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特開2024-43485セラミックス焼結体基板、発光装置及びそれらの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043485
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】セラミックス焼結体基板、発光装置及びそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/12 20060101AFI20240322BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20240322BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20240322BHJP
   H05K 1/11 20060101ALI20240322BHJP
   H05K 3/40 20060101ALI20240322BHJP
   H05K 1/09 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
H05K3/12 610G
H01L33/62
H05K1/03 610D
H05K1/11 N
H05K3/40 K
H05K1/09 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】30
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023117096
(22)【出願日】2023-07-18
(31)【優先権主張番号】P 2022148503
(32)【優先日】2022-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】勝又 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】湊 永子
(72)【発明者】
【氏名】藏岡 賢
(72)【発明者】
【氏名】長江 明子
【テーマコード(参考)】
4E351
5E317
5E343
5F142
【Fターム(参考)】
4E351AA07
4E351AA09
4E351BB01
4E351BB31
4E351CC11
4E351DD04
4E351DD05
4E351DD08
4E351DD12
4E351DD21
4E351EE01
4E351GG08
4E351GG16
4E351GG20
5E317AA11
5E317BB04
5E317BB11
5E317BB12
5E317BB14
5E317BB18
5E317CC17
5E317CD21
5E317GG16
5E317GG20
5E343AA02
5E343AA23
5E343BB22
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5E343BB25
5E343BB34
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5E343BB72
5E343DD01
5E343FF01
5E343GG13
5E343GG16
5E343GG20
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5F142BA02
5F142BA32
5F142CA11
5F142CA13
5F142CD02
5F142CD18
5F142CD23
5F142CD44
5F142CD47
5F142CE02
5F142DA14
5F142FA03
(57)【要約】
【課題】接続の安定性が高いセラミックス焼結体基板、発光装置及びそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】セラミックス焼結体基板の製造方法は、セラミックス基板1の表面に第1金属ペースト3Aを配置することS12と、第1金属ペーストを配置したセラミックス基板を焼成することS14と、を含み、第1金属ペーストを配置することにおいて、第1金属ペーストは、複数の第1金属粉体14と、複数の活性金属粉体16と、金属を除く複数の無機フィラー5と、を含み、セラミックス基板を焼成することにおいて、焼成温度は、第1金属粉体の融点以上の温度である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックス基板の表面に第1金属ペーストを配置することと、
前記第1金属ペーストを配置した前記セラミックス基板を焼成することと、を含み、
前記第1金属ペーストを配置することにおいて、第1金属ペーストは、複数の第1金属粉体と、複数の活性金属粉体と、金属を除く複数の無機フィラーと、を含み、
前記セラミックス基板を焼成することにおいて、焼成温度は、前記第1金属粉体の融点以上の温度である、セラミックス焼結体基板の製造方法。
【請求項2】
前記第1金属ペーストを配置する前に、貫通孔がある前記セラミックス基板を準備することと、
前記貫通孔内に前記第1金属ペーストを配置することと、を含む請求項1に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
【請求項3】
前記第1金属ペーストを配置した後、前記セラミックス基板を焼成する前に、さらに、前記第1金属ペーストを乾燥することと、乾燥させた前記第1金属ペーストを加圧することと、を含む請求項1に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
【請求項4】
前記第1金属ペーストを配置することにおいて、前記無機フィラーと、前記第1金属粉体と、前記活性金属粉体と、の合計量を100wt%とした場合に、前記無機フィラーの含有量は1wt%以上50wt%以下、前記第1金属粉体の含有量は40wt%以上95wt%以下、前記活性金属粉体の含有量は0.5wt%以上15wt%以下である、請求項1に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
【請求項5】
前記第1金属ペーストを配置することにおいて、前記無機フィラーのメジアン径は、1μm以上50μm以下である、請求項1に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
【請求項6】
前記第1金属ペーストを配置することにおいて、前記第1金属粉体の融点は、700℃以上1200℃以下である、請求項1に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
【請求項7】
前記第1金属ペーストを配置することにおいて、前記第1金属粉体は、Ag、Cu、Ag-Cu合金、Cu-Zn合金、Cu-Sn合金から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
【請求項8】
前記第1金属ペーストを配置することにおいて、前記第1金属ペーストは、さらに有機バインダを含む、請求項1に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
【請求項9】
前記第1金属ペーストを配置することにおいて、前記セラミックス基板は、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
【請求項10】
前記セラミックス基板を焼成することにおいて、前記焼成温度は、700℃以上1000℃以下である請求項1に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
【請求項11】
前記セラミックス基板を焼成することによって、前記無機フィラーの表面に前記無機フィラーと前記活性金属粉体との反応層を形成する請求項1に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
【請求項12】
前記第1金属ペーストは、前記貫通孔から連続し前記セラミックス基板の平面及び/又は底面に配置される請求項2に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
【請求項13】
前記第1金属ペーストを充填した後、前記セラミックス基板を焼成する前に、前記第1金属ペーストと少なくとも一部が接触するように前記セラミックス基板上に第2金属ペーストを配置する、請求項1に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
【請求項14】
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法により製造したセラミックス焼結体基板を準備することと、
前記セラミックス焼結体基板に発光素子を配置することと、を含み、
前記セラミックス焼結体基板を準備することにおいて、前記第1金属ペーストは焼成により第1金属部材となり、
前記発光素子を配置することにおいて、前記第1金属部材と、前記発光素子と、を直接又は間接に電気的に接続することと、を含む発光装置の製造方法。
【請求項15】
請求項13に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法により製造したセラミックス焼結体基板を準備することと、
前記セラミックス焼結体基板に発光素子を配置することと、を含み、
前記セラミックス焼結体基板を準備することにおいて、前記第1金属ペーストは焼成により第1金属部材となり、かつ、前記第2金属ペーストは焼成により第2金属部材となり、
前記発光素子を配置することにおいて、前記第1金属部材又は前記第2金属部材と、前記発光素子と、を直接又は間接に電気的に接続する、発光装置の製造方法。
【請求項16】
セラミックス基板と、
前記セラミックス基板の表面に配置される第1金属部材と、を備え、
前記第1金属部材は、複数の無機フィラーと、第1金属と、金属化合物と、を含み、
前記複数の無機フィラーの表面、及び、前記セラミックス基板の表面のそれぞれの少なくとも一部に前記金属化合物が配置されている、セラミックス焼結体基板。
【請求項17】
前記セラミックス基板は貫通孔を有し、
前記貫通孔内に前記第1金属部材を配置し、
前記貫通孔を画定する内壁に前記金属化合物の少なくとも一部がある請求項16に記載のセラミックス焼結体基板。
【請求項18】
前記無機フィラーと、前記第1金属と、前記金属化合物と、の合計量を100wt%とした場合に、前記無機フィラーの含有量は1wt%以上50wt%以下、前記第1金属の含有量は40wt%以上95wt%以下、前記金属化合物の含有量が1wt%以上10wt%以下である請求項16に記載のセラミックス焼結体基板。
【請求項19】
前記無機フィラーの線膨張係数が8ppm/K以下である請求項16又は請求項17に記載のセラミックス焼結体基板。
【請求項20】
