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特開2024-43201光無線通信システム、通信装置、および通信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043201
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】光無線通信システム、通信装置、および通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/44 20060101AFI20240322BHJP
   H04L 47/22 20220101ALI20240322BHJP
【FI】
H04L12/44 200
H04L47/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148251
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】大谷 誉
(72)【発明者】
【氏名】宮本 健司
(72)【発明者】
【氏名】酒井 慈仁
(72)【発明者】
【氏名】島田 達也
【テーマコード(参考)】
5K030
5K033
【Fターム(参考)】
5K030LC02
5K033CA12
5K033CB06
5K033DA15
5K033DB02
5K033DB22
(57)【要約】
【課題】通信レートをシェーピングレートに維持しつつ、ジッタ抑制を可能にすることが可能な光無線通信システムを得ること。
【解決手段】無線端末と無線通信する無線子局装置に接続された複数のONU2-iと、複数のONU2-iのそれぞれと光伝送路を介して接続されると共に無線親局装置3に接続されたOLT1とを備え、上り通信において、複数のONU2-iのそれぞれに対して、帯域の付与期間と非付与期間とを交互に繰り返すことで、上り通信の通信レートを制限する光無線通信システムにおいて、割当リソース情報に基づいて、上り通信の通信レートの制限値であるシェーピングレートを算出するレート計算部13と、シェーピングレートと、上り通信において伝送されるデータのフレーム長に基づく情報とに基づいて、ONU2-iに対して、上り通信の帯域付与量と、データ送信開始時刻とを決定する上り通信制御部10Aと、を備えることを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線端末と無線通信する無線子局装置に接続された複数の加入者側光終端装置と、複数の前記加入者側光終端装置のそれぞれと光伝送路を介して接続されると共に無線親局装置に接続された局側光終端装置とを備え、複数の前記加入者側光終端装置のそれぞれから前記局側光終端装置への上り通信において、複数の前記加入者側光終端装置のそれぞれに対して、帯域を付与する付与期間と帯域を付与しない非付与期間とを交互に繰り返すことで、前記上り通信の通信レートを制限する光無線通信システムにおいて、
前記無線親局装置が前記無線端末に割り当てたリソースを示す割当リソース情報に基づいて、複数の前記加入者側光終端装置のそれぞれに対して、前記上り通信の通信レートの制限値であるシェーピングレートを算出するレート計算部と、
前記シェーピングレートと、前記上り通信において伝送されるデータのフレーム長に基づく情報とに基づいて、前記加入者側光終端装置に対して、前記上り通信の帯域付与量と、データ送信開始時刻とを決定する上り通信制御部と、
を備えることを特徴とする光無線通信システム。
【請求項2】
前記局側光終端装置は、前記レート計算部と、前記上り通信制御部と、を備え、
前記上り通信制御部は、
前記上り通信の通信レートが前記シェーピングレートを満たすように、前記帯域付与量と、前記データ送信開始時刻とを決定する帯域割当計算部と、
複数の前記加入者側光終端装置のそれぞれからの上り通信のデータ量および受信時刻を監視情報として出力するトラフィック監視部と、
前記監視情報に基づいて、前記通信レートが前記シェーピングレートに近づくように、前記データ送信開始時刻および前記帯域付与量のうち少なくとも1つを補正する帯域補正部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の光無線通信システム。
【請求項3】
前記帯域補正部は、複数の前記加入者側光終端装置のそれぞれにおいて、予め定められた期間における実際に送信されたデータ量と、前記帯域付与量との差分量を、前記帯域付与量に加算することによって前記帯域付与量を補正することを特徴とする請求項2に記載の光無線通信システム。
【請求項4】
前記帯域補正部は、複数の前記加入者側光終端装置のそれぞれにおいて、予め定められた期間における実際に送信されたデータ量と前記帯域付与量とに基づいて、前記通信レートが前記シェーピングレートに近づくように前記加入者側光終端装置に送信許可を与える時間間隔を補正し、補正後の前記時間間隔に基づいて、前記データ送信開始時刻を補正することを特徴とする請求項2または3に記載の光無線通信システム。
【請求項5】
前記局側光終端装置は、前記レート計算部と、前記割当リソース情報に基づいて、前記帯域付与量および前記データ送信開始時刻を決定する帯域割当計算部と、を有し、
複数の前記加入者側光終端装置のそれぞれは、前記上り通信制御部を有し、
前記上り通信制御部は、
前記上り通信のフレームを出力する出力制御部と、
前記局側光終端装置から通知される前記シェーピングレート、前記帯域付与量、および前記データ送信開始時刻と、前記上り通信において伝送したフレームのフレーム長とに基づいて、前記加入者側光終端装置に送信許可を与える時間間隔を決定し、前記時間間隔が決定された値となるように、前記上り通信の前記データ送信開始時刻を制御するレート制御部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の光無線通信システム。
【請求項6】
前記出力制御部は、前記上り通信のフレームを送信した後、送信した前記フレームのフレーム長を前記レート制御部に通知し、
前記レート制御部は、通知された前記フレーム長と前記シェーピングレートとに基づいて、前記加入者側光終端装置に送信許可を与える時間間隔を決定することを特徴とする請求項5に記載の光無線通信システム。
【請求項7】
前記出力制御部は、前記上り通信のフレームの送信を開始したタイミングで、前記レート制御部に送信開始信号を送信し、
前記レート制御部は、前記送信開始信号を受信したタイミングから、決定した時間長の前記非付与期間が経過した後、前記出力制御部へ送信可能フラグを送信することによって前記データ送信開始時刻を制御することを特徴とする請求項5または6に記載の光無線通信システム。
【請求項8】
前記局側光終端装置は、前記レート計算部と、前記上り通信制御部と、下りデータのフレーム長を示すフレーム情報を前記フレーム長に基づく情報として前記無線親局装置から取得する連携情報受信部と、を備え、
前記上り通信制御部は、前記フレーム情報に基づいて、前記帯域付与量と前記データ送信開始時刻とを決定することを特徴とする請求項1に記載の光無線通信システム。
【請求項9】
無線端末と無線通信する無線子局装置に接続された複数の加入者側光終端装置と、複数の前記加入者側光終端装置のそれぞれと光伝送路を介して接続されると共に無線親局装置に接続された局側光終端装置とを備え、複数の前記加入者側光終端装置のそれぞれから前記局側光終端装置への上り通信において、複数の前記加入者側光終端装置のそれぞれに対して、帯域を付与する付与期間と帯域を付与しない非付与期間とを交互に繰り返すことで、前記上り通信の通信レートを制限する光無線通信システムにおいて、前記加入者側光終端装置に対して前記上り通信の帯域付与量とデータ送信開始時刻とを決定する通信装置であって、
複数の前記加入者側光終端装置のそれぞれに対して、前記無線親局装置が前記無線端末に割り当てたリソースを示す割当リソース情報に基づいて算出された、前記上り通信の通信レートの制限値であるシェーピングレートを取得するシェーピングレート取得部と、
前記シェーピングレートと、前記上り通信において伝送されるフレーム長に基づく情報とに基づいて、前記加入者側光終端装置に対して、前記帯域付与量と、前記データ送信開始時刻とを決定する上り通信制御部と、
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項10】
