(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043861
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッドおよび液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
B41J2/14 301
B41J2/14 603
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149075
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】北島 佑喜
【テーマコード(参考)】
2C057
【Fターム(参考)】
2C057AF71
2C057AG65
2C057AG68
2C057AG99
2C057AN01
2C057BA04
2C057BA14
(57)【要約】
【課題】冷媒流路の温度上昇を防ぎ、共通液室の冷却効率を上げる液体吐出ヘッドを提供すること。
【解決手段】駆動素子(圧電素子22)を備える圧電アクチュエータ(駆動IC14)と、ノズル15に連通する個別液室16を構成する液室部材33と、個別液室16に液体を供給する共通液室19と、共通液室19に隣接する冷媒流路24と、共通液室19および冷媒流路24と圧電アクチュエータとの間に配置する断熱層26と、を形成するフレーム部材5と、一方の面で冷媒流路24を形成し、他方の面で断熱層26を形成する仕切り板23と、断熱層を形成する断熱板25と、を備え、断熱層26は、気体または液体が充填され、共通液室19と冷媒流路24とを覆う形状を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動素子を備える圧電アクチュエータと、
ノズルに連通する個別液室を構成する液室部材と、
前記個別液室に液体を供給する共通液室と、前記共通液室に隣接する冷媒流路と、前記共通液室および前記冷媒流路と前記圧電アクチュエータとの間に配置する断熱層と、を形成するフレーム部材と、
一方の面で前記冷媒流路を形成し、他方の面で前記断熱層を形成する仕切り板と、
前記断熱層を形成する断熱板と、を備え、
前記断熱層は、気体または液体が充填され、前記共通液室と前記冷媒流路とを覆う形状を有する
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記気体または液体は、熱伝導率が低いものまたは比熱が大きいものに変更できる
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記断熱層は、送風または送液できるように形成される
ことを特徴とする請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記断熱層は、前記共通液室または前記冷媒流路の位置に応じて、前記形状の面積または体積を変更して形成される
ことを特徴とする請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記断熱層の前記形状は、前記共通液室と前記冷媒流路との前記液室部材に対向する面を除いて、前記共通液室と前記冷媒流路とを覆う
ことを特徴とする請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
請求項1または2に記載の液体吐出ヘッドを備えることを特徴とする液体を吐出する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出ヘッドおよび液体を吐出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体吐出ヘッド(「インクジェットヘッド」とも称する)に用いられる冷媒流路の構造として、共通液室を冷媒流路で冷却する技術が既に知られている。
例えば、特許文献1には、駆動ICと液室との間に空隙を形成することで、駆動ICからの熱を遮断または放熱することが開示されている。
しかし、今までの冷媒流路での冷却では、ヘッド駆動による発熱を断熱する性能が小さく、液体としてのインクの冷却効果が不十分という問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、冷媒流路の温度上昇を防ぎ、共通液室の冷却効率を上げる液体吐出ヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するために、本発明の液体吐出ヘッドは、
駆動素子を備える圧電アクチュエータと、
ノズルに連通する個別液室を構成する液室部材と、
前記個別液室に液体を供給する共通液室と、前記共通液室に隣接する冷媒流路と、前記共通液室および前記冷媒流路と前記圧電アクチュエータとの間に配置する断熱層と、を形成するフレーム部材と、
一方の面で前記冷媒流路を形成し、他方の面で前記断熱層を形成する仕切り板と、
前記断熱層を形成する断熱板と、を備え、
前記断熱層は、気体または液体が充填され、前記共通液室と前記冷媒流路とを覆う形状を有するものとする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、冷媒流路の温度上昇を防ぎ、共通液室の冷却効率を上げる液体吐出ヘッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の実施の一形態の液体吐出ヘッドの全体構成について説明する図である。
