IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士フイルム株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-内視鏡 図1
  • 特開-内視鏡 図2
  • 特開-内視鏡 図3
  • 特開-内視鏡 図4
  • 特開-内視鏡 図5
  • 特開-内視鏡 図6
  • 特開-内視鏡 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040867
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20240318BHJP
   A61B 1/04 20060101ALI20240318BHJP
   G02B 23/26 20060101ALI20240318BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
A61B1/00 715
A61B1/00 731
A61B1/04 530
G02B23/26 D
G02B23/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145498
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】浅岡 卓郎
(72)【発明者】
【氏名】雪入 毅司
【テーマコード(参考)】
2H040
4C161
【Fターム(参考)】
2H040DA12
2H040DA18
2H040DA56
2H040GA02
2H040GA03
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF40
4C161FF43
4C161LL02
4C161PP07
(57)【要約】
【課題】被検者の体内に挿入される挿入部の先端部の径がより細い内視鏡を提供する。
【解決手段】内視鏡は先端に鉗子口と撮像部とが並んで配置され、撮像部は撮像レンズと、撮像レンズの光軸に対して受光面を平行にして配置された撮像素子と、撮像レンズの光軸を90°屈曲させて撮像素子に撮像レンズを透過した光を入射させる光学素子と、撮像レンズと光学素子とを保持する保持具とを備え、撮像素子の受光面側に、鉗子口に接続された鉗子パイプが配置され、撮像素子の受光面に垂直な第1方向から見た場合における、撮像素子の外形の中心を通り光軸に平行な中心軸は、光軸よりも鉗子口側に位置し、撮像素子の受光面上に鉗子口に接続された鉗子パイプの一部が重なり、かつ鉗子パイプの中心軸が撮像素子の外側に位置している。光軸を通り、かつ受光面と平行な面上で光軸から最も離れた部分は第1方向から見た場合、光軸に対して撮像素子の中心軸の反対側にある。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に少なくとも鉗子口と撮像部とが並んで配置され、
前記撮像部は、撮像レンズと、前記撮像レンズの光軸に対して受光面を平行にして配置された撮像素子と、前記撮像レンズの前記光軸を90°屈曲させて前記撮像素子に前記撮像レンズを透過した光を入射させる光学素子と、前記撮像レンズと前記光学素子とを保持する保持具とを備え、
前記鉗子口に鉗子パイプが接続されており、前記鉗子パイプに鉗子チューブが接続され、前記撮像素子の前記受光面側に前記鉗子パイプ及び前記鉗子チューブが配置され、
前記撮像素子の前記受光面に垂直な第1方向から見た場合における、前記撮像素子の外形の中心を通り、前記撮像レンズの前記光軸に平行な中心軸は、前記撮像レンズの前記光軸よりも前記鉗子口側に位置し、前記撮像素子の前記受光面上に、前記鉗子口に接続された前記鉗子パイプ又は前記鉗子チューブの一部が重なり、かつ前記鉗子パイプ及び前記鉗子チューブの中心軸が前記撮像素子の外側に位置しており、
さらに、前記撮像レンズの前記光軸を通り、かつ前記撮像素子の前記受光面と平行な面上において、前記撮像レンズの前記光軸から距離が最も離れた部分は、前記第1方向から見た場合、前記撮像レンズの前記光軸に対して、前記撮像素子の前記中心軸の反対側にある、内視鏡。
【請求項2】
前記第1方向から見た場合、前記撮像レンズの前記光軸を通り、かつ前記撮像素子の前記受光面と平行な前記面上において、前記撮像レンズの前記光軸と、前記撮像レンズの前記光軸から距離が最も離れた前記部分との距離をD1とし、
前記第1方向から見た場合、前記撮像レンズの前記光軸と、前記撮像レンズの前記光軸に対して、前記撮像素子の前記中心軸と同じ側にある、前記撮像素子の第1の端部との距離をD2とするとき、D1<D2である、請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記第1方向から見た場合、前記撮像レンズの前記光軸を通り、かつ前記撮像素子の前記受光面と平行な前記面上において、前記撮像レンズの前記光軸と、前記撮像レンズの前記光軸から距離が最も離れた前記部分との距離をD1とし、前記撮像レンズの前記光軸と、前記撮像レンズの前記光軸に対して、前記撮像素子の前記中心軸の反対側の前記撮像素子の第2の端部との距離をD3とするとき、D1-D3>0である、請求項1又は2に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記第1方向から見た場合、前記保持具の前記光学素子を保持する保持部における最大外形の中心軸は、前記撮像レンズの前記光軸と平行であり、かつ前記撮像レンズの前記光軸に対して、前記撮像素子の前記中心軸の反対側にある、請求項1又は2に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記第1方向から見た場合、前記撮像レンズの前記光軸と、前記撮像素子の前記中心軸と、前記保持具の前記中心軸とは平行であり、
前記撮像レンズの前記光軸と直交する直交方向において、前記撮像素子の前記中心軸と前記撮像レンズの前記光軸との距離を第1の距離とし、前記撮像レンズの前記光軸と前記保持具の前記保持部における前記最大外形の前記中心軸との距離を第2の距離とするとき、
前記第1の距離は、前記第2の距離よりも長い、請求項4に記載の内視鏡。
【請求項6】
前記撮像素子が、電気的に接続された回路基板を有し、
前記回路基板は、前記撮像素子が実装される第1の平面部と、前記第1の平面部と第1の屈曲部で連結された第2の平面部とを少なくとも有し、
前記第1の平面部の外形の中心を通り、前記撮像レンズの前記光軸に平行な第1の軸と、
前記第1の屈曲部及び前記第2の平面部の外形の中心を通り、前記撮像レンズの前記光軸に平行な第2の軸とは、平行であり、かつ前記第2の軸は、前記撮像レンズの前記光軸を挟んで前記第1の軸の反対側にある、請求項1又は2に記載の内視鏡。
【請求項7】
前記第1方向から見た場合、
前記保持具の前記光学素子を保持する保持部における最大外形の前記中心軸と、前記回路基板の前記第2の軸とは一致している、請求項6に記載の内視鏡。
