(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041739
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】メッシュ完全性検査
(51)【国際特許分類】
H01J 37/09 20060101AFI20240319BHJP
H01J 37/305 20060101ALI20240319BHJP
G03F 1/72 20120101ALI20240319BHJP
【FI】
H01J37/09 Z
H01J37/305 B
G03F1/72
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023148948
(22)【出願日】2023-09-14
(31)【優先権主張番号】10 2022 209 644.4
(32)【優先日】2022-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151987
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 信行
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィド レムリ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ブダッハ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ギュントナー
(72)【発明者】
【氏名】フラン-フェリクス ショッチュ
【テーマコード(参考)】
2H195
5C101
【Fターム(参考)】
2H195BD35
2H195BD36
2H195BD40
5C101AA27
5C101BB08
5C101EE40
5C101EE57
5C101GG20
5C101HH50
5C101LL06
(57)【要約】
【課題】遮蔽要素によるサンプルへの損傷を部分的にしか防止し得ない問題を緩和すること。
【解決手段】本願は、サンプル位置と粒子ビーム源(101)との間の電界を遮蔽するための粒子ビーム装置(100)の遮蔽要素(C)を特性化するための方法に関する。この方法は、遮蔽要素のサンプル位置に対向する側に、遮蔽要素を特性化するための手段(S1、S2、S3)を配置することを含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル位置と粒子ビーム源(101)との間の電界を遮蔽するための粒子ビーム装置(100)の遮蔽要素(C)を特性化するための方法であって、
前記遮蔽要素の前記サンプル位置に対向する側に、前記遮蔽要素を特性化するための手段(S1、S2、S3)を配置することを含む、方法。
【請求項2】
前記特性化手段(S1、S2、S3)によって少なくとも部分的に、前記遮蔽要素(C)の前記サンプル位置に対向する側を特性化することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記特性化することが、前記遮蔽要素(C)のトポロジを取り込むことを含み、前記トポロジが、前記遮蔽要素の前記サンプル位置に対向する側で取り込まれる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記特性化することが、前記トポロジおよび前記取り込みトポロジの目標状態に少なくとも部分的に基づいて、前記トポロジの異常を判定することを含む、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記特性化することが、前記遮蔽要素が前記サンプル位置に延入しているかを判定することをさらに含む、請求項2~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記特性化手段が、前記トポロジを測定するためのセンサ(S1)を備え、前記トポロジの前記取り込みが、前記センサを用いた前記トポロジの測定に少なくとも部分的に基づく、請求項3~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記センサ(S1)が、共焦点センサを含み、前記トポロジの前記測定が、共焦点測定原理に少なくとも部分的に基づく、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記センサ(S1)が、干渉センサを含み、前記トポロジの前記測定が、干渉測定原理に少なくとも部分的に基づく、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記特性化手段(S2、S3)が、前記遮蔽要素から所定の距離に配置され、前記所定の距離が、サンプルと前記遮蔽要素との間の目標距離(d0)に対応する、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記特性化手段の前記遮蔽要素との接触の有無を検出することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記特性化手段が、少なくとも部分的に導電性であり、前記検出が、前記接触がある前記特性化手段および前記遮蔽要素を流れる電流の検出を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記サンプル位置の前記サンプルの表面と平行な横方向(L)に前記特性化手段(S2、S3)を移動させることをさらに含む、請求項9~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記特性化手段(S3)が、前記横方向(L)に移動可能に備え付けられた接触面(602)を含み、
前記トポロジの前記取り込みが、
前記特性化手段を前記横方向に所定の距離だけ第1の位置から第2の位置まで移動させることと、
前記特性化手段の前記横方向の前記移動による前記接触面の距離を確定することと、
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記接触面(602)が前記所定の距離だけシフトした場合、前記接触がないことを検出することと、
前記接触面が前記所定の距離だけシフトしていない場合、前記接触があることを検出することと、
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記距離の前記確定が、
前記特性化手段の前記第1の位置における前記接触面の基準構造体の第1の像を記録することと、
前記特性化手段の前記第2の位置における前記接触面の前記基準構造体の第2の像を記録することと、
前記第1の像における前記基準構造体と前記第2の像における前記基準構造体との間の距離を決定して、前記接触面の前記距離を確定することと、
を含む、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記横方向(L)の前記移動による前記特性化手段上の擦過痕(K)を検出することをさらに含む、請求項11~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
粒子ビーム装置の遮蔽要素(C)を特性化するための特性化手段であり、前記遮蔽要素が、サンプル位置と粒子ビーム源(101)との間の電界を遮蔽するように配置された、特性化手段であって、
前記遮蔽要素のトポロジおよび/または前記遮蔽要素に接触する移動可能な、好ましくはばね式の接触面(402、602)を取り込むためのセンサ(S1)を備え、
前記粒子ビーム装置のサンプルホルダーに備え付けられるように構成された、特性化手段。
【請求項18】
基部(401、601)をさらに備え、
前記接触面(402、602)が、好ましくはばね要素を介して、前記接触面と垂直に前記基部に移動可能に結合された、請求項17に記載の特性化手段。
【請求項19】
前記接触面(602)が、好ましくはばね要素を介して、前記接触面(602)の平面に沿って前記基部(601)に移動可能に結合された、請求項17または18に記載の特性化手段。
【請求項20】
前記接触面(402、602)が、前記基部(401、601)に関して第1の平面(E1)および第2の平面(E2)を有し、
前記第1の平面が、前記第2の平面の下側にあり、
前記第2の平面が、前記遮蔽要素の周囲領域と一致するように寸法規定された、請求項17~19のいずれかに記載の特性化手段。
【請求項21】
サンプルを粒子ビームで照射するための粒子ビーム装置であって、
電界を遮蔽するための遮蔽要素(C)であり、サンプル位置と粒子ビーム源(101)との間に配置された、遮蔽要素(C)と、
請求項17~20のいずれかに記載の前記遮蔽要素を特性化するための特性化手段であり、前記遮蔽要素の前記サンプル位置に対向する側に配置された、特性化手段と、
を備えた、粒子ビーム装置。
【請求項22】
リソグラフィマスクの修復用に設計された、請求項21に記載の粒子ビーム装置。
【請求項23】
コンピュータおよび/または請求項21もしくは22に記載の粒子ビーム装置により実行された場合に、請求項1~16のいずれかに記載の方法を前記コンピュータおよび/または前記粒子ビーム装置に実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項24】
