(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040808
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】画像形成装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G03G 21/20 20060101AFI20240318BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240318BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
G03G21/20
B41J29/38 301
H04N1/00 127A
H04N1/00 002C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145403
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三條 真
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061AQ06
2C061HK09
2C061HK10
2C061HK19
2C061HV07
2C061HV08
2C061HV35
2C061HV45
2H270KA59
2H270LA26
2H270LA29
2H270MF10
2H270MF14
2H270MF22
2H270MG02
2H270NC07
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2H270NC25
2H270ND13
2H270ND22
2H270ND23
2H270ZC03
2H270ZC04
5C062AA05
5C062AB22
5C062AB38
5C062AB42
5C062AB49
5C062AB53
5C062AC04
5C062AC22
5C062AC23
5C062AC38
5C062AC56
5C062AC58
5C062AE16
5C062BA07
(57)【要約】
【課題】発火要因が画像形成装置の内部にあるのか外部にあるのかを特定することを可能にする。
【解決手段】本発明の一実施形態の画像形成装置は、記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、装置の機内温度を検知する機内温度センサと、装置の機外温度を検知する機外温度センサと、機内温度センサおよび機外温度センサからそれぞれ得た機内及び機外のそれぞれの検知温度データを記憶する記憶部と、サーバと通信接続する通信部と、装置ごとに予め定められた過昇温度に機内の検知温度データまたは機外の検知温度データが達した場合に、過昇温度の検知前後の機内の検知温度データおよび機外の検知温度データを、通信部を介してサーバにアップロードする制御部と、を有することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
装置の機内温度を検知する機内温度センサと、
前記装置の機外温度を検知する機外温度センサと、
前記機内温度センサおよび前記機外温度センサからそれぞれ得た機内及び機外のそれぞれの検知温度データを記憶する記憶部と、
サーバと通信接続する通信部と、
装置ごとに予め定められた過昇温度に前記機内の検知温度データまたは前記機外の検知温度データが達した場合に、前記過昇温度の検知前後の前記機内の検知温度データおよび前記機外の検知温度データを、前記通信部を介して前記サーバにアップロードする制御部と、
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記機内の検知温度データおよび前記機外の検知温度データが前記画像形成装置で予め定められた過昇温度に達していないとき、前記機内の検知温度データおよび前記機外の検知温度データとして、保存周期ごとに取得した前記機内および前記機外のそれぞれの最新の保存周期内の検知温度データを前記記憶部に記憶して、それ以前の保存周期の検知温度データを前記記憶部から削除する制御を行う、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記機内の検知温度データまたは前記機外の検知温度データが前記画像形成装置で予め定められた過昇温度に達したことを検知した場合、最新の保存周期内に含まれる前記過昇温度の検知前後の検知温度データを、前記通信部を介して前記サーバにアップロードし、それ以前の保存周期の検知温度データを前記記憶部から削除する制御を行う、
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
スリープ状態のときに前記制御部、前記機内温度センサ、および前記機外温度センサに電源を供給する第2の電源を有し、
