(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004071
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】固定治具
(51)【国際特許分類】
E04B 9/00 20060101AFI20240109BHJP
H02B 3/00 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
E04B9/00 G
H02B3/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103531
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000811
【氏名又は名称】弁理士法人貴和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅野 正人
(57)【要約】 (修正有)
【課題】制御盤や操作盤、分電盤などの機器を、天井や梁などに支持固定することができる構造を実現する。
【解決手段】固定治具1は、上面に、天井や梁などに備えられた被支持面と平行な支持面8を有する支持部5と、前側面に、制御盤等が取り付けられる被取付面を有し、支持部の前側の端部から下側に向けて垂下する被取付部6と、その伸長方向一方側の端部を支持部の下面に結合固定し、かつ、その伸長方向他方側の端部を被取付部の後側面に結合固定した補強部7と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に、被支持面と平行な支持面を有する支持部と、
前側面に被取付面を有し、前記支持部の前側の端部から下側に向けて垂下する被取付部と、
その伸長方向一方側の端部を前記支持部の下面に結合固定し、かつ、その伸長方向他方側の端部を前記被取付部の後側面に結合固定した補強部と、
を備える、固定治具。
【請求項2】
前記支持部は、前後方向に伸長し、かつ、幅方向に離隔して配置された1対の第1フレーム部材と、1対の前記第1フレーム部材の前後方向端部同士を接続する1対の第2フレーム部材とを有し、
前記被取付部は、上下方向に伸長し、かつ、幅方向に離隔して配置された1対の上下方向フレーム部材を有し、
前記補強部は、それぞれの伸長方向一方側の端部を前記第1フレーム部材の下面に結合固定し、かつ、それぞれの伸長方向他方側の端部を前記上下方向フレーム部材の後側面に結合固定した1対の補強フレーム部材を有する、
請求項1に記載の固定治具。
【請求項3】
前記被取付部は、1対の前記上下方向フレーム部材の下側の端部同士を接続する幅方向フレーム部材を有する、
請求項2に記載の固定治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御盤や操作盤、分電盤などの機器を、天井や梁などに支持固定するための固定治具に関する。
【背景技術】
【0002】
機械設備を制御するための制御盤や操作盤などの機器(以下「制御盤等」とする。)は、制御対象である機械設備付近に設置されることが望まれる。制御盤等には、扉の開閉やスイッチ類の操作に伴って前後方向の成分を含む外力が繰り返し加わる。このような外力にかかわらず、姿勢が変わることを防止するため、十分な剛性を確保できる部分に支持する必要がある。さらに、制御盤等の操作性を確保する面からは、前面を外部から目視可能で、かつ、スイッチ類を操作可能な高さに、制御盤等を設置することが望まれる。そこで、制御盤等は、壁面や柱などに支持固定されることが多い。
【0003】
機械設備付近に壁面や柱が存在しない場合には、取付台を新設することが考えられる。実用新案登録第3224365号公報には、基礎への固定作業を容易に行える操作盤用取付台が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、実用新案登録第3224365号公報に記載の操作盤用取付台は、機械設備付近に、地面や床面が未造成であったり、海上や湖上などの地面や床面が存在しない環境下であったりするなどの場合、設置が難しいといった問題があった。
【0006】
本発明は、制御盤や操作盤、分電盤などの機器を、天井や梁などに支持固定することができる、固定治具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様にかかる固定治具は、