無線端末と無線通信する無線子局装置に接続された複数の加入者側光終端装置と、複数の前記加入者側光終端装置のそれぞれと光伝送路を介して接続されると共に無線親局装置に接続された局側光終端装置とを備え、複数の前記加入者側光終端装置のそれぞれから前記局側光終端装置への上り通信において、複数の前記加入者側光終端装置のそれぞれに対して、帯域を付与する付与期間と帯域を付与しない非付与期間とを交互に繰り返すことで、前記上り通信の通信レートを制限する光無線通信システムの通信方法において、
複数の前記加入者側光終端装置のそれぞれに対して、前記無線親局装置が前記無線端末に割り当てたリソースを示す割当リソース情報に基づいて算出された、前記上り通信の通信レートの制限値であるシェーピングレートを取得するステップと、
前記シェーピングレートと、前記上り通信において伝送されるフレーム長に基づく情報とに基づいて、前記加入者側光終端装置に対して、前記上り通信の帯域付与量と、データ送信開始時刻とを決定するステップと、
を含むことを特徴とする通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気信号を光信号に変換して伝送する光無線通信システム、通信装置、および通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LTE(Long Term Evolution)、5G(5th Generation)などの無線通信システムにおいて、無線端末は基地局と無線通信を行う。通常、1つの基地局は複数の無線端末と無線通信しているので、無線端末間で信号が衝突しないように、基地局は、有限のリソースを各無線端末に動的に割り当てるスケジューリングを行っている。例えば、LTEの上り通信では、無線端末は、上りデータを基地局に送信する場合、まず、基地局に対して帯域要求を行う。基地局は、帯域要求を受けると、バッファ量およびチャネル状態などの、上りデータのスケジューリングに必要な情報を得るために、無線端末にこれらの情報を送信するためのリソースを割り当て、無線端末に対して当該リソースをレスポンスとして通知する。無線端末は、割り当てられたリソースを用いて、上りデータのスケジューリングに必要な情報を基地局に送信する。基地局は、受信した情報を用いてスケジューリングを行い、上りデータを送信するためのリソースをスケジューリンググラントにより無線端末に割り当てる。上記のようなやりとりを経て初めて、無線端末は、上りデータを基地局に送信することができる。
【0003】
また、無線基地局とPON(Passive Optical Network)とを組み合わせた光無線通信システムが提案されている。この場合、親局装置に接続された局側光終端装置であるOLT(Optical Line Terminal)と子局装置に接続された加入者側光終端装置であるONU(Optical Network Unit)との間を光ファイバおよび光スプリッタを用いた接続する。このような構成をとることにより、複数の子局装置の数に対する親局装置の数と、光ファイバの本数とを減らすことができるため、コストを低減することが可能になる。
【0004】
PONシステムにおいても、1つのOLTは、複数のONUと通信を行う。このため、OLTは、リソースを各ONUに動的に割り当てるスケジューリングを行っている。スケジューリングを行う際には、ONUは、最初に、自身の送信バッファに蓄積されているデータ量の情報(以下、REPORT情報と称する)を、OLTから送られている送信許可信号が指定したタイミングで、OLTに送信する。OLTは、REPORT情報を基にスケジューリングを行い、上りデータを送信するためのリソースを各ONUに割り当てて、割り当てたリソースを、各ONUに通知する。上記のようなやりとりを経て初めて、各ONUは、上りデータをOLTに送信することができる。しかしながら、親局装置と子局装置との間の接続形態としてPONシステムを用いた場合、子局装置から親局装置への上り通信では、各ONUに蓄積されているREPORT情報を各ONUがOLTに通知して、リソースが割り当てられ、上りデータが送信されるまでの遅延が発生する。
【0005】
特許文献1には、無線通信の管理制御、信号処理などを行うBBU(Base Band Unit)と、ユーザ端末に無線信号を送信するRRH(Remote Radio Head)との間のネットワークとして、PONシステムを利用するモバイルネットワークに関する技術が開示されている。特許文献1に開示された技術では、上りデータの待ち時間が許容遅延時間内に収まるように、動的帯域割当周期全体の時間帯に渡って、リソースを割り当てている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-149738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、無線通信では、複数の無線端末から送信された複数のトラフィックフローが含まれており、ネットワーク輻輳、伝送線路の信頼性低下に起因したフレーム消失による再送、キューイングなどによって、信号間隔が一定でなくジッタと呼ばれる揺らぎが発生している場合がある。無線信号にジッタが発生した場合、音声やリアルタイム動画通信において、音質の乱れ、画質の乱れなど、通信サービス品質が低下してしまう可能性がある。このため、ジッタの発生を抑制するために、帯域を付与する付与期間と帯域を付与しない非付与期間とを交互に繰り返すシェーピングと呼ばれる帯域制御技術を適用することが考えられる。付与期間に付与される帯域は、送信側から通知される要求帯域、バッファ量などに基づいて、決定される。PONシステムにおいて、シェーピング時の帯域付与量を決定する際には、通常、送信側から送信されるデータ量の合計を把握することはできても、送信される各フレームのフレーム長までは把握することができない。このため、フレーム長によっては、シェーピング時の通信レートの制限値であるシェーピングレートよりも、実際の通信レートが低くなってしまうという問題があった。例えば、2000byteの帯域付与を行った際に、伝送するフレームのフレーム長が1300byte、800byteと続く場合、1つ目の1300byteのフレームしか送信することができない。
【0008】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、通信レートをシェーピングレートに維持しつつ、ジッタ抑制を可能にすることが可能な光無線通信システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示は、無線端末と無線通信する無線子局装置に接続された複数の加入者側光終端装置と、複数の加入者側光終端装置のそれぞれと光伝送路を介して接続されると共に無線親局装置に接続された局側光終端装置とを備え、複数の加入者側光終端装置のそれぞれから局側光終端装置への上り通信において、複数の加入者側光終端装置のそれぞれに対して、帯域を付与する付与期間と帯域を付与しない非付与期間とを交互に繰り返すことで、上り通信の通信レートを制限する光無線通信システムにおいて、無線親局装置が無線端末に割り当てたリソースを示す割当リソース情報に基づいて、複数の加入者側光終端装置のそれぞれに対して、上り通信の通信レートの制限値であるシェーピングレートを算出するレート計算部と、シェーピングレートと、上り通信において伝送されるデータのフレーム長に基づく情報とに基づいて、加入者側光終端装置に対して、上り通信の帯域付与量と、データ送信開始時刻とを決定する上り通信制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、通信レートをシェーピングレートに維持しつつ、ジッタ抑制を可能にすることが可能な光無線通信システムを得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1にかかる光無線通信システムの構成を示す図
図2】実施の形態1にかかるOLTの機能構成を示す図
図3】実施の形態1にかかるOLTの動作を説明するためのフローチャート
図4】実施の形態1にかかるOLTのハードウェア構成の第1の例を示す図
図5】実施の形態1にかかるOLTのハードウェア構成の第2の例を示す図
図6】実施の形態2にかかる光無線通信システムが有するONUおよびOLTの機能構成を示す図
図7】実施の形態2にかかるOLTの動作を説明するためのフローチャート
