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特開2024-43162電極フィルム原反、電極、電極積層体、電気化学デバイス及び機器
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  • 特開-電極フィルム原反、電極、電極積層体、電気化学デバイス及び機器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043162
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】電極フィルム原反、電極、電極積層体、電気化学デバイス及び機器
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/02 20060101AFI20240322BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20240322BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20240322BHJP
   H01M 10/0565 20100101ALI20240322BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20240322BHJP
   H01G 11/06 20130101ALI20240322BHJP
   H01G 11/38 20130101ALI20240322BHJP
【FI】
H01M4/02 Z
H01M4/13
H01M4/62 Z
H01M10/0565
H01M10/0562
H01G11/06
H01G11/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148190
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】藤森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100155066
【弁理士】
【氏名又は名称】貞廣 知行
(72)【発明者】
【氏名】米田 拓生
(72)【発明者】
【氏名】安藤 あゆみ
(72)【発明者】
【氏名】中澤 久志
(72)【発明者】
【氏名】東倉 充
(72)【発明者】
【氏名】平田 泰紀
(72)【発明者】
【氏名】林 勉
【テーマコード(参考)】
5E078
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5E078AA14
5E078AB06
5E078BA42
5H029AJ14
5H029AL02
5H029AL03
5H029AL07
5H029AL11
5H029AL12
5H029AM03
5H029AM05
5H029AM07
5H029AM12
5H029AM16
5H029HJ00
5H029HJ01
5H029HJ04
5H029HJ15
5H050AA19
5H050BA17
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB08
5H050CB11
5H050CB12
5H050DA11
5H050EA23
5H050HA00
5H050HA01
5H050HA04
5H050HA15
5H050HA20
(57)【要約】
【課題】電極の材料として用いられる新規な電極フィルム原反を提供する。また、このような電極フィルム原反を材料として用いる電極、電極積層体、電気化学デバイス及び機器を提供する。
【解決手段】活物質と、バインダーとを含む混合物からなり、下記(1)~(3)を満たす電極フィルム原反。
(1)下記測定方法で求めた破断強度が0.1MPa以上であり、破断強度を示すときの伸び率が15%以上。
(測定方法)電極フィルム原反を幅15mm、長さ50mmのサイズに切削して得た試験片を、チャック間距離を30mm、引張速度を100mm/minとした条件で測定したときの、最大応力の75%の強度を破断強度とする。
(2)バインダーはポリイソブチレンを含む。
(3)バインダーは、混合物全体に対し、ポリイソブチレンを1.5質量%以上3.0質量%以下含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活物質と、バインダーとを含む混合物からなり、下記(1)~(3)を満たす電極フィルム原反。
(1)下記測定方法で求めた破断強度が0.1MPa以上であり、前記破断強度を示すときの伸び率が15%以上。
(測定方法)前記電極フィルム原反を幅15mm、長さ50mmのサイズに切削して得た試験片を、チャック間距離を30mm、引張速度を100mm/minとした条件で測定したときの、最大応力の75%の強度を破断強度とする。
(2)前記バインダーはポリイソブチレンを含む。
(3)前記バインダーは、前記混合物全体に対し、前記ポリイソブチレンを1.5質量%以上3.0質量%以下含む。
【請求項2】
活物質と、バインダーとを含む混合物を材料とする活物質層を有し、
