(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042524
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】無縫製製品の製造装置
(51)【国際特許分類】
A41H 43/04 20060101AFI20240321BHJP
A41H 43/00 20060101ALI20240321BHJP
A41H 43/02 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
A41H43/04 A
A41H43/00 A
A41H43/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147302
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大和 亮介
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 晃一
(72)【発明者】
【氏名】小宮 聡一郎
(57)【要約】
【課題】生地の接着面の品質改善と製造工程の効率化を図ることができる無縫製製品の製造装置を提供する。
【解決手段】接着剤を用いた生地同士の接着による無縫製製品の製造装置であって、
作業台が設置される基台と、前記基台の上方側に配置されて、前記作業台の上方側から接着剤の塗布が可能な塗布装置と、前記基台の上方側に配置されて、前記作業台の上方側から前記作業台の上面の加圧が可能な加圧装置と、前記作業台と前記基台との間に設けられ、アクチュエータの駆動により前記基台に対して作業台をスライド移動させるスライド機構と、前記アクチュエータの駆動を制御する駆動制御装置と、を備え、前記駆動制御装置は、前記塗布装置の下方側に前記作業台が配置される第1作業位置と前記加圧装置の下方側に前記作業台が配置される第2作業位置との間で前記作業台をスライド移動させる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤を用いた生地同士の接着による無縫製製品の製造装置であって、
作業台が設置される基台と、
前記基台の上方側に配置されて、前記作業台の上方側から接着剤の塗布が可能な塗布装置と、
前記基台の上方側に配置されて、前記作業台の上方側から前記作業台の上面の加圧が可能な加圧装置と、
前記作業台と前記基台との間に設けられ、アクチュエータの駆動により前記基台に対して作業台をスライド移動させるスライド機構と、
前記アクチュエータの駆動を制御する駆動制御装置と、を備え、
前記駆動制御装置は、前記塗布装置の下方側に前記作業台が配置される第1作業位置と前記加圧装置の下方側に前記作業台が配置される第2作業位置との間で前記作業台をスライド移動させる、無縫製製品の製造装置。
【請求項2】
前記駆動制御装置は、
前記塗布装置による接着剤の塗布工程を開始に伴って前記作業台を第1位置に配置し、所定の時間経過後に前記作業台を第1作業位置から第2作業位置へと自動で移動させる、請求項1に記載の無縫製製品の製造装置。
【請求項3】
前記駆動制御装置は、
前記加圧装置による加圧工程の終了に伴って、前記作業台を第2作業位置から再び第1作業位置へと移動させる、請求項2に記載の無縫製製品の製造装置。
【請求項4】
前記塗布装置は熱可塑性ポリマーを主成分とするホットメルト接着剤を塗布可能に構成され、
前記加圧装置は熱を加えながら加圧する、請求項1~請求項3の何れか1項に記載の無縫製製品の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無縫製製品の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インナー、スポーツウェア等の衣類において、接着剤を用いた生地同士の接着により製造される無縫製製品が注目されている。これらの無縫製製品では、ディスペンサに代表される塗布装置を用いて生地に接着剤を塗布し、生地の位置合わせをした後、圧着することで製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開WO2020/049679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この従来の方法では、接着剤を塗布面に生地を重ね合わせる前処理工程と、プレス機などを用いて接着剤と生地の重ね合わせ部分を本圧着させる工程とが独立した工程として扱われることが一般的である。従って、工場などで行われる製造工程では、前処理工程の後、本圧着工程の作業場まで生地を運搬する作業か必要となるため、製造工程の効率化という点から改善が期待されていた。また、従来の方法では、接着剤を塗布してから圧着するまでの時間が都度異なるため、接着剤の染み込み具合に差が生じ、伸縮性がばらつく(品質不良)といった課題があり、生地の接着面の品質の改善が期待されていた。