【請求項8】
前記保持具の前記光学素子を保持する保持部は、前記光学素子を保持する1対の保持部材を有し、
前記1対の保持部材は、それぞれ厚みが異なり、前記1対の保持部材は、前記保持具の前記保持部における最大外形の前記中心軸よりも前記回路基板の前記第2の軸側の保持部材の方が厚い、請求項4に記載の内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察対象の画像を取得する内視鏡に関し、特に、先端に少なくとも鉗子口と撮像部とが並んで配置された内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内視鏡用光源装置、内視鏡(内視鏡スコープ)、及びプロセッサ装置を備える内視鏡システムを用いた診断等が広く行われている。
被検者の体内に挿入される挿入部を有しており、内視鏡用光源装置による照明光は挿入部を経て観察対象に照射される。内視鏡は、照明光が照射された観察対象を撮像素子により撮像して画像信号を生成する。プロセッサ装置は、内視鏡により生成された画像信号を画像処理してモニタに表示するための観察画像を生成する。撮像素子はフレキシブル配線基板等で構成される回路基板を介して信号ケーブルに電気的に接続されており、信号ケーブルがプロセッサ装置に電気的に接続されている。被検者の肉体的な負担が小さいことから、内視鏡に関しては、被検者の体内に挿入される挿入部の先端部は細いことが要求されている。
【0003】
例えば、特許文献1に、本体操作部に連結した挿入部の先端硬質部の先端面に、照明部及び観察部から構成される内視鏡観察手段と、処置具導出口とが設けられ、観察部は、対物レンズ及びこの対物レンズの光軸を90°曲折するプリズムからなる対物光学系と、プリズムに接合して設けられ、固体撮像素子とその基板とからなる撮像アセンブリとからなり、また照明部は照明用レンズと、この照明用レンズに対向配設したライトガイドとから構成した内視鏡であって、先端硬質部の軸線と直交する断面に、その軸芯を中心とする直交2軸を設定したときに、撮像アセンブリは一方の軸と平行な方向に向くように配置され、かつこの撮像アセンブリと対物レンズの観察中心とはこの一方の軸を挟んで反対側に配置し、処置具導出口と観察部とは、他方の軸を境として主に相互に反対側となるように配置され、かつこの処置具導出口の中心は、撮像アセンブリのうちの最大幅となる部位の表面を含む平面と、この平面と平行であって、対物レンズの観察中心を含む平面との間の位置に配置され、さらに照明部は、他方の軸に対して対物レンズが配置されている側であって、この対物レンズを挟んだ両側に配置する構成の内視鏡が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-204342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、被検者の体内に挿入される挿入部の先端部について、更なる細径化が要求されており、上述の特許文献1の内視鏡では、更なる細径化に対応できない。
本発明の目的は、被検者の体内に挿入される挿入部の先端部の径がより細い内視鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、発明[1]は、先端に少なくとも鉗子口と撮像部とが並んで配置され、撮像部は、撮像レンズと、撮像レンズの光軸に対して受光面を平行にして配置された撮像素子と、撮像レンズの光軸を90°屈曲させて撮像素子に撮像レンズを透過した光を入射させる光学素子と、撮像レンズと光学素子とを保持する保持具とを備え、鉗子口に鉗子パイプが接続されており、鉗子パイプに鉗子チューブが接続され、撮像素子の受光面側に鉗子パイプ及び鉗子チューブが配置され、撮像素子の受光面に垂直な第1方向から見た場合における、撮像素子の外形の中心を通り、撮像レンズの光軸に平行な中心軸は、撮像レンズの光軸よりも鉗子口側に位置し、撮像素子の受光面上に、鉗子口に接続された鉗子パイプ又は鉗子チューブの一部が重なり、かつ鉗子パイプ及び鉗子チューブの中心軸が撮像素子の外側に位置しており、さらに、撮像レンズの光軸を通り、かつ撮像素子の受光面と平行な面上において、撮像レンズの光軸から距離が最も離れた部分は、第1方向から見た場合、撮像レンズの光軸に対して、撮像素子の中心軸の反対側にある、内視鏡。
【0007】
発明[2]は、第1方向から見た場合、撮像レンズの光軸を通り、かつ撮像素子の受光面と平行な面上において、撮像レンズの光軸と、撮像レンズの光軸から距離が最も離れた部分との距離をD1とし、第1方向から見た場合、撮像レンズの光軸と、撮像レンズの光軸に対して、撮像素子の中心軸と同じ側にある、撮像素子の第1の端部との距離をD2とするとき、D1<D2である、発明[1]に記載の内視鏡。
発明[3]は、第1方向から見た場合、撮像レンズの光軸を通り、かつ撮像素子の受光面と平行な面上において、撮像レンズの光軸と、撮像レンズの光軸から距離が最も離れた部分との距離をD1とし、撮像レンズの光軸と、撮像レンズの光軸に対して、撮像素子の中心軸の反対側の撮像素子の第2の端部との距離をD3とするとき、D1-D3>0である、発明[1]又は[2]に記載の内視鏡。
発明[4]は、第1方向から見た場合、保持具の光学素子を保持する保持部における最大外形の中心軸は、撮像レンズの光軸と平行であり、かつ撮像レンズの光軸に対して、撮像素子の中心軸の反対側にある、発明[1]~[3]のいずれか1つに記載の内視鏡。
【0008】
発明[5]は、第1方向から見た場合、撮像レンズの光軸と、撮像素子の中心軸と、保持具の中心軸とは平行であり、撮像レンズの光軸と直交する直交方向において、撮像素子の中心軸と撮像レンズの光軸との距離を第1の距離とし、撮像レンズの光軸と保持具の保持部における最大外形の中心軸との距離を第2の距離とするとき、第1の距離は、第2の距離よりも長い、発明[4]に記載の内視鏡。
発明[6]は、撮像素子が、電気的に接続された回路基板を有し、回路基板は、撮像素子が実装される第1の平面部と、第1の平面部と第1の屈曲部で連結された第2の平面部とを少なくとも有し、第1の平面部の外形の中心を通り、撮像レンズの光軸に平行な第1の軸と、第1の屈曲部及び第2の平面部の外形の中心を通り、撮像レンズの光軸に平行な第2の軸とは、平行であり、かつ第2の軸は、撮像レンズの光軸を挟んで第1の軸の反対側にある、発明[1]~[5]のいずれか1つに記載の内視鏡。
【0009】
発明[7]は、第1方向から見た場合、保持具の光学素子を保持する保持部における最大外形の中心軸と、回路基板の第2の軸とは一致している、発明[6]に記載の内視鏡。
