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特開2024-41292液体吐出ヘッドおよび液体を吐出する装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041292
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッドおよび液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20240319BHJP
   B41J 2/18 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
B41J2/14 603
B41J2/18
B41J2/14 605
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146014
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】笠原 亮
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056FA04
2C056FA10
2C056HA05
2C056JA01
2C056JB04
2C056KB16
2C057AF21
2C057AG29
2C057AG47
2C057AG68
2C057AG72
2C057AN01
2C057BA04
2C057BA14
(57)【要約】
【課題】全ノズル吐出時にフレーム振動の起因による各ノズルのメニスカス振動の差異が発生しない、安定した液体吐出特性が得られる液体吐出ヘッドを提供すること。
【解決手段】液体吐出ヘッド100は、フレーム10に形成された共通液室1bと、フレーム10に形成された共通循環液室1dと、共通液室1bに連通する圧力発生室2bと、圧力発生室2bと共通循環液室1dとに連通する循環流路2eと、を備え、共通液室1bと共通循環液室1dとはフレーム10の圧力発生室側に並んで配置され、共通液室1bと共通循環液室1dとの少なくとも一方は、フレーム10が形成する壁面に、中央部が厚く、端部方向に連続的に薄くなる形状を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームに形成された共通液室と、
前記フレームに形成された共通循環液室と、
前記共通液室に連通する圧力発生室と、
前記圧力発生室と前記共通循環液室とに連通する循環流路と、を備える液体吐出ヘッドであって、
前記共通液室と前記共通循環液室とは前記フレームの圧力発生室側に並んで配置され、
前記共通液室と前記共通循環液室との少なくとも一方は、前記フレームが形成する壁面に、中央部が厚く、端部方向に連続的に薄くなる形状を有することを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
フレームに形成された共通液室と、
前記共通液室から連通する圧力発生室と、を備える液体吐出ヘッドであって、
前記共通液室は、前記フレームが形成する壁面に、中央部が厚く、端部方向に連続的に薄くなる形状を有することを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記形状は、前記中央部が厚く、前記端部方向に連続的に薄くなる段差を有することを特徴とする
請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記フレームは、複数のプレート部材を重ねて接合されたものであり、
前記形状は、前記中央部が厚く、前記端部方向に連続的に薄くなる段差を有することを特徴とする
請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記形状は、液体を吐出する方向に沿って変化することを特徴とする
請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記形状は、液体を吐出する方向およびノズル配列方向の両方に直交する方向において対向する前記壁面に形成されていることを特徴とする
請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
請求項1または2に記載の液体吐出ヘッドを搭載したことを特徴とする液体を吐出する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出ヘッドおよび液体を吐出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を吐出する装置の液体吐出ヘッドには、ノズル板、液室プレート、振動板、積層圧電素子を接着して形成し、積層圧電素子で液室の圧力を変化させ、ノズルから液体を吐出する技術が考えられ既に知られている。
今までの液体吐出ヘッドでは、全ノズル吐出時にフレーム振動の起因により各ノズルのメニスカス振動の差異が発生し、安定した液体吐出特性が得られない問題があった。
例えば、特許文献1には、液室内の圧力変動を低減する目的で、共通液室をフレーム部材よりも剛性の低い圧力吸収体にする構成が開示されている。
しかしながら、フレーム自体の振動による圧力変動の低減という点で改善の余地がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、全ノズル吐出時にフレーム振動の起因による各ノズルのメニスカス振動の差異が発生しない、安定した液体吐出特性が得られる液体吐出ヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するために、本発明は、
フレームに形成された共通液室と、
前記フレームに形成された共通循環液室と、
前記共通液室に連通する圧力発生室と、
前記圧力発生室と前記共通循環液室とに連通する循環流路と、を備える液体吐出ヘッドであって、
前記共通液室と前記共通循環液室とは前記フレームの圧力発生室側に並んで配置され、
前記共通液室と前記共通循環液室との少なくとも一方は、前記フレームが形成する壁面に、中央部が厚く、端部方向に連続的に薄くなる形状を有するものとする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、全ノズル吐出時にフレーム振動の起因による各ノズルのメニスカス振動の差異が発生しない、安定した液体吐出特性が得られる液体吐出ヘッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の実施形態1に係る液体吐出ヘッドの構成例を説明する図である。
図2図1のA-A線に沿った断面を説明する図である。
図3】本発明の実施形態1に係る液体吐出ヘッドの外観を説明する図である。
図4】本発明の実施形態1に係る液体吐出ヘッドの構成の他の例を説明する図である。
図5】本発明の実施形態2に係る液体吐出ヘッドの構成例を説明する図である。
図6】本発明の実施形態3に係る液体吐出ヘッドの構成例を説明する図である。
図7図6のB-B線に沿った断面を説明する図である。
図8】本発明に係る液体を吐出する装置の一例の要部平面説明図である。
図9】同装置の要部側面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付の図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の実施の形態を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0008】
本発明の液体吐出ヘッドは、共通液室内と共通循環液室内との一方または両方が、フレーム側壁の中央部が厚く、端部方向に連続的に薄くなる形状(または段差形状)を有することを特徴とする。
【0009】
実施の一形態の液体吐出ヘッドは、例えば、フレーム(フレーム10)に形成された共通液室(共通液室1b)と、フレームに形成された共通循環液室(共通循環液室1d)と、共通液室に連通する圧力発生室(圧力発生室2b)と、圧力発生室と共通循環液室とに連通する循環流路(循環流路2e)と、を備える液体吐出ヘッドであって、共通液室と共通循環液室とはフレームの圧力発生室側に並んで配置され、共通液室と共通循環液室との少なくとも一方は、フレームが形成する壁面に、中央部が厚く、端部方向に連続的に薄くなる形状(フレーム側壁1eの形状)を有する。( )内は後述する図1、2の構成を一例として対応付けている。
液体吐出ヘッドの各実施形態について、詳細に解説する。
【0010】
実施形態1.