上面に、天井や梁などに備えられた被支持面と平行な支持面を有する支持部と、
前側面に、制御盤等が取り付けられる被取付面を有し、前記支持部の前側の端部から下側に向けて垂下する被取付部と、
その伸長方向一方側の端部を前記支持部の下面に結合固定し、かつ、その伸長方向他方側の端部を前記被取付部の後側面に結合固定した補強部と、
を備える。
【0008】
本発明の一態様にかかる固定治具では、
前記支持部は、前後方向に伸長し、かつ、幅方向に離隔して配置された1対の第1フレーム部材と、1対の前記第1フレーム部材の前後方向端部同士を接続する1対の第2フレーム部材とを有し、
前記被取付部は、上下方向に伸長し、かつ、幅方向に離隔して配置された1対の上下方向フレーム部材を有し、および、
前記補強部は、それぞれの伸長方向一方側の端部を前記第1フレーム部材の下面に結合固定し、かつ、それぞれの伸長方向他方側の端部を前記上下方向フレーム部材の後側面に結合固定した1対の補強フレーム部材を有することができる。
【0009】
本発明の一態様にかかる固定治具では、
前記被取付部は、1対の前記上下方向フレーム部材の下側の端部同士を接続する幅方向フレーム部材を有することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様にかかる固定治具によれば、制御盤や操作盤、分電盤などの機器を、天井や梁などに支持固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態の1例の固定治具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の実施の形態の1例を示している。本例の固定治具1は、図示しない機械設備の運転を制御するためのスイッチや計器などが実装された制御盤2を、梁3に支持固定するために使用される治具である。
【0013】
梁3は、略H字形の断面形状を有し、かつ、構造用鋼などの金属材料により構成された、いわゆるH鋼により構成されている。梁3は、建物や仮設の骨組みなどを構成する建材であって、機械設備が設置された空間の頭上に架設されている。梁3は、下面に、前記空間の床面または地面に対して平行または略平行な被支持面4を有する。
【0014】
固定治具1は、支持部5と、被取付部6と、補強部7とを備える。
【0015】
以下の説明において、前後方向、上下方向(鉛直方向)、および幅方向(左右方向)は、特に断らない限り、固定治具1の前後方向、上下方向、および幅方向(左右方向)をいう。固定治具1の前後方向、上下方向、および幅方向(左右方向)は、
図1に矢印Xで示す方向、矢印Yで示す方向、および矢印Zで示す方向をそれぞれいう。
【0016】
支持部5は、上面に、梁3の被支持面4と平行な支持面8を有し、該支持面8を、被支持面4に当接させた状態で、梁3に対し支持固定される。このために、本例の支持部5は、複数箇所、たとえば前後左右4箇所に、上下方向に貫通する、図示しない支持孔を有する。支持部5は、梁3に備えられた通孔と、支持孔とに支持ボルト9を挿通し、該支持ボルト9の先端部にナットを螺合しさらに締め付けることで、梁3に支持固定される。
【0017】
ただし、支持部は、支持孔に代えて、または、支持孔に加えて、上面の複数箇所に、上側に向けて突出するねじ軸部を有することもできる。この場合、前記ねじ軸部を、梁に備えられた通孔に挿通し、該ねじ軸部の先端部にナットを螺合し、さらに締め付けることで、支持部を梁に対して支持固定する。
【0018】
なお、本例では、支持部5は、前後方向を、梁3を構成するH鋼のフランジ幅(B)方向に向け、かつ、幅方向(左右方向)を、梁3の伸長方向に向けた状態で、梁3に対し支持固定される。
【0019】
本例では、支持部5は、1対の第1フレーム部材10と、1対の第2フレーム部材11とを備える。第1フレーム部材10および第2フレーム部材11はいずれも、炭素鋼やアルミニウム合金など、十分な剛性および強度を有する金属材料製で、正方形の断面形状を有する角筒により構成されている。
【0020】
それぞれの第1フレーム部材10は、前後方向(
図1の左右方向)に伸長し、かつ、幅方向に離隔して配置されている。
【0021】
それぞれの第2フレーム部材11は、1対の第1フレーム部材10の前後方向端部同士を接続している。すなわち、1対の第2フレーム部材11のうち、前側(
