(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042716
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】布類又は紙類汚染防止材料
(51)【国際特許分類】
C09K 3/00 20060101AFI20240322BHJP
【FI】
C09K3/00 S ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021017830
(22)【出願日】2021-02-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂田 瑞希
(57)【要約】
【課題】布類や紙類表面に膜形成することにより汚染物質の付着を防止し、当該物質による布類及び紙類表面の汚染を防止する新たな材料を提供すること。
【解決手段】炭素原子数10乃至24の脂肪族基からなる脂質部に、少なくとも2つ以上の同一の又は異なるアミノ酸の繰り返しにより形成されたペプチド部が結合された脂質ペプチド型化合物を含有することを特徴とする、布類又は紙類の表面に汚染防止膜を形成することができる、汚染防止材料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素原子数10乃至24の脂肪族基からなる脂質部に、少なくとも2つ以上の同一の又は異なるアミノ酸の繰り返しにより形成されたペプチド部が結合された脂質ペプチド型化合物を含有することを特徴とする、布類又は紙類の表面への物質の付着を防止する、汚染防止材料。
【請求項2】
前記物質が、塵埃、花粉、粒子状物質、ダニ(死骸を含む)、ガス状物質、又は臭気物質である、請求項1に記載の汚染防止材料。
【請求項3】
前記脂質ペプチド型化合物が、下記式(1)乃至式(3)で表される化合物又はその薬学的に使用可能な塩のうちの少なくとも一種からなることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の汚染防止材料。
【化1】
(式中、R
1は炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、R
2は水素原子、又は炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基を表し、R
3は-(CH
2)
n-X基を表し、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、-CONH
2基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環基若しくは6員環基又は5員環と6員環から構成される縮合複素環基を表す。)
【化2】
(式中、R
4は炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、R
5乃至R
7はそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基、又は-(CH
2)
n-X基を表し、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、-CONH
2基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環基若しくは6員環基又は5員環と6員環から構成される縮合複素環基を表す。)
【化3】
(式中、R
8は炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、R
9乃至R
12はそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基、又は-(CH
2)
n-X基を表し、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グア
ニジノ基、-CONH
2基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環基若しくは6員環基又は5員環と6員環から構成される縮合複素環基を表す。)
【請求項4】
さらにアルコールを含む、請求項1乃至請求項3のうち何れか一項に記載の汚染防止材料。
【請求項5】
布類又は紙類の表面に被膜を形成することで、物質の付着を防止する、請求項1乃至請求項4のうち何れか一項に記載の汚染防止材料。
【請求項6】
膜表面に粗さを有し、平均表面粗さが3nm乃至500nmである請求項5に記載の汚染防止材料。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のうち何れか一項に記載の汚染防止材料からなる膜を布類表面又は紙類表面に形成する膜形成工程を含む、布類表面又は紙類表面の汚染を防止する方法。
【請求項8】
汚染防止材料がアルコールを含む場合に、アルコールを揮発させる工程を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
請求項1乃至請求項6のうち何れか一項に記載の汚染防止材料からなる膜を布類表面又は紙類表面に形成する膜形成工程を含む、布類表面又は紙類表面の汚染物質の付着を防止する方法。
【請求項10】
汚染防止材料がアルコールを含む場合に、アルコールを揮発させる工程を含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚染防止材料に関し、詳細には、布類又は紙類の表面に膜形成することにより、塵埃や花粉、粒子状物質等の付着を防止する材料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、花粉等のアレルゲンやPM2.5等の微小粒子状物質などの有害物質への関心が高まっており、それらが人体に取り込まれるのを防止するべく、マスクをはじめ種々の製品が開発されている。
そうした製品の一つとして、噴霧等により体や衣服等への有害物質の付着の防止を図った製品が提案されている。例えば特定の両性イオン基やアニオン基を有するモノマーユニットを構成単位として含むポリマーを含有する花粉吸着防止剤(特許文献1)や、ヒドロキシアルキルキトサンを含有する有害物質付着防止剤(特許文献2)等の提案がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4562585号公報
【特許文献2】特許第6198799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これまで、ポリペプチドを用いたゲル状物質により、布類や紙類表面への塵埃や花粉、粒子状物質等の付着を防止する材料についての報告はない。
