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特開2024-42994閾値設定装置、異常判定装置、閾値設定方法、及び、異常判定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042994
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】閾値設定装置、異常判定装置、閾値設定方法、及び、異常判定方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20240322BHJP
   G01M 99/00 20110101ALI20240322BHJP
【FI】
G05B23/02 302Z
G01M99/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147958
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100214248
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 純
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】田村 拡海
(72)【発明者】
【氏名】山田 泰雅
【テーマコード(参考)】
2G024
3C223
【Fターム(参考)】
2G024AD01
2G024BA27
2G024CA13
2G024FA01
2G024FA06
2G024FA11
3C223AA11
3C223AA23
3C223BA01
3C223BB12
3C223CC01
3C223DD01
3C223EB02
3C223EB03
3C223FF04
3C223FF16
3C223GG01
3C223HH03
(57)【要約】
【課題】簡易に機器の異常等を判定するための閾値を設定する閾値設定装置を提供することを目的とする。
【解決手段】閾値設定装置4は、取得したデータから抽出するデータの期間を入力する入力部41と、入力部41が入力した期間のデータを抽出するデータ抽出部42と、データ抽出部42が抽出したデータから基準値を決定する基準値決定部43と、基準値決定部43が決定した基準値から閾値を算出する閾値算出部44と、を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取得したデータから抽出するデータの期間を入力する入力部と、
前記入力部が入力した前記期間の前記データを抽出するデータ抽出部と、
前記データ抽出部が抽出した前記データから基準値を決定する基準値決定部と、
前記基準値決定部が決定した前記基準値から閾値を算出する閾値算出部と、
を備える
閾値設定装置。
【請求項2】
前記基準値決定部は、前記データ抽出部が抽出した前記データの最頻値又は中央値を基準値に決定する
請求項1に記載の閾値設定装置。
【請求項3】
前記基準値決定部は、
前記データ抽出部が抽出したデータの数が予め定めた数以上の場合にデータの中央値を用い、
前記データ抽出部が抽出したデータの数が予め定めた数より少ない場合にデータの最頻値を用いる
請求項2に記載の閾値設定装置。
【請求項4】
前記閾値算出部は、前記基準値に対して任意の係数を加減算又は乗算のうち少なくとも1つの計算を実行して前記閾値を算出する
請求項1に記載の閾値設定装置。
【請求項5】
前記閾値は、前記基準値よりも小さい
請求項4に記載の閾値設定装置。
【請求項6】
前記閾値算出部は、第1閾値及び前記第1閾値よりも前記基準値から乖離した第2閾値を算出する
請求項1に記載の閾値設定装置。
【請求項7】
前記閾値算出部は、前記基準値に対して任意の係数を加減算又は乗算のうち少なくとも1つの計算を実行して前記第1閾値及び第2閾値を算出する
請求項6に記載の閾値設定装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1つに記載された閾値設定装置と、
機器のデータを取得し、前記データ抽出部が前記データを抽出するデータ取得部と、
前記データ取得部が取得した前記データと前記閾値設定装置が設定した前記閾値とを比較して前記機器の状態を判定する判定部と、
前記判定部が判定した結果を出力する出力部と、
を備える
異常判定装置。
【請求項9】
取得したデータから抽出するデータの期間を入力するステップと、
前記取得したデータから入力した前記期間のデータを抽出するステップと、
抽出した前記期間のデータから基準値を決定するステップと、
決定した前記基準値から閾値を算出するステップと、
を有する
閾値設定方法。
【請求項10】
前記基準値を決定するステップは、抽出した前記期間のデータの最頻値又は中央値を基準値に決定する
請求項9に記載の閾値設定方法。
【請求項11】
前記基準値を決定するステップは、
