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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043758
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】冷却装置、冷却装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20240326BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H01L23/36 Z
H05K7/20 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148925
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100173598
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 桜子
(72)【発明者】
【氏名】植松 大地
(72)【発明者】
【氏名】田村 忍
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA02
5E322AA11
5E322AB01
5E322AB03
5E322AB11
5E322DA04
5E322EA10
5E322FA01
5E322FA04
5F136BA04
5F136BA14
5F136BB04
5F136BC03
5F136CB06
5F136DA27
5F136FA02
5F136FA03
5F136GA04
5F136GA11
(57)【要約】
【課題】フィンとともに流路を形成するケースの変形を抑制することができる冷却装置等を提供する。
【解決手段】冷却装置2は、平板状の平板状部111と平板状部111から板面に交差する方向に突出した複数のフィン112とを有するヒートシンク11と、複数のフィン112を収容するとともに複数のフィン112とともに流路を形成するケース12と、を備え、ケース12は、ヒートシンク11が設けられた側と反対側からレーザ光が照射されることによりヒートシンクに接合されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の平板状部と当該平板状部から板面に交差する方向に突出した複数のフィンとを有するヒートシンクと、
前記複数のフィンを収容するとともに当該複数のフィンとともに流路を形成するケースと、
を備え、
前記ケースは、前記ヒートシンクが設けられた側と反対側からレーザ光が照射されることにより当該ヒートシンクに接合されている、
冷却装置。
【請求項2】
前記ヒートシンクは、前記複数のフィンの内の少なくとも1つのフィンの先端部に、他のフィンの先端部よりも大きく成形された大形部を有し、
前記ケースは、前記大形部と対向する部位に対して、前記レーザ光が照射されることにより前記ヒートシンクに接合されている、
請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記大形部は、前記複数のフィンの内の2つのフィンの先端部が互いに近づくことで形成されている、
請求項2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記大形部は、前記少なくとも1つのフィンにおける先端部が前記平板状部側の部位よりも大きくなるように成形された部位である、
請求項2に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記大形部は、前記複数のフィンの内の少なくとも2つのフィンの先端部を接続する部位である、
請求項2に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのフィンは、前記平板状部側の部位及び前記先端部が、前記他のフィンよりも大きく成形されている、
請求項2に記載の冷却装置。
【請求項7】
平板状の平板状部と当該平板状部から板面に交差する方向に突出した複数のフィンとを有するヒートシンクを製造する工程と、
前記複数のフィンを収容するとともに当該複数のフィンとともに流路を形成するケースを、当該複数のフィンの上に載せる工程と、
前記ケースに対して、前記ヒートシンクとは反対側からレーザ光を照射することで当該ケースと当該ヒートシンクとを接合する工程と、
を有する冷却装置の製造方法。
【請求項8】
前記製造する工程は、前記複数のフィンの内の少なくとも1つのフィンの先端部に、他のフィンの先端部よりも大きく成形された大形部を製造する工程を有し、
前記接合する工程は、前記大形部と対向する部位に前記レーザ光を照射する工程である、
請求項7に記載の冷却装置の製造方法。
【請求項9】
前記大形部を製造する工程は、複数のフィンの内の少なくとも2つのフィンの先端部同士を近づけるように変形させて当該大形部を形成する工程である、
請求項8に記載の冷却装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置及び冷却装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載された、半導体を冷却する流路形成体は、上ケースと、下ケースとを有する。上ケースは、上方のフィンベースに接合され、下ケースは、下方のフィンベースに接合される。ケースは、平面視で矩形枠状のベース部と、ベース部と一体形成されたカバー部とを有する。ケースのカバー部とフィンベースのフィンとの間の隙間は、水等の冷媒が流通する冷却用流路を構成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-088122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ケースとフィンとの間の隙間から構成される流路を冷媒が流通することに起因して内圧が大きくなったとしてもケースが変形し難い方が望ましい。ケース内の圧力の上昇及び下降によりケースが繰り返し変形することで、ケースが塑性変形してしまい、フィンの先端とケースとの間に空間が生まれるおそれがあるからである。そして、フィンの先端とケースとの間に空間が生まれると、その空間を冷媒が流れていくことで冷却性能が低下するおそれがある。
本発明は、フィンとともに流路を形成するケースの変形を抑制することができる冷却装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的のもと完成させた本発明は、平板状の平板状部と当該平板状部から板面に交差する方向に突出した複数のフィンとを有するヒートシンクと、前記複数のフィンを収容するとともに当該複数のフィンとともに流路を形成するケースと、を備え、前記ケースは、前記ヒートシンクが設けられた側と反対側からレーザ光が照射されることにより当該ヒートシンクに接合されている、冷却装置である。
