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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043806
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】車両用窓ガラス
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/32 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
H01Q1/32 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149002
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 剛資
(72)【発明者】
【氏名】伊東 昌輝
(72)【発明者】
【氏名】徳永 諭
(72)【発明者】
【氏名】一柳 憲篤
【テーマコード(参考)】
5J046
【Fターム(参考)】
5J046AA03
5J046AA12
5J046AB17
5J046LA04
5J046LA12
(57)【要約】
【課題】ガラス板にデフォッガ及びアンテナを適切に配置し、防曇、防氷機能とアンテナ性能の両立化ができる車両用窓ガラスを提供する。
【解決手段】車両用窓ガラス1は、ガラス板10と、アンテナ40と、デフォッガ20と、を備え、デフォッガ20は、第1バスバー21a及び第2バスバー21bと、ヒータ線群22と、ヒータ線群22よりも上方に位置するヒータ上位線30と、を有し、ヒータ上位線30は、第1バスバー21aと接続された第1端31と、第2バスバー21bと接続された第2端32と、第1端31と第2端32との間において上方に突出する凸状部33と、凸状部33と異なる位置に配置され、複数の屈曲点を有する屈曲部34と、を有し、アンテナ40の少なくとも一部は、凸状部33の内側の領域に配置され、凸状部33は、水平方向に延伸する霜取り部35を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体後部の窓枠に取り付けられる車両用窓ガラスであって、
ガラス板と、
前記ガラス板に設けられ、所定の周波数帯の電波を受信可能なアンテナと、
前記ガラス板に設けられる通電加熱式のデフォッガと、
を備え、
前記車両用窓ガラスを前記窓枠に取り付けた状態で平面視したとき、水平面に平行な方向を水平方向とし、前記水平方向に直角な方向を垂直方向と定義すると、
前記デフォッガは、
前記水平方向に延在するヒータ線が、前記垂直方向に並んだヒータ線群と、
前記ヒータ線群よりも上方に位置するヒータ上位線と、
前記ガラス板の前記水平方向での両端側において前記垂直方向に延在し、前記ヒータ線群及び前記ヒータ上位線に給電する第1バスバー及び第2バスバーと、を有し、
前記ヒータ上位線は、
前記第1バスバーと接続された第1端と、
前記第2バスバーと接続された第2端と、
前記第1端と前記第2端との間において、前記第1バスバー及び前記第2バスバーの少なくとも一方側で上方に突出する凸状部と、
前記第1端と前記第2端との間において、前記凸状部と異なる位置に配置され、複数の屈曲点を有する屈曲部と、を有し、
前記アンテナの少なくとも一部は、前記凸状部の内側の領域に配置され、
前記凸状部の前記垂直方向の幅は、前記ヒータ線群の前記垂直方向に隣り合う2本の前記ヒータ線の間隔よりも広く、
前記凸状部は、前記水平方向に延伸する霜取り部を含む、
車両用窓ガラス。
【請求項2】
前記ヒータ上位線のうち、前記屈曲部又は前記屈曲部の近傍で、前記ヒータ線群と前記垂直方向で最も近接する部分を通って、前記水平方向に延伸する仮想直線を定義したとき、
前記アンテナの少なくとも一部は、前記仮想直線と前記凸状部に囲まれた領域内に配置されている、
請求項1に記載の車両用窓ガラス。
【請求項3】
前記屈曲部は、半ループ形状である、
請求項1に記載の車両用窓ガラス。
【請求項4】
前記屈曲部は、前記ガラス板の所定領域を60%以上囲う、
請求項3に記載の車両用窓ガラス。
【請求項5】
前記所定領域は、前記ガラス板の平面視において、三角形又は台形状である、
請求項4に記載の車両用窓ガラス。
【請求項6】
前記屈曲部は、前記台形状の上底及び下底の少なくとも一方と並走する部分を有する、
請求項5に記載の車両用窓ガラス。
【請求項7】
前記所定領域は、前記ガラス板と対向する電子機器の光学領域を含む、
請求項4に記載の車両用窓ガラス。
【請求項8】
前記ヒータ上位線は、単線である、請求項1から7のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【請求項9】
前記屈曲部は、前記デフォッガの前記水平方向における中央領域に配置される、
請求項1から7のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【請求項10】
前記アンテナは、前記水平方向の長さが前記垂直方向の長さよりも長い、
請求項1から7のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【請求項11】
前記アンテナの上端と、前記ヒータ線群との前記垂直方向における間隔は、50mm以上である、
請求項1から7のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【請求項12】
前記アンテナの下端と、前記ヒータ線群との前記垂直方向における間隔は、5mm以上である、
請求項1から7のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【請求項13】
前記デフォッガは、少なくとも2本の前記ヒータ線の間を前記垂直方向に短絡する短絡線を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【請求項14】
前記アンテナは、VHF帯及びUHF帯の周波数の少なくとも一方の電波を受信する、請求項1から7のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【請求項15】
前記凸状部は、
前記第1バスバー側で上方に突出する第1凸状部と、
前記第2バスバー側で上方に突出する第2凸状部と、を有し、
前記アンテナは、
前記第1凸状部の内側の領域に配置される第1アンテナと、
前記第2凸状部の内側の領域に配置される第2アンテナと、を有する、
請求項1から7のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【請求項16】
前記第1アンテナと前記第2アンテナは、同じ周波数帯の電波を受信可能である、
請求項15に記載の車両用窓ガラス。
【請求項17】
前記第1アンテナと前記第2アンテナは、DAB規格のバンドIIIの周波数帯の電波又は地上デジタル放送波の周波数帯の電波を受信する、
請求項16に記載の車両用窓ガラス。
【請求項18】
前記アンテナは、前記デフォッガの下側の領域に配置される第3アンテナを有する、
請求項15に記載の車両用窓ガラス。
【請求項19】
前記第3アンテナは、前記デフォッガの下端から延伸する補助エレメントと容量結合する、
請求項18に記載の車両用窓ガラス。
【請求項20】
前記第3アンテナは、FM周波数帯の電波を受信する、