【0005】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、生地の接着面の品質改善と製造工程の効率化を図ることができる無縫製製品の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1>
接着剤を用いた生地同士の接着による無縫製製品の製造装置であって、
作業台が設置される基台と、
前記基台の上方側に配置されて、前記作業台の上方側から接着剤の塗布が可能な塗布装置と、
前記基台の上方側に配置されて、前記作業台の上方側から前記作業台の上面の加圧が可能な加圧装置と、
前記作業台と前記基台との間に設けられ、アクチュエータの駆動により前記基台に対して作業台をスライド移動させるスライド機構と、
前記アクチュエータの駆動を制御する駆動制御装置と、を備え、
前記駆動制御装置は、前記塗布装置の下方側に前記作業台が配置される第1作業位置と前記加圧装置の下方側に前記作業台が配置される第2作業位置との間で前記作業台をスライド移動させる、無縫製製品の製造装置。
<2>
前記駆動制御装置は、
前記塗布装置による接着剤の塗布工程を開始に伴って前記作業台を第1位置に配置し、所定の時間経過後に前記作業台を第1作業位置から第2作業位置へと自動で移動させる、<1>に記載の無縫製製品の製造装置。
<3>
前記駆動制御装置は、
前記加圧装置による加圧工程の終了に伴って、前記作業台を第2作業位置から再び第1作業位置へと移動させる、<2>に記載の無縫製製品の製造装置。
<4>
前記塗布装置は熱可塑性ポリマーを主成分とするホットメルト接着剤を塗布可能に構成され、
前記加圧装置は熱を加えながら加圧する、<1>~<3>の何れか1つに記載の無縫製製品の製造装置。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、生地の接着面の品質改善と製造工程の効率化を図ることができる無縫製製品の製造装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る無縫製製品の製造装置を示す正面図である。
【
図2】第1実施形態に係る無縫製製品の製造装置を一部切り欠いて示す側面図である。
【
図4】駆動制御装置によって実行される駆動制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】第1実施形態に係る製造装置の動作を模式的に示す平面図であり、(A)は接着剤の塗布工程を示しており、(B)は生地の折り返し工程を示しており、(C)は作業台が第1作業位置から第2作業位置へと移動する工程を示しており、(D)は加圧工程を示している。
【
図6】第2実施系形態に係る縫縫製製品の製造装置を示す側面図である。
【
図7】第2実施形態に係る製造装置の動作を模式的に示す平面図であり、(A)第1作業位置における接着剤の塗布工程を示しており、(B)は生地の折り返し工程を示しており、(C)は第2作業位置における加圧工程を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について説明する。但し、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本開示を制限するものではない。
本開示において「層」との語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構成に加え、一部に形成されている形状の構成も包含される。また、本明細書において「層」を「膜」と称することがある。
本開示において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。なお、本実施形態では、説明の便宜上、各図中に適宜示す矢印FR、矢印UP及び矢印LHで示す方向を、それぞれ、無縫製製品の製造装置10の前方側、上方側及び左方側と定義して説明する。
【0010】
(全体概要)
図1は、本開示に係る無縫製製品の製造装置10(以下、単に「製造装置10」と称する。)の一実施形態を模式的に示す正面図である。この図に示されるように、製造装置10は、作業台30が設置される基台12と、作業台30の上方側から接着剤の塗布が可能な塗布装置と、作業台30の上方側から前記作業台の上面の加圧が可能な加圧装置52と、を含んでいる。
【0011】
基台12は、作業台30が設置される天板14と、天板14を支持する脚部16を備え、テーブル状に構成されている。この基台12は、左方、右方、上方、後方がカバー体18によって覆われており、基台12の上の作業台30には、装置の正面側からのアクセスが許可されている。また、カバー体18の上面には、カバー体18の内部の作業空間の熱を排出するための排熱ファン19が設けられており、後述する加圧装置52による熱が作業空間に滞留することを抑制する。
【0012】
基台12の天板14と作業台30との間には、基台12に対して作業台30をスライド移動させるスライド機構20が設けられている。このスライド機構20は、装置前後方向に延在するとともに天板14に固定されたロアレール22と、ロアレール22にスライド可能に支持されると共に、作業台30に固定されたアッパレール24と、を有している。スライド機構20は、例えば、電動モータを駆動源とする第1アクチュエータ32(