ここで、前記ヒートシンクは、前記複数のフィンの内の少なくとも1つのフィンの先端部に、他のフィンの先端部よりも大きく成形された大形部を有し、前記ケースは、前記大形部と対向する部位に対して、前記レーザ光が照射されることにより前記ヒートシンクに接合されていても良い。
また、前記大形部は、前記複数のフィンの内の2つのフィンの先端部が互いに近づくことで形成されていても良い。
あるいは、前記大形部は、前記少なくとも1つのフィンにおける先端部が前記平板状部側の部位よりも大きくなるように成形された部位であっても良い。
あるいは、前記大形部は、前記複数のフィンの内の少なくとも2つのフィンの先端部を接続する部位であっても良い。
あるいは、前記少なくとも1つのフィンは、前記平板状部側の部位及び前記先端部が、前記他のフィンよりも大きく成形されていても良い。
また、他の観点から捉えると、本発明は、平板状の平板状部と当該平板状部から板面に交差する方向に突出した複数のフィンとを有するヒートシンクを製造する工程と、前記複数のフィンを収容するとともに当該複数のフィンとともに流路を形成するケースを、当該複数のフィンの上に載せる工程と、前記ケースに対して、前記ヒートシンクとは反対側からレーザ光を照射することで当該ケースと当該ヒートシンクとを接合する工程と、を有する冷却装置の製造方法である。
ここで、前記製造する工程は、前記複数のフィンの内の少なくとも1つのフィンの先端部に、他のフィンの先端部よりも大きく成形された大形部を製造する工程を有し、前記接合する工程は、前記大形部と対向する部位に前記レーザ光を照射する工程であっても良い。
また、前記大形部を製造する工程は、複数のフィンの内の少なくとも2つのフィンの先端部同士を近づけるように変形させて当該大形部を形成する工程であっても良い。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、フィンとともに流路を形成するケースの変形を抑制することができる冷却装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る半導体装置1の外観の一例を示す図である。
図2】第1実施形態に係る半導体装置1を構成する部品を分解した図の一例である。
図3】第1実施形態に係る半導体装置1の断面の一例を示す図である。
図4】ヒートシンク11及びヒートシンク21と、半導体モジュール100とを接合する前の状態の一例を示す図である。
図5】半導体モジュール100、ヒートシンク11及びヒートシンク21が一体となった物と、カバー13、カバー23、介在部材30を接合する方法の一例を示す図である。
図6】半導体モジュール100、ヒートシンク11、ヒートシンク21、カバー13、カバー23及び介在部材30が一体となった物と、ケース12を接合する方法の一例を示す図である。
図7】ケース22と連結部材40とを接合する方法の一例を示す図である。
図8】ヒートシンク11を製造する方法の一例を示す図である。(a)は、大形部115を形成する前のヒートシンク11の一例を示す図である。(b)は、大形部115を形成する方法の一例を示す図である。
図9】第2実施形態に係るヒートシンク250の概略構成の一例を示す図である。
図10】第3実施形態に係るヒートシンク350の概略構成の一例を示す図である。
図11】第4実施形態に係るヒートシンク450の概略構成の一例を示す図である。
図12】第5実施形態に係るヒートシンク550の概略構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、実施の形態について詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る半導体装置1の外観の一例を示す図である。
図2は、第1実施形態に係る半導体装置1を構成する部品を分解した図の一例である。
図3は、第1実施形態に係る半導体装置1の断面の一例を示す図である。図3は、図1のIII-III部の断面図である。
【0009】
第1実施形態に係る半導体装置1は、パワー半導体素子101を有する半導体モジュール100と、半導体モジュール100を冷却する冷却装置2とを備えている。
半導体装置1は、図1に示すように、冷却装置2の後述する第1冷却器10と第2冷却器20との間に半導体モジュール100を挟み込んだ状態で、例えば自動車に搭載される。以下では、第1冷却器10と第2冷却器20とが積層される方向を、「上下方向」と称する場合がある。また、直方体状の第1冷却器10及び第2冷却器20における、上下方向に直交する矩形状の長手方向を「長手方向」、矩形状の短手方向を「短手方向」と称する場合がある。
【0010】
半導体モジュール100は、カード型のパワーモジュールであり、セラミック製の絶縁基板(不図示)に実装されたパワー半導体素子101と、パワー半導体素子101の両面(上方及び下方)それぞれに設けられた平板状のヒートスプレッダ102とを有する。ヒートスプレッダ102は、銅、又は、アルミニウムやアルミニウム合金等のアルミニウム材の少なくともいずれかにて成形されている。
【0011】
冷却装置2は、内部に冷媒を流通させることが可能な冷却器である第1冷却器10及び第2冷却器20と、第1冷却器10と第2冷却器20との間に介在する介在部材30とを備えている。また、冷却装置2は、第1冷却器10及び第2冷却器20に連結された連結部材40と、連結部材40を介して、第1冷却器10及び第2冷却器20を支持する支持部材50とを備えている。
【0012】
(第1冷却器10)
第1冷却器10は、フィン112を有するヒートシンク11と、ヒートシンク11のフィン112を収容するとともに、冷媒が流通する空間を形成するケース12と、ケース12の開口部を覆うカバー13とを備えている。詳細については後述するが、ケース12は、レーザ溶接にてカバー13と接合されているとともに、ヒートシンク11ともレーザ溶接にて接合されている。
【0013】
ヒートシンク11は、平板状の平板状部111と、平板状部111から板面に交差する方向に突出した複数のフィン112とを有している。フィン112は、長手方向に延びている。
【0014】
図3に示すように、複数のフィン112は、形状が異なる、第1フィン113と第2フィン114とを有する。第2フィン114は、短手方向の中央部に2個設けられており、第1フィン113は、短手方向において第2フィン114の両側それぞれに複数(図3においては4個)設けられている。
【0015】
第1フィン113は、長手方向に延びる平板状であり、平板状部111側の部位である基端部(図3においては下端部)から先端部(図3においては上端部)の全域に亘って平板状部111の板面に直交する方向に突出している。複数の第1フィン113は、短手方向に所定の間隔にて並べられていることを例示することができる。
