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特開2024-40909着色樹脂組成物、カラーフィルタ、及び画像表示装置
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  • 特開-着色樹脂組成物、カラーフィルタ、及び画像表示装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040909
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】着色樹脂組成物、カラーフィルタ、及び画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20240318BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20240318BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20240318BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20240318BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20240318BHJP
   C08F 299/02 20060101ALI20240318BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
G02B5/20 101
G03F7/004 505
H05B33/14 A
H01L27/32
H05B33/12 E
C08F299/02
G09F9/30 349B
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145565
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(72)【発明者】
【氏名】平岡 紫陽
(72)【発明者】
【氏名】福岡 幸治
(72)【発明者】
【氏名】石井 宏明
【テーマコード(参考)】
2H148
2H225
3K107
4J127
5C094
【Fターム(参考)】
2H148BE03
2H148BE14
2H148BE15
2H148BF07
2H148BF16
2H148BG02
2H148BH03
2H148BH06
2H148BH18
2H225AC31
2H225AC43
2H225AC44
2H225AC46
2H225AC63
2H225AD06
2H225AM22P
2H225AM95P
2H225AM96P
2H225AN23P
2H225AN38P
2H225AN39P
2H225AN66P
2H225AN95P
2H225AN97P
2H225AN98P
2H225BA01P
2H225BA09P
2H225BA17P
2H225BA32P
2H225CA17
2H225CB05
2H225CC01
2H225CC13
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC06
3K107CC32
3K107CC45
3K107EE23
3K107FF06
3K107FF14
4J127AA03
4J127BB051
4J127BB091
4J127BB221
4J127BC051
4J127BC131
4J127BD221
4J127BG141
4J127DA22
4J127DA23
4J127DA26
4J127DA46
4J127EA13
4J127FA16
4J127FA30
5C094AA06
5C094AA43
5C094ED02
(57)【要約】
【課題】 広色域の実現が可能であり、コントラストが高く、パターニング性に優れる着
色樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 (A)着色剤、(B)溶剤、(C)アルカリ可溶性樹脂、(D)光重合開
始剤、及び(E)光重合性モノマーを含有する着色樹脂組成物であって、前記(A)着色
剤が、溶媒として水またはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用い、
濃度10ppmかつ測定セル長が1cmで測定したときに、吸光度1.0以上の吸収ピー
クが波長560nm以上に少なくとも1つ以上存在する赤色着色剤(a-1)を含み、前
記(A)着色剤の含有割合が着色樹脂組成物の全固形分に対して30質量%以上であるこ
とを特徴とする着色樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)着色剤、(B)溶剤、(C)アルカリ可溶性樹脂、(D)光重合開始剤、及び(
E)光重合性モノマーを含有する着色樹脂組成物であって、
前記(A)着色剤が、溶媒として水またはプロピレングリコールモノメチルエーテルア
セテートを用い、濃度10ppmかつ測定セル長が1cmで測定したときに、吸光度1.
0以上の吸収ピークが波長560nm以上に少なくとも1つ以上存在する赤色着色剤(a
-1)を含み、
前記(A)着色剤の含有割合が着色樹脂組成物の全固形分に対して30質量%以上であ
ることを特徴とする着色樹脂組成物。
【請求項2】
前記(A)着色剤の含有割合が着色樹脂組成物の全固形分に対して50質量%以下であ
る、請求項1に記載の着色樹脂組成物。
【請求項3】
前記赤色着色剤(a-1)の含有割合が、前記(A)着色剤全量に対して10質量%以
下である、請求項1に記載の着色樹脂組成物。
【請求項4】
前記赤色着色剤(a-1)が染料である、請求項1~3のいずれか1項に記載の着色樹
脂組成物。
【請求項5】
前記赤色着色剤(a-1)がキサンテン系染料である、請求項4に記載の着色樹脂組成
物。
【請求項6】
前記赤色着色剤(a-1)が下記一般式(1)で表される化学構造を有するキサンテン
系化合物である、請求項1~3のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物。
【化1】
(式(1)中、R~Rは各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル
基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
aは2~5の整数を表す。
は任意の置換基を表し、複数あるRは互いに異なっていてもよく、うち2つ以上
は-SO 及び-COOからなる群から選ばれる少なくとも1つを有する1価の基を
表す。
Mは金属原子を表す。
l、m及びnは各々独立に、1~5の整数を表し、l=m×nである。)
【請求項7】
前記一般式(1)におけるMがアルカリ土類金属原子である、請求項6に記載の着色樹
脂組成物。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物を用いて作成した画素を有する、
カラーフィルタ。
【請求項9】
請求項8に記載のカラーフィルタを有する、画像表示装置。
【請求項10】
(A)着色剤、(B)溶剤、(C)アルカリ可溶性樹脂、(D)光重合開始剤、及び(
E)光重合性モノマーを含有する着色樹脂組成物であって、
前記(A)着色剤が、着色樹脂組成物を基板に塗布し、230℃で20分間焼成して得
られた厚さ2μmの塗膜で測定したときに、波長560nm以上の吸収ピークを示す赤色
着色剤(a-2)(ただし、C.I.ピグメントレッド177を除く)を含み、
前記赤色着色剤(a-2)の含有割合が、前記(A)着色剤全量に対して15質量%以
下であり、
前記(A)着色剤の含有割合が着色樹脂組成物の全固形分に対して30質量%以上であ
ることを特徴とする着色樹脂組成物。
【請求項11】
前記(A)着色剤の含有割合が着色樹脂組成物の全固形分に対して50質量%以下であ
る、請求項10に記載の着色樹脂組成物。
【請求項12】
前記赤色着色剤(a-2)の含有割合が、前記(A)着色剤全量に対して10質量%以
下である、請求項10に記載の着色樹脂組成物。
【請求項13】
前記赤色着色剤(a-2)が染料である、請求項10~12のいずれか1項に記載の着
色樹脂組成物。
【請求項14】
前記赤色着色剤(a-2)がキサンテン系染料である、請求項13に記載の着色樹脂組
成物。
【請求項15】
前記赤色着色剤(a-2)が下記一般式(1)で表される化学構造を有するキサンテン
系化合物である、請求項10~12のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物。
【化2】
(式(1)中、R~Rは各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル
基又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
aは2~5の整数を表す。
は任意の置換基を表し、複数あるRは互いに異なっていてもよく、うち2つ以上
は-SO 及び-COOからなる群から選ばれる少なくとも1つを有する1価の基を
表す。
Mは金属原子を表す。
l、m及びnは各々独立に、1~5の整数を表し、l=m×nである。)
【請求項16】
前記一般式(1)におけるMがアルカリ土類金属原子である、請求項15に記載の着色
樹脂組成物。
【請求項17】
請求項10~12のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物を用いて作成した画素を有す
る、カラーフィルタ。
【請求項18】
請求項17に記載のカラーフィルタを有する、画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色樹脂組成物、カラーフィルタ、及び画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置等に用いられるカラーフィルタを製造する方法としては、顔料分散
法、染色法、電着法、印刷法が知られている。中でも、分光特性、耐久性、パターン形状
及び精度等の観点から、平均的に優れた特性を有する顔料分散法が最も広範に採用されて
いる。
【0003】
近年、カラーフィルタに対して、より高輝度、高コントラスト且つ広色域化が要求され
ている。特に赤色画素用途においては、これまで一般的に用いられていたC.I.ピグメ
ントレッド254やC.I.ピグメントレッド177では広色域化の市場要求を満たすこ
とが出来なくなってきており、着色力の高い赤色着色剤の検討が盛んにおこなわれている
(例えば特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】日本国特開2015-79161号公報
【特許文献2】日本国特開2020-197567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らが検討を行ったところ、特許文献1、2に記載されている着色樹脂組成物で
は、広色域を実現しようとすると赤色着色剤の添加量が多くなり、コントラストの低下や
、パターンの形成が困難になることが見出された。
【0006】
そこで本発明は、広色域の実現が可能であり、コントラストが高く、パターニング性に
優れる着色樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、溶媒中において特定の吸収ピーク波長を有する赤色着色剤を含む着色樹
脂組成物を用いることで、上記課題を解決する。
第1の発明は、以下の態様を有する。
【0008】
[1] (A)着色剤、(B)溶剤、(C)アルカリ可溶性樹脂、(D)光重合開始剤、
及び(E)光重合性モノマーを含有する着色樹脂組成物であって、
前記(A)着色剤が、溶媒として水またはプロピレングリコールモノメチルエーテルア
セテートを用い、濃度10ppmかつ測定セル長が1cmで測定したときに、吸光度1.
0以上の吸収ピークが波長560nm以上に少なくとも1つ以上存在する赤色着色剤(a
-1)を含み、
前記(A)着色剤の含有割合が着色樹脂組成物の全固形分に対して30質量%以上であ
ることを特徴とする着色樹脂組成物。
[2] 前記(A)着色剤の含有割合が着色樹脂組成物の全固形分に対して50質量%以
下である、[1]に記載の着色樹脂組成物。
[3] 前記赤色着色剤(a-1)の含有割合が、前記(A)着色剤全量に対して10質
量%以下である、[1]又は[2]に記載の着色樹脂組成物。
[4] 前記赤色着色剤(a-1)が染料である、[1]~[3]のいずれかに記載の着
色樹脂組成物。
[5] 前記赤色着色剤(a-1)がキサンテン系染料である、[4]に記載の着色樹脂
組成物。
[6] 前記赤色着色剤(a-1)が下記一般式(1)で表される化学構造を有するキサ
ンテン系化合物である、[1]~[3]のいずれかに記載の着色樹脂組成物。
【0009】
【化1】
【0010】
(式(1)中、R~Rは各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル
基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
aは2~5の整数を表す。
は任意の置換基を表し、複数あるRは互いに異なっていてもよく、うち2つ以上
は-SO 及び-COOからなる群から選ばれる少なくとも1つを有する1価の基を
表す。
Mは金属原子を表す。
l、m及びnは各々独立に、1~5の整数を表し、l=m×nである。)
【0011】
[7] 前記一般式(1)におけるMがアルカリ土類金属原子である、[6]に記載の着
色樹脂組成物。
[8] [1]~[7]のいずれかに記載の着色樹脂組成物を用いて作成した画素を有す
る、カラーフィルタ。
[9] [8]に記載のカラーフィルタを有する、画像表示装置。
【0012】
第2の発明は、塗膜中において特定の吸収ピーク波長を有する赤色着色剤を含む着色樹
脂組成物を用いることで、上記課題を解決する。
第2の発明は、以下の態様を有する。
【0013】
[10] (A)着色剤、(B)溶剤、(C)アルカリ可溶性樹脂、(D)光重合開始剤
、及び(E)光重合性モノマーを含有する着色樹脂組成物であって、
前記(A)着色剤が、着色樹脂組成物を基板に塗布し、230℃で20分間焼成して得
られた厚さ2μmの塗膜で測定したときに、波長560nm以上の吸収ピークを示す赤色
着色剤(a-2)(ただし、C.I.ピグメントレッド177を除く)を含み、
前記赤色着色剤(a-2)の含有割合が、前記(A)着色剤全量に対して15質量%以
下であり、
前記(A)着色剤の含有割合が着色樹脂組成物の全固形分に対して30質量%以上であ
ることを特徴とする着色樹脂組成物。
[11] 前記(A)着色剤の含有割合が着色樹脂組成物の全固形分に対して50質量%
以下である、[10]に記載の着色樹脂組成物。
[12] 前記赤色着色剤(a-2)の含有割合が、前記(A)着色剤全量に対して10
質量%以下である、[10]又は[11]に記載の着色樹脂組成物。
[13] 前記赤色着色剤(a-2)が染料である、[10]~[12]のいずれかに記
載の着色樹脂組成物。
[14] 前記赤色着色剤(a-2)がキサンテン系染料である、[13]に記載の着色
樹脂組成物。
[15] 前記赤色着色剤(a-2)が下記一般式(1)で表される化学構造を有するキ
サンテン系化合物である、[10]~[12]のいずれかに記載の着色樹脂組成物。
【0014】
【化2】
【0015】
(式(1)中、R~Rは各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル
基又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
aは2~5の整数を表す。
は任意の置換基を表し、複数あるRは互いに異なっていてもよく、うち2つ以上
は-SO 及び-COOからなる群から選ばれる少なくとも1つを有する1価の基を
表す。
Mは金属原子を表す。
l、m及びnは各々独立に、1~5の整数を表し、l=m×nである。)
【0016】
[16] 前記一般式(1)におけるMがアルカリ土類金属原子である、[15]に記載
の着色樹脂組成物。
[17] [10]~[16]のいずれかに記載の着色樹脂組成物を用いて作成した画素
を有する、カラーフィルタ。
[18] [17]に記載のカラーフィルタを有する、画像表示装置。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、広色域の実現が可能であり、コントラストが高く、パターニング性に
優れる着色樹脂組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明のカラーフィルタを有する有機EL素子の一例を示す断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明する。本発明は、以下の実施の形態に限定さ
れるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更して実施することができる。
【0020】
本発明は前述のとおり、第1の発明と第2の発明とを含む。第1の発明と第2の発明を
「本発明」と称す。
本発明において、「重量平均分子量」とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグ
ラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)をさす。
本発明において、「全固形分」とは、着色樹脂組成物における溶剤以外の全成分を意味
するものとする。溶剤以外の成分が常温で液体であっても、その成分は溶剤には含めず、
全固形分に含める。
本発明において、「アミン価」とは、特に断りのない限り有効固形分換算のアミン価を
表し、分散剤の固形分1gあたりの塩基量と当量のKOHの質量で表される値である。
本発明において、「C.I.」とはカラーインデックスを意味する。
本発明において、赤色着色剤とは、450~600nmに極大吸収波長を有する着色剤
を意味する。
【0021】
[1]着色樹脂組成物の構成成分
本発明に係る着色樹脂組成物は、(A)着色剤、(B)溶剤、(C)アルカリ可溶性樹
脂、(D)光重合開始剤、及び(E)光重合性モノマーを含有する。さらに要すれば、上
記成分以外の他の添加物等が配合されていてもよい。
【0022】
[1-1](A)着色剤
第1の発明として、着色樹脂組成物に含まれる(A)着色剤は、溶媒として水またはプ
ロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用い、濃度10ppmかつ測定セル
長が1cmで測定したときに、吸光度1.0以上の吸収ピークが波長560nm以上に少
なくとも1つ以上存在する赤色着色剤(a-1)を含む。
本発明の着色樹脂組成物において、(A)着色剤が赤色着色剤(a-1)を含むことに
より、目的の色を再現するために必要な(A)着色剤の必要量が少なくなり、パターニン
グ性に寄与する(C)アルカリ可溶性樹脂などの成分が増加するため、パターニング性が
向上する傾向がある。
また、目的の色を再現するために(A)着色剤中の赤色着色剤(a-1)に該当する着
色剤の比率を低くすることが出来るため、相対的に良好なコントラストを持つために赤色
着色剤の汎用品として好ましく使用されているC.I.ピグメントレッド177やC.I
.ピグメントレッド254の比率が高くすることが出来、コントラストが良好となる傾向
がある。
【0023】
また、第2の発明として、着色樹脂組成物に含まれる(A)着色剤は、得られる塗膜の
厚さが2μmになるように着色樹脂組成物を基板に塗布し、230℃で20分間焼成して
得られた塗膜で測定したときに、波長560nm以上の吸収ピークを示す赤色着色剤(a
-2)(ただし、C.I.ピグメントレッド177を除く)を含む。
本発明の着色樹脂組成物において、(A)着色剤が赤色着色剤(a-2)を含むことに
より、目的の色を再現するために必要な(A)着色剤の必要量が少なくなり、パターニン
グ性に寄与する(C)アルカリ可溶性樹脂などの成分が増加するため、パターニング性が
向上する傾向がある。
【0024】
着色樹脂組成物の塗布、焼成については、後述の[3]カラーフィルタ基板の製造に記
載の方法を用いることができる。また、吸収ピークの測定については、後述の<色特性の
測定>に記載の方法を用いることができる。
【0025】
[1-1-1]赤色着色剤(a-1)
赤色着色剤(a-1)に該当する着色剤としては、例えば、C.I.アシッドレッド5
2やその誘導体が挙げられる。
【0026】
前記赤色着色剤(a-1)の含有割合は、前記(A)着色剤全量に対して1質量%以上
が好ましく、3質量%以上がさらに好ましく、5質量%以上が特に好ましい。また15質
量%以下が好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで着
色力が高まり広色域対応が可能になる傾向があり、前記上限値以下とすることでコントラ
ストが上昇する傾向がある。
【0027】
前記(A)着色剤の含有割合は、着色樹脂組成物の全固形分に対して30質量%以上が
好ましく、35質量%以上がさらに好ましく、40質量%以上が特に好ましい。また60
質量%以下が好ましく、50質量%以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで
着色力が高まり広色域対応が可能になる傾向があり、前記上限値以下とすることで着色樹
脂組成物中の着色剤以外の成分の割合が増えパターニング特性が向上する傾向がある。
【0028】
前記赤色着色剤(a-1)としては染料を好ましく用いることができる。顔料が分子の
集合体であることに対し、染料は単分子で存在しているために、輝度、コントラストが高
い傾向がある。
【0029】
染料としては、例えば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、キノリン系染料、ニトロ
系染料、カルボニル系染料、メチン系染料、シアニン系染料、トリアリールメタン系染料
、ジピロメテン系染料、キサンテン系染料等が好ましく挙げられるが、輝度および耐熱性
の観点からキサンテン系染料が好ましい。
【0030】
前記赤色着色剤(a-1)に用いられるキサンテン系染料の中でも、耐熱性とコントラ
ストの観点から、下記一般式(1)で表される化学構造を有するキサンテン系化合物であ
ることが好ましい。
【0031】
【化3】
【0032】
(式(1)中、R~Rは各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル
基又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
aは2~5の整数を表す。
は任意の置換基を表し、複数あるRは互いに異なっていてもよく、うち2つ以上
は-SO 及び-COOからなる群から選ばれる少なくとも1つを有する1価の基を
表す。
Mは金属原子を表す。
l、m及びnは各々独立に、1~5の整数を表し、l=m×nである。)
【0033】
(R~R
前記式(1)中、R~Rは各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアル
キル基又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
~Rにおけるアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基が挙
げられる。その炭素数は通常1以上であり、2以上が好ましく、また、12以下が好まし
く、6以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで耐熱性が向上し、輝度低下を抑
制する傾向がある。前記上限値以下とすることで現像液への溶解性が向上し、残渣を抑制
する傾向がある。
上記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、アルキル基の炭素数
は1~12が好ましく、1~6がより好ましく、2~6がさらに好ましい。
【0034】
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、2-プロピル基
、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシ
ルメチル基、シクロヘキシルエチル基、3-メチルブチル基が挙げられる。合成容易性の
観点から、エチル基が好ましい。
【0035】
アルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、後述の置換基群W1に記載の
基が挙げられる。置換基を有するアルキル基としては、例えば、フェネチル基、2-エト
キシエチル基、4,4,4-トリフルオロブチル基が挙げられる。
【0036】
~Rにおける芳香族環基としては、芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基が挙
げられる。その炭素数は通常4以上であり、6以上が好ましく、また、12以下が好まし
く、10以下がより好ましく、8以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで耐
熱性が向上する傾向がある。前記上限値以下とすることで現像液への溶解性が向上し、残
渣を抑制する傾向がある。
上記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、芳香族炭化水素環基
及び芳香族複素環基の炭素数は4~12が好ましく、4~10がより好ましく、4~8が
さらに好ましく、6~8が特に好ましい。
【0037】
芳香族炭化水素環基における芳香族炭化水素環としては、単環であっても縮合環であっ
てもよい。芳香族炭化水素環基としては、例えば、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン
環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピ
レン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオラン
テン環、フルオレン環が挙げられる。
芳香族複素環基における芳香族複素環としては、単環であっても縮合環であってもよい
。芳香族複素環基としては、例えば、1個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラ
ン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環
、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロ
ピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロー
ル環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾー
ル環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、
トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナント
リジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズ
レン環が挙げられる。
耐熱性の観点から、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、又はナフタレン環が好ま
