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特開2024-39634ボラジンおよびその誘導体を含む組成物、ならびに関連する方法およびシステム
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  • 特開-ボラジンおよびその誘導体を含む組成物、ならびに関連する方法およびシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039634
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】ボラジンおよびその誘導体を含む組成物、ならびに関連する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/318 20060101AFI20240314BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240314BHJP
   C01B 35/18 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
H01L21/318 B
H01L21/31 C
C01B35/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023143732
(22)【出願日】2023-09-05
(31)【優先権主張番号】63/375,084
(32)【優先日】2022-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】パトリシオ・ロメロ
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・デゼラー
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルヤミ・ポア
【テーマコード(参考)】
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
5F045AA08
5F045AA15
5F045AB15
5F045AC01
5F045AC03
5F045AC07
5F045AC11
5F045AC12
5F045AC15
5F045AC16
5F045AC17
5F045AF02
5F045AF03
5F045AF04
5F045AF07
5F045DP03
5F045EE02
5F045EE03
5F045EF05
5F045EH14
5F058BC07
5F058BC10
5F058BF07
5F058BF22
5F058BF23
5F058BF24
5F058BF29
5F058BF30
5F058BF37
(57)【要約】
【課題】ボラジンおよびその誘導体を含む組成物、ならびに関連する方法およびシステムを提供する。
【解決手段】組成物、関連する方法、および関連するシステムが開示されている。組成物は、前駆体および液体溶媒を含むことができる。前駆体は、少なくとも10℃~最高100℃の温度の不活性雰囲気において、実質的に純粋な形態では不安定であり得る。溶媒は、20℃の温度で最高1.0mPaの蒸気圧を有することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前駆体と液体溶媒とを含む組成物であって、
- 前記前駆体が、少なくとも10℃~最高100℃の温度の不活性雰囲気において、実質的に純粋な形態で自己縮合および重合のうちの少なくとも1つを受け、
- 前記溶媒が、20℃の温度で最高1.0mPaの蒸気圧を有する、組成物。
【請求項2】
前記溶媒がイオン液体を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記イオン液体が、以下から選択されるカチオンを含み、
【化1】
式中、xは0または1であり、R1、R2、R3、およびR4は独立してヒドロカルビルから選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記イオン液体が、CFCO 、N(CN) 、C(CN 、SeCN、CuCl、AlCl 、およびZnCl 2-から選択されるアニオンを含む、請求項2または3に記載の組成物。
【請求項5】
前記イオン液体がアニオンを含み、前記アニオンがホウ素含有アニオン、リン含有アニオン、および硫黄含有アニオンから選択される、請求項2または3に記載の組成物。
【請求項6】
ホウ素含有アニオンを含み、前記ホウ素含有アニオンが、BF 、B(CN、CHBF 、CHCHBF 、CFBF 、CBF 、n-CBF 、およびn-CBF からなるリストから選択される、請求項2または3に記載の組成物。
【請求項7】
リン含有アニオンを含み、前記リン含有アニオンが、PF および(CPF から選択される、請求項2または3に記載の組成物。
【請求項8】
硫黄含有アニオンを含み、前記硫黄含有アニオンが、CFSO 、N(SOCF 、N(COCF)(SOCF、N(SOF) 、ROSO 、およびSCNからなるリストから選択され、式中、RがC1~C20ヒドロカルビルである、請求項2または3に記載の組成物。
