(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043273
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】排気システム、基板処理装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20240322BHJP
【FI】
H01L21/31 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148369
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(72)【発明者】
【氏名】坂田 雅和
(72)【発明者】
【氏名】高橋 良輔
【テーマコード(参考)】
5F045
【Fターム(参考)】
5F045AC15
5F045AC16
5F045AC17
5F045BB20
5F045DP19
5F045DP28
5F045DQ05
5F045EB03
5F045EB05
5F045EB12
5F045EC05
5F045EC07
5F045EC09
5F045EE04
5F045EF03
5F045EF09
5F045EG01
5F045EK06
5F045EM10
5F045EN05
(57)【要約】
【課題】排気系の立ち上げを効率的に行う技術を提供する
【解決手段】処理室の雰囲気を排気する排気管と、
前記排気管と接続され、前記排気管に供給するガスの流量を制御する流量制御器を備えたパージラインと、
前記パージラインと接続される排気管の部位より上流側の前記排気管に設けられ、前記処理室との連通を遮断するよう構成される第1開閉部と、
前記パージラインと接続される排気管の部位より下流側の前記排気管に設けられる第2開閉部と、
前記第1開閉部と前記第2開閉部の間の前記排気管に設けられ、前記排気管内の圧力を検知する圧力検知部と、
前記圧力検知部からの信号を受けて動作するように構成されている第3開閉部を備え、前記第1開閉部と前記第2開閉部の間の前記排気管から分岐する分岐管と、
を有する技術が提供される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理室の雰囲気を排気する排気管と、
前記排気管と接続され、前記排気管に供給するガスの流量を制御する流量制御器を備えたパージラインと、
前記パージラインと接続される排気管の部位より上流側の前記排気管に設けられ、前記処理室との連通を遮断するよう構成される第1開閉部と、
前記パージラインと接続される排気管の部位より下流側の前記排気管に設けられる第2開閉部と、
前記第1開閉部と前記第2開閉部の間の前記排気管に設けられ、前記排気管内の圧力を検知する圧力検知部と、
前記圧力検知部からの信号を受けて動作するように構成されている第3開閉部を備え、前記第1開閉部と前記第2開閉部の間の前記排気管から分岐する分岐管と、
を備えた排気管構造。
【請求項2】
前記パージラインは、前記第1開閉部と前記第2開閉部と前記第3開閉部がそれぞれ閉状態で、前記流量制御器により流量制御された前記ガスを前記排気管に供給するように構成されている請求項1記載の排気管構造。
【請求項3】
前記流量制御器を流れる前記ガスの流量は、予め設定された所定流量から所定時間内にゼロに収束するよう構成されている請求項2記載の排気管構造。
【請求項4】
前記圧力検知部が予め設定された圧力を検出すると、前記第3開閉部が閉状態から開状態になるように構成されている請求項1記載の排気管構造。
【請求項5】
更に、前記処理室の圧力を調整する調整弁より上流側の前記排気管から分岐するように設けられるベント管を有し、
前記分岐管は、前記ベント管と接続されるよう構成されている請求項1記載の排気管構造。
【請求項6】
前記分岐管及び前記ベント管は、逆流防止用の弁部を有する請求項5記載の排気管構造。
【請求項7】
前記第1開閉部は、前記調整弁より下流側の前記排気管に設けられている請求項5記載の排気管構造。
【請求項8】
更に、前記第1開閉部を複数有し、
前記第1開閉部は、前記排気管と、前記調整弁を迂回するように設けられる枝管との両方に設けられるよう構成されている請求項1記載の排気管構造。
【請求項9】
前記第2開閉部は、前記排気管内の排気を停止するよう構成される請求項1記載の排気管構造。
【請求項10】
更に、前記分岐管が設けられる前記排気管の下流側に、前記処理室を減圧することが可能に構成される排気装置を有する請求項1記載の排気管構造。
【請求項11】
前記第2開閉部は、前記排気装置の下流側に設けられている請求項10記載の排気管構造。