請求項18に記載の車両用窓ガラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用窓ガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のリアガラスには、ガラスの結露(曇り)を取り除くためのデフォッガと、所定周波数帯の電波を受信するアンテナとが設けられている車両用窓ガラスが実用化されている。また、車種によっては、リアガラスにおけるワイパーブレードの停止位置には、凍結防止用のワイパーデアイサーが設けられている。なお、ワイパーデアイサーは、デフォッガの一部を構成する。
【0003】
下記特許文献1には、自動車の後部窓ガラスの加熱導電線条からなるデフォッガの上部または側部余白部にAM/FM放送波用アンテナとTV放送波用アンテナを設け、デフォッガの下部にデフォッガ用バスバーから給電されるワイパーデアイサーを設けたガラスアンテナが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-159318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年の車種では、ワイパーの待機位置がリアガラスの下部ではなく上部に配置されるものがある。また、このような車種では、リアガラスの上部に対向する形でバックモニタ用のカメラ等の電子機器が搭載されるケースが多い。このような背景の下、リアガラスの限られた領域の中で、電子機器等の搭載領域の確保に加え、デフォッガ及びアンテナを適切に配置し、さらに、防曇、防氷機能とアンテナ性能の両立化が求められている。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ガラス板の所定の領域にデフォッガ及びアンテナを適切に配置し、防曇、防氷機能とアンテナ性能の両立化ができる車両用窓ガラスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の構成を備える。
[1]車体後部の窓枠に取り付けられる車両用窓ガラスであって、ガラス板と、前記ガラス板に設けられ、所定の周波数帯の電波を受信可能なアンテナと、前記ガラス板に設けられる通電加熱式のデフォッガと、を備え、前記車両用窓ガラスを前記窓枠に取り付けた状態で平面視したとき、水平面に平行な方向を水平方向とし、前記水平方向に直角な方向を垂直方向と定義すると、前記デフォッガは、前記水平方向に延在するヒータ線が、前記垂直方向に並んだヒータ線群と、前記ヒータ線群よりも上方に位置するヒータ上位線と、前記ガラス板の前記水平方向での両端側において前記垂直方向に延在し、前記ヒータ線群及び前記ヒータ上位線に給電する第1バスバー及び第2バスバーと、を有し、前記ヒータ上位線は、前記第1バスバーと接続された第1端と、前記第2バスバーと接続された第2端と、前記第1端と前記第2端との間において、前記第1バスバー及び前記第2バスバーの少なくとも一方側で上方に突出する凸状部と、前記第1端と前記第2端との間において、前記凸状部と異なる位置に配置され、複数の屈曲点を有する屈曲部と、を有し、前記アンテナの少なくとも一部は、前記凸状部の内側の領域に配置され、前記凸状部の前記垂直方向の幅は、前記ヒータ線群の前記垂直方向に隣り合う2本の前記ヒータ線の間隔よりも広く、前記凸状部は、前記水平方向に延伸する霜取り部を含む、車両用窓ガラス。
【0008】
[2]前記ヒータ上位線のうち、前記屈曲部又は前記屈曲部の近傍で、前記ヒータ線群と前記垂直方向で最も近接する部分を通って、前記水平方向に延伸する仮想直線を定義したとき、前記アンテナの少なくとも一部は、前記仮想直線と前記凸状部に囲まれた領域内に配置されている、[1]に記載の車両用窓ガラス。
【0009】
[3]前記屈曲部は、半ループ形状である、[1]又は[2]に記載の車両用窓ガラス。
【0010】
[4]前記屈曲部は、前記ガラス板の所定領域を60%以上囲う、[1]から[3]のいずれかに記載の車両用窓ガラス。
【0011】
[5]前記所定領域は、前記ガラス板の平面視において、三角形又は台形状である、[4]に記載の車両用窓ガラス。
【0012】
[6]前記屈曲部は、前記台形状の上底及び下底の少なくとも一方と並走する部分を有する、[5]に記載の車両用窓ガラス。
【0013】
[7]前記所定領域は、前記ガラス板と対向する電子機器の光学領域を含む、[4]から[6]のいずれかに記載の車両用窓ガラス。
【0014】
[8]前記ヒータ上位線は、単線である、[1]から[7]に記載の車両用窓ガラス。
【0015】
[9]前記屈曲部は、前記デフォッガの前記水平方向における中央領域に配置される、[1]から[8]のいずれかに記載の車両用窓ガラス。
【0016】
[10]前記アンテナは、前記水平方向の長さが前記垂直方向の長さよりも長い、[1]から[9]のいずれかに記載の車両用窓ガラス。
【0017】
[11]前記アンテナの上端と、前記ヒータ線群との前記垂直方向における間隔は、50mm以上である、[1]から[10]のいずれかに記載の車両用窓ガラス。
【0018】
[12]前記アンテナの下端と、前記ヒータ線群との前記垂直方向における間隔は、5mm以上である、[1]から[11]のいずれかに記載の車両用窓ガラス。
【0019】
[13]前記デフォッガは、少なくとも2本の前記ヒータ線の間を前記垂直方向に短絡する短絡線を有する、[1]から[12]のいずれかに記載の車両用窓ガラス。
【0020】
[14]前記アンテナは、VHF帯及びUHF帯の周波数の少なくとも一方の電波を受信する、[1]から[13]のいずれかに記載の車両用窓ガラス。
【0021】
[15]前記凸状部は、前記第1バスバー側で上方に突出する第1凸状部と、前記第2バスバー側で上方に突出する第2凸状部と、を有し、前記アンテナは、前記第1凸状部の内側の領域に配置される第1アンテナと、前記第2凸状部の内側の領域に配置される第2アンテナと、を有する、[1]から[14]のいずれかに記載の車両用窓ガラス。
【0022】
[16]前記第1アンテナと前記第2アンテナは、同じ周波数帯の電波を受信可能である、[15]に記載の車両用窓ガラス。
【0023】
[17]前記第1アンテナと前記第2アンテナは、DAB規格のバンドIIIの周波数帯の電波又は地上デジタル放送波の周波数帯の電波を受信する、[16]に記載の車両用窓ガラス。
【0024】
[18]前記アンテナは、前記デフォッガの下側の領域に配置される第3アンテナを有する、[15]から[17]のいずれかに記載の車両用窓ガラス。
【0025】
[19]前記第3アンテナは、前記デフォッガの下端から延伸する補助エレメントと容量結合する、[18]に記載の車両用窓ガラス。
【0026】
[20]前記第3アンテナは、FM周波数帯の電波を受信する、[18]又は[19]に記載の車両用窓ガラス。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、ガラス板にデフォッガ及びアンテナを適切に配置し、防曇、防氷機能とアンテナ性能の両立化ができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第1実施形態による車両用窓ガラスの平面図である。
図2】本発明の第2実施形態による車両用窓ガラスの平面図である。
図3】本発明の第1実施例による車両用窓ガラスのアンテナ特性を示すグラフである。
図4】本発明の第2実施例による車両用窓ガラスのアンテナ特性を示すグラフである。
図5】本発明の試験用窓ガラスの平面図である。
