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特開2024-40152着色組成物、膜、カラーフィルタおよび固体撮像素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040152
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】着色組成物、膜、カラーフィルタおよび固体撮像素子
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20240315BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20240315BHJP
   C09B 67/20 20060101ALI20240315BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20240315BHJP
   C07D 403/12 20060101ALN20240315BHJP
   C07D 235/26 20060101ALN20240315BHJP
【FI】
G02B5/20 101
G03F7/004 505
C09B67/20 L
C09B67/20 G
H01L27/146 D
C07D403/12
C07D235/26 B
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023218784
(22)【出願日】2023-12-26
(62)【分割の表示】P 2021529970の分割
【原出願日】2020-06-23
(31)【優先権主張番号】P 2019124643
(32)【優先日】2019-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】澤村 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】金子 祐士
(57)【要約】
【課題】保存安定性に優れ、かつ、支持体との密着性に優れた膜を形成できる着色組成物を提供する。
【解決手段】顔料と、トリアジン環を有する化合物と、重合性化合物と、光重合開始剤と、を含む固体撮像素子用の着色組成物であって、着色組成物の全固形分中に顔料を50質量%以上含有し、トリアジン環を有する化合物は、酸基および塩基性基から選ばれる少なくとも1種の基を1つ以上含み、かつ、波長400~700nmの範囲のモル吸光係数の最大値が3000L・mol-1・cm-1以下である着色組成物。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料と、トリアジン環を有する化合物と、重合性化合物と、光重合開始剤と、を含む固体撮像素子用の着色組成物であって、
前記着色組成物の全固形分中に前記顔料を50質量%以上含有し、
前記トリアジン環を有する化合物は、式(1)で表される化合物であり、かつ、波長400~700nmの範囲のモル吸光係数の最大値が3000L・mol-1・cm-1以下である、
着色組成物。
-B-C ・・・(1)
(式(1)中、Aは式(A1)で表される基を表し、Bは、式(L1)で表される基を表し、Cは、式(C3)で表される基を表す。)
【化1】
(式(A1)中、波線は結合手を表し、LaおよびLaは、それぞれ独立して-N(RLa1)-を表し、RLa1は水素原子を表し、
RaおよびRaは、それぞれ独立して炭素数6~12のアリール基または複素環基を表し、前記複素環基は、単環または縮合数が2~4の縮合環の複素環基である。)
-L1A-L1B-L1C- ・・・(L1)
(式(L1)中、L1AおよびL1Cはそれぞれ独立して、-N(RLB1)-を表し、RLB1は水素原子を表し、L1Bは2価の連結基を表し、前記2価の連結基は、アリーレン基、または、アリーレン基同士を-NHCO-または-CONH-を介して結合した基である。)
【化2】
(式(C3)中、波線は連結手を表し、
Lc21およびLc22はそれぞれ独立して炭素数1~5のアルキレン基を表し、
Rc21およびRc22は、水素原子を表し、
Rc23~Rc26はそれぞれ独立して炭素数1~3のアルキル基を表す。)
【請求項2】
前記顔料が有機顔料である、請求項1に記載の着色組成物。
【請求項3】
前記顔料が有彩色顔料である、請求項1または2に記載の着色組成物。
【請求項4】
前記顔料はフタロシアニン顔料を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項5】
前記顔料は緑色顔料を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項6】
前記光重合開始剤はオキシム化合物を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項7】
アルカリ可溶性樹脂を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項8】
芳香族カルボキシル基を有する樹脂を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の着色組成物から得られる膜。
【請求項10】
請求項9に記載の膜を有するカラーフィルタ。
【請求項11】
請求項9に記載の膜を有する固体撮像素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料を含む着色組成物に関する。また、本発明は、着色組成物を用いた膜、カラーフィルタおよび固体撮像素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラ、カメラ付き携帯電話等の普及から、電荷結合素子(CCD)イメージセンサなどの固体撮像素子の需要が大きく伸びている。ディスプレイや光学素子のキーデバイスとしてカラーフィルタが使用されている。
【0003】
カラーフィルタは、着色剤と重合性化合物とを含む着色組成物を用いて製造されている。また、一般的に着色剤として顔料を用いた場合、分散剤などを用いて着色組成物中に顔料を分散させている。
【0004】
特許文献1には、所定のトリアジン化合物と顔料とを有機溶剤中にて分散させて製造した顔料分散組成物と、酸基を有するバインダーポリマーと、エチレン性不飽和二重結合を二個以上有する多官能モノマーと、光重合開始剤とを含有する着色組成物に関する発明が記載されている。
【0005】
特許文献2には、顔料担体と、イソインドリン顔料と、アゾ顔料と、フタロシアニン顔料と、塩基性基を有するトリアジン誘導体などを含むカラーフィルタ用着色組成物に関する発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003-081972号公報
【特許文献2】特開2005-173287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、固体撮像素子においては、小型化や薄膜化の要求が強い。このため、固体撮像素子に用いられるカラーフィルタなどの顔料を含む膜についても、近年では、より薄膜化が望まれている。
【0008】
所望の分光性能を維持しつつ薄膜化を達成するためには、膜形成に用いる着色組成物中の顔料濃度を高めることが必要である。
【0009】
しかしながら、着色組成物中の顔料濃度を高めると相対的に顔料以外の成分の含有量が少なくなるので、着色組成物での顔料の分散性が低下しやすい傾向がある。このため、着色組成物の粘度が経時的に増加しやすく、着色組成物の保存安定性について改善の余地があった。また、着色組成物中の顔料濃度を高めると着色組成物の硬化性も低下しやすく、着色組成物を用いて得られる膜の支持体との密着性についてもさらなる改善の余地があった。
【0010】
よって、本発明の目的は、保存安定性に優れ、かつ、支持体との密着性に優れた膜を形成できる着色組成物を提供することにある。また、着色組成物を用いた膜、カラーフィルタおよび固体撮像素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者の検討によれば、以下の構成とすることにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。よって、本発明は以下を提供する。
<1> 顔料と、トリアジン環を有する化合物と、重合性化合物と、光重合開始剤と、を含む固体撮像素子用の着色組成物であって、
上記着色組成物の全固形分中に上記顔料を50質量%以上含有し、
上記トリアジン環を有する化合物は、酸基および塩基性基から選ばれる少なくとも1種の基を1つ以上含み、かつ、波長400~700nmの範囲のモル吸光係数の最大値が3000L・mol-1・cm-1以下である、
着色組成物。
<2> 上記トリアジン環を有する化合物は、一分子中にトリアジン環を2以上含む、<1>に記載の着色組成物。
<3> 上記トリアジン環を有する化合物は、下記式(C1)で表される基を含む、<1>また は<2>に記載の着色組成物;
【化1】
式中、波線は連結手を表し、LcおよびLcはそれぞれ独立して単結合または連結基を表し、RcおよびRcはそれぞれ独立して置換基を表し、RcおよびRcの少なくとも一方は酸基または塩基性基を表す。
<4> 上記式(C1)で表される基は、下記式(C2)で表される基である、<3>に記載の着色組成物;
【化2】
式中、波線は連結手を表し、Lc11およびLc12はそれぞれ独立して単結合または連結基を表し、Rc11およびRc12はそれぞれ独立して水素原子または置換基を表し、Rc13およびRc14はそれぞれ独立して置換基を表し、Rc13およびRc14の少なくとも一方は酸基または塩基性基を表す。
<5> 上記式(C1)で表される基は、下記式(C3)で表される基である、<3>に記載の着色組成物;
【化3】
式中、波線は連結手を表し、Lc21およびLc22はそれぞれ独立して単結合または連結基を表し、Rc21およびRc22はそれぞれ独立して水素原子または置換基を表し、Rc23~Rc26はそれぞれ独立して水素原子または置換基を表し、Rc23とRc24は2価の基を介して結合して環を形成していてもよく、Rc25とRc26は2価の基を介して結合して環を形成していてもよい。
<6> 上記顔料が有機顔料である、<1>~<5>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<7> 上記顔料が有彩色顔料である、<1>~<6>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<8> 上記顔料はフタロシアニン顔料を含む、<1>~<7>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<9> 上記顔料は緑色顔料を含む、<1>~<8>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<10> 上記光重合開始剤はオキシム化合物を含む、<1>~<9>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<11> アルカリ可溶性樹脂を含む、<1>~<10>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<12> 芳香族カルボキシル基を有する樹脂を含む、<1>~<11>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<13> <1>~<12>のいずれか1つに記載の着色組成物から得られる膜。
<14> <13>に記載の膜を有するカラーフィルタ。
<15> <13>に記載の膜を有する固体撮像素子。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、保存安定性に優れ、かつ、支持体との密着性に優れた膜を形成できる着色組成物を提供することができる。また、本発明は、着色組成物を用いた膜、カラーフィルタおよび固体撮像素子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。
本明細書において、「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さない基(原子団)と共に置換基を有する基(原子団)をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
本明細書において「露光」とは、特に断らない限り、光を用いた露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線を用いた描画も露光に含める。また、露光に用いられる光としては、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等の活性光線または放射線が挙げられる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルおよびメタクリロイルの双方、または、いずれかを表す。
本明細書において、構造式中のMeはメチル基を表し、Etはエチル基を表し、Buはブチル基を表し、Phはフェニル基を表す。
本明細書において、重量平均分子量および数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法により測定したポリスチレン換算値である。
本明細書において、近赤外線とは、波長700~2500nmの光をいう。
本明細書において、全固形分とは、組成物の全成分から溶剤を除いた成分の総質量をいう。
本明細書において、顔料とは、溶剤に対して溶解しにくい化合物を意味する。例えば、顔料は、23℃の水100gおよび23℃のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100gに対する溶解度がいずれも0.1g以下であることが好ましく、0.01g以下であることがより好ましい。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
【0014】
<着色組成物>
本発明の着色組成物は、
顔料と、トリアジン環を有する化合物と、重合性化合物と、光重合開始剤と、を含む固体撮像素子用の着色組成物であって、
着色組成物の全固形分中に顔料を50質量%以上含有し、
トリアジン環を有する化合物は、酸基および塩基性基から選ばれる少なくとも1種の基を1つ以上含み、かつ、波長400~700nmの範囲のモル吸光係数の最大値が3000L・mol-1・cm-1以下である、ことを特徴とする。
【0015】
<着色組成物>
本発明の着色組成物は、
顔料と、トリアジン環を有する化合物と、重合性化合物と、光重合開始剤と、を含む固体撮像素子用の着色組成物であって、
着色組成物の全固形分中に顔料を50質量%以上含有し、
トリアジン環を有する化合物は、酸基および塩基性基から選ばれる少なくとも1種の基を1つ以上含み、かつ、波長400~700nmの範囲のモル吸光係数の最大値が3000L・mol-1・cm-1以下である、ことを特徴とする。以下、トリアジン環を有する化合物であって、酸基および塩基性基から選ばれる少なくとも1種の基を1つ以上含み、かつ、波長400~700nmの範囲のモル吸光係数の最大値が3000L・mol-1・cm-1以下の化合物を、トリアジン化合物(TA)ともいう。
【0016】
本発明の着色組成物は、上記トリアジン化合物(TA)を含むので、着色組成物中における顔料の分散性を向上させることができ、保存安定性に優れた着色組成物とすることができる。また、本発明の着色組成物は、支持体との密着性に優れた膜を形成できる。支持体との密着性に優れた膜を形成できる理由は以下によるものであると推測される。すなわち、上記トリアジン化合物(TA)は、波長400~700nmのモル吸光係数が小さいため、支持体上に着色組成物を塗布し、露光して膜を形成する場合において、露光によって膜の深部(膜の支持体側)まで光を透過させることができると推測される。その結果、膜の深部においても光重合開始剤が分解してラジカルなどの活性種を十分に発生させることができ、膜深部まで十分に硬化させることができると推測される。また、膜中において、顔料とトリアジン化合物(TA)との間で強固なネットワークが形成されると推測され、このようなネットワークが形成されることにより、膜がより強固なものとなると推測される。更にまた、トリアジン化合物(TA)のトリアジン環と支持体との間で相互作用が生じ、得られる膜の支持体との密着性が向上すると推測される。これらの相乗効果により、支持体との密着性に優れた膜を形成することができると推測される。
【0017】
本発明の着色組成物によれば、加熱による分光変動の小さい、耐熱性に優れた膜を形成することもできる。このような効果が得られる理由としては、上記の同様の機構で膜が十分に硬化したことによるものであると推測される。
【0018】
本発明の着色組成物は、カラーフィルタ、近赤外線透過フィルタ、近赤外線カットフィルタなどに用いることができる。
【0019】
カラーフィルタとしては、特定の波長の光を透過させる着色画素を有するフィルタが挙げられ、赤色画素、青色画素、緑色画素、黄色画素、シアン色画素およびマゼンタ色画素から選ばれる少なくとも1種の着色画素を有するフィルタであることが好ましい。カラーフィルタは、有彩色顔料を含む着色組成物を用いて形成することができる。
【0020】
近赤外線カットフィルタとしては、極大吸収波長を波長700~1800nmの範囲に有するフィルタが挙げられる。近赤外線カットフィルタは、極大吸収波長を波長700~1300nmの範囲に有するフィルタであることが好ましく、波長700~1000nmの範囲に有するフィルタであることがより好ましい。また、近赤外線カットフィルタの波長400~650nmの全範囲での透過率は70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。また、波長700~1800nmの範囲の少なくとも1点での透過率は20%以下であることが好ましい。また、近赤外線カットフィルタの極大吸収波長における吸光度Amaxと、波長550nmにおける吸光度A550との比である吸光度Amax/吸光度A550は、20~500であることが好ましく、50~500であることがより好ましく、70~450であることが更に好ましく、100~400であることが特に好ましい。近赤外線カットフィルタは、近赤外線吸収顔料を含む着色組成物を用いて形成することができる。
【0021】
近赤外線透過フィルタは、近赤外線の少なくとも一部を透過させるフィルタである。近赤外線透過フィルタは、可視光と近赤外線のいずれも透過させるフィルタ(透明膜)であってもよく、可視光の少なくとも一部を遮光し、近赤外線の少なくとも一部を透過させるフィルタであってもよい。近赤外線透過フィルタとしては、波長400~640nmの範囲における透過率の最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、波長1100~1300nmの範囲における透過率の最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)である分光特性を満たしているフィルタなどが好ましく挙げられる。近赤外線透過フィルタは、以下の(1)~(4)のいずれかの分光特性を満たしているフィルタであることが好ましい。
(1):波長400~640nmの範囲における透過率の最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、波長800~1300nmの範囲における透過率の最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)であるフィルタ。
(2):波長400~750nmの範囲における透過率の最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、波長900~1300nmの範囲における透過率の最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)であるフィルタ。
(3):波長400~830nmの範囲における透過率の最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、波長1000~1300nmの範囲における透過率の最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)であるフィルタ。
(4):波長400~950nmの範囲における透過率の最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、波長1100~1300nmの範囲における透過率の最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)であるフィルタ。
【0022】
本発明の着色組成物は、カラーフィルタ用の着色組成物として好ましく用いることができる。具体的には、カラーフィルタの画素形成用の着色組成物として好ましく用いることができ、カラーフィルタの緑色画素形成用の着色組成物としてより好ましく用いることができる。また、本発明の着色組成物は、国際公開第2019/102887号に記載された画素構成の固体撮像素子にも好適に使用することができる。
【0023】
本発明の着色組成物の固形分濃度は、5~40質量%であることが好ましい。下限は、10質量%以上が好ましく、12質量%以上がより好ましい。上限は、35質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
【0024】
以下、本発明の着色組成物に用いられる各成分について説明する。
【0025】
<<顔料>>
本発明の着色組成物は、顔料を含有する。顔料としては、白色顔料、黒色顔料、有彩色顔料、近赤外線吸収顔料が挙げられる。なお、本発明において、白色顔料は純白色のみならず、白に近い明るい灰色(例えば灰白色、薄灰色など)の顔料などを含む。また、顔料は、無機顔料、有機顔料のいずれでもよく、分散安定性をより向上させやすいという理由から有機顔料であることが好ましい。また、顔料は、波長400~2000nmの範囲に極大吸収波長を有するものが好ましく、波長400~700nmの範囲に極大吸収波長を有するものがより好ましい。また、波長400~700nmの範囲に極大吸収波長を有する顔料(好ましくは有彩色顔料)を用いた場合においては、本発明の着色組成物は、カラーフィルタにおける着色画素形成用の着色組成物として好ましく用いることができる。着色画素としては、例えば、赤色画素、緑色画素、青色画素、マゼンタ色画素、シアン色画素、イエロー色画素などが挙げられる。
【0026】
顔料は、フタロシアニン顔料、スクアリリウム顔料、ジオキサジン顔料、キナクリドン顔料、アントラキノン顔料、ペリレン顔料、アゾ顔料、ジケトピロロピロール顔料、イソインドリン顔料及びキノフタロン顔料から選ばれる少なくとも1種を含むものであることが好ましく、フタロシアニン顔料、スクアリリウム顔料およびジケトピロロピロール顔料から選ばれる少なくとも1種を含むものであることがより好ましく、本発明の効果がより顕著に得られやすいという理由からフタロシアニン顔料を含むものであることが更に好ましい。また、着色組成物に含まれる顔料の全量中におけるフタロシアニン顔料の割合は、50~100質量%であることが好ましく、60~100質量%であることがより好ましく、65~100質量%であることが更に好ましい。
【0027】
また、顔料は、緑色顔料を含むものであることも好ましい。一般的に、緑色顔料を含む着色組成物を用いて得られる膜は、支持体との密着性が低い傾向があるが、本発明の着色組成物によれば、緑色顔料を含有する着色組成物であっても、支持体との密着性に優れた膜を形成することができるので、本発明の効果がより顕著である。緑色顔料としては、フタロシアニン顔料およびスクアリリウム顔料が挙げられ、保存安定が良いという理由からフタロシアニン顔料であることが好ましい。
【0028】
顔料の平均一次粒子径は、1~200nmが好ましい。下限は5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましい。上限は、180nm以下が好ましく、150nm以下がより好ましく、100nm以下が更に好ましい。顔料の平均一次粒子径が上記範囲であれば、着色組成物中における顔料の分散安定性が良好である。なお、本発明において、顔料の一次粒子径は、顔料の一次粒子を透過型電子顕微鏡により観察し、得られた写真から求めることができる。具体的には、顔料の一次粒子の投影面積を求め、それに対応する円相当径を顔料の一次粒子径として算出する。また、本発明における平均一次粒子径は、400個の顔料の一次粒子についての一次粒子径の算術平均値とする。また、顔料の一次粒子とは、凝集のない独立した粒子をいう。
