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特開2024-39950ペット用の吸収性シート及びペット用のシステムトイレに関する。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039950
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】ペット用の吸収性シート及びペット用のシステムトイレに関する。
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/015 20060101AFI20240315BHJP
   A01K 1/01 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
A01K1/015 A
A01K1/01 801A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144721
(22)【出願日】2022-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】首藤 啓孝
(72)【発明者】
【氏名】山本 泰生
(72)【発明者】
【氏名】金子 真也
【テーマコード(参考)】
2B101
【Fターム(参考)】
2B101AA13
2B101AA20
2B101CA08
2B101GB01
2B101GB08
(57)【要約】
【課題】使用者が、ペットの健康状態を簡便に把握しつつも、ペットの健康状態を精度よく把握可能とするペット用の吸収性シート及びシステムトイレを提供する。
【解決手段】
ペット用の吸収性シート(100)は、トイレ砂(150)を収容可能であり且つ孔部(h)が設けられた底部(112)を有する排泄物受け部(110)と、前記底部の下方に配置され且つ前記孔部を通過したペットの尿を吸収する吸収性シートを収容するシート収容部(120)と、を有するペット用のシステムトイレに用いられる。吸収性シートは、前記尿に基づく呈色によって前記ペットの健康状態を示すインジケータ(50)を有する。前記吸収性シートの平面視における前記インジケータの長さは、前記孔部の最小幅よりも長い。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ砂を収容可能であり且つ孔部が設けられた底部を有する排泄物受け部と、前記底部の下方に配置され且つ前記孔部を通過したペットの尿を吸収する吸収性シートを収容するシート収容部と、を有するペット用のシステムトイレに用いられるペット用の吸収性シートであって、
前記尿に基づく呈色によって前記ペットの健康状態を示すインジケータを有し、
前記吸収性シートの平面視における前記インジケータの長さは、前記孔部の最小幅よりも長い、吸収性シート。
【請求項2】
高吸水性高分子を含むSAP含有層を有する吸収コアと、
前記吸収性シートの厚さ方向において、前記インジケータと前記SAP含有層との間に配置される離間層と、を有する、請求項1に記載の吸収性シート。
【請求項3】
前記インジケータよりも裏面側に配置される吸収コアと、
前記吸収性シートの厚さ方向において前記インジケータと前記吸収コアとの間に配置され、かつ前記吸収コアに吸収された液体の表面側への液戻りを抑制する保護層と、を有する、請求項1又は2に記載の吸収性シート。
【請求項4】
吸収コアと、
前記吸収コアと厚さ方向に重なる吸収コア領域と、
前記吸収コアと前記厚さ方向に重ならない非吸収コア領域と、を有し、
前記インジケータは、前記吸収コア領域に配置されている、請求項1又は2に記載の吸収性シート。
【請求項5】
吸収コアと、
前記吸収コアと厚さ方向に重なる吸収コア領域と、
前記吸収コアと前記厚さ方向に重ならない非吸収コア領域と、を有し、
前記インジケータは、前記非吸収コア領域に配置されている、請求項1又は2に記載の吸収性シート。
【請求項6】
吸収コアを有し、
前記インジケータは、前記吸収コアを長手方向に3分割した場合に設けられる3つの領域のうち少なくとも両側の領域に配置されている、請求項1又は2に記載の吸収性シート。
【請求項7】
吸収コアを有し、
前記インジケータは、前記吸収コアを長手方向に3分割した場合に設けられる3つの領域のうち少なくとも中央の領域に配置されている、請求項1又は2に記載の吸収性シート。
【請求項8】
吸収コアを有し、
前記インジケータは、前記吸収コアを短手方向に3分割した場合に設けられる3つの領域のうち少なくとも中央の領域に配置されており、
前記吸収コアの前記短手方向の端部から前記インジケータまでの前記短手方向の最短距離は、前記吸収コアの前記短手方向の長さの27.5%以下である、請求項1又は2に記載の吸収性シート。
【請求項9】
吸収コアを有し、
前記インジケータは、前記吸収コアを長手方向に2分割した場合に設けられる2つの領域の両方の領域に配置されており、
前記2つの領域の一方の領域に配置されている前記インジケータから前記2つの領域の他方の領域に配置されている前記インジケータまでの前記長手方向の最短距離は、前記吸収コアの前記長手方向の長さの44%以下である、請求項1又は2に記載の吸収性シート。
【請求項10】
前記吸収コアの前記長手方向の端部から前記インジケータまでの前記長手方向の最短距離は、前記吸収コアの前記長手方向の長さの28%以下である、請求項9に記載の吸収性シート。
【請求項11】
吸収コアを有し、
前記インジケータは、前記吸収コアを短手方向に2分割した場合に設けられる2つの領域の両方の領域に配置されており、
前記2つの領域の一方の領域に配置されている前記インジケータから前記2つの領域の他方の領域に配置されている前記インジケータまでの前記短手方向の最短距離は、前記吸収コアの前記短手方向の長さの27.5%以下である、請求項1又は2に記載の吸収性シート。
【請求項12】
トイレ砂を収容可能であり且つ孔部が設けられた底部を有する排泄物受け部と、
前記底部の下方に配置され且つ前記孔部を通過したペットの尿を吸収する吸収性シートを収容するシート収容部と、
ペット用の吸収性シートと、を有するペット用のシステムトイレであって、
前記吸収性シートは、尿に基づく呈色によってペットの健康状態を示すインジケータを有し、
前記吸収性シートの平面視における前記インジケータの長さは、前記孔部の最小幅よりも長い、システムトイレ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペット用のシステムトイレに用いられるペット用の吸収性シート、及びペット用のシステムトイレに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ペットの病気を早期に発見できるように、尿に基づく呈色によってインジケータを有するペット用の吸収性シートが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