前記無機フィラーは、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素から選ばれる少なくとも1種を含む請求項16又は請求項17に記載のセラミックス焼結体基板。
【請求項21】
前記第1金属は、Ag、Cu、Zn、Sn、Ag-Cu合金から選ばれる少なくとも1種である請求項16又は請求項17に記載のセラミックス焼結体基板。
【請求項22】
前記セラミックス基板は、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素から選択される少なくとも1種である請求項16又は請求項17に記載のセラミックス焼結体基板。
【請求項23】
前記複数の無機フィラーは、連続する前記第1金属中に分散されている請求項16又は請求項17に記載のセラミックス焼結体基板。
【請求項24】
前記貫通孔に配置される前記第1金属部材は、前記セラミックス基板の厚さ方向に切断する断面視において、前記無機フィラーが100μmあたり10μm以上75μm以下配置されている請求項16又は請求項17に記載のセラミックス焼結体基板。
【請求項25】
前記無機フィラーのメジアン径は、1μm以上50μm以下である請求項16又は請求項17に記載のセラミックス焼結体基板。
【請求項26】
前記貫通孔の直径は、0.05mm以上0.5mm以下である請求項17に記載のセラミックス焼結体基板。
【請求項27】
前記第1金属部材は、前記貫通孔から連続し前記セラミックス基板の平面及び/又は底面に配置される請求項17に記載のセラミックス焼結体基板。
【請求項28】
前記第1金属部材上に配置する第2金属部材を備える請求項16又は請求項17に記載のセラミックス焼結体基板。
【請求項29】
セラミックス基板と、前記セラミックス基板の表面に配置される第1金属部材と、を備え、前記第1金属部材は、複数の無機フィラーと、第1金属と、金属化合物と、を含み、前記複数の無機フィラーの表面、及び、前記セラミックス基板の表面のそれぞれの少なくとも一部に前記金属化合物が配置されている、セラミックス焼結体基板と、
前記セラミックス焼結体基板の前記第1金属部材に電気的に接続される発光素子と、を備える発光装置。
【請求項30】
セラミックス基板と、前記セラミックス基板の表面に配置される第1金属部材及び第2金属部材と、を備え、前記第1金属部材は、複数の無機フィラーと、第1金属と、金属化合物と、を含み、前記複数の無機フィラーの表面、及び、前記セラミックス基板の表面のそれぞれの少なくとも一部に前記金属化合物が配置されている、セラミックス焼結体基板と、
前記セラミックス焼結体基板の前記第1金属部材又は前記第2金属部材に電気的に接続される発光素子と、を備える発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、セラミックス焼結体基板、発光装置及びそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セラミックス基板に使用されるビア材は、銀及び銅が主成分である貫通導体を備え、貫通導体は径の中心領域における金属層側領域に銀及び銅の共晶領域が存在し、径の中心領域における中央領域に銀及び銅の非共晶領域が存在するものが知られている。また、セラミックス基板に使用されるビア材は、融点が600℃以上1100℃以下の金属(A)よりも融点が高い金属(B)粉体と活性金属を含んでなる第1金属ペーストが充填され、金属(A)の粉体を含んでなる第2金属ペーストが第1金属ペーストに接触する位置に積層されているものが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6122561号公報
【特許文献2】特許第5922739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示に係る実施形態は、ビア材の体積収縮を低減して接続の安定性が高いセラミックス焼結体基板、発光装置及びそれらの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に開示されるセラミックス焼結体基板の製造方法は、セラミックス基板の表面に第1金属ペーストを配置することと、前記第1金属ペーストを配置した前記セラミックス基板を焼成することと、を含み、前記第1金属ペーストを配置することにおいて、第1金属ペーストは、複数の第1金属粉体と、複数の活性金属粉体と、金属を除く複数の無機フィラーと、を含み、前記セラミックス基板を焼成することにおいて、焼成温度は、前記第1金属粉体の融点以上の温度である。
【0006】
また、実施形態に開示される発光装置の製造方法は、実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法により製造したセラミックス焼結体基板を準備することと、前記セラミックス焼結体基板に発光素子を配置することと、を含み、前記セラミックス焼結体基板を準備することにおいて、前記第1金属ペーストは焼成により第1金属部材となり、前記発光素子を配置することにおいて、前記第1金属部材と、前記発光素子と、を直接又は間接に電気的に接続することと、を含む。
【0007】
また、実施形態に開示される発光装置の製造方法は、実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法により製造したセラミックス焼結体基板を準備することと、前記セラミックス焼結体基板に発光素子を配置することと、を含み、前記セラミックス焼結体基板を準備することにおいて、前記第1金属ペーストは焼成により第1金属部材となり、かつ、前記第2金属ペーストは焼成により第2金属部材となり、前記発光素子を配置することにおいて、前記第1金属部材又は前記第2金属部材と、前記発光素子と、を直接又は間接に電気的に接続する。
【0008】
また、実施形態に開示されるセラミックス焼結体基板は、セラミックス基板と、前記セラミックス基板の表面に配置される第1金属部材と、を備え、前記第1金属部材は、複数の無機フィラーと、第1金属と、金属化合物と、を含み、前記複数の無機フィラーの表面、及び、前記セラミックス基板の表面のそれぞれの少なくとも一部に前記金属化合物が配置されている。
【0009】
また、実施形態に開示される発光装置は、セラミックス基板と、前記セラミックス基板の表面に配置される第1金属部材と、を備え、前記第1金属部材は、複数の無機フィラーと、第1金属と、金属化合物と、を含み、前記複数の無機フィラーの表面、及び、前記セラミックス基板の表面のそれぞれの少なくとも一部に前記金属化合物が配置されている、セラミックス焼結体基板と、前記セラミックス焼結体基板の前記第1金属部材に電気的に接続される発光素子と、を備える。
【0010】
さらに、実施形態に開示される発光装置は、セラミックス基板と、前記セラミックス基板の表面に配置される第1金属部材及び第2金属部材と、を備え、前記第1金属部材は、複数の無機フィラーと、第1金属と、金属化合物と、を含み、前記複数の無機フィラーの表面、及び、前記セラミックス基板の表面のそれぞれの少なくとも一部に前記金属化合物が配置されている、セラミックス焼結体基板と、前記セラミックス焼結体基板の前記第1金属部材及び前記第2金属部材に電気的に接続される発光素子と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示の実施形態によれば、ビア材の体積収縮を低減して信頼性の高いセラミックス焼結体基板、発光装置及びそれらの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係るセラミックス焼結体基板を模式的に示す平面図である。
図2図1のII-II線における断面を模式的に示す断面斜視図である。
図3A】実施形態に係るセラミックス焼結体基板の貫通孔に第1金属ペーストを充填した状態を拡大して模式的に示す拡大断面図である。
図3B図3Aのセラミックス焼結体基板を焼結して第1金属部材の状態を模式的に示す拡大断面図である。
図4】実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法を例示するフローチャートである。
図5A】実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法において、準備したセラミックス基板を模式的に示す断面図である。
図5B】実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法において、貫通孔に第1金属ペーストを充填した状態を模式的に示す断面図である。
図5C】実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法において、第2金属ペーストを配置した状態を模式的に示す断面図である。
図6】実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図である。
図7】実施形態に係る発光装置の製造方法を例示するフローチャートである。
図8A】実施形態に係る発光装置の製造方法において、準備したセラミックス焼結体基板を模式的に示す断面図である。
図8B】実施形態に係る発光装置の製造方法において、セラミックス焼結体基板に接合部材を配置した状態を模式的に示す断面図である。
図8C】実施形態に係る発光装置の製造方法において、発光素子を配置した状態を模式的に示す断面図である。
図8D】実施形態に係る発光装置の製造方法において、光反射部材を配置した状態を模式的に示す断面図である。
図9A】実施形態に係る発光装置を発光モジュールとして示す斜視図である。
図9B図9Aの一部を省略してIXB-IXB線における断面を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本開示に係る技術的思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、発明を以下のものに限定しない。一つの実施形態において説明する内容は、他の実施形態及び変形例にも適用可能である。また、図面は実施形態を概略的に示すものであり、説明を明確にするため、各部材のスケールや間隔、位置関係等を誇張し、あるいは、部材の一部の図示を省略している場合がある。各図において示す方向は、構成要素間の相対的な位置を示し、絶対的な位置を示すことを意図したものではない。なお、同一の名称、符号については、原則として、同一若しくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。また、実施形態について、「覆う」とは直接接する場合に限らず、間接的に、例えば他の部材を介して覆う場合も含む。
【0014】
[セラミックス焼結体基板]