しく、1個の遊離原子価を有するベンゼン環がより好ましい。
【0038】
芳香族環基が有していてもよい置換基としては、例えば、後述の置換基群W2に記載の
基が挙げられる。
【0039】
耐熱性および合成容易性の観点から、R~Rはすべてエチル基であることがさらに
好ましい。
【0040】
(a)
aは2~5の整数を表す。合成容易性の観点から、aは2が好ましい。
【0041】
(R
は任意の置換基を表し、複数あるRは互いに異なっていてもよく、うち2つ以上
は-SO 及び-COOからなる群から選ばれる少なくとも1つを有する1価の基を
表す。合成容易性および耐熱性の観点から、Rは-SO であることが好ましい。
【0042】
としては、前述の-SO 及び-COOの他に、置換基を有していてもよいア
ルキル基、置換基を有していてもよい芳香族環基が挙げられる。
【0043】
におけるアルキル基としては直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基が挙げられる
。その炭素数は通常1以上であり、2以上が好ましく、また、12以下が好ましく、6以
下がより好ましく、3以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで耐熱性が向上
する傾向がある。前記上限値以下とすることで溶剤親和性が向上し、経時安定性が向上す
る傾向がある。
上記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、アルキル基の炭素数
は1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3がさらに好ましく、1が特に好ま
しい。
【0044】
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、2-プロピル基
、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、2-エチルヘキシル基、シクロヘ
キシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、3-メチルブチル基が挙
げられる。合成容易性の観点から、メチル基が好ましい。
アルキル基は、後述の置換基群W1に記載の基で置換されていてもよい。
【0045】
における芳香族環基としては芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基が挙げられる
。その炭素数は通常4以上であり、6以上が好ましく、また、12以下が好ましい。例え
ば、2~12が好ましく、6~12がより好ましい。前記下限値以上とすることで耐熱性
が向上する傾向がある。前記上限値以下とすることで溶剤親和性が向上し、経時安定性が
向上する傾向がある。
【0046】
芳香族炭化水素環基における芳香族炭化水素環としては、単環であっても縮合環であっ
てもよい。芳香族炭化水素環基としては、例えば、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン
環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピ
レン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオラン
テン環、フルオレン環が挙げられる。
芳香族複素環基における芳香族複素環としては、単環であっても縮合環であってもよい
。芳香族複素環基としては、例えば、1個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラ
ン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環
、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロ
ピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロー
ル環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾー
ル環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、
トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナント
リジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズ
レン環が挙げられる。輝度の観点から、1個の遊離原子価を有するベンゼン環又はナフタ
レン環が好ましく、1個の遊離原子価を有するベンゼン環がより好ましい。
【0047】
芳香族環基が有していてもよい置換基としては、例えば、後述の置換基群W2に記載の
基が挙げられる。
【0048】
(置換基群W1)
フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;炭素数2~8のアル
ケニル基;炭素数1~8のアルコキシル基;フェニル基、メシチル基、トリル基、ナフチ
ル基等の芳香族炭化水素環基;シアノ基;カルボキシ基;アセチルオキシ基;炭素数2~
9のアルキルカルボニルオキシ基;スルファモイル基;炭素数2~9のアルキルスルファ
モイル基;炭素数2~9のアルキルカルボニル基;フェネチル基;ヒドロキシエチル基;
アセチルアミド基;炭素数1~4のアルキル基が結合してなるジアルキルアミノエチル基
;トリフルオロメチル基;炭素数1~8のトリアルキルシリル基;ニトロ基;炭素数1~
8のアルキルチオ基。
好ましくは炭素数1~8のアルコキシル基、シアノ基、アセチルオキシ基、炭素数2~
8のアルキルカルボキシ基、スルファモイル基、炭素数2~9のアルキルスルファモイル
基、及びフッ素原子である。
【0049】
(置換基群W2)
フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;炭素数1~8のアル
キル基;炭素数2~8のアルケニル基;ヒドロキシ基;炭素数1~8のアルコキシル基:
フェニル基、メシチル基、トリル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素環基;シアノ基;カ
ルボキシ基;アセチルオキシ基;炭素数2~9のアルキルカルボニルオキシ基;スルホン
酸基;スルファモイル基;炭素数2~9のアルキルスルファモイル基;カルボニル基;炭
素数2~9のアルキルカルボニル基;ヒドロキシエチル基;アセチルアミド基;炭素数1
~4のアルキル基が結合してなるジアルキルアミノエチル基;トリフルオロメチル基;炭
素数1~8のトリアルキルシリル基、ニトロ基、炭素数1~8のアルキルチオ基。
好ましくは炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~8のアルコキシル基、シアノ基、
アセチルオキシ基、炭素数2~8のアルキルカルボキシ基、スルファモイル基、炭素数2
~9のアルキルスルファモイル基、及びフッ素原子である。
【0050】
(置換基群W3)
フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;炭素数1~8のアル
キル基;炭素数2~8のアルケニル基;炭素数1~8のアルコキシル基;フェニル基、メ
シチル基、トリル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素環基;シアノ基;カルボキシ基;ア
セチルオキシ基;炭素数2~9のアルキルカルボニルオキシ基;スルファモイル基;炭素
数2~9のアルキルスルファモイル基;炭素数2~9のアルキルカルボニル基;フェネチ
ル基;ヒドロキシエチル基;アセチルアミド基;炭素数1~4のアルキル基が結合してな
るジアルキルアミノエチル基;トリフルオロメチル基;炭素数1~8のトリアルキルシリ
ル基;ニトロ基;炭素数1~8のアルキルチオ基。
好ましくは炭素数1~8のアルコキシル基、シアノ基、アセチルオキシ基、炭素数2~
8のアルキルカルボキシ基、スルファモイル基、炭素数2~9のアルキルスルファモイル
基、及びフッ素原子である。
【0051】
(M)
Mは金属原子を表す。Mとしては、電子を放出してカチオンとなりイオン対を形成する
ものであればよく、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属が好ましく挙げられる。中
でも、2価のカチオンとなり、キサンテン系染料のアニオンと会合体を形成し耐熱性が向
上することから、アルカリ土類金属を用いることが好ましい。
【0052】
アルカリ土類金属としては、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウムが挙げ
られるが、合成容易性の観点からカルシウムが好ましい。
【0053】
(l、m及びn)
l、m及びnは各々独立に、1~5の整数を表し、l=m×nである。合成容易性の観
点から、l=2、m=2、n=1が好ましい。
【0054】
一般式(1)で表される化学構造を有するキサンテン系化合物の具体例としては、例え
ば以下の化合物が挙げられる。
【0055】
【化4】
【0056】
【化5】
【0057】
一般式(1)で表される化学構造を有するキサンテン系化合物の製造方法としては公知
の方法を採用することができ、例えば、日本国特開2020-23660号公報に記載の
方法を採用することができる。
【0058】
(A)着色剤は、赤色着色剤(a-1)以外に、その他の着色剤を含んでいてもよい。
その他の着色剤としては、顔料や染料が挙げられる。赤色画素用途に用いる場合には、例
えば、赤色顔料、黄色顔料、赤ないしは黄色の染料を用いることが好ましい。
【0059】
赤色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、
12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、4
7、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50
:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、5
7:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、8
1、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101
:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123
、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172
、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185
、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208
、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232
、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247
、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259
、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270
、271、272、273、274、275、276を挙げることができる。この中でも
、好ましくはC.I.ピグメントレッド48:1、122、168、177、202、2
06、207、209、224、242、254、さらに好ましくはC.I.ピグメント
レッド177、209、224、254を挙げることができる。
【0060】
黄色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5
、6、9、10、12、13、14、16、17、20、24、31、32、34、35
、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、
55、61、62、62:1、63、65、73、74、75,81、83、86、87
、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110
、111、116、117、119、120、125、126、127、127:1、1
28、129、133、134、136、137、138、139、142、147、1
48、150、151、153、154、155、157、158、159、160、1
61、162、163、164、165、166、167、168、169、170、1
72、173、174、175、176、180、181、182、183、184、1
85、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195
、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206
、207、208、及び下記式(i)で表されるアゾバルビツール酸のニッケルとの1:
1錯体又はその互換異性体に、他の化合物が挿入されてなる化合物(以下、「式(i)で
表されるニッケルアゾ錯体」と称する場合がある。)が挙げられる。
【0061】
【化6】
【0062】
式(i)で表されるニッケルアゾ錯体において挿入される他の化合物としては、例えば
、下記式(ii)で表される化合物が挙げられる。
【0063】
【化7】
【0064】
この中でも、高輝度および高色域の観点から、C.I.ピグメントイエロー83、11
7、129、138、139、154、155、180、185、及び式(i)で表され
るニッケルアゾ錯体が好ましく、C.I.ピグメントイエロー83、138、139、1
80、185及び式(i)で表されるニッケルアゾ錯体がより好ましい。
【0065】
赤ないしは黄色の染料としては、アゾ系染料としては、例えば、C.I.アシッドイエ
ロー11、C.I.アシッドオレンジ7、C.I.アシッドレッド37、C.I.アシッ
ドレッド180、C.I.ダイレクトレッド28、C.I.ダイレクトレッド83、C.
I.ダイレクトイエロー12、C.I.ダイレクトオレンジ26、C.I.リアクティブ
イエロー2、C.I.リアクティブレッド17、C.I.リアクティブレッド120、C
.I.ディスパースオレンジ5、C.I.ディスパースレッド58、C.I.ベーシック
レッド18、C.I.モルダントレッド7、C.I.モルダントイエロー5等が挙げられ
る。
【0066】
アントラキノン系染料としては、例えば、C.I.ディスパースレッド60等が挙げら
れる。
【0067】
キノリン系染料としては、例えば、C.I.ソルベントイエロー33、C.I.アシッ
ドイエロー3、C.I.ディスパースイエロー64等が挙げられる。
【0068】
ニトロ系染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー1、C.I.アシッドオレ
ンジ3、C.I.ディスパースイエロー42等が挙げられる。
【0069】
ジピロメテン系染料としては、例えば、特開2008-292970号公報、特開20
10-84009号公報、特開2010-84141号公報、特開2010-85454
号公報、特開2011-158654号公報、特開2012-158739号公報、特開
2012-224852号公報、特開2012-224849号公報、特開2012-2
24847号公報、特開2012-224846号公報などに記載のものが挙げられる。
【0070】
キサンテン系染料としては、例えば、C.I.アシッドレッド50、C.I.アシッド
レッド52、C.I.アシッドレッド289、特開2019-159169号公報、特許
第06897685号公報、特許第3387541号公報、特開2010-32999号
公報、特許第4492760号公報、「総説合成染料」(堀口博著、三共出版、1968
年)326頁~348頁に記載のものなどが挙げられる。
【0071】
顔料の平均一次粒子径は、通常0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ま
しくは0.04μm以下である。顔料の微粒化に際しては、例えば、ソルベントソルトミ
リングが好適に用いられる。
【0072】
[1-1-2]赤色着色剤(a-2)
赤色着色剤(a-2)に該当する着色剤のうち、顔料としては、例えば、C.I.ピグ
メントレッド264や、C.I.ピグメントレッド269が挙げられ、C.I.ピグメン
トレッド177は除かれる。また、染料としてはC.I.アシッドレッド52やその誘導
体が挙げられる。
【0073】
前記赤色着色剤(a-2)の含有割合は、前記(A)着色剤全量に対して1質量%以上
が好ましく、3質量%以上がさらに好ましく、5質量%以上が特に好ましい。また15質
量%以下が好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで着
色力が高まり広色域対応が可能になる傾向があり、前記上限値以下とすることでコントラ
ストが上昇する傾向がある。
【0074】
前記(A)着色剤の含有割合は、着色樹脂組成物の全固形分に対して30質量%以上が
好ましく、35質量%以上がさらに好ましく、40質量%以上が特に好ましい。また60
質量%以下が好ましく、50質量%以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで
着色力が高まり広色域対応が可能になる傾向があり、前記上限値以下とすることで着色樹
脂組成物中の着色剤以外の成分の割合が増えパターニング特性が向上する傾向がある。
【0075】
前記赤色着色剤(a-2)としては染料を好ましく用いることができる。顔料が分子の
集合体であることに対し、染料は単分子で存在しているために、輝度、コントラストが高
い傾向がある。
【0076】
染料としては、例えば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、キノリン系染料、ニトロ
系染料、カルボニル系染料、メチン系染料、シアニン系染料、トリアリールメタン系染料
、ジピロメテン系染料、キサンテン系染料等が好ましく挙げられるが、輝度および耐熱性
の観点からキサンテン系染料が好ましい。
【0077】
前記赤色着色剤(a-2)に用いられるキサンテン系染料の中でも、耐熱性とコントラ
ストの観点から、前記一般式(1)で表される化学構造を有するキサンテン系化合物であ
ることが好ましい。
【0078】
前記一般式(1)で表される化学構造を有するキサンテン系化合物の取りうる構造、お
よび具体例については、赤色着色剤(a-1)で例示したものが好ましく挙げられる。
【0079】
一般式(1)で表される化学構造を有するキサンテン系化合物の製造方法としては公知
の方法を採用することができ、例えば、日本国特開2020-23660号公報に記載の
方法を採用することができる。
【0080】
(A)着色剤は、赤色着色剤(a-2)以外に、その他の着色剤を含んでいてもよい。
その他の着色剤としては、前述のものが好ましく挙げられる。
【0081】
[1-2](B)溶剤
(B)溶剤は、本発明の着色樹脂組成物において、着色剤、アルカリ可溶性樹脂、光重
合開始剤、光重合性モノマー、その他の成分を溶解又は分散させ、粘度を調節する機能を
有する。
(B)溶剤としては、各成分を溶解または分散させることができるものであればよい。
【0082】
このような溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレン
グリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレング
リコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレング
リコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、プロピ
レングリコール-t-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエ
チレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル
、メトキシメチルペンタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレ
ングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3-メ
チル-3-メトキシブタノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチ
レングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルのような
グリコールモノアルキルエーテル類;
【0083】
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチ
レングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレン
グリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレン
グリコールジメチルエーテルのようなグリコールジアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエ
ーテルアセテート、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルアセテート、プロピレ
ングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル
アセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコ
ールモノブチルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、3-メトキシブチルア
セテート、メトキシペンチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセ
テート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモ
ノ-n-ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテ
ート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコール
モノエチルエーテルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテートのようなグ
リコールアルキルエーテルアセテート類;
【0084】
エチレングリコールジアセテート、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,6
-ヘキサノールジアセテートなどのグリコールジアセテート類;
シクロヘキサノールアセテートなどのアルキルアセテート類;
アミルエーテル、プロピルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプ
ロピルエーテル、ブチルエーテル、ジアミルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジヘ
キシルエーテルのようなエーテル類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メ
チルイソアミルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチル
ケトン、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルヘキシル
ケトン、メチルノニルケトン、メトキシメチルペンタノンのようなケトン類;
エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロ
ピレングリコール、トリエチレングリコール、メトキシメチルペンタノール、グリセリン
、ベンジルアルコールのような1価又は多価アルコール類;
n-ペンタン、n-オクタン、ジイソブチレン、n-ヘキサン、ヘキセン、イソプレン
、ジペンテン、ドデカンのような脂肪族炭化水素類;
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシルの
ような脂環式炭化水素類;
【0085】
ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンのような芳香族炭化水素類;
アミルホルメート、エチルホルメート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸
アミル、メチルイソブチレート、エチレングリコールアセテート、エチルプロピオネート
、プロピルプロピオネート、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸メチル、エチルカプ
リレート、ブチルステアレート、エチルベンゾエート、3-エトキシプロピオン酸メチル
、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプ
ロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸プロピル、3-メトキシプロピオン酸ブチ
ル、γ-ブチロラクトンのような鎖状又は環状エステル類;
3-メトキシプロピオン酸、3-エトキシプロピオン酸のようなアルコキシカルボン酸
類;
ブチルクロライド、アミルクロライドのようなハロゲン化炭化水素類;
メトキシメチルペンタノンのようなエーテルケトン類;
アセトニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類が挙げられる。
【0086】
上記に該当する市販の溶剤としては、例えば、ミネラルスピリット、バルソル#2、ア
プコ#18ソルベント、アプコシンナー、ソーカルソルベントNo.1及びNo.2、ソ
ルベッソ#150、シェルTS28 ソルベント、カルビトール、エチルカルビトール、
ブチルカルビトール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテー
ト、メチルセロソルブアセテート、ジグライム(いずれも商品名)が挙げられる。これら
の溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0087】
フォトリソグラフィ法にてカラーフィルタの画素を形成する場合、溶剤としては沸点が
100~200℃(圧力1013.25[hPa]条件下。以下、沸点に関しては全て同
様。)の範囲の溶剤を選択するのが好ましい。より好ましくは120~170℃の沸点を
もつ溶剤である。
上記溶剤中、塗布性、表面張力などのバランスが良く、組成物中の構成成分の溶解度が
比較的高い点からは、グリコールアルキルエーテルアセテート類が好ましい。
【0088】
グリコールアルキルエーテルアセテート類は、単独で使用してもよいが、他の溶剤を併