図1の左側)の第2フレーム部材11は、1対の第1フレーム部材10の前側の端部同士を接続し、かつ、後側(
図1の右側)の第2フレーム部材11は、1対の第1フレーム部材10の後側の端部同士を接続している。
【0022】
要するに、本例では、支持部5は、1対の第1フレーム部材10と1対の第2フレーム部材11とを組み合わせることにより、矩形枠状に構成されている。なお、第1フレーム部材10の前後方向端部と第2フレーム部材11の幅方向端部とは、溶接などにより結合固定されている。
【0023】
なお、支持部5の前後方向寸法および幅方向寸法は、梁3に対する制御盤2の支持剛性を十分に確保することができる限り、特に限定されるものではない。
【0024】
たとえば、支持部5の前後方向寸法は、梁3を構成するH鋼のフランジ幅(B)を同じまたは略同じとすることができる。
【0025】
支持部5の幅方向寸法は、被取付部6に取り付けられる制御盤2の幅寸法の0.5倍以上1.5倍以下とすることができ、0.8倍以上1.2倍以下とすることが好ましい。支持部5の幅方向寸法が制御盤2の幅方向寸法の0.5倍よりも小さいと、梁3に対する制御盤2の支持剛性を十分に確保できない可能性がある。一方、支持部5の幅方向寸法が制御盤2の幅方向寸法の1.5倍よりも大きくしても、梁3に対する制御盤2の支持剛性をそれ以上大きくできず、固定治具1が徒に大型化したり重量が増大したりしてしまう可能性がある。
【0026】
被取付部6は、前側面に、支持面8に直交または略直交する被取付面12を有し、支持部5の前側の端部から下側に向けて垂下する。制御盤2は、背面(後側面)を、被取付面12に当接させた状態で、被取付部6に対し支持固定される。このために、たとえば、被取付部6は、複数箇所、たとえば上下左右4箇所位置に、前後方向に貫通する、図示しない取付孔を有することができる。制御盤2は、前後方向に貫通する通孔と、被取付部6の取付孔とに、図示しない取付ボルトを挿通し、該取付ボルトの先端部にナットを螺合しさらに締め付けることで、被取付部6に対し支持固定される。
【0027】
ただし、被取付部は、取付孔に代えて、または、取付孔に加えて、前側面の複数箇所に、前側に向けて突出するねじ軸部を有することもできる。この場合、前記ねじ軸部を、制御盤に備えられた通孔に挿通し、該ねじ軸部の先端部にナットを螺合し、さらに締め付けることで、被取付部に対して制御盤を支持固定する。あるいは、制御盤の背面から後側に向けて突出するねじ軸部を、被取付部の取付孔に挿通し、前記ねじ軸部の先端部にナットを螺合し、さらに締め付けることで、被取付部に対して制御盤を支持固定することもできる。
【0028】
被取付部6の幅寸法は、支持部5の幅寸法と同じとすることができる。
【0029】
被取付部6の上下方向寸法は、少なくとも被取付部6の下側の端部が、制御盤2の上側の端部よりも下側に位置するように確保される。制御盤2の取付高さは、オペレータによる制御盤2の操作性などを考慮して適宜決定される。このようにして決定された取付高さに制御盤2を支持することができるように、被取付部6の上下方向寸法が決定される。
【0030】
被取付部6の上下方向寸法は、被取付部6の下側の端部が、制御盤2の上下方向中央位置と同じか、または、制御盤2の上下方向中央位置よりも下側に位置するように確保することが好ましく、被取付部6の下側の端部が、制御盤2の下側の端部と同じ位置に位置するように確保することがより好ましい。制御盤2の前面に実装されるスイッチ類は、制御盤2の上下方向中央位置付近に配置されることが多い。このため、オペレータがスイッチ類を操作した場合、前後方向の成分を含む外力が、制御盤2の上下方向中央位置付近に加わる。したがって、被取付部6の下側の端部を、制御盤2の上下方向中央位置と同じか、または、制御盤2の上下方向中央位置よりも下側に位置させれば、前記外力に対する剛性を確保しやすい。
【0031】
本例では、被取付部6は、上下方向(鉛直方向)に伸長し、かつ、幅方向に離隔して配置された1対の上下方向フレーム部材13を有する。すなわち、上下方向フレーム部材13は、第1フレーム部材10の前側の端部から下側に向けて直角または略直角となる方向に伸長している。上下方向フレーム部材13の上側の端部と、第1フレーム部材10の前側の端部とは、溶接などにより結合固定されている。なお、上下方向フレーム部材13は、十分な剛性および強度を有する金属材料製で、正方形の断面形状を有する角筒により構成されている。