集電体を有さず、
下記(1)~(3)を満たす電極フィルム原反。
(1)下記測定方法で求めた破断強度が0.1MPa以上であり、前記破断強度を示すときの伸び率が15%以上。
(測定方法)前記電極フィルム原反を幅15mm、長さ50mmのサイズに切削して得た試験片を、チャック間距離を30mm、引張速度を100mm/minとした条件で測定したときの、最大応力の75%の強度を破断強度とする。
(2)前記バインダーはポリイソブチレンを含む。
(3)前記バインダーは、前記混合物全体に対し、前記ポリイソブチレンを1.5質量%以上3.0質量%以下含む。
【請求項3】
剥離フィルムが積層された請求項1に記載の電極フィルム原反。
【請求項4】
請求項1に記載の電極フィルム原反を材料とする電極。
【請求項5】
請求項4に記載の電極と、
セパレータ又は固体電解質膜と、が積層する電極積層体。
【請求項6】
請求項5に記載の電極積層体を有する電気化学デバイス。
【請求項7】
請求項6に記載の電気化学デバイスを有する機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極フィルム原反、電極、電極積層体、電気化学デバイス及び機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電源として用いられる二次電池の重要度が増している。二次電池は、携帯型電子機器の電源のような小型のものから、電気自動車や家庭用蓄電池のような中型、大型のものまで活発に研究開発が成されている。
【0003】
二次電池は、活物質を含む一対の電極と、電極間に配置される電解質とを有する。一対の電極には、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極とを含む。これらの電極として、正極活物質または負極活物質を含む活物質層と、導電性に優れた集電体とが積層した構成が知られている。
【0004】
上記活物質層は、粉末状の活物質と、バインダーとを溶剤に分散させてスラリー状の合剤を調製し、得られた合剤を集電体上に塗工し、プレス加工することにより形成する。活物質層と集電体との積層体は、所望の電池形状に切削され、電極として用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-169444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、電極を作製するためには、合剤の調整、合剤の塗工、乾燥、プレス加工等の多段階の加工を要する。二次電池の製造工程を簡略化し、製造コストを低減するために、材料面からの工夫の余地がある。
【0007】
同様の課題は、二次電池に限らず、キャパシタのような他の電気化学素子においても生じ得る。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、電極の材料として用いられる新規な電極フィルム原反を提供することを目的とする。また、このような電極フィルム原反を材料として用いる電極、電極積層体、電気化学デバイス及び機器を提供することを併せて目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者らは、集電体を用いることなく電極として使用可能な特性を有する材料を実現できれば、上述したような合剤の調整や、集電体への合剤の塗工等の工程を省略できると考えた。また、当該材料がフィルム形状とすることにより、フィルム(電極フィルム原反)を切削し、電池要素に貼り付けることで、電気化学デバイスを容易に製造可能と考えられる。
【0010】
発明者らは、上記観点から鋭意検討し、発明を完成させた。上記の課題を解決するため、本発明の一態様は、以下の態様を包含する。
【0011】
[1]活物質と、バインダーとを含む混合物からなり、下記(1)~(3)を満たす電極フィルム原反。
(1)下記測定方法で求めた破断強度が0.1MPa以上であり、前記破断強度を示すときの伸び率が15%以上。
(測定方法)前記電極フィルム原反を幅15mm、長さ50mmのサイズに切削して得た試験片を、チャック間距離を30mm、引張速度を100mm/minとした条件で測定したときの、最大応力の75%の強度を破断強度とする。
(2)前記バインダーはポリイソブチレンを含む。
(3)前記バインダーは、前記混合物全体に対し、前記ポリイソブチレンを1.5質量%以上3.0質量%以下含む。
【0012】
[2]活物質と、バインダーとを含む混合物を材料とする活物質層を有し、集電体を有さず、下記(1)~(3)を満たす電極フィルム原反。
(1)下記測定方法で求めた破断強度が0.1MPa以上であり、前記破断強度を示すときの伸び率が15%以上。
(測定方法)前記電極フィルム原反を幅15mm、長さ50mmのサイズに切削して得た試験片を、チャック間距離を30mm、引張速度を100mm/minとした条件で測定したときの、最大応力の75%の強度を破断強度とする。
(2)前記バインダーはポリイソブチレンを含む。
(3)前記バインダーは、前記混合物全体に対し、前記ポリイソブチレンを1.5質量%以上3.0質量%以下含む。