用してもよい。併用する溶剤として、特に好ましいのはグリコールモノアルキルエーテル
類である。中でも、特に組成物中の構成成分の溶解性の観点からプロピレングリコールモ
ノメチルエーテルが好ましい。なお、グリコールモノアルキルエーテル類は極性が高く、
添加量が多すぎると顔料が凝集しやすく、後に得られる着色樹脂組成物の粘度が上がって
いくなどの保存安定性が低下する傾向があるので、グリコールモノアルキルエーテル類を
併用する場合には、(B)溶剤中のグリコールモノアルキルエーテル類の割合は5質量%
~30質量%が好ましく、5質量%~20質量%がより好ましい。
【0089】
別の態様として、150℃以上の沸点をもつ溶剤を併用することができる。150℃以
上の沸点をもつ溶剤を併用することにより、着色樹脂組成物は乾燥しにくくなるが、急激
に乾燥することによる顔料分散液中の構成成分の相互関係の破壊を起こし難くする効果が
ある。150℃以上の沸点をもつ溶剤を併用する場合には、(B)溶剤中の150℃以上
の沸点をもつ溶剤の含有割合は3質量%~50質量%が好ましく、5質量%~40質量%
がより好ましく、5質量%~30質量%が特に好ましい。前記下限値以上とすることで、
例えばスリットノズル先端で着色剤成分などが析出・固化して異物欠陥を惹き起こすこと
を回避しやすい傾向があり、また前記上限値以下とすることで組成物の乾燥速度が遅くな
って減圧乾燥プロセスのタクト不良や、プリベークのピン跡といった問題を惹き起こすこ
とを回避しやすい傾向がある。
沸点150℃以上の溶剤が、グリコールアルキルエーテルアセテート類であっても、ま
たグリコールアルキルエーテル類であってもよく、この場合は、沸点150℃以上の溶剤
を別途含有させる必要はない。
沸点150℃以上の溶剤として、好ましくは、例えば、ジエチレングリコールモノ-n
-ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジ
プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1,3-ブチレングリコールジアセテ
ート、1,6-ヘキサノールジアセテート、トリアセチンが挙げられる。
【0090】
インクジェット法にてカラーフィルタの画素を形成する場合、溶剤としては、沸点が、
通常130℃以上300℃以下、好ましくは150℃以上280℃以下のものが適当であ
る。前記下限値以上とすることで、得られる塗膜の均一性が良好となる傾向があり、前記
上限値以下とすることで、焼成時の残留溶剤を低減しやすい傾向がある。
溶剤の蒸気圧は、得られる塗膜の均一性の観点から、通常10mmHg以下、好ましく
は5mmHg以下、より好ましくは1mmHg以下のものが使用できる。
【0091】
インクジェット法によるカラーフィルタ製造において、ノズルから発せられるインクは
数~数十pLと非常に微細であるため、ノズル口周辺あるいは画素バンク内に着弾する前
に、溶剤が蒸発してインクが濃縮・乾固する傾向がある。これを回避するためには、(B
)溶剤が沸点の高い溶剤を含むことが好ましく、具体的には、沸点180℃以上の溶剤を
含むことが好ましい。沸点が200℃以上の溶剤を含むことがより好ましく、沸点が22
0℃以上の溶剤を含むことが特に好ましい。沸点180℃以上である溶剤の(B)溶剤中
の含有割合は50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上がより好ましく、9
0質量%以上が最も好ましい。前記下限値以上とすることで、液滴からの溶剤の蒸発防止
効果が十分に発揮されやすい傾向がある。
【0092】
沸点180℃以上の溶剤として、例えば前述の各種溶剤の中ではジエチレングリコール
モノ-n-ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテ
ート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1,3-ブチレングリコール
ジアセテート、1,6-ヘキサノールジアセテート、トリアセチンが挙げられる。
着色樹脂組成物の粘度調整や固形分の溶解度調整のために、沸点が180℃より低い溶
剤を含んでもよい。このような溶剤としては、低粘度で溶解性が高く、低表面張力である
溶剤が好ましく、例えば、エーテル類、エステル類、ケトン類が好ましい。中でも、例え
ば、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、シクロヘキサノール
アセテートが好ましい。
【0093】
一方、溶剤がアルコール類を含有すると、インクジェット法における吐出安定性が劣化
する場合がある。アルコール類を併用する場合には、(B)溶剤中のアルコール類の含有
割合は20質量%以下とすることが好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%
以下が特に好ましい。
【0094】
本発明の着色樹脂組成物に占める溶剤の含有割合は特に限定されないが、その上限は、
通常99質量%以下、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下である
。前記上限値以下とすることで塗布膜を形成しやすくなる傾向がある。一方で、溶剤含有
割合の下限は、塗布に適した粘性などを考慮して、通常70質量%以上、好ましくは75
質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。上記の上限及び下限は任意に組み合
わせることができる。例えば、着色樹脂組成物に占める溶剤の含有割合は70~99質量
%が好ましく、75~90質量%がより好ましく、80~85質量%がさらに好ましい。
【0095】
[1-3](C)アルカリ可溶性樹脂
本発明の着色樹脂組成物は、(C)アルカリ可溶性樹脂を含有する。(C)アルカリ可
溶性樹脂を含有することで、光重合による膜硬化性と現像液による溶解性を両立すること
ができる。
(C)アルカリ可溶性樹脂としては、例えば日本国特開平7-207211号公報、日
本国特開平8-259876号公報、日本国特開平10-300922号公報、日本国特
開平11-140144号公報、日本国特開平11-174224号公報、日本国特開2
000-56118号公報、日本国特開2003-233179号公報に記載される公知
の高分子化合物を使用することができる。中でも好ましくは下記(C-1)~(C-5)
の樹脂が挙げられる。
(C-1):エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との
共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付
加させてなる樹脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無
水物を付加させて得られる、アルカリ可溶性樹脂(以下「樹脂(C-1)」と称する場合
がある。)
(C-2)主鎖にカルボキシ基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂(以下、「樹脂(
C-2)」と称する場合がある。)
(C-3)前記樹脂(C-2)のカルボキシ基部分に、エポキシ基含有不飽和化合物を
付加させた樹脂(以下、「樹脂(C-3)」と称する場合がある。)
(C-4)(メタ)アクリル系樹脂(以下、「樹脂(C-4)」と称する場合がある。

(C-5)カルボキシ基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(以下、「樹脂(
C-5)」と称する場合がある。)
このうち特に好ましくは樹脂(C-1)が挙げられる。
【0096】
樹脂(C-2)~(C-5)は、アルカリ性の現像液によって溶解され、目的とする現
像処理が遂行される程度に溶解性を有するものであればよく、各々、特開2009-02
5813号公報に同項目として記載されている樹脂を好ましく採用することができる。
【0097】
樹脂(C-1)の好ましい態様の1つとして、「エポキシ基含有(メタ)アクリレート
5~90モル%と、他のラジカル重合性単量体10~95モル%との共重合体に対し、該
共重合体が有するエポキシ基の10~100モル%に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹
脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の10~100モル%に多塩基酸無水物を付加
させて得られるアルカリ可溶性樹脂」が挙げられる。
【0098】
エポキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレ
ート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、(3,4-エポキシシクロヘキシ
ル)メチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジ
ルエーテルが例示できる。中でもグリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。これらの
エポキシ基含有(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して
もよい。
【0099】
エポキシ基含有(メタ)アクリレートと共重合させる他のラジカル重合性単量体として
は、下記一般式(V)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0100】
【化8】
【0101】
式(V)中、R91~R98は各々独立して、水素原子、又は炭素数1~3のアルキル基を
表す。なお、R96とR98、又はR95とR97とが、互いに連結して環を形成していてもよい

式(V)において、R96とR98、又はR95とR97とが連結して形成される環は、脂肪族
環であるのが好ましく、飽和又は不飽和の何れでもよく、又、炭素数が5~6であるのが
好ましい。
【0102】
中でも、式(V)で表される構造としては、下記一般式(Va)、(Vb)、又は(V
c)で表される構造が好ましい。
アルカリ可溶性樹脂にこれらの構造を導入することによって、本発明の着色樹脂組成物
をカラーフィルタ形成用に使用する場合に、該着色樹脂組成物の耐熱性が向上し、該着色
樹脂組成物を用いて形成された画素の強度が増す傾向がある。
【0103】
式(V)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いても
よく、2種以上を併用してもよい。
【0104】
【化9】
【0105】
式(V)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートとしては、式(V)で表さ
れる構造を有する限り公知の各種のモノ(メタ)アクリレートが使用できるが、特に下記
一般式(VI)で表されるモノ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0106】
【化10】
【0107】
式(VI)中、R89は水素原子又はメチル基を表し、R90は式(V)で表される構造を
表す。
【0108】
エポキシ基含有(メタ)アクリレートと他のラジカル重合性単量体との共重合体におい
て式(VI)で表されるモノ(メタ)アクリレートに由来する繰り返し単位が含まれる場
合、式(VI)で表されるモノ(メタ)アクリレートに由来する繰り返し単位の含有割合
は、他のラジカル重合性単量体に由来する繰り返し単位中、5~90モル%が好ましく、
10~70モル%がさらに好ましく、15~50モル%が特に好ましい。
【0109】
式(VI)で表されるモノ(メタ)アクリレート以外の他のラジカル重合性単量体とし
ては、特に限定されるものではないが具体的には、例えば、スチレン、スチレンのα-、
o-、m-、p-アルキル、ニトロ、シアノ、アミド、エステル誘導体等のビニル芳香族
類;ブタジエン、2,3-ジメチルブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン類
;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸-n-プ
ロピル、(メタ)アクリル酸-iso-プロピル、(メタ)アクリル酸-n-ブチル、(
メタ)アクリル酸-sec-ブチル、(メタ)アクリル酸-tert-ブチル、(メタ)
アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル
、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル、(メタ)ア
クリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、
(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸-2-メチルシクロヘキシル、
(メタ)アクリル酸ジシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボロニル、(メタ)アク
リル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸プロパギル、(メタ)アクリル酸フェニル、(
メタ)アクリル酸ナフチル、(メタ)アクリル酸アントラセニル、(メタ)アクリル酸ア
ントラニノニル、(メタ)アクリル酸ピペロニル、(メタ)アクリル酸サリチル、(メタ
)アクリル酸フリル、(メタ)アクリル酸フルフリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロ
フリル、(メタ)アクリル酸ピラニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル
酸フェネチル、(メタ)アクリル酸クレジル、(メタ)アクリル酸-1,1,1-トリフ
ルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオ
ロ-n-プロピル、(メタ)アクリル酸パーフルオロ-iso-プロピル、(メタ)アク
リル酸トリフェニルメチル、(メタ)アクリル酸クミル、(メタ)アクリル酸3-(N,
N-ジメチルアミノ)プロピル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、(メタ)
アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アク
リル酸アミド、(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N
-ジエチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N-ジプロピルアミド、(メタ)アクリル酸
N,N-ジ-iso-プロピルアミド、(メタ)アクリル酸アントラセニルアミド等の(
メタ)アクリル酸アミド;(メタ)アクリル酸アニリド、(メタ)アクリロイルニトリル
、アクロレイン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、N-
ビニルピロリドン、ビニルピリジン、酢酸ビニル等のビニル化合物類;シトラコン酸ジエ
チル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等の不飽和ジカルボ
ン酸ジエステル類;N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ラウ
リルマレイミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)マレイミド等のモノマレイミド類;N
-(メタ)アクリロイルフタルイミドが挙げられる。
【0110】
これら他のラジカル重合性単量体の中でも、着色樹脂組成物に優れた耐熱性及び強度を
付与させるとの観点からは、スチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、モノマレイミド
が好ましい。
エポキシ基含有(メタ)アクリレートと他のラジカル重合性単量体との共重合体におい
てスチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、又はモノマレイミドに由来するいずれかの
繰り返し単位が含まれる場合、他のラジカル重合性単量体に由来する繰り返し単位中、ス
チレンに由来する繰り返し単位、ベンジル(メタ)アクリレートに由来する繰り返し単位
、及びモノマレイミドに由来する繰り返し単位の含有割合の合計は、1~70モル%が好
ましく、3~50モル%がさらに好ましい。
【0111】
エポキシ基含有(メタ)アクリレートと他のラジカル重合性単量体との共重合反応には
、公知の溶液重合法が適用できる。使用する溶剤はラジカル重合に不活性なものであれば
特に限定されるものではなく、通常用いられている有機溶剤を使用することができる。
溶液重合法に用いられる溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、セロ
ソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエ
ーテルアセテート類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトー
ルアセテート、ブチルカルビトールアセテート等のジエチレングリコールモノアルキルエ
ーテルアセテート類;プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジプロ
ピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類等の酢酸エステル類;エチレングリ
コールジアルキルエーテル類;メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビ
トール等のジエチレングリコールジアルキルエーテル類;トリエチレングリコールジアル
キルエーテル類;プロピレングリコールジアルキルエーテル類;ジプロピレングリコール
ジアルキルエーテル類;1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセ
トン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、オクタン、デカン等の炭化水素類;石油エーテル、石油
ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤;乳酸メチル、乳酸エチル、
乳酸ブチル等の乳酸エステル類;ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドンが挙げら
れる。これらの溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0112】
溶液重合法に用いられる溶剤の使用量は、得られる共重合体100質量部に対し、通常
30~1000質量部、好ましくは50~800質量部である。溶剤の使用量を前記範囲
内とすることで共重合体の分子量の制御が容易となる傾向がある。
共重合反応に使用されるラジカル重合開始剤は、ラジカル重合を開始できるものであれ
ば特に限定されるものではなく、通常用いられている有機過酸化物触媒やアゾ化合物触媒
を使用することができる。有機過酸化物触媒としては、公知のケトンパーオキサイド、パ
ーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアリルパーオキサイド、ジアシルパーオ
キサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネートに分類される触媒が挙げられ
る。
【0113】
共重合反応に使用されるラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサ
イド、ジクミルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオ
キサイド、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート、
t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチ
ルヘキサノエート、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシ
クロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキシル-3
、3-イソプロピルヒドロパーオキサイド、t-ブチルヒドロパーオキサイド、ジクミル
パーオキサイド、ジクミルヒドロパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ビス(4-
t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカ
ーボネート、イソブチルパーオキサイド、3,3,5-トリメチルヘキサノイルパーオキ
サイド、ラウリルパーオキサイド、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)3,3,5-
トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)3,3,5-トリ
メチルシクロヘキサンが挙げられる。
【0114】
アゾ化合物触媒としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスカルボンア
ミドが挙げられる。
これらの中から、重合温度に応じて、適当な半減期のラジカル重合開始剤が1種又は2
種以上使用される。
ラジカル重合開始剤の使用量は、共重合反応に使用される単量体の合計100質量部に
対して、通常0.5~20質量部、好ましくは1~10質量部である。
【0115】
共重合反応は、共重合反応に使用される単量体及びラジカル重合開始剤を溶剤に溶解し
、攪拌しながら昇温して行ってもよいし、ラジカル重合開始剤を添加した単量体を、昇温
、攪拌した溶剤中に滴下して行ってもよいし、溶剤中にラジカル重合開始剤を添加し昇温
した中に単量体を滴下してもよい。
反応条件は目標とする分子量に応じて設定することができる。
【0116】
本発明において、エポキシ基含有(メタ)アクリレートと他のラジカル重合性単量体と
の共重合体としては、エポキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する繰り返し単位5~
90モル%と他のラジカル重合性単量体に由来する繰り返し単位10~95モル%とから
なるものが好ましく;エポキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する繰り返し単位20
~80モル%と他のラジカル重合性単量体に由来する繰り返し単位80~20モル%とか
らなるものがさらに好ましく;エポキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する繰り返し
単位30~70モル%と他のラジカル重合性単量体に由来する繰り返し単位70~30モ
ル%とからなるものが特に好ましい。
【0117】
エポキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する繰り返し単位の含有割合を前記下限値
以上とすることで、後述する不飽和一塩基酸や多塩基酸無水物の付加量が十分となる傾向
がある。
他のラジカル重合性単量体に由来する繰り返し単位の含有割合を前記下限値以上とする
ことで、耐熱性や強度が十分となる傾向がある。
続いて、エポキシ樹脂含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共
重合体のエポキシ基に、不飽和一塩基酸(重合性成分)と、多塩基酸無水物(アルカリ可
溶性成分)とを反応させる。
【0118】
エポキシ基に付加させる不飽和一塩基酸としては、公知の不飽和一塩基酸を使用するこ
とができ、例えば、エチレン性不飽和二重結合を有する不飽和カルボン酸が挙げられる。
エポキシ基に付加させる不飽和一塩基酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸;クロ
トン酸;o-、m-、p-ビニル安息香酸;α-位がハロアルキル基、アルコキシル基、
ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基などで置換された(メタ)アクリル酸等のモノカ
ルボン酸;が挙げられる。中でも(メタ)アクリル酸が好ましい。これらの不飽和一塩基
酸は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0119】
不飽和一塩基酸をエポキシ基に付加させることにより、樹脂(C-1)に重合性を付与
することができる。
不飽和一塩基酸は、共重合体が有するエポキシ基の通常10~100モル%、好ましく
は30~100モル%、より好ましくは50~100モル%に付加させる。前記下限値以
上とすることで、着色樹脂組成物の経時安定性が良好となる傾向がある。
共重合体のエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させる方法としては、公知の方法を採用
することができる。
【0120】
さらに、共重合体のエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させたときに生じる水酸基に付
加させる多塩基酸無水物としては、公知の多塩基酸無水物が使用できる。
多塩基酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、
無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド
酸等の二塩基酸無水物;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテト
ラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の三塩基以上の酸の無水物が
挙げられる。中でも、テトラヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸が好ましい。これらの多
塩基酸無水物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0121】
多塩基酸無水物を共重合体のエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させたときに生じる水
酸基に付加させることにより、樹脂(C-1)にアルカリ可溶性を付与することができる

多塩基酸無水物は、共重合体が有するエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させることに
より生じる水酸基の通常10~100モル%、好ましくは20~90モル%、より好まし
くは30~80モル%に付加させる。前記上限値以下とすることで、現像時の残膜率が良
好となる傾向があり、また、前記下限値以上とすることで溶解性が十分となる傾向がある

共重合体が有するエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させることにより生じる水酸基に
