(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041105
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】改質六方晶窒化ホウ素粉末の製造方法
(51)【国際特許分類】
C01B 21/064 20060101AFI20240319BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20240319BHJP
A61Q 1/12 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
C01B21/064 M
A61K8/19
A61Q1/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145745
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003182
【氏名又は名称】株式会社トクヤマ
(72)【発明者】
【氏名】油谷 真人
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB151
4C083AB152
4C083AB172
4C083AB212
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB432
4C083AC352
4C083AC912
4C083AD072
4C083AD092
4C083AD162
4C083BB21
4C083CC12
4C083EE07
4C083FF01
(57)【要約】
【課題】 合成反応によって得られた負摩擦帯電性を有する六方晶窒化ホウ素粉末を加熱処理して得られる改質六方晶窒化ホウ素粉末からのアンモニア臭の発生を効果的に防止できる製造方法及びこれにより得られた改質六方晶窒化ホウ素粉末を提供する。
【解決手段】 負摩擦帯電性を有する六方晶窒化ホウ素粉末を、乾燥減量法により測定される水分率が50ppm以下となるように調整後、露点が-30℃以下の不活性ガスの雰囲気下、1300~2200℃の温度で加熱処理する方法であり、これにより、摩擦帯電試験により測定される電圧密度が+1V/g以上、気相部が温度25℃、相対湿度70%に調整された内容積100Lの密閉容器内に200gの前記粉末を存在させて、60分経過後の上記密閉容器の気相部におけるアンモニア濃度が60ppm以下である改質六方晶窒化ホウ素粉末が得られる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負摩擦帯電性六方晶窒化ホウ素粉末を、乾燥減量法により測定される水分率が50ppm以下となるように調整後、露点が-30℃以下の不活性ガスの流通下、1300~2200℃の温度で加熱処理することを特徴とする六方晶窒化ホウ素粉末の改質方法。
【請求項2】
前記加熱処理を六方晶窒化ホウ素粉末の電圧密度が+1V/g以上となるまで行う請求項1に記載の改質方法。
【請求項3】
摩擦帯電試験により測定される電圧密度が+1V/g以上の改質六方晶窒化ホウ素粉末であり、気相部が温度25℃、相対湿度70%RHに調整された内容積100Lの密閉容器内に200gの前記粉末を存在させて、60分経過後の上記密閉容器内の気相部におけるアンモニア濃度が60ppm以下であることを特徴とする改質六方晶窒化ホウ素粉末。
【請求項4】
一次粒子の平均長径が2~20μm、平均厚みが0.2~2.0μm及び平均アスペクト比が5~30の範囲にある請求項3に記載の改質六方晶窒化ホウ素粉末。
【請求項5】
化粧料用配合剤として使用される請求項3又は4に記載の改質六方晶窒化ホウ素粉末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改質六方晶窒化ホウ素粉末の新規な製造方法に関するものである。詳しくは、アンモニア臭が効果的に抑制された改質六方晶窒化ホウ素粉末の製造方法を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
六方晶窒化ホウ素粉末は、六方晶形の層状結晶構造を有する白色の粉末であり、メイクアップ化粧品等の化粧料の粉末基材として広く用いられている。上記化粧料には、被覆力、透明感、展延性、潤滑性、人肌に対する付着性などが要求されるが、上記窒化ホウ素粉末は、特に展延性や付着性を付与する効果を発揮する。
【0003】
従来から、六方晶窒化ホウ素粉末の上記特性をより向上させるために、粉末を構成する一次粒子の粒径(長径)、厚み、アスペクト比等の粒子形状を調整することが検討されている(特許文献1参照)が、展延性や付着性に関して未だ改良の余地がある。
