特開 2024-39865 超音波診断装置および超音波診断装置の制御方法

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024039865

(43)【公開日】2024-03-25

(54)【発明の名称】超音波診断装置および超音波診断装置の制御方法

(51)【国際特許分類】

   A61B 8/14 20060101AFI20240315BHJP

【ＦＩ】

A61B8/14

【審査請求】未請求

【請求項の数】12

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022144557

(22)【出願日】2022-09-12

(71)【出願人】

【識別番号】306037311

【氏名又は名称】富士フイルム株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100152984

【弁理士】

【氏名又は名称】伊東 秀明

(74)【代理人】

【識別番号】100148080

【弁理士】

【氏名又は名称】三橋 史生

(72)【発明者】

【氏名】宮地 幸哉

【テーマコード（参考）】

4C601

【Ｆターム（参考）】

4C601DD30

4C601EE09

4C601EE11

4C601JB34

4C601JB40

4C601JC05

4C601JC06

4C601JC09

4C601JC37

(57)【要約】

【課題】ユーザが容易に且つ正確に診断を行うことができる超音波診断装置の制御方法および超音波診断装置を提供する。
【解決手段】超音波診断装置は、超音波画像に撮像された検出対象を検出する検出対象検出部（２４）と、検出対象検出部（２４）により検出された検出対象を解析する検出対象解析部（２５）と、超音波画像上に検出対象を含み且つ検出対象解析部（２５）による検出対象の解析結果に応じた位置に配置される関心領域を設定する関心領域設定部（２６）とを備える。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

超音波画像に撮像された検出対象を検出する検出対象検出部と、
前記検出対象検出部により検出された前記検出対象を解析する検出対象解析部と、
前記超音波画像上に前記検出対象を含み且つ前記検出対象解析部による前記検出対象の解析結果に応じた位置に配置される関心領域を設定する関心領域設定部と
を備える超音波診断装置。

【請求項2】

前記検出対象解析部は、前記検出対象の後方エコーの性状を解析し、
前記関心領域設定部は、前記検出対象解析部により解析された前記検出対象の後方エコーの性状に応じて、前記検出対象に対する前記関心領域の相対位置を変化させる請求項１に記載の超音波診断装置。

【請求項3】

前記関心領域設定部は、前記検出対象解析部により解析された前記検出対象の後方エコーの増強が定められたレベル以上である場合に、第１の関心領域を設定し、前記検出対象解析部により解析された前記検出対象の後方エコーの増強が前記定められたレベル未満である場合に、前記第１の関心領域とは前記検出対象に対する相対位置が異なる第２の関心領域を設定する請求項２に記載の超音波診断装置。

【請求項4】

前記関心領域設定部は、前記検出対象解析部により解析された前記検出対象が直腸内の便である場合に、第１の関心領域を設定し、前記検出対象解析部により解析された前記検出対象が空虚な直腸である場合に、前記第１の関心領域とは前記検出対象に対する相対位置が異なる第２の関心領域を設定する請求項１に記載の超音波診断装置。

【請求項5】

前記関心領域設定部は、前記検出対象解析部により解析された前記検出対象が嚢胞である場合に、第１の関心領域を設定し、前記検出対象解析部により解析された前記検出対象が腫瘤である場合に、前記第１の関心領域とは前記検出対象に対する相対位置が異なる第２の関心領域を設定する請求項１に記載の超音波診断装置。

【請求項6】

超音波画像に撮像された検出対象に対する検査モードを入力するモード入力部と、
前記超音波画像上に前記検出対象を含む関心領域を設定する関心領域設定部と
を備え、前記関心領域設定部は、前記モード入力部から入力された前記検査モードに応じた位置に配置される前記関心領域を設定する超音波診断装置。

【請求項7】

前記関心領域設定部は、前記モード入力部から直腸内の便を前記検出対象とする前記検査モードまたは嚢胞を前記検出対象とする前記検査モードが入力された場合に、第１の関心領域を設定し、前記モード入力部から空虚な直腸を前記検出対象とする前記検査モードまたは腫瘤を前記検出対象とする前記検査モードが入力された場合に、前記第１の関心領域とは前記検出対象に対する相対位置が異なる第２の関心領域を設定する請求項６に記載の超音波診断装置。

【請求項8】

前記第１の関心領域は、前記検出対象に対して、前記検出対象が前記第１の関心領域内の上部に位置するような相対位置を有する領域であり、前記第２の関心領域は、前記検出対象に対して、前記検出対象が前記第２の関心領域内の中央部に位置するような相対位置を有する領域である請求項３～５および７のいずれか一項に記載の超音波診断装置。

【請求項9】

前記第１の関心領域は、深さ方向に前記検出対象の長さの２倍以上且つ５倍以下の長さを有し、前記第２の関心領域は、深さ方向に前記検出対象の長さの１倍以上且つ２倍未満の長さを有する請求項８に記載の超音波診断装置。

【請求項10】

超音波プローブと、
前記超音波プローブを用いて前記超音波画像を取得する画像取得部と
を備える請求項１または６に記載の超音波診断装置。

【請求項11】

超音波画像に撮像された検出対象を検出し、
検出された前記検出対象を解析し、
前記超音波画像上に前記検出対象を含み且つ前記検出対象の解析結果に応じた関心領域を設定する
超音波診断装置の制御方法。