実施形態に係るセラミックス焼結体基板10を、図1から図3B図6を参照しながら説明する。なお、図1は、実施形態に係るセラミックス焼結体基板を模式的に示す平面図である。図2は、実施形態に係るセラミックス焼結体基板を模式的に示す断面斜視図である。図3Aは、実施形態に係るセラミックス焼結体基板の貫通孔に第1金属部材を充填した状態を拡大して模式的に示す拡大断面図である。図3Bは、図3Aのセラミックス焼結体基板を焼結して第1金属ペーストが第1金属になった状態を模式的に示す拡大断面図である。図6は、実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図である。なお、図3Aは、セラミックス焼結体基板を焼結する前の状態を示している。
【0015】
セラミックス焼結体基板10は、セラミックス基板1と、セラミックス基板1の表面に配置される第1金属部材3と、を備え、第1金属部材3は、複数の無機フィラー5と、第1金属4と、金属化合物6と、を含む。複数の無機フィラー5の表面、及び、セラミックス基板1の表面のそれぞれの少なくとも一部に金属化合物6が配置されている。セラミックス基板1の表面は、セラミックス基板1の平面及び底面、側面だけでなく、貫通孔や段差、凹部を設けた場合は、その内側面等も含まれる。また、特に断りのない限り、明細書において「表面」は「ひょうめん」であり、「おもてめん」ではない。
なお、セラミックス焼結体基板10は、セラミックス基板1の貫通孔2に第1金属部材3が配置されると共に、第1金属部材3上に配置する第2金属部材8を備えることとして説明する。ただし、第1金属部材は、焼成前では第1金属ペースト、第2金属部材は、焼成前では第2金属ペーストと称呼することもある。焼成後のものは原料と状態が異なっているが、説明の便宜上、焼成後のものを表現する場合に、原料名で表現することもある。セラミックス基板は焼成前後で性状は異なるが、セラミックス基板として説明する。
以下、セラミックス焼結体基板10の各構成について説明する。
【0016】
(セラミックス基板)
セラミックス基板1は、セラミックス焼結体基板10の基礎となる板状の部材である。セラミックス基板1の平面視形状は、例えば矩形状である。なお、セラミックス基板1の平面視形状は特に限定されない。セラミックス基板1は、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。なお、セラミックス基板1は、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素などの窒化物系セラミックスが好ましいが、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化カルシウム、酸化マグネシウムなどの酸化物系セラミックスを使用してもよい。また、セラミックス基板1は、炭化ケイ素、ムライト、ホウケイ酸ガラス等も使用してもよい。
【0017】
セラミックス基板1は、一例として、板厚方向に貫通孔2が所定位置に配置され、貫通孔2の内部に第1金属部材3が配置されている。そして、セラミックス基板1は、焼成されることで第1金属ペースト3Aが第1金属部材3となって配置される。なお、第2金属部材8は、ここでは、セラミックス基板1の平面である第1面及び底面である第2面において、貫通孔2に配置されている第1金属部材3上に接触するように配置されている。第2金属部材8は、発光素子20と電気的な接続を行うための配線、配線パッドあるいは外部接続電極として用いられる。
【0018】
また、セラミックス基板1の貫通孔2は、内部に配置される第1金属部材3を介して発光素子20の素子電極24と、セラミックス基板1の外部とを電気的に接続するためのビアホールである。貫通孔2は、焼結済みのセラミックス基板もしくは焼成前のセラミックス基板のグリーンシートにドリル加工、レーザ加工等の機械的な加工により形成されることや、焼結済みのセラミックス基板にエッチング等の化学的な加工により形成される。貫通孔2は、セラミックス基板1に対して水平方向に切断した際に、その形状が略円形あるいは円形であることが好ましい。そして、貫通孔2の直径は、0.05mm以上0.5mm以下であることが好ましい。貫通孔2が0.05mm以上であると、第1金属部材3の充填が的確に行い易くなる。また、貫通孔2が0.5mm以下であると、高い強度や低い電気抵抗値を維持しつつ、適切な充填量とすることができる。
【0019】
(第1金属部材、第2金属部材)
第1金属部材3は、セラミックス基板1の貫通孔2内に充填されるものであり、セラミックス基板1の表面に配置される。第2金属部材8は、セラミックス基板1の平面、底面、側面等の少なくともいずれかに配置されるものである。第1金属部材3は、一例として、貫通孔2から連続してセラミックス基板1の平面及び/又は底面に配置されている。第1金属部材3は、ここでは、貫通孔2に充填されてセラミックス基板1の平面及び底面と同一平面となるように基板から露出して配置されるものである。第1金属部材3は、単独で、あるいは、第2金属部材8と共に、発光素子20と電気的な接続を行う部材である。なお、第1金属部材3は、所謂ビア材である。
【0020】
第1金属部材3は、一例として、焼成前には第1金属ペースト3Aの状態で、セラミックス基板1の貫通孔2に配置され、第1金属部材3の一部は、セラミックス基板1から露出される。第1金属ペースト3Aの状態では、一例として、有機バインダ7を含んでいる。そして、第1金属ペースト3Aが焼成されることで有機バインダが蒸発して第1金属部材3となる。第1金属部材3は、一例として、第1金属4と、無機フィラー5と、金属化合物6と、を含んでいる。第1金属部材3は、例えば、第1金属4と、無機フィラー5と、金属化合物6と、の合計を100wt%とした場合に、無機フィラー5は1wt%以上50wt%以下、第1金属4は40wt%以上95wt以下、金属化合物6は1wt%以上10wt%以下であることが好ましい。無機フィラー5は、1wt%以上4.5wt%以下が好ましく、1.5wt%以上4.2wt%以下が更に好ましい。なお、第1金属部材3は、焼成前の第1金属ペースト3Aのときには、無機フィラー5と、第1金属粉体14と、活性金属粉体16と、の合計量を100wt%とした場合に、無機フィラー5は1wt%以上50wt%以下、第1金属粉体14は40wt%以上95wt%以下、活性金属粉体16は0.5wt%以上15wt%以下であることが好ましい。無機フィラー5は、1wt%以上4.5wt%以下が好ましく、1.5wt%以上4.2wt%以下が更に好ましい。
【0021】
第1金属4は、第1金属部材3として配置されるときに、無機フィラー5と併せて第1金属部材3のコアとなる金属の部材である。そして、第1金属4は、無機フィラー5を分散させた状態として配置させている。第1金属4は、焼成される前は、第1金属粉体14として第1金属部材3に含有されている。そして、第1金属粉体14としては、Ag、Cu、Ag-Cu合金、Cu-Zn合金、Cu-Sn合金から選択される少なくとも1種であることが好ましい。なお、第1金属粉体14の融点は、700℃以上1200℃以下であることが好ましく、さらに、700℃以上1100℃以下であることがより好ましい。第1金属粉体14が焼成されることで、第1金属4として、Ag、Cu、Zn、Sn、Ag-Cu合金、Cu-Zn合金、Cu-Sn合金から選ばれる少なくとも1種であること
になる。つまり、第1金属4は、使用される第1金属粉体14により金属の種類が特定されることになる。第1金属4は、所定の含有量の範囲において、所定の大きさの無機フィラー5を所定の範囲で含有することで、無機フィラー5を連続する第1金属4に分散させることができる。なお、複数の第1金属粉体14とは、第1金属粉体14が1粒ではなく複数の粒であることを示している。
【0022】
無機フィラー5は、複数の粒が第1金属部材3に分散された状態で配置されている。ここで複数の無機フィラー5とは、無機フィラー5が1粒ではなく複数の粒であるということを示している。無機フィラー5の一粒当たりのメジアン径は、一例として、1μm以上50μm以下であることが好ましく2μm以上15μm以下がより好ましい。無機フィラー5は、一例として、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等のセラミックスフィラー、酸化ケイ素フィラー、金属フィラー、ガラスフィラーなどが挙げられる。そして、無機フィラー5は、特に、線膨張係数が8ppm/K以下の材料が好ましい。これにより第1金属部材3の線係数を下げることができ冷熱衝特性の向上を図ることができる。さらに、無機フィラー5は熱伝導率が20W/m・K以上、好ましくは30W/m・K以上(いずれも測定温度300K)であることが好ましい。無機フィラー5は例えば窒化アルミニウム(AlN)、窒化ケイ素(Si)、酸化アルミニウム(Al)、炭化ケイ素(SiC)等のいずれかであることが好ましい。これらの熱伝導率の高い無機フィラーを採用することで第1金属部材3の熱伝導率を向上させることができる。また、無機フィラー5は、第1金属部材3がセラミックス基板1の厚さ方向に切断する断面視において100μmあたり10μm以上75μm以下の範囲で配置されていることが好ましい。
【0023】
無機フィラー5は、高熱伝導部材で、所定の割合で第1金属部材3に含まれることで、貫通孔2内の第1金属部材3の体積収縮を低減することができる。なお、無機フィラー5は、大きさも所定の範囲とすることで、より第1金属部材3の体積収縮を低減する効果が大きくなる。無機フィラー5は、所定の大きさで、所定の含有量であることで、第1金属4中により分散される状態となる。また、無機フィラー5はAlNやSi、SiC等の5ppm/K以下の低線膨張係数で100W/m・K以上の高熱伝導率を持つ材料が好ましい。これは第1金属3に分散させることでセラミックス基板1との線膨張係数差を緩和し冷熱衝撃特性などの信頼性を向上させることができる。また、高熱伝導率のAlNやSi、SiCなどの添加により第1金属部材3の熱伝導性を上げ放熱特性を向上させることができる。
【0024】
セラミックス基板1を焼成することによって、無機フィラー5の表面に無機フィラー5と活性金属粉体16との反応層を形成する。金属化合物6は、無機フィラー5の表面の少なくとも一部あるいは全部と、貫通孔2を画定する内壁の少なくとも一部と、に主に配置される。金属化合物6として、無機フィラー5の表面に配置されるフィラー表面金属化合物6aと、貫通孔2を画定する内壁の少なくとも一部に配置される壁面金属化合物6bと、が金属化合物6である。金属化合物6は、活性金属粉体16が焼成されることで形成されるものであり、活性金属粉体16の一例として、TiH、CeH、ZrH、MgHから選ばれる少なくとも1種である。この活性金属粉体16と無機フィラー5や貫通孔2を画定する内壁の成分とが焼成されることで反応物としてフィラー表面金属化合物6a及び壁面金属化合物6bとして配置される。
【0025】