本発明の目的は、布類又は紙類表面に膜形成することにより汚染物質の付着を防止し、当該物質による布類及び紙類表面の汚染を防止する新たな材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、少なくとも1種の脂質ペプチド型化合物を含有する材料が、布類や紙類表面に膜形成することにより汚染物質の付着を防止することを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち本発明は、第1観点として、炭素原子数10乃至24の脂肪族基からなる脂質部に、少なくとも2つ以上の同一の又は異なるアミノ酸の繰り返しにより形成されたペプチド部が結合された脂質ペプチド型化合物を含有することを特徴とする、布類又は紙類の表面への物質の付着を防止する、汚染防止材料。
第2観点として、前記物質が、塵埃、花粉、粒子状物質、ダニ(死骸を含む)、ガス状物質、又は臭気物質である、第1観点に記載の汚染防止材料。
第3観点として、前記脂質ペプチド型化合物が、下記式(1)乃至式(3)で表される化合物又はその薬学的に使用可能な塩のうちの少なくとも一種からなることを特徴とする、第1観点又は第2観点に記載の汚染防止材料。
【化1】
(式中、R
1は炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、R
2は水素原子、又は炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基を表し、R
3は-(CH
2)
n-X基を表し、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、-CONH
2基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環基若しくは6員環基又は5員環と6員環から構成される縮合複素環基を表す。)
【化2】
(式中、R
4は炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、R
5乃至R
7はそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基、又は-(CH
2)
n-X基を表し、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、-CONH
2基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環基若しくは6員環基又は5員環と6員環から構成される縮合複素環基を表す。)
【化3】
(式中、R
8は炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、R
9乃至R
12はそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基、又は-(CH
2)
n-X基を表し、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、-CONH
2基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環基若しくは6員環基又は5員環と6員環から構成される縮合複素環基を表す。)
第4観点として、さらにアルコールを含む、第1観点乃至第3観点のうち何れか一項に記載の汚染防止材料。
第5観点として、布類又は紙類の表面に被膜を形成することで、物質の付着を防止する、第1観点乃至第4観点のうち何れか一項に記載の汚染防止材料。
第6観点として、膜表面に粗さを有し、平均表面粗さが3nm乃至500nmである第5観点に記載の汚染防止材料。
第7観点として、第1観点乃至第6観点のうち何れか一項に記載の汚染防止材料からなる膜を布類表面又は紙類表面に形成する膜形成工程を含む、布類表面又は紙類表面の汚染を防止する方法。
第8観点として、汚染防止材料がアルコールを含む場合に、アルコールを揮発させる工程を含む、第7観点に記載の方法。
第9観点として、第1観点乃至第6観点のうち何れか一項に記載の汚染防止材料からなる膜を布類表面又は紙類表面に形成する膜形成工程を含む、布類表面又は紙類表面の汚染物質の付着を防止する方法。
第10観点として、汚染防止材料がアルコールを含む場合に、アルコールを揮発させる工程を含む、第9観点に記載の方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、特定の脂質ペプチド型化合物を含有する汚染防止材料により、布類又
は紙類の表面に膜形成することにより、塵埃や花粉、粒子状物質等の付着を防止し、これら物質による布類又は紙類の汚染を防止することができる。
また本発明によれば、前記汚染防止物質により塵埃や花粉、粒子状物質等の付着を防止できることから、これら物質が引き起こし得る皮膚刺激等を抑制し、炎症・酸化・皮膚老化といったトラブルを回避できる。
更に本発明によれば、花粉やPM2.5等の微小粒子状物質の付着を防止できることから、これらを布類や紙類に付着したまま移動するなどによって起こり得る汚染物質の家屋等への持ち込みや、これら物質の吸引等を予防でき、これら物質によるアレルギー症状等の発生の抑制を期待できる。
そして本発明によれば、タバコの煙や臭気物質等の不快な匂いの布類や紙類表面への付着を防止することができる。
また本発明の汚染防止材料に用いられる脂質ペプチド型化合物は、脂質とペプチドのみから構成される非常に安全性の高い人工低分子化合物である。そのため、本発明の材料は生体安全性が高く、医薬品や化粧品用途において要求される高い安全性の観点からみて、上記用途において非常に有用である。また従来提案されている花粉等の吸着・付着を防止する製品と比べ、本発明では低分子の脂質ペプチド型化合物から構成される膜を利用するため、布類や紙類に塗布などにより膜形成する際、使用感を良好なものとすることができる。
また本発明によれば、脂質ペプチド型化合物を用いた汚染防止材料にアルコールを配合することにより、高い速乾性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、サージカルマスクに対するPM2.5粒子付着試験の観察結果を示す図である。
【
図2】
図2は、脂質ペプチド型化合物を有する、汚染防止材料を塗布して形成された膜を、走査型顕微鏡(SEM)により観察した結果を示す図である。
【
図3】