多塩基酸無水物を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
【0122】
さらに、光感度を向上させるために、多塩基酸無水物を付加させた後、生成したカルボ
キシ基の一部にグリシジル(メタ)アクリレートや重合性不飽和基を有するグリシジルエ
ーテル化合物を付加させてもよい。
現像性を向上させるために、生成したカルボキシ基の一部に、重合性不飽和基を有さな
いグリシジルエーテル化合物を付加させてもよい。
又は、この両方を付加させてもよい。
【0123】
重合性不飽和基を有さないグリシジルエーテル化合物としては、例えば、フェニル基や
アルキル基を有するグリシジルエーテル化合物が挙げられる。
市販品として、例えば、ナガセケムテックス社製の商品名「デナコールEX-111」
、「デナコールEX-121」、「デナコールEX-141」、「デナコールEX-14
5」、「デナコールEX-146」、「デナコールEX-171」、「デナコールEX-
192」が挙げられる。
【0124】
樹脂(C-1)の構造は、例えば日本国特開平8-297366号公報や日本国特開2
001-89533号公報に記載されている。
樹脂(C-1)のGPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は特に限定され
ないが、3000~100000が好ましく、5000~50000が特に好ましい。前
記下限値以上とすることで、耐熱性や膜強度が良好となる傾向があり、また、前記上限値
以下とすることで現像液に対する溶解性が良好となる傾向がある。
分子量分布の目安として、樹脂(C-1)の重量平均分子量(Mw)の数平均分子量に
対する比(Mw/Mn)は、2.0~5.0が好ましい。
【0125】
紫外線露光時の塗膜硬化性の観点から、(C)アルカリ可溶性樹脂の中でも、(c1)
側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル共重合樹脂が好ましい。
(c1)側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル共重合樹脂が有する、エチレン性
不飽和基を有する側鎖を含む部分構造は特に限定されないが、紫外線露光時の塗膜硬化性
とアルカリ現像時のアルカリ溶解性の両立の観点から、例えば、下記一般式(CI)で表
される部分構造を有することが好ましい。
【0126】
【化11】
【0127】
式(CI)中、R1及びR2は各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。*は結合手を
表す。
【0128】
また、式(CI)で表される部分構造の中でも、感度やアルカリ現像性の観点から、下
記一般式(CI’)で表される部分構造が好ましい。
【0129】
【化12】
【0130】
式(CI’)中、R1及びR2は各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。RXは水素
原子又は多塩基酸残基を表す。
【0131】
多塩基酸残基とは、多塩基酸又はその無水物からOH基を1つ除した1価の基を意味す
る。多塩基酸としては、例えば、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラ
ヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、ベンゾフェ
ノンテトラカルボン酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタ
ル酸、クロレンド酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸が挙げ
られる。
パターニング特性の観点から、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラ
ヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、ビフェニル
テトラカルボン酸が好ましく、テトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸がよ
り好ましい。
これらの多塩基酸は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0132】
(c1)側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル共重合樹脂が式(CI)で表され
る部分構造を有する場合、(c1)側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル共重合樹
脂に含まれる、式(CI)で表される部分構造の含有割合は特に限定されないが10モル
%以上が好ましく、20モル%以上がより好ましく、30モル%以上がさらに好ましく、
40モル%以上がよりさらに好ましく、50モル%以上が特に好ましく、65モル%以上
が最も好ましく、また、95モル%以下が好ましく、90モル%以下がより好ましく、8
5モル%以下がさらに好ましく、80モル%以下がよりさらに好ましく、75モル%以下
が特に好ましく、70モル%以下が最も好ましい。前記下限値以上とすることで紫外線露
光時の塗膜硬化性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることでアルカリ現
像時のアルカリ溶解性が向上する傾向がある。上記の上限及び下限は任意に組み合わせる
ことができる。例えば、(c1)側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル共重合樹脂
に含まれる、式(CI)で表される部分構造の含有割合は10~95モル%が好ましく、
20~90モル%がより好ましく、30~85モル%がさらに好ましく、40~80モル
%がよりさらに好ましく、50~75モル%が特に好ましく、65~70モル%が最も好
ましい。
【0133】
(c1)側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル共重合樹脂が式(CI’)で表さ
れる部分構造を有する場合、(c1)側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル共重合
樹脂に含まれる、式(CI’)で表される部分構造の含有割合は特に限定されないが、1
0モル%以上が好ましく、20モル%以上がより好ましく、30モル%以上がさらに好ま
しく、40モル%以上がよりさらに好ましく、50モル%以上が特に好ましく、65モル
%以上が最も好ましく、また、95モル%以下が好ましく、90モル%以下がより好まし
く、85モル%以下がさらに好ましく、80モル%以下がよりさらに好ましく、75モル
%以下が特に好ましく、70モル%以下が最も好ましい。前記下限値以上とすることで紫
外線露光時の塗膜硬化性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることでアル
カリ現像時のアルカリ溶解性が向上する傾向がある。上記の上限及び下限は任意に組み合
わせることができる。例えば、(c1)側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル共重
合樹脂に含まれる、式(CI)で表される部分構造の含有割合は10~95モル%が好ま
しく、20~90モル%がより好ましく、30~85モル%がさらに好ましく、40~8
0モル%がよりさらに好ましく、50~75モル%が特に好ましく、65~70モル%が
最も好ましい。
【0134】
(c1)側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル共重合樹脂が式(CI)で表され
る部分構造を含む場合、他に含まれる部分構造は特に限定されないが、アルカリ現像時の
アルカリ溶解性の観点から、例えば、下記一般式(CII)で表される部分構造を有する
ことも好ましい。
【0135】
【化13】
【0136】
式(CII)中、R3は水素原子又はメチル基を表し、R4は置換基を有していてもよい
アルキル基、置換基を有していてもよい芳香族環基、又は置換基を有していてもよいアル
ケニル基を表す。
【0137】
(R4
式(CII)において、R4は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有して
いてもよい芳香族環基、又は置換基を有していてもよいアルケニル基を表す。
4におけるアルキル基としては直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基が挙げられる
。その炭素数は、1以上が好ましく、3以上がより好ましく、5以上がさらに好ましく、
8以上が特に好ましく、また、20以下が好ましく、18以下がより好ましく、16以下
がさらに好ましく、14以下がよりさらに好ましく、12以下が特に好ましい。前記下限
値以上とすることで親油性が向上し、溶剤への溶解性が向上する傾向があり、また、前記
上限値以下とすることで親水性が向上し、アルカリ溶解性が向上する傾向がある。上記の
上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、アルキル基の炭素数は1~2
0が好ましく、1~18がより好ましく、3~16がさらに好ましく、5~14がよりさ
らに好ましく、8~12が特に好ましい。
【0138】
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基、ジシクロペン
タニル基、ドデカニル基が挙げられる。現像性の観点から、ジシクロペンタニル基、ドデ
カニル基が好ましく、ジシクロペンタニル基がより好ましい。
アルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ク
ロロ基、ブロモ基、フルオロ基、ヒドロキシ基、アミノ基、エポキシ基、オリゴエチレン
グリコール基、フェニル基、カルボキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基が挙げら
れる。現像性の観点から、ヒドロキシ基、オリゴエチレングリコール基が好ましい。
【0139】
4における芳香族環基としては、1価の芳香族炭化水素環基及び1価の芳香族複素環
基が挙げられる。その炭素数は6以上が好ましく、また、24以下が好ましく、22以下
がより好ましく、20以下がさらに好ましく、18以下が特に好ましい。前記下限値以上
とすることで親油性が向上し、溶剤への溶解性が向上する傾向があり、また、前記上限値
以下とすることで親水性が向上し、アルカリ溶解性が向上する傾向がある。上記の上限及
び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、芳香族環基の炭素数は6~24が好
ましく、6~22がより好ましく、6~20がさらに好ましく、6~18が特に好ましい

芳香族炭化水素環基における芳香族炭化水素環としては、単環であっても縮合環であっ
てもよく、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペ
リレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、
アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環が挙げられる。
芳香族複素環基における芳香族複素環としては、単環であっても縮合環であってもよく
、例えば、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環
、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環
、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、
チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキ
サゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環
、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン
環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン
環、アズレン環が挙げられる。
現像性の観点から、ベンゼン環基、ナフタレン環基が好ましく、ベンゼン環基がより好
ましい。
芳香族環基が有していてもよい置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、メトキシ基、エトキシ基、クロロ基、ブロモ基、フルオロ基、ヒドロキシ基、アミ
ノ基、エポキシ基、オリゴエチレングリコール基、フェニル基、カルボキシ基が挙げられ
る。現像性の観点から、ヒドロキシ基、オリゴエチレングリコール基が好ましい。
【0140】
4におけるアルケニル基としては、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルケニル基が挙げ
られる。その炭素数は、2以上が好ましく、また、22以下が好ましく、20以下がより
好ましく、18以下がさらに好ましく、16以下がよりさらに好ましく、14以下が特に
好ましい。前記下限値以上とすることで親油性が向上し、溶剤への溶解性が向上する傾向
があり、また、前記上限値以下とすることで親水性が向上し、アルカリ溶解性が向上する
傾向がある。上記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、アルケニ
ル基の炭素数は2~22が好ましく、2~20がより好ましく、2~18がさらに好まし
く、2~16がよりさらに好ましく、2~14が特に好ましい。
【0141】
アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、2-プロペン-2-イル基、2
-ブテン-1-イル基、3-ブテン-1-イル基、2-ペンテン-1-イル基、3-ペン
テン-2-イル基、ヘキセニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキ
セニルが挙げられる。現像性の観点から、ビニル基、アリル基が好ましく、ビニル基がよ
り好ましい。
【0142】
アルケニル基が有していてもよい置換基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、
クロロ基、ブロモ基、フルオロ基、ヒドロキシ基、アミノ基、エポキシ基、オリゴエチレ
ングリコール基、フェニル基、カルボキシ基が挙げられる。現像性の観点から、ヒドロキ
シ基、オリゴエチレングリコール基が好ましい。
【0143】
4は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族環基、
又は置換基を有していてもよいアルケニル基を表し、現像性と膜強度の観点から、アルキ
ル基又はアルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
【0144】
(c1)側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル共重合樹脂が式(CII)で表さ
れる部分構造を有する場合、(c1)側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル共重合
樹脂における式(CII)で表される部分構造の含有割合は特に限定されないが、1モル
%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましく、10モル%以上がさらに好ましく、2
0モル%以上が特に好ましく、また、70モル%以下が好ましく、60モル%以下がより
好ましく、50モル%以下がさらに好ましく、40モル%以下が特に好ましい。前記下限
値以上とすることでアルカリ溶解性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とする
ことで着色樹脂組成物の保存安定性が向上する傾向がある。上記の上限及び下限は任意に
組み合わせることができる。例えば、(c1)側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリ
ル共重合樹脂における式(CII)で表される部分構造の含有割合は1~70モル%が好
ましく、5~60モル%がより好ましく、10~50モル%がさらに好ましく、20~4
0モル%が特に好ましい。
【0145】
(c1)アクリル共重合樹脂が式(CI)で表される部分構造を含む場合、他に含まれ
る部分構造として、耐熱性向上による輝度低下抑制の観点から下記一般式(CIII)で
表される部分構造が含まれることが好ましい。
【0146】
【化14】
【0147】
式(CIII)中、R5は水素原子又はメチル基を表し、R6は置換基を有していてもよ
いアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアル
キニル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアル
コキシ基、チオール基、又は置換基を有していてもよいアルキルスルフィド基を表す。t
は0~5の整数を表す。
【0148】
(R6
式(CIII)においてR6は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有して
いてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、ヒドロキシ基、カル
ボキシ基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルコキシ基、チオール基、又は置
換基を有していてもよいアルキルスルフィド基を表す。
6におけるアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基が挙げられ
る。その炭素数は、1以上が好ましく、3以上がより好ましく、5以上がさらに好ましく
、また、20以下好ましく、18以下がより好ましく、16以下がさらに好ましく、14
以下がよりさらに好ましく、12以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで親油
性が向上し、溶剤への溶解性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで
親水性が向上し、アルカリ溶解性が向上する傾向がある。上記の上限及び下限は任意に組
み合わせることができる。例えば、アルキル基の炭素数は1~20が好ましく、1~18
がより好ましく、3~16がさらに好ましく、3~14がよりさらに好ましく、5~12
が特に好ましい。
【0149】
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基、ジシクロペン
タニル基、ドデカニル基が挙げられる。耐熱性の観点から、ジシクロペンタニル基、ドデ
カニル基が好ましく、ジシクロペンタニル基がより好ましい。
アルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ク
ロロ基、ブロモ基、フルオロ基、ヒドロキシ基、アミノ基、エポキシ基、オリゴエチレン
グリコール基、フェニル基、カルボキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基が挙げら
れる。現像性の観点から、ヒドロキシ基、オリゴエチレングリコール基が好ましい。
【0150】
6におけるアルケニル基としては、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルケニル基が挙げ
られる。その炭素数は、2以上が好ましく、また、22以下が好ましく、20以下がより
好ましく、18以下がさらに好ましく、16以下がよりさらに好ましく、14以下が特に
好ましい。前記下限値以上とすることで親油性が向上し、溶剤への溶解性が向上する傾向
があり、また、前記上限値以下とすることで親水性が向上し、アルカリ溶解性が向上する
傾向がある。上記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、アルケニ
ル基の炭素数は2~22が好ましく、2~20がより好ましく、2~18がさらに好まし
く、2~16がよりさらに好ましく、2~14が特に好ましい。
【0151】
アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、2-プロペン-2-イル基、2
-ブテン-1-イル基、3-ブテン-1-イル基、2-ペンテン-1-イル基、3-ペン
テン-2-イル基、ヘキセニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキ
セニルが挙げられる。紫外線露光時の露光感度の観点から、ビニル基、アリル基が好まし
く、ビニル基がより好ましい。
【0152】
アルケニル基が有していてもよい置換基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、
クロロ基、ブロモ基、フルオロ基、ヒドロキシ基、アミノ基、エポキシ基、オリゴエチレ
ングリコール基、フェニル基、カルボキシ基が挙げられる。現像性の観点から、ヒドロキ
シ基、オリゴエチレングリコール基が好ましい。
【0153】
6におけるアルキニル基としては、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキニル基が挙げ
られる。その炭素数は、2以上が好ましく、また、22以下が好ましく、20以下がより
好ましく、18以下がさらに好ましく、16以下がよりさらに好ましく、14以下が特に
好ましい。前記下限値以上とすることで親油性が向上し、溶剤への溶解性が向上する傾向
があり、また、前記上限値以下とすることで親水性が向上し、アルカリ溶解性が向上する
傾向がある。上記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、アルキニ
ル基の炭素数は2~22が好ましく、2~20がより好ましく、2~18がさらに好まし
く、2~16がよりさらに好ましく、2~14が特に好ましい。
【0154】
アルキニル基としては、例えば、1-プロピン-3-イル基、1-ブチン-4-イル基
、1-ペンチン-5-イル基、2-メチル-3-ブチン-2-イル基、1,4-ペンタジ
イン-3-イル基、1,3-ペンタジイン-5-イル基、1-ヘキシン-6-イル基が挙
げられる。
【0155】
アルキニル基が有していてもよい置換基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、
クロロ基、ブロモ基、フルオロ基、ヒドロキシ基、アミノ基、エポキシ基、オリゴエチレ
ングリコール基、フェニル基、カルボキシ基が挙げられる。現像性の観点から、ヒドロキ
シ基、オリゴエチレングリコール基が好ましい。
【0156】
6におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ
素原子が挙げられる。アクリル共重合樹脂の保存安定性の観点からフッ素原子が好ましい
【0157】
6におけるアルコキシ基としては、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルコキシ基が挙げ
られる。その炭素数は、1以上が好ましく、また、20以下が好ましく、18以下がより
好ましく、16以下がさらに好ましく、14以下がよりさらに好ましく、12以下が特に
好ましい。前記下限値以上とすることで親油性が向上し、溶剤への溶解性が向上する傾向
があり、また、前記上限値以下とすることで親水性が向上し、アルカリ溶解性が向上する
傾向がある。上記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、アルコキ
シ基の炭素数は1~20が好ましく、1~18がより好ましく、1~16がさらに好まし
く、1~14がよりさらに好ましく、1~12が特に好ましい。
【0158】
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポ
キシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基が挙げられる。
【0159】
アルコキシ基が有していてもよい置換基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、
クロロ基、ブロモ基、フルオロ基、ヒドロキシ基、アミノ基、エポキシ基、オリゴエチレ
ングリコール基、フェニル基、カルボキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基が挙げ
られる。現像性の観点から、ヒドロキシ基、オリゴエチレングリコール基が好ましい。
【0160】
6におけるアルキルスルフィド基としては、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキルス
ルフィド基が挙げられる。その炭素数は、1以上が好ましく、また、20以下が好ましく
、18以下がより好ましく、16以下がさらに好ましく、14以下がよりさらに好ましく
、12以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで親油性が向上し、溶剤への溶解
性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで親水性が向上し、アルカリ
溶解性が向上する傾向がある。上記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
例えば、アルキルスルフィド基の炭素数は1~20が好ましく、1~18がより好ましく
、1~16がさらに好ましく、1~14がよりさらに好ましく、1~12が特に好ましい
【0161】
アルキルスルフィド基としては、例えば、メチルスルフィド基、エチルスルフィド基、
プロピルスルフィド基、ブチルスルフィド基が挙げられる。現像性の観点から、メチルス
ルフィド基、エチルスルフィド基が好ましい。
【0162】
アルキルスルフィド基におけるアルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば
、メトキシ基、エトキシ基、クロロ基、ブロモ基、フルオロ基、ヒドロキシ基、アミノ基
、エポキシ基、オリゴエチレングリコール基、フェニル基、カルボキシ基、アクリロイル
基、メタクリロイル基が挙げられる。現像性の観点から、ヒドロキシ基、オリゴエチレン
グリコール基が好ましい。
【0163】
6は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基
、置換基を有していてもよいアルキニル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン原子
、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、チオール基、又は置換基を有していてもよいア
ルキルスルフィド基を表し、現像性の観点から、ヒドロキシ基又はカルボキシ基が好まし
