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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040031
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】基板処理装置及び保護層の形成方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240315BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
H01L21/304 644A
H01L21/304 644Z
H01L21/304 643A
H01L21/02 B
H01L21/304 622P
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144843
(22)【出願日】2022-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】藤方 淳平
【テーマコード(参考)】
5F057
5F157
【Fターム(参考)】
5F057AA08
5F057AA21
5F057BA15
5F057BA21
5F057BB03
5F057BB23
5F057CA12
5F057CA25
5F057DA03
5F057DA40
5F057EC13
5F057FA02
5F057FA28
5F057FA37
5F057FA45
5F157AA62
5F157AA73
5F157AA96
5F157AB16
5F157AB33
5F157AB90
5F157AC13
5F157AC15
5F157BA07
5F157BA08
5F157BA13
5F157BA31
5F157BB23
5F157CB03
5F157CC03
5F157CF02
5F157CF14
5F157CF60
(57)【要約】
【課題】本開示は、研磨工程後の金属領域の表面を酸化や研磨後の工程で生じる切り屑やパーティクルの接合表面への付着から保護できるような基板処理装置及び保護層の形成方法を提供する。
【解決手段】本開示に係る基板処理装置は、半導体の基板を研磨するための研磨装置と、シランカップリング剤又は樹脂保護膜剤を使用して基板の表面に保護層を形成するための保護層形成装置と、制御装置と、を備え、制御装置は、研磨装置が基板の研磨を終了した後に、保護層形成装置が基板に保護層を形成するように、研磨装置及び保護層形成装置を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体の基板を研磨するための研磨装置と、
シランカップリング剤又は樹脂保護膜剤を使用して前記基板の表面に保護層を形成するための保護層形成装置と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記研磨装置が前記基板の研磨を終了した後に、前記保護層形成装置が前記基板に前記保護層を形成するように、前記研磨装置及び前記保護層形成装置を制御する、
基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記保護層形成装置は、前記シランカップリング剤を使用して前記保護層を形成するように構成されている、
基板処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記保護層形成装置は、前記樹脂保護膜剤を使用して前記保護層を形成するように構成されている、
基板処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記制御装置は、前記研磨装置の研磨の終了時から、前記保護層形成装置の前記保護層の形成の開始時までの時間が、10分以内となるように、前記研磨装置及び前記保護層形成装置を制御する、
基板処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の基板処理装置において、
前記研磨装置は、研磨パッドを備え、
前記研磨装置の研磨の終了時は、前記研磨パッドが前記基板から離れた時である、
基板処理装置。
【請求項6】
請求項1又は4に記載の基板処理装置において、
前記保護層形成装置は、
前記基板に前記シランカップリング剤又は前記樹脂保護膜剤を塗布するための塗布装置と、
前記基板を加熱するためのベイク装置と、
を有する、
基板処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の基板処理装置において、
前記塗布装置は、
前記基板を回転させて乾燥させるためのテーブルと、
前記塗布装置内に設置されている前記基板に前記シランカップリング剤又は前記樹脂保護膜剤を供給するためのノズルと、
前記ノズルから前記基板に供給される前記シランカップリング剤又は前記樹脂保護膜剤の流量を調整するための開閉弁と、
を有し、
前記制御装置は、前記基板の中央部の乾燥後且つ前記基板の外周部の乾燥前に、前記ノズルに前記シランカップリング剤又は前記樹脂保護膜剤を前記基板に供給させるように
、前記開閉弁を制御する、
基板処理装置
【請求項8】
請求項6に記載の基板処理装置において、
前記塗布装置は、
前記基板が設置されるためのバフテーブルと、
前記バフテーブルに設置されている前記基板と接触し、前記基板をバフ洗浄するためのバフパッドと、
前記バフテーブルに設置されている前記基板に前記シランカップリング剤又は前記樹脂保護膜剤を供給するための剤ノズルと、
を有する、
基板処理装置。
【請求項9】
請求項4を引用する請求項6に記載の基板処理装置において、
前記保護層の形成の開始時は、前記基板に前記シランカップリング剤又は前記樹脂保護膜剤が接触した時である、
基板処理装置。
【請求項10】
請求項1又は4に記載の基板処理装置において、
前記保護層形成装置は、
前記基板を収容するためのロードロックチャンバと、
前記ロードロックチャンバとシャッターを介して接続され、前記基板を収容するための真空チャンバと、
前記ロードロックチャンバの内部及び前記真空チャンバの内部の気体を真空引きするための真空ポンプと、
前記真空チャンバの内部に前記シランカップリング剤を供給するためのシランカップリング剤供給装置と、
前記真空チャンバの内部でプラズマを発生させるためのプラズマ発生装置と、
を有する、
基板処理装置。
【請求項11】
請求項4を引用する請求項10に記載の基板処理装置において、
前記保護層の形成の開始時は、前記基板が収容された前記ロードロックチャンバへの真空引きが開始した時である、
基板処理装置。
【請求項12】
請求項1又は2に記載の基板処理装置において、
前記基板に金属領域を形成するためのめっき装置をさらに備える、
基板処理装置。
【請求項13】
請求項1又は2に記載の基板処理装置において、
2つの前記基板を接合させるための接合装置をさらに備え、
前記接合装置は、
前記基板のうちの1つである第1基板を把持するための上部チャックと、
前記基板のうちの別の1つである第2基板を把持するための下部チャックと、
前記上部チャックが把持する前記第1基板及び前記前記チャックが把持する前記第2基板を撮影するためのカメラと、
