(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039899
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】ネガ型感光性樹脂組成物及びドライフィルムレジスト
(51)【国際特許分類】
G03F 7/032 20060101AFI20240315BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20240315BHJP
H05K 3/06 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
G03F7/032
G03F7/004 512
H05K3/06 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144622
(22)【出願日】2022-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長田 裕仁
(72)【発明者】
【氏名】伊部 武史
【テーマコード(参考)】
2H225
5E339
【Fターム(参考)】
2H225AC36
2H225AD02
2H225AM13P
2H225AM32P
2H225AM80P
2H225AN39P
2H225CA13
2H225CB05
2H225CC01
2H225CC13
5E339AB02
5E339AB05
5E339CD01
5E339CE14
5E339CF07
5E339CF16
5E339CF17
5E339EE10
(57)【要約】
【課題】露光前のレジスト層はアルカリ溶解性を有し、製膜性及び密着性に優れ、且つ、露光後のレジスト硬化物は耐薬品性に優れるドライフィルムレジスト及びネガ型感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】下記の成分(A)~(C)を含有する、ネガ型感光性樹脂組成物。(A)m-クレゾールから誘導される構造単位(a1)、ベンズアルデヒドから誘導される構造単位(a2)、及びサリチルアルデヒドから誘導される構造単位(a3)のモル比[(a1):(a2):(a3)]が、1.0:0.3~0.8:0.3~0.8であるノボラック型フェノール樹脂/(B)ラジカル重合性化合物/(C)光重合開始剤
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分(A)~(C)を含有する、ネガ型感光性樹脂組成物。
(A)m-クレゾールから誘導される構造単位(a1)、ベンズアルデヒドから誘導される構造単位(a2)、及びサリチルアルデヒドから誘導される構造単位(a3)のモル比[(a1):(a2):(a3)]が、1.0:0.3~0.8:0.3~0.8であるノボラック型フェノール樹脂
(B)ラジカル重合性化合物
(C)光重合開始剤
【請求項2】
前記成分(A)が、m-クレゾール、ベンズアルデヒド、及びサリチルアルデヒドを、有機溶媒中、モル比でm-クレゾール:ベンズアルデヒド:サリチルアルデヒド=1.0:0.3~0.8:0.3~0.8の範囲において、酸触媒で重縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂である、請求項1に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記成分(A)における、m-クレゾールから誘導される構造単位(a1)、ベンズアルデヒドから誘導される構造単位(a2)、及びサリチルアルデヒドから誘導される構造単位(a3)の含有量の合計が30質量%以上である、請求項1又は2に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項4】
さらに溶剤を含有する、請求項1~3のいずれかに記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項5】
基材フィルムと、請求項1~4のいずれかに記載のネガ型感光性樹脂組成物を含むレジスト層と、を含む、ドライフィルムレジスト。
【請求項6】
請求項5に記載のレジスト層の硬化物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネガ型感光性樹脂組成物及びドライフィルムレジストに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化に伴い、半導体パッケージの高密度化が進んでいる。半導体パッケージの製造プロセスにおいては、フィルム、シート、金属基板、セラミックス基板等の支持体上に、レジスト材料を用いてレジスト膜を形成するが、高密度化による回路の微細化に伴い、支持体表面の段差も微細化が進んでいる。このような段差のある支持体表面に液状のレジスト材料を塗布した場合、均一な厚みでレジスト膜を得ることは困難である上、段差付近でのボイド等の欠陥発生が問題となっている。そこで、均一な厚み、且つ、段差付近の欠陥のないレジスト膜作製のため、ネガ型感光性ドライフィルムレジストに注目が集まっている。
