、第2搬送路A2に接続するセメント原料仮焼物導入口を有する。反応管51にて、送風機53にて送られた混合排ガスと、第2搬送路A2から送られたセメント原料仮焼物とを接触させる。これにより、混合排ガス中のCOとセメント原料仮焼物中の酸化カルシウムとが反応して、炭酸カルシウムとCOが除去された反応生成ガスとが生成する。
【0042】
固気分離装置52は、反応管51にて生成した炭酸カルシウムと反応生成ガスとを固気分離する。固気分離装置52としては、例えば、サイクロンを用いることができる。固気分離装置52は、反応生成ガス取出口と炭酸カルシウム取出口とを有する。反応生成ガスの取出口は、反応生成ガス熱交換器60の混合排ガス吸気口(配管62a)に接続されている。炭酸カルシウム取出口は、搬送路Cに接続されている。搬送路Cは、間接加熱型仮焼炉20の原料導入口と接続されている。
【0043】
反応生成ガス熱交換器60は、上下方向に直列的に配置された3つの固気分離装置61a、61b、61cと、固気分離装置61a、61b、61cを接続する配管62a、62b、62cとを有する。最上段の固気分離装置61cは、排ガス管62dが接続されている。排ガス管62dには、送風機63が配置されている。最上段の固気分離装置61cと中段の固気分離装置61bとの間の配管62cは、セメント原料投入口を備える。セメント原料の投入量は、セメント原料量制御装置によって制御されている。最下段の固気分離装置61aの固形物取出口は搬送路Dと接続されている。搬送路Dは、搬送路Cと接続されている。固気分離装置61a、61b、61cとしては、例えば、サイクロンを用いることができる。反応生成ガス熱交換器60は、セメント原料投入口から導入されたセメント原料と反応生成ガスとを接触させることによって、セメント原料を予熱するプレヒータとして作用する。
【0044】
次に、第1実施形態のセメント製造設備のCO回収システム101を用いたCOの回収方法とセメントの製造方法について説明する。
COの回収方法は、CO回収工程と、冷却工程と、炭酸カルシウム生成工程、炭酸カルシウム供給工程とを有する。
【0045】
CO回収工程では、間接加熱型仮焼炉20の原料導入口から導入されたセメント原料を、燃焼ガスを用いて間接的に加熱、仮焼してセメント原料仮焼物とCOを生成させる。セメント原料は、搬送路B、D、Eによって搬送された原料導入口に送られた予熱されたセメント原料、搬送路Cによって搬送された炭酸カルシウムを含む。CO回収工程は、間接加熱型仮焼炉20で行われる。本実施形態では、間接加熱型仮焼炉20の燃焼ガス管23に、燃料ガスと燃焼用空気を含む混合気体の燃焼により燃焼ガスを生成させて、間接加熱型仮焼炉20内の温度を上昇させることにより、セメント原料を加熱、仮焼してセメント原料仮焼物とCOを生成させる。間接加熱型仮焼炉20を用いることによって、セメント原料を燃焼ガスと接触させずに、セメント原料を仮焼することができる。このため、間接加熱型仮焼炉20内で発生する気体はCOのみとなり、間接加熱型仮焼炉20内のCO濃度は100%もしくはそれに近い値となる。
【0046】
間接加熱型仮焼炉20内の温度は、セメント原料に含まれる炭酸カルシウムが熱分解して酸化カルシウムを生成する温度である。炭酸カルシウムの熱分解温度は、間接加熱型仮焼炉20内の圧力によって変動する。間接加熱型仮焼炉20内の圧力が低くなるに伴って、炭酸カルシウムの熱分解温度は低くなる。間接加熱型仮焼炉20内の圧力を低くする方法としては、例えば、送風機73に減圧タイプの送風機を用いることである。間接加熱型仮焼炉20内の温度は、例えば、700℃以上1000℃以下の温度である。
【0047】
間接加熱型仮焼炉20内にて生成したCOは、仮焼物取出管21と固気分離装置22とを通ってCO熱交換器70に送られる。CO熱交換器70にて、COとセメント原料とが接触することによって、COの熱がセメント原料に移動して、セメント原料が予熱されるとともに、COの温度は低下する。熱交換されたCOは、CO熱交換器70の排CO管72dから外部に取り出すことができる。外部に取り出されたCOは、例えば、地中または海底下に貯留する方法などによって固定化される。予熱されたセメント原料は、固気分離装置71aで分離され、搬送路Eによって間接加熱型仮焼炉20の原料導入口に搬送される。