く、カルボキシ基がより好ましい。
【0164】
式(CIII)においてtは0~5の整数を表す。製造容易性の観点からはtが0であ
ることが好ましい。
【0165】
(c1)側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル共重合樹脂が式(CIII)で表
される部分構造を有する場合、(c1)側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル共重
合樹脂における式(CIII)で表される部分構造の含有割合は特に限定されないが、1
モル%以上が好ましく、2モル%以上がより好ましく、5モル%以上がさらに好ましく、
8モル%以上が特に好ましく、また、50モル%以下が好ましく、40モル%以下がより
好ましく、30モル%以下がさらに好ましく、20モル%以下が特に好ましい。前記下限
値以上とすることで耐熱性が向上し輝度低下を抑制する傾向があり、また、前記上限値以
下とすることでその他部分構造の含有割合が増え、アルカリ溶解性が向上する傾向がある
。上記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、(c1)側鎖にエチ
レン性不飽和基を有するアクリル共重合樹脂における式(CIII)で表される部分構造
の含有割合は1~50モル%が好ましく、2~40モル%がより好ましく、5~30モル
%がさらに好ましく、8~20モル%が特に好ましい。
【0166】
(c1)側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル共重合樹脂が式(CI)で表され
る部分構造を有する場合、他に含まれる部分構造として、現像性の観点から下記一般式(
CIV)で表される部分構造を有することも好ましい。
【0167】
【化15】
【0168】
式(IV)中、R7は水素原子又はメチル基を表す。
【0169】
(c1)側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル共重合樹脂における式(CIV)
で表される部分構造を含有する場合、(c1)側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリ
ル共重合樹脂における式(CIV)で表される部分構造の含有割合は特に限定されないが
、5モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましく、20モル%以上がさらに好
ましく、また、80モル%以下が好ましく70モル%以下がより好ましく、60%モル以
下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることでアルカリ溶解性が向上する傾向があり
、また、前記上限値以下とすることで着色樹脂組成物の保存安定性が向上する傾向がある
。上記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、(c1)側鎖にエチ
レン性不飽和基を有するアクリル共重合樹脂における式(CIV)で表される部分構造の
含有割合は5~80モル%が好ましく10~70モル%がより好ましく、20~60%モ
ルがさらに好ましい。
【0170】
(C)アルカリ可溶性樹脂の酸価は特に限定されないが、10mgKOH/g以上が好
ましく、30mgKOH/g以上がより好ましく、40mgKOH/g以上がさらに好ま
しく、50mgKOH/g以上がよりさらに好ましく、60mgKOH/g以上が特に好
ましく、また、300mgKOH/g以下が好ましく、250mgKOH/g以下がより
好ましく、200mgKOH/g以下がさらに好ましく、150mgKOH/g以下がよ
りさらに好ましい。前記下限値以上とすることでアルカリ溶解性が向上する傾向があり、
また、前記上限値以下とすることで着色樹脂組成物の保存安定性が向上する傾向がある。
上記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、(C)アルカリ可溶性
樹脂の酸価は10~300mgKOH/gが好ましく、30~300mgKOH/gがよ
り好ましく、40~250mgKOH/gがさらに好ましく、50~200mgKOH/
gがよりさらに好ましく、60~150mgKOH/gが特に好ましい。
【0171】
(C)アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は特に限定されないが、通常1000以上
、好ましくは2000以上、より好ましくは4000以上、さらに好ましくは6000以
上、よりさらに好ましくは7000以上、特に好ましくは8000以上であり、また、通
常30000以下、好ましくは20000以下、より好ましくは15000以下、さらに
好ましくは10000以下である。前記下限値以上とすることで耐熱性や塗膜硬化性が向
上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることでアルカリ溶解性が向上する傾向が
ある。上記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、(C)アルカリ
可溶性樹脂の重量平均分子量は1000~30000が好ましく、2000~30000
がより好ましく、4000~20000がさらに好ましく、6000~20000がより
さらに好ましく、7000~15000がことさら好ましく、8000~10000が特
に好ましい。
【0172】
本発明の着色樹脂組成物における(C)アルカリ可溶性樹脂の含有割合は特に限定され
ないが、着色樹脂組成物の全固形分中に5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより
好ましく、20質量%以上がさらに好ましく、30質量%以上がよりさらに好ましく、4
0質量%以上が特に好ましく、また、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより
好ましく、60質量%以下がさらに好ましく、50質量%以下が特に好ましい。前記下限
値以上とすることで紫外線露光時の塗膜硬化性が向上する傾向があり、また、前記上限値
以下とすることで現像液溶解性が向上し、残渣を抑制する傾向がある。上記の上限及び下
限は任意に組み合わせることができる。例えば、着色樹脂組成物における(C)アルカリ
可溶性樹脂の含有割合は、着色樹脂組成物の全固形分中に、5~80質量%が好ましく、
10~80質量%がより好ましく、20~70質量%がさらに好ましく、30~60質量
%がよりさらに好ましく、40~50質量%が特に好ましい。
【0173】
[1-4](D)光重合開始剤
本発明の着色樹脂組成物は(D)光重合開始剤を含有する。(D)光重合開始剤を含有
することで光重合による膜硬化性を付与することができる。
(D)光重合開始剤は、加速剤(連鎖移動剤)及び必要に応じて添加される増感色素等
の付加剤との混合物(光重合開始系)として用いることもできる。光重合開始系は、光を
直接吸収し、或いは光増感されて分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジ
カルを発生する機能を有する成分である。
【0174】
光重合開始剤としては、例えば、日本国特開昭59-152396号、日本国特開昭6
1-151197号各公報に記載のチタノセン化合物を含むメタロセン化合物や、日本国
特開平10-39503号公報に記載のヘキサアリールビイミダゾール誘導体、ハロメチ
ル-s-トリアジン誘導体、N-フェニルグリシン等のN-アリール-α-アミノ酸類、
N-アリール-α-アミノ酸塩類、N-アリール-α-アミノ酸エステル類等のラジカル
活性剤、α-アミノアルキルフェノン系化合物、日本国特開2000-80068号公報
に記載されているオキシムエステル系開始剤が挙げられる。
【0175】
本発明で用いることができる光重合開始剤の具体的な例を以下に列挙する。
2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン
、2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン
、2-(4-エトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン
、2-(4-エトキシカルボニルナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-
トリアジン等のハロメチル化トリアジン誘導体;
【0176】
2-トリクロロメチル-5-(2′-ベンゾフリル)-1,3,4-オキサジアゾール
、2-トリクロロメチル-5-〔β-(2′-ベンゾフリル)ビニル〕-1,3,4-オ
キサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-〔β-(2′-(6″-ベンゾフリル)ビ
ニル)〕-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5一フリル-1,3
,4-オキサジアゾール等のハロメチル化オキサジアゾール誘導体;
2-(2′-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダソール2量体、2-(2′
-クロロフェニル)-4,5-ビス(3′-メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2
-(2′-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体、2-(2′-
メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体、(4′-メトキシフェニ
ル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体等のイミダゾール誘導体;
ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンゾインイソブチルエー
テル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類;
2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-t-ブチルアントラキノ
ン、1-クロロアントラキノン等のアントラキノン誘導体;
【0177】
ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、2-メチルベンゾフェノン、3-メチルベンゾフ
ェノン、4-メチルベンゾフェノン、2-クロロベンゾフェノン、4-ブロモベンゾフェ
ノン、2-カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;
2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノ
ン、1-ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、α-ヒドロキシ-2-メチルフェニ
ルプロパノン、1-ヒドロキシ-1-メチルエチル-(p-イソプロピルフェニル)ケト
ン、1-ヒドロキシ-1-(p-ドデシルフェニル)ケトン、2-メチル-1-[4-(
メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、1,1,1-トリクロ
ロメチル-(p一ブチルフェニル)ケトン等のアセトフェノン誘導体;
チオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-
クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2、4-ジエチルチオキサン
トン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体;
【0178】
p-ジメチルアミノ安息香酸エチル、P-ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸
エステル誘導体;
9-フェニルアクリジン、9-(p-メトキシフェニル)アクリジン等のアクリジン誘
導体;
9,10-ジメチルベンズフェナジン等のフェナジン誘導体;
ベンズアンスロン等のアンスロン誘導体;
ジシクロペンタジエニル-Ti-ジクロライド、ジシクロペンタジェニル-Ti-ビス
-フェニル、ジシクロペンタジェニル-Ti-ビス-2,3,4,5,6-ペンタフルオ
ロフェニル-1-イル、ジシクロペンタジェニル-Ti-ビス-2,3,5,6-テトラ
フルオロフェニル-1-イル、ジシクロペンタジェニル-Ti-ビス-2,4,6-トリ
フルオロフェニ-1-イル、ジシクロペンタジェニル-Ti-2,6-ジプルオロフェニ
-1-イル、ジシクロペンタジェニル-Ti-2,4-ジフルオロフェニ-1-イル、ジ
メチルシクロペンタジェニル-Ti-ビス-2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニ
-1-イル、ジメチルシクロペンタジェニル-Ti-ビス-2,6-ジフルオロフェニ-
1-イル、ジシクロペンタジェニル-Ti-2,6-ジフルオロ-3-(ピル-1-イル
)-フェニ-1-イル等のチタノセン誘導体;
【0179】
2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オ
ン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン
-1、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタン-
1-オン、4-ジメチルアミノエチルベンゾエ-ト、4-ジメチルアミノイソアミルベン
ゾエ-ト、4-ジエチルアミノアセトフェノン、4-ジメチルアミノプロピオフェノン、
2-エチルヘキシル-1,4-ジメチルアミノベンゾエート、2,5-ビス(4-ジエチ
ルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7-ジエチルアミノ-3-(4-ジエチルアミノ
ベンゾイル)クマリン、4-(ジエチルアミノ)カルコン等のα-アミノアルキルフェノ
ン系化合物;
1,2-オクタンジオン-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-2-(O-ベンゾ
イルオキシム)エタノン、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カ
ルバゾール-3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル系化合物
【0180】
感度及び表面性状の観点から、オキシムエステル系化合物(オキシムエステル系光重合
開始剤)が好ましい。
オキシムエステル系化合物は、その構造の中に紫外線を吸収する構造と光エネルギーを
伝達する構造とラジカルを発生する構造を併せ持っているために、少量で感度が高く、か
つ熱反応に対しては安定であり、少量で高感度な着色樹脂組成物の設計が可能である。特
に、露光光源のi線(365nm)に対する光吸収性の観点から、置換基を有していても
よいカルバゾール環を有するオキシムエステル系化合物が好ましい。
【0181】
オキシムエステル系化合物としては、例えば、下記一般式(I-1)で表される化合物
が挙げられる。
【0182】
【化16】
【0183】
式(I-1)中、R21aは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は、
置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
21bは芳香環又はヘテロ芳香環を含む任意の置換基を表す。
22aは、置換基を有していてもよいアルカノイル基、又は、置換基を有していてもよ
いアロイル基を表す。
【0184】
21aにおけるアルキル基の炭素数は特に限定されないが、溶剤への溶解性や露光に対
する感度の観点から、通常1以上、好ましくは2以上、また、通常20以下、好ましくは
15以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下である。上記の上限及び下
限は任意に組み合わせることができる。例えば、アルキル基の炭素数は1~20が好まし
く、1~15がより好ましく、1~10がさらに好ましく、1~5がよりさらに好ましく
、2~5が特に好ましい。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロペンチルエチ
ル基、プロピル基が挙げられる。
アルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、芳香族環基、水酸基、カルボ
キシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アミド基、4-(2-メトキシ-1-メチル)エトキ
シ-2-メチルフェニル基又はN-アセチル-N-アセトキシアミノ基が挙げられる。合
成容易性の観点から、無置換であることが好ましい。
【0185】
21aにおける芳香族環基としては、芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基が挙げら
れる。芳香族環基の炭素数は特に限定されないが、着色樹脂組成物への溶解性の観点から
5以上であることが好ましい。また、現像性の観点から30以下であることが好ましく、
20以下であることがより好ましく、12以下であることがさらに好ましく、8以下であ
ることが特に好ましい。上記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば
、芳香族環基の炭素数は、5~30が好ましく、5~20がより好ましく、5~12がさ
らに好ましく、5~8が特に好ましい。
【0186】
芳香族環基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基、フリル基、フル
オレニル基が挙げられる。現像性の観点から、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基
が好ましく、フェニル基、フルオレニル基がより好ましい。
芳香族環基が有していてもよい置換基としては、例えば、水酸基、置換基を有していて
もよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、カルボキシ基、ハロゲン原
子、アミノ基、アミド基、アルキル基が挙げられる。現像性の観点から水酸基、カルボキ
シ基が好ましく、カルボキシ基がより好ましい。置換基を有していてもよいアルキル基や
置換基を有していてもよいアルコキシ基における置換基としては、例えば、水酸基、アル
コキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基が挙げられる。
現像性の観点から、R21aとしては置換基を有していてもよいアルキル基が好ましく、
無置換のアルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
【0187】
21bは芳香環又はヘテロ芳香環を含む任意の置換基である。溶剤への溶解性や露光に
対する感度の観点から、置換基を有していてもよいカルバゾリル基、置換基を有していて
もよいチオキサントニル基、置換基を有していてもよいジフェニルスルフィド基又は置換
基を有してもよいフルオレニル基、これらの基とカルボニル基とを連結した基が好ましい
。露光光源のi線(365nm)に対する光吸収性の観点から、置換基を有していてもよ
いカルバゾリル基、又は置換基を有していてもよいカルバゾリル基とカルボニル基を連結
した基が好ましい。
【0188】
カルバゾリル基が有していてもよい置換基としては、例えば、メチル基、エチル基等の
炭素数1~10のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基などの炭素数1~10のアルコキ
シ基;F、Cl、Br、Iなどのハロゲン原子;炭素数1~10のアシル基;炭素数1~
10のアルキルエステル基;炭素数1~10のアルコキシカルボニル基;炭素数1~10
のハロゲン化アルキル基;炭素数4~10の芳香族環基;アミノ基;炭素数1~10のア
ミノアルキル基;水酸基;ニトロ基;CN基;置換基を有していてもよいアロイル基;置
換基を有していてもよいヘテロアロイル基;置換基を有していてもよいテノイル基が挙げ
られる。
【0189】
22aにおけるアルカノイル基の炭素数は特に限定されないが、溶剤への溶解性や感度
の観点から、通常2以上、好ましくは3以上、また、通常20以下、好ましくは15以下
、より好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下である。上記の上限及び下限は任意
に組み合わせることができる。例えば、アルカノイル基の炭素数は2~20が好ましく、
2~15がより好ましく、2~10がさらに好ましく、2~5がよりさらに好ましく、3
~5が特に好ましい。
アルカノイル基としては、例えば、アセチル基、エチロイル基、プロパノイル基、ブタ
ノイル基が挙げられる。
アルカノイル基が有していてもよい置換基としては、例えば、芳香族環基、水酸基、カ
ルボキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アミド基が挙げられ、合成容易性の観点からは、
無置換であることが好ましい。
【0190】
22aにおけるアロイル基の炭素数は特に限定されないが、溶剤への溶解性や感度の観
点から、通常7以上、好ましくは8以上、また、通常20以下、好ましくは15以下、よ
り好ましくは10以下である。上記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
例えば、アロイル基の炭素数は7~20が好ましく、7~15がより好ましく、7~10
がさらに好ましく、8~10が特に好ましい。
アロイル基としては、例えば、ベンゾイル基、ナフトイル基が挙げられる。
アロイル基が有していてもよい置換基としては、例えば、水酸基、カルボキシ基、ハロ
ゲン原子、アミノ基、アミド基、アルキル基が挙げられ、合成容易性の観点からは、無置
換であることが好ましい。
【0191】
式(I-1)で表される化合物として、露光光源のi線(365nm)に対する光吸収
性の観点から、下記一般式(I-2)又は(I-3)で表される化合物が挙げられる。
【0192】
【化17】
【0193】
【化18】
【0194】
式(I-2)及び式(I-3)中、R21a及びR22aは、式(I-1)と同義である。
23aは、置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
24aは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアロイル
基、置換基を有していてもよいヘテロアロイル基、又はニトロ基を表す。
カルバゾール環を構成するベンゼン環は、さらに芳香族環によって縮合されて多環芳香
族環となっていてもよい。
【0195】
23aにおけるアルキル基の炭素数は特に限定されないが、溶剤への溶解性の観点から
、通常1以上、好ましくは2以上、また、通常20以下、好ましくは15以下、より好ま
しくは10以下、さらに好ましくは5以下である。上記の上限及び下限は任意に組み合わ
せることができる。例えば、アルキル基の炭素数は1~20が好ましく、1~15がより
好ましく、1~10がさらに好ましく、1~5がよりさらに好ましく、2~5が特に好ま
しい。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘ
キシル基が挙げられる。
アルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、カルボニル基、カルボキシ基
、ヒドロキシ基、フェニル基、ベンジル基、シクロヘキシル基、ニトロ基が挙げられる。
合成容易性の観点から、無置換であることが好ましい。
23aとしては、溶剤への溶解性と合成容易性の観点から、エチル基であることがより
好ましい。
【0196】
24aにおけるアルキル基の炭素数は特に限定されないが、溶剤への溶解性の観点から
、通常1以上、好ましくは2以上、また、通常20以下、好ましくは15以下、より好ま
しくは10以下、さらに好ましくは5以下である。上記の上限及び下限は任意に組み合わ
せることができる。例えば、アルキル基の炭素数は1~20が好ましく、1~15がより
好ましく、1~10がさらに好ましく、1~5がよりさらに好ましく、2~5が特に好ま
しい。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘ
キシル基が挙げられる。
アルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、カルボニル基、カルボキシ基
、ヒドロキシ基、フェニル基、ベンジル基、シクロヘキシル基、ニトロ基が挙げられる。
合成容易性の観点から、無置換であることが好ましい。
【0197】
24aにおけるアロイル基の炭素数は特に限定されないが、溶剤への溶解性の観点から
、通常7以上、好ましくは8以上、より好ましくは9以上、また、通常20以下、好まし
くは15以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは9以下である。上記の上限及
び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、アロイル基の炭素数は7~20が好
ましく、8~15がより好ましく、9~10がさらに好ましく、9が特に好ましい。
アロイル基としては、例えば、ベンゾイル基、ナフトイル基が挙げられる。
アロイル基が有していてもよい置換基としては、例えば、カルボニル基、カルボキシ基
、ヒドロキシ基、フェニル基、ベンジル基、シクロヘキシル基、ニトロ基が挙げられる。
合成容易性の観点から、エチル基であることが好ましい。
【0198】
24aにおけるヘテロアロイル基の炭素数は特に限定されないが、溶剤への溶解性の観
点から、通常7以上、好ましくは8以上、より好ましくは9以上、また、通常20以下、
好ましくは15以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは9以下である。上記の
上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、ヘテロアロイル基の炭素数は
7~20が好ましく、8~15がより好ましく、9~10がさらに好ましく、9が特に好
ましい。
ヘテロアリール基としては、例えば、フルオロベンゾイル基、クロロベンゾイル基、ブ
ロモベンゾイル基、フルオロナフトイル基、クロロナフトイル基、ブロモナフトイル基が
挙げられる。
ヘテロアロイル基が有していてもよい置換基としては、例えば、カルボニル基、カルボ
キシ基、ヒドロキシ基、フェニル基、ベンジル基、シクロヘキシル基、ニトロ基が挙げら
れる。合成容易性の観点から、無置換であることが好ましい。
24aとしては、感度の観点から、置換基を有していてもよいアロイル基が好ましく、
ベンゾイル基がより好ましい。
【0199】
カルバゾール環を構成するベンゼン環は、さらに芳香族環によって縮合されて多環芳香
