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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043961
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】椎間板治療剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/32 20150101AFI20240326BHJP
   C12N 5/0775 20100101ALI20240326BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20240326BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
A61K35/32
C12N5/0775
A61P19/08
A61P43/00 107
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149224
(22)【出願日】2022-09-20
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PLURONIC
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】503328193
【氏名又は名称】株式会社ツーセル
(71)【出願人】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】阪上 守人
(72)【発明者】
【氏名】松本 昌也
(72)【発明者】
【氏名】長屋 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】海渡 貴司
(72)【発明者】
【氏名】小玉 城
(72)【発明者】
【氏名】平井 宏昌
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA93X
4B065AC20
4B065BA30
4B065CA44
4B065CA46
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB46
4C087BB64
4C087CA04
4C087NA14
4C087ZA96
4C087ZB22
(57)【要約】
【課題】移植後の生着が良好な椎間板治療剤を提供する。
【解決手段】椎間板治療剤であって、滑膜由来の間葉系幹細胞が三次元構造を形成したスキャフォールドフリーの人工組織を含有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
滑膜由来の間葉系幹細胞が三次元構造を形成したスキャフォールドフリーの人工組織を含有する、椎間板治療剤。
【請求項2】
前記間葉系幹細胞は、無血清培養されたものである、請求項1に記載の椎間板治療剤。
【請求項3】
前記間葉系幹細胞は、ヒトの前記滑膜由来である、請求項1又は2に記載の椎間板治療剤。
【請求項4】
前記間葉系幹細胞由来の細胞外マトリクスをさらに含有する、請求項1又は2に記載の椎間板治療剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椎間板治療剤に関する。
【背景技術】
【0002】
椎間板の損傷は背中から腰にかけての痛みを伴うことで、生活に深刻な影響を及ぼす傾向にある。近年、このような椎間板の損傷に対して、細胞移植による再生医療が適用されてきている。
【0003】
再生医療に適用可能な細胞として、例えば特許文献1には、臨床適用することができる組織強度を有する、スキャフォールドフリー自己組織性三次元人工組織が提案されている。また、非特許文献1には、ラット脂肪由来の間葉系幹細胞を用いて、特許文献1に記載の方法により作製された組織再生材料(TEC;Tissue Engineered Construct)の移植による、椎間板損傷の治療効果が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2005/012512号パンフレット
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】H. Ishiguro et. al., Acta Biomaterialia 87, 118-129, 2019
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非特許文献1に記載の方法は、移植した組織再生材料の生着について改善の余地がある。本発明の一態様は、移植後の生着が良好な椎間板治療剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る椎間板治療剤は、滑膜由来の間葉系幹細胞が三次元構造を形成したスキャフォールドフリーの人工組織を含有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、移植後の生着が良好な椎間板治療剤を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例における椎間板高(DHI)評価を説明する図である。