【0016】
第2フィン114は、平板状部111側の部位である基端部(図3においては下端部)が平板状部111の板面に対して傾斜する方向に突出し、先端部(図3においては上端部)が板面に対して直交する方向に突出するように屈曲している。2個の第2フィン114は、短手方向に直交する面に対して対称となるように設けられている。そして、2個の第2フィン114は、先端部が互いに近づくことで、第1フィン113の肉厚(短手方向における大きさ)よりも厚い肉厚の大形部115を形成している。2個の第2フィン114における先端面、言い換えれば、大形部115の先端面115aは、第1フィン113の先端面113aと同一平面上にあることを例示することができる。
【0017】
平板状部111は、フィン112が形成されている側の面であるフィン側面111aと、フィン112が形成されていない側の面であり平坦な平坦面111bとを有している。複数のフィン112は、フィン側面111aにおける中央寄りの一部の領域に形成されており、フィン側面111aにおけるフィン112が形成されている領域の外側は平坦な面である。このフィン112が形成されている領域の外側の平坦な面を、以下では、外側面111cと称する場合がある。
【0018】
ヒートシンク11は、押出成形にて成形されることを例示することができる。また、ヒートシンク11は、銅又はアルミニウム材の少なくともいずれかにて成形されている。アルミニウム材としては、A6063合金であることを例示することができる。
【0019】
そして、ヒートシンク11は、平板状部111の平坦面111bが、半導体モジュール100のヒートスプレッダ102と金属接合されることで、半導体モジュール100と一体化されている。金属接合は、はんだ付又は銅焼結による接合であることを例示することができる。また、ヒートシンク11は、平板状部111の平坦面111bが、半導体モジュール100のヒートスプレッダ102と熱伝導グリスにより貼り付けられることで、半導体モジュール100と一体化されていても良い。
【0020】
ケース12は、凹状であり、平板状の底部121と、底部121の外周部から底部121と直交する方向に伸びた側部122と、側部122の先端部から底部121と平行な方向に外側に突出したフランジ123とを有している。底部121と側部122とで凹部が形成され、この凹部の周囲に、フランジ123が形成されている。ケース12は、アルミニウム材を用いてプレス加工にて成形されていることを例示することができる。
【0021】
カバー13は、平板状であり、カバー13の外形はケース12のフランジ123の外周部と略同一である。そして、カバー13と、ケース12のフランジ123とが接合されることで、ケース12の凹部の開口部をカバー13が塞ぐ。カバー13とケース12との接合方法は、レーザ溶接であることを例示することができる。
【0022】
カバー13には、長手方向の一方の端部に円形の第1貫通孔131が形成され、長手方向の他方の端部に円形の第2貫通孔132が形成されている。また、カバー13には、第1貫通孔131と第2貫通孔132との間に、ヒートシンク11のフィン112を通す矩形状の第3貫通孔133がヒートシンク11と同数(本実施形態においては3つ)形成されている。
【0023】
カバー13は、第3貫通孔133にヒートシンク11のフィン112が通された状態で、ヒートシンク11の平板状部111におけるフィン112の周囲の面に接合される。カバー13とヒートシンク11との接合方法は、レーザ溶接であることを例示することができる。
カバー13は、アルミニウム材を用いてプレス加工にて成形されていることを例示することができる。
【0024】
(第2冷却器20)
第2冷却器20は、第1冷却器10のヒートシンク11と同一のヒートシンク21と、第1冷却器10のケース12に相当するケース22と、第1冷却器10のカバー13と同一のカバー23とを有する。つまり、第2冷却器20は、後述する第1貫通孔241及び第2貫通孔242が形成されている以外、第1冷却器10と略同一形状である。そして、第2冷却器20は、半導体モジュール100に対して、第1冷却器10と対称となるように配置されている。
【0025】
より具体的には、ヒートシンク21は、ヒートシンク11の平板状部111と同一の平板状部211と、ヒートシンク11のフィン112と同一のフィン212とを有している。平板状部211は、平板状部111のフィン側面111a、平坦面111b、外側面111cとそれぞれ同一のフィン側面211a、平坦面211b、外側面211cを有している。また、複数のフィン212は、第1フィン113、第2フィン114、大形部115とそれぞれ同一の第1フィン213、第2フィン214、大形部215を有している。
【0026】
ケース22は、ケース12の底部121、側部122、フランジ123とそれぞれ同一の底部221、側部222、フランジ223を有している。
ケース22は、ケース12と異なり、底部221に、長手方向の一方の端部に円形の第1貫通孔241が形成され、長手方向の他方の端部に円形の第2貫通孔242が形成されている。
【0027】
カバー23は、カバー13に形成されている第1貫通孔131、第2貫通孔132、第3貫通孔133とそれぞれ同一の第1貫通孔231、第2貫通孔232、第3貫通孔233が形成されている。
【0028】
(介在部材30)
介在部材30は、円筒状の部材である。介在部材30の内径は、カバー13に形成された第1貫通孔131及び第2貫通孔132の径と略同一である。介在部材30は、上部がカバー13に接合され、下部がカバー23に接合される。接合方法は、レーザ溶接であることを例示することができる。
介在部材30の材質はアルミニウム材であることを例示することができる。
【0029】
(連結部材40)
連結部材40は、ケース12の長手方向が短軸方向、ケース12の短手方向が長軸方向となる楕円柱状の部材である。連結部材40の中央部には、円形の第1貫通孔41が形成されている。第1貫通孔41は、第2冷却器20のケース22の第1貫通孔241及び第2貫通孔242の形状と同じ形状である。また、連結部材40には、第1貫通孔41の周囲に端面から凹んだ凹部45(図7参照)が形成されている。また、連結部材40には、第1貫通孔41における長軸方向の両外側に第2貫通孔42が形成されている。
連結部材40の材質はアルミニウム材であることを例示することができる。
【0030】
(支持部材50)