【請求項12】

超音波画像に撮像された検出対象に対する検査モードを入力し、
前記超音波画像上に前記検出対象を含み且つ入力された前記検査モードに応じた位置に配置される関心領域を設定する
超音波診断装置の制御方法。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、超音波画像内に関心領域を設定する超音波診断装置および超音波診断装置の制御方法に関する。

【背景技術】

【0002】

従来から、いわゆる超音波診断装置を用いて被検体内の断層を表す超音波画像を取得し、取得された超音波画像に基づいて医師等のユーザにより被検体の検査が行われている。このような被検体の検査をユーザが円滑に行うことができるように、超音波画像に写る被検体の臓器等の対象物を自動的に検出または計測する技術が知られている。この際に、自動的な検出または計測等の処理を行う範囲を限定して処理を円滑に行うために、超音波画像内においていわゆる関心領域が設定されることがある。例えば特許文献１には、検出対象を検出する範囲を限定するために超音波画像内に矩形の関心領域を設定することが開示されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】国際公開第２０１９／０３９０２８号

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

ところで、医師等のユーザが超音波画像に写る検出対象を確認して診断を行う際に、検出対象を容易に確認できるように、超音波画像内の検出対象を含む関心領域をモニタに表示することがある。関心領域は、通常、閉じた矩形の枠線により表示されることが多い。

【0005】

また、検出対象が直腸内に存在する便または嚢胞等の場合には、正確な診断を行うために、検出対象だけではなく、検出対象よりも深部の領域においていわゆる後方音響影が存在するか否か、または、いわゆる後方エコーが増強しているか否か等を確認する必要があることが知られている。そのため、閉じた矩形の枠線により関心領域を表示すると、ユーザが、超音波画像において検出対象よりも深部に位置する領域を確認しにくく、正確な診断を容易に行うことが困難な場合があった。

【0006】

本発明はこのような従来の問題点を解消するためになされたものであり、ユーザが容易に且つ正確に診断を行うことができる超音波診断装置および超音波診断装置の制御方法を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0007】

以下の構成によれば、上記目的を達成できる。
〔１〕 超音波画像に撮像された検出対象を検出する検出対象検出部と、
検出対象検出部により検出された検出対象を解析する検出対象解析部と、
超音波画像上に検出対象を含み且つ検出対象解析部による検出対象の解析結果に応じた位置に配置される関心領域を設定する関心領域設定部と
を備える超音波診断装置。
〔２〕 検出対象解析部は、検出対象の後方エコーの性状を解析し、
関心領域設定部は、検出対象解析部により解析された検出対象の後方エコーの性状に応じて、検出対象に対する関心領域の相対位置を変化させる〔１〕に記載の超音波診断装置。
〔３〕 関心領域設定部は、検出対象解析部により解析された検出対象の後方エコーの増強が定められたレベル以上である場合に、第１の関心領域を設定し、検出対象解析部により解析された検出対象の後方エコーの増強が定められたレベル未満である場合に、第１の関心領域とは検出対象に対する相対位置が異なる第２の関心領域を設定する〔２〕に記載の超音波診断装置。
〔４〕 関心領域設定部は、検出対象解析部により解析された検出対象が直腸内の便である場合に、第１の関心領域を設定し、検出対象解析部により解析された検出対象が空虚な直腸である場合に、第１の関心領域とは検出対象に対する相対位置が異なる第２の関心領域を設定する〔１〕に記載の超音波診断装置。
〔５〕 関心領域設定部は、検出対象解析部により解析された検出対象が嚢胞である場合に、第１の関心領域を設定し、検出対象解析部により解析された検出対象が腫瘤である場合に、第１の関心領域とは検出対象に対する相対位置が異なる第２の関心領域を設定する〔１〕に記載の超音波診断装置。
〔６〕 超音波画像に撮像された検出対象に対する検査モードを入力するモード入力部と、
超音波画像上に検出対象を含む関心領域を設定する関心領域設定部と
を備え、関心領域設定部は、モード入力部から入力された検査モードに応じた位置に配置される関心領域を設定する超音波診断装置。
〔７〕 関心領域設定部は、モード入力部から直腸内の便を検出対象とする検査モードまたは嚢胞を検出対象とする検査モードが入力された場合に、第１の関心領域を設定し、モード入力部から空虚な直腸を検出対象とする検査モードまたは腫瘤を検出対象とする検査モードが入力された場合に、第１の関心領域とは検出対象に対する相対位置が異なる第２の関心領域を設定する〔６〕に記載の超音波診断装置。
〔８〕 第１の関心領域は、検出対象に対して、検出対象が第１の関心領域内の上部に位置するような相対位置を有する領域であり、第２の関心領域は、検出対象に対して、検出対象が第２の関心領域内の中央部に位置するような相対位置を有する領域である〔３〕～〔５〕および〔７〕のいずれかに記載の超音波診断装置。
〔９〕 第１の関心領域は、深さ方向に検出対象の長さの２倍以上且つ５倍以下の長さを有し、第２の関心領域は、深さ方向に検出対象の長さの１倍以上且つ２倍未満の長さを有する〔３〕～〔５〕、〔７〕および〔８〕のいずれかに記載の超音波診断装置。
〔１０〕 超音波プローブと、
超音波プローブを用いて超音波画像を取得する画像取得部と
を備える〔１〕～〔９〕のいずれかに記載の超音波診断装置。
〔１１〕 超音波画像に撮像された検出対象を検出し、
検出された検出対象を解析し、
超音波画像上に検出対象を含み且つ検出対象の解析結果に応じた関心領域を設定する
超音波診断装置の制御方法。
〔１２〕 超音波画像に撮像された検出対象に対する検査モードを入力し、
超音波画像上に検出対象を含み且つ入力された検査モードに応じた位置に配置される関心領域を設定する
超音波診断装置の制御方法。