図2】実施例におけるCTを用いた終板損傷スコア(CTスコア)評価を説明する図である。
図3】実施例で用いたラット群の手術部位のX線写真を示す図である。
図4】実施例において評価したDHI及びCTスコアの結果を示す図である。
図5】実施例におけるビメンチン染色結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態について説明すれば以下のとおりであるが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を示す「A~B」は、「A以上、B以下」であることを示す。
【0011】
〔椎間板治療剤〕
本発明の一態様に係る椎間板治療剤は、滑膜由来の間葉系幹細胞が三次元構造を形成したスキャフォールドフリーの人工組織を含有する。
【0012】
本発明者らは、滑膜由来の間葉系幹細胞が三次元構造形成したスキャフォールドフリーの人工組織が、椎間板の治療に有効であることを見出した。また、本発明者らは、滑膜由来の間葉系幹細胞が三次元構造形成したスキャフォールドフリーの人工組織は、移植部位への生着が良好であり、また、移植部位に長期間残存することを見出した。これにより、滑膜由来の間葉系幹細胞が三次元構造形成したスキャフォールドフリーの人工組織を含有する椎間板治療剤は、治療効果に優れており、また、治療効果の持続性にも優れている。
【0013】
椎間板治療剤は、椎間板の損傷部位又は欠損部位の治療に用いることができる。椎間板治療剤は、治療が必要な部位に投与することにより、椎間板の損傷又は欠損を治療する。椎間板の損傷部位又は欠損部位に椎間板治療剤を投与することによって、投与部位における椎間板の再生が促され、椎間板の損傷又は欠損を治療することができる。
【0014】
椎間板治療剤を用いた椎間板治療において、椎間板治療剤を投与する方法については特に限定されず、一例として、椎間板治療剤を治療部位に移植する、椎間板治療剤を含む注入液を治療部位に注入する等の方法が挙げられる。椎間板治療剤は、単独で、又は、他の治療剤と組み合わせて治療部位に投与してもよい。
【0015】
(滑膜由来の間葉系幹細胞)
本明細書において「間葉系幹細胞」は、間葉系に属する組織に分化する体性幹細胞を意味する。また、間葉系幹細胞には、間葉系幹細胞からさらに特定の性質を有するものを単離したもの、間葉系幹細胞に対してサイトカイン刺激等何らかの刺激を与えたもの、間葉系幹細胞に対して遺伝子導入したもの等も包含される。例えば、MUSE細胞、MAPC細胞、SP-1細胞なども間葉系幹細胞に包含される。間葉系幹細胞は、増殖能と、骨細胞、軟骨細胞、筋肉細胞、ストローマ細胞、腱細胞、脂肪細胞等への分化能とを有する。間葉系幹細胞は、骨髄、脂肪細胞、滑膜細胞、歯槽骨、歯根膜等の成人の組織からだけでなく、胎盤、臍帯、臍帯血、胎児の種々の細胞等から単離されるものも知られている。
【0016】
椎間板治療剤に含まれる人工組織を形成する滑膜由来の間葉系幹細胞は、滑膜に含まれる幹細胞であり、滑膜組織から公知の方法により得られる。滑膜由来の間葉系幹細胞は、軟骨細胞への分化能を有している。滑膜由来の間葉系幹細胞は、ラット、マウス等の非ヒト動物の滑膜由来の間葉系幹細胞であってもよいが、ヒトの滑膜由来の間葉系幹細胞であることが好ましい。ヒト滑膜由来の間葉系幹細胞は、椎間板治療剤をヒトの治療部位に投与した場合に、治療部位への生着がより良好であり、治療効果の持続性に優れている。また、ヒト滑膜由来の間葉系幹細胞は、椎間板治療剤を投与するヒトへの生物的汚染や免疫原性のある物質の混在等のリスクを抑えることができる。
【0017】
滑膜由来の間葉系幹細胞は、従来公知の方法で培養されたものを用いればよく、無血清培養又は低血清培養されたものであることが好ましく、無血清培養されたものであることがより好ましい。また、無血清培養された滑膜由来の間葉系幹細胞は、椎間板治療剤をヒトの治療部位に投与した場合に、治療部位への生着がより良好であり、治療効果の持続性に優れている。
【0018】
また、無血清培養であれば、培養成分が既知である。つまり、血清は天然成分由来であるためロット毎に成分の差が生じるが無血清培地ではこのような差が生じない。よって、無血清培養された滑膜由来の間葉系幹細胞は安全性も品質も優れる。また、生物的汚染や免疫原性のある物質の混在等のリスクを最小限度にすること、体内に存在しない物質を最小限度することができる。また、含有される生物原料も明確であるため、品質の管理が容易である。また、STK(登録商標)培地等の一部の無血清培地で無血清培養される間葉系幹細胞は増殖率に優れている。
【0019】
