(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004378
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】酸化物ナノ粒子を混合した積層造形用Ni基合金粉末および積層造形体
(51)【国際特許分類】
B22F 1/00 20220101AFI20240109BHJP
B22F 1/16 20220101ALI20240109BHJP
B22F 10/28 20210101ALI20240109BHJP
C22C 19/05 20060101ALI20240109BHJP
B22F 3/16 20060101ALI20240109BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20240109BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20240109BHJP
C22F 1/00 20060101ALN20240109BHJP
C22F 1/10 20060101ALN20240109BHJP
【FI】
B22F1/00 M
B22F1/16
B22F10/28
C22C19/05 B
B22F3/16
B33Y80/00
B33Y70/00
C22F1/00 621
C22F1/00 650A
C22F1/00 687
C22F1/00 691B
C22F1/00 691C
C22F1/10 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104016
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000180070
【氏名又は名称】山陽特殊製鋼株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100185258
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 宏理
(74)【代理人】
【識別番号】100134131
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 知理
(72)【発明者】
【氏名】萩谷 透
【テーマコード(参考)】
4K018
【Fターム(参考)】
4K018AA08
4K018AB01
4K018BA04
4K018BB03
4K018BB04
4K018BC28
4K018CA44
4K018EA51
4K018FA09
4K018KA07
(57)【要約】
【課題】 高温強度と耐割れ性に優れた金属積層造形用の粉末を提供すること、この積層造形用粉末を用いて作製された高温強度に優れた積層造形物を提供すること。
【解決手段】 Ni基合金粉末の化学成分中に少なくともAiとTiの1種または2種を0.5質量% ≦Al+1/2Ti≦2.8質量%の範囲で含有しているNi基合金粉末と、当該Ni基合金粉末の表面に付着している酸化物ナノ粒子とからなる、積層造形用混合粉末。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学成分中に少なくともAiとTiの1種または2種を0.5質量% ≦Al+1/2Ti≦2.8質量%の範囲で含有しているNi基合金粉末と、当該Ni基合金粉末の表面に付着している酸化物ナノ粒子とからなる、積層造形用混合粉末。
【請求項2】
前記酸化物ナノ粒子の付着量は、積層造形用混合粉末の0.2~1.5質量%であること、を特徴とする請求項1に記載の積層造形用混合粉末。
【請求項3】
Ni基合金粉末の表面に酸化物ナノ粒子が付着している積層造形用混合粉末を用いて積層造形された積層造形体であって、Ni基合金粉末はその化学成分中に少なくともAiとTiの1種または2種を0.5質量% ≦Al+1/2Ti≦2.8質量%の範囲で含有しており、また酸化物ナノ粒子の付着量は積層造形用混合粉末に対して0.2~1.5質量%であることを特徴とする、積層造形用混合粉末を用いて積層造形されたNi基合金からなる積層造形体。
【請求項4】
関係式0.5質量% ≦Al+1/2Ti≦2.8質量%を満足する範囲でAl及びTiを含有し、酸化物が0.2~1.5質量%含有されている、Ni基合金の積層造形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化物ナノ粒子を混合した積層造形用Ni基合金粉末および積層造形体に関する。
【背景技術】
【0002】
粉末材料にレーザーや電子ビームを照射して三次元形状造形物を製造する方法(以下、粉末焼結積層法と呼ぶ) が知られている。金属粉末からなる粉末層に光ビームを照射して焼結層を形成すると共に、焼結層を積層することで三次元形状造形物を得る金属光造形に用いられる金属光造形用金属粉末の製造方法が提案されている。金属積層造形法の代表的な方式にはパウダーベッド方式(粉末床溶融結合方式)やメタルデポジション方式(指向性エネルギー堆積方式)などがある。
【0003】