【0029】
(有彩色顔料)
有彩色顔料としては、特に限定されず、公知の有彩色顔料を用いることができる。有彩色顔料としては、波長400~700nmの範囲に極大吸収波長を有する顔料が挙げられる。例えば、黄色顔料、オレンジ色顔料、赤色顔料、緑色顔料、紫色顔料、青色顔料などが挙げられる。これらの具体例としては、例えば、以下が挙げられる。
【0030】
カラーインデックス(C.I.)Pigment Yellow 1,2,3,4,5,6,10,11,12,13,14,15,16,17,18,20,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,86,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,125,126,127,128,129,137,138,139,147,148,150,151,152,153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,193,194,199,213,214,215,228,231,232(メチン系),233(キノリン系)等(以上、黄色顔料)、
C.I.Pigment Orange 2,5,13,16,17:1,31,34,36,38,43,46,48,49,51,52,55,59,60,61,62,64,71,73等(以上、オレンジ色顔料)、
C.I.Pigment Red 1,2,3,4,5,6,7,9,10,14,17,22,23,31,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,66,67,81:1,81:2,81:3,83,88,90,105,112,119,122,123,144,146,149,150,155,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,184,185,187,188,190,200,202,206,207,208,209,210,216,220,224,226,242,246,254,255,264,270,272,279,294(キサンテン系、Organo Ultramarine、Bluish Red),295(モノアゾ系),296(ジアゾ系)等(以上、赤色顔料)、
C.I.Pigment Green 7,10,36,37,58,59,62,63等(以上、緑色顔料)、
C.I.Pigment Violet 1,19,23,27,32,37,42,60(トリアリールメタン系),61(キサンテン系)等(以上、紫色顔料)、
C.I.Pigment Blue 1,2,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,22,29,60,64,66,79,80,87(モノアゾ系),88(メチン系)等(以上、青色顔料)。
【0031】
また、緑色顔料として、1分子中のハロゲン原子数が平均10~14個であり、臭素原子数が平均8~12個であり、塩素原子数が平均2~5個であるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料を用いることもできる。具体例としては、国際公開第2015/118720号に記載の化合物が挙げられる。また、緑色色材として中国特許出願第106909027号明細書に記載の化合物、国際公開第2012/102395号に記載のリン酸エステルを配位子として有するフタロシアニン化合物、特開2019-008014号公報に記載のフタロシアニン化合物および特開2018-180023号公報に記載のフタロシアニン化合物、特開2019-038958号公報に記載の化合物などを用いることもできる。
【0032】
また、青色顔料として、リン原子を有するアルミニウムフタロシアニン化合物を用いることもできる。具体例としては、特開2012-247591号公報の段落0022~0030、特開2011-157478号公報の段落0047に記載の化合物が挙げられる。
【0033】
また、黄色顔料として、特開2017-201003号公報に記載の化合物、特開2017-197719号公報に記載の化合物、特開2017-171912号公報の段落番号0011~0062、0137~0276に記載の化合物、特開2017-171913号公報の段落番号0010~0062、0138~0295に記載の化合物、特開2017-171914号公報の段落番号0011~0062、0139~0190に記載の化合物、特開2017-171915号公報の段落番号0010~0065、0142~0222に記載の化合物、特開2013-054339号公報の段落番号0011~0034に記載のキノフタロン化合物、特開2014-026228号公報の段落番号0013~0058に記載のキノフタロン化合物、特開2018-062644号公報に記載のイソインドリン化合物、特開2018-203798号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2018-062578号公報に記載のキノフタロン化合物、特許第6432077号公報に記載のキノフタロン化合物、特許第6432076号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2018-155881号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2018-111757号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2018-040835号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2017-197640号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2016-145282号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2014-085565号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2014-021139号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-209614号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-209435号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-181015号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-061622号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-054339号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-032486号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2012-226110号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-074987号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-081565号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-074986号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-074985号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-050420号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-031281号公報に記載のキノフタロン化合物、特公昭48-032765号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2019-008014号公報に記載のキノフタロン化合物、下記式(QP1)で表される化合物、下記式(QP2)で表される化合物を用いることもできる。
【化4】
【0034】
式(QP1)中、X~X16は各々独立に水素原子又はハロゲン原子を表し、Zは炭素数1~3のアルキレン基を表す。式(QP1)で表される化合物の具体例としては、特許第6443711号公報の段落番号0016に記載されている化合物が挙げられる。
【化5】
【0035】
式(QP2)中、Y~Yは、それぞれ独立にハロゲン原子を示す。n、mは0~6の整数、pは0~5の整数を表す。(n+m)は1以上である。式(QP2)で表される化合物の具体例としては、特許6432077号公報の段落番号0047~0048に記載されている化合物が挙げられる。
【0036】
赤色顔料として、特開2017-201384号公報に記載の構造中に少なくとも1つ臭素原子が置換したジケトピロロピロール顔料、特許第6248838号の段落番号0016~0022に記載のジケトピロロピロール顔料、特許6516119号公報に記載の赤色顔料、特許6525101号公報に記載の赤色顔料などを用いることもできる。また、赤色顔料として、芳香族環に対して、酸素原子、硫黄原子または窒素原子が結合した基が導入された芳香族環基がジケトピロロピロール骨格に結合した構造を有する化合物を用いることもできる。このような化合物としては、式(DPP1)で表される化合物であることが好ましく、式(DPP2)で表される化合物であることがより好ましい。
【化6】
【0037】
上記式中、R11およびR13はそれぞれ独立して置換基を表し、R12およびR14はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、n11およびn13はそれぞれ独立して0~4の整数を表し、X12およびX14はそれぞれ独立して酸素原子、硫黄原子または窒素原子を表し、X12が酸素原子または硫黄原子の場合は、m12は1を表し、X12が窒素原子の場合は、m12は2を表し、X14が酸素原子または硫黄原子の場合は、m14は1を表し、X14が窒素原子の場合は、m14は2を表す。R11およびR13が表す置換基としては、後述する置換基Tで挙げた基が挙げられ、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基、アミド基、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、スルホキシド基、スルホ基などが好ましい具体例として挙げられる。
【0038】
本発明において、有彩色顔料は、2種以上組み合わせて用いてもよい。例えば、C.I.ピグメントグリーン7とC.I.ピグメントグリーン36とC.I.ピグメントイエロー139とC.I.ピグメントイエロー185との組み合わせで緑色が形成されていてもよく、C.I.ピグメントグリーン58とC.I.ピグメントイエロー150とC.I.ピグメントイエロー185との組み合わせで緑色が形成されていてもよい。
【0039】
また、有彩色顔料を2種以上組み合わせて用いる場合、2種以上の有彩色顔料の組み合わせで黒色を形成していてもよい。そのような組み合わせとしては、例えば以下の(1)~(7)の態様が挙げられる。着色組成物中に有彩色顔料を2種以上含み、かつ、2種以上の有彩色顔料の組み合わせで黒色を呈している場合においては、本発明の着色組成物は、近赤外線透過フィルタとして好ましく用いることができる。
(1)赤色顔料と青色顔料とを含有する態様。
(2)赤色顔料と青色顔料と黄色顔料とを含有する態様。
(3)赤色顔料と青色顔料と黄色顔料と紫色顔料とを含有する態様。
(4)赤色顔料と青色顔料と黄色顔料と紫色顔料と緑色顔料とを含有する態様。
(5)赤色顔料と青色顔料と黄色顔料と緑色顔料とを含有する態様。
(6)赤色顔料と青色顔料と緑色顔料とを含有する態様。
(7)黄色顔料と紫色顔料とを含有する態様。
【0040】
(白色顔料)
白色顔料としては、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、シリカ、タルク、マイカ、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、中空樹脂粒子、硫化亜鉛などが挙げられる。白色顔料は、チタン原子を有する粒子が好ましく、酸化チタンがより好ましい。また、白色顔料は、波長589nmの光に対する屈折率が2.10以上の粒子であることが好ましい。前述の屈折率は、2.10~3.00であることが好ましく、2.50~2.75であることがより好ましい。
【0041】
また、白色顔料は「酸化チタン 物性と応用技術 清野学著 13~45ページ 1991年6月25日発行、技報堂出版発行」に記載の酸化チタンを用いることもできる。
【0042】
白色顔料は、単一の無機物からなるものだけでなく、他の素材と複合させた粒子を用いてもよい。例えば、内部に空孔や他の素材を有する粒子、コア粒子に無機粒子を多数付着させた粒子、ポリマー粒子からなるコア粒子と無機ナノ微粒子からなるシェル層とからなるコアおよびシェル複合粒子を用いることが好ましい。上記ポリマー粒子からなるコア粒子と無機ナノ微粒子からなるシェル層とからなるコアおよびシェル複合粒子としては、例えば、特開2015-047520号公報の段落番号0012~0042の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0043】
白色顔料は、中空無機粒子を用いることもできる。中空無機粒子とは、内部に空洞を有する構造の無機粒子であり、外殻に包囲された空洞を有する無機粒子のことを言う。中空無機粒子としては、特開2011-075786号公報、国際公開第2013/061621号、特開2015-164881号公報などに記載された中空無機粒子が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0044】
(黒色顔料)
黒色顔料としては特に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、カーボンブラック、チタンブラック、グラファイト等が挙げられ、カーボンブラック、チタンブラックが好ましく、チタンブラックがより好ましい。チタンブラックとは、チタン原子を含有する黒色粒子であり、低次酸化チタンや酸窒化チタンが好ましい。チタンブラックは、分散性向上、凝集性抑制などの目的で必要に応じ、表面を修飾することが可能である。例えば、酸化珪素、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、又は、酸化ジルコニウムでチタンブラックの表面を被覆することが可能である。また、特開2007-302836号公報に表されるような撥水性物質での処理も可能である。黒色顔料として、カラーインデックス(C.I.)Pigment Black 1,7等が挙げられる。チタンブラックは、個々の粒子の一次粒子径及び平均一次粒子径のいずれもが小さいことが好ましい。具体的には、平均一次粒子径が10~45nmであることが好ましい。チタンブラックは、分散物として用いることもできる。例えば、チタンブラック粒子とシリカ粒子とを含み、分散物中のSi原子とTi原子との含有比が0.20~0.50の範囲に調整した分散物などが挙げられる。上記分散物については、特開2012-169556号公報の段落0020~0105の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。チタンブラックの市販品の例としては、チタンブラック10S、12S、13R、13M、13M-C、13R-N、13M-T(商品名:三菱マテリアル(株)製)、ティラック(Tilack)D(商品名:赤穂化成(株)製)などが挙げられる。
【0045】
(近赤外線吸収顔料)
近赤外線吸収顔料は、有機顔料であることが好ましい。また、近赤外線吸収顔料は、波長700nmを超え1400nm以下の範囲に極大吸収波長を有することが好ましい。また、近赤外線吸収顔料の極大吸収波長は、1200nm以下であることが好ましく、1000nm以下であることがより好ましく、950nm以下であることが更に好ましい。また、近赤外線吸収顔料は、波長550nmにおける吸光度A550と極大吸収波長における吸光度Amaxとの比であるA550/Amaxが0.1以下であることが好ましく、0.05以下であることがより好ましく、0.03以下であることが更に好ましく、0.02以下であることが特に好ましい。下限は、特に限定はないが、例えば、0.0001以上とすることができ、0.0005以上とすることもできる。上述の吸光度の比が上記範囲であれば、可視透明性および近赤外線遮蔽性に優れた近赤外線吸収顔料とすることができる。なお、本発明において、近赤外線吸収顔料の極大吸収波長および各波長における吸光度の値は、近赤外線吸収顔料を含む着色組成物を用いて形成した膜の吸収スペクトルから求めた値である。
【0046】
近赤外線吸収顔料としては、特に限定はないが、ピロロピロール化合物、リレン化合物、オキソノール化合物、スクアリリウム化合物、シアニン化合物、クロコニウム化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、ピリリウム化合物、アズレニウム化合物、インジゴ化合物およびピロメテン化合物が挙げられ、ピロロピロール化合物、スクアリリウム化合物、シアニン化合物、フタロシアニン化合物およびナフタロシアニン化合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、ピロロピロール化合物またはスクアリリウム化合物であることが更に好ましく、ピロロピロール化合物であることが特に好ましい。
【0047】
着色組成物の全固形分中における顔料の含有量は50質量%以上であり、53質量%以上であることが好ましく、55質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることが更に好ましい。上限は80質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることが更に好ましい。
【0048】
着色組成物の全固形分中における緑色顔料の含有量は30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、45質量%以上であることが更に好ましい。上限は70質量%以下であることが好ましく、65質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることが更に好ましい。
【0049】
着色組成物の全固形分中におけるフタロシアニン顔料の含有量は30質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、45質量%以上であることが更に好ましい。上限は70質量%以下であることが好ましく、65質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることが更に好ましい。
【0050】
<<染料>>
本発明の着色組成物は、染料を含有することができる。染料としては特に制限はなく、公知の染料が使用できる。染料は、有彩色染料であってもよく、近赤外線吸収染料であってもよい。有彩色染料としては、ピラゾールアゾ化合物、アニリノアゾ化合物、トリアリールメタン化合物、アントラキノン化合物、アントラピリドン化合物、ベンジリデン化合物、オキソノール化合物、ピラゾロトリアゾールアゾ化合物、ピリドンアゾ化合物、シアニン化合物、フェノチアジン化合物、ピロロピラゾールアゾメチン化合物、キサンテン化合物、フタロシアニン化合物、ベンゾピラン化合物、インジゴ化合物、ピロメテン化合物が挙げられる。また、特開2012-158649号公報に記載のチアゾール化合物、特開2011-184493号公報に記載のアゾ化合物、特開2011-145540号公報に記載のアゾ化合物を用いることもできる。近赤外線吸収染料としては、ピロロピロール化合物、リレン化合物、オキソノール化合物、スクアリリウム化合物、シアニン化合物、クロコニウム化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、ピリリウム化合物、アズレニウム化合物、インジゴ化合物およびピロメテン化合物が挙げられる。
【0051】
染料としては、色素多量体を用いることもできる。色素多量体は、一分子中に、色素構造を2以上有するものであり、色素構造を3以上有することが好ましい。上限は、特に限定はないが、100以下とすることもできる。一分子中に有する複数の色素構造は、同一の色素構造であってもよく、異なる色素構造であってもよい。色素多量体の重量平均分子量(Mw)は、2000~50000が好ましい。下限は、3000以上がより好ましく、6000以上がさらに好ましい。上限は、30000以下がより好ましく、20000以下がさらに好ましい。色素多量体は、特開2011-213925号公報、特開2013-041097号公報、特開2015-028144号公報、特開2015-030742号公報、特開2016-102191号公報、国際公開第2016/031442号等に記載されている化合物を用いることもできる。
【0052】
着色組成物の全固形分中における染料の含有量は1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが特に好ましい。上限としては特に制限はないが、70質量%以下であることが好ましく、65質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることが更に好ましい。
また、染料の含有量は、顔料の100質量部に対して5~50質量部であることが好ましい。上限は、45質量部以下であることが好ましく、40質量部以下であることがより好ましい。下限は、10質量部以上であることが好ましく、15質量部以上であることが更に好ましい。
また、本発明の着色組成物は染料を実質的に含有しないこともできる。本発明の着色組成物が染料を実質的に含まない場合、本発明の着色組成物の全固形分中における染料の含有量が0.1質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以下であることがより好ましく、含有しないことが特に好ましい。
【0053】
<<トリアジン化合物(TA)>>
本発明の着色組成物は、トリアジン環を有する化合物であって、酸基および塩基性基から選ばれる少なくとも1種の基を1つ以上含み、かつ、波長400~700nmの範囲のモル吸光係数の最大値が3000L・mol-1・cm-1以下の化合物(トリアジン化合物(TA))を含む。
【0054】
トリアジン化合物(TA)は、一分子中にトリアジン環を2以上含むことが好ましく、2~4個含むことがより好ましく、2~3個含むことが更に好ましい。一分子中にトリアジン環を2以上含むことで、膜中での顔料とトリアジン化合物(TA)とのネットワークがより強固に形成されやすくなると推測され、支持体との密着性に優れた膜を形成しやすい。
【0055】
トリアジン化合物(TA)が有する酸基は、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基およびそれらの塩から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、カルボキシル基、スルホ基およびそれらの塩から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。塩を構成する原子または原子団としては、アルカリ金属イオン(Li、Na、Kなど)、アルカリ土類金属イオン(Ca2+、Mg2+など)、アンモニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ホスホニウムイオンなどが挙げられる。
【0056】