発明[8]は、保持具の光学素子を保持する保持部は、光学素子を保持する1対の保持部材を有し、1対の保持部材は、それぞれ厚みが異なり、1対の保持部材は、保持具の保持部における最大外形の中心軸よりも回路基板の第2の軸側の保持部材の方が厚い、発明[4]~[7]のいずれか1つに記載の内視鏡。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、被検者の体内に挿入される挿入部の先端部の径がより細い内視鏡を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態の内視鏡システムの一例を示す模式図である。
図2】本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の一例の先端面の一例を示す模式図である。
図3】本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の一例を示す模式的側面図である。
図4】本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の一例を示す模式的平面図である。
図5】本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の一例を示す模式図である。
図6図5のA-A線による模式的断面図である。
図7】本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の一例の回路基板の一例を示す模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の内視鏡を詳細に説明する。
なお、以下に説明する図は、本発明を説明するための例示的なものであり、以下に示す図に本発明が限定されるものではない。
なお、以下において数値範囲を示す「~」とは両側に記載された数値を含む。例えば、εが数値εα~数値εβとは、εの範囲は数値εαと数値εβを含む範囲であり、数学記号で示せばεα≦ε≦εβである。
以下の説明の「特定の角度」、「平行」、「垂直」及び「直交」等は、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。
【0013】
〔内視鏡システム〕
内視鏡システムは、観察対象である被験者の体内等の観察部位に照明光(図示せず)を照射し、観察部位を撮像して、撮像により得られた画像信号に基づいて観察部位の表示画像を生成し、表示画像を表示するものである。
図1は本発明の実施形態の内視鏡システムの一例を示す模式図であり、本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の一例の先端面の一例を示す模式図である。
内視鏡システム10は、内視鏡12と、光源装置14と、プロセッサ装置16とを有する。内視鏡システム10は、後述する内視鏡12の撮像部13b(図2参照)の部分以外は、一般的な内視鏡と同様の構成を有する。
【0014】
内視鏡12は、詳細に図示はしないが、被検体内に挿入される挿入部と、挿入部に連なる操作部と、操作部から延びるユニバーサルコードとを有し、挿入部は、先端部と、先端部に連なる湾曲部と、湾曲部と操作部とを繋ぐ軟性部とで構成されている。撮像部13b(図2参照)については後述する。
【0015】
内視鏡12の先端部12aには、観察部位を照明するための照明光を出射する照明光学系、又は観察部位を撮像する撮像素子及び撮像光学系等が設けられている。湾曲部は挿入部の長手軸と直交する方向に湾曲可能に構成されており、湾曲部の湾曲動作は操作部にて操作される。また、軟性部は、挿入部の挿入経路の形状に倣って変形可能な程に比較的柔軟に構成されている。
【0016】
操作部には、先端部の撮像部13b(図2参照)の撮像動作を操作するボタン、又は湾曲部の湾曲動作を操作するノブ等が設けられている。また、操作部には、電気メス等の処置具が導入される導入口が設けられており、挿入部の内部には、導入口から先端部に達し、鉗子等の処置具が挿通される処置具チャンネルが設けられている。
【0017】
ユニバーサルコードの末端にはコネクタが設けられ、内視鏡12は、コネクタを介して、先端部の照明光学系から出射される照明光を生成する光源装置14、及び先端部12aの撮像部13b(図2参照)によって取得される映像信号を処理するプロセッサ装置16と接続される。
【0018】
プロセッサ装置16は、入力された映像信号を処理して観察部位の映像データを生成し、生成した映像データをモニタ(図示せず)に表示させるか、又はハードディスク等の記憶媒体に記録する。なお、プロセッサ装置16は、パーソナルコンピュータ等のプロセッサによって構成されるものであってもよい。
【0019】
光源装置14は、内視鏡12の撮像部13b(図2参照)によって体腔内の観察対象部位を撮像して、観察対象の画像信号を取得するために、赤光(R)、緑光(G)、及び青光(B)等の3原色光からなる白色光又は特定波長光等の照明光を、発生させて、内視鏡12に供給し、内視鏡12内のライトガイド等によって伝搬し、内視鏡12の挿入部の先端部の照明光学系から出射して、体腔内の観察対象部位を照明するためのものである。
【0020】
挿入部及び操作部並びにユニバーサルコードの内部にはライトガイド又は電線群(信号ケーブル)が収容されている。光源装置14にて生成された照明光がライトガイドを介して先端部の照明光学系に導光され先端面12bから光が照射される。先端部12aの先端面12bには、図2に示すように、少なくとも鉗子口13aと撮像部13bとが並んで配置されている。先端面12bには、ライトガイド13cも設けられている。先端面12bにおける鉗子口13aと撮像部13bとライトガイド13cとの配置は、鉗子口13aと撮像部13bとが並んで配置されていれば、特に限定されるものではない。また、これら以外に先端面12bには、送気送液ノズル(図示せず)を設けてもよい。
鉗子口13aに、鉗子パイプ17が一体又は別体に接続されている。鉗子パイプ17内に鉗子処置具又は注射針等が収納される。鉗子口13aから鉗子処置具又は注射針等が外部にでる。鉗子パイプ17には鉗子チューブ(図示せず)が接続される。鉗子パイプ17及び鉗子チューブは、金属又は樹脂で構成される。
【0021】
また、撮像部13bは、例えば、後述の内視鏡撮像装置20(図3参照)で構成される。内視鏡撮像装置20の撮像素子25(図2参照)の受光面25a(図2参照)側に鉗子口13aが配置されている。
内視鏡撮像装置20(図3参照)とプロセッサ装置16との間で信号及び電力のうち、少なくとも一方が電線群を介して伝送される。
【0022】
また、内視鏡システム10は、更に、洗浄水等を貯留する送水タンク、体腔内の吸引物(供給された洗浄水等も含む)を吸引する吸引ポンプ等を備えていてもよい。更に、送水タンク内の洗浄水、又は外部の空気等の気体を内視鏡内の管路(図示せず)に供給する供給ポンプ等を備えていてもよい。
【0023】
〔内視鏡撮像装置の一例〕