パウダーベッド方式では、レーザービームまたは電子ビームの照射によって、敷き詰められた粉末のうち照射された部位が溶融し凝固する。この溶融と凝固により、粉末粒子同士が結合する。照射は、金属粉末の一部に選択的になされ、照射がなされなかった部分は、溶融せず、照射がなされた部分のみにおいて、結合層が形成される。
【0004】
形成された結合層の上に、さらに新しい金属粉末が敷き詰められ、それらの金属粉末にレーザービームまたは電子ビームの照射が行われる。すると、照射により、金属粒子が溶融、凝固し、新たな結合層が形成される。また、新たな結合層は、既存の結合層とも結合される。
【0005】
照射による溶融・凝固が順次繰り返されていくことにより、結合層の集合体が徐々に成長する。この成長により、三次元形状を有する造形体が得られる。こうした積層造形法を用いると、複雑な形状の造形物が、容易に得られる。
【0006】
また、メタルデポジション方式(指向性エネルギー堆積方式)による積層造形法としては、例えば、金属粉末からなる粉末層に光ビームを照射して焼結層を形成し、三次元形状造形物を得る金属光造形用金属粉末として、「鉄系粉末」と、「ニッケル、ニッケル系合金、銅、銅系合金、及び黒鉛から成る群から選ばれる1種類以上の粉末」が混合された粉末の製造方法が提案されている。(特許文献1参照。)。
【0007】
このような金属積層造形においては、粉末を高い充填性で敷き詰めるために、粉末の流動性が重要とされる。こうした粉末の流動性を高める手段として、粉末の円形度を高める方法が最もよく知られている。
【0008】
また、合金粉末(たとえばニッケル合金のInconel(登録商標)718の粉末)の表面に、処理剤として100ppm未満の微量のフュームドシリカあるいはナノカーボンを乾燥混合することにより付着させて、流動性を改善する方法が提案されている(特許文献2参照)。
【0009】
もっとも、この提案では、微量に混合付着させることで流動性を改善することを狙うことに留まるものであって、粉末の配合率に影響させることは望ましいこととされていないことから、積極的にそれ以上に得られた造形体の特性を改善することは意図されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008-81840号公報
【特許文献2】特許第6716205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の解決しようとする課題は、高温強度と耐割れ性に優れた金属積層造形用の粉末を提供すること、この積層造形用粉末を用いて作製された高温強度に優れた積層造形物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の課題を解決するための第1の手段は、化学成分中に少なくともAiとTiの1種または2種を0.5質量% ≦Al+1/2Ti≦2.8質量%の範囲で含有しているNi基合金粉末と、当該Ni基合金粉末の表面に付着している酸化物ナノ粒子とからなる、積層造形用混合粉末である。
なお、酸化物ナノ粒子とは酸化物の粉末であり、大きさが1μm以下の粉末のことである。
【0013】
その第2の手段は、前記酸化物ナノ粒子の付着量は、積層造形用混合粉末の0.2~1.5質量%であること、を特徴とする第1の手段に記載の積層造形用混合粉末である。
【0014】
その第3の手段は、Ni基合金粉末の表面に酸化物ナノ粒子が付着している積層造形用混合粉末を用いて積層造形された積層造形体であって、Ni基合金粉末はその化学成分中に少なくともAiとTiの1種または2種を0.5質量% ≦Al+1/2Ti≦2.8質量%の範囲で含有しており、また酸化物ナノ粒子の付着量は積層造形用混合粉末に対して0.2~1.5質量%であることを特徴とする、積層造形用混合粉末を用いて積層造形されたNi基合金からなる積層造形体である。
【0015】
その第4の手段は、関係式0.5質量% ≦Al+1/2Ti≦2.8質量%を満足する範囲でAl及びTiを含有し、酸化物が0.2~1.5質量%含有されている、Ni基合金の積層造形体である。
【0016】
前記酸化物ナノ粒子の一次粒子径は、1~100nmの範囲内にあることが好ましい。
【0017】
前記酸化物ナノ粒子は、有機物による表面処理がされていないことが望ましい。
【0018】
前記酸化物ナノ粒子は、Y2O3、ThO2、Al2O3、TiO2、SiO2のいずれかで
あることが好ましく、より好ましくはY2O3、A22O3であり、さらに好ましくはY2O3である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の手段の積層造形用混合粉末を用いて積層造形すると、造形体中に酸化物が微細分散されることで優れた高温強度を示す積層造形体が得られる。
【0020】
酸化物ナノ粒子を金属粉末表面に混合付着させることで、金属粉末粒子と金属粉末粒子の間に酸化物ナノ粒子が位置し、その結果金属粉末粒子同士が直接接触しなくなってこれらの粒子間に働く付着力が低減するので、本発明の積層造形用混合粉末では、合金粉末材料の流動性を向上させることができる。
【0021】