【請求項12】
前記パージラインは、前記ガスを加熱することが可能なように構成されている加熱部を有する請求項1記載の排気管構造。
【請求項13】
前記圧力検知部は、大気圧を検出するように構成されている請求項1記載の排気管構造。
【請求項14】
請求項1記載の排気管構造と、前記流量制御器に流れる前記ガスの流量が予め設定された所定流量からゼロに収束する時間と予め設定された設定時間を比較することが可能なように構成されている制御部を有する排気システム。
【請求項15】
処理室の雰囲気を排気する排気管と、
前記排気管と接続され、前記排気管内に導入するガスの流量を制御する流量制御器を備えたパージラインと、
前記パージラインと接続される排気管の部位より上流側の前記排気管に設けられ、前記処理室との連通を遮断するよう構成される第1開閉部と、
前記パージラインと接続される排気管の部位より下流側の前記排気管に設けられる第2開閉部と、
前記第1開閉部と前記第2開閉部の間の前記排気管に設けられ、前記排気管内の圧力を検知する圧力検知部と、
前記圧力検知部からの信号を受けて動作するように構成されている第3開閉部を備え、前記第1開閉部と前記第2開閉部の間の前記排気管から分岐する分岐管と、
を備えた排気管構造を有する処理装置。
【請求項16】
処理室の雰囲気を排気する排気管と、
前記排気管と接続され、前記排気管内に導入するガスの流量を制御する流量制御器を備えたパージラインと、
前記パージラインと接続される排気管の部位より上流側の前記排気管に設けられ、前記処理室との連通を遮断するよう構成される第1開閉部と、
前記パージラインと接続される排気管の部位より下流側の前記排気管に設けられる第2開閉部と、
前記第1開閉部と前記第2開閉部の間の前記排気管に設けられ、前記排気管内の圧力を検知する圧力検知部と、
前記圧力検知部からの信号を受けて動作するように構成されている第3開閉部を備え、前記第1開閉部と前記第2開閉部の間の前記排気管から分岐する分岐管と、
を備えた排気管構造を用いて排気しつつ、基板を処理する基板処理工程を有する半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は排気システム、基板処理装置及び半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現状、半導体装置の製造工程において用いられる基板処理装置(以下、半導体製造装置とも称する)一台には数台から数十台の流量制御器が、ガス供給系に設けられていることがある。これらの流量制御器の効率的なセットアップ作業は、以下の特許文献に記載されている。一方、排気系に設けられている流量制御器のセットアップ作業は、後段のポンプやバルブが顧客範囲の場合等、真空状態を確認することが困難な場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2019-186654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、排気系の立ち上げを効率的に行う技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、処理室の雰囲気を排気する排気管と、
前記排気管と接続され、前記排気管に供給するガスの流量を制御する流量制御器を備えたパージラインと、
前記パージラインと接続される排気管の部位より上流側の前記排気管に設けられ、前記処理室との連通を遮断するよう構成される第1開閉部と、
前記パージラインと接続される排気管の部位より下流側の前記排気管に設けられる第2開閉部と、
前記第1開閉部と前記第2開閉部の間の前記排気管に設けられ、前記排気管内の圧力を検知する圧力検知部と、
前記圧力検知部からの信号を受けて動作するように構成されている第3開閉部を備え、前記第1開閉部と前記第2開閉部の間の前記排気管から分岐する分岐管と、
を有する技術が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、排気系の立ち上げを効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の一態様で好適に用いられる基板処理装置の処理炉の一構成例を示す図である
【
図2】本開示の一態様で好適に用いられる基板処理装置の制御モジュールの一構成例を示すブロック図である。
【
図3】本開示の一態様で好適に用いられる基板処理装置の排気系の一構成例を示す図である。
【
図4】本開示の一態様で好適に用いられる基板処理装置を構成する部品の調整用シーケンスを説明する図である。
【