【0004】
また、合成反応によって得られた六方晶窒化ホウ素粉末を窒素雰囲気下に焼成することにより改質された六方晶窒化ホウ素粉末を得る試みも成されている。
【0005】
例えば、特許文献2には、黒鉛化指数(GI)が2.0以下で、比表面積が15m2/g以下の六方晶窒化ホウ素粉末を、酸水溶液で洗浄・乾燥した後、窒素雰囲気下、1800~1950℃で1~5時間加熱処理することによって、窒化ホウ素粉末を改質する方法が開示されている。尚、この方法では、例えば白色度が95.0以上に向上するのであるが、化粧料の用途で要求される展延性や付着性の改質は不十分であった。
【0006】
また、前記特許文献1も含め、合成反応によって得られる六方晶窒化ホウ素粉末は、一般に負帯電性を示し、これが原因となりダマ(目視できる程度の大きな凝集物)を生じるという知見に基づき、上記負摩擦帯電性を有する六方晶窒化ホウ素粉末を不活性ガスの流通下、1300~2200℃の温度で加熱処理することによって、この摩擦帯電性を正帯電性に改質し、ダマの生成を低減させた改質六方晶窒化ホウ素粉末が提案されている(特許文献3参照)。
【0007】
ところが、上記改質処理を施して得られる改質六方晶窒化ホウ素粉末は、アンモニア臭が発生する場合があり、斯様な改質六方晶窒化ホウ素粉末は化粧料への使用に適さないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第6109466号公報
【特許文献2】特開2004-35273号公報
【特許文献3】WO2021/039586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、合成反応によって得られた負摩擦帯電性を有する六方晶窒化ホウ素粉末を改質する方法において、得られる改質六方晶窒化ホウ素粉末からのアンモニア臭の発生を効果的に防止することを可能とした製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、前記負摩擦帯電性を有する六方晶窒化ホウ素粉末の加熱処理(改質処理)を行う際に、負摩擦帯電性を有する六方晶窒化ホウ素粉末に含まれる水分、更には、改質処理時に供給される不活性ガスの水分が昇温時を含む加熱領域において、何らかの作用を起こし、得られる改質六方晶窒化ホウ素粉末の表面状態を不安定化するとの知見を得た。そして、上記知見に基づき、前記負摩擦帯電性を有する六方晶窒化ホウ素粉末の水分率を特定の範囲に調整し、また、雰囲気ガスとして供給される不活性ガスの水分率も制限することにより、改質効果に悪影響を与えることなく、改質六方晶窒化ホウ素粉末からのアンモニア臭の発生をほぼ完全に防止できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明によれば、負摩擦帯電性を有する六方晶窒化ホウ素粉末(以下、単に負帯電性六方晶窒化ホウ素粉末と呼ぶことがある)を、乾燥減量法により測定される水分率が50ppm以下となるように調整後、露点が-30℃以下の不活性ガスの流通下、1300~2200℃の温度で加熱処理することを特徴とする六方晶窒化ホウ素粉末の改質方法が提供される。
【0012】
本発明の改質方法において、前記加熱処理は、不活性ガスの流通下に行うことが、合成反応によって得られた、負帯電性六方晶窒化ホウ素粉末を正帯電に変えることができ、ダマの生成を抑制できるため好ましい。この場合、前記加熱処理は、六方晶窒化ホウ素粉末の電圧密度が+1V/g以上となるまで行うことが効果的である。
【0013】
また、本発明の上記改質方法によれば、摩擦帯電試験により測定される電圧密度が+1V/g以上の改質六方晶窒化ホウ素粉末であり、気相部が温度25℃、相対湿度70%RHに調整された内容積100Lの密閉容器内に200gの前記粉末を存在させて、60分経過後の上記密閉容器内の気相部におけるアンモニア濃度が60ppm以下であることを特徴とする改質六方晶窒化ホウ素粉末を得ることが可能である。
【0014】
尚、本発明において、前記摩擦帯電試験は、ボロンシリケートガラス製の窓を備えたアルマイト処理アルミニウム製の回転ドラム(ドラム容量:332cc)を用いて行われるものであり、後述する実施例に記載されているように、回転ドラム内に試料の粉末を入れ、該ドラムを10rpmの速度で300秒間回転させて試料の粉末を摩擦帯電させることにより行われる(詳細な条件は、実施例に示す。)。
【0015】
上記改質六方晶窒化ホウ素粉末は、一次粒子の平均長径が2~20μm、平均厚みが0.2~2.0μm及び平均アスペクト比が5~30の範囲にあるものが好ましい。
【0016】
また、上記改質六方晶窒化ホウ素粉末は、化粧料用配合剤として好適に使用される。
【発明の効果】
【0017】
