IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友大阪セメント株式会社の特許一覧

特開2024-39791養生方法、及び舗装コンクリートの製造方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039791
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】養生方法、及び舗装コンクリートの製造方法
(51)【国際特許分類】
   E01C 7/14 20060101AFI20240315BHJP
【FI】
E01C7/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144410
(22)【出願日】2022-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 大樹
(72)【発明者】
【氏名】西山 沙友里
(72)【発明者】
【氏名】小田部 裕一
【テーマコード(参考)】
2D051
【Fターム(参考)】
2D051AA08
2D051AH01
(57)【要約】
【課題】コンクリート組成物が硬化した舗装コンクリート表面のすべり抵抗値を比較的大きくすることができる養生方法、及び舗装コンクリートの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る養生方法は、混練されたコンクリート組成物を打込み後、コンクリート組成物を硬化させる養生方法であって、打込まれたコンクリート組成物の表面に炭酸水を散水する散水工程を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
混練されたコンクリート組成物を打込み後、コンクリート組成物を硬化させる養生方法であって、
打込まれたコンクリート組成物の表面に炭酸水を散水する散水工程を含む、養生方法。
【請求項2】
散水工程が、コンクリート凝結における終結時間以後に行われる、請求項1に記載の養生方法。
【請求項3】
散水工程が、コンクリート凝結における終結時間から17時間以内に行われる、請求項1又は2に記載の養生方法。
【請求項4】
炭酸水の二酸化炭素濃度が0.2g/L以上である、請求項1又は2に記載の養生方法。
【請求項5】
コンクリート組成物を硬化させて舗装コンクリートを製造する舗装コンクリートの製造方法であって、
請求項1又は2に記載の養生方法によってコンクリート組成物を硬化させる、舗装コンクリートの製造方法。
【請求項6】
舗装コンクリート表面のすべり抵抗値(BPN)が60以上である、請求項5に記載の舗装コンクリートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、養生方法、及び舗装コンクリートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、舗装コンクリート表面は、車両等に対してすべり抵抗性に優れることが求められる。舗装コンクリートは、一般的に、舗装コンクリートとなるコンクリート組成物を型枠に打込み、その後、養生してコンクリート組成物を硬化させることにより製造される。その際、養生は、コンクリート組成物の硬化を十分に行わせるため、水分の蒸発、急激な温度変化等を防ぐ目的で、例えば、非特許文献1に記載されるように、コンクリート組成物の表面に水が散布される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】社団法人日本道路協会「セメントコンクリート舗装要綱」昭和59年2月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の養生方法を用いて得られた舗装コンクリートは、養生により十分に硬化しているものの、その表面におけるすべり抵抗が小さいとの問題がある。そのため、すべり抵抗性に優れた舗装コンクリート表面を得ることが可能な養生方法が求められている。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、コンクリート組成物が硬化した舗装コンクリート表面のすべり抵抗値を比較的大きくすることができる養生方法、及び舗装コンクリートの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る養生方法は、混練されたコンクリート組成物を打込み後、コンクリート組成物を硬化させる養生方法であって、