前記データ抽出部が抽出したデータの数が予め定めた数以上の場合にデータの中央値を用い、
前記データ抽出部が抽出したデータの数が予め定めた数より少ない場合にデータの最頻値を用いる
請求項10に記載の閾値設定方法。
【請求項12】
前記基準値に対して任意の係数を加減算又は乗算のうち少なくとも1つの計算を実行して前記閾値を算出する
請求項9に記載の閾値設定方法。
【請求項13】
前記閾値は、前記基準値よりも小さい
請求項12に記載の閾値設定方法。
【請求項14】
前記閾値は、第1閾値及び前記第1閾値よりも前記基準値から乖離した第2閾値を算出する
請求項9に記載の閾値設定方法。
【請求項15】
前記基準値に対して任意の係数を加減算又は乗算のうち少なくとも1つの計算を実行して前記第1閾値及び第2閾値を算出する
請求項14に記載の閾値設定方法。
【請求項16】
請求項9乃至15のいずれか1つに記載された閾値設定方法と、
機器のデータを取得するステップと、
前記データと前記閾値設定方法で設定された前記閾値とを比較して前記機器の状態を判定するステップと、
判定した結果を出力するステップと、
を有する
異常判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器の異常等を判定するための閾値を設定する閾値設定装置、機器の異常を判定する異常判定装置、機器の異常等を判定するための閾値を設定する閾値設定方法、及び、機器の異常を判定する異常判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機器の正常状態の状態量と異常状態の状態量とこれらの状態量の間に予め設定された閾値とに基づいて運転状態を診断し、異常検知や異常時期予測が可能な機器診断装置が開示されている(特許文献1参照)。また、閾値と比較して軸受の異常を判断する異常検出装置が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4396286号公報
【特許文献2】特許第6942836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、機器の異常を判定するために利用される閾値は、主に人が過去の測定値や経験を参考にして設定することが多かった。そのため、設定する人によって異常判定にずれが生じることがあった。異常判定の閾値を設定するには多くの情報や複雑な計算式も伴い、簡単に閾値を設定することもできず、簡易に異常判定をすることができなかった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑み、簡易に機器の異常等を判定するための閾値を設定する閾値設定装置、機器の異常を判定する異常判定装置、簡易に機器の異常等を判定するための閾値を設定する閾値設定方法、及び、機器の異常を判定する異常判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る閾値設定装置は、
取得したデータから抽出するデータの期間を入力する入力部と、
前記入力部が入力した前記期間の前記データを抽出するデータ抽出部と、
前記データ抽出部が抽出した前記データから基準値を決定する基準値決定部と、
前記基準値決定部が決定した前記基準値から閾値を算出する閾値算出部と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様に係る閾値設定装置、異常判定装置、閾値設定方法、及び、異常判定方法によれば、簡易に迅速に機器の異常等を判定するための閾値を設定することができ、さらに複雑な計算や多くの情報を基にせず簡易に、迅速に機器の異常を判定することができる。
【0008】
上記以外の課題、構成及び効果は、後述する発明を実施するための形態にて明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態の異常判定システムの一例を示す全体構成図である。
図2】本実施形態の異常判定について説明する図である。
図3】コンピュータの一例を示すハードウエア構成図である。
図4】本実施形態の閾値設定方法の一例を示すフローチャートである。
図5】本実施形態の異常判定方法の一例を示すフローチャートである。
図6】第1実施形態の機器の他の例を示す。
図7】第1実施形態の機器の他の例を示す。
図8】第2実施形態の機器の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明を実施するための実施形態について説明する。以下では、本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0011】
(全体構成についての説明)
図1は、第1実施形態の異常判定システム1の一例を示す全体構成図である。
【0012】