トリアジン化合物(TA)が有する塩基性基は、アミノ基、ピリジル基およびそれらの塩、アンモニウム基の塩、並びにフタルイミドメチル基から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、アミノ基、アミノ基の塩、およびアンモニウム基の塩から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましく、アミノ基またはアミノ基の塩であることがより好ましい。アミノ基としては、-NH、ジアルキルアミノ基、アルキルアリールアミノ基、ジアリールアミノ基、環状アミノ基などが挙げられる。ジアルキルアミノ基、アルキルアリールアミノ基、ジアリールアミノ基、環状アミノ基はさらに置換基を有していてもよい。置換基としては後述する置換基Tが挙げられる。塩を構成する原子または原子団としては、水酸化物イオン、ハロゲンイオン、カルボン酸イオン、スルホン酸イオン、フェノキシドイオンなどが挙げられる。
【0057】
トリアジン化合物(TA)は、色ムラをより抑制しやすいという理由から塩基性基を含む化合物であることが好ましい。
【0058】
トリアジン化合物(TA)の分子量は、400~1500であることが好ましく、450~1250であることがより好ましく、500~1000であることが更に好ましい。トリアジン化合物(TA)の分子量が上記範囲であれば、着色組成物の保存安定性をより向上できる。
【0059】
トリアジン化合物(TA)のエチレン性不飽和結合含有基(以下、C=C価という)は、トリアジン化合物の安定性の観点から0.0050mmol/g以下であることが好ましく、0.0035mmol/g以下であることがより好ましく、0.0030mmol/g以下であることが更に好ましく、0.0025mmol/g以下であることがより一層好ましく、0mmol/gであることが特に好ましい。トリアジン化合物(TA)のC=C価は、トリアジン化合物(TA)の1分子中に含まれるエチレン性不飽和結合含有基の数をトリアジン化合物(TA)の分子量で割ることで算出した値である。
【0060】
トリアジン化合物(TA)は、下記式(C1)で表される基を含む化合物であることが好ましい。トリアジン化合物(TA)がこのような基を含む化合物であれば、本発明の効果がより顕著に得られやすい。
【化7】
【0061】
式中、波線は連結手を表し、LcおよびLcはそれぞれ独立して単結合または連結基を表し、RcおよびRcはそれぞれ独立して置換基を表し、RcおよびRcの少なくとも一方は酸基または塩基性基を表す。
【0062】
式(C1)において、LcおよびLcはそれぞれ独立して単結合または連結基を表し、2価の連結基であることが好ましい。2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、-O-、-N(RL1)-、-NHCO-、-CONH-、-OCO-、-COO-、-CO-、-SONH-、-SO-およびそれらの組み合わせが挙げられる。アルキレン基の炭素数は、1~30が好ましく、1~15がより好ましく、1~8が更に好ましく、1~5が特に好ましい。アルキレン基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましく、直鎖が特に好ましい。アリーレン基の炭素数は6~30が好ましく、6~15がより好ましい。アリーレン基はフェニレン基であることが好ましい。RL1は、水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、水素原子またはアルキル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。RL1が表すアルキル基の炭素数は、1~20が好ましく、1~15がより好ましく、1~8が更に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。RL1が表すアルキル基はさらに置換基を有していてもよい。置換基としては後述する置換基Tが挙げられる。RL1が表すアリール基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~12が更に好ましい。RL1が表すアリール基はさらに置換基を有していてもよい。置換基としては後述する置換基Tが挙げられる。
【0063】
式(C1)において、RcおよびRcはそれぞれ独立して置換基を表す。置換基としてはアルキル基、アリール基、複素環基、ヒドロキシ基、酸基および塩基性基が挙げられる。ただし、RcおよびRcの少なくとも一方は酸基または塩基性基を表す。RcおよびRcの少なくとも一方は塩基性基であることが好ましく、RcおよびRcの両方が塩基性基であることがより好ましい。酸基および塩基性基としては、上述したものが挙げられる。アルキル基の炭素数は、1~30が好ましく、1~15がより好ましく、1~8が更に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。アリール基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~12が更に好ましい。複素環基は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。複素環基は、単環または縮合数が2~4の縮合環が好ましい。複素環基の環を構成するヘテロ原子の数は1~3が好ましい。複素環基の環を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましい。複素環基の環を構成する炭素原子の数は3~30が好ましく、3~18がより好ましく、3~12がより好ましい。アルキル基、アリール基、複素環基はさらに置換基を有していてもよい。置換基としては以下に示す置換基Tが挙げられる。
【0064】
(置換基T)
置換基Tとしては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、-ORt、-CORt、-COORt、-OCORt、-NRtRt、-NHCORt、-CONRtRt、-NHCONRtRt、-NHCOORt、-SRt、-SORt、-SOORt、-NHSORtまたは-SONRtRtが挙げられる。RtおよびRtは、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。RtとRtが結合して環を形成してもよい。なお、-COORtのRtが水素の場合は、水素原子が解離してもよく、塩の状態であってもよい。また、-SOORtのRtが水素原子の場合は、水素原子が解離してもよく、塩の状態であってもよい。
【0065】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
アルキル基の炭素数は、1~30が好ましく、1~15がより好ましく、1~8が更に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。
アルケニル基の炭素数は、2~30が好ましく、2~12がより好ましく、2~8が特に好ましい。アルケニル基は直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。
アルキニル基の炭素数は、2~30が好ましく、2~25がより好ましい。アルキニル基は直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。
アリール基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~12が更に好ましい。
複素環基は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。複素環基は、単環または縮合数が2~4の縮合環が好ましい。複素環基の環を構成するヘテロ原子の数は1~3が好ましい。複素環基の環を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましい。複素環基の環を構成する炭素原子の数は3~30が好ましく、3~18がより好ましく、3~12がより好ましい。
アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基および複素環基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては、上述した置換基Tで説明した置換基が挙げられる。
【0066】
上記式(C1)で表される基は、下記式(C2)で表される基であることが好ましく、下記式(C3)で表される基であることがより好ましい。
【化8】
【0067】
記式(C2)中、波線は連結手を表し、Lc11およびLc12はそれぞれ独立して単結合または連結基を表し、Rc11およびRc12はそれぞれ独立して水素原子または置換基を表し、Rc13およびRc14はそれぞれ独立して置換基を表し、Rc13およびRc14の少なくとも一方は酸基または塩基性基を表す。
【0068】
式(C2)のRc13およびRc14は、式(C1)のRcおよびRcと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0069】
式(C2)において、Rc11およびRc12はそれぞれ独立して水素原子または置換基を表す。Rc11およびRc12が表す置換基としては、アルキル基およびアリール基が挙げられる。アルキル基の炭素数は、1~20が好ましく、1~15がより好ましく、1~8が更に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。アリール基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~12が更に好ましい。アルキル基およびアリール基はさらに置換基を有していてもよい。置換基としては上述した置換基Tが挙げられる。
【0070】
式(C2)において、Rc11およびRc12は水素原子であることが好ましい。
【0071】
式(C2)において、Lc11およびLc12はそれぞれ独立して単結合または連結基を表し、2価の連結基であることが好ましい。2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、-O-、-N(RL11)-、-NHCO-、-CONH-、-OCO-、-COO-、-CO-、-SONH-、-SO-およびそれらの組み合わせが挙げられ、アルキレン基およびアリーレン基から選ばれる少なくとも一種を含む基であることが好ましく、アルキレン基を含む基であることがより好ましく、アルキレン基であることが更に好ましい。アルキレン基の炭素数は、1~30が好ましく、1~15がより好ましく、1~8が更に好ましく、1~5が特に好ましい。アルキレン基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましく、直鎖が特に好ましい。アリーレン基の炭素数は6~30が好ましく、6~15がより好ましい。アリーレン基はフェニレン基であることが好ましい。RL1は、水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、水素原子またはアルキル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。RL11が表すアルキル基およびアリール基については、上述したRL1が表すアルキル基およびアリール基と同義である。
【0072】
【化9】
【0073】
式(C3)中、波線は連結手を表し、Lc21およびLc22はそれぞれ独立して単結合または連結基を表し、Rc21およびRc22はそれぞれ独立して水素原子または置換基を表し、Rc23~Rc26はそれぞれ独立して水素原子または置換基を表し、Rc23とRc24は2価の基を介して結合して環を形成していてもよく、Rc25とRc26は2価の基を介して結合して環を形成していてもよい。
【0074】
式(C3)のRc21およびRc22は、式(C2)のRc11およびRc12と同義であり、好ましい範囲も同様である。式(C3)のLc21およびLc22は、式(C2)のLc11およびLc12と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0075】
式(C3)において、Rc23~Rc26はそれぞれ独立して水素原子または置換基を表し、置換基であることが好ましい。置換基としては、アルキル基およびアリール基が挙げられ、アルキル基であることが好ましい。アルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~5がより好ましく、1~3が更に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。アリール基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~12が更に好ましい。アルキル基およびアリール基はさらに置換基を有していてもよい。置換基としては上述した置換基Tが挙げられる。
【0076】
式(C3)において、Rc23とRc24は2価の基を介して結合して環を形成していてもよく、Rc25とRc26は2価の基を介して結合して環を形成していてもよい。2価の基としては、-CH-、-O-、-SO-が挙げられる。上記の基同士が2価の基を介して形成される環の具体例としては以下が挙げられる。
【化10】
【0077】
式(C1)で表される基の具体例としては、下記構造の基が挙げられる。
【化11】
【0078】
トリアジン化合物(TA)は、下記式(1)で表される化合物であることが好ましい。
-B-C ・・・(1)
式(1)中、Aは芳香族環を含む基を表し、Bは、単結合または2価の連結基を表し、Cは、上記式(C1)で表される基を表す。
【0079】
式(1)のCは上記式(C1)で表される基を表し、上記式(C2)で表される基であることが好ましく、上記式(C3)で表される基であることがより好ましい。
【0080】
式(1)において、Aは芳香族環を含む基を表す。芳香族環としては、芳香族炭化水素環であってもよく、芳香族複素環であってもよい。また、芳香族環は、単環であってもよく縮合環であってもよい。
が表す基としては、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、ペリレン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾリン環、ピリジン環、トリアゾール環、イミダゾリン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、キナゾリン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾピラゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾトリアゾール環、インドール環、イソインドール環、トリアジン環、ピロール環、カルバゾール環、ベンゾイミダゾリノン環、フタルイミド環、フタロシアニン環、アントラキノン環、ジケトピロロピロール環、イソインドリノン環、イソインドリン環およびキナクリドン環から選ばれる芳香族環を含む基;これらの芳香族環を含む縮合環を含む基などが挙げられる。上記の縮合環は芳香族環であってもよく、非芳香族環であってもよいが、芳香族環であることが好ましい。
【0081】
また、Aが表す基は上記の芳香族環または縮合環を1個のみ有する基であってもよいが、芳香環が多い方がππ相互作用により、顔料吸着性が向上して組成物の保存安定性を向上させ易いという理由からこれらの環を2個以上有していることが好ましい。
【0082】
が表す基は、さらに置換基を有していてもよい。置換基としては上述した置換基Tが挙げられる。
【0083】
が表す基は、着色組成物に含まれる顔料と相互作用し易い構造または顔料に類似した構造を有する基であることが好ましい。この態様によれば、着色組成物中における顔料の分散性を高めることができ、着色組成物の保存安定性をより高めることができる。また、Aが表す基は、本発明の効果がより顕著に得られやすいという理由から芳香族複素環を含む基であることが好ましく、含窒素芳香族複素環を含む基であることがより好ましく、トリアジン環を含む基であることが更に好ましく、下記式(A1)で表される基であることが特に好ましい。
【化12】
式中、波線は結合手を表し、LaおよびLaは、それぞれ独立して単結合または2価の連結基を表し、RaおよびRaは、それぞれ独立して水素原子または置換基を表す。
【0084】
式(A1)において、LaおよびLaはそれぞれ独立して単結合または連結基を表し、2価の連結基であることが好ましい。2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、-O-、-N(RLa1)-、-NHCO-、-CONH-、-OCO-、-COO-、-CO-、-SONH-、-SO-およびそれらの組み合わせが挙げられる。アルキレン基の炭素数は、1~30が好ましく、1~15がより好ましく、1~8が更に好ましく、1~5が特に好ましい。アルキレン基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましく、直鎖が特に好ましい。アリーレン基の炭素数は6~30が好ましく、6~15がより好ましい。アリーレン基はフェニレン基であることが好ましい。RLa1は、水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、水素原子またはアルキル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。RLa1が表すアルキル基の炭素数は、1~20が好ましく、1~15がより好ましく、1~8が更に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。RLa1が表すアルキル基はさらに置換基を有していてもよい。置換基としては上述した置換基Tが挙げられる。RLa1が表すアリール基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~12が更に好ましい。RLa1が表すアリール基はさらに置換基を有していてもよい。置換基としては上述した置換基Tが挙げられる。
【0085】
LaおよびLaが表す2価の連結基は、-N(RLa1)-または-O-であることが好ましく、-N(RLa1)-であることがより好ましい。
【0086】
式(A1)においてRaおよびRaは、それぞれ独立して水素原子または置換基を表す。置換基としては上述した置換基Tが挙げられ、アルキル基、アリール基および複素環基が好ましく、アリール基および複素環基がより好ましく、顔料吸着性を高めて組成物の保存安定性を向上させ易いという理由からアリール基が更に好ましい。RaおよびRaが表すアルキル基、アリール基および複素環基は更に置換基を有していてもよい。更なる置換基としては、上述した置換基Tが挙げられる。
また、色ムラをより抑制しやすいという理由から、RaおよびRaの少なくとも一方は、ウレア構造、イミド構造およびアミド構造から選ばれる構造を含む基であることも好ましく、ウレア構造を含む基であることがより好ましく、ウレア構造を含む複素環基であることが更に好ましい。ウレア構造を含む複素環基としては、ベンズイミダゾロン基などが挙げられる。
【0087】
の具体例としては下記構造の基が挙げられる。以下の構造式中、Meはメチル基を表す。
【化13】
【化14】
【化15】
【0088】
式(1)において、Bは単結合または2価の連結基を表し、2価の連結基が好ましい。Bが表す2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、-O-、-N(RLB1)-、-NHCO-、-CONH-、-OCO-、-COO-、-CO-、-SONH-、-SO-およびそれらの組み合わせが挙げられる。アルキレン基の炭素数は、1~30が好ましく、1~15がより好ましく、1~8が更に好ましく、1~5が特に好ましい。アルキレン基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましく、直鎖が特に好ましい。アリーレン基の炭素数は6~30が好ましく、6~15がより好ましい。アリーレン基はフェニレン基であることが好ましい。RLB1は、水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、水素原子またはアルキル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。RLB1が表すアルキル基の炭素数は、1~20が好ましく、1~15がより好ましく、1~8が更に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。RLB1が表すアルキル基はさらに置換基を有していてもよい。置換基としては上述した置換基Tが挙げられる。RLB1が表すアリール基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~12が更に好ましい。RL1が表すアリール基はさらに置換基を有していてもよい。置換基としては上述した置換基Tが挙げられる。
【0089】
が表す2価の連結基としては、下記式(L1)で表される基であることが好ましい。
-L1A-L1B-L1C- ・・・(L1)
式中、L1AおよびL1Cはそれぞれ独立して、-O-、-N(RLB1)-、-NHCO-、-CONH-、-OCO-、-COO-、-CO-、-SONH-、または、-SO-を表し、L1Bは、単結合または2価の連結基を表す。
【0090】
1Bが表す2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、アルキレン基とアリーレン基を単結合または-O-、-N(RLB1)-、-NHCO-、-CONH-、-OCO-、-COO-、-CO-、-SONH-、-SO-およびそれらの組み合わせからなる基を介して結合した基、アルキレン基同士またはアリーレン基同士を-O-、-N(RLB1)-、-NHCO-、-CONH-、-OCO-、-COO-、-CO-、-SONH-、-SO-およびそれらの組み合わせからなる基を介して結合した基などが挙げられる。
【0091】
の具体例としては下記構造の基が挙げられる。
【化16】
【0092】
トリアジン化合物(TA)の具体例としては以下が挙げられる。以下の表中、Aの構造、Bの構造、Cの構造の欄に記載の記号は、それぞれAの具体例、Bの具体例、Cの具体例で挙げた構造である。
【表1】
【0093】
トリアジン化合物(TA)の波長400~700nmの範囲のモル吸光係数の最大値は、1000L・mol-1・cm-1以下であることが好ましく、100L・mol-1・cm-1以下であることがより好ましい。この態様によれば、得られる膜の支持体との密着性をより向上させ易い。本明細書においてトリアジン化合物(TA)のモル吸光係数の値は後述する実施例に記載の方法にて測定した値である。
【0094】
トリアジン化合物(TA)は、以下の(a)~(d)のいずれかの分光特性を満たしていることも好ましい。
(a) 波長700nmを超え750nm以下の範囲のモル吸光係数の最大値が、3000L・mol-1・cm-1以下であることが好ましく、1000L・mol-1・cm-1以下であることがより好ましく、100L・mol-1・cm-1以下であることが更に好ましい。
(b) 波長750nmを超え800nm以下の範囲のモル吸光係数の最大値が、3000L・mol-1・cm-1以下であることが好ましく、1000L・mol-1・cm-1以下であることがより好ましく、100L・mol-1・cm-1以下であることが更に好ましい。
(c) 波長800nmを超え850nm以下の範囲のモル吸光係数の最大値が、3000L・mol-1・cm-1以下であることが好ましく、1000L・mol-1・cm-1以下であることがより好ましく、100L・mol-1・cm-1以下であることが更に好ましい。
(d) 波長850nmを超え900nm以下の範囲のモル吸光係数の最大値が、3000L・mol-1・cm-1以下であることが好ましく、1000L・mol-1・cm-1以下であることがより好ましく、100L・mol-1・cm-1以下であることが更に好ましい。
【0095】
