(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041185
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】圧力センサおよび圧力センサの製造方法
(51)【国際特許分類】
G01L 1/16 20060101AFI20240319BHJP
G06F 3/02 20060101ALI20240319BHJP
G01L 5/00 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
G01L1/16 B
G06F3/02 E
G01L5/00 101Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145849
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】三ツ井 哲朗
【テーマコード(参考)】
2F051
5B020
【Fターム(参考)】
2F051AA10
2F051AA17
2F051AB08
5B020DD01
(57)【要約】
【課題】曲面形状に適用して、面分布圧を測定できる圧力センサ、および圧力センサの製造方法を提供する。
【解決手段】複数の第1電極を含む第1電極層と、圧電体層と、第2電極を含む第2電極層とをこの順に備える圧力センサにおいて、前記圧力センサの少なくとも一部が曲面で構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1電極を含む第1電極層と、圧電体層と、第2電極を含む第2電極層とをこの順に備える圧力センサにおいて、
前記圧力センサの少なくとも一部が曲面で構成されている、
圧力センサ。
【請求項2】
前記第2電極層は、複数の第2電極を含む、請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項3】
前記複数の第1電極は、複数の電極列を含み、
前記複数の第2電極は、複数の電極列を含み、
前記複数の第1電極と前記複数の第2電極とが互いに交差する、請求項1または2に記載の圧力センサ。
【請求項4】
前記第1電極層および前記第2電極層は、それぞれメッシュ構造を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の圧力センサ。
【請求項5】
前記第1電極層および前記第2電極層は、少なくとも5%の延伸性を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の圧力センサ。
【請求項6】
前記第1電極層および前記第2電極層は、それぞれ銀または銅を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の圧力センサ。
【請求項7】
前記圧電体層は、圧電体粒子が分散された構造を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の圧力センサ。
【請求項8】
さらに、出力信号を処理するための演算部と、を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の圧力センサ。
【請求項9】
請求項1~3のいずれか一項に記載の圧力センサを含む触感検出装置。
【請求項10】
複数の第1電極を含む第1電極層と、圧電体層と、第2電極を含む第2電極層とをこの順に積層して積層体を形成する工程と、
前記積層体の少なくとも一部を曲面に成形する工程と、を含む、圧力センサの製造方法。
【請求項11】
第1基板上に、第1被メッキ層を形成する工程と、
前記第1基板の少なくとも一部を曲面に成形する工程と、
前記第1被メッキ層をメッキして複数の第1電極を有する第1電極層を形成する工程と、
第2基板上に、第2被メッキ層を形成する工程と、
前記第2基板の少なくとも一部を曲面に成形する工程と、
前記第2被メッキ層をメッキして第2電極を有する第2電極層を形成する工程と、
前記第1電極層と前記第2電極層とを対向させ、その間に圧電体層を配置する工程と、を含む、圧力センサの製造方法。
【請求項12】
第1基板上に、第1被メッキ層を形成する工程と、
第2基板上に、第2被メッキ層を形成する工程と、
前記第1被メッキ層と、前記第1基板と、圧電体層と、前記第2基板と、前記第2被メッキ層とをこの順で積層し、積層体を作成する工程と、
前記積層体の少なくとも一部を曲面に成形する工程と、
前記第1メッキ層と前記第2被メッキ層をメッキして複数の第1電極を有する第1電極層と第2電極を有する第2電極層を形成する工程と、を含む、圧力センサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触覚センサ等に利用される圧力センサに関する。