図3)の駆動力により、ロアレール22に対してアッパレール24を摺動させる。これにより、基台12に対して作業台30をスライド移動させることができる。
【0013】
塗布装置40は、基台12の天板14に設置された支持体42に支持されて基台12の上方側に配置されている。支持体42は、作業台30を挟んで天板14の左右両側部から上方側に立設された一対の支持脚部44と、一対の支持脚部44に架け渡されると共に塗布装置40のノズル48を左右方向に摺動可能に支持するレール部46を有している。
【0014】
塗布装置40は、公知のディスペンサに代表される接着剤塗布装置で構成されており、作業台30に対向して設けられノズル48を有している。ノズル48は、図示しないエア式シリンジの先端に取り付けられており、シリンジ内には、加熱により溶融した接着剤が充填されている。シリンジに所定の空気圧を付与することで、ノズル48の先端から所望の位置に接着剤が吐出されるように構成されている。
【0015】
本実施形態の一例では、電動モータを駆動源とする第2アクチュエータ34(
図3参照)の駆動力により、支持体42のレール部46に対してノズルが摺動する構成となっている。
【0016】
なお、ノズル48から吐出される接着剤は、熱可塑性ポリマーを主成分とするホットメルト接着剤で構成することができ、好ましくは、反応型ホットメルト接着剤で構成される。反応型ホットメルト接着剤は、湿気、光等によって3次元架橋構造を形成するため、耐熱性及び接着強度を向上させる点において好適である。本実施形態では、一例として、ウレタンプレポリマーを含む湿気硬化型ホットメルト接着剤によって接着剤が構成されている。
【0017】
本実施形態では、ノズル48から吐出した接着剤で生地50上にドット状のパターンを形成し接着剤層を形成する。なお、接着剤の塗布パターンは、本実施形態の例で限定されるものではなく例えばビード状やジグザグ状などでもあってもよい。このように、本開示において「生地上に形成される接着剤層」には、生地50上に連続して接着剤を塗布して形成される接着剤層と、生地50上に不連続に接着剤を塗布して形成される接着剤層の両方が含まれる。また、生地50上に連続して接着剤を塗布する場合であっても、直線状に塗布される場合に限定されず各種の軌跡に沿って塗布することが可能である。
【0018】
加圧装置52は、一例として、公知の熱プレス機で構成される。加圧装置52は、柱状のロッド52Aと、ロッド52Aの下端部に取り付けられるプレス板52Bと、を含んで構成される。ロッド52Aは、電動モータを駆動源とする第3アクチュエータ36(
図3参照)に連結され、第3アクチュエータ36の駆動力によって上下に駆動する。プレス板52Bは、図示しないヒータによって加圧面が加熱され、ロッド16Aの駆動により、作業台30の上に設置された生地50を挟んで加圧する。これにより、接着剤層が軟化して、その後、硬化することにより生地同士の接着面を圧着させることができる。
【0019】
上記構成の製造装置10では、接着剤を用いた生地同士の接着による無縫製製品を製造することができる。なお、ここでいう「無縫製製品」とは、製品中の生地の接合部の一部が無縫製により接合された製品と、製品中の生地の接合部の全てが無縫製により接合された製品と、を含む広い概念である。
【0020】
本開示に係る製造工程では、塗布装置40を用いて生地50上に接着剤を塗布する塗布工程が行われる。その後、生地50の折り畳み工程により、接着剤層の上に更に生地50を重ねられ、生地同士の重なり部を加圧装置52によって加圧する圧着工程が行われる。この際、後述する駆動制御装置60の制御により、第1アクチュエータ32の駆動が制御され、作業台30の位置を各工程の作業に好適な位置に移動させる。以下、駆動制御装置60の構成と、無縫製製品の製造工程について詳細に説明する。
【0021】
(駆動制御装置60のハードウェア構成)
図3は、駆動制御装置60のハードウェア構成を示すブロック図である。この図に示されるように、駆動制御装置60は、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)62、ROM(Read Only Memory)64、RAM(Random Access Memory)66、ストレージ68、通信インタフェース70及び入出力インタフェース72を含んで構成されている。各構成は、バス74を介して相互に通信可能に接続されている。
【0022】
CPU62は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU62は、ROM64又はストレージ68からプログラムを読み出し、RAM66を作業領域としてプログラムを実行する。
【0023】
ストレージ68は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。
【0024】