【発明の効果】

【0008】

本発明によれば、超音波診断装置が、超音波画像に撮像された検出対象を検出する検出対象検出部と、検出対象検出部により検出された検出対象を解析する検出対象解析部と、超音波画像上に検出対象を含み且つ検出対象解析部による検出対象の解析結果に応じた位置に配置される関心領域を設定する関心領域設定部とを備えるため、または、超音波画像に撮像された検出対象に対する検査モードを入力するモード入力部と、超音波画像上に検出対象を含む関心領域を設定する関心領域設定部とを備え、関心領域設定部が、モード入力部から入力された検査モードに応じた位置に配置される関心領域を設定するため、ユーザが容易に且つ正確に診断を行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【0009】

【図1】本発明の実施の形態１に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。

【図2】本発明の実施の形態１における送受信回路の構成を示すブロック図である。

【図3】本発明の実施の形態１における画像生成部の構成を示すブロック図である。

【図4】検出対象の輪郭線を示す図である。

【図5】検出対象を含む画像領域を示す図である。

【図6】超音波画像に写る便に対して設定された関心領域の例を示す図である。

【図7】超音波画像に写る直腸に対して設定された関心領域の例を示す図である。

【図8】本発明の実施の形態１に係る超音波診断装置の動作を示すフローチャートである。

【図9】超音波画像に写る便に対して設定された関心領域の他の例を示す図である。

【図10】本発明の実施の形態２に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。

【図11】本発明の実施の形態２に係る超音波診断装置の動作を示すフローチャートである。

【発明を実施するための形態】

【0010】

以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「～」を用いて表される数値範囲は、「～」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、「同一」、「同じ」は、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含むものとする。

【0011】

実施の形態１
図１に本発明の実施の形態１に係る超音波診断装置の構成を示す。超音波診断装置は、超音波プローブ１と、超音波プローブ１に接続される装置本体２を備えている。

【0012】

超音波プローブ１は、振動子アレイ１１を有している。振動子アレイ１１に送受信回路１２が接続されている。

【0013】

装置本体２は、超音波プローブ１の送受信回路１２に接続される画像生成部２１を有している。画像生成部２１に、表示制御部２２およびモニタ２３が、順次、接続されている。また、画像生成部２１に検出対象検出部２４、検出対象解析部２５および関心領域設定部２６が、順次、接続されている。関心領域設定部２６は、表示制御部２２に接続している。また、送受信回路１２、画像生成部２１、表示制御部２２、検出対象検出部２４、検出対象解析部２５および関心領域設定部２６に、本体制御部２７が接続されている。本体制御部２７に、入力装置２８が接続されている。

【0014】

また、送受信回路１２と画像生成部２１により、画像取得部３１が構成されている。また、画像生成部２１、表示制御部２２、検出対象検出部２４、検出対象解析部２５、関心領域設定部２６および本体制御部２７により、装置本体２用のプロセッサ３２が構成されている。

【0015】

超音波プローブ１の振動子アレイ１１は、１次元または２次元に配列された複数の超音波振動子を有している。これらの超音波振動子は、それぞれ送受信回路１２から供給される駆動信号に従って超音波を送信すると共に、被検体からの超音波エコーを受信して、超音波エコーに基づく信号を出力する。各超音波振動子は、例えば、ＰＺＴ（Lead Zirconate Titanate：チタン酸ジルコン酸鉛）に代表される圧電セラミック、ＰＶＤＦ（Poly Vinylidene Di Fluoride：ポリフッ化ビニリデン）に代表される高分子圧電素子およびＰＭＮ－ＰＴ（Lead Magnesium Niobate-Lead Titanate：マグネシウムニオブ酸鉛－チタン酸鉛固溶体）に代表される圧電単結晶等からなる圧電体の両端に電極を形成することにより構成される。

【0016】

送受信回路１２は、本体制御部２７による制御の下で、振動子アレイ１１から超音波を送信し且つ振動子アレイ１１により取得された受信信号に基づいて音線信号を生成する。送受信回路１２は、図２に示すように、振動子アレイ１１に接続されるパルサ４１と、振動子アレイ１１から順次直列に接続される増幅部４２、ＡＤ（Analog to Digital）変換部４３およびビームフォーマ４４を有している。

【0017】

パルサ４１は、例えば、複数のパルス発生器を含んでおり、本体制御部２７からの制御信号に応じて選択された送信遅延パターンに基づいて、振動子アレイ１１の複数の超音波振動子から送信される超音波が超音波ビームを形成するようにそれぞれの駆動信号を、遅延量を調節して複数の超音波振動子に供給する。このように、振動子アレイ１１の超音波振動子の電極にパルス状または連続波状の電圧が印加されると、圧電体が伸縮し、それぞれの超音波振動子からパルス状または連続波状の超音波が発生して、それらの超音波の合成波から、超音波ビームが形成される。