図6】本発明の試験用窓ガラスにアンテナを搭載した平面図である。
図7図6に示す試験用窓ガラスの車両左後側のアンテナ特性を示すグラフである。
図8図6に示す試験用窓ガラスの車両右後側のアンテナ特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態による車両用窓ガラスについて説明する。なお、理解の容易のため、図面における各部の縮尺は、実際とは異なる場合がある。平行、直角、直交、水平、垂直、上下、左右などの方向には、実施形態の効果を損なわない程度のずれが許容される。角部の形状は、直角に限られず、弓状に丸みを帯びてもよい。平行、直角、直交、水平、垂直には、略平行、略直角、略直交、略水平、略垂直が含まれてもよい。
【0030】
略平行、略水平とは、例えば、基準線(平行線、水平線)に対する角度が±15°以下を含んでもよく、±10°の範囲でもよく、±5°の範囲でもよく、±3°の範囲でもよい。基準線(平行線、水平線)に対する角度が0°に近づくと例えばアンテナの意匠性が向上する。
略直角、略直交、略垂直とは、例えば、2つの基準線又は基準面がなす角度の90°に対し±15°以下を含んでもよく、90°に対し±10°の範囲でもよく、90°に対し±5°の範囲でもよく、90°に対し±3°の範囲でもよい。2つの基準線又は基準面がなす角度に対する角度が90°に近づくと例えばアンテナの意匠性が向上する。
【0031】
また、以下では、車両用窓ガラスを窓枠に取り付けた状態で平面視したとき、水平面に平行な方向を水平方向と定義し、当該水平方向に直交する方向を垂直方向と定義する。図中に設定したXY座標において、X軸方向は、水平方向であり、Y軸方向は、垂直方向である。また、数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
【0032】
本実施形態における車両用窓ガラスの適用例として、車両の後部に取り付けられるリアガラスが挙げられる。ただし、本実施形態における車両用窓ガラスは、リアガラスに限られない。
【0033】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態による車両用窓ガラス1の平面図である。
図1に示す車両用窓ガラス1は、車両の後部に取り付けられるリアガラスに適用される。また、図1では、図示しない窓枠に取り付けられた状態の車両用窓ガラス1を、車内側からの視点(車内視)で示している。図1において、点線で示す開口部の外側には、ガラス板10の主面の周縁部と、金属部となるフランジである不図示しない窓枠とがウレタン樹脂等の接着剤で取り付けられる。
【0034】
図1に示す通り、本実施形態の車両用窓ガラス1は、ガラス板10、デフォッガ20、及びアンテナ40を備える。ガラス板10は、平面視において略四角形の外形を有する。ガラス板10の外縁は、ガラス板10を窓枠2に取り付けたときに、垂直方向に対向する上縁11及び下縁12と、水平方向に対向する左縁13及び右縁14とを含む。
【0035】
上縁11には、垂直方向の下側に窪む凹部11aが形成されてもよい。この場合、凹部11aには、例えば、後述する霜取り部35に配置されるワイパーを駆動(スイング)させるモータ部が配置される。凹部11aは、ガラス板10の水平方向における中央領域に配置される。当該ガラス板10の水平方向における中央領域とは、ガラス板10の左縁13の位置を0%、右縁14の位置を100%としたときに、例えば、25%~75%の間を含んでもよく、30%~70%の間を含んでもよく、35%~65%の間を含んでもよい。
【0036】
ガラス板10の外周縁部には、可視光を遮光する所定幅の遮光領域10Bが設けられてもよい。ガラス板10の遮光領域10Bは、例えば、ガラス板10の外周縁部に成膜された遮光膜として、例えば、黒色セラミックス膜によって形成される。遮光領域10Bの内縁10Cの内側の領域は、可視光を透過する透過領域10Aである。図1において、後述する第1バスバー21a及び第2バスバー21bの内側に沿って描かれた二重線は、透過領域10Aと遮光領域10Bの境界に相当する。
【0037】
デフォッガ20は、ガラス板10に設けられる導電パターンである。図1に示すデフォッガ20は、通電加熱式のものであって、第1バスバー21a及び第2バスバー21bと、ヒータ線群22と、ヒータ上位線30と、を有する。第1バスバー21a及び第2バスバー21bは、ガラス板10の水平方向での両端側(例えば、遮光領域10B内)に配置されている。第1バスバー21aは、ガラス板10の左縁13に沿って垂直方向に延在し、第2バスバー21bは、ガラス板10の右縁14に沿って垂直方向に延在する。
【0038】
ヒータ線群22は、第1バスバー21aと第2バスバー21bとの間に配置された複数のヒータ線23を有する。複数のヒータ線23は、互いに並走するように水平方向に延在し、かつ垂直方向に所定の間隔をあけて並んで配置される。複数のヒータ線23の一端は、第1バスバー21aに接続され、複数のヒータ線23の他端は、第2バスバー21bに接続される。
【0039】
ヒータ線群22は、第1バスバー21a及び第2バスバー21bを介して電圧(直流電圧)が印加されることでヒータ線群22に直流電流が流れ、ガラス板10を加熱する。そして、ガラス板10が加熱されることで、ガラス板10の結露(曇り)が取り除かれる。なお、ヒータ線群22に含まれるヒータ線23の数は、ガラス板10を介した車外の視認性を確保しつつガラス板10の結露(曇り)を取り除く効果が得られる限りにおいて、図示する本数より多くても少なくてもよい。
【0040】
デフォッガ20は、ヒータ線群22に含まれる少なくとも2本のヒータ線23の間を垂直方向に短絡する短絡線24を有してもよい。本実施形態の短絡線24は、例えば、ヒータ線群22の最も上方(最上端辺)に位置するヒータ線23aから、ヒータ線群22の最も下方(最下端辺)に位置するヒータ線23bまで、ヒータ線群22に含まれる全てのヒータ線23を垂直方向に短絡する。ただし、短絡線24は、ヒータ線群22を全て垂直方向に短絡する線条に限らず、ヒータ線群22の一部を垂直方向に短絡する線条でもよい。
【0041】
デフォッガ20は、デフォッガ20の水平方向における中央位置に配置される短絡線24cと、短絡線24cよりも第1バスバー21a側に配置される短絡線24aと、短絡線24cよりも第2バスバー21b側に配置される短絡線24bの、3本の短絡線24を有する。本実施形態では、短絡線24cに対する短絡線24aの水平方向の間隔と、短絡線24cに対する短絡線24bの水平方向の間隔は等しいが、等しくなくてもよい。短絡線24cに対する短絡線24aの水平方向の間隔と、短絡線24cに対する短絡線24bの水平方向の間隔が等しいと、デフォッガ20の意匠性が向上する。なお、短絡線24は、3本に限らず、1本でもよく、2本でもよく、4本以上でもよい。
【0042】
ヒータ線23における、第1バスバー21aと短絡線24aとの間の水平方向の長さ、短絡線24aと短絡線24cとの間の水平方向の長さ、短絡線24cと短絡線24bとの間の水平方向の長さ、及び、短絡線24bと第2バスバー21bとの間の水平方向の長さは、アンテナ40が受信する所定周波数帯において定在波が発生しない長さに設定すると、アンテナ感度が低下せず好ましい。つまり、所定周波数帯の空気中の波長をλ1~λ2の間の任意の波長λとし、ガラス板10の波長短縮率をk、1以上の整数をNとするとき、第1バスバー21aと短絡線24aとの間の水平方向の長さ、短絡線24aと短絡線24cとの間の水平方向の長さ、短絡線24cと短絡線24bとの間の水平方向の長さ、及び、短絡線24bと第2バスバー21bとの間の水平方向の長さは、N×k×λ/2とならないように設定するとよい。