【0032】
さらに本例では、被取付部6は、1対の上下方向フレーム部材13の下側の端部同士を接続する幅方向フレーム部材14を有する。すなわち、本例では、被取付部6は、1対の上下方向フレーム部材13と幅方向フレーム部材14とを組み合わせることにより、略U字形に構成されている。1対の上下方向フレーム部材13の下側の端部と、幅方向フレーム部材14の幅方向端部とは、溶接などにより結合固定されている。
【0033】
補強部7は、その伸長方向一方側(
図1の右上側)の端部を、支持部5の下面に結合固定し、かつ、その伸長方向他方側(
図1の左下側)の端部を、被取付部6の後側面に結合固定している。換言すれば、補強部7は、支持部5の下面と被取付部6の後側面とにかけ渡されている。
【0034】
本例では、補強部7は、その伸長方向一方側の端部を、支持部5の下面のうちの後側の端部に結合固定し、かつ、その伸長方向他方側の端部を、被取付部6の後側面のうちの下側部分に結合固定している。
【0035】
なお、補強部7の伸長方向他方側の端部は、被取付部6の後側面のうち、下側の端部よりも少し上側に位置する部分、具体的には幅方向フレーム部材14の上下方向に関する幅だけ上側に位置する部分に結合固定することが好ましい。これにより、上下方向フレーム部材13と幅方向フレーム部材14との結合部と、上下方向フレーム部材13と後述の補強フレーム部材15との結合部とを、上下方向に離隔させることができ、上下方向フレーム部材13の下側の端部への応力の過度な集中を防止することができる。ただし、強度および剛性を十分に確保することができる限り、補強部の伸長方向他方側の端部を、被取付部の後側面のうちの下側の端部に結合固定することもできる。
【0036】
本例では、補強部7は、1対の補強フレーム部材15を有する。それぞれの補強フレーム部材15は、その伸長方向一方側の端部を、支持部5の下面に結合固定し、かつ、その伸長方向他方側の端部を、被取付部6の後側面に結合固定している。具体的には、それぞれの補強フレーム部材15は、その伸長方向一方側の端部を、第1フレーム部材10の前側の端部の下面に結合固定し、かつ、その伸長方向他方側の端部を、上下方向フレーム部材13の下側部分の後側面に結合固定している。
【0037】
それぞれの補強フレーム部材15は、十分な剛性および強度を有する金属材料製で、正方形の断面形状を有する角筒により構成されている。補強フレーム部材15の伸長方向一方側の端部と、第1フレーム部材10の前側の端部の下面との結合、および、補強フレーム部材15の伸長方向他方側の端部と、上下方向フレーム部材13の下側部分の後側面との結合は、溶接などにより行われる。
【0038】
見方を変えれば、本例の固定治具1は、梁3に対し支持固定される第1フレーム部材10と、該第1フレーム部材10の前側の端部から下側に向けて折れ曲がった上下方向フレーム部材13と、該第1フレーム部材10の下面と該上下方向フレーム部材13の後側面とにかけ渡された補強フレーム部材15とを有する支持フレーム構造16を1対備え、該1対の支持フレーム構造16同士を、1対の第2フレーム部材11および幅方向フレーム部材14により、幅方向に接続することにより構成されている。それぞれの第1フレーム部材10は、前後方向複数箇所が、梁3に対し支持固定される。それぞれの上下方向フレーム部材13は、上下方向複数箇所に対し制御盤2が支持固定される。
【0039】
本例の固定治具1は、梁3に対し支持固定される支持部5と、制御盤2が支持固定される被取付部6とを備える。このような固定治具1を使用することにより、頭上に架設された梁3に対して制御盤2を支持固定することができる。したがって、機械設備付近に好ましい壁面や柱がなかったり、地面若しくは床面が未造成であるか、または、海上や湖上など、地面若しくは床面が存在しない環境であったりする場合にも、制御盤2を制御対象の機械設備付近に設置することができる。
【0040】
さらに本例の固定治具1は、支持部5の下面と被取付部6の後側面とにかけ渡された補強部7を備える。したがって、梁3に対する制御盤2の前後方向に関する支持剛性を十分に確保することができる。このため、制御盤2の前面に実装されたスイッチ類を操作したり、制御盤2の前面に取り付けられた扉を開閉したりすることに伴って、制御盤2に加わる前後方向の成分を含む外力に対する剛性を十分に確保することができる。したがって、スイッチ類を操作したり扉を開閉したりする際の、制御盤2の揺れを小さく抑えることができる。