族環となっていてもよい。
【0200】
オキシムエステル系化合物の市販品として、例えば、BASF社製のOXE-02、O
XE-03、常州強力電子新材料社製のTR-PBG-304、TR-PBG-314、
ADEKA社製のN-1919、NCI-930、NCI-831が挙げられる。
【0201】
オキシムエステル系化合物として、具体的には以下の化合物が挙げられる。
【0202】
【化19】
【0203】
【化20】
【0204】
【化21】
【0205】
これらの光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0206】
(D)光重合開始剤に加えて、さらに連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤とは、発
生したラジカルを受け取り、受け取ったラジカルを他の化合物に受け渡す機能を有する化
合物である。
連鎖移動剤としては、上記機能を有する化合物であれば種々の連鎖移動剤を用いること
ができるが、例えば、メルカプト基含有化合物や、四塩化炭素等が挙げられ、連鎖移動効
果が高い傾向があることからメルカプト基含有化合物を用いることがより好ましい。S-
H結合エネルギーが小さいことによって結合開裂が起こりやすく、水素引きぬき反応や連
鎖移動反応を起こしやすいためであると考えられる。感度向上や表面硬化性に有効である
【0207】
メルカプト基含有化合物としては、例えば、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メ
ルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、3-メルカプト-1
,2,4-トリアゾール、2-メルカプト-4(3H)-キナゾリン、β-メルカプトナ
フタレン、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン等の芳香族環を有するメルカプト基含有
化合物;へキサンジチオール、デカンジチオール、ブタンジオールビス(3-メルカプト
プロピオネート)、ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビス(3
-メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビスチオグリコレート、トリメチロ
ールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス
チオグリコレート、トリスヒドロキシエチルトリスチオプロピオネート、ペンタエリスリ
トールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(3
-メルカプトプロピオネート)、ブタンジオールビス(3-メルカプトブチレート)、エ
チレングリコールビス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(
3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレ
ート)、ペンタエリスリトールトリス(3-メルカプトブチレート)、1,3,5-トリ
ス(3-メルカプトブチルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H
,3H,5H)-トリオン等の脂肪族系のメルカプト基含有化合物が挙げられる。表面平
滑性の観点から、メルカプト基を複数有する化合物が好ましい。
【0208】
芳香族環を有するメルカプト基含有化合物としては、2-メルカプトベンゾチアゾール
、2-メルカプトベンゾイミダゾールが好ましく、脂肪族系のメルカプト基含有化合物と
しては、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリ
スリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス
(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブ
チレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエ
リスリトールトリス(3-メルカプトブチレート)、1,3,5-トリス(3-メルカプ
トブチルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-
トリオンが好ましい。
【0209】
感度の面からは、脂肪族系のメルカプト基含有化合物が好ましく、トリメチロールプロ
パントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-
メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(3-メルカプトプロピオネ
ート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリ
トールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールトリス(3-メ
ルカプトブチレート)、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチルオキシエチル)-1
,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオンが好ましく、ペンタ
エリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテ
トラキス(3-メルカプトブチレート)がより好ましい。
これらの連鎖移動剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0210】
本発明の着色樹脂組成物において、(D)光重合開始剤の含有割合は特に限定されない
が、着色樹脂組成物の全固形分中に0.5質量%以上が好ましく、0.8質量%以上がよ
り好ましく、1.0質量%以上がさらに好ましく、1.2質量%以上が特に好ましく、ま
た、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、6質量%以下がさらに好
ましく、4質量%以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで塗膜の硬化性が向上
する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで可視光吸収が低減されることで輝度
が向上する傾向がある。上記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば
、着色樹脂組成物において、(D)光重合開始剤の含有割合は、着色樹脂組成物の全固形
分中に0.5~10質量%が好ましく、0.8~8質量%がより好ましく、1.0~6質
量%がさらに好ましく、1.2~4質量%が特に好ましい。
【0211】
本発明の着色樹脂組成物が連鎖移動剤を含有する場合、その含有割合は特に限定されな
いが、着色樹脂組成物の全固形分中に0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上が
より好ましく、0.3質量%以上がさらに好ましく、0.4質量%以上が特に好ましく、
また、3質量%以下が好ましく、2.5質量%以下がより好ましく、2質量%以下がさら
に好ましく、1.5質量%以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで耐溶剤性が
向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで保存安定性が向上する傾向があ
る。上記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、着色樹脂組成物が
連鎖移動剤を含有する場合、その含有割合は、着色樹脂組成物の全固形分中に0.1~3
質量%が好ましく、0.2~2.5質量%がより好ましく、0.3~2質量%がさらに好
ましく、0.4~1.5質量%が特に好ましい。
【0212】
[1-5]
(E)光重合性モノマーは、重合可能な低分子化合物であれば特に制限はないが、エチ
レン性二重結合を少なくとも1つ有する付加重合可能な化合物(以下、「エチレン性化合
物」と称す。)が好ましい。エチレン性化合物とは、本発明の着色樹脂組成物が活性光線
の照射を受けた場合、光重合開始剤の作用により付加重合し、硬化するようなエチレン性
二重結合を有する化合物である。なお、本発明における単量体は、いわゆる高分子物質に
相対する概念を意味し、狭義の単量体以外に二量体、三量体、オリゴマーも含有する概念
を意味する。
本発明においては、特に、1分子中にエチレン性二重結合を2個以上有する多官能エチ
レン性単量体を使用することが望ましい。多官能エチレン性単量体が有するエチレン性二
重結合の数は特に限定されないが、通常2個以上であり、好ましくは4個以上であり、よ
り好ましくは5個以上であり、また、好ましくは8個以下であり、より好ましくは7個以
下である。前記下限値以上とすることで高感度となる傾向があり、前記上限値以下とする
ことで溶剤への溶解性が向上する傾向がある。上記の上限及び下限は任意に組み合わせる
ことができる。例えば、多官能エチレン性単量体が有するエチレン性二重結合の数は2~
8が好ましく、2~7がより好ましく、4~7がさらに好ましく、5~7が特に好ましい
【0213】
エチレン性化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸とモノヒド
ロキシ化合物とのエステル、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステ
ル、芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル、不飽和カルボン酸と
多価カルボン酸及び前述の脂肪族ポリヒドロキシ化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物等
の多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステル、ポリイソシアネー
ト化合物と(メタ)アクリロイル含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有
するエチレン性化合物が挙げられる。
【0214】
脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、例えば、エチ
レングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロー
ルプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリ
トールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトール
テトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリト
ールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、グリセロールア
クリレート等のアクリル酸エステルが挙げられる。また、これらアクリレートのアクリル
酸部分を、メタクリル酸部分に代えたメタクリル酸エステル、イタコン酸部分に代えたイ
タコン酸エステル、クロトン酸部分に代えたクロトン酸エステル、又は、マレイン酸部分
に代えたマレイン酸エステルが挙げられる。
【0215】
芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、例えば、ハイ
ドロキノンジアクリレート、ハイドロキノンジメタクリレート、レゾルシンジアクリレー
ト、レゾルシンジメタクリレート、ピロガロールトリアクリレートが挙げられる。
不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応によ
り得られるエステルは、必ずしも単一物ではなく、混合物であってもよい。例えば、アク
リル酸、フタル酸及びエチレングリコールの縮合物、アクリル酸、マレイン酸及びジエチ
レングリコールの縮合物、メタクリル酸、テレフタル酸及びペンタエリスリトールの縮合
物、アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール及びグリセリンの縮合物が挙げられる。
【0216】
ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物とを反応さ
せたウレタン骨格を有するエチレン性化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシ
アネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;シ
クロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネー
ト;トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシ
アネート等と、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレー
ト、3-ヒドロキシ(1,1,1-トリアクリロイルオキシメチル)プロパン、3-ヒド
ロキシ(1,1,1-トリメタクリロイルオキシメチル)プロパン等の(メタ)アクリロ
イル基含有ヒドロキシ化合物との反応物が挙げられる。
【0217】
その他、本発明に用いられるエチレン性化合物としては、例えば、エチレンビスアクリ
ルアミド等のアクリルアミド類;フタル酸ジアリル等のアリルエステル類;ジビニルフタ
レート等のビニル基含有化合物が挙げられる。
エチレン性化合物は酸価を有するモノマーであってもよい。酸価を有するモノマーとし
ては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルであり、脂肪族ポリ
ヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシ基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基
を持たせた多官能モノマーが好ましく、このエステルにおいて、脂肪族ポリヒドロキシ化
合物がペンタエリスリトール及び/又はジペンタエリスリトールである多官能モノマーが
特に好ましい。
【0218】
これらのモノマーは1種を単独で用いてもよいが、製造上、単一の化合物を用いること
は難しいことから、2種以上を混合して用いてもよい。また、必要に応じてモノマーとし
て酸基を有しない多官能モノマーと酸基を有する多官能モノマーを併用してもよい。
酸基を有する多官能モノマーの好ましい酸価としては、0.1~40mgKOH/gで
あり、特に好ましくは5~30mgKOH/gである。前記下限値以上とすることで現像
溶解特性を良好なものとすることができる傾向があり、前記上限値以下とすることで製造
や取扱いが良好になり光重合性能、画素の表面平滑性等の硬化性を良好にしやすい傾向が
ある。従って、異なる酸基の多官能モノマーを2種以上併用する場合、或いは酸基を有し
ない多官能モノマーを併用する場合、全体の多官能モノマーとしての酸基が上記範囲に入
るように調整することが好ましい。
【0219】
本発明において、より好ましい酸基を有する多官能モノマーは、東亞合成(株)製TO
1382として市販されているジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエ
リスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートのコハク
酸エステルを主成分とする混合物である。この多官能モノマーと、他の多官能モノマーを
組み合わせて使用することもできる。また、日本国特開2013-140346号公報の
段落0056や段落0057に記載の多官能モノマーを使用することもできる。
【0220】
本発明において、画素の耐薬品性や画素のエッジの直線性を良好にするとの観点からは
、日本国特開2013-195971号公報に記載の重合性モノマーを用いることが好ま
しい。
塗布膜の感度及び現像時間の短縮を両立するとの観点からは、日本国特開2013-1
95974号公報に記載の重合性モノマーを用いることが好ましい。
【0221】
本発明の着色樹脂組成物においてが光重合性モノマーを含む場合、(E)光重合性モノ
マーの含有割合は特に限定されないが、着色樹脂組成物の全固形分中に、通常0質量%超
、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量
%以上、特に好ましくは20質量%以上であり、通常70質量%以下、好ましくは60質
量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下、特に好ま
しくは30質量%以下である。前記下限値以上とすることで塗膜の硬化性が高くなる傾向
があり、また、前記上限値以下とすることでアルカリ現像性の低下が抑制される傾向があ
る。上記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、(E)着色樹脂組
成物が光重合性モノマーを含む場合、光重合性モノマーの含有割合は、着色樹脂組成物の
全固形分中、0質量%超70質量%以下が好ましく、5~60質量%以下がより好ましく
、10~50質量%がさらに好ましく、15~40質量%以下がよりさらに好ましく、2
0~30質量%が特に好ましい。
【0222】
[1-6]その他の固形分
本発明の着色樹脂組成物には、さらに、必要に応じ上記成分以外の固形分を配合できる
。このような成分としては、例えば、分散剤、分散助剤、界面活性剤、密着向上剤が挙げ
られる。
【0223】
[1-6-1]分散剤、分散助剤
本発明の着色樹脂組成物が(A)着色剤として顔料を含む場合、顔料を安定に分散させ
る目的で分散剤を含むことが好ましい。分散剤の中でも高分子分散剤を用いると経時の分
散安定性に優れるので好ましい。
高分子分散剤としては、例えば、ウレタン系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポ
リオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレングリコールジエステル
系分散剤、ソルビタン脂肪族エステル系分散剤、脂肪族変性ポリエステル系分散剤を挙げ
ることができる。
高分子分散剤としては、商品名で、例えば、EFKA(登録商標、BASF社製)、D
isperBYK(登録商標、ビックケミー社製)、ディスパロン(登録商標、楠本化成
社製)、SOLSPERSE(登録商標、ルーブリゾール社製)、KP(信越化学工業社
製)、ポリフロー(共栄社化学社製)、特開2013-119568号公報に記載の分散
剤を挙げることができる。
【0224】
高分子分散剤としては、分散性や保存安定性の観点から、窒素原子を含む官能基を有す
るブロック共重合体が好ましく、窒素原子を含む官能基を有するアクリル系ブロック共重
合体がより好ましい。
窒素原子を含む官能基を有するブロック共重合体としては、側鎖に4級アンモニウム塩
基及び/又はアミノ基を有するAブロックと、4級アンモニウム塩基及びアミノ基を有さ
ないBブロックとからなる、A-Bブロック共重合体、B-A-Bブロック共重合体が好
ましい。
【0225】
窒素原子を含む官能基としては、1~3級アミノ基、4級アンモニウム塩基が挙げられ
る。分散性や保存安定性の観点から、1~3級アミノ基が好ましく、3級アミノ基がより
好ましい。
ブロック共重合体における、3級アミノ基を有する繰り返し単位の構造は特に限定され
ないが、分散性や保存安定性の観点から、下記一般式(d1)で表される繰り返し単位で
あることが好ましい。
【0226】
【化22】
【0227】
式(d1)中、R1及びR2は各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキ
ル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアラルキル
基であり、R1及びR2が互いに結合して環状構造を形成してもよい。R3は水素原子又は
メチル基である。Xは2価の連結基である。
【0228】
式(d1)における、置換基を有していてもよいアルキル基の炭素数は特に限定されな
いが、通常1以上であり、また、10以下であることが好ましく、6以下であることがよ
り好ましく、4以下であることがさらに好ましい。例えば、1~10が好ましく、1~6
がより好ましく、1~4がさらに好ましい。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル
基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基が挙げられる。メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、
ブチル基がより好ましい。アルキル基は直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよい。アル
キル基はシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基のように環状構造を含んでもよい。
【0229】
式(d1)における、置換基を有していてもよいアリール基の炭素数は特に限定されな
いが、通常6以上であり、また、16以下であることが好ましく、12以下であることが
より好ましく、8以下であることがさらに好ましい。例えば、6~16が好ましく、6~
12がより好ましく、6~8がさらに好ましい。
アリール基としては、例えば、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジ
メチルフェニル基、ジエチルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基が挙げられる。
フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ジエチルフェ
ニル基が好ましく、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基がより好ましい。
【0230】
式(d1)における、置換基を有していてもよいアラルキル基の炭素数は特に限定され
ないが、通常7以上であり、また、16以下であることが好ましく、12以下であること
がより好ましく、9以下であることがさらに好ましい。例えば、7~16が好ましく、7
~12がより好ましく、7~9がさらに好ましい。
アラルキル基としては、例えば、フェニルメチレン基、フェニルエチレン基、フェニル
プロピレン基、フェニルブチレン基、フェニルイソプロピレン基が挙げられる。フェニル
メチレン基、フェニルエチレン基、フェニルプロピレン基、フェニルブチレン基が好まし
く、フェニルメチレン基、フェニルエチレン基がより好ましい。
【0231】
分散性、保存安定性、電気信頼性、現像性の観点から、R1及びR2としては、各々独立
に置換基を有していてもよいアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましい
【0232】
式(d1)におけるアルキル基、アラルキル基、アリール基が有していてもよい置換基
としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、ベンゾイル基、水酸基が挙げられる。
合成の容易さの観点から、無置換であることが好ましい。
【0233】
式(d1)において、R1及びR2が互いに結合して形成する環状構造としては、例えば
5~7員環の含窒素複素環単環又はこれらが2個縮合してなる縮合環が挙げられる。含窒
素複素環は芳香性を有さないものが好ましく、飽和環であればより好ましい。具体的には
、例えば下記(IV)の環状構造が挙げられる。
【0234】
【化23】
【0235】
これらの環状構造は、さらに置換基を有していてもよい。
【0236】
式(d1)において、2価の連結基Xとしては、例えば、炭素数1~10のアルキレン
基、炭素数6~12のアリーレン基、-CONH-R13-基、-COOR14-基(但し、
13及びR14は単結合、炭素数1~10のアルキレン基、又は炭素数2~10のエーテル
基(アルキルオキシアルキル基)である)が挙げられ、好ましくは-COO-R14-基で
ある。
【0237】
ブロック共重合体の全繰り返し単位に占める式(d1)で表される繰り返し単位の含有
割合は、1モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましく、10モル%以上がさら
に好ましく、15モル%以上がよりさらに好ましく、20モル%以上がことさら好ましく
、25モル%以上が特に好ましく、また、90モル%以下が好ましく、70モル%以下が
より好ましく、50モル%以下がさらに好ましく、40モル%以下が特に好ましい。前記
範囲内の場合には分散安定性と高輝度の両立が可能となる傾向がある。上記の上限及び下
限は任意に組み合わせることができる。例えば、ブロック共重合体の全繰り返し単位に占
める式(d1)で表される繰り返し単位の含有割合は、1~90モル%が好ましく、5~
90モル%がより好ましく、10~70モル%がさらに好ましく、15~70モル%がよ
りさらに好ましく、20~50%がことさら好ましく、25~40モル%が特に好ましい
【0238】
ブロック共重合体は、分散剤の溶剤等バインダー成分に対する相溶性を高め、分散安定
性を向上させるとの観点から、下記一般式(d2)で表される繰り返し単位を有すること
が好ましい。
【0239】
【化24】
【0240】
式(d2)中、R10はエチレン基又はプロピレン基であり、R11は置換基を有していて
もよいアルキル基であり、R12は水素原子又はメチル基である。nは1~20の整数であ
る。
【0241】
式(d2)のR11における、置換基を有していてもよいアルキル基の炭素数は特に限定
されないが、通常1以上であり、2以上であることが好ましく、また、10以下であるこ
とが好ましく、6以下であることがより好ましく、4以下であることがさらに好ましい。
上記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、アルキル基の炭素数は
1~10が好ましく、1~6がより好ましく、1~4がさらに好ましく、2~4が特に好
ましい。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル
基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基が挙げられる。メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、
ブチル基がより好ましい。アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよい。ア
ルキル基は、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基のように環状構造を含んでもよ
い。
アルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基