通信インタフェース70は、CPU62が外部サーバや他の機器と通信するためのインタフェースであり、例えば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)などの規格が用いられる。
【0025】
入出力インタフェース72は、駆動制御装置60に外部装置を接続するためのインタフェースであり、本実施形態では、スライド機構20のアッパレール24を可動させる第1アクチュエータ32、塗布装置40のノズル48を可動させる第2アクチュエータ34、加圧装置52のロッド52Aを可動させる第3アクチュエータ36、及び、製造装置10を使用する作業者の操作を受け付けるための操作部38が接続されている。
【0026】
(駆動制御装置60の機能構成)
駆動制御装置60は、機能構成として、操作受付部80と、駆動制御部82を有する。これらの機能は、上述したハードウェア資源を用いて実現される。即ち、各機能構成は、CPU62がROM54又はストレージ58に記憶されたプログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0027】
操作受付部80は、装置の作業者が操作部38に対して入力した操作情報を受け付ける。
【0028】
駆動制御部82は、操作受付部80で受け付けられた操作情報に基づいて第1アクチュエータ32、第2アクチュエータ34及び第3アクチュエータ36を駆動させ、縫製製品の製造工程を実施する機能を有する。
【0029】
以下、駆動制御部82の制御により実施される縫製製品の製造工程の一例を
図4に示すフローチャートと
図5を参照して説明する。
図4のフローチャートによって示される駆動制御処理の各ステップは、CPU62がROM64又はストレージ68からプログラムを読み出して、RAM66に展開して実行することによって行われる。
【0030】
駆動制御処理は、作業者の手によって作業台30の上に生地50が設置された後、操作部38で開始操作が受け付けられることにより、開始する。
【0031】
開始操作が受け付けられると、ステップS101で、生地に接着剤が塗布される(接着工程)。具体的に、CPU62は、塗布装置40のシリンジに所定の空気圧を付与することで、ノズル48の先端から接着剤を吐出する。この際、CPU62は、第1アクチュエータ32と第2アクチュエータ34を駆動させ、作業台30に対して、ノズル48を左右前後方向に相対移動させる。ノズル48の移動軌跡は、予めプログラムされた生地50上の接着ラインに沿った軌跡となっている。
【0032】
なお、
図5(A)に示されるように、この接着工程では、作業台30は、塗布装置40のノズル48の下方側の第1作業位置S1に配置されている。この第1作業位置S1では、作業台30が基台12の前端側に配置され作業者の立ち位置に最も近接する。
【0033】
続くステップS102で、CPU62は、タイマーを起動させる。この際、作業台30の上では、作業者の手作業により、塗布装置40によって形成された接着剤層の上に更に、生地50の端部が重ねられる(
図5(B)参照)。に図示された構成では、生地50の端部が作業者の手によって折り返され、接着剤層に重ねられている(折り返し工程)。但し、別々に裁断された2枚の生地を重ね合わせる工程としてもよい。
【0034】
ステップS103で、CPU62は、所定の時間T1が経過したか否かを判断する。CPU62は、タイマーを起動させてから時間T1が経過したと判断した場合、ステップS104の処理に進む。一方でタイマーを起動させてから時間T1が経過していないと判断した場合、ステップS103の処理に戻る。
【0035】
ステップS104で、CPU62は、作業台30基台12の後方側にスライド移動させ、加圧装置52の下方側の第2作業位置S2へと移動させる(
図5(C)参照)。この第2作業位置S2は、基台12の正面側(前方側)の作業者の立ち位置から最も離間した位置となっている。
【0036】
ステップS105で、CPU62は、第3アクチュエータ36を駆動させ、作業台30の上方側から加圧装置52によって生地50を加圧する(加圧工程)。この際、熱可塑性ポリマーを主成分とする接着剤層が加熱によって軟化し、生地50に浸潤する。その後、接着剤層が硬化することにより、生地50同士が接合される。
【0037】
ステップS105の処理が終了した後、続くステップS106で、CPU62は、第1アクチュエータ32を駆動させて、作業台30を第2作業位置S2から第1作業位置S1へとスライド移動させ、駆動制御処理を終了する。
【0038】
なお、上記ステップS101~ステップS106の処理を複数回繰り返すことにより、生地50を複数回折返して複数個所を接合して製造される多種多様な無縫製製品を製造することができる。
【0039】
(作用並びに効果)
上記のステップS102~S105の工程により、作業台へ生地を設置する設置工程、接着剤の塗布工程、生地の折返し工程、生地の加圧工程を一つの作業台30の上で一連の動作として行うことができる。これにより、複数の工程を独立した工程に分けて製造する場合と比較して、製造工程の効率化を図ることができる。
【0040】