【背景技術】
【0002】
通信の発達に伴い、遠隔操作の需要が増加している。例えば、医療、輸送用途などで、ロボットの遠隔操作が用いられる事例が見られる。その際、遠隔操作先でものを触った感触を、他方に伝えるニーズがある。
【0003】
力触感には、低速応答成分(圧力の強さ)、高速応答成分(物体の凹凸、ズリ)があり、指先のように、立体構造で分解能を有した面部分の検知が望まれていた。
【0004】
しかしながら、特に、高速応答成分の、3次元面での力触感分布を計測する手段がなかった。圧力センサとしては、抵抗式、静電容量式、ひずみ式など様々なタイプがあるが、高速応答性の観点では圧電式が優れている。
【0005】
例えば、特許文献1には、圧電体層を走査型の電極で挟んだ構成による圧電型面圧入力パネルが開示されている。圧電効果を利用して微細な面圧分布を検出する態様が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、パネル形状のため、ロボットの指先のような曲面形状への実装が難しい。
【0008】
本願は、曲面形状に適用して、ロボットのアーム先端など3次元構造での触覚圧に対応する、面分布圧を測定できる圧力センサ、および圧力センサの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決するために、本発明は、以下の構成を有する。
[1] 複数の第1電極を含む第1電極層と、圧電体層と、第2電極を含む第2電極層とをこの順に備える圧力センサにおいて、
上記圧力センサの少なくとも一部が曲面で構成されている、圧力センサ。
[2] 上記第2電極層は、複数の第2電極を含む、[1]に記載の圧力センサ。
[3] 上記複数の第1電極は、複数の電極列を含み、
上記複数の第2電極は、複数の電極列を含み、
上記複数の第1電極と前記複数の第2電極とが互いに交差する、[1]または[2]に記載の圧力センサ。
[4] 上記第1電極層および前記第2電極層は、それぞれメッシュ構造を有する、[1]~[3]のいずれか一項に記載の圧力センサ。
[5] 上記第1電極層および前記第2電極層は、少なくとも5%の延伸性を有する、[1]~[4]のいずれか一項に記載の圧力センサ。
[6] 上記第1電極層および前記第2電極層は、それぞれ銀または銅を含む、[1]~[5]のいずれか一項に記載の圧力センサ。
[7] 上記圧電体層は、圧電体粒子が分散された構造を有する、[1]~[6]のいずれか一項に記載の圧力センサ。
[8] さらに、出力信号を処理するための演算部と、を含む、[1]~[7]のいずれか一項に記載の圧力センサ。
[9] [1]~[8]に記載の圧力センサを含む触感検出装置。
[10] 複数の第1電極を含む第1電極層と、圧電体層と、第2電極を含む第2電極層とをこの順に積層して積層体を形成する工程と、
前記積層体の少なくとも一部を曲面に成形する工程と、を含む、圧力センサの製造方法。
[11] 第1基板上に、第1被メッキ層を形成する工程と、
上記第1基板の少なくとも一部を曲面に成形する工程と、
上記第1被メッキ層をメッキして複数の第1電極を有する第1電極層を形成する工程と、
第2基板上に、第2被メッキ層を形成する工程と、
上記第2基板の少なくとも一部を曲面に成形する工程と、
上記第2被メッキ層をメッキして第2電極を有する第2電極層を形成する工程と、
上記第1電極層と上記第2電極層とを対向させ、その間に圧電体層を配置する工程と、を含む、圧力センサの製造方法。
[12] 第1基板上に、第1被メッキ層を形成する工程と、
第2基板上に、第2被メッキ層を形成する工程と、
上記第1被メッキ層と、上記第1基板と、圧電体層と、上記第2基板と、上記第2被メッキ層とをこの順で積層し、積層体を作成する工程と、
上記積層体の少なくとも一部を曲面に成形する工程と、
上記第1メッキ層と前記第2被メッキ層をメッキして複数の第1電極を有する第1電極層と第2電極を有する第2電極層を形成する工程と、を含む、圧力センサの製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡便に曲面形状に適用して、面圧分布を計測できる、新規な圧力センサおよび圧力センサの製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の圧力センサの一例を概念的に示す図である。
【
図2】
図1に示す圧力センサの読み出し回路を含めた構成を概念的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の圧力センサについて、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に説明する。