前記上部チャック及び前記下部チャックのうち少なくとも一方を移動させるための移動装置と、
を備える、
基板処理装置。
【請求項14】
金属領域を有する半導体の基板を研磨する第1工程と、
前記第1工程の後に、シランカップリング剤又は樹脂保護膜剤を使用して前記基板の表面に保護層を形成する第2工程と、
を有する、保護層の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置及び保護層の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロニクスの分野では、半導体の基板を接合する技術が用いられている。例えば、複数のウェハを積層するWafer on Wafer(WoW)として、特許文献1や特許文献2には、このような半導体の基板を接合する技術が開示されている。また、ウェハに分割したチップを積層するChip on Wafer(CoW)として、特許文献3にはこのような半導体基板を接合する技術が開示されている。
【0003】
特許文献1が開示する金属領域を有する接合面を有する基板同士を接合する方法は、金属領域を有する接合面を研磨するステップと、研磨された接合面に対し表面活性化処理を行い、かつ親水化処理を行うステップと、基板の接合面同士を貼り合わせて基板接合体を形成するステップと、基板接合体を加熱して金属を固相拡散するステップと、を含む。
【0004】
また、特許文献2や特許文献3が開示する2つの基板を接合する方法は、2つの基板の接合面の少なくとも一方を親水化する親水化処理工程と、親水化処理工程の後、2つの基板を接合する接合工程と、を含む。
【0005】
特許文献4や特許文献5が開示するウェハのダイシング工程及びその後の工程でチップ表面に切り屑やパーティクルが付着することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6425317号公報
【特許文献2】特許第6388272号公報
【特許文献3】特許第6337400号公報
【特許文献4】特許第3154194号公報
【特許文献5】特開2021-190557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、特許文献1の基板の接合方法は、研磨工程(研磨するステップ)と、接合工程(表面活性化処理を行いかつ親水化処理を行うステップ~金属を固相拡散するステップ)とを有している。基板の接合が行われる際には、必要に応じて、研磨工程後の基板を一時的に保管する場合がある。このような場合に、研磨工程から接合工程までの間の時間が長いと、金属領域が空気中の酸素と反応し、金属領域の表面に酸化膜が形成される虞がある。そして、金属領域の表面に酸化膜が形成された場合、接合される2枚の基板の間の金属領域同士の接続で接触不良等の不具合が生じ得る。
【0008】
また、特許文献2の基板を接合する方法においても、研磨工程から長い時間が経った基板が接合される場合には、特許文献1の方法と同様の問題が発生し得る。
【0009】
また、ウェハにチップを積層するCoWには、研磨されたウェハをチップに分割するためのダイシング工程が含まれる。特許文献4に開示されるダイシング工程では、ダイシング工程中の切削加工で生じた切粉やパーティクルがチップの接合表面に付着する問題が発生し得る。
【0010】
これらの理由から、研磨工程後の金属領域の表面を酸化から保護したり、切り屑やパーティクルの付着から保護したりできるような装置や方法が求められている。
【0011】
そこで、本開示は、研磨工程後の金属領域の表面を酸化や研磨後の工程で生じる切り屑やパーティクルの接合表面への付着から保護できるような基板処理装置及び保護層の形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一実施形態に係る基板処理装置は、半導体の基板を研磨するための研磨装置と、シランカップリング剤又は樹脂保護膜剤を使用して前記基板の表面に保護層を形成するための保護層形成装置と、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記研磨装置が前記基板の研磨を終了した後に、前記保護層形成装置が前記基板に前記保護層を形成するように、前記研磨装置及び前記保護層形成装置を制御する。
【0013】
一実施形態に係る保護層の形成方法は、半導体の基板を研磨する第1工程と、前記第1工程の後に、シランカップリング剤又は樹脂保護膜剤を使用して前記基板の表面に保護層を形成する第2工程と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本開示の実施形態に係る基板処理装置の全体構成を示す平面図である。
図2図2は、図1に示されている研磨装置を模式的に示す斜視図である。
図3図3は、図1に示されているバフ洗浄装置を模式的に示す斜視図である。
図4図4は、図1に示されている塗布装置の概略構成を示す図である。
図5図5は、本開示の別の実施形態に係るバフ洗浄装置の概略構成を示す図である。
図6図6は、図1に示されているベイク装置の概略構成を示すブロック図である。
図7図7は、本開示の別の実施形態に係る基板処理装置の全体構成を示す平面図である。
図8図8は、図7に示されている保護層形成装置を模式的に示すブロック図である。
図9図9は、本開示の別の実施形態に係る基板処理装置の全体構成を示す平面図である。
図10図10は、本開示の別の実施形態に係る基板処理装置の全体構成を示す平面図である。
図11図11は、図10に示されている接合装置を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0016】
<基板処理装置100A>
図1は、本開示の実施形態に係る基板処理装置100Aの全体構成を示す平面図である。基板処理装置100Aは、半導体の基板Wに処理を行うための装置である。特に、基板処理装置100Aは、絶縁領域と、めっきや蒸着等の堆積法によりその表面に形成された銅(Cu)等の金属領域とを有する基板Wに対して処理を行うが、絶縁領域のみを有する基板Wに対して処理を行ってもよい。なお、半導体の基板Wには、シリコンウェハ、ガラスウェハ、石英ウェハ等のウェハが含まれる。図1を参照すると、基板処理装置100Aは、ロード/アンロードモジュール200と、研磨モジュール300と、洗浄モジュール400と、ベイク装置600と、を備える。さらに、基板処理装置100Aは、ロード/アンロードモジュール200、研磨モジュール300、洗浄モジュール400及びベイク装置600の動作を制御するための制御装置900Aを備える。
【0017】
ロード/アンロードモジュール200は、基板Wを複数枚収容できるキャリアに収容された基板Wを基板処理装置100A内へ搬送する処理と、基板処理装置100Aで処理された後の基板Wを基板処理装置100Aからキャリアへ収容する処理とを行う。研磨モジュール300は、基板Wを研磨する機能を有する。洗浄モジュール400は、研磨された基板Wを洗浄する機能を有する。ベイク装置600は、基板Wを加熱する機能を有する。
【0018】