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末の改質方法により得られる改質窒化ホウ素粉末は、正帯電性を有しながら、アンモニア臭の発生がほとんど無く、化粧料用原料に好適に使用できると共に、窒化ホウ素粒子の凝集によるダマの発生が抑制されており、化粧料原料として使用した場合に、化粧料の展延性や付着性を大幅に向上させることが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<負帯電性窒化ホウ素粉末>
本発明において、改質処理に供する負帯電性窒化ホウ素粉末としては、公知の種々の合成反応による製造方法により得られるものが特に制限なく使用される。例えば、メラミン法や還元窒化法が代表的な製造法として挙げられる。これら何れの方法で製造した場合にも、得られる粉末は、粉末を構成する粒子の表面にOHやNH2などの官能基やB2O3などの不純物が存在しており、これらは、酸洗浄などにより完全に除去されず、かかる洗浄、乾燥を経て得られる六方晶窒化ホウ素粉末は、摩擦帯電させると負極性に帯電することとなる。
【0019】
前記負帯電性六方晶窒化ホウ素粉末は、摩擦帯電性試験における電圧密度がマイナスを示すものであり、一般に-0.5~-50V/gの電圧密度を有する。また、負帯電性六方晶窒化ホウ素粉末の好ましい特性としては、一次粒子の平均長径が2~20μm、特に3~12μm、平均厚みが0.2~2.0μm、特に0.3~1.2μm、平均アスペクト比(平均長径/平均厚み)が5~30、特に6~20の範囲にあるのがよい。また、レーザー回折・散乱法により測定されるメディアン径(D1:体積基準の中位径D50)は、4~40μmが好ましい。さらに、粉末をエタノール中に超音波分散させた状態において、レーザー回折・散乱法により測定されるメディアン径(D2)が2~20μm程度のものが好ましい。
【0020】
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末の改質方法において、負帯電性六方晶窒化ホウ素粉末は、後述する改質処理に供する前に乾燥減量法により測定される水分率が50ppm以下となるように調整されることが重要である。
【0021】
即ち、改質処理に供する負帯電性六方晶窒化ホウ素粉末の前記水分率が50ppmを超えると、得られる改質六方晶窒化ホウ素粉末は、外気に含まれる水分との接触により加水分解を起こし、アンモニアを発生し易くなる。かかる原因として、負帯電性六方晶窒化ホウ素粉末を加熱処理中において、六方晶窒化ホウ素の一部が加水分解を起こし、加水分解を起こした部分に活性点が生成し、冷却後取出した改質六方晶窒化ホウ素粉末の活性点が外気の水分と反応してアンモニアを発生するものと推定している。従って、負帯電性六方晶窒化ホウ素粉末の水分率は、50ppm以下にすることが極めて重要であり、特に、30ppm以下、更には、検出不可能なレベルまで低減されることが好ましい。
【0022】
尚、一般的な負帯電性六方晶窒化ホウ素粉末の上記水分率は、0.01~1質量%程度である。
【0023】
<予備乾燥>
本発明において、負帯電性六方晶窒化ホウ素粉末の水分率を前記範囲に調整する方法として、予備乾燥を行うことが好ましい。予備乾燥の方法は、特に制限されないが、真空加熱により行うことが最も好ましい。真空加熱の具体的条件を例示すれば、圧力1000Pa以下、好ましくは50Pa以下にて、50~500℃、好ましくは100~250℃の温度で加熱することが好ましい。また、真空を形成しない条件において、雰囲気ガスとしては窒素等の不活性ガスを存在させることが好ましい。上記300℃を上限温度としたのは、水分の除去時に六方晶窒化ホウ素の加水分解を効果的に防止するためである。
【0024】
また、上記予備乾燥は、改質処理を行う加熱炉において行うことが好ましいが、別途加熱炉を設けて行ってもよい。別途加熱炉を設けて行う場合には、予備乾燥後の負帯電性六方晶窒化ホウ素粉末が、外気の水分を吸着しないよう注意した上で、当該粉末を改質処理用の加熱炉に移す必要がある。
【0025】
<改質処理>
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末の改質方法において、改質処理は、露点が-30℃以下の不活性ガスの存在下、負帯電性六方晶窒化ホウ素粉末を1300~2200℃、好ましくは、1700~2000℃の温度で加熱することにより行われる。
【0026】
上記方法において、改質処理に用いる不活性ガスとして、露点が-30℃以下、好ましくは、-50℃以下の不活性ガスを使用することが、前記負帯電性六方晶窒化ホウ素粉末の水分率を調製する構成と共に重要である。即ち、不活性ガスの露点が上記範囲より高い場合、不活性ガス中の水分も、得られる改質六方晶窒化ホウ素粉末におけるアンモニア臭発生の要因となる。また、上記不活性ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガス、窒素等が挙げられる。