【0043】
ヒータ上位線30は、ヒータ線群22よりも上方、つまり上縁11側に位置している。ヒータ上位線30は、第1バスバー21aと接続された第1端31と、第2バスバー21bと接続された第2端32と、第1端31と第2端32との間において、第1バスバー21a及び第2バスバー21bの少なくとも一方側で上方に突出する凸状部33と、第1端31と第2端32との間において、凸状部33と異なる位置に配置され、複数の屈曲点を有する屈曲部34と、を有する。
【0044】
第1端31は、第1バスバー21aの垂直方向の上端部に位置するが、当該上端部以外に位置してもよい。また、第2端32は、第2バスバー21bの垂直方向の上端部に位置するが、当該上端部以外に位置してもよい。ヒータ上位線30は、第1バスバー21aと接続される第1端31から第2バスバー21bと接続される第2端32まで、他の導体(ヒータ線23、短絡線24等)と接続せず連続する線条の導体パターンである。ヒータ上位線30は、ヒータ線群22と孤立したヒータ線とも言える。
【0045】
凸状部33は、第1バスバー21a側で上方(上縁11側)に突出する第1凸状部33Aと、第2バスバー21b側で上方(上縁11側)に突出する第2凸状部33Bと、を有する。なお、凸状部33は、第1凸状部33Aと第2凸状部33Bの少なくとも一方を有すればよい。第1凸状部33Aは、第1バスバー21aの上端部から上方に延伸した後、第2バスバー21b側に屈曲して水平方向に略平行な方向に延伸する上辺部分を含む凸形状を有する。
【0046】
第1凸状部33Aの垂直方向の幅は、ヒータ線群22の垂直方向に隣り合う2本のヒータ線23の間隔よりも広いとよい。第1凸状部33Aの垂直方向の幅とは、ヒータ線群22の最も上方(上縁11側)に位置するヒータ線23aから、第1凸状部33Aの水平方向に略平行な方向に延伸する上辺部分までの幅を言う。なお、ヒータ線群22の垂直方向に隣り合う2本のヒータ線23の間隔が一定でない場合、第1凸状部33Aの垂直方向の幅は、ヒータ線群22の垂直方向に隣り合う2本のヒータ線23の平均間隔よりも広ければよく、最大間隔より広ければ好ましい。
【0047】
第2凸状部33Bは、第2バスバー21bの上端部から上方に延伸した後、第1バスバー21a側に屈曲して水平方向に略平行な方向に延伸する上辺部分を含む凸形状を有する。第2凸状部33Bの水平方向に略平行な方向に延伸する上辺部分には、霜取り部35が形成されている。霜取り部35は、ガラス板10の車外側の表面を移動する不図示のワイパーが待機するエリアに設けられ、そのエリアに待機するワイパーに付着した氷雪を溶融するワイパーデアイサーとして機能する。
【0048】
図1に示す例において、霜取り部35は、メアンダ形状に形成されている。霜取り部35をメアンダ形状に形成するのは、ヒータ上位線30がガラス板10を加熱する領域を拡げるためである。霜取り部35をメアンダ形状に形成することで、ヒータ上位線30がガラス板10を加熱する領域は、水平方向に延びるとともに垂直方向にも延びる略面状(二次元状)の領域にできる。これにより、霜取り部35がガラス板10を加熱する領域が拡がるため、ワイパーに付着した氷雪を効率的に溶融できる。図1に示す例において、ヒータ上位線30は、ヒータ単線として分岐の無い1本のヒータ線により構成される。
【0049】
なお、霜取り部35は、ヒータ上位線30がガラス板10を加熱する領域を拡げる効果が得られる限りにおいて、折り返し部分が円弧状のメアンダ形状に限らず、折り返し部分が屈曲したブロック状のメアンダ形状でもよい。また、ヒータ上位線30は水平方向に略平行な方向に延びる直線形状でもよいし、ヒータ上位線30は、単線(ヒータ単線)で形成される場合に限らず、ヒータ上位線30の一部が2本以上に枝分かれして水平方向に略平行な方向に延びて、霜取り部35を含むように形成されてもよい。霜取り部35が、ヒータ上位線30のうち単線から複数本に枝分かれして略水平方向に延伸する場合、ヒータ上位線30のうち単線の幅が、霜取り部35を構成する枝分かれした複数線の各幅よりも太く形成されるとよい。さらに、この場合、(枝分かれする部分を含む)霜取り部35の両終端がヒータ上位線30のうち単線と接続される構成となる。このように、霜取り部35は、凸状部33に設けられていればよく、ヒータ上位線30自体で形成してもよいし、ヒータ上位線30が分岐したものや、ヒータ上位線30以外で形成してもよい。このような霜取り部35は、上記ワイパーデアイサーとしての機能を与えるために備えられる場合に限られない。例えば、霜取り部35は、ワイパーの待機位置から離れた位置に配置されてもよいし、ワイパーの無い車両のデフォッガ20の一部として配置されてもよい。
【0050】
第2凸状部33Bの垂直方向の幅は、ヒータ線群22の垂直方向に隣り合う2本のヒータ線23の間隔よりも広くなっている。第2凸状部33Bの垂直方向の幅とは、ヒータ線群22の最も上方(上縁11側)に位置するヒータ線23aから、第2凸状部33Bの水平方向に略平行な方向に延伸する上辺部分(メアンダ状の霜取り部35の下端の折り返し部)までの幅を言う。なお、ヒータ線群22の垂直方向に隣り合う2本のヒータ線23の間隔が一定でない場合、第2凸状部33Bの垂直方向の幅は、ヒータ線群22の垂直方向に隣り合う2本のヒータ線23の平均間隔よりも広ければよく、最大間隔より広ければ好ましい。
【0051】
屈曲部34は、第1凸状部33Aと第2凸状部33Bの両方を有する場合、これらの間に形成されている。また、第1凸状部33Aと第2凸状部33Bのいずれか一方を有する場合も、屈曲部34は、デフォッガ20の水平方向における中央領域に配置される。当該デフォッガ20の水平方向における中央領域とは、第1バスバー21aの左縁の位置を0%、第2バスバー21bの右縁の位置を100%としたときに、例えば、25%~75%の間を含んでもよく、30%~70%の間を含んでもよく、35%~65%の間を含んでもよい。
【0052】
屈曲部34は、ヒータ上位線30によって、ガラス板10の所定領域50を囲う半ループ形状を有する部分に相当する。ここで、半ループ形状とは、線状のエレメントで構成され、閉ループではなく、切り欠き部を有してループ状(半ループ形状)となる導体パターンを指す。具体的に、「半ループ形状」とは、ガラス板10の平面視において、少なくとも「U字状」、「C字状」、「J字状」、「L字状」、「Π字状」又は「Ω字状」の形状を含む導体パターンを指す。
【0053】
屈曲部34は、ガラス板10の所定領域50を60%以上囲うとよい。当該60%とは、屈曲部34が所定領域50の全周を囲っている(閉ループ形状の)状態を100%としたときの被覆率である。例えば、ガラス板10の所定領域50が正三角形であって、屈曲部34が、正三角形の一辺が無い半ループ形状である場合、被覆率が約66%である。この場合、屈曲部34は、ガラス板10の所定領域50を60%以上囲っていると言える。また、屈曲部34は、所定領域50を効率よく加熱するために、ガラス板10の所定領域の70%以上囲うと好ましく、80%以上囲うとより好ましく、90%以上囲うとさらに好ましい。
【0054】