【0003】
従来、ネガ型感光性ドライフィルムレジストは有機溶剤を用いた溶剤現像型が主流であった。しかしながら、溶剤現像では、現像時に溶剤吸収によるレジスト樹脂の膨潤現象が発生するため、微細パターンの描画には不向きであった。
そこで、溶剤現像ではなく、アルカリ溶解性成分を組み込んだアルカリ現像型のネガ型感光性ドライフィルムレジストによる微細パターン描画が検討されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、特許文献1のパターン形成では、アルカリ溶解成分として、パラヒドロキシスチレン骨格やカルボキシル基等の官能基を用いているため、アルカリ溶解速度の制御が困難であり、露光部分の現像後残渣や、未露光部の膜減りが発生し、十数μm以下の微細パターンの形成は困難であり、また、耐薬品性が十分ではなかった。
【0004】
そこで、アルカリ溶解速度の制御を目的にフェノールノボラック樹脂を添加したネガ型ドライフィルムレジストの開発も検討されている(例えば、特許文献2)。しかしながら、特許文献2のパターン形成では、フェノールノボラック樹脂のアルカリ現像速度が十分ではないため、依然として露光部分の現像後残渣の課題は解決されていない。また、十数μm以下の微細パターン描画が困難である上に、フィルム上にレジスト膜を作製した際の製膜不良、半導体パッケージ内の支持体との密着性が問題となっている。
【0005】
以上のように、半導体パッケージの高密度化に伴い、より微細なパターンを、残渣を発生させずに描画でき、且つ、基材フィルム上に製膜不良なく塗膜が形成でき、また、耐溶剤性及び基材密着性を有するネガ型感光性ドライフィルムレジストの開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-151489号公報
【特許文献2】特開2019-128438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、露光前のレジスト層はアルカリ溶解性を有し、製膜性及び密着性に優れ、且つ、露光後のレジスト硬化物は耐薬品性に優れるドライフィルムレジスト及びネガ型感光性樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定の構造単位を有するノボラック型フェノール樹脂組成物と、ラジカル重合性化合物と、光重合開始剤とを、組み合わせて使用したネガ型感光性樹脂組成物を使用することにより、露光前のレジスト層のアルカリ溶解性を向上でき、製膜性及び密着性も優れており、また、レジスト硬化物の耐薬品性が優れている、ドライフィルムレジストが得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は下記の成分(A)~(C)を含有する、ネガ型感光性樹脂組成物に関する。
(A)m-クレゾールから誘導される構造単位(a1)、ベンズアルデヒドから誘導される構造単位(a2)、及びサリチルアルデヒドから誘導される構造単位(a3)のモル比[(a1):(a2):(a3)]が、1.0:0.3~0.8:0.3~0.8であるノボラック型フェノール樹脂
(B)ラジカル重合性化合物
(C)光重合開始剤
【0010】
本発明はさらに、基材フィルムと、前記ネガ型感光性樹脂組成物を含むレジスト層と、を含む、ドライフィルムレジストに関する。
本発明はさらに、前記レジスト層の硬化物に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、露光前のレジスト層がアルカリ溶解性を有し、製膜性及び密着性に優れ、且つ、レジスト硬化物は耐薬品性に優れるドライフィルムレジスト及びネガ型感光性樹脂組成物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】合成例1で得たノボラック型フェノール樹脂のGPCチャートである。
【
図2】合成例2で得たノボラック型フェノール樹脂のGPCチャートである。
【
図3】合成例3で得たノボラック型フェノール樹脂のGPCチャートである。
【
図4】合成例4で得たノボラック型フェノール樹脂のGPCチャートである。
【
図5】合成例5で得たノボラック型フェノール樹脂のGPCチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に発明を実施するための形態について説明する。
なお、本明細書において、「x~y」は「x以上、y以下」の数値範囲を表すものとする。数値範囲に関して記載された上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
また、以下に記載される本発明の個々の形態を2つ以上組み合わせた形態もまた、本発明の形態である。
【0014】
[ネガ型感光性樹脂組成物]
本発明の一実施形態に係るネガ型感光性樹脂組成物は、下記の成分(A)~(C)を含有する。