第1実施形態の異常判定システム1は、異常判定の対象となる機器2と、機器2の振動を測定し振動データを出力する振動センサ3と、異常を判定するための閾値を設定する閾値設定装置4と、振動センサ3が測定した振動データと閾値設定装置4が設定した閾値とを比較して機器2の異常を判定する異常判定装置5と、を備える。
【0013】
第1実施形態の一例として異常判定システム1に用いられる機器2は、駆動力を発生するモータ21と、モータ21によって駆動されるポンプ22と、モータ21が発生した駆動力をポンプ22に伝達する伝達部23と、を有する。
【0014】
モータ21は、図示しない電源に連結されて作動する。モータ21が回転すると、伝達部23が回転力をポンプ22に伝達し、ポンプ22が作動する。モータ21、ポンプ22、又は、伝達部23の少なくとも1つからは、振動が発生する。
【0015】
振動センサ3は、例えば、モータ21、ポンプ22、又は、伝達部23の少なくとも1つに設置される。振動センサ3は、圧電素子式、電磁式、静電容量式等の接触型、レーザードップラー式等の非接触型のどちらでもよい。また、振動センサ3は、加速度、速度、変位のいずれを計測してもよい。
【0016】
(閾値設定についての説明)
閾値設定装置4は、データの抽出期間を入力する入力部41と、入力部41で設定した抽出期間のデータを抽出するデータ抽出部42と、データ抽出部42で抽出したデータの基準値を決定する基準値決定部43と、基準値決定部43で決定した基準値から閾値を算出する閾値算出部44と、を有する。
【0017】
入力部41は、振動センサ3が測定した振動の時系列データから、閾値を決定するために抽出する抽出期間を入力する。データの抽出期間は、機器2が作動した時間に応じて、プログラミング等によって自動的にデータの抽出期間が決定され、入力部41から入力されるように設定すればよい。また、データの抽出期間は、予め決めておいてもよい。
【0018】
データ抽出部42は、入力部41で設定した抽出期間の振動のデータを抽出する。本実施形態では、振動のデータは、振動センサ3が測定したデータを後述するデータ取得部51が取得する。データ抽出部42は、データ取得部51が取得し、記憶した振動のデータから抽出すればよい。
【0019】
基準値決定部43は、データ抽出部42で抽出したデータの基準値を決定する。基準値は、抽出したデータの中央値、最頻値、平均値等でよい。基準値は、抽出したデータの数によって変更してもよい。例えば、抽出したデータの数が予め定めた数よりも多い場合、中央値を用い、抽出したデータの数が予め定めた数よりも少ない場合、最頻値を用いればよい。このようにすれば、抽出したデータの数に応じて統計的に安定した基準値を求めることができる。
【0020】
閾値算出部44は、基準値決定部43で決定した基準値から閾値を算出する。本実施形態では、閾値算出部44は、基準値決定部43で決定した基準値に予め定めた係数を乗算することで閾値を算出する。閾値の算出は、基準値に乗算だけでなく、加減算等の計算、又は、複数の計算を組み合わせてもよい。また、閾値は、基準値よりも小さく設定してもよい。
【0021】
閾値算出部44は、閾値を1つに限らず、2つ以上算出してもよい。この場合、閾値算出部44は、第1閾値及び前記第1閾値よりも前記基準値から乖離した第2閾値を算出する。閾値算出部44は、基準値に対して任意の係数を加減算又は乗算のうち少なくとも1つの計算を実行して第1閾値及び第2閾値を算出すればよい。
【0022】
このように、閾値設定装置4によれば、簡易に機器2の異常等を判定するための閾値を迅速に設定することができる。
【0023】
(異常判定についての説明)
図2は、本実施形態の異常判定について説明する図である。
【0024】
異常判定装置5は、振動センサ3が測定した振動データを取得するデータ取得部51と、前記データ取得部51が取得した振動データと閾値設定装置4が設定した閾値とを比較して機器2の異常を判定する判定部52と、判定部52が判定した結果を出力する出力部53と、を有する。
【0025】
データ取得部51は、振動センサ3が測定した振動データを取得する。例えば、データ取得部51は、図2に示すような機器2の加速度等のデータを取得する。データ取得部51は、少なくとも予め定めた判定期間に取得した振動データを記憶しておくと好ましい。なお、データ取得部51が取得した振動データを記憶する図示しない記憶部を別に有してもよい。
【0026】
判定部52は、データ取得部51が取得した振動データと閾値設定装置4が設定した閾値とを比較して機器2の状態を判定する。振動データは、一時的な誤差を考慮して、予め定めた判定期間のデータの中心値、最頻値、又は、平均値等の統計処理を行った値を使用することが好ましい。
【0027】
例えば、図2に示すように、本実施形態の判定部52は、第1閾値を超えるまでは機器2の状態を「正常」と判定し、振動データが予め定めた判定期間に第1閾値を超えると、機器2の状態を「異常」と判定する。また、本実施形態の判定部52は、振動データが予め定めた判定期間に第2閾値を超えると、機器2の状態を「損傷」と判定する。さらに、本実施形態の判定部52は、その後、振動データが第2閾値以下となった場合であっても、図2の二点鎖線のように機器2の状態を「損傷」と判定し続ける。「正常」、「異常」又は「損傷」等の判定内容は、あくまでも一例であり、対象機器等によって、適宜判定内容を、例えば「注意」又は「警告」等の他の用語に変更してもよい。