支持部材50には、長手方向の一方の端部に上面から凹んだ第1空間51と、長手方向の他方の端部に上面から凹んだ第2空間52とが形成されている。第1空間51における上面側の開口部51aは、連結部材40の第1貫通孔41と同じ形状である。第2空間52における上面側の開口部52aは、連結部材40の第1貫通孔41と同じ形状である。支持部材50における開口部51aの周囲には、Oリング55が嵌め込まれる溝51bが形成されている。支持部材50における開口部52aの周囲には、Oリング56が嵌め込まれる溝52bが形成されている。また、支持部材50には、溝51bにおける長軸方向の両外側に雌ネジ51cが形成されている。また、支持部材50には、溝52bにおける長軸方向の両外側に雌ネジ52cが形成されている。
【0031】
支持部材50には、第1空間51と外部とを、上下方向に直交する方向(図1及び図2においては短手方向)に連通する連通孔が形成されており、当該連通孔に第1ジョイント53が嵌め込まれている。また、支持部材50には、第2空間52と外部とを、上下方向に直交する方向に連通する連通孔が形成されており、当該連通孔に第2ジョイント54が嵌め込まれている。
支持部材50の材質はアルミニウム材であることを例示することができる。
【0032】
(半導体装置1の製造方法)
以上のように構成された半導体装置1は、以下のようにして製造される。
図4は、ヒートシンク11及びヒートシンク21と、半導体モジュール100とを接合する前の状態の一例を示す図である。
先ず、ヒートシンク11の平板状部111の平坦面111bと、半導体モジュール100のパワー半導体素子101(図3参照)の両側に設けられたヒートスプレッダ102の内の一方のヒートスプレッダ102とを金属接合する。金属接合は、はんだ付又は銅焼結による接合である。銅焼結にて接合する場合には、ヒートシンク11の平板状部111と半導体モジュール100の一方のヒートスプレッダ102とを、銅ペーストの塗膜を介して積層した後に、塗膜を焼結することで、ヒートシンク11と一方のヒートスプレッダ102とを互いに接続する銅焼結体を形成すると良い。なお、ヒートシンク11の平板状部111の平坦面111bと、半導体モジュール100のヒートスプレッダ102とを、熱伝導グリスにて貼り付けることで接合しても良い。
また、他方のヒートスプレッダ102とヒートシンク21の平板状部211の平坦面211bとを、一方のヒートスプレッダ102とヒートシンク11の平板状部111とを接合するのと同様な手法で接合する。
【0033】
図5は、半導体モジュール100、ヒートシンク11及びヒートシンク21が一体となった物と、カバー13、カバー23、介在部材30を接合する方法の一例を示す図である。
半導体モジュール100、ヒートシンク11及びヒートシンク21が一体となった物を複数(本実施形態においては3個)並べた後に、カバー13を、ヒートシンク11の上に載せる。その際、カバー13の第3貫通孔133にヒートシンク11のフィン112を通し、カバー13を、ヒートシンク11の平板状部111の外側面111c(図3参照)の上に載せる。そして、カバー13とヒートシンク11とをレーザ溶接にて接合する。レーザ溶接する際には、カバー13とヒートシンク11との重ね合わせ部位におけるカバー13に向けて、レーザ装置150のレーザヘッド151からレーザ光Lを照射し、レーザヘッド151を、複数のフィン112の周囲の外側面111cの形状に沿って移動させることで、第3貫通孔133の周囲にレーザ光Lを連続的に照射する。レーザ溶接による接合を、半導体モジュール100の数分繰り返す。
【0034】
また、カバー13と、長手方向の一方の端部に設けられた介在部材30とをレーザ溶接にて接合する。レーザ溶接する際には、カバー13と介在部材30との重ね合わせ部位におけるカバー13に向けて、レーザ装置150のレーザヘッド151からレーザ光Lを照射し、レーザヘッド151を、第1貫通孔131の周囲の形状に沿って移動させることで、第1貫通孔131の周囲にレーザ光Lを連続的に照射する。
【0035】
同様に、カバー13と、長手方向の他方の端部に設けられた介在部材30とをレーザ溶接にて接合する。レーザ溶接する際には、レーザヘッド151を、カバー13と介在部材30との重ね合わせ部位における第2貫通孔132の周囲の形状に沿って移動させることで、第2貫通孔132の周囲にレーザ光Lを連続的に照射する。
【0036】
同様に、半導体モジュール100、ヒートシンク11及びヒートシンク21が一体となった物のヒートシンク21とカバー23とをレーザ溶接にて接合する。その際、カバー23の第3貫通孔233(図3参照)にヒートシンク21のフィン212(図3参照)を通し、カバー23を、ヒートシンク21の平板状部211(図3参照)の外側面211c(図3参照)の上に載せる。そして、カバー23に対してレーザ光Lを照射する。カバー23とヒートシンク21とをレーザ溶接にて接合する方法は、上述した、カバー13とヒートシンク11とをレーザ溶接にて接合する方法と同一であるので詳細な説明は省略する。
【0037】
また、カバー23と、長手方向の両端部それぞれに設けられた介在部材30とをレーザ溶接にて接合する。カバー23と介在部材30とをレーザ溶接にて接合する方法は、上述した、カバー13と介在部材30とをレーザ溶接にて接合する方法と同一であるので詳細な説明は省略する。
【0038】
なお、半導体モジュール100、ヒートシンク11及びヒートシンク21が一体となった物に対して、カバー13及びカバー23を接合する順番は特に限定されない。また、介在部材30に対して、カバー13及びカバー23を接合する順番は特に限定されない。
【0039】
図6は、半導体モジュール100、ヒートシンク11、ヒートシンク21、カバー13、カバー23及び介在部材30が一体となった物と、ケース12を接合する方法の一例を示す図である。
半導体モジュール100、ヒートシンク11、ヒートシンク21、カバー13、カバー23及び介在部材30が一体となった物に対して、ケース12を接合する。
先ず、カバー13と、ケース12のフランジ123とをレーザ溶接にて接合する。レーザ溶接にて接合する場合には、カバー13の上にケース12を載せた状態で、カバー13とケース12との重ね合わせ部位におけるケース12に向けて、レーザ装置150のレーザヘッド151からレーザ光Lを照射する。そして、レーザヘッド151を、ケース12のフランジ123の形状に沿って移動させてレーザ光Lを連続的に照射すると良い。
【0040】
また、ケース12とヒートシンク11とを、レーザ溶接にて接合する。ケース12をカバー13に接合した状態においては、ケース12の底部121が、大形部115の先端面115a、及び、第1フィン113(図3参照)の先端面113a(図3参照)の上に載せられた状態となる。この状態で、ケース12における大形部115と対向する部位に向けて、ヒートシンク11とは反対側からレーザ光Lを照射することでケース12とヒートシンク11とを接合する。そして、レーザヘッド151を、ヒートシンク11の大形部115の形状に沿って、つまり、長手方向に移動させてレーザ光Lを連続的に照射する。これにより、ケース12とヒートシンク11の大形部115とを溶接する溶接部14が形成され、ケース12とヒートシンク11とが接合される。