図8】実施の形態2にかかるONUの動作を説明するためのフローチャート
図9】実施の形態2にかかるONUのハードウェア構成の第1の例を示す図
図10】実施の形態2にかかるONUのハードウェア構成の第2の例を示す図
図11】実施の形態3にかかるOLTおよび無線親局装置の機能構成を示す図
図12】実施の形態3にかかる無線親局装置の動作を説明するためのフローチャート
図13】実施の形態3にかかるOLTの動作を説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本開示の実施の形態にかかる光無線通信システム、通信装置、および通信方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる光無線通信システム100Aの構成を示す図である。光無線通信システム100Aは、無線親局装置3に接続されたOLT1と、複数の無線子局装置4-1~4-nのそれぞれに接続されたONU2-1~2-nとを有する。OLT1は、複数のONU2-1~2-nのそれぞれと、光ファイバOFおよびスターカプラSを介して接続されている。無線親局装置3は、上位ネットワークに接続されており、無線子局装置4-1~4-nのそれぞれは、無線端末と無線接続することができ、無線端末からの上りデータを無線親局装置3に向けて送信し、無線親局装置3から無線端末への下りデータを無線端末へ向けて送信することができる。OLT1と、ONU2-1~2-nとは、1対多で接続されたPONシステムを構成しており、光信号を用いてデータを送受信する。
【0014】
ここで、ONU2-1~2-nを総称してONU2-iと表現する場合がある。また、無線子局装置4-1~4-nを総称して無線子局装置4-iと表現する場合がある。なお、iは正の整数である。
【0015】
光無線通信システム100Aは、無線親局装置3と無線子局装置4-iに接続された無線端末との間で送受信されるデータを伝送することができる。以下では、光無線通信システム100Aの機能のうち、無線子局装置4-iに接続された無線端末から無線親局装置3への上り通信の遅延時間の低減を図るためのスケジューリングである上りスケジューリングに関連する部分について、主に説明する。上り通信では、無線端末が送信したデータは、無線子局装置4-i、ONU2-i、OLT1を介して無線親局装置3に伝送されることになる。このとき、無線親局装置3は、無線子局装置4-iに接続された各無線端末に対してリソースを割り当てる上りスケジューリングを行う。この無線親局装置3が行う上りスケジューリングを「無線上りスケジューリング」と称する。また、OLT1とONU2-iとの間の上り通信では、ジッタの発生を抑制するために、PONシステム内で帯域を付与する付与期間と帯域を付与しない非付与期間とを交互に繰り返すシェーピングを行う。シェーピングを行うためにOLT1が各ONU2-iにリソースを割り当てる上りスケジューリングを「光上りスケジューリング」と称する。
【0016】
無線親局装置3は、無線上りスケジューリング情報を含む下りデータをOLT1に対して出力する。無線上りスケジューリング情報には、無線子局装置4-iに接続された各無線端末に対して無線親局装置3が割り当てたリソースを各無線端末に対して指示する割当リソース情報が含まれる。割当リソース情報は、各無線端末に対してどの時間帯にどの程度の量のデータを送信するかを指示する情報である。各無線端末は、無線親局装置3に対して上りデータを送信する際には、割当リソース情報で指示されたリソースで上りデータを送信する。
【0017】
図2は、実施の形態1にかかるOLT1の機能構成を示す図である。OLT1は、連携情報受信部11と、情報分析部12と、レート計算部13と、帯域割当計算部14と、帯域補正部15と、GATE生成部16と、データ多重部17と、光送受信部18と、トラフィック監視部19とを有する。また、帯域割当計算部14、帯域補正部15、およびトラフィック監視部19を合わせて、上り通信制御部10Aと称する。なお、図2では、実施の形態1の特徴を説明するために必要な部分を示しており、OLT1は、図2に示す以外の構成を有していてもよい。
【0018】
連携情報受信部11は、無線親局装置3から送信される連携情報を受信し、受信した連携情報を情報分析部12に転送する。連携情報には、無線上りスケジューリング情報などが含まれる。
【0019】
情報分析部12は、連携情報受信部11から転送された連携情報を分析し、連携情報から無線上りスケジューリング情報を抽出する。情報分析部12は、抽出した無線上りスケジューリング情報を、レート計算部13へ送信する。無線上りスケジューリング情報には、割当リソース量、データ到着時刻、無線端末バッファ量が含まれる。
【0020】
レート計算部13は、情報分析部12から受信した無線上りスケジューリング情報に基づいて、OLT1とONU2-iとの間の上り通信の通信レートの制限値であるシェーピングレートを決定する。また、レート計算部13は、決定したシェーピングレートに基づいて、シェーピング帯域付与量とIDLE長とを決定する。シェーピング帯域付与量とは、シェーピングを行う際に、OLT1がONU2-iに対して送信許可を与えるデータ量である。IDLE長とは、OLT1がONU2-iに送信許可を与えたタイミングから、次回送信許可を与えるまでの期間の長さであり、ONU2-iに送信許可を与える時間間隔である。したがって、レート計算部13は、シェーピング帯域付与量のIDLE長に対する比率がシェーピングレートとなるように、シェーピング帯域付与量およびIDLE長を決定する。レート計算部13は、シェーピングレートを帯域補正部15へ送信し、シェーピングレートと、シェーピング帯域付与量と、IDLE長とを含むレート情報を、帯域割当計算部14へ送信する。
【0021】
帯域割当計算部14は、レート計算部13から受信したレート情報に基づいて、ONU2-i毎に、上り通信のデータ送信開始時刻を示すGST(Grant Start Time)と、帯域付与量とを算出し、算出したGSTおよび帯域付与量を帯域補正部15へ送信する。具体的には、帯域割当計算部14は、レート情報に含まれるシェーピング帯域付与量に対して、PONシステムにおいて必要となるオーバーヘッド分を加えることによって、帯域付与量を求める。ここで、オーバーヘッド分とは、例えば、発光開始期間Ton、発光終了期間Toff、同期期間Synctimeなどの期間と、64B/66B符号化、FEC(Forward Error Correction)の分などとを考慮した、純粋なデータ量以外に必要となるデータ量を指す。また、帯域割当計算部14は、複数のONU2-iのそれぞれのGSTが重ならないように、且つ、前回の送信許可を与えたタイミングとの間隔がIDLE長となるように、各ONU2-iに送信許可を与えるタイミングを決定する。具体的には、帯域割当計算部14は、対象のONU2-iについての直近のGSTに、IDLE長を加えることによって、GSTを算出する。
【0022】
帯域補正部15は、トラフィック監視部19からの通知に基づいて、帯域割当計算部14から受信するGSTおよび帯域付与量の少なくとも一方の補正を行う。トラフィック監視部19から通知がない場合、帯域補正部15は、補正を行わずに、受信したGSTおよび帯域付与量をそのままGATE生成部16へ送信する。トラフィック監視部19から通知がある場合、帯域補正部15は、トラフィック監視部19から通知される送信元ONU情報と、受信時刻と、受信データ量とを受信し、ONU2-iに対して付与した帯域と、実際にONU2-iから送信されてきたデータ量とを比較し、GSTおよび帯域付与量の少なくとも一方を補正する。帯域補正部15は、補正後のGSTおよび帯域付与量をGATE生成部16へ送信する。
【0023】
GATE生成部16は、帯域補正部15から受信したGSTおよび帯域付与量を、GATEフレームに格納し、GATEフレームをデータ多重部17に送信する。
【0024】
データ多重部17は、無線親局装置3から送信される下りデータと、GATE生成部16から受信するGATEフレームとを多重して、光送受信部18に送信する。
【0025】
光送受信部18は、ONU2-iと接続されており、ONU2-iからの上りデータを受信して、トラフィック監視部19に対して送信する。また、光送受信部18は、データ多重部17で多重された下りデータおよびGATEフレームを、ONU2-iに対して送信する。
【0026】