【0013】
本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、「同一」は、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含むものとする。
本明細書において、直交とは厳密な意味での直交を意味するのではなく、直交から±5°の範囲を意味する。
【0014】
なお、以下に示す図は、いずれも、本発明を説明するための概念的な図である。従って、各部材の形状、厚さ、大きさ、および、位置関係等は、必ずしも、実際のものとは一致しない。
【0015】
【0016】
図1に示す圧力センサ10は、圧電体層11と、複数の第1電極21aを有する第1電極層21と、第2電極22aを有する第2電極層22とをこの順で備える。圧力センサ10は少なくとも一部が曲面で構成されている。
圧力センサ10は少なくとも一部が曲面で構成されていれば、特に制限はされないが、一部に3次元形状を有している方が本特許の特徴が好ましく発揮され、全体に3次元形状を有している方が本特許の特徴がさらに好ましく発揮される。
【0017】
圧力センサ10は、圧電体層11と、圧電体層11の一方の面に敷設した第1電極層21と、他方の面に敷設した第2電極層22からなることが好ましい。第1電極層21および第2電極層22は、それぞれ複数の第1電極21a、複数の第2電極22aが配列された構成になっていることが好ましい。
複数の第1電極21aは、複数の第1電極列を含み、複数の第2電極22aは、複数の第2電極列を含み、前記複数の第1電極21aと前記複数の第2電極22aとが互いに交差することが好ましい。
複数の第1電極列は第1方向に延在し、第1方向に直交する第2方向に配列してもよく、複数の第1電極列は第3方向に延在し、第3方向に直交する第4方向に配列してもよい。
複数の第1電極21a、複数の第2電極22aは平面視で交差していることが好ましく、第1電極21a、第2電極22aは平面視で直交していることがさらに好ましい。
圧力センサ10の少なくとも一部が曲面で構成されることで、曲面形状に適用して、面圧分布を計測できる。
【0018】
図2に、圧力センサ10の、外部読み出し回路との接続例を示す。電極層21の第1電極21aは、X方向選択スイッチ30に読み出し配線31を介して接続され、第2電極層22の第2電極22aは、Y方向選択スイッチ40に読み出し配線41を介して接続される。X方向選択スイッチ30およびY方向選択スイッチ40は差動アンプ50に接続され、その差圧を計測する。X方向選択スイッチ30および、Y方向選択スイッチ40を順次走査し、XYの交点での圧電変化を計測することで、圧力センサ10に加わる面内の圧力分布(圧力変化)を計測することができる。その動作は、制御ICにより制御されることが行われ、X方向選択スイッチ30およびY方向選択スイッチ40、差動アンプ50および、制御ICは1つもしくは複数の半導体チップにより含まれていても良い。
【0019】
図1の圧力センサ10は、例えば、基板上に第1電極21aを形成して第1電極層21とし、第1電極層21の第1電極21a上に、圧電体層11を形成し、圧電体層11の第1電極層21と反対側に第2電極22aを有した第2電極層22を貼合、成膜等で形成することも好ましい。その後、全体に熱を掛けながら成形することで立体構造とすることにより形成されることも好ましい。この時、延伸性を有する電極構成を用いる事により、3次元構造を実現しやすくなり、好ましい。第1電極21aおよび第2電極22aの電極は、それぞれ、延伸性を有する事が、本願規定の構造を実現するためにより好ましい。延伸性とは、下記式1で定める延伸倍率(%)の事をさす。
延伸倍率の定義:引張試験において、長さAの電極層(基材+電極)を延伸した場合、電極の電気抵抗が延伸前の10倍になる延伸後の長さをBとすると、
延伸倍率X(%)= (B-A)/A ×100 (%) (式1)
延伸性は、5%以上、好ましくは10%以上、さらに好ましくは20%以上、特に好ましくは40%以上延伸できることを示す。
【0020】
延伸性を示す構成として、第1電極21aおよび第2電極22aは銀もしくは、銅を含む電極が好ましい。例えば、延伸性を有し、銀を含んだ電極としては特開2017-117183に記載された銀塩方式を用いた方法を好ましく用いる事ができる。また、銅を含んだ電極としては、例えばWO2019187644A1に記載された銅メッキ法による電極を好ましく用いる事ができる。
【0021】