着色組成物の全固形分中におけるトリアジン化合物(TA)の含有量は0.3~20質量%であることが好ましい。下限は0.6質量%以上であることが好ましく、0.9質量%以上であることがより好ましい。上限は15質量%以下であることが好ましく、12.5質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましい。
【0096】
また、トリアジン化合物(TA)の含有量は顔料100質量部に対して1~30質量部であることが好ましい。下限は2質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましい。上限は、20質量部以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。化合物(1)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上併用する場合はそれらの合計量が上記範囲であることが好ましい。
【0097】
<<重合性化合物>>
本発明の着色組成物は、重合性化合物を含有する。重合性化合物としては、ラジカル、酸または熱により架橋可能な公知の化合物を用いることができる。重合性化合物は、例えば、エチレン性不飽和結合含有基を有する化合物であることが好ましい。エチレン性不飽和結合含有基としては、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。本発明で用いられる重合性化合物は、ラジカル重合性化合物であることが好ましい。
【0098】
重合性化合物としては、モノマー、プレポリマー、オリゴマーなどの化学的形態のいずれであってもよいが、モノマーが好ましい。重合性化合物の分子量は、100~3000が好ましい。上限は、2000以下が好ましく、1500以下がより好ましい。下限は、150以上が好ましく、250以上がより好ましい。
【0099】
重合性化合物は、エチレン性不飽和結合含有基を3個以上含む化合物であることが好ましく、エチレン性不飽和結合含有基を3~15個含む化合物であることがより好ましく、エチレン性不飽和結合含有基を3~6個含む化合物であることが更に好ましい。また、重合性化合物は、3~15官能の(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、3~6官能の(メタ)アクリレート化合物であることがより好ましい。重合性化合物の具体例としては、特開2009-288705号公報の段落番号0095~0108、特開2013-029760号公報の段落0227、特開2008-292970号公報の段落番号0254~0257、特開2013-253224号公報の段落番号0034~0038、特開2012-208494号公報の段落番号0477、特開2017-048367号公報、特許第6057891号公報、特許第6031807号公報、特開2017-194662号公報に記載されている化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0100】
重合性化合物としては、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(市販品としてはKAYARAD D-330;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としてはKAYARAD D-320;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD D-310;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD DPHA;日本化薬(株)製、NKエステルA-DPH-12E;新中村化学工業(株)製)、およびこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコールおよび/またはプロピレングリコール残基を介して結合している構造の化合物(例えば、サートマー社から市販されている、SR454、SR499)が好ましい。また、重合性化合物としては、ジグリセリンEO(エチレンオキシド)変性(メタ)アクリレート(市販品としてはM-460;東亞合成製)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業(株)製、NKエステルA-TMMT)、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(日本化薬(株)製、KAYARAD HDDA)、RP-1040(日本化薬(株)製)、アロニックスTO-2349(東亞合成(株)製)、NKオリゴUA-7200(新中村化学工業(株)製)、8UH-1006、8UH-1012(大成ファインケミカル(株)製)、ライトアクリレートPOB-A0(共栄社化学(株)製)などを用いることもできる。
【0101】
また、重合性化合物として、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシ変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシ変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどの3官能の(メタ)アクリレート化合物を用いることも好ましい。3官能の(メタ)アクリレート化合物の市販品としては、アロニックスM-309、M-310、M-321、M-350、M-360、M-313、M-315、M-306、M-305、M-303、M-452、M-450(東亞合成(株)製)、NKエステル A9300、A-GLY-9E、A-GLY-20E、A-TMM-3、A-TMM-3L、A-TMM-3LM-N、A-TMPT、TMPT(新中村化学工業(株)製)、KAYARAD GPO-303、TMPTA、THE-330、TPA-330、PET-30(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
【0102】
重合性化合物は、酸基を有する化合物を用いることもできる。酸基を有する重合性化合物を用いることで、現像時に未露光部の着色組成物が除去されやすく、現像残渣の発生を抑制できる。酸基としては、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基等が挙げられ、カルボキシル基が好ましい。酸基を有する重合性化合物の市販品としては、アロニックスM-305、M-510、M-520、アロニックスTO-2349(東亞合成(株)製)等が挙げられる。酸基を有する重合性化合物の好ましい酸価としては、0.1~40mgKOH/gであり、より好ましくは5~30mgKOH/gである。重合性化合物の酸価が0.1mgKOH/g以上であれば、現像液に対する着色組成物の溶解性が良好であり、40mgKOH/g以下であれば、製造や取扱い上、有利である。
【0103】
重合性化合物は、カプロラクトン構造を有する化合物であることも好ましい態様である。カプロラクトン構造を有する重合性化合物は、例えば、日本化薬(株)からKAYARAD DPCAシリーズとして市販されており、DPCA-20、DPCA-30、DPCA-60、DPCA-120等が挙げられる。
【0104】
重合性化合物は、アルキレンオキシ基を有する重合性化合物を用いることもできる。アルキレンオキシ基を有する重合性化合物は、エチレンオキシ基および/またはプロピレンオキシ基を有する重合性化合物が好ましく、エチレンオキシ基を有する重合性化合物がより好ましく、エチレンオキシ基を4~20個有する3~6官能(メタ)アクリレート化合物がさらに好ましい。アルキレンオキシ基を有する重合性化合物の市販品としては、例えばサートマー社製のエチレンオキシ基を4個有する4官能(メタ)アクリレートであるSR-494、イソブチレンオキシ基を3個有する3官能(メタ)アクリレートであるKAYARAD TPA-330などが挙げられる。
【0105】
重合性化合物は、フルオレン骨格を有する重合性化合物を用いることもできる。フルオレン骨格を有する重合性化合物の市販品としては、オグソールEA-0200、EA-0300(大阪ガスケミカル(株)製、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレートモノマー)などが挙げられる。
【0106】
重合性化合物としては、トルエンなどの環境規制物質を実質的に含まない化合物を用いることも好ましい。このような化合物の市販品としては、KAYARAD DPHA LT、KAYARAD DPEA-12 LT(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
【0107】
重合性化合物としては、特公昭48-041708号公報、特開昭51-037193号公報、特公平02-032293号公報、特公平02-016765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58-049860号公報、特公昭56-017654号公報、特公昭62-039417号公報、特公昭62-039418号公報に記載されたエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物も好適である。また、特開昭63-277653号公報、特開昭63-260909号公報、特開平01-105238号公報に記載された分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する重合性化合物を用いることも好ましい。また、重合性化合物は、UA-7200(新中村化学工業(株)製)、DPHA-40H(日本化薬(株)製)、UA-306H、UA-306T、UA-306I、AH-600、T-600、AI-600、LINC-202UA(共栄社化学(株)製)などの市販品を用いることもできる。
【0108】
着色組成物の全固形分中における重合性化合物の含有量は0.1~50質量%であることが好ましい。下限は、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。上限は、45質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましい。重合性化合物は、1種単独であってもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合は、それらの合計が上記範囲となることが好ましい。
【0109】
<<光重合開始剤>>
本発明の着色組成物は光重合開始剤を含む。光重合開始剤としては、特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択することができる。例えば、紫外線領域から可視光領域の光線に対して感光性を有する化合物が好ましい。光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。
【0110】
光重合開始剤としては、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有する化合物、オキサジアゾール骨格を有する化合物など)、アシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物などが挙げられる。光重合開始剤は、露光感度の観点から、トリハロメチルトリアジン化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、ホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシム化合物、トリアリールイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物、シクロペンタジエン-ベンゼン-鉄錯体、ハロメチルオキサジアゾール化合物および3-アリール置換クマリン化合物であることが好ましく、オキシム化合物、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物、および、アシルホスフィン化合物から選ばれる化合物であることがより好ましく、オキシム化合物であることが更に好ましい。光重合開始剤としては、特開2014-130173号公報の段落0065~0111、特許第6301489号公報に記載された化合物が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0111】
α-ヒドロキシケトン化合物の市販品としては、Omnirad 184、Omnirad 1173、Omnirad 2959、Omnirad 127(以上、IGM Resins B.V.社製)、Irgacure 184、Irgacure 1173、Irgacure 2959、Irgacure 127(以上、BASF社製)などが挙げられる。α-アミノケトン化合物の市販品としては、Omnirad 907、Omnirad 369、Omnirad 369E、Omnirad 379EG(以上、IGM Resins B.V.社製)、Irgacure 907、Irgacure 369、Irgacure 369E、Irgacure 379EG(以上、BASF社製)などが挙げられる。アシルホスフィン化合物の市販品としては、Omnirad 819、Omnirad TPO(以上、IGM Resins B.V.社製)、Irgacure 819、Irgacure TPO(以上、BASF社製)などが挙げられる。
【0112】
オキシム化合物としては、特開2001-233842号公報に記載の化合物、特開2000-080068号公報に記載の化合物、特開2006-342166号公報に記載の化合物、J.C.S.Perkin II(1979年、pp.1653-1660)に記載の化合物、J.C.S.Perkin II(1979年、pp.156-162)に記載の化合物、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995年、pp.202-232)に記載の化合物、特開2000-066385号公報に記載の化合物、特開2000-080068号公報に記載の化合物、特表2004-534797号公報に記載の化合物、特開2006-342166号公報に記載の化合物、特開2017-019766号公報に記載の化合物、特許第6065596号公報に記載の化合物、国際公開第2015/152153号に記載の化合物、国際公開第2017/051680号に記載の化合物、特開2017-198865号公報に記載の化合物、国際公開第2017/164127号の段落番号0025~0038に記載の化合物、国際公開第2013/167515号に記載の化合物などが挙げられる。オキシム化合物の具体例としては、3-ベンゾイルオキシイミノブタン-2-オン、3-アセトキシイミノブタン-2-オン、3-プロピオニルオキシイミノブタン-2-オン、2-アセトキシイミノペンタン-3-オン、2-アセトキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ベンゾイルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、3-(4-トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン-2-オン、及び2-エトキシカルボニルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどが挙げられる。市販品としては、Irgacure OXE01、Irgacure OXE02、Irgacure OXE03、Irgacure OXE04(以上、BASF社製)、TR-PBG-304(常州強力電子新材料有限公司製)、アデカオプトマーN-1919((株)ADEKA製、特開2012-014052号公報に記載の光重合開始剤2)が挙げられる。また、オキシム化合物としては、着色性が無い化合物や、透明性が高く変色し難い化合物を用いることも好ましい。市販品としては、アデカアークルズNCI-730、NCI-831、NCI-930(以上、(株)ADEKA製)などが挙げられる。
【0113】
また、光重合開始剤として、フルオレン環を有するオキシム化合物を用いることもできる。フルオレン環を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2014-137466号公報に記載の化合物が挙げられる。
【0114】
また、光重合開始剤として、カルバゾール環の少なくとも1つのベンゼン環がナフタレン環となった骨格を有するオキシム化合物を用いることもできる。そのようなオキシム化合物の具体例としては、国際公開第2013/083505号に記載の化合物が挙げられる。
【0115】
また、光重合開始剤として、フッ素原子を有するオキシム化合物を用いることもできる。フッ素原子を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2010-262028号公報に記載の化合物、特表2014-500852号公報に記載の化合物24、36~40、特開2013-164471号公報に記載の化合物(C-3)などが挙げられる。
【0116】
本発明において、光重合開始剤として、ニトロ基を有するオキシム化合物を用いることができる。ニトロ基を有するオキシム化合物は、二量体とすることも好ましい。ニトロ基を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2013-114249号公報の段落番号0031~0047、特開2014-137466号公報の段落番号0008~0012、0070~0079に記載されている化合物、特許4223071号公報の段落番号0007~0025に記載されている化合物、アデカアークルズNCI-831((株)ADEKA製)が挙げられる。
【0117】
また、光重合開始剤として、ベンゾフラン骨格を有するオキシム化合物を用いることもできる。具体例としては、国際公開第2015/036910号に記載されるOE-01~OE-75が挙げられる。
【0118】
本発明において好ましく使用されるオキシム化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0119】
【化17】
【化18】
【0120】
オキシム化合物は、波長350~500nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物が好ましく、波長360~480nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物がより好ましい。また、オキシム化合物の波長365nm又は波長405nmにおけるモル吸光係数は、感度の観点から、高いことが好ましく、1000~300000であることがより好ましく、2000~300000であることが更に好ましく、5000~200000であることが特に好ましい。化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いて測定することができる。例えば、分光光度計(Varian社製Cary-5 spectrophotometer)にて、酢酸エチルを用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
【0121】
光重合開始剤としては、2官能あるいは3官能以上の光ラジカル重合開始剤を用いてもよい。そのような光ラジカル重合開始剤を用いることにより、光ラジカル重合開始剤の1分子から2つ以上のラジカルが発生するため、良好な感度が得られる。また、非対称構造の化合物を用いた場合においては、結晶性が低下して溶剤などへの溶解性が向上して、経時で析出しにくくなり、着色組成物の経時安定性を向上させることができる。2官能あるいは3官能以上の光ラジカル重合開始剤の具体例としては、特表2010-527339号公報、特表2011-524436号公報、国際公開第2015/004565号、特表2016-532675号公報の段落番号0407~0412、国際公開第2017/033680号の段落番号0039~0055に記載されているオキシム化合物の2量体、特表2013-522445号公報に記載されている化合物(E)および化合物(G)、国際公開第2016/034963号に記載されているCmpd1~7、特表2017-523465号公報の段落番号0007に記載されているオキシムエステル光開始剤、特開2017-167399号公報の段落番号0020~0033に記載されている光開始剤、特開2017-151342号公報の段落番号0017~0026に記載されている光重合開始剤(A)、特許第6469669号に記載されているオキシムエステル光開始剤などが挙げられる。
【0122】
本発明の着色組成物の全固形分中の光重合開始剤の含有量は0.1~30質量%が好ましい。下限は、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。上限は、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。本発明の着色組成物において、光重合開始剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0123】
<<樹脂>>
本発明の着色組成物は、樹脂を含有することができる。樹脂は、例えば、顔料を着色組成物中で分散させる用途やバインダーの用途で配合される。なお、主に顔料を分散させるために用いられる樹脂を分散剤ともいう。ただし、樹脂のこのような用途は一例であって、このような用途以外の目的で使用することもできる。
【0124】
樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリルアミド樹脂、エポキシ樹脂、エン・チオール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルホスフィンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、シロキサン樹脂、ポリイミン樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられる。
【0125】
樹脂の重量平均分子量(Mw)は、3000~2000000が好ましい。上限は、1000000以下が好ましく、500000以下がより好ましい。下限は、4000以上が好ましく、5000以上がより好ましい。
【0126】
本発明の着色組成物は、アルカリ可溶性樹脂を含むことが好ましい。本発明の着色組成物がアルカリ可溶性樹脂を含むことにより、着色組成物の現像性が向上し、本発明の着色組成物を用いてフォトリソグラフィ法でパターン形成した際においては、現像残渣の発生などを効果的に抑制できる。アルカリ可溶性樹脂としては、酸基を有する樹脂が挙げられる。酸基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホ基、フェノール性ヒドロキシ基などが挙げられ、カルボキシル基が好ましい。アルカリ可溶性樹脂が有する酸基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。なお、アルカリ可溶性樹脂は、分散剤として用いることもできる。
【0127】
アルカリ可溶性樹脂は、酸基を側鎖に有する繰り返し単位を含むことが好ましく、酸基を側鎖に有する繰り返し単位を樹脂の全繰り返し単位中5~70モル%含むことがより好ましい。酸基を側鎖に有する繰り返し単位の含有量の上限は、50モル%以下であることが好ましく、30モル%以下であることがより好ましい。酸基を側鎖に有する繰り返し単位の含有量の下限は、10モル%以上であることが好ましく、20モル%以上であることがより好ましい。
【0128】
アルカリ可溶性樹脂は、重合性基を有するアルカリ可溶性樹脂であることも好ましい。重合性基としては、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。重合性基を有するアルカリ可溶性樹脂は、側鎖に重合性基を有する繰り返し単位と、側鎖に酸基を有する繰り返し単位とを含む樹脂であることが好ましい。
【0129】
アルカリ可溶性樹脂は、下記式(ED1)で示される化合物および/または下記式(ED2)で表される化合物(以下、これらの化合物を「エーテルダイマー」と称することもある。)を含むモノマー成分に由来する繰り返し単位を含むことも好ましい。
【0130】
【化19】
【0131】