さらに、基板処理装置100Aは、トランスポータ102と、搬送ロボット222とトランスポータ102との間で基板Wの受け渡しを行う搬送装置(図示省略)と、研磨モジュール300で研磨された基板Wを洗浄モジュール400に搬送するための搬送装置(図示省略)と、を備える。以下、基板処理装置100Aの各部の構成について説明する。
【0019】
<ロード/アンロードモジュール200>
ロード/アンロードモジュール200は、多数の基板Wをストックするためのウェハカセットが載置される2つ以上(基板処理装置100Aでは4つ)のフロントロード部220を備える。これらのフロントロード部220は、基板処理装置100Aの幅方向(長手方向と垂直な方向)に沿って配列される。フロントロード部220は、オープンカセット、SMIF(Standard Manufacturing Interface)ポッド、又はFOUP(Front Opening Unified Pod)を搭載できるように構成されている。SMIF及びFOUPは、内部にウェハカセットを収容し、隔壁で覆うことにより、外部空間とは独立した環境を保つことができる密閉容器である。
【0020】
また、ロード/アンロードモジュール200は、フロントロード部220の並びに沿って移動可能な搬送ロボット222を備える。搬送ロボット222は、それぞれのフロントロード部220に搭載された基板Wにアクセスできるように構成されている。
【0021】
<トランスポータ102>
図1に示されるように、トランスポータ102は、第1研磨装置302A及び第2研磨装置302Bが配列する方向に沿った6つの搬送位置(ロード/アンロードモジュール200側から順番に第1搬送位置TP1、第2搬送位置TP2、第3搬送位置TP3、第4搬送位置TP4、第5搬送位置TP5、第6搬送位置TP6とする)の間で基板Wを搬送できるように構成されている。
【0022】
<研磨モジュール300>
研磨モジュール300において、基板Wの研磨(平坦化)が行われる。研磨モジュール300は、第1研磨装置(CMP装置)302A及び第2研磨装置(CMP装置)302Bを備える。第1研磨装置302A及び第2研磨装置302Bは、基板Wを研磨するための装置であり、基板処理装置100Aの長手方向に沿って配列される。第1研磨装置302A及び第2研磨装置302Bは、互いに同一の構成を有しているため、単に研磨装置と呼ぶ場合があり、以下、説明の重複を避けるために第1研磨装置302Aについてのみ説明する。
【0023】
図2は、第1研磨装置302Aを模式的に示す斜視図である。図1及び図2に示すように、第1研磨装置302Aは、一例として、研磨面を有する研磨パッド310と、研磨テーブル330と、トップリング331と、研磨液供給ノズル332(図2参照)と、ドレッサ(図示省略)と、アトマイザ(図示省略)と、を備える。トップリング331は、基板Wを保持する機能を有し、基板Wを研磨パッド310に押し当てることができる。これにより、基板Wが、研磨パッド310に押圧されて研磨される。また、研磨液供給ノズル332(図2参照)は、研磨パッド310に研磨液やドレッシング液(例えば、純水)を供給する機能を有する。ドレッサは、研磨パッド310の研磨面のドレッシングを行う機
能を有する。アトマイザは、液体(例えば純水)と気体(例えば窒素ガス)の混合流体又は液体(例えば純水)を噴射して研磨面上のスラリや研磨生成物、及びドレッシングによるパッド残渣を除去する機能を有する。
【0024】
図2に示されるように、トップリング331は、トップリングシャフト336に支持される。研磨テーブル330の上面には研磨パッド310が取付けられている。研磨パッド310の上面は、基板Wを研磨する研磨面を形成する。トップリング331及び研磨テーブル330は、矢印で示すように、その軸心周りに回転できるように構成される。基板Wは、トップリング331の下面に真空吸着により保持される。研磨時には、研磨液供給ノズル332から研磨パッド310の研磨面に研磨液が供給された状態で、研磨対象である基板Wがトップリング331により研磨パッド310の研磨面に押圧されて研磨される。
【0025】
第1研磨装置302Aのトップリング331は、トップリングヘッドのスイング動作により研磨位置と第4搬送位置TP4との間を移動する(図1参照)。したがって、トップリング331への基板Wの受け渡しは第4搬送位置TP4で行われる。同様に、第2研磨装置302Bのトップリング331は研磨位置と第5搬送位置TP5との間を移動し、トップリング331への基板Wの受け渡しは第5搬送位置TP5で行われる。
【0026】
<洗浄モジュール400>
図1を参照すると、一例として、洗浄モジュール400は、バフ洗浄装置420Aと、塗布装置500と、乾燥装置404と、を備える。さらに、洗浄モジュール400は、バフ洗浄装置420A、塗布装置500及び乾燥装置404の間で基板Wを搬送するための搬送装置(図示省略)を備える。洗浄モジュール400は、必要に応じて、基板Wを洗浄するための既知の洗浄装置も備えてもよい。以下、洗浄モジュール400の各構成について説明する。
【0027】
<乾燥装置404>
乾燥装置404は、既知の方法により基板Wを高速回転させるステージを有している。また、フィルタを有しており、既知の方法により清浄な空気を基板Wに供給できるように構成してもよい。そして、乾燥装置404は、基板Wを高速に回転させることで、基板Wを乾燥させると事ができる。同時に、空気を基板Wに供給することで、基板Wを短時間で乾燥させることができる。
【0028】
<バフ洗浄装置420A>
図3は、バフ洗浄装置420Aを模式的に示す斜視図である。図3に示すように、バフ洗浄装置420Aは、基板Wが設置されるバフテーブル422と、基板Wの処理面に処理を行うためのバフパッド424が取り付けられたバフヘッド426と、バフヘッド426を保持するアーム430と、処理液を供給するための処理液供給系統470と、バフパッド424のコンディショニング(目立て)を行うためのコンディショニング部460と、を備える。処理液は、純水、洗浄薬液、及び、スラリのような研磨液、の少なくとも1つを含む。また、バフパッド424は、例えば発泡ポリウレタン系のハードパッド、スウェード系のソフトパッド、又は、スポンジなどで形成される。バフパッド424の種類は処理対象物の材質や除去すべき汚染物の状態に対して適宜選択すれば良い。また、これらのバフパッド424の表面には、例えば同心円状溝やXY溝、渦巻き溝、放射状溝といった溝形状が施されていても良い。更に、バフパッド424を貫通する穴を少なくとも1つ以上バフパッド424内に設け、本穴を通して処理液を供給しても良い。また、バフパッド424に、例えばPVAスポンジのような処理液が浸透可能なスポンジ状の材料を使用しても良い。
【0029】
バフテーブル422は、基板Wを吸着する機構を有し、基板Wを保持する。また、バフ
テーブル422は、モーター432によって回転軸A周りに回転できるように構成されている。バフパッド424は、バフヘッド426の基板Wに対向する面に取り付けられる。バフヘッド426は、図示していない駆動機構によって回転軸B周りに回転できるように構成されている。また、バフヘッド426は、バフパッド424を基板Wの処理面に押圧できるように構成されている。アーム430は、モーター431(図5参照)によって移動し、その結果、バフヘッド426は矢印Cの方向に移動可能である。また、アーム430は、バフパッド424がコンディショニング部460に対向する位置までバフヘッド426を移動できるように構成されている。