【0048】
冷却工程では、間接加熱型仮焼炉20から排出された燃焼排ガスを450℃以下に冷却する。間接加熱型仮焼炉20から排出された燃焼排ガスを含む高温混合ガスは、燃焼排ガス管30を介して固気分離装置31に送られ、固気分離装置31にて、キルン排ガスとは混合されて混合排ガスを生成する。固気分離装置31内の混合排ガスの温度は、例えば、750℃以上850℃以下の温度である。酸化カルシウムとCOとが反応して炭酸カルシウムを生成する反応は発熱反応である。このため、上記の温度中で、混合排ガスと第2搬送路A2から送られたセメント原料仮焼物とを接触させ、混合排ガスとセメント原料仮焼物中の酸化カルシウムとを反応させると、高温混合ガスの温度がさらに上昇して、酸化カルシウムとCOとの反応が抑制され、炭酸カルシウムが生成しにくくなるおそれがある。このため、本実施形態では、冷却工程で、混合排ガスの温度を450℃以下、好ましくは300℃以下とする。
【0049】
冷却工程は、排ガス熱交換器40で行われる。本実施形態では、冷却工程を次のようにして行う。排ガス熱交換器40の配管42aに導入された混合排ガスは、上方に向かって流れる。この混合排ガスに対して、セメント原料を配管42cに供給する。配管42cに供給されたセメント原料は、配管42cを流れる混合排ガスに随伴して固気分離装置41cに流入する。固気分離装置41cにて、セメント原料と混合排ガスとは分離され、分離されたセメント原料は配管42bに送られる。配管42bに送られたセメント原料は、配管42bを流れる混合排ガスに随伴して固気分離装置41bに流入する。固気分離装置41bにて、セメント原料と混合排ガスとは分離され、分離されたセメント原料は配管42aに送られる。配管42aに送られたセメント原料は、配管42aを流れる混合排ガスに随伴して固気分離装置41aに流入する。固気分離装置41aにて、セメント原料と混合排ガスとは分離され、分離されたセメント原料はキルン排ガス管14に送られる。キルン排ガス管14に送られたセメント原料は、キルン排ガス管14を流れるキルン排ガスに随伴して固気分離装置31に流入する。固気分離装置31にて、セメント原料と混合排ガスとは分離され、分離されたセメント原料は、搬送路Bにて間接加熱型仮焼炉20の原料導入口に送られる。セメント原料と混合排ガスとが接触することによって、混合排ガスの熱がセメント原料に移動して、セメント原料が予熱されるとともに、混合排ガスの温度は低下する。
【0050】
炭酸カルシウム生成工程では、450℃以下に冷却された燃焼排ガス(混合排ガス)と酸化カルシウムとを接触させることにより、燃焼排ガス中のCOと前記酸化カルシウムを反応させて炭酸カルシウムを生成させる。炭酸カルシウム生成工程は、反応装置50の反応管51で行われる。本実施形態では、炭酸カルシウム生成工程を次のようにして行う。反応装置50の反応管51に導入された混合排ガスと、反応管51に導入されたセメント原料仮焼物とを接触させ、混合排ガス中COとセメント原料仮焼物中の酸化カルシウムとを反応させる。酸化カルシウムとCOとの反応により生成する反応生成物(炭酸カルシウムおよび反応生成ガス)の温度は750℃以下であることが好ましい。反応生成物の温度がこの範囲にあると、酸化カルシウムとCOとの反応が起こりやすくなり、炭酸カルシウムが生成しやすくなる。反応生成物の温度を低下させるために、反応管51に導入するセメント原料仮焼物は、冷却器56にて300℃以下に冷却することが好ましい。また、反応管51および固気分離装置52の一方または両方に冷却部を設けて、反応管51および固気分離装置52の一方または両方の内部を750℃以下に冷却してもよい。冷却部としては、水の吸熱によって水蒸気を発生させるボイラを用いることができる。