本明細書において「無血清培養」とは、血清を用いない培養であることが意図される。例えば、血清を含まない培地である無血清培地を用いて培養することが意図される。また、「低血清培養」とは、一般的な血清含有培地(例えば、10%FBS含有培地)よりも、含有する血清量が少ない培地を用いた培養、及び一般的な血清含有培地を用いた培養よりも、血清含有培地を用いた培養期間が短い培養であることが意図される。
【0020】
(無血清培養)
椎間板治療剤に含まれる人工組織を形成する滑膜由来の間葉系幹細胞を、無血清培養するために用いる無血清培地の一例について説明する。無血清培地を構成するための基礎培地は、当該分野において周知の動物細胞用培地であれば特に限定されず、好ましい基礎培地としては、例えば、Ham’s F12培地、DMEM培地、RPMI-1640培地、MCDB培地などが挙げられる。これらの基礎培地は、単独で使用されても、複数を混合して使用されてもよい。一実施形態において、無血清培地を構成するための基礎培地は、MCDBとDMEMとを1:1の比率で混合した培地が好ましい。
【0021】
一実施形態において、上記の基礎培地に、FGF、PDGF、TGF-β、HGF、EGF、少なくとも1つのリン脂質、及び少なくとも1つの脂肪酸を添加した無血清培地を滑膜由来の間葉系幹細胞の培養に用いればよい。基礎培地に対するFGFの含有量は、終濃度で、0.1~100ng/mlであることが好ましく、さらに好ましくは3ng/mlである。基礎培地に対するPDGFの含有量は、終濃度で、0.5~100ng/mlであることが好ましく、さらに好ましくは10ng/mlである。基礎培地に対するTGF-βの含有量は、終濃度で、0.5~100ng/mlであることが好ましく、さらに好ましくは10ng/mlである。
【0022】
基礎培地に対するHGFの含有量は、終濃度で、0.1~50ng/mlであることが好ましく、さらに好ましくは5ng/mlである。基礎培地に対するEGFの含有量は、終濃度で、0.5~200ng/mlであることが好ましく、さらに好ましくは20ng/mlである。基礎培地に対するリン脂質の総含有量は、終濃度で、0.1~30μg/mlであることが好ましく、さらに好ましくは10μg/mlである。基礎培地に対する脂肪酸の総含有量は、基礎培地の1/1000~1/10であることが好ましく、さらに好ましくは1/100である。
【0023】
このような無血清培地を使用することによって、異種タンパク質の混入を防ぎつつ、血清含有培地と同等以上の増殖促進効果が得られ、滑膜由来の間葉系幹細胞を所望の通り増殖させることができる。
【0024】
無血清培地はリン脂質を含んでもよい。リン脂質としては、例えば、フォスファチジン酸、リゾフォスファチジン酸、フォスファチジルイノシトール、フォスファチジルセリン、フォスファチジルエタノールアミン、フォスファチジルコリン及びフォスファチジルグリセロールなどが挙げられ、これらのリン脂質を単独で含有しても組み合わせて含有してもよい。一実施形態において、無血清培地は、フォスファチジン酸とフォスファチジルコリンとを組み合わせて含有していてもよく、これらのリン脂質は、動物由来であっても、植物由来であってもよい。
【0025】
無血清培地は脂肪酸を含んでもよい。脂肪酸としては、例えば、リノール酸、オレイン酸、リノレン酸、アラキドン酸、ミリスチン酸、パルミトイル酸、パルミチン酸及びステアリン酸等が挙げられ、本実施形態に係る培地用添加剤はこれらの脂肪酸を単独で含有しても組み合わせて含有してもよい。また、本実施形態に係る無血清培地は、上記脂肪酸以外にさらにコレステロールを含有していてもよい。
【0026】
本明細書中で使用される場合、FGFは、線維芽細胞増殖因子(FGF:fibroblast growth factor)ファミリーから選択される増殖因子が意図され、FGF-2(bFGF)であることが好ましいが、FGF-1など他のFGFファミリーから選択されてもよい。また、本明細書中で使用される場合、PDGFは、血小板由来増殖因子(PDGF:platelet derived growth factor)ファミリーから選択される増殖因子が意図され、PDGF-BB又はPDGF-ABであることが好ましい。さらに、本明細書中で使用される場合、TGF-βは、トランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β:transforming growth factor-β)ファミリーから選択される増殖因子が意図され、TGF-β1であることが好ましいが、他のTGF-βファミリーから選択されてもよい。
【0027】
本明細書中で使用される場合、HGFは、肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor)ファミリーから選択される増殖因子が意図され、EGFは、上皮増殖因子(EGF:epidermal growth factor)ファミリーから選択される増殖因子が意図される。
【0028】