サンプルを粒子ビームで照射するための粒子ビーム装置であって、請求項23に記載のコンピュータプログラムを含む、粒子ビーム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2022年9月14日にドイツ特許商標庁へ出願されたドイツ特許出願DE 10 2022 209 644.4「Mesh Integrity Check」の優先権を主張するものである。この点に関しては、当該出願DE 10 2022 209 644.4を参照するものとし、その内容を本願に援用する。
【0002】
本発明は、粒子ビーム装置の遮蔽要素を特性化するための方法、遮蔽要素を特性化するための手段、粒子ビーム装置、および対応するコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0003】
粒子ビーム源からの粒子ビームがサンプルに向けられる装置が知られている。たとえば、粒子ビームを供給することにより、(たとえば、電子顕微鏡によって)プロセス中のサンプルを観察することができる。ただし、サンプルには、粒子ビーム誘起プロセス(たとえば、粒子ビーム誘起エッチングおよび/または堆積)においても粒子ビームが照射され得る。
【0004】
ここで、サンプルと粒子ビーム源との間に遮蔽要素を配置することが知られている。遮蔽要素は、たとえばサンプルを起点とする電界を空間的に制限するのに使用可能である。このため、遮蔽要素が通例、サンプルからある距離(可能な限り近く)に配置されることにより、電界が入射粒子ビームに及ぼす影響を低く抑えることができる。特に、粒子ビームが荷電粒子(たとえば、電子および/またはイオン)を有する場合は、電界と相互作用し得るため、遮蔽要素を使用可能である。この相互作用は、遮蔽要素によって空間的に制限され得ることから、たとえば粒子ビームの無制御なビーム偏向が最小限に抑えられる。
【0005】
DE102020124307Aには、粒子ビームでサンプルの分析および/または処理を行うための装置が記載されている。この装置は、サンプルに蓄積された電荷により生成される電界を遮蔽するための遮蔽要素を有し、この遮蔽要素は、粒子ビームが通過してサンプルに至る貫通開口を有する。
【0006】
ただし、遮蔽要素は必ずしも、好適な目標状態を有することができるとは限らない。たとえば、装置の組み立ておよび/または保守における通常の運用によって、目標状態からの異状が起こり得る。たとえば、遮蔽要素は、サンプルを損傷させ得るような欠陥および/または変形を有する場合がある。これを回避するため、たとえば粒子ビームによって遮蔽要素を観察することにより異状を推測することは、これまでに既知の手順である。ただし、遮蔽要素のすべての領域に粒子ビームでアクセスできるわけではなく、これは、遮蔽要素を必ずしも正確に分析できるわけではないことを意味する。
【0007】
したがって、これまでの手法では、遮蔽要素によるサンプルへの損傷を部分的にしか防止し得ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【0009】
そこで、本発明の目的は、この問題を緩和することである。
【0010】
この目的は、本発明の種々態様によって、少なくとも部分的に達成される。
【0011】
第1の態様は、サンプル位置と粒子ビーム源との間の電界を遮蔽するための粒子ビーム装置の遮蔽要素を特性化するための方法に関する。この方法は、遮蔽要素のサンプル位置に対向する側に、遮蔽要素を特性化するための手段を配置することを含む。
【0012】
このように、本発明は、遮蔽要素のサンプルに対向する側をアクセス可能にして、遮蔽要素の特性化を可能にし得る。
【0013】
遮蔽要素のサンプルに対向する側は、サンプル側とも称し得る。また、本明細書において、遮蔽要素の粒子ビーム源に対向する側は、粒子ビーム源からの粒子ビームが入射し得ることから、遮蔽要素の入射側とも称し得る。
【0014】
したがって、この方法は、遮蔽要素の有利な特性化を可能にし得る。たとえば、これまでの手法では、(たとえば、粒子ビームによる像記録によって)特性化できるのはせいぜい、遮蔽要素の入射側の表面だけであった。ただし、遮蔽要素の入射側の異状(たとえば、欠陥)が運用中に必ずしも、サンプルに損傷を与えるとは限らない。たとえば、入射側の欠陥(たとえば、入射側に配設された粒子)は、サンプルと遮蔽要素との間ではなく、遮蔽要素と粒子ビーム源との間に配置されていることから、サンプルに対して機械的な影響を及ぼすことができない場合も考えられる。このため、入射側の特性化によって必ずしも、遮蔽要素が運用中にサンプルに損傷を及ぼし得るかの判定に必要なすべての情報を提供できるとは限らない。入射側のみの特性化の場合、サンプル側の特性は、せいぜい再構成によって確定できる程度である。ただし、遮蔽要素は、サンプル側を再構成できないように部分領域を含む場合もあるし、そのように全体が構成されている場合もある。この場合、遮蔽要素の入射側の特性化は、サンプル側の異状に関して「闇雲」に行われることになる。
【0015】
ただし、実際のところ、サンプルへの損傷の原因となるのは、遮蔽要素のサンプル側の表面上の異状と考えられる。これは、サンプルの表面と直接、相互作用し得るためである。第一には、遮蔽要素のサンプル側の表面がサンプルの表面に直接対向しているため、直接的な相互作用が発生する。第二に、粒子ビーム装置の運用中は、遮蔽要素が通例、サンプルの至近に配置される。これにより、たとえばサンプルを起点とする電界が粒子ビームに及ぼす影響が空間的に制限され得る。ただし、至近であることから、遮蔽要素のサンプル側の異状によって、はるかに容易にサンプルが損傷または損害を受ける可能性がある。たとえば、遮蔽要素のサンプル側の異状には、サンプルの表面を擦過し得る欠陥部位を含む場合がある。あるいは、遮蔽要素の欠陥部位がサンプルの表面に不要な粒子を導入してしまう場合もある。
【0016】
本発明は、サンプル側の直接的および/または完全な特性化を可能にし得る。特性化手段がサンプル側に配置されており、遮蔽要素のサンプル側の表面へのアクセスが妨げられないためである。したがって、遮蔽要素のサンプル側に関する信頼性の高い情報が得られる。
【0017】
たとえば、特性化手段は、粒子ビーム装置において静的に配置され得る。たとえば、特性化手段は、粒子ビーム装置において、(たとえば、当該特性手段を別途シフトさせることなく)遮蔽要素のサンプル側の特性化が可能となるように固定され得る(または、取り付けられている)。
【0018】
たとえば、配置には、特性化手段の粒子ビーム装置への最初の導入を含むことができる。その後、特性化手段は、遮蔽要素のサンプル側の位置となるように、粒子ビーム装置においてさらに配置され得る。
【0019】
配置は、たとえば特性化手段が載置および/または固定される配置手段(たとえば、ポジショナ)によって実行され得る。たとえば、配置手段は、粒子ビーム装置内で空間的に変位可能なサンプルホルダーおよび/またはステージを備えることができる。また、たとえば特性化手段をサンプルホルダーにしっかりと組み込むことも可能である。
【0020】
一例において、この方法は、特性化手段によって少なくとも部分的に、遮蔽要素のサンプル位置に対向する側を特性化することを含む。これにより、遮蔽要素のサンプル側の表面は、サンプル側の特性化手段の配置によって好適に特性化され得る。配置および/または特性化は、たとえば粒子ビーム装置の技術的評価、保全措置、技術的サービス等の一部として起こり得る。
【0021】
一例として、特性化することは、遮蔽要素のトポロジを取り込むことを含み、トポロジは、遮蔽要素のサンプル位置に対向する側で取り込まれる。たとえば、トポロジには、遮蔽要素のサンプル側の高さプロファイルを含むことができる。高さプロファイルには、たとえば遮蔽要素のサンプル側の第1の(空間)座標に関する第1の高さ値および第2の(空間)座標に関する第2の高さ値を少なくとも含むことができる。これに応じて、高さプロファイルには、少なくとも3つの高さ値、少なくとも4つの高さ値、少なくとも5つの高さ値、および/または少なくとも10個の高さ値をさらに含むことができる。他の例においては、高さプロファイルの代わりに、単一の高さ値だけをトポロジとして記録することも可能である(たとえば、最大値または最小値)。
【0022】
また、トポロジの取り込みには、たとえば取り込まれた高さプロファイルの内挿および/または外挿を含むことができる。
【0023】
たとえば、トポロジの取り込みには、トポロジの基準平面として機能し得る基準平面を取り込むことを含むことも可能である。
【0024】
一例において、特性化することは、トポロジおよび取り込みトポロジの目標状態に少なくとも部分的に基づいて、トポロジの異常を判定することを含む。たとえば、取り込みトポロジは、トポロジの目標状態と比較され得る。たとえば、目標状態には、取り込みトポロジからの異状が決定された特徴的なトポロジ(たとえば、特徴的な高さプロファイル)を含み得る。たとえば、取り込み高さプロファイルのコースを高さプロファイルの目標状態のコースと比較して、欠陥が異常として目標コースを変化させたかを判定することができる。たとえば、欠陥は、トポロジにおける特徴的ではない(局所的な)高さおよび/または特徴的ではない(局所的な)窪みの原因となって、その旨を示すことができる。さらに、目標状態には、特徴的なトポロジの目標値(たとえば、トポロジの最大および/または最小の目標値、基準平面に対する特徴的なトポロジの高さの目標値等)を含むこともできる。
