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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043767
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20240326BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
G16H20/00
A61B5/00 G
A61B5/00 102C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148937
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001988
【氏名又は名称】弁理士法人小林国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坪田 圭司
(72)【発明者】
【氏名】位田 憲昭
(72)【発明者】
【氏名】井山 勝蔵
【テーマコード(参考)】
4C117
5L099
【Fターム(参考)】
4C117XB02
4C117XB09
4C117XB11
4C117XC12
4C117XC15
4C117XE13
4C117XE15
4C117XE23
4C117XE77
4C117XH02
4C117XH16
4C117XJ13
4C117XJ52
4C117XP12
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】適正な健康診断を行うことができるプログラムを提供する。
【解決手段】本発明の健康診断支援プログラム36は、装着者の生体情報を取得するスマートウォッチ12の中央制御部32に、健康診断に関する健診情報が記憶された健診情報サーバ14にアクセスして装着者の診断項目を検出する診断項目検出機能と、検出された診断項目の少なくとも1つについて、実施が適正であるか否かを、スマートウォッチ12から得られる装着者の生体情報に基づいて判定する診断可否判定機能と、を実現させる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者の生体情報を取得するウェアラブルデバイスのコンピュータに所定の機能を実現させるためのプログラムであり、
前記所定の機能として、
健康診断に関する健康診断情報を記憶した健診情報記憶部にアクセスして、前記装着者の前記健康診断日当日の診断項目を検出する診断項目検出機能と、
前記診断項目検出機能により検出された診断項目のうち少なくとも1つの診断項目について、実施が適正であるか否かを、前記ウェアラブルデバイスを介して得られる前記装着者の生体情報を用いて判定する診断可否判定機能と、を有する、
プログラム。
【請求項2】
前記所定の機能として、
前記診断可否判定機能による判定結果に基づいて、前記診断項目の実施に関する案内を行う案内機能、を有する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記案内には、実施が適正と判定された診断項目について、実施場所への道順の案内が含まれる、
請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記健診情報記憶部には、前記診断場所の位置情報が記憶され、
前記ウェアラブルデバイスは、前記装着者の位置情報を取得し、
前記案内機能は、前記実施場所の位置情報と前記装着者の位置情報とを用いて前記案内を行う、
請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
前記案内には、実施が不適正と判定された診断項目の実施を可能とするための行為の案内が含まれる、
請求項2に記載のプログラム。
【請求項6】
前記所定の機能として、
前記診断可否判定機能により実施が不適正と判定された場合にこの旨を所定の通知先に通知する通知機能、を有する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項7】
前記所定の通知先が、前記健康診断の実施施設のスタッフの端末である、
請求項6に記載のプログラム。
【請求項8】
一回の健康診断において複数の診断項目が実施される場合において、
前記診断可否判定機能により、複数の診断項目の各々について前記判定を行うとともに、
前記所定の機能として、
前記複数の診断項目の各々の判定結果を用いて、前記複数の診断項目の実施順番を決定する実施順番決定機能、を有する、
請求項1~7のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項9】
前記診断可否判定機能による判定は、所定契機で繰り返し行われるとともに、
前記所定の機能として、
前記実施順番が決定された後に前記判定で実施が不適正と判定された診断項目が生じた場合に、前記実施順番を変更する実施順番変更機能、を有する、
請求項8に記載のプログラム。
【請求項10】
前記装着者の生体情報に加え、前記診断項目の各々の実施に必要な医療資源の現在の稼働状況と以後の稼働予定とを用いて、前記実施順番を決定する、
請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
前記診断可否判定機能による判定は、前記装着者の過去の生体情報、前記装着者の年齢、性別、既往症の少なくともいずれかに基づいて行われる、