式(ED1)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1~25の炭化水素基を表す。
【化20】
式(ED2)中、Rは、水素原子または炭素数1~30の有機基を表す。式(ED2)の詳細については、特開2010-168539号公報の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0132】
エーテルダイマーの具体例としては、例えば、特開2013-029760号公報の段落番号0317の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0133】
アルカリ可溶性樹脂については、特開2012-208494号公報の段落番号0558~0571(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の段落番号0685~0700)の記載、特開2012-198408号公報の段落番号0076~0099の記載、特開2018-105911号公報の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0134】
アルカリ可溶性樹脂の酸価は、30~500mgKOH/gが好ましい。下限は、50mgKOH/g以上が好ましく、70mgKOH/g以上がより好ましい。上限は、400mgKOH/g以下が好ましく、300mgKOH/g以下がより好ましく、200mgKOH/g以下が更に好ましい。アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5000~100000が好ましい。
【0135】
本発明の着色組成物は、芳香族カルボキシル基を有する樹脂(以下、樹脂Acともいう)を含むことも好ましい。樹脂Acを用いることで、膜中にて顔料-トリアジン化合物(TA)-樹脂Acのネットワークが形成され易くなって膜中での顔料の凝集を効果的に抑制することができ、色ムラの少ない膜を形成することができる。樹脂Acはアルカリ可溶性樹脂でもある。
【0136】
樹脂Acにおいて、芳香族カルボキシル基は繰り返し単位の主鎖に含まれていてもよく、繰り返し単位の側鎖に含まれていてもよい。上述した効果がより顕著に得られやすいという理由から、芳香族カルボキシル基は繰り返し単位の主鎖に含まれていることが好ましい。詳細は不明だが、主鎖近くに芳香族カルボキシル基が存在することで、これらの特性がより向上するものと推測される。なお、本明細書において、芳香族カルボキシル基とは、芳香族環にカルボキシル基が1個以上結合した構造の基のことである。芳香族カルボキシル基において、芳香族環に結合したカルボキシル基の数は、1~4個であることが好ましく、1~2個であることがより好ましい。
【0137】
樹脂Acは、式(b-1)で表される繰り返し単位および式(b-10)で表される繰り返し単位から選ばれる少なくとも一種の繰り返し単位を含む樹脂であることが好ましい。
【化21】
式(b-1)中、Arは芳香族カルボキシル基を含む基を表し、Lは、-COO-または-CONH-を表し、Lは、2価の連結基を表す。
式(b-10)中、Ar10は芳香族カルボキシル基を含む基を表し、L11は、-COO-または-CONH-を表し、L12は3価の連結基を表し、P10はポリマー鎖を表す。
【0138】
まず式(b-1)について説明する。式(b-1)においてArが表す芳香族カルボキシル基を含む基としては、芳香族トリカルボン酸無水物から由来する構造、芳香族テトラカルボン酸無水物から由来する構造などが挙げられる。芳香族トリカルボン酸無水物および芳香族テトラカルボン酸無水物としては、下記構造の化合物が挙げられる。
【化22】
【0139】
上記式中、Qは、単結合、-O-、-CO-、-COOCHCHOCO-、-SO-、-C(CF-、下記式(Q-1)で表される基または下記式(Q-2)で表される基を表す。
【化23】
【0140】
Arが表す芳香族カルボキシル基を含む基の具体例としては、式(Ar-1)で表される基、式(Ar-2)で表される基、式(Ar-3)で表される基などが挙げられる。
【化24】
【0141】
式(Ar-1)中、n1は1~4の整数を表し、1または2であることが好ましく、2であることがより好ましい。
式(Ar-2)中、n2は1~8の整数を表し、1~4の整数であることが好ましく、1または2であることがより好ましく、2であることが更に好ましい。
式(Ar-3)中、n3およびn4はそれぞれ独立して0~4の整数を表し、0~2の整数であることが好ましく、1または2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。ただし、n3およびn4の少なくとも一方は1以上の整数である。
式(Ar-3)中、Qは、単結合、-O-、-CO-、-COOCHCHOCO-、-SO-、-C(CF-、上記式(Q-1)で表される基または上記式(Q-2)で表される基を表す。
【0142】
式(b-1)においてLは、-COO-または-CONH-を表し、-COO-を表すことが好ましい。
【0143】
式(b-1)においてLが表す2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-NH-、-S-およびこれらの2種以上を組み合わせた基が挙げられる。アルキレン基の炭素数は、1~30が好ましく、1~20がより好ましく、1~15が更に好ましい。アルキレン基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。アリーレン基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~10が更に好ましい。アルキレン基およびアリーレン基は置換基を有していてもよい。置換基としては、ヒドロキシ基などが挙げられる。Lが表す2価の連結基は、-O-L2a-O-で表される基であることが好ましい。L2aは、アルキレン基;アリーレン基;アルキレン基とアリーレン基とを組み合わせた基;アルキレン基およびアリーレン基から選ばれる少なくとも1種と、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-NH-および-S-から選ばれる少なくとも1種とを組み合わせた基などが挙げられる。アルキレン基の炭素数は、1~30が好ましく、1~20がより好ましく、1~15が更に好ましい。アルキレン基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。アルキレン基およびアリーレン基は置換基を有していてもよい。置換基としては、ヒドロキシ基などが挙げられる。
【0144】
次に、式(b-10)について説明する。式(b-10)においてAr10が表す芳香族カルボキシル基を含む基としては、式(b-1)のArと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0145】
式(b-10)においてL11は、-COO-または-CONH-を表し、-COO-を表すことが好ましい。
【0146】
式(b-10)においてL12が表す3価の連結基としては、炭化水素基、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-NH-、-S-およびこれらの2種以上を組み合わせた基が挙げられる。炭化水素基は、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられる。脂肪族炭化水素基の炭素数は、1~30が好ましく、1~20がより好ましく、1~15が更に好ましい。脂肪族炭化水素基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。芳香族炭化水素基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~10が更に好ましい。炭化水素基は置換基を有していてもよい。置換基としては、ヒドロキシ基などが挙げられる。
【0147】
式(b-10)においてP10はポリマー鎖を表す。P10が表すポリマー鎖は、ポリ(メタ)アクリル繰り返し単位、ポリエーテル繰り返し単位、ポリエステル繰り返し単位およびポリオール繰り返し単位から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位を有することが好ましい。ポリマー鎖P10の重量平均分子量は500~20000が好ましい。下限は1000以上が好ましい。上限は10000以下が好ましく、5000以下がより好ましく、3000以下が更に好ましい。P10の重量平均分子量が上記範囲であれば組成物中における顔料の分散性が良好である。芳香族カルボキシル基を有する樹脂が式(b-10)で表される繰り返し単位を有する樹脂である場合は、この樹脂は分散剤として好ましく用いられる。
【0148】
樹脂Acの重量平均分子量は、2000~35000が好ましい。上限は、25000以下が好ましく、15000以下がより好ましい。下限は、4000以上が好ましく、7000以上がより好ましい。
【0149】
樹脂Acの酸価は、5~200mgKOH/gが好ましい。下限は、10mgKOH/g以上が好ましく、15mgKOH/g以上がより好ましく、20mgKOH/g以上が更に好ましい。上限は、150mgKOH/g以下が好ましく、100mgKOH/g以下がより好ましい。
【0150】
本発明の着色組成物は、分散剤としての樹脂を含むこともできる。分散剤としては、酸性分散剤(酸性樹脂)、塩基性分散剤(塩基性樹脂)が挙げられる。ここで、酸性分散剤(酸性樹脂)とは、酸基の量が塩基性基の量よりも多い樹脂を表す。酸性分散剤(酸性樹脂)は、酸基の量と塩基性基の量の合計量を100モル%としたときに、酸基の量が70モル%以上を占める樹脂が好ましく、実質的に酸基のみからなる樹脂がより好ましい。酸性分散剤(酸性樹脂)が有する酸基は、カルボキシル基が好ましい。酸性分散剤(酸性樹脂)の酸価は、40~105mgKOH/gが好ましく、50~105mgKOH/gがより好ましく、60~105mgKOH/gがさらに好ましい。また、塩基性分散剤(塩基性樹脂)とは、塩基性基の量が酸基の量よりも多い樹脂を表す。塩基性分散剤(塩基性樹脂)は、酸基の量と塩基性基の量の合計量を100モル%としたときに、塩基性基の量が50モル%を超える樹脂が好ましい。塩基性分散剤が有する塩基性基は、アミノ基であることが好ましい。
【0151】
分散剤として用いる樹脂は、酸基を有する繰り返し単位を含むことが好ましい。分散剤として用いる樹脂が酸基を有する繰り返し単位を含むことにより、フォトリソグラフィ法によりパターン形成する際、現像残渣の発生をより抑制できる。
【0152】
分散剤として用いる樹脂は、グラフト樹脂であることも好ましい。グラフト樹脂の詳細は、特開2012-255128号公報の段落番号0025~0094の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0153】
分散剤として用いる樹脂は、主鎖及び側鎖の少なくとも一方に窒素原子を含むポリイミン系分散剤であることも好ましい。ポリイミン系分散剤としては、pKa14以下の官能基を有する部分構造を有する主鎖と、原子数40~10000の側鎖とを有し、かつ主鎖及び側鎖の少なくとも一方に塩基性窒素原子を有する樹脂が好ましい。塩基性窒素原子とは、塩基性を呈する窒素原子であれば特に制限はない。ポリイミン系分散剤については、特開2012-255128号公報の段落番号0102~0166の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0154】
分散剤として用いる樹脂は、コア部に複数個のポリマー鎖が結合した構造の樹脂であることも好ましい。このような樹脂としては、例えばデンドリマー(星型ポリマーを含む)が挙げられる。また、デンドリマーの具体例としては、特開2013-043962号公報の段落番号0196~0209に記載された高分子化合物C-1~C-31などが挙げられる。
【0155】
また、上述した樹脂Acを分散剤として用いることもできる。
【0156】
分散剤として用いる樹脂は、エチレン性不飽和結合含有基を側鎖に有する繰り返し単位を含む樹脂であることも好ましい。エチレン性不飽和結合含有基を側鎖に有する繰り返し単位の含有量は、樹脂の全繰り返し単位中10モル%以上であることが好ましく、10~80モル%であることがより好ましく、20~70モル%であることが更に好ましい。また、分散剤は、特開2018-087939号公報に記載された樹脂を用いることもできる。
【0157】
分散剤は、市販品としても入手可能であり、そのような具体例としては、ビックケミー・ジャパン社製のDISPERBYKシリーズ、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSEシリーズ、BASF社製のEfkaシリーズ、味の素ファインテクノ(株)製のアジスパーシリーズ等が挙げられる。また、特開2012-137564号公報の段落番号0129に記載された製品、特開2017-194662号公報の段落番号0235に記載された製品を分散剤として用いることもできる。また、分散剤は、特開2018-150498号公報、特開2017-100116号公報、特開2017-100115号公報、特開2016-108520号公報、特開2016-108519号公報、特開2015-232105号公報に記載の化合物を用いてもよい。
【0158】
本発明の着色組成物が樹脂を含む場合、着色組成物の全固形分中における樹脂の含有量は、5~50質量%が好ましい。下限は、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。上限は、40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。
【0159】
また、着色組成物の全固形分中における酸基を有する樹脂の含有量は、5~50質量%が好ましい。下限は、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。上限は、40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。また、樹脂全量中における酸基を有する樹脂の含有量は、優れた現像性が得られやすいという理由から30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましく、80質量%以上が特に好ましい。上限は、100質量%とすることができ、95質量%とすることもでき、90質量%以下とすることもできる。
【0160】
また、着色組成物の全固形分中におけるアルカリ可溶性樹脂の含有量は、5~50質量%が好ましい。下限は、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。上限は、40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。また、樹脂全量中におけるアルカリ可溶性樹脂の含有量は、優れた現像性が得られやすいという理由から30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましく、80質量%以上が特に好ましい。上限は、100質量%とすることができ、95質量%とすることもでき、90質量%以下とすることもできる。
【0161】
また、着色組成物の全固形分中における樹脂Acの含有量は、1~50質量%が好ましい。下限は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。上限は、45質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、35質量%以下が更に好ましい。また、樹脂全量中における樹脂Acの含有量は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましい。上限は、100質量%とすることもでき、99質量%以下とすることもでき、95質量%以下とすることもでき、90質量%以下とすることもできる。
【0162】
また、着色組成物の全固形分中における重合性化合物と樹脂との合計の含有量は、硬化性、現像性および被膜形成性の観点から10~65質量%が好ましい。下限は、15質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上が更に好ましい。上限は、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましい。また、重合性化合物の100質量部に対して、樹脂を30~300質量部含有することが好ましい。下限は50質量部以上が好ましく、80質量部以上がより好ましい。上限は250質量部以下が好ましく、200質量部以下がより好ましい。
【0163】
<<環状エーテル基を有する化合物>>
本発明の着色組成物は、環状エーテル基を有する化合物を含有することができる。環状エーテル基としては、エポキシ基、オキセタニル基などが挙げられる。環状エーテル基を有する化合物は、エポキシ基を有する化合物であることが好ましい。エポキシ基を有する化合物としては、1分子内にエポキシ基を1つ以上有する化合物が挙げられ、エポキシ基を2つ以上有する化合物が好ましい。エポキシ基は、1分子内に1~100個有することが好ましい。エポキシ基の上限は、例えば、10個以下とすることもでき、5個以下とすることもできる。エポキシ基の下限は、2個以上が好ましい。エポキシ基を有する化合物としては、特開2013-011869号公報の段落番号0034~0036、特開2014-043556号公報の段落番号0147~0156、特開2014-089408号公報の段落番号0085~0092に記載された化合物、特開2017-179172号公報に記載された化合物を用いることもできる。これらの内容は、本明細書に組み込まれる。
【0164】
エポキシ基を有する化合物は、低分子化合物(例えば、分子量1000未満)でもよいし、高分子化合物(macromolecule)(例えば、分子量1000以上、ポリマーの場合は、重量平均分子量が1000以上)のいずれでもよい。エポキシ基を有する化合物の重量平均分子量は、200~100000が好ましく、500~50000がより好ましい。重量平均分子量の上限は、10000以下が好ましく、5000以下がより好ましく、3000以下が更に好ましい。
【0165】
エポキシ基を有する化合物としては、エポキシ樹脂を好ましく用いることができる。エポキシ樹脂としては、例えばフェノール化合物のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂、各種ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、エポキシ基をもつケイ素化合物とそれ以外のケイ素化合物との縮合物、エポキシ基を持つ重合性不飽和化合物とそれ以外の他の重合性不飽和化合物との共重合体等が挙げられる。エポキシ樹脂のエポキシ当量は、310~3300g/eqであることが好ましく、310~1700g/eqであることがより好ましく、310~1000g/eqであることが更に好ましい。
【0166】
環状エーテル基を有する化合物の市販品としては、例えば、EHPE3150((株)ダイセル製)、EPICLON N-695(DIC(株)製)、マープルーフG-0150M、G-0105SA、G-0130SP、G-0250SP、G-1005S、G-1005SA、G-1010S、G-2050M、G-01100、G-01758(以上、日油(株)製、エポキシ基含有ポリマー)等が挙げられる。
【0167】
本発明の着色組成物が環状エーテル基を有する化合物を含有する場合、着色組成物の全固形分中における環状エーテル基を有する化合物の含有量は、0.1~20質量%が好ましい。下限は、例えば0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。上限は、例えば、15質量%以下が好ましく、10質量%以下が更に好ましい。環状エーテル基を有する化合物は1種のみでもよく、2種以上でもよい。2種以上の場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0168】
<<シランカップリング剤>>
本発明の着色組成物は、シランカップリング剤を含有することができる。この態様によれば、得られる膜の支持体との密着性をより向上させることができる。本発明において、シランカップリング剤は、加水分解性基とそれ以外の官能基とを有するシラン化合物を意味する。また、加水分解性基とは、ケイ素原子に直結し、加水分解反応及び縮合反応の少なくともいずれかによってシロキサン結合を生じ得る置換基をいう。加水分解性基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基などが挙げられ、アルコキシ基が好ましい。すなわち、シランカップリング剤は、アルコキシシリル基を有する化合物が好ましい。また、加水分解性基以外の官能基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、エポキシ基、オキセタニル基、アミノ基、ウレイド基、スルフィド基、イソシアネート基、フェニル基などが挙げられ、アミノ基、(メタ)アクリロイル基およびエポキシ基が好ましい。シランカップリング剤の具体例としては、N-β-アミノエチル-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名 KBM-602)、N-β-アミノエチル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名 KBM-603)、N-β-アミノエチル-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名 KBE-602)、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名 KBM-903)、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名 KBE-903)、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名 KBM-502)、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名 KBM-503)等がある。また、シランカップリング剤の具体例については、特開2009-288703号公報の段落番号0018~0036に記載の化合物、特開2009-242604号公報の段落番号0056~0066に記載の化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0169】
着色組成物の全固形分中におけるシランカップリング剤の含有量は、0.1~5質量%が好ましい。上限は、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。下限は、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。シランカップリング剤は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。2種以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0170】
<<溶剤>>
本発明の着色組成物は、溶剤を含有することができる。溶剤としては、有機溶剤が挙げられる。溶剤は、各成分の溶解性や着色組成物の塗布性を満足すれば基本的には特に制限はない。有機溶剤としては、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、炭化水素系溶剤などが挙げられる。これらの詳細については、国際公開第2015/166779号の段落番号0223を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。また、環状アルキル基が置換したエステル系溶剤、環状アルキル基が置換したケトン系溶剤を好ましく用いることもできる。有機溶剤の具体例としては、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジクロロメタン、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、酢酸シクロヘキシル、シクロペンタノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミドなどが挙げられる。ただし溶剤としての芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等)は、環境面等の理由により低減したほうがよい場合がある(例えば、有機溶剤全量に対して、50質量ppm(parts per million)以下とすることもでき、10質量ppm以下とすることもでき、1質量ppm以下とすることもできる)。