【0013】
[3]剥離フィルムが積層された[1]又は[2]に記載の電極フィルム原反。
【0014】
[4][1]から[3]のいずれか1項に記載の電極フィルム原反を材料とする電極。
【0015】
[5][4]に記載の電極と、セパレータ又は固体電解質膜と、が積層する電極積層体。
【0016】
[6][5]に記載の電極積層体を有する電気化学デバイス。
【0017】
[7][6]に記載の電気化学デバイスを有する機器。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電極の材料として用いられる新規な電極フィルム原反を提供することができる。また、このような電極フィルム原反を材料として用いる電極、電極積層体、電気化学デバイス及び機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本実施形態の電極フィルム原反1を示す模式図である。
図2図2は、本実施形態の電極フィルム原反2を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[電極フィルム原反、電極]
図1は、本実施形態の電極フィルム原反1を示す模式図である。
【0021】
用語「電極フィルム原反」とは、電極に加工する前のフィルム状の成形体を指す。典型的には、電極フィルム原反は、帯状に形成された長尺の成形体、又はこのような帯状成形体を枚葉加工して得られるシート状の成形体である。
【0022】
図1に示す電極フィルム原反1は、両面から剥離フィルム10で挟持されている。剥離フィルム10としては、離型処理がなされたPETフィルムなど、公知の材料を採用可能である。
【0023】
電極フィルム原反1は、活物質と、バインダーとを含む混合物からなる。電極フィルム原反1は、集電体を有さない。
【0024】
電極フィルム原反1は、(a)自立する、(b)電極として使用可能である、という特徴的な機能を有する。
【0025】
(a)自立する
電極フィルム原反1は、所望の形状に切削することで、負極に加工することができる。電極フィルム原反1を、そのまま負極としてもよい。得られる負極は、基材等の付属物を有することなく切削した形状を保つことができる。このような性質を有することを、本明細書では「自立する」「自立型」と称することがある。
【0026】
また、一般に、電気化学デバイスの負極は、充放電に伴って大きく体積変化する。そのため、電極フィルム原反1を電気化学デバイスの負極として用いる場合、充放電時の体積変化に対抗し、負極としての形状、性能を維持することが求められる。
【0027】
電極フィルム原反1は、支持無く存在可能であると共に、上述のような体積変化に対抗可能な剛性を有する。
【0028】
(b)電極として使用可能である
電極フィルム原反1は、所望の形状に切削することで、二次電池やキャパシタと言った電気化学デバイスの負極として用いることができる。すなわち、電極フィルム原反1は、負極として使用可能となる程度に低い電子抵抗と、高いイオン伝導性とを有する。
【0029】
(a)(b)の機能を有する電極フィルム原反1を切削して得られた電極は、自立し(自立型電極であり)、二次電池、キャパシタ等の電気化学デバイスの部材に貼り合わせるだけで、これらの電気化学デバイスの電極として用いることができる。
【0030】
以下、電極フィルム原反1の各構成について順に説明する。
【0031】
(活物質)
活物質としては、二次電池の負極活物質、キャパシタの負極活物質として知られた粉末状の物質を用いることができる。
【0032】
二次電池としてリチウムイオン二次電池を採用する場合、リチウムイオン二次電池の負極活物質としては、黒鉛等の炭素系材料、金属リチウム、チタン酸リチウム等のリチウム化合物、リチウムと合金を形成することが可能なアルミニウム、スズ、シリコン等の金属、リチウムと他の金属との合金、酸化ケイ素等の金属酸化物などから選択される少なくとも1種が挙げられる。リチウムイオン二次電池の負極活物質としては、リチウムイオンを可逆的にドープ・脱ドープできるものであればよい。
【0033】
リチウムイオン二次電池用の活物質としては、体積平均粒子径0.1~100μmのものが用いられる。
【0034】
キャパシタとしてリチウムイオンキャパシタを採用する場合、リチウムイオンキャパシタの負極活物質としては、黒鉛等の炭素系材料、上述したリチウムイオン二次電池用の負極活物質が挙げられる。
【0035】
リチウムイオンキャパシタの活物質としては、体積平均粒子径0.1~100μmのものが用いられる。
【0036】
(バインダー)
バインダーは、活物質等の粒子の結着に用いられる材料であって、例えば樹脂が用いられる。バインダーとしては、電極材料として上記目的に用いられる公知の熱可塑性樹脂を採用することができる。バインダーは、0~3V(vs.Li/Li+)において還元分解しないことが求められる。
【0037】
バインダーの機能としては、上述の「活物質等の粒子の結着」の他、(i)電極フィルム原反に高強度を付与する、(ii)電気抵抗の調整(低抵抗化)、(iii)その他の物性調整、が挙げられる。それぞれ、(i)の機能を特に強く有するバインダーを「高強度バインダー」、(ii)の機能を特に強く有するバインダーを「抵抗調整用バインダー」、(iii)を「その他バインダー」として説明する。