、ベンゾイル基、水酸基が挙げられる。合成の容易さの観点から、無置換であることが好
ましい。
【0242】
式(d2)におけるnは溶剤等バインダー成分に対する相溶性と分散性の観点から、1
以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましく、また、10以下であるこ
とが好ましく、5以下であることがより好ましい。上記の上限及び下限は任意に組み合わ
せることができる。例えば、nは1~10が好ましく、2~5がより好ましい。
【0243】
ブロック共重合体の全繰り返し単位に占める式(d2)で表される繰り返し単位の含有
割合は、1モル%以上が好ましく、2モル%以上がより好ましく、4モル%以上がさらに
好ましく、また、30モル%以下が好ましく、20モル%以下がより好ましく、10モル
%以下がさらに好ましい。前記範囲内の場合には溶剤等バインダー成分に対する相溶性と
分散安定性の両立が可能となる傾向がある。上記の上限及び下限は任意に組み合わせるこ
とができる。例えば、ブロック共重合体の全繰り返し単位に占める式(d2)で表される
繰り返し単位の含有割合は、1~30モル%が好ましく、2~20モル%がより好ましく
、4~10モル%がさらに好ましい。
【0244】
ブロック共重合体は、分散剤の溶剤等バインダー成分に対する相溶性を高め、分散安定
性を向上させるという観点から、下記一般式(d3)で表される繰り返し単位を有するこ
とが好ましい。
【0245】
【化25】
【0246】
式(d3)中、R8は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよ
いアリール基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基である。R9は水素原子又は
メチル基である。
【0247】
式(d3)のR8における、置換基を有していてもよいアルキル基の炭素数は特に限定
されないが、通常1以上であり、また、10以下であることが好ましく、6以下であるこ
とがより好ましい。例えば、1~10が好ましく、1~6がより好ましい。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル
基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基が挙げられる。メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、
ブチル基がより好ましい。アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよい。ア
ルキル基は、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基のように環状構造を含んでもよ
い。
【0248】
式(d3)のR8における、置換基を有していてもよいアリール基の炭素数は特に限定
されないが、通常6以上であり、また、16以下であることが好ましく、12以下である
ことがより好ましい。例えば、6~16が好ましく、6~12がより好ましい。
アリール基としては、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフ
ェニル基、ジエチルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基が挙げられる。フェニル
基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ジエチルフェニル基が
好ましく、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基がより好ましい。
【0249】
式(d3)のR8における、置換基を有していてもよいアラルキル基の炭素数は特に限
定されないが、通常7以上であり、また、16以下であることが好ましく、12以下であ
ることがより好ましい。例えば、7~16が好ましく、7~12がより好ましい。
アラルキル基としては、フェニルメチレン基、フェニルエチレン基、フェニルプロピレ
ン基、フェニルブチレン基、フェニルイソプロピレン基が挙げられる。フェニルメチレン
基、フェニルエチレン基、フェニルプロピレン基、フェニルブチレン基が好ましく、フェ
ニルメチレン基、フェニルエチレン基がより好ましい。
【0250】
溶剤相溶性と分散安定性の観点から、R8としては、アルキル基、アラルキル基が好ま
しく、メチル基、エチル基、フェニルメチレン基がより好ましい。
8における、アルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子
、アルコキシ基が挙げられる。
アリール基又はアラルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、鎖状のアル
キル基、ハロゲン原子、アルコキシ基が挙げられる。
8で示される鎖状のアルキル基には、直鎖状及び分岐鎖状のいずれも含まれる。
【0251】
ブロック共重合体の全繰り返し単位に占める式(d3)で表される繰り返し単位の含有
割合は、30モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましく、50モル%以上が
さらに好ましく、また、80モル%以下が好ましく、70モル%以下がより好ましい。前
記範囲内の場合には分散安定性と高輝度の両立が可能となる傾向がある。上記の上限及び
下限は任意に組み合わせることができる。例えば、ブロック共重合体の全繰り返し単位に
占める式(d3)で表される繰り返し単位の含有割合は、30~80モル%が好ましく、
40~80モル%がより好ましく、50~70モル%がさらに好ましい。
【0252】
ブロック共重合体は、式(d1)で表される繰り返し単位、式(d2)で表される繰り
返し単位、式(d3)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位を有していてもよい。
そのような繰り返し単位としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレンなどのスチレ
ン系単量体;(メタ)アクリル酸クロライドなどの(メタ)アクリル酸塩系単量体;(メ
タ)アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド系単
量体;酢酸ビニル;アクリロニトリル;アリルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジ
ルエーテル;N-メタクリロイルモルホリンに由来する繰り返し単位が挙げられる。
【0253】
分散性をより高める観点から、式(d1)で表される繰り返し単位を有するAブロック
と、式(d1)で表される繰り返し単位を有さないBブロックとを有する、ブロック共重
合体であることが好ましい。ブロック共重合体は、A-Bブロック共重合体又はB-A-
Bブロック共重合体であることが好ましい。Bブロックが式(d2)で表される繰り返し
単位及び/又は式(d3)で表される繰り返し単位を有することがより好ましい。
【0254】
式(d1)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位がAブロック中に含有されてい
てもよい。そのような繰り返し単位としては、例えば、前述の(メタ)アクリル酸エステ
ル類由来の繰り返し単位が挙げられる。式(d1)で表される繰り返し単位以外の繰り返
し単位のAブロック中の含有量は、好ましくは0~50モル%、より好ましくは0~20
モル%、さらに好ましくは0モル%である。
【0255】
式(d2)で表される繰り返し単位及び式(d3)で表される繰り返し単位以外の繰り
返し単位がBブロック中に含有されていてもよい。そのような繰り返し単位としては、例
えば、スチレン、α-メチルスチレンなどのスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸クロ
ライドなどの(メタ)アクリル酸塩系単量体;(メタ)アクリルアミド、N-メチロール
アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド系単量体;酢酸ビニル;アクリロニトリル
;アリルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテル;N-メタクリロイルモル
ホリンに由来する繰り返し単位が挙げられる。式(d2)で表される繰り返し単位及び式
(d3)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位のBブロック中の含有量は、好まし
くは0~50モル%、より好ましくは0~20モル%、さらに好ましくは0モル%である
【0256】
ブロック共重合体の酸価は、分散性の点から、低い方が好ましく、特に0mgKOH/
gが好ましい。
ここで酸価とは、分散剤固形分1gを中和するのに必要なKOHのmg数を表す。
【0257】
ブロック共重合体のアミン価は、分散性と現像性の観点から、30mgKOH/g以上
が好ましく、50mgKOH/g以上がより好ましく、70mgKOH/g以上がさらに
好ましく、90mgKOH/g以上がよりさらに好ましく、100mgKOH/g以上が
ことさら好ましく、105mgKOH/g以上が特に好ましく、また、150mgKOH
/g以下が好ましく、130mgKOH/g以下がより好ましい。上記の上限及び下限は
任意に組み合わせることができる。例えば、30~150mgKOH/gが好ましく、5
0~150mgKOH/gがより好ましく、70~150mgKOH/gがさらに好まし
く、90~130mgKOH/gがよりさらに好ましく、100~130mgKOH/g
がことさら好ましく、105~130mgKOH/gが特に好ましい。
ここでアミン価とは、有効固形分換算のアミン価を表し、分散剤の固形分1gあたりの
塩基量と当量のKOHの質量で表される値である。
【0258】
ブロック共重合体の重量平均分子量は1000~30,000が好ましい。前記範囲内
である場合には、分散安定性が良好となり、また、スリットノズル方式による塗布時に乾
燥異物がより発生しにくくなる傾向がある。
【0259】
ブロック共重合体は、公知の方法により製造することができる。例えば、上記各繰り返
し単位を導入する単量体をリビング重合することにより製造することができる。
リビング重合法としては、例えば、日本国特開平9-62002号公報、日本国特開2
002-31713号公報や、P.Lutz,P.Masson et al,Polym
.Bull.12,79(1984),B.C.Anderson,G.D.Andre
ws et al,Macromolecules,14,1601(1981),K.H
atada,K.Ute,et al,Polym.J.17,977(1985),1
8,1037(1986),右手浩一、畑田耕一、高分子加工、36,366(1987
),東村敏延、沢本光男、高分子論文集、46,189(1989),M.Kuroki
,T.Aida,J.Am.Chem.Soc,109,4737(1987)、相田卓
三、井上祥平、有機合成化学、43,300(1985),D.Y.Sogoh,W.R
.Hertler et al,Macromolecules,20,1473(198
7)に記載されている公知の方法を採用することができる。
【0260】
本発明の着色樹脂組成物が分散剤を含む場合、分散剤の含有割合は特に限定されないが
、着色樹脂組成物の全固形分中に、0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以
上がより好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましく、1質量%以上がよりさらに好ま
しく、2質量%以上が特に好ましく、また、25質量%以下が好ましく、20質量%以下
がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましく、10質量%以下が特に好ましい。前
記下限値以上とすることで分散性や保存安定性が向上する傾向があり、また、前記上限値
以下とすることで電気信頼性や現像性が向上する傾向がある。上記の上限及び下限は任意
に組み合わせることができる。例えば、着色樹脂組成物が分散剤を含む場合、分散剤の含
有割合は、着色樹脂組成物の全固形分中に0.001~25質量%が好ましく、0.01
~25質量%がより好ましく、0.1~20質量%がさらに好ましく、1~15質量%が
よりさらに好ましく、2~10質量%が特に好ましい。
【0261】
本発明の着色樹脂組成物が顔料及び分散剤を含む場合、分散剤の含有割合は特に限定さ
れるものではないが、顔料100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好
ましくは5質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上、よりさらに好ましくは15質
量部以上、特に好ましくは20質量部以上であり、また、好ましくは70質量部以下、よ
り好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは40質量部以下、特に好ましくは30質
量部以下である。前記範囲内とすることで、分散安定性に優れ、高輝度な着色性樹脂組成
物を得ることができる傾向がある。上記の上限及び下限は任意に組み合わせることができ
る。例えば、着色樹脂組成物が顔料及び分散剤を含む場合、分散剤の含有割合は、顔料1
00質量部に対して、0.5~70質量部が好ましく、5~70質量部がより好ましく、
10~50質量部がさらに好ましく、15~40質量部がよりさらに好ましく、20~3
0質量部が特に好ましい。
【0262】
本発明の着色樹脂組成物が顔料を含む場合、顔料の分散性の向上、分散安定性の向上の
ために分散助剤として、例えば、顔料誘導体を含んでいてもよい。
顔料誘導体としては、具体的には、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン
系、ベンツイミダゾロン系、キノフタロン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、
ジオキサジン系、アントラキノン系、インダンスレン系、ペリレン系、ペリノン系、ジケ
トピロロピロール系、ジオキサジン系顔料の誘導体が挙げられる。顔料誘導体の置換基と
しては、例えば、スルホン酸基、スルホンアミド基及びその4級塩、フタルイミドメチル
基、ジアルキルアミノアルキル基、水酸基、カルボキシ基、アミド基が顔料骨格に直接ま
たはアルキル基、アリール基、複素環基等を介して結合したものが挙げられ、好ましくは
スルホンアミド基及びその4級塩、スルホン酸基が挙げられ、より好ましくはスルホン酸
基である。またこれら置換基は一つの顔料骨格に複数置換していてもよいし、置換数の異
なる化合物の混合物でもよい。顔料誘導体としては、例えば、アゾ顔料のスルホン酸誘導
体、フタロシアニン顔料のスルホン酸誘導体、キノフタロン顔料のスルホン酸誘導体、イ
ソインドリン顔料のスルホン酸誘導体、アントラキノン顔料のスルホン酸誘導体、キナク
リドン顔料のスルホン酸誘導体、ジケトピロロピロール顔料のスルホン酸誘導体、ジオキ
サジン顔料のスルホン酸誘導体等が挙げられる。
【0263】
[1-6-2]界面活性剤
本発明の着色樹脂組成物は界面活性剤を含有してもよく、界面活性剤としては、アニオ
ン系、カチオン系、非イオン系、両性界面活性剤等、各種の界面活性剤を用いることがで
きるが、諸特性に悪影響を及ぼす可能性が低い点で、非イオン系界面活性剤が好ましい。
本発明の着色樹脂組成物が界面活性剤を含む場合、界面活性剤の含有割合は特に限定され
ないが、着色樹脂組成物の全固形分中に通常0.001質量%以上、好ましくは0.01
質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上、
また、通常10質量%以下、好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以
下、特に好ましくは0.3質量%以下の範囲で用いられる。上記の上限及び下限は任意に
組み合わせることができる。例えば、界面活性剤の含有割合は、着色樹脂組成物の全固形
分中、0.001~10質量%が好ましく、0.01~1質量%がより好ましく、0.0
5~0.5質量%がさらに好ましく、0.1~0.3質量%が特に好ましい。
【0264】
[1-6-3]密着向上剤
本発明の着色樹脂組成物は、基板との密着性を改善するため、密着向上剤を含有してい
てもよい。密着向上剤としては例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤が
挙げられる。シランカップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤としては、例えば、KBM-402、KBM-403、KBM-
502、KBM-5103、KBE-9007、X-12-1048、X-12-105
0(信越シリコーン社製)、Z-6040、Z-6043、Z-6062(東レ・ダウコ
ーニング社製)が挙げられる。シランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2
種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
シランカップリング剤以外の密着向上剤を本発明の感光性樹脂組成物に含有させてもよ
い。例えば、リン酸系密着向上剤、その他の密着向上剤が挙げられる。
【0265】
リン酸系密着向上剤としては、(メタ)アクリロイルオキシ基含有ホスフェート類が好
ましい。下記一般式(g1)、(g2)、(g3)で表されるリン酸系密着向上剤が好ま
しい。
【0266】
【化26】
【0267】
式(g1)、(g2)、(g3)において、R51は各々独立に水素原子又はメチル基を
表す。l及びl’は各々独立に1~10の整数、mは各々独立に1、2又は3を表す。
その他の密着向上剤としては、例えば、TEGO(登録商標)Add Bond LT
H(Evonik社製)が挙げられる。これらのリン酸系密着向上剤やその他の密着剤は
1種類を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0268】
本発明の着色樹脂組成物が密着向上剤を含有する場合、その含有割合は特に限定されな
いが、全固形分中に0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0
.3質量%以上がさらに好ましく、0.4質量%以上が特に好ましく、また、3質量%以
下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下がさらに好ましく、1質
量%以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることでパターニング特性が向上し、高湿
条件下のパターン密着が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで残渣発
生が抑制される傾向がある。上記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例
えば、着色樹脂組成物が密着向上剤を含有する場合、その含有割合は、全固形分中に0.
1~3質量%が好ましく、0.2~2質量%がより好ましく、0.3~1.5質量%がさ
らに好ましく、0.4~1質量%が特に好ましい。
【0269】
[2]着色樹脂組成物の調製
次に、本発明の着色樹脂組成物(以下、レジストと称することがある。)を調製する方
法を説明する。
【0270】
着色剤として顔料を含むものを調製する場合にはまず、顔料、溶剤および分散剤を各所
定量秤量し、分散処理工程において、顔料を含む着色剤を分散させて顔料分散液を調製す
る。この分散処理工程では、ペイントコンディショナー、サンドグラインダー、ボールミ
ル、ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、ホモジナイザーなどを使用することがで
きる。この分散処理を行なうことによって着色剤が微粒子化されるため、着色樹脂組成物
の塗布特性が向上し、製品のカラーフィルタ基板における画素の透過率が向上する。
【0271】
顔料を分散処理する際には、上述の通り、分散助剤又は分散樹脂などを適宜併用するこ
とが好ましい。
サンドグラインダーを用いて分散処理を行なう場合は、0.1から数mm径のガラスビ
ーズ、又は、ジルコニアビーズを用いることが好ましい。分散処理する際の温度は、通常
0℃以上、好ましくは室温以上、また、通常100℃以下、好ましくは80℃以下の範囲
に設定する。なお、分散時間は、顔料分散液の組成、及びサンドグラインダーの装置の大
きさなどにより適正時間が異なるため、適宜調整すればよい。
【0272】
上記分散処理によって得られた顔料分散液に、溶剤、アルカリ可溶性樹脂、光重合開始
剤、必要に応じて上記以外の成分などを混合し、均一な分散溶液とする。なお、分散処理
工程及び混合の各工程においては、微細なゴミが混入することがあるため、得られた顔料
分散液をフィルタなどによって、ろ過処理することが好ましい。
【0273】
着色剤として顔料を含まない場合には、着色剤、溶剤、アルカリ可溶性樹脂、光重合開
始剤、必要に応じて上記以外の成分などを混合し、均一な溶液として得ることができる。
得られた溶液をフィルタなどによってろ過処理することが好ましい。
【0274】
[3]カラーフィルタ基板の製造
本発明のカラーフィルタは、本発明の着色樹脂組成物を用いて作成した画素を有する。
【0275】
[3-1]透明基板(支持体)
カラーフィルタの透明基板としては、透明で適度の強度があれば、その材質は特に限定
されるものではない。材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエ
ステル系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリカーボ
ネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホンの熱可塑性樹脂製シート、エポキシ樹
脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂などの熱硬化性樹脂シート、
又は各種ガラスなどが挙げられる。この中でも、耐熱性の観点からガラスまたは耐熱性樹
脂が好ましい。
【0276】
透明基板及び後述するブラックマトリクスを設けた基板には、接着性などの表面物性の
改良のため、必要に応じ、コロナ放電処理、オゾン処理、シランカップリング剤や、ウレ
タン系樹脂などの各種樹脂の薄膜形成処理などを行なってもよい。透明基板の厚さは、通
常0.05mm以上、好ましくは0.1mm以上、また、通常10mm以下、好ましくは
7mm以下の範囲とされる。また、各種樹脂の薄膜形成処理を行なう場合、その膜厚は、
通常0.01μm以上、好ましくは0.05μm以上、また、通常10μm以下、好まし
くは5μm以下の範囲である。例えば、0.01~10μm、0.05~5μmである。
【0277】
[3-2]ブラックマトリクス
透明基板上にブラックマトリクスを設け、さらに通常は赤色、緑色、青色の画素画像を
形成することにより、本発明のカラーフィルタを製造することができる。本発明の着色樹
脂組成物は、赤色、緑色、青色の画素のうち、緑色又は青色の画素(レジストパターン)
形成用塗布液として使用することが好ましい。緑色又は青色の画素(レジストパターン)
形成用塗布液を用い、透明基板上に形成された樹脂ブラックマトリクス形成面上、又は、
クロム化合物その他の遮光金属材料を用いて形成した金属ブラックマトリクス形成面上に
、塗布、加熱乾燥、画像露光、現像及び焼成硬化の各処理を行なって画素画像を形成する
【0278】
ブラックマトリクスは、遮光金属薄膜又はブラックマトリクス用着色樹脂組成物を利用
して、透明基板上に形成される。遮光金属材料としては、金属クロム、酸化クロム、窒化
クロムなどのクロム化合物、ニッケルとタングステン合金などが用いられ、これらを複数
層状に積層させたものであってもよい。
これらの金属遮光膜は、一般にスパッタリング法によって形成され、ポジ型フォトレジ
ストにより、膜状に所望のパターンを形成した後、クロムに対しては硝酸第二セリウムア
ンモニウムと過塩素酸及び/又は硝酸とを混合したエッチング液を用い、その他の材料に
対しては、材料に応じたエッチング液を用いて蝕刻され、最後にポジ型フォトレジストを
専用の剥離剤で剥離することによって、ブラックマトリクスを形成することができる。
【0279】
この場合、まず、蒸着又はスパッタリング法などにより、透明基板上にこれら金属又は
金属・金属酸化物の薄膜を形成する。次いで、この薄膜上に着色樹脂組成物の塗布膜を形
成した後、ストライプ、モザイク、トライアングルなどの繰り返しパターンを有するフォ
トマスクを用いて、塗布膜を露光・現像し、レジスト画像を形成する。その後、この塗布
膜にエッチング処理を施してブラックマトリクスを形成することができる。
【0280】
ブラックマトリクス用感光性着色樹脂組成物を利用する場合は、黒色の着色剤を含有す
る着色樹脂組成物を使用して、ブラックマトリクスを形成する。例えば、カーボンブラッ
ク、黒鉛、鉄黒、アニリンブラック、シアニンブラック、チタンブラックなどの黒色着色
剤単独又は複数、もしくは、無機又は有機の顔料、染料の中から適宜選択される赤色、緑
色、青色などの混合による黒色着色剤を含有する着色樹脂組成物を使用し、下記の赤色、
緑色、青色の画素画像を形成する方法と同様にして、ブラックマトリクスを形成すること
ができる。
【0281】
[3-3]画素の形成
ブラックマトリクスを設けた透明基板上に、赤色、緑色、青色のうち一色の着色樹脂組
成物を塗布し、乾燥した後、塗布膜の上にフォトマスクを重ね、このフォトマスクを介し
て画像露光、現像、必要に応じて熱硬化又は光硬化により画素画像を形成する。この操作
を、赤色、緑色、青色の三色の着色樹脂組成物について各々行なうことによって、カラー
フィルタ画像を形成することができる。
【0282】
カラーフィルタ用の着色樹脂組成物の塗布は、スピナー法、ワイヤーバー法、フローコ
ート法、ダイコート法、ロールコート法、スプレーコート法などによって行なうことがで
きる。中でも、ダイコート法によれば、塗布液使用量が大幅に削減され、かつ、スピンコ
ート法によった際に付着するミストなどの影響が全くなく、さらには異物発生が抑制され
るなど、総合的な観点から好ましい。
【0283】
塗布膜の厚さは、大き過ぎるとパターン現像が困難となるとともに、液晶セル化工程で
のギャップ調整が困難となることがある一方で、小さ過ぎると顔料濃度を高めることが困
難となり、所望の色発現が不可能となることがある。塗布膜の厚さは、乾燥後の膜厚とし
て、通常0.2μm以上、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは0.8μm以上、
また、通常20μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下の範囲で
ある。例えば、0.2~20μm、0.5~10μm、0.8~5μmである。
【0284】
[3-4]塗布膜の乾燥