図5】排気系の過加圧状態による装置への影響の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本開示の一態様について説明する。なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0009】
(処理炉)
図1に本実施形態における好適に用いられる基板処理装置の処理炉42について説明する。本実施形態において、基板処理装置は、半導体装置(デバイス)の製造方法における製造工程の一工程として熱処理等の基板処理工程を実施する縦型基板処理装置(以下、処理装置と称する)として構成されている。
【0010】
処理炉42は、反応管41を備えている。反応管41は、例えば石英(SiO2)や炭化珪素(SiC)等の耐熱性を有する非金属材料から構成され、上端部が閉塞され、下端部が開放された円筒形状となっている。
【0011】
反応管41の筒内には、処理室34が形成されている。処理室34には、基板保持体としてのボート30が下方から挿入されて、ボート30によって水平姿勢に保持されたウエハ14が鉛直方向に多段に整列した状態で収容されるように構成されている。処理室34に収容されるボート30は、回転機構43によって回転軸44を回転させることで、処理室34の気密を保持したまま、複数のウエハ14を搭載した状態で回転可能に構成されている。
【0012】
反応管41の下方には、この反応管41と同心円状にマニホールド45が配設されている。マニホールド45は、例えばステンレス鋼等の金属材料から構成され、上端部および下端部が開放された円筒形状となっている。このマニホールド45により、反応管41は、下端部側から縦向きに支持される。つまり、処理室34を形成する反応管41がマニホールド45を介して鉛直方向に立脚されて、処理炉42が構成されることになる。マニホールド45の下端部は、図示せぬボートエレベータが上昇した際に、シールキャップ46により気密に封止されるように構成されている。マニホールド45の下端部とシールキャップ46との間には、処理室34を気密に封止するOリング等の封止部材46aが設けられている。
【0013】
また、マニホールド45には、処理室34に原料ガスやパージガス等を導入するためのガス導入管47と、処理室34のガスを排気するための排気管48とが、それぞれ接続されている。
【0014】
反応管41の外周には、反応管41と同心円状に加熱手段(加熱機構)としてのヒータユニット49が配されている。ヒータユニット49は、処理室34が全体にわたって均一または所定の温度分布となるように、処理室34に対する加熱を行うように構成されている。
【0015】
図2に、操作部31及び制御部32を含む基板処理装置の制御システムの一構成例を示す。コントローラ260は、入出力装置31と、制御部32とを少なくとも含む構成となっている。
【0016】
制御部32は、CPU(Central Processing Unit)260a、RAM(Random Access Memory)260b、記憶装置260c、I/Oポート260dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM260b、記憶装置260c、I/Oポート260dは、内部バス260eを介して、CPU260aとデータ交換可能なように構成されている。
【0017】
演算部としてのCPU260aは、記憶装置260cからの制御プログラムを読み出して実行するとともに、入出力装置31からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置260cからファイルを読み出すように構成されている。また、受信部285から入力された設定値と、記憶装置260cに記憶されたファイルや制御データとを比較・演算して、演算データを算出可能に構成されている。また、RAM260bは、CPU260aによって読み出されたプログラム、演算データ、処理データ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0018】
記憶装置260cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置260c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、レシピ編集用の編集画面やセットアップ用の設定画面等の画面ファイルと、ガス種に応じて複数のスイッチを切替えて使用される調整対象である部品の調整用のシーケンス、基板処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ、基板を搬送するためのレシピ等を含む各種のファイル、又、各センサから検出されるデータなどを含み、また、ウエハ14への処理に用いるプロセスレシピを設定するまでの過程で生じる演算データや処理データ等が、読み出し可能に格納されている。