フィラー表面金属化合物6aは、金属化合物6であり、無機フィラー5の表面の少なくとも一部、あるいは、全部を被覆するように配置されている。フィラー表面金属化合物6aは、例えば、無機フィラー5がAlNあるいはSiであった場合、一例として、焼成前の活性金属粉体16のTiHと反応してTiNとして無機フィラー5の表面に形成される。そして、フィラー表面金属化合物6aは、その表面に凹凸がギザギザ状に連続して形成され、無機フィラー5の表面も凹凸がギザギザ状に形成される状態となる。そし
て、フィラー表面金属化合物6aを表面に配置した無機フィラー5は、連続する第1金属4中に分散された状態となる。
壁面金属化合物6bは、金属化合物6として貫通孔2を画定する内壁に少なくとも一部が配置されている。壁面金属化合物6bは、一例として、セラミックス基板1が窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素から選ばれる少なくとも1種であった場合、焼成前の活性金属粉体16が例えば、TiHとTiNとであると、反応物を生成して、貫通孔2を画定する内壁に化合物として形成される。
壁面金属化合物6bは、貫通孔2を画定する内壁で表面に凹凸をギザギザ状に連続して形成した状態となり、貫通孔2内の第1金属部材3の接続強度を向上させる。なお、複数の活性金属粉体16とは、活性金属粉体が1粒ではなく複数であることを示している。
【0026】
第2金属部材8は、第1金属部材3と共に、発光素子20と電気的な接続を行う部材である。第2金属部材8は、一例として、セラミックス基板1の平面又は/及び底面に配置される配線、配線パッド等である。第2金属部材8は、セラミックス基板1上で第1金属部材3の上部に接するように配置されている。第2金属部材8は、平面視の形状が矩形に形成されており、セラミックス基板1の平面の配置されるものと、底面に配置されるものとが、同じ大きさであることや、異なる大きさであることのいずれであっても構わない。
この第2金属部材8は、例えば、第1金属部材3と同じ部材を使用してもよい。第2金属部材8の材料は、例えば、Au、Ag、Cu、Pt、Al等の単体若しくはその合金や混合粉末と樹脂バインダとの混合物であってもよい。第2金属部材8は、所定の厚みを持つ板状や箔状、断面視又は平面視で凹凸形状を持つものや直線または曲線等の線状等の形態を採ることができる。
樹脂バインダは、例えば、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂やアクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニル系等の熱可塑性の樹脂などを好適に使用することができる。また、第2金属部材8には有機酸等の還元剤を含むことが好ましい。これにより第2金属部材8が接続する金属部材との接続における電気抵抗を小さくする事が出来る。なお、第2金属部材8は、一般的に配線として使用される部材で電気的な接続を行うことができるものであれば、特に限定されるものではない。
【0027】
なお、第1金属部材3が焼成前の第1金属ペースト3Aであるときに含有している有機バインダ7は、焼成後には蒸発して第1金属ペースト3A内には残留していない状態となる。有機バインダ7は、一例として、一般的にビア材として使用される溶剤及び樹脂材料であってもよい。
上記のような構成を備えるセラミックス焼結体基板10は、第1金属部材3がセラミックス基板1の貫通孔2に体積収縮が低減された状態で強固に接合するので、信頼性が高く、発光素子との間の電気的接続を確実にすることができる。また、高熱伝導のセラミックス基板1に貫通孔2を加工後に第1金属ペースト3Aを配置して焼成する場合、焼成時に貫通孔2内に配置した第1金属ペースト3Aが体積収縮を起こすことなく、貫通孔2内にボイドを発生することがなく凹みが発生し難くなり、発光素子20等との接続を安定化させることができる。
【0028】
なお、セラミックス基板1の貫通孔2の数は、2つ以上、例えば、4つ、6つ、8つ以上であってもよく、その形状も楕円形、矩形等、円形に限定されるものではない。
また、第2金属部材8の形状は、正方形状でもよく、長方形状や台形状でもよく、曲線部分を含む形状でもよい。また、第2金属部材8を設けずに、第1金属部材3の一部に発光素子20等の接続するものを接続するようにしてもよい。
【0029】
[セラミック焼結体基板の製造方法]
次に、実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法を、図4から図5Cを参照しながら説明する。図4は、実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法を例示するフローチャートである。図5Aは、実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法において、準備したセラミックス基板を模式的に示す断面図である。図5Bは、実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法において、貫通孔に第1金属ペーストを充填した状態を模式的に示す断面図である。図5Cは、実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法において、第2金属ペーストを配置した状態を模式的に示す断面図である。
【0030】
セラミックス焼結体基板の製造方法S10は、セラミックス基板の表面に第1金属ペーストを配置することS12と、第1金属ペーストを配置した前記セラミックス基板を焼成することS14と、を含み、第1金属ペーストを配置することS12において、第1金属ペーストは、複数の第1金属粉体と、複数の活性金属粉体と、金属を除く複数の無機フィラーと、を含む。セラミックス基板を焼成することS14において、焼成温度は、前記第1金属粉体の融点以上の温度である。ここで、セラミックス基板1の表面とは、セラミックス基板の平面、底面、側面等の少なくともいずれかであり、特に断りのない限り、後述も同様である。なお、セラミックス焼結体基板の製造方法S10において、第1金属ペーストを配置することS12の前に、セラミックス基板を準備することS11を含んでも良い。また、第1金属ペーストを配置することS12とセラミックス基板を焼成することS14との間に、第2金属ペーストを配置することS13を含んでもよい。
【0031】
ここでは貫通孔を有するセラミックス基板を例にとって説明するため、貫通孔があるセラミックス基板を準備することS11と、貫通孔内に第1金属ペーストを配置することS12と、第1金属ペーストの表面及びセラミックス基板の表面に第2金属ペーストを配置することS13と、第1金属ペースト及び第2金属ペーストが配置されたセラミックス基板を焼成することS14とする。
【0032】
(セラミックス基板を準備すること)
セラミックス基板を準備することS11(以下、工程S11という)は、一例として、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素から選ばれる少なくとも1種である材料の平板状の基板を準備する。この工程S11において、準備されたセラミックス基板1は、レーザ加工や打ち抜き加工等により後記する発光素子20の素子電極24等の接続部分に対応した数の貫通孔2が形成されている。セラミックス基板1は、発光素子20を一つ配置する場合には、一例として、二箇所に貫通孔2が形成される。なお、セラミックス基板1は、複数の発光素子20を配置する面積の大きさ、及び、素子電極24の数に対応した数の貫通孔2を形成した状態で準備されることや、所定の数の発光素子20を配置する大きさに切断されて準備されることとしてもよい。
【0033】
また、この工程S11において、セラミックス基板1に形成された貫通孔2は、セラミックス基板1に対して水平方向に切断した際に、貫通孔2は円形であり、貫通孔2の直径は、0.05mm以上0.5mm以下であることが好ましい。貫通孔2は、貫通孔2を形成する場合には、一例として円形としているがその形状は特に限定されるものではなない。
【0034】
(第1金属ペーストを配置すること)
第1金属ペーストを配置することS12(以下、工程S12という)は、セラミックス基板1の表面に第1金属ペースト3Aを配置することである。この工程S12では、形成された貫通孔2に第1金属ペースト3Aを充填することで、セラミックス基板1の表面に配置している。この工程S12では、例えば、スクリーン印刷、メタルマスク印刷やノズルにより注入することにより、貫通孔2に第1金属ペースト3Aを充填してセラミックス基板1の表面と同等の表面高さとすることで第1金属ペースト3Aを配置している。第1金属ペースト3Aは、一例として、複数の第1金属粉体14と、複数の無機フィラー5と、無機フィラー5の表面及び貫通孔2を画定する内壁の少なくとも一部に金属化合物6となる複数の活性金属粉体16と、有機バインダ7と、を含有している。そして、第1金属ペースト3Aは、無機フィラー5と、第1金属粉体14と、活性金属粉体16と、の合計量を100wt%とした場合に、無機フィラー5は1wt%以上50wt%以下、前記第1金属粉体14は40wt%以上95wt%以下、活性金属粉体16が1wt%以上15wt%以下であり、溶剤である有機バインダ7を許容範囲のwt%で含むものである。無機フィラー5は、1wt%以上4.5wt%以下が好ましく、1.5wt%以上4.2wt%以下が更に好ましい。
【0035】
この工程S12において、第1金属粉体14は、Ag、Cu、Ag-Cu合金、Cu-Zn合金、Cu-Sn合金のそれぞれの粉末から選択される少なくとも1種であることが好ましい。また、活性金属粉体16は、Ag、Al、Zn、Sn、Ag-Cu合金粉末から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。この工程S12において、第1金属粉体14のメジアン径は、1μm以上50μm以下であることが好ましい。さらに、第1金属粉体14の融点は、700℃以上1200℃以下であることが好ましく、700℃以上1100℃以下であることが更に好ましい。
【0036】
この工程S12において、活性金属粉体16は、TiH、CeH、ZrH、MgHから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。なお、工程S12では、第1金属ペースト3Aを貫通孔2に充填する場合、セラミックス基板1の一方の面である第1面から、例えば、スクリーン印刷に使用される工具であるスキージを用いて第1金属ペーストを貫通孔2に充填し、さらに、セラミックス基板1の他方の面である第2面から、第1面と同様にスキージを用いて第1金属ペーストを貫通孔2に充填することで、第1金属ペースト3Aをセラミックス基板1の表面に配置することが好ましい。つまり、第1金属ペースト3Aは、貫通孔2から連続しセラミックス基板1の平面及び/又は底面に配置して
もよい。
【0037】
(第2金属ペーストを配置すること)