トラフィック監視部19は、光送受信部18より受信した上りデータを監視し、送信元ONU情報と、受信時刻と、受信データ量とを帯域補正部15に通知する。また、トラフィック監視部19は、上りデータを無線親局装置3へ転送する。
【0027】
ONU2-iは、OLT1から送信されたGATEフレームに格納されているGSTおよび帯域付与量に基づいて、OLT1に対して上りデータを送信する。PON区間での上りデータ衝突を防止するために、ONU2-iが送信する上りデータ送信量は、OLT1から付与された待機を超過しない範囲となる。
【0028】
続いて、OLT1の動作について説明する。
【0029】
図3は、実施の形態1にかかるOLT1の動作を説明するためのフローチャートである。OLT1の連携情報受信部11は、無線親局装置3から送信される連携情報を受信し、受信した連携情報を情報分析部12に転送する(ステップS101)。
【0030】
情報分析部12は、連携情報受信部11から転送された連携情報を分析し、連携情報から無線上りスケジューリング情報を抽出し、抽出した無線上りスケジューリング情報をレート計算部13に送信する(ステップS102)。無線上りスケジューリング情報には、割当リソース量、データ到着時刻、および無線端末バッファ量が含まれる。
【0031】
レート計算部13は、情報分析部12から受信した無線上りスケジューリング情報に基づいて、OLT1とONU2-iとの間で行うシェーピングのシェーピングレート、シェーピング帯域付与量、およびIDLE長を決定し、シェーピングレート、シェーピング帯域付与量、およびIDLE長を含むレート情報を帯域割当計算部14へ送信し、シェーピングレートを帯域補正部15へ送信する(ステップS103)。
【0032】
帯域割当計算部14は、レート計算部13から受信したレート情報に基づいて、ONU2-i毎に、データ送信開始時刻を示すGSTと、帯域付与量とを算出し、算出したGSTおよび帯域付与量を帯域補正部15へ送信する(ステップS104)。
【0033】
帯域補正部15は、トラフィック監視部19から通知があるか否かを判断する(ステップS105)。
【0034】
トラフィック監視部19から通知がない場合(ステップS105:No)、帯域補正部15は、補正を実施せずに、帯域割当計算部14から受信したGSTおよび帯域付与量をそのままGATE生成部16へ送信する(ステップS106)。
【0035】
トラフィック監視部19から通知がある場合(ステップS105:Yes)、帯域補正部15は、通知された送信元ONU情報と受信時刻と受信データ量とに基づいて、ONU2-i毎に帯域割当された期間内に受信したデータ量を合算して、ONU2-i毎の当該期間における実際に送信されたデータ量を算出する(ステップS107)。
【0036】
帯域補正部15は、実際に送信されたデータ量に基づいて、帯域割当計算部14から受信したGSTおよび帯域付与量のうち少なくとも一方の補正を行い、補正後のGSTおよび帯域付与量をGATE生成部16へ送信する(ステップS108)。
【0037】
ここで、帯域補正部15の実施する補正方法について、2通りの例を挙げて説明する。ONU2-iは、OLT1から割り当てられたGSTおよび帯域付与量に従って、OLT1にデータを送信する。しかしながら、OLT1は、ONU2-iが送信する予定のデータ量を把握することはできても、各フレームのフレーム長までは把握していないので、シェーピングレートに基づいてGSTおよび帯域付与量を決定しても、実際の通信レートはシェーピングレートを下回ってしまい、シェーピングレートを維持することができない場合がある。例えば、OLT1からONU2-iに対して2000byteの帯域を付与したときに、上りフレームのフレーム長が1300byte、800byteと続く場合、ONU2-iは、付与された帯域以下となるようにデータを送信するため、1300byteの1つ目のフレームしか送信することができない。この場合、OLT1は、2000byteのデータがGSTに送信された場合に、通信レートがシェーピングレートとなるように帯域付与量を決定しているので、実際の通信レートはシェーピングレートを大きく下回ってしまう。このため、帯域補正部15は、ONU2-iがOLT1に向けて実際に送信したデータ量に基づいて、GSTおよび帯域付与量のうち少なくとも一方の補正を行うことで、通信レートがシェーピングレートを維持することができるようにする。
【0038】
まず、第1の補正方法は、帯域付与量を補正することで、所望のシェーピングレートを維持する方法である。第1の補正方法では、帯域補正部15は、ONU2-i毎の前回の帯域付与量Daと、ステップS107で算出されたONU2-i毎の実際に送信されたデータ量Dbとを比較し、帯域付与量Daから実際のデータ量Dbを減算した差分量Dcを算出する。帯域補正部15は、次回の帯域割当時の帯域付与量に差分量を加算することによって帯域付与量を補正する。
【0039】
次に、第2の補正方法は、帯域付与量を一定として、IDLE長およびGSTを補正することで、所望のシェーピングレートを維持する方法である。第2の補正方法では、帯域補正部15は、ステップS107で算出されたONU2-i毎の実際に送信されたデータ量Dbと、ステップS103で決定したシェーピングレートRとに基づいて、IDLE長Taを補正し、補正したIDLE長Taに基づいてGSTを算出する。補正後のIDLE長Taは、以下の数式(1)に示すように、実際に送信されたデータ量DbをシェーピングレートRで除算することで算出することができる。
【0040】
Ta=Db/R ・・・(1)
【0041】
なお、第1の補正方法では帯域付与量を補正する方法を示し、第2の補正方法ではGSTを補正する方法を示したが、これらを組み合わせて、帯域付与量およびGSTの両方を補正してもよい。例えば、帯域補正部15は、1回の補正タイミングにおいて、帯域付与量およびGSTの両方を補正してもよいし、補正タイミング毎に、帯域付与量を補正する第1の方法と、GSTを補正する第2の方法とのうち使用する補正方法を選択してもよい。
【0042】
図3の説明に戻る。GATE生成部16は、帯域補正部15から受信したGSTおよび帯域付与量をGATEフレームに格納し、GATEフレームをデータ多重部17に送信する(ステップS109)。
【0043】
データ多重部17は、無線親局装置3から送信される下りデータと、GATE生成部16から受信したGATEフレームとを多重して、光送受信部18に送信する(ステップS110)。
【0044】
光送受信部18は、ONU2-iからの上りデータを受信して、トラフィック監視部19に対して送信する。また、光送受信部18は、データ多重部17で多重された下りデータとGATEフレームとを、ONU2-iに対して送信する(ステップS111)。
【0045】
トラフィック監視部19は、光送受信部18から受信した上りデータを監視し、送信元ONU情報と、受信時刻と、受信データ量とを帯域補正部15に通知する(ステップS112)。また、トラフィック監視部19は、上りデータを無線親局装置3へ転送する。
【0046】
図4は、実施の形態1にかかるOLT1のハードウェア構成の第1の例を示す図である。OLT1は、受信回路51と、送信回路52と、プロセッサ53と、メモリ54と、光無線連携スケジューリング回路55と、MPCP(Multi-Point Control Protocol)回路56と、多重回路57と、光送受信回路58と、分離回路59とを有する。受信回路51と、送信回路52と、プロセッサ53と、光無線連携スケジューリング回路55と、MPCP回路56と、多重回路57と、光送受信回路58と、分離回路59とは、処理回路である。図4において、受信回路51と、送信回路52と、プロセッサ53と、光無線連携スケジューリング回路55と、MPCP回路56と、多重回路57と、光送受信回路58と、分離回路59とは、専用のハードウェアである。処理回路が専用のハードウェアである場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。
【0047】
図2に示すOLT1の連携情報受信部11、情報分析部12、レート計算部13、帯域割当計算部14、帯域補正部15、GATE生成部16、データ多重部17、光送受信部18およびトラフィック監視部19の機能は、処理回路によって実現される。例えば、情報分析部12、レート計算部13、帯域割当計算部14、帯域補正部15およびトラフィック監視部19の機能は、光無線連携スケジューリング回路55またはMPCP回路56によって実現される。また、GATE生成部16の機能はMPCP回路56によって実現され、データ多重部17の機能は多重回路57によって実現され、光送受信部18の機能は光送受信回路58によって実現される。