【
図2】
図1の液体吐出ヘッドの保護カバーの内部状態について説明する図である。
【
図3】比較例の液体吐出ヘッドの共通液室の周辺構成について説明する図である。
【
図4】本発明の液体吐出ヘッドの共通液室の周辺構成について説明する図である。
【
図5】複数の液体吐出ヘッドを配置した液体吐出ユニットの一例であり、
図4のV-V線に沿った断面の一例を示している。
【
図6】
図5の液体吐出ヘッドの断熱層の変形例を説明する図である。
【
図7】本発明に係る液体を吐出する装置の一例の要部平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付の図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の実施の形態を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0008】
本発明の実施の一形態の液体吐出ヘッドは、複数のノズルにそれぞれ連通する個別液室に共通液室から液体を供給し、圧電アクチュエータが有する駆動素子を駆動させて液体をノズルから吐出させる液体吐出ヘッドであって、圧電アクチュエータの熱による共通液室の温度上昇に際して、共通液室と共通液室に隣接する冷媒流路とを覆うように断熱層を設けた構造とする。
以下の図面を用いて詳細に解説する。
【0009】
図1は、本発明の実施の一形態の液体吐出ヘッドの全体構成について説明する図である。
図2は、
図1の液体吐出ヘッドの保護カバーの内部状態について説明する図である。
液体吐出ヘッド1は、保持部材の一例としての保護カバー2と、フレーム部材5とを少なくとも備える。
【0010】
保護カバー2の内部には、電子部品であるフレキシブルフラットケーブル3、圧電アクチュエータとしての駆動IC14が配置されている。
駆動IC14は、電子部品のフレキシブルプリント基板13を備えており、フレキシブルプリント基板13には、DrIC10が接続されている。
また、駆動IC14の発熱を外部に放散させる放熱部材4、フレーム部材5に形成される液室等に液体等を流入または流出させる穴6、サーミスタ11、ヒータ12が配置されている。
【0011】
次に、液体吐出ヘッド1の共通液室の周辺構成について説明する。
図3は、比較例の液体吐出ヘッドの共通液室の周辺構成について説明する図である。
図4は、本発明の液体吐出ヘッドの共通液室の周辺構成について説明する図である。
図3、
図4は、保護カバー2の内部の共通液室19の周辺構成として、フレーム部材5、5P、駆動IC14、ノズルプレート31、液室部材33、振動板35等を示している。
【0012】
駆動IC14は、DrIC10と、フレキシブルプリント基板13と、駆動素子としての圧電素子22と、圧電素子22を固定する固定部材21と、を有する。
圧電素子22は、複数のノズル15のそれぞれに個別に対応して複数設けられる。
液室部材33は、ノズル15に連通する個別液室16を形成する。液室部材33は、一方をノズルプレート31と、他方を振動板35と貼り合わされている。また、液室部材18は、個別液室16に連通する個別供給路17として、大径部17aと小径部17bとを有する。
【0013】
フレーム部材5、5Pは、個別液室16に液体を供給する共通液室19と、共通液室19に隣接する冷媒流路24とを形成し、仕切り板23は、冷媒流路24を形成する。
このような構成により、液体吐出ヘッド1、1Pは、複数のノズル15にそれぞれ連通する個別液室16に共通液室19から液体を供給し、駆動IC14が有する圧電素子22を駆動させて液体をノズル15から吐出させる。
【0014】
次に、フレーム部材5、5Pが形成する共通液室19、冷媒流路24等について、説明する。
比較例の共通液室周辺の構成において、フレーム部材5Pは、個別液室16に液体を供給する共通液室19と、共通液室19に隣接する冷媒流路24とを形成し、仕切り板23は、冷媒流路24を形成する。
【0015】
比較例の液体吐出ヘッド1Pは、安定した吐出を実現するために、DrIC10及び圧電素子22の発熱による共通液室19内部のインクの温度上昇を防ぐ必要があり、共通液室19と接するように冷媒流路24が設けられた構成が用いられる。
しかしながら、
図3に示す構成では、冷媒流路24が温度上昇することにより、共通液室19の冷却効果が不十分という問題が発生した。
【0016】
そこで、本発明の液体吐出ヘッド1は、フレーム部材5の形状を変更し、断熱板25を取り付けることにより、共通液室19及び冷媒流路24の外周に断熱層26を形成する。
【0017】
液体吐出ヘッド1において、フレーム部材5は、共通液室19と、冷媒流路24と、断熱層26とを形成する。フレーム部材5は、断熱層26を、共通液室19および冷媒流路24と、駆動IC14(圧電アクチュエータ)との間に配置し、共通液室19と冷媒流路24とを覆うように形成する。
また、仕切り板23は、一方の面で冷媒流路24を形成し、他方の面で断熱層26を形成し、断熱板25は、断熱層26を形成する。
このようにすると、断熱層26は、共通液室19と冷媒流路24との、液室部材33に対向する面を除いて、共通液室19と冷媒流路24とを覆う形状を有する。