【請求項9】
前記イオン液体が、式a)による式を有し、
【化2】
式中、R1およびR2がヒドロカルビルである、請求項2に記載の組成物。
【請求項10】
R1およびR2がアルキルである、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
R1がメチルであり、R2がエチルである、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記溶媒が液体ポリマーを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記液体ポリマーがポリエーテルである、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記前駆体が、環状シラン、固体前駆体、および複素環化合物のうちの1つ以上を含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項15】
前記前駆体が複素環化合物を含み、前記複素環化合物が、ホウ素-窒素結合、炭素-窒素結合、ケイ素-炭素結合、および窒素-ケイ素結合から選択される1つ以上の結合を含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項16】
前記複素環式前駆体が、ケイ素-ケイ素結合をさらに含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記複素環化合物が、ボラジンまたはボラジン誘導体である、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
前駆体を前駆体容器に貯蔵する方法であって、前記方法が、
- 請求項1または2に記載の組成物を含む前駆体容器を提供することと、
- 少なくとも10℃~最高50℃の温度で、少なくとも1週間~最長1年間、前記組成物を維持することとを含む、方法。
【請求項19】
反応チャンバと、基材ハンドリングシステムと、前駆体源と、コントローラとを含むシステムであって、
- 前記前駆体源が、請求項1または2に記載の組成物を含み、
- 前記コントローラが、前記システムに前記反応チャンバに蒸気を提供させるように配置され、前記蒸気が、前記組成物中に含まれる前記前駆体を含む、システム。
【請求項20】
コンテナと、請求項1または2に記載の組成物とを含む前駆体容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、前駆体送達のための組成物、関連する方法、および関連するシステムに関する。組成物は、前駆体を安定化するために特に有用であり得、それによって、実質的に純粋な形態の前駆体と比較して、その貯蔵寿命を延ばすことができる。
【背景技術】
【0002】
前駆体は、化学蒸着(CVD)、原子層堆積(ALD)、プラズマ強化化学蒸着(PE-CVD)、およびプラズマ強化原子層堆積(PE-ALD)などの様々な技術を使用して材料層を形成するために半導体産業で使用される。材料特性は、使用される特定の前駆体によって強く影響を受ける。一部の事例では、優れた特性を有する層を形成するために使用することができる前駆体は、残念ながら、劣った貯蔵寿命が欠点である。したがって、前駆体の貯蔵寿命を延ばす方法が必要である。
【0003】
このセクションに記載される問題および解決策のいずれの考察も、本開示に対する状況を提供する目的のためにのみこの開示に含まれており、本発明がなされた時点で、考察のいずれかまたはすべてが知られていたことを認めるものと取られるべきではない。
【発明の概要】
【0004】
本開示の例示的な実施形態は、溶媒と前駆体とを含む組成物、関連する方法、および関連するシステムに関する。本開示の様々な実施形態が従来の方法の欠点に対処する方法を、以下でより詳細に説明するが、概して、本開示の様々な実施形態は、ボラジンおよびその誘導体の安定性を改善するために使用することができる方法を提供する。
【0005】
本明細書では特に、前駆体と液体溶媒とを含む組成物が説明される。前駆体は、少なくとも10℃~最高100℃の温度の不活性雰囲気において、実質的に純粋な形態で自己縮合および重合のうちの少なくとも1つを受ける。溶媒は、20℃の温度で最高1.0mPaの蒸気圧を有する。
【0006】
一部の実施形態では、溶媒は、イオン液体を含む。
【0007】
一部の実施形態では、イオン液体は、以下から選択されるカチオンを含む。
【化1】
【0008】
xは0または1であり、R1、R2、R3、およびR4は独立してヒドロカルビルから選択されることが理解されるものとする。
【0009】
一部の実施形態では、イオン液体は、CFCO 、N(CN) 、C(CN 、SeCN、CuCl、AlCl 、およびZnCl 2-から選択されるアニオンを含む。
【0010】
一部の実施形態では、イオン液体はアニオンを含み、アニオンは、ホウ素含有アニオン、リン含有アニオン、および硫黄含有アニオンから選択される。
【0011】
一部の実施形態では、組成物は、ホウ素含有アニオンを含み、ホウ素含有アニオンは、BF 、B(CN、CHBF 、CHCHBF 、CFBF 、CBF 、n-CBF 、およびn-CBF からなるリストから選択される。