【0048】
光送受信回路58は、ONU2-iと接続されており、ONU2-iから光信号を受信すると、受信した光信号を分離回路59に出力する。分離回路59は、受信した光信号にREPORT情報が含まれている場合、光信号からREPORT情報を抽出してMPCP回路56に出力する。また、分離回路59は、上りデータを含む光信号を受信すると、上りデータを光無線連携スケジューリング回路55および無線親局装置3のそれぞれに出力する。また、多重回路57は、無線親局装置3から受信した上りデータをMPCP回路56が出力するGATEフレームと多重して光送受信回路58に出力する。光送受信回路58は、多重回路57が出力するGATEフレームおよび上りデータをONU2-iに送信する。MPCP回路56は、PONシステム内のMPCP機能を有する。MPCP機能は、PONに接続された複数のONU2-iをOLT1が認識し、各ONU2-iとOLT1との間で通信するために必要なRTT(Round Trip Time)測定、LLID(Logical Link IDentifier)の付与などを行う機能、ONU2-iとOLT1との間の時刻同期機能などを含む。
【0049】
光無線連携スケジューリング回路55は、分離回路59から上りデータを受信し、無線親局装置3から連携情報を受信する。光無線連携スケジューリング回路55は、光上りスケジューリングを行う。このとき、光無線連携スケジューリング回路55は、MPCP回路56からLocalTimeと呼ばれるPONシステム内で使用する時刻を取得し、LocalTimeに基づいて、GSTを決定する。光無線連携スケジューリング回路55は、光上りスケジューリングを行った結果、決定したGSTおよび帯域付与量を示すGrantをMPCP回路56に出力する。なお、図4に示す例では、受信回路51は、図1,2においては図示していない管理システムと接続されており、プロセッサ53は、管理システムから受信する情報に基づいて、OLT1を制御する。送信回路52は、受信回路51が受信した情報、プロセッサ53が生成した情報などを光無線連携スケジューリング回路55に送信する。
【0050】
図5は、実施の形態1にかかるOLT1のハードウェア構成の第2の例を示す図である。OLT1は、受信回路61と、送信回路62と、プロセッサ63と、メモリ64と、GATE生成回路65と、多重回路66と、光送受信回路67と、分離回路68と、REPORT受信回路69と、トラフィック監視回路70とを有する。図5に示す例では、処理回路はCPU(Central Processing Unit)であり、図5に示すOLT1の各部の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせによって実現される。ソフトウェアやファームウェアはプログラムとして記述され、メモリに格納される。処理回路を構成するCPUは、メモリに記録されたプログラムを読みだして実行することにより、上記の各部の機能を実現する。
【0051】
例えば、図5に示す例では、連携情報受信部11は、受信回路61によって実現される。また、情報分析部12、レート計算部13、帯域割当計算部14および帯域補正部15の機能は、プロセッサ63によって実現される。また、GATE生成部16の機能は、GATE生成回路65によって実現される。データ多重部17の機能は、多重回路66によって実現される。光送受信部18の機能は、光送受信回路67によって実現される。トラフィック監視部19の機能は、トラフィック監視回路70によって実現される。
【0052】
なお、図4および図5に示したハードウェア構成は一例である。OLT1は、ここで示した例以外にも、様々なハードウェア構成を用いて実現することができる。例えば、各部の機能の一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。また、OLT1は、図4に示した構成と図5に示した構成とを組み合わせて実現することもできる。このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上記の各機能を実現することができる。
【0053】
以上説明したように、実施の形態1によれば、光無線通信システム100Aは、無線端末と無線通信する無線子局装置4-iに接続された複数の加入者側光終端装置であるONU2-iと、複数のONU2-iのそれぞれと光伝送路を介して接続されると共に無線親局装置3に接続された局側光終端装置であるOLT1とを備える。また、光無線通信システム100Aは、複数のONU2-iのそれぞれからOLT1への上り通信において、複数のONU2-iのそれぞれに対して、帯域を付与する付与期間と帯域を付与しない非付与期間とを交互に繰り返すことで、上り通信の通信レートを制限するシェーピングを行う。また、光無線通信システム100Aは、無線親局装置3が無線端末に割り当てたリソースを示す割当リソース情報に基づいて、複数のONU2-iのそれぞれに対して、上り通信の通信レートの制限値であるシェーピングレートを算出するレート計算部13と、シェーピングレートと、上り通信において実際に伝送されるデータのフレーム単位のデータ量に基づく情報とに基づいて、複数のONU2-iのそれぞれに対して、上り通信の帯域付与量と、データ送信開始時刻であるGSTとを決定する上り通信制御部10Aと、を有する。このような構成を有することによって、光無線通信システム100Aは、実際に伝送されるデータのフレーム長に基づく情報に基づいて、上り通信の帯域付与量とGSTとが決定されるため、通信レートをシェーピングレートに維持しつつ、ジッタ抑制を可能にすることが可能になる。
【0054】
実施の形態1では、上記のレート計算部13および上り通信制御部10Aは、OLT1に備わる。上り通信制御部10Aは、上り通信の通信レートがシェーピングレートを満たすように、帯域付与量とGSTとを決定する帯域割当計算部14と、複数のONU2-iのそれぞれからの上り通信のデータ量および受信時刻を監視情報として出力するトラフィック監視部19と、監視情報に基づいて、通信レートがシェーピングレートに近づくように、GSTおよび帯域付与量のうち少なくとも1つを補正する帯域補正部15とを有する。実施の形態1では、実際にONU2-iが送信したデータ量を監視する。実際にONU2-iが上りデータを送信するとき、上りデータはフレーム単位で送信されるため、実際に送信したデータのデータ量は、1つのフレームのフレーム長、または、複数のフレームのフレーム長の合計となる。このため、ONU2-iが実際に送信したデータのデータ量は、フレーム長に基づく情報の一例である。
【0055】
帯域補正部15は、複数のONU2-iのそれぞれにおいて、予め定められた期間における実際に送信されたデータ量と、帯域付与量との差分量を、帯域付与量に加算することによって、帯域割当計算部14が算出した帯域付与量を補正することができる。これにより、帯域補正部15は、上り通信の実際の通信レートをシェーピングレートに近づけることが可能になる。
【0056】
或いは、帯域補正部15は、複数のONU2-iのそれぞれにおいて、予め定められた期間における実際に送信されたデータ量と帯域付与量とに基づいて、通信レートがシェーピングレートに近づくように、ONU2-iに送信許可を与える時間間隔を補正し、補正後の時間間隔に基づいて、データ送信開始時刻を補正してもよい。このような構成によっても、帯域補正部15は、上り通信の実際の通信レートをシェーピングレートに近づけることが可能になる。
【0057】
また、実施の形態1において、OLT1は、複数のONU2-iのそれぞれに対して上り通信の帯域付与量とデータ送信開始時刻とを決定する通信装置の一例である。OLT1は、複数のONU2-iのそれぞれに対して、無線親局装置3が無線端末に割り当てたリソースを示す割当リソース情報に基づいて算出された、上り通信の通信レートの制限値であるシェーピングレートを取得するシェーピングレート取得部であるレート計算部13と、シェーピングレートと、上り通信において伝送されるフレーム長に基づく情報である上り通信の実際のデータ量とに基づいて、複数のONU2-iのそれぞれに対して、帯域付与量と、データ送信開始時刻とを決定する上り通信制御部10Aと、を有する。
【0058】
実施の形態2.