【0025】
一例において、特性化することは、遮蔽要素がサンプル位置に延入しているかを判定することを含む。サンプル位置には、粒子ビーム装置におけるサンプル(または、その表面)の位置を含むことができ、たとえばサンプルの処理および/または観察時には、このサンプル位置が採用される。ここで、サンプル位置は、サンプル位置のサンプルの表面と遮蔽要素との間の距離に対応することができる。サンプル位置への延入には、遮蔽要素がサンプル位置のサンプルの表面に延入すること、または、サンプル位置のサンプルの表面が及ぶ平面に延入すること(あるいは、サンプルが挿入された場合に延入すること)を含むことができる。遮蔽要素がサンプル位置に延入しているものと判定された場合は、遮蔽要素およびサンプル位置のサンプルの接触が想定される。遮蔽要素がサンプル位置に延入しているかの判定は、取り込みトポロジに少なくとも部分的に基づき得る。たとえば、サンプル位置(または、サンプル位置のサンプルの表面の遮蔽要素からの距離)は、トポロジのコースと比較され得る。
【0026】
したがって、この方法は、取り込みトポロジに少なくとも部分的に基づいて、遮蔽要素がサンプル位置のサンプルに接触しているか(または、接触していたか)の判定に使用され得る。
【0027】
一例において、特性化手段は、トポロジを測定するためのセンサを備え、トポロジの取り込みは、センサを用いたトポロジの測定に少なくとも部分的に基づく。ここで、センサは、粒子ビーム装置に通信結合され得る。また、たとえば装置を介してセンサを設定することも可能であるし、粒子ビーム装置を介してデータ(たとえば、トポロジの測定結果)を受信することも可能である。たとえば、粒子ビーム装置は、(たとえば、評価ユニットによって)測定結果を評価することができる。また、センサは、(たとえば、ケーブル経由および/または無線で)外部装置にも結合され得る。たとえば、この方法の場合は、粒子ビーム装置のチャンバを開放して、遮蔽要素のサンプル側への特性化手段のアクセスを可能にすることも考えられる。そして、センサが粒子ビーム装置内に配置され、そのケーブルが開放チャンバを介して外部装置に接続され得る。外部装置には、たとえば評価ユニット、コンピュータ等を含み得る。
【0028】
一例において、センサは、共焦点センサを含み、トポロジの測定は、共焦点測定原理に少なくとも部分的に基づく。
【0029】
一例において、センサは、干渉センサを含み、トポロジの測定は、干渉測定原理に少なくとも部分的に基づく。
【0030】
センサによって測定を実行するため(たとえば、共焦点測定原理および/または干渉測定原理に従った測定のため)、センサを空間的に変位させることが必要となり得る。したがって、この方法は、特性化手段(たとえば、センサ)をサンプルおよび/またはサンプルホルダーに取り付けることを含むことができる。これにより、特性化手段は、トポロジの測定のため好適に配置され得る。たとえば、共焦点センサが遮蔽要素のサンプル側の表面を(たとえば、規定の測定距離で)1点ずつ測定する共焦点測定原理に従った測定が必要となり得る。表面の1点ずつの走査は、特性化手段の対応する配置によって可能となり、特性化手段は、測定プロセスに対して調整および制御され得る。たとえば、特性化手段の配置は、粒子ビーム装置および/または外部装置がセンサと通信結合されている場合、粒子ビーム装置および/または外部装置によって測定中に制御され得る。さらに、測定のため、特性化手段を(たとえば、オペレータが)手動で配置することも考えられる。
【0031】
一例において、特性化手段は、遮蔽要素から所定の距離に配置可能であり、所定の距離は、サンプルと遮蔽要素との間の目標距離に対応する。この場合、目標距離は、遮蔽要素のサンプル側の表面からサンプルの表面までの距離に対応し得る。そして、目標距離は、特定のサンプル位置のサンプルと遮蔽要素との間の距離に対応し得る。したがって、この場合、特性化手段は、遮蔽要素からのサンプルの目標距離で発生し得る影響を受ける可能性がある。このため、特性化手段によって、たとえば(本明細書に記載のような)遮蔽要素がサンプル位置に延入しているかを直接「テスト」することができる。
【0032】
一例において、この方法は、特性化手段と遮蔽要素との間の接触の有無を検出することをさらに含む。検出することは、たとえばトポロジを取り込むことも意味することが了解され得る。接触がある場合は、遮蔽要素の少なくとも1つのトポロジ段階が特性化手段に接触する。
【0033】
一例において、検出は、接触がある場合に生じる接触信号を検出することを含む。
【0034】
一例において、この方法は、遮蔽要素の方向への特性化手段の接近よって、遮蔽要素から所定の距離に特性化手段を配置することを含む。接近中に接触信号が検出された場合は、たとえば遮蔽要素の損傷を防止するため、遮蔽要素の方向へのさらなる接近を中断することができる。
【0035】
一例において、特性化手段は、(たとえば、ばね要素を介して)垂直方向に移動可能に備え付けられている。遮蔽要素の方向への接近は、(特性化手段に対して)垂直方向にもたらされ得る。接近中に接触が発生した場合は、接近移動と反対の特性化手段の移動が起こり得る。したがって、接触中の遮蔽要素および/または特性化手段への損傷が最小限に抑えられる。
【0036】
一例において、特性化手段は、少なくとも部分的に導電性であり、検出は、接触がある特性化手段および遮蔽要素を流れる電流の検出を含む。ここで、接触信号は、粒子ビーム装置により与えられ得る。たとえば、遮蔽要素のサンプルおよび/またはサンプルホルダーとの接触を検出するように装置を構成することが考えられる。この検出は、この接触中に遮蔽要素ならびにサンプルおよび/もしくはサンプルホルダーを流れる電流の検出に少なくとも部分的に基づくことができる。少なくとも部分的に導電性の特性化手段を設けることによって、この機能は、(本明細書に記載のような)遮蔽要素の特性化に使用可能である。また、接触信号は、粒子ビーム装置から、たとえば特性化手段の接近(および、配置)を制御する外部装置にも伝達され得る。
【0037】
一例において、この方法は、サンプル位置のサンプルの表面と平行な横方向に特性化手段を移動させることをさらに含む。横方向の移動は、たとえば所定の距離でもたらされ得る。たとえば、接近後の移動が横方向に起こり得る。たとえば、所定の距離で接触信号がない場合は、横方向移動の場合(または、横方向移動の後)にもこれが当てはまるかが確認され得る。また、横方向移動中は、遮蔽要素の特性(たとえば、遮蔽要素のトポロジ)に関する結論を出すため、接触信号(または、その有無)が記録され得る。
【0038】
一例において、特性化手段は、(たとえば、ばね要素を介して)横方向に移動可能に備え付けられた接触面を含む。トポロジを取り込むことは、特性化手段を横方向に所定の距離(または、所定の移動距離)だけ第1の位置から第2の位置まで移動させることと、特性化手段の横方向の移動による接触面の距離(または、移動距離)を確定することと、をさらに含み得る。
【0039】
特性化手段の接触面が移動可能に備え付けられる横方向は、特性化手段の(本明細書に記載の)垂直方向と垂直であってもよい。したがって、横方向は、特性化手段の水平方向(または、水平軸)に対応し得る。
【0040】
特性化手段の移動は、特性化手段を備え付け可能なサンプルホルダーによって実行(たとえば、規定)され得る。この場合は、(サンプルホルダーの)所定の移動距離を粒子ビーム装置に入力可能であり、これに応じて特性化手段(または、サンプルホルダー)を移動させる。
【0041】
本例においては、横方向移動可能に備え付けられた接触面が特性化手段の横方向移動に従って付随して移動するかが判定され得る。これは、たとえば特性化手段の所定の移動距離が接触面の確定移動距離に(実質的に)対応する場合である。遮蔽要素のサンプル側の表面は、各移動距離を比較することによって特性化され得る。他の例において、この方法では、上記の代替または追加として、特性化手段が横方向に移動し、これに付随して接触面が移動および/または(完全に)移動するか(または、移動したか)がテストされることを含む。
【0042】
一例において、この方法は、接触面が所定の距離だけシフトした場合、接触がないことを検出することをさらに含む。この場合は、横方向移動可能に備え付けられた接触面が遮蔽要素の影響(たとえば、接触)を受けないものと推測され得る。したがって、遮蔽要素が特性化手段と(不要に)接触しないことが検出され得る。
【0043】
さらに、この方法は、接触面が所定の移動距離だけシフトしていない場合(または、たとえば一切もしくは大きくはシフトしていない場合)、接触があることを検出することを含むことができる。この場合は、横方向移動可能に備え付けられた接触面が遮蔽要素の影響(たとえば、接触)を受けるものと推測され得る。したがって、遮蔽要素が特性化手段と(不要に)接触することが検出され得る。さらに、接触面の所定の移動距離と確定移動距離との間の逸脱の閾値を起点として、接触があることを検出することも考えられる。たとえば、接触があることは、接触面の移動距離が所定の移動距離から少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、および/または少なくとも5%だけ逸脱している場合に検出され得る。