スリープ状態において、前記制御部は、前記第2の電源からの電源供給により前記機内温度センサおよび前記機外温度センサから得た機内及び機外のそれぞれの検知温度データを前記サーバにアップロードする、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記過昇温度の検知前後の前記検知温度データを前記サーバにアップロードした後、前記画像形成装置の電源供給を遮断する、
請求項1乃至4のうちの何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
記録媒体に画像を形成する画像形成装置において過昇温度を検知する方法であって、
画像形成装置が、機内温度を検知するステップと、
画像形成装置が、機外温度を検知するステップと、
画像形成装置が、機内及び機外のそれぞれの検知温度データを記憶部に記憶するステップと、
画像形成装置が、装置ごとに予め定められた過昇温度に前記機内の検知温度データまたは前記機外の検知温度データが達した場合に、前記過昇温度の検知前後の前記機内の検知温度データおよび前記機外の検知温度データを、通信部を介してサーバにアップロードするステップと、
を含む方法。
【請求項7】
画像形成装置のコンピュータに、
機内温度を検知するステップと、
機外温度を検知するステップと、
機内及び機外のそれぞれの検知温度データを記憶部に記憶するステップと、
装置ごとに予め定められた過昇温度に前記機内の検知温度データまたは前記機外の検知温度データが達した場合に、前記過昇温度の検知前後の前記機内の検知温度データおよび前記機外の検知温度データを、通信部を介してサーバにアップロードするステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワーク内のプリンタが予め定めた過昇温度に達した場合に全ユーザおよびプリントサーバに異常を伝達する技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、プリンタ内の高温となるユニットに機内温度を監視する温度監視手段を備え、プリンタが過昇温度を検知したときに、そのときに検知した温度情報を、電気的に接続されたコンピュータに伝達する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来は、焼損事故が発生した場合に、発火要因が画像形成装置内部にあるのか外部にあるのかを特定することができないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、発火要因が画像形成装置の内部にあるのか外部にあるのかを特定することが可能な画像形成装置、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一実施形態の画像形成装置は、記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、装置の機内温度を検知する機内温度センサと、前記装置の機外温度を検知する機外温度センサと、前記機内温度センサおよび前記機外温度センサからそれぞれ得た機内及び機外のそれぞれの検知温度データを記憶する記憶部と、サーバと通信接続する通信部と、装置ごとに予め定められた過昇温度に前記機内の検知温度データまたは前記機外の検知温度データが達した場合に、前記過昇温度の検知前後の前記機内の検知温度データおよび前記機外の検知温度データを、前記通信部を介して前記サーバにアップロードする制御部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、発火要因が画像形成装置の内部にあるのか外部にあるのかを特定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る画像形成装置の構成の概要説明図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る画像形成装置の動作説明図である。
【
図3】
図3は、画像形成装置の全体構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、画像形成装置がメモリに記憶する検知温度データの記憶制御の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、画像形成装置が検知温度データをサーバにアップロードする動作の一例を説明する図である。
【
図6】
図6は、画像形成装置が検知温度データを取得する制御フローの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、画像形成装置がメモリに記憶する検知温度データの一例を示す図である。
【
図8】
図8は、過昇温度閾値以上になった場合の画像形成装置の動作の一例を説明する図である。
【
図9】
図9は、機内温度センサもしくは機外温度センサの検知温度が過昇温度閾値以上になった場合の画像形成装置の制御フローの一例を示す図である。