図6は、実施の形態2にかかる光無線通信システム100Bが有するONU2B-iおよびOLT1Bの機能構成を示す図である。なお、図6では、実施の形態2の特徴を説明するために必要な部分を示しており、ONU2B-iおよびOLT1Bのそれぞれは、図6に示す以外の構成を有していてもよい。光無線通信システム100Bは、ONU2B-iと、OLT1Bとを有する。なお、図6では省略しているが、光無線通信システム100Bは、複数のONU2B-1~2B-nを有する。実施の形態1と同様に、ONU2B-iは、複数のONU2B-1~2B-nを総称したものである。光無線通信システム100Bにおいて、ONU2B-iとOLT1Bとの間の接続は、図1に示す光無線通信システム100AにおけるONU2-iとOLT1との間の接続と同様である。OLT1Bは、複数のONU2B-iのそれぞれと光ファイバOFおよびスターカプラSを介して接続されている。複数のONU2B-iのそれぞれは、無線子局装置4-iと接続されている。OLT1Bには、無線親局装置3が接続されている。
【0059】
実施の形態1では、OLT1においてONU2-iが送信する上りデータのデータ量を監視し、受信データ量から次回の帯域付与量およびIDLE長の少なくとも一方を補正することによって、通信レートを調整した。実施の形態2では、ONU2-iにおいて、自身が送信する上りデータ量を監視し、送信データ量からIDLE長を補正することによって、通信レートを調整する例について説明する。
【0060】
OLT1Bは、連携情報受信部11と、情報分析部12と、レート計算部13Bと、帯域割当計算部14Bと、GATE生成部16Bと、データ多重部17と、光送受信部18とを有する。ONU2B-iは、光送受信部21と、GATE抽出部22と、レート制御部23と、出力制御部24とを有する。なお、レート制御部23および出力制御部24をまとめて、上り通信制御部10Bと称する。
【0061】
連携情報受信部11は、無線親局装置3から送信される連携情報を受信し、受信した連携情報を情報分析部12に転送する。連携情報には、無線上りスケジューリング情報などが含まれる。
【0062】
情報分析部12は、連携情報受信部11から転送された連携情報を分析し、連携情報から無線上りスケジューリング情報を抽出する。情報分析部12は、抽出した無線上りスケジューリング情報を、レート計算部13Bおよび帯域割当計算部14Bのそれぞれへ送信する。無線上りスケジューリング情報には、割当リソース量、データ到着時刻、無線端末バッファ量が含まれる。
【0063】
レート計算部13Bは、情報分析部12から受信した無線上りスケジューリング情報に基づいて、OLT1BとONU2B-iとの間のシェーピングレートを決定する。レート計算部13Bは、決定したシェーピングレートを、GATE生成部16Bへ送信する。
【0064】
帯域割当計算部14Bは、情報分析部12から受信した無線上りスケジューリング情報に基づいて、ONU2-i毎に、上り通信のデータ送信開始時刻を示すGSTと、帯域付与量とを算出し、算出したGSTおよび帯域付与量をGATE生成部16Bへ送信する。
【0065】
GATE生成部16Bは、帯域割当計算部14Bから受信したGSTおよび帯域付与量と、レート計算部13Bから受信したシェーピングレートとを、GATEフレームに格納し、GATEフレームをデータ多重部17に送信する。GATEフレーム中のシェーピングレートの格納箇所は、IEEE802.3で規定されているGATE MPCPDUでは規定されていないため、例えば、GATE MPCPDUのPad/Reservedフィールドなどに格納することができる。GATEフレーム中のシェーピングレートの格納箇所は、シェーピングレートをONU2B-iに通知することができればよく、特に限定されない。
【0066】
データ多重部17は、無線親局装置3から送信される下りデータと、GATE生成部16Bから受信するGATEフレームとを多重して、光送受信部18に送信する。
【0067】
光送受信部18は、ONU2B-iと接続されており、ONU2B-iからの上りデータを受信して、無線親局装置3に対して送信する。また、光送受信部18は、データ多重部17で多重された下りデータおよびGATEフレームを、ONU2B-iに対して送信する。
【0068】
ONU2B-iの光送受信部21は、OLT1Bからの下りデータを受信して、GATE抽出部22へ送信する。また、光送受信部21は、出力制御部24から送信された上りデータをOLT1Bに対して送信する。
【0069】
GATE抽出部22は、光送受信部21から受信した下りデータを無線子局装置4-iに送信し、光送受信部21から受信したGATEフレームからGST、帯域付与量およびシェーピングレートを抽出する。GATE抽出部22は、GSTおよび帯域付与量を出力制御部24へ送信し、シェーピングレートをレート制御部23へ送信する。
【0070】
レート制御部23は、GATE抽出部22から受信したシェーピングレートと、出力制御部24から受信する送信フレーム長情報および送信開始信号とに基づいて、シェーピングレートを満たすようにIDLE長を決定する。レート制御部23は、IDLE長を決定することによって、ONU2B-iからOLT1Bへの上り通信の通信レートを制御する。また、レート制御部23は、出力制御部24より前回の送信開始信号を受信したタイミングから、IDLE長だけ経過したタイミングで、送信可能フラグを出力制御部24に送信する。また、レート制御部23は、光無線通信システム100Bの起動時にも、送信可能フラグを出力制御部24に送信する。
【0071】
出力制御部24は、GATE抽出部22から受信したGSTおよび帯域付与量と、レート制御部23から受信した送信可能フラグとに基づいて、光送受信部21に上りデータを送信する。出力制御部24は、上りデータ送信時に、レート制御部23に対して送信フレーム長情報および送信開始信号を送信する。送信フレーム長情報は、少なくとも当該タイミングで出力制御部24が光送受信部21に対して送信したフレームのフレーム長を含む。
【0072】
図7は、実施の形態2にかかるOLT1Bの動作を説明するためのフローチャートである。OLT1Bの連携情報受信部11は、無線親局装置3から送信される連携情報を受信し、受信した連携情報を、情報分析部12に転送する(ステップS201)。
【0073】
情報分析部12は、連携情報受信部11から転送された連携情報を分析し、連携情報から無線上りスケジューリング情報を抽出して、抽出した無線上りスケジューリング情報をレート計算部13Bおよび帯域割当計算部14Bのそれぞれに送信する(ステップS202)。無線上りスケジューリング情報には、割当リソース量、データ到着時刻、および無線端末バッファ量が含まれる。
【0074】
レート計算部13Bは、情報分析部12から受信した無線上りスケジューリング情報に基づいて、OLT1BとONU2B-iとの間のシェーピングレートを決定し、決定したシェーピングレートをGATE生成部16Bへ送信する(ステップS203)。
【0075】
帯域割当計算部14Bは、情報分析部12から受信した無線上りスケジューリング情報に基づいて、ONU2B-i毎にデータ送信開始時刻を示すGSTと帯域付与量とを算出し、算出したGSTおよび帯域付与量をGATE生成部16Bへ送信する(ステップS204)。
【0076】
GATE生成部16Bは、帯域割当計算部14Bから受信したGSTおよび帯域付与量と、レート計算部13Bから受信したシェーピングレートとをGATEフレームに格納し、GATEフレームをデータ多重部17に送信する(ステップS205)。
【0077】
データ多重部17は、無線親局装置3から送信される下りデータと、GATE生成部16Bから受信したGATEフレームとを多重して光送受信部18に送信する(ステップS206)。
【0078】
光送受信部18は、データ多重部17で多重された下りデータおよびGATEフレームを、ONU2B-iに対して送信する(ステップS207)。
【0079】