【0171】
本発明においては、金属含有量の少ない溶剤を用いることが好ましく、溶剤の金属含有量は、例えば10質量ppb(parts per billion)以下であることが好ましい。必要に応じて質量ppt(parts per trillion)レベルの溶剤を用いてもよく、そのような高純度溶剤は例えば東洋合成社が提供している(化学工業日報、2015年11月13日)。
【0172】
溶剤から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、蒸留(分子蒸留や薄膜蒸留等)やフィルタを用いたろ過を挙げることができる。ろ過に用いるフィルタのフィルタ孔径としては、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、3μm以下が更に好ましい。フィルタの材質は、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンまたはナイロンが好ましい。
【0173】
溶剤は、異性体(原子数が同じであるが構造が異なる化合物)が含まれていてもよい。また、異性体は、1種のみが含まれていてもよいし、複数種含まれていてもよい。
【0174】
本発明において、有機溶剤中の過酸化物の含有率が0.8mmol/L以下であることが好ましく、過酸化物を実質的に含まないことがより好ましい。
【0175】
着色組成物中における溶剤の含有量は、10~95質量%であることが好ましく、20~90質量%であることがより好ましく、30~90質量%であることが更に好ましい。
【0176】
また、本発明の着色組成物は、環境規制の観点から環境規制物質を実質的に含有しないことが好ましい。なお、本発明において、環境規制物質を実質的に含有しないとは、着色組成物中における環境規制物質の含有量が50質量ppm以下であることを意味し、30質量ppm以下であることが好ましく、10質量ppm以下であることが更に好ましく、1質量ppm以下であることが特に好ましい。環境規制物質は、例えばベンゼン;トルエン、キシレン等のアルキルベンゼン類;クロロベンゼン等のハロゲン化ベンゼン類等が挙げられる。これらは、REACH(Registration Evaluation Authorization and Restriction of CHemicals)規則、PRTR(Pollutant Release and Transfer Register)法、VOC(Volatile Organic Compounds)規制等のもとに環境規制物質として登録されており、使用量や取り扱い方法が厳しく規制されている。これらの化合物は、本発明の着色組成物に用いられる各成分などを製造する際に溶媒として用いられることがあり、残留溶媒として着色組成物中に混入することがある。人への安全性、環境への配慮の観点よりこれらの物質は可能な限り低減することが好ましい。環境規制物質を低減する方法としては、系中を加熱や減圧して環境規制物質の沸点以上にして系中から環境規制物質を留去して低減する方法が挙げられる。また、少量の環境規制物質を留去する場合においては、効率を上げる為に該当溶媒と同等の沸点を有する溶媒と共沸させることも有用である。また、ラジカル重合性を有する化合物を含有する場合、減圧留去中にラジカル重合反応が進行して分子間で架橋してしまうことを抑制するために重合禁止剤等を添加して減圧留去してもよい。これらの留去方法は、原料の段階、原料を反応させた生成物(例えば重合した後の樹脂溶液や多官能モノマー溶液)の段階、またはこれらの化合物を混ぜて作製した着色組成物の段階などのいずれの段階でも可能である。
【0177】
<<重合禁止剤>>
本発明の着色組成物は、重合禁止剤を含有することができる。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p-メトキシフェノール、ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ピロガロール、tert-ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、N-ニトロソフェニルヒドロキシアミン塩(アンモニウム塩、第一セリウム塩等)が挙げられる。中でも、p-メトキシフェノールが好ましい。着色組成物の全固形分中における重合禁止剤の含有量は、0.0001~5質量%が好ましい。
【0178】
<<界面活性剤>>
本発明の着色組成物は、界面活性剤を含有することができる。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用することができる。界面活性剤については、国際公開第2015/166779号の段落番号0238~0245に記載された界面活性剤が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0179】
本発明において、界面活性剤はフッ素系界面活性剤であることが好ましい。着色組成物にフッ素系界面活性剤を含有させることで液特性(特に、流動性)がより向上し、省液性をより改善することができる。また、厚みムラの小さい膜を形成することもできる。
【0180】
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3~40質量%が好適であり、より好ましくは5~30質量%であり、特に好ましくは7~25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、着色組成物中における溶解性も良好である。
【0181】
フッ素系界面活性剤としては、特開2014-041318号公報の段落番号0060~0064(対応する国際公開第2014/017669号の段落番号0060~0064)等に記載の界面活性剤、特開2011-132503号公報の段落番号0117~0132に記載の界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、メガファックF171、F172、F173、F176、F177、F141、F142、F143、F144、R30、F437、F475、F479、F482、F554、F780、EXP、MFS-330(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、FC431、FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS-382、SC-101、SC-103、SC-104、SC-105、SC-1068、SC-381、SC-383、S-393、KH-40(以上、AGC(株)製)、PolyFox PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(以上、OMNOVA社製)等が挙げられる。
【0182】
また、フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を含有する官能基を持つ分子構造を有し、熱を加えるとフッ素原子を含有する官能基の部分が切断されてフッ素原子が揮発するアクリル系化合物も好適に使用できる。このようなフッ素系界面活性剤としては、DIC(株)製のメガファックDSシリーズ(化学工業日報(2016年2月22日)、日経産業新聞(2016年2月23日))、例えばメガファックDS-21が挙げられる。
【0183】
また、フッ素系界面活性剤は、フッ素化アルキル基またはフッ素化アルキレンエーテル基を有するフッ素原子含有ビニルエーテル化合物と、親水性のビニルエーテル化合物との重合体を用いることも好ましい。このようなフッ素系界面活性剤は、特開2016-216602号公報に記載されたフッ素系界面活性剤が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0184】
フッ素系界面活性剤は、ブロックポリマーを用いることもできる。例えば特開2011-089090号公報に記載された化合物が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、アルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基)を2以上(好ましくは5以上)有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、を含む含フッ素高分子化合物も好ましく用いることができる。下記化合物も本発明で用いられるフッ素系界面活性剤として例示される。
【化25】
上記の化合物の重量平均分子量は、好ましくは3000~50000であり、例えば、14000である。上記の化合物中、繰り返し単位の割合を示す%はモル%である。
【0185】
また、フッ素系界面活性剤は、エチレン性不飽和結合含有基を側鎖に有する含フッ素重合体を用いることもできる。具体例としては、特開2010-164965号公報の段落番号0050~0090および段落番号0289~0295に記載された化合物、DIC(株)製のメガファックRS-101、RS-102、RS-718K、RS-72-K等が挙げられる。また、フッ素系界面活性剤は、特開2015-117327号公報の段落番号0015~0158に記載の化合物を用いることもできる。
【0186】
ノニオン系界面活性剤としては、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセロールエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル、プルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2(BASF社製)、テトロニック304、701、704、901、904、150R1(BASF社製)、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株)製)、NCW-101、NCW-1001、NCW-1002(富士フイルム和光純薬(株)製)、パイオニンD-6112、D-6112-W、D-6315(竹本油脂(株)製)、オルフィンE1010、サーフィノール104、400、440(日信化学工業(株)製)などが挙げられる。
【0187】
シリコン系界面活性剤としては、例えば、トーレシリコーンDC3PA、トーレシリコーンSH7PA、トーレシリコーンDC11PA、トーレシリコーンSH21PA、トーレシリコーンSH28PA、トーレシリコーンSH29PA、トーレシリコーンSH30PA、トーレシリコーンSH8400(以上、東レ・ダウコーニング(株)製)、TSF-4440、TSF-4300、TSF-4445、TSF-4460、TSF-4452(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、KP-341、KF-6001、KF-6002(以上、信越シリコーン株式会社製)、BYK307、BYK323、BYK330(以上、ビックケミー社製)等が挙げられる。
【0188】
着色組成物の全固形分中における界面活性剤の含有量は、0.001質量%~5.0質量%が好ましく、0.005~3.0質量%がより好ましい。界面活性剤は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。2種以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0189】
<<紫外線吸収剤>>
本発明の着色組成物は、紫外線吸収剤を含有することができる。紫外線吸収剤は、共役ジエン化合物、アミノジエン化合物、サリシレート化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、アクリロニトリル化合物、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物、インドール化合物、トリアジン化合物などを用いることができる。このような化合物としては、特開2009-217221号公報の段落番号0038~0052、特開2012-208374号公報の段落番号0052~0072、特開2013-068814号公報の段落番号0317~0334、特開2016-162946号公報の段落番号0061~0080に記載された化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。紫外線吸収剤の具体例としては、下記構造の化合物などが挙げられる。紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、UV-503(大東化学(株)製)などが挙げられる。また、ベンゾトリアゾール化合物としては、ミヨシ油脂製のMYUAシリーズ(化学工業日報、2016年2月1日)が挙げられる。また、紫外線吸収剤は、特許第6268967号公報の段落番号0049~0059に記載された化合物を用いることもできる。
【化26】
【0190】
着色組成物の全固形分中における紫外線吸収剤の含有量は、0.01~10質量%が好ましく、0.01~5質量%がより好ましい。本発明において、紫外線吸収剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0191】
<<酸化防止剤>>
本発明の着色組成物は、酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤としては、フェノール化合物、亜リン酸エステル化合物、チオエーテル化合物などが挙げられる。フェノール化合物としては、フェノール系酸化防止剤として知られる任意のフェノール化合物を使用することができる。好ましいフェノール化合物としては、ヒンダードフェノール化合物が挙げられる。フェノール性ヒドロキシ基に隣接する部位(オルト位)に置換基を有する化合物が好ましい。前述の置換基としては炭素数1~22の置換又は無置換のアルキル基が好ましい。また、酸化防止剤は、同一分子内にフェノール基と亜リン酸エステル基を有する化合物も好ましい。また、酸化防止剤は、リン系酸化防止剤も好適に使用することができる。リン系酸化防止剤としてはトリス[2-[[2,4,8,10-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-6-イル]オキシ]エチル]アミン、トリス[2-[(4,6,9,11-テトラ-tert-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-2-イル)オキシ]エチル]アミン、亜リン酸エチルビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)などが挙げられる。酸化防止剤の市販品としては、例えば、アデカスタブ AO-20、アデカスタブ AO-30、アデカスタブ AO-40、アデカスタブ AO-50、アデカスタブ AO-50F、アデカスタブ AO-60、アデカスタブ AO-60G、アデカスタブ AO-80、アデカスタブ AO-330(以上、(株)ADEKA製)などが挙げられる。また、酸化防止剤は、特許第6268967号公報の段落番号0023~0048に記載された化合物、国際公開第2017/006600号に記載された化合物、国際公開第2017/164024号に記載された化合物を使用することもできる。
【0192】
着色組成物の全固形分中における酸化防止剤の含有量は、0.01~20質量%であることが好ましく、0.3~15質量%であることがより好ましい。酸化防止剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0193】
<<その他成分>>
本発明の着色組成物は、必要に応じて、増感剤、硬化促進剤、フィラー、熱硬化促進剤、可塑剤及びその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)を含有してもよい。これらの成分を適宜含有させることにより、膜物性などの性質を調整することができる。これらの成分については、例えば、特開2012-003225号公報の段落番号0183以降(対応する米国特許出願公開第2013/0034812号明細書の段落番号0237)の記載、特開2008-250074号公報の段落番号0101~0104、0107~0109等の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。また、本発明の着色組成物は、必要に応じて、潜在酸化防止剤を含有してもよい。潜在酸化防止剤としては、酸化防止剤として機能する部位が保護基で保護された化合物であって、100~250℃で加熱するか、又は酸/塩基触媒存在下で80~200℃で加熱することにより保護基が脱離して酸化防止剤として機能する化合物が挙げられる。潜在酸化防止剤としては、国際公開第2014/021023号、国際公開第2017/030005号、特開2017-008219号公報に記載された化合物が挙げられる。潜在酸化防止剤の市販品としては、アデカアークルズGPA-5001((株)ADEKA製)等が挙げられる。また、特開2018-155881号公報に記載されているように、C.I.ピグメントイエロー129を耐候性改良の目的で添加しても良い。
【0194】
また、下記式(Q1)で表される化合物を添加してもよい。具体例としては、7,7,8,8-テトラシアノキノジメタンなどが挙げられる。
【化27】
【0195】
式(Q1)中、Rq~Rqは、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルデヒド基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基、ボロニル基、または、ホスフィノ基を表し、RqとRq、RqとRqは互いに結合して環を形成しても良い。
【0196】
本発明の着色組成物は、可視光領域におけるモル吸光係数εの最大値が0以上3000以下であり、かつ下記式(1)で表わされるイオン性化合物を含有することができる。
・・・(1)
式(1)において、Xは、有機または無機のカチオンであり、Zは、シアノ基を有するアニオン、ニトロ基を有するアニオン、ハロゲン化炭化水素基を有するアニオン、PF 、またはBF を表す。
【0197】
イオン性化合物の具体例としては、カリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、カリウム N,N-ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド、セシウム トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドおよびテトラキス(ペンタフルオフロフェニル)ホウ酸リチウムなどが挙げられる。また、イオン性化合物の具体例としては、特開2016-133604号公報の段落番号0086~0122に記載された化合物も挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0198】
本発明の着色組成物は、得られる膜の屈折率を調整するために金属酸化物を含有させてもよい。金属酸化物としては、TiO、ZrO、Al、SiO等が挙げられる。金属酸化物の一次粒子径は1~100nmが好ましく、3~70nmがより好ましく、5~50nmが更に好ましい。金属酸化物はコア-シェル構造を有していてもよい。また、この場合、コア部は中空状であってもよい。
【0199】
本発明の着色組成物は、耐光性改良剤を含んでもよい。耐光性改良剤としては、特開2017-198787号公報の段落番号0036~0037に記載の化合物、特開2017-146350号公報の段落番号0029~0034に記載の化合物、特開2017-129774号公報の段落番号0036~0037、0049~0052に記載の化合物、特開2017-129674号公報の段落番号0031~0034、0058~0059に記載の化合物、特開2017-122803号公報の段落番号0036~0037、0051~0054に記載の化合物、国際公開第2017/164127号の段落番号0025~0039に記載の化合物、特開2017-186546号公報の段落番号0034~0047に記載の化合物、特開2015-025116号公報の段落番号0019~0041に記載の化合物、特開2012-145604号公報の段落番号0101~0125に記載の化合物、特開2012-103475号公報の段落番号0018~0021に記載の化合物、特開2011-257591号公報の段落番号0015~0018に記載の化合物、特開2011-191483号公報の段落番号0017~0021に記載の化合物、特開2011-145668号公報の段落番号0108~0116に記載の化合物、特開2011-253174号公報の段落番号0103~0153に記載の化合物などが挙げられる。
【0200】
本発明の着色組成物は、顔料などと結合または配位していない遊離の金属の含有量が100ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましく、10ppm以下であることが更に好ましく、実質的に含有しないことが特に好ましい。この態様によれば、顔料分散性の安定化(凝集抑止)、分散性良化に伴う分光特性の向上、硬化性成分の安定化、金属原子・金属イオンの溶出に伴う導電性変動の抑止、表示特性の向上などの効果が期待できる。また、特開2012-153796号公報、特開2000-345085号公報、特開2005-200560号公報、特開平08-043620号公報、特開2004-145078号公報、特開2014-119487号公報、特開2010-083997号公報、特開2017-090930号公報、特開2018-025612号公報、特開2018-025797号公報、特開2017-155228号公報、特開2018-036521号公報などに記載された効果も得られる。上記の遊離の金属の種類としては、Na、K、Ca、Sc、Ti、Mn、Cu、Zn、Fe、Cr、Co、Mg、Al、Sn、Zr、Ga、Ge、Ag、Au、Pt、Cs、Ni、Cd、Pb、Bi等が挙げられる。また、本発明の着色組成物は、顔料などと結合または配位していない遊離のハロゲンの含有量が100ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましく、10ppm以下であることが更に好ましく、実質的に含有しないことが特に好ましい。ハロゲンとしては、F、Cl、Br、I及びそれらの陰イオンが挙げられる。着色組成物中の遊離の金属やハロゲンの低減方法としては、イオン交換水による洗浄、ろ過、限外ろ過、イオン交換樹脂による精製等の方法が挙げられる。
【0201】
本発明の着色組成物は、テレフタル酸エステルを実質的に含まないことも好ましい。ここで、「実質的に含まない」とは、テレフタル酸エステルの含有量が、着色組成物の全量中、1000質量ppb以下であることを意味し、100質量ppb以下であることがより好ましく、ゼロであることが特に好ましい。
【0202】
<収容容器>
本発明の着色組成物の収容容器としては、特に限定はなく、公知の収容容器を用いることができる。また、収容容器として、原材料や着色組成物中への不純物混入を抑制することを目的に、容器内壁を6種6層の樹脂で構成する多層ボトルや6種の樹脂を7層構造にしたボトルを使用することも好ましい。このような容器としては例えば特開2015-123351号公報に記載の容器が挙げられる。また、容器内壁は、容器内壁からの金属溶出を防ぎ、組成物の保存安定性を高めたり、成分変質を抑制するなど目的で、ガラス製やステンレス製などにすることも好ましい。
【0203】
<着色組成物の調製方法>
本発明の着色組成物は、前述の成分を混合して調製できる。着色組成物の調製に際しては、全成分を同時に溶剤に溶解および/または分散して着色組成物を調製してもよいし、必要に応じて、各成分を適宜2つ以上の溶液または分散液としておいて、使用時(塗布時)にこれらを混合して着色組成物を調製してもよい。