【
図10】
図10は、機内温度センサおよび機外温度センサの検知温度が過昇温度閾値以下の場合の画像形成装置の動作を説明する図である。
【
図11】
図11は、機内温度センサもしくは機外温度センサの検知温度が過昇温度閾値以上になった場合の画像形成装置の動作を説明する図である。
【
図12】
図12は、画像形成装置のスリープ時における制御フローの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、画像形成装置、方法およびプログラムの実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
(第1の実施の形態)
図1は、実施の形態に係る画像形成装置の構成の概要説明図である。実施の形態に係る画像形成装置は、記録媒体に画像を形成する装置のことを指し、例えば画像形成部に作像ユニットを有し、電子写真方式にて画像を形成する。記録媒体は、画像の形成により情報の記録が可能な媒体であり、一例としては印刷用紙である。画像には、例えば文字、記号、罫線、写真、絵柄または背景などが含まれる。
【0011】
図1に示されるように、画像形成装置1の制御部10は、CPU(Central Processing Unit)13と、「記憶部」であるメモリ12を有し、機内温度センサ15と、機外温度センサ16とからそれぞれの検知温度を取得する。メモリ12は、例えば書き換え可能なメモリである。
【0012】
機内温度センサ15は、画像形成装置1の機内温度の検知に使用しする温度センサである。一例として、機内温度センサ15は、作像ユニット周辺の機内温度の検知に使用しているサーミスタである。
【0013】
機外温度センサ16は、画像形成装置1の機外温度の検知に使用する温度センサである。一例として、機外温度センサ16は、画像形成装置1筐体の外装内側面付近に設けた温湿度センサである。
【0014】
制御部10は、機内温度センサ15と、機外温度センサ16とからそれぞれ機内と機外の検知温度を取得し、検知温度データをメモリ12に保存する。メモリ12に保存された検知温度データは一定時間ごとに更新される。
【0015】
また、制御部10は、通信部11を有し、サーバ2に対し装置データのアップロードを行う。通信部11は、一例としては、Wi-Fi(登録商標)の通信モジュールである。
【0016】
図2は、実施の形態に係る画像形成装置の動作説明図である。
図2に示されるように、制御部10は、機内温度センサ15の検知温度と機外温度センサ16の検知温度とを取得し(ステップS1)、検知温度データをメモリ12に保存する(ステップS2)。
【0017】
続いて、制御部10(CPU13)は、機内温度センサ15の検知温度もしくは機外温度センサ16の検知温度が、画像形成装置1ごとに設定した過昇温度閾値に達したかを判定し(ステップS3)、達していない場合は(ステップS3:No)、ステップS1からの処理を繰り返す。
【0018】
制御部10(CPU13)は、機内温度センサ15の検知温度もしくは機外温度センサ16の検知温度が、設定した過昇温度閾値に達した場合(ステップS3:Yes)、その時点でメモリ12に保存されている検知温度データを、サーバ2にアップロードする(ステップS4)。制御部10は、通信部11によりサーバ2と通信接続される。
【0019】
このように、実施の形態に係る画像形成装置1は、機内温度センサ15による検知温度に加えて、機外温度センサ16による検知温度も使用することで、焼損事故発生時に、発火要因が機内もしくは機外のどちらにあるかを特定することを可能にする。
【0020】
図3は、画像形成装置1の全体構成の一例を示す図である。
図3に示されている画像形成装置1は、画像形成装置本体104の他に、給紙部103、スキャナ101および自動原稿搬送装置(ADF)102を備える。給紙部103、スキャナ101および自動原稿搬送装置(ADF)102については、画像形成装置本体104に選択的に設けてもよい。
【0021】
画像形成装置本体104は、タンデム方式の作像部105と、作像部105にCMYK画像を光書き込みする光書き込み装置109と、画像形成装置本体104に記録媒体を供給するレジストローラ108と、一次転写器と、二次転写器と、定着部110とを備えている。その他に、記録媒体を搬送する搬送ベルトと、両面トレイ111などを備えている。
【0022】
作像部105には、YMCK4色に対応する4本の感光体ドラム112が並設されている。各感光体ドラム112には帯電器、現像器106、一次転写器、クリーナ、および除電器を含む作像要素が配置されている。また、一次転写器と感光体ドラム112との間には両者のニップに挟持された状態で駆動ローラと従動ローラとの間に張架された一次転写ベルト113が配置されている。
【0023】