例えば、ペット用のトイレの床面又はフローリングの上に敷かれた吸収性シート上で、ペットが排尿することで、ペットの尿がインジケータに接触する。使用者は、尿に基づいて呈色したインジケータを視認することで、ペットの健康状態を簡便に把握することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-68591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ペットが、吸収性シート上で排泄する際に、吸収性シートに直接触れるため、ペット(例えば、ペットの脚)に付着した汚れがインジケータと接触することがある。また、ペットが、吸収性シート上で大便を排泄した場合には、大便がインジケータと接触することがある。
【0006】
インジケータが、ペットの汚れや大便に接触することで呈色することがある。使用者は、尿ではなく、汚れや大便によって、実際の健康状態と異なる色に呈色したインジケータを視認することで、ペットの健康状態を誤認する虞がある。
【0007】
また、汚れや大便が、インジケータに直接接触しない場合であっても、例えばインジケータと厚さ方向に重なる位置に配置されているトップシートに付着することで、インジケータの視認性が低下することがある。使用者は、呈色したインジケータを正確に視認できずに、ペットの健康状態を誤認する虞がある。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、使用者が、ペットの健康状態を簡便に把握しつつも、ペットの健康状態を精度よく把握可能とするペット用の吸収性シート及びシステムトイレを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様に係るペット用の吸収性シートは、トイレ砂を収容可能であり且つ孔部が設けられた底部を有する排泄物受け部と、前記底部の下方に配置され且つ前記孔部を通過したペットの尿を吸収する吸収性シートを収容するシート収容部と、を有するペット用のシステムトイレに用いられる。吸収性シートは、前記尿に基づく呈色によって前記ペットの健康状態を示すインジケータを有する。前記吸収性シートの平面視における前記インジケータの長さは、前記孔部の最小幅よりも長い。
【0010】
他の態様に係るペット用のシステムトイレは、トイレ砂を収容可能であり且つ孔部が設けられた底部を有する排泄物受け部と、前記底部の下方に配置され且つ前記孔部を通過したペットの尿を吸収する吸収性シートを収容するシート収容部と、ペット用の吸収性シートと、を有する。前記吸収性シートは、尿に基づく呈色によってペットの健康状態を示すインジケータを有する。前記吸収性シートの平面視における前記インジケータの長さは、前記孔部の最小幅よりも長い。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係るペット用のシステムトイレの一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る吸収性シートを表面側(排泄面側)から見た平面図である。
図3図3は、図2のF3-F3線に沿った吸収性シートの模式的な断面図である。
図4図4は、実施形態に係る吸収性シートを説明するための図である。
図5図5は、第1変更例に係る吸収性シートの模式的な断面図である。
図6図6は、第2変更例から第4変更例に係る吸収性シートのうち吸収コア領域を表面側(排泄面側)から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
態様1に係るペット用の吸収性シートは、トイレ砂を収容可能であり且つ孔部が設けられた底部を有する排泄物受け部と、前記底部の下方に配置され且つ前記孔部を通過したペットの尿を吸収する吸収性シートを収容するシート収容部と、を有するペット用のシステムトイレに用いられる。吸収性シートは、前記尿に基づく呈色によって前記ペットの健康状態を示すインジケータを有する。前記吸収性シートの平面視における前記インジケータの長さは、前記孔部の最小幅よりも長い。吸収性シートは、システムトイレで用いられるものであるため、ペットは、吸収性シートに直接接触せずに、排泄物受け部上で排泄を行う。これにより、ペットの接触によってペットの汚れに基づくインジケータが誤反応を行うことを抑制できる。また、ペットが大便を排泄した場合であっても、排泄物受け部に収容されたトイレ砂によって大便が吸収性シートに到達し難くなる。これにより、大便に基づいてインジケータが誤反応を行うことを抑制できる。従って、使用者が、尿以外に基づく誤反応により実際の健康状態と異なる色に呈色したインジケータを視認することを抑制できる。使用者は、ペットの健康状態を誤って把握することを抑制できる。また、例えば、ペット(例えば、猫)がトイレ砂上で動き回ったり、トイレ砂自体を掘り返したりすることで、大便の一部が孔部を通じて落下したり、トイレ砂自体が落下することがある。落下した大便やトイレ砂がインジケータを覆うように吸収性シートに付着することで、インジケータの視認性が悪化することがあり得る。一方で、一態様に係る吸収性シートによれば、インジケータの長さは、孔部の最小幅よりも長い。従って、孔部の最小幅と重なる位置にインジケータが配置された場合、インジケータは、孔部と重なる領域(以下、重複領域と称する)と、孔部と重ならない領域(以下、非重複領域と称する)とを有する。ペットの尿は、孔部を通過して吸収性シートのうち重複領域に落下し、重複領域から非重複領域へ拡散する。非重複領域に位置するインジケータ部分は、拡散した尿と接触して、呈色する。使用者は、重複領域に位置するインジケータ部分の視認性が悪化していたとしても、非重複領域に位置するインジケータ部分を視認することで、ペットの健康状態を精度よく把握することができる。使用者が、健康状態を示す試験薬を尿に付着させる作業をせずに、ペット用の吸収性シートのインジケータを視認することでペットの健康状態を簡便に把握できる。
【0013】
好ましい態様によれば、態様2に係る発明は、態様1に係る発明において、以下の特徴を有してよい。吸収性シートは、高吸水性高分子を含むSAP含有層を有する吸収コアと、前記吸収性シートの厚さ方向において、前記インジケータと前記SAP含有層との間に配置される離間層と、を有する。インジケータとSAP層との間に、離間層が存在することで、インジケータがSAP含有層と直接接触しない。これにより、呈色反応を行うインジケータ成分が、高吸水性高分子に含まれるプロトンと誤反応を起こすことを抑制できる。その結果、プロトンと誤反応を起こすことで、実際の健康状態と異なる色に呈色したインジケータを使用者が視認し難くなるため、使用者は、ペットの健康状態を精度よく把握することができる。
【0014】