図3は、シリコンウエハ表面に膜を形成した際のラフネスを、原子力顕微鏡(AFM)により測定した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、特定の脂質ペプチド型化合物を含有する汚染防止材料に関する。
本発明の汚染防止材料は、布類又は紙類の表面に膜を形成することができ、それにより、塵埃等を始めとする汚染物質の布類表面及び紙類表面への付着を防止し、これら物質による汚染を防止することができる効果(アンチポリューション効果)を奏する。
布類表面や紙類表面への付着・汚染を防止する対象物質としては、塵埃、花粉を始め、排気ガスや工場排煙等の大気汚染物質やタバコの煙などに含まれ得る粒子状物質(PM10、浮遊粒子状物質(SPM)、PM2.5(微小粒子状物質等)、ガス状物質(SOx、CO等)、臭気物質、さらにはハウスダスト、真菌等のアレルゲン、ダニ(死骸を含む)、インフルエンザウイルス等のウイルスなどを挙げることができる。
以下、各構成成分について説明する。
【0010】
本発明の汚染防止材料において用いる、炭素原子数10乃至24の脂肪族基からなる脂質部(脂質部全体の炭素原子数として10乃至24)に、少なくとも2つ以上の同一の又は異なるアミノ酸の繰り返しにより形成されたペプチド部が結合された脂質ペプチド型化合物としては、例えば下記式(1)乃至式(3)で表される化合物(脂質ペプチド)又はその薬学的に使用可能な塩(疎水性部位である脂質部と親水性部位であるペプチド部とを有する低分子化合物)を用いることができる。
【0011】
【0012】
上記式(1)において、R1は炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、好ましくは、R1は不飽和結合を0乃至2個有し得る炭素原子数11乃至23の直鎖状脂肪族基であることが望ましい。
R1及び隣接するカルボニル基で構成される脂質部(アシル基)の具体例としては、ラウロイル基、ドデシルカルボニル基、ミリストイル基、テトラデシルカルボニル基、パルミトイル基、マルガロイル基、オレオイル基、エライドイル基、リノレオイル基、ステアロイル基、バクセノイル基、オクタデシルカルボニル基、アラキドイル基、エイコシルカルボニル基、ベヘノイル基、エルカノイル基、ドコシルカルボニル基、リグノセイル基、ネルボノイル基等を挙げることができ、特に好ましいものとして、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、マルガロイル基、ステアロイル基、オレオイル基、エライドイル基及びベヘノイル基が挙げられる。
【0013】
上記式(1)において、ペプチド部に含まれるR2は、水素原子、又は炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基を表す。
上記炭素原子数1若しくは2の分岐鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基とは、主鎖の炭素原子数が1乃至4であり、かつ炭素原子数1若しくは2の分岐鎖を有し得るアルキル基を意味し、その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基又はtert-ブチル基などが挙げられる。
上記R2は好ましくは、水素原子、又は炭素原子数1の分岐鎖を有し得る炭素原子数1乃至3のアルキル基であり、より好ましくは水素原子である。
炭素原子数1の分岐鎖を有し得る炭素原子数1乃至3のアルキル基とは、主鎖の炭素原子数が1乃至3であり、かつ炭素原子数1の分岐鎖を有し得るアルキル基を意味し、その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、i-ブチル基又はsec-ブチル基などが挙げられ、好ましくはメチル基、i-プロピル基、i-ブチル基又はsec-ブチル基である。
【0014】
上記式(1)において、R3は-(CH2)n-X基を表す。上記-(CH2)n-X基において、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、-CONH2基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環基若しくは6員環基、又は5員環と6員環から構成される縮合複素環基を表す。
上記R3を表す-(CH2)n-X基において、Xは好ましくはアミノ基、グアニジノ基、カルバモイル基(-CONH2基)、ピロール基、イミダゾール基、ピラゾール基又はインドール基であり、より好ましくはイミダゾール基である。また、上記-(CH2)n-X基において、nは好ましくは1又は2であり、より好ましくは1である。
従って、上記-(CH2)n-X基は、好ましくはアミノメチル基、2-アミノエチル基、3-アミノプロピル基、4-アミノブチル基、カルバモイルメチル基、2-カルバモイルエチル基、3-カルバモイルブチル基、2-グアニジノエチル基、3-グアニジノブチル基、ピロールメチル基、4-イミダゾールメチル基、ピラゾールメチル基、又は3-
インドールメチル基を表し、より好ましくは4-アミノブチル基、カルバモイルメチル基、2-カルバモイルエチル基、3-グアニジノブチル基、4-イミダゾールメチル基又は3-インドールメチル基を表し、さらに好ましくは4-イミダゾールメチル基である。
【0015】
脂質ペプチド型化合物としての、上記式(1)で表される化合物における特に好適な脂質ペプチドとしては、以下の脂質部とペプチド部(アミノ酸集合部)から形成される化合物である。なおアミノ酸の略称としては、アラニン(Ala)、アスパラギン(Asn)、グルタミン(Gln)、グリシン(Gly)、ヒスチジン(His)、イソロシン(Ile)、ロイシン(Leu)、リジン(Lys)、トリプトファン(Trp)、バリン(Val)を表す。:ラウロイル-Gly-His、ラウロイル-Gly-Gln、ラウロイル-Gly-Asn、ラウロイル-Gly-Trp、ラウロイル-Gly-Lys、ラウロイル-Ala-His、ラウロイル-Ala-Gln、ラウロイル-Ala-Asn、ラウロイル-Ala-Trp、ラウロイル-Ala-Lys;ミリストイル-Gly-His、ミリストイル-Gly-Gln、ミリストイル-Gly-Asn、ミリストイル-Gly-Trp、ミリストイル-Gly-Lys、ミリストイル-Ala-His、ミリストイル-Ala-Gln、ミリストイル-Ala-Asn、ミリストイル-Ala-Trp、ミリストイル-Ala-Lys;パルミトイル-Gly-His、パルミトイル-Gly-Gln、パルミトイル-Gly-Asn、パルミトイル-Gly-Trp、パルミトイル-Gly-Lys、パルミトイル-Ala-His、パルミトイル-Ala-Gln、パルミトイル-Ala-Asn、パルミトイル-Ala-Trp、パルミトイル-Ala-Lys;ステアロイル-Gly-His、ステアロイル-Gly-Gln、ステアロイル-Gly-Asn、ステアロイル-Gly-Trp、ステアロイル-Gly-Lys、ステアロイル-Ala-His、ステアロイル-Ala-Gln、ステアロイル-Ala-Asn、ステアロイル-Ala-Trp、ステアロイル-Ala-Lys。