【0027】
不活性ガスの露点は公知の方法で測定すれば良いが、例えば、不活性ガスの供給配管に露点計(例えば、テクネ計測社製:オンライン露点計TK―100)を取り付けて測定すれば良い。
【0028】
尚、改質処理において、加熱炉の材質によっては、水分を吸着して含むものもあるため、例えば、改質処理前に、処理温度以上の温度で空焼きを行い、加熱炉内の水分を除去して使用することが好ましい。また、一度改質処理に供した加熱炉を続けて使用する場合は、上記空焼きを省略することも可能である。
【0029】
本発明において、前記改質処理は、雰囲気制御の可能な公知の装置、例えば、高周波誘導加熱やヒーター加熱により加熱処理を行う雰囲気制御型高温炉を用いて行うことができ、バッチ炉の他、プッシャー式トンネル炉、縦型反応炉等の連続炉も使用可能である。
【0030】
また、改質処理において、加熱温度は、1300~2200℃、好ましくは、1700~2000℃の温度が採用されるが、加熱温度保持時間は、目的とする改質効果が発現する時間が適宜決定される。一般には、0.2時間以上、特に、0.5時間以上であることが好ましい。
また、上記改質処理において、加熱時間が長すぎると、不活性ガス中の水分による加水分解が進む虞があるため好ましくない。従って、加熱時間の上限は20時間、特に15時間程度であることが好ましい。また、加熱温度が高いほど、存在する水分による六方晶窒化ホウ素の加水分解が進みやすい。特に、500℃を超えると加水分解が著しくなるため、上記加熱時間の上限は、500℃以上の加熱時間の合計とすることが好ましい。
【0031】
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末の改質方法において、前記改質処理は、前記露点を有する不活性ガスの流通下で行う方法が好適に採用される。即ち、所定温度に加熱されている不活性ガスの供給下に窒化ホウ素粉末を配置し、流通する不活性ガスを窒化ホウ素粉末に接触させることにより、加熱処理を行うことが好ましい。
【0032】
かかる不活性ガスの流通条件は、窒化ホウ素粉末の表面付近に存在するガスを拡散し、その一部を排気し得るように行うものであれば、態様は特に制限されない。例えば、窒化ホウ素粉末の層上に不活性ガスを供給し、排出することにより流通させる態様、不活性ガスにより窒化ホウ素粉末を流動させながら一部の不活性ガスを置換(供給、排出)することにより流通する態様(いわゆる流動床による態様)等が採用される。中でも、窒化ホウ素粉末を流動させることが、効率よく、改質を行うことができるうえで好ましい。
【0033】
さらに、不活性ガスの流通量は、前記加熱処理の態様や処理温度、装置内部の構造等により異なり、一概には決定できないが、処理する窒化ホウ素粉末の体積1Lあたり、0.02~5L(25℃における体積)/分(min)が適当である。また、流動床を使用して窒化ホウ素粉末を流動せしめて処理する態様においては、不活性ガスの流通量を少なくしても十分な処理が可能であり、具体的には、処理する窒化ホウ素粉末の体積1Lあたり、0.02~0.5L(25℃における体積)/分(min)、特に、0.05~0.3L(25℃における体積)/分(min)で処理が可能である。
【0034】
以上説明した改質方法における特定条件での加熱処理によれば、原料の六方晶窒化ホウ素粉末を構成する粒子表面に微量存在する官能基や不純物が熱分解し且つ熱分解物が取り除かれ、摩擦帯電性が変化し、摩擦帯電試験による電圧密度が+1V/g以上を示し、ダマが少なく、フワフワ感のある改質六方晶窒化ホウ素粉末が得られ、更に、かかる改質六方晶窒化ホウ素粉末は、加熱処理を経たにもかかわらず、アンモニアの発生が極めて少ないという特性を有する。
【0035】
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末の改質方法は、白色度を好適に調整することも可能である。即ち、前記改質方法において、使用する不活性ガスの種類により、着色度を調整することができる。即ち、例えばアルゴンガスを使用して、窒化ホウ素中に窒素空孔を多く生成させると窒化ホウ素の白色度が低下し、黄色度が増加して人肌の色に近い化粧料に適した改質六方晶窒化ホウ素粉末が得られる。また、窒素ガスを使用した場合、白色度の高い改質六方晶窒化ホウ素粉末が得られる。
【0036】
<改質六方晶窒化ホウ素粉末>