【0019】
入出力装置31の操作画面には、初期化に使用された条件と同じ条件で調整用シーケンスを作成する編集画面と、調整対象の部品を選択する選択画面がそれぞれ表示される。例えば、タッチパネル等として構成された入出力装置31は、外部記憶装置262が接続可能に構成されている。さらに、コントローラ260には、受信部285を通じてネットワーク263が接続可能に構成されている。このことは、コントローラ260がネットワーク263上に存在するホストコンピュータ等の上位装置とも接続可能であることを意味する。よって、入出力装置31がネットワーク263上に存在すればコントローラ260と接続可能である。つまり、入出力装置31は、上記実施形態に限らず基板処理装置から離れた場所にあってもよい。
【0020】
以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を含む各ファイルを総称して、単にプログラムともいうことがある。なお、本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。
【0021】
なお、コントローラ260は、専用のコンピュータとして構成されている場合に限らず、汎用のコンピュータとして構成されていてもよい。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)262を用意し、かかる外部記憶装置262を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすること等により、本実施形態に係るコントローラ260を構成することができる。
【0022】
コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置262を介して供給する場合に限らない。例えば、ネットワーク263(インターネットや専用回線)等の通信手段を用い、外部記憶装置262を介さずにプログラムを供給するようにしてもよい。
【0023】
また、記憶装置260cや外部記憶装置262は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において、記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置260c単体のみを含む場合、外部記憶装置262単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。
【0024】
次に、本実施形態にかかる基板処理装置を用いて、半導体デバイス製造の一工程として、ウエハ14に対する処理を行う場合の動作手順について、
図1および
図2を参照して説明する。
【0025】
(ポッド搬送工程)
基板処理装置にてウエハ14に対する処理を行う場合は、先ず、ポッドステージに複数枚のウエハ14を収容したポッドを載置する。そして、ポッド搬送装置20によりポッドをポッドステージから回転ポッド棚に移載する。
【0026】
(ウエハ供給工程)
その後、ポッド搬送装置20により、回転ポッド棚に載置されたポッドをポッドオープナに搬送する。そして、ポッドオープナによりポッドの蓋を開き、ポッドに収容されているウエハ14の枚数を基板枚数検知器により検知する。
【0027】
(搬入前移載工程)
ポッドの蓋を開いたら、次いで、移載室内に配置された基板移載機28が、ポッドからウエハ14を取り出す。そして、ポッド16から取り出した未処理状態のウエハ14を、基板移載機28と同じく移載室内に位置するボート30に移載する。つまり、基板移載機28は、移載室内にて、処理室34へ搬入する前のボート30に未処理状態のウエハ14を装填するウエハチャージ動作を行う。これにより、ボート30は、複数枚のウエハ14を鉛直方向にそれぞれが間隔を成す積層状態で保持することになる。
【0028】
(搬入工程)
ウエハチャージ動作後は、ボートエレベータの昇降動作により、未処理状態のウエハ14を複数枚保持したボート30を処理室34内へ搬入(ボートローディング)する。つまり、ボートエレベータを動作させて、未処理状態のウエハ14を保持したボート30を、移載室から処理室34へ搬入する。これにより、シールキャップ46は、封止部材46aを介してマニホールド45の下端をシールした状態となる。
【0029】
(処理工程)