【0018】

送信された超音波ビームは、例えば、被検体の部位等の対象において反射され、超音波プローブ１の振動子アレイ１１に向かって伝搬する。このように振動子アレイ１１に向かって伝搬する超音波エコーは、振動子アレイ１１を構成するそれぞれの超音波振動子により受信される。この際に、振動子アレイ１１を構成するそれぞれの超音波振動子は、伝搬する超音波エコーを受信することにより伸縮して、電気信号である受信信号を発生させ、これらの受信信号を増幅部４２に出力する。

【0019】

増幅部４２は、振動子アレイ１１を構成するそれぞれの超音波振動子から入力された信号を増幅し、増幅した信号をＡＤ変換部４３に送信する。ＡＤ変換部４３は、増幅部４２から送信された信号をデジタルの受信データに変換する。ビームフォーマ４４は、ＡＤ変換部４３から受け取った各受信データに対してそれぞれの遅延を与えて加算することにより、いわゆる受信フォーカス処理を行う。この受信フォーカス処理により、ＡＤ変換部４３で変換された各受信データが整相加算され且つ超音波エコーの焦点が絞り込まれた音線信号が取得される。

【0020】

画像生成部２１は、図３に示すように、信号処理部４５、ＤＳＣ（Digital Scan Converter：デジタルスキャンコンバータ）４６および画像処理部４７が順次直列に接続された構成を有している。

【0021】

信号処理部４５は、送受信回路１２から受信した音線信号に対し、本体制御部２７により設定される音速値を用いて超音波の反射位置の深度に応じて距離による減衰の補正を施した後、包絡線検波処理を施すことにより、被検体内の組織に関する断層画像情報であるＢモード画像信号を生成する。

【0022】

ＤＳＣ４６は、信号処理部４５で生成されたＢモード画像信号を通常のテレビジョン信号の走査方式に従う画像信号に変換（ラスター変換）する。
画像処理部４７は、ＤＳＣ４６から入力されるＢモード画像信号に階調処理等の各種の必要な画像処理を施した後、Ｂモード画像信号を表示制御部２２および検出対象検出部２４に送出する。以降は、画像処理部４７により画像処理が施されたＢモード画像信号を、超音波画像と呼ぶ。

【0023】

表示制御部２２は、本体制御部２７の制御の下で、画像生成部２１により生成された超音波画像等に対して所定の処理を施して、モニタ２３に表示する。
モニタ２３は、表示制御部２２の制御の下で、種々の表示を行う。モニタ２３は、例えば、ＬＣＤ（Liquid Crystal Display：液晶ディスプレイ）、有機ＥＬディスプレイ（Organic Electroluminescence Display）等のディスプレイ装置を含むことができる。

【0024】

検出対象検出部２４は、画像生成部２１により生成された超音波画像を解析することにより、超音波画像に撮像された検出対象を検出する。検出対象検出部２４は、例えば、複数の検出対象それぞれに対して複数のテンプレート画像を記憶しており、これらの複数のテンプレート画像を用いた、いわゆるテンプレートマッチングの方法により超音波画像内をサーチして、検出対象を検出できる。また、検出対象検出部２４は、例えば、複数の検出対象のそれぞれが写る大量の超音波画像を学習した機械学習モデルを有し、この機械学習モデルを用いて超音波画像に写る検出対象を検出することもできる。

【0025】

検出対象検出部２４は、例えば図４に示すように超音波画像Ｕにおける検出対象Ａの輪郭線Ｃを検出結果として出力できる。

【0026】

検出対象検出部２４は、検出対象Ａの輪郭線Ｃを検出結果として出力する代わりに、例えば図５に示すように検出対象Ａを含む矩形の画像領域Ｂを検出結果として出力することもできる。この際に、検出対象Ａの深さ方向の位置が精度良く特定されるために、画像領域Ｂの深さ方向の長さは検出対象Ａの深さ方向の長さの１倍以上且つ２倍未満であることが好ましい。

【0027】

検出対象解析部２５は、検出対象検出部２４により検出された検出対象Ａとその後方エコーの性状を解析して、超音波画像Ｕ内の検出対象Ａよりも深部の領域において、いわゆる後方音響影が存在するか否か、または、後方エコーが増強しているか否か等を判定する。

【0028】

後方音響影は、被検体の体表側から伝搬する超音波が検出対象Ａを通過できないことにより、超音波画像Ｕにおいて検出対象Ａよりも深部に位置する低輝度の領域のことを指す。後方音響影は、例えば硬い便が撮影された超音波画像Ｕにおいて発生することが多い。後方エコーの増強は、超音波画像Ｕにおいて、例えば嚢胞等の超音波の減衰が少ない検出対象Ａよりも深部に位置する高輝度の領域のことを指す。医師等のユーザは、このような、検出対象Ａよりも深部に位置する領域の性状を把握することで、被検体を正確に診断できる。

【0029】

関心領域設定部２６は、超音波画像Ｕ上に検出対象を含み且つ検出対象解析部２５による検出対象Ａの解析結果に応じた位置に配置される関心領域を設定する。この際に、関心領域設定部２６は、検出対象解析部２５により解析された後方エコーの性状に応じて、検出対象Ａに対する関心領域の相対位置を変化させることができる。関心領域設定部２６は、例えば図６に示すように、超音波画像Ｕにおいて検出対象Ａ１の後方音響影が存在すると判定された場合に、検出対象が関心領域内の上部に位置するような相対位置を有する矩形の第１の関心領域Ｒ１を設定できる。また、関心領域設定部２６は、例えば図７に示すように、超音波画像Ｕにおいて検出対象Ａ２の後方音響影が存在しないと判定された場合に、検出対象Ａ２が関心領域内の中央部に位置するような相対位置を有する矩形の第２の関心領域Ｒ２を設定できる。