このような構成において、画像形成装置1は、YMCKの色ごとに各色に対応する感光体ドラム112に光書き込みを行い、現像器106で各色のトナーごとに現像し、一次転写ベルト113上に例えばY、M、C、Kの順でトナー像を1次転写する。そして、画像形成装置1は、各色のトナー像を4色重畳してなるフルカラー画像を二次転写部で記録媒体に2次転写し、記録媒体を定着部110に搬送してフルカラー画像を記録媒体に定着させて、画像形成装置本体104から画像が形成された記録媒体を排紙する。記録媒体は、給紙部103から搬送路107を介してレジストローラ108に供給される。
【0024】
さらに、画像形成装置1は、画像形成装置本体104等に機内温度センサ15を備えている。定着部110にある機内温度センサ15は、温度制御または異常検知のため、機内環境に依存した温度を検知する。作像部105にある機内温度センサ15は、感光体ドラム112周辺の温度検知のため、機内環境に依存した温度を検知する。さらに、ここでは一例としてスキャナ101に機内温度センサ15を設けている。スキャナ101にある機内温度センサ15は、スキャナ101周辺の温度検知のため、機内環境に依存した温度を検知している。
【0025】
また、画像形成装置1は、画像形成装置1の機外温度を検知する機外温度センサ16を備えている。機外温度センサ16の多くは画像形成装置1の外装の内側面もしくは外装の外に実装され、機内環境に依存しない画像形成装置1の外部環境に依存した機外温度を検知している。
【0026】
機内温度センサ15と機外温度センサ16の配置は一例であるが、機内および機外で発火が発生したとき検知温度勾配に差異ができるように十分に距離を離した位置に機外温度センサ16を配置することが望ましい。また、機外温度センサ16が外装の一面だけに実装される場合、機外温度センサ16が実装された面の逆側から発火が発生したときに、機外温度センサ16よりも機内温度センサ15の方が早く温度上昇し、機内発火と誤検知する可能性がある。そのため、機外温度センサ16は対角の面、かつ機内温度センサ15および機外温度センサ16がなるべく同一線上になるように実装されることが望ましい。これにより、機内温度センサ15および機外温度センサ16の各検知温度から、機外環境に依存しない装置内部温度と、機内環境に依存しない装置外部温度とをそれぞれ検知することが可能になる。
【0027】
続いて、
図4および
図5を参照して、画像形成装置1からサーバ2への検知温度データのアップロード動作の一例と、メモリ12の検知温度データの記憶制御について説明する。
図4は、画像形成装置1がメモリ12に記憶する検知温度データの記憶制御の一例を示す図である。
図5は、画像形成装置1が検知温度データをサーバ2にアップロードする動作の一例を説明する図である。
【0028】
図5に示されるように、画像形成装置1の各部には、電源部に相当するPSU基板20内に実装された常用電源21から電源が供給されている。スリープ時電源22は、画像形成装置1のスリープ時に、制御部10、機内温度センサ15、および機外温度センサ16に最低限の電源を供給するための「第2の電源」である。電源供給遮断回路23は、電源供給を遮断する回路であり、リレー回路などにより構成される。電源供給遮断回路23は、リレー回路のONとOFFFの制御により例えば画像形成動作などを停止させることができる。
【0029】
制御部10に実装されたCPU13は、機内温度センサ15と機外温度センサ16のそれぞれの検知温度を取得する(ステップS11、ステップS12)。
【0030】
CPU13は、取得した検知温度が画像形成装置ごとに予め設定された過昇温度閾値以下である場合(ステップS13)、メモリ12に検知温度情報および装置に関するデータを保存する(ステップS14)。
【0031】
画像形成装置1は、通常動作時の検知温度状況をサーバ2でも一定期間ごとに確認できるようにするため、Wi-Fiモジュール11-1により、画像形成装置ごとに定められた任意のタイミングでサーバ2にデータ送信し、アップロードを行う(ステップS15)。画像形成装置1は、例えば一日に一回などのタイミングでデータをサーバ2にアップロードする。
【0032】
CPU13によるメモリ12の制御は例えば次のようにする。
図4には、機内温度センサ15と機外温度センサ16のそれぞれの検知温度の変化の一例が示されている。それぞれの検知温度を、CPU13は、
図4に示されるように保存周期T内に示すサンプリング周期t1ごとに取得して、メモリ12内に検知温度データとして、そのプロットデータを保存する。プロットデータは検知温度の勾配を示す情報となる。CPU13は、保存周期Tおよびサンプリング周期t1を、画像形成装置1の設定値として任意に設定することができる。例えば、CPU13は、温度センサから100msのサンプリング周期t1で検知温度を取得していたとして、保存周期Tを10sに設定したとする。その場合は、100個のプロットデータがメモリ12内に保存されることになる。
【0033】
また、CPU13は、CPU13が取得した直近の最新の保存周期内(以下、最新周期とも言う)の検知温度データ(以下、最新データとも言う)がメモリ12に記憶されるように、