図3は本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の一例を示す模式的側面図であり、図4は本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の一例を示す模式的平面図であり、図5は本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の一例を示す模式図である。図6図5のA-A線による模式的断面図である。なお、図4は第1方向から見た図であり、図5は撮像レンズ23側から見た図である。図6は第1方向から見た図であり、内視鏡撮像装置の構成の図示を省略している。
上述のように撮像部13b(図2参照)は、内視鏡撮像装置20で構成される。以下、内視鏡撮像装置20を撮像部13bとして説明する。
内視鏡撮像装置20は、観察対象の画像を取得するものである。内視鏡撮像装置20は、例えば、撮像レンズ23、撮像レンズ23を保持するレンズ鏡胴22、保持具24、撮像素子25、回路基板26、プリズム27、及び信号ケーブル28を有する。
ここで、撮像レンズ23の光軸Cに平行な方向をX方向とする。光軸Cと直交する2つの方向のうち、1つをY方向とし、残りをZ方向とする。Y方向は内視鏡撮像装置20の幅方向に対応し、Z方向は内視鏡撮像装置20の高さ方向に対応する。
【0024】
撮像レンズ23は、撮像レンズ23に入射する光を撮像素子25の受光面25aに結像する光学素子である。撮像レンズ23はレンズ鏡胴22に保持される。
【0025】
レンズ鏡胴22は、筒状の部材であり、内部に、1以上の撮像レンズ23を保持するものである。レンズ鏡胴22は、撮像レンズ23の光軸Cがプリズム27の入射面27a(図3参照)に垂直になるように、撮像レンズ23を保持する。内視鏡撮像装置20は、例えば、3つの撮像レンズ23を有し、レンズ鏡胴22で保持されている。
【0026】
撮像レンズ23及びレンズ鏡胴22の構成は特に制限されない。例えば、撮像レンズ23を1つ有する構成であってもよいし、2つ、又は、4つ以上の撮像レンズ23を有する構成でもよい。また、各撮像レンズ23は、凸レンズであっても凹レンズであってもよい。
【0027】
撮像素子25は、撮像レンズ23によって結像された光を光電変換によって電気信号に変換することで撮像を行う撮像素子であり、受光面25aを有する。撮像素子25では、撮像レンズ23によって結像された光、すなわち、観察対象の撮像光が受光面25aに入射されて、撮像光が光電変換されて撮像が行われる。撮像素子25は、従来公知の撮像素子であり、CCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサー又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサーを用いることができる。
【0028】
撮像素子25は、保持具24に対してレンズ鏡胴22の反対側に配置されている。撮像素子25は、図3に示すように、例えば、導電性を有するバンプ32を介して回路基板26の第1の平面部26aの表面26fに電気的に接続されている。また、図3に示すように、撮像素子25は、撮像レンズ23の光軸Cに対して受光面25aを平行にして回路基板26上に実装されて配置されている。なお、実装とは、電気的に接続されていることをいう。
【0029】
バンプ32は、金属又は合金で構成される。より具体的には、バンプ32は、半田で構成される。半田で形成されたバンプ32のことを半田ボールともいう。なお、バンプ32は、撮像素子25と回路基板26とを電気的に接続することができれば、半田等に限定されるものではない。また、撮像素子25と回路基板26とは直接電気的に接続してもよい。
撮像素子25と回路基板26との間に、撮像素子25と回路基板26とを強固に接続するためにアンダーフィル層(図示せず)を設けることもできる。
撮像素子25と回路基板26との熱膨張係数の違いにより、撮像素子25と回路基板26との接合部、例えば、バンプ32に応力が生じるが、アンダーフィル層は、この応力を緩和する。アンダーフィル層により、撮像素子25と回路基板26とが強固に接続され、電気的な接続の信頼性が増し、内視鏡撮像装置20の信頼性が高くなる。
アンダーフィル層を構成するアンダーフィル剤は、特に限定されるものでなく、撮像素子25と、回路基板26との間の封止樹脂として用いられるものが適宜利用可能である。例えば、アンダーフィル剤として、一液性加熱硬化型のエポキシ樹脂が用いられる。この場合、アンダーフィル剤を供給した後、予め定められた温度に加熱保持して、アンダーフィル層が形成される。
【0030】
回路基板26は、撮像素子25が実装される基板である。また、回路基板26には、撮像素子25以外に、例えば、電子部品30が実装される。電子部品30は、撮像素子25を駆動するためのものであり、特に限定されるものではないが、例えば、電圧レギュレータ、抵抗、及びコンデンサ等が挙げられる。電圧レギュレータは、撮像素子25への電圧を安定化させるデバイスであり、撮像素子25に一定の電圧を出力する。
図3に示すように、例えば、回路基板26は、第1の平面部26aと、第1の平面部26aと第1の屈曲部26bで連結された第2の平面部26cと、第2の平面部26cと第2の屈曲部26dで連結された第3の平面部26eとを有する。第1の平面部26a及び第3の平面部26eは、撮像レンズ23の光軸Cと平行である。第2の平面部26cは、撮像レンズ23の光軸Cに対して傾いて角度がついており、撮像レンズ23の光軸Cに対して傾斜している。すなわち、第2の平面部26cは光軸Cと平行ではない。第2の平面部26cは、第2の屈曲部26dの方が第1の屈曲部26bよりもZ方向において上側になるように傾斜している。
また、回路基板26には、撮像素子25及び電子部品30に対する信号又は電力が入出力される複数の接続端子(図示せず)が、第3の平面部26e(図3参照)の第2の平面部26c(図3参照)に対向する裏面26h(図3参照)に設けられている。接続端子に、信号ケーブル28の信号線28a(図3参照)が電気的に接続される。
回路基板26は、例えば、可撓性を有する基板で構成されており、例えば、フレキシブルプリント基板で構成される。
【0031】
撮像素子25は、図3に示すように第1の平面部26aの表面26fに実装されている。また、第1の平面部26aの表面26fに電子部品30を実装してもよい。
第2の平面部26cの第1の平面部26aの表面26fに対向する裏面26gに電子部品30が実装されている。第2の平面部26cは、第1の平面部26aに対して傾斜しているため、第1の平面部26aと第2の平面部26cとの間にスペースが広い領域ができる。このため、サイズの大きい電子部品30を実装できる。例えば、第2の平面部26cの裏面26gでは、第2の屈曲部26d側に、第1の屈曲部26b側に実装された電子部品30よりも高さが高い電子部品30を実装できる。このように、様々なサイズの電子部品を実装でき、内視鏡撮像装置20のスペースを有効活用できる。