【0051】
炭酸カルシウム供給工程では、炭酸カルシウム生成工程で生成した炭酸カルシウムを間接加熱型仮焼炉20の原料導入口に供給する。炭酸カルシウム供給工程は、反応装置50の固気分離装置52と搬送路Cで行われる。本実施形態では、炭酸カルシウム供給工程を次のようにして行う。反応装置50の反応管51で生成した反応生成物(炭酸カルシウムおよび反応生成ガス)は、固気分離装置52に送られる。固気分離装置52にて、反応生成物は炭酸カルシウムと反応生成ガスとに分離される。炭酸カルシウムは、固気分離装置52の炭酸カルシウム取出口から取り出され、搬送路Cによって間接加熱型仮焼炉20の原料導入口に送られる。間接加熱型仮焼炉20では、炭酸カルシウムを加熱、仮焼してセメント原料仮焼物とCOを生成させる。炭酸カルシウムから生成したCOは燃料由来のCOを多く含む。よって、燃料由来のCOを効率よく回収できる。
【0052】
固気分離装置52の反応生成ガス取出口から取り出された反応生成ガスは、反応生成ガス熱交換器60に送られる。反応生成ガス熱交換器60にて、反応生成ガスとセメント原料とが接触することによって、反応生成ガスの熱がセメント原料に移動して、セメント原料が予熱されるとともに、反応生成ガスの温度が低下する。熱交換された反応生成ガスは、COを多く含まないため、反応生成ガス熱交換器60の排ガス管62dから外部に放出することができる。また、熱交換された反応生成ガスの熱を排熱ボイラで回収したり、セメント原料の乾燥に利用したりしてもよい。
【0053】
セメントの製造は、セメント製造用キルン10で行われる。
本実施形態では、固気分離装置22にて分離されたセメント原料仮焼物が、酸化カルシウム量制御装置55を介した後、第1搬送路A1によってセメント製造用キルン10に搬送される。第1搬送路A1から搬送されたセメント原料仮焼物は、セメント製造用キルン10の炉体11内で主バーナ12によって焼成され、これによりセメントクリンカが生成する。
生成したセメントクリンカは、クリンカクーラー13に送られる。クリンカクーラー13にて、セメントクリンカは冷却される。冷却されたセメントクリンカは粉砕、分級されてセメントとして利用される。
【0054】
以上のような構成とされた本実施形態のセメント製造設備のCO回収システム101によれば、間接加熱型仮焼炉20にて、セメント原料を、燃焼ガスを用いて間接的に仮焼してセメント原料仮焼物とCOを生成させるので、間接加熱型仮焼炉20内に高濃度のCOを生成させることができる。また、反応装置50にて、燃焼排ガス中のCOと酸化カルシウムを反応させて炭酸カルシウムを生成させ、生成した炭酸カルシウムを搬送路Cにて間接加熱型仮焼炉20に供給するので、燃焼排ガス中のCOを回収することができる。さらに、燃焼排ガスの温度を、排ガス熱交換器を用いて低減させた後、反応装置にて酸化カルシウムとCOとを反応させるので、反応装置50内でのCOと酸化カルシウムとの反応が促進される。よって、燃焼排ガス中のCOを回収効率が向上する。したがって、セメント製造設備のCO回収システム101によれば、原料起源のCOと燃料起源のCOとを効率よく回収することができる。さらに、酸化カルシウムと燃焼排ガス中のCOとの反応によって発生した熱を、セメント原料の予熱などに利用することによって、セメント原料を間接加熱するときの熱量(燃焼ガスの使用量)を少なくすることができる。よって、燃料起源のCOの発生量を低減させることができる。
【0055】
また、本実施形態のセメント製造設備のCO回収システム101において、セメント製造用キルン10の排ガスを、排ガス熱交換器40の吸気口(配管42a)に搬送するキルン排ガス管14を有する場合は、燃焼排ガス中のCOとともに、セメント製造用キルン10の排ガス中のCOを回収することができる。また、セメント製造用キルン10の排ガス中のCOと酸化カルシウムとを反応させることによって発生した反応熱を、セメント原料の予熱などに利用することによって、セメント製造用キルン10における燃焼ガスの使用量をより少なくすることができる。よって、燃料起源のCOの発生量を低減させることができる。