(A)m-クレゾールから誘導される構造単位(a1)、ベンズアルデヒドから誘導される構造単位(a2)、及びサリチルアルデヒドから誘導される構造単位(a3)のモル比[(a1):(a2):(a3)]が、1.0:0.3~0.8:0.3~0.8であるノボラック型フェノール樹脂
(B)ラジカル重合性化合物
(C)光重合開始剤
【0015】
本実施形態では、上記(A)のノボラック型フェノール樹脂を使用することにより、基材フィルム上での製膜不良の発生を抑制できる。また、非露光部のアルカリ溶解性が高く、密着性に優れるレジストが得られる。また、レジスト硬化物の耐薬品性が向上する。
以下、ネガ型感光性樹脂組成物の構成成分について説明する。
【0016】
・成分(A)
成分(A)であるノボラック型フェノール樹脂は、m-クレゾールから誘導される構造単位(a1)、ベンズアルデヒドから誘導される構造単位(a2)、及びサリチルアルデヒドから誘導される構造単位(a3)のモル比[(a1):(a2):(a3)]が、1.0:0.3~0.8:0.3~0.8である。
【0017】
成分(A)が有するm-クレゾールから誘導される構造単位(a1)、ベンズアルデヒドから誘導される構造単位(a2)、及びサリチルアルデヒドから誘導される構造単位(a3)のモル比[(a1):(a2):(a3)]は、高感度に加えて低温硬化で耐薬品性を有する硬化膜を得る観点から、好ましくは1.0:0.5~0.7:0.3~0.5であり、より好ましくは1.0:0.55~0.65:0.35~0.45である。
【0018】
成分(A)は、m-クレゾールから誘導される構造単位(a1)、ベンズアルデヒドから誘導される構造単位(a2)、及びサリチルアルデヒドから誘導される構造単位(a3)以外の構造単位を含んでいてもよい。(a1)~(a3)以外の構造単位としては、m-クレゾール、ベンズアルデヒド、及びサリチルアルデヒド以外のフェノール類やアルデヒド類から誘導される構造単位が挙げられる。
【0019】
上記フェノール類としては、フェノール、o-クレゾール、p-クレゾール、2,3-キシレノール、2,5-キシレノール、3,4-キシレノール、3,5-キシレノール、2,3,5-トリメチルフェノール、3,4,5-トリメチルフェノール等が挙げられる。
【0020】
上記アルデヒド類としては、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、クロロアセトアルデヒド、4-ヒドロキシベンズアルデヒド、3-ヒドロキシベンズアルデヒド等が挙げられる。
【0021】
成分(A)における、上記構造単位(a1)、(a2)及び(a3)の含有量の合計は、高感度に加えて低温硬化で耐薬品性を有する硬化膜を得る観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
上記構造単位(a1)、(a2)及び(a3)の含有量の合計は、実質的に100質量%であってもよい。なお、実質的に100質量%とは、上記構造単位(a1)、(a2)及び(a3)以外の構造単位が不可避的に含まれる場合を意味する。
【0022】
成分(A)であるノボラック型フェノール樹脂の重量平均分子量は、好ましくは1000以上、より好ましくは1,500以上である。また、好ましくは7,000以下、より好ましくは6,000以下、さらに好ましくは5,000以下である。重量平均分子量が1000以上であると、高耐熱であるため好ましい。一方、重量平均分子量が7,000以下であると、高感度であるため好ましい。なお、本明細書において、重量平均分子量は実施例に記載する条件に従って測定する。
【0023】
成分(A)は、m-クレゾール、ベンズアルデヒド、及びサリチルアルデヒドを、有機溶媒中、モル比(m-クレゾール:ベンズアルデヒド:サリチルアルデヒド)が1.0:0.3~0.8:0.3~0.8である範囲で、酸触媒を用いて重縮合させることによって得られる。
【0024】
反応溶媒中の、m-クレゾール、ベンズアルデヒド、及びサリチルアルデヒドのモル比(m-クレゾール:ベンズアルデヒド:サリチルアルデヒド)は、高感度に加えて低温硬化で耐薬品性を有する硬化膜を得る観点から、好ましくは1.0:0.5~0.7:0.3~0.5、より好ましくは1.0:0.55~0.65:0.35~0.45の範囲である。
【0025】
ベンズアルデヒドのモル比はサリチルアルデヒドのモル比よりも小さいことが好ましい。すなわち、ベンズアルデヒド<サリチルアルデヒド(モル比)を満たすと好ましい。
【0026】
m-クレゾール、ベンズアルデヒド、及びサリチルアルデヒドを有機溶媒中で重縮合させて成分(A)であるノボラック型フェノール樹脂を得る際、上述したように、m-クレゾール、ベンズアルデヒド、及びサリチルアルデヒド以外のフェノール類及びアルデヒド類が有機溶媒に含まれていてもよい。
【0027】
反応溶媒中の、成分(A)の構成する構造単位となり得る全ての出発原料の合計質量に対する、m-クレゾール、ベンズアルデヒド、及びサリチルアルデヒドの合計質量の割合は、高感度に加えて低温硬化で耐薬品性を有する硬化膜を得る観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは実質的に100質量%である。