請求項1~7のいずれか1項に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着者の生体情報を取得するウェアラブルデバイスのコンピュータに所定の機能を実現させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
装着者の生体情報を取得するウェアラブルデバイスとして、例えば、スマートウォッチが知られている。スマートウォッチでは、装着者の生体情報として、体温、心拍数、血圧、血糖値などを取得できるので、日々の健康管理に有効である(下記特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-003554号公報
【特許文献2】特開2022-037048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2のように、ウェアラブルデバイスで生体情報を測定(収集)することにより日々の健康管理には有効であるが、より健康的な生活をおくるためには、健康診断のように、定期的に医師等による診断を行うことが好ましい。
【0005】
しかしながら、健康診断を、高熱の状態や、緊張した状態(心拍数が高い状態)など、体調が悪い状態で実施しても、正確な結果が得られないなどの問題がある。このような問題は、健康診断に馴染みの浅い国、すなわち、従業員に健康診断を受けさせることが事業主に義務付けられていない日本以外の国で顕著となることが予想される。
【0006】
本発明は、上記背景を鑑みてなされたものであり、健康診断に馴染み深い日本だけでなく、健康診断に馴染みの浅い諸外国においても、適正な健康診断を行うことができるプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のプログラムは、装着者の生体情報を取得するウェアラブルデバイスのコンピュータに所定の機能を実現させるためのプログラムであり、所定の機能として、健康診断に関する健康診断情報を記憶した健診情報記憶部にアクセスして、装着者の健康診断日当日の診断項目を検出する診断項目検出機能と、診断項目検出機能により検出された診断項目のうち少なくとも1つの診断項目について、実施が適正であるか否かを、ウェアラブルデバイスを介して得られる装着者の生体情報を用いて判定する診断可否判定機能と、を有する。
【0008】
所定の機能として、診断可否判定機能による判定結果に基づいて、診断項目の実施に関する案内を行う案内機能、を有する、ことが好ましい。
【0009】
案内には、実施が適正と判定された診断項目について、実施場所への道順の案内が含まれる、ことが好ましい。
【0010】
健診情報記憶部には、診断場所の位置情報が記憶され、ウェアラブルデバイスは、装着者の位置情報を取得し、案内機能は、実施場所の位置情報と装着者の位置情報とを用いて案内を行う、ことが好ましい。
【0011】
案内には、実施が不適正と判定された診断項目の実施を可能とするための行為の案内が含まれる、ことが好ましい。
【0012】
所定の機能として、診断可否判定機能により実施が不適正と判定された場合にこの旨を所定の通知先に通知する通知機能、を有する、ことが好ましい。
【0013】
所定の通知先が、健康診断の実施施設のスタッフの端末である、ことが好ましい。
【0014】
一回の健康診断において複数の診断項目が実施される場合において、診断可否判定機能により、複数の診断項目の各々について判定を行うとともに、所定の機能として、複数の診断項目の各々の判定結果を用いて、複数の診断項目の実施順番を決定する実施順番決定機能、を有する、ことが好ましい。
【0015】
診断可否判定機能による判定は、所定契機で繰り返し行われるとともに、所定の機能として、実施順番が決定された後に判定で実施が不適正と判定された診断項目が生じた場合に、実施順番を変更する実施順番変更機能、を有する、ことが好ましい。
【0016】
装着者の生体情報に加え、診断項目の各々の実施に必要な医療資源の現在の稼働状況と以後の稼働予定とを用いて、実施順番を決定する、ことが好ましい。
【0017】
診断可否判定機能による判定は、装着者の過去の生体情報、装着者の年齢、性別、既往症の少なくともいずれかに基づいて行われる、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、適正な健康診断を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】健康診断支援システムの構成を示す概略図である。
図2】診断項目データの内容を示す説明図である。
図3】判定基準データの内容を示す説明図である。
図4】健康診断進捗情報の内容を示す説明図である。
図5】実施場所データの内容を示す説明図である。
図6】スマートウォッチの概略的な構成を示すブロック図である。
図7】診断項目の実施が適正であるか否かの判定の流れを示すフローチャートである。
図8】健康診断支援システムの構成を示す概略図である。
図9】医療資源稼働情報の内容を示す説明図である。
図10】スマートウォッチの概略的な構成を示すブロック図である。
図11】実施順の決定及び変更の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施形態]