好ましい態様によれば、態様3に係る発明は、態様1又は2に係る発明において、以下の特徴を有してよい。吸収性シートは、前記インジケータよりも裏面側に配置される吸収コアと、前記吸収性シートの厚さ方向において前記インジケータと前記吸収コアとの間に配置され、かつ前記吸収コアに吸収された液体の表面側への液戻りを抑制する保護層と、を有してよい。吸収コアに一度吸収された尿が、表面側へ戻る液戻りが保護層によって防ぐことができる。これにより、時間が経過することで新鮮でない尿(例えば、酸化した尿成分)がインジケータと接触することを抑制できる。その結果、実際の健康状態と異なる色に呈色したインジケータを使用者が視認することが少なくなるため、使用者は、ペットの健康状態を精度よく把握することができる。
【0015】
好ましい態様によれば、態様4に係る発明は、態様1から3のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。吸収性シートは、吸収コアと、前記吸収コアと厚さ方向に重なる吸収コア領域と、前記吸収コアと前記厚さ方向に重ならない非吸収コア領域と、を有し、前記インジケータは、前記吸収コア領域に配置されている。これにより、使用者は、一般的に、孔部が吸収コア領域と重なる位置に配置されるように、吸収性シートを配置することができる。その結果、インジケータが吸収コア領域に配置されているため、孔部を通過した尿がインジケータに接触し易くなる。
【0016】
好ましい態様によれば、態様5に係る発明は、態様1から4のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。吸収性シートは、吸収コアと、前記吸収コアと厚さ方向に重なる吸収コア領域と、前記吸収コアと前記厚さ方向に重ならない非吸収コア領域と、を有し、前記インジケータは、前記非吸収コア領域に配置されている。これにより、吸収コアが高吸水性高分子を含んでいたとしても、インジケータが高吸水性高分子と接触し難くできる。これにより、呈色反応を行うインジケータ成分が、高吸水性高分子に含まれるプロトンと誤反応を起こすことを抑制できる。その結果、プロトンと誤反応を起こすことで、実際の健康状態と異なる色に呈色したインジケータを使用者が視認し難くなるため、使用者は、ペットの健康状態を精度よく把握することができる。
【0017】
好ましい態様によれば、態様6に係る発明は、態様1から5のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。吸収性シートは、吸収コアを有し、前記インジケータは、前記吸収コアを長手方向に3分割した場合に設けられる3つの領域のうち少なくとも両側の領域に配置されてよい。システムトイレで排泄する猫全体の約70%の猫は、長手方向の両側の領域のうちどちらか一方の領域で排泄する傾向がある。従って、約70%の猫が排泄した尿をインジケータに接触し易くすることができる。
【0018】
好ましい態様によれば、態様7に係る発明は、態様1から6のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。吸収性シートは、吸収コアを有し、前記インジケータは、前記吸収コアを長手方向に3分割した場合に設けられる3つの領域のうち少なくとも中央の領域に配置されてよい。システムトイレで排泄する猫全体の約30%の猫は、長手方向の中央にて排泄する傾向がある。従って、中央に排泄する猫の尿をインジケータに接触し易くすることができる。また、長手方向の両側に排泄された尿も拡散により長手方向の中央の領域にまで到達することもある。従って、使用者は、長手方向の中央に排泄する猫の健康状態は勿論、長手方向の両側に排泄する猫の健康状態も把握し得る。
【0019】
好ましい態様によれば、態様8に係る発明は、態様1から7のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。吸収性シートは、吸収コアを有し、前記インジケータは、前記吸収コアを短手方向に3分割した場合に設けられる3つの領域のうち少なくとも中央の領域に配置されており、前記吸収コアの前記短手方向の端部から前記インジケータまでの前記短手方向の最短距離は、前記吸収コアの前記短手方向の長さの27.5%以下であってよい。ペットの一回の排尿時の一般的な尿量であれば、吸収コアの短手方向の長さの27.5%以上拡散することが多い。従って、ペットが吸収コアの短手方向の端部に排尿したとしても、尿が拡散によりインジケータに到達し易くなる。使用者は、尿が到達したインジケータを視認することで、ペットの健康状態を簡便に把握し易くなる。
【0020】
好ましい態様によれば、態様9に係る発明は、態様1から8のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。吸収性シートは、吸収コアを有し、前記インジケータは、前記吸収コアを長手方向に2分割した場合に設けられる2つの領域の両方の領域に配置されており、前記2つの領域の一方の領域に配置されている前記インジケータから前記2つの領域の他方の領域に配置されている前記インジケータまでの前記長手方向の最短距離は、前記吸収コアの前記長手方向の長さの44%以下であってよい。ペットは、2つの領域のどちらかで排尿するため、尿が2つの領域のどちらかのインジケータに接触し易くなる。加えて、ペットの一回の排尿時の一般的な尿量であれば、吸収コアの長手方向の長さの44%以上拡散することがある。従って、ペットが吸収コアの中央付近に排尿したとしても、尿が拡散によりインジケータに到達し易くなる。使用者は、尿が到達したインジケータを視認することで、ペットの健康状態を簡便に把握し易くなる。
【0021】
好ましい態様によれば、態様10に係る発明は、態様1から9のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記吸収コアの前記長手方向の端部から前記インジケータまでの前記長手方向の最短距離は、前記吸収コアの前記長手方向の長さの28%以下であってよい。ペットが吸収コアの長手方向の端部に排尿したとしても、尿が拡散によりインジケータに到達し易くなる。使用者は、尿が到達したインジケータを視認することで、ペットの健康状態を簡便に把握し易くなる。
【0022】
好ましい態様によれば、態様11に係る発明は、態様1から10のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。吸収コアを有し、前記インジケータは、前記吸収コアを短手方向に2分割した場合に設けられる2つの領域の両方の領域に配置されてよい。前記2つの領域の一方の領域に配置されている前記インジケータから前記2つの領域の他方の領域に配置されている前記インジケータまでの前記短手方向の最短距離は、前記吸収コアの前記短手方向の長さの27.5%以下であってよい。ペットの一回の排尿時の一般的な尿量であれば、吸収コアの短手方向の長さの27.5%以上拡散することが多い。従って、ペットが吸収コアの短手方向の端部に排尿したとしても、尿が拡散によりインジケータに到達し易くなる。使用者は、尿が到達したインジケータを視認することで、ペットの健康状態を簡便に把握し易くなる。