本実施形態では、循環流路を有する循環型の液体吐出ヘッドについて説明する。
図1は、本発明の実施形態1に係る液体吐出ヘッドの構成例を説明する図である。
図2は、図1のA-A線に沿った断面を説明する図である。
図3は、本発明の実施形態1に係る液体吐出ヘッドの外観を説明する図である。
【0011】
液体吐出ヘッド100は、液体を吐出するノズル3aを形成するノズル板3と、ノズル3aに連通する複数の圧力発生室2bを形成する流路板2と、該圧力発生室2bの一面を封止する振動板6を積層して作製された噴射液流路ユニットと、該噴射液流路ユニットの一側面に接合して噴射液を吐出させる圧力を発生する複数のノズル列を高密度に配置し、各ノズル列に対応して複数配置された液吐出の圧力発生源となる積層圧電素子5と、を有する。また、液体吐出ヘッド100は、上位装置からの電気信号の伝達を行うフレキシブルプリント配線基板(FPC:Flexible Printed Circuit)7と、該FPC7に接続され該積層圧電素子5の駆動を制御する駆動IC(図示せず)と、該噴射液流路ユニットを保持固定するフレーム10と、外部より噴射液を供給する供給口1aと、噴射液を排出する排出口1cと、を有する。
【0012】
液体吐出ヘッド100は、図1から図3に示すように供給口1aから共通液室1bに液体としてのインク(噴射液)が供給され、共通供給流路2d、流体抵抗2aを通り、圧力発生室2bにて加圧されノズル3aから吐出される。また、インクは吐出とは別に循環流路2eを通り共通循環液室1dを経て排出口1cから排出される。
【0013】
また、図1から図3において、圧力発生室2b、ノズル3aおよび循環流路2eに連通する連通口2cと、積層圧電素子5を固定するベース4と、振動板6を構成する凸部6aおよびダイヤフラム部6bと、フレーム10を覆うカバー8とを示している。
【0014】
共通液室1b内と共通循環液室1d内とは、フレーム10が形成する壁面としてのフレーム側壁1eに、フレーム側壁1eの中央部が厚く、端部方向に連続的に薄くなる形状を有する。
このような構成を有するため、フレーム側壁1eの剛性(特に応力が集中する側壁の中央部)を高めてフレーム10の変形による振動を抑えつつ、インク進行方向の流路断面積を減らさない形状にすることで圧力損失を極力防止することができる。結果、この振動がノズル板3に伝わってメニスカスを振動させていた影響を抑制することができ、安定した液体吐出特性を得ることできる。
【0015】
図1、2では、共通液室1b内と共通循環液室1d内とに、中央部を厚くし端部方向に連続的に薄くするフレーム側壁1eの形状(以降「フレーム側壁1eの形状」と称する)を適用した例を説明したが、共通液室1b内と共通循環液室1d内との一方について、フレーム側壁1eを適用してもよい。
【0016】
図4は、本発明の実施形態1に係る液体吐出ヘッドの構成の他の例を説明する図である。
図4(A)に示す液体吐出ヘッド101は、フレーム側壁1eの形状を共通液室内のみに適用した例であり、図4(B)に示す液体吐出ヘッド102は、フレーム側壁1eの形状を共通循環液室内のみに適用した例を示す。
図4に示す構成例においても、上述した効果を奏することができる。
【0017】
実施形態2.