つぎに、第2金属ペースト8Aを配置することS13(以下、工程S13という)を行う。この工程S13は、貫通孔2に充填した第1金属ペースト3Aと少なくとも一部が接触するようにセラミックス基板1上に第2金属ペースト8Aを配置することである。この工程S13では、セラミックス基板1の貫通孔2から露出している第1金属ペースト3A上の全面に接触するように第2金属ペースト8Aが配置される。第2金属ペースト8Aは、一例として、セラミックス基板1の第1面に二箇所、セラミックス基板1の第2面に二箇所の合計四箇所に、矩形に配置される。そして、第2金属ペースト8Aは、スクリーン印刷、メタルマスク印刷等によりマスクを介して矩形の配線あるいは配線パッドとして、セラミックス基板1の第1面上及び第2面上に配置される。
なお、工程S12及び工程S13で使用される第1金属ペースト3A及び第2金属ペースト8Aは、流動性を有しており、任意の形状の貫通孔2に充填が自在でできると共に、任意の形状、厚みに塗布した後に硬化させることで配置することができる。
【0038】
また、第1金属ペースト3Aを配置した後、セラミックス基板1を焼成する前に、さらに、第1金属ペースト3Aを乾燥することと、乾燥させた第1金属ペースト3Aを加圧することと、を行うことが好ましい。第1金属ペースト3Aを乾燥させるために、例えば、室温よりも高い温度で100℃よりも低い温度の雰囲気となる電気炉内に入れることで乾燥させてもよい。また、電気炉内にセラミックス基板1を入れるときに、加圧する金型を介することで、乾燥と加圧とを一度に行うこととすることが好ましい。ここで乾燥及び加圧することで第1金属ペースト3Aは、この後に行う焼成時に体積収縮がより起こり難くなる。
【0039】
(セラミックス基板を焼成すること)
つぎに、セラミックス基板を焼成することS14(以下、工程S14という)を行う。この工程S14では、焼成温度は、電気炉等の焼成炉を用いて、例えば、700℃以上1200℃以下、好ましくは700℃以上1100℃以下の範囲で行っている。なお、この工程S14では、焼成作業を行う場合、焼成雰囲気は99.9%以上のAr雰囲気または10-5Pa以下の真空雰囲気であることが好ましい。
【0040】
この工程S14を経ることにより、セラミックス焼結体基板10を製造することができる。図3Bで示すように、第1金属ペースト3Aの焼成後における第1金属部材3の状態では、第1金属粉体14が連続するAg-Cu合金中において表面に金属化合物6としてフィラー表面金属化合物6aを有する無機フィラー5が分散された状態で配置されている。また、セラミックス基板1の貫通孔2を画定する内壁の一部には、金属化合物6としての壁面金属化合物6bが配置されている。これは、焼成後において、活性金属粉体16が金属の化合物として無機フィラー5の表面に化合物を形成すると共に、セラミックス基板1の貫通孔2を画定する内壁に金属の化合物を形成することによる。
このように、第1金属ペースト3Aの焼成後に無機フィラー5の表面の少なくとも一部を活性金属粉体16が反応した化合物として形成され、かつ、貫通孔2を画定する内壁の少なくとも一部に活性金属粉体16が化合物として形成され、第1金属部材3中において、無機フィラー5が分散されることで、第1金属部材3が体積収縮を低減した状態になる。したがって、セラミックス焼結体基板10は、貫通孔2内においてボイドや凹みが発生することがなく第2金属部材8や、発光素子20等の接続部品と安定的に接続することができ、信頼性が高い構成を実現できる。
【0041】
[発光装置]
次に、実施形態に係る発光装置100を、図6を参照しながら説明する。発光装置100は、セラミックス焼結体基板10に発光素子20を配置して発光するようにした装置であり、図面では発光素子20の数は1つであるが、発光素子20の数は複数でもよく、その配置も一列状にすること等、特に限定されるもではない。
発光装置100は、すでに説明したセラミックス焼結体基板10と、セラミックス焼結体基板10の配線となる第1金属部材3あるいは第2金属部材8に電気的に接続される発光素子20と、を備えている。なお、発光装置100は、発光素子20側面及びセラミックス焼結体基板10上を覆う光反射部材30を一例として配置しているものである。また、セラミックス焼結体基板10では、用途に応じて様々なパターンの配線を形成することができる。さらに、第1金属部材3は、複数の無機フィラー5と、第1金属4と、金属化合物6と、を含み、複数の無機フィラー5の表面、及び、セラミックス基板1の貫通孔を画定する内壁の表面の少なくとも一部に金属化合物6が配置されている。
【0042】
(発光素子)
発光素子20は、一対の素子電極24と、発光素子20の光取出し面側に配置される透光性部材23と、素子基板22と、半導体積層体21と、を有している。
発光素子20は、一例として素子基板22に半導体積層体21を有し、本実施形態においては透光性部材23が素子基板22の光取出し面となる平面側に配置され、素子基板22の底面側に半導体積層体21を備え、半導体積層体21側に一対の素子電極24を有している。半導体積層体21としては、所望とする発光波長に応じて任意の組成を用いることができるが、例えば、青色又は緑色の発光が可能な窒化物半導体(InAlGa1-x-yN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)やGaP、又は、赤色の発光が可能なGaAlAsやAlInGaPなどを用いることができる。また、使用する目的に応じて発光素子20の大きさや形状は適宜選択が可能である。
【0043】
素子基板22は、一例として、サファイア基板あるいはシリコン基板が使用される。
透光性部材23は、例えば、透光性の樹脂材料からなり、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂又はこれらを混合した樹脂等を用いることができる。透光性部材23は、蛍光体を含んでいてもよく、例えば、発光素子20からの青色の光を吸収し、黄色の光を放射する蛍光体を含むことにより、白色の光を出射させることができる。また、透光性部材23は、複数種類の蛍光体を含んでいてもよく、例えば、半導体積層体21からの青色の光を吸収して、緑色の光を放射する蛍光体と、赤色の光を放射する蛍光体と、を含むことによっても、発光素子20から白色の光を出射させることができる。
【0044】
このような蛍光体としては、例えば、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Y(Al,Ga)12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Lu(Al,Ga)12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Tb(Al,Ga)12:Ce)、βサイアロン蛍光体(例えば、(Si,Al)(O,N):Eu)、αサイアロン蛍光体(例えば、Mz(Si,Al)12(O,N)16(但し、0<z≦2であり、MはLi、Mg、Ca、Y、及びLaとCeを除くランタニド元素))、CASN系蛍光体(例えば、CaAlSiN:Eu)若しくはSCASN系蛍光体(例えば、(Sr,Ca)AlSiN:Eu)等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(例えば、KSiF:Mn)、KSAF系蛍光体(例えば、K(Si,Al)F:Mn)、若しくはMGF系蛍光体(例えば、3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn)等のフッ化物系蛍光体、又は、ペロブスカイト、カルコパイライト等の量子ドット蛍光体等を用いることができる。
【0045】
素子電極24は、金属バンプ12により、接合部材11を介してセラミックス焼結体基板10の第2金属部材8に接続されている。素子電極24は、一方がp電極24aであり、他方のn電極24bと電気的に短絡しない距離を保って配置されている。素子電極24は、一例として、p電極24aとn電極24bとをそれぞれ一箇所ずつ配置する構成としているが、いずれか一方を二箇所とし、他方を一箇所配置するような構成としても構わない。
金属バンプ12は、素子電極24と第2金属部材8とを電気的に接続させるものである。金属バンプ12は、素子電極24側に配置されることや、第2金属部材8側に配置されることのいずれであってもよい。また、金属バンプ12は、その形状、大きさ、数は、いずれも、素子電極24の範囲で配置できる限り、適宜設定することができる。また、金属バンプ12の大きさは、半導体積層体の大きさ、求められる発光素子の発光出力等によって適宜調整することができ、例えば、直径が数十μmから数百μm程度の大きさが挙げられる。
【0046】
金属バンプ12は、例えば、Au、Ag、Cu、Al、Sn、Pt、Zn、Ni又はこれらの合金により形成することができ、例えば当該分野で公知のスタッドバンプにより形成することができる。スタッドバンプは、スタッドバンプボンダー、ワイヤボンディング装置等により形成することができる。また、金属バンプ12は、電解めっき、無電解めっき、蒸着、スパッタ等の当該分野において公知の方法によって形成してもよい。
【0047】
金属バンプ12は、一例として、ここでは、接合部材11を介して接合されている。ここで用いられる接合部材11としては、例えば、錫-ビスマス系、錫-銅系、錫-銀系、金-錫系などの半田、AuとSnとを主成分とする合金、AuとSiとを主成分とする合金、AuとGeとを主成分とする合金等の共晶合金、あるいは、銀、金、パラジウムなどのペースト材、ACP、ACF等の異方性導電材、低融点金属のろう材、これらを組み合わせた導電性接着材、導電性複合接着材等が挙げられる。この接合部材11は、セラミックス基板1の第1面側の第2金属部材8の表面だけでなく、第2面側の第2金属部材8の表面にも配置してもよい。
【0048】
(光反射部材)
光反射部材30は、光反射性を有する部材である。光反射部材30は、セラミックス焼結体基板10における第1面上を覆うと共に、発光素子20の側面を覆うように配置されている。また、光反射部材30は、発光素子20の光取出し面を露出するように配置され、発光素子20の光反射部材30と同一平面となるように配置されている。なお、光反射部材30は、一例として、発光素子20の下面とセラミックス焼結体基板10の第1面との間にも配置されている。
【0049】
光反射部材30は、発光素子20からの光を有効に利用するために、高い反射率を有することが好ましい。光反射部材30は、白色であることが好ましい。光反射部材30の反射率は、発光素子20の発する光の波長において、例えば90%以上であることが好ましく、94%以上がより好ましい。
光反射部材30は、樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂若しくはポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂、又は、エポキシ樹脂若しくはシリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。また、光拡散材としては、例えば、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛又はガラス等の公知の材料を用いることができる。