【0012】
一部の実施形態では、組成物は、PF または(CPF などのリンを含有するアニオンを含む。
【0013】
一部の実施形態では、組成物は、硫黄含有アニオンを含む。硫黄含有アニオンは、CFSO 、N(SOCF 、N(COCF)(SOCF、N(SOF) 、ROSO 、およびSCNからなるリストから選択され、式中、RはC1~C20ヒドロカルビルである。
【0014】
一部の実施形態では、イオン液体は、式a)による式を有する。
【化2】
【0015】
R1およびR2はヒドロカルビルであることが理解されるものとする。
【0016】
一部の実施形態では、R1およびR2はアルキルである。
【0017】
一部の実施形態では、R1はメチルであり、R2はエチルである。
【0018】
一部の実施形態では、溶媒は、液体ポリマーを含む。
【0019】
一部の実施形態では、液体ポリマーはポリエーテルである。
【0020】
一部の実施形態では、前駆体は、環状シラン、固体前駆体、および複素環化合物のうちの1つ以上を含む。
【0021】
一部の実施形態では、前駆体は複素環化合物を含み、複素環化合物は、ホウ素-窒素結合、炭素-窒素結合、ケイ素-炭素結合、および窒素-ケイ素結合から選択される1つ以上の結合を含む。
【0022】
一部の実施形態では、複素環式前駆体は、ケイ素-ケイ素結合をさらに含む。
【0023】
一部の実施形態では、複素環化合物は、ボラジンまたはボラジン誘導体である。
【0024】
さらに、前駆体を前駆体容器に貯蔵する方法を本明細書に記述する。方法は、前駆体容器を提供することを含む。前駆体容器は、本明細書に記載される組成物を含む。方法は、組成物を少なくとも10℃~最高50℃の温度で、少なくとも1週間~最長1年間維持することをさらに含む。
【0025】
本明細書には、反応チャンバと、基材ハンドリングシステムと、前駆体源と、コントローラとを含むシステムがさらに記載されている。前駆体源は、本明細書に記載の組成物を含む。コントローラは、システムに反応チャンバに蒸気を提供させるように配置される。蒸気は、組成物中に含まれる前駆体を含む。
【0026】
コンテナと本明細書に記載される組成物とを含む前駆体容器がさらに本明細書に記載される。
【0027】
これらのおよび他の実施形態は、添付の図面を参照する以下のある特定の実施形態の「発明を実施するための形態」から、当業者には容易に明らかとなることになり、本発明は、開示されるいかなる特定の実施形態にも限定されないことになる。
【0028】
本開示の例示的な実施形態のより完全な理解は、以下の例示的な図に関連して考慮される場合、「発明を実施するための形態」および「特許請求の範囲」を参照することによって得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本開示の実施形態による組成物を形成するために、イオン液体中にどのようにボラジンを溶解できるかを示す図である。
図2】本開示による反応器の実施形態を示す図である。
図3】本開示の実施形態によるシステム(300)を示す図である。
図4】本明細書に記載される組成物(420)を備える前駆体容器(400)の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
当然のことながら、図内の要素は単純化および明瞭化のために例示されており、必ずしも原寸に比例して描かれてはいない。例えば、図内の要素のうちの一部の寸法は、本開示の例示された実施形態の理解の向上を助けるために他の要素に対して相対的に誇張されている場合がある。
【0031】
ある特定の実施形態および実施例を下記に開示するが、本明細書に記述される具体的に開示された実施形態および/または使用、ならびにその明白な修正および均等物を超えて本発明が拡張することは、当業者によって理解されるであろう。それ故に、開示された本発明の範囲は、後述する特定の開示された実施形態によって限定されるべきではないことが意図される。
【0032】
本明細書で使用される場合、「基材」という用語は、修正されてもよい、またはデバイス、回路、もしくは膜がその上に形成されてもよい、任意の下地材料(複数可)を含む、任意の下地材料(複数可)を指す場合がある。「基材」は、連続的または非連続的、剛直または可撓性、中実または多孔質、およびそれらの組み合わせであってもよい。基材は、粉末、プレート、またはワークピースなどの任意の形態であってもよい。プレートの形態の基材は、様々な形状およびサイズのウエハを含んでもよい。基材は、例えば、ケイ素、シリコンゲルマニウム、酸化ケイ素、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、および炭化ケイ素を含む半導体材料から作製されてもよい。
【0033】
例として、粉末の形態の基材は、医薬品製造のための用途を有する場合がある。多孔質基材は、ポリマーを含んでもよい。ワークピースの例としては、医療機器(例えば、ステントおよびシリンジ)、宝石類、ツーリングデバイス、バッテリ製造のための構成要素(例えば、アノード、カソード、またはセパレータ)、または光起電力セルの構成要素などが挙げられてもよい。
【0034】