ボートローディング後は、処理室34に搬入されたボート30が保持する未処理状態のウエハ14に対して、所定の処理を行う。具体的には、排気管48を用いて排気を行い、処理室34が所望の圧力(真空度)となるようにする。そして、ヒータユニット49を用いて処理室34に対する加熱を行うとともに、回転機構43を動作させてボート30を回転させ、これに伴いウエハ14も回転させる。さらには、ガス導入管47により処理室34内へ原料ガスやパージガス等を供給する。これにより、ボート30に保持された未処理状態のウエハ14の表面には、例えば、熱による分解反応や化学反応等を利用した薄膜形成が行われる。
【0030】
ウエハ14の表面への薄膜形成の完了後は、ヒータユニット49による加熱を停止して、処理済状態のウエハ14の温度を所定温度まで降温させる。そして、予め設定された時間が経過したら、処理室34へのガス供給を停止するとともに、当該処理室34への不活性ガスの供給を開始する。これにより、処理室34内を不活性ガスで置換するとともに、処理室34の圧力を常圧に復帰させる。また、処理室34の常圧復帰中もしくは常圧復帰後に、回転機構43によるボート30の回転も停止させる。
【0031】
(搬出工程)
その後は、ボートエレベータの昇降動作により、シールキャップ46を下降させてマニホールド45の下端を開口させるとともに、処理済状態のウエハ14を保持したボート30をマニホールド45の下端から処理室34外へ搬出(ボートアンローディング)する。
【0032】
(搬出後移載工程)
待機させたボート30のウエハ14が所定温度(例えば室温程度)まで冷えた後は、移載室内に配置された基板移載機28が、ボート30からのウエハ14の脱装を行う。そして、ボート30から脱装した処理済状態のウエハ14を、ポッドオープナに載置されている空のポッドに搬送して収容するウエハディスチャージ動作を行う。その後は、ポッド搬送装置20により、処理済状態のウエハ14を収容したポッド16を、回転ポッド棚またはポッドステージ上へ搬送する。このようにして、基板処理装置による基板処理工程の一連の処理動作が完了する。
【0033】
図3に本実施形態において使用される基板処理装置の排気系の一構成例を示す。なお、
図3に示す一点鎖線内に囲まれている部分を排気ボックス75という。
【0034】
図3に示すように、メイン排気ラインとしての排気管48には、上流側から順に、処理室34の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ51、処理室の圧力が大気圧を超えているか検出する第1圧力スイッチとしてのPS52、排気管48内の流路を遮断する遮断弁(以後、第1開閉部)としてのゲートバルブ55、圧力調整器(以後、調整弁)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ35の下流側の圧力が大気圧を超えているか検出する第2圧力スイッチとしてのPS53、ベローズ36aを介して排気装置としての真空ポンプ36が設けられている。更に、真空ポンプ36の二次側には、排気を停止する遮断弁(以後、第2開閉部)としてのゲートバルブ56が設けられている。
【0035】
ゲートバルブ55は、調整弁35およびゲートバルブ56の弁を開状態で且つ真空ポンプ36を作動させた状態で弁を開閉することで、処理室34の真空排気および真空排気停止を行うことができる。また、調整弁35は、ゲートバルブ55およびゲートバルブ56を開状態で、且つ真空ポンプ36を作動させた状態で弁を開閉することで、処理室34の真空排気および真空排気停止を行うことができ、更に、ゲートバルブ55およびゲートバルブ56を開状態で、且つ真空ポンプ246を作動させた状態で、圧力センサ51により検出された圧力情報に基づいて弁開度を調節することで、処理室34の圧力を調整することができるように構成されている。
【0036】
また、処理室34の圧力を調整する調整弁35より上流側の排気管48から分岐するように大気圧開放ラインとしてのベント管61が設けられる。ベント管61には、PS52からの信号を受けて、閉状態から開状態へ動作するバルブ52bと、逆流防止のためのチェック弁CVが設けられ、ベント管61は、外部排気(EXTHAUST)まで連通される。
【0037】
また、ゲートバルブ55と調整弁35を迂回するように、処理室34をゆっくり排気するためのスロー排気ラインとしての枝管57が設けられ、枝管57には第1開閉弁としてのエアバルブ57aが設けられている。
【0038】
そして、処理室34の圧力を調整する調整弁35より下流側の排気管48から分岐するようにリリースラインとしての分岐管62が設けられる。分岐管62には、PS53からの信号を受けて、閉状態から開状態へ動作する、第3開閉部としてのバルブ53bと、逆流防止のためのチェック弁CVが設けられ、分岐管62は、ベント管61と接続されている。