本実施形態では、循環流路を有さない非循環型の液体吐出ヘッドについて説明する。
図5は、本発明の実施形態2に係る液体吐出ヘッドの構成例を説明する図である。
フレーム20以外の構成については実施形態1と同様であるため説明を省略する。
液体吐出ヘッド200は、図5に示すように、供給口1aから共通液室1bにインクが供給され、共通供給流路2d、流体抵抗2aを通り、圧力発生室2bにて加圧されノズル3aから吐出されるのみで、フレーム20にインク循環機構がない以外は実施形態1と同じ特徴を有している。
図5に示す構成例においても、実施形態1と同様の効果を奏することができる。
【0018】
実施形態3.
本実施形態では、中央部を厚くし端部方向に連続的に薄くするフレーム側壁1eの形状が段差を有する例を説明する。
図6は、本発明の実施形態3に係る液体吐出ヘッドの構成例を説明する図である。
図7は、図6のB-B線に沿った断面を説明する図である。
フレーム30以外の構成については実施形態1と同様であるため説明を省略する。
【0019】
液体吐出ヘッド300は、図6、7に示すように、共通液室1b内と共通循環液室1d内とに、フレーム側壁1eの中央部が厚く、端部方向に連続的に薄くなる段差形状を有することを特徴とする。フレーム30は、例えば、複数のプレート部材を重ねて接合されたものとする。
図6、7に示す構成例においても、実施形態1と同様の効果を奏することができる。
【0020】
その他の実施形態.
上述した各実施形態において、フレーム側壁1eの形状は、例えば、液体を吐出する方向(図1、4-6の上下方向)に沿って変化するとよい。
このようにすると、フレーム側壁1eの剛性を高めてフレームの変形による振動を抑えつつ、インク進行方向の流路断面積を減らさない形状にすることが容易になる。
また、フレーム側壁1eの形状は、例えば、液体を吐出する方向(図1、4-6の上下方向)およびノズル配列方向(図1、4-6の奥行き方向、図2、7の左右方向)の両方に直交する方向(図1、4-6の左右方向)において対向するフレーム側壁1e(フレームが形成する、対向する二つの壁面)に形成されているとよい。
このようにすると、共通液室1b内と共通循環液室1d内との片方または両方において、対向する壁面を、中央部が厚く、端部方向に連続的に薄くなる形状とすることになり、各液室内における振動の影響を抑制することが可能となる。
【0021】
次に、本発明に係る液体を吐出する装置の一例について図8及び図9を参照して説明する。図8は同装置の要部平面説明図、図9は同装置の要部側面説明図である。
【0022】
この装置は、シリアル型装置であり、主走査移動機構493によって、キャリッジ403は主走査方向に往復移動する。主走査移動機構493は、ガイド部材401、主走査モータ405、タイミングベルト408等を含む。ガイド部材401は、左右の側板491A、491Bに架け渡されてキャリッジ403を移動可能に保持している。そして、主走査モータ405によって、駆動プーリ406と従動プーリ407間に架け渡したタイミングベルト408を介して、キャリッジ403は主走査方向に往復移動される。
【0023】
このキャリッジ403には、本発明に係る液体吐出ヘッド404及びヘッドタンク441を一体にした液体吐出ユニット440を搭載している。液体吐出ユニット440の液体吐出ヘッド404は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の液体を吐出する。また、液体吐出ヘッド404は、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配置し、吐出方向を下方に向けて装着している。
【0024】
液体吐出ヘッド404の外部に貯留されている液体を液体吐出ヘッド404に供給するための供給機構494により、ヘッドタンク441には、液体カートリッジ450に貯留されている液体が供給される。
【0025】
供給機構494は、液体カートリッジ450を装着する充填部であるカートリッジホルダ451、チューブ456、送液ポンプを含む送液ユニット452等で構成される。液体カートリッジ450はカートリッジホルダ451に着脱可能に装着される。ヘッドタンク441には、チューブ456を介して送液ユニット452によって、液体カートリッジ450から液体が送液される。
【0026】
この装置は、用紙410を搬送するための搬送機構495を備えている。搬送機構495は、搬送手段である搬送ベルト412、搬送ベルト412を駆動するための副走査モータ416を含む。
【0027】
搬送ベルト412は用紙410を吸着して液体吐出ヘッド404に対向する位置で搬送する。この搬送ベルト412は、無端状ベルトであり、搬送ローラ413と、テンションローラ414との間に掛け渡されている。吸着は静電吸着、あるいは、エアー吸引などで行うことができる。
【0028】
そして、搬送ベルト412は、副走査モータ416によってタイミングベルト417及びタイミングプーリ418を介して搬送ローラ413が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。
【0029】
さらに、キャリッジ403の主走査方向の一方側には搬送ベルト412の側方に液体吐出ヘッド404の維持回復を行う維持回復機構420が配置されている。
【0030】
維持回復機構420は、例えば液体吐出ヘッド404のノズル面(ノズルが形成された面)をキャッピングするキャップ部材421、ノズル面を払拭するワイパ部材422などで構成されている。
【0031】
主走査移動機構493、供給機構494、維持回復機構420、搬送機構495は、側板491A,491B、背板491Cを含む筐体に取り付けられている。
【0032】
このように構成したこの装置においては、用紙410が搬送ベルト412上に給紙されて吸着され、搬送ベルト412の周回移動によって用紙410が副走査方向に搬送される。