【0056】
また、本実施形態のセメント製造設備のCO回収システム101において、セメント原料仮焼物が酸化カルシウムを含み、間接加熱型仮焼炉20の仮焼物取出口から取り出されたセメント原料仮焼物を、セメント製造用キルンに搬送する第1搬送路A1と、反応装置の前記酸化カルシウム導入口に搬送する第2搬送路A2とを有する場合は、セメント原料仮焼物を用いて燃焼排ガス中のCOを回収することができる。また、燃焼排ガス中のCOに接触させる酸化カルシウムの量の調整が容易になる。
【0057】
また、本実施形態のセメント製造設備のCO回収システム101において、第2搬送路A2に冷却器56が配置されている場合は、燃焼排ガスと接触させる酸化カルシウムの温度を低下させることができるので、燃焼排ガス中のCOと酸化カルシウムとを反応させることによって反応熱が発生しても、生成する炭酸カルシウムの温度を所定の温度に保つことができる。このため、燃焼排ガスの温度が上昇しにくくなり、燃焼排ガス中のCOをより高い効率で回収することができる。
【0058】
また、本実施形態のセメント製造設備のCO回収システム101において、セメント製造用キルン10に搬送するセメント原料仮焼物の量と、反応装置50の酸化カルシウム導入口に搬送するセメント原料仮焼物の量とを制御する酸化カルシウム量制御装置55を有する場合は、反応装置50に搬送するセメント原料仮焼物(酸化カルシウム)の量を調整することができるので、燃焼排ガス中のCOを回収するために必要な量の酸化カルシウムを反応装置50に搬送することができ、これにより燃料起源のCOをより高い効率で回収することができる。
【0059】
また、本実施形態のセメント製造設備のCO回収システム101において、酸化カルシウム量制御装置55は、反応装置50のガス導入口(反応管51)から導入されたガスのCO濃度および反応装置50のガス排出口(固気分離装置52)から排気されるガスのCO濃度の一方または両方に基づいて、反応装置50の酸化カルシウム導入口に搬送する酸化カルシウム量を調整する場合は、燃焼排ガス中のCOを回収するために必要な量の酸化カルシウムを反応装置50に確実に供給することができる。このため、燃焼ガス中のCOをさらに高い効率で回収することができる。
【0060】
また、本実施形態のセメント製造設備のCO回収システム101において、酸化カルシウム量制御装置55は、反応装置50のガス排出口から排気されるガスの温度、炭酸カルシウム取出口から取り出させる炭酸カルシウムの温度の一方または両方に基づいて、反応装置50の酸化カルシウム導入口に搬送する酸化カルシウム量を調整する場合は、燃焼排ガス中のCOを回収するために必要な量の酸化カルシウムを反応装置50に確実に供給することができる。このため、燃焼ガス中のCOをさらに高い効率で回収することができる。
【0061】
また、本実施形態のセメント製造設備のCO回収システム101において、酸化カルシウム量制御装置55は、反応装置50の排ガス導入口から導入されたガスの温度、反応装置50の酸化カルシウム導入口に導入された酸化カルシウムの温度と一方または両方に基づいて、反応装置50の酸化カルシウム導入口に搬送する酸化カルシウム量を調整する場合は、燃焼排ガス中のCOを回収するために必要な量の酸化カルシウムを反応装置50にさらに確実に供給することができる。このため、燃焼ガス中のCOをさらに高い効率で回収することができる。
【0062】
また、本実施形態のセメント製造設備のCO回収システム101において、酸化カルシウム量制御装置55は、反応装置50のガス導入口(反応管51)から導入されたガスのCO濃度および反応装置50のガス排出口(固気分離装置52)から排気されるガスのCO濃度の一方または両方に基づいて、反応装置50の酸化カルシウム導入口に搬送する酸化カルシウム量を調整する場合は、燃焼排ガス中のCOを回収するために必要な量の酸化カルシウムを反応装置50に確実に供給することができる。このため、燃焼ガス中のCOをさらに高い効率で回収することができる。