【0041】
同様に、ヒートシンク11、ヒートシンク21、カバー13、カバー23及び介在部材30等が一体となった物に対して、ケース22を接合する。ケース22とカバー23とをレーザ溶接にて接合する方法、及び、ケース22とヒートシンク21とをレーザ溶接にて接合する方法は、それぞれ、上述した、ケース12とカバー13とをレーザ溶接にて接合する方法、及び、ケース12とヒートシンク11とをレーザ溶接にて接合する方法と同一であるので詳細な説明は省略する。
【0042】
図7は、ケース22と連結部材40とを接合する方法の一例を示す図である。
その後、半導体モジュール100、ヒートシンク11、ヒートシンク21、カバー13、カバー23、介在部材30、ケース12、及び、ケース22が一体となった物に対して、連結部材40を接合する。例えば、半導体モジュール100、ヒートシンク11、ヒートシンク21、カバー13、カバー23、介在部材30、ケース12、及び、ケース22が一体となった物におけるケース22と、長手方向の一方の端部に設けられた連結部材40とをレーザ溶接にて接合する。レーザ溶接する際には、連結部材40の第1貫通孔41とケース22の底部221の第1貫通孔241とが対向するように、ケース22の底部221の上に連結部材40を載せた状態で、連結部材40と底部221との重ね合わせ部位における連結部材40の凹部45に向けて、レーザ装置150のレーザヘッド151からレーザ光Lを照射する。そして、レーザヘッド151を、第1貫通孔41の周囲の凹部45の形状に沿って移動させることで、第1貫通孔41の周囲にレーザ光Lを連続的に照射する。
【0043】
同様に、半導体モジュール100、ヒートシンク11、ヒートシンク21、カバー13、カバー23、介在部材30、ケース12、及び、ケース22が一体となった物におけるケース22と、長手方向の他方の端部に設けられた連結部材40とをレーザ溶接にて接合する。この接合方法は、上述した、ケース22と長手方向の一方の端部に設けられた連結部材40とを接合する方法と同一であるので詳細な説明は省略する。
【0044】
そして、半導体モジュール100、ヒートシンク11、ヒートシンク21、カバー13、カバー23、介在部材30、ケース12、ケース22、及び、連結部材40が一体となった物を、ボルトにて支持部材50に締め付けることで半導体装置1を完成させる。
【0045】
以上、説明したように、半導体装置1の製造方法は、平板状の平板状部111と平板状部111から板面に交差する方向に突出した複数のフィン112とを有するヒートシンク11を製造する工程と、複数のフィン112を収容するとともに複数のフィン112とともに流路を形成するケース12を、複数のフィン112の上に載せる工程と、を有する。さらに、半導体装置1の製造方法は、ケース12に対して、ヒートシンク11とは反対側からレーザ光Lを照射することでケース12とヒートシンク11とを接合する工程を有する。
【0046】
(ヒートシンク11の製造方法)
次に、ヒートシンク11を製造する方法について説明する。
図8は、ヒートシンク11を製造する方法の一例を示す図である。図8(a)は、大形部115を形成する前のヒートシンク11の一例を示す図である。図8(b)は、大形部115を形成する方法の一例を示す図である。以下、大形部115を形成する前のヒートシンク11を、ベース部材110と称する場合がある。
【0047】
図8(a)に示すように、先ず、押出成形にてベース部材110を成形する。ベース部材110は、複数の第1フィン113と、短手方向の中央部に、長手方向に延びる平板状であり、かつ、平板状部111から板面に直交する方向に突出するとともに突出方向の大きさが第1フィン113よりも大きい2個の突出部116を有する。
【0048】
ベース部材110を製造した後、ベース部材110に対して、図8(b)に示すような型1000を用いてプレス加工を施すことにより、2個の突出部116における平板状部111側の部位である基端部(図8においては下端部)を屈曲させて先端部(図8においては上端部)同士を互いに近づけることで、第2フィン114及び大形部115を形成する。その際、大形部115の先端面115aが、第1フィン113の先端面113aと同一平面上となるように形成することを例示することができる。なお、長手方向においては、大形部115は、長手方向の全域に設けられていても良いし、長手方向の一部に設けられていても良い。
【0049】
以上、説明したように、半導体装置1の製造方法のヒートシンク11を製造する工程は、複数のフィン112の内の少なくとも1つのフィン(例えば第2フィン114)の先端部に、他のフィン(例えば第1フィン113)の先端部よりも大きく成形された大形部115を製造する工程を有する。そして、半導体装置1の製造方法のケース12とヒートシンク11とを接合する工程は、ケース12における大形部115と対向する部位にレーザ光Lを照射する工程である。これにより、例えばケース12における第1フィン113の先端部と対向する部位にレーザ光Lを照射することでケース12とヒートシンク11とを接合するのと比べて、大形部115の先端部は第1フィン113の先端部よりも大きいので確度高く大形部115と対向する部位にレーザ光Lを照射することができる。つまり、ケース12における第1フィン113の先端部と対向する部位を狙ってレーザ光Lを照射したとしても、ケース12における第1フィン113の先端部と接触していない部位に対してレーザ光Lが照射されるおそれがある。これに対して、大形部115の先端面115aの面積は第1フィン113の先端面113aの面積よりも大きいため、ケース12における大形部115と対向する部位を狙ってレーザ光Lを照射すると、ケース12における大形部115と接触している部位に対してレーザ光Lが照射され易い。その結果、ケース12とヒートシンク11との間に溶接部14を形成することができ、ケース12とヒートシンク11とを確度高く接合することができる。なお、大形部115の先端面115aの面積は、第1フィン113の先端面113aの面積の2倍であることを例示することができる。ただし、ケース12における大形部115と対向する部位にレーザ光Lを照射することができるのであれば、流路面積を大きくして冷却性能を向上させる観点からは2倍未満であっても良く、例えば1.5倍であっても良い。
【0050】
そして、上述した大形部115を製造する工程は、複数のフィン112の内の2個の第2フィン114の先端部同士を近づけるように変形させて大形部115を形成する工程である。言い換えれば、ベース部材110の2個の突出部116の先端部同士を近づけるように変形させて大形部115を形成する工程である。これにより、ヒートシンク11のベースとなる部材(例えばベース部材110)を押出成形に成形した後に、プレス加工を施すことにより大形部115を有するヒートシンク11を製造することができる。なお、大形部115を、複数のフィン112の内の3つ以上の第2フィン114の先端部同士を近づけるように変形させて形成しても良い。