【0016】
最も好ましいものとして、ラウロイル-Gly-His、ラウロイル-Ala-His、ミリストイル-Gly-His、ミリストイル-Ala-His、パルミトイル-Gly-His(Pal-GH)、パルミトイル-Ala-His、ステアロイル-Gly-His、ステアロイル-Ala-Hisが挙げられる。
【0017】
【0018】
上記式(2)において、R4は炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、好ましい具体例としては、前出のR1で定義したものと同じ基が挙げられる。
上記式(2)において、R5乃至R7は、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基、又は-(CH2)n-X基を表し、好ましくはR5乃至R7のうち少なくとも一つ以上が-(CH2)n-X基を表す。nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、-CONH2基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環基若しくは6員環基、又は5員環と6員環から構成される縮合複素環基を表す。ここでR5乃至R7の好ましい具体例としては、前出のR2及びR3で定義したものと同じ基が挙げられる。
【0019】
上記式(2)で表される化合物において、好適な脂質ペプチドとしては、以下の脂質部
とペプチド部(アミノ酸集合部)から形成される化合物である。ラウロイル-Gly-Gly-His、ミリストイル-Gly-Gly-His、ミリストイル-Gly-Gly-Gln、ミリストイル-Gly-Gly-Asn、ミリストイル-Gly-Gly-Trp、ミリストイル-Gly-Gly-Lys、ミリストイル-Gly-Ala-His、ミリストイル-Gly-Ala-Gln、ミリストイル-Gly-Ala-Asn、ミリストイル-Gly-Ala-Trp、ミリストイル-Gly-Ala-Lys、ミリストイル-Ala-Gly-His、ミリストイル-Ala-Gly-Gln、ミリストイル-Ala-Gly-Asn、ミリストイル-Ala-Gly-Trp、ミリストイル-Ala-Gly-Lys、ミリストイル-Gly-His-Gly、ミリストイル-His-Gly-Gly、パルミトイル-Gly-Gly-His、パルミトイル-Gly-Gly-Gln、パルミトイル-Gly-Gly-Asn、パルミトイル-Gly-Gly-Trp、パルミトイル-Gly-Gly-Lys、パルミトイル-Gly-Ala-His、パルミトイル-Gly-Ala-Gln、パルミトイル-Gly-Ala-Asn、パルミトイル-Gly-Ala-Trp、パルミトイル-Gly-Ala-Lys、パルミトイル-Ala-Gly-His、パルミトイル-Ala-Gly-Gln、パルミトイル-Ala-Gly-Asn、パルミトイル-Ala-Gly-Trp、パルミトイル-Ala-Gly-Lys、パルミトイル-Gly-His-Gly、パルミトイル-His-Gly-Gly。ステアロイル-Gly-Gly-His。
【0020】
これらのうち、最も好ましいものとして、ラウロイル-Gly-Gly-His、ミリストイル-Gly-Gly-His、パルミトイル-Gly-Gly-His、パルミトイル-Gly-His-Gly、パルミトイル-His-Gly-Gly、ステアロイル-Gly-Gly-Hisが挙げられる。
【0021】
【0022】
上記式(3)において、R8は炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、好ましい具体例としては、前出のR1で定義したものと同じ基が挙げられる。
上記式(3)において、R9乃至R12は、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基、又は-(CH2)n-X基を表し、好ましくはR9乃至R12のうち少なくとも一つ以上が-(CH2)n-X基を表す。nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、-CONH2基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環基若しくは6員環基、又は5員環と6員環から構成される縮合複素環基を表す。ここでR9乃至R12の好ましい具体例としては、前出のR2及びR3で定義したものと同じ基が挙げられる。
【0023】
したがって上記式(3)で表される化合物において、好適な脂質ペプチド型化合物として、特に好適な脂質ペプチドとしては、ラウロイル-Gly-Gly-Gly-His、ミリストイル-Gly-Gly-Gly-His、パルミトイル-Gly-Gly-Gly-His、パルミトイル-Gly-Gly-His-Gly、パルミトイル-Gly-His-Gly-Gly、パルミトイル-His-Gly-Gly-Gly、ステアロイル-Gly-Gly-Gly-His等が挙げられる。
【0024】
本発明において、脂質ペプチド型化合物の配合量は、汚染防止材料の総質量に対して、
例えば0.01乃至30質量%、好ましくは0.02乃至10質量%、より好ましくは0.03乃至5質量%、さらに好ましくは0.05乃至1質量%である。
なお本発明において用いられる脂質ペプチド型化合物は、上記式(1)乃至式(3)で表される化合物(脂質ペプチド)又はその薬学的な使用可能な塩のうちの少なくとも一種からなり、これら化合物を一種単独で、或いは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
本発明の汚染防止材料において使用するアルコールとは、1価のアルコールであり、例えば、水に任意の割合で溶解する炭素原子数1乃至6のアルコール、具体的にはメタノール、エタノール、2-プロパノール及びi-ブタノール等、並びに高級アルコール、具体的には、オレイルアルコール及びフェノキシアルコールなどが挙げられる。好ましくはエタノールである。
【0026】
本発明において、アルコールを含む場合、その含有量は、汚染防止材料の総質量に対して、例えば1質量%乃至50質量%、好ましくは、1質量%乃至20質量%、より好ましくは1%乃至10%とすることができる。