【0023】
態様2に係るペット用のシステムトイレは、トイレ砂を収容可能であり且つ孔部が設けられた底部を有する排泄物受け部と、前記底部の下方に配置され且つ前記孔部を通過したペットの尿を吸収する吸収性シートを収容するシート収容部と、ペット用の吸収性シートと、を有する。前記吸収性シートは、尿に基づく呈色によってペットの健康状態を示すインジケータを有する。前記吸収性シートの平面視における前記インジケータの長さは、前記孔部の最小幅よりも長い。
【0024】
(2)ペット用のシステムトイレ100の構成概要
以下、図面を参照して、実施形態に係るペット用の吸収性シート10について説明する。本明細書において、「ペット」は、脊椎動物や無脊椎動物を広く包含し、典型的には、猫、犬、ウサギ、ハムスターなどの愛玩動物を含む。本実施形態のペット用の吸収性シートは、猫用の吸収性シートであることが望ましい。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0025】
図1は、実施形態に係るペット用のシステムトイレ100の一例を示す図である。具体的には、図1Aは、システムトイレ100の斜視図である。図1Bは、システムトイレ100を分解し、かつトイレ砂150を配置した状態を示している。図2は、実施形態に係る吸収性シートを表面側(排泄面側)から見た平面図である。図3は、図2のF3-F3線に沿った吸収性シートの模式的な断面図である。図4は、実施形態に係る吸収性シート10を説明するための図である。図4では、吸収性シート10がシステムトイレ100に配置されている状態を示す。具体的には、吸収性シート10が後述するシート収容部120に収容されている状態である。図4Aは、図1のF4Bの模式的な拡大図である。図4Bは、システムトイレ100に用いられている吸収性シートにおける図4AのF4B-F4B線に沿った模式的な断面図である。
【0026】
図1に示すように、本実施形態に係るシステムトイレ100は、排泄物受け部110と、シート収容部120と、を少なくとも有する。システムトイレ100は、排泄物受け部110とシート収容部120とに加えて、カバー130を有してよい。また、システムトイレ100は、吸収性シート10を有してよい。
【0027】
排泄物受け部110は、トイレ砂150を収容可能である。排泄物受け部110は、孔部hが設けられた底部112を有する。図1に示されるように、底部112にはトイレ砂150が配置されてよい。これにより、排泄物受け部110にトイレ砂150が収容される。本実施形態では、底部112には複数の孔部hが設けられている。排泄物受け部110は、シート収容部120の上側において排泄物を受ける。排泄物受け部110は、排泄物をシート収容部120に導く。排泄物受け部110は、シート収容部120を着脱自在に収容する収容部と、底部112と、が一体化することで構成されていてもよい。変形例において、収容部と底部112とが別体であり、排泄物受け部110は、分離可能に構成されていてもよい。従って、孔部hが設けられた底部112は、例えば、すのこ状の部材として収容部から取り外し可能であってよい。 孔部hは、排泄物としての便及びトイレ砂150が抜け落ちずに、排泄物としての体液(具体的には、尿)を透過させる大きさである。便及びトイレ砂150を抜け落ちなくするために、孔部hの最小幅Wminは、例えば、2mm以上、3mm以下であってよい。最小幅Wminは、例えば、2.3mmから2.7mmの範囲内であってよい。なお、最小幅Wminは、例えば、システムトイレ100を上下方向から見て、孔部hが矩形状である場合、短辺の長さであってよい。最小幅Wminは、システムトイレ100を上下方向から見て、孔部hが楕円形である場合、短径の長さであってよい。最小幅Wminは、システムトイレ100を上下方向から見て、孔部hが円形である場合、直径の長さであってよい。
【0028】
シート収容部120は、吸収性シート10を収容する。シート収容部120は、底部112の下方に配置される。シート収容部120は、底面部122と側壁部124とを有する。底面部122には、吸収性シート10が配置される。側壁部124は、底面部122から起立し、吸収性シート10が配置される空間を取り囲む。シート収容部120は、平面視にて略矩形であってよい。シート収容部120は、長手方向Lと、長手方向Lと直交する直交方向Cと、を有してよい。
【0029】
カバー130は、排泄物受け部110の上方において排泄物受け部110に取り付けられてよい。カバー130は、排泄物受け部110の周囲を囲んでよい。
【0030】
吸収性シート10は、ペット用のシステムトイレ100に用いられる。吸収性シート10は、ペット用であってよい。吸収性シート10は、概して平坦なシートである。吸収性シート10の厚さ方向Tの一方の面は、ペットの排泄物を受ける排泄面である。本実施形態において、排泄面を構成する面を表面とする。吸収性シート10の厚さ方向Tの他方の面は、排泄面と反対側の面である。本実施形態において、非排泄面を構成する面を裏面とする。従って、厚さ方向Tの一方側が表面側T1であり、厚さ方向Tの他方側が裏面側T2である。
【0031】
吸収性シート10は、厚さ方向Tと直交する第1方向D1及び第2方向D2を有する。第1方向D1と第2方向D2は、互いに直交する。第1方向D1と第2方向D2は、吸収性シート10の平面方向に延びる方向である。本実施形態の第1方向D1は、吸収性シート10の平面視(すなわち、厚さ方向T)における長手方向であり、第2方向D2は、長手方向に直交する幅方向である。第1方向D1における吸収性シート10の長さは、第2方向D2における吸収性シート10の長さよりも長くてよい。なお、変形例において、第1方向D1は、平面視における幅方向であってよく、第2方向D2は、長手方向であってよい。第1方向D1における吸収性シート10の長さは、第2方向D2における吸収性シート10の長さと同じであってもよい。ペット用の吸収性シート10の第1方向D1は、シート収容部120の長手方向Lに沿って配置されてよい。吸収性シート10は、使用前に第2方向D2に延びる折り畳み線FLを基点として折り畳まれてよい。折り畳み線FLは、吸収性シート10の製造時に(例えば、吸収性シート10がパッケージに梱包される際に)折り畳まれることで形成される線であってよい。折り畳み線FLは、1本設けられていてもよいし、第1方向D1に間隔を空けて複数本設けられていてもよい。図2に示すように、本実施形態では、吸収性シート10には、第1方向D1に間隔を空けて2本設けられている。
【0032】
図3に示すように、吸収性シート10は、表面シート12と、裏面シート14と、吸収体30と、インジケータ50と、を有してよい。吸収体30は、吸収コア32と、カバーシート34とを有してよい。