【0030】

なお、図６では、後方音響影が確認できる検出対象Ａ１の例として直腸内の便が示されている。また、図７では後方音響影が確認できない検出対象Ａ２の例として空虚な直腸が示されている。

【0031】

関心領域設定部２６は、検出対象検出部２４が検出対象Ａ１の輪郭線Ｃを出力する場合に、例えば、検出対象Ａの輪郭線Ｃを含み且つ輪郭線Ｃに外接する矩形の領域を設定し、その矩形の領域の重心の位置を固定したまま矩形の領域を１倍以上且つ２倍未満の倍率、例えば１．２倍の倍率で拡大し、さらに、矩形の領域の深さ方向の長さが検出対象Ａ１の深さ方向の長さの２倍以上且つ５倍未満、例えば３倍となるように矩形の領域を深さ方向に沿って深部に向かって伸長することにより、第１の関心領域Ｒ１を設定できる。

【0032】

また、関心領域設定部２６は、検出対象検出部２４が検出対象Ａ２の輪郭線Ｃを出力する場合に、例えば、輪郭線Ｃを含み且つ輪郭線Ｃに外接する矩形の領域を設定し、その矩形の領域の重心の位置を固定したまま矩形の領域を１倍以上且つ２倍未満の倍率、例えば１．２倍の倍率で拡大することにより、第２の関心領域Ｒ２を設定できる。

【0033】

また、関心領域設定部２６は、検出対象検出部２４が検出対象Ａ１の輪郭線Ｃを出力する代わりに検出対象Ａ１を含む画像領域Ｂを出力する場合に、その画像領域Ｂの深さ方向の長さが検出対象Ａ１の深さ方向の長さの２倍以上且つ５倍未満、例えば３倍となるように画像領域Ｂを深さ方向に沿って深部に向かって伸長することにより、第１の関心領域Ｒ１を設定できる。

【0034】

また、関心領域設定部２６は、検出対象検出部２４が検出対象Ａ２の輪郭線Ｃを出力する代わりに検出対象Ａ２を含む画像領域Ｂを出力する場合に、その画像領域Ｂを第２の関心領域Ｒ２として設定できる。

【0035】

このようにして設定された第１の関心領域Ｒ１および第２の関心領域Ｒ２は表示制御部２２に送出されて、例えば、それぞれの関心領域の縁を表す閉じた枠線によりモニタ２３に表示されることができる。後方音響影が確認できる便等の検出対象Ａ１に対して、検出対象Ａ１の深部の領域を含む第１の関心領域Ｒ１が設定されるため、ユーザは、検出対象Ａ１の後方音響影を明確に確認して、容易に且つ正確に診断を行うことができる。

【0036】

なお、検出対象検出部２４が検出対象Ａ１およびＡ２の輪郭線Ｃを出力する場合に、関心領域設定部２６が検出対象Ａ１およびＡ２の輪郭線Ｃを含む矩形の領域を１倍以上且つ２倍未満の倍率で拡大することが説明されているが、輪郭線Ｃを含む矩形の領域を１倍よりも大きい倍率で拡大することにより、モニタ２３に第１の関心領域Ｒ１または第２の関心領域Ｒ２を表示した際にユーザが検出対象Ａ１またはＡ２を確認しやすいため、１倍よりも大きい倍率で拡大の処理を行うことが好ましい。

【0037】

また、関心領域設定部２６は、例えば、検出対象解析部２５により解析された検出対象Ａの後方エコーの増強が定められたレベル以上である場合に第１の関心領域Ｒ１を設定し、検出対象解析部２５により解析された検出対象Ａの後方エコーの増強が定められたレベル未満である場合に第２の関心領域Ｒ２を設定することもできる。これにより、ユーザは、後方エコーが増強しているか否かを明確に把握して、容易に且つ正確に診断を行うことができる。なお、後方エコーの増強が認められやすい検出対象の例として嚢胞が挙げられ、後方エコーの増強が認められにくい検出対象の例として腫瘤が挙げられる。

【0038】

また、関心領域設定部２６は、検出対象解析部２５により解析された検出対象Ａが直腸内の便である場合に第１の関心領域Ｒ１を設定し、検出対象解析部２５により解析された検出対象Ａが空虚な直腸である場合に第２の関心領域Ｒ２を設定することもできる。検出対象が便である場合には、便の硬さによっては後方音響影が生じる可能性があるため、第１の関心領域Ｒ１を設定することにより、ユーザは、後方音響影が生じた場合でも、超音波画像Ｕを確認して容易に且つ正確に診断を行うことができる。

【0039】

また、関心領域設定部２６は、検出対象解析部２５により解析された検出対象Ａが嚢胞である場合に第１の関心領域Ｒ１を設定し、検出対象解析部２５により解析された検出対象Ａが腫瘤である場合に第２の関心領域Ｒ２を設定することもできる。検出対象Ａが嚢胞である場合には、後方エコーが増強することが多いため、第１の関心領域Ｒ１を設定することにより、ユーザは、超音波画像Ｕを確認して容易に且つ正確に診断を行うことができる。