連続基材は、堆積プロセスが生じるプロセスチャンバの境界を越えて延在してもよい。一部のプロセスでは、基材の端部に達するまでプロセスが継続するように、連続基材はプロセスチャンバを通して移動してもよい。連続基材は、任意の適切な形態で連続基材の製造および出力を可能にするために、連続基材供給システムから供給されてもよい。
【0035】
連続基材の非限定的な例としては、シート、不織布膜、ロール、箔、ウェブ、可撓性材料、連続フィラメントまたは繊維(例えば、セラミック繊維またはポリマー繊維)の束が挙げられてもよい。連続基材はまた、非連続基材がその上へと取り付けられる、キャリアまたはシートを含んでもよい。
【0036】
一部の実施形態では、「膜」および「層」という用語は、交換可能に使用されてもよく、標的もしくは該当する表面全体を覆うように厚さ方向に垂直な方向に延在する層、または単純に標的もしくは該当する表面を覆う層を指してもよい。一部の実施形態では、「膜」または「層」という用語は、表面上に形成されたある特定の厚さを有する構造を指す。膜または層は、ある特定の特性を有する個別の単一の膜または層によって構成されてもよい。別の方法として、膜または層は、複数の膜または層で構成されてもよく、隣接する膜または層の間の境界は、明確であってもよく、または明確でなくてもよく、物理的、化学的、および/もしくは任意の他の特性、形成プロセスもしくは順序、ならびに/または隣接する膜もしくは層の機能もしくは目的に基づいて、確立されていてもよく、または確立されていなくてもよい。
【0037】
一部の実施形態では、「ガス」は、常温常圧で気体である材料、気化した固体および/または気化した液体を含むことができ、状況に応じて単一の気体または気体の混合物によって構成されてもよい。ガスは、プロセスガス、またはシャワープレート、ガス分配デバイスなどのガス供給ユニットを通過する他のガスを含むことができる。ガスは、反応チャンバ内の反応に関与する反応物質もしくは前駆体とすることができ、かつ/または空気などの周囲ガスを含むことができる。
【0038】
さらに本開示では、変数の任意の2つの数字は、その変数の実行可能な範囲を構成することができ、示される任意の範囲は、端点を含んでもよく、または除外してもよい。加えて、一部の実施形態では、示された変数の任意の値は(それらが「約」を有して示されているか否かにかかわらず)、正確な値またはおおよその値を指してもよく、均等物を含んでもよく、平均値、中央値、代表値、大多数などを指してもよい。さらに、この開示では、「含む」「によって構成される」、および「有する」という用語は、一部の実施形態では、「典型的にまたは広く含む」、「含む」、「から本質的になる」、または「からなる」を独立して指す。この開示では、任意の定義された意味は、一部の実施形態では、通常の意味および慣習的な意味を必ずしも除外するものではない。別段の記載のない限り、本明細書に記載される割合は絶対割合である。
【0039】
当然のことながら、状況が別の方法で明確に示さない限り、「含む」という用語は、オープンエンドであり、また他の要素または構成要素の存在を除外しない。「含む」という用語は、「からなる」の意味を含む。「からなる」という用語は、状況が別の方法で示さない限り、述べられたもの以外にいかなる他の特徴または構成要素も存在しないことを示す。
【0040】
Etはエチルを表すことが理解されるものとする。
【0041】
「不活性雰囲気」は、問題となる前駆体と反応しない、または実質的に反応しない雰囲気を指す場合がある。好適な不活性雰囲気は、He、Ne、Ar、Xe、またはKrなどの、貴ガスからなる、または貴ガスから実質的になる雰囲気を含む。
【0042】
本明細書では、組成物が記載されている。本明細書に記載される組成物を含む前駆体容器も、本明細書に記載される。
【0043】
組成物は、前駆体および溶媒を含む。溶媒は液体とすることができる。本明細書で使用される場合、「液体」という用語は、ビンガムプラスチックなどの非ニュートン流体などの液体様物質を含むことが理解されるものとする。溶媒は、室温および大気圧で液体状態とすることができる。
【0044】
一部の実施形態では、前駆体は、純粋な形態または実質的に純粋な形態で、自己縮合、重合、または短距離分子間相互作用によって駆動される任意の他の類似のプロセスを受けやすい。特に、前駆体が、不活性雰囲気で少なくとも10℃~最高100℃の温度で、純粋な形態、または実質的に純粋な形態で保持されるとき、前駆体は、このようなプロセスを受けやすい場合がある。一部の実施形態では、自己縮合、重合、または短距離分子間相互作用によって駆動される任意の他の類似のプロセスを受けやすい前駆体は、不安定な前駆体と呼ぶことができる。
【0045】
一部の実施形態では、「純粋な形態」または「実質的に純粋な形態」とは、少なくとも98原子%、または少なくとも99原子%、または少なくとも99.9原子%、または少なくとも99.99原子%、または少なくとも99.999原子%、または少なくとも99.9999原子%の前駆体純度を指す。
【0046】