【0063】
また、本実施形態のセメント製造設備のCO回収システム101において、排ガス熱交換器40が、セメント原料投入口と、セメント原料投入口から供給されたセメント原料と燃焼排ガスとを分離する固気分離装置41a、41b、41cとを含むプレヒータであって、プレヒータのセメント原料投入口から供給するセメント原料の量を制御するセメント原料量制御装置を有する構成とされている場合は、燃焼排ガスの熱でセメント原料を予熱するので、セメント原料を間接加熱するときの熱量、すなわち燃焼ガスの使用量を少なくすることができる。よって、燃料起源のCOの発生量を低減させることができる。
【0064】
また、本実施形態のセメント製造設備のCO回収システム101において、反応装置50内に冷却部を有する場合は、冷却部を用いて反応装置50内の温度を低くすることにより、反応装置50内でのCOと酸化カルシウムとの反応が促進される。よって、燃焼排ス中のCOの回収効率が向上する。
【0065】
また、本実施形態のセメント製造設備のCO回収システム101において、冷却部が、水の吸熱によって水蒸気を発生させるボイラである場合は、反応装置50内の温度を効率よく低下させることができる。
【0066】
また、本実施形態のセメント製造設備のCO回収システム101において、間接加熱型仮焼炉20の内圧を減圧する減圧装置を有する場合は、間接加熱型仮焼炉20の内圧を減圧することによって、間接加熱型仮焼炉20内での炭酸カルシウムの熱分解温度を下げることができる。これにより、セメント原料を間接加熱するときの熱量、すなわち燃焼ガスの使用量を少なくすることができる。よって、燃料起源のCOの発生量を低減させることができる。
【0067】
また、本実施形態のセメント製造設備のCO回収システム101において、反応装置50の内圧を加圧する加圧装置を有する場合は、反応装置50の内圧を加圧することによって、炭酸カルシウムの熱分解温度を高くすることができる。これにより、燃焼排ガス中のCOと酸化カルシウムとの反応が促進され、燃焼排ガス中のCOをさらに高い効率で回収することができる。
【0068】
また、以上のような構成とされた本実施形態のセメント製造設備のCO回収方法によれば、CO回収工程にて、セメント原料を、燃焼ガスを用いて間接的に仮焼してセメント原料仮焼物とCOを生成させるので、間接加熱型仮焼炉20内に高濃度のCOを生成させることができる。また、炭酸カルシウム生成工程にて、燃焼排ガス中のCOと酸化カルシウムを反応させて炭酸カルシウムを生成させ、炭酸カルシウム供給工程にて、生成した炭酸カルシウムを搬送路Cにて間接加熱型仮焼炉に供給するので、燃焼排ガス中のCOを回収することができる。さらに、冷却工程にて、燃焼排ガスの温度を、排ガス熱交換器を用いて450℃以下に低減させた後、炭酸カルシウム生成工程にて、燃焼排ガス中のCOと酸化カルシウムとを反応させるので、COと酸化カルシウムとの反応が促進される。よって、燃焼排ガス中のCOを回収効率が向上する。したがって、本実施形態のセメント製造設備のCO回収方法によれば、原料起源のCOと燃料起源のCOとを効率よく回収することができる。さらに、酸化カルシウムと燃焼排ガス中のCOとの反応によって発生した熱を、セメント原料の予熱などに利用することによって燃焼ガスの使用量を少なくすることができる。
【0069】
また、本実施形態のセメント製造設備のCO回収方法において、排ガス熱交換器40に前記燃焼ガスを導入する前に、燃焼排ガスとセメント製造用キルン10において生成した排ガスとを混合して混合排ガスを生成させる混合工程を含み、冷却工程において、混合排ガスを450℃以下に冷却する場合は、燃焼排ガス中のCOとともに、セメント製造用キルンの排ガス中のCOを回収することができる。また、セメント製造用キルン10の排ガス中のCOと酸化カルシウムとを反応させることによって発生した反応熱を、セメント原料の予熱などに利用することによって、セメント原料を間接加熱するときの燃焼ガスの使用量およびセメント製造用キルン10における燃焼ガスの使用量をより少なくすることができる。よって、燃料起源のCOの発生量を低減させることができる。