図1において、健康診断支援システム10は、健康診断が適正に実行されるように支援するためのものである。健康診断支援システム10は、本発明の健康診断支援プログラム36(図4参照)がインストールされたスマートウォッチ12(ウェアラブルデバイス)と、履歴情報サーバ13と、健診情報サーバ14(健診情報記憶部)と、を備え、これらがインターネットなどのネットワーク16を介して互いに通信可能に接続されている。
【0021】
スマートウォッチ12は、手首に装着される時計型のウェアラブルデバイスである。スマートウォッチ12は、装着者が予め所有しているものでもよいし、装着者の健康診断を実施する施設が装着者に貸与したものでもよい。スマートウォッチ12は、画像センサ、温度センサ、圧力センサ、振動センサ、磁気センサなどのセンサを備え、これらセンサから得られた情報を用いて、装着者の生体情報(体温、脈拍数、血圧、血糖値など)を取得する生体情報取得機能を有している。また、スマートウォッチ12は、GPS(Global Positioning System)衛星18からの電波を受信して現在位置を検出する位置情報取得機能を有している。
【0022】
生体情報検出機能により検出された生体情報、及び、位置情報取得機能により取得された位置情報は、履歴情報サーバ13に送信されて記憶される。履歴情報サーバ13は、スマートウォッチ12または装着者を識別するための識別情報34(図6参照)を用いることによりアクセス可能であり、アクセスすることにより、装着者の生体情報や現在位置の履歴を確認できる。
【0023】
なお、本実施形態では、履歴情報サーバ13に、生体情報と現在位置の履歴を記憶させる例で説明するが、履歴情報サーバ13に、スマートウォッチ12の装着者の過去の傷病の履歴など、生体情報や現在位置以外の履歴を記憶させてもよい。また、本実施形態では、ウェアラブルデバイスとしてスマートウォッチに本発明を適用する例で説明を行うが、スマートウォッチ以外のウェアラブルデバイスに本発明を適用してもよい。
【0024】
健診情報サーバ14には、健康診断に関する健康診断情報として、診断項目データ21と、判定基準データ22と、健康診断進捗情報23と、実施場所データ24と、が記憶されている。
【0025】
図2に示すように、診断項目データ21は、健康診断で実施する診断項目に関するものであり、診断項目データ21には、受診者情報、日時、場所、診断項目、が含まれる。受診者情報は、健康診断の受診者に関する情報であり、受診者の指名、年齢、性別、身長、体重、特記事項(既往症や持病、現在治療中の傷病や処方・投薬されている医薬品など)を示す情報が含まれる。日時は、健康診断を実施する予定の日時を示す情報である。場所は、健康診断を実施する予定の場所(医療施設の場所など)を示す情報である。診断項目は、健康診断で実施する予定の診断の種類を示す情報である。
【0026】
なお、図2は、診断項目データ21として、氏名「富士太郎」と氏名「富士花子」の2名の情報が記憶された例を示している。そして、氏名「富士太郎」は、受診日時「2023年12月25日午前9時」、受診場所「ABC病院」、A~Kの診断項目のうち「A~I」の診断項目について健康診断を実施(受診)する内容となっている。また、氏名「富士花子」は、受診日時「2023年12月25日午前9時30分」、受診場所「ABC病院」、A~Kの診断項目のうち「A~H」の診断項目について健康診断を実施(受診)する内容となっている。
【0027】
ここで、診断項目「A」は「身体測定」であり、診断項目「B」は「視力検査」であり、診断項目「C」は「聴力検査」であり、診断項目「D」は「血液検査」であり、診断項目「E」は「血圧測定」であり、診断項目「F」は「心電図」であり、診断項目「G」は「胸部X線」であり、診断項目「H」は「内視鏡検査」であり、診断項目「I」は「バリウム検査」であり、診断項目「J」は「CT検査」であり、診断項目「K」は「MRI検査」である。
【0028】
図3に示すように、判定基準データ22は、診断項目の各々について、適正な実施が可能とみなせる生体情報の範囲(適正範囲)を規定したものであり、生体情報がこの適正範囲内であるか否かによって、適正な実施が可能であるか否かが判定される。例えば、図3の例では、診断項目「身体測定」について、生体情報「体温」の適正範囲が「TaL」以上「TaH」以下と規定されている。このため、「体温」がこの適正範囲外である場合は、「身体測定」の適正な実施ができないと判定される。
【0029】
なお、適正範囲は、年齢や性別、既往症などによらず共通であってもよいし、年齢や性別、既往症などによって異なっていてもよい。また、適正範囲は、例えば、「体温」が「35度」以上「37度」以下といったように具体的な数値による規定に限定されず、「体温」が「平常時のマイナス5%」以上「平常時のプラス5%」以下といったように、健康診断の受診者(スマートウォッチ12の装着者)の平常時の生体情報を考慮して規定したものでもよい。この場合、健康診断の受診者(スマートウォッチ12の装着者)の過去の一定期間の生体情報を履歴情報サーバ13から抽出し、値を平均するなどしたものを平常時の生体情報として用いることができる。
【0030】
図4に示すように、健康診断進捗情報23は、健康診断の進捗状況を示す情報であり、健康診断の受診者毎に、実施済みの診断項目と、今後の受診スケジュールとが対応付されている。受診スケジュールは、今後実施する予定の診断項目を実施順(実施予定順)に並べたものである。なお、本実施形態では、各診断項目を、項目を示すアルファベット順に実施する例で説明を行うが。診断項目の実施順は適宜変更できる。