【0051】
(半導体装置1の作用)
以上のように構成された半導体装置1においては、支持部材50の第1ジョイント53から第1空間51内に流入した冷媒が、開口部51a、及び、第2冷却器20のケース22における長手方向の一方の端部に形成された第1貫通孔241を通って、第2冷却器20の内部に流入する。そして、第2冷却器20の内部に流入した冷媒は、ヒートシンク21の複数のフィン212間や、フィン212とケース22の側部222との間を通って長手方向に進み、ケース22における長手方向の他方の端部に形成された第2貫通孔242を通って、第2冷却器20外に流出する。
【0052】
第1貫通孔241を通って、第2冷却器20の内部に流入した冷媒の一部は、カバー23の第1貫通孔231を通って、第2冷却器20外に流出し、介在部材30の内部、第1冷却器10のカバー13の第1貫通孔131を通って、第1冷却器10の内部に流入する。そして、第1冷却器10の内部に流入した冷媒は、ヒートシンク11の複数のフィン112間や、フィン112とケース12の側部122との間を通って長手方向に進み、カバー13における長手方向の他方の端部に形成された第2貫通孔132を通って、第1冷却器10外に流出する。
【0053】
第1冷却器10外に流出した冷媒は、介在部材30の内部、及び、第2冷却器20のカバー23の第2貫通孔232を通って、第2冷却器20の内部に流入し、ケース22における長手方向の他方の端部に形成された第2貫通孔242を通って、第2冷却器20外に流出する。
第2冷却器20外に流出した冷媒は、支持部材50に形成された開口部52aを介して、第2空間52内に入り、第2ジョイント54から流出する。
【0054】
このようにして、冷媒が、第1冷却器10の内部、第2冷却器20の内部を流通する間に、第1冷却器10と第2冷却器20との間に配置された半導体モジュール100が冷却される。
【0055】
そして、冷却装置2は、平板状の平板状部111と平板状部111から板面に交差する方向に突出した複数のフィン112とを有するヒートシンク11と、複数のフィン112を収容するとともに複数のフィン112とともに流路を形成するケース12と、を備える。そして、ケース12は、ヒートシンク11が設けられた側と反対側からレーザ光Lが照射されることによりヒートシンク11に接合されている。
【0056】
このように、ケース12がヒートシンク11に接合されているので、例えばケース12がヒートシンク11と接合されていない構成と比べて、ケース12内の流路を冷媒が流れることに起因してケース12内の圧力が高くなったとしてもケース12の変形を抑制することができる。それゆえ、ケース12内の圧力が上昇及び下降してもケース12が繰り返し変形することを抑制でき、ケース12が塑性変形することを抑制できる。
【0057】
また、冷却装置2においては、複数のフィン112の内の少なくとも1つのフィン(例えば第2フィン114)は、先端部に、他のフィン(例えば第1フィン113)の先端部よりも大きく成形された大形部115を有し、ケース12は、大形部115と対向する部位に対して、レーザ光Lが照射されることによりヒートシンク11に接合されている。これにより、例えばケース12における第1フィン113の先端部と対向する部位にレーザ光Lを照射することでケース12とヒートシンク11とを接合するのと比べて、大形部115の先端部は大きいので確度高く大形部115と対向する部位にレーザ光Lを照射することができる。その結果、ケース12とヒートシンク11とを確度高く接合することができる。また、フィン112の先端部とケース12とを接合しているので、フィン112の先端部とケース12との間に生じる空間を抑制でき、その空間を冷媒が流れていくことで冷却性能が低下することを抑制することができる。
【0058】
また、冷却装置2においては、複数のフィン112の内の2個のフィン(例えば第2フィン114)の先端部が互いに近づくことで大形部115を形成している。これにより、ヒートシンク11のベースとなる部材(例えばベース部材110)を押出成形に成形した後に、プレス加工を施すことにより大形部115を有するヒートシンク11を製造することができる。
【0059】
<第2実施形態>
図9は、第2実施形態に係るヒートシンク250の概略構成の一例を示す図である。
第2実施形態に係るヒートシンク250は、第1実施形態に係るヒートシンク11に対して、複数のフィン112に相当する複数のフィン260の形状が異なる。以下、第1実施形態と異なる点について説明する。第1実施形態と第2実施形態とで、同じものについては同じ符号を用い、その詳細な説明は省略する。
【0060】
複数のフィン260は、形状が異なる、第1フィン261、第2フィン262及び第3フィン263を有する。第3フィン263は、短手方向の中央部に1つ設けられており、第2フィン262は、短手方向において第3フィン263の両側それぞれに1つ設けられている。第1フィン261は、短手方向において第2フィン262の両側それぞれに複数(図3においては3個)設けられている。
第1フィン261は、第1実施形態に係る第1フィン113と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0061】
第3フィン263は、平板状部111側の部位である基端部(図9においては下端部)の肉厚と先端部(図9においては上端部)の肉厚とが異なる。第3フィン263の基端部の肉厚は第1フィン261の肉厚と同様である。第3フィン263の先端部は、基端部側から先端にかけて徐々に大きくなっている。つまり、第3フィン263は、先端部に、第1フィン261、第2フィン262及び第3フィン263の基端部の肉厚よりも厚い肉厚の大形部265を有している。第3フィン263における平板状部111からの突出量は第1フィン261の突出量と同様であり、大形部265の先端面265aは、第1フィン261の先端面261aと同一平面上にあることを例示することができる。
【0062】
第2フィン262は、第1フィン261と同様に長手方向に延びる平板状であるが、平板状部111からの突出量が第1フィン261の突出量よりも小さい。第2フィン262の突出量が小さいのは、第3フィン263の大形部265との隙間を、押出成形にて成形できる大きさとするためである。
【0063】
以上のように構成されたヒートシンク250は、第1実施形態に係るヒートシンク11とは異なり、プレス加工を施すことなく、押出成形にて成形することが可能である。