【0028】
なお、判定部52は、振動データが第1閾値を一時的に超えた時に機器2の状態を「異常」と判定してもよい。また、判定部52は、振動データが第2閾値を一時的に超えた時に機器2の状態を「損傷」と判定してもよい。さらに、判定部52は、一度機器2の状態が「異常」と判定された後に振動データが第1閾値以下となった場合に「異常」の判定を「正常」へ変更してもよい。また、判定部52は、一度機器2の状態が「損傷」と判定された後に振動データが第1閾値を超えて第2閾値以下となった場合に「損傷」の判定を「異常」へ変更してもよい。なお、閾値が1つの場合、機器2の状態が「異常」と判定された後、振動データが第1閾値以下となった場合であっても、「異常」と判定し続けてもよい。
【0029】
出力部53は、判定部52が判定した結果を出力する。例えば、図2に示すように、本実施形態の出力部53は、振動データ、基準値、閾値、及び、判定結果等を出力する。なお、出力部53は、振動データ、基準値、閾値、及び、判定結果のうち少なくとも1つを出力すればよい。
【0030】
なお、本実施形態では、モータ21とポンプ22を有し、振動を発生する機器2を用いた。しかしながら、機器2は、これに限らず、冷凍機、気体機械、各種工作機械、プレス機器、搬送機器、診断機器等でもよい。また、異常を判定するために取得するデータは、振動に限らず、回転数、荷重、電流値、電圧値、移動速度、移動量等でもよい。この場合、用いるセンサは、振動センサ3ではなく、それぞれのデータにあわせて、回転センサ、荷重センサ、電流計、電圧計、速度計、変位計等でよい。
【0031】
このように、異常判定装置5によれば、簡易な方法で迅速に機器2の異常を判定するための閾値を設定することができ、さらに、簡易な方法で迅速に機器2の異常を判定することができる。
【0032】
(各装置のハードウエア構成)
図3は、コンピュータ900の一例を示すハードウエア構成図である。閾値設定装置4を含む異常判定装置5は、汎用又は専用のコンピュータ900により構成される。
【0033】
コンピュータ900は、図3に示すように、その主要な構成要素として、バス910、プロセッサ912、メモリ914、入力デバイス916、出力デバイス917、表示デバイス918、ストレージ装置920、通信I/F(インターフェース)部922、外部機器I/F部924、I/O(入出力)デバイスI/F部926、及び、メディア入出力部928を備える。なお、上記の構成要素は、コンピュータ900が使用される用途に応じて適宜省略されてもよい。
【0034】
プロセッサ912は、1つ又は複数の演算処理装置(CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)、NPU(Neural Processing Unit)等)で構成され、コンピュータ900全体を統括する制御部として動作する。メモリ914は、各種のデータ及びプログラム930を記憶し、例えば、メインメモリとして機能する揮発性メモリ(DRAM、SRAM等)と、不揮発性メモリ(ROM)、フラッシュメモリ等とで構成される。
【0035】
入力デバイス916は、例えば、キーボード、マウス、テンキー、電子ペン等で構成され、入力部41として機能する。出力デバイス917は、例えば、音(音声)出力装置、バイブレーション装置等で構成され、出力部53として機能する。表示デバイス918は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー、プロジェクタ等で
構成され、出力部として機能する。入力デバイス916及び表示デバイス918は、タッチパネルディスプレイのように、一体的に構成されていてもよい。ストレージ装置920は、例えば、HDD、SSD等で構成され、記憶部として機能する。ストレージ装置920は、オペレーティングシステムやプログラム930の実行に必要な各種のデータを記憶する。
【0036】
通信I/F部922は、インターネットやイントラネット等のネットワーク940に有線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って他のコンピュータとの間でデータの送受信を行う通信部として機能する。外部機器I/F部924は、カメラ、プリンタ、スキャナ、リーダライタ等の外部機器950に有線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って外部機器950との間でデータの送受信を行う通信部として機能する。I/OデバイスI/F部926は、各種のセンサ、アクチュエータ等のI/Oデバイス960に接続され、I/Oデバイス960との間で、例えば、センサによる検出信号やアクチュエータへの制御信号等の各種の信号やデータの送受信を行う通信部として機能する。メディア入出力部928は、例えば、DVDドライブ、CDドライブ等のドライブ装置、メモリカードスロット、USBコネクタで構成され、DVD、CD、メモリカード、USBメモリ等のメディア(非一時的な記憶媒体)970に対してデータの読み書きを行う。