【0050】
上記のような構成を備える発光装置100は、セラミックス焼結体基板10における第1金属部材3を備えることで、既に説明したように、体積収縮を低減した状態になる。また所定量の無機フィラー5を添加する事で線膨張係数も低減することができる。したがって、発光装置100は、貫通孔2内においてボイドや凹みが発生することがなく第2金属部材8や、発光素子20等の接続部品と安定的に接続することができ、信頼性が高い構成を実現できる。
なお、発光装置100は、1個の発光素子20を1個のユニットとして明るさ及び点消灯の制御単位としているが、1個のユニットに含まれる発光素子20の個数は、1個でもよく、複数でもよい。例えば、1行4列、あるいは、2行2列の4個の発光素子20や3行3列の9個の発光素子20を1個のユニットとすることができ、発光素子20の数は限定されるものではない。
【0051】
[発光装置の製造方法]
次に、実施形態に係る発光装置の製造方法を図7から図8を参照して説明する。図7は、実施形態に係る発光装置の製造方法を例示するフローチャートである。図8Aは、実施形態に係る発光装置の製造方法において、準備したセラミックス焼結体基板を模式的に示す断面図である。図8Bは、セラミックス焼結体基板に接合部材を配置した状態を模式的に示す断面図である。図8Cは、実施形態に係る発光装置の製造方法において、発光素子を配置した状態を模式的に示す断面図である。図8Dは、実施形態に係る発光装置の製造方法において、光反射部材を配置した状態を模式的に示す断面図である。
【0052】
発光装置の製造方法S20は、既に説明したセラミックス焼結体基板の製造方法S10により製造したセラミックス焼結体基板を準備することS21と、セラミックス焼結体基板に発光素子を配置することS22と、を含む。セラミックス焼結体基板を準備することS21は、セラミックス基板の表面に第1金属ペーストを配置すること、及び、第1金属ペーストを配置した前記セラミックス基板を焼成すること、を含む。第1金属ペーストを配置することにおいて、第1金属ペーストは、複数の第1金属粉体と、複数の活性金属粉体と、金属を除く複数の無機フィラーと、を含む。発光素子を配置することにおいて、第1金属ペーストが焼成されることで形成された第1金属部材と、発光素子と、を直接又は間接に電気的に接続することと、を含んでいる。なお、発光素子を配置することS22では、第1金属ペースト3Aの少なくとも一部に接する第2金属ペースト8Aに素子電極24を直接又は間接に接続しても構わない。また、発光装置の製造方法S20では、発光素子を配置することS22の後に光反射部材を配置することS23を行うおこととして説明する。
【0053】
(セラミックス焼結体基板を準備すること)
セラミックス焼結体基板を準備することS21(以下、工程S21という)とは、既に説明したセラミックス焼結体基板の製造方法S10によって製造したセラミックス焼結体基板10を準備することである。セラミックス焼結体基板10は、その第1面及び第2面に貫通孔2に充填されて配置した第1金属ペースト3Aに第2金属ペースト8Aが接続して四箇所配置されている。なお、第2金属ペースト8Aは、その形状や大きさや間隔は、発光素子20の素子電極24に合わせて調節して形成することができる。なお、セラミックス焼結体基板10は、発光素子20を配置する領域が複数あり、後記する光反射部材30を配置した後に、発光装置100毎に個片化する大きさとすることや、一つの発光装置100ごとの大きさとすることであっても構わない。
【0054】
(発光素子を配置すること)
発光素子を配置することS22(以下、工程S22という)とは、発光素子20をセラミックス焼結体基板10に配置することである。この工程S22では、発光素子20の素子電極24を、第2金属ペースト8Aに配置した接合部材11に、金属バンプ12を用いて接続している。なお、発光素子20は、予め透光性部材23が素子基板22に接続された状態のものが配置される。透光性部材23を素子基板22に接合する場合には、透光性の接合材料を使用している。
【0055】
(光反射部材を配置すること)
光反射部材を配置することS23(以下、工程S23という)とは、セラミックス焼結体基板10の平面である第1面を覆うと共に、発光素子20の側面を覆うように光反射部材30を配置することである。この工程S23では、光反射部材30は、発光素子20を囲み発光素子20の光取出し面となる透光性部材23の上面を露出するようにセラミックス焼結体基板10の上に配置される。光反射部材30は、平面視において矩形となるように配置される。
【0056】
なお、発光装置の製造方法S20では、工程S23の作業が終了した後に、必要に応じて個片化作業が行われる。発光装置100は、使用されている発光素子20の数で予め発光装置100の1つの単位が設定されている。そのため、発光装置100をまとめて複数製造している場合には、個片化作業が行われる。個片化作業を行う場合には、格子状に切断することで、複数の発光装置100を作製する。また、切断する方法としては、例えば、円盤状の回転刃、超音波カッター、レーザ光照射、ブレード等を用いることができる。
上記のような構成を備える発光装置の製造方法S20は、セラミックス焼結体基板の製造方法S10によって、貫通孔2内においてボイドや凹みが発生することがなく第2金属部材8や、発光素子20等の接続部品と安定的に接続することができ、信頼性が高い構成を実現できる。
【0057】
(応用例)
なお、図9A及び図9Bに示すように、発光装置100を、一列に複数(図面では、11個)備える発光モジュール100Aとしてもよく、11個の発光装置100をセラミックス焼結体基板10の1枚に実装した形態であってもよい。発光モジュール100Aとした場合の構成について説明する。図9Aは、発光装置の応用例を示す斜視図である。図9Bは、図9Aの一部を省略して断面を示す断面図である。
発光モジュール100Aは、一列に11個の発光装置100を備え、光反射部材30の外側に枠体140を有し、セラミックス焼結体基板10の下方の第2金属部材8にモジュール基板150が接続されている。
【0058】
枠体140は、複数の発光装置100を覆う光反射部材30を取り囲むための部材である。枠体140は、平面視で例えば長方形状となる矩形環状に形成され、光反射部材30の周囲を取り囲むように配置されている。枠体140は、金属、合金又はセラミック部材からなる枠状の部材を用いて形成することができる。金属としては、例えば、Fe、Cu、Ni、Al、Ag、Au、Pt、Ti、W、Pd等が挙げられる。合金としては、例えば、Fe、Cu、Ni、Al、Ag、Au、Al、Pt、Ti、W、Pd等のうちの少なくとも一種を含む合金が挙げられる。また、枠体140として樹脂材料を用いてもよい。この場合、樹脂材料で形成された枠体140に上記金属、合金又はセラミック部材が埋設されていてもよいし、枠体140の一部を樹脂材料、他の一部を金属、合金又はセラミック部材で形成してもよい。
【0059】
モジュール基板150は、発光装置100を載置する部材であり、発光装置100を電気的に外部と接続するものである。モジュール基板150は、例えば平面視で略長方形に形成されている。モジュール基板150は、基板部160と、配線板部170と、を備えている。
基板部160の材料としては、例えば、絶縁性材料を用いることが好ましく、かつ、発光素子20から出射される光や外光等を透過しにくい材料を用いることが好ましい。例えば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ムライト等のセラミックス、ポリアミド、ポリフタルアミド、ポリフェニレンサルファイド、又は、液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、又は、フェノール樹脂等の樹脂を用いることができる。なかでも放熱性に優れるセラミックスを用いることが好ましい。
【0060】
また、配線板部170は、発光装置100の下方の第2金属部材8に対面する位置で基板部160上に形成されている。配線板部170の材料としては、例えば、第1金属部材3や第2金属部材8等に用いる材料として例示したものが挙げられる。
なお、モジュール基板150は、導電性接着材151を介して枠体140と接合し、かつ、第2金属部材8と配線板部170とが接合するように配置されている。導電性接着材151としては、例えば共晶はんだ、導電性のペースト、バンプ等を用いればよい。また、発光装置100では、各発光素子20と並列して、セラミックス焼結体基板10上にそれぞれ保護素子125が配置されている。
【0061】
発光モジュール100Aは、以上のように構成されているため、駆動すると以下のようになる。すなわち、発光モジュール100Aは、配線板部170、第2金属部材8、第1金属部材3、素子電極24を介して外部電源から発光素子20に電流が供給され、発光素子20が発光する。発光素子20が発光した光は、上方へ進む光が、透光性部材23を介して発光装置100の上方の外部に取り出される。また、下方へ進む光は、セラミックス焼結体基板10で反射され、透光性部材23を介して発光装置100の外部に取り出される。また、発光素子20と枠体140との間に進む光は、光反射部材30及び枠体140で反射され、透光性部材23を介して発光装置100の外部に取り出される。また、発光素子20間に進む光は、光反射部材30で反射され、透光性部材23を介して発光装置100の外部に取り出される。この際、透光性部材23間を狭く(例えば0.2mm以下)することで、例えば、発光モジュール100Aを車両用ヘッドライトの光源に用いる場合、光学系の構成を簡単かつ小型なものとすることができる。
【0062】
なお、発光モジュール100Aを製造する場合には、シート部材上に発光装置100を並べて、その周りに枠体140を配置し、その状態で光反射部材30を枠体140及びシート部材で囲まれる空間に充填することで、光反射部材30を配置する。その後、配線板部170及び導電性接着材151を配置したモジュール基板150に、枠体140及び光反射部材30で支持されている発光装置100を配置して、第2金属部材8と配線板部170とを電気的に接続することで発光モジュール100Aは製造される。
【実施例0063】
次に、本開示の実施形態に係るセラミックス焼結体基板について、以下で示すように実施例について説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
以下で開示する実施例では、実施例1及び実施例2を製造すると共に、比較例1を製造し、それぞれの熱伝導率を測定して測定結果1として比較した。また、開示する実施例では、実施例3、実施例4及び実施例5を製造すると共に、比較例2を製造し、それぞれの第1金属ペーストの焼成後の厚みの変化を測定結果2として比較した。