【0033】
表面シート12は、排泄面を有するシートである。表面シート12は、吸収体30よりも表面側T1に配置される。表面シート12は、ペットの排泄物のような液体を透過する透液性シートであってよい。表面シート12は、例えば、不織布又は織布によって構成されてよい。
【0034】
表面シート12は、抗菌剤を含んでいてよい。表面シート12は、例えば、抗菌剤を含むエアスルー不織布により構成されてもよい。表面シート12の表面側T1に抗菌剤が塗布されることで、抗菌剤の層が表面シート12の表面側T1に設けられてもよい。表面シート12の裏面側T2に抗菌剤が塗布されることで、抗菌剤の層が表面シート12の裏面側T2に設けられてもよい。なお、システムトイレ100に用いられる吸収性シート10には、ペットが排泄する際に直接接触しないため、表面シート12が抗菌剤を含んでいてもペットに悪影響を与えない。また、表面シート12が抗菌剤を含むことで、吸収性シート10の交換頻度が低い場合であっても、表面シート12で菌が増え難くなり、後述するインジケータ50の呈色を視認し易くすることができる。
【0035】
裏面シート14は、吸収体30よりも裏面側T2に配置される。裏面シート14は、ペットの排泄物のような液体を透過しない不透液性シートであってよい。裏面シート14は、特に制限されないが、例えば樹脂フィルムシートによって構成されていてよい。
【0036】
吸収コア32は、液体を吸収する吸収材料によって構成されてよい。吸収コア32は、例えば、パルプのような親水性繊維、及び高吸収性ポリマー(SAP)、又はこれらの組合せを含んでいてよい。
【0037】
本実施形態において、吸収コア32は、第1吸収コア32A、第2吸収コア32B、及び第3吸収コア32Cを有してよい。第1吸収コア32Aは、例えば、親水性繊維からなる層により構成されてよい。第2吸収コア32Bは、例えば、高吸収性ポリマーからなる層により構成されてよい。第3吸収コア32Cは、例えば、高吸収性ポリマーと親水性繊維とからなる層により構成されてよい。第2吸収コア32B及び第3吸収コア32Cは、高吸収性ポリマーを含むため、SAP含有層であってよい。なお、本実施形態に係る吸収コア32は、3つの層により構成されている。変更例において、吸収コア32は、1つ又は2つの層により構成されていてもよいし、3つ以上の層により構成されてもよい。
【0038】
カバーシート34は、厚さ方向Tにおいて吸収コア32を覆う。カバーシート34は、吸収コア32の表面側T1に配置されてもよく、吸収コア32の裏面側T2に配置されてもよい。本実施形態では、カバーシート34は、厚さ方向Tにおいて吸収コア32を挟むように配置されている。変更例において、カバーシート34は、吸収コア32の裏面及び吸収コアの側面を覆い、吸収コア32の表面側T1に折り返されてよい。カバーシート34の折り返された部分が、吸収コア32の表面側T1を覆っていてもよい。他の変更例において、カバーシート34は、吸収コア32の表面及び吸収コアの側面を覆い、吸収コア32の裏面側T2に折り返されてよい。カバーシート34の折り返された部分が、吸収コア32の裏面側T2を覆っていてもよい。カバーシート34は、特に限定されないが、例えば透液性のティッシュから構成することができる。
【0039】
表面シート12は、吸収性シート10の平面視において、吸収コア32よりも外側へ延びてよい。吸収性シート10は、吸収コア32と厚さ方向Tに重なる吸収コア領域CRと、吸収コア32と厚さ方向Tに重ならない非吸収コア領域NCRと、を有してよい。非吸収コア領域NCRは、平面方向において吸収コア領域CRよりも外側に位置してよい。非吸収コア領域NCRは、吸収コア領域CRよりも第1方向D1の外側の領域、及び、吸収コア領域CRよりも第2方向D2の外側の領域の少なくともいずれか一方に設けられていてもよい。非吸収コア領域NCRでは、表面シート12と裏面シート14とが直接接合されてもよいし、カバーシート34を介して接合されてもよいし、他のシート(例えば、表面シート12と吸収体30との間に配置される中間シート)を介して接合されてもよい。
【0040】
インジケータ50は、尿に基づく呈色によってペットの健康状態を示すものである。インジケータ50は、物理的性質及び/又は化学的性質に基づいて健康状態を検知することができる。インジケータ50は、例えば、尿に基づく呈色によって無色から有色へと変化してもよいし、ある色から別の色へと変化してもよい。インジケータ50は、例えば、白血球、亜硝酸塩、ウロビリノーゲン、蛋白質、ブドウ糖、ケトン体、及び、ビリルビンの少なくともいずれかにより呈色してよい。また、インジケータ50は、尿のpHに応じた色へ呈色してもよい。インジケータ50は、尿に含まれる血液(すなわち、潜血)により呈色してもよい。インジケータ50は、尿の比重に応じた色へ呈色してもよい。従って、インジケータ50は、例えば、白血球指示薬、亜硝酸塩指示薬、ウロビリノーゲン指示薬、蛋白質指示薬、ブドウ糖指示薬、ケトン体指示薬、ビリルビン指示薬、pH指示薬、潜血指示薬、及び、比重指示薬のいずれかにより構成されてよい。
【0041】
吸収性シート10は、機能性材料60を有していてよい。機能性材料60は、例えば、香料、消臭剤、抗菌剤、及び殺菌剤の少なくともいずれかであってよい。香料は、例えば、シクロデキストリン包接化合物であってよい。
【0042】
実施形態では、インジケータ50は、表面シート12よりも表面側T1に配置されている。インジケータ50は、吸収コア32よりも表面側T1に配置されている。変更例において、インジケータ50は、表面シート12よりも裏面側T2に配置されてもよい。インジケータ50は、表面シート12とカバーシート34との間に配置されてもよい。インジケータ50は、カバーシート34と吸収コア32(例えば、第1吸収コア32A)との間に配置されてもよい。
【0043】
図3に示すように、吸収性シート10は、機能性材料60の層を有してもよい。実施形態では、吸収性シート10は、機能性材料60として、香料からなる香料層62、及び、抗菌剤からなる抗菌層64とを有している。香料層62は、厚さ方向Tにおいて、第1吸収コア32Aと第2吸収コア32Bとの間に配置されている。香料層62は、厚さ方向Tにおいて、第1吸収コア32Aと第2吸収コア32Bとの間に配置されている。抗菌層64は、厚さ方向Tにおいて、第2吸収コア32Bと第3吸収コア32Cとの間に配置されている。
【0044】
(3)インジケータ50の詳細構成
インジケータ50の詳細構成について、図1から図4を参照して説明する。図4に示すように、吸収性シート10がシステムトイレ100に配置されている場合、上下方向において、吸収性シート10は、孔部hと重なる領域である重複領域R1と、孔部hと重ならない領域である非重複領域R2と、を有する。重複領域R1は、インジケータ50が配置されていない重複領域R11と、インジケータ50が配置されている重複領域R12と、を有する。非重複領域R2は、インジケータ50が配置されていない非重複領域R21と、インジケータ50が配置されている非重複領域R22と、を有する。