図8は、実施の形態2にかかるONU2B-iの動作を説明するためのフローチャートである。ONU2B-iの光送受信部21は、OLT1Bからの下りデータを受信し、受信した下りデータをGATE抽出部22に送信する(ステップS208)。
【0080】
GATE抽出部22は、光送受信部21から受信した下りデータを無線子局装置4-iへ送信し、光送受信部21から受信したGATEフレームからGST、帯域付与量、およびシェーピングレートを抽出し、抽出したGSTおよび帯域付与量を出力制御部24に送信し、抽出したシェーピングレートをレート制御部23へ送信する(ステップS209)。
【0081】
レート制御部23は、GATE抽出部22から受信したシェーピングレートと、出力制御部24から受信する送信フレーム長情報とに基づいて、シェーピングレートを満たすように、IDLE長を決定する(ステップS210)。
【0082】
シェーピングレートをR(bit/sec)とし、送信フレーム長情報が示す送信フレーム長をDd(bit)とした場合、IDLE長Tb(sec)は、以下の数式(2)で表される。
【0083】
Tb=Dd/R ・・・(2)
【0084】
レート制御部23は、ONU2B-iの起動後から今までに、ONU2B-iがOLT1Bに対して上りデータを送信したことがあるか否かを判断する(ステップS211)。
【0085】
ONU2B-iがOLT1Bに上りデータを一度も送信したことがない場合(ステップS211:No)、レート制御部23は、送信可能フラグを出力制御部24に送信する(ステップS212)。
【0086】
ONU2B-iの起動後から今までに、ONU2B-iがOLT1Bに対して上りデータを送信したことがある場合(ステップS211:Yes)、レート制御部23は、前回の送信開始信号を受信したタイミングから、IDLE長の時間が経過した後、送信可能フラグを出力制御部24に送信する(ステップS213)。
【0087】
出力制御部24は、送信可能フラグを受信したか否かを判断する(ステップS214)。送信可能フラグを受信した場合(ステップS214:Yes)、出力制御部24は、GATE抽出部22から受信したGSTのタイミングで、帯域付与量の範囲内で、光送受信部21に上りデータを送信する。また、出力制御部24は、上りデータの送信を開始したタイミングで、レート制御部23に送信開始信号を送信し、上りデータを送信完了後、送信したフレームのフレーム長を示す送信フレーム長情報を、レート制御部23に送信する(ステップS215)。送信可能フラグを受信していない場合(ステップS214:No)、ONU2B-iは、ステップS213から処理を繰り返す。
【0088】
図9は、実施の形態2にかかるONU2B-iのハードウェア構成の第1の例を示す図である。図9に示す第1の例において、ONU2B-iは、受信回路71と、送信回路72と、プロセッサ73と、メモリ74と、レート制御・出力制御回路75と、MPCP回路76と、多重回路77と、光送受信回路78と、分離回路79とを有する。
【0089】
図9に示す各部の機能は、処理回路で実現される。処理回路が専用のハードウェアである場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらを組み合わせたものである。
【0090】
図10は、実施の形態2にかかるONU2B-iのハードウェア構成の第2の例を示す図である。図10に示す第2の例において、ONU2B-iは、受信回路71と、送信回路72と、プロセッサ73と、メモリ74と、レート制御・出力制御回路75と、多重回路77と、光送受信回路78と、分離回路79と、REPORT生成回路80と、GATE受信回路81とを有する。処理回路がCPUの場合、図10に示す各部の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせにより実現される。ソフトウェア、ファームウェアなどはプログラムとして記述され、記憶装置に格納される。処理回路を構成するプロセッサは、記憶装置に格納されたプログラムを読みだして実行することによって、各部の機能を実現することができる。
【0091】
なお、ONU2B-iの各部の機能は、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェア、ファームウェアなどを用いて実現してもよい。また、ONU2B-iの構成は、図9に示す第1の例と図10に示す第2の例とを組み合わせてもよい。処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって各機能を実現することができる。
【0092】
以上説明したように、実施の形態2によれば、光無線通信システム100Bは、無線端末と無線通信する無線子局装置4-iに接続された複数のONU2B-iと、複数のONU2B-iのそれぞれと光伝送路を介して接続されると共に無線親局装置3に接続されたOLT1Bとを備え、複数のONU2B-iのそれぞれからOLT1Bへの上り通信において、複数のONU2B-iのそれぞれに対して、帯域を付与する付与期間と帯域を付与しない非付与期間とを交互に繰り返すことで、上り通信の通信レートを制限する。光無線通信システム100Bは、無線親局装置3が無線端末に割り当てたリソースを示す割当リソース情報に基づいて、複数のONU2B-iのそれぞれに対して、上り通信の通信レートの制限値であるシェーピングレートを算出するレート計算部13Bと、シェーピングレートと、上り通信において伝送されるデータのフレーム長に基づく情報であるフレーム長情報とに基づいて、複数のONU2B-iのそれぞれに対して、上り通信の帯域付与量と、データ送信開始時刻を示すGSTとを決定する上り通信制御部10Bと、を備える。このような構成を有することにより、光無線通信システム100Bにおいては、実際に伝送されるデータのフレーム長に基づく情報、具体的には、実際に送信したフレームのフレーム長を示すフレーム長情報に基づいて、上り通信の帯域付与量とGSTとが決定されるため、通信レートをシェーピングレートに維持しつつ、ジッタ抑制を可能にすることが可能になる。
【0093】
OLT1Bは、レート計算部13Bと、無線親局装置3から通知される割当リソース情報に基づいて、帯域付与量およびデータ送信開始時刻を決定する帯域割当計算部14Bと、を有する。また、複数のONU2B-iのそれぞれは、上り通信制御部10Bを有する。上り通信制御部10Bは、上り通信のフレームを出力する出力制御部24と、OLT1Bから通知されるシェーピングレート、帯域付与量、およびGSTに基づいて、ONU2B-iに送信許可を与える時間間隔であるIDLE長を決定し、時間間隔が決定された値となるように、上り通信のデータ送信開始時刻を制御するレート制御部23とを有する。
【0094】
出力制御部24は、上り通信のフレームを送信した後、送信したフレームのフレーム長をレート制御部23に通知し、レート制御部23は、通知されたフレーム長とシェーピングレートとに基づいて、IDLE長を決定する。また、出力制御部24は、上り通信のフレームの送信を開始したタイミングで、レート制御部23に送信開始信号を送信し、レート制御部23は、送信開始信号を受信したタイミングから、決定したIDLE長の時間が経過した後、出力制御部24へ送信可能フラグを送信することによってデータ送信開始時刻を制御する。
【0095】
また、実施の形態2において、ONU2B-iは、複数のONU2B-iのそれぞれに対して上り通信の帯域付与量とデータ送信開始時刻とを決定する通信装置の一例である。ONU2B-iは、OLT1Bのレート計算部13Bが、複数のONU2B-iのそれぞれに対して、無線親局装置3が無線端末に割り当てたリソースを示す割当リソース情報に基づいて算出したシェーピングレートを取得するシェーピングレート取得部であるGATE抽出部22を有する。また、ONU2B-iは、取得したシェーピングレートと、上り通信において伝送されるフレーム長に基づく情報であるフレーム長情報とに基づいて、ONU2B-iに対して、帯域付与量と、データ送信開始時刻とを決定する上り通信制御部10Bとを有する。
【0096】
実施の形態3.