一部の実施形態では、自己縮合または重合の発生は、粘度測定を使用して測定することができる。粘度測定自体は、当技術分野で既知であり、回転レオメトリー、振動粘度計、またはマイクロ流体レオメーターが挙げられる。例えば、1、2、3、6、または12か月の期間にわたる粘度の1、2、5、10、または20%の増加は、自己縮合または重合のマーカとみなすことができる。
【0047】
一部の実施形態では、前駆体は、不活性雰囲気中で、少なくとも10℃~最高100℃の温度に保たれるとき、実質的に純粋な形態では不安定である。
【0048】
一部の実施形態では、前駆体は、大気圧でかつ少なくとも10℃~最高100℃の温度では、固体である。
【0049】
一部の実施形態では、前駆体は、環状シラン、固体前駆体、および複素環化合物のうちの1つ以上を含む。
【0050】
一部の実施形態では、前駆体はシランを含む。好適なシランとしては、シクロヘキサシランなどの環状シランが挙げられる。
【0051】
一部の実施形態では、前駆体は複素環化合物を含む。複素環化合物は、ホウ素-窒素結合、炭素-窒素結合、ケイ素-炭素結合、および窒素-ケイ素結合から選択される1つ以上の結合を含み得る。
【0052】
一部の実施形態では、複素環式前駆体は、ケイ素-ケイ素結合をさらに含む。
【0053】
一部の実施形態では、複素環化合物は、ボラジンまたはボラジン誘導体である。好適なボラジン誘導体としては、塩化ボラジン、臭化ボラジン、およびヨウ化ボラジンなどのボラジンハロゲン化物が挙げられる。例えば、前駆体は、2,4,6-トリクロロボラジンを含んでもよい。
【0054】
一部の実施形態では、前駆体は、ホウ素、窒素、および水素からなる。一部の実施形態では、前駆体は、式(a)による化学式で表すことができる。
【化3】
【0055】
、R、R、R、R、およびRは、独立してHおよびハロゲンから選択できることが理解されるものとする。一部の実施形態では、R、R、R、R、R、およびRのうちの少なくとも1つは、FまたはClである。あるいは、R、R、R、R、R、およびRはすべてHであってもよい。一部の実施形態では、R、R、およびRは、Clなどのハロゲンであり、R、R、およびRは、Hである。したがって、一部の実施形態では、前駆体は、ボラジンである。一部の実施形態では、前駆体は、置換ボラジンである。一部の実施形態では、前駆体は、炭素を含まない。さらなる実施例によれば、1つ以上のハロゲン置換基は、F、Cl、Br、およびIからなる群から選択することができる。
【0056】
一部の実施形態では、前駆体は、室温および大気圧で、実質的に純粋な形態の固体である。例示的な固体前駆体としては、HfCl、ZrCl、およびNbClなどの遷移金属ハロゲン化物などの金属ハロゲン化物が挙げられる。さらなる例示的な固体前駆体としては、AlClなどのポスト遷移金属ハロゲン化物が挙げられる。さらなる例示的な固体前駆体としては、金属カルボニル、例えば、Mo(CO)などの遷移金属カルボニルが挙げられる。
【0057】
一部の実施形態では、溶媒は、20℃の温度で最高1.0mPaの蒸気圧を有する。一部の実施形態では、溶媒は、20℃の温度で最高1.0μPaの蒸気圧を有する。一部の実施形態では、溶媒は、20℃の温度で最高10μPaの蒸気圧を有する。一部の実施形態では、溶媒は、20℃の温度で最高100μPaの蒸気圧を有する。
【0058】
一部の実施形態では、蒸気圧は、熱重量分析(TGA)によって測定することができる。化学物質の蒸発速度は、蒸気圧と相関させることができ、検量線に適合させることができる。本記載の組成物、方法、およびシステムで使用され得るイオン液体などの溶媒の蒸気圧は、検出可能であるが、非常に低い。蒸気圧測定のための熱重量分析は、Green Chemistry,2009,11,1217-1221に記載されている。
【0059】
一部の実施形態では、溶媒の蒸気圧は、前駆体の蒸気圧よりも、少なくとも10、10、10、10、10、10、10、1010、1011、または1012倍低い。こうした実施形態では、それぞれの蒸気圧は、本開示の条件が維持される条件、すなわち、圧力、温度、および濃度の下で決定されることが理解されるものとする。
【0060】
一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、それより上方で熱重合または自己縮合が生じる臨界濃度を、下回る前駆体濃度を有する。例えば、本明細書に記載される組成物は、少なくとも1モル%~最高2モル%の前駆体濃度、または少なくとも2モル%~最高5モル%の前駆体濃度、または少なくとも5モル%~最高10モル%の前駆体濃度、または少なくとも10モル%~最高20モル%の前駆体濃度、または少なくとも20モル%~最高50モル%の前駆体濃度、または少なくとも50モル%~最高70モル%の前駆体濃度を有することができる。
【0061】
一部の実施形態では、溶媒は、イオン液体を含む。本明細書で使用される場合、「イオン液体」という用語は、25℃、1気圧の圧力で液体状態で存在する塩を指すことが理解されるものとする。
【0062】
好適なイオン液体は、カチオンおよびアニオンを含む。イオン液体は、任意の好適なアニオンを含んでもよい。イオン液体は、任意の好適なカチオンを含んでもよい。一部の実施形態では、イオン液体は、以下から選択されるカチオンを含む。
【化4】
【0063】