【0033】
そこで、キャリッジ403を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて液体吐出ヘッド404を駆動することにより、停止している用紙410に液体を吐出して画像を形成する。
【0034】
このように、この装置では、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているので、高画質画像を安定して形成することができる。
【0035】
本願において、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0036】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0037】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0038】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0039】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0040】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、壁紙や床材などの建材、衣料用のテキスタイルなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0041】
また、「液体」は、インク、処理液、DNA試料、レジスト、パターン材料、結着剤、造形液、又は、アミノ酸、たんぱく質、カルシウムを含む溶液及び分散液なども含まれる。
【0042】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0043】
また、「液体を吐出する装置」としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液をノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0044】
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
【0045】
また、「液体吐出ヘッド」は、使用する圧力発生手段が限定されるものではない。例えば、上記実施形態で説明したような圧電アクチュエータ(積層型圧電素子を使用するものでもよい。)以外にも、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものでもよい。
【0046】
また、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【0047】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1>
フレームに形成された共通液室と、
前記フレームに形成された共通循環液室と、
前記共通液室に連通する圧力発生室と、
前記圧力発生室と前記共通循環液室とに連通する循環流路と、を備える液体吐出ヘッドであって、
前記共通液室と前記共通循環液室とは前記フレームの圧力発生室側に並んで配置され、
前記共通液室と前記共通循環液室との少なくとも一方は、前記フレームが形成する壁面に、中央部が厚く、端部方向に連続的に薄くなる形状を有することを特徴とする液体吐出ヘッドである。
<2>
フレームに形成された共通液室と、
前記共通液室から連通する圧力発生室と、を備える液体吐出ヘッドであって、
前記共通液室は、前記フレームが形成する壁面に、中央部が厚く、端部方向に連続的に薄くなる形状を有することを特徴とする液体吐出ヘッドである。
<3>
前記形状(前記フレームが形成する壁面に有する、前記中央部が厚く、端部方向に連続的に薄くなる形状)は、前記中央部が厚く、前記端部方向に連続的に薄くなる段差を有することを特徴とする
前記<1>または<2>に記載の液体吐出ヘッドである。
<4>
前記フレームは、複数のプレート部材を重ねて接合されたものであり、
前記形状は、前記中央部が厚く、前記端部方向に連続的に薄くなる段差を有することを特徴とする
前記<1>から<3>のいずれか一つに記載の液体吐出ヘッドである。
<5>
前記形状は、液体を吐出する方向に沿って変化することを特徴とする
前記<1>から<4>のいずれか一つに記載の液体吐出ヘッドである。
<6>
前記形状は、液体を吐出する方向およびノズル配列方向の両方に直交する方向において3対向する前記壁面に形成されていることを特徴とする
前記<1>から<5>のいずれか一つに記載の液体吐出ヘッドである。
<7>
前記<1>から<6>のいずれか一つに記載の液体吐出ヘッドを搭載したことを特徴とする液体を吐出する装置である。
【0048】
なお、本発明は上記に示す実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲において、上記実施形態の各要素を、当業者であれば容易に考えうる内容に変更、追加、変換することが可能である。また、上述した二以上の実施形態を適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0049】
1a 供給口
1b 共通液室
1c 排出口
1d 共通循環液室
1e フレーム側壁
2 個別液室
2a 流体抵抗部
2b 圧力発生室
2c 連通口
2d 供給流路
2e 循環流路
3 ノズル板
3a ノズル
4 ベース
5 積層圧電素子
6 振動板
6a 凸部
6b ダイヤフラム部
7 FPC
8 カバー
10~12、20、30 フレーム
100~102、200、300 液体吐出ヘッドヘッド
【先行技術文献】
【特許文献】
【0050】
【特許文献1】特開2005-125631号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9