【0044】
一例において、移動距離を確定することは、特性化手段の第1の位置における接触面の基準構造体の第1の像を記録することと、特性化手段の第2の位置における接触面の基準構造体の第2の像を記録することと、第1の像における基準構造体と第2の像における基準構造体との間の距離を決定して、接触面の移動距離を確定することと、を含む。
【0045】
ここで、像は、粒子ビーム装置の粒子ビームによって記録され得る(たとえば、像には、粒子ビーム像(たとえば、走査型力電子像)を含むことができる)。さらに、像は、粒子ビーム装置の光学系によっても記録され得る(たとえば、像には、光学像を含むことができる)。
【0046】
ここで、基準構造体には、特性化手段の表面上の好適な構造体を含むことができる。たとえば、基準構造体は、この方法の目標とする様態で特性化手段に備え付けられていてもよい。たとえば、基準構造体には、特性化構造体の表面上の特徴的な構造体(たとえば、縁部、表面構造体、粒子等)を含むことができる。
【0047】
一例において、この方法は、横方向の移動による特性化手段上の擦過痕を検出することをさらに含む。
【0048】
擦過痕は、たとえば粒子ビーム装置においてその場検出され得る。ここでは、たとえば1つおよび/または複数の粒子ビーム像(たとえば、1つまたは複数の走査型力電子像)が粒子ビーム装置によって記録され得る。さらに、(本明細書に記載のような)横方向と垂直に1つまたは複数の粒子ビーム像を記録することも考えられる。したがって、擦過痕がある場合は、1つまたは複数の粒子ビーム像が擦過痕と(実質的に)垂直となる。粒子ビーム像において擦過痕の一部が検出された場合は、擦過痕を完全に記録するため、1つまたは複数の粒子ビーム像が擦過痕に沿って記録され得る。粒子ビーム像は、たとえば長さ寸法が4μm未満、6μm未満、10μm未満、20μm未満、および/または100μm未満の視野を備えることができる。ここで、長さ寸法は、x方向ひいてはy方向の寸法を意味することが了解され得る。
【0049】
別の例においては、(たとえば、光線または光子線を活用して)光学系により擦過痕を検出することも考えられる。たとえば、光学系が粒子ビーム装置に含まれることにより、ここでは、擦過痕の検出がその場でも起こり得る。さらには、光学系によって、検出を装置の外側で行うことも考えられる。ここで、この方法は、(本明細書に記載のような)特性化の後、粒子ビーム装置から特性化手段を取り出すことを含むことができる。その後、擦過痕を検出するため、(外部)光学系による特性化手段の分析が起こり得る。
【0050】
第2の態様は、粒子ビーム装置の遮蔽要素を特性化するための特性化手段であり、電界を遮蔽するための遮蔽要素が、サンプル位置と粒子ビーム源との間に配置された、特性化手段に関する。この特性化手段は、遮蔽要素のトポロジおよび/または遮蔽要素に接触する移動可能な、好ましくはばね式の接触面を取り込むためのセンサを備えることができる。さらに、この特性化手段は、粒子ビーム装置のサンプルホルダーに備え付けられるように構成されていてもよい。
【0051】
たとえば、特性化手段の形状によって、サンプルホルダーとの密着結合が保証され得る。別の例において、特性化手段の下面は、(たとえば、サンプルとの接着を確実にサポートし得る対応する凹凸によって)サンプルホルダーへの確実な取り付けが意図され得る。
【0052】
さらに、たとえば、特性化手段は、装置のサンプルホルダーに備え付けられ得るサンプルに備え付けられるように構成されていてもよい。
【0053】
たとえば、サンプルには、マスクブランクを含むことができる。マスクブランクには、たとえば(マイクロおよび/またはナノ)リソグラフィ(たとえば、iラインリソグラフィ、DUVリソグラフィ、EUVリソグラフィ等)のマスク用のマスクブランクを含むことができる。粒子ビーム装置は、たとえば(たとえば、マスク修復のため)リソグラフィマスクを観察および/または処理するように構成され得る。
【0054】
一例において、この特性化手段は、基部をさらに備え、接触面は、好ましくはばね要素を介して、当該接触面と垂直に基部に移動可能に結合されている。たとえば、基部は、フレーム構造体を含み得る。ここで、フレーム構造体の下面は、接触面の反対に配置されていてもよい。この下面には、基部(または、基部の下面)と垂直に接触面を結合する少なくとも1つのばね要素が備え付けられ得る。たとえば、ばね要素は、ばねを含むことができる。また、2つ以上のばねから成るばねシステムも考えられる。さらに、フレーム構造体には、下面と垂直に備え付けられた側面構造体を含むことができる。たとえば、側面構造体は、当該側面構造体および下面が一体構造体を形成するように、下面から延伸可能である。側面構造体は、接触面の領域に、接触面と平行に形成され得る保持領域を含むことができる。保持領域は、接触面をその周囲領域において少なくとも部分的に(確実に)囲むことができる。保持領域は、下面を起点とする垂直方向の接触面の撓みの制限に使用可能である。たとえば、ばね要素は、保持領域に対して、(規定の)力が接触面を介して垂直方向に印加されるように構成されていてもよい。このため、1つの平面において規定された接触面が確保され得るが、垂直方向の力が印加された場合には、下面の方向にも創出する可能性がある。接触面の創出によって、遮蔽要素がこのようにいくらか保護されるため、これは、(たとえば、本明細書に記載のような接近中の)遮蔽要素との接触等の場合に好都合となり得る。
【0055】
一例において、接触面は、好ましくはばね要素を介して、当該接触面の平面に沿って基部に移動可能に結合されている。たとえば、接触面は、ばね要素を介して、基部の側面構造体に結合され得る。これは、接触面の平面または側面構造体と垂直な平面における接触面の懸架を保証し得る。したがって、接触面は、下面の平面と平行に、移動可能に備え付けられ得る。これにより、(本明細書に記載のような)特性化手段の横方向移動中の接触の検出を可能にすることができる。たとえば、接触面が遮蔽要素との接触によって保持または固定される場合、特性化手段の基部は、移動可能な結合のため、接触面の平面に沿って移動し続けることができる。ただし、接触面の移動は、(少なくとも部分的に)妨げられることになる。したがって、接触がある場合、基部の移動距離は、接触面の移動距離には対応しなくなる。このように、(本明細書に記載のような)接触の有無が推測されるようになっていてもよい。
【0056】
一例において、接触面は、基部に関して第1の平面および第2の平面を有し、第1の平面は、第2の平面の下側にあり、第2の平面は、遮蔽要素の周囲領域と一致するように寸法規定されている。平面の空間的配置には、基部(たとえば、基部の下面)を基準とすることができる。したがって、下側の第1の平面は、(本明細書に記載の方法における使用の場合)上側の第2の平面よりも遮蔽要素からの距離を大きくすることができる。本明細書に記載の方法においては、2つの平面によって安全マージンが可能となる。たとえば、遮蔽要素から所定の距離で特性化手段を配置する場合は、第1の平面の表面に対して所定の距離を選択することができる。したがって、遮蔽要素の周囲領域における異状は、第2の平面を介して検出される可能性が高くなる。第2の平面は、第1の平面よりも遮蔽要素に近いためである。特に、第2の平面は、(本明細書に記載のような)接近中に遮蔽要素と通常よりも早く接触する可能性がある。
【0057】
たとえば、遮蔽要素は(通常)、周囲領域の保持要素を備えることができる。保持要素は、たとえば遮蔽要素の他の要素よりも幾何学的に幅広の構造体を有することができ、たとえば遮蔽要素の接続要素として作用することができる。たとえば、保持要素は、比較的薄いメッシュ構造体を遮蔽要素の内側領域に固定するように構成されていてもよい。たとえば、保持要素は、(たとえば、遮蔽要素の他の要素とは対照的に)好ましくはサンプル位置に延入するトポロジを有することができる。たとえば、保持要素は、その表面が遮蔽要素よりもサンプル位置(または、サンプルホルダー)に近くなるように成形されていてもよい。したがって、保持要素の領域(すなわち、周囲領域)における欠陥または異状がより高い確率でサンプル位置のサンプルに影響を及ぼす可能性がある。
【0058】
また、第2および第1の平面の漸近的変化によって、運用中の遮蔽要素および/またはサンプルの傾斜も考慮され得る。傾斜の場合は、たとえば遮蔽要素の周囲領域における遮蔽要素のサンプルとの接触が予想される。したがって、漸近的変化のため、上側の第2の平面は、安全マージンとして作用し得る。特性化手段が(第1の要素の表面を起点として)遮蔽要素から所定の距離で接触が検出されない場合、たとえばこれは、わずかに傾斜している場合とも想定され得る。第2の平面は、所定の距離において、接触を一切起こさないためである。
【0059】
また、第1の要素は、たとえば遮蔽要素のメッシュ構造体(または、中心領域)と一致するように寸法規定され得ることにも留意するものとする。
【0060】
また、本発明の一態様は、第1の態様に係る方法における特性化手段として、第2の態様に係る特性化手段のうちの少なくとも1つの使用を含むことに留意するものとする。
【0061】
別の態様は、第1の態様に係る方法における特性化手段として、トポロジを測定するように構成されたセンサの使用に関する。
【0062】