【0045】
また、吸収性シート10は、重複領域R1及び重複領域R1の間の領域によって構成される孔部領域HRと、孔部領域HRよりも平面方向の外側の領域である非孔部領域NHRと、を有する。孔部領域HRは、平面視において、孔部hと重なる又は孔部h間に配置されている領域であるため、孔部hを通過した尿に接触し易い領域である。
【0046】
図4Aに示すように、吸収性シート10の平面視におけるインジケータ50の長さ(例えば、後述の長さL51)は、孔部hの最小幅Wminよりも長い。少なくともインジケータ50の最長長さが、孔部hの最小幅Wminよりも長ければよい。インジケータ50の最短長さが、孔部hの最小幅Wminよりも長くてもよい。吸収性シート10は、システムトイレ100で用いられるものであるため、ペットは、吸収性シートに直接接触せずに、排泄物受け部110上で排泄を行う。これにより、ペットの接触によってペットの汚れに基づくインジケータ50が誤反応を行うことを抑制できる。また、ペットが大便を排泄した場合であっても、排泄物受け部110に収容されたトイレ砂150によって大便が吸収性シート10に到達し難くなる。これにより、大便に基づいてインジケータ50が誤反応を行うことを抑制できる。従って、使用者が、尿以外に基づく誤反応により実際の健康状態と異なる色に呈色したインジケータ50を視認することを抑制できる。使用者は、ペットの健康状態を誤って把握することを抑制できる。
【0047】
また、例えば、ペット(例えば、猫)がトイレ砂150上で動き回ったり、トイレ砂150自体を掘り返したりすることで、大便の一部が孔部hを通じて落下したり、トイレ砂150自体が落下することがある。落下した大便やトイレ砂150がインジケータ50を覆うように吸収性シート10に付着することで、インジケータ50の視認性が悪化することがあり得る。一方で、実施形態に係る吸収性シート10によれば、インジケータ50の長さは、孔部hの最小幅Wminよりも長い。従って、孔部hの最小幅Wminと重なる位置にインジケータ50が配置された場合、インジケータ50は、孔部hと重なる領域(すなわち、重複領域R12)と、孔部と重ならない領域(すなわち、非重複領域R22)とを有する。ペットの尿は、孔部hを通過して吸収性シートのうち重複領域R12に落下し、重複領域R12から非重複領域R22へ拡散する。非重複領域R22に位置するインジケータ部分は、拡散した尿と接触して、呈色する。使用者は、重複領域R12に位置するインジケータ部分の視認性が悪化していたとしても、非重複領域R22に位置するインジケータ部分を視認することで、ペットの健康状態を精度よく把握することができる。このように、使用者が、健康状態を示す試験薬を尿に付着させる作業をせずに、吸収性シート10のインジケータ50を視認することでペットの健康状態を簡便に把握できる。
【0048】
図1及び図2に示すように、インジケータ50は、吸収性シート10の平面視において、直線状に延びていてよい。本実施形態では、インジケータ50は、第2方向D2に延びている。インジケータ50は、連続的に延びていてもよいし、不連続的に延びていてもよい。インジケータ50は、実線、点線、破線の少なくともいずれかであってよい。インジケータ50が点線又は破線である場合、点の間隔又は破線の間隔(すなわち切れ目の長さ)は、例えば、孔部hの最大幅よりも短くてよいし、孔部hの最小幅Wminよりも短くてよい。変更例において、インジケータ50の少なくとも一部は、曲線状に延びていてもよい。インジケータ50は、直線と曲線との組み合わせにより構成されてもよい。
【0049】
なお、インジケータ50が点線又は破線(すなわち、不連続な線)により構成されている場合には、インジケータ50を実線(すなわち、連続的な線)とみなした仮想線の長さが、孔部hの最小幅Wminよりも長いか否かを判定する。仮想線の長さが孔部hの最小幅Wminよりも長い場合、インジケータ50の長さが、孔部hの最小幅Wminよりも長いとみなせる。
【0050】
図4Aに示すように、インジケータ50の長さ(幅)L51は、孔部hの最小幅Wminよりも長くてよい。インジケータ50の長さL51は、例えば、2mm以上、10mm以下であってよい。インジケータ50の長さL51は、インジケータ50の最小幅であってもよい。本実施形態では、インジケータ50の長さL51は、第1方向D1における長さである。インジケータ50の長さL51は、第2方向D2における長さであってもよい。
【0051】
インジケータ50の長さL52は、孔部hの最小幅Wminよりも長くてよい。インジケータ50の長さL52は、吸収コア32の1辺の長さに対応してもよい。インジケータ50の長さL51は、例えば、245mm以上であってよい。本実施形態では、インジケータ50の長さL51は、第2方向D2における長さである。インジケータ50の長さL52は、第1方向D1における長さであってもよい。
【0052】
インジケータ50は、1本配置されていてもよいし、複数本配置されていてもよい。実施形態では、直線状のインジケータ50が3本配置されている。従って、インジケータ50は、第1インジケータ51、第2インジケータ52、第3インジケータ53により構成されている。平面視において、第1方向D1におけるインジケータ50どうしの間隔L11は、例えば、110mm以下であってよく、55mm以下であってもよい。また、インジケータ50どうしの間隔L11は、例えば、インジケータ50の最小長さ以上であってもよい。本実施形態では、間隔L11は、インジケータ50の最小長さである長さL51以上である。これにより、インジケータ50によって尿の拡散が阻害されることを抑制できる。また、平面視において、インジケータ50から吸収コア32の端部までの第1方向D1における長さL12は、例えば、110mm以下であってよく、55mm以下であってもよい。長さL12は、インジケータ50の最小長さ以上であってもよい。吸収コア32の長手方向の端部からインジケータ50までの最短距離は、吸収コア32の長手方向の長さの14%以下であってよい。
【0053】
図2に示すように、インジケータ50は、吸収コア領域CRに配置されていてもよい。使用者は、一般的に、孔部hが吸収コア領域CRと重なる位置に配置されるように、吸収性シート10を配置することができる。その結果、インジケータ50が吸収コア領域CRに配置されているため、孔部hを通過した尿がインジケータに接触し易くなる。
【0054】