また、断熱層26は、気体または液体が充填される。
【0018】
このように、共通液室19と冷媒流路24とを覆う形状を有する断熱層26を設けた構造とすることで、DrIC10及び圧電素子22の発熱による冷媒流路24の温度上昇を防ぎ、共通液室19の冷却効率を上げることが出来る。
本構成によって、比較例の構成(
図3)に比べて共通液室19内部のインクの温度上昇が防止されるため、吐出不良が少ない信頼性の高い液体吐出ヘッドを提供することが出来る。
【0019】
次に、断熱層26の形状について説明する。
図5は、本発明の液体吐出ヘッドの断熱層の形状例について説明する図である。
図5は、複数の液体吐出ヘッド1を配置した液体吐出ユニットの一例であり、
図4のV-V線に沿った断面の一例を示している。
図5は、共通液室19と冷媒流路24とを一様に覆う断熱層26の形状例を示す。
【0020】
図6は、
図5の液体吐出ヘッドの断熱層の変形例を説明する図である。
図6は、
図5に示す破線で囲んだ範囲Aに相当する部分を示す。
液体吐出ヘッド1の吐出時において、DrIC10の発熱により、DrIC10周辺は他の場所に比べると温度上昇が大きい。
図6に示すフレーム部材5Aは、
図5のフレーム部材5の形状を変更し、DrIC10の周辺の断熱層261の面積および体積を他の場所に比べ、大きくした断熱層26Aを形成している。これにより、DrIC10周辺の冷媒流路24及び共通液室19の温度上昇を防ぐことが出来る。
本構成は一例であり、温度上昇が大きい箇所の断熱層の面積または体積を変更すること
【0021】
また、断熱層26に充填される気体または液体は、熱伝導率が低いまたは比熱が大きいものに変更可能とするとよい。このようにすると、駆動IC14の発熱を断熱する効果を上げることができる。
加えて、断熱層26は、内部において、送風または送液できるとよい。このようにすると、冷却効率を上げることができる。
気体または液体は、例えば、フレーム部材5に形成される液室等に液体等を流入または流出させる穴6のうち、断熱層26に気体または液体を流入または流出させる穴を設けるとよい。また、気体または液体は、穴6から送風または送液できるようにするとよい。
【0022】
次に、本発明に係る液体を吐出する装置の一例について
図7及び
図8を参照して説明する。
図7は同装置の要部平面説明図、
図8は同装置の要部側面説明図である。
【0023】
この装置は、シリアル型装置であり、主走査移動機構493によって、キャリッジ403は主走査方向に往復移動する。主走査移動機構493は、ガイド部材401、主走査モータ405、タイミングベルト408等を含む。ガイド部材401は、左右の側板491A、491Bに架け渡されてキャリッジ403を移動可能に保持している。そして、主走査モータ405によって、駆動プーリ406と従動プーリ407間に架け渡したタイミングベルト408を介して、キャリッジ403は主走査方向に往復移動される。
【0024】
このキャリッジ403には、本発明に係る液体吐出ヘッド404及びヘッドタンク441を一体にした液体吐出ユニット440を搭載している。液体吐出ユニット440の液体吐出ヘッド404は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の液体を吐出する。また、液体吐出ヘッド404は、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配置し、吐出方向を下方に向けて装着している。
【0025】
液体吐出ヘッド404の外部に貯留されている液体を液体吐出ヘッド404に供給するための供給機構494により、ヘッドタンク441には、液体カートリッジ450に貯留されている液体が供給される。
【0026】
供給機構494は、液体カートリッジ450を装着する充填部であるカートリッジホルダ451、チューブ456、送液ポンプを含む送液ユニット452等で構成される。液体カートリッジ450はカートリッジホルダ451に着脱可能に装着される。ヘッドタンク441には、チューブ456を介して送液ユニット452によって、液体カートリッジ450から液体が送液される。
【0027】
この装置は、用紙410を搬送するための搬送機構495を備えている。搬送機構495は、搬送手段である搬送ベルト412、搬送ベルト412を駆動するための副走査モータ416を含む。
【0028】
搬送ベルト412は用紙410を吸着して液体吐出ヘッド404に対向する位置で搬送する。この搬送ベルト412は、無端状ベルトであり、搬送ローラ413と、テンションローラ414との間に掛け渡されている。吸着は静電吸着、あるいは、エアー吸引などで行うことができる。
【0029】
そして、搬送ベルト412は、副走査モータ416によってタイミングベルト417及びタイミングプーリ418を介して搬送ローラ413が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。
【0030】
さらに、キャリッジ403の主走査方向の一方側には搬送ベルト412の側方に液体吐出ヘッド404の維持回復を行う維持回復機構420が配置されている。
【0031】
維持回復機構420は、例えば液体吐出ヘッド404のノズル面(ノズルが形成された面)をキャッピングするキャップ部材421、ノズル面を払拭するワイパ部材422などで構成されている。
