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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042173
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】ベーカリー食品含有食品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 29/20 20160101AFI20240321BHJP
   A23L 35/00 20160101ALI20240321BHJP
   A23L 29/281 20160101ALI20240321BHJP
   A21D 13/00 20170101ALI20240321BHJP
【FI】
A23L29/20
A23L35/00
A23L29/281
A21D13/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146692
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】301049777
【氏名又は名称】日清製粉株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】橋本 高広
(72)【発明者】
【氏名】山本 幸弘
【テーマコード(参考)】
4B032
4B036
4B041
【Fターム(参考)】
4B032DB01
4B032DB40
4B032DK12
4B032DK21
4B032DK31
4B032DL05
4B036LE05
4B036LF15
4B036LH10
4B036LH15
4B036LH29
4B036LH50
4B036LK06
4B036LP01
4B036LP17
4B036LP19
4B036LP24
4B041LC03
4B041LD01
4B041LD10
4B041LK11
4B041LK17
4B041LK30
4B041LK50
4B041LP01
4B041LP16
4B041LP18
4B041LP25
(57)【要約】
【課題】ベーカリー食品とゲルとが一体化し、良好な食感を有する新たな食品を製造できるベーカリー食品含有食品の製造方法の提供。
【解決手段】ベーカリー食品と、ゲル化剤を分散させた液状のゲル化液とを容器に充填し、脱気包装する脱気包装工程と、脱気包装した食品を冷却し、ゲル化液をゲル化させる冷却工程とを含み、ベーカリー食品100質量部に対し、ゲル化液を200~1,000質量部用いるベーカリー食品含有食品の製造方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベーカリー食品と、ゲル化剤を分散させた液状のゲル化液とを容器に充填し、脱気包装する脱気包装工程と、
脱気包装した食品を冷却し、ゲル化液をゲル化させる冷却工程とを含み、
ベーカリー食品100質量部に対し、ゲル化液を200~1,000質量部用いることを特徴とするベーカリー食品含有食品の製造方法。
【請求項2】
脱気包装工程と冷却工程との間に、脱気包装した食品を加熱する加熱工程を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ゲル化剤がゼラチンである請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ゲル化液が、ゼラチンを0.5~5質量%含む請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
ベーカリー食品がパン類である請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
冷却工程の後に、冷却した食品を冷凍する冷凍工程を更に含む請求項1または2に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベーカリー食品含有食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パン類とゼリー状食品が合体した食品としては、パンプディングが有名である。また、パンプディングという側面だけでなく、嚥下食的な使用態様も増えている。
【0003】
例えば、パンとしての外観を維持したまま、咀嚼・嚥下機能の低下した人、特に、高齢者や病時あるいは回復期、あるいは病後の後遺症の残る人、離乳期の乳幼児等の咀嚼や嚥下機能が不十分な状態の人であっても、咀嚼・嚥下容易な食品として、穀粉類100質量部に対し、水の質量140質量部以下を含有する生地をイーストまたは膨張剤のいずれかまたは双方を利用して膨張せしめ、焼成処理あるいは加熱処理を行なうと共に、該焼成処理あるいは加熱処理を行った食品の100質量部に対して、液体あるいはゲル状組成物を50~200質量部浸漬し、硬さが5×10N/m以下となる物性を備えた、咀嚼・嚥下容易な食品が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ただし、従来行われる、液体にパン類を浸す、あるいは加熱するだけではパン類へのゼリーの浸透にムラが生じてしまい、食感が十分に満足できるものではない。
【0005】