図4に示されるように最新周期以前の検知温度データ(旧データとも言う)をメモリ12から削除してもよい。このようにメモリ12に最新データを記憶させることで、異常が発生していない通常状態においてもメモリ12のデータ容量の圧迫を防ぐことが可能となる。
【0034】
図6は、画像形成装置1が検知温度データを取得する制御フローの一例を示す図である。まず、画像形成装置1は、電源コードが画像形成装置1に挿入されて(ステップS101)、画像形成装置1の電源がONされると(ステップS102)、PSU基板20から電源が供給され、CPU13が次のように検知温度データを取得する制御を開始する。
【0035】
CPU13は、機内温度センサ15および機外温度センサ16の検知温度の取得を開始して(ステップS103)、サンプリング周期t1で機内温度センサ15および機外温度センサ16のそれぞれの検知温度情報をサンプリングして保存期間T内のそれぞれのサンプリングデータ、つまり検知温度勾配情報を取得する(ステップS104)。
【0036】
そして、CPU13は、最新データの検知温度勾配情報をメモリ12に保存する際に、前の保存周期にメモリ12に保存された旧データの検知温度勾配情報を削除して(ステップS105)、メモリ12に最新データを保存する(ステップS106)。
【0037】
その後、CPU13は、メモリ12に保存した最新データから、機内温度センサ15および機外温度センサ16のどちらか検知温度が過昇温度以下であった場合、ステップS103に戻り、次の保存期間の検知温度情報を取得する制御を行う。
【0038】
(過昇温度閾値以上の場合の制御)
続いて、
図7および
図8を参照し、機内温度センサ15もしくは機外温度センサ16の検知温度が過昇温度閾値以上になった場合の画像形成装置1の動作について説明する。
【0039】
図7は、画像形成装置1がメモリ12に記憶する検知温度データの一例を示す図である。
図8は、過昇温度閾値以上になった場合の画像形成装置1の動作の一例を説明する図である。なお、
図7には機外温度センサ16が過昇温度閾値を超えた場合の検知温度の変化のグラフが一例として示されているが、機内温度センサ15が過昇温度閾値を超えた場合であっても同様に実施することは可能である。
【0040】
図8に示されるように、CPU13は、取得した機内温度センサ15もしくは機外温度センサ16の検知温度が過昇温度閾値以上となったことを検知する(ステップS13-1)。CPU13は、検知温度が過昇温度閾値以上となった場合においても、機内温度センサ15および機外温度センサ16のそれぞれの検知温度の取得を継続して行う。従って、CPU13は、最新の保存周期内でサンプリングを継続し、最新の保存期間内の温度勾配情報をメモリ12に保存する(ステップS14)。この制御により、CPU13は、過昇温度検知前後の検知温度勾配の情報を取得し続ける。
【0041】
CPU13は、検知温度が過昇温度閾値以上となると、PSU基板20に対して電源供給遮断信号D1を出力し、PSU基板20内に実装された電源供給遮断回路23を作動することで、画像形成装置1の画像形成動作などを停止させる(ステップS13-2)。
【0042】
また、CPU13は、メモリ12への保存周期のタイミングで、最新保存周期の検知温度勾配のデータを、Wi-Fiモジュール11-1でサーバ2に送信し、アップロードする(ステップS15-1)。CPU13は、データ送信後、メモリ12内の旧データを削除し、最新データを保存する。これにより、メモリ12内には常に最新の保存周期内に取得した検知温度勾配が保存される。
【0043】
サーバ2は、画像形成装置1から送信された過昇温度検知前後の機内温度センサ15および機外温度センサ16のそれぞれの検知温度勾配情報に基づき、機内温度センサ15および機外温度センサ16のうちの過昇温度に達したセンサを特定し、機内もしくは機外のどちらで温度上昇が発生したかの解析等が可能になる。
【0044】
図9は、機内温度センサ15もしくは機外温度センサ16の検知温度が過昇温度閾値以上になった場合の画像形成装置1の制御フローの一例を示す図である。ステップS101~ステップS106までは
図6と同様のため説明を省略し、ステップS111からの過昇温度閾値以上の検知温度が検知された場合の制御について説明する。
【0045】
画像形成装置1は、機内温度センサ15もしくは機外温度センサ16の検知温度が過昇温度閾値以上になった場合、PSU基板20の電源供給遮断回路23を作動し、プリント動作などのマシン動作を停止する(ステップS111)。
【0046】
続いて、画像形成装置1は、機内温度センサ15および機外温度センサ16のそれぞれの検知温度取得を再開し(ステップS112)、メモリ12に最新の保存周期のデータを保存する(ステップS113)。
【0047】
画像形成装置1は、最新の保存周期のタイミングで、最新の検知温度勾配の情報をサーバ2にアップロードする(ステップS114)。
【0048】