また、一実施形態において、無血清培地は、結合組織増殖因子(CTGF:connective tissue growth factor)、血管内皮増殖因子(VEGF:vascular endothelial growth factor)及びアスコルビン酸化合物からなる群より選択される少なくとも2つの因子をさらに含有していてもよい。
【0029】
本明細書中で使用される場合、アスコルビン酸化合物は、アスコルビン酸(ビタミンC)もしくはアスコルビン酸2リン酸、又はこれらに類似する化合物が意図される。
【0030】
なお、無血清培地に含有されている上述した増殖因子は、天然のものであっても、遺伝子組換えによって製造されたものであってもよい。
【0031】
1つの局面において、無血清培地は、脂質酸化防止剤を含有していることが好ましい。一実施形態において、無血清培地に含有される脂質酸化防止剤は、DL-α-トコフェロールアセテート(ビタミンE)であり得る。無血清培地はまた、界面活性剤をさらに含有していてもよい。一実施形態において、無血清培地に含有される界面活性剤はPluronic F-68又はTween 80であり得る。
【0032】
無血清培地は、インスリン、トランスフェリン及びセレネートをさらに含有していてもよい。本明細書中で使用される場合、インスリンは、インスリン様増殖因子であってもよく、天然の細胞由来であっても、遺伝子組換えによって製造されたものでもよい。本発明に係る培地用添加剤はさらに、デキサメタゾン、あるいは他のグルココルチコイドを含有していてもよい。
【0033】
滑膜由来の間葉系幹細胞を無血清培養する場合、上述した無血清培地に、ヒト等の動物の滑膜組織から従来公知の方法により単離された間葉系幹細胞を播種し、所望の数に増殖するまで培養する。培養条件として、培地1mlに対して1~2×10個の間葉系幹細胞を播種することが好ましく、培養温度は37℃±1℃、培養時間は48~96時間、かつ5%CO下であることが好ましい。このように培養することによって、免疫抑制能を維持又は向上した間葉系幹細胞を効率よく大量に得ることができる。
【0034】
培養に用いる培養容器は、間葉系幹細胞が増殖し得るものであれば特に限定されない。例えば、ファルコン製75cmフラスコ、住友ベークライト製75cmフラスコ等を好適に用いることができる。但し、細胞によっては、用いる培養容器の種類によって細胞の増殖が影響を受ける場合がある。このため、滑膜由来の間葉系幹細胞をより効率よく増殖させるために、増殖対象となる間葉系幹細胞(以下、「増殖対象細胞」ともいう)毎に、増殖に適した培養容器を用いて培養することが好ましい。
【0035】
増殖対象細胞の増殖に適した培養容器の選択方法としては、例えば、最適な培養容器を増殖対象細胞に選択させる方法を挙げることができる。具体的に説明すると、複数種類の培養容器を準備し、培養容器の種類が異なる以外は同一の培養条件で増殖対象細胞を増殖させ、培養開始から2週間後の細胞数を公知の方法によって計測し、細胞数が多いものから順に増殖対象細胞の増殖に適した培養容器であると判断することができる。また、増殖対象細胞の増殖速度が速い場合は、培養開始から2週間経過する前であっても、コンフルエント状態の80~90%の細胞数に達する期間が短いものから順に増殖対象細胞の増殖に適した培養容器であると判断することができる。
【0036】
なお、間葉系幹細胞の増殖には、細胞が培養容器に接着することが必須条件であるので、培養容器に対する増殖対象細胞の接着が弱い場合は、無血清培養するときに、無血清培地に、細胞接着分子をさらに含有させることが好ましい。細胞接着分子としては、例えば、フィブロネクチン、コラーゲン、ゼラチン等を挙げることができる。これらの細胞接着分子は、一種類を単独で用いてもよく、複数種類を組み合わせて用いてもよい。
【0037】
無血清培地に対する細胞接着分子の含有量は、終濃度で、1~50μg/mlであることが好ましく、さらに好ましくは5μg/mlである。一実施形態において、細胞接着分子としてフィブロネクチン用いる場合は、無血清培地に対するフィブロネクチンの終濃度が5μg/mlとなるように添加することによって、培養容器に対する増殖対象細胞の接着効率を向上させることができる。
【0038】
また、無血清培養では、滑膜由来の間葉系幹細胞を少なくとも1回継代してもよい。間葉系幹細胞は足場依存的に増殖するので、間葉系幹細胞が局所的に偏って増殖している等の場合に、増殖途中で滑膜由来の間葉系幹細胞を継代することによって培養条件を改善することができる。
【0039】
滑膜由来の間葉系幹細胞の継代方法としては特に限定されず、従来公知の間葉系幹細胞の継代方法を用いて継代することできる。継代後の滑膜由来の間葉系幹細胞の状態が良好であることから、継代を行う場合には、哺乳類及び微生物由来の成分を含有していない細胞剥離剤を用いて上記間葉系幹細胞を剥離することが好ましい。上記「哺乳類及び微生物由来の成分を含有していない細胞剥離剤」としては、例えば、TrypLE Select CTS(Thermo Fisher Scientific Inc.)、ACCUTASE(Innovative Cell Technologies, Inc.