したがって、パン類とゼリー状食品が合体した食品の食感を良好なものとすることができる技術の速やかな提供が強く求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-161998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような要望に応え、現状を打破し、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、ベーカリー食品とゲル(以下、「ゼリー」と称することもある。)とが一体化し、良好な食感を有する新たな食品を製造できるベーカリー食品含有食品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記目的を達成するべく鋭意検討を行った結果、ベーカリー食品と、ゲル化剤を分散させた液状のゲル化液とを容器に充填し、脱気包装する脱気包装工程と、脱気包装した食品を冷却し、ゲル化液をゲル化させる冷却工程とを含み、ベーカリー食品100質量部に対し、ゲル化液を200~1,000質量部用いることで、ベーカリー食品にゲル化液が均一に浸透し、ベーカリー食品とゲルとの一体感のある良好な食感を有する新たな食品を製造できることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> ベーカリー食品と、ゲル化剤を分散させた液状のゲル化液とを容器に充填し、脱気包装する脱気包装工程と、
脱気包装した食品を冷却し、ゲル化液をゲル化させる冷却工程とを含み、
ベーカリー食品100質量部に対し、ゲル化液を200~1,000質量部用いることを特徴とするベーカリー食品含有食品の製造方法である。
<2> 脱気包装工程と冷却工程との間に、脱気包装した食品を加熱する加熱工程を更に含む前記<1>に記載の方法である。
<3> ゲル化剤がゼラチンである前記<1>または<2>に記載の方法である。
<4> ゲル化液が、ゼラチンを0.5~5質量%含む前記<1>~<3>のいずれかに記載の方法である。
<5> ベーカリー食品がパン類である前記<1>~<4>のいずれかに記載の方法である。
<6> 冷却工程の後に、冷却した食品を冷凍する冷凍工程を更に含む前記<1>~<5>のいずれかに記載の方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、ベーカリー食品とゲルとが一体化し、良好な食感を有する新たな食品を製造できるベーカリー食品含有食品の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(ベーカリー食品含有食品の製造方法)
本発明のベーカリー食品含有食品の製造方法は、脱気包装工程と、冷却工程とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
【0012】
<脱気包装工程>
脱気包装工程は、ベーカリー食品と、ゲル化剤を分散させた液状のゲル化液とを容器に充填し、脱気包装する工程である。
【0013】
-ベーカリー食品-
ベーカリー食品としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、パン類、ケーキ類などが挙げられる。
【0014】
パン類とは、穀粉を主体とする生地を発酵させたものを加熱(例えば、焼成、蒸し、揚げ等)して得られる食品をいう。パン類としては、例えば、食パン(イギリスパン等)、フランスパン(バゲット、バタール等)、ドイツパン(カイザーゼンメル、ライ麦パン等)、リッチパン(バターロール、デニッシュ等)、イタリアパン(フォカッチャ、パネトーネ等)、ベルギーパン(ワッフル等)、中近東パン(ナン、ピタパン等)等のパン;イーストドーナツ等の発酵菓子、などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
ケーキ類としては、例えば、スポンジケーキ、ホットケーキ、カステラなどが挙げられるが、これらに限定されない。ケーキ類の中でも、ベーキングパウダーや重曹等を用いて、中に気泡構造を有するものが好ましい。
【0016】
ベーカリー食品の中でも、気泡構造がしっかりとしている点で、パン類が好ましい。
【0017】
ベーカリー食品の厚み、形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、パン類を用いる場合には、クラムのみを用いてもよいし、クラストのみを用いてもよいし、両者を用いてもよい。
【0018】
-ゲル化液-
ゲル化液は、ゲル化剤を分散させた液状のものである。
【0019】
ゲル化剤としては、特に制限はなく、食品に用いられるものを適宜選択することができ、例えば、増粘多糖類、ゼラチンなどが挙げられる。
増粘多糖類としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、寒天、ペクチン、アルギン酸類、キサンタンガム、グァーガム、カラギーナンなどが挙げられる。
ゲル化剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ゲル化剤の中でも、ゲル化液がゲル化する前にベーカリー食品に浸透しやすく、ムラができにくい点で、ゼラチンが好ましい。
ゲル化剤は、市販品を用いてもよいし、適宜調製したものを用いてもよい。
【0020】