画像形成装置1は、送信後、メモリ12内の旧データを削除する(ステップS115)。
【0049】
その後、画像形成装置1はステップS112に戻り、同様の処理を繰り返す。
【0050】
(スリープ時)
続いて、
図10および
図11を参照し、画像形成装置1のスリープ時における動作について説明する。画像形成装置1は操作が一定時間行われなかったときにスリープ状態に移行する。画像形成装置1は、スリープ状態に移行することにより、少なくとも制御部10、機内温度センサ15、および機外温度センサ16を除き、電源供給がストップする。
【0051】
図10および
図11は、画像形成装置1のスリープ時における動作の一例を説明する図である。
図10は、機内温度センサ15および機外温度センサ16の検知温度が過昇温度閾値以下の場合の画像形成装置1の動作を説明する図である。
図11は、機内温度センサ15もしくは機外温度センサ16の検知温度が過昇温度閾値以上になった場合の画像形成装置1の動作を説明する図である。
【0052】
画像形成装置1は、スリープ時に、PSU基板20のスリープ時電源22から制御部10、機内温度センサ15、および機外温度センサ16に、電源が供給されている。このため、制御部10、機内温度センサ15、および機外温度センサ16は、スリープ時においても動作可能であり、制御部10は検知温度勾配情報の取得、過昇温度検知、およびPSU基板20内に実装された電源供給遮断回路23の作動が可能である。
【0053】
つまり、
図10では、制御部10、機内温度センサ15、および機外温度センサ16がスリープ時電源22から電源が供給されているため、制御部10が
図4と同様の動作を行うことができる。また、
図11では、制御部10が機内温度センサ15もしくは機外温度センサ16の検知温度が過昇温度閾値以上になったことを検知し、
図8と同様の動作を行うことができる。
【0054】
図10および
図11には、それぞれ、
図4および
図8と同様の部分に同じ符号を付している。ここでは、
図4および
図8とは異なる動作についての説明までとし、これ以上の説明は
図4および
図8の説明の繰り返しになるため省略する。
【0055】
図12は、画像形成装置1のスリープ時における制御フローの一例を示す図である。
図12において、ステップS201で画像形成装置1がスリープ状態に移行した後も、
図6のステップS103~ステップS106と同様の動作で最新データを保存する。
【0056】
その後、CPU13は、機内温度センサ15もしくは機外温度センサ16の検知温度が過昇温度閾値以上になったかを判定する(ステップS202)。機内温度センサ15もしくは機外温度センサ16の検知温度が過昇温度閾値以上でない場合(ステップS202:No)、CPU13は、ステップS103に移行して同様の動作を繰り返す。
【0057】
機内温度センサ15もしくは機外温度センサ16の検知温度が過昇温度閾値以上になった場合(ステップS202:Yes)、CPU13は、ステップS111に移行して
図9の同様の動作(ステップS111~ステップS115)を行う。
【0058】
以上のように構成することにより、実施の形態に係る画像形成装置1は、焼損事故発生時を含む、機内温度センサ15および機外温度センサ16のそれぞれの温度勾配情報をサーバ2に素早くアップロードすることが可能になり、サーバ2またはサーバ2と通信接続された他のコンピュータが各温度勾配情報から発火要因が機内もしくは機外のどちらにあるかを特定して迅速に対応することが可能になる。
【0059】
制御部10は、例えばCPU(Central Processing Unit)とROM(Read Only Memory)を備え、CPUがROMなどの記憶部の各種プログラムを実行することにより各機能を実現するようにしてもよい。また、制御部10は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含み、機能の一部またはすべてを構成してもよい。
【0060】
実施の形態の画像形成装置で実行するプログラムは、ROMに予め組み込んで提供してもよい。また、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されてもよい。また、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。
【0061】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらは、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
1 画像形成装置
2 サーバ
10 制御部
11 通信部
12 メモリ
13 CPU
15 機内温度センサ
16 機外温度センサ
20 PSU基板
21 常用電源
22 スリープ時電源
23 電源供給遮断回路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】