【0039】
また、第1開閉部と第2開閉部との間の排気管48、具体的には、処理室34の圧力を調整する調整弁35より下流側で排気装置36よりも上流側の排気管48から分岐するように、上述の分岐管62と、パージガスラインとしてのパージ管58が設けられている。パージ管58は上流側では、不活性ガス源としてのN2源33に接続されている。そして、パージ管58は、上流側から流量制御器としてのMFC(Mass Flow Controller)1が設けられ、バルブ2を介して流量制御された不活性ガスを、バルブ53b、ゲートバルブ55およびゲートバルブ56の状態に関係なく導入可能なように設けられている。なお、パージ管58には、図示しない不活性ガスを加熱する加熱部を設けるようにしてもよい。
【0040】
次に、
図4に対応する制御部32と各MFC1との間の診断シーケンスの一例を示す。MFCが複数ある場合、制御部32は、各々指定されたMFCに対して、この調整シーケンスを実施する。
【0041】
調整開始時、PUMP36をオンにし、ゲートバルブ55を閉にして排気管48内の真空引きを行う。これらは全て、制御部32からのデジタルI/O指示による。
【0042】
(S21)本ステップにおいて、制御部32は、調整対象のMFC1のスイッチをN2ガスに切替え指示を同時に発行し、MFC1のスイッチをN2ガスに切替える。これは、N2ガスにて初期診断チェックの基準となる初期化を行っているためである。ここで、スイッチは、複数ガス対応のMFCの1つのガスの登録番号を意味する。このスイッチの切替えにより、MFCは、予め複数登録したガスの中から指定された番号に設定されたガスを制御可能となる。なお、もともとN2ガス専用のMFCであったり、N2ガスが指定されている場合は、このステップは省略してもよい。
【0043】
(S22)(S21)終了後、引き続きMFC1の流量を第1流量として予め決定されている所定流量になるように調整し、所定時間経過後、更に診断対象のMFCの流量を第2流量(流量ゼロ)になるように調整する。具体的には、制御部32からの指示で、N2ガス源33をオン、AV2を開とする。例えば、MFC1に流量20%を設定する。MFC1は、不活性ガスの係数を用い、MFC1内の流量換算用圧力センサの値をもとに、弁の開度を調整して流量制御することにより、流量20%になるよう制御する。なお、このように所定流量にMFC1を制御し、所定流量で例えば10秒等の所定時間待つ様にしてもよく、また、所定流量に収束すると直ぐに流量ゼロに設定するようにしてもよい。例えば、設定流量20%、40%、60%、80%、100%と複数回行うようにしてもよい。
【0044】
(S23)制御部32は、所定時間待機して部品チェックとしての初期診断チェックの終了(MFCの流量がゼロ)を確認する。尚、予め流量ゼロになる時間が予測できるので、MFC1の流量を第2流量(流量ゼロ)から所定時間したら部品チェック終了とするようにしてもよい。このように、制御部32は、対象MFC1内の弁を閉にし(若しくは設定流量0%になるように調整し)、流量ゼロに収束する部品チェック終了時(収束時間)を確認する。
【0045】
(S24)制御部32は、MFC1から同時に部品チェック結果情報(例えば、時間)を取得する。MFC1は所定の流量(流量ゼロ)をトリガにチェック結果情報を取得し、初期化情報と比較する。また、MFCは所定の時間をトリガにチェック結果情報を出力するようにしてもよい。具体的には、制御部32は、ゼロ流量で収束するか、あるいは3秒等の所定の時間経過後にチェック結果情報として、圧力変化を示す圧力、流量ゼロに到達した時間若しくは収束した時間、温度等を取得する。
【0046】
制御部32は、取得した部品チェック結果情報、例えば、到達時間が予め設定された時間範囲に収まっていない場合、アラームを発生し、所定のエラー処理を行うと共に診断フローを終了させる。例えば、この部品チェックエラーが発生した場合、新しいMFCと交換された後、同様に上述したS21からS24の調整(初期診断チェック)が行われる。
【0047】
なお、
図4において、このスイッチの切り替えを、制御部32により実行されているが、手動(マニュアル)で切り替えるように構成してもよい。本実施形態によれば、装置立ち上げ時に、調整対象部品(MFC1)の初期不良の把握にかかる時間の短縮が可能となる。
【0048】