Ni合金粉末中のAlとTiの化学成分は、Al+1/2Tiの値が0.5質量%より小さいと高温強度が足りず、Al+1/2Tiの値が2.8質量%より大きいと凝固割れが起こり試験片の強度が低下する。本発明では、Ni基合金粉末におけるAl+1/2Tiを0.5~2.8質量%とすることで、その表面に酸化物ナノ粒子が付着した混合粉末を積層造形した際に、この混合粉末を用いて積層造形された積層造形体は、粒子分散強化と相俟って高温強度を備えつつも、凝固割れによる強度低下は抑制されている。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[供試材のベースとなるNi基合金アトマイズ粉末の作製]
本発明の実施例No.1~5及び比較例No.6~10に用いたベース粉末のNi基合金粉末は、表1、表2に記載の化学成分からなっており、これら粉末はガスアトマイズ法により作製した。ガスアトマイズは、真空中にてアルミナ製坩堝で所定の配分となるよう配合した原料を高周波誘導加熱で溶解し、坩堝下の直径約5mmのノズルから溶融した合金を落下させ、これに高圧アルゴンまたは高圧窒素をガス噴霧することで粉末を得た。
【0023】
また、得られたNi基合金粉末の平均粒径D50(μm)と、球形度を表5,表6に示す。ここでいう平均粒径は体積平均である。
【0024】
【0025】
【0026】
[Al+1/2Ti:0.5~2.8質量%]
Ni基合金粉末中におけるAl+1/2Tiが0.5質量%より小さいと高温強度が足りず、Al+1/2Tiが2.8質量%より大きいと凝固割れが起こり試験片の強度が低下する。固液共存域が広くなるほど凝固割れしやすくなるからである。そこで、本発明では、Al+1/2Tiを0.5~2.8質量%とすることで、この混合粉末を用いて積層造形した積層造形体は、粒子分散強化と相俟って高温強度を備えつつも、凝固割れによる強度低下が抑制されている。
【0027】
[金属粉末の形態]
Ni基合金粉末のサイズ:2μm≦D50≦150μm
合金粉末のサイズが2μm未満であると、過度の微粉化により粉末の流動性が著しく低下すること、他方、150μmを超えると粉末の充填率が低下し、造形体の密度が低下することから、合金粉末のサイズは2μm≦D50≦150μmとすることが好ましい。
【0028】
[D50の測定方法]
平均粒子径D50の測定は、粉末の全体積が100%とされて、累積カーブが求められる。このカーブ上の、累積体積が50%である点の粒子径が、D50である。粒子直径D50は、レーザー回折散乱法によって測定される。この測定に適した装置として、日機装社のレーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置「マイクロトラックMT3000」が挙げられる。この装置のセル内に、粉末が純水と共に流し込まれ、粒子の光散乱情報に基づいて、粒子径が検出される。
【0029】
[粉末の球形度]
粉末の球形度は、0.80以上0.95以下が好ましい。球形度が0.80以上である粉末は、流動性に優れる。この観点から、球形度は0.83以上がより好ましく、0.85以上が特に好ましい。球形度が0.95以下である粉末では、レーザーの反射が抑制されうる。この観点から、球形度は0.93以下がより好ましく、0.90以下が特に好ましい。
【0030】
球形度の測定では、粉末が樹脂に埋め込まれた試験片が準備される。この試験片が鏡面研磨に供され、研磨面が光学顕微鏡で観察される。顕微鏡の倍率は、100倍である。無作為に抽出された20個の粒子について画像解析がなされ、この粒子の球形度が測定される。20個の測定値の平均が、粉末の球形度である。球形度は、粉末1粒子の最大長と、最大長に対して垂直方向における長さの割合を意味している。
【0031】
[酸化物ナノ粒子について]
そして、実施例及び比較例では、それぞれ表3,表4に記載の成分の酸化物ナノ粒子を用いた。酸化物ナノ粒子は、CIKナノテック株式会社のY2O3ナノ粒子(平均粒子径29nm)、Al2O3ナノ粒子(平均粒子径34nm)、SiO2ナノ粒子(平均粒子径45nm)を使用した。
なお、酸化物は、基本的にNiが溶融する温度域1300-1400℃においても、Ni基合金とほぼ反応することなく安定に酸化物として残存するため、固液共存域に影響を与えない。固液共存域の広さが大きくなれば凝固割れを起こしやすくなるが、酸化物はこうした影響をもたらしにくいといえる。
【0032】
[酸化物ナノ粒子の形態]
酸化物ナノ粒子のサイズ:好ましくは一次粒子径で1~100nm
酸化物ナノ粒子としては、一次粒子径が1~100nmのサイズが好適である。粒径が小さいほど、積層造形された際の粒子分散強化(ODS)の効果が大きくなるので、酸化物ナノ粒子のサイズは、より好ましくは1~50nm、さらにより好ましくは1~30nmである。なお、酸化物ナノ粒子を付着させた混合粉末における一次粒子径は、混合前の酸化物ナノ粒子の一次粒子径と同様であり、一次粒子径は、ガス吸着法による比表面積測定に基づいて決定することができる。
【0033】
【0034】
【0035】
[金属粉末と酸化物ナノ粒子の混合]