なお、本発明において、アルコールを含む場合、アルコールは一種単独で、又は二種以上を組み合わせて用いられ得る。
【0027】
本発明における布類は、綿、ウール、麻、絹、セルロース等の天然繊維、ポリエステル、ナイロン、アクリル等の合成繊維、アセテート等の半合成繊維、レーヨン、テンセル、ポリノジック等の再生繊維及びこれら各種繊維の混紡品、混織品、混編品等が挙げられ、織布、不織布として成形されたものを含み、紙類とは、厚紙、上質紙、ケント紙、クラフト紙、ダンボール、和紙、ろ紙等を含む。
【0028】
本発明における、布類または紙類は、その用途を限定するものではないが、服、肌あて、靴下、靴、帽子、マフラー、ストール、スカーフ、手袋などの衣服;枕カバー、シーツ、ベッド、枕、布団、マットレスなどの寝具;ソファ、カーテン、クッションなどの家具や雑貨;マスク、包帯、ガーゼ、絆創膏、サポーター、パッド、テープなどの衛生用品;カーペット、クロスなどの室内建装材;機器、家具や雑貨などの保護シートや保護カバー;マスク、空気清浄機、エアコン、掃除機、換気扇などのフィルター;ティッシュ、トイレットペーパー、包装紙、画用紙、ノート、メモ書きなどの紙製品などに用いられる。
【0029】
本発明の汚染防止材料は、上記脂質ペプチド型化合物およびアルコールの他に、水、多価アルコール又はそれらの混合溶液を含むことができる。
【0030】
上記水としては、浄水、精製水、硬水、軟水、天然水、海洋深層水、電解アルカリイオン水、電解酸性イオン水、イオン水、及びクラスター水などが挙げられる。
【0031】
上記多価アルコールとは、2価以上のアルコールであり、例えば、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、グリセリン、イソペンチルジオール、エチルヘキサンジオール、エリスルロース、オゾン化グリセリン、カプリリルグリコール、グリコール、(C15-18)グリコール、(C20-30)グリコール、ジエチレングリコール、ジグリセリン、ジチアオクタンジオール、DPG、チオグリセリン、1,10-デカンジオール、デシレングリコール、トリエチレングリコール、チリメチルギドロキシメチルシクロヘキサノール、フィタントリオール、フェノキシプロパンジオール、1,2-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、1,2-ヘキサンジオール、ヘキシレングリコール、ペンチレングリコール、メチルプロパンジオール、メンタンジオール、ラウリルグリコール及びポリプロピレングリコールが挙げられる。
【0032】
本発明において、多価アルコールを含む場合、その含有量は、汚染防止材料の総質量に対して、例えば1質量%乃至60質量%、好ましくは、1質量%乃至30質量%とすることができる。
なお、本発明において、多価アルコールを含む場合、多価アルコールは一種単独で、又は二種以上を組み合わせて用いられ得る。
【0033】
本発明の汚染防止材料は、必要に応じて一般に化粧品用添加剤や、医薬部外品用添加剤及び医薬用添加剤として使用可能な添加剤などを含むことができる。
化粧品、医薬部外品又は医薬等の皮膚外用剤に配合される生理活性物質及び機能性物質等の添加成分としては、例えば顔料、油性基剤、保湿剤、感触向上剤、上記以外の界面活性剤、高分子・増粘剤・ゲル化剤、溶剤、酸化防止剤、還元剤、酸化剤、防腐剤、抗菌剤、殺菌剤、キレート剤、pH調整剤、酸、アルカリ、粉体、無機塩、紫外線吸収剤、美白剤、ビタミン類及びその誘導体類、育毛用薬剤、血行促進剤、刺激剤、ホルモン類、抗しわ剤、抗老化剤、ひきしめ剤、冷感剤、温感剤、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、植物・動物・微生物エキス、鎮痒剤、角質剥離・溶解剤、制汗剤、清涼剤、収れん剤、酵素、核酸、香料、色素、着色剤、染料、消炎剤、抗炎症剤、抗喘息、抗慢性閉塞性肺疾患、抗アレルギー、免疫調整剤、抗感染症剤及び抗真菌剤等が挙げられる。
これらその他添加剤の含有量は、その種類によって種々変化し得るが、汚染防止材料の総質量に対して、例えば0.001質量%乃至20質量%、あるいは0.01質量%乃至10質量%程度とすることができる。
【0034】
界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤等が好ましいものとして挙げられる。界面活性剤として好ましいものを例示すると、陰イオン性界面活性剤としては、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム等の脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル塩;ラウレス硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸トリエタノールアミン等のポリオキシエチレンアルキル硫酸塩;ココイルメチルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンカリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウム、ミリストイルメチルタウリンナトリウム、ラウロイルメチルアラニンナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、ラウロイルサルコシントリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸メチルアラニンナトリウム等のアシルN-メチルアミノ酸塩;ココイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、
ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン、ココイルアラニントリエタノールアミン等のアシルアミノ酸塩;ラウレス酢酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム等のコハク酸エステル塩;脂肪酸アルカノールアミドエーテルカルボン酸塩;アシル乳酸塩;ポリオキシエチレン脂肪アミン硫酸塩;脂肪酸アルカノールアミド硫酸塩;硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等の脂肪酸グリセリド硫酸塩;アルキルベンゼンポリオキシエチレン硫酸塩;α-オレフィンスルホン酸ナトリウム等のオレフィンスルホン酸塩;スルホコハク酸ラウリル2ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム等のアルキルスルホコハク酸塩;スルホコハク酸ラウレス2ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、
ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等のアルキルエーテルスルホコハク酸塩;テトラデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、テトラデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;アルキルナフタレンスルホン酸塩;アルカンスルホン酸塩;α-スルホ脂肪酸メチルエステル塩;アシルイセチオン酸塩;アルキルグリシジルエーテルスルホン酸塩;アルキルスルホ酢酸塩;ラウレスリン酸ナトリウム、ジラウレスリン酸ナトリウム、トリラウレスリン酸ナトリウム、モノ
オレスリン酸ナトリウム等のアルキルエーテルリン酸エステル塩;ラウリルリン酸カリウム等のアルキルリン酸エステル塩;カゼインナトリウム;アルキルアリールエーテルリン酸塩;脂肪酸アミドエーテルリン酸塩;ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸等のリン脂質類;カルボン酸変性シリコーン、リン酸変性シリコーン、硫酸変性シリコーン等のシリコーン系陰イオン性界面活性剤等;
非イオン性界面活性剤としては、ラウレス(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)類、セテス(ポリオキシエチレンセチルエーテル)類、ステアレス(ポリオキシエチレンステアリルエーテル)類、ベヘネス(ポリオキシエチレンベヘニルエーテル)類、イソステアレス(ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル)類、オクチルドデセス(ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル)類等の種々のポリオキシエチレン付加数のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油モノイソステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油トリイソステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油マレイン酸等のヒマシ油及び硬化ヒマシ油誘導体;
ポリオキシエチレンフィトステロール;ポリオキシエチレンコレステロール;ポリオキシエチレンコレスタノール;ポリオキシエチレンラノリン;ポリオキシエチレン還元ラノリン;ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン2-デシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン水添ラノリン、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレングリセリンエーテル等のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレングリコール;PPG-9ジグリセリル等の(ポリ)グリセリンポリオキシプロピレングリコール;ステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、パルミチン酸グリセリル、ミリスチン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル、ヤシ油脂肪酸グリセリル、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、α,α’-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等のグリセリン脂肪酸部分エステル類;ステアリン酸ポリグリセリル-2、同3、同4、同5、同6、同8、同10、ジステアリン酸ポリグリセリル-6、同10、トリステアリン酸ポリグリセリル-2、デカステアリン酸ポリグリセリル-10、イソステアリン酸ポリグリセリル-2、同3、同4、同5、同6、同8、同10、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2(ジイソステアリン酸ジグリセリル)、同3、同10、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2、デカイソステアリン酸ポリグリセリル-10、オレイン酸ポリグリセリル-2、同3、同4、同5、同6、同8、同10、ジオレイン酸ポリグリセリル-6、トリオレイン酸ポリグリセリル-2、デカオレイン酸ポリグリセリル-10等のポリグリセリン脂肪酸エステル;モノステアリン酸エチレングリコール等のエチレングリコールモノ脂肪酸エステル;モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコールモノ脂肪酸エステル;ペンタエリスリトール部分脂肪酸エステル;ソルビトール部分脂肪酸エステル;マルチトール部分脂肪酸エステル;マルチトールエーテル;ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル;ショ糖カプリン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖アラキジン酸エステル及びショ糖ベヘン酸エステル等のショ糖エステル;メチルグルコシド脂肪酸エステル、
ウンデシレン酸トレハロース等の糖誘導体部分エステル;カプリリルグルコシド等のアルキルグルコシド;アルキルポリグリコシド;ラノリンアルコール;還元ラノリン;ポリオキシエチレンジステアレート、ポリチレングリコールジイソステアレート、ポリオキシエ
チレンモノオレエート、ポリオキシエチレンジオレエート等のポリオキシエチレン脂肪酸モノ及びジエステル;ポリオキシエチレン・プロピレングリコール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレングリセリンモノステアレート、ポリオキシエチレングリセリンモノイソステアレート、ポリオキシエチレングリセリントリイソステアレート等のポリオキシエチレンモノオレエート等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタンテトラオレエート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビトールモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビトールペンタオレエート、ポリオキシエチレンソルビトールモノステアレート等のポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンメチルグルコシド脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンアルキルエーテル脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビトールミツロウ等のポリオキシエチレン動植物油脂類;