なお、上述のように第3の平面部26eの第2の平面部26cに対向する裏面26hに接続端子(図示せず)が設けられている。第3の平面部26eの表面26iに電子部品30が実装されている。回路基板26上における撮像素子25、電子部品30、及び接続端子等の配置は、特に限定されるものではない。
【0032】
回路基板26の第3の平面部26eの裏面26h(図3参照)に設けられた接続端子に、信号ケーブル28の信号線28a(図3参照)が電気的に接続されており、撮像素子25と信号ケーブル28とが電気的に接続される。撮像素子25によって光が電気信号に変換され、この電気信号が信号ケーブル28を介して送信される。信号ケーブル28は、内視鏡の挿入部、操作部、ユニバーサルコード等に挿通されて、プロセッサ装置16(図1参照)に電気的に接続されている。
【0033】
信号ケーブル28は、信号線28aと、外周を構成する外皮28dとを有する構成であれば、特に限定されるものではない。信号ケーブル28は、例えば、図3に示すように複数の信号線28aと、各信号線28aを被覆する被覆層28bと、被覆層28bで被覆された、複数の信号線28aの全体の周囲に設けられたシールド導体28cと、シールド導体28cを被覆する外皮28dとを有する。信号ケーブル28は、複数の信号線28aが束ねられ、かつ周囲にシールド導体28cが設けられ、かつ円筒状の外皮28d内に収納された多芯ケーブルである。
上述のように外皮28dは信号ケーブル28の外周を構成する。被覆層28b、シールド導体28c、及び外皮28dは、例えば、円筒状である。また、信号ケーブル28のシールド導体28cのことをシールドという。信号ケーブル28は、信号線28aを、例えば、5本有する。信号線28aの数は、内視鏡撮像装置20の構成に応じたものであり、特に限定されるものではなく、2本でも、3本でも、4本でもよく、6本以上でもよい。
また、例えば、信号ケーブル28の外皮28d(図3参照)は、例えば、保護チューブ(図示せず)で被覆してもよい。保護チューブは信号ケーブル28を保護するものであり、信号ケーブル28の折れを防止し、信号線28aの断線を防止するものである。
【0034】
プリズム27は、レンズ鏡胴22と撮像素子25との間に、カバーガラス31を介して配置される。プリズム27は、撮像素子25の受光面25aに撮像レンズ23を通過した光をガイドするものである。プリズム27は、例えば、入射面27aと出射面27bとが直交する直角プリズムである。また、プリズム27には入射面27aと出射面27bとを結ぶ斜面27cを有する。斜面27cがプリズム27の反射面27eである。
プリズム27は、撮像レンズ23の光軸Cを90°屈曲させて撮像素子25に撮像レンズ23を透過した光を入射させる光学素子である。プリズム27は、レンズ鏡胴22に保持された撮像レンズ23を通過した光を、斜面27c、すなわち、反射面27eで、90°屈曲させて光路を変更し、撮像素子25の受光面25aに導く。撮像レンズ23を透過した光はプリズム27に入射し、プリズム27の斜面27c、すなわち、撮像レンズ23を透過した透過光が反射面27eで反射し、光路が90°屈曲されて撮像素子25の受光面25aに入射される。撮像レンズ23を透過した光は、観察対象の情報を含む光である。
例えば、プリズム27は、入射面27aをレンズ鏡胴22の基端側の面に対面して配置される。また、プリズム27は、出射面27bを撮像素子25の受光面25aに対面して配置される。この場合、プリズム27は、カバーガラス31上に出射面27bをカバーガラス31に対向して配置される。
【0035】
カバーガラス31は、撮像素子25の受光面25a上に配置され、受光面25aを保護するものである。プリズム27とカバーガラス31とは、例えば、光硬化型接着剤で接着される。なお、カバーガラス31がない構成でもよい。
【0036】
保持具24は、レンズ鏡胴22とプリズム27とを保持する部材であり、保持具24は、略筒状の部材である。保持具24は、取付筒部24aの基端側の端面に、例えば、多角形状のフランジ部24bを有する。
取付筒部24aの内部にレンズ鏡胴22を嵌入されて、レンズ鏡胴22を保持する。保持具24の取付筒部24aの内面とレンズ鏡胴22の外周面とは接着固定される。
保持具24とレンズ鏡胴22とを接着する接着剤としては、従来の内視鏡で用いられている種々の公知の接着剤を用いることができる。この点は、他の部材同士を接着する接着剤についても同様である。
【0037】
フランジ部24bにプリズム27を保持する保持部24cが設けられている。保持部24cは、プリズム27(光学素子)を保持する1対の保持部材24dを有する。フランジ部24bのY方向の両端に、それぞれ保持部材24dが設けられており、保持部材24dは、Y方向に対向して配置されている。
プリズム27は保持部材24dの間に配置され、保持部材24dに挟まれた状態でフランジ部24bに入射面27aが当接される。これにより、プリズム27はX方向の位置決めがなされる。1対の保持部材24dは、プリズム27の位置を規制する規制部材としても機能する。
【0038】
保持具24は、レンズ鏡胴22及びプリズム27を所定の位置に保持することで、レンズ鏡胴22とプリズム27との相対位置、すなわち、レンズ鏡胴22と、撮像素子25の受光面25aとの相対位置を固定する。プリズム27の出射面27bと撮像素子25とが対向する。なお、2つの保持部材24dは厚みが異なるが、保持具24の保持部材24dについては後に詳細に説明する。
ここで、レンズ鏡胴22は、撮像レンズ23の光軸方向における、保持具24に対する相対位置を、撮像素子25の受光面25aにピントが合うように調整されて、保持具24に接着固定される。光軸方向とは撮像レンズ23の光軸Cの延在方向である。撮像レンズ23の光軸方向はX方向と平行な方向である。
【0039】
上述のように、鉗子口13a(図2参照)に鉗子パイプ17が接続されており、撮像素子25の受光面25a側に鉗子パイプ17が配置されている。
図4に示すように内視鏡撮像装置20では、撮像素子25の受光面25aに垂直な第1方向から見た場合における、撮像素子25の外形の中心Cs(図7参照)を通り、撮像レンズ23の光軸Cに平行な中心軸CLは、撮像レンズ23の光軸Cよりも鉗子口13a(図2参照)側に位置している。撮像素子25の受光面25a上に、鉗子口13aに接続された鉗子パイプ17の一部が重なり、かつ鉗子パイプ17の中心軸Ccが撮像素子25の外側に位置している。例えば、鉗子口13aに接続された鉗子パイプ17は、中心軸Ccを撮像レンズ23の光軸Cと平行にして配置されている。
さらに、撮像レンズ23の光軸Cを通り、かつ撮像素子25の受光面25aと平行な面P図5及び6参照)上において、撮像レンズ23の光軸Cから距離が最も離れた部分は、第1方向から見た場合、撮像レンズ23の光軸Cに対して、撮像素子25の中心軸CLの反対側にある。