第3の態様は、サンプルを粒子ビームで照射するための粒子ビーム装置であって、電界を遮蔽するための遮蔽要素であり、サンプル位置と粒子ビーム源との間に配置された、遮蔽要素と、第2の態様に係る遮蔽要素を特性化するための特性化手段であり、遮蔽要素のサンプル位置に対向する側に配置された、特性化手段と、を備えた、粒子ビーム装置に関する。粒子ビーム装置には、たとえばリソグラフィマスクの修復用の粒子ビーム装置を含むことができる。たとえば、粒子ビーム装置は、(たとえば、自動、半自動、および/または手動修復プロセスの一部としての)マスク修復を実行するように構成されていてもよい。
【0063】
特性化手段は、粒子ビーム装置において、たとえば永久的または長期間にわたって組み込み得る。ただし、特性化手段は、(本明細書に記載のような)遮蔽要素の特性化の一部として、短期間または規定の期間にわたって粒子ビーム装置に含まれる可能性もある。
【0064】
粒子ビーム装置の粒子ビーム源は、たとえば荷電粒子(たとえば、電子および/またはイオン)を含む粒子ビームを放出可能である。さらに、粒子ビーム装置は、(たとえば、電子像を記録するための電子によって)粒子ビームによりサンプルを観察するように構成されていてもよい。さらに、粒子ビーム装置は、(たとえば、マスク修復の一部として)サンプルの粒子ビーム誘起エッチングおよび/またはサンプル上の材料の粒子ビーム誘起堆積用に構成されていてもよい。たとえば、粒子ビーム装置は、EUVリソグラフィ、DUVリソグラフィ用のマスクの修復、および/または他種のリソグラフィ法用のマスクの修復に使用可能である。
【0065】
第4の態様は、コンピュータおよび/または第3の態様に係る粒子ビーム装置により実行された場合に、第1の態様に係る方法をコンピュータおよび/または粒子ビーム装置に実行させる命令を含むコンピュータプログラムに関する。
【0066】
上記の代替または追加として、コンピュータプログラムは、本明細書に記載の他の方法ステップの実行または本明細書に記載のような装置(もしくは、システム)の機能の実行もしくは実施のための命令を含むことができる。たとえば、コンピュータプログラムは、上記方法のステップおよび/または上記装置の機能が(自動的に)実行され得るように、上記装置(または、システム)の特定の構成要素(または、手段)が開ループまたは閉ループで制御されるようにすることができる。したがって、上記装置は、コンピュータプログラムならびに当該装置の構成要素(もしくは、手段)へのインターフェースに基づいて、開ループおよび/または閉ループにて制御され得る。
【0067】
第5の態様は、サンプルを粒子ビームで照射するための粒子ビーム装置であって、第4の態様に係るコンピュータプログラムを含む、粒子ビーム装置に関する。たとえば、粒子ビーム装置は、コンピュータプログラムを含む(または、格納する)(不揮発性)メモリを備えることができる。第5の態様の粒子ビーム装置には、たとえば第3の態様に係る粒子ビーム装置および(本明細書に記載のような)特性化手段を含むことができる。
【0068】
別の態様は、本明細書に記載の装置であって、当該装置の少なくとも部分的に自動化された制御のためのコンピュータプログラムを含むメモリを有する、装置に関する。さらに、一態様の装置は、コンピュータプログラムを実行するための手段を有することができる。あるいは、コンピュータプログラムを他の場所(たとえば、クラウド)に格納することも可能であり、また、他の場所でのプログラムの実行に起因する命令を受信するための手段のみを装置が有することも可能である。いずれにしろ、これにより、たとえばシステムおよび/または装置内において、上記方法を自動的または自律的に実行させることができる。このため、たとえば手動手段による介入が最小限に抑えられ、装置(または、システム)の運用中の複雑性が抑えられる。
【0069】
さらに、本明細書に記載の方法のうちの1つが実行される場合のプロトコルを生成することも考えられる。プロトコルは、たとえば上記方法中の本明細書に記載のパラメータ(たとえば、特性化手段の位置、取り込みトポロジ、制御信号等)のうちの1つを含むことができる。そして、プロトコルは、たとえば後で(たとえば、誤差評価、監査、サービス行為等の一部として)上記方法の実行を可能にするとともに、その詳細(たとえば、特性化手段の位置)の取得を可能にし得る。プロトコルは、たとえばデバイスおよび/またはコンピュータに格納され得るプロトコルファイル(たとえば、ログファイル)を含み得る。
【0070】
本明細書に記載の方法(または、コンピュータプログラム)の特徴(および、例)は、前述の装置(または、システム)に対応して適用されるようになっていてもよいし、適用可能であってもよい。本明細書に記載の装置(または、システム)の特徴(および、例)は、本明細書に記載の方法(または、コンピュータプログラム)に対応して適用されるようになっていてもよいし、適用可能であってもよい。
【0071】
以下の詳細な説明は、図面を参照して、本発明の技術的背景情報および実施例を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【
図1】遮蔽要素およびサンプル位置のサンプルを含む粒子ビーム装置の模式側面図である。
【
図2】サンプルに延入した遮蔽要素の欠陥の模式側面図である。
【
図3】遮蔽要素を特性化するための第1の手段の模式側面図である。
【
図4】欠陥のない遮蔽要素から所定の距離にある第2の特性化手段の模式側面図である。
【
図5】欠陥を有する遮蔽要素から所定の距離にある第2の特性化手段の模式側面図である。
【
図6】欠陥のない遮蔽要素から所定の距離にある第3の特性化手段の模式側面図である。
【
図7】欠陥を有する遮蔽要素から所定の距離にある第3の特性化手段の模式側面図である。
【
図8】粒子ビーム装置によって遮蔽要素を特性化するための手段上の擦過痕の分析の模式平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0073】
図1は、遮蔽要素およびサンプル位置のサンプルを有する粒子ビーム装置の模式側面図である。粒子ビーム装置100は、粒子ビーム源101を含むことができる。粒子ビーム源101は、たとえば指向性粒子ビームEを放出可能である。粒子ビームEは、荷電粒子(たとえば、電子および/またはイオン)を含むことができる。粒子ビーム装置は、粒子ビームEを目標とする様態で(たとえば、粒子ビームEの目標とする偏向、集束、補正等に向けて)制御する手段をさらに備えることができる。この場合、粒子ビームEは、サンプルMに向けられることができる。
図1は、サンプルMの例示的なサンプル位置を示している。
【0074】
装置100は、粒子ビーム源101とサンプル位置との間に遮蔽要素Cを有することができる。遮蔽要素Cは、サンプルMを起点とし得る電界を遮蔽するのに使用可能である。電界は、たとえば粒子ビームEの照射によってサンプル上に蓄積された電荷により生じ得る。たとえば、導入された電荷がサンプルホルダーを介して必ずしも排出されるわけではないため、電界がサンプルMから発生し得る。電界は、遮蔽要素Cによって、サンプルMと遮蔽要素Cとの間の空間に制限され得る。このため、粒子ビームE(または、その荷電粒子)は、遮蔽要素Cと粒子ビーム源101との間の領域において、電界から遮蔽され得る。したがって、粒子ビームの無制御なオフセットが防止され得る。遮蔽要素は、たとえばDE102020124307A1に開示のように設計され得る。
【0075】
遮蔽要素Cは、メッシュ要素Nを含むことができる。メッシュ要素Nは、1つまたは複数の開口を含み得る。たとえば、メッシュ要素Nは、シングルピンホール絞りの形態の開口を含むことができる。たとえば、遮蔽要素Cは、たとえば1つまたは複数のメッシュの形態の1つまたは複数の開口を含むこともできる。メッシュ要素Nの開口は、任意の形状(たとえば、円形状、多角形状、正方形状、六角形状、ハニカム形状等)を含むことができる。メッシュ要素Nの開口は、少なくとも1つの方向において、50マイクロメートル未満の寸法を有することができる。また、メッシュ要素Nの開口は、少なくとも1つの方向において、30マイクロメートル未満、20マイクロメートル未満、または10マイクロメートル未満の寸法を有することも考えられる。メッシュ要素Nの開口の寸法は、少なくとも1つの方向において、5μm~30μmの範囲となり得るのが好ましい。さらに、メッシュ要素Nの複数の開口の特性は、互いに異なり得る(たとえば、第1の開口が直径50μmの円形開口で、第2の開口が直径10μmの円形開口であってもよい)。
【0076】
メッシュの形成材料は、電界の遮蔽を可能にするため、導電性とすることができる。たとえば、メッシュ要素Nの材料は、金、ニッケル、パラジウム、白金、イリジウムのうちの少なくとも1つを含むことができる。たとえば、メッシュ要素Nの厚さは、1nm~100μm、10nm~100μm、100nm~50μm、1μm~30μm、5μm~15μmの範囲となり得る。
【0077】
遮蔽要素Cは、保持要素Hをさらに備えることができる。メッシュ要素Nは、保持要素Hに固定可能である。保持要素Hは、メッシュ要素Nと比較して、少なくとも1つの空間的寸法を広くすることができる。これにより、保持要素Hに対するメッシュ要素Nの安定した固定が可能となり得る。
【0078】