【0038】
((i)高強度バインダー)
高強度バインダーとして、エラストマーを用いることができる。エラストマーとしての性質を有するバインダーは、電極に柔軟性及び強度を付与することができ、電極使用時の活物質の体積変化に起因した破損を抑制することができる。
【0039】
高強度バインダーとしては、5MPa以上の引張強度を有することが望ましい。また、高強度バインダーは、電気化学素子(電池、キャパシタ)の内部において、電解液に対して安定であることが求められ、且つ電気化学的に安定であることが求められる。
【0040】
例えば、電気化学素子としてリチウムイオン電池を採用し、電極フィルム原反1を切削して得られた電極を用いる場合、高強度バインダーは、上記電極から、電池内に充填する電解液に溶出しないことが求められる。
【0041】
高強度バインダーの引張強度は、後述する破断強度の測定方法により測定した値を採用する。
【0042】
本実施形態においては、高強度バインダーとして、ポリイソブチレン(PIB)を用いる。
【0043】
また、本実施形態においては、機械的強度を補うバインダーとして、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、アクリレート系バインダー、ポリイミド系バインダー、オレフィン系バインダー等を含むこととしてもよい。これらのバインダーを添加することで、電極フィルム原反1に剛性を付与することができる。機械的強度を補うバインダーは、0~3V(vs.Li/Li+)において還元分解しないことが求められる。
【0044】
さらに、バインダーは、高強度バインダーとして、上述のバインダーの他、スチレンと共役ジエンとを含む以下の共重合体を含むこととしてもよい。
・スチレン-イソプレン共重合体
・スチレン-ブタジエン-メチルメタクリレート共重合体(MBS)
・アクリロニトリル-スチレン-ブタジエン共重合体(ABS)
・アクリロニトリル-スチレン-ブタジエン-メチルメタクリレート共重合体(MABS)
・カルボキシ変性スチレンブタジエンゴム
・スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)
・スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)
・スチレン-イソプレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SIBS)
【0045】
上記共重合体は、共重合可能な他のビニル系モノマーが共重合していてもよい。
【0046】
ビニル系モノマーとしては、
・アルキルアクリレート等のアクリレート系モノマー
・アルキルメタクリレート等のメタクリレート系モノマー
・アルコキシアクリルアミド等のアクリルアミド系モノマー
・アルコキシメタクリルアミド等のメタクリルアミド系モノマー
・アクリル酸等のカルボン酸系モノマー
・アクリロニトリル等のニトリル系モノマー
・酢酸ビニル等のビニルエステル系モノマー
・塩化ビニル等のハロゲン化ビニル系モノマー
・アリルアクリレート等の多官能系モノマー
が挙げられる。
【0047】
これらのビニル系モノマーは、上記共重合体に1種が共重合していてもよく、2種以上が共重合していてもよい。
【0048】
((ii)抵抗調整用バインダー)
抵抗調整用バインダーとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、アクリレート系バインダー、ポリイミド系バインダーなどを用いることができる。
【0049】
(i)高強度バインダーは電気化学的に不活性であると考えられ、活物質を(i)高強度バインダーで完全に覆ってしまうと、活物質の電気化学反応が生じず、且つ電極の抵抗が増大すると考えられる。対して、上述のような(ii)抵抗調整用バインダーを併用することにより、(i)高強度バインダーで活物質を覆うことによる抵抗の増大を抑制することができる。
【0050】
((iii)その他バインダー(接着性バインダー))
接着性バインダーとして、反応性官能基やアンカー効果を有する樹脂材料を用いることができる。反応性官能基としては、水酸基(-OH)、カルボキシ基(-COOH)を挙げることができる。電極フィルム原反がこのようなバインダーを含むと、電極フィルム原反から得られる電極を他の部材に貼合する際、反応性官能基が貼合面で反応し、接着強度を高めることが期待できる。
【0051】
また、電極フィルム原反が接着性バインダーを含むことにより、電極フィルム原反から製造する自立型電極を他の部材に接着しやすくなる。
【0052】
接着性バインダーは、電気化学的に安定であり、その他の部材、特に電解液にさらされても接着性を有することが望ましい。
【0053】
例えば、電気化学素子としてリチウムイオン電池を採用し、電極フィルム原反1を切削して得られた電極を用いる場合、接着性バインダーは、上記電極から、電池内に充填する電解液に溶出しないこと、及び、電解液に曝されても反応性官能基が失活しにくいことが求められる。