【0030】
コンディショニング部460は、バフパッド424の表面をコンディショニングするように構成されている。コンディショニング部460は、ドレステーブル462と、ドレステーブル462に設置されたドレッサ464と、を備える。ドレステーブル462は、図示していない駆動機構によって回転軸D周りに回転できる。ドレッサ464は、ダイヤモンド砥粒がバフパッド424との接触面の全面もしくは一部に配置されたダイヤドレッサ、樹脂製のブラシ毛がバフパッド424との接触面の全面もしくは一部に配置されたブラシドレッサ、又はこれらの組み合わせで形成される。
【0031】
バフ洗浄装置420Aは、バフパッド424のコンディショニングを行う際には、バフパッド424がドレッサ464に対向する位置になるまでアーム430を旋回させる。バフ洗浄装置420Aは、ドレステーブル462を回転軸D周りに回転させるとともにバフヘッド426を回転させ、バフパッド424をドレッサ464に押し付けることによって、バフパッド424のコンディショニングを行う。
【0032】
処理液供給系統470は、基板Wの処理面に純水を供給するための純水ノズル472を備える。純水ノズル472は、純水配管474を介して純水供給源476に接続される。純水配管474には、純水配管474を開閉することができる開閉弁478が設けられる。制御装置900Aは、開閉弁478の開閉を制御することにより、任意のタイミングで基板Wの処理面に純水を供給することができる。
【0033】
また、処理液供給系統470は、基板Wの処理面に薬液(Chemi)を供給するための薬液ノズル480を備える。薬液ノズル480は、薬液配管482を介して薬液供給源483に接続される。薬液配管482には、薬液配管482を開閉することができる開閉弁484が設けられる。制御装置900Aは、開閉弁484の開閉を制御することにより、任意のタイミングで基板Wの処理面に薬液を供給することができる。
【0034】
さらに、バフ洗浄装置420Aは、アーム430、バフヘッド426、及び、バフパッド424を介して、基板Wの処理面に、純水、薬液、又はスラリ等の研磨液を選択的に供給できるように構成されている。
【0035】
すなわち、純水配管474における純水供給源476と開閉弁478との間からは分岐純水配管474aが分岐する。また、薬液配管482における薬液供給源483と開閉弁484との間からは分岐薬液配管482aが分岐する。分岐純水配管474a、分岐薬液配管482a、及び、研磨液供給源486に接続された研磨液配管488は、液供給配管490に合流する。分岐純水配管474aには、分岐純水配管474aを開閉することができる開閉弁492が設けられる。分岐薬液配管482aには、分岐薬液配管482aを開閉することができる開閉弁494が設けられる。研磨液配管488には、研磨液配管488を開閉することができる開閉弁495が設けられる。
【0036】
液供給配管490の第1端部は、分岐純水配管474a、分岐薬液配管482a、及び、研磨液配管488、の3系統の配管に接続される。液供給配管490は、アーム430
の内部、バフヘッド426の中央、及び、バフパッド424の中央を通って延伸する。液供給配管490の第2端部は、基板Wの処理面に向けて開口する。制御装置900Aは、開閉弁492、開閉弁494、及び、開閉弁495、の開閉を制御することにより、任意のタイミングで、基板Wの処理面に純水、薬液、スラリ等の研磨液のいずれか1つ、又はこれらの任意の組み合わせの混合液を供給できる。
【0037】
バフ洗浄装置420Aは、液供給配管490を介して基板Wに処理液を供給するとともにバフテーブル422を回転軸A周りに回転させ、バフパッド424を基板Wの処理面に押圧し、バフヘッド426を回転軸B周りに回転させながら矢印C方向に揺動することによって、基板Wにバフ洗浄を行うことができる。
【0038】
<塗布装置500>
図4は、塗布装置500の概略構成を示す図である。塗布装置500は、基板Wにシランカップリング剤又は樹脂保護膜剤を塗布するための装置である。なお、塗布装置500及びベイク装置600は、保護層形成装置に含まれる。図4を参照すると、塗布装置500は、基板Wを保持するためのテーブル502と、テーブル502を回転させるためのモーター504と、リンス水ノズル506と、リンス水配管508と、開閉弁510と、ノズル512と、配管514と、開閉弁516と、を備える。
【0039】
リンス水ノズル506は、リンス水配管508を介してリンス水供給源518に接続される。リンス水配管508には、リンス水配管508を開閉することができる開閉弁510が設けられる。制御装置900Aは、開閉弁510の開閉を制御することにより、任意のタイミングで基板Wの処理面にリンス水(例えば、純水)を供給することができる。
【0040】
また、ノズル512は、配管514を介して供給源520に接続される。供給源520は、シランカップリング剤又は樹脂保護膜剤を供給できるように構成されている。配管514には、配管514を開閉することができる開閉弁516が設けられる。制御装置900Aは、開閉弁516の開閉を制御することにより、任意のタイミングで基板Wの処理面にシランカップリング剤又は樹脂保護膜剤を供給することができる。なお、基板Wに供給されるシランカップリング剤は、特に限定されないが、チオール基を有するカップリング剤であることが好ましい。また、樹脂保護膜剤は、特に限定されないが、ポリビニルアルコールやポリエチレングリコールなど水溶性樹脂を基材とするものが好ましい。
【0041】
金属領域の表面に酸化膜の形成を最小限にするためには、乾燥後に空気中の酸素に触れる時間を最短にすることが好ましい。通常、リンス後のスピン回転による乾燥では中央部から乾燥が始まるため、基板Wの外周部まで乾燥した時には、中央部と外周部で乾燥後の時間に差が生じてしまう。このために、開閉弁510の開閉を制御することでリンス水を停止し、スピン回転で乾燥した直後の中央部に、開閉弁516の開閉を制御して、シランカップリング剤又は樹脂保護膜剤を供給することで、基板Wの乾燥直後にシランカップリング剤又は樹脂保護膜剤を基板W全域に塗布が可能となる。
【0042】
塗布装置500では、基板Wの中央部の乾燥後且つ基板Wの外周部の乾燥前に、ノズル512にシランカップリング剤又は樹脂保護膜剤を基板Wに供給させるように、制御装置900Aが開閉弁516を制御するように構成されている。これにより、基板Wが乾燥した直後にシランカップリング剤又は樹脂保護膜剤が基板Wに塗布される。その結果、基板処理装置100Aは、基板Wの金属領域の表面の酸化膜の形成を最小限に抑えられる。
【0043】
<バフ洗浄装置420B>
上述したように基板処理装置100Aは、塗布装置500を備えていが、基板処理装置100Aが塗布装置500を備える代わりに、バフ研磨装置が、塗布装置500の機能を