メッシュ要素Nの中央には、貫通開口102が配置され得る。その特性は、メッシュ要素Nの開口について本明細書に記載の特性に対応することができる。たとえば、貫通開口102は、少なくとも1つの方向において、50μm未満の寸法を含むことができる。たとえば、粒子ビームEは、貫通開口102を通ってサンプルMに入射するようにアライメント可能である。貫通開口102は、ここに規定の(たとえば、規定の開口を含む)メッシュを含むことができ、これは具体的に、粒子ビームEを通過させ得るように構成されている。さらに、貫通開口102(または、貫通開口102の領域におけるメッシュ要素Nの領域)は、サンプル側に凸状で湾曲したものとすることができる。また、貫通開口102が配置されるメッシュ要素Nの領域は、三角形または三角錐の形態にて設計する(たとえば、三角形または三角錐の頂点がサンプル/サンプルホルダー側を指す)ことも考えられる。たとえば、この場合、貫通開口102は、三角形または三角錐の頂点を含むことができる。
【0079】
メッシュ要素Nは、たとえば少なくとも1mm、少なくとも2mm、少なくとも3mm、少なくとも5mm、および/または少なくとも10mmの直径を有することができる。直径は、保持要素Hの第1の側から保持要素Hの反対側まで規定され、その間にメッシュ要素Nが備え付けられていてもよい。
【0080】
サンプルMは、遮蔽要素Cから所定のサンプル距離d0に配置されていてもよい。
図1の例において、所定のサンプル距離d0は、遮蔽要素Cの基準点としての貫通開口102とサンプルMの表面との間の最短距離として規定される。ただし、遮蔽要素Cのその他任意の基準点を使用して所定のサンプル距離d0を規定することも考えられる。
【0081】
所定のサンプル距離d0は、遮蔽要素からのサンプルMの目標距離に対応し得る。目標距離d0は、サンプルが処理される作動距離に対応し得る。たとえば、目標距離は、少なくとも5μm、少なくとも10μm、少なくとも15μm、少なくとも20μm、および/または少なくとも50μmとすることができる。また、目標距離は、たとえば5μm~100μmの範囲の規定値を有し得る。
【0082】
たとえば、粒子ビーム装置100は、サンプルMの修復用に構成されていてもよい。サンプルを処理する場合には、たとえば粒子ビーム誘起エッチングおよび/または堆積が実行されるとともに、粒子ビームによるサンプルの観察がなされ得る。
【0083】
たとえば、粒子ビーム装置100には、マスク修復装置を含むことができる。この場合、サンプルMには、リソグラフィ対象を含むことができる。たとえば、サンプルMには、任意のリソグラフィ法(たとえば、EUVリソグラフィ、DUVリソグラフィ、iラインリソグラフィ、ナノインプリントリソグラフィ等)に適したリソグラフィマスクを含み得る。一例において、リソグラフィマスクには、EUVマスク、DUVマスク、iラインリソグラフィマスク、および/またはナノインプリントスタンプを含むことができる。また、リソグラフィ対象には、バイナリマスク(たとえば、クロムマスク、OMOGマスク)、位相マスク(たとえば、クロムフリー位相マスク、交互位相マスク(たとえば、リム位相マスク))、ハーフトーン位相マスク、トリトーン位相マスク、および/またはレチクル(たとえば、ペリクル付き)を含むことができる。リソグラフィマスクは、たとえば半導体チップの生産のためのリソグラフィ法において使用することができる。
【0084】
図2は、サンプルMに延入した遮蔽要素の欠陥Dの模式側面図である。たとえば、欠陥Dは、遮蔽要素Cの保持要素Hのサンプル側の領域に配置されていてもよい。したがって、欠陥Dは、粒子ビームEにより検出され得ない。欠陥Dは、たとえば製造誤差、サービス行為、および/または保全措置によって生じ得る。
図2において、サンプルMは、遮蔽要素Cから目標距離d0に配置されている。ただし、この作動距離においては、欠陥DがサンプルMに接触する可能性がある。すなわち、この場合は、遮蔽要素CとサンプルMとが不必要に接触する。この接触によって、局所的な力がサンプルMの表面に作用する場合がある。これは、接触によって不良部位KがサンプルM上にもたらされ得ることを意味する。不良部位Kには、たとえば擦過痕および/または局所的な窪みを含むことができる。ただし、産業環境においては、サンプルの損傷を確実に防止することが必要となり得る。たとえば、これは、マスク修復において非常に重要であり、防止しなければ不良部位がリソグラフィでウェハに転移する可能性もある。さらに、サンプルMと遮蔽要素Cとの間の無制御な接触Kによって、遮蔽要素Cが損傷を受ける可能性もある。したがって、遮蔽要素から目標距離でのサンプルの接触は回避されるべきである。これは、本明細書に記載の本発明に係る遮蔽要素Cの特性化によって保証され得る。
【0085】
図3は、遮蔽要素を特性化するための第1の手段の模式側面図である。第1の手段は、共焦点センサS1を備えることができる(たとえば、共焦点センサS1として設計可能である)。共焦点センサS1は、サンプルMに備え付け可能である。サンプルMは、リソグラフィマスク用の(非構造化)マスクブランクを含むことができる。たとえば、共焦点センサS1は、結合手段(たとえば、接着剤、接着層等)を介してサンプルMに備え付けられ得る。また、共焦点センサS1をサンプルM上に緩く載置することも可能であり、たとえば、共焦点センサS1の下面を粗くして、共焦点センサS1の安定した(たとえば、センサの横滑りがない)配置を保証することも考えられる。共焦点センサS1は、特性化を目的として、遮蔽要素のサンプル位置に対向する側に配置され得る。したがって、欠陥部位が確実に検出され得る。とりわけ、遮蔽要素Cの保持要素Hのサンプル側の欠陥が検出され得る。共焦点センサS1は、当該共焦点センサS1を備えたサンプルMが備え付けられるサンプルホルダーによって配置され得る。共焦点センサS1は一般的に、サンプルホルダーに収容されるように構成可能である。
【0086】
特に、共焦点センサS1は、遮蔽要素Cのサンプル側のトポロジの測定を可能にし得る。共焦点センサS1は、共焦点測定原理に従った測定の実行に使用可能である。共焦点センサS1は、この目的で、光Lを遮蔽要素C上に測定光として集束させ得る光源を備えることができる。さらに、共焦点センサS1は、遮蔽要素Cで反射された光を検出する検出器を備えることができる。検出器および光源は、共焦点測定原理に必要な構成要素を備え得る。たとえば、検出器は、共焦点測定を可能にするため、中間像面用のピンホール絞りを有することができる。たとえば、光Lのビームの偏向によって、共焦点測定のための遮蔽要素Cの表面の1点ずつの走査が実行され得る。さらに、共焦点センサS1の配置によって、1点ずつの走査を行うことも考えられる。ここで、
図3に示すように、共焦点センサS1は、遮蔽要素Cのサンプル側から測定距離dに配置可能である。その後、共焦点センサS1は、サンプル位置のサンプルの表面と平行な横方向に沿って変位可能である。ここで、
図3においては、横方向をx軸によって示している。このように、共焦点センサS1の横方向配置によって、遮蔽要素Cのサンプル側の表面の1点ずつの走査が可能となる。共焦点センサS1は、ケーブル301を介して、外部装置および/または粒子ビーム装置に通信結合可能である。たとえば、このように、共焦点測定のための配置およびセンサ取り込みの調整を保証することができる。
【0087】
一例において、共焦点センサS1は、外部装置に接続されている。外部装置は、共焦点測定において粒子ビーム装置のサンプルホルダーがこれに応じて当該外部装置によって制御され得るように、粒子ビーム装置に結合されていてもよい。別の例においては、サンプルホルダーのみが外部装置に結合され、外部装置によって制御されることにより走査のための共焦点測定が行われ得る。別の例において、共焦点センサS1は、粒子ビーム装置に通信結合されている。ここで、サンプルホルダーは、共焦点測定のため粒子ビーム装置により制御され得る。
【0088】
さらに、第1の手段が共焦点センサS1以外のセンサを含むことも考えられる。たとえば、干渉センサも使用可能であって、これに応じて干渉測定原理に基づいてトポロジが取り込まれ得る。また、遮蔽要素の光学像を記録可能な光学センサ(たとえば、CCDセンサ)も考えられる。さらに、第1の特性化手段に含まれる異なるセンサの組み合わせも考えられる。たとえば、この目的で、複数のセンサがサンプルMに備え付けられ得る。たとえば、適用可能な各測定原理に従った複数の測定が使用される場合もある。
【0089】
図4は、欠陥のない遮蔽要素Cから所定の距離d0にある第2の特性化手段の模式側面図である。第2の手段は、第1のマイクロ構造体S2を含むことができる。第1のマイクロ構造体S2は、基部401を含むことができる。基部401は、たとえばサンプルホルダー上に存在し得る下面410を含むことができる。基部401としては、たとえば
図4に示すように、フレーム構造体の形態が可能である。マイクロ構造体S2は、垂直方向に(
図4のz軸に沿って)基部401に結合された接触面402を含むことができる。特性化においては、そのプロセス中に、接触面402が(本明細書に記載のような)遮蔽要素Cに接触し得る。接触面402は、第1のばねF1および第2のばねF2を介して、垂直方向に(下面410と垂直に)基部401に結合され得る。下面410の方向の力が接触面に印加された場合、接触面は、これに応じて下面410の方向に撓んだり移動したりする可能性がある。
【0090】