【0054】
また、接着性バインダーは、0~3V(vs.Li/Li+)において還元分解しないことが求められる。
【0055】
このようなバインダーとしては、カルボキシメチルセルロース(CMC)系バインダー、ポリアクリル酸(PAA)系バインダー、ビニルアルコール系バインダー、エポキシ系バインダーから選択される少なくとも1種が挙げられる。
【0056】
電極フィルム原反を構成する混合物は、上述の活物質およびバインダーのほか、物性調整のため必要に応じて、導電材等の添加物を含有してもよい。導電材としては、アセチレンブラック等のカーボンブラック、炭素繊維、活性炭、金属粉、導電性ポリマー等から選択される少なくとも1種が挙げられる。導電材は、活物質のような活性を有する必要はなく、電極の内部における導電性を向上させる材料であればよい。
【0057】
また、電極フィルム原反を構成する混合物は、カーボンナノチューブ(CNT)を含んでいてもよい。CNTを添加した電極フィルム原反では、破断強度の向上と、導電性の向上とが期待できる。
【0058】
また、電極フィルム原反の厚さは、1μm以上1000μm以下であると好ましい。
【0059】
上記材料の混合物からなる電極フィルム原反は、上記(a)(b)の機能を発現するために、以下の要件(1)~(3)を満たす。
【0060】
(要件(1))
電極フィルム原反1は、下記測定方法で求めた破断強度が0.1MPa以上であり、且つ破断強度を示すときの伸び率が15%以上である。
【0061】
(破断強度、伸び率の測定方法)
電極フィルム原反を幅15mm、長さ50mmのサイズに切削して得た試験片を、チャック間距離を30mm、引張速度を100mm/minとした条件で測定したときの、最大応力の75%の強度を破断強度とする。
【0062】
また、伸び率は、破断強度を示すときの試験片のチャック間距離から、下記式(1)より求める。
伸び率(%)=(L1-L0)/L0×100 …(1)
L0:チャック間距離の初期値(30mm)
L1:破断強度を示すときのチャック間距離
【0063】
試験片が破断したときの引張力(N)の大きさを最大応力とし、最大応力の75%の応力を求める。75%の応力(N)を、引張方向と直交する仮想面における試験片の断面積(mm)で除した値(N/mm=MPa)を破断強度として求める。
【0064】
測定を2回行い、2回の算術平均値を破断強度として採用する。
【0065】
電極フィルム原反がこのような破断強度を有することにより、電極フィルム原反から切削される電極を自立させることができる。電極を自立させることにより、後の組み立て工程において、電極の取扱いが容易になる。
【0066】
破断強度は、0.2MPa以上が好ましい。また、破断強度は高いほど破損し難いため好ましいと言えるが、10MPa以下であればよく、5MPa以下であってもよい。
【0067】
また、電極フィルム原反1は、充放電時の体積変化に対抗し、負極としての形状、性能を維持するという特徴を有する。電極フィルム原反1が破断強度を示すときの伸び率が15%以上であることにより、充放電時の負極活物質の体積変化による劣化を生じにくく、電極フィルム原反から切削される負極の性能を維持しやすい。
【0068】
測定を2回行い、2回の算術平均値を伸び率として採用する。
【0069】
伸び率は、20%以上が好ましく、25%以上がより好ましい。また、伸び率は、500%以下であればよく、300%以下であってもよい。
【0070】
(要件(2)(3))
上記要件(1)(2)のような性質を有するため、電極フィルム原反1は、下記要件(2)(3)を満たす。
要件(2):バインダーはポリイソブチレンを含む。
要件(3):バインダーは、混合物全体に対し、ポリイソブチレンを1.5質量%以上3.0質量%以下含む。
【0071】
バインダーは、要件(2)(3)を満たすならば、上述の各種のバインダーを含むことができる。
【0072】
以上のような電極フィルム原反において、電極フィルム原反を構成する混合物は、混合物全体に対し、活物質を85質量%以上98.5質量%以下含み、バインダーを1.5質量%以上15質量%以下含むとよい。
【0073】
混合物が導電材等の添加物を含有する場合、混合物は、混合物全体に対し、添加物の機能に応じて予備実験により設定した割合で添加物を含むとよい。例えば、混合物が添加物として導電材を含有する場合、混合物は、混合物全体に対し、活物質を85質量%以上98質量%以下含み、バインダーを1質量%以上10質量%以下含み、導電材を0.5質量%以上5質量%以下含むとよい。
【0074】
[電極フィルム原反の製造方法]
電極フィルム原反は、上述の混合物を溶媒に溶解または分散させたスラリー(塗料)を、支持体上に塗布し、溶媒を除去することにより製造することができる。
【0075】
溶媒は、少なくともバインダーを溶解させる溶媒を用いる。溶媒としては、炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、アミド系溶媒、ハロゲン系溶媒、硫黄系溶媒、無機系溶媒等が挙げられる。
【0076】