所定領域50は、ガラス板10の透過領域10Aであって、ガラス板10の車内側に設置されたガラス板10と対向する電子機器の光学領域を含む。当該電子機器は、車外撮影用カメラであり、当該光学領域とは、車外撮影用カメラの画角である。なお、車外撮影用カメラは、車両後部の路面を向いた、後方斜め下を向いている。このため、所定領域50は、ガラス板10の平面視において、三角形又は台形状に形成される。なお、所定領域50には、車外撮影用カメラ以外の電子機器を配置してもよい。当該電子機器としては、例えば、後方車両との距離を測定するレーザー計測器や、後方車両の追突防止用のレーザーフォグランプ等を例示できる。
【0055】
図1に示す例において、屈曲部34は、台形状の下底が無い半ループ形状を有する。具体的に、屈曲部34は、第1脚部34aと、上底部34bと、第2脚部34cと、を有する。第1脚部34aは、第1凸状部33Aから直角に屈曲してガラス板10の右縁14側に向かって水平方向に延伸する第1水平部36に対して、ガラス板10の上縁11側に向かって屈曲する。第1水平部36と第1脚部34aとがなす角度は、鈍角である。屈曲部34は、第1水平部36と第1脚部34aとの間に第1屈曲点を有する。言い換えると、第1屈曲点は、第1水平部36と第1脚部34aとの接続点である。
【0056】
上底部34bは、ガラス板10の上縁11側に向かって延伸する第1脚部34aに対して、ガラス板10の右縁14側に向かって屈曲する。第1脚部34aと上底部34bとがなす角度は、鈍角である。上底部34bは、水平方向に延伸している。屈曲部34は、第1脚部34aと上底部34bとの間に第2屈曲点を有する。言い換えると、第2屈曲点は、第1脚部34aと上底部34bとの接続点である。
【0057】
第2脚部34cは、水平方向に延伸する上底部34bに対して、ガラス板10の下縁12側に向かって屈曲する。上底部34bと第2脚部34cとがなす角度は、鈍角であって、第1脚部34aと上底部34bとがなす角度と同じである。屈曲部34は、上底部34bと第2脚部34cとの間に第3屈曲点を有する。言い換えると、第3屈曲点は、上底部34bと第2脚部34cとの接続点である。
【0058】
なお、第2凸状部33Bから直角に屈曲し、ガラス板10の左縁13側に向かって水平方向に延伸する第2水平部37は、第2脚部34cの下端に接続される。第2脚部34cと第2水平部37とがなす角度は、鈍角であって、第1水平部36と第1脚部34aとがなす角度と同じである。屈曲部34は、第2脚部34cと第2水平部37との間に第4屈曲点を有する。言い換えると、第4屈曲点は、第2脚部34cと第2水平部37との接続点である。
【0059】
以上のように、屈曲部34は、第1凸状部33Aと第2凸状部33Bとの間を接続する第1水平部36と第2水平部37との間に形成され、第1~第4屈曲点を有する等脚台形状を有する。なお、第1水平部36と第2水平部37の垂直方向の位置は一致しているが、異なってもよい。また、本実施形態では、屈曲部34は、水平方向において、短絡線24c(ガラス板10を水平方向に二分する仮想垂直線)よりも第2バスバー21b側(第2凸状部33B)側に配置される。第2凸状部33Bは、霜取り部35が屈曲部34の上方まで延伸した庇部35aを有する。つまり、屈曲部34は、霜取り部35の一部と垂直方向においてオーバーラップした位置関係を有する。
【0060】
アンテナ40は、所定周波数帯の電波を受信可能に形成されている。アンテナ40は、1つの周波数帯の電波を受信可能に形成されてもよいし、異なる2つ以上の周波数帯の電波を受信可能に形成されてもよい。アンテナ40が、1つの周波数帯の電波を受信可能に形成される場合、アンテナ40は、後述する第1アンテナ40A及び第2アンテナ40Bの少なくとも一方によって構成され、後述する第3アンテナ40Cを含まない。アンテナ40が、異なる2つ以上の周波数帯の電波を受信可能に形成される場合、アンテナ40は、後述する第1アンテナ40A及び第2アンテナ40Bの少なくとも一方と、第3アンテナ40Cを含む。異なる2つの周波数帯は、一部の周波数帯が重なる組み合わせでもよいし、全く重ならない周波数帯の組み合わせでもよい。以降、特に断りがない場合、アンテナ40は、所定周波数帯の電波として、異なる2つの周波数帯の電波を受信可能に形成されるものとする。そして、アンテナ40は、その2つの異なる周波数帯における周波数でそれぞれ共振するものとして説明し、本明細書における第2実施形態以降の各アンテナについても同様とする。例えば、アンテナ40は、VHF帯(30MHz~300MHz)の電波と、UHF帯(300MHz~3GHz)の電波の少なくとも一方を受信する。
【0061】
本実施形態のアンテナ40は、第1アンテナ40Aと、第2アンテナ40Bと、第3アンテナ40Cと、を有する。第1アンテナ40A及び第2アンテナ40Bは、同じ周波数帯の電波を受信可能であり、例えば、VHF帯の電波として、例えばDAB規格のバンドIII(174MHz~240MHz)、又は、UHF帯として地上デジタルテレビ放送波(470MHz~710MHz)の電波を受信する。また、第3アンテナ40Cは、VHF帯の電波として、例えばFM放送波(76MHz~108MHz)の電波を受信する。なお、アンテナ40は、MF帯としてAM放送波(522kHz~1710kHz)の電波等を受信してもよい。
【0062】
第1アンテナ40Aは、第1凸状部33Aの内側に配置されている。具体的に、第1アンテナ40Aは、ヒータ上位線30のうち、屈曲部34の近傍で、ヒータ線群22と垂直方向で最も近接する部分(第1水平部36及び第2水平部37)を通って、水平方向に延伸する仮想直線Lを定義したとき、仮想直線Lと第1凸状部33Aに囲まれた領域内に配置される。なお、第1水平部36と第2水平部37の垂直方向の位置は一致しているが、第1水平部36と第2水平部37の垂直方向の位置が異なる場合、第1水平部36及び第2水平部37のうち、ヒータ線群22と垂直方向で最も近接する水平部を通って、水平方向延伸する線を、仮想直線Lと定義する。
【0063】
第1アンテナ40Aは、例えば双極型アンテナであって、給電部41、給電部側エレメント42、アース部43、及びアース部側エレメント44を有する。給電部41は、矩形状に形成された導体パターンであり、不図示の給電ラインの一端に電気的に接続されている。なお、給電部41の形状は、円形や他の多角形等の他の形状でもよい。給電部側エレメント42は、給電部41からガラス板10の水平方向における中央位置に向かって延伸する水平エレメント、及び、給電部41から下方に延びた後、水平方向両側に延びるT字エレメントを含む導体パターンである。なお、給電部側エレメント42は、水平エレメントやT字エレメントに限らず、任意のパターンで形成できる。
【0064】
アース部43は、給電部41近傍に、矩形状に形成された導体パターンであり、不図示の接地ラインの一端に電気的に接続されている。なお、アース部43の形状は、円形や他の多角形等の他の形状でもよい。アース部側エレメント44は、アース部43からガラス板10の左縁13に向かって延伸する水平エレメントを含む導体パターンである。なお、アース部側エレメント44は、水平エレメントに限らず、任意のパターンで形成できる。また、第1アンテナ40A及び後述する第2アンテナ40Bは、双極型アンテナに限らず、単極型アンテナでもよい。この場合、給電部41と給電部側エレメント42により、第1アンテナ40A及び第2アンテナ40Bが構成される。
【0065】