【0031】
図5に示すように、実施場所データ24は、健康診断の実施場所に関する情報であり、健康診断を実施する施設、及び、施設内における各診断項目の実施場所並びに連絡先を示すものである。なお、本実施形態において、実施場所データ24は、健康診断を実施する施設及び各診断項目の実施場所を示す文字情報26と、健康診断を実施する施設のフロアマップを示す地図情報28とからなる。
【0032】
図6に示すように、スマートウォッチ12には、メモリ30、中央制御部32が設けられている。メモリ30には、識別情報34が格納されている。識別情報34は、スマートウォッチ12を識別するための情報と、スマートウォッチ12の装着者を識別するため情報と、からなる。
【0033】
また、メモリ30には、健康診断支援プログラム36が格納されている。中央制御部32は、メモリ30に格納された健康診断支援プログラム36を動作させることにより、健診項目検出部38、診断可否判定部40、案内部42、通知部44、として機能する。
【0034】
健診項目検出部38は、スマートウォッチ12のコンピュータ(中央制御部32)に健診項目検出機能を実現させるためのものである。健診項目検出部38は、健診情報サーバ14にアクセスして診断項目データ21を参照し、識別情報34と一致する受診者(受診予定者)を検索する。そして、検索した受診者、すなわち、スマートウォッチ12の装着者の診断項目(健康診断日当日に受診(実施)する予定の診断項目)を検出する。
【0035】
診断可否判定部40は、スマートウォッチ12のコンピュータ(中央制御部32)に診断可否判定機能を実現させるためのものである。診断可否判定部40は、健診情報サーバ14にアクセスして健康診断進捗情報23を参照し、各診断項目の実施時間(または、実施時間の所定時間前(例えば10分前))となると、この診断項目(次に実施する予定の診断項目であり、以下、次の診断項目と称する。)を適正に実施できるか否かを判定する。具体的には、スマートウォッチ12により得られる装着者の生体情報と、判定基準データ22とを比較し、生体情報が、次の診断項目の適正範囲内であるか否かを判定する。
【0036】
案内部42は、スマートウォッチ12のコンピュータ(中央制御部32)に案内機能を実現させるためのものである。案内部42は、診断可否判定部40の判定結果に基づいて、次の診断項目の実施に関する案内を行う。
【0037】
次の診断項目の実施に関する案内には、次の診断項目の実施場所への道順の案内が含まれる。道順の案内は、診断可否判定部40により、スマートウォッチ12の装着者の生体情報が、次の診断項目の適正範囲内であると判定された場合に行われる。案内部42は、スマートウォッチ12により得られる装着者の現在位置と、実施場所データ24により得られる次の診断項目の実施場所の情報とを用い、現在位置から次の診断項目の実施場所までの道順を、例えば、健康診断を実施する施設のフロアマップ上に表示するなどして案内する。
【0038】
また、次の診断項目の実施に関する案内には、次の診断項目の実施を可能とするための行為の案内が含まれる。行為の案内は、診断可否判定部40により、スマートウォッチ12の装着者の生体情報が、次の診断項目の適正範囲外であると判定された場合に行われる。案内部42は、適正範囲外であると判定された生体情報を適正範囲内に戻すための行為の案内を行う。具体的には、心拍数の値が適正範囲よりも高い場合に「椅子に座るなどしてリラックスしてください。」といったメッセージを表示するなど、を行う。
【0039】
通知部44は、スマートウォッチ12のコンピュータ(中央制御部32)に通知機能を実現させるためのものである。通知部44は、診断可否判定部40により、スマートウォッチ12の装着者の生体情報が、次の診断項目の適正範囲外であると判定された場合に、その旨を所定の通知先に通知する。所定の連絡先は、例えば、各診断項目の診断を担当する医療スタッフの端末であり、本実施形態においては、実施場所データ24において診断項目に対応付けされた連絡先である。通知部44は、実施場所データ24を参照し、適正範囲外であると判定された診断項目に対応する連絡先に対して、この旨を通知する。
【0040】
以下、健康診断支援プログラム36の処理の流れについて、図7を用いて説明を行う。図7に示すように、健康診断支援プログラム36が実行されると、スマートウォッチ12の装着者が実施する予定の健康診断の診断項目が検出され、各診断項目の実施時間(または、実施時間の所定時間前(例えば10分前))となると、装着者の生体情報に基づいて、次の診断項目(次に実施する予定の診断項目)を適正に実施可能か否かが判定される。そして、適正に実施可能と判定されると、次の診断項目の実施場所までの道順が案内される。一方、適正に実施することができないと判定されると、次の診断項目の実施を可能とするための行為が案内される。また、適正に実施することができない旨が所定の通知先に通知される。
【0041】
[第2実施形態]
第2実施形態では、生体情報に基づいて診断項目の実施順の決定及び変更を可能としている。図8に示すように、第2実施形態では、健診情報サーバ14に、医療資源稼働情報50が格納されている。なお、以降の説明では、前述した部材と同様の部材については、同様の符号を付して説明を省略している。
【0042】