炭化水素系溶媒としては、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
【0077】
アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール等が挙げられる。
【0078】
エーテル系溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。
【0079】
ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。
【0080】
エステル系溶媒としては、酢酸エチル、乳酸エチル等が挙げられる。
【0081】
アミド系溶媒としては、ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン等が挙げられる。
【0082】
ハロゲン系溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン等が挙げられる。
【0083】
硫黄系溶媒としては、ジメチルスルホキシド、スルホラン等が挙げられる。
【0084】
無機系溶媒としては、水が挙げられる。
【0085】
上記溶媒は、1種のみ用いてもよく、2種以上を混合した混合溶媒を用いてもよい。
【0086】
塗料を調製する方法は特に限定されないが、活物質、バインダー、任意に添加される添加物等を、1種ずつ、又は2種以上を同時に溶媒と混合し、溶媒に溶解または分散させればよい。
【0087】
溶媒に対する固形分(活物質、バインダー、任意に添加される添加物)の添加順には制限はない。可溶成分を溶媒に溶解させた溶液に不溶成分を添加して、不溶成分を溶液に分散させてもよい。また、不溶成分を溶媒に分散させた分散液に可溶成分を添加して、可溶成分を分散液に溶解させてもよい。
【0088】
スラリー又は溶液を調製した後にさらに溶媒を添加して、塗料の粘度を調整してもよい。
【0089】
脱泡、ろ過等の処理により、塗料の状態を調整してもよい。消泡剤、粘度調整剤、増粘剤、希釈剤、界面活性剤、安定剤等の添加物を塗料に添加してもよい。
【0090】
塗料を塗布する方法は、特に限定されないが、ブレードコート、ディップコート、スプレーコート、バーコート、ダイコート等が挙げられる。
【0091】
塗料の塗布対象物(支持体)は、離形処理された樹脂フィルムが好ましい。支持体は、帯状の長尺のものであってもよく、長尺の支持体を枚葉加工して得られる小型のシートであってもよい。
【0092】
また、塗料の塗布対象物は、集電体、セパレータ、固体電解質等の電池部材であってもよい。これらの電池部材に塗料を直接塗布することで、塗膜と電池部材とを一体化させてもよい。
【0093】
塗料を塗布して形成された塗膜から溶媒を除去することにより、電極シート原反を形成することができる。溶媒は、加熱、減圧、送風及びこれらの組み合わせにより除去することができる。
【0094】
乾燥後の塗膜を、プレス加工してもよい。例えば、乾燥後の塗膜をプレス機等で圧縮することにより、電極に含まれる活物質、導電材等の粒子の接触状態を改善することができる。
【0095】
支持体として帯状の長尺のものを用いた場合、電極フィルム原反は、ロール状に巻き取って保管、輸送してもよく、さらに枚葉加工を施し、複数枚のシート状の電極フィルム原反としてもよい。
【0096】
このようにして、電極フィルム原反が得られる。
【0097】
図2は、本実施形態の電極フィルム原反2を示す模式図である。
図2に示す電極フィルム原反2は、活物質層21と、機能層22とを有する。電極フィルム原反2も、両面から剥離フィルム10で挟持されている。活物質層21は、活物質と、バインダーとを含む混合物を材料とする。
【0098】
電極フィルム原反2は、集電体を有さない。
【0099】
活物質層21を構成する混合物は、上述の電極フィルム原反1を構成する混合物と同じものを採用することができる。
【0100】
機能層22としては、電極の機能を改善する目的で付属される層であれば特に限定されない。機能層22としては、例えば、放熱層、平坦化層、応力緩和層、密着層等が挙げられる。
【0101】
電極フィルム原反2も、上記要件(1)~(3)を満たす。
【0102】
電極フィルム原反2は、上述の電極フィルム原反1と同様の方法で、電極フィルム原反1に該当する活物質層21を作製した後、活物質層21の表面に機能層22を作製することで製造できる。機能層22は、公知の材料を用い、公知の方法により適宜製造することができる。
【0103】
以上のような構成の電極フィルム原反によれば、電極の材料として用いられる新規な電極フィルム原反を提供することができる。
【0104】
また、以上のような構成の電極は、自立し取り扱いが容易なものとなる。
【0105】
[電極積層体]
電極積層体は、上述の電極と、セパレータ又は固体電解質膜と、が積層する積層体である。電極積層体において、電極は、セパレータ又は固体電解質膜と直接接していてもよく、間に他の部材を挟持していてもよい。
【0106】
電極とセパレータとの電極積層体は、主として電解液を用いる電気化学デバイスに用いられる。電極と固体電解質との電極積層体は、電気化学デバイスの一種である全固体二次電池に用いられる。