第1アンテナ40Aは、水平方向の長さが垂直方向の長さよりも長い。つまり、第1アンテナ40Aが配置される、仮想直線Lと第1凸状部33Aに囲まれた領域も、水平方向の長さが垂直方向の長さよりも長い。第1アンテナ40Aの上端と、ヒータ線群22との垂直方向における間隔h1は、50mm以上であればよい。本実施形態において、第1アンテナ40Aの上端とは、給電部41の上端であるが、給電部側エレメント42が給電部41より上方に延伸する場合、当該給電部側エレメント42の上端が、第1アンテナ40Aの上端である。
【0066】
仮想直線Lと第1凸状部33Aに囲まれた領域の水平方向の幅W1は、例えば、360mmである。第1アンテナ40Aの上端と、ヒータ線群22との垂直方向における間隔h1は、例えば、77.0mmである。なお、第1アンテナ40Aの下端と、ヒータ線群22との垂直方向における間隔h3は、5mm以上であればよく、15mm以上が好ましく25mm以上がより好ましい。本実施形態において、第1アンテナ40Aの下端とは、給電部側エレメント42の下端であるが、給電部41が給電部側エレメント42より下方に位置する場合、当該給電部41の下端が、第1アンテナ40Aの下端である。
【0067】
第2アンテナ40Bは、例えば双極型アンテナであって、第1アンテナ40Aと同様に、給電部41、給電部側エレメント42、アース部43、及びアース部側エレメント44を有する。第2アンテナ40Bは、第1アンテナ40Aと略左右対称に形成され、所定周波数帯の電波を相互に補完しながら受信する。給電部41は、矩形状に形成された導体パターンであり、不図示の給電ラインの一端に電気的に接続されている。第2アンテナ40Bを構成する給電部41、給電部側エレメント42、アース部43、及びアース部側エレメント44の具体的なパターンについては、第1アンテナ40Aと同様でもよい。
【0068】
第2アンテナ40Bは、水平方向の長さが垂直方向の長さよりも長い。つまり、第2アンテナ40Bが配置される、仮想直線Lと第2凸状部33Bに囲まれた領域も、水平方向の長さが垂直方向の長さよりも長い。第2アンテナ40Bの上端と、ヒータ線群22との垂直方向における間隔h2は、50mm以上であればよい。本実施形態において、第2アンテナ40Bの上端とは、給電部41の上端であるが、給電部側エレメント42が給電部41より上方に延伸している場合、当該給電部側エレメント42の上端が、第2アンテナ40Bの上端である。
【0069】
仮想直線Lと第2凸状部33Bに囲まれた領域の水平方向の幅W2は、例えば、360mmである。第2アンテナ40Bの上端と、ヒータ線群22との垂直方向における間隔h2は、例えば、77.0mmである。なお、第2アンテナ40Bの下端と、ヒータ線群22との垂直方向における間隔h4は、5mm以上であればよく、15mm以上が好ましく25mm以上がより好ましい。本実施形態において、第2アンテナ40Bの下端とは、給電部側エレメント42の下端であるが、給電部41が給電部側エレメント42より下方に位置する場合、当該給電部41の下端が、第2アンテナ40Bの下端である。
【0070】
なお、本実施形態のアンテナ40は、第1アンテナ40A及び第2アンテナ40Bのいずれか一方と第3アンテナ40Cを有してもよい。この場合、第1アンテナ40Aが第1凸状部33Aの内側の領域に配置されるか、又は、第2アンテナ40Bが第2凸状部33Bの内側の領域に配置される。さらに、本実施形態のアンテナ40が、第1アンテナ40A及び第2アンテナ40Bの両方を有する場合、ヒータ上位線30によって第1凸状部33Aを有せずに、第1アンテナ40Aがヒータ上位線30よりも上縁11側に配置される、つまり、デフォッガ20よりも外側に配置されてもよい。この場合、第2アンテナ40Bは、第2凸状部33Bの内側の領域に配置される。
【0071】
第3アンテナ40Cは、デフォッガ20の下側の領域に配置される。第3アンテナ40Cは、例えば単極型アンテナであって、給電部45、アンテナエレメント46を有する。給電部45は、矩形状に形成された導体パターンであり、不図示の給電ラインの一端に電気的に接続されている。なお、給電部45の形状は、円形や他の多角形等の他の形状でもよい。給電部45は、第1バスバー21aの下端近傍の位置に配置されているが、第2バスバー21bの下端近傍の位置に配置されてもよい。
【0072】
アンテナエレメント46は、給電部45から上方に延伸した後に屈曲し、ガラス板10の水平方向における中央位置に向かって延伸するL字状エレメントを含む導体パターンである。なお、アンテナエレメント46は、L字状エレメントに限らず、任意のパターンで形成できる。デフォッガ20には、下端から延伸する補助エレメント25を有してもよく、アンテナエレメント46は、補助エレメント25と容量結合してもよい。本実施形態において、補助エレメント25は、短絡線24cとヒータ線23bとの接点から下方に延伸した後、ガラス板10の左縁13に向かって延伸するL字状エレメントを含む導体パターンである。なお、補助エレメント25は、任意に配置できるが、補助エレメント25を有する場合、その形状は、L字状に限らず、任意のパターンで形成できる。
【0073】
図1に示す例において、アンテナエレメント46は、少なくとも補助エレメント25の水平部分と容量結合する。また、アンテナエレメント46の水平部分は、垂直方向において、ヒータ線23bと補助エレメント26との間に挿入され、ヒータ線23bとも容量結合可能である。アンテナエレメント46、補助エレメント26、ヒータ線23bの間隔は、これらを容量結合させる場合、30mm以下でもよく、また、該間隔は、とくに下限は無いが、例えば1mm以上でもよく、3mm以上でもよく、5mm以上でもよい。
【0074】
以上の通り、第1実施形態の車両用窓ガラス1は、車体後部の窓枠に取り付けられる車両用窓ガラス1であって、ガラス板10と、ガラス板10に設けられ、所定の周波数帯の電波を受信可能なアンテナ40と、ガラス板10に設けられる通電加熱式のデフォッガ20と、を備え、車両用窓ガラス1を窓枠に取り付けた状態で平面視したとき、水平面に平行な方向を水平方向とし、水平方向に直角な方向を垂直方向と定義すると、デフォッガ20は、水平方向に延在するヒータ線23が、垂直方向に並んだヒータ線群22と、ヒータ線群22よりも上方に位置するヒータ上位線30と、ガラス板10の水平方向での両端側において垂直方向に延在し、ヒータ線群22及びヒータ上位線30に給電する第1バスバー21a及び第2バスバー21bと、を有し、ヒータ上位線30は、第1バスバー21aと接続された第1端31と、第2バスバー21bと接続された第2端32と、第1端31と第2端32との間において、第1バスバー21a及び第2バスバー21bの少なくとも一方側で上方に突出する凸状部33と、第1端31と第2端32との間において、凸状部33と異なる位置に配置され、複数の屈曲点を有する屈曲部34と、を有し、アンテナ40の少なくとも一部は、凸状部33の内側の領域に配置され、凸状部33の垂直方向の幅は、ヒータ線群22の垂直方向に隣り合う2本のヒータ線23の平均間隔よりも広く、凸状部33には、水平方向に延伸する霜取り部35が設けられている。この構成によれば、ガラス板10の所定の領域にデフォッガ20及びアンテナ40を適切に配置し、防曇、防氷機能とアンテナ性能の両立化ができる。
【0075】
具体的に、第1実施形態では、ヒータ上位線30のうち、屈曲部34の近傍で、ヒータ線群22と垂直方向で最も近接する部分(第1水平部36と第2水平部37)を通って、水平方向に延伸する仮想直線Lを定義したとき、アンテナ40の少なくとも一部は、仮想直線Lと凸状部33に囲まれた領域内に配置されている。この構成によれば、ガラス板10の限られた領域(凸状部33の内側)にアンテナ40を適切に配置できる。また、仮想直線Lと凸状部33に囲まれた領域内に配置されるアンテナ40は、水平方向の長さが垂直方向の長さよりも長いとよい。