この場合、例えば、保持具24では、取付筒部24aの中心、すなわち、撮像レンズ23の光軸Cと、フランジ部24bの中心とを、Y方向においてオフセットさせて、フランジ部24bと取付筒部24aとを配置している。このため、内視鏡12(図1参照)の先端部12a(図1参照)の内部を有効に利用できる。これにより、被検者の体内に挿入される挿入部の先端部12a(図1参照)の径がより細い内視鏡12(図1参照)を実現できる。
【0040】
なお、鉗子パイプ17に鉗子チューブが接続されており、撮像素子25の受光面25a側に鉗子パイプ17及び鉗子チューブが配置される。この場合、上述の鉗子パイプ17と同様に、撮像素子25の受光面25a上に、鉗子チューブの一部が重なり、かつ鉗子チューブの中心軸が撮像素子25の外側に位置する構成でもよい。
【0041】
上述の撮像レンズ23の光軸Cから距離が最も離れた部分とは、光軸Cに対して面P内で直交する方向において、光軸Cからの距離が最も遠い部分である。例えば、図5及び図6では距離Dにある保持部材24dの端24eよりも、後述の距離D1にある保持部材24dの端24fの方が光軸Cに対して離れた位置にある。上述の部分は、例えば、保持部材24dの端24fが該当する。上述の部分は、面P上にある内視鏡撮像装置の構成部材であれば、保持部材24dの端24fに限定されるものではなく、部材の一点でもよく、部材の輪郭線等の線でもよく、部材の面でもよい。
また、光軸Cから距離とは、光軸Cと面P内で直交する方向における長さである。光軸Cと面P内で直交する方向は、図5及び図6ではY方向である。
【0042】
また、図6に示すように第1方向から見た場合、撮像レンズ23の光軸Cを通り、かつ撮像素子25の受光面25aと平行な面P上において、撮像レンズ23の光軸Cと、撮像レンズ23の光軸Cから距離が最も離れた部分との距離をD1とする。第1方向から見た場合、撮像レンズ23の光軸Cと、撮像レンズ23の光軸Cに対して、撮像素子25の中心軸CLと同じ側にある、撮像素子25の第1の端部25bとの距離をD2とする。このとき、D1<D2であることが好ましい。
D1<D2とすることにより、内視鏡12(図1参照)の先端部12a(図2参照)の内表面側の空間を有効に利用できる。
なお、上述の距離D1及びD2は、図6以外に図5にも示す。上述の距離D1及びD2は、例えば、図5及び図6では撮像レンズ23の光軸Cと保持部材24dの端24fとの距離である。
距離D1、距離D2及び距離Dは、上述の場合、撮像レンズ23の光軸Cと、保持部材24dの端24e、24fと、撮像素子25の第1の端部25bとを特定することにより特定できる。
【0043】
また、図6に示すように第1方向から見た場合、撮像レンズ23の光軸Cを通り、かつ撮像素子25の受光面25aと平行な面P図5及び図6参照)上において、上述のように撮像レンズ23の光軸Cと、撮像レンズ23の光軸Cから距離が最も離れた部分との距離をD1とする。撮像レンズ23の光軸Cと、撮像レンズ23の光軸Cに対して、撮像素子25の中心軸CLの反対側の撮像素子25の第2の端部25c(図5参照)との距離をD3(図5参照)とする。このとき、D1-D3>0であることが好ましい。すなわち、距離D1の方が距離D3よりも長いことが好ましい。
D1-D3>0とすることにより、例えば、図5に示すように、保持部24cを撮像素子25の第2の端部25c側にオフセットさせて、内視鏡12(図1参照)の先端部12a(図2参照)の内表面側の空間を有効に利用できる。
距離D1及び距離D3は、内視鏡12の先端部12aの内径の制限を受ける。このため、距離D1-D3の上限は、先端部12aの直径に内径に応じて適宜決定されるものである。
なお、上述の距離D3は、上述の場合、撮像レンズ23の光軸Cと、撮像素子25の第2の端部25cとを特定することにより特定できる。
【0044】
また、第1方向から見た場合、保持具24のプリズム27を保持する保持部24cにおける最大外形W(図5参照)の中心軸Cfは、撮像レンズ23の光軸Cと平行であり、かつ撮像レンズ23の光軸Cに対して、撮像素子25の中心軸CLの反対側にあることが好ましい。この場合でも、例えば、保持部24cを撮像素子25の第2の端部25c側にオフセットさせて、内視鏡12(図1参照)の先端部12a(図2参照)の内表面側の空間を有効に利用できる。
【0045】
なお、撮像素子25の外形の中心Csとは、撮像素子25の受光面25aの外形の中心である。受光面25aが四角形である場合、撮像素子25の外形の中心Csは、受光面25aの対角線(図示せず)の交点である。
撮像素子25の中心軸CLは、撮像素子25の外形の中心Csを特定することにより、特定される。
また、最大外形Wの中心軸Cfは、最大外形Wの長さ方向の中間点を通り、かつ撮像レンズ23の光軸Cに平行な軸である。最大外形Wの長さ方向とは、図5のY方向のことである。
最大外形Wは、保持具24の保持部24cにおける最大外形Wの該当箇所を、ノギス又はマイクロメーターを用いて計測することにより得られる。
【0046】
また、第1方向から見た場合、図4に示すように撮像レンズ23の光軸Cと、撮像素子25の外形の中心Csを通る中心軸CLと、保持具24の中心軸Cfとは平行である。
撮像レンズ23の光軸Cと直交する直交方向、図4ではY方向において、撮像素子25の中心軸CLと撮像レンズ23の光軸Cとの距離を第1の距離αとし、撮像レンズ23の光軸Cと保持具24の保持部24cにおける最大外形Wの中心軸Cfとの距離を第2の距離αとする。このとき、第1の距離αは、第2の距離αよりも長いことが好ましい。
第1の距離αは、第2の距離αよりも長い場合、撮像素子25が鉗子パイプ17側にオフセットして配置されている状態になる。このため、より大きな撮像素子25を配置することができる。このことから、第1の距離αは第2の距離αよりも長いことが好ましい。
第1の距離α及び第2の距離αは、上述の撮像素子25の中心軸CLと、保持具24の中心軸Cfと、撮像レンズ23の光軸Cとを特定することにより特定できる。
【0047】
上述のように内視鏡撮像装置20は、撮像素子25が電気的に接続された回路基板26を有する。回路基板26は、上述のように撮像素子25が実装される第1の平面部26aと、第1の平面部26aと第1の屈曲部26bで連結された第2の平面部26cとを少なくとも有する。
第1の平面部26aの外形の中心G図7参照)を通り、撮像レンズ23の光軸Cに平行な軸を第1の軸C図7参照)とする。第1の屈曲部26b及び第2の平面部26cの外形の中心G図7参照)を通り、撮像レンズ23の光軸Cに平行な軸を第2の軸C図7参照)とする。第1の軸Cと第2の軸Cとは平行であり、かつ第2の軸Cは、撮像レンズ23の光軸Cを挟んで第1の軸Cの反対側にある。第1の軸Cと第2の軸CとはY方向の差がδである。すなわち、第1の軸Cと第2の軸Cとは、差δだけずれている。
回路基板26は、第1の軸Cと第2の軸Cとを上述のような構成とすることにより、回路基板26が鉗子パイプ17の反対側にオフセットして配置されて、図5に示す領域Dsに電子部品30を配置できる。このことから、フランジ部24bの最大外形Wの範囲内で、多くの電子部品30を配置できる。
【0048】