【0028】
成分(A)の製造時に使用する反応溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン等が挙げられる、これらの中でも好ましくはエタノール、1-プロパノール、及び2-プロパノールから選ばれる1種以上であり、より好ましくはエタノールである。
【0029】
上記反応溶媒の使用量としては、反応の均一性の観点から、成分(A)の構成する構造単位を誘導するための原料100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは50質量部以上である。また、好ましくは500質量部以下、より好ましくは300質量部以下である。
【0030】
成分(A)の製造時に使用する酸触媒としては、塩酸、硫酸、燐酸、ホウ酸等の無機酸類;蓚酸、酢酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸類等が例示できる。これらの中でも、より反応を促進するため、無機酸類、パラトルエンスルホン酸が好ましく、パラトルエンスルホン酸がより好ましい。
酸触媒の添加量は、特に制限されないが、成分(A)の構成する構造単位を誘導するための原料100質量部に対し、好ましくは5質量部以上、より好ましくは20質量部以上である。また、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下である。
【0031】
成分(A)の原料を重縮合させる際の反応温度は、反応を促進しつつ、かつ、効率良く高分子量化することができることから、好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上である。また、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下である。
反応時間は、好ましくは4時間以上、より好ましくは12時間以上である。また、好ましくは32時間以下、より好ましくは24時間以下である。
【0032】
・成分(B)
成分(B)であるラジカル重合性化合物とは、分子中に複数のエチレン性不飽和基を有する化合物をいう。ラジカル重合性化合物を含有させることで、露光部の硬化が促進されて、露光時の感度を向上させることができる。加えて、熱硬化後の架橋密度が向上し、レジストの硬度を向上させることができる。
【0033】
ラジカル重合性化合物としては、ラジカル重合の進行しやすい、(メタ)アクリル基を有する化合物が好ましい。
露光時の感度向上及び硬化膜の硬度向上の観点から、(メタ)アクリル基を分子内に二つ以上有する化合物がより好ましい。
【0034】
ラジカル重合性化合物としては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールノナ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、ペンタペンタエリスリトールウンデカ(メタ)アクリレート、ペンタペンタエリスリトールドデカ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2,2-ビス[4-(3-(メタ)アクリロキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル]プロパン、1,3,5-トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌル酸、1,3-ビス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌル酸、9,9-ビス[4-(2-(メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(3-(メタ)アクリロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン若しくは9,9-ビス(4-(メタ)アクリロキシフェニル)フルオレン又はそれらの酸変性体、エチレンオキシド変性体若しくはプロピレンオキシド変性体が挙げられる。
【0035】
一実施形態において、ネガ型感光性樹脂組成物は、ラジカル重合性化合物として、エチレン性不飽和基含有ポリイミド、エチレン性不飽和基含有ポリイミド前駆体、エチレン性不飽和基含有ポリベンゾオキサゾール及びエチレン性不飽和基含有ポリベンゾオキサゾール前駆体から選ばれる1種以上の樹脂又は化合物を含まない。
また、一実施形態において、ネガ型感光性樹脂組成物はドライフィルムレジスト用である。
【0036】
ラジカル重合性化合物の配合量は、成分(A)100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましく、1質量部以上がさらに好ましく、5質量部以上が特に好ましい。含有量が上記範囲内であると、露光時の感度を向上させることができる。一方、ラジカル重合性化合物の含有量は、100質量部以下が好ましく、90質量部以下がより好ましく、80質量部以下がさらに好ましく、70質量部以下が特に好ましい。