【0037】
上記構成を有するコンピュータ900において、プロセッサ912は、ストレージ装置920に記憶されたプログラム930をメモリ914に呼び出して実行し、バス910を介してコンピュータ900の各部を制御する。なお、プログラム930は、ストレージ装置920に代えて、メモリ914に記憶されていてもよい。プログラム930は、インストール可能なファイル形式又は実行可能なファイル形式でメディア970に記録され、メディア入出力部928を介してコンピュータ900に提供されてもよい。プログラム930は、通信I/F部922を介してネットワーク940経由でダウンロードすることによりコンピュータ900に提供されてもよい。また、コンピュータ900は、プロセッサ912がプログラム930を実行することで実現する各種の機能を、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウエアで実現するものでもよい。
【0038】
コンピュータ900は、例えば、据置型コンピュータや携帯型コンピュータで構成され、任意の形態の電子機器である。コンピュータ900は、クライアント型コンピュータでもよいし、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータでもよいし、例えば、制御盤、コントローラ(マイコン、プログラマブルロジックコントローラ、シーケンサを含む)等と呼ばれる組込型コンピュータでもよい。コンピュータ900は、本実施形態の閾値設定装置4を含む異常判定装置5以外の装置にも適用されてもよい。
【0039】
本実施形態の閾値設定装置4を含む異常判定装置5はコンピュータ900の各部によって構成される。例えば、入力部41は入力デバイス916、出力部53は出力デバイス917及び表示デバイス918、データ取得部51は通信I/F部922、外部機器I/F部924、I/OデバイスI/F部926、メモリ914又はストレージ装置920、データ抽出部42、基準値決定部43、閾値算出部44及び判定部52はプロセッサ912によって、それぞれ構成される。
【0040】
(閾値設定方法)
図4は、本実施形態の閾値設定方法の一例を示すフローチャートである。
【0041】
閾値設定方法は、まず、ステップ1で、入力部41から抽出期間を入力する(S1)。本実施形態の抽出期間は、図2に示すもののうち、2月20日から3月5日までの期間に
設定する。続いて、ステップ2で、データ抽出部42は、入力部41で設定した抽出期間の振動データを抽出する(S2)。次に、ステップ3で、基準値決定部43は、抽出したデータの数が予め定めた数以上か否か判定する(S3)。
【0042】
ステップ3において、基準値決定部43が抽出したデータの数が予め定めた数以上の場合、ステップ4で、基準値決定部43は、データの中央値を算出する(S4)。ステップ3において、基準値決定部43が抽出したデータの数が予め定めた数より少ない場合、ステップ5で、基準値決定部43は、データの最頻値を算出する(S5)。
【0043】
次に、ステップ6で、基準値決定部43は、基準値を算出する(S6)。本実施形態では、基準値は、データの数が予め定めた数以上の場合、データの中央値を用い、データの数が予め定めた数より少ない場合、データの最頻値を用いる。図2に示すように、本実施形態の基準値は、2月20日から3月5日までの抽出期間の中央値の加速度であって約11m/s2である。
【0044】
次に、ステップ7で、閾値算出部44は、第1閾値を算出する(S7)。本実施形態の第1閾値は、基準値に予め定めた係数を乗算して算出する。図2に示すように、本実施形態の第1閾値は、基準値11m/s2に係数2.1を乗算した約23m/s2である。
【0045】
次に、ステップ8で、閾値算出部44は、第2閾値を算出する(S8)。本実施形態の第2閾値は、基準値に予め定めた係数を乗算して算出する。図2に示すように、本実施形態の第2閾値は、基準値11m/s2に係数4.5を乗算した約49.5m/s2である。
【0046】
次に、ステップ9で、閾値算出部44は、閾値を設定する(S9)。図2に示すように、第1閾値は異常を検出するために利用し、第2閾値は損傷を検出するために利用する。なお、異常の段階のみを検出するのであれば、第1閾値のみを設定し、第2閾値を設定しなくてもよい。この場合、ステップ8の第2閾値の算出は実行しなくてもよい。
【0047】
このように、閾値設定方法によれば、簡易に機器2の異常等を判定するための閾値を迅速に設定することができる。
【0048】
(異常判定方法)