【0107】
セパレータは、正極と負極との間を絶縁し、電極の機能に必要なイオン透過性を有する材料である。セパレータとしては、特に限定されず公知の樹脂フィルム、多孔質膜などを用いることができる。
【0108】
樹脂フィルムとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリオレフィン、アラミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルスルホン等が挙げられる。イオン透過性を付与するため、樹脂フィルムを多孔性としてもよい。
【0109】
多孔質膜としては、織布、不織布、セルロース、セラミック等が挙げられる。
【0110】
固体電解質膜は、通常知られた固体電解質を板状又は膜状に加工した部材である。固体電解質膜の材料としては、通常知られた無機系固体電解質、高分子系固体電解質のいずれも用いることができる。
【0111】
無機固体電解質としては、硫化物系無機固体電解質、酸化物系無機固体電解質、その他のリチウム系無機固体電解質のいずれも用いることができる。
【0112】
硫化物系無機固体電解質としては、例えば、LiS-P、LiS-SiS、LiS-GeS、LiS-Al、LiS-SiS-LiPO、LiS-P-GeS、LiS-LiO-P-SiS、LiS-GeS-P-SiS、LiS-SnS-P-SiS等が挙げられる。
【0113】
酸化物系無機固体電解質としては、例えば、LiTi(PO、LiZr(PO、LiGe(PO等のNASICON型、(La0.5+xLi0.5-3x)TiO等のペロブスカイト型等が挙げられる。
【0114】
その他のリチウム系無機固体電解質材料としては、例えば、LiPON、LiNbO、LiTaO、LiPO、LiPO4-x(xは0<x≦1)、LiN、LiI、LISICON等が挙げられる。
【0115】
高分子系固体電解質としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、これらの共重合体などのイオン伝導性を示す高分子材料が挙げられる。
【0116】
他の部材としては、例えば電極表面を保護する保護膜が挙げられる。保護膜としては、電極の表面において活物質等の粒子の脱落や、電解質と電極との過剰な反応等から電極を保護することができる材料であれば特に限定されない。
【0117】
[電気化学デバイス]
電気化学デバイスは、上記電極積層体を有する。電気化学デバイスとしては、二次電池、キャパシタが挙げられる。
【0118】
二次電池としては、電池のセル、セルを複数接続して作製されたモジュール、モジュールを複数接続して作製されたパック等が挙げられる。電気化学デバイスの製品には、過充電、過放電等の異常を防止するためのセンサ、制御回路等を備えていてもよい。電池を電気的に外部と接続するため、電極にはリード(端子)が取り付けられてもよい。
【0119】
セパレータを有する電極積層体は、電解液を有する二次電池に用いられる。リチウムイオン二次電池の電解質としては、リチウム塩を非水系溶媒に溶解した溶液が挙げられる。リチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiAlCl、LiClO、CFSOLi、CSOLi、CFCOOLi、(CFCO)NLi、(CFSONLi、(CSONLi等が挙げられる。非水系溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等のカーボネート(炭酸エステル)が挙げられる。
【0120】
電気化学デバイスは、上記電極積層体を、他の必要な部材、例えば、セパレータ、他の電極(対極)等と組み合わせることにより作製することができる。対極は、本実施形態の電極と異なってもよい。
【0121】
電極積層体を収容する容器は、ラミネートフィルムや金属等から形成することができる。電極積層体は、容器内で平坦に配置されてもよく、湾曲、屈曲、巻回等された状態で収容されてもよい。
【0122】
[機器]
セルを複数接続することで、モジュールを作製することができる。モジュールを複数接続することで、パックを作製することができる。セル、モジュール、パック等の電池を用いて作製された機器としては、特に限定されないが、例えば、スマートフォン、携帯電話、コンピュータ、ディスプレイ等の電子機器、電気自動車、ハイブリッド自動車等の輸送機器が挙げられる。
【0123】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【実施例0124】
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0125】
(実施例1~4、比較例1~3)
実施例及び比較例で用いた各材料は以下の通りである。
【0126】
(バインダー)
SBR:スチレン-ブタジエンゴム、Sigma-Aldrich社製、型番430072
PAA:ポリアクリル酸、藤森工業株式会社製、型番TR-853
PIB:ポリイソブチレン、BASF社製、型番N150
【0127】
(負極活物質)