本発明によれば、摩擦帯電試験により測定される電圧密度が+1V/g以上、気相部が温度25℃、湿度70%に調整された密閉容器内に200gの前記粉末を存在させ、60分経過後における気相部中のアンモニア濃度が60ppm以下の改質六方晶窒化ホウ素粉末が提供される。
【0037】
本発明の改質六方晶窒化ホウ素粉末は、前記アンモニア臭の抑制効果を示す前記気相部中のアンモニア濃度の値を60ppm以下、特に40ppm以下、更には、20ppm以下とすることができ、化粧品用途においても好適に使用することができる。
【0038】
本発明の改質六方晶窒化ホウ素粉末において、上記の電圧密度が+1V/g未満(或いは-帯電のとき)では、粒子が凝集してダマになり易い。電圧密度は+10V/g以上が好ましく、+30V/g以上がさらに好ましい。なお、上記電圧密度の上限値は特に制限されないが、過度に正帯電しやすくなると、取り扱いが困難となるため、この電圧密度は、好ましくは+200V/g以下、より好ましくは+100V/g以下であることが望ましい。
【0039】
上記本発明の改質六方晶窒化ホウ素粉末は、前記正摩擦帯電性を有していることにより、ダマが少なく、フワフワ感のある粉末となり、化粧料に配合したとき、展延性や付着性が良好になる。
【0040】
また、正摩擦帯電性を有していることにより、優れた流動性を有する。この流動性は、粉体流動性を示すアバランシェエネルギー(なだれ前後の位置エネルギーの変化)により表すことができる。即ち、アバランシェエネルギーは、上記の電圧密度と同様、回転ドラム式の粉体流動性測定装置を用いて測定され(詳細な条件は実施例参照)、この値が低いほど、流動性に優れ、良好な展延性や付着性を得ることができる。例えば、本発明の改質六方晶窒化ホウ素粉末では、このアバランシェエネルギーが、40mJ/kg以下、好ましくは35mJ/kg以下、より好ましくは30mJ/kg以下の範囲にある。また、このアバランシェエネルギーの好ましい範囲に下限は無いが、通常10mJ/kg以上である。
【0041】
上記改質六方晶窒化ホウ素粉末において、その他の特性は特に制限されないが、従来から化粧品用途において要求される特性を有していることが望ましい。
【0042】
例えば、この改質六方晶窒化ホウ素粉末は、前記負帯電性六方晶窒化ホウ素粉末の特性に従うが、一次粒子の平均長径が2~20μm、特に3~12μm、平均厚みが0.2~2.0μm、特に0.3~1.2μm、平均アスペクト比(平均長径/平均厚み)が5~30、特に6~20の範囲にあるのがよい。また、レーザー回折・散乱法により測定されるメディアン径(D1:体積基準の中位径D50)は、4~40μmが好ましい。さらに、粉末をエタノール中に超音波分散させた状態において、レーザー回折・散乱法により測定されるメディアン径(D2)は、2~20μmが好ましい。
【0043】
また、本発明の改質六方晶窒化ホウ素粉末の溶出ホウ素量は、20ppm以下であることが好ましい。この溶出ホウ素量は、医薬部外品原料規格2021に定められた方法で測定されるものである。上記医薬部外品原料規格2021では、安全性、衛生性の観点から溶出ホウ素量は20ppm以下に規定されている。
【0044】
さらに、本発明の改質六方晶窒化ホウ素粉末は、Lab表色系で表して、白色度(L*値)が90.0以上、赤色度(a*値)が-3.0~0、黄色度(b*値)が0~15.0の範囲にあるものが一般的である。
【0045】
本発明の改質六方晶窒化ホウ素粉末は、ダマが殆ど無いため、嵩密度が小さいことも特徴の一つである。嵩密度は平均長径や平均厚みによっても大きく変わる。例えば、平均長径4μm、平均厚み0.6μm程度のものであれば、軽装嵩密度0.11g/cm3以下、タップ嵩密度0.33g/cm3以下であり、平均長径9μm、平均厚み1μm程度のものであれば、軽装嵩密度0.2g/cm3以下、タップ嵩密度0.6g/cm3以下である。
【0046】
また、帯電密度やアバランシェエネルギーの測定に使用される回転ドラム式の粉体流動性測定装置を用いての流動化試験により、本発明の改質六方晶窒化ホウ素粉末が、ダマが少なくフワフワ感がある粉末であることを示すことができる。即ち、試料粉100ccを入れた標準回転ドラムを高速回転させて行われる流動化試験において、ドラム内の粉体層の低い部分の高さを測定すると、本発明の改質六方晶窒化ホウ素粉末は、この粉体層の高さが、ドラムの回転数が20rpmで2.2cm以上、50rpmで2.8cm以上となる。この値が大きいほど、ダマが少なくフワフワ感がある粉末であることを示す。
【0047】