【0070】
(第2実施形態)
図1は、本発明の第2実施形態に係るセメント製造設備のCO回収システムを示す概略構成図である。なお、図2において、図1に示した第1実施形態に係るセメント製造設備のCO回収システム101と同一の構成部分については、同一の符号を付してその説明を簡略化する。
【0071】
図2に示すように、第2実施形態に係るセメント製造設備のCO回収システム102は、反応装置50の反応管51に、異排出源CO含有ガス搬送配管80が接続されている。異排出源CO含有ガスは、セメント製造用キルン10および間接加熱型仮焼炉20以外の装置で発生したCO含有ガスである。異排出源CO含有ガスの温度は450℃以下、好ましくは300℃以下である。
【0072】
本実施形態のセメント製造設備のCO回収システム102においては、反応管51にて排ガス熱交換器40から送られた混合排ガスと異排出源CO含有ガスとを含むCO含有ガスが存在する。そして、生成したCO含有ガスとセメント原料仮焼物を接触させることによって、炭酸カルシウムとCOが除去された反応生成ガスとを生成させる。
【0073】
本実施形態のセメント製造設備のCO回収システム102は、反応管51に異排出源CO含有ガス搬送配管80が接続されていること以外は、図1のセメント製造設備のCO回収システム101と同じであるので、セメント製造設備のCO回収システム101と同様の効果を有する。さらに、本実施形態のセメント製造設備のCO回収システム102は、異排出源CO含有ガス中のCOと酸化カルシウムとを反応させるので、異排出源CO含有ガス中のCOを簡易かつ効率的に回収することができ、大気に放出されるCOを低減することができる。
【0074】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、間接加熱型仮焼炉20は、内部に燃焼ガスが流れる燃焼ガス管23を備える構成とされているが、間接加熱型仮焼炉20は、セメント原料と燃焼ガスとが直接触れずに、炉内温度を調整できるように構成された仮焼炉であればその構成に特に制限はない。間接加熱型仮焼炉20は、固形の熱媒体を用いて炉内温度を調整するものであってもよい。間接加熱型仮焼炉20として、例えば、熱媒体加熱部とセメント原料仮焼部とを有し、熱媒体加熱部にて燃焼ガスを用いて加熱した熱媒体をセメント原料仮焼部に供給することによって炉内温度を調整するものを用いることができる。この間接加熱型仮焼炉では、熱媒体加熱部から排出された燃焼ガスが燃焼排ガスとなる。また、間接加熱型仮焼炉20に接続する固気分離装置22にて分離されたセメント原料仮焼物の一部を熱媒体として、熱媒体加熱部を経て間接加熱型仮焼炉20に返送してもよい。さらに、セメント製造用キルン10で得られたクリンカの一部を熱媒体として、間接加熱型仮焼炉20に供給してもよい。
【符号の説明】
【0075】
10 セメント製造用キルン
11 炉体
12 主バーナ
13 クリンカクーラー
14 キルン排ガス管
20 間接加熱型仮焼炉
21 仮焼物取出管
22 固気分離装置
23 燃焼ガス管
30 燃焼排ガス管
31 固気分離装置
40 排ガス熱交換器
41a、41b、41c 固気分離装置
42a、42b、42c 配管
50 反応装置
51 反応管
52 固気分離装置
53 送風機
55 酸化カルシウム量制御装置
56 冷却器
60 反応生成ガス熱交換器
61a、61b、61c 固気分離装置
62a、62b、62c 配管
62d 排ガス管
63 送風機
70 CO熱交換器
71a、71b、71c 固気分離装置
72a、72b、72c 配管
72d 排CO管72d
73 送風機
80 異排出源CO含有ガス搬送配管
101、102 セメント製造設備のCO回収システム
図1
図2