【0032】
主走査移動機構493、供給機構494、維持回復機構420、搬送機構495は、側板491A,491B、背板491Cを含む筐体に取り付けられている。
【0033】
このように構成したこの装置においては、用紙410が搬送ベルト412上に給紙されて吸着され、搬送ベルト412の周回移動によって用紙410が副走査方向に搬送される。
【0034】
そこで、キャリッジ403を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて液体吐出ヘッド404を駆動することにより、停止している用紙410に液体を吐出して画像を形成する。
【0035】
このように、この装置では、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているので、高画質画像を安定して形成することができる。
【0036】
本願において、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0037】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0038】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0039】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0040】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0041】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、壁紙や床材などの建材、衣料用のテキスタイルなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0042】
また、「液体」は、インク、処理液、DNA試料、レジスト、パターン材料、結着剤、造形液、又は、アミノ酸、たんぱく質、カルシウムを含む溶液及び分散液なども含まれる。
【0043】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0044】
また、「液体を吐出する装置」としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液をノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0045】
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
【0046】
また、「液体吐出ヘッド」は、使用する圧力発生手段が限定されるものではない。例えば、上記実施形態で説明したような圧電アクチュエータ(積層型圧電素子を使用するものでもよい。)以外にも、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものでもよい。
【0047】
また、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【0048】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1>
駆動素子を備える圧電アクチュエータと、
ノズルに連通する個別液室を構成する液室部材と、
前記個別液室に液体を供給する共通液室と、前記共通液室に隣接する冷媒流路と、前記共通液室および前記冷媒流路と前記圧電アクチュエータとの間に配置する断熱層と、を形成するフレーム部材と、
一方の面で前記冷媒流路を形成し、他方の面で前記断熱層を形成する仕切り板と、
前記断熱層を形成する断熱板と、を備え、
前記断熱層は、気体または液体が充填され、前記共通液室と前記冷媒流路とを覆う形状を有することを特徴とする液体吐出ヘッドである。
<2>
前記気体または液体は、熱伝導率が低いものまたは比熱が大きいものに変更できる
前記<1>に記載の液体吐出ヘッドである。
<3>
前記断熱層は、送風または送液できるように形成されることを特徴とする前記<1>または<2>に記載の液体吐出ヘッドである。
<4>
前記断熱層は、前記共通液室または前記冷却流路の位置に応じて、前記形状の面積または体積を変更して形成されることを特徴とする前記<1>から<3>のいずれか一つに記載の液体吐出ヘッドである。
<5>
前記断熱層の前記形状は、前記共通液室と前記冷媒流路との前記液室部材に対向する面を除いて、前記共通液室と前記冷媒流路とを覆うことを特徴とする前記<1>から<4>のいずれか一つに記載の液体吐出ヘッドである。
<6>
前記<1>から<5>のいずれか一つに記載の液体吐出ヘッドを備えることを特徴とする液体を吐出する装置である。
【符号の説明】
【0049】
1 液体吐出ヘッド
2 保護カバー
3 フレキシブルフラットケーブル
5、5A、5P フレーム部材
6 穴
13 フレキシブルプリント基板
14 駆動IC(圧電アクチュエータ)
15 ノズル
16 個別液室
19 共通液室
22 圧電素子(駆動素子)
23 仕切り板
24 冷媒流路
25 断熱板
26、26A 断熱層
33 液室部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0050】