以下の実施例及び比較例で使用するセラミックス基板は、厚みが250μm、材質が窒化ケイ素である。
実施例1、実施例2、比較例1は、熱伝導率を測定するため10mm×10mm×5mm程度のバルク体を作成する。
実施例3から実施例5、比較例2は、セラミックス基板の両面に所定の貫通孔を有するマスクを配置した後、レーザを照射し貫通孔を形成する。セラミックス基板における貫通孔は、セラミックス基板の上面の直径が230μm、下面の直径が130μmの円錐台形である。マスクに設けた貫通孔及びセラミックス基板に設けた貫通孔に第1金属ペーストを配置する。その後、第1金属ペーストを乾燥し、マスクを剥離し、セラミックス基板を焼成する。
実施例6から実施例10、比較例3は、セラミックス基板はマスクを施しておらず、セラミックス基板にレーザを照射し貫通孔を形成する。セラミックス基板における貫通孔は、セラミックス基板の上面の直径が230μm、下面の直径が130μmの円錐台形である。セラミックス基板に設けた貫通孔に第1金属ペーストを配置する。その後、第1金属ペーストを乾燥し、セラミックス基板を焼成する。
【0064】
<実施例1>
第1金属粉体として、銀と銅の共晶粉(共晶組成は、銀が72wt%、銅が28wt%)を50wt%、銀粉を50wt%とする。実施例1に係る第1金属ペーストは、この第1金属粉体を100質量部として、活性金属粉体(水素化チタン(TiH))を5質量部、有機溶剤(ポリビニルアセタール樹脂)を0.5質量部、分散剤(ラウリン酸)を0.5質量部使用し、無機フィラー(AlN)を2質量部使用する。焼成温度は830℃である。無機フィラーと、第1金属粉体と、活性金属粉体と、の合計量を100wt%とした場合に、無機フィラーは1.87wt%である。
【0065】
<実施例2>
実施例2は実施例1と比較して無機フィラー量が異なる以外は同じである。実施例2では無機フィラー(AlN)を5質量部使用する。無機フィラーと、第1金属粉体と、活性金属粉体と、の合計量を100wt%とした場合に、無機フィラーは4.55wt%である。
【0066】
<比較例1>
比較例1は実施例1と比較して無機フィラーを使用しない以外は同じである。
【0067】
<測定結果1>
実施例1、2、比較例1について熱伝導率を測定したところ、比較例1は209.2W/m・Kであるのに対し、実施例1では202.9W/m・Kであり、実施例2では176.5W/m・Kである。この点から実施例1は、比較例1と比較して熱伝導率が低い。また、実施例2は、比較例1と比較して熱伝導率がさらに低く、実施例1よりも低いことが分かる。また、実施例1及び実施例2では、無機フィラー含まれていることが、比較例1との熱伝導率の差に影響があり、無機フィラーが所定の範囲で含まれることがより好ましい。つまり、実施例1及び実施例2では、熱伝導率は高いことが好ましいが、下記に示す厚みの変化量との関係により、無機フィラーを含むことで低下する熱伝導率を一定以上の値で維持することとしている。
【0068】
<熱伝導率>
各実施例および各比較例のそれぞれに対して熱伝導率を見積もった。熱伝導率は比熱と密度と熱拡散率の積として求めることができる。具体的には、熱伝導率は、以下の式で表される。
熱伝導率[W/m・K]=熱拡散率[m/秒]×比熱[J/K・kg]×密度[kg/m
【0069】
比熱は各材料の比熱の文献値を、混合した質量比で重みづけすることで各実施例および各比較例に対して得た。密度はアルキメデス法によって測定した。熱拡散率はネッチジャパン社製の測定装置(型番LFA-447)を用い、キセノンランプを用いたフラッシュ法により得た。測定温度は25℃であり、測定時のサンプルの厚みは2mmであった。実施例1、実施例2及び比較例1の「熱伝導率」は、これらの文献値および測定値から見積もった値である。
【0070】
<実施例3>
第1金属粉体として、銀と銅の共晶粉(共晶組成は、銀が72wt%、銅が28wt%)を100wt%とする。実施例3に係る第1金属ペーストは、この第1金属粉体を100質量部として、活性金属粉体(水素化チタン(TiH))を5質量部、有機溶剤(ポリビニルアセタール樹脂)を0.5質量部、分散剤(ラウリン酸)を0.5質量部使用し、無機フィラー(AlN)を1質量部使用する。焼成温度は830℃である。無機フィラーと、第1金属粉体と、活性金属粉体と、の合計量を100wt%とした場合に、無機フィラーは0.94wt%である。
【0071】
<実施例4>
実施例4は実施例3と比較して無機フィラー量が異なる以外は同じである。実施例4では無機フィラー(AlN)を2質量部使用する。無機フィラーと、第1金属粉体と、活性金属粉体と、の合計量を100wt%とした場合に、無機フィラーは1.87wt%である。
【0072】
<実施例5>
実施例5は実施例3と比較して無機フィラー量が異なる以外は同じである。実施例5では無機フィラー(AlN)を10質量部使用する。無機フィラーと、第1金属粉体と、活性金属粉体と、の合計量を100wt%とした場合に、無機フィラーは8.70wt%である。
【0073】
<比較例2>
比較例2は実施例3と比較して無機フィラーを使用しない以外は同じである。
【0074】
<測定結果2>
実施例3から実施例5、比較例2について第1金属ペーストと、その第1金属ペーストを焼成した第1金属部材とで、それぞれの厚みの変化量を調べたところ、比較例2では62%も変化したのに対し、実施例3では52%、実施例4では26%、実施例5では22%と無機フィラー量を増やすにつれて変化量が小さくなることが確認された。つまり、実施例3から実施例5において、無機フィラーが含まれていることが、比較例2との変化量の差として現れることが分かる。そして、無機フィラーが所定の範囲で含まれていることがより好ましいことが分かる。
【0075】
<収縮率測定方法>
また、下記で示すように収縮率を算出し、それぞれの実施例及び比較例との対比を以下に示すように行った。実施例3から実施例5、比較例2はセラミックス基板の両面に設けたマスクの貫通孔に摺り切りで、実施例6から実施例10、比較例3はセラミックス基板の貫通孔に摺り切りで、金属ペーストを充填し、溶媒及びバインダを乾燥した後、基板の真横からX線非破壊検査装置を用いて観察する。観察で見えるビア充填材の透視図面積を初期値(S)とする。基板焼成後に前記同様、X線非破壊検査装置で見えるビア充填材の透視図面積(S)を、初期値から差し引いた値の、初期値に対する割合を収縮率とする。
収縮率=(S-S)/S
【0076】
上記の測定結果1及び測定結果2で示すように、熱伝導率と厚みの変化量との結果から、その両方の条件を満たすように、熱伝導率が高く、かつ、厚みの変化量が少ないのは、無機フィラー量が1wt%以上4.5wt%以下であることが好ましく、1.5wt%以上4.2wt%以下であることがさらに好ましい。
【0077】
<実施例6>
第1金属粉体として、銀と銅の共晶粉(共晶組成は、銀が72wt%、銅が28wt%)を50wt%、銀粉を50wt%とする。実施例6に係る第1金属ペーストは、この第1金属粉体を100質量部として、活性金属粉体(水素化チタン(TiH))を5質量部、有機溶剤(ポリビニルアセタール樹脂)を0.5質量部、分散剤(ラウリン酸)を0.5質量部使用し、無機フィラー(AlN)を1質量部使用する。焼成温度は830℃である。無機フィラーと、第1金属粉体と、活性金属粉体と、の合計量を100wt%とした場合に、無機フィラーは0.94wt%である。実施例6から実施例10は、それぞれ同じ条件で同じ構成のものを2つ製造し、その2の平均値の収縮率に基づき比較している。収縮率は、所謂、n数が2の平均値としている。
【0078】
<実施例7>
実施例7は実施例6と比較して無機フィラー量が異なる以外は同じである。実施例7では無機フィラー(AlN)を2質量部使用する。無機フィラーと、第1金属粉体と、活性金属粉体と、の合計量を100wt%とした場合に、無機フィラーは1.87wtである。
【0079】
<実施例8>
実施例8は実施例6と比較して無機フィラー量が異なる以外は同じである。実施例8では無機フィラー(AlN)を5質量部使用する。無機フィラーと、第1金属粉体と、活性金属粉体と、の合計量を100wt%とした場合に、無機フィラーは4.55wt%である。
【0080】
<実施例9>
実施例9は実施例6と比較して無機フィラー量が異なる以外は同じである。実施例9では無機フィラー(AlN)を10質量部使用する。無機フィラーと、第1金属粉体と、活性金属粉体と、の合計量を100wt%とした場合に、無機フィラーは8.70wt%である。
【0081】
<実施例10>
実施例10は実施例6と比較して無機フィラー量が異なる以外は同じである。実施例10では無機フィラー(AlN)を20質量部使用する。無機フィラーと、第1金属粉体と、活性金属粉体と、の合計量を100wt%とした場合に、無機フィラーは16.0wt%である。
【0082】
<比較例3>
比較例3は実施例6と比較して無機フィラーを使用しない以外は同じである。
【0083】
実施例6から実施例10、比較例3は、焼成前の第1金属ペーストの厚み250μmに対して、焼成後の第1金属部材の厚みを測定した。第1金属部材は表面及び裏面の両方が凹んでおり、その表面及び裏面の第1金属部材の減少量の合計を示す。第1金属部材の減少量は比較例3において27.9μmであるのに対し、実施例6は26.8μm、実施例7は16.0μm、実施例8は18.9μm、実施例9は20.9μm、実施例10は9.1μmである。このことから、無機フィラーが多くなるにつれて第1金属部材の厚みの減少量は小さくなることが明らかとなった。
【0084】
なお、実施例6から実施例10に比べ、実施例3から実施例5は、セラミックス基板の両面にマスクを設けているため、両面のマスクの厚みの分だけ第1金属ペーストの厚みが大きくなっている。また、実施例3から実施例5は、マスクを剥離した後に焼成を行っているため、第1金属ペーストがセラミックス基板上に拡がっている部分も見られる。さらに実施例6から実施例10は焼成温度において溶融する銀と銅の共晶粉が100wt%であるのに対し、実施例3から実施例5は焼成温度において溶融する銀と銅の共晶粉が50wt%しか使用していない。そのため、実施例6から10に比べ、実施例3から実施例5は、第1金属部材の減少量が大きくなっている。このように、セラミックス焼結体基板では、所定の条件の第1金属ペーストが、第1金属粉体、活性金属粉体、金属を除く無機フィラーを含有することで、第1金属部材の減少量を低減できることが分かる。
【0085】
なお、上記した実施例において有機溶剤は焼成後には蒸発し、また、分散剤は微量であるために焼成後の存在確認が困難となる場合がある。
【0086】
本開示の実施形態に係るセラミックス焼結体基板、発光装置及びそれらの製造方法は、例えば以下のとおりである。
[項1]
セラミックス基板の表面に第1金属ペーストを配置することと、