式ivよる化合物では、xは0または1であることが理解されるものとする。式i~viによる化合物の一部の実施形態では、R1、R2、R3、およびR4は、独立してヒドロカルビルから選択される。一部の実施形態では、R1、R2、R3、およびR4は、独立して選択することができる。これらは同じものでも、異なるものでもよい。一部の実施形態では、R1、R2、R3およびR4のうちの少なくとも1つは、アルキルである。一部の実施形態では、R1、R2、R3およびR4のうちの少なくとも1つは、メチルである。一部の実施形態では、R1、R2、R3およびR4のうちの少なくとも1つは、エチルである。一部の実施形態では、R1、R2、R3およびR4のうちの少なくとも1つは、Hである。
【0064】
一部の実施形態では、イオン液体は、CFCO 、N(CN) 、C(CN 、SeCN、CuCl、AlCl 、およびZnCl 2-から選択されるアニオンを含む。
【0065】
一部の実施形態では、アニオンは、ホウ素含有アニオン、リン含有アニオン、および硫黄含有アニオンから選択される。一部の実施形態では、アニオンは、ホウ素含有アニオンを含む。一部の実施形態では、アニオンは、リン含有アニオンを含む。一部の実施形態では、アニオンは硫黄含有アニオンを含む。
【0066】
一部の実施形態では、ホウ素含有アニオンは、BF 、B(CN、CHBF 、CHCHBF 、CFBF 、CBF 、n-CBF 、およびn-CBF からなるリストから選択される。
【0067】
一部の実施形態では、リン含有アニオンは、PF および(CPF から選択される。
【0068】
一部の実施形態では、硫黄含有アニオンは、CFSO 、N(SOCF 、N(COCF)(SOCF、N(SOF) 、ROSO 、およびSCNからなるリストから選択され、式中、RはC1~C20ヒドロカルビルである。例えば、Rは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、およびヘキシルから選択することができる。一部の実施形態では、Rはエチルである。
【0069】
一部の実施形態では、イオン液体は、式a)による式を有する。
【化5】
【0070】
R1およびR2はヒドロカルビルであることが理解されるものとする。R1とR2は同一であってもよく、または異なっていてもよい。一部の実施形態では、R1およびR2はアルキルである。一部の実施形態では、R1はメチルであり、R2はエチルである。
【0071】
一部の実施形態では、溶媒は、液体ポリマーを含む。一部の実施形態では、溶媒は、液体オリゴマーを含む。液体ポリマーは、20℃の温度および大気圧で、液体または非ニュートン流体であるポリマーを指すことができることが理解されるものとする。同様に、液体オリゴマーは、20℃の温度および大気圧で、液体または非ニュートン流体であるポリマーを指すことができる。
【0072】
当然のことながら、「オリゴマー」は、少なくとも2個~最大100個の反復単位を含む化合物を指すことができる。「ポリマー」という用語は、100個を超える反復単位を含む化合物を指すことができる。オリゴマーおよびポリマーは、直鎖状、分岐状、または環状であり得る。
【0073】
好適な液体ポリマーおよびオリゴマーとしては、ポリエーテルが挙げられる。好適なポリエーテルとしては、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールが挙げられる。
【0074】
さらに、前駆体を前駆体容器に貯蔵する方法を本明細書に記述する。本方法は、本明細書に記載の組成物を含む前駆体容器を提供することを含む。組成物は、少なくとも10℃~最高100℃の温度で、少なくとも1週間~最長1年間維持される。
【0075】
一部の実施形態では、組成物は、少なくとも20℃~最高50℃の温度で、または少なくとも10℃~最高50℃の温度で、または少なくとも50℃~最高100℃の温度で維持される。
【0076】
一部の温度では、組成物は、少なくとも1週間~最長2週間、または少なくとも2週間~最長5週間、または少なくとも5週間~最長10週間、または少なくとも10週間~最長20週間、または少なくとも20週間~最長1年間、前述の温度で維持される。
【0077】
本明細書には、反応チャンバと、基材ハンドリングシステムと、前駆体源と、コントローラとを含むシステムがさらに記載されている。前駆体源は、本明細書に記載の組成物を含む。コントローラは、システムに反応チャンバに蒸気を提供させるように配置される。蒸気は、本記載の組成物中に含まれる前駆体を含む。
【0078】
例示的な実施形態では、図1を参照する。図1は、本開示の実施形態による組成物を形成するために、イオン液体中にどのようにボラジンを溶解できるかを示す。ボラジン分子間の相互作用が減少することによって、重合速度が低下するか、またはボラジン重合が阻害されさえする。イオン液体は、特に式a)によって与えられる式を有する。
【化6】
【0079】