【0041】
特に、本例の固定治具1では、補強部7は、その伸長方向一方側の端部を、支持部5の下面に結合固定し、かつ、その伸長方向他方側の端部を、被取付部6の後側面に結合固定している。すなわち、補強部7の前上側面は、支持部5の前側部分の下面および被取付部6の上側部分の後側面に結合されていない。要するに、幅方向から見た場合に、補強部7の前上側面と、支持部5の前側部分の下面および被取付部6の上側部分の後側面との間に空間が画成される。このため、本例の固定治具1は、支持部5の下面と被取付部6の後側面との間に、平板状の補強リブをかけ渡す構造と比べて軽量化しやすい。したがって、固定治具1の取り扱い性を良好にでき、該固定治具1を梁3に支持固定する作業を容易化したり、梁3や支持ボルト9に加わる荷重を軽減したりすることができる。
【0042】
また、本例の固定治具1は、それぞれが、梁3に対して前後方向複数箇所が支持固定される第1フレーム部材10を有する1対の支持フレーム構造16同士を、1対の第2フレーム部材11および幅方向フレーム部材14により、幅方向に接続することにより構成されている。このため、第1フレーム部材10を梁3に対し支持固定する複数本の支持ボルト9のうち、1本の支持ボルト9が緩んだ場合でも、固定治具1の梁3からの脱落を防止することができる。
【0043】
本例では、固定治具1を、頭上に架設された梁3に対し、支持部5の前後方向を、梁3を構成するH鋼のフランジ幅(B)方向に向け、かつ、幅方向(左右方向)を、梁3の伸長方向に向けた状態で支持固定する場合について説明した。ただし、本発明を実施する場合、固定治具を、支持部の前後方向を、梁を構成するH鋼の伸長方向に向け、かつ、幅方向(左右方向)を、梁3のフランジ幅(B)方向に向けた状態で支持固定することもできる。または、固定治具を支持固定する梁は、リップ溝形鋼(C鋼)により構成したり、木製の角材により構成したりすることもできる。あるいは、本発明の固定治具を使用して、制御盤を天井に支持固定することもできる。
【0044】
また、本発明の固定治具は、制御盤に限らず、操作盤、分電盤、監視盤、配電盤、または通信機器などの機器を、梁または天井に支持固定するために使用することもできる。
【0045】
本例の固定治具1では、補強部7は、その伸長方向一方側の端部を、支持部5の下面のうちの後側の端部に結合固定し、かつ、その伸長方向他方側の端部を、被取付部6の後側面のうちの下側部分に結合固定している。本発明を実施する場合には、補強部材を、複数備えることもできる。たとえば、固定治具は、その伸長方向一方側の端部を、支持部の下面のうちの後側の端部に結合固定し、かつ、その伸長方向他方側の端部を、被取付部の後側面のうちの下側部分に結合固定した第1の補強部と、その伸長方向一方側の端部を、支持部の下面のうちの前後方向中間部に結合固定し、かつ、その伸長方向他方側の端部を、被取付部の後側面のうちの上下方向中間部に結合固定した第2の補強部とを備えることができる。補強部を複数備えることで、制御盤を操作することなどに伴って作用する前後方向の成分を含む外力の上下方向位置にかかわらず、制御盤の揺れを小さく抑えることができる。
【0046】
本例の固定治具1では、第1フレーム部材10および第2フレーム部材11、上下方向フレーム部材13および幅方向フレーム部材14、並びに、補強フレーム部材15はいずれも、金属材料製で、正方形の断面形状を有する角筒により構成されている。ただし、本発明を実施する場合、第1フレーム部材および第2フレーム部材、上下方向フレーム部材および幅方向フレーム部材、並びに、補強フレーム部材を構成する部材は、危機の梁または天井に対する支持剛性、並びに、強度および剛性を十分に確保できる限り、特に限定されない。たとえば、これらのフレーム部材を、H鋼またはC鋼により構成したり、木製の角材により構成したりすることもできる。
【符号の説明】
【0047】
1 固定治具
2 制御盤
3 梁
4 被支持面
5 支持部
6 被取付部
7 補強部
8 支持面
9 支持ボルト
10 第1フレーム部材
11 第2フレーム部材
12 被取付面
13 上下方向フレーム部材
14 幅方向フレーム部材
15 補強フレーム部材
16 支持フレーム構造