【0040】

本体制御部２７は、予め記録されたプログラム等に従って装置本体２の各部および超音波プローブ１を制御する。
入力装置２８は、検査者による入力操作を受け付け、入力された情報を本体制御部２７に送出する。入力装置２８は、例えば、キーボード、マウス、トラックボール、タッチパッドおよびタッチパネル等の検査者が入力操作を行うための装置等により構成される。

【0041】

なお、画像生成部２１、表示制御部２２、検出対象検出部２４、検出対象解析部２５、関心領域設定部２６および本体制御部２７を有するプロセッサ３２は、ＣＰＵ（Central Processing Unit：中央処理装置）、および、ＣＰＵに各種の処理を行わせるための制御プログラムから構成されるが、ＦＰＧＡ（Field Programmable Gate Array：フィードプログラマブルゲートアレイ）、ＤＳＰ（Digital Signal Processor：デジタルシグナルプロセッサ）、ＡＳＩＣ（Application Specific Integrated Circuit：アプリケーションスペシフィックインテグレイテッドサーキット）、ＧＰＵ（Graphics Processing Unit：グラフィックスプロセッシングユニット）、または、その他のＩＣ（Integrated Circuit：集積回路）を用いて構成されてもよく、もしくはそれらを組み合わせて構成されてもよい。

【0042】

また、プロセッサ３２の画像生成部２１、表示制御部２２、検出対象検出部２４、検出対象解析部２５、関心領域設定部２６および本体制御部２７は、部分的にあるいは全体的に１つのＣＰＵ等に統合させて構成されることもできる。

【0043】

次に、図８のフローチャートを用いて実施の形態１に係る超音波診断装置の動作の例を説明する。

【0044】

まず、ステップＳ１において、画像取得部３１により超音波画像Ｕが取得される。この際に、超音波プローブ１の振動子アレイ１１により被検体内に超音波ビームが送信され且つ被検体内から超音波エコーが受信され、受信信号が生成される。画像取得部３１の送受信回路１２は、受信信号に対して、本体制御部２７の制御の下でいわゆる受信フォーカス処理を行って音線信号を生成する。送受信回路１２により生成された音線信号は、画像生成部２１に送出される。画像生成部２１は、送受信回路１２から送出された音線信号を用いて超音波画像Ｕを生成する。

【0045】

次に、ステップＳ２において、検出対象検出部２４は、ステップＳ１で取得された超音波画像Ｕを解析することにより、超音波画像Ｕに写る検出対象Ａを検出する。この際に、検出対象検出部２４は、テンプレートマッチングの方法により検出対象Ａを検出することができ、予め検出対象が写る大量の超音波画像Ｕを学習した機械学習モデルにより検出対象を検出することもできる。

【0046】

ステップＳ３において、検出対象解析部２５は、ステップＳ２で検出された検出対象Ａとその後方エコーの性状を解析して、超音波画像Ｕ内の検出対象Ａよりも深部の領域において後方音響影が存在するか否か、または、後方エコーが増強しているか否か等を判定する。

【0047】

最後に、ステップＳ４において、関心領域設定部２６は、ステップＳ３における検出対象解析部２５の解析結果に応じて、第１の関心領域Ｒ１または第２の関心領域Ｒ２を設定する。

【0048】

関心領域設定部２６は、例えば、超音波画像Ｕにおいて検出対象Ａ１の後方音響影が存在するとステップＳ３で判定された場合に第１の関心領域Ｒ１を設定でき、超音波画像Ｕにおいて検出対象Ａ２の後方音響影が存在しないとステップＳ３で判定された場合に第２の関心領域Ｒ２を設定できる。

【0049】

また、後方音響影の存在が認められやすい検出対象Ａ１の例として直腸内の便が挙げられ、後方音響影の存在が認められにくい検出対象Ａ２の例として空虚な直腸が挙げられるため、関心領域設定部２６は、検出対象解析部２５により解析された検出対象Ａが直腸内の便である場合に第１の関心領域Ｒ１を設定し、検出対象解析部２５により解析された検出対象Ａが空虚な直腸である場合に第２の関心領域Ｒ２を設定することもできる。

【0050】

また、関心領域設定部２６は、例えば、検出対象解析部２５により解析された検出対象Ａの後方エコーの増強が定められたレベル以上である場合に第１の関心領域Ｒ１を設定し、検出対象解析部２５により解析された検出対象Ａの後方エコーの増強が定められたレベル未満である場合に第２の関心領域Ｒ２を設定することもできる。

【0051】

また、後方エコーの増強が認められやすい検出対象の例として嚢胞が挙げられ、後方エコーの増強が認められにくい検出対象の例として腫瘤が挙げられるため、関心領域設定部２６は、例えば、検出対象解析部２５により解析された検出対象Ａが嚢胞である場合に第１の関心領域Ｒ１を設定し、検出対象解析部２５により解析された検出対象Ａが腫瘤である場合に第２の関心領域Ｒ２を設定することもできる。