また、ヒートシンク250を、半導体モジュール100、カバー13、ケース12と接合する方法は、第1実施形態に係るヒートシンク11を、半導体モジュール100、カバー13、ケース12と接合する方法と同様な方法とすることが可能である。例えば、ケース12とヒートシンク250とをレーザ溶接にて接合する際には、ケース12の底部121を、ヒートシンク250の大形部265の先端面265a、及び、第1フィン261の先端面261aの上に載せた状態で、ケース12における大形部265と対向する部位に向けて、ヒートシンク250とは反対側からレーザ光Lを照射すれば良い。
【0064】
以上、説明したように、ヒートシンク250の複数のフィン260の内の第3フィン263は、平板状部111側の部位よりも先端部が大きくなるように成形されていることで大形部265を形成している。そして、ケース12とヒートシンク250とを接合する際には、ケース12における大形部265と対向する部位にレーザ光Lを照射する。これにより、例えばケース12における第1フィン261の先端部と対向する部位にレーザ光Lを照射することでケース12とヒートシンク250とを接合するのと比べて、大形部265は第1フィン261の先端部よりも大きいので確度高く大形部265と対向する部位にレーザ光Lを照射することができる。その結果、ケース12とヒートシンク250とを確度高く接合することができる。
【0065】
<第3実施形態>
図10は、第3実施形態に係るヒートシンク350の概略構成の一例を示す図である。
第3実施形態に係るヒートシンク350は、第1実施形態に係るヒートシンク11に対して、複数のフィン112に相当する複数のフィン360の形状が異なる。以下、第1実施形態と異なる点について説明する。第1実施形態と第3実施形態とで、同じものについては同じ符号を用い、その詳細な説明は省略する。
【0066】
複数のフィン360は、形状が異なる、第1フィン361と第2フィン362とを有する。第2フィン362は、短手方向の中央部に複数(図10においては3個)設けられており、第1フィン361は、短手方向において第2フィン362の両側それぞれに複数(図3においては3個)設けられている。
【0067】
第1フィン361は、第1実施形態に係る第1フィン113と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
第2フィン362は、第1フィン361に対して、平板状部111からの突出量が第1フィン361の突出量よりも小さい点が異なる。
【0068】
そして、ヒートシンク350は、第2フィン362の先端部を接続するように平板状部111の板面に平行な大形部365を有する。大形部365におけるケース12側の面365aは、第1フィン361の先端面361aと同一平面上にあることを例示することができる。
【0069】
以上のように構成されたヒートシンク350は、第1実施形態に係るヒートシンク11とは異なり、プレス加工を施すことなく、押出成形にて成形することが可能である。
また、ヒートシンク350を、半導体モジュール100、カバー13、ケース12と接合する方法は、第1実施形態に係るヒートシンク11を、半導体モジュール100、カバー13、ケース12と接合する方法と同様な方法とすることが可能である。例えば、ケース12とヒートシンク350とをレーザ溶接にて接合する際には、ケース12の底部121を、ヒートシンク350の大形部365の面365a、及び、第1フィン361の先端面361aの上に載せた状態で、ケース12における大形部365と対向する部位に向けて、ヒートシンク350とは反対側からレーザ光Lを照射すれば良い。
【0070】
以上、説明したように、ヒートシンク350においては、複数のフィン360の内の第2フィン362の先端部を接続するように大形部365が形成されている。そして、ケース12とヒートシンク350とを接合する際には、ケース12における大形部365と対向する部位にレーザ光Lを照射する。これにより、例えばケース12における第1フィン361の先端部と対向する部位にレーザ光Lを照射することでケース12とヒートシンク350とを接合するのと比べて、大形部365は第1フィン361の先端部よりも大きいので確度高く大形部365と対向する部位にレーザ光Lを照射することができる。その結果、ケース12とヒートシンク350とを確度高く接合することができる。
【0071】
なお、ヒートシンク350においては、ケース12における大形部365と対向する部位にレーザ光Lを照射することができるように大形部365の大きさを大きくするとともに、プレス加工を施すことなくヒートシンク350を押出成形にて成形できるようにするために、3つの第2フィン362の先端部を接続するように大形部365を形成している。ただし、大形部365にて接続する第2フィン362の数は3つに限定されない。ケース12における大形部365と対向する部位にレーザ光Lを照射することができるのであれば、流路面積を大きくして冷却性能を向上させる観点からは2個であることが望ましい。
【0072】
<第4実施形態>
図11は、第4実施形態に係るヒートシンク450の概略構成の一例を示す図である。
第4実施形態に係るヒートシンク450は、第1実施形態に係るヒートシンク11に対して、複数のフィン112に相当する複数のフィン460の形状が異なる。以下、第1実施形態と異なる点について説明する。第1実施形態と第4実施形態とで、同じものについては同じ符号を用い、その詳細な説明は省略する。
【0073】
複数のフィン460は、形状が異なる、第1フィン461と第2フィン462とを有する。第2フィン462は、短手方向の中央部に1つ設けられており、第1フィン461は、短手方向において第2フィン462の両側それぞれに複数(図11においては4個)設けられている。
【0074】
第1フィン461は、第1実施形態に係る第1フィン113と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
第2フィン462は、第1フィン461に対して、肉厚が第1フィン461の肉厚よりも厚い点が異なる。これにより、第2フィン462は、先端部に、第1フィン461の先端部よりも大きく成形された大形部465を有する。そして、大形部465におけるケース12側の先端面465aは、第1フィン461の先端面461aと同一平面上にあることを例示することができる。
【0075】
以上のように構成されたヒートシンク450は、第1実施形態に係るヒートシンク11とは異なり、プレス加工を施すことなく、押出成形にて成形することが可能である。
また、ヒートシンク450を、半導体モジュール100、カバー13、ケース12と接合する方法は、第1実施形態に係るヒートシンク11を、半導体モジュール100、カバー13、ケース12と接合する方法と同様な方法とすることが可能である。例えば、ケース12とヒートシンク450とをレーザ溶接にて接合する際には、ケース12の底部121を、ヒートシンク450の大形部465の先端面465a、及び、第1フィン461の先端面461aの上に載せた状態で、ケース12における大形部465と対向する部位に向けて、ヒートシンク450とは反対側からレーザ光Lを照射すれば良い。