本開示の組成物は、前駆体容器、例えば、室温での未冷却前駆体容器におけるボラジンの貯蔵寿命を、ニートボラジン、すなわち溶解されていないボラジンと比較して、強力に延ばすことができる。実際に、ニートボラジンは、室温で重合する。重合は、多くの小分子(モノマー)を結合して共有結合鎖にするプロセスである。公称濃度10.06mol/Lのニートボラジンは、室温以上でH生成を伴う自己重合を受ける(脱水素カップリング)。所与の溶媒中のモノマー濃度を低下させると、反応速度が大幅により遅くなり、重合プロセスが遅延するか、または完全に停止する。希釈剤としての超低蒸気圧溶媒は、分子間相互作用を阻害し、望ましくない重合を回避する。
【0080】
本明細書に開示される低蒸気圧溶媒を使用することで、低い溶媒濃度または無視できる程度の溶媒濃度を含む、実質的に純粋なボラジンガス流を生成することが可能になる。こうした実質的に純粋なボラジン流は、基材上に窒化ホウ素含有層などの層を形成するために使用することができる。例えば、イオン液体を使用することができる。適切な粘度を有し、室温を下回る融点を有する任意のイオン液体は、この用途に適している可能性がある。極めて低いか無視できる蒸気圧を考えると、イオン液体は、蒸気フラックスには寄与せず、希釈剤としてのみ作用し、それによって、ボラジン前駆体を安定化し、対応するイオン液体-ボラジン混合物を、溶媒汚染がほとんどまたは全くない、本質的に純粋なボラジン蒸気の源として作用させることができる。
【0081】
本開示の組成物は、図2に示す反応器内を含む、任意の適切な装置の前駆体源として使用されてもよく、これは、本明細書に記載される組成物を使用して基材上に層を形成するために特に使用することができる。この図では、反応チャンバ(3)の内部11(反応ゾーン)に一対の導電性平板電極(2、4)を互いに平行に対向させて設け、電源(25)から(例えば、13.56MHzおよび/または27MHzの)RF電力を一方の側に印加し、他方の側(12)を電気的に接地することにより、プラズマが電極間で励起される。温度調整器を、下部ステージ(2)、すなわち下部電極に設けてもよい。基材(1)がその上に配置され、その温度は所定の温度で一定に維持される。上部電極(4)はシャワープレートとしても機能することができ、反応物質ガスおよび/または希釈ガスがあればそれら、ならびに前駆体ガスは、それぞれガスライン(21)およびガスライン(22)を通って、シャワープレート(4)を通って反応チャンバ(3)内に導入されることができる。さらに、反応チャンバ(3)内には、排気ライン(17)を有する円形ダクト(13)が設けられており、これを通って反応チャンバ(3)の内部(11)内のガスが排気される。さらに、搬送チャンバ(5)は、反応チャンバ(3)の下方に配置され、かつ搬送チャンバ(5)には、搬送チャンバ(5)の内部(16)を経由して反応チャンバ(3)の内部(11)の中へシールガスを導入するためにガスシールライン(24)が設けられ、そこには、反応ゾーンと搬送ゾーンとを分離するための分離プレート(14)が設けられている。ウエハを搬送チャンバ(5)に搬入出することのできるゲート弁は、この図から省略してあることに留意されたい。搬送チャンバには排気ライン(6)も設けられている。当業者は、記載される堆積プロセスを実行させるように、プログラムされまたは別の方法で構成された、1つ以上のコントローラ(図示せず)を本装置が備えることを理解するであろう。当業者に理解されるように、コントローラは、様々な電源、加熱システム、ポンプ、ロボットおよびガス流量コントローラまたは反応器の弁と通信する。コントローラは、弁、マニホールド、ヒータ、ポンプ、およびシステムに含まれる他の構成要素を選択的に動作させるための、プロセッサを含む電子回路とソフトウェアとを含む。このような回路および構成要素は、前駆体、反応物質、および任意選択でパージガスを、それぞれの源、例えば前駆体容器(20)から導入するように動作する。前駆体容器(20)は、本明細書に記載の組成物を含む。コントローラは、ガス供給シーケンスのタイミング、基材および/または反応チャンバ(3)の温度、反応チャンバ(3)内の圧力、ならびに様々な他の動作を制御して、システムの適切な動作を提供することができる。コントローラは、反応チャンバ(3)内外への前駆体、反応物質、およびパージガスの流れを制御するために、弁を電気的にまたは空気圧で制御するための制御ソフトウェアを含むことができる。コントローラは、特定のタスクを実行するソフトウェアまたはハードウェア構成要素、例えばFPGAまたはASICなどの、モジュールを含むことができる。当然のことながら、コントローラがある特定のタスクを実行するためのソフトウェア構成要素を含む場合、コントローラはその特定のタスクを実行するようにプログラムされる。モジュールは有利なことに、制御システムのアドレス指定可能な記憶媒体、つまりメモリ上に常駐するように構成されることができ、かつ1つ以上のプロセスを実行するように構成されることができる。
【0082】
図3は、本開示の例示的な実施形態によるシステム(300)を示す。システム(300)は、本明細書に開示される組成物を使用して、本明細書に記載される方法を実施するように構成することができる。図示した実施例では、システム(300)は、1つ以上の反応チャンバ(302)、第1の前駆体ガス源(304)、第2の前駆体ガス源(306)、反応物質ガス源(308)、排気装置(310)、およびコントローラ(312)を含む。一部の実施形態では、システムは、第2の前駆体ガス源(図示せず)をさらに含む。反応チャンバ(302)は、ALD反応チャンバを含んでもよい。