打込まれたコンクリート組成物の表面に炭酸水を散水する散水工程を含む。
【0007】
本発明に係る養生方法は、斯かる構成により、コンクリート組成物が硬化した舗装コンクリート表面のすべり抵抗を比較的大きくすることができる。
【0008】
本発明に係る養生方法は、散水工程をコンクリート凝結における終結時間以後に行ってもよい。
【0009】
本発明に係る養生方法は、斯かる構成により、コンクリート組成物が硬化した舗装コンクリート表面のすべり抵抗値をより大きくすることができる。
【0010】
本発明に係る養生方法は、散水工程をコンクリート凝結における終結時間から17時間以内に行われてもよい。
【0011】
本発明に係る養生方法は、斯かる構成により、コンクリート組成物が硬化した舗装コンクリート表面のすべり抵抗値をより大きくすることができる。
【0012】
本発明に係る養生方法は、炭酸水の二酸化炭素濃度を0.2g/L以上としてもよい。
【0013】
本発明に係る養生方法は、斯かる構成により、コンクリート組成物が硬化した舗装コンクリート表面のすべり抵抗値をより大きくすることができる。
【0014】
本発明に係る舗装コンクリートの製造方法は、コンクリート組成物を硬化させて舗装コンクリートを製造する舗装コンクリートの製造方法であって、
上述の養生方法によってコンクリート組成物を硬化させる。
【0015】
本発明に係る舗装コンクリートの製造方法は、斯かる構成により、比較的大きなすべり抵抗値を有する舗装コンクリートを製造することができる。
【0016】
本発明に係る舗装コンクリートの製造方法は、舗装コンクリート表面のすべり抵抗値(BPN)を60以上としてもよい。
【0017】
本発明に係る舗装コンクリートの製造方法は、斯かる構成により、自動車のタイヤ等のスリップをより抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、コンクリート組成物が硬化した舗装コンクリート表面のすべり抵抗値を比較的大きくすることができる養生方法、及び舗装コンクリートの製造方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本実施形態に係る養生方法、及び舗装コンクリートの製造方法について説明する。
【0020】
<養生方法>
本実施形態に係る養生方法は、混練されたコンクリート組成物を打込み後、コンクリート組成物を硬化させる養生方法であって、打込まれたコンクリート組成物の表面に炭酸水を散水する散水工程を含む。
【0021】
本実施形態に係る養生方法で硬化されるコンクリート組成物は、例えば、セメントと、骨材と、水とを含む。
【0022】
セメントとしては、特に限定されるものではなく、例えば、JIS R 5210:2019で規定される普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント等のポルトランドセメント;高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメント等の混合セメント;超速硬セメント、アルミナセメント等の公知のセメントを用いることができる。なお、セメントは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0023】
骨材としては、細骨材及び/又は粗骨材を用いることができる。なお、細骨材とは、10mm網ふるいを全部通過し、5mm網ふるいを質量で85%以上通過する骨材のことをいい、粗骨材とは、5mm網ふるいに質量で85%以上とどまる骨材のことをいう(JIS A 0203:2019)。
【0024】
細骨材としては、例えば、JIS A 5308:2019附属書Aレディミクストコンクリート用骨材で規定される川砂、陸砂、山砂、海砂、砕砂、石灰石砕砂等の天然物由来の砂、高炉スラグ等が挙げられる。なお、細骨材は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0025】
粗骨材としては、例えば、川砂利、山砂利、海砂利等の天然骨材、砂岩、硬質石灰岩、玄武岩、安山岩等の砕石等の人工骨材、再生骨材等が挙げられる。なお、粗骨材は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0026】
水としては、特に限定されるものではなく、例えば、水道水、工業用水、回収水、地下水、河川水、雨水等を使用することができる。水には、コンクリート組成物の水和反応及び舗装コンクリートに悪影響を及ぼす有機物、塩化物イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等が含まれないか、含まれていても極めて微量であることが好ましい。水としては、品質の安定した水道水又は工業用水であることがより好ましい。