兼ねてもよい。すなわち、バフ研磨装置が、基板Wにシランカップリング剤又は樹脂保護膜剤を供給する機能を有していてもよい。このようなバフ研磨装置は、塗布装置とも呼ばれる。図5は、本開示の別の実施形態に係るバフ洗浄装置420Bの概略構成を示す図である。バフ洗浄装置420Bは、基板Wにシランカップリング剤又は樹脂保護膜剤を供給する機能を有している。図5を参照すると、バフ洗浄装置420Bは、ノズル496と、配管497と、開閉弁498と、を備える。
【0044】
ノズル496は、配管497を介して供給源499に接続される。供給源499は、シランカップリング剤又は樹脂保護膜剤を供給できるように構成されている。配管497には、配管497を開閉することができる開閉弁498が設けられる。制御装置900Aは、開閉弁498の開閉を制御することにより、任意のタイミングで基板Wの処理面にシランカップリング剤又は樹脂保護膜剤を供給することができる。なお、バフ洗浄装置420Bは、バフ洗浄装置420Aが備える構成をさらに備えていてもよい。
【0045】
上述したように、基板Wにシランカップリング剤又は樹脂保護膜剤を塗布するための装置として、塗布装置500及びバフ洗浄装置420Bを説明したが、基板処理装置100Aは、基板Wにシランカップリング剤又は樹脂保護膜剤を塗布できる任意の塗布装置を、塗布装置500及びバフ洗浄装置420Bに代えて備えていてもよい。例えば、基板処理装置100Aは、シランカップリング剤又は樹脂保護膜剤を収容した槽を有する塗布装置を備えてもよい。このような塗布装置の場合、基板Wは、シランカップリング剤又は樹脂保護膜剤を収容した槽に入れられて、基板Wにシランカップリング剤又は樹脂保護膜剤が塗布される。
【0046】
<ベイク装置600>
次いで、図6を参照する。図6は、ベイク装置600の概略構成を示すブロック図である。図6に示されるように、ベイク装置600は、ヒーター室602と、ロードアンロード冷却室604と、ヒーター606と、ヒーター電源608と、シャッター610と、を備える。
【0047】
ヒーター室602及びロードアンロード冷却室604は、複数の基板Wを収容できるように構成されている。ヒーター606は、ヒーター電源608から電力が供給されると、ヒーター室602の内部を加熱するように構成されている。シャッター610は、ヒーター室602とロードアンロード冷却室604との間の通路に設けられている。ヒーター室602は、シャッター610が閉じられると断熱されるように構成されている。
【0048】
<制御装置900A>
制御装置900Aは、第2研磨装置302Bが基板Wの研磨を終了した後に、塗布装置500及びベイク装置600が後述する方法により基板Wに保護層を形成するように、第2研磨装置302B、塗布装置500及びベイク装置600を制御するように構成されている。
【0049】
<基板処理装置100Aの動作>
次に、図1を参照しつつ、基板処理装置100Aの動作の一例について説明する。基板処理装置100Aが動作を開始すると、まず、搬送ロボット222が、フロントロード部220に載置されたウェハカセットから基板Wを取り出す。次いで、搬送ロボット222が保持している基板Wが、トランスポータ102に受け渡される。次いで、トランスポータ102は、第4搬送位置TP4に基板Wを搬送する。
【0050】
次いで、第1研磨装置302Aのトップリング331は、第4搬送位置TP4に載置されている基板Wを保持し、基板Wを研磨パッド310と対向する位置まで搬送する。次い
で、トップリング331が、基板Wを研磨パッド310の研磨面に押圧し、基板Wが研磨される。なお、研磨時には、研磨液供給ノズル332から研磨パッド310の研磨面に研磨液が供給される。次いで、トップリング331が、上方向へ移動する。これにより、研磨パッド310が基板Wから離れて、第1研磨装置302Aでの研磨が終了する。第1研磨装置302Aでの研磨が終了すると、トップリング331は、第4搬送位置TP4に基板Wを戻す。次いで、トランスポータ102は、第4搬送位置TP4に載置されている基板Wを第5搬送位置TP5に移動させる。
【0051】
次いで、第2研磨装置302Bのトップリング331は、第5搬送位置TP5に載置されている基板Wを保持し、基板Wを研磨パッド310と対向する位置まで搬送する。次いで、トップリング331が、基板Wを研磨パッド310の研磨面に押圧し、基板Wが研磨される。次いで、トップリング331が、上方向へ移動する。これにより、研磨パッド310が基板Wから離れて、第2研磨装置302Bでの研磨が終了する。第2研磨装置302Bでの研磨が終了すると、トップリング331は、第5搬送位置TP5に基板Wを戻す。このように、基板処理装置100Aでは、基板Wが2段階に分けて研磨される。このため、基板Wは、1段階しか研磨されないものよりも、研磨面(処理面)が平坦になる。
【0052】
次いで、基板Wは、バフ洗浄装置420Aに搬送されて、バフテーブル422に保持される(図3参照)。次いで、薬液ノズル480が洗浄薬液を基板Wに供給する。次いで、バフパッド424が基板Wに接触し、バフヘッド426及びバフテーブル422が回転する。このとき、バフヘッド426は基板Wの面内において水平運動を行う。これにより、基板Wがバフ洗浄される。次いで、純水ノズル472が基板Wに純水を供給している間に、バフパッド424が基板Wに接触し、バフヘッド426及びバフテーブル422が回転する。これにより、洗浄薬液が基板Wから洗い流される。次いで、バフヘッド426が、上方向へ移動する。これにより、バフヘッド426が基板Wから離れて、バフ洗浄装置420Aでのバフ洗浄が終了する。なお、必要に応じて、バフ洗浄の後に、基板Wはさらに純水で洗浄されてもよい。
【0053】
次いで、基板Wは、塗布装置500に搬送され、テーブル502に保持される(図4参照)。次いで、テーブル502が回転している状態で、リンス水ノズル506がリンス水を基板Wに供給する。このとき、リンス水として、脱気された純水や、COバブルが付加された純水が使用される。これにより、リンス水として普通の水が用いられるときよりも、基板Wの金属領域が酸化することが抑止される。次いで、リンス水ノズル506からのリンス水の供給が停止し、テーブル502がさらに回転して、基板Wがスピン乾燥される。次いで、テーブル502が回転している状態で、ノズル512がシランカップリング剤又は樹脂保護膜剤を基板Wに供給する。これにより、シランカップリング剤又は樹脂保護膜剤が基板Wに塗布される。その後、シランカップリング剤又は樹脂保護膜剤の供給が停止し、テーブル502の回転が停止する。
【0054】
次いで、基板Wは、ベイク装置600に搬送され、ロードアンロード冷却室604に収容される(図6参照)。次いで、シャッター610が開き、基板Wが、ロードアンロード冷却室604からヒーター室602に移される。その後、基板Wは、一例として、100±30度で1分から10分の間、加熱される。これにより、シランカップリング剤又は樹脂保護膜剤と基板Wの表面とが化学反応により結合され、基板Wの表面にシランカップリング剤又は樹脂保護膜剤から形成された保護層が形成される。次いで、基板Wは、ロードアンロード冷却室604に戻されて冷却される。その後、冷却された基板Wは乾燥装置404に搬送される。なお、必要に応じて、基板Wが乾燥装置404に搬送される前に、基板Wはさらに洗浄されてもよい。
【0055】
乾燥装置404に搬送された基板Wは、乾燥装置404により乾燥される。そして、乾