なお、変更例において、インジケータ50は、非吸収コア領域NCRに配置されてよい。これにより、吸収コアが高吸水性高分子を含んでいたとしても、インジケータ50が高吸水性高分子と接触し難くできる。これにより、呈色反応を行うインジケータ成分が、高吸水性高分子に含まれるプロトンと誤反応を起こすことを抑制できる。その結果、プロトンと誤反応を起こすことで、実際の健康状態と異なる色に呈色したインジケータ50を使用者が視認し難くなるため、使用者は、ペットの健康状態を精度よく把握することができる。なお、インジケータ50は、非吸収コア領域NCRのみに配置されていてもよい。インジケータ50が、吸収コア32の端部から拡散した尿と反応しないように、平面視において吸収コア領域CR(すなわち、吸収コア32の端部)から少なくとも10mm以上離れた位置に配置されてよい。非吸収コア領域NCRに配置されているインジケータ50は、平面視において吸収コア領域CR(すなわち、吸収コア32の端部)から少なくとも10mm未満に配置されていなくてもよい。
【0055】
また、インジケータ50は、吸収コア32を長手方向である第1方向D1に3分割した場合に設けられる3つの領域のうち少なくとも両側の領域に配置されてよい。具体的には、図2に示すように、吸収コア32を長手方向である第1方向D1に3分割した場合に、中央領域CRCと、中央領域CRCの両側に位置するサイド領域CRSとが設けられる。インジケータ50は、サイド領域のそれぞれに配置されてよい。システムトイレ100で排泄する猫全体の約70%の猫は、長手方向の両側のサイド領域CRSのうちどちらか一方の領域で排泄する傾向がある。従って、約70%の猫が排泄した尿をインジケータ50に接触し易くすることができる。
【0056】
また、インジケータ50は、吸収コア32を長手方向である第1方向D1に3分割した場合に設けられる3つの領域のうち少なくとも中央の領域である中央領域CRCに配置されてよい。システムトイレ100で排泄する猫全体の約30%の猫は、長手方向の中央にて排泄する傾向がある。従って、中央に排泄する猫の尿をインジケータに接触し易くすることができる。また、長手方向の両側に排泄された尿も拡散により中央領域CRCにまで到達することもある。従って、使用者は、長手方向の中央に排泄する猫の健康状態は勿論、長手方向の両側に排泄する猫の健康状態も把握し得る。
【0057】
また、インジケータ50は、折り畳み線FLと重ならない位置に配置されてよい。これにより、インジケータ50が折り曲げられることで、破損したり、吸収性シート10から剥がれたりすることを抑制できる。また、吸収性シート10が折り畳まれている場合、折り畳み線FL上の吸収性シート10の部分は圧縮されているため、他の部分と比較して、例えば、光線透過率が異なることがある。従って、平面視において、折り畳み線FL上に位置するインジケータ50の部分の呈色後の色と、折り畳み線FLから離れて位置するインジケータ50の部分の呈色後の色とが異なって視認されることがある。インジケータ50は、折り畳み線FLと重ならない位置に配置されることで、使用者が、ペットの健康状態を誤って把握することを抑制できる。
【0058】
図3に示すように、吸収性シート10は、吸収性シート10の厚さ方向Tにおいてインジケータ50とSAP含有層との間に配置される離間層を有してよい。離間層は、例えば、表面シート12、カバーシート34、高吸水性高分子以外の吸収材料からなる吸収コア32、及び機能性材料60の少なくともいずれかであってよい。本実施形態では、インジケータ50とSAP含有層に対応する第2吸収コア32Bとの間には、表面シート12、第1吸収コア32A、及び香料層62が離間層である。離間層は、ティッシュにより構成されてもよいし、パルプにより構成されてもよい。このように、インジケータ50とSAP含有層との間に、離間層が存在することで、インジケータ50が高吸水性高分子と直接接触しない。これにより、呈色反応を行うインジケータ成分が、高吸水性高分子に含まれるプロトンと誤反応を起こすことを抑制できる。その結果、プロトンと誤反応を起こすことで実際の健康状態と異なる色に呈色したインジケータ50を使用者が視認し難くなるため、使用者は、ペットの健康状態を精度よく把握することができる。
【0059】
(4)変更例
変更例について、図5及び図6を参照して、説明する。なお、上述と同様の部分については説明を省略する。図5は、第1変更例に係る吸収性シート10の模式的な断面図である。図6は、第2変更例から第4変更例に係る吸収性シート10のうち吸収コア領域CRを表面側T1(排泄面側)から見た平面図である。具体的には、図6Aは、第2変更例に係る吸収性シート10の吸収コア領域CRを表面側T1から見た平面図であり、図6Bは、第3変更例に係る吸収性シート10の吸収コア領域CRを表面側T1から見た平面図であり、図6Cは、第4変更例に係る吸収性シート10の吸収コア領域CRを表面側T1から見た平面図である。
【0060】
図5に示すように、第1変更例に係る吸収性シート10は、保護層70を有してよい。保護層70は、厚さ方向Tにおいてインジケータ50と吸収コア32との間に配置され、かつ吸収コア32に吸収された液体の表面側T1への液戻りを抑制する。インジケータ50よりも裏面側T2に配置されている吸収コアに一度吸収された尿が、表面側T1へ戻る液戻りが保護層70によって防ぐことができる。これにより、時間が経過することで新鮮でない尿(例えば、酸化した尿成分)がインジケータ50と接触することを抑制できる。その結果、実際の健康状態と異なる色に呈色したインジケータ50を使用者が視認することが少なくなるため、使用者は、ペットの健康状態を精度よく把握することができる。
【0061】
図5に示すように、保護層70は、インジケータ50の裏面側T2に直接接触していてもよい。変更例において、インジケータ50と保護層70との間に他の部材(例えば、カバーシート34)が配置されていてもよい。保護層70は、例えば、パーフォレーションフィルム、流路を制御できるドライメッシュ及び/又は不織布(例えば、SMS不織布)などである。なお、保護層70は、吸水性を損なわないように、厚さ方向Tにおいて吸収コア32の一部のみと重なることが好ましい。例えば、保護層70の面積は、インジケータ50の面積に対して2.0倍以下であってよい。
【0062】
図6Aに示すように、第2変更例に係る吸収性シート10では、インジケータ50は、平面視において吸収コア32を短手方向(すなわち、図6Aの第2方向D2)に3分割した場合に設けられる3つの領域のうち少なくとも中央の領域である中央領域CRCに配置されてよい。本変更例では、短手方向において中央領域CRCの両側のサイド領域CRSにもインジケータ50が配置されている。吸収コア32の短手方向の端部からインジケータ50までの短手方向の最短距離L22は、吸収コア32の短手方向の長さの27.5%以下であってよい。ペットの一回の排尿時の一般的な尿量であれば、吸収コア32の短手方向の長さの27.5%以上拡散することが多い。例えば、ペットがシステムトイレ100に短手方向から出入りしたり、システムトイレ100のサイズがペットに対して大きかったりする場合には、ペットが短手方向の両側の領域のうちどちらか一方の領域で排泄することがある。従って、ペットが吸収コア32の短手方向の端部に排尿したとしても、尿が拡散によりインジケータ50に到達し易くなる。使用者は、尿が到達したインジケータを視認することで、ペットの健康状態を簡便に把握し易くなる。