【0037】
・成分(C)
成分(C)である光重合開始剤とは、露光によって結合開裂及び/又は反応してラジカルを発生する化合物をいう。光重合開始剤を含有させることで、ネガ型感光性樹脂組成物の膜の露光部がアルカリ現像液に対して不溶化することで、ネガ型のパターンを形成することができる。また、露光部の硬化が促進されて、感度を向上させることができる。
【0038】
光重合開始剤は特に限定されず、公知の光重合開始剤を使用することができる。光重合開始剤として、例えば、ベンジルケタール系光重合開始剤、α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤、α-アミノケトン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキシド系光重合開始剤、オキシムエステル系光重合開始剤、アクリジン系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、芳香族ケトエステル系光重合開始剤又は安息香酸エステル系光重合開始剤、α-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤等が挙げられる。
【0039】
光重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤の配合量は、良好な感度が得られ、所望のパターンが得られることから、成分(A)100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上であり、より好ましくは5質量部以上ある。また、好ましくは30質量部以下であり、より好ましくは20質量部以下である。
【0040】
・溶剤
本実施形態では、上述した成分(A)~(C)の他に、溶剤を使用してもよい。
溶剤としては、N-メチル-2-ピロリドン、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の極性の非プロトン性溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート等のエステル類、乳酸エチル、乳酸メチル、ジアセトンアルコール、3-メチル-3-メトキシブタノール等のアルコール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。これらの溶剤は1種単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。
【0041】
本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物における溶剤の配合量は、組成物の流動性をスピンコート法等の塗布法により均一な塗膜を得られることから、当該組成物中の固形分濃度が、好ましくは5質量%以上となる量である。また、好ましくは65質量%以下となる量である。
【0042】
・その他
一実施形態において、ネガ型感光性樹脂組成物には、上述した成分(A)~(C)及び溶剤の他、本発明の効果を阻害しない範囲で各種添加剤を配合してもよい。添加剤としては、充填材、顔料、レベリング剤等の界面活性剤、密着性向上剤、溶解促進剤等が挙げられる。
【0043】
本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物は、上述した成分(A)~(C)、及び必要に応じて溶剤及び各種添加剤を、通常の方法で、撹拌混合して均一な液とすることで調製できる。
該組成物に充填材、顔料等の固形のものを配合する際には、ディゾルバー、ホモジナイザー、3本ロールミル等の分散装置を用いて分散、混合させることが好ましい。また、粗粒や不純物を除去するため、メッシュフィルター、メンブレンフィルター等を用いて該組成物をろ過することもできる。
本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物は、ドライフィルムレジスト用途に好適に使用できる。
【0044】
[ドライフィルムレジスト]
本発明の一実施形態に係るドライフィルムレジストは、基材フィルムと、本発明のネガ型感光性樹脂組成物を含むレジスト層(以下、レジスト層又はレジスト膜ということがある。)と、を有する。
【0045】
基材フィルムとしては、単一の重合体フィルムからなる単層フィルム又は複数の重合体フィルムを積層した多層フィルムを用いることができる。具体的には、ナイロンフィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリメチルペンテン(TPX)フィルム、ポリカーボネートフィルム、フッ素含有フィルム、特殊ポリビニルアルコール(PVA)フィルム、離型処理を施したポリエステルフィルム等のプラスチックフィルム等が挙げられる。なかでもポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好ましい。