黒鉛:昭和電工マテリアルズ株式会社製、モザイクコークス系人造黒鉛、型番MAGE3
【0128】
(導電材)
AB:アセチレンブラック、Alfa Aesar社製、型番45527
【0129】
各バインダーを溶媒に溶解して下記濃度の溶液とした後、表1に示す比率で各バインダーを混合し、バインダー溶液を得た。
SBR:24質量%トルエン溶液
PAA:40質量%酢酸エチル溶液
PIB:6質量%トルエン溶液
【0130】
振動混合機を用いて、活物質及び導電材(アセチレンブラック)を表1に示す比率で混合し、混合粉体を得た。
【0131】
混合粉体と、バインダー溶液とを表1に示す比率で混合し、スラリー状態とした。さらにトルエンを加えて粘度調整を行った。
【0132】
スラリーを脱泡処理し、目開き100μmの篩を通過させて実施例、比較例の塗料を得た。
【0133】
離型処理がされたPETフィルムに、得られた塗料を3mAh/cmとなるように塗布した。具体的には、目標とする電極の容量と、用いる活物質の比容量(単位:mAh/g)とから、活物質の単位面積当たり質量(塗布質量。単位:g/cm)を算出して塗布した。塗膜を90℃で5分加熱することで乾燥させた。乾燥させた後、ロールプレス機で圧縮して密度を1.4g/cmとし、実施例及び比較例の電極フィルム原反を得た。
【0134】
活物質の比容量は、用いた活物質のメーカ公称値を用いた。
【0135】
[破断強度、伸び率の測定]
電極フィルム原反の破断強度及び伸び率は、上述の(破断強度、伸び率の測定方法)に記載の方法で測定した。
【0136】
[電池の作製:負極活物質を有する電極フィルム原反]
電極フィルム原反から、コイン型電池R2032用の負極を切り出した。
各部材を105℃で真空乾燥させた後、アルゴン雰囲気のグローブボックス内で組み立てを行った。
【0137】
コイン型電池R2032用の下蓋に作製した試験極を配置した。試験極の上にセパレータ(セルガード社製、セルガード2300)を配置した後、電解液(LiPFの1mol/L溶液)を注入した。電解液の溶媒には、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネートを1:1:1(体積比)で混合した混合溶媒を用いた。
【0138】
セパレータの上に対極(金属リチウム)を配置し蓋をした後、12時間静置して電解液を全体に浸漬させることにより、リチウム二次電池を作製した。
【0139】
[SOC-OCV値の測定方法]
電極フィルム原反から作製した試験極に含まれる活物質量を算出し、活物質の理論容量と、活物質量とから、試験極の理論容量(mAh/g)を求めた。
次いで、作製したリチウム二次電池について、0.1Cで30分充電と、5分間休止とを1回として、同じ操作を合計22回繰り返す。
電圧が0.05Vに達したときまでの充電回数を、SOC-OCV値とした。
【0140】
上記方法で測定したSOC-OCV値が16回以上であるとき、電極として十分使用可能であると判断した。
【0141】
[容量維持率]
作製したリチウム二次電池について、0.05Cで2.0Vまで充電した状態(SOC0%)とし、5分間の休止をする。この後、0.05Cにて定電流放電を行い、定電流放電における放電容量を測定した。3回連続して測定を行い、初回、2回目、3回目の放電容量の算術平均値を「0.05Cの放電容量」(初期の放電容量)とした(1C=3mA/cm)。
【0142】
その後、0.1C,0.2C,0.4C,0.6Cで定電流放電を行ったこと以外は上記条件と同様とし、負荷試験を行った。その後、上述の方法で再度「0.05Cの放電容量」(負荷試験後の放電容量)を測定し、容量維持率を求めた。容量維持率が90%以上である電極フィルム原反は、良品であると判断できる。
【0143】
(計算方法)
下記式から容量維持率を求めた。
容量維持率=[初期の放電容量]/[負荷試験後の放電容量]×100%
【0144】
評価結果を表1に示す。表中、破断強度の「測定不可」とは、試験片が脆過ぎて測定ができなかったことを意味する。破断強度が測定不可である電極フィルム原反は、自立できないと判断できる。
【0145】
【表1】
【0146】
評価の結果、実施例1~4の各電極フィルム原反は、いずれも良好な電気化学特性(SOC-OCV、容量維持率)を示した。
【0147】
一方、比較例1の電極フィルム原反は、バインダーにおけるPIBの含有率が規定未満であり、破断強度、伸び率も要件を満たさなかった。このような電極フィルム原反は、電気化学特性が悪いことが分かった。
【0148】
比較例2の電極フィルム原反は、PIBの代わりに機械的強度を補うバインダーとしてSBRを多く含むが、容量維持率が悪く、充放電に伴う体積変化に十分に対抗できていないことが示唆された。
【0149】
さらに、比較例3の電極フィルム原反は、PIBの代わりに接着性バインダーであるPAAを多く含むが、電気化学特性は優れているものの、破断強度、伸び率が測定不能であり、自立できないことが分かった。
【0150】
以上の結果より、本発明は有用であることが分かった。
【符号の説明】
【0151】
1,2…電極フィルム原反、10…剥離フィルム、21…活物質層、22…機能層
図1
図2