上述のように第2の軸C図7参照)は、撮像レンズ23の光軸Cの反対側にある場合、例えば、第1の平面部26aの一方の側面26jと、第1の屈曲部26b及び第2の平面部26cの一方の側面26kとが同一面に配置される。
第1の平面部26aの外形の中心G図7参照)は、第1の平面部26aが四角形である場合、第1の平面部26aの対角線(図示せず)の交点である。
第1の屈曲部26b及び第2の平面部26cの外形の中心G図7参照)は、第1の屈曲部26b及び第2の平面部26cが展開した状態で四角形である場合、展開した第1の屈曲部26b及び第2の平面部26cで構成される四角形の対角線(図示せず)の交点である。
第1の軸Cは、上述の第1の平面部26aの外形の中心Gを特定することにより、特定できる。第2の軸Cは、上述の第1の屈曲部26b及び第2の平面部26cの外形の中心Gを特定することにより、特定できる。
【0049】
また、第1方向から見た場合、保持具24の保持部24cにおける最大外形W(図5参照)の中心軸Cfと、回路基板26の第2の軸Cとは一致していることが好ましい。これにより、図4に示すように保持具24の保持部24cの幅に回路基板26が収まる。これにより、内視鏡撮像装置20の幅を最小化、すなわち、内視鏡撮像装置20のY方向の長さを最小化できる。
なお、保持具24の中心軸Cfと回路基板26の第2の軸Cとが一致するとは、保持具24の中心軸Cfと回路基板26の第2の軸CとのY方向における距離が0.2mm以下である。
保持具24の中心軸Cfと回路基板26の第2の軸Cとが一致するとは、理想的にはずれていない状態、すなわち、保持具24の中心軸Cfと回路基板26の第2の軸CとのY方向における距離が0mmである。
なお、撮像素子25の外形の中心Csを、回路基板26の第1の平面部26aの外形の中心Gと一致させて、撮像素子25を回路基板26の第1の平面部26aに実装した場合、第1の軸Cと、撮像素子25の外形の中心Csを通る中心軸CLとは一致する。この場合、図7の差δは、図4に示す第1の距離αと第2の距離αとを合計した長さになる。
【0050】
上述のように保持具24の保持部24cは、プリズム27を保持する1対の保持部材24dを有する。1対の保持部材24dは、それぞれ厚みが異なり、例えば、1対の保持部材24dは、保持具24の保持部24cにおける最大外形Wの中心軸Cfよりも、回路基板26の第2の軸C側の保持部材24dの厚みdの方が厚いことが好ましい。すなわち、保持具24の保持部24cの撮像素子25の中心軸CL側の保持部材24dの厚みdと、第2の軸C側の保持部材24dの厚みdとでは、保持部材24dの厚みdの方が厚いことが好ましい。これにより、保持具24の強度が増し、プリズム27をより確実に保持できる。
上述の保持部材24dの厚みdと、保持部材24dの厚みdとは、保持具24の保持部24cの該当箇所を、ノギス又はマイクロメーターを用いて計測することにより得られる。
【0051】
また、上述のように保持具24では、取付筒部24aの中心と、フランジ部24bの中心とをY方向にオフセットさせている。このため、プリズム27を撮像レンズ23の光軸Cに合わせて配置するためには、プリズム27もフランジ部24bに対してY方向にオフセットさせて配置する必要がある。この場合、上述のように回路基板26の第2の軸C側の保持部材24dの厚みdの方を厚くすることにより、プリズム27を撮像レンズ23の光軸Cに合わせて配置できる。
保持部材24dの厚みは、Y方向における長さである。保持部材24dのY方向における長さをノギス又はマイクロメーターを用いて測定することにより、保持部材24dの厚みを特定できる。
【0052】
なお、保持具24において、2つの保持部材24dは、厚みが異なるが、大きさ及び形状が同じ、すなわち、合同であるが、これに限定されるものではなく、2つの保持部材24dは、大きさ及び形状が異なってもよい。
また、保持具24において、保持部材24dの外形の形状は、図3では五角形であるが、特に限定されるものではなく、四角形、円、楕円、又は三角形、若しくは六角形等の多角形でもよく、これらの形状が組合せてできた形状でもよい。さらには、1つの形状だけではなく、同じ形状のものが複数配置されたものでもよく特定のパターンでもよいが、少なくとも3側面を有することが好ましい。
【0053】
なお、保持具24の保持部材24dの大きさは、例えば、プリズム27の側面27dの少なくとも一部を覆う大きさであることが好ましい。保持部材24dの大きさを、プリズム27の側面27dの少なくとも一部を覆う大きさにすることにより、プリズム27をより安定して挟持して固定することができ、安定した位置規制ができる。また、組み立て時において保持具に対してプリズムのY方向の位置決めに利用することができる。
保持具24の保持部材24dの大きさの上限としては、プリズム27の側面27dを全て覆う大きさとすることができる。
保持具24において、1対の保持部材24dを設ける構成としたが、大型化をしない限り、これに限定されるものではなく、保持部材の数は、3以上とすることもできる。
【0054】
ここで、図7は本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の一例の回路基板の一例を示す模式的平面図である。なお、図7において、図3~6に示す内視鏡撮像装置20と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図7は折り曲げる前の状態の回路基板26を示しており、回路基板26を展開した状態を示す。折り曲げる前の状態の回路基板26は、第1の曲げ領域42aと第2の曲げ領域42bとを有する。第1の曲げ領域42aが第1の屈曲部26bになる領域であり、第2の曲げ領域42bが第2の屈曲部26dになる領域である。
【0055】
折り曲げる前の状態の回路基板26では、回路基板26の先端40aと第1の曲げ領域42aとの間が、第1の平面部26aになる領域42cである。領域42cに、撮像素子25が実装されている。
第1の曲げ領域42aと第2の曲げ領域42bとの間が第2の平面部26cになる領域42dである。領域42dに、複数の電子部品30が実装されている。
第2の曲げ領域42bよりも後端40b側が第3の平面部26eになる領域42eである。領域42eに、複数の電子部品30が実装されている。
【0056】
図7に示す回路基板26において、第1の曲げ領域42aを、撮像素子25と、電子部品30、30とが対向するように曲げ、第2の曲げ領域42bを、回路基板26の裏面40cが対向するように曲げる。これにより、回路基板26は、図3に示すように第1の屈曲部26bと第2の屈曲部26dとを有する構成となる。例えば、第1の曲げ領域42aを曲げるとき、第1の折曲面Lbに基づいて曲げる。また、例えば、第2の曲げ領域42bを曲げるとき、第2の折曲面Lbに基づいて曲げる。このように回路基板26は、複数の折曲げ領域で折り曲げられる。図7では、第1の折曲面Lbと第2の折曲面Lbとは、平行であるがこれに限定されるものではなく、平行ではなくてもよい。なお、第1の折曲面Lbは第1の曲げ領域42aに設けられ、第2の折曲面Lbは第2の曲げ領域42bに設けられるため、第1の折曲面Lbと第2の折曲面Lbとは直交することはない。