また、圧力センサ10の形成方法として、基板に挟まれた圧電体層を立体成形後、その表面に電極パターンを形成する方法も好ましく用いることができる。そのような電極形成方法としては、例えばWO2019187644A1に記載された銅メッキ法を好ましく用いる事ができる。
【0022】
延伸性を示す構成として、
図3のように、電極がメッシュ構造60を有することも好ましい。メッシュ構造となることで、メッシュ構造を有するメッシュ電極を構成する電線部で延伸方向に水平でない部分は、メッシュ電極全体としての延伸量に対し、低い延伸量に抑制される。メッシュの間隙を、メッシュを形成している材料とは別の導電性材料(例えば、延伸性に優れるが導電性が相対的に低い材料)で補完しても良い。
【0023】
第1電極21a、第2電極22aの間隔は、特に制限はないが、小さいほど高い分解能を有する。好ましくは5mm以下、より好ましくは2mm以下、さらに好ましくは1mm以下である。また、大きいほど分解能(分離脳)は高くなるため、下限として好ましくは0.001mm以上、より好ましくは0.1mm以上、さらに好ましくは0.5mm以上である。
【0024】
第1電極21a、第2電極22aの幅は、特に制限はないが、該幅が細く且つ、電極間距離が狭いほど、分解能が高くなる。一方、該幅が大きいほど、感圧面が大きく感度を高くできる。該幅は、好ましくは、0.1mm以上10mm以下であり、より好ましくは0.2mm以上5mm以下であり、さらに好ましくは、0.5mm以上2mm以下である。
【0025】
第1電極21aおよび第2電極22aのそれぞれの電極の厚みは、特に制限はないが、厚みが厚いほど導電性が高く感度が良くなる。一方、厚みが薄いほど、不均一化による応力集中が起きやすい、曲げに対し延伸性に優れる。第1電極21aおよび第2電極22aのそれぞれの電極の厚みは、0.01μm以上100μm以下が好ましく、0.05μm以上10μm以下がより好ましく、0.1μ以上2μmがさらに好ましい。
【0026】
第1電極21aおよび第2電極22aはそれぞれ基板上に形成されて、第1電極層21および第2電極層22をそれぞれ構成してもよい。第1電極21aおよび第2電極22aを圧電体層11に隣り合わせるように第1電極層21および第2電極層22を配置しても良い。基板側を圧電体層側に配置しても良いが、電極層側を圧電体層側に配置することが動作、耐久性の面でより好ましい。基板は、PET(ポリエチレンテレフタラート)、PC(ポリカーボネート)、アクリル樹脂、COP(シクロオレフィンポリマー)など通常汎用的に用いられるプラスチック基板を用いる事ができ、延伸性の観点で、PC、COPが好ましい。基板の厚みに制限はないが、厚みが薄いほど延伸性が高くなるため好ましい。基板の厚みは100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましい。基板の厚みは1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。
【0027】
用いられる圧電体層は圧電効果を持つ層であれば特に制限はないが、圧電ポリマーまたは圧電体粒子が分散された膜などが、延伸性を示し、好ましく本願規定の構造を実現することができる。特に、特開2017-17703に記載の圧電体層を用いる事ができる。
【0028】
圧電体層の厚みに特に制限はないが、高い感度のためには薄い方が好ましい。1mm以下が好ましく、0.5mm以下がより好ましく、0.2mm以下がさらに好ましい。圧電体層の厚みは0.1μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましい。
【0029】
接触による圧力を高い感度で検知し、繰り返し使用に対する耐久性を高めるため、圧電体層と第1電極層21、および圧電体層11と第2電極層22は接しており、空気層などを介さず、連続的に形成されていることが好ましい。圧電体層に第1電極層21および第2電極層22を直接密着させる形式も好ましく、圧電体層と第1電極層21の間および圧電体層11と第2電極層22の間は、粘着層を介して接続する硬いでも良い。粘着層は薄いほど良く、200μm以下、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは25μm以下が好ましい。粘着力確保のため1μm以上が好ましい。粘着層に特に制限はないが、アクリル樹脂、シリコーン樹脂などが好ましく用いる事ができる。
【0030】