【0083】
第1の前駆体ガス源(304)は、本明細書に開示される容器および組成物を含むことができる。第2の前駆体ガス源(306)は、容器と、単独の、本明細書に開示の組成物中の、または1つ以上のキャリアガスと混合した、前駆体とを含むことができる。反応物質ガス源(308)は、例えば酸素、アンモニア、水などの1つ以上の反応物質を含むことができる。
【0084】
4つのガス源(304)~(308)で示されているが、システム(300)は任意の好適な数のガス源を含むことができる。ガス源(304)~(308)は、それぞれが流量コントローラ、弁、ヒータなどを含み得るライン(314)~(318)を介して、反応チャンバ(302)に連結されることができる。排気装置(310)は、1つ以上の真空ポンプを含むことができる。
【0085】
コントローラ(312)は、システム(300)に含まれる弁、マニホールド、ヒータ、ポンプ、および他の構成要素を選択的に動作させるための、電子回路ならびにソフトウェアを含む。このような回路および構成要素は、前駆体、反応物質、およびパージガスを、それぞれの源(304)~(308)から導入するように動作する。コントローラ(312)は、ガスパルスシーケンスのタイミング、基材および/または反応チャンバの温度、反応チャンバ内の圧力、ならびに様々な他の動作を制御して、システム(300)の適切な動作を提供することができる。コントローラ(312)は、反応チャンバ(302)内外への前駆体、反応物質、およびパージガスの流れを制御するために、弁を電気的にまたは空気圧で制御するための制御ソフトウェアを含むことができる。コントローラ(312)は、特定のタスクを実行するソフトウェアまたはハードウェア構成要素、例えばFPGAまたはASICなどの、モジュールを含むことができる。モジュールは有利なことに、制御システムのアドレス指定可能な記憶媒体上に常駐するように構成されることができ、かつ本明細書に記載の1つ以上のプロセスを実行するように構成されることができる。
【0086】
異なる数および種類の前駆体源および反応物質源を含み、かつ任意選択でさらにパージガス源を含む、システム(300)の他の構成が可能である。さらに、反応チャンバ(302)内へ選択的にガスを供給するという目的を達成するために使用され得る弁、導管、前駆体源、およびパージガス源の、多くの配置があることが理解されるであろう。さらに、システムの概略図として、説明を簡単にするために多くの構成要素が省略されていて、このような構成要素は、例えば、様々な弁、マニホールド、精製器、ヒータ、コンテナ、通気孔、および/またはバイパスを含んでもよい。
【0087】
システム(300)の動作中に、半導体ウエハなどの基材(図示せず)は、例えば基材ハンドリングシステムから反応チャンバ(302)へ搬送される。基材が反応チャンバ(302)に搬送されると、ガス源(304~308)からの1つ以上のガス、例えば前駆体、反応物質、キャリアガス、および/またはパージガスは、反応チャンバ(302)内に導入される。
【0088】
図4は、本明細書に記載される組成物(420)を備える前駆体容器(400)の実施形態を示す。組成物(420)は、容器壁(410)によって外部雰囲気から保護される。組成物(420)は、溶媒および前駆体を含む。容器(400)は、組成物(420)で部分的にまたは完全に充填することができる。図4の実施形態では、前駆体容器(400)は、組成物(420)で部分的にしか充填されておらず、容器(400)は、前駆体蒸気を含むヘッドスペース(450)をさらに含む。溶媒の蒸気圧は無視できるため、ヘッドスペース(450)には溶媒蒸気は全くないか、またはせいぜい無視できる量しかない。前駆体容器(450)は、キャリアガスライン(430)をさらに備え、それを通して、キャリアガスは、容器(400)に供給され得る。一部の実施形態では、キャリアガスライン(430)は、組成物(420)内に浸漬することができる。したがって、キャリアガスがキャリアガスライン(430)を介して供給される場合、キャリアガスの気泡が組成物(420)内に形成され、前駆体はキャリアガスによって効率的に同伴され得る。前駆体容器(400)内の組成物(420)の量を測定するためにフロートが提供されてもよく、これは、前駆体容器(400)内に残っている前駆体の量の表示を提供することができる。キャリアガスおよび前駆体蒸気は、ガスライン(440)を介して、前駆体容器(400)から除去することができる。ガスライン(440)は、得られたガス混合物を反応チャンバに供給することができ、そこで、それは、層を形成するために使用され得る。
【0089】
これらの実施形態は、本発明の実施形態の単なる実施例にすぎないため、上述の本開示の例示的な実施形態は、本発明の範囲を限定しない。任意の均等な実施形態は、本発明の範囲内であることが意図される。実際に、記述される要素の代替的な有用な組み合わせなどの、本明細書に示されかつ記述されるものに加えて、本開示の様々な修正は、当業者には記述から明らかになる場合がある。こうした修正および実施形態も、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】