【0063】
また、短手方向におけるインジケータ50どうしの間隔L21は、110mm以下であってよく、55mm以下であってもよい。また、間隔L21は、例えば、インジケータ50の最小長さ以上であってもよい。
【0064】
図6Bに示すように、第3変更例に係る吸収性シート10では、インジケータ50は、平面視において吸収コア32を長手方向(すなわち、図6Bの第1方向D1)に2分割した場合に設けられる2つの領域の両方に配置されてよい。2つの領域の一方の領域である第1領域CS1に配置されているインジケータ50から2つの領域の他方の領域である第2領域CS2に配置されているインジケータ50までの長手方向の最短距離L11は、吸収コア32の長手方向の長さの44%以下であってよい。ペットは、第1領域CS1と第2領域CS2のどちらかで排尿するため、尿が2つの領域のどちらかのインジケータ50に接触し易くなる。加えて、ペットの一回の排尿時の一般的な尿量であれば、吸収コア32の長手方向の長さの44%以上拡散することがある。従って、ペットが吸収コア32の中央付近に排尿したとしても、尿が拡散によりインジケータ50に到達し易くなる。使用者は、尿が到達したインジケータ50を視認することで、ペットの健康状態を簡便に把握し易くなる。
【0065】
吸収コア32の長手方向の端部からインジケータ50までの長手方向の最短距離L22は、吸収コア32の長手方向の長さの28%以下であってよい。ペットが吸収コア32の長手方向の端部に排尿したとしても、尿が拡散によりインジケータに到達し易くなる。使用者は、尿が到達したインジケータ50を視認することで、ペットの健康状態を簡便に把握し易くなる。
【0066】
図6Cに示すように、第4変更例に係る吸収性シート10では、インジケータ50は、平面視において吸収コア32を短手方向に2分割した場合に設けられる2つの領域の両方の領域に配置されてよい。2つの領域の一方の領域である第1領域CS1に配置されているインジケータ50から2つの領域の他方の領域である第2領域CS2に配置されているインジケータ50までの短手方向の最短距離は、吸収コア32の短手方向の長さの27.5%以下であってよい。ペットの一回の排尿時の一般的な尿量であれば、吸収コアの短手方向の長さの27.5%以上拡散することが多い。従って、ペットが吸収コア32の短手方向の端部に排尿したとしても、尿が拡散によりインジケータ50に到達し易くなる。使用者は、尿が到達したインジケータ50を視認することで、ペットの健康状態を簡便に把握し易くなる。
【0067】
(5)実施例
以下に実施例について説明する。実施例に係る吸収性シート10は、図6Bに示すように、平面視において吸収コア32を長手方向に2分割した場合に設けられる2つの領域(すなわち、第1領域CS1及び第2領域CS2)の両方に配置されている。一方のインジケータ50から他方のインジケータ50までの距離は、50mmである。吸収性シート10の長手方向(第1方向D1)の中心からインジケータ50のそれぞれまでの距離は等しい(すなわち、25mm)である。
【0068】
実施例に係る吸収性シート10に対し、システムトイレ100の底部112から吸収性シート10までの平均的な高さである、高さ5cmの所から、長手方向Lにおける孔部領域HRの中心付近において、25ccの尿(サンプル)を10秒かけて滴下した。その後、尿は、吸収性シート10の長手方向(第1方向D1)の中心から円状に拡散した。拡散半径は、約55mmであった。なお、1回の滴下量は、平均的な体重の猫の1回の排尿量である25ccと定めた。
【0069】
実施例に係る吸収性シート10では、拡散した尿が、第1領域CS1及び第2領域CS2の両方のインジケータ50にまで到達した。インジケータ50は、拡散した尿との接触により呈色した。実施例に係る吸収性シート10では、インジケータ50が、尿が滴下した位置から離れているため、尿と共に大便が排泄されたとしても、大便により視認性が悪化することを抑制できることが分かった。
【0070】
(6)その他実施形態
吸収性シート10は、インジケータ50の呈色後の色の健康状態を示す色彩対比部を有してよい。色彩対比部は、ペットが健康である場合の呈色後の色を示してもよいし、ペットが不健康である場合の呈色後の色を示してもよい。使用者は、呈色したインジケータ50と色彩対比部との色を比較することで、ペットの健康状態を簡便に把握することができる。
【0071】
色彩対比部は、表面シート12上に設けられてもよい。これにより、使用者が色彩対比部を視認し易くなり、ペットの健康状態を精度よく把握し易くなる。また、色彩対比部は、非吸収コア領域NCRに設けられてもよい。これにより、色彩対比部に尿が接触し難くなり、使用者は、色彩対比部の正確な色を把握できる。
【0072】
インジケータ50が吸収コア領域CRに配置される場合に、インジケータ50の色は、吸収体30の色と異なってよい。これにより、使用者は、吸収体30の色と比較する(すなわち、吸収体30の色を基準とする)ことでインジケータ50の色を把握し易くなり、インジケータ50の色変化を正確に識別できる。具体的には、インジケータ50の呈色前の色が、吸収体30の色と異なっていてよい。これにより、使用者が、インジケータ50の位置を把握し易くなる。使用者は、インジケータ50が排尿され易い位置に配置されるように、吸収性シート10を配置することができる。また、インジケータ50の呈色後の色が、吸収体30の色と異なっていてもよい。これにより、使用者が、呈色後のインジケータ50の位置を把握し易くなる。
【0073】
また、インジケータ50の色は、裏面シート14の色と異なってよい。平面視において、裏面シート14の色を視認できる場合に、使用者は、裏面シート14の色と比較する(すなわち、裏面シート14の色を基準とする)ことでインジケータ50の色を把握し易くなり、インジケータ50の色変化を正確に識別できる。裏面シート14の色は、インジケータ50の呈色前の色と異なっていてもよいし、インジケータ50の呈色後の色と異なっていてもよい。
【0074】
上述の実施形態では、インジケータ50は、交差せずに、直線状に延びていたが、これに限られない。インジケータ50は、交差してもよい。これにより、尿が拡散する場合に、インジケータ50に接触し易くなる。
【0075】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0076】
10 :吸収性シート
32 :吸収コア
50 :インジケータ
70 :保護層
100 :システムトイレ
110 :排泄物受け部
112 :底部
150 :トイレ砂
CR :吸収コア領域
NCR :非吸収コア領域
h :孔部
図1
図2
図3
図4
図5
図6