前記ゲル化剤の前記ゲル化液における含有量としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、0.5~5質量%が好ましい。前記ゲル化剤のゲル化液における含有量が好ましい範囲内であると、ゲル化液がベーカリー食品に浸透しやすく、また、ベーカリー食品含有食品の食感がより優れる点で、有利である。
【0021】
ゲル化液に用いる原料としては、目的とするベーカリー食品含有食品の味などに応じて適宜選択することができ、例えば、飲料(ジュース、コーヒー、紅茶等)、水、コンソメスープ、卵スープ、中華スープ、ポタージュ、果汁、糖類、香料などが挙げられる。ゲル化液に用いる原料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ゲル化液に用いる各原料の量としては、特に制限はなく、適宜選択することができる。
【0022】
前記ゲル化液の使用量としては、ベーカリー食品100質量部に対し、ゲル化液を200~1,000質量部用いる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、300~800質量部が好ましい。前記ゲル化液の使用量が、ベーカリー食品100質量部に対して、200質量部未満であると、ゲル化液がベーカリー食品の量に対して十分でなく、全体に浸透しない恐れがあり、1,000質量部を超えると、ゼリー部分が多く、パンとゲル化液が一体となった箇所が相対的に少なくなってしまい、本発明の効果が奏される可食場所が相対的に少なくなってしまう恐れがある。
【0023】
-容器-
前記容器の厚み、形状、構造、大きさ、材質としては、特に制限はなく、適宜選択することができる。
前記容器としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、可撓性を有する容器、剛性が高い容器などが挙げられる。
これらの中でも、可撓性を有する容器が、食品の食べやすさの観点から、好ましい。
可撓性を有する容器としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、パウチ容器などが挙げられる。
【0024】
-充填、脱気包装-
前記ゲル化液は、前記ベーカリー食品とともに前記容器に充填される。
なお、前記ゲル化液と前記ベーカリー食品を容器に充填する順序としては、特に制限はなく、適宜選択することができる。また、両者を同時に充填してもよい。
充填の際には、気泡が生じないように充填することが好ましい。
【0025】
前記脱気包装の方法としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、市販の真空包装機などを用いて実施することができる。
前記脱気包装をすることで、後述の加熱工程において、容器の膨張を防ぐことができ、容器を含めた食品の外観に悪影響が出ることを抑えることができる。
脱気の程度としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、後述する加熱工程において、気泡が膨張することにより、食品に損傷が生じたり、容器自体が破裂したりすることを防げる程度に脱気することが好ましい。
【0026】
<冷却工程>
冷却工程は、脱気包装した食品を冷却し、ゲル化液をゲル化させる(固める)工程である。
前記冷却の条件としては、ゲル化液を固めることができれば、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、ゲル化剤のゲル化温度よりも低い温度で冷却するなどが挙げられる。
前記冷却に用いる手段としては、特に制限はなく、公知の手段を適宜選択することができる。
【0027】
<その他の工程>
その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、加熱工程、冷凍工程などが挙げられる。
【0028】
-加熱工程-
加熱工程は、脱気包装工程と冷却工程との間に、脱気包装した食品を加熱する工程である。
前記加熱工程を行うことにより、前記ベーカリー食品へ前記ゲル化液をより均一に浸透させることができ、ゲルが食品全体にいきわたる。また、殺菌という側面もあり、得られた食品を日持ちさせることができる。そのため、前記加熱工程を行うことが好ましい。
【0029】
前記加熱の条件としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、品温が80℃以上の環境中で10分間以上加熱することが好ましい。
前記加熱に用いる手段としては、特に制限はなく、公知の手段を適宜選択することができる。
【0030】
-冷凍工程-
冷凍工程は、冷却工程後の食品を冷凍する工程である。
ベーカリー食品含有食品を冷凍状態にすることで、アイスやシャーベットのような食感の食品とすることができる。
【0031】
前記冷凍の条件としては、特に制限はなく、適宜選択することができる。
前記冷凍に用いる手段としては、特に制限はなく、公知の手段を適宜選択することができる。
【0032】
本発明の製造方法により製造されるベーカリー食品含有食品は、ベーカリー食品の内相、特に気泡部分の一部ないし全体にゲル化液が浸透することで、ベーカリー食品とゲルが一体となった良好な食感を呈する。
なお、ベーカリー食品含有食品は、ベーカリー食品とゲルとが一体となった部分を少なくとも含んでいればよく、例えば、ゲルのみからなる部分を含んでいてもよい。
【0033】