ここで、MFC1の調整作業(S21~S24)を行うために、予めバルブインターロックを解除しているため、パージ管57は、流量制御された不活性ガスを、バルブ53b、ゲートバルブ55およびゲートバルブ56の状態に関係なく導入可能なように設けられている。従い、パージ管57に設けられるMFC1により流量制御される不活性ガスが、バルブ53b、ゲートバルブ55およびゲートバルブ56を閉状態で、バルブ2を介して排気管48内の流路に導入することができる。
【0049】
ゲートバルブ56は、例えば、真空ポンプ36から離れた位置に配置されている。よって、仮に、ゲートバルブ56が閉状態であっても、MFC1の調整作業(S21~S24)で使用される不活性ガス流量はさほど多くないのでMFC1の調整作業(S21~S24)には影響がない。
【0050】
調整作業に時間がかかる場合、例えば、予め設定された時間で所定流量や流量ゼロに収束しない場合、知らず知らずのうちに不活性ガスを大量に流してしまうことがある。このとき、ゲートバルブ55より下流側であって、ゲートバルブ56より上流側の排気管48内の圧力が過加圧になってしまうことがある。
【0051】
このように、上述のMFC1の調整作業(S21~S24)により、ゲートバルブ55よりも下流側の排気管48が過加圧状態になっても、本実施形態によれば、PS53が排気管48内の圧力が大気圧以上を検知して、バルブ53bを閉状態から開状態になるように構成されているので、バルブ53bが開となることで排気管48内の雰囲気を分岐管62からベント管61に逃がすことができる。従い、この排気管48の過加圧によるベローズ36aへの影響を抑制することができるため、交換のためにメンテナンスを行うことによるセットアップ作業の時間浪費を低減できる。
【0052】
また、本実施形態によれば、
図5に示すように、排気側の配管が過加圧になることでベローズ36aが膨張することにより、矢印の方向に力が働き、排気装置36を押し倒してしまう事故を未然に防止することができる。
【0053】
ここで、本実施形態におけるセットアップ作業は、上述の排気ラインを構成する部品の初期診断チェックの他、基板処理装置の筐体等の設置作業、電気設備の配線作業、ガス供給ライン及び排気ラインの接続作業、ガス供給ラインを構成する部品の初期診断チェックなどの動作チェック(部品チェック)作業の他、基板収納容器に収納された基板を処理室に搬送するためのレシピを実行する搬送チェック作業と、処理室を所定の圧力まで減圧するリークチェックレシピを実行するリークチェック作業と、を含んでいる。そして、上記の搬送チェック作業は、基板を保持する基板保持具に基板を装填する作業を有してもよい。更に、処理室を構成する反応管をアニールするレシピを実行する空焼き作業を含み、この空焼き作業は、基板だけでなく基板を保持する基板保持具を処理室34に装填しないで、処理室34で処理される温度よりも高い温度で実行されるよう構成される。尚、セットアップ作業時間を短縮するため、これらの搬送チェック作業と空焼き作業を並行して実行することができる。
【0054】
(他の実施形態)
以上、本開示の実施形態を具体的に説明したが、本開示は上述の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0055】
また、上述の実施形態では、不活性ガスとして、N2ガスを用いる例について説明しているが、これに限らず、Arガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスを用いてもよい。但し、この場合、希ガス源の準備が必要である。
【0056】
また、例えば、基板処理装置が行う処理として、成膜処理、酸化膜、窒化膜を形成する処理、金属を含む膜を形成する処理であってもよい。更に、基板処理の具体的内容は不問であり、成膜処理等の上記処理だけでなく、アニール処理、酸化処理、窒化処理、拡散処理、リソグラフィ処理等の他の基板処理にも好適に適用できる。
【0057】
さらに、本開示は、他の基板処理装置、例えばアニール処理装置、酸化処理装置、窒化処理装置、露光装置、塗布装置、乾燥装置、加熱装置、プラズマを利用した処理装置等の他の基板処理装置にも好適に適用できる。また、本開示は、これらの装置が混在していてもよい。
【0058】
また、本実施形態では、半導体製造プロセスについて説明したが、本開示は、これに限定されるものではない。例えば、液晶デバイスの製造工程、太陽電池の製造工程、発光デバイスの製造工程、ガラス基板の処理工程、セラミック基板の処理工程、導電性基板の処理工程、などの基板処理に対しても本開示を適用できる。
【0059】
また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 MFC(流量制御器)
75 排気系
260 制御部(コントローラ)