表面に酸化物ナノ粒子が付着した混合粉末の作製のために、V型混合機を用いて機械的に混合した。粉末の混合は、金属粉末の表面に付着させる目的の範囲で、タンブラーミキサー、ボールミキサー、その他の道具によっても混合することができる。また、容器に入れて手作業で混合することも可能である。
【0036】
[未付着酸化物ナノ粒子の除去]
これらの混合作業を経ても、金属粉末粒子に付着しないままの酸化物ナノ粒子が残存することがある。酸化物ナノ粒子は数μmから数百μmのサイズである。そこで、それらの未付着の酸化物ナノ粒子を、篩分級によって除去した。この除去工程を経ることで、より適切な混合粉末材料を得ることができる。
【0037】
[酸化物ナノ粒子添加量:0.2~1.5%]
本発明の合金粉末への酸化物ナノ粒子の添加量としては、質量%で0.2~1.5%であれば適用できる。0.1%未満だと粒子分散強化(ODS)の効果が十分に得られない。1.5%以上だと、酸化物凝集部が発生しやすくなり、強度が低下する。ナノ粒子添加量は好ましくは0.2~1.5%であり、さらに好ましくは0.25~1.0%である。
【0038】
以上の手順で、表1、表2に示す実施例No.1~5及び比較例No.6~10の成分組成のNi基合金に、表3,4の酸化物ナノ粒子が付着した積層造形用混合粉末を作製した。
【0039】
[金属積層造形による引張、ラプチャー試験片の作製]
上記処理を経て表面にナノ粒子を付着させた実施例No.1~5、比較例No.6~10の積層造形用混合粉末を用いて、レーザー粉末焼結積層造形(SLM)方式で金属積層造形することで、引張試験片および、ラプチャー試験片を作製した。
【0040】
なお、本発明の粉末を用いた積層造形方法はこれらの手法に限定されるものではなく、バインダジェット方式、電子ビーム粉末焼結積層造形(EBM)方式や、レーザーデポジション方式でも積層造形することができる。
【0041】
[造形体の熱処理]
得られた造形体は、溶体化熱処理として、1000℃×1時間の溶体化焼きなまし後に、空冷を行った。
【0042】
[ハウスナー比]
ハウスナー比は、タップ密度/見かけ密度で定義される指標である。このハウスナー比が低いほど、流動性に優れた粉末である。
タップ密度は、約50gの粉末を、容積100cm3のシリンダーに充填し、落下高さ10mm、タップ回数200回の時の充填密度で評価した。
【0043】
[ラプチャー試験]
平行部が直径6mmのクリープラプチャー試験片を作製し、650℃、760℃でラプチャー試験(破断試験)を行い、1000hにおける破断強度を算出した。この1000hにおける破断強度を、高温材料におけるクリープ特性を表すための指標とする。
具体的には、負荷応力を一定とした破断試験における破断時間を計測する、といった手順を、負荷応力の条件を変えつつ複数計測する。それらの測定結果を、負荷応力とこれに対するラプチャー破断時間との関係のグラフ上にプロットして示し、それらの結果に基づいて1000hにおいて破断するであろう応力を読み取り、1000hにおける破断強度として算出した。
【0044】
[0.2%耐力]
得られた造形体を試験片として、JISZ2241に準ずる試験法にて引張試験を実施した。0.2%耐力の算出方法は、応力-ひずみ関係における弾性であると判断される任意の点の傾き(弾性率)を決定し直線を引き、この決定した直線を0.2%ひずみまでオフセットし、オフセットした直線と応力-ひずみ関係の交点を0.2%耐力とした。
【0045】
表5、表6に、実施例No.1~5及び比較例No.6~10の混合粉末を用いた積層造形体の特性を示す。
【0046】
【0047】
【0048】
実施例No.1~5のNi基合金の積層造形用混合粉末は、ベースのNi基合金粉末のAl+1/2Tiが0.5~2.8質量%であって、混合粉末に対して酸化物ナノ粒子は0.2~1.5質量%含有されている。すると、ハウスナー比は1.14以下と低く、またベースのNi基合金粉末の球形度も高くD50も適切な範囲であることから、混合粉末も流動性に優れた粉末である。さらに、これらの混合粉末を用いて得られた積層造形体は、凝固割れも抑制されており、耐力、破断強度の結果が示すとおり高温強度に優れている。酸化物ナノ粒子が適切な量付着しているので、粒子分散強化の効果が大きく得られており、流動性に留まらず高温強度の向上に寄与している。
【0049】
比較例6では、Al+1/2Tiの量が過少であり、高温強度が低くなった。
比較例7では、Al+1/2Tiの量が過多であり、凝固割れが起こり高温強度が低くなった。
比較例8では、酸化物ナノ粒子の量が過少であり、高温強度低いものとなった。
比較例9では、酸化物ナノ粒子の量が過多であり、レーザ照射時にスパッタが発生して、造形体の空孔が増えるので、高温強度が低くなった。
比較例10では、酸化物ナノ粒子が添加されておらず、高温強度が低いものとなっていることに加えて、ハウスナー比が高く流動性に劣るものとなった。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の粉末は、パウダーベッド方式、デポジション方式、電子ビーム方式、バインダジェット方式の積層造形向けの金属粉末に適している。また、この混合粉末を積層造形することで得られる積層造形体は耐熱部品に適している。