この点、接触面402は、第1の平面E1および第2の平面E2を含むことができる。第1の平面E1は、(基部401の下面または指定のz方向に関して)第2の平面E2の下方に配置され得る。第1の平面E1は、特性化手段の特性化位置において、遮蔽要素Cのメッシュ要素Nの中心領域の反対側となるように寸法規定され得る。第2の平面E2は、特性化位置において遮蔽要素Cの周囲領域(たとえば、保持要素Hおよびメッシュ要素Nの部分領域を含む)と一致するように寸法規定され得る。したがって、平面の寸法規定は、遮蔽要素の寸法と整合され得る。
【0091】
第1のマイクロ構造体S2は、側面構造体403をさらに含むことができる。側面構造体403は、基部401の下面410から垂直に延伸可能である。側面構造体403は、(本明細書に記載のような)接触面402の領域に形成された保持領域404を含むことができる。保持領域404は、接触面402とぴったりと嵌め合うように寸法規定され得る。接触面402は、保持領域404を介して規定された様態で(z方向に)固定され得る。保持領域404がz軸の正方向の接触面の移動を空間的に制限し得るためである(たとえば、z軸の正方向の移動は、第1のばねF1および/または第2のばねF2の力によってもたらされ得る)。
【0092】
第1のマイクロ構造体S2は、(少なくとも部分的に)導電性とすることができる。このため、第1のマイクロ構造体S2は、(本明細書に記載のような)方法を可能にし得る。たとえば、第1のマイクロ構造体S2によって、遮蔽要素から所定の距離における第1のマイクロ構造体の接触の有無が検出され得る。所定の距離(たとえば、粒子ビーム装置によるサンプル処理中のサンプルの目標距離)は、たとえば(本明細書に記載のような)傾斜および/または安全マージンを考慮に入れるため、第1の平面E1に関して選択され得る。
【0093】
図5は、欠陥Dを有する遮蔽要素から所定の距離にある第2の特性化手段の模式側面図である。本例においては、第1のマイクロ構造体S2がz方向において遮蔽要素Cに近づけられている。遮蔽要素Cの欠陥Dは、所定のサンプル距離d0にある接触面402に接触する。ただし、所定のサンプル距離d0より大きなサンプル距離であっても、欠陥Dが接触面402に接触するように設計することも考えられる。本明細書に記載の通り、接触によって、遮蔽要素Cおよび第1のマイクロ構造体S2に電流が流れ得る。たとえば、電流は、サンプルホルダーから第1のマイクロ構造体S2を通り、遮蔽要素Cを介して粒子ビーム装置100に流れ得る。電流が流れる場合は、このため接触または接触信号の存在が判定され得る。したがって、遮蔽要素Cへのさらなる接近を中断することができる。この方法は、たとえば接触の場合に第1のマイクロ構造体S2のz位置を確定し、それに応じてサンプル距離を確定することを含むことができる。このため、たとえば実際のサンプルが遮蔽要素に接触することになるサンプル距離が決定され得る。さらに、この方法は、所定のサンプル距離(または、より大きなサンプル距離)における接触の存在に基づいて、遮蔽要素Cの修復および/または評価を実現することを含むことができる。
【0094】
図6は、欠陥のない遮蔽要素から所定の距離にある第3の特性化手段の模式側面図である。第3の手段は、第2のマイクロ構造体S3を含むことができる。第1のマイクロ構造体S2と同様に、第2のマイクロ構造体S3は、基部601を含むことができる。たとえば、第2のマイクロ構造体S3は同様に、側面構造体603および保持領域604を含むことができる。第2のマイクロ構造体S3は、接触面602を有し得る。接触面602は、当該接触面602の平面に沿って基部601に移動可能に結合され得る。
図6において、接触面602は、x方向(または、横方向L)に移動可能に備え付けられている。移動可能な備え付けは、たとえば少なくとも1つのばね要素によってもたらされ得る。このため、第2のマイクロ構造体S3は、第1の横方向ばねF1’および第2の横方向ばねF2’を含むことができる。第1の横方向ばねF1’は、側面構造体603の第1の側と接触面602の第1の周囲領域との間に備え付けられ得る。したがって、第2の横方向ばねF2’は、第2のマイクロ構造体S3の反対側において、側面構造体の第2の側と接触面602の第2の周囲領域との間に備え付けられ得る。このように、接触面602は、ばねF1’およびF2’を介して、横方向Lに移動可能に備え付けられ得る。
【0095】
さらに、第1のマイクロ構造体S2の特徴はすべて、マイクロ構造体S3に含まれ得る(その逆もまた同様である)。このため、たとえば
図6においては、第1のマイクロ構造体S2と同じように、接触面602が第1の平面および第2の平面を同様に有することが分かる。また、接触面602は、(基部601の下面と垂直な)z方向にも移動可能に備え付けられ得ることに留意するものとする。たとえば、これは、
図5に図示および記載のようなばねシステムによって可能となり得る。
【0096】
図6の例において、接触面602は、遮蔽要素から所定のサンプル距離d0に配置されている。本例において、遮蔽要素Cには最初、欠陥も異状もない。ここで、第2のマイクロ構造体S3の全体が第1の位置から第2の位置までx方向に所定の距離だけ移動すると、これに付随して接触面も移動する。たとえば、マイクロ構造体S3の全体は、サンプルホルダーとともに移動し得る。この結果、基部601がある距離だけ進行し、接触面602がある距離だけ進行する。遮蔽要素Cと接触面602との間に接触がなければ、x方向の摂動力が接触面602に影響しないため、両進行距離が同じとなり得る。これは、
図6において明らかである。接触面602が基部に対して対称に配置されているためである。ただし、たとえば遮蔽要素Cの欠陥がサンプル位置に延入している場合は、接触面602が影響を受ける可能性がある。これを検出することにより、遮蔽要素のサンプル側を特性化することができる。
【0097】
そして、
図7は、欠陥Dを有する遮蔽要素から所定の距離にある第3の特性化手段の模式側面図である。欠陥Dは、サンプル位置に延入することで接触面602と相互作用し得る。欠陥Dは、たとえばx方向の移動中の接触面602に反対の作用を及ぼし得る。ただし、ばねF1’およびF2’があることから、欠陥Dは基部601の移動に反対の作用を及ぼし得ないか、または、最小限にしか及ぼし得ない。
図7は、第2のマイクロ構造体S3がx方向(または、横方向)に所定の距離だけ移動した後の様子を示し得る。接触面は、これに付随して基部601と同じ距離だけ移動しているわけではないことが分かる。したがって、接触面602はもはや、基部601に対して対称に配置されていない。また、第2の横方向ばねF2’は、x方向の接触面602の移動の妨害によって圧縮され得ることも明らかである。これとは対照的に、第1の横方向ばねF1’は伸長可能である。
【0098】
接触面602の移動距離と基部601の移動距離との間の差は、本明細書に記載の通りにもたらされ得る。たとえば、基部601は、サンプルホルダーによって、第1の位置から第2の位置まで規定の距離だけ移動し得る。このプロセスにおいて接触面が進行する距離は、たとえば(本明細書に記載のような)第1の位置における接触面の粒子ビーム像と第2の位置における接触面の粒子ビーム像との比較によって追跡され得る。粒子ビーム像は、粒子ビームEによって記録可能であり、たとえば走査電子像が記録され得る。
【0099】
さらに、第2のマイクロ構造体S3は、(少なくとも部分的に)導電性とすることができる。このため、(本明細書に記載のような)遮蔽要素Cおよび第2のマイクロ構造体S3を流れる電流に基づく接触信号も同様に検出され得る。
【0100】
図8は、粒子ビーム装置100によって遮蔽要素Cを特性化するための手段上の擦過痕Kの分析の模式平面図である。擦過痕の分析は、たとえば(本明細書に記載のような)第2および/または第3の特性化手段による特性化方法の代替または追加として実行され得る。例示的な方法にはまず、擦過痕が必要に応じて生成されるように、特性化手段を移動させることを含むことができる。たとえば、特性化手段はまず、遮蔽要素Cから所定のサンプル距離(すなわち、目標距離)に配置され得る。この最初の位置は、ゼロのx値およびゼロのy値と関連付けられていてもよく、x方向およびy方向は、特性化手段の表面と平行であってもよい。そして、特性化手段は、第1の正のx位置(たとえば、x=+val)まで移動し得る。そして、特性化手段は、たとえば第1のx位置と同じ絶対値を有する第2の負のx位置(たとえば、x=-val)まで移動し得る。第1または第2のx位置の絶対値は、遮蔽要素Cが延びる長さに対応し得る。たとえば、遮蔽要素Cの長さ(および、幅)は、1mm~10mmの範囲となり得る。このように、特性化手段は、遮蔽要素の長さ(または、幅)に関して、たとえば±x(たとえば、x方向に±3mm、±4mm、±10mm)だけシフトし得る。そして、擦過痕Kの分析は、y軸に沿って、x方向と垂直に実行され得る。したがって、この分析は、「擦過方向」と垂直に実行され得る。特に、この分析は、粒子ビーム装置100によって、1つまたは複数の粒子ビーム像によりその場で実行され得る。擦過痕Kが検出された場合は、遮蔽要素Cが所定のサンプル距離のサンプルと接触することが想定され得る。したがって、遮蔽要素の特性化の一部として、接触の存在が検出され得る。
【0101】