図9に示すように、医療資源稼働情報50は、健康診断を実施する施設における、医療資源の稼働状況(稼働スケジュール)を示す情報である。なお、健康診断を実施する施設は、本実施形態においては「ABC病院」である。また、医療資源は、例えば、医師や看護師などの人材、診察室や検査室などの空間、検査機器や処置具などの機材、などである。
【0043】
また、図10に示すように、第2実施形態では、メモリ30に格納された健康診断支援プログラム36を動作させることにより、中央制御部32が、前述した各部に加え、実施順決定・変更部60、としても機能する。実施順決定・変更部60は、スマートウォッチ12のコンピュータ(中央制御部32)に実施順番決定機能と実施順番変更機能とを実現させるためのものである。
【0044】
図11に示すように、実施順決定・変更部60は、健康診断実施予定日時、すなわち、最初の診断項目の実施時間となると、スマートウォッチ12の装着者の実施予定の全ての診断項目について、生体情報が適正範囲内であるか否か(適正な実施が可能か否か)を判定する。そして、適正範囲内である診断項目を所定の順番(例えば、アルファベット順)に並べ、これらの後に、適正範囲外である診断項目を所定の順番(例えば、アルファベット順)に並べたものを暫定的な実施順番に決定する。
【0045】
次に、実施順決定・変更部60は、医療資源稼働情報50を参照し、暫定的な実施順番で実施が可能か否かを判定し、実施が可能と判定された場合は、この実施順番(暫定の実施順番)を最終的な実施順番に決定する。一方、暫定的な実施順番では、実施が不可能と判定された場合は、実施が可能な順番に実施順番が入れ替えられ、入れ替えられた実施順番を最終的な実施順番に決定する。なお、実施順番の入れ替えにおいては、適正範囲内の診断項目同士の間、及び、適正範囲外の診断項目同士の間でのみ許容されており、適正範囲内の診断項目と適正範囲外の診断項目との入れ替えは禁止されている。こうすることで、最終的な実施順番においても、暫定的な実施順番と同様に、適正範囲内の診断項目の実施順が適正範囲外の診断項目の実施順よりも先となるようにしている。この後、実施順決定・変更部60は、上述のようにして決定された最終的な実施順番に基づいて、健康診断進捗情報23や、医療資源稼働情報50を更新する。
【0046】
また、実施順決定・変更部60は、最終的な実施順番が決定された後も所定の契機で(例えば、所定時間毎、及び/または、1つの診断項目が実施される毎など)、今後実施される診断項目について、生体情報が適正範囲内であるか否か(適正な実施が可能か否か)を判定する。そして、状況が変化した場合(適正範囲内であった診断項目が適正範囲外となった場合やその逆の場合)、実施順番の変更を行う。具体的には、前述した手法と同様の手法で、暫定的な実施順番を決定し、続けて最終的な実施順番を決定し、これ(最終的な実施順番)を変更後の実施順番とする。そして、このようにして決定された最終的な実施順番に基づいて、健康診断進捗情報23や、医療資源稼働情報50を更新する。
【0047】
上記実施形態において、健診項目検出部38、診断可否判定部40、案内部42、通知部44、実施順決定・変更部60などの各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造は、次に示すような各種のプロセッサ(processor)である。各種のプロセッサには、ソフトウエア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、FPGA (Field Programmable Gate Array) などの製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、各種の処理を実行するために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路などが含まれる。
【0048】
1つの処理部は、これら各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合せ(例えば、複数のFPGAや、CPUとFPGAの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアントやサーバなどのコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウエアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)などに代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサを1つ以上用いて構成される。
【0049】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた形態の電気回路(circuitry)である。
【符号の説明】
【0050】
10 健康診断支援システム
12 スマートウォッチ
13 履歴情報サーバ
14 健診情報サーバ(健診情報記憶部)
16 ネットワーク
18 GPS衛星
21 診断項目データ
22 判定基準データ
23 健康診断進捗情報
24 実施場所データ
26 文字情報
28 地図情報
30 メモリ
32 中央制御部
34 識別情報
36 健康診断支援プログラム
38 健診項目検出部
40 診断可否判定部
42 案内部
44 通知部
50 医療資源稼働情報
60 実施順決定・変更部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11