図5は、本実施形態の異常判定方法の一例を示すフローチャートである。
【0049】
異常判定方法は、まず、ステップ11で、データ取得部51が振動センサ3から測定データを取得する(S11)。本実施形態の測定データは、一時的な誤差を考慮して、予め定めた判定期間の時系列データの平均値、中央値、又は、最頻値等の統計処理を行った値を用いる。なお、測定データは、統計処理を行わない単一のデータを用いることであってもよい。
【0050】
次に、ステップ12で、判定部52は、データ取得部51が取得した測定データが第1閾値よりも大きいか否か判定する(S12)。ステップ12において、データ取得部51が取得した測定データが第1閾値よりも大きい場合、ステップ13で、判定部52は、データ取得部51が取得した測定データが第2閾値よりも大きいか否か判定する(S13)。
【0051】
ステップ13において、データ取得部51が取得した測定データが第2閾値よりも大きい場合、ステップ14で、出力部53は、測定データが第2閾値を超過した情報、本実施形態では機器2の状態を「損傷」とした情報を出力する(S14)。ステップ13において、データ取得部51が取得した測定データが第2閾値以下の場合、ステップ15で、出
力部53は、測定データが第1閾値を超過した情報、本実施形態では機器2の状態を「異常」とした情報を出力する(S15)。
【0052】
なお、ステップ12において、データ取得部51が取得した測定データが第1閾値以下の場合、ステップ16で、出力部53は、測定データが閾値を超過していない情報、本実施形態では機器2の状態を「正常」とした情報を出力する(S16)。
【0053】
このように、異常判定装置5によれば、簡易に迅速に機器2の異常を判定することができる。
【0054】
(第1実施形態の機器2の他の例)
図6は、第1実施形態の機器2の他の例を示す。図6(a)はポンプ22の付属品24に振動センサ3を設置した例、図6(b)はモータ21とポンプ22を直結した機器2に振動センサ3を設置した例を示す。
【0055】
図6(a)に示すように、本実施形態の異常判定システム1は、モータ21、ポンプ22、又は、伝達部23以外の付属品24に振動センサ3を設置し、付属品24の振動を検出してもよい。また、図6(b)に示すように、本実施形態の異常判定システム1は、伝達部23を用いず、モータ21とポンプ22を直結した機器2に振動センサ3を設置し、振動を検出してもよい。
【0056】
(第1実施形態の機器2の他の例)
図7は、第1実施形態の機器2の他の例を示す。
【0057】
図7に示すように、本実施形態の異常判定システム1は、モータ21とポンプ22を鉛直方向に設置した機器2に用いてもよい。モータ21とポンプ22の間は伝達部23を設置しても、伝達部23を設置せず直接つないでもよい。
【0058】
(第2実施形態の機器2の一例)
図8は、第2実施形態の機器2の一例を示す。図8(a)はモータ21の駆動力をファン25に伝達する機器2に対して振動センサ3を設置した例、図8(b)はモータ21の駆動力を同軸のファン25に伝達する機器2に対して振動センサ3を設置した例を示す。
【0059】
図8に示すように、本実施形態の異常判定システム1は、駆動力を発生するモータ21と、モータ21によって駆動されるファン25と、モータ21が発生した駆動力をファン25に伝達する伝達部23と、を有する機器2を用いてもよい。
【0060】
図8(a)に示す機器2は、モータ21とファン25は、異なる軸を中心に回転し、ベルト又は歯車等の伝達部23が駆動力を伝達する。図8(b)に示す機器2は、モータ21とファン25は、同軸に回転し、カップリング、継手又はジョイント等の伝達部23が駆動力を伝達すればよい。
【0061】
このように、本実施形態の閾値設定装置4及び異常判定装置5は、様々な種類の機器2に用いることができる。例えば、図示しないが、機器2は、冷凍機、気体機械、各種工作機械、プレス機器、搬送機器、診断機器等に用いることができる。また、閾値を設定及び異常を判定するために取得するデータは、振動に限らず、回転数、荷重、電流値、電圧値、移動速度、移動量等でもよい。この場合、用いるセンサは、振動センサ3ではなく、それぞれのデータにあわせて、回転センサ、荷重センサ、電流計、電圧計、速度計、変位計等でよい。
【0062】
本発明は、上述した実施形態の制約されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本発明の技術思想に含まれるものである。
【符号の説明】
【0063】
1…異常判定システム、2…機器、21…モータ、22…ポンプ、23…伝達部、24…付属品、25…ファン
3…振動センサ、
4…閾値設定装置、41…入力部、42…データ抽出部、43…基準値決定部、44…閾値算出部、
5…異常判定装置、51…データ取得部、52…判定部、53…出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8