【0204】
また、着色組成物の調製に際して、顔料を分散させるプロセスを含むことが好ましい。顔料を分散させるプロセスにおいて、顔料の分散に用いる機械力としては、圧縮、圧搾、衝撃、剪断、キャビテーションなどが挙げられる。これらプロセスの具体例としては、ビーズミル、サンドミル、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、マイクロフルイダイザー、高速インペラー、サンドグラインダー、フロージェットミキサー、高圧湿式微粒化、超音波分散などが挙げられる。またサンドミル(ビーズミル)における顔料の粉砕においては、径の小さいビーズを使用する、ビーズの充填率を大きくする事等により粉砕効率を高めた条件で処理することが好ましい。また、粉砕処理後にろ過、遠心分離などで粗粒子を除去することが好ましい。また、顔料を分散させるプロセスおよび分散機は、「分散技術大全、株式会社情報機構発行、2005年7月15日」や「サスペンション(固/液分散系)を中心とした分散技術と工業的応用の実際 総合資料集、経営開発センター出版部発行、1978年10月10日」、特開2015-157893号公報の段落番号0022に記載のプロセス及び分散機を好適に使用出来る。また顔料を分散させるプロセスにおいては、ソルトミリング工程にて粒子の微細化処理を行ってもよい。ソルトミリング工程に用いられる素材、機器、処理条件等は、例えば特開2015-194521号公報、特開2012-046629号公報の記載を参酌できる。
【0205】
着色組成物の調製にあたり、異物の除去や欠陥の低減などの目的で、着色組成物をフィルタでろ過することが好ましい。フィルタとしては、従来からろ過用途等に用いられているフィルタであれば特に限定されることなく用いることができる。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂、ナイロン(例えばナイロン-6、ナイロン-6,6)等のポリアミド樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量のポリオレフィン樹脂を含む)等の素材を用いたフィルタが挙げられる。これら素材の中でもポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)およびナイロンが好ましい。
【0206】
フィルタの孔径は、0.01~7.0μmが好ましく、0.01~3.0μmがより好ましく、0.05~0.5μmが更に好ましい。フィルタの孔径が上記範囲であれば、微細な異物をより確実に除去できる。フィルタの孔径値については、フィルタメーカーの公称値を参照することができる。フィルタは、日本ポール株式会社(DFA4201NIEYなど)、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)および株式会社キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタを用いることができる。
【0207】
また、フィルタとしてファイバ状のろ材を用いることも好ましい。ファイバ状のろ材としては、例えばポリプロピレンファイバ、ナイロンファイバ、グラスファイバ等が挙げられる。市販品としては、ロキテクノ社製のSBPタイプシリーズ(SBP008など)、TPRタイプシリーズ(TPR002、TPR005など)、SHPXタイプシリーズ(SHPX003など)が挙げられる。
【0208】
フィルタを使用する際、異なるフィルタ(例えば、第1のフィルタと第2のフィルタなど)を組み合わせてもよい。その際、各フィルタでのろ過は、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。また、上述した範囲内で異なる孔径のフィルタを組み合わせてもよい。また、第1のフィルタでのろ過は、分散液のみに対して行い、他の成分を混合した後で、第2のフィルタでろ過を行ってもよい。
【0209】
<膜>
本発明の膜は、上述した本発明の着色組成物から得られる膜である。本発明の膜は、カラーフィルタ、近赤外線透過フィルタ、近赤外線カットフィルタ、ブラックマトリクス、遮光膜、屈折率調整膜などに用いることができる。本発明の膜は、カラーフィルタの着色画素として好ましく用いることができる。着色画素としては、赤色画素、緑色画素、青色画素、マゼンタ色画素、シアン色画素、イエロー色画素などが挙げられ、緑色画素であることが好ましい。本発明の膜の膜厚は、目的に応じて適宜調整できる。例えば、膜厚は、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましい。膜厚の下限は、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上がさらに好ましい。
【0210】
<膜の製造方法>
本発明の膜は、上述した本発明の着色組成物を支持体上に塗布する工程を経て製造できる。本発明の膜の製造方法においては、更にパターン(画素)を形成する工程を含むことが好ましい。パターン(画素)の形成方法としては、フォトリソグラフィ法が好ましい。
【0211】
フォトリソグラフィ法によるパターン形成は、本発明の着色組成物を用いて支持体上に着色組成物層を形成する工程と、着色組成物層をパターン状に露光する工程と、着色組成物層の未露光部を現像除去してパターン(画素)を形成する工程と、を含むことが好ましい。必要に応じて、着色組成物層をベークする工程(プリベーク工程)、および、現像されたパターン(画素)をベークする工程(ポストベーク工程)を設けてもよい。
【0212】
<<着色組成物層を形成する工程>>
着色組成物層を形成する工程では、本発明の着色組成物を用いて、支持体上に着色組成物層を形成する。支持体としては、特に限定は無く、用途に応じて適宜選択できる。例えば、ガラス基板、シリコン基板などが挙げられ、シリコン基板であることが好ましい。また、シリコン基板には、電荷結合素子(CCD)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)、透明導電膜などが形成されていてもよい。また、シリコン基板には、各画素を隔離するブラックマトリクスが形成されている場合もある。また、シリコン基板には、上部の層との密着性改良、物質の拡散防止或いは基板表面の平坦化のために下塗り層が設けられていてもよい。下塗り層の表面接触角は、ジヨードメタンで測定した際に20~70°であることが好まい。また、水で測定した際に30~80°であることが好ましい。下塗り層の表面接触角が上記範囲であれば、着色組成物の塗れ性が良好である。下塗り層の表面接触角の調整は、たとえば、界面活性剤の添加などの方法で行うことができる。
【0213】
着色組成物の塗布方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、滴下法(ドロップキャスト);スリットコート法;スプレー法;ロールコート法;回転塗布法(スピンコーティング);流延塗布法;スリットアンドスピン法;プリウェット法(たとえば、特開2009-145395号公報に記載されている方法);インクジェット(例えばオンデマンド方式、ピエゾ方式、サーマル方式)、ノズルジェット等の吐出系印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、反転オフセット印刷、メタルマスク印刷法などの各種印刷法;金型等を用いた転写法;ナノインプリント法などが挙げられる。インクジェットでの適用方法としては、特に限定されず、例えば「広がる・使えるインクジェット-特許に見る無限の可能性-、2005年2月発行、住ベテクノリサーチ」に示された方法(特に115ページ~133ページ)や、特開2003-262716号公報、特開2003-185831号公報、特開2003-261827号公報、特開2012-126830号公報、特開2006-169325号公報などに記載の方法が挙げられる。また、着色組成物の塗布方法については、国際公開第2017/030174号、国際公開第2017/018419号の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0214】
支持体上に形成した着色組成物層は、乾燥(プリベーク)してもよい。低温プロセスにより膜を製造する場合は、プリベークを行わなくてもよい。プリベークを行う場合、プリベーク温度は、150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましく、110℃以下が更に好ましい。下限は、例えば、50℃以上とすることができ、80℃以上とすることもできる。プリベーク時間は、10~300秒が好ましく、40~250秒がより好ましく、80~220秒がさらに好ましい。プリベークは、ホットプレート、オーブン等で行うことができる。
【0215】
<<露光工程>>
次に、着色組成物層をパターン状に露光する(露光工程)。例えば、着色組成物層に対し、ステッパー露光機やスキャナ露光機などを用いて、所定のマスクパターンを有するマスクを介して露光することで、パターン状に露光することができる。これにより、露光部分を硬化することができる。
【0216】
露光に際して用いることができる放射線(光)としては、g線、i線等が挙げられる。また、波長300nm以下の光(好ましくは波長180~300nmの光)を用いることもできる。波長300nm以下の光としては、KrF線(波長248nm)、ArF線(波長193nm)などが挙げられ、KrF線(波長248nm)が好ましい。また、300nm以上の長波な光源も利用できる。
【0217】
また、露光に際して、光を連続的に照射して露光してもよく、パルス的に照射して露光(パルス露光)してもよい。なお、パルス露光とは、短時間(例えば、ミリ秒レベル以下)のサイクルで光の照射と休止を繰り返して露光する方式の露光方法のことである。パルス露光の場合、パルス幅は、100ナノ秒(ns)以下であることが好ましく、50ナノ秒以下であることがより好ましく、30ナノ秒以下であることが更に好ましい。パルス幅の下限は、特に限定はないが、1フェムト秒(fs)以上とすることができ、10フェムト秒以上とすることもできる。周波数は、1kHz以上であることが好ましく、2kHz以上であることがより好ましく、4kHz以上であることが更に好ましい。周波数の上限は50kHz以下であることが好ましく、20kHz以下であることがより好ましく、10kHz以下であることが更に好ましい。最大瞬間照度は、50000000W/m以上であることが好ましく、100000000W/m以上であることがより好ましく、200000000W/m以上であることが更に好ましい。また、最大瞬間照度の上限は、1000000000W/m以下であることが好ましく、800000000W/m以下であることがより好ましく、500000000W/m以下であることが更に好ましい。なお、パルス幅とは、パルス周期における光が照射されている時間のことである。また、周波数とは、1秒あたりのパルス周期の回数のことである。また、最大瞬間照度とは、パルス周期における光が照射されている時間内での平均照度のことである。また、パルス周期とは、パルス露光における光の照射と休止を1サイクルとする周期のことである。
【0218】
照射量(露光量)は、例えば、0.03~2.5J/cmが好ましく、0.05~1.0J/cmがより好ましい。露光時における酸素濃度については適宜選択することができ、大気下で行う他に、例えば酸素濃度が19体積%以下の低酸素雰囲気下(例えば、15体積%、5体積%、または、実質的に無酸素)で露光してもよく、酸素濃度が21体積%を超える高酸素雰囲気下(例えば、22体積%、30体積%、または、50体積%)で露光してもよい。また、露光照度は適宜設定することが可能であり、通常1000W/m~100000W/m(例えば、5000W/m、15000W/m、または、35000W/m)の範囲から選択することができる。酸素濃度と露光照度は適宜条件を組み合わせてよく、例えば、酸素濃度10体積%で照度10000W/m、酸素濃度35体積%で照度20000W/mなどとすることができる。
【0219】
<<現像工程>>
次に、着色組成物層の未露光部を現像除去してパターン(画素)を形成する。着色組成物層の未露光部の現像除去は、現像液を用いて行うことができる。これにより、露光工程における未露光部の着色組成物層が現像液に溶出し、光硬化した部分だけが残る。現像液の温度は、例えば、20~30℃が好ましい。現像時間は、20~180秒が好ましい。また、残渣除去性を向上するため、現像液を60秒ごとに振り切り、さらに新たに現像液を供給する工程を数回繰り返してもよい。
【0220】
現像液は、有機溶剤、アルカリ現像液などが挙げられ、アルカリ現像液が好ましく用いられる。アルカリ現像液としては、アルカリ剤を純水で希釈したアルカリ性水溶液(アルカリ現像液)が好ましい。アルカリ剤としては、例えば、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジグリコールアミン、ジエタノールアミン、ヒドロキシアミン、エチレンジアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムなどの無機アルカリ性化合物が挙げられる。アルカリ剤は、分子量が大きい化合物の方が環境面および安全面で好ましい。アルカリ性水溶液のアルカリ剤の濃度は、0.001~10質量%が好ましく、0.01~1質量%がより好ましい。また、現像液は、さらに界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤としては、上述した界面活性剤が挙げられ、ノニオン系界面活性剤が好ましい。現像液は、移送や保管の便宜などの観点より、一旦濃縮液として製造し、使用時に必要な濃度に希釈してもよい。希釈倍率は特に限定されないが、例えば1.5~100倍の範囲に設定することができる。また、現像後純水で洗浄(リンス)することも好ましい。また、リンスは、現像後の着色組成物層が形成された支持体を回転させつつ、現像後の着色組成物層へリンス液を供給して行うことが好ましい。また、リンス液を吐出させるノズルを支持体の中心部から支持体の周縁部に移動させて行うことも好ましい。この際、ノズルの支持体中心部から周縁部へ移動させるにあたり、ノズルの移動速度を徐々に低下させながら移動させてもよい。このようにしてリンスを行うことで、リンスの面内ばらつきを抑制できる。また、ノズルを支持体中心部から周縁部へ移動させつつ、支持体の回転速度を徐々に低下させても同様の効果が得られる。
【0221】
現像後、乾燥を施した後に追加露光処理や加熱処理(ポストベーク)を行うことが好ましい。追加露光処理やポストベークは、硬化を完全なものとするための現像後の硬化処理である。ポストベークにおける加熱温度は、例えば100~240℃が好ましく、200~240℃がより好ましい。ポストベークは、現像後の膜を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式あるいはバッチ式で行うことができる。追加露光処理を行う場合、露光に用いられる光は、波長400nm以下の光であることが好ましい。また、追加露光処理は、韓国公開特許第10-2017-0122130号公報に記載された方法で行ってもよい。
【0222】
<カラーフィルタ>
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。本発明のカラーフィルタは、上述した本発明の膜を有する。好ましくは、カラーフィルタの着色画素として本発明の膜を有する。本発明の膜をカラーフィルタに用いる場合においては、顔料として、有彩色顔料を用いることが好ましい。本発明のカラーフィルタにおいて本発明の膜の膜厚は、目的に応じて適宜調整できる。膜厚は、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましい。膜厚の下限は、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上が更に好ましい。本発明のカラーフィルタは、CCD(電荷結合素子)やCMOS(相補型金属酸化膜半導体)などの固体撮像素子や画像表示装置などに用いることができる。
【0223】
カラーフィルタは、画素の幅が0.5~20.0μmであることが好ましい。下限は、1.0μm以上であることが好ましく、2.0μm以上であることがより好ましい。上限は、15.0μm以下であることが好ましく、10.0μm以下であることがより好ましい。また、画素のヤング率は0.5~20GPaであることが好ましく、2.5~15GPaがより好ましい。
【0224】
画素は高い平坦性を有することが好ましい。具体的には、画素の表面粗さRaとしては、100nm以下であることが好ましく、40nm以下であることがより好ましく、15nm以下であることが更に好ましい。下限は規定されないが、例えば0.1nm以上であることが好ましい。表面粗さの測定は、例えばVeeco社製のAFM(原子間力顕微鏡) Dimension3100を用いて測定することができる。また、画素上の水の接触角は適宜好ましい値に設定することができるが、典型的には、50~110°の範囲である。接触角は、例えば接触角計CV-DT・A型(協和界面科学(株)製)を用いて測定できる。また、画素の体積抵抗値は高いことが望まれる。具体的には、画素の体積抵抗値は10Ω・cm以上であることが好ましく、1011Ω・cm以上であることがより好ましい。上限は規定されないが、例えば1014Ω・cm以下であることが好ましい。画素の体積抵抗値は、例えば超高抵抗計5410(アドバンテスト社製)を用いて測定することができる。
【0225】
カラーフィルタは、本発明の膜の表面に保護層が設けられていてもよい。保護層を設けることで、酸素遮断化、低反射化、親疎水化、特定波長の光(紫外線、近赤外線、赤外線等)の遮蔽等の種々の機能を付与することができる。保護層の厚さとしては、0.01~10μmが好ましく、0.1~5μmがさらに好ましい。保護層の形成方法としては、溶剤に溶解した樹脂組成物を塗布して形成する方法、化学気相蒸着法、成型した樹脂を接着材で貼りつける方法等が挙げられる。保護層を構成する成分としては、(メタ)アクリル樹脂、エン・チオール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルホスフィンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、ポリオール樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アラミド樹脂、ポリアミド樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、変性シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、セルロース樹脂、Si、C、W、Al、Mo、SiO、Siなどが挙げられ、これらの成分を二種以上含有しても良い。例えば、酸素遮断化を目的とした保護層の場合、保護層はポリオール樹脂、SiO、Siを含むことが好ましい。また、低反射化を目的とした保護層の場合、保護層は(メタ)アクリル樹脂、フッ素樹脂を含むことが好ましい。
【0226】
樹脂組成物を塗布して保護層を形成する場合、樹脂組成物の塗布方法としては、スピンコート法、キャスト法、スクリーン印刷法、インクジェット法等の公知の方法を用いることができる。樹脂組成物に含まれる溶剤は、公知の溶剤(例えば、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセテート、シクロペンタノン、乳酸エチル等)を用いることが出来る。保護層を化学気相蒸着法にて形成する場合、化学気相蒸着法としては、公知の化学気相蒸着法(熱化学気相蒸着法、プラズマ化学気相蒸着法、光化学気相蒸着法)を用いることができる。
【0227】
保護層は、必要に応じて、有機・無機微粒子、特定波長(例えば、紫外線、近赤外線、赤外線等)の吸収剤、屈折率調整剤、酸化防止剤、密着剤、界面活性剤等の添加剤を含有しても良い。有機・無機微粒子の例としては、例えば、高分子微粒子(例えば、シリコーン樹脂微粒子、ポリスチレン微粒子、メラミン樹脂微粒子)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アルミニウム、窒化チタン、酸窒化チタン、フッ化マグネシウム、中空シリカ、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。特定波長の吸収剤は公知の吸収剤を用いることができる。例えば、紫外線吸収剤としては、共役ジエン化合物、アミノジエン化合物、サリシレート化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、アクリロニトリル化合物、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物、インドール化合物、トリアジン化合物などを用いることができる。これらの詳細については、特開2012-208374号公報の段落番号0052~0072、特開2013-068814号公報の段落番号0317~0334、特開2016-162946号公報の段落番号0061~0080の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。赤外線吸収剤としては、例えば、環状テトラピロール系色素、オキソカーボン系色素、シアニン色素、クアテリレン系色素、ナフタロシアニン系色素、ニッケル錯体系色素、銅イオン系色素、イミニウム系色素、サブフタロニン系色素、キサンテン系色素、アゾ系色素、ジピロメテン系色素、ピロロピロール系色素などを用いることができる。これらの詳細については、特開2018-054760号公報の段落番号0020~0072、特開2009-263614号公報、国際公開第2017/146092号の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。これらの添加剤の含有量は適宜調整できるが、保護層の全重量に対して0.1~70質量%が好ましく、1~60質量%がさらに好ましい。
【0228】
また、保護層としては、特開2017-151176号公報の段落番号0073~0092に記載の保護層を用いることもできる。
【0229】
カラーフィルタは、隔壁により例えば格子状に仕切られた空間に、各着色画素が埋め込まれた構造を有していてもよい。
【0230】
カラーフィルタは、下地層を有していてもよい。下地層は、例えば、述した本発明の着色組成物から着色剤を除いた組成物などを用いて形成することもできる。
【0231】
<固体撮像素子>
本発明の固体撮像素子は、上述した本発明の膜を有する。本発明の固体撮像素子の構成としては、本発明の膜を備え、固体撮像素子として機能する構成であれば特に限定はないが、例えば、以下のような構成が挙げられる。
【0232】
基板上に、固体撮像素子(CCD(電荷結合素子)イメージセンサ、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)イメージセンサ等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオードおよびポリシリコン等からなる転送電極を有し、フォトダイオードおよび転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口した遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面およびフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、デバイス保護膜上に、カラーフィルタを有する構成である。更に、デバイス保護膜上であってカラーフィルタの下(基板に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、カラーフィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。また、カラーフィルタは、隔壁により例えば格子状に仕切られた空間に、各着色画素が埋め込まれた構造を有していてもよい。この場合の隔壁は各着色画素に対して低屈折率であることが好ましい。このような構造を有する撮像装置の例としては、特開2012-227478号公報、特開2014-179577号公報、国際公開第2018/043654号に記載の装置が挙げられる。本発明の固体撮像素子を備えた撮像装置は、デジタルカメラや、撮像機能を有する電子機器(携帯電話等)の他、車載カメラや監視カメラ用としても用いることができる。