また、繰り返し行われる製造工程において、生地50に接着剤が塗布される塗布工程から生地50同士を熱圧着させる加圧工程までの作業時間を一律に管理することができる。このため、生地50に対する接着剤の浸潤度合いのばらつきを抑制することができ、接合面の品質を改善させることができる。
【0041】
また、本実施形態の製造装置10では、作業台30が第2作業位置S2に移動され、加圧工程が完了した後、再び、第1作業位置S1に戻るため、作業者が作業中の位置を移動せずに繰り返し作業を行うことができるため、作業負担を軽減させることができる。
【0042】
また、本実施形態の製造装置10では、塗布装置40によって塗布される接着剤が熱可塑性ポリマーを主成分とするホットメルト接着剤で構成されており、生地50の接着面は、熱プレス機による加圧装置52により、熱を加えながら加圧される。このため、従来の工程では、接着剤の塗布後に生地同士を仮圧着させる工程行い、仮圧着した生地を熱プレス機まで運搬し、本圧着工程の処理が行われていた。しかし、本開示の製造装置10では、これらの工程を一度の加圧工程により完了させることができるため、製造工程を効率化させることができる。
【0043】
[第2実施形態]
以下、
図6及び
図7を参照して、第2実施形態に係る無縫製製品の製造装置90について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。第2実施形態に係る製造装置90では、スライド機構20のロアレール22の軌道に沿って基台92の天板94が長尺状に延在している。そして塗布装置40と加圧装置52は、軌道に沿って間隔を設けて配置されており、塗布装置40の下方側の第1作業位置S1と加圧装置52の下方側の第2作業位置S2の間に記事の折り返し工程を行う中間作業位置SMを有している。
【0044】
図6に示すように、スライド機構によりロアレール22に沿って移動する作業台30は、製造工程が開始されると、第1作業位置S1、中間作業位置SM、第2作業位置S2を移動し、各作業位置で対応する工程の作業が行われる。
【0045】
具体的に、
図7(A)に示すように、製造工程が開始されると、塗布装置40の下方側の第1作業位置S1で作業台に生地50が設置され、ノズル48から吐出される接着剤により接着剤層が形成される。この塗布工程が終了すると、
図7(B)に示すように、作業台30が第1作業位置S1から中間作業位置SMへと移動し、生地50の折り返し工程が行われる。生地50の折り返し工程が完了すると、作業台30は、中間作業位置SMから第2作業位置S2へと移動し、加圧装置52による加圧工程が行われる(
図7(C))。
【0046】
各作業位置への移動は、予め設定されたタイミングに基づいて自動で行われる。これにより、本実施形態においても接着剤の塗布工程から生地の加圧工程までを一連の作業として行うことができる。なお、
図7に図示した構成では、作業者Pが作業台30の移動に追従して作業位置を移動するように記載されているが、これに限らず、各作業位置に別々の作業者が待機して、複数人の分業により製造工程を遂行してもよい。
【0047】
また、図示された構成では、作業台30が直線状の軌道上を移動する構成となっているが、これに限らない。例えば、環状の軌道上を作業台がスライド移動する構成としてもよい。この場合、環状の軌道上に沿って、生地の設置、接着剤の塗布、生地の折り返し、及び接着面の加圧を行う各工程の作業位置を設けることができ、加圧工程の終了時に作業台が初期位置へと戻るように構成することができる。かかる場合、作業者の移動量を少なくすることができるため、作業負担を軽減させる点において好適である。
【0048】
[補足説明]
上記本開示の各実施形態について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、上記各実施形態では、作業台30の作業位置の移動が自動で行われる構成としたが、作業者の操作により、作業台30の位置を変更できる構成としてもよい。
【0049】
さらに、上記実施形態でCPU62がプログラムを読み込んで実行した処理を、CPU62以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、上記処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせで実行してもよく、例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0050】
さらに、上記実施形態では、ストレージ68に種々のデータを記憶させる構成としたが、これに限定されない。例えば、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の非一時的記録媒体を記憶部としてもよい。この場合、これらの記録媒体に各種プログラム及びデータなどが格納されることとなる。
【符号の説明】
【0051】
10 製造装置
12 基台
20 スライド機構
30 作業台
32 第1アクチュエータ(アクチュエータ)
40 塗布装置
50 生地
52 加圧装置
60 駆動制御装置
90 製造装置
92 基台
S1 第1作業位置
S2 第2作業位置