【0046】
レジスト層は、例えば、基材フィルム上に、アプリケーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ロールコーター、カーテンフローコーター等を用いて、本発明のネガ型感光性樹脂組成物を成膜することにより得られる。
【0047】
一実施形態のドライフィルムレジストでは、上述した基材フィルム及びレジスト層の他に、レジスト層を保護するフィルム等の公知の層を積層してもよい。
保護フィルムとしては、レジスト層の形態を損なうことなく剥離できるものであれば特に限定されない。具体的には、ナイロンフィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリメチルペンテン(TPX)フィルム、ポリカーボネートフィルム、フッ素含有フィルム、特殊ポリビニルアルコール(PVA)フィルム、離型処理を施したポリエステルフィルム等のプラスチックフィルムが挙げられる。
【0048】
本実施形態のドライフィルムレジストを、真空ラミネータ、ロールラミネータ等の各種ラミネータを用いて、半導体基板、半導体パッケージ等の対象物に貼付し、基材フィルムを剥離することで、レジスト層を対象物に転写することができる。
半導体基板、半導体パッケージ等は、段差構造を有していても、また、有さなくてもよい。段差の高さに応じて、レジスト層の厚みを適切に調整することにより、段差内にレジスト層を埋め込むことが可能となる。本実施形態のドライフィルムレジストは、段差を有する半導体基板、半導体パッケージ等に対し、好適に用いることができる。
転写後、必要に応じて加熱処理する。加熱処理は、例えばホットプレート上又はオーブン中で60~150℃、1~30分間、好ましくは80~130℃、1~10分間とすることができる。
【0049】
転写したレジスト層に、所定の形状のパターンを形成できるネガ型のマスクを介して、活性光線又は放射線を照射(露光)することでレジスト硬化物が得られる。 放射線の線源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、アルゴンガスレーザー等を用いることができる。また、放射線には、マイクロ波、赤外線、可視光線、紫外線、X線、γ線、電子線、陽子線、中性子線、イオン線等が含まれる。これらの光源の中でも紫外光が好ましく、高圧水銀灯のg線(波長436nm)、i線(波長365nm)が好適である。放射線照射量は、ネガ型感光性樹脂組成物の組成や感光性層の膜厚等によっても異なるが、例えば100~1000mJ/cm2程度が好ましい。
【0050】
露光後、公知の方法に従って現像して不要な部分を溶解、除去することにより、所定のレジストパターンを形成できる。
本実施形態では、露光前のレジスト層が高いアルカリ溶解性を有するため、露光部とのアルカリ溶解性の差が大きいことから、高解像度でパターニングが可能となる。
【0051】
現像液は、ネガ型感光性樹脂組成物の組成に応じて適宜選択される。現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ性物質;エチルアミン、n-プロピルアミン等の1級アミン;ジエチルアミン、ジ-n-ブチルアミン等の2級アミン;トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の3級アミン類;ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウム塩;ピロール、ピヘリジン等の環状アミン等のアルカリ性水溶液が挙げられる。
アルカリ現像液には、必要に応じてアルコール、界面活性剤等を適宜添加して用いることもできる。アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常2~5質量%の範囲が好ましく、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液が一般的には好ましく用いられる。
【0052】
現像時間は、ネガ型感光性樹脂組成物の組成やネガ型感光性樹脂組成物を含む層の膜厚等によっても異なるが、通常1~30分間である。現像方法は、液盛り法、ディッピング法、パドル法、スプレー現像法等のいずれでもよい。現像は、現像液を交換しながら、複数回に分けて行われてもよい。
【0053】
アルカリ現像液による現像後、例えば、流水洗浄を30~90秒間行い、必要に応じてさらに50℃以上200℃以下のような温度で加熱することによりレジストパターン硬化物が得られる。
本実施形態のドライフィルムレジストを使用して形成したレジスト硬化物は、耐薬品性に優れる。
【実施例0054】
以下、具体的な例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明する。なお、合成した樹脂の重量平均分子量(Mw)は、下記のGPCの測定条件で測定した。
[GPCの測定条件]
測定装置:東ソー株式会社製「HLC-8220 GPC」
カラム:昭和電工株式会社製「Shodex KF802」:8.0mmФ×300mm