【0027】
また、コンクリート組成物は、混和材を含んでもよい。混和材としては、例えば、フライアッシュ、シリカフューム、セメントキルンダスト、高炉フューム、高炉水砕スラグ微粉末、高炉除冷スラグ微粉末、転炉スラグ微粉末、半水石膏、膨張材、石灰石微粉末、生石灰微粉末、ドロマイト微粉末等の無機質微粉末、ナトリウム型ベントナイト、カルシウム型ベントナイト、アタパルジャイト、セピオライト、活性白土、酸性白土、アロフェン、イモゴライト、シラス(火山灰)、シラスバルーン、カオリナイト、メタカオリン(焼成粘土)、合成ゼオライト、人造ゼオライト、人工ゼオライト、モルデナイト、クリノプチロライト等の無機物系フィラーが挙げられる。なお、混和材は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0028】
また、コンクリート組成物は、混和剤を含んでもよい。混和剤としては、例えば、AE剤、AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤、流動化剤、分離低減剤、凝結遅延剤(例えば、酒石酸等)、凝結促進剤(例えば、硫酸アルミニウム等)、急結剤、収縮低減剤、起泡剤、発泡剤、防水剤等が挙げられる。なお、混和剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0029】
コンクリート組成物を形成する際の水/セメント比としては、特に限定されるものではなく、使用するセメント等材料の種類や配合により変化させることができる。なお、水/セメント比とは、セメントに対する水の質量百分率である。水/セメント比としては、好ましくは30質量%以上60質量%以下であり、より好ましくは35質量%以上50質量%以下である。
【0030】
本実施形態に係る養生方法は、散水工程を含む。散水工程は、打込まれたコンクリート組成物の表面に炭酸水を散水する工程である。
【0031】
散水工程により、打込まれたコンクリート組成物の表面に炭酸水が散水されることで、前記表面が炭酸水に覆われる。炭酸水で前記表面が覆われることで、コンクリート組成物からの水分の蒸発、急激な温度変化等を防ぐとともに、炭酸水が前記表面に作用し、前記表面を粗面化する。そうすることで、コンクリート組成物が硬化した舗装コンクリート表面のすべり抵抗値を大きくできる。
【0032】
すべり抵抗値とは、コンクリート組成物が硬化した舗装コンクリート表面と自動車のタイヤ等との間に発生する摩擦抵抗値のことをいう。すべり抵抗値が大きければスリップしにくくなり、小さければスリップしやすくなる。また、本明細書において、すべり抵抗値はBPN(British Pendulum Number)で表す。BPNは、英国の道路研究所で開発された試験器(ポータブルスキッドレジスタンステスター)にて測定したときのすべり抵抗値である。
【0033】
本実施形態に係る養生方法で硬化されたコンクリート組成物の舗装コンクリート表面のすべり抵抗値(BPN)は、自動車のタイヤ等のスリップを抑制する観点から、高い方が好ましい。前記すべり抵抗値(BPN)は、好ましくは60以上である。
【0034】
散水工程を行うタイミングとしては、コンクリート組成物が打込まれた後、所定時間経過後に行われればよく、特に限定されるものではない。
【0035】
その際、散水工程を行うタイミングは、コンクリート組成物が打込まれた時間を基準としてもよいが、使用するセメント等材料の種類や配合により硬化の進行度合いが異なるため、コンクリート組成物の硬化の進行度合いを基準として行う方が好ましい。
【0036】
コンクリート組成物の硬化の進行度合いを基準とする場合、基準とする時間としては、コンクリート凝結における始発時間、又は終結時間が挙げられる。コンクリート組成物の表面における炭酸水の作用は、ある程度硬化が進行した方がより大きくなる。そのため、ある程度硬化が進行した前記終結時間を基準とすることが好ましい。前記終結時間を基準とすることで散水工程を行うタイミングを管理しやすい。なお、コンクリート凝結における始発時間は、JIS A1147:2019で規定されるコンクリートの凝結時間試験方法において、コンクリート組成物の貫入抵抗が3.5N/mmになるまでの時間である。また、コンクリート凝結における終結時間は、JIS A1147:2019で規定されるコンクリートの凝結時間試験方法において、コンクリート組成物の貫入抵抗が28.0N/mmになるまでの時間である。