燥した基板Wは、フロントロード部220に載置されたウェハカセットに戻される。以上が、基板処理装置100Aの動作の一例である。
【0056】
上述したように、基板処理装置100Aは、研磨された半導体の基板Wの表面に保護層を形成できる。基板Wの金属領域は、保護層によって、大気中の酸素から保護されて酸化しない。すなわち、基板処理装置100Aは、研磨工程後の基板Wの金属領域の表面を酸化から保護できる。
【0057】
また、基板Wの金属領域と絶縁領域の表面をCMP工程(研磨工程)から基板接合に至る工程で、保護層によってパーティクルなどから保護できる。
【0058】
また、シランカップリング剤や樹脂保護膜剤が使用されて形成される層は接合機能を有していることが知られている。このため、保護層が形成された基板W同士が重ね合わされることによって、2つの基板Wは接合される。すなわち、基板処理装置100Aにより保護層が形成された基板Wは、従来の技術において基板Wを接合するために必要であった表面活性化処理及び親水化処理が施されることなく、他の基板Wと接合できる。
【0059】
なお、接合された基板Wは、約400℃に加熱されるアニール処理が施されてもよい。アニール処理が施されることにより、2つの基板Wの金属領域の間の空間が塞がり、2つの基板Wの金属領域同士が良好に結合される。
【0060】
さらに、基板処理装置100Aでは、制御装置900Aは、第2研磨装置302Bの研磨の終了時から、保護層の形成の開始時までの時間が10分以内となるように、第2研磨装置302B、塗布装置500及びベイク装置600を制御するように構成されている。なお、第2研磨装置302Bの研磨の終了時は、研磨パッド310が基板Wから離れた時である。また、保護層の形成の開始時は、基板Wにシランカップリング剤又は樹脂保護膜剤が接触した時である。
【0061】
基板処理装置100Aはこのような制御装置900Aを備えるため、研磨の終了時から10分以内に保護層の形成が開始する。これにより、基板Wの金属領域が酸化する前に保護層が形成される。つまり、基板処理装置100Aは、研磨後の基板Wの金属領域が酸化する前に保護層を形成できる。
【0062】
<基板処理装置100B>
図7は、本開示の別の実施形態に係る基板処理装置100Bの全体構成を示す平面図である。図7を参照すると、基板処理装置100Bは、ロード/アンロードモジュール200と、研磨モジュール300と、洗浄モジュール400と、保護層形成装置700と、を備える。さらに、基板処理装置100Aは、ロード/アンロードモジュール200、研磨モジュール300、洗浄モジュール400及び保護層形成装置700の動作を制御するための制御装置900Bを備える。
【0063】
<保護層形成装置700>
図8は、保護層形成装置700を模式的に示すブロック図である。図8を参照すると、保護層形成装置700は、ロードロックチャンバ702と、真空チャンバ704と、真空ポンプ706と、シランカップリング剤供給装置720と、プラズマ発生装置708と、プラズマ電源710と、シャッター712とを備える。
【0064】
ロードロックチャンバ702及び真空チャンバ704は、基板Wを収容できるように構成されている。ロードロックチャンバ702及び真空チャンバ704は、互いにシャッター712を介して接続されている。真空ポンプ706は、ロードロックチャンバ702の
内部及び真空チャンバ704の内部の気体を真空引きできるように構成されている。
【0065】
シランカップリング剤供給装置720は、材料供給源722と真空チャンバ704とを接続する配管724と、配管724を流れる流体の流量を調整するためのマスフローコントローラー726とを備える。材料供給源722は、気体状態のシランカップリング剤を、配管724を介して真空チャンバ704に供給するように構成されている。シランカップリング剤供給装置720は、このような構成を有するため、真空チャンバ704の内部に気体状態のシランカップリング剤を所定の流量で供給できる。また、プラズマ発生装置708は、プラズマ電源710から供給された電力を使用して、既知の方法で真空チャンバ704の内部でプラズマを発生させることができるように構成されている。
【0066】
<基板処理装置100Bの動作>
次に、図7を参照しつつ、基板処理装置100Bの動作の一例について説明する。基板処理装置100Bが動作を開始すると、まず、搬送ロボット222が、フロントロード部220に載置されたウェハカセットから基板Wを取り出す。次いで、搬送ロボット222が保持している基板Wが、トランスポータ102に受け渡される。次いで、トランスポータ102は、第4搬送位置TP4に基板Wを搬送する。
【0067】
次いで、第1研磨装置302Aのトップリング331は、第4搬送位置TP4に載置されている基板Wを保持し、基板Wを研磨パッド310と対向する位置まで搬送する。次いで、トップリング331が、基板Wを研磨パッド310の研磨面に押圧し、基板Wが研磨される。なお、研磨時には、研磨液供給ノズル332から研磨パッド310の研磨面に研磨液が供給される。次いで、トップリング331が、上方向へ移動する。これにより、研磨パッド310が基板Wから離れて、第1研磨装置302Aでの研磨が終了する。第1研磨装置302Aでの研磨が終了すると、トップリング331は、第4搬送位置TP4に基板Wを戻す。次いで、トランスポータ102は、第4搬送位置TP4に載置されている基板Wを第5搬送位置TP5に移動させる。
【0068】
次いで、第2研磨装置302Bのトップリング331は、第5搬送位置TP5に載置されている基板Wを保持し、基板Wを研磨パッド310と対向する位置まで搬送する。次いで、トップリング331が、基板Wを研磨パッド310の研磨面に押圧し、基板Wが研磨される。次いで、トップリング331が、上方向へ移動する。これにより、研磨パッド310が基板Wから離れて、第2研磨装置302Bでの研磨が終了する。第2研磨装置302Bでの研磨が終了すると、トップリング331は、第5搬送位置TP5に基板Wを戻す。
【0069】
次いで、基板Wは、バフ洗浄装置420Aに搬送されて、バフ洗浄される。その後、必要に応じて、洗浄モジュール400において、さらに基板Wは洗浄される。次いで、洗浄された基板Wは、乾燥装置404に搬送される。そして、基板Wは、乾燥装置404により乾燥される。
【0070】
次いで、乾燥した基板Wは、保護層形成装置700に搬送される。保護層形成装置700に搬送された基板Wは、まず、ロードロックチャンバ702に収容される(図8参照)。次いで、真空ポンプ706が、ロードロックチャンバ702の内部の気体を吸引し、ロードロックチャンバ702への真空引きが開始される。次いで、シャッター712が開き、基板Wが、ロードロックチャンバ702から真空チャンバ704へ移動する。なお、真空チャンバ704は、予め真空引きされている。次いで、真空チャンバ704の内部にプラズマ発生用のガスが供給され、プラズマ発生装置708が、プラズマ発生用のガスを使用してプラズマを発生させる。そして、このプラズマによって、基板Wの表面がプラズマ処理される。なお、プラズマ発生用のガスは、一例として、アルゴン、窒素、空気、水蒸
気、二酸化炭素の何れか、又は、これらのうち2種以上を混合した気体である。