なお、粉末が凝集物をほとんど含まず、フワフワ感を有するものであることを示すパラメータとして、動的流動性試験における基本流動性エネルギーが知られている。この基本流動性エネルギーは、後述する実施例に示されているように、パウダーレオメーター(例えばマルバーン社製FT-4)を用い、試料粉で満たした160mLスプリット容器に回転翼を挿入したとき、回転翼にかかるトルクによって示される。この基本流動性エネルギー(回転翼にかかるトルク)が低い程、ダマが少なくフワフワ感がある粉末であることを示す。本発明の窒化ホウ素粉末は、この上記基本流動性エネルギーが、100mJ以下であり、この値からも、ダマ(凝集物)が少なく、フワフワ感を有する粉末であることが理解される。
【実施例0048】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0049】
以下の実施例および比較例において、各種試験ないし測定は、以下の方法によって行った。
【0050】
(1)平均長径、平均厚み、アスペクト比
窒化ホウ素粉末を、超音波ホモジナイザー処理することにより、凝集粒子を解砕して単分散させた後、乾燥させたものを測定試料に用いた。具体的には、窒化ホウ素粉末2gとイオン交換水25mLを混ぜてスラリーとした後、BRANSON社製超音波ホモジナイザー:SONIFIRE(型式SFX250、チップ:20kHzマイクロチップ1/4インチ)を用いて、振幅40%、処理時間20分で超音波処理をした後、濾別、乾燥させた。
【0051】
次に、エポキシ樹脂(ヘンケル社製、EA E-30CL)9gに窒化ホウ素粉末1gを加え、クラボウ社製マゼルスターで攪拌・脱泡した後、10mm角、厚さ1mmの型枠に流し込み、温度70℃で加熱し硬化させた。冷却後、硬化した樹脂組成物を型枠から抜き出し、その側面1箇所を断面ミリング加工した後、倍率1000倍のSEM画像を複数視野撮影した。
【0052】
続いて、得られたSEM画像を画像解析装置(A像くん:旭化成エンジニアリング株式会社製)により解析し、窒化ホウ素粒子の長径および厚さを測定した。A像くんの解析モードは針状物解析とした。複数粒子の重なり等により、正確な測定が困難な粒子は無視して、一視野のSEM画像に含まれる粒子全てを測定し、これを複数視野について同様に繰り返して測定することにより、粒子1000個分以上の長径と厚さを測定し、各平均値を平均長径および平均厚みとし、アスペクト比は平均長径を平均厚みで除した値(アスペクト比=平均長径/平均厚み)とした。
【0053】
(2)メディアン径(D1:μm)
窒化ホウ素粉末0.5gを25ccのエタノールに入れ、軽く震盪後の窒化ホウ素懸濁液についてレーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置(HORIBA製LA-950V2)を用いて、粒度分布を測定し、求められた体積基準の平均粒径(D50)をメディアン径(D1)とした。
【0054】
(3)メディアン径(D2:μm)
50mLスクリュー管瓶にエタノール20gを分散媒として加え、エタノール中に窒化ホウ素粉末1gを分散させた。次いでBRANSON社製:超音波ホモジナイザー(SONIFIER SFX250)を用いて、チップ(20kHzマイクロチップ1/4インチ)先端をスクリュー管底面から1~5mmに設置し、振幅40%、20分間の超音波処理を行った。そして、超音波処理を行った窒化ホウ素懸濁液を測定サンプルとして、メディアン径(D1)と同様にして粒度分布を測定し、求められた体積基準の平均粒径(D50)をメディアン径(D2)とした。
【0055】
(4)Lab表色系による白色度、赤色度、黄色度
日本電色工業社製ZE6000を用いて、白色度(L*値)、赤色度(a*値)、黄色度(b*値)を測定した。
【0056】
なお、測定は、直径30mm、高さ13mmの石英ガラス製セルに窒化ホウ素粉末を充填して行った。
【0057】
(5)軽装嵩密度、タップ嵩密度
セイシン企業製タップデンサーKYT-5000を用いて、軽装嵩密度(g/cm3)およびタップ嵩密度(g/cm3)を測定した。
【0058】
試料セルは100ml、タップ速度120回/分、タップ高さ5cm、タップ回数500回の条件で測定した。
【0059】
(6)溶出ホウ素量
医薬部外品原料規格2021に準じた方法で溶出ホウ素を抽出し、ICP発光分光分析装置でホウ素量(ppm)を測定した。
【0060】
即ち、窒化ホウ素粉末2.5gをテフロン(登録商標)製ビーカーにとり、エタノール10mLを加えてよくかき混ぜ、更に水40mLを加えてよくかき混ぜた後、テフロン(登録商標)製時計皿をのせ、50℃で1時間加温した。
【0061】
冷却後、ろ過し、残留物を少量の水で洗い、洗液をろ液と混合した。この液を更にメンブランフィルター(0.22μm)でろ過した。ろ液全量をテフロン(登録商標)製ビーカーにとり、硫酸1mLを加え、ホットプレート上で10分間煮沸した。
【0062】