圧力センサ10には、第1電極層21および第2電極層22の電極表面上に保護層があっても良い。保護層は、測定する圧力によって変形できる膜弾性率であれば特に制限はないが、例えば、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂などが好ましく用いられる。保護層の厚みに特に制限はないが、圧力に応答する柔軟性の観点では薄い方が好ましく、第1電極21a、第2電極22aおよび圧力センサ10を保護する観点では厚い方が好ましい。例えば、0.001μm以上5000μm以下、より好ましくは0.01μm以上100μm以下、さらに好ましくは、0.1μm以上50μm以下である。
【0031】
圧電体層、第1電極層21、第2電極層22およびそれら基板の柔軟性については特に制限はないが、測定したい圧力に対し変形もしくは収縮できる膜強度であることが必要である。
【0032】
読み出し配線31、41については特に制限はないが、省スペース化の観点で配線幅は細く、且つ配線間の間隔は狭い方が好ましい。一方、取り出し配線の抵抗値は低い方が好ましく、その点では配線幅は太い方が良い。配線幅は0.001mm以上1mm以下が好ましく、0.01mm以上0.1mm以下がさらに好ましい。配線間の間隔は、0.001mm以上1mm以下が好ましく、0.01mm以上0.1mm以下がさらに好ましい。取り出し配線の材質に特に制限はないが、3次元構造化する場合には延伸性があることが好ましく、銀あるいは銅を含んでなる事が好ましい。その形成は、第1電極層21および第2電極層22の形成の前もしくは後でも良いが、同時に同材質で形成される方が好ましい。多画素圧力センサの問題は、取り出し配線が多くなることによるスペース増であるが、本発明のマトリックス型電極配置で少ないスペースで好ましく実現することができる。圧力センサ10には、さらに、出力信号を処理するための演算部と、を含むことが好ましい。出力信号を処理するための演算部とは例えば半導体回路チップなどで構成させる。
【0033】
センサの大きさに特に制限はなく、用途に応じて決定される。ロボットのアーム先端などでの用途を想定し、本発明の圧力センサ10を触覚センサとして用いる場合は、センサの面積は、1cm2~100cm2が好ましい。
【0034】
本発明の圧力センサ10は、触感検出装置に用いられるが、触感検出装置に用いることに制限はされず、面分布圧を測定する各種の圧力測定に利用可能である。
一例として、パネル・ボタンなどでのタッチセンシング、血圧センシング等が例示される。中でも、本発明の圧力センサ10は、上述した触覚センサには、好適に利用される。
【0035】
本発明の圧力センサ10の製造方法の第1の態様は、複数の第1電極21aを含む第1電極層21と、圧電体層11と、第2電極22aを含む第2電極層22とをこの順に積層して積層体を形成する工程と、積層体の少なくとも一部を曲面に成形する工程と、を含む。
本発明の圧力センサ10の製造方法の第2の態様は、第1基板上に、第1被メッキ層を形成する工程と、第1基板の少なくとも一部を曲面に成形する工程と、第1被メッキ層をメッキして第1電極層21を形成する工程と、第2基板上に、第2被メッキ層を形成する工程と、第2基板の少なくとも一部を曲面に成形する工程と、第2被メッキ層をメッキして第2電極層22を形成する工程と、第1電極層21と第2電極層22とを対向させ、その間に圧電体層11を配置する工程と、を含む。
本発明の圧力センサ10の製造方法の第3の態様は、第1基板上に、第1被メッキ層を形成する工程と、第2基板上に、第2被メッキ層を形成する工程と、前記第1被メッキ層と、前記第1基板と、圧電体層と、前記第2基板と、前記第2被メッキ層とをこの順で積層し、積層体を作成する工程と、積層体の少なくとも一部を曲面に成形する工程と、第1メッキ層と第2被メッキ層をメッキして第1電極層21と第2電極層22を形成する工程とを含む。
上述の本発明の圧力センサ10の製造方法において、第1被メッキ層および第2被メッキ層としては例えばWO2019187644A1に記載の材料が好ましく用いることができる。
上述の本発明の圧力センサ10の製造方法における第1電極層21、第2電極層22、圧電体層11、および基板は上述した本発明の圧力センサ10で記載したとものと同様であり、好ましい態様も同様である。
【0036】
以上、本発明の圧力センサおよび圧力センサの製造方法について詳細に説明したが、本発明は上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0037】
力触感の測定等の各種の面圧分布測定に、好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0038】
10 圧力センサ
11 圧電体層
21 第1電極層
22 第2電極層
21a 第1電極
22a 第2電極
30 X方向選択スイッチ
40 X方向選択スイッチ
31、41 読み出し配線
50 差動アンプ
60 メッシュ電極