【0076】
また、第1実施形態では、屈曲部34は、半ループ形状である。この構成によれば、ガラス板10の所定領域50を一筆書きで加熱できる。なお、屈曲部34は、所定領域50の防曇機能を確保する限りにおいて、メアンダ状に形成されてもよい。また、第1実施形態では、屈曲部34は、ガラス板10の所定領域50を60%以上囲う。この構成によれば、ガラス板10の所定領域50を充分に加熱できる。
【0077】
また、第1実施形態では、所定領域50は、ガラス板10と対向する電子機器の光学領域を含む。この構成によれば、屈曲部34の防曇機能によって、電子機器の光学性能の低下を抑制できる。また、電子機器は、車外撮影用カメラが例示できる。屈曲部34は、デフォッガ20の水平方向における中央領域に配置される。この構成によれば、車外撮影用カメラが配置され易い、デフォッガ20の水平方向における中央領域に防曇機能を付加できる。また、所定領域50は、ガラス板10の平面視において、三角形又は台形状が例示できる。さらに、屈曲部34は、所定領域50の台形状の上底と並走する部分(上底部34b)を有する。この構成によれば、車外撮影用カメラの画角を効率よく加熱できる。
【0078】
また、第1実施形態では、アンテナ40は、VHF帯及びUHF帯の周波数の少なくとも一方の電波を受信する。また、デフォッガ20は、少なくとも2本のヒータ線23の間を垂直方向に短絡する短絡線24を有する。この構成によれば、デフォッガ20のヒータ線23を、アンテナ40が受信するVHF帯及びUHF帯の周波数の少なくとも一方の所定周波数帯において定在波が発生しない長さに設定できる。
【0079】
また、第1実施形態では、ガラス板10を車両に取り付けたとき、凸状部33は、第1バスバー21a側で上方に突出する第1凸状部33Aと、第2バスバー21b側で上方に突出する第2凸状部33Bと、を有し、アンテナ40は、第1凸状部33Aの内側の領域に配置される第1アンテナ40Aと、第2凸状部33Bの内側の領域に配置される第2アンテナ40Bと、を有する。また、第1アンテナ40Aと第2アンテナ40Bは、同じ周波数帯の電波を受信可能であり、DAB規格のバンドIIIの周波数帯の電波又は地上デジタル放送波の周波数帯の電波を受信する。
【0080】
第1実施形態では、第1アンテナ40A及び第2アンテナ40Bの上端と、ヒータ線群22との垂直方向における間隔h1,h2は、50mm以上である。また、第1アンテナ40A及び第2アンテナ40Bの下端と、ヒータ線群22との垂直方向における間隔h3,h4は、5mm以上である。この構成によれば、第1アンテナ40A及び第2アンテナ40Bがヒータ線群22から受ける影響を小さくし、アンテナ性能を向上できる。
【0081】
また、第1実施形態では、アンテナ40は、デフォッガ20の下側の領域に配置される第3アンテナ40Cを有してもよい。第3アンテナ40Cは、デフォッガ20の下端から延伸する補助エレメント25を有して、これと容量結合させてもよく、この場合、FM周波数帯の電波を受信できる。この構成によれば、アンテナ40が、異なるFM周波数帯の電波を含む、2つ以上の周波数帯の電波を受信可能になる。
【0082】
〔第2実施形態〕
図2は、本発明の第2実施形態による車両用窓ガラス1の平面図である。なお、図2においては、上述した実施形態と同様の構成については同一の符号を付してある。
【0083】
第2実施形態では、デフォッガ20の本数が、デフォッガ20の水平方向における中央位置に配置される短絡線24cの1本である。また、屈曲部34は、短絡線24cの直上に配置される。また、ガラス板10の上縁11の凹部11aは、屈曲部34(短絡線24c)よりも左側に配置されている。つまり、第2実施形態では、図示しないモータ部がガラス板10の上縁11の左側に配置され、当該モータ部に接続されたワイパーが水平方向から垂直方向の下側に向かって略90°スイングする。
【0084】
第2実施形態では、第1凸状部33Aが第1バスバー21aの上端部から、ガラス板10の左縁13に向かって水平方向に膨らんだ後、上方に突出している。なお、第1バスバー21aの上端部は、二股に分かれているが、分かれていなくてもよい。
また、第2実施形態では、第2凸状部33Bも第2バスバー21bの上端部から、ガラス板10の右縁14に向かって水平方向に膨らんだ後、上方に突出している。なお、第2バスバー21bの上端部も二股に分かれているが、分かれていなくてもよい。
【0085】
第2実施形態では、第1凸状部33Aの右端と、第2凸状部33Bの左端(霜取り部35の庇部35a)が近接して配置されている。屈曲部34は、第1凸状部33Aと第2凸状部33Bとの間に形成される。屈曲部34は、台形状の片側の脚部の一部が無い半ループ形状を有する。具体的に、屈曲部34は、第1脚部34dと、下底部34eと、第2脚部34fと、上底部34gと、を有する。
【0086】
第1脚部34dは、第1凸状部33Aから直角に屈曲してガラス板10の右縁14側に向かって水平方向に延伸する第1水平部36に対して、ガラス板10の下縁12側に向かって屈曲する。第1水平部36と第1脚部34dとがなす角度は、鋭角である。屈曲部34は、第1水平部36と第1脚部34dとの間に第1屈曲点を有する。言い換えると、第1屈曲点は、第1水平部36と第1脚部34dとの接続点である。
【0087】
下底部34eは、ガラス板10の下縁12側に向かって延伸する第1脚部34dに対して、ガラス板10の右縁14側に向かって屈曲する。第1脚部34dと下底部34eとがなす角度は、鋭角である。下底部34eは、水平方向に延伸する。屈曲部34は、第1脚部34dと下底部34eとの間に第2屈曲点を有する。言い換えると、第2屈曲点は、第1脚部34dと下底部34eとの接続点である。
【0088】
第2脚部34fは、水平方向に延伸する下底部34eに対して、ガラス板10の上縁11側に向かって屈曲する。下底部34eと第2脚部34fとがなす角度は、鋭角であって、第1脚部34dと下底部34eとがなす角度と同じである。屈曲部34は、下底部34eと第2脚部34fとの間に第3屈曲点を有する。言い換えると、第3屈曲点は、下底部34eと第2脚部34fとの接続点である。
【0089】
上底部34gは、ガラス板10の上縁11側に向かって延伸する第2脚部34fに対して、ガラス板10の左縁13側に向かって屈曲する。第2脚部34fと上底部34gとがなす角度は、鈍角である。上底部34gは、水平方向に延伸している。屈曲部34は、第2脚部34fと上底部34gとの間に第4屈曲点を有する。言い換えると、第4屈曲点は、第2脚部34fと上底部34gとの接続点である。
【0090】
なお、第2脚部34fは、第1脚部34dの上端(第1水平部36)よりも上方に延伸し、上底部34gは、霜取り部35の庇部35aの下端と直角に接続される。屈曲部34は、上底部34gと霜取り部35の庇部35aの下端との間に第5屈曲点を有する。言い換えると、第5屈曲点は、上底部34gと霜取り部35の庇部35aとの接続点である。
以上のように、第2実施形態の屈曲部34は、第1凸状部33Aと第2凸状部33Bとの間に形成され、第1~第5屈曲点を有する等脚台形状を有する。
【0091】
なお、第2実施形態では、ヒータ上位線30のうち、第1水平部36よりも屈曲部34の方がヒータ線群22と垂直方向で近接するため、屈曲部34のうち、ヒータ線群22と垂直方向で最も近接する部分(下底部34e)を通って、水平方向に延伸する仮想直線Lを定義する。