ベーカリー食品含有食品の厚み、形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、片手で持って喫食できるスティック状などが挙げられる。
【0034】
ベーカリー食品含有食品は、ゲルが保持できる程度の温度で流通することがきる。使用するゲル化剤の種類にもよるが、例えば、ゼラチンの場合は、比較的低温流通が好適である。
また、製造したベーカリー食品含有食品は、そのまま(ゼリー状のまま)喫食してもよいし、冷凍して冷凍状態のまま喫食することもできるし、冷凍した食品を自然解凍して食べることもできる。
【実施例0035】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0036】
(実施例1)
<ゲル化液の調製>
下記組成のゲル化液ベースを沸騰させ、アクを取り除いた後、粉末ゼラチン(NITTA CLASSICS ゴールド、新田ゼラチン株式会社製)2.5質量部と水10質量部(ゼラチンに吸水させたもの)を加え、分散させた。
[ゲル化液ベース]
・ ぶどうジュース ・・・ 100質量部
・ 砂糖 ・・・ 7質量部
・ 香料 ・・・ 0.2質量部
【0037】
<脱気包装工程>
食パン(24mmスライスを1/4カットしたもの)18gと、ゲル化液90gとをポリエチレン袋に充填し、脱気包装した。なお、脱気包装には、装置名:FOOD SHIELD(販売会社:ジェネテック合同会社)を用い、後述の加熱工程で容器自体が破裂するのを防げる程度に脱気した。
【0038】
<加熱工程>
包装した食品を、スチームコンベクションオーブンを用いて、85℃で20分間加熱した。
【0039】
<冷却工程>
加熱工程の後、冷蔵(0~10℃)保管し、ゼリー状のベーカリー食品含有食品を製造した。
【0040】
(実施例2)
ゲル化液ベースに、寒天(粉末寒天、松木寒天産業製)1.2質量部を加えた以外は、実施例1と同様にしてゲル化液を調製した。
上記ゲル化液を用いた以外は実施例1と同様にして、脱気包装工程、加熱工程、及び冷却工程を行い、ゼリー状のベーカリー食品含有食品を製造した。
【0041】
(実施例3)
ゲル化液ベースに、ペクチン(ペクチンHM、ユニテックフーズ製)2.0質量部を加えた以外は、実施例1と同様にしてゲル化液を調製した。
上記ゲル化液を用いた以外は実施例1と同様にして、脱気包装工程、加熱工程、及び冷却工程を行い、ゼリー状のベーカリー食品含有食品を製造した。
【0042】
(比較例1)
実施例1と同様にしてゲル化液を調製した。
食パン(24mmスライスを1/4カットしたもの)18gと、ゲル化液90gとを鍋に入れ、10分間加熱した後、パウチ袋に充填した。
その後、冷蔵(0~10℃)保管し、ゼリー状のベーカリー食品含有食品を製造した。
【0043】
(実施例4)
加熱工程を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、ゼリー状のベーカリー食品含有食品を製造した。
【0044】
(比較例2)
脱気包装工程において、ポリエチレン袋に充填するゲル化液の量を20gとした以外は、実施例1と同様にして、ゼリー状のベーカリー食品含有食品を製造した。
【0045】
(実施例5)
脱気包装工程において、ポリエチレン袋に充填するゲル化液の量を40gとした以外は、実施例1と同様にして、ゼリー状のベーカリー食品含有食品を製造した。
【0046】
(実施例6)
脱気包装工程において、ポリエチレン袋に充填するゲル化液の量を50gとした以外は、実施例1と同様にして、ゼリー状のベーカリー食品含有食品を製造した。
【0047】
(実施例7)
脱気包装工程において、ポリエチレン袋に充填するゲル化液の量を150gとした以外は、実施例1と同様にして、ゼリー状のベーカリー食品含有食品を製造した。
【0048】
<評価>
-食感-
24時間冷蔵保管した後の実施例1~7及び比較例1~2のベーカリー食品含有食品の食感について、10名の訓練された評価者が下記評価基準で評価した。平均点を表1に記載した。なお、本評価では、パンとゼリーの両方を含む部位を喫食した際の食感を評価した。
[評価基準]
5点 : パンとゼリーが一体となった食感であり、非常に良好である。
4点 : パンとゼリーがなじんだ食感であり、良好である。
3点 : パンとゼリーがややなじんだ食感で、やや良好である。
2点 : パンの膨潤が進む、あるいはゼリーの浸透がやや足りず、パンとゼリーの食感の一体感にかける。
1点 : パンの膨潤が非常に進む、あるいはゼリーの浸透が足りず、パンとゼリーの食感に一体感を感じない。
なお、「パンの膨潤」とは、パンそのものの中に水が過度に浸透してふやけてしまい、食感が変質してしまう状態をいう。
【0049】
-空気の膨張-
加熱工程における空気の膨張について、下記評価基準で評価した。結果を表1に記載した。
[評価基準]
◎ : 加熱による空気の膨張がほとんど生じない。
○ : 加熱による空気の膨張が若干生じている。
× : 加熱による空気の膨張が顕著である。
【0050】
【表1】
【0051】
(実施例8)
実施例1で得られたゼリー状のベーカリー食品含有食品を冷凍させた。これを冷凍状態のまま喫食したところ、アイスやシャーベットのような非常に良好な食感であった。
【0052】
以上のように、本発明の製造方法によれば、ベーカリー食品とゼリーとが一体化し、良好な食感を有する新たな食品を製造できることが確認された。