+昭和電工株式会社製「Shodex KF802」:8.0mmФ×300mm
+昭和電工株式会社製「Shodex KF803」:8.0mmФ×300mm
+昭和電工株式会社製「Shodex KF804」:8.0mmФ×300mm
カラム温度:40℃
検出器:RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC-8020モデルIIバージョン4.30」
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
試料:樹脂固形分換算で0.5質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの
注入量:0.1mL
標準試料:下記単分散ポリスチレン
(標準試料:単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A-500」
東ソー株式会社製「A-2500」
東ソー株式会社製「A-5000」
東ソー株式会社製「F-1」
東ソー株式会社製「F-2」
東ソー株式会社製「F-4」
東ソー株式会社製「F-10」
東ソー株式会社製「F-20」
【0055】
合成例1(ノボラック型フェノール樹脂(A-1)の合成)
冷却管を設置した容量が2000mLの4口フラスコに、m-クレゾール164g(1.52mol)、ベンズアルデヒド103g(0.97mol)、サリチルアルデヒド74g(0.61mol)、パラトルエンスルホン酸8gを仕込み、反応溶媒としてエタノール300gに溶解させた。その後、マントルヒーターで80℃に加熱し、還流下で16時間撹拌し反応させた。反応後、酢酸エチルと水を添加して5回分液洗浄した。残った樹脂溶液から溶媒を減圧留去した後、真空乾燥して、淡赤色粉末のノボラック型フェノール樹脂(A1)の粉末281gを得た。
ノボラック型フェノール樹脂(A-1)のMwは3,100であった。ノボラック型フェノール樹脂(A-1)のGPCチャートを
図1に示す。
【0056】
合成例2(ノボラック型フェノール樹脂(A-2)の合成)
出発原料の仕込み量を、m-クレゾール164g(1.52mol)、ベンズアルデヒド80g(0.75mol)、及びサリチルアルデヒド92g(0.75mol)とした以外は、合成例1と同様にしてノボラック型フェノール樹脂(A-2)の粉末280gを得た。ノボラック型フェノール樹脂(A-2)のMwは2,370であった。
ノボラック型フェノール樹脂(A-2)のGPCチャートを
図2に示す。
【0057】
合成例3(ノボラック型フェノール樹脂(A-3)の合成)
出発原料の仕込み量を、m-クレゾール164g(1.52mol)、ベンズアルデヒド117g(1.10mol)、及びサリチルアルデヒド58g(0.47mol)とした以外は、合成例1と同様にしてノボラック型フェノール樹脂(A-3)の粉末279gを得た。ノボラック型フェノール樹脂(A-3)のMwは2,700であった。
ノボラック型フェノール樹脂(A-3)のGPCチャートを
図3に示す。
【0058】
合成例4(ノボラック型フェノール樹脂(A-4)の合成)
出発原料の仕込み量を、m-クレゾール164g(1.52mol)、ベンズアルデヒド67g(0.63mol)、及びサリチルアルデヒド115g(0.94mol)とした以外は、合成例1と同様にしてノボラック型フェノール樹脂(A-4)の粉末282gを得た。ノボラック型フェノール樹脂(A-4)のMwは2,900であった。
ノボラック型フェノール樹脂(A-4)のGPCチャートを
図4に示す。
【0059】
合成例5(ノボラック型フェノール樹脂(A-5)の合成)
反応溶媒をエタノール250g、1-プロパノール30g及び2-プロパノール15gとした以外は、合成例1と同様にしてノボラック型フェノール樹脂(A-5)の粉末282gを得た。ノボラック型フェノール樹脂(A-5)のMwは3,200であった。
ノボラック型フェノール樹脂(A-5)のGPCチャートを
図5に示す。
【0060】
比較合成例1(ノボラック型フェノール樹脂(A-6)の合成)
乾燥窒素気流下、冷却管を設置した2000mLの3口フラスコにm-クレゾール140g(1.30mol)、p-クレゾール76g(0.7モル)、37重量%ホルムアルデヒド水溶液151g(ホルムアルデヒド1.86モル)、シュウ酸二水和物1g(0.01モル)を仕込み、メチルイソブチルケトン(MIBK)528gに溶解させた後、マントルヒーターで、反応液を還流させながら4時間攪拌反応させた。反応後、水を添加し、5回分液洗浄を行った。エバポレーターでメチルイソブチルケトンを60℃で減圧留去させた後、真空乾燥を行い、淡赤色粉末のフェノールノボラック樹脂(A-6)212gを得た。フェノールノボラック樹脂(A-6)のGPCは、重量平均分子量(Mw)=3,500であった。
【0061】
[ネガ型感光性樹脂組成物]
実施例1