前記第1金属ペーストを配置した前記セラミックス基板を焼成することと、を含み、
前記第1金属ペーストを配置することにおいて、第1金属ペーストは、複数の第1金属粉体と、複数の活性金属粉体と、金属を除く複数の無機フィラーと、を含み、
前記セラミックス基板を焼成することにおいて、焼成温度は、前記第1金属粉体の融点以上の温度である、セラミックス焼結体基板の製造方法。
[項2]
前記第1金属ペーストを配置する前に、貫通孔がある前記セラミックス基板を準備することと、
前記貫通孔内に前記第1金属ペーストを配置することと、を含む項1に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
[項3]
前記第1金属ペーストを配置した後、前記セラミックス基板を焼成する前に、さらに、前記第1金属ペーストを乾燥することと、乾燥させた前記第1金属ペーストを加圧することと、を含む項1又は項2に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
[項4]
前記第1金属ペーストを配置することにおいて、前記無機フィラーと、前記第1金属粉体と、前記活性金属粉体と、の合計量を100wt%とした場合に、前記無機フィラーは1wt%以上50wt%以下、前記第1金属粉体は40wt%以上95wt%以下、前記活性金属粉体は0.5wt%以上10wt%以下である、項1から項3のいずれか一項に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
[項5]
前記第1金属ペーストを配置することにおいて、前記無機フィラーのメジアン径は、1μm以上50μm以下である、項1から項4の何れか一項に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
[項6]
前記第1金属ペーストを配置することにおいて、前記第1金属粉体の融点は、700℃以上1200℃以下である、項1から項5の何れか一項に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
[項7]
前記第1金属ペーストを配置することにおいて、前記第1金属粉体は、Ag、Cu、Ag-Cu合金、Cu-Zn合金、Cu-Sn合金から選択される少なくとも1種である、項1から項6の何れか一項に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
[項8]
前記第1金属ペーストを配置することにおいて、前記第1金属ペーストは、さらに有機バインダを含む、項1から項7の何れか一項に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
[項9]
前記第1金属ペーストを配置することにおいて、前記セラミックス基板は、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素から選択される少なくとも1種である、項1から項8の何れか一項に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
[項10]
前記セラミックス基板を焼成することにおいて、前記焼成温度は、700℃以上1000℃以下である項1から項9の何れか一項に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。[項11]
前記セラミックス基板を焼成することによって、前記無機フィラーの表面に前記無機フィラーと前記活性金属粉体との反応層を形成する請求項1から項10の何れか一項に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
[項12]
前記第1金属ペーストは、前記貫通孔から連続し前記セラミックス基板の平面及び/又は底面に配置される項2から項11の何れか一項に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
[項13]
前記第1金属ペーストを充填した後、前記セラミックス基板を焼成する前に、前記第1金属ペーストと少なくとも一部が接触するように前記セラミックス基板上に第2金属ペーストを配置する、項1から項12の何れか一項に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
[項14]
項1から項12のいずれか一項に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法により製造したセラミックス焼結体基板を準備することと、
前記セラミックス焼結体基板に発光素子を配置することと、を含み、
前記セラミックス焼結体基板を準備することにおいて、前記第1金属ペーストは焼成により第1金属部材となり、
前記発光素子を配置することにおいて、前記第1金属部材と、前記発光素子と、を直接又は間接に電気的に接続することと、を含む発光装置の製造方法。
[項15]
項13に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法により製造したセラミックス焼結体基板を準備することと、
前記セラミックス焼結体基板に発光素子を配置することと、を含み、
前記セラミックス焼結体基板を準備することにおいて、前記第1金属ペーストは焼成により第1金属部材となり、かつ、前記第2金属ペーストは焼成により第2金属部材となり、
前記発光素子を配置することにおいて、前記第1金属部材又は前記第2金属部材と、前記発光素子と、を直接又は間接に電気的に接続する、発光装置の製造方法。
[項16]
セラミックス基板と、
前記セラミックス基板の表面に配置される第1金属部材と、を備え、
前記第1金属部材は、複数の無機フィラーと、第1金属と、金属化合物と、を含み、
前記複数の無機フィラーの表面、及び、前記セラミックス基板の表面のそれぞれの少なくとも一部に前記金属化合物が配置されている、セラミックス焼結体基板。
[項17]
前記セラミックス基板は貫通孔を有し、
前記貫通孔内に前記第1金属部材を配置し、
前記貫通孔を画定する内壁に前記金属化合物の少なくとも一部がある項16に記載のセラミックス焼結体基板。
[項18]
前記無機フィラーと、前記第1金属と、前記金属化合物と、の合計量を100wt%とした場合に、前記無機フィラーは1wt%以上50wt%以下、前記第1金属は40wt%以上95wt%以下、前記金属化合物が1wt%以上10wt%以下である項16又は項17に記載のセラミックス焼結体基板。
[項19]
前記無機フィラーの線膨張係数が8ppm/K以下である項16から項18の何れか一項に記載のセラミックス焼結体基板。
[項20]
前記無機フィラーは、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素から選ばれる少なくとも1種を含む項16から項19の何れか一項に記載のセラミックス焼結体基板。
[項21]
前記第1金属は、Ag、Al、Zn、Sn、Ag-Cu合金から選ばれる少なくとも1種である項16から項20の何れか一項に記載のセラミックス焼結体基板。
[項22]
前記セラミックス基板は、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素から選択される少なくとも1種である項16から項21の何れか一項に記載のセラミックス焼結体基板。
[項23]
前記複数の無機フィラーは、連続する前記第1金属中に分散されている項16から項22の何れか一項に記載のセラミックス焼結体基板。
[項24]
前記貫通孔に配置される前記第1金属部材は、前記セラミックス基板の厚さ方向に切断する断面視において、前記無機フィラーが100μmあたり10μm以上75μm以下配置されている項16及び項15を引用する項を除く項16から項23のいずれか一項に記載のセラミックス焼結体基板。
[項25]
前記無機フィラーのメジアン径は、1μm以上50μm以下である項16から項24の何れか一項に記載のセラミックス焼結体基板。
[項26]
前記貫通孔の直径は、0.05mm以上0.5mm以下である項17及び項16を引用する項を除く項18から項25のいずれか一項に記載のセラミックス焼結体基板。
[項27]
前記第1金属部材は、前記貫通孔から連続し前記セラミックス基板の平面及び/又は底面に配置される項17及び項16を引用する項を除く項18から項25のいずれか一項に記載のセラミックス焼結体基板。
[項28]
前記第1金属部材上に配置する第2金属を備える項16から項27のいずれか一項に記載のセラミックス焼結体基板。
[項29]
セラミックス基板と、前記セラミックス基板の表面に配置される第1金属部材と、を備え、前記第1金属部材は、複数の無機フィラーと、第1金属と、金属化合物と、を含み、前記複数の無機フィラーの表面、及び、前記セラミックス基板の表面のそれぞれの少なくとも一部に前記金属化合物が配置されている、セラミックス焼結体基板と、
前記セラミックス焼結体基板の前記第1金属部材に電気的に接続される発光素子と、を備える発光装置。
[項30]
セラミックス基板と、前記セラミックス基板の表面に配置される第1金属部材及び第2金属部材と、を備え、前記第1金属部材は、複数の無機フィラーと、第1金属と、金属化合物と、を含み、前記複数の無機フィラーの表面、及び、前記セラミックス基板の表面のそれぞれの少なくとも一部に前記金属化合物が配置されている、セラミックス焼結体基板と、
前記セラミックス焼結体基板の前記第1金属部材又は前記第2金属部材に電気的に接続される発光素子と、を備える発光装置。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本開示の実施形態に係る発光装置は、配光可変型ヘッドランプ光源に利用することができる。その他、本開示の実施形態に係る発光装置は、液晶ディスプレイのバックライト光源、各種照明器具、大型ディスプレイ、広告や行き先案内等の各種表示装置、更には、デジタルビデオカメラ、ファクシミリ、コピー機、スキャナ等における画像読取装置、プロジェクタ装置等に利用することができる。
【符号の説明】
【0088】
1 セラミックス基板
2 貫通孔
3A 第1金属ペースト
3 第1金属部材
4 第1金属
14 第1金属粉体
5 無機フィラー
6 金属化合物
6a フィラー表面金属化合物(無機フィラーの表面の金属化合物)
6b 壁面金属化合物(貫通孔を画定する内壁の金属化合物)
16 活性金属粉体
7 有機バインダ
8A 第2金属ペースト
8 第2金属部材
10 セラミックス焼結体基板
11 接合部材
12 金属バンプ
20 発光素子
21 半導体積層体
22 素子基板
23 透光性部材
24 素子電極
30 光反射部材
100 発光装置
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8A
図8B
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図8D
図9A
図9B