【0037】
上述したようにコンクリート組成物の表面における炭酸水の作用は、ある程度硬化が進行した方がより大きくなる。そのため、散水工程は、コンクリート組成物が硬化した舗装コンクリート表面のすべり抵抗値を大きくする観点から、好ましくは、コンクリート凝結における終結時間以後に行われる。また、コンクリート組成物の硬化が進行しすぎるとコンクリート組成物の表面における炭酸水の作用が小さくなってしまう。そのため、散水工程は、好ましくは、コンクリート凝結における終結時間から17時間以内に行われる。
【0038】
また、散水工程においてコンクリート組成物の表面を炭酸水で覆ったあと、コンクリート組成物が十分硬化するまで、コンクリート組成物の表面が乾燥しないよう、さらに炭酸水を供給してもよい。
【0039】
散水工程で用いられる炭酸水は、炭酸ガス(二酸化炭素)を含んでいれば特に限定はない。炭酸水に含まれる二酸化炭素の濃度は、コンクリート組成物が硬化した舗装コンクリート表面のすべり抵抗値を大きくする観点から、好ましくは、0.2g/L以上であり、より好ましくは、1.7g/L以上である。
【0040】
本実施形態に係る養生方法は、散水工程を含むことで、コンクリート組成物が硬化した舗装コンクリート表面のすべり抵抗値を比較的大きくすることができる。
【0041】
本実施形態に係る養生方法では、散水工程において、打込まれたコンクリート組成物に直接炭酸水を散水する態様を説明したが、養生方法の別の態様として、散水工程において、打込まれたコンクリート組成物に養生マット(養生シート)を敷き、その上から炭酸水を散水してもよい。養生マットとしては、吸水性であれば特に限定はなく、例えば、布製の養生マットが挙げられ、起毛素材やパイル素材等、公知の吸水性を有する養生マットであればよい。
【0042】
別の態様の養生方法では、散水工程において養生マットを用いることで、コンクリート組成物が硬化した舗装コンクリート表面のすべり抵抗値を比較的大きくすることに加えて、コンクリート組成物の表面上の炭酸水をより長く保持できる。
【0043】
また、本実施形態に係る養生方法は、散水工程の前に、打込まれたコンクリート組成物の表面に凹凸をつける凹凸製造工程を有してもよい。凹凸製造工程でコンクリート組成物の表面に凹凸を製造する方法としては、例えば、ほうきを用いるほうき目仕上げ、ゴム状のリングを用いるリング工法等の公知の方法が挙げられる。
【0044】
凹凸製造工程により、散水工程の前に打込まれたコンクリート組成物の表面に物理的な方法で凹凸がつけられる。そのため、凹凸製造工程を有する養生方法では、コンクリート組成物が硬化した舗装コンクリート表面のすべり抵抗値を相乗的に大きくすることができる。
【0045】
<舗装コンクリートの製造方法>
本実施形態に係る舗装コンクリートの製造方法は、コンクリート組成物を硬化させて舗装コンクリートを製造する舗装コンクリートの製造方法であって、上述の養生方法によってコンクリート組成物を硬化させる。
【0046】
本実施形態に係る舗装コンクリートの製造方法で製造された舗装コンクリート表面のすべり抵抗値(BPN)は、自動車のタイヤ等のスリップを抑制する観点から、高い方が好ましい。前記すべり抵抗値(BPN)は、好ましくは60以上である。舗装コンクリート表面のすべり抵抗値(BPN)を60以上とすることで、自動車のタイヤ等のスリップをより抑制することができる。
【0047】
なお、本実施形態に係る養生方法、及び舗装コンクリートの製造方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本出願における開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0048】
本発明は、以下の態様を含む。
[1]混練されたコンクリート組成物を打込み後、コンクリート組成物を硬化させる養生方法であって、
打込まれたコンクリート組成物の表面に炭酸水を散水する散水工程を含む、養生方法。
[2]散水工程が、コンクリート凝結における終結時間以後に行われる、上記[1]に記載の養生方法。
[3]散水工程が、コンクリート凝結における終結時間から17時間以内に行われる、上記[1]又は[2]に記載の養生方法。
[4]炭酸水の二酸化炭素濃度が0.2g/L以上である、上記[1]~[3]のいずれか一つに記載の養生方法。
[5]コンクリート組成物を硬化させて舗装コンクリートを製造する舗装コンクリートの製造方法であって、