合成例1で得たフェノールノボラック樹脂(A-1)粉末10.0g、ラジカル重合性化合物(B)(日本化薬株式会社製;ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)を6.0g、光重合開始剤(C)粉末(シグマアルドリッチ株式会社製:Irgacure369)を1.2g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート25.8gに溶解させてネガ型感光性樹脂組成物(E-1)を得た。
【0062】
実施例2~5、比較例1
実施例2~5及び比較例1においては、成分(A)として表1に示すフェノールノボラック樹脂(A-2)~(A-6)粉末を用いた以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物(E-2)~(E-6)を得た。
【0063】
比較例2
成分(A)として、フェノールノボラック樹脂の代わりに下記式で表される樹脂(A-7)を用いた以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物(E-7)を得た。アルカリ可溶性樹脂の構造構造を示す下記式において、括弧の右下の数値は、樹脂における括弧内の単位の含有量(質量%)である。
【化1】
【0064】
比較例3
成分(A)を使用しなかった他は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物(E-8)を得た。
【0065】
[評価]
実施例及び比較例で調製したネガ型感光性樹脂組成物を用いてドライフィルムレジストを作製し、基材フィルム上での製膜性、露光前のレジスト膜のアルカリ溶解性及び密着性、、露光後のレジスト硬化膜の耐薬品性を評価した。
(1)製膜性
ネガ型感光性樹脂組成物を、バーコーター(第一理化株式会社製:no.02)を用いて、PETフィルム上に約5μmの厚さになるように塗布した後、塗布膜を100℃で60秒間乾燥し、感光性膜を形成したPETフィルムを得た。光学顕微鏡を用いてPETフィルム表面に形成した感光性膜を観察し、製膜時のはじき及びムラを評価した。
はじき及びムラのないものを製膜性良好(〇)とし、はじき及びムラの発生したものを製膜性不十分(×)とした。評価結果を表1に示す。
【0066】
(2)アルカリ溶解性
ネガ型感光性樹脂組成物を、バーコーター(第一理化株式会社製:no.02)を用いて、PETフィルム上に約5μmの厚さになるように塗布した後、塗布膜を100℃で60秒間乾燥し、感光性膜を形成したPETフィルムを得た。得られたPETフィルムを、現像液(2.38%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液)250mLを注いだバットに10秒間、浸漬し、その後、取り出したPETフィルムを純水で10秒間リンス処理し、PETフィルム上の残渣を評価した。
残渣のないものを良好(〇)とし、残渣のあるものを不十分(×)とした。評価結果を表1に示す。
【0067】
(3)密着性
ネガ型感光性樹脂組成物を、バーコーター(第一理化株式会社製:no.02)を用いて、銅板(株式会社スタンダードテストピース社製:C1020)上に約5μmの厚さになるように塗布した後、塗布膜を100℃で60秒間乾燥し、感光性膜を形成した銅板を得た。得られた感光性膜をカッターナイフで2mm間隔の25マスの格子パターンに分割した。セロハンテープを感光性膜の格子パターン部にしっかりと貼り、5分以内に1秒以内でセロハンテープを剥がし、格子パターン部の剥離を観察した(JIS5400碁盤目試験準拠)。
感光性膜の剥離がないものを良好(〇)とし、剥離が発生したものを不十分(×)とした。評価結果を表1に示す。
【0068】
(4)硬化膜の耐薬品性
ネガ型感光性樹脂組成物を、バーコーター(第一理化株式会社製:no.02)を用いて直径5インチのシリコンウェハー上に約5μmの厚さになるように塗布後、100℃で60秒間乾燥した。その後、UV照射装置(株式会社三永電機社製:UVE-1001SD)を用いて200mJ/cm2の光を照射した後、130℃で180秒間ベークし、硬化膜を形成したウェハーを得た。
得られたウェハーの膜厚を測定した後、2つに分割した。分割した一方を50重量%硫酸水(メッキ液を想定)に、他方を2.38重量%TMAH水の溶液に、それぞれ15分浸漬した。溶液から取り出したウェハーを純水で洗浄した後、再度膜厚を測定した。
溶剤への浸漬前後の膜厚変化率にて、耐薬品性を評価した。変化率が2%未満であるものを良好(〇)、2%以上のものを不十分(×)とした。評価結果を表1に示す。
【0069】
【0070】
表1において、成分(A)の構造単位のモル比「(a1)/(a2)/(a3)」は、m-クレゾールから誘導される構造単位(a1)、ベンズアルデヒドから誘導される構造単位(a2)、及びサリチルアルデヒドから誘導される構造単位(a3)のモル比である。
【0071】
表1から、本発明のネガ型感光性樹脂組成物を使用したドライフィルムレジストは、製膜不良の発生がないことが確認できる。また、レジスト膜はアルカリ溶解性を有し、密着性も高いことが確認できる。さらにレジスト硬化膜は耐薬品性に優れることが確認できる。