【0071】
基板Wへのプラズマ処理が終了すると、シランカップリング剤供給装置720が、真空チャンバ704の内部に気体状態のシランカップリング剤を供給する。これにより、基板Wがシランカップリング剤に暴露されて、基板Wの表面に保護層が形成される。
【0072】
その後、保護層が形成された基板Wは、フロントロード部220に載置されたウェハカセットに戻される。以上が、基板処理装置100Bの動作の一例である。
【0073】
このように基板処理装置100Bも、基板処理装置100Aと同様に、研磨された半導体の基板Wの表面に保護層を形成できる。すなわち、基板処理装置100Bは、研磨工程後の基板Wの金属領域の表面を酸化から保護できる。
【0074】
さらに、基板処理装置100Bでは、制御装置900Bは、第2研磨装置302Bの研磨の終了時から、保護層の形成の開始時までの時間が、10分以内となるように、第2研磨装置302B及び保護層形成装置700を制御するように構成されている。なお、第2研磨装置302Bの研磨の終了時は、研磨パッド310が基板Wから離れた時である。また、保護層の形成の開始時は保護層の形成の開始時は、基板Wが収容されたロードロックチャンバ702への真空引きが開始した時である。
【0075】
制御装置900Bがこのように構成されているため、基板処理装置100Bは、基板処理装置100Aと同様に研磨後の基板Wの金属領域が酸化する前に保護層を形成できる。
【0076】
<基板処理装置100C>
図9は、本開示の別の実施形態に係る基板処理装置100Cの全体構成を示す平面図である。図9を参照すると、基板処理装置100Cは、ロード/アンロードモジュール200と、研磨モジュール300と、洗浄モジュール400と、保護層形成装置700と、めっき装置104と、を備える。さらに、基板処理装置100Cは、ロード/アンロードモジュール200、研磨モジュール300、洗浄モジュール400、保護層形成装置700及びめっき装置104の動作を制御するための制御装置900Cを備える。めっき装置104は、既知の方法で基板Wの表面にめっき処理を施せるように構成されている。
【0077】
基板処理装置100Cは、めっき装置104を備える点が基板処理装置100Bと異なる。基板処理装置100Cは、めっき装置104を使用して、基板Wの表面に金属領域を形成できる。
【0078】
<基板処理装置100D>
図10は、本開示の別の実施形態に係る基板処理装置100Dの全体構成を示す平面図である。図10を参照すると、基板処理装置100Dは、ロード/アンロードモジュール200と、研磨モジュール300と、洗浄モジュール400と、保護層形成装置700と、接合装置800と、を備える。さらに、基板処理装置100Dは、ロード/アンロードモジュール200、研磨モジュール300、洗浄モジュール400、保護層形成装置700及び接合装置800の動作を制御するための制御装置900Dを備える。基板処理装置100Dは、接合装置800を備える点が基板処理装置100Bと異なる。
【0079】
<接合装置800>
図11は、接合装置800を模式的に示す斜視図である。図11を参照すると、接合装置800は、上部チャック802と、下部チャック804と、2つのカメラ806A,806Bと、2つの光源808A,808Bと、移動装置810A,810Bと、を備える。
上部チャック802は、第1基板W1を把持できるように構成されている。他方、下部チャック804は、第2基板W2を把持できるように構成されている。2つのカメラ806A,806Bは、それぞれ、上部チャック802に形成された孔812A,812Bから、第1基板W1及び第2基板W2を撮影できるように構成されている。2つの光源808A,808Bは、それぞれ撮影に必要な光をカメラ806A,806Bに提供する。また、移動装置810Aは、上部チャック802を移動させることができるように構成されている。他方、移動装置810Bは、下部チャック804を移動させることができるように構成されている。
【0080】
次に、接合装置800の動作について説明する。まず、上部チャック802が第1基板W1を把持し、下部チャック804が第2基板W2を把持する。次いで、移動装置810A,810Bが、2つのカメラ806A,806Bが第1基板W1及び第2基板W2を撮影できるようになる位置まで、上部チャック802及び下部チャック804を水平に移動させる。次いで、2つのカメラ806A,806Bが第1基板W1及び第2基板W2を撮影する。このとき、第1基板W1及び第2基板W2につけられているアライメントマークから、第1基板W1及び第2基板W2の位置関係が認識できる。次いで、移動装置810A,810Bが、第1基板W1のアライメントマークと第2基板W2のアライメントマークが一致するように、上部チャック802及び下部チャック804を水平に移動させる。次いで、上部チャック802が、下部チャック804に近づく方向へ移動する。これにより、第1基板W1が、第2基板W2に接触して接合する。このように、接合装置800は、第1基板W1及び第2基板W2を接合できる。別言すると、基板処理装置100Dは、2つの基板Wを接合できる。
【0081】
[付記]
上記の実施の形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0082】
(付記1)
付記1に係る基板処理装置は、半導体の基板を研磨するための研磨装置と、シランカップリング剤又は樹脂保護膜剤を使用して前記基板の表面に保護層を形成するための保護層形成装置と、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記研磨装置が前記基板の研磨を終了した後に、前記保護層形成装置が前記基板に前記保護層を形成するように、前記研磨装置及び前記保護層形成装置を制御する。
【0083】
付記1の基板処理装置は、研磨された半導体の基板の表面に保護層を形成する。これにより、基板の金属領域は、大気中の酸素から保護されて酸化しない。すなわち、この基板処理装置は、研磨工程後の基板の金属領域の表面を酸化から保護できる。さらに、基板の表面は保護層によって保護され、切り屑やパーティクルの基板の表面への付着が抑止される。また、シランカップリング剤又は樹脂保護膜剤が使用されて形成される保護層は接合機能を有している。このため、保護層が形成された基板は、従来基板を接合するために必要であった表面活性化処理及び親水化処理が施されることなく、他の基板と接合できる。
【0084】
(付記2)
付記2に係る基板処理装置によれば、付記1に記載の基板処理装置において、前記保護層形成装置は、前記シランカップリング剤を使用して前記保護層を形成するように構成されている。
【0085】
(付記3)
付記3に係る基板処理装置によれば、付記1に記載の基板処理装置において、前記保護層形成装置は、前記樹脂保護膜剤を使用して前記保護層を形成するように構成されている
【0086】
(付記4)
付記4に係る基板処理装置によれば、付記1に記載の基板処理装置において、前記制御装置は、前記研磨装置の研磨の終了時から、前記保護層形成装置の前記保護層の形成の開始時までの時間が、10分以内となるように、前記研磨装置及び前記保護層形成装置を制御する。
【0087】