イソステアリルグリセリルエーテル、キミルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等のアルキルグリセリルエーテル類;多価アルコールアルキルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルアミン;テトラポリオキシエチレン・テトラポリオキシプロピレン-エチレンジアミン縮合物類;サポニン、ソホロリピッド等の天然系界面活性剤;ポリオキシエチレン脂肪酸アミド;ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(コカミドMEA)、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(コカミドDEA)、ラウリン酸モノエタノールアミド(ラウラミドMEA)、ラウリン酸ジエタノールアミド(ラウラミドDEA)、ラウリン酸モノイソプロパノールアミド(ラウラミドMIPA)、パルミチン酸モノエタノールアミド(パルタミドMEA)、パルミチン酸ジエタノールアミド(パルタミドDEA)、
ヤシ油脂肪酸メチルエタノールアミド(コカミドメチルMEA)等の脂肪酸アルカノールアミド類;ラウラミンオキシド、コカミンオキシド、ステアラミンオキシド、ベヘナミンオキシド等のアルキルジメチルアミンオキシド;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;ポリオキシエチレンアルキルメルカプタン;ジメチコンコポリオール等のポリエーテル変性シリコーン、ポリシロキサン・オキシアルキレン共重合体、ポリグリセリン変性シリコーン、糖変性シリコーン等のシリコーン系非イオン性界面活性剤等;
陽イオン性界面活性剤としては、ベヘントリモニウムクロリド、ステアルトリモニウムクロリド、セトリモニウムクロリド、ラウリルトリモニウムクロリド等のアルキルトリメチルアンモニウムクロリド;ステアリルトリモニウムブロミド等のアルキルトリメチルアンモニウムブロミド;ジステアリルジモニウムクロリド、ジココジモニウムクロリド等のジアルキルジメチルアンモニウムクロリド;ステアラミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン等の脂肪酸アミドアミン及びその塩;ステアロキシプロピルジメチルアミン等のアルキルエーテルアミン及びその塩又は四級塩;エチル硫酸長鎖分岐脂肪酸(12~31)アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等の脂肪酸アミド型四級アンモニウム塩;ポリオキシエチレンアルキルアミン及びその塩又は四級塩;アルキルアミン塩;
脂肪酸アミドグアニジウム塩;アルキルエーテルアミンモニウム塩;アルキルトリアルキレングリコールアンモニウム塩;ベンザルコニウム塩;ベンゼトニウム塩;塩化セチルピリジニウム等のピリジニウム塩;イミダゾリニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;ポリアミン脂肪酸誘導体;アミノプロピルジメチコン及びアモジメチコン等のアミノ変性シリコーン、カチオン変性シリコーン、カチオン変性及びポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性及びポリエーテル変性シリコーン等のシリコーン系陽イオン性界面活性剤等;両性界面活性剤としては、ラウリルベタイン(ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン)等のN-アルキル-N,N-ジメチルアミノ酸ベタイン;コカミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン等の脂肪酸アミドアルキル-N,N-ジメチルアミノ酸ベタイン;ココアンホ酢酸ナトリウム、ラウロアンホ酢酸ナトリウム等のイミダゾリン型ベタイン;アルキルジメチルタウリン等のアルキルスルホベタイン;
アルキルジメチルアミノエタノール硫酸エステル等の硫酸型ベタイン;アルキルジメチル
アミノエタノールリン酸エステル等のリン酸型ベタイン;ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、スフィンゴミエリン等のスフィンゴリン脂質、リゾレシチン、水素添加大豆リン脂質、部分水素添加大豆リン脂質、水素添加卵黄リン脂質、部分水素添加卵黄リン脂質、水酸化レシチン等のリン脂質類;シリコーン系両性界面活性剤等;高分子界面活性剤としては、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、デンプン誘導体、トラガントガム、アクリル酸・メタアクリル酸アルキル共重合体;シリコーン系各種界面活性剤が好ましいものとして挙げられる。最も、好ましいものとしては、ショ糖エステルが挙げられる。
【0035】
なお本発明の汚染防止材料は布類又は紙類表面に膜(層)を形成できるものであればその剤型は任意である。
例えば、水中油(O/W)型、油中水(W/O)型、W/O/W型、O/W/O型等の乳化型、油性、固形、液状、練状、スティック状、揮発性油型、粉状、ゼリー状、ジェル、ペースト状、乳化高分子型、シート状、ミスト状、スプレー型等を挙げることができるが、これらに限定されるものでない。またその製品形態も任意であり、分散液、乳液、クリーム、パック、スプレー、ゲル等として用いることができる。
上記汚染防止材料は、その剤型・製品形態に合わせて、前記剤型・製品形態を実現するために当業者に既知の各種成分を配合することができる。
【0036】
[汚染防止材料の製造方法]
本発明の汚染防止材料は、例えば、少なくとも1種の脂質ペプチド型化合物、水及び所望によりその他の成分を加熱しながら混合、撹拌した後、室温程度まで静置放冷することによって製造され得る。
上記加熱・撹拌温度は各成分が均一に混合することができれば特に限定されず、例えば撹拌温度は50℃乃至90℃、60℃乃至90℃、例えば70℃、或いは80℃にて、また撹拌時間は、例えば5分間から3時間までの間で適宜選択できる。