【0092】
第2実施形態の第1アンテナ40Aは、仮想直線Lと第1凸状部33Aで囲まれた領域に配置可能な形状を有する。具体的に、第1アンテナ40Aのアース部側エレメント44は、第1凸状部33Aに左側の膨らみに沿った湾曲形状を有し、その他のアンテナ要素は、第1実施形態と同様である。仮想直線Lと第1凸状部33Aに囲まれた領域の水平方向の幅W1は、例えば、450mmである。第1アンテナ40Aの上端と、ヒータ線群22との垂直方向における間隔h1は、例えば、100mmである。
【0093】
第2実施形態の第2アンテナ40Bは、仮想直線Lと第2凸状部33Bで囲まれた領域に配置可能な形状を有する。具体的に、第2アンテナ40Bのアース部側エレメント44は、第2凸状部33Bに右側の膨らみに沿った湾曲形状を有し、その他のアンテナ要素は、第1実施形態と同様である。仮想直線Lと第2凸状部33Bに囲まれた領域の水平方向の幅W2は、例えば、450mmである。第2アンテナ40Bの上端と、ヒータ線群22との垂直方向における間隔h2は、例えば、100mmである。
【0094】
第2実施形態は、第3アンテナ40Cを有してもよく、この場合、第3アンテナ40Cは、デフォッガ20の下側の領域に配置される。第3アンテナ40Cのアンテナエレメント46aは、給電部45からガラス板10の水平方向における中央位置に向かって延伸する水平エレメントである。アンテナエレメント46aは、デフォッガ20の下端から延伸する補助エレメント25を有して、補助エレメント25の水平部分と容量結合させてもよい。
【0095】
以上の通り、第2実施形態の車両用窓ガラス1においても、第1実施形態と同様に、ガラス板10にデフォッガ20及びアンテナ40を適切に配置し、防曇、防氷機能とアンテナ性能の両立化ができる。
【0096】
以上、本発明の各実施形態による車両用窓ガラスについて説明したが、本発明は上記実施形態に制限されず、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、各実施形態の一部又は全部を組み合わせて実施してもよい。また、上記実施形態では、短絡線の数が1本,3本の場合について説明したが、短絡線の数は2本でも、4本以上でもよい。また、アンテナ40の形状及び配置は、実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で形状及び配置を変更してもよい。
【0097】
なお、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【実施例0098】
以下、実施例により本発明の効果をより明らかにする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施できる。
【0099】
[第1実施例]
図3は、本発明の第1実施例による車両用窓ガラスのアンテナ特性を示すグラフである。第1実施例は、上述した第1実施形態の一実施例であって、図1に示すような、給電部41、給電部側エレメント42、アース部43、及びアース部側エレメント44を備えた双極型アンテナである。図3及び後述する図4には、第1アンテナ40A及び第2アンテナ40Bを合成した地上デジタルテレビ放送波(470MHz~710MHz)のアンテナ利得の実測結果を示すグラフを示す。図3及び後述する図4図7図8を含む、何れのグラフも、横軸に周波数を示し、縦軸に利得を示す。また、図3及び図4において、「左後利得」とは、車両を平面視したときの車両の左後側のアンテナ利得を意味し、「右後利得」とは、車両を平面視したときの車両の右後側のアンテナ利得を意味する。図3を参照すると、第1実施例では、地上デジタルテレビ放送波(470MHz~710MHz)において、車両左後側、車両右後側の何れも、高いアンテナ利得が得られた。
【0100】
[第2実施例]
図4は、本発明の第2実施例による車両用窓ガラスのアンテナ特性を示すグラフである。第2実施例は、上述した第2実施形態の一実施例である。図4を参照すると、第2実施例でも、地上デジタルテレビ放送波(470MHz~710MHz)において、車両左側、車両右側の何れも、高いアンテナ利得が得られた。
【0101】
以下、試験例により本発明の効果をより明らかにする。なお、本発明は、以下の試験結果に限定されず、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施できる。
【0102】
[試験例]
図5は、本発明の試験用窓ガラス100の平面図である。図6は、本発明の試験用窓ガラス100にアンテナ40を搭載した平面図である。なお、図5図6においては、上述した実施形態と同様の構成については同一の符号を付してある。
【0103】
図5に示す試験用窓ガラス100は、ガラス板10と、デフォッガ20と、を有する。デフォッガ20における水平方向の中央領域には、上述した屈曲部34の代わりに、ヒータ線群22の一部を拡張した、拡張部22aが形成されている。拡張部22aは、デフォッガ20の上端辺の中央領域からガラス板10の上縁11に向かって突出している。図6に示す試験用窓ガラス100は、拡張部22aの左右両側に、上述した第1凸状部33Aと第2凸状部33Bの疑似的な領域を形成し、第1アンテナ40Aと、第2アンテナ40Bとを配置している。
【0104】
図7は、図6に示す試験用窓ガラス100の車両左後側のアンテナ特性を示すグラフである。図8は、図6に示す試験用窓ガラス100の車両右後側のアンテナ特性を示すグラフである。図7及び図8では、拡張部22aの両側の幅W1、幅W2が一定で、アンテナ40の上端と、ヒータ線群22との垂直方向における間隔h1,h2を50.0mm、65.0mm、80.0mmに可変させた。このとき、h3,h4は、各々、20mm、35mm、55mmである。図7及び図8を参照すると、第1実施例では、地上デジタルテレビ放送波(470MHz~710MHz)において、アンテナ40の上端と、ヒータ線群22との垂直方向における間隔h1、h2を50.0mm以上にした場合、車両左後側、車両右後側の何れも、高いアンテナ利得が得られた。
【符号の説明】
【0105】
1 車両用窓ガラス
2 窓枠
10 ガラス板
10A 透過領域
10B 遮光領域
10C 内縁
11 上縁
11a 凹部
12 下縁
13 左縁
14 右縁
20 デフォッガ
21a 第1バスバー
21b 第2バスバー
22 ヒータ線群
22a 拡張部
23 ヒータ線
23a ヒータ線
23b ヒータ線
24 短絡線
24a 短絡線
24b 短絡線
24c 短絡線
25 補助エレメント
30 ヒータ上位線
31 第1端
32 第2端
33 凸状部
33A 第1凸状部
33B 第2凸状部
34 屈曲部
34a 第1脚部
34b 上底部
34c 第2脚部
34d 第1脚部
34e 下底部
34f 第2脚部
34g 上底部
35 霜取り部
35a 庇部
36 第1水平部
37 第2水平部
40 アンテナ
40A 第1アンテナ
40B 第2アンテナ
40C 第3アンテナ
41 給電部
42 給電部側エレメント
43 アース部
44 アース部側エレメント
45 給電部
46 アンテナエレメント
46a アンテナエレメント
50 所定領域
100 試験用窓ガラス
h1 間隔
h2 間隔
h3 間隔
h4 間隔
L 仮想直線
W1 幅
W2 幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8