たとえば、粒子ビーム装置100の視野Iは、遮蔽要素Cの長さ寸法よりも小さい場合があることに留意するものとする。たとえば、視野Iは、マイクロメートルの範囲(たとえば、1μm×1μm、6μm×6μm、10μm×10μm等)となり得る一方、遮蔽要素Cの長さ寸法は、(本明細書に記載のような)ミリメートルの範囲となり得る。この場合は、視野Iにわたって粒子ビーム像がこうして記録され得るものの、考え得る擦過痕Kの全長にわたるわけではない。「擦過プロセス」中に遮蔽要素Cに曝された表面を完全に記録するには、多数の粒子ビーム像が必要となる。たとえば、表面は、画素の態様の2次元で記録する必要があるため、非常に長い時間を要することになる。
【0102】
ただし、例示的な方法によれば、接触が存在する場合は、擦過痕が(実質的に)ある方向(たとえば、x方向)に沿って延びることが想定され得る。それと垂直な関連位置(たとえば、Y位置)のみが不明である。
【0103】
したがって、この方法では、x方向と垂直(すなわち、考え得る擦過痕Kと垂直)なラインが複数の粒子ビーム像にわたって分析され得る。たとえば、このラインは、x=0でy方向に沿って規定されていてもよい。このため、擦過方向と垂直な長さLにわたって、複数の粒子ビーム像が記録され得る。粒子ビーム像において擦過痕の部分領域が検出された場合は、これに応じて、たとえば擦過痕の方向に他の像を介して擦過痕Kが追跡され得る。遮蔽要素Cの長さに沿って±xだけ特性化手段を移動させることにより、擦過痕Kをもたらす接触が存在する場合は、擦過痕Kが遮蔽要素Cの長さ領域のy座標と交差することが保証され得る。したがって、視野が制限される場合でも、y方向のラインの評価によって、擦過痕Kを好適に見つけて分析することができる。また、たとえば擦過なしマスクブランクを特性化手段として粒子ビーム装置に導入することも可能であることに留意するものとする。
【符号の説明】
【0104】
100 粒子ビーム装置
101 粒子ビーム源
102 貫通開口
301 ケーブル
401 基部
402 接触面
403 側面構造体
404 保持領域
410 下面
601 基部
602 接触面
603 側面構造体
604 保持領域
C 遮蔽要素
D 欠陥
E 粒子ビーム
E1 第1の平面
E2 第2の平面
F1 第1のばね
F1’ 第1の横方向ばね
F2 第2のばね
F2’ 第2の横方向ばね
H 保持要素
I 視野
K 不良部位、擦過痕
L 光、横方向、長さ
M サンプル
N メッシュ要素
S1 共焦点センサ
S2 第1のマイクロ構造体
S3 第2のマイクロ構造体
d0 所定のサンプル距離
d 測定距離
【手続補正書】
【提出日】2024-01-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル位置と粒子ビーム源(101)との間の電界を遮蔽するための粒子ビーム装置(100)の遮蔽要素(C)を特性化するための方法であって、
前記遮蔽要素の前記サンプル位置に対向する側に、前記遮蔽要素を特性化するための手段(S1、S2、S3)を配置することを含む、方法。
【請求項2】
前記特性化手段(S1、S2、S3)によって少なくとも部分的に、前記遮蔽要素(C)の前記サンプル位置に対向する側を特性化することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記特性化することが、前記遮蔽要素(C)のトポロジを取り込むことを含み、前記トポロジが、前記遮蔽要素の前記サンプル位置に対向する側で取り込まれる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記特性化することが、前記トポロジおよび前記取り込みトポロジの目標状態に少なくとも部分的に基づいて、前記トポロジの異常を判定することを含む、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記特性化することが、前記遮蔽要素が前記サンプル位置に延入しているかを判定することをさらに含む、請求項2または3に記載の方法。
【請求項6】
前記特性化手段が、前記トポロジを測定するためのセンサ(S1)を備え、前記トポロジの前記取り込みが、前記センサを用いた前記トポロジの測定に少なくとも部分的に基づく、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記センサ(S1)が、共焦点センサを含み、前記トポロジの前記測定が、共焦点測定原理に少なくとも部分的に基づく、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記センサ(S1)が、干渉センサを含み、前記トポロジの前記測定が、干渉測定原理に少なくとも部分的に基づく、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記特性化手段(S2、S3)が、前記遮蔽要素から所定の距離に配置され、前記所定の距離が、サンプルと前記遮蔽要素との間の目標距離(d0)に対応する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項10】
前記特性化手段の前記遮蔽要素との接触の有無を検出することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記特性化手段が、少なくとも部分的に導電性であり、前記検出が、前記接触がある前記特性化手段および前記遮蔽要素を流れる電流の検出を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記サンプル位置の前記サンプルの表面と平行な横方向(L)に前記特性化手段(S2、S3)を移動させることをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記特性化手段(S3)が、前記横方向(L)に移動可能に備え付けられた接触面(602)を含み、
前記トポロジの前記取り込みが、
前記特性化手段を前記横方向に所定の距離だけ第1の位置から第2の位置まで移動させることと、
前記特性化手段の前記横方向の前記移動による前記接触面の距離を確定することと、
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記接触面(602)が前記所定の距離だけシフトした場合、前記接触がないことを検出することと、
前記接触面が前記所定の距離だけシフトしていない場合、前記接触があることを検出することと、
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記距離の前記確定が、
前記特性化手段の前記第1の位置における前記接触面の基準構造体の第1の像を記録することと、
前記特性化手段の前記第2の位置における前記接触面の前記基準構造体の第2の像を記録することと、
前記第1の像における前記基準構造体と前記第2の像における前記基準構造体との間の距離を決定して、前記接触面の前記距離を確定することと、
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記横方向(L)の前記移動による前記特性化手段上の擦過痕(K)を検出することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
粒子ビーム装置の遮蔽要素(C)を特性化するための特性化手段であり、前記遮蔽要素が、サンプル位置と粒子ビーム源(101)との間の電界を遮蔽するように配置された、特性化手段であって、
前記遮蔽要素のトポロジおよび/または前記遮蔽要素に接触する移動可能な、好ましくはばね式の接触面(402、602)を取り込むためのセンサ(S1)を備え、
前記粒子ビーム装置のサンプルホルダーに備え付けられるように構成された、特性化手段。
【請求項18】
基部(401、601)をさらに備え、
前記接触面(402、602)が、好ましくはばね要素を介して、前記接触面と垂直に前記基部に移動可能に結合された、請求項17に記載の特性化手段。
【請求項19】
前記接触面(602)が、好ましくはばね要素を介して、前記接触面(602)の平面に沿って前記基部(601)に移動可能に結合された、請求項17または18に記載の特性化手段。
【請求項20】
前記接触面(402、602)が、前記基部(401、601)に関して第1の平面(E1)および第2の平面(E2)を有し、
前記第1の平面が、前記第2の平面の下側にあり、
前記第2の平面が、前記遮蔽要素の周囲領域と一致するように寸法規定された、請求項17または18に記載の特性化手段。
【請求項21】
サンプルを粒子ビームで照射するための粒子ビーム装置であって、
電界を遮蔽するための遮蔽要素(C)であり、サンプル位置と粒子ビーム源(101)との間に配置された、遮蔽要素(C)と、
請求項17に記載の前記遮蔽要素を特性化するための特性化手段であり、前記遮蔽要素の前記サンプル位置に対向する側に配置された、特性化手段と、
を備えた、粒子ビーム装置。
【請求項22】
リソグラフィマスクの修復用に設計された、請求項21に記載の粒子ビーム装置。
【請求項23】
コンピュータおよび/または請求項21に記載の粒子ビーム装置により実行された場合に、請求項1に記載の方法を前記コンピュータおよび/または前記粒子ビーム装置に実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項24】
サンプルを粒子ビームで照射するための粒子ビーム装置であって、請求項23に記載のコンピュータプログラムを含む、粒子ビーム装置。
【外国語明細書】