上記[1]~[4]のいずれか一つに記載の養生方法によってコンクリート組成物を硬化させる、舗装コンクリートの製造方法。
[6]舗装コンクリート表面のすべり抵抗値が60以上である、上記[5]に記載の舗装コンクリートの製造方法。
【実施例0049】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0050】
(供試体の作製)
表1に、コンクリート組成物1及びコンクリート組成物2に含まれる各成分を示す。コンクリート組成物1及びコンクリート組成物2は、水以外の各成分を混合して空練りを15秒間行った後、水を加え60秒間混練して作製した。作製した各コンクリート組成物を型枠(30cm×30cm×4.5cm)に打込み、金鏝にて表面を仕上げてコンクリート平板の供試体を作製した。
【0051】
表1に示す各成分の詳細を以下に示す。
セメント(NC):普通ポルトランドセメント(住友大阪セメント社製)、密度3.15g/cm
セメント(HC):早強ポルトランドセメント(住友大阪セメント社製)、密度3.13g/cm
水:水道水
細骨材:山砂 F.M2.62(掛川市産)、密度2.58g/cm
粗骨材:砕石2005 F.M6.67(西茨城群産)、密度2.65g/cm
【0052】
【表1】
【0053】
(供試体の養生)
<実施例1>
コンクリート組成物1を用いた供試体に打込み時間から5時間後(コンクリート凝結における終結時間の2.5時間前)のタイミングでCO濃度1.7g/Lの炭酸水2.2L/mを散水した。その後、供試体表面が乾燥しない程度に上記と同様の炭酸水2.2L/mを2回散水した。表2に各条件を示す。なお、表2の散水タイミングでのコンクリート凝結における終結時間のマイナス表示は、終結時間よりも前の時間を表す。
【0054】
<実施例2~5>
炭酸水を散水するタイミングを変えたこと以外は実施例1と同様である。実施例2~5における各条件は表2に示す。
【0055】
<実施例6~9>
供試体の作製にコンクリート組成物2を用いたこと、及び炭酸水を散水するタイミングを変えたこと以外は実施例1と同様である。実施例6~9における各条件は表2に示す。
【0056】
<実施例10~13>
炭酸水の二酸化炭素濃度を0.2g/Lとしたこと、及び炭酸水を散水するタイミングを変えたこと以外は実施例1と同様である。実施例10~13における各条件は表2に示す。
【0057】
<実施例14~17>
供試体の作製にコンクリート組成物2を用いたこと、炭酸水の二酸化炭素濃度を0.2g/Lとしたこと、及び炭酸水を散水するタイミングを変えたこと以外は実施例1と同様である。実施例10~13における各条件は表2に示す。
【0058】
<比較例1>
水道水を散水したこと以外は実施例1と同様である。表2に各条件を示す。
【0059】
<比較例2~5>
水道水を散水するタイミングを変えたこと以外は比較例1と同様である。比較例2~5における各条件は表2に示す。
【0060】
<比較例6~10>
供試体の作製にコンクリート組成物2を用いたこと、及び水道水を散水するタイミングを変えたこと以外は比較例1と同様である。比較例6~10における各条件は表2に示す。
【0061】
<比較例11>
供試体を気中で養生すること以外は実施例1と同様である。表2に各条件を示す。
【0062】
<比較例12>
供試体の作製にコンクリート組成物2を用いたこと以外は比較例11と同様である。表2に各条件を示す。
【0063】
(すべり抵抗値測定)
舗装調査・試験法便覧〔第1分冊〕「S021舗装路面のすべり抵抗の測定方法」に準拠し、各実施例及び各比較例を養生開始1週間後にすべり抵抗値(BPN)を測定した。実施例1~17、及び比較例1~12における測定結果を表2に示す。
【0064】
【表2】
【0065】
表2から炭酸水を散水した養生方法により、コンクリート組成物の硬化した硬化体表面のすべり抵抗値が、水道水を散水した養生方法、又は気中で養生した養生方法で硬化させた硬化体表面のすべり抵抗値と比較して大きくなることが示された。
【0066】
また、用いたセメントの種類が異なるコンクリート組成物1と2との間では、硬化するまでの時間が異なるので、打込み時間からの経過時間を基準とすると、同程度のすべり抵抗値とするには、散水するタイミングに違いがある。一方で、コンクリート凝結における終結時間を基準とすると、散水するタイミングを同じにして同程度のすべり抵抗値とすることができた。したがって、コンクリート凝結における終結時間を基準とする方が、コンクリート組成物に散水するタイミングを管理しやすいことが分かる。