【0052】

ステップＳ４で設定された第１の関心領域Ｒ１または第２の関心領域Ｒ２は、表示制御部２２に送出されて、例えば、それぞれの関心領域の縁を表す閉じた枠線によりモニタ２３に表示されることができる。後方音響影が確認できる便等の検出対象Ａ１に対して、検出対象Ａ１の深部の領域を含む第１の関心領域Ｒ１が設定されるため、ユーザは、検出対象Ａ１の後方音響影を明確に確認して、容易に且つ正確に診断を行うことができる。

【0053】

このようにしてステップＳ４の処理が完了すると、図８に示す超音波診断装置の動作が完了する。

【0054】

以上から、本発明の実施の形態１に係る超音波診断装置によれば、検出対象検出部２４が超音波画像Ｕに撮像された検出対象Ａを検出し、検出対象解析部２５が検出された検出対象Ａを解析し、関心領域設定部２６が検出対象の位置に対して解析結果に応じた位置に配置される第１の関心領域Ｒ１または第２の関心領域Ｒ２を設定するため、ユーザは、検出対象Ａの後方エコーを確認する必要がある場合でも、その後方エコーを明確に確認して、容易に且つ正確に検出対象Ａに関する診断を行うことができる。

【0055】

なお、送受信回路１２が超音波プローブ１に備えられることが説明されているが、送受信回路１２は装置本体２に備えられていてもよい。
また、画像生成部２１が装置本体２に備えられることが説明されているが、画像生成部２１は超音波プローブ１に備えられていてもよい。

【0056】

また、装置本体２は、いわゆる据え置き型でもよく、持ち運びが容易な携帯型でもよく、例えばスマートフォンまたはタブレット型のコンピュータにより構成される、いわゆるハンドヘルド型でもよい。このように、装置本体２を構成する機器の種類は特に限定されない。

【0057】

また、装置本体２は、画像生成部２１により生成された超音波画像Ｕを検査毎に格納する図示しない画像メモリを備えることもできる。この場合に、例えば、入力装置２８を介したユーザの指示に基づいて、過去の検査で取得され且つ画像メモリに格納された超音波画像Ｕに対して図８のフローチャートにおけるステップＳ２～ステップＳ４の処理を行うこともできる。

【0058】

また、装置本体２は、図示しない外部の機器から超音波画像Ｕを入力するための図示しない画像入力部を備えることもできる。この場合に、例えば、入力装置２８を介したユーザの指示に基づいて、画像入力部を介して外部の機器から入力された超音波画像Ｕに対して図８のフローチャートにおけるステップＳ２～ステップＳ４の処理を行うこともできる。

【0059】

また、関心領域設定部２６により設定される第１の関心領域Ｒ１および第２の関心領域Ｒ２が矩形であることが説明されているが、矩形に限定されず、円形、多角形等の任意の形状を有することができる。

【0060】

特に、第１の関心領域Ｒ１は、例えば図９に示すように、超音波画像Ｕの音線ラインに沿い且つ互いに対向する２つの辺Ｅ１およびＥ２を有することができる。検出対象Ａ１よりも深部の領域に生じる後方音響影は、通常、音線ラインに沿って形成されるため、第１の関心領域Ｒ１が音線ラインに沿って延びる２つの辺Ｅ１およびＥ２を有することにより、第１の関心領域Ｒ１の縁が後方音響影に重ならず、ユーザが後方音響影を容易に確認できる。なお、後方エコーが音線ラインに沿って形成されることから、検出対象Ａの後方エコーが増強する場合にも、ユーザが後方エコーを容易に確認できる点で、第１の関心領域Ｒ１が音線ラインに沿って延びる２つの辺Ｅ１およびＥ２を有することが好ましい。

【0061】

また、第２の関心領域Ｒ２も、第１の関心領域Ｒ１と同様に、超音波画像Ｕの音線ラインに沿い且つ互いに対向する２つの辺Ｅ１およびＥ２を有することができる。

【0062】

また、第１の関心領域Ｒ１および第２の関心領域Ｒ２が、それぞれ関心領域の縁を表す閉じた枠線によりモニタ２３に表示されることが説明されているが、第１の関心領域Ｒ１および第２の関心領域Ｒ２の表示態様は特に限定されない。例えば、第１の関心領域Ｒ１および第２の関心領域Ｒ２の縁を表す線の一部のみが表示されてもよい。例えば、第１の関心領域Ｒ１および第２の関心領域Ｒ２は、矩形の形状を有している場合に、矩形の縁を表す線のうち四隅の部分のみを表示することもできる。

【0063】

実施の形態２
実施の形態１では、検出対象Ａの解析結果に応じた位置に配置される関心領域が設定されることが説明されているが、例えば、超音波診断装置は、設定された検査モードに応じた位置に配置される関心領域を設定することもできる。

【0064】

図１０に、本発明の実施の形態２に係る超音波診断装置の構成を示す。実施の形態２の超音波診断装置は、図１に示す実施の形態１の超音波診断装置において、装置本体２の代わりに装置本体２Ａを備えている。装置本体２Ａは、実施の形態１における装置本体２において、検出対象解析部２５が除かれ、モード入力部５１が追加され、本体制御部２７の代わりに本体制御部２７Ａを備えている。

【0065】

装置本体２Ａにおいて、モード入力部５１は、関心領域設定部２６および本体制御部２７Ａに接続している。また、画像生成部２１、表示制御部２２、検出対象検出部２４、関心領域設定部２６、本体制御部２７Ａおよびモード入力部５１により、装置本体２Ａ用のプロセッサ３２Ａが構成されている。