【0076】
以上、説明したように、ヒートシンク450においては、複数のフィン460の内の第2フィン462の先端部が大形部465を構成する。そして、ケース12とヒートシンク450とを接合する際には、ケース12における大形部465と対向する部位にレーザ光Lを照射する。これにより、例えばケース12における第1フィン461の先端部と対向する部位にレーザ光Lを照射することでケース12とヒートシンク450とを接合するのと比べて、大形部465は第1フィン461の先端部よりも大きいので確度高く大形部465と対向する部位にレーザ光Lを照射することができる。その結果、ケース12とヒートシンク450とを確度高く接合することができる。
【0077】
なお、ヒートシンク450においては、ケース12における大形部465と対向する部位にレーザ光Lを照射することができるように大形部465の大きさを大きくするとともに、プレス加工を施すことなくヒートシンク450を押出成形にて成形できるようにするために、第2フィン462の肉厚を、第1フィン461の肉厚よりも大きくしている。例えば、第2フィン462の肉厚は、第1フィン461の肉厚の2倍であることを例示することができる。ただし、ケース12における大形部465と対向する部位にレーザ光Lを確度高く照射することができるのであれば、流路面積を大きくして冷却性能を向上させる観点からは2倍未満であっても良く、例えば1.5倍であっても良い。
【0078】
<第5実施形態>
図12は、第5実施形態に係るヒートシンク550の概略構成の一例を示す図である。図12は、ヒートシンク550を上方向から見た図の一例を示す図である。
第5実施形態に係るヒートシンク550は、第1実施形態に係るヒートシンク11に対して、複数のフィン112に相当する複数のフィン560の形状が異なる。以下、第1実施形態と異なる点について説明する。第1実施形態と第5実施形態とで、同じものについては同じ符号を用い、その詳細な説明は省略する。
【0079】
複数のフィン560は、形状が異なる、第1フィン561と第2フィン562とを有する。第1フィン561及び第2フィン562は、第1実施形態に係るフィン112とは異なり、平板状部111からの突出方向が柱方向となる柱状であることを例示することができる。そして、第1フィン561及び第2フィン562を、突出方向に直交する面にて切断した断面の形状は、円、楕円、及び、正方形、長方形、ひし形等の四角形であることを例示することができる。そして、第1フィン561と第2フィン562とは、断面における面積(断面積)が異なり、第2フィン562の断面積は、第1フィン561の断面積よりも大きい。これにより、第2フィン562は、先端部に、第1フィン561の先端部よりも大きく成形された大形部565を有する。そして、大形部565におけるケース12側の先端面565aは、第1フィン561の先端面561aと同一平面上にあることを例示することができる。
【0080】
フィン560は、長手方向及び短手方向にそれぞれ複数設けられている。図12に示した例においては、フィン560が長手方向に10個、短手方向に5個並べられている。長手方向の一方の端部(図12においては左側の端部)から奇数番目の列におけるフィン560の短手方向の中心位置と偶数番目の列におけるフィン560の短手方向の中心位置とが異なるように設けられている。
【0081】
そして、図12に示した例においては、第2フィン562は、長手方向の一方の端部(図12においては左側の端部)から3番目の列に3個、長手方向の他方の端部(図12においては右側の端部)から3番目の列に3個設けられているとともに、第2フィン562と第2フィン562との間には第1フィン561が設けられている。第2フィン562以外は第1フィン561である。
【0082】
以上のように構成されたヒートシンク550は、プレス加工又は鍛造加工にて成形されていることを例示することができる。
また、ヒートシンク550を、半導体モジュール100、カバー13と接合する方法は、第1実施形態に係るヒートシンク11を、半導体モジュール100、カバー13と接合する方法と同様な方法であることを例示することができる。
【0083】
ヒートシンク550とケース12とはレーザ溶接にて接合する。レーザ溶接にて接合する際には、ケース12の底部121を、ヒートシンク550の大形部565の先端面565a、及び、第1フィン561の先端面561aの上に載せた状態で、ケース12における大形部565と対向する部位に向けて、ヒートシンク550とは反対側からレーザ光Lを照射する。つまり、複数の第2フィン562が設けられた部位において、第2フィン562とケース12とがスポット的に接合されている。
【0084】
以上、説明したように、ヒートシンク550においては、複数のフィン560の内の第2フィン562の先端部が大形部565を構成する。そして、ケース12とヒートシンク550とを接合する際には、ケース12における大形部565と対向する部位にレーザ光Lを照射する。これにより、例えばケース12における第1フィン561の先端部と対向する部位にレーザ光Lを照射することでケース12とヒートシンク550とを接合するのと比べて、大形部565は第1フィン561の先端部よりも大きいので確度高く大形部565と対向する部位にレーザ光Lを照射することができる。その結果、ケース12とヒートシンク550とを確度高く接合することができる。
【0085】
なお、ヒートシンク550においては、ケース12における大形部565と対向する部位にレーザ光Lを照射することができるように、第2フィン562を第1フィン561よりも大きくし、第2フィン562の先端面565aを第1フィン561の先端面561aよりも大きくしている。例えば、先端面565aの面積は、先端面561aの面積の2倍であることを例示することができる。ただし、ケース12における大形部565と対向する部位にレーザ光Lを確度高く照射することができるのであれば、流路面積を大きくして冷却性能を向上させる観点からは2倍未満であっても良く、例えば1.5倍であっても良い。
【符号の説明】
【0086】
1…半導体装置、2…冷却装置、10…第1冷却器、11,21,250,350,450,550…ヒートシンク、12,22…ケース、13,23…カバー、20…第2冷却器、30…介在部材、40…連結部材、50…支持部材、100…半導体モジュール、111…平板状部、112,260,360,460,560…フィン、113,261,361,461,561…第1フィン、114,262,362,462,562…第2フィン、115,265,365,465,565…大形部、150…レーザ装置、151…レーザヘッド、263…第3フィン
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