図11は、実施の形態3にかかるOLT1Cおよび無線親局装置3の機能構成を示す図である。なお、図11では、実施の形態3の特徴を説明するために必要な部分のみ示しており、OLT1Cおよび無線親局装置3のそれぞれは、図11に示す以外の機能構成を有していてもよい。実施の形態3にかかる光無線通信システム100Cは、複数のONU2-iと、OLT1Cとを有する。
【0097】
無線親局装置3は、フレーム情報生成部31と、連携情報送信部32とを有する。OLT1Cは、連携情報受信部11と、情報分析部12と、レート計算部13Cと、帯域割当計算部14と、GATE生成部16と、データ多重部17と、光送受信部18とを有する。なお、帯域割当計算部14を、上り通信制御部10Cと称する。
【0098】
フレーム情報生成部31は、無線子局装置4-iなどから受信した無線端末バッファ量、バッファに蓄積されているフレーム長、フレーム数を含むフレーム情報を連携情報送信部32へ送信する。
【0099】
連携情報送信部32は、フレーム情報生成部31から受信したフレーム情報に基づいて無線上りスケジューリング情報を生成し、無線上りスケジューリング情報を含む連携情報をOLT1Cへ送信する。無線上りスケジューリング情報には、割当リソース量と、データ到着時刻と、無線端末バッファ量と、割当リソース量に含まれるフレーム数およびフレーム長とが含まれる。
【0100】
連携情報受信部11は、無線親局装置3から連携情報を受信し、受信した連携情報を情報分析部12に転送する。
【0101】
情報分析部12は、連携情報受信部11から転送された連携情報を分析し、連携情報から無線上りスケジューリング情報を抽出し、抽出した無線上りスケジューリング情報を、レート計算部13Cへ送信する。
【0102】
レート計算部13Cは、情報分析部12から受信した無線上りスケジューリング情報に基づいて、OLT1CとONU2-iとの間のシェーピングレートを決定する。また、レート計算部13Cは、割当リソース量に含まれるフレーム数およびフレーム長から、シェーピング帯域付与量を決定する。レート計算部13Cは、1フレームを1エントリとし、エントリ毎にフレーム長をリングバッファに保存するなどの方法で、フレーム長を保存し、帯域を付与する毎に、当該エントリを無効化することによって、フレーム長を管理することができる。レート計算部13Cは、次の情報を受信した場合、例えば、有効エントリの最後尾に次のエントリを追加していく。レート計算部13Cは、シェーピング帯域付与量とシェーピングレートとに基づいて、IDLE長を決定する。レート計算部13Cは、シェーピングレート、シェーピング帯域付与量、およびIDLE長を含むレート情報を、帯域割当計算部14に送信する。
【0103】
帯域割当計算部14は、レート計算部13Cから受信したレート情報に基づいて、ONU2-i毎に、データ送信開始時刻を示すGSTと帯域付与量とを算出し、GSTおよび帯域付与量を、GATE生成部16へ送信する。
【0104】
GATE生成部16は、帯域割当計算部14から受信したGSTおよび帯域付与量をGATEフレームに格納し、データ多重部17に送信する。
【0105】
データ多重部17は、無線親局装置3から送信される下りデータと、GATE生成部16から受信したGATEフレームとを多重し、光送受信部18に送信する。
【0106】
光送受信部18は、ONU2-iからの上りデータを受信して、受信した上りデータを、無線親局装置3に対して送信する。また、光送受信部18は、データ多重部17で多重された下りデータおよびGATEフレームを、ONU2-iに対して送信する。
【0107】
図12は、実施の形態3にかかる無線親局装置3の動作を説明するためのフローチャートである。無線親局装置3のフレーム情報生成部31は、無線端末バッファ量、バッファに蓄積されているフレームのフレーム長、およびバッファに蓄積されているフレームのフレーム数を、フレーム情報として、連携情報送信部32へ送信する(ステップS301)。
【0108】
連携情報送信部32は、フレーム情報生成部31から受信したフレーム情報に基づいて無線上りスケジューリング情報を生成し、生成した無線上りスケジューリング情報を含む連携情報をOLT1Cへ送信する(ステップS302)。無線上りスケジューリング情報には、割当リソース量、データ到着時刻、無線端末バッファ量、割当リソース量に含まれるフレーム数、および割当リソース量に含まれるフレーム長が含まれる。
【0109】
図13は、実施の形態3にかかるOLT1Cの動作を説明するためのフローチャートである。OLT1Cの連携情報受信部11は、無線親局装置3から送信される連携情報を受信し、受信した連携情報を情報分析部12に転送する(ステップS303)。
【0110】
情報分析部12は、連携情報受信部11から転送された連携情報を分析し、連携情報から無線上りスケジューリング情報を抽出し、抽出した無線上りスケジューリング情報をレート計算部13Cへ送信する(ステップS304)。
【0111】
レート計算部13Cは、情報分析部12から受信した無線上りスケジューリング情報に含まれる割当リソース量、データ到着時刻、および無線端末バッファ量に基づいて、OLT1CとONU2-iとの間のシェーピングレートを決定する(ステップS305)。
【0112】
レート計算部13Cは、割当リソース量に含まれるフレーム数およびフレーム長から、フレーム長情報をテーブルに格納し、シェーピング帯域付与量を決定する(ステップS306)。具体的には、レート計算部13Cは、テーブルに格納されている有効なエントリのうち先頭に格納されたエントリのフレーム長を、シェーピング帯域付与量とする。
【0113】
レート計算部13Cは、シェーピング帯域付与量とシェーピングレートとに基づいて、IDLE長を決定し、決定したIDLE長と、シェーピングレートと、シェーピング帯域付与量とを含むレート情報を、帯域割当計算部14へ送信する(ステップS307)。
【0114】
シェーピングレートをR(bit/sec)、シェーピング帯域付与量をDe(bit)とした場合、IDLE長Tc(sec)は、以下の数式(3)を用いて求めることができる。
【0115】
Tc=De/R ・・・(3)
【0116】
帯域割当計算部14は、レート計算部13から受信したレート情報に基づいて、ONU2-i毎にGSTおよび帯域付与量を算出し、算出したGSTおよび帯域付与量を、GATE生成部16に送信する(ステップS308)。
【0117】
GATE生成部16は、帯域割当計算部14から受信したGSTおよび帯域付与量をGATEフレームに格納し、GATEフレームをデータ多重部17に送信する(ステップS309)。
【0118】
データ多重部17は、無線親局装置3から送信される下りデータと、GATE生成部16から受信したGATEフレームとを多重して、光送受信部18に送信する(ステップS310)。
【0119】
光送受信部18は、データ多重部17で多重された下りデータおよびGATEフレームを、ONU2-iに対して送信する(ステップS311)。
【0120】
なお、実施の形態2,3にかかるOLT1B,1Cの各機能についても、実施の形態1で説明したように、処理回路を用いて実現することができる。処理回路は、専用のハードウェアであってもよいし、ソフトウェア、ファームウェアなどを用いたものであってもよい。
【0121】
以上説明したように、実施の形態3にかかる光無線通信システム100Cでは、OLT1Cが、レート計算部13Cと、上り通信制御部10Cと、下りデータのフレーム長を示すフレーム情報を含む連携情報を、無線親局装置3から取得する連携情報受信部11とを有する。ここでは、連携情報に含まれるフレーム情報が、フレーム長に基づく情報の一例である。上り通信制御部10Cは、フレーム情報に基づいて、帯域付与量とデータ送信開始時刻であるGSTとを決定する。このため、実際に伝送されるフレームのフレーム長を考慮して、帯域付与量およびGSTが決定される。このため、通信レートをシェーピングレートに維持しつつ、ジッタ抑制を可能にすることが可能になる。
【0122】
フレーム情報は、フレーム数およびフレーム長を含む。事前にフレーム数およびフレーム長を把握した上で、スケジューリングが行われるため、より正確で、リアルタイム性が高く、所望の通信レートに調整することが可能になる。
【0123】
また、実施の形態3において、OLT1Cは、複数のONU2-iのそれぞれに対して上り通信の帯域付与量とデータ送信開始時刻とを決定する通信装置の一例である。OLT1Cは、複数のONU2-iのそれぞれに対して、無線親局装置3が無線端末に割り当てたリソースを示す割当リソース情報に基づいて算出されたシェーピングレートを取得するシェーピングレート取得部であるレート計算部13Cと、シェーピングレートと、上り通信において伝送されるフレーム長に基づく情報とに基づいて、ONU2-iに対して、帯域付与量とデータ送信開始時刻とを決定する上り通信制御部10Cとを有する。
【0124】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0125】
1,1B,1C OLT、2-1~2-n,2-i,2B-i ONU、3 無線親局装置、4-1~4-n,4-i 無線子局装置、10A,10B,10C 上り通信制御部、11 連携情報受信部、12 情報分析部、13,13B,13C レート計算部、14,14B 帯域割当計算部、15 帯域補正部、16,16B GATE生成部、17 データ多重部、18,21 光送受信部、19 トラフィック監視部、22 GATE抽出部、23 レート制御部、24 出力制御部、31 フレーム情報生成部、32 連携情報送信部、51,61,71 受信回路、52,62,72 送信回路、53,63,73 プロセッサ、54,64,74 メモリ、55 光無線連携スケジューリング回路、56,76 MPCP回路、57,66,77 多重回路、58,67,78 光送受信回路、59,68,79 分離回路、65 GATE生成回路、69 REPORT受信回路、70 トラフィック監視回路、75 レート制御・出力制御回路、80 REPORT生成回路、81 GATE受信回路、100A,100B,100C 光無線通信システム、OF 光ファイバ、S スターカプラ。
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13