基板に着色樹脂組成物を塗布した後の塗布膜の乾燥(プリベーク)は、ホットプレート
、IRオーブン、コンベクションオーブンを使用した乾燥法によるのが好ましい。通常は
、予備乾燥の後、再度加熱させて乾燥させる。予備乾燥の条件は、前記溶剤成分の種類、
使用する乾燥機の性能などに応じて適宜選択することができる。乾燥温度及び乾燥時間は
、溶剤成分の種類、使用する乾燥機の性能などに応じて選択されるが、具体的には、乾燥
温度は通常40℃以上、好ましくは50℃以上、また、通常80℃以下、好ましくは70
℃以下の範囲であり、乾燥時間は通常15秒以上、好ましくは30秒以上、また、通常5
分間以下、好ましくは3分間以下の範囲である。
【0285】
再加熱乾燥の温度条件は、予備乾燥温度より高い温度が好ましい。本発明においては、
具体的には、100℃以上、好ましくは105℃以上、特に好ましくは110℃以上、ま
た、200℃以下、好ましくは160℃以下、特に好ましくは130℃以下の範囲である
。前記下限値以上とすることで溶解速度が速くなる傾向があり、前記上限値以下とするこ
とでバインダー樹脂が分解し、熱重合を誘発して現像不良を生ずる傾向がある。
【0286】
再加熱乾燥の乾燥時間は、加熱温度にもよるが、通常10秒以上、中でも15秒以上、
また、通常10分以下、中でも5分の範囲とするのが好ましい。
【0287】
[3-5]露光工程
画像露光は、着色樹脂組成物の塗布膜上に、ネガのマトリクスパターンを重ね、このマ
スクパターンを介し、紫外線又は可視光線の光源を照射して行なう。この際、必要に応じ
、酸素による光重合性層の感度の低下を防ぐため、光重合性層上にポリビニルアルコール
層などの酸素遮断層を形成した後に露光を行なってもよい。上記の画像露光に使用される
光源は、特に限定されるものではない。光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲ
ンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中
圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプなどのランプ光源や、アルゴンイオ
ンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウム
レーザー、半導体レーザーなどのレーザー光源などが挙げられる。特定の波長の光を照射
して使用する場合には、光学フィルタを利用することもできる。
【0288】
[3-6]現像工程
本発明に係るカラーフィルタは、本発明に係る着色樹脂組成物を用いた塗布膜に対し、
上記の光源によって画像露光を行なった後、界面活性剤とアルカリ性化合物とを含む水溶
液を用いて現像を行なうことによって、基板上に画像を形成して製造することができる。
この水溶液には、さらに有機溶剤、緩衝剤、錯化剤、染料又は顔料を含ませることができ
る。
【0289】
アルカリ性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチ
ウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ケイ酸
ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウ
ム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水
素カリウム、水酸化アンモニウムなどの無機アルカリ性化合物や、モノ-・ジ-又はトリ
エタノールアミン、モノ-・ジ-又はトリメチルアミン、モノ-・ジ-又はトリエチルア
ミン、モノ-又はジイソプロピルアミン、n-ブチルアミン、モノ-・ジ-又はトリイソ
プロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジイミン、テトラメチルアンモニウムヒ
ドロキシド(TMAH)、コリンなどの有機アルカリ性化合物が挙げられる。これらのア
ルカリ性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0290】
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエ
チレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタ
ンアルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類などのノニオン系界面活性剤
、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル硫酸
塩類、アルキルスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類などのアニオン性界面活性
剤、アルキルベタイン類、アミノ酸類などの両性界面活性剤が挙げられる。
【0291】
有機溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセ
ロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトン
アルコールが挙げられる。有機溶剤は、水溶液と併用して使用できる。
現像処理の条件には特に制限はないが、現像温度は通常10℃以上、中でも15℃以上
、さらには20℃以上、また、通常50℃以下、中でも45℃以下、さらには40℃以下
の範囲が好ましい。現像方法は、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現
像法などの何れかの方法によることができる。
【0292】
[3-7]熱硬化処理
現像の後のカラーフィルタには、熱硬化処理を施す。この際の熱硬化処理条件は、温度
は通常100℃以上、好ましくは150℃以上、また、通常280℃以下、好ましくは2
50℃以下の範囲で選ばれ、時間は5分間以上、60分間以下の範囲で選ばれる。これら
一連の工程を経て、一色のパターニング画像形成は終了する。この工程を順次繰り返し、
ブラック、赤色、緑色、青色をパターニングし、カラーフィルタを形成する。なお、4色
のパターニングの順番は、上記した順番に限定されるものではない。
【0293】
[3-8]透明電極の形成
本発明に係るカラーフィルタは、このままの状態で画像上にITOなどの透明電極を形
成して、カラーディスプレー、液晶表示装置などの部品の一部として使用されるが、表面
平滑性や耐久性を高めるため、必要に応じ、画像上にポリアミド、ポリイミドなどのトッ
プコート層を設けることもできる。また一部、平面配向型駆動方式(IPSモード)など
の用途においては、透明電極を形成しないこともある。
【0294】
[4]画像表示装置(パネル)
本発明の画像表示装置は、本発明のカラーフィルタを有する。
以下、画像表示装置として、液晶表示装置及び有機EL表示装置について詳述する。
【0295】
[4-1]液晶表示装置
本発明に係る液晶表示装置の製造方法について説明する。本発明に係る液晶表示装置は
、通常、本発明のカラーフィルタ上に配向膜を形成し、この配向膜上にスペーサを散布し
た後、対向基板と貼り合わせて液晶セルを形成し、形成した液晶セルに液晶を注入し、対
向電極に結線して完成する。配向膜は、ポリイミド等の樹脂膜が好適である。配向膜の形
成には、通常、グラビア印刷法及び/又はフレキソ印刷法が採用され、配向膜の厚さは数
10nmとされる。熱焼成によって配向膜の硬化処理を行なった後、紫外線の照射やラビ
ング布による処理によって表面処理し、液晶の傾きを調整しうる表面状態に加工される。
【0296】
スペーサは、対向基板とのギャップ(隙間)に応じた大きさのものが用いられ、通常2
~8μmのものが好適である。カラーフィルタ基板上に、フォトリソグラフィ法によって
透明樹脂膜のフォトスペーサ(PS)を形成し、これをスペーサの代わりに活用すること
もできる。対向基板としては、通常、アレイ基板が用いられ、特にTFT(薄膜トランジ
スタ)基板が好適である。
【0297】
対向基板との貼り合わせのギャップは、液晶表示装置の用途によって異なるが、通常2
μm以上、8μm以下の範囲で選ばれる。対向基板と貼り合わせた後、液晶注入口以外の
部分は、エポキシ樹脂等のシール材によって封止する。シール材は、UV照射及び/又は
加熱することによって硬化させ、液晶セル周辺がシールされる。
周辺をシールされた液晶セルは、パネル単位に切断した後、真空チャンバー内で減圧と
し、上記液晶注入口を液晶に浸漬した後、チャンバー内をリークすることによって、液晶
を液晶セル内に注入する。液晶セル内の減圧度は、通常1×10-2Pa以上、好ましくは
1×10-3以上、また、通常1×10-7Pa以下、好ましくは1×10-6Pa以下の範囲
である。また、減圧時に液晶セルを加温するのが好ましく、加温温度は通常30℃以上、
好ましくは50℃以上、また、通常100℃以下、好ましくは90℃以下の範囲である。
【0298】
減圧時の加温保持は、通常10分間以上、60分間以下の範囲とされ、その後、液晶中
に浸漬される。液晶を注入した液晶セルは、液晶注入口を、UV硬化樹脂を硬化させて封
止することによって、液晶表示装置(パネル)が完成する。
液晶の種類には特に制限がなく、芳香族系、脂肪族系、多環状化合物等、従来から知ら
れている液晶であって、リオトロピック液晶、サーモトロピック液晶等の何れでもよい。
サーモトロピック液晶には、ネマティック液晶、スメスティック液晶及びコレステリッ
ク液晶等が知られているが、何れであってもよい。
【0299】
[4-2]有機EL表示装置
本発明のカラーフィルタを有する有機EL表示装置を作成する場合、例えば図1に示す
ように、透明支持基板10上に、本発明の着色樹脂組成物により画素20が形成された青
色カラーフィルタ上に有機保護層30及び無機酸化膜40を介して有機発光体500を積
層することによって多色の有機EL素子を作製する。
【0300】
有機発光体500の積層方法としては、カラーフィルタ上面へ透明陽極50、正孔注入
層51、正孔輸送層52、発光層53、電子注入層54、及び陰極55を逐次形成してい
く方法や、別基板上へ形成した有機発光体500を無機酸化膜40上に貼り合わせる方法
などが挙げられる。このようにして作製された有機EL素子100は、パッシブ駆動方式
の有機EL表示装置にもアクティブ駆動方式の有機EL表示装置にも適用可能である。
【実施例0301】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨
を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0302】
<キサンテン化合物A>
特開2020-23660号公報の実施例2に基づいて合成した、以下の化学構造を有
するキサンテン化合物Aを使用した。当該化合物を水に10ppmの濃度で溶解し、日立
製作所社製分光光度計U-3310により測定セル長1cmで吸光度スペクトルを測定し
たとき、最も長波長側にある吸収ピークの波長は565nmで、その波長における吸光度
は1.7だった。
【0303】
【化27】
【0304】
C.I.ピグメントレッド269をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテー
トに10ppmの濃度で溶解し、日立製作所社製分光光度計U-3310により測定セル
長1cmで吸光度スペクトルを測定したとき、最も長波長側にある吸収ピークの波長は5
81nmで、その波長における吸光度は0.4だった。
【0305】
C.I.ピグメントレッド264をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテー
トに10ppmの濃度で溶解し、日立製作所社製分光光度計U-3310により測定セル
長1cmで吸光度スペクトルを測定したとき、最も長波長側にある吸収ピークの波長は5
65nmで、その波長における吸光度は0.2だった。
【0306】
C.I.ピグメントレッド177をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテー
トに10ppmの濃度で溶解し、日立製作所社製分光光度計U-3310により測定セル
長1cmで吸光度スペクトルを測定したとき、最も長波長側にある吸収ピークの波長は5
65nmで、その波長における吸光度は0.2だった。
【0307】
<分散剤A>
窒素原子含有官能基を有するAブロックと、親溶剤性基を有するBブロックからなるメ
タクリル系ABブロック共重合体。下記式(1a)で表される繰り返し単位、下記式(2
a)で表される繰り返し単位、下記式(3a)で表される繰り返し単位、下記式(4a)
で表される繰り返し単位、及び下記式(5a)で表される繰り返し単位を有する。アミン
価は120mgKOH/gであり、酸価は1mgKOH/g未満である。
【0308】
全繰り返し単位中における下記式(1a)、(2a)、(3a)、(4a)、及び(5
a)で表される繰り返し単位の含有割合はそれぞれ1モル%未満、34.5モル%、6.
9モル%、13.8モル%、及び6.9モル%である。
【0309】
【化28】
【0310】
<アルカリ可溶性樹脂A>
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備し、プロピレングリコールモノ
メチルエーテルアセテート400質量部を仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイル
バスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。
【0311】
一方、モノマー槽中にジメチル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プ
ロペノエート30質量部、メタクリル酸69質量部、トリシクロデカン骨格を有するモノ
メタクリレート(日立化成社製FA-513M)40質量部、t-ブチルパーオキシ-2
-エチルヘキサノエート5.2質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテ
ート40質量部を仕込み、連鎖移動剤槽にn-ドデシルメルカプタン5.2質量部、プロ
ピレングリコールモノメチルエーテルアセテート27質量部を仕込み、反応槽の温度が9
0℃に安定してからモノマー槽及び連鎖移動剤槽から滴下を開始し、重合を開始させた。
温度を90℃に保ちながら滴下をそれぞれ135分かけて行い、滴下が終了して60分後
に昇温を開始して反応槽を110℃にした。
【0312】
3時間、110℃を維持した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素
=5/95(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。次いで、反応槽に、メタクリル
酸グリシジル39.6質量部、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフ
ェノール)0.4質量部、トリエチルアミン0.8質量部を仕込み、そのまま110℃で
9時間反応させた。
室温まで冷却し、GPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mwが19
000、酸価が198mgKOH/g、二重結合当量が550g/molのアルカリ可溶
性樹脂Aを得た。
【0313】
<アルカリ可溶性樹脂B>
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備し、プロピレングリコールモノ
メチルエーテルアセテート400質量部を仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイル
バスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。
【0314】
一方、モノマー槽中にジメチル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プ
ロペノエート30質量部、メタクリル酸60質量部、メタクリル酸シクロヘキシル110
質量部、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート5.2質量部、プロピレング
リコールモノメチルエーテルアセテート40質量部を仕込み、連鎖移動剤槽にn-ドデシ
ルメルカプタン5.2質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート27
質量部を仕込み、反応槽の温度が90℃に安定してからモノマー槽及び連鎖移動剤槽から
滴下を開始し、重合を開始させた。温度を90℃に保ちながら滴下をそれぞれ135分か
けて行い、滴下が終了して60分後に昇温を開始して反応槽を110℃にした。
【0315】
3時間、110℃を維持した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素
=5/95(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。次いで、反応槽に、メタクリル
酸グリシジル39.6質量部、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフ
ェノール)0.4質量部、トリエチルアミン0.8質量部を仕込み、そのまま110℃で
9時間反応させた。
室温まで冷却し、GPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mwが90
00、酸価が101mgKOH/g、二重結合当量が550g/molのアルカリ可溶性
樹脂Bを得た。
【0316】
<赤色着色剤分散液Aの調製>
表1に記載のとおり、キサンテン化合物Aを2.6質量部、C.I.ピグメントレッド
177を10.5質量部、分散剤Aを固形分換算で3.3質量部、アルカリ可溶性樹脂B
を固形分換算で5.2質量部、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセ
テートを72.9質量部(分散剤A由来の溶剤を含む)、プロピレングリコールモノメチ
ルエーテルを8.1質量部、直径0.5mmのジルコニアビーズ225質量部をステンレ
ス容器に充填し、ペイントシェーカーにて6時間分散処理を行った。分散終了後、フィル
タによりビーズと分散液を分離して、赤色着色剤分散液Aを調製した。
【0317】
<赤色着色剤分散液Bの調製>
表1に記載のとおり、C.I.ピグメントレッド269を14.3質量部、分散剤Aを
固形分換算で4.0質量部、アルカリ可溶性樹脂Bを固形分換算で4.4質量部、溶剤と
してプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを68.9質量部(分散剤A由
来の溶剤及びアルカリ可溶性樹脂B由来の溶剤も含む)、プロピレングリコールモノメチ
ルエーテルを8.5質量部、直径0.5mmのジルコニアビーズ225質量部をステンレ
ス容器に充填し、ペイントシェーカーにて6時間分散処理を行った。分散終了後、フィル
タによりビーズと分散液を分離して、赤色着色剤分散液Bを調製した。
【0318】
<赤色着色剤分散液Cの調製>
表1に記載のとおり、C.I.ピグメントレッド264を14.0質量部、分散剤Aを
固形分換算で4.0質量部、アルカリ可溶性樹脂Bを固形分換算で4.0質量部、溶剤と
してプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを62.0質量部(分散剤A由
来の溶剤及びアルカリ可溶性樹脂B由来の溶剤も含む)、プロピレングリコールモノメチ
ルエーテルを16.0質量部、直径0.5mmのジルコニアビーズ225質量部をステン
レス容器に充填し、ペイントシェーカーにて6時間分散処理を行った。分散終了後、フィ
ルタによりビーズと分散液を分離して、赤色着色剤分散液Cを調製した。
【0319】
<赤色着色剤分散液Dの調製>
表1に記載のとおり、C.I.ピグメントレッド177を15.0質量部、分散剤Aを
固形分換算で2.0質量部、アルカリ可溶性樹脂Bを固形分換算で4.0質量部、溶剤と
してプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを79.0質量部(分散剤A由
来の溶剤及びアルカリ可溶性樹脂B由来の溶剤も含む)、直径0.5mmのジルコニアビ
ーズ225質量部をステンレス容器に充填し、ペイントシェーカーにて6時間分散処理を
行った。分散終了後、フィルタによりビーズと分散液を分離して、赤色着色剤分散液Dを
調製した。
【0320】
<黄色着色剤分散液Aの調製>
表1に記載のとおり、C.I.ピグメントイエロー139を13.8質量部、分散剤A
を固形分換算で3.9質量部、アルカリ可溶性樹脂Bを固形分換算で4.3質量部、溶剤
としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを70.3質量部(分散剤A
由来の溶剤及びアルカリ可溶性樹脂B由来の溶剤も含む)、プロピレングリコールモノメ
チルエーテルを7.8質量部、直径0.5mmのジルコニアビーズ225質量部をステン
レス容器に充填し、ペイントシェーカーにて6時間分散処理を行った。分散終了後、フィ
ルタによりビーズと分散液を分離して、黄色着色剤分散液Aを調製した。
【0321】
【表1】
【0322】
<光重合性モノマーA>
ポリエトキシ化テトラメチロールメタンテトラアクリレート(NKエステル ATM-
4E、新中村化学工業社製)
【0323】
<光重合開始剤A>
以下の化学構造を有するオキシムエステル系化合物
【0324】
【化29】
【0325】
<酸化防止剤A>
Irganox 1010:ヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASF社製)
【0326】
<界面活性剤A>
メガファックF-554(DIC社製)
【0327】
<着色樹脂組成物の調製>
表2に記載の各成分を、記載の固形分比率で混合し着色樹脂組成物1~4を調製した。
なお、着色樹脂組成物1~4においては、着色樹脂組成物の全固形分の含有割合が15質
量%になるように、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
及びプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)を使用した。得られた着色樹
脂組成物中におけるPGMEA/PGMEの混合比(質量比)は90/10であった。
【0328】
【表2】
【0329】
<吸収波長の測定>
50mm角、厚さ0.5mmのガラス基板(AGC社製、AN100)上に、上記着色
樹脂組成物を、熱硬化処理後の膜厚が2μmになるようにスピンコート法で塗布し、減圧
乾燥させた後、ホットプレート上にて110℃で70秒間プリベークした。次いで、2k
W高圧水銀灯により、40mJ/cm2の露光量、照度32mW/cm2で全面露光処理を
行った。その後、クリーンオーブンにて230℃で20分間の焼成を行い、着色基板を作
成した。
【0330】
得られた着色基板を用いて、日立製作所社製分光光度計U-3310により透過スペク
トルを測定した。透過スペクトルを吸収スペクトルへと変換後、波長560nm以上にあ
る吸収ピークの波長を測定したところ、着色樹脂組成物1では566nm、着色樹脂組成
物2では568nm、着色樹脂組成物3では560nm、着色樹脂組成物4では566n
mだった。なお、着色樹脂組成物1中に含まれるキサンテン化合物AとC.I.ピグメン
トレッド177の最も長波長側にある吸収ピークは重なっているが、C.I.ピグメント
レッド177が単独で含まれる着色樹脂組成物4と比較し、着色樹脂組成物1の566n
mの吸収ピークが顕著に増大していることから、当該ピークはキサンテン化合物Aに由来
すると判断できる。
【0331】
<コントラストの測定>
50mm角、厚さ0.5mmのガラス基板(AGC社製、AN100)上に、上記着色
樹脂組成物をスピンコート法で塗布し、減圧乾燥させた後、ホットプレート上にて110
℃で70秒間プリベークした。次いで、2kW高圧水銀灯により、40mJ/cm2の露
光量、照度32mW/cm2で全面露光処理を行った。その後、クリーンオーブンにて2
30℃で20分間の焼成を行い、着色基板を作成した。
【0332】
得られた着色基板を用いて、C光源にてsx=0.686の色度となった際のコントラ
ストを壺坂電機社製コントラスト計(CT-1)で測定した。測定したコントラストを表
3に示す。
【0333】
<パターン形成性の評価>
50mm角、厚さ0.5mmのガラス基板(AGC社製、AN100)上に、上記着色
樹脂組成物をスピンコート法で塗布した。この時、熱硬化処理後の色度sxが0.686
となるように回転数を調整した。
各塗布膜を110℃で90秒間プリベークした。次いで、2kW高圧水銀灯により、4
0mJ/cmの露光量、照度32mW/cmで、露光マスクを介して露光処理を行っ
た。その後、0.04質量%水酸化カリウム水溶液を使用し、現像液温度23℃で120
秒間現像処理を行った。次いで、1kg/cmの水圧で10秒間スプレー水洗処理を行
った。得られたパターン基板について、光学顕微鏡を用いて、パターンが形成されている
かどうかを観察した。パターンが形成されている場合は〇、パターンが形成されていない
場合は×とし、表3に示す。
【0334】
【表3】
【0335】
表3から明らかなように、実施例1では赤色着色剤(a-1)及び赤色着色剤(a-2
)に該当する着色剤としてキサンテン化合物Aを用いたことによって、(A)着色剤中の
赤色着色剤(a-1)及び赤色着色剤(a-2)の比率が15%を下回り、コントラスト
値が良好だった。これはキサンテン化合物Aの波長560nm以上の光に対する吸収が大
きく、より少ない添加量で目的の色(XYZ表色系における色度座標x、yが0.686
、0.311)を再現できることによる。比較例1、2で用いた、赤色着色剤(a-1)
に該当せず、赤色着色剤(a-2)に該当する着色剤は波長560nm以上の光に対する
吸収が比較的小さく、目的の色を再現するために(A)着色剤中の赤色着色剤(a-2)
に該当する着色剤の比率が大きくなった。これは、良好なコントラストを持つために赤色
着色剤の汎用品として好ましく使用されているC.I.ピグメントレッド177やC.I
.ピグメントレッド254を添加できない、または添加量を少なくせざるを得ないことを
意味し、そのため比較例1、2はコントラストが低かった。比較例3では赤色着色剤とし
て赤色着色剤の汎用品であるC.I.ピグメントレッド177のみを用いたため、コント
ラストは良好だった。しかし、C.I.ピグメントレッド177は、赤色着色剤(a-1
)に該当する着色剤に比べて波長560nm以上の光に対する吸収が小さいため、目的の
色を再現するために着色剤添加量が多くなり、パターン形成に必要なアルカリ可溶性樹脂
などの材料の比率が少なくなったために、パターンが形成できなかった。
【0336】
本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく
様々な変更および変形が可能であることは、当業者にとって明らかである。
【符号の説明】
【0337】
10 透明支持基板
20 画素
30 有機保護層
40 無機酸化膜
50 透明陽極
51 正孔注入層
52 正孔輸送層
53 発光層
54 電子注入層
55 陰極
100 有機EL素子
500 有機発光体
図1