【実施例0233】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
【0234】
<緑色分散液の調製>
(緑色分散液)
下記表に記載のG顔料(緑色顔料)と、Y顔料(黄色顔料)と、誘導体と、分散剤と、溶剤とを混合したのち、直径0.3mmのジルコニアビーズ400質量部を加えて、ペイントシェーカーを用いて5時間分散処理を行い、ビーズをろ過で分離して緑色分散液を製造した。下記の表に記載の数値は質量部である。
【0235】
【表2】
【0236】
(シアン色分散液)
下記表に記載の顔料と、誘導体と、分散剤と、溶剤とを混合したのち、直径0.3mmのジルコニアビーズ400質量部を加えて、ペイントシェーカーを用いて5時間分散処理を行い、ビーズをろ過で分離してシアン色分散液を製造した。下記の表に記載の数値は質量部である。
【表3】
【0237】
(赤色分散液)
下記表に記載のR顔料(赤色顔料)と、Y顔料(黄色顔料)と、誘導体と、分散剤と、溶剤とを混合したのち、直径0.3mmのジルコニアビーズ400質量部を加えて、ペイントシェーカーを用いて5時間分散処理を行い、ビーズをろ過で分離して赤色分散液を製造した。下記の表に記載の数値は質量部である。
【表4】
【0238】
(青色分散液)
下記表に記載のB顔料(青色顔料)と、V顔料(紫色顔料)と、誘導体と、分散剤と、溶剤とを混合したのち、直径0.3mmのジルコニアビーズ400質量部を加えて、ペイントシェーカーを用いて5時間分散処理を行い、ビーズをろ過で分離して青色分散液を製造した。下記の表に記載の数値は質量部である。
【表5】
【0239】
上記表中の略語で示す素材の詳細は下記の通りである。
【0240】
〔G顔料〕
PG-7:C.I.Pigment Green 7
PG-36:C.I.Pigment Green 36
PG-58:C.I.Pigment Green 58
PG-62:C.I.Pigment Green 62
PG-63:C.I.Pigment Green 63
SQ-1:下記構造の化合物
【化28】
【0241】
〔Y顔料〕
PY-139:C.I.Pigment Yellow 139
PY-150:C.I.Pigment Yellow 150
PY-185:C.I.Pigment Yellow 185
【0242】
〔R顔料〕
PR-254:C.I.Pigment Red 254
【0243】
〔B顔料〕
PB15:6 : C.I.Pigment Blue 15:6
PB16 : C.I.Pigment Blue 16
【0244】
〔V顔料〕
PV23 : C.I.Pigment Violet 23
【0245】
〔誘導体〕
T-4、T-7、T-14、T-23、T-25、T-31、T-33、T-42、T-44、T-45、T-46、T-48、T-49、T-50、T-52、T-54、T-55、T-62、T-66、T-71、T-74、T-76:上述したトリアジン化合物(TA)の具体例にて説明した構造の化合物
誘導体-1:下記構造の化合物
【化29】
誘導体-2:下記構造の化合物
【化30】
誘導体として用いた各化合物の、波長400~700nmの範囲のモル吸光係数の最大値(εmax)は以下の通りである。各化合物のεmaxは次のようにして測定した。
各化合物の20mgをメタノール200mLに溶解させ、この溶液2mLにメタノールを加え、50mLにした。この溶液の吸光度について、Cary5000 UV-Vis-NIR分光光度計(アジレント・テクノロジー製)を用いて波長200~800nmの範囲まで測定し、εmaxを算出した。評価結果を下記表に記す。
A:波長400~700nmの範囲のモル吸光係数の最大値(εmax)が100L・mol-1・cm-1以下である。
B:波長400~700nmの範囲のモル吸光係数の最大値(εmax)が100L・mol-1・cm-1より大きく1000L・mol-1・cm-1以下である。
C:波長400~700nmの範囲のモル吸光係数の最大値(εmax)が1000L・mol-1・cm-1より大きく3000L・mol-1・cm-1以下である
D:波長400~700nmの範囲のモル吸光係数の最大値(εmax)が3000L・mol-1・cm-1を超える。
【表6】
【0246】
〔分散剤〕
P-1:下記構造の樹脂の30質量%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液。主鎖に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。Mw=7000。
【化31】
【0247】
P-2:以下の方法で合成した樹脂の30質量%PGMEA溶液
メチルメタクリレート50質量部、n-ブチルメタクリレート50質量部、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)45.4質量部を反応容器に仕込み、雰囲気ガスを窒素ガスで置換した。反応容器内を70℃に加熱して、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール6質量部を添加して、さらにAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.12質量部を加え、12時間反応させた。固形分測定により95%が反応したことを確認した。次に、ピロメリット酸無水物9.7質量部、PGMEA70.3質量部、触媒としてDBU(1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン)0.20質量部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了させた。PGMEAを加えて不揮発分(固形分濃度)を30質量%に調整し、酸価43mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)9000の樹脂P-2の30質量%PGMEA溶液を得た。
【化32】
【0248】
P-3:以下の方法で合成した樹脂の30質量%PGMEA溶液
メチルメタクリレート50質量部、n-ブチルメタクリレート30質量部、t-ブチルメタクリレート20質量部、PGMEA45.4質量部を反応容器に仕込み、雰囲気ガスを窒素ガスで置換した。反応容器内を70℃に加熱して、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール6質量部を添加して、さらにAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.12質量部を加え、12時間反応させた。固形分測定により95%が反応したことを確認した。次に、ピロメリット酸無水物9.7質量部、PGMEA70.3質量部、触媒としてDBU(1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン)0.20質量部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了させた。PGMEAを加えて不揮発分(固形分濃度)を30質量%に調整し、酸価43mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)9000の樹脂P-3の30質量%PGMEA溶液を得た。
【化33】
【0249】
P-4:以下の方法で合成した樹脂の30質量%PGMEA溶液
樹脂P-3の合成において、t-ブチルメタクリレート20質量部を、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルメタクリレートに変更した以外は同様にして、酸価43mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)9000の樹脂P-4の30質量%PGMEA溶液を得た。
【化34】
【0250】
P-5:以下の方法で合成した樹脂の30質量%PGMEA溶液
樹脂P-3の合成において、t-ブチルメタクリレート20質量部を、昭和電工製「カレンズMOI-BM」に変更した以外は同様にして、酸価43mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)9000の樹脂P-5の30質量%PGMEA溶液を得た。
【化35】
【0251】
P-6:以下の方法で合成した樹脂の30質量%PGMEA溶液
3-メルカプト-1,2-プロパンジオール6.0質量部、ピロメリット酸無水物9.5質量部、PGMEA62質量部、1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン0.2質量部を反応容器に仕込み、雰囲気ガスを窒素ガスで置換した。反応容器内を100℃に加熱して、7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した後、系内の温度を70℃に冷却し、メチルメタクリレート65質量部、エチルアクリレート5.0質量部、t-ブチルアクリレート15質量部、メタクリル酸5.0質量部、ヒドロキシエチルメタクリレート10質量部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.1質量部を溶解したPGMEA溶液53.5質量部を添加して、10時間反応させた。固形分測定により重合が95%進行したことを確認し反応を終了させた。PGMEAを加えて不揮発分(固形分濃度)を30質量%に調整し、酸価70.5mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)10000の樹脂P-6の30質量%PGMEA溶液を得た。
【化36】
【0252】
P-7:以下の方法で合成した樹脂の30質量%PGMEA溶液
1-チオグリセロール108質量部、ピロメリット酸無水物174質量部、メトキシプロピルアセテート650質量部、触媒としてモノブチルスズオキシド0.2質量部を反応容器に仕込み、雰囲気ガスを窒素ガスで置換した後、120℃で5時間反応させた(第一工程)。酸価の測定で95%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した。次に、第一工程で得られた化合物を固形分換算で160質量部、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート200質量部、エチルアクリレート200質量部、t-ブチルアクリレート150質量部、2-メトキシエチルアクリレート200質量部、メチルアクリレート200質量部、メタクリル酸50質量部、PGMEA663質量部を反応容器に仕込み、反応容器内を80℃に加熱して、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)1.2質量部を添加し、12時間反応させた(第二工程)。固形分測定により95%が反応したことを確認した。最後に、第二工程で得られた化合物の50質量%PGMEA溶液500質量部、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)27.0質量部、ヒドロキノン0.1質量部を反応容器に仕込み、イソシアネート基に基づく2270cm-1のピークの消失を確認するまで反応を行った(第三工程)。ピーク消失の確認後、反応溶液を冷却して、PGMEAを加えて不揮発分(固形分濃度)を30質量%に調整し、酸価68mgKOH/g、不飽和二重結合価0.62mmol/g、重量平均分子量(Mw)13000の樹脂P-7の30質量%PGMEA溶液を得た。
【化37】
P-8:下記構造の樹脂の30質量%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液。主鎖に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。Mw=20000。
P-9:下記構造の樹脂の30質量%PGMEA溶液。主鎖に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。Mw=18000。
P-10:下記構造の樹脂の30質量%PGMEA溶液。主鎖に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。Mw=22000。
【0253】
【化38】
P-11:下記構造の樹脂の30質量%PGMEA溶液。K/l/m/n=25/41/4/30(モル比)、p=60、q=60。Mw=22900。
【化39】
P-12:下記構造の樹脂の30質量%PGMEA溶液。側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。Mw=18000
【化40】
P-13:下記構造の樹脂の30質量%PGMEA溶液。側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。Mw=18000
【化41】
P-14:下記構造の樹脂の30質量%PGMEA溶液。側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。Mw=18000
【化42】
【0254】
〔溶剤〕
S-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
【0255】
<着色組成物の調製>
表に記載の組成の原料を混合して着色組成物を調製した。
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【0256】
上記表中の略語で示す素材の詳細は下記の通りである。
【0257】
(分散液)
緑色分散液-1~緑色分散液-49、緑色分散液-r1、緑色分散液-r2、シアン色分散液-1、赤色分散液-1、赤色分散液-2、青色分散液-1、青色分散液-2、青色分散液-3:上述した分散液
【0258】
(樹脂)
D-1:下記構造の樹脂。主鎖に付記した数値はモル比である。Mw=11000。
D-2:下記構造の樹脂。主鎖に付記した数値はモル比である。Mw=14000。
【化43】
【0259】
(重合性化合物)
E-1:KAYARAD DPHA(日本化薬(株)製)
E-2:アロニックス M-305(東亞合成(株)製)
E-3:NKエステル A-TMMT(新中村化学工業(株)製)
E-4:KAYARAD RP-1040(日本化薬(株)製)
E-5:アロニックスTO-2349(東亞合成(株)製)
【0260】
(光重合開始剤)
F-1:下記構造の化合物(オキシム系光重合開始剤)
F-2:下記構造の化合物(オキシム系光重合開始剤)
F-3:下記構造の化合物(オキシム系光重合開始剤)
F-4:下記構造の化合物(アルキルフェノン系光重合開始剤)
F-5:下記構造の化合物(オキシム系光重合開始剤)
【化44】
【0261】
(界面活性剤)
W-1:下記混合物(Mw=14000)の1質量%PGMEA溶液。下記の式中、繰り返し単位の割合を示す%はモル%である。
【化45】
【0262】
(重合禁止剤)
G-1:p-メトキシフェノール
【0263】
〔溶剤〕
S-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
S-2:シクロヘキサノン
【0264】
(染料)
染料1:下記構造の染料。特開2016-102191号公報の段落番号0468の合成例C-48と同様にして合成した。下記構造式中、i-Prはイソプロピル基を表す。
【化46】
染料2:下記構造の染料。特開2014-237809号公報の段落番号と同様にして合成した。下記構造式中、Etはエチル基を表す。
【化47】
染料3:下記構造の染料。特開2014-237809号公報の段落番号0419と同様にして合成した。下記構造式中、Etはエチル基を表す。
【化48】
【0265】
(添加剤)
添加剤1:カリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
【0266】
<保存安定性評価>
上記で得られた着色組成物の粘度を、東機産業(株)製「RE-85L」にて測定後、着色組成物を45℃、3日間の条件にて静置した後、再度粘度を測定した。静置前後での粘度差(ΔVis)から下記評価基準に従って保存安定性を評価した。粘度差(ΔVis)の数値が小さいほど、保存安定性が良好であるといえる。着色組成物の粘度は25℃に温度調整を施した状態で測定した。評価基準は下記の通りとし、評価結果は下記表に記載した。
〔評価基準〕
A:ΔVisが0.5mPa・s以下
B:ΔVisが0.5mPa・sより大きく2.0mPa・s以下
C:ΔVisが2.0mPa・sより大きい
【0267】
<密着性評価>
8インチ(20.32cm)シリコンウエハ上に各着色組成物をポストベーク後の膜厚が0.5μmとなるようにスピンコート法で塗布した。次いで、ホットプレートを用い、100℃で2分間プリベークした。次いで、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(キヤノン(株)製)を用い、所定の画素(パターン)サイズが形成されるベイヤーパターンを有するマスクを介して200mJ/cmの露光量にて露光した。なお、マスクには、画素パターンが0.7μm四方、0.8μm四方、0.9μm四方、1.0μm四方、1.1μm四方、1.2μm四方、1.3μm四方、1.4μm四方、1.5μm四方、1.7μm四方、2.0μm四方、3.0μm四方、5.0μm四方および10.0μm四方で形成されるベイヤーパターンを有するマスクを用いた。
次いで、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)0.3質量%水溶液を用い、23℃で60秒間パドル現像を行った。その後、純水を用いてスピンシャワーにてリンスを行った。次いで、ホットプレートを用い、200℃で5分間加熱(ポストベーク)することで、パターン(画素)を形成した。
高分解能FEB測長装置(HITACHI CD-SEM)S9380II((株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、0.7μm四方、0.8μm四方、0.9μm四方、1.0μm四方、1.1μm四方、1.2μm四方、1.3μm四方、1.4μm四方、1.5μm四方、1.7μm四方、2.0μm四方、3.0μm四方、5.0μm四方および10.0μm四方のパターンを観察し、剥離無くパターンが形成されている最小のパターンサイズを最小密着線幅とした。最小密着線幅が小さいほど密着性に優れていることを意味する。
〔評価基準〕
A:最小密着線幅が1.2μm四方以下である。
B:最小密着線幅が1.2μm四方より大きく1.3μm四方以下である。
C:最小密着線幅が1.3μm四方より大きく1.4μm四方以下である。
D:最小密着線幅が1.4μm四方より大きく1.6μm四方以下である。
E:最小密着線幅が1.6μm四方より大きい。
【0268】
<色ムラ評価>
5cm×5cmのガラス基板の上に各着色組成物をプリベーク後の膜厚が0.6μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、100℃で120秒間プリベークし、色ムラ評価用のカラーフィルタを得た。得られたカラーフィルタの輝度分布について、下記方法で解析し、平均からのずれが±8%以上である画素数をもとに色ムラの評価を行った。輝度分布の測定方法について説明する。色ムラ評価用のカラーフィルタを光学顕微鏡の観測レンズと光源との間に設置して光を観測レンズに向けて照射し、その透過光状態をデジタルカメラが設置された光学顕微鏡MX-50(オリンパス社製)によって観察した。カラーフィルタ表面の撮影は、任意に選択した5つの領域に対して行った。撮影画像(総画素数636416)の輝度を0~255までの256階調の濃度分布として数値化して保存した。この画像から輝度分布を解析し、平均からのズレが±8%を超える画素数(ザラの値)で色ムラを評価した。
評価基準は以下の通りである。
A:ザラの値が3000以下
B:ザラの値が3000を超え6000以下
C:ザラの値が6000以上
【0269】
(耐熱性評価)
5cm×5cmのガラス基板の上に、各着色組成物をポストベーク後の膜厚が0.5μmとなるようにスピンコート法で塗布した。次いで、ホットプレートを用い、100℃で2分間プリベークした。
次いで、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(Canon(株)製)を使用して365nmの波長の光を500mJ/cmの露光量で露光して膜を製造した。
次いで、ガラス基板をスピン・シャワー現像機(DW-30型、(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、CD-2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を用いて23℃で60秒間パドル現像し、回転装置によって上記ガラス基板を回転数50r.p.m.で回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理を行ない、その後スプレー乾燥して膜を製造した。
次に、上記膜が形成されたガラス基板を230℃のホットプレートに載置して1時間加熱した。色度計MCPD-3000(大塚電子(株)製)にて、加熱前後の膜の色差(ΔE*ab値)を測定し、耐熱性を評価した。ΔE*ab値は、値の小さい方が、耐熱性が良好なことを示す。以下の基準で評価した。
A:ΔE*abの値が0以上、1.0未満
B:ΔE*abの値が1.0以上、1.5未満
C:ΔE*abの値が1.5以上
【0270】
【表13】
【0271】
【表14】
【0272】
【表15】
【0273】
【表16】
【0274】
【表17】
【0275】
上記表に示すように、実施例は、保存安定性および密着性の評価が優れていた。
【0276】
実施例-11の着色組成物に7,7,8,8-テトラシアノキノジメタンを0.2質量部添加しても同様の結果が得られた。
【0277】
実施例-203、204、205の着色組成物において、添加剤1を、同量のリチウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、カリウム N,N-ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド、セシウム トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドまたはテトラキス(ペンタフルオフロフェニル)ホウ酸リチウムにそれぞれ変更しても、これらの実施例と同様の結果が得られた。
【0278】
(実施例-301)
シリコンウエハ上に、Green組成物をポストベーク後の膜厚が1.0μmになるようにスピンコート法で塗布した。次いで、ホットプレートを用いて、100℃で2分間加熱した。次いで、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(キヤノン(株)製)を用い、365nmの波長光を1000mJ/cmの露光量で2μm四方のドットパターンのマスクを介して露光した。次いで、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)0.3質量%水溶液を用い、23℃で60秒間パドル現像を行った。その後、スピンシャワーにてリンスを行い、更に純水にて水洗した。次いで、ホットプレートを用いて、200℃で5分間加熱(ポストベーク)することで、Green組成物をパターニングした。同様にRed組成物、Blue組成物を順次パターニングし、赤、緑及び青の着色パターン(ベイヤーパターン)を形成した。
Green組成物としては、実施例11の着色組成物を使用した。Red組成物としては、実施例101の着色組成物を使用した。Blue組成物としては、実施例201の着色組成物を使用した。
なお、ベイヤーパターンとは、米国特許第3971065号明細書に開示されているような、一個の赤色(Red)素子と、二個の緑色(Green)素子と、一個の青色(Blue)素子とを有する色フィルタ素子の2×2アレイを繰り返したパターンである。
得られたカラーフィルタを公知の方法に従い固体撮像素子に組み込んだ。この固体撮像素子は好適な画像認識能を有していた。