【0037】
また本発明は、前記脂質ペプチド型化合物を含有する汚染防止材料からなる膜を布類表面又は紙類表面に形成する膜形成工程を含む、布類表面又は紙類表面の汚染を防止する方法に関する。
さらに本発明は、前記脂質ペプチド型化合物を含有する汚染防止材料からなる膜を布類表面又は紙類表面に形成する膜形成工程を含む、布類表面又は紙類表面への塵埃、花粉、粒子状物質、ガス状物質、又は臭気物質の付着を防止する方法に関する。
上記布類表面又は紙類表面の汚染を防止する方法並びに布類表面又は紙類表面への塵埃、花粉、粒子状物質、ガス状物質、又は臭気物質の付着を防止する方法において使用する汚染防止材料は、先に詳述したものを使用することができる。
【0038】
本発明の汚染防止材料は、布類や紙類の表面に、適度な粗さ(以下、ラフネスともいう)を形成させることで、効果を発現している。ラフネスは、布類や紙類の表面に対して、垂直方向の高さの最大値と最低値の幅で表され、その測定方法として、例えば、原子力顕微鏡(AFM)が挙げられる。
【0039】
本発明における汚染防止材料が形成させる粗さは、例えば、平均表面粗さが3nm乃至500nmであり、より好ましくは、10nm乃至300nmである。
【0040】
本発明における汚染防止材料は、ファイバー構造によって形成されており、その平均直径は、10nm乃至100nmであることが好ましい。なお、ファイバーの平均直径は、走査型顕微鏡を用いて二次電子を検出することで汚染防止材料の表面の画像を作成し、当該汚染防止材料の表面の画像から算出することができる。
【実施例0041】
以下、本発明を実施例及び試験例を例に挙げて詳しく説明するが、本発明がこれらの例に限定されるものではない。
【0042】
[合成例1:脂質ペプチド(N-パルミトイル-Gly-His)の合成]
本実施例において用いた脂質ペプチド型化合物は、以下に示す方法で合成した。
500mLの4つ口フラスコに、ヒスチジン14.2g(91.6mmol)、N-パルミトイル-Gly-メチル30.0g(91.6mmol)、トルエン300gを投入し、塩基であるナトリウムメトキサイド 28%メタノール溶液35.3g(183.2mmol)を加え、油浴で60℃に加熱し1時間撹拌を続けた。その後、油浴を外し、25℃まで放冷し、この溶液をアセトン600gで再沈殿させ、濾取した。ここで得られた固体を、水600gとメタノール750gの混合溶液に溶解し、ここに6規定塩酸30.5ml(183.2mmol)を加えて中和し固体を析出させ、ろ過した。次に、得られた固体をテトラヒドロフラン120gと水30gの混合液に60℃で溶解させ、酢酸エチル150gを加え、60℃から30℃まで冷却した。その後、析出した固体をろ過した。さらに得られた固体を、テトラヒドロフラン120gとアセトニトリル60g溶剤中に溶解し、60℃に加熱し、1時間撹拌した後に冷却し、ろ過した。ここで得られた固体を水120gで洗浄し、ろ過後に減圧乾燥を行いN-パルミトイル-Gly-Hisフリー体(以下、単にPal-GHとも称する)の白色の結晶、26.9g(収率65%)を得た。
【0043】
[比較例1、実施例1乃至実施例6]
・検体の調製
下記表1に従い、200mLビーカー(HARIO株式会社製)中で75℃に熱した各原料を攪拌し、75℃中で30分間加熱撹拌した。30分後、40℃になるまで室温で撹拌冷却を行った。以上の工程において、撹拌は全て200rpmで行った。
【表1】
エタノール:純正化学(株)製
フェノキシエタノール:東京化成工業(株)製
1,2-ヘキサンジオール:(株)感光社製 [商品名:KMO-6]
1,3-ブチレングリコール:(株)ダイセル製
ポリオキシエチレンラウリルエーテル:日光ケミカルズ(株)製 [商品名:BL-4.2]
ラウリルヒドロキシスルホベタイン:花王(株)製[商品名:アンヒト-ル20HD]
ショ糖ラウリン酸エステル(L-1695):三菱ケミカルフーズ(株)製[商品名:リョートーシュガーエステルL-1695]
ショ糖ラウリン酸エステル(L-595):三菱ケミカルフーズ(株)製[商品名:リョートーシュガーエステルL-595]
ミリスチルアルコール:花王(株)製 [商品名:カルコール4098]
セタノール:花王(株)製 [商品名:カルコール6098]
ステアリン酸:花王(株)製 [商品名:ルナックS-98]
【0044】
・マスクにおけるPM2.5粒子の付着抑制
サージカルマスク(徳永電機株式会社製)を2cm×2cmの大きさに切断し、比較例1および実施例1乃至実施例6の溶液を1.0mLずつ塗布し、32℃の恒温槽で1時間乾燥した。4cm×4cmの秤皿に、PM2.5粒子(NIES-CRM Nо.都市大気粉塵)を1.5g入れ、上記で作成した各サプラーレをPM2.5粒子に接触させて10回ピンセットで押し付け、引き上げた後に10秒間振ることで、余剰に付着しているPM2.5粒子を落とした後に、ICP-発光分光分析装置を用いてPM2.5粒子中に含まれる金属元素を定量することで、PM2.5粒子の付着量を評価した。結果を
図1に示す。比較例実施例1乃至実施例6を塗布したマスクは、比較例1に対してPM2.5粒子の付着を抑制しており、アンチポリューション効果があることが示された。
【0045】
・マスク表面に形成された膜の電界放出形走査電子顕微鏡測定
サージカルマスク(徳永電機株式会社製)を2cm×2cmの大きさに切断し、実施例1乃至実施例6の溶液を1.0mLずつ塗布し、32℃の恒温槽で1時間乾燥した。その後、マスク表面にカーボンテープを貼ることで、マスク表面に形成された膜を剥離し、電界放出形走査電子顕微鏡JSM-7400F(日本電子株式会社製)により膜を観察した結果を
図2に示す。
【0046】
・形成された膜のラフネス測定
シリコン基板を2cm×2cmの大きさに切断し、実施例1乃至実施例6の溶液を1.0mLずつ塗布し、32℃の恒温槽で1時間乾燥した。AFM原子力顕微鏡Dimension Icon(Bruker AXS製)により、シリコン基板表面に形成された膜のラフネスを測定した結果を
図3に示す。実施例1乃至実施例6を塗布したシリコン基板表面のラフネス平均は、約20nm~80nmの値を示した。
【0047】
・塗布した溶液の乾燥時間測定
26mm×76mmのマイクロスライドグラス(松浪硝子工業株式会社製)に対して、マイクロピペッターを用いて、比較例1および実施例1乃至実施例6の溶液を100μLずつ塗布した。その後、50℃に設定したデジタルホットプレートスターラーPC-620D(Corning Incorporated社製)上に乗せ、完全に乾燥するまでの時間を測定した。測定時間をストップウォッチにより記録した結果を表2に示す。
【表2】