付記4に係る基板処理装置では、研磨の終了時から10分以内に保護層の形成が開始する。これにより、基板の金属領域が酸化する前に保護層が形成される。つまり、この基板処理装置は、研磨後の基板の金属領域が酸化する前に保護層を形成できる。
【0088】
(付記5)
付記5に係る基板処理装置によれば、付記4に記載の基板処理装置において、前記研磨装置は、研磨パッドを備え、前記研磨装置の研磨の終了時は、前記研磨パッドが前記基板から離れた時である。
【0089】
(付記6)
付記6に係る基板処理装置によれば、付記1又は4に記載の基板処理装置において、前記保護層形成装置は、前記基板に前記シランカップリング剤又は前記樹脂保護膜剤を塗布するための塗布装置と、前記基板を加熱するためのベイク装置と、を有する。
【0090】
付記6に係る基板処理装置は、基板にシランカップリング剤又は前記樹脂保護膜剤を塗布し、その後この基板を加熱することで、保護層を形成できる。すなわち、この基板処理装置は、プラズマ処理を用いらない簡便なプロセス工程で保護層を形成できる。
【0091】
(付記7)
付記7に係る基板処理装置によれば、付記6に記載の基板処理装置において、前記塗布装置は、前記基板を回転させて乾燥させるためのテーブルと、前記塗布装置内に設置されている前記基板に前記シランカップリング剤又は前記樹脂保護膜剤を供給するためのノズルと、前記ノズルから前記基板に供給される前記シランカップリング剤又は前記樹脂保護膜剤の流量を調整するための開閉弁と、を有し、前記制御装置は、前記基板の中央部の乾燥後且つ前記基板の外周部の乾燥前に、前記ノズルに前記シランカップリング剤又は前記樹脂保護膜剤を前記基板に供給させるように、前記開閉弁を制御する。
【0092】
付記7に係る基板処理装置は、基板の乾燥後に基板の表面が酸素に触れる時間をより短くすることができ、基板の金属領域の表面の酸化膜の形成を抑えられる。
【0093】
(付記8)
付記8に係る基板処理装置よれば、付記6に記載の基板処理装置において、前記塗布装置は、前記基板が設置されるためのバフテーブルと、前記バフテーブルに設置されている前記基板と接触し、前記基板をバフ洗浄するためのバフパッドと、前記バフテーブルに設置されている前記基板に前記シランカップリング剤又は前記樹脂保護膜剤を供給するためのノズルと、を有する。
【0094】
付記8に係る基板処理装置は、塗布装置が、バフ洗浄を行うことができる。すなわち、この基板処理装置では、塗布装置が、バフ洗浄装置を兼ねる。
【0095】
(付記9)
付記9に係る基板処理装置によれば、付記4を引用する付記6に記載の基板処理装置に
おいて、前記保護層の形成の開始時は、前記基板に前記シランカップリング剤又は前記樹脂保護膜剤が接触した時である。
【0096】
(付記10)
付記10に係る基板処理装置によれば、付記1又は4に記載の基板処理装置において、前記保護層形成装置は、前記基板を収容するためのロードロックチャンバと、前記ロードロックチャンバとシャッターを介して接続され、前記基板を収容するための真空チャンバと、前記ロードロックチャンバの内部及び前記真空チャンバの内部の気体を真空引きするための真空ポンプと、前記真空チャンバの内部に前記シランカップリング剤を供給するためのシランカップリング剤供給装置と、前記真空チャンバの内部でプラズマを発生させるためのプラズマ発生装置と、を有する。
【0097】
付記10に係る基板処理装置は、基板が入れられた真空チャンバの内部でプラズマを発生させている状態で、真空チャンバの内部にシランカップリング剤を供給できる。これにより、基板の表面に保護層が形成される。つまり、この基板処理装置は、プラズマ処理を用いて保護層を形成できる。
【0098】
(付記11)
付記11に係る基板処理装置によれば、付記4を引用する付記10に記載の基板処理装置において、前記保護層の形成の開始時は、前記基板が収容された前記ロードロックチャンバへの真空引きが開始した時である。
【0099】
(付記12)
付記12に係る基板処理装置は、付記1又は2に記載の基板処理装置において、前記基板に金属領域を形成するためのめっき装置をさらに備える。
【0100】
付記12に係る基板処理装置は、基板に金属領域を形成できる。
【0101】
(付記13)
付記13に係る基板処理装置は、付記1又は2に記載の基板処理装置において、2つの前記基板を接合させるための接合装置をさらに備え、前記接合装置は、前記基板のうちの1つである第1基板を把持するための上部チャックと、前記基板のうちの別の1つである第2基板を把持するための下部チャックと、前記上部チャックが把持する前記第1基板及び前記前記チャックが把持する前記第2基板を撮影するためのカメラと、前記上部チャック及び前記下部チャックのうち少なくとも一方を移動させるための移動装置と、を備える。
【0102】
付記13に係る基板処理装置は、2つの基板を接合できる。
【0103】
(付記14)
付記14に係る保護層の形成方法は、金属領域を有する半導体の基板を研磨する第1工程と、前記第1工程の後に、シランカップリング剤又は樹脂保護膜剤を使用して前記基板の表面に保護層を形成する第2工程と、を有する。
【0104】
請求項14の基板処理装置は、請求項1の基板処理装置と同様の効果を奏する。すなわち、この保護層の形成方法は、研磨工程後の基板の金属領域の表面を酸化から保護できる。さらに、基板の表面は保護層によって保護され、切り屑やパーティクルの基板の表面への付着が抑止される。また、この方法により保護層が形成された基板は、従来基板を接合するために必要であった表面活性化処理及び親水化処理が施されることなく、他の基板と接合できる。
【0105】
以上、本発明の実施形態とそれに係る各変形例について説明したが、上述した各例は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではないことは言うまでもない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更、改良することができ、本発明にその等価物は含まれる。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲及び明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、又は省略が可能である。
【符号の説明】
【0106】
100A,100B,100C,100D:基板処理装置
104:めっき装置
302A:第1研磨装置(研磨装置)
302B:第2研磨装置(研磨装置)
310:研磨パッド
420A,420B:バフ洗浄装置
422:バフテーブル
424:バフパッド
496:ノズル
500:塗布装置
600:ベイク装置
700:保護層形成装置
702:ロードロックチャンバ
704:真空チャンバ
706:真空ポンプ
708:プラズマ発生装置
720:シランカップリング剤供給装置
800:接合装置
802:上部チャック
804:下部チャック
806A,806B:カメラ
810A,810B:移動装置
900A,900B,900C,900D:制御装置
W:基板
W1:第1基板
W2:第2基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11