冷却後、この液をポリエチレン製メスフラスコに入れ、テフロン(登録商標)製ビーカーを少量の水で洗い、ポリエチレン製メスフラスコに合わせた後、水を加えて正確に50mLとし、これを試料溶液とし、該試料溶液のホウ素量をICP発光分光分析装置で測定した。
【0063】
(7)電圧密度(V/g)
回転ドラム式の粉体流動性測定装置としてMercury Scientific社製のREVOLUTIONを用いて摩擦帯電試験を行い、電圧密度(V/g)を測定した。
【0064】
具体的には、標準回転ドラムに、窒化ホウ素粉末100ccを入れ、イオナイザーで除電した後、回転ドラムの回転数10rpm、300秒間回転中の帯電量(V)を測定した。
【0065】
回転ドラムの回転開始直後は帯電量(V)が著しく変動して不安定なため、200~300秒の安定時の帯電量(V)の平均を算出し、回転ドラムに入れた窒化ホウ素粉末の重量(g)で除した値を電圧密度(V/g)とした。
【0066】
尚、上記の標準回転ドラムは、内面がアルマイト処理アルミニウムにより形成された円筒形状を有しており、該円筒の両面のそれぞれに、ボロン-シリケートガラス製の窓が取り付けられており、ドラム容量が332ccとなっている。
【0067】
(8)アバランシェエネルギー
帯電密度の測定でも使用された粉体流動性測定装置を用いて流動性試験を行い、アバランシェエネルギー(mJ/kg)を測定した。
【0068】
具体的には、上記の標準回転ドラムに窒化ホウ素粉末100ccを入れ、イオナイザーで除電した後、回転数0.3rpmで回転ドラムを回転させたときに発生したなだれのアバランシェエネルギー(なだれ前後の位置エネルギーの変化)(mJ/kg)を測定し、なだれ150回分の平均値をアバランシェエネルギー(mJ/kg)とした。
【0069】
(9)流動化性試験による粉体層の高さ
上記の粉体流動性測定装置を用いて流動化性試験を行い、粉体層の高さ(cm)を測定した。
【0070】
具体的には、上記の標準回転ドラムに窒化ホウ素粉末100ccを入れ、イオナイザーで除電した後、所定の回転数(20、50rpm)で回転ドラムを回転させたときの粉体層の高さ(粉体層の低いところの高さ)(cm)を測定した。
【0071】
この粉体層の高さ(cm)は、粉体の流動化のし易さを示す指標であり、流動化しやすい粉体ほど大きくなる傾向がある。
【0072】
尚、実施例の結果をまとめた表中、「-」は、前記電圧密度が高く、粉体が帯電してドラム壁面に付着し、正しく測定できなかったことを示す。
【0073】
(10)動的流動性試験による基本流動性エネルギー
マルバーン社製のパウダーレオメーターFT-4を用いて動的流動性試験を行い、基本流動性エネルギー(mJ)を測定した。
【0074】
具体的には、高さ89mmの160mLスプリット容器の上に高さ51mmの円筒を載せた容器に、高さ89mmを超える量の窒化ホウ素粉末を入れ、コンディショニング(回転翼の先端スピード60mm/sec、進入角度5°)を4回行った後、スプリット容器の上に載せた円筒をスライドさせて窒化ホウ素粉末をすり切った。
【0075】
次いで、回転翼の先端スピード100mm/sec、進入角度-5°で容器の底面からの高さ100mmから10mmまで移動しながら回転翼にかかるトルク(mJ)を測定し、該トルクの値を基本流動性エネルギー(mJ)とした。基本流動性エネルギー(mJ)は、粉体の流動性を示す指標であり、流動性が良い粉体ほど小さくなる傾向がある。
【0076】
(11)アンモニア臭の測定
容積100Lの透明密閉容器に窒化ホウ素粉末200gとアンモニア濃度計(SENKO社製、型番:SGT-P-NH3)を入れ、容器内を温度25℃・相対湿度70%RHの空気に置換して密閉し、60分経過後におけるアンモニア濃度(ppm)を測定した。なお、窒化ホウ素粉末は直径25cmの皿に広げた状態で密閉容器に入れ、密閉容器は温度25℃に調整された部屋に配置することで密閉容器内の温度を25℃に保持した状態で試験を行った。
【0077】
(12)ダマ発生状態
試料の六方晶窒化ホウ素粉末について目視検査を行い、下記の判定基準で評価した。
◎:ダマが殆どなくフワフワしている。
〇:若干ダマが観察されるがフワフワしている。
×:多くのダマが観察され、重質感がある。
【0078】
(13)水分率
加熱乾燥式水分計MS-70(エー・アンド・デイ社製)を用いて測定した。詳しくは、六方晶窒化ホウ素粉末5gを天秤に測りとり、200℃に加熱しながら重量変化を測定し、重量変化量が0.001%/min以下となった時点で測定終了とした。加熱前の重量と、測定終了時の重量の差を水分量として、水分率(質量%)を算出した。
【0079】
<実施例1>
ボールミルを用いて下記処方の混合物を調製した。
酸化ホウ素70質量部
カーボンブラック30質量部
炭酸カルシウム10質量部