【0066】

実施の形態２の超音波診断装置は、複数の検出対象Ａに対する複数の検査モードを予め有している。ここで、検査モードとは、特定の検出対象Ａに合わせて予め設定された、いわゆるゲインの条件およびいわゆるダイナミックレンジの条件等の複数の条件により構成されるプリセットを用いて検査を行うモードのことをいう。

【0067】

モード入力部５１は、例えば入力装置２８を介したユーザの指示に基づいて、超音波診断装置が有する複数の検査モードのうち、超音波画像Ｕに撮像された検出対象に対する検査モードを入力する。

【0068】

検出対象検出部２４は、画像生成部２１により生成された超音波画像Ｕを解析することにより、超音波画像Ｕに写る検出対象Ａを検出する。モード入力部５１により入力された検査モードが使用されている場合に、その検査モードに対応する検出対象Ａが超音波画像Ｕにおいて明瞭に撮像できるため、検出対象検出部２４は、検出対象Ａを容易に検出できる。

【0069】

関心領域設定部２６は、例えば直腸内の便および嚢胞のような、検出対象Ａの後方エコーの輝度がその周囲の輝度とは異なる複数の検出対象Ａと、それ以外の複数の検出対象Ａを予め記憶しており、検査モードに応じた位置に配置される関心領域を超音波画像Ｕ上に設定する。

【0070】

関心領域設定部２６は、例えば、モード入力部５１から直腸内の便を検出対象Ａとする検査モードまたは嚢胞を検出対象Ａとする検査モードが入力された場合に、第１の関心領域Ｒ１を設定でき、モード入力部５１から空虚な直腸を検出対象Ａとする検査モードまたは腫瘤を検出対象Ａとする検査モードが入力された場合に、第２の関心領域Ｒ２を設定できる。

【0071】

以下では、図１１に示すフローチャートに基づいて実施の形態２に係る超音波診断装置の動作の例を説明する。

【0072】

まず、ステップＳ１１において、モード入力部５１は、入力装置２８を介したユーザの指示に基づいて、超音波診断装置に予め記憶されている複数の検査モードのうちの１つを入力する。

【0073】

次に、ステップＳ１２において、ユーザは、ステップＳ１１で設定された検査モードに対応する検出対象Ａを撮像するために、被検体の体表上の適切な位置に超音波プローブ１を配置し、図８のフローチャートにおけるステップＳ１と同様にして、超音波画像Ｕが取得される。

【0074】

ステップＳ１３において、図８のフローチャートにおけるステップＳ２と同様にして、検出対象検出部２４により、超音波画像Ｕに撮像された検出対象Ａが検出される。

【0075】

ステップＳ１４において、関心領域設定部２６は、ステップＳ１で設定された検査モードに応じた位置に配置され且つステップＳ１３で検出された検出対象Ａを囲む関心領域を設定する。例えば、ステップＳ１で直腸内の便に対応する検査モードが設定された場合に、関心領域設定部２６は、その検査モードに応じた関心領域として、第１の関心領域Ｒ１を設定できる。また、例えば、ステップＳ１で空虚な直腸に対応する検査モードが設定された場合に、関心領域設定部２６は、その検査モードに応じた関心領域として、第２の関心領域Ｒ２を設定できる。

【0076】

ステップＳ１４で設定された第１の関心領域Ｒ１または第２の関心領域Ｒ２は、表示制御部２２に送出されて、例えば、それぞれの関心領域の縁を表す閉じた枠線によりモニタ２３に表示されることができる。後方音響影が確認できる便等の検出対象Ａ１に対して、検出対象Ａ１の深部の領域を含む第１の関心領域Ｒ１が設定されるため、ユーザは、検出対象Ａ１の後方音響影等を明確に確認して、容易に且つ正確に診断を行うことができる。

【0077】

このようにしてステップＳ１４の処理が完了すると、図１１に示す超音波診断装置の動作が完了する。

【0078】

以上から、本発明の実施の形態２に係る超音波診断装置によれば、モード入力部５１が超音波画像Ｕに撮像された検出対象Ａに対する検査モードを入力し、関心領域設定部２６が、モード入力部５１から入力された検査モードに応じた位置に配置される関心領域を設定するため、実施の形態１の超音波診断装置と同様に、ユーザは、検出対象Ａの後方エコーを確認する必要がある場合でも、その後方エコーを明確に確認して、容易に且つ正確に検出対象Ａに関する診断を行うことができる。

【符号の説明】

【0079】

１ 超音波プローブ、２，２Ａ 装置本体、１１ 振動子アレイ、１２ 送受信回路、２１ 画像生成部、２２ 表示制御部、２３ モニタ、２４ 検出対象検出部、２５ 検出対象解析部、２６ 関心領域設定部、２７，２７Ａ 本体制御部、２８ 入力装置、３１ 画像取得部、３２，３２Ａ プロセッサ、４１ パルサ、４２ 増幅部、４３ ＡＤ変換部、４４ ビームフォーマ、４５ 信号処理部、４６ ＤＳＣ、４７ 画像処理部、５１ モード入力部、Ａ，Ａ１，Ａ２ 検出対象、Ｂ 画像領域、Ｃ 輪郭線、Ｅ１，Ｅ２ 辺、Ｒ１ 第１の関心領域、Ｒ２ 第２の関心領域、Ｕ 超音波画像。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】