回路基板26の折り曲げ方向は、全て同じ方向で折り曲げられていることが好ましい。これにより、第1の屈曲部26b、及び第2の屈曲部26dのように、内視鏡撮像装置20のY方向に曲げ領域がなく、内視鏡撮像装置20の内部の空間において曲げ領域が占める割合を小さくできる。
【0057】
また、回路基板26では、第1の平面部26aの最大幅Wよりも第2の平面部26cの最大幅Wが狭いと、第1の曲げ領域42aを曲げやすく、第1の屈曲部26bを形成しやすことから好ましい。さらには、撮像素子25に近い程、回路が複雑になるため、多くの実装面積が必要になるため、第1の平面部26aの最大幅Wよりも第2の平面部26cの最大幅Wの方が狭いことが好ましい。すなわち、第1の平面部26aの最大幅Wの方が、第2の平面部26cの最大幅Wよりも広いことが好ましい。
上述の第1の平面部26aの最大幅W、及び第2の平面部26cの最大幅Wは、いずれも回路基板26の該当箇所を、ノギス又はマイクロメーターを用いて計測することにより得られる。
【0058】
内視鏡撮像装置20において、撮像レンズ23から撮像素子25に取り込まれた観察像は、撮像素子25の受光面25aに結像されて電気信号に変換され、この電気信号が信号ケーブル28を介してプロセッサ装置16(図1参照)に出力され、映像信号に変換され、プロセッサ装置16に接続されたモニタに観察画像が表示される。
【0059】
内視鏡撮像装置20では、図3に示すように、プリズム27の斜面27cは第2の屈曲部26dに対向している。撮像素子25の受光面25aに対して垂直な方向、図3ではZ方向から見た際に、プリズム27の斜面27cに、回路基板26の第2の屈曲部26dの少なくとも一部が重なることが好ましい。これにより、プリズム27の斜面27c側のスペースに、第2の屈曲部26dが入り込む形態となり、プリズム27の斜面27c側のスペースを有効利用して、内視鏡撮像装置20の光軸方向の長さを短くでき、内視鏡撮像装置20を光軸方向において小型化できる。
【0060】
内視鏡撮像装置20では、プリズム27の斜面27cの一部と回路基板26の第2の屈曲部26dの一部とが光硬化型接着剤(図示せず)で連結され、第1の屈曲部26bの一部及び/又は第2の平面部26cの一部と、信号ケーブル28の一部及び/又は第3の平面部26eとが、光硬化型接着剤(図示せず)で連結されていることが好ましい。これにより、回路基板26の形状を維持でき、内視鏡撮像装置20の製造時間を短縮できる。
光硬化型接着剤は、例えば、波長100~400nm程度の紫外光、波長400超780nm未満程度の可視光波長、又は780nm~1mm程度の赤外光等により硬化する接着剤である。光硬化型接着剤は、例えば、エポキシ樹脂系光硬化型接着剤、アクリル樹脂系光硬化型接着剤、又はシリコーン系光硬化型接着剤である。また、光硬化と熱硬化が併用される接着剤でもよい。この光硬化型接着剤は、上述のプリズム27とカバーガラス31との接着にも利用できる。
さらに、プリズム27(光学素子)、回路基板26、又は電子部品30は、露出しないように樹脂で覆われていてもよい。樹脂としては、上述の光硬化型接着剤をそのまま用いても良い。光硬化型接着剤以外に、熱硬化型の接着剤又は光硬化と熱硬化が併用される接着剤を、樹脂として用いてもよい。また、プリズム27及びカバーガラス31の露出部は、光透過率が低い樹脂で覆うことが好ましい。
【0061】
第1の屈曲部26b及び第2の屈曲部26dは、いずれも曲面で構成されている。第1の屈曲部26b及び第2の屈曲部26dの曲率半径は同じでもよく、違っていてもよい。図3では第1の屈曲部26bと第2の屈曲部26dとは曲率半径が同程度である。なお、第1の屈曲部26b及び第2の屈曲部26dの曲率半径を調整することにより、第1の平面部26aと第2の平面部26cとの間のスペース、及び第2の平面部26cと第3の平面部26eとの間のスペースを調整できる。
第1の屈曲部26b及び第2の屈曲部26dは、曲面を有する構成であれば、曲面だけで構成されていることに限定されるものではなく、例えば、平面と曲面とを有する構成でもよい。
【0062】
曲率半径は、以下のようにして得られる。まず、側面方向からの回路基板26の画像を取得する。取得した画像を用いて、第1の屈曲部26b及び第2の屈曲部26dの曲率半径に該当する該当箇所を特定する。該当箇所に、曲線を当てはめ、その曲線の曲率半径を定規を用いて測定する。その測定値が曲率半径である。
なお、上述の曲率半径の測定には、取得した回路基板26の画像をコンピューターに取り込んで、ソフトウェアを用いて、第1の屈曲部26b及び第2の屈曲部26dの曲率半径を測定することも含まれる。曲率半径に該当する該当箇所に、曲線を当てはめ、その曲線の曲率半径を定規を用いて測定することには、コンピューター上でソフトウェアを用いて実施することも含まれる。
【0063】
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明の内視鏡について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良又は変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0064】
10 内視鏡システム
12 内視鏡
12a 先端部
12b 先端面
13a 鉗子口
13b 撮像部
13c ライトガイド
14 光源装置
16 プロセッサ装置
17 鉗子パイプ
20 内視鏡撮像装置
22 レンズ鏡胴
23 撮像レンズ
24 保持具
24a 取付筒部
24b フランジ部
24c 保持部
24d 保持部材
24e、24f 端
25 撮像素子
25a 受光面
25b 第1の端部
25c 第2の端部
26 回路基板
26a 第1の平面部
26b 第1の屈曲部
26c 第2の平面部
26d 第2の屈曲部
26e 第3の平面部
26f 表面
26g、26h 裏面
26j、26k 側面
27 プリズム
27a 入射面
27b 出射面
27c 斜面
27e 反射面
28 信号ケーブル
28a 信号線
28b 被覆層
28c シールド導体
28d 外皮
30 電子部品
31 カバーガラス
32 バンプ
40a 先端
40b 後端
40c 裏面
42a 第1の曲げ領域
42b 第2の曲げ領域
42c、42d、42e 領域
C 光軸
第1の軸
第2の軸
CL、Cc、Cf 中心軸
Cs、G1、G2 中心
、D1、D2、D3 距離
Ds 領域
Lb 第1の折曲面
Lb 第2の折曲面
W 最大外形
最大幅
最大幅
α 第1の距離
α 第2の距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7