この混合物を、黒鉛性タンマン炉内に配置し、窒素ガス雰囲気下、15℃/分で1500℃まで昇温し、1500℃で6時間保持して還元窒化処理を行い、続いて15℃/分で1800℃まで昇温し、1800℃で2時間保持して結晶化処理を行い、粗六方晶窒化ホウ素粉末を得た。
【0080】
次いで、得られた粗六方晶窒化ホウ素粉末をポリエチレン製の容器へ投入し、粗六方晶窒化ホウ素の10倍量の塩酸水溶液(10質量%HCl)を加え、回転数300rpmで15時間撹拌した。
【0081】
上記の酸洗浄の後、濾過して得られた粗六方晶窒化ホウ素に対して300倍量となる量の、25℃における比抵抗が1MΩ・cmの純水を用いて洗浄の後、吸引による濾過により濾過後の粉末中含水率が50質量%以下になるまで脱水を行った。
【0082】
純水洗浄の後、得られた粉末を1kPaAの圧力のもと、200℃で15時間、減圧乾燥させた後、目開45μmの振動篩により分級して、負帯電性六方晶窒化ホウ素粉末を得た。この六方晶窒化ホウ素粉末の電圧密度は、-36V/gであり、ダマの評価は×であり、ダマが多いものであった。
【0083】
上記製造方法により得られた負帯電性六方晶窒化ホウ素粉末を窒化ホウ素で表面コーティングされたカーボン製容器(内径500mm、内高50mm)に密度0.25g/cm3、高さ45mmで充填し、これを10段重ねて内容積1,000Lの黒鉛製タンマン炉に配し、予備乾燥として、炉内の圧力を30Pa以下の真空にした状態で、200℃の温度に昇温し、3時間真空加熱を行った。室温まで冷却後、窒化ホウ素粉末を一部抜取り、真空加熱後の負帯電性六方晶窒化ホウ素粉末の水分率を測定した結果、水分率は検出下限(10ppm)以下であった。
【0084】
次いで、上記水分量を調整された負帯電性六方晶窒化ホウ素粉末を、露点が-90℃、酸素濃度0.1ppm未満、二酸化炭素濃度0.03ppm未満の窒素ガスで炉内を置換した後、前記窒素ガスを流量40L(25℃における体積)/分で供給しながら、15℃/分で1500℃の処理温度まで昇温し、1500℃で4時間保持することにより処理を行い、改質六方晶窒化ホウ素粉末を得た。
【0085】
尚、前記カーボン製容器は、粉体層の上部を窒素が流通するように、各段との間に窒素の流路を設けたものを使用した。
【0086】
得られた改質六方晶窒化ホウ素粉末について、前記(1)~(12)の測定を行い、測定結果を表1に併せて示す。
【0087】
<実施例2~5、比較例1~3>
実施例1において、負帯電性六方晶窒化ホウ素粉末の予備乾燥条件、加熱処理における不活性ガスの露点、処理温度、温度保持時間等を表1に示すように変更した以外は同様にして、改質六方晶窒化ホウ素粉末を得た。得られた改質六方晶窒化ホウ素粉末についての測定結果を表1に併せて示した。
【0088】
【0089】
[化粧品試験]
前記実施例及び比較例により得られた改質六方晶窒化ホウ素粉末を用い、以下の配合割合でパウダーファンデーションを作製した。
【0090】
改質六方晶窒化ホウ素粉末 20.0質量%
マイカ 15.0質量%
合成金雲母 12.0質量%
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 8.0質量%
(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)
クロスポリマー 8.0質量%
(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/
シルセスキオキサン)クロスポリマー 8.0質量%
ナイロン12 3.0質量%
シリカ 3.0質量%
タルク 3.0質量%
アクリレーツクロスポリマー 3.0質量%
パーフルオロオクチルトリエトキシシラン 3.0質量%
酸化亜鉛 3.0質量%
ポリメチルメタクリレートポリマー 3.0質量%
シリコーン処理ベンガラ(赤酸化鉄) 1.0質量%
シリコーン処理黄酸化鉄 0.6質量%
シリコーン処理黒酸化鉄 0.4質量%
シリコーン処理酸化チタン 6.0質量%
得られたパウダーファンデーションを化粧スポンジに取り、肌に塗布したところ、表1に示す目視検査において、◎のものは1度の塗布で均一な仕上がりとなったが、○のもの、×のものについては、1度の塗布では塗りムラができてしまい、2~3度塗らないと均一な仕上がりにならなかった。
【0091】
また、実施例の改質六方晶窒化ホウ素粉末を使用した場合、パウダーファンデーションの調製段階、使用時共にアンモニア臭は殆ど無く、特に、アンモニア濃度が30ppm以下のものは、かかるアルモニア臭は一切しなかった。これに対して、アンモニア濃度が60ppmを超える比較例の六方晶窒化ホウ素粉末を使用した場合、パウダーファンデーションの調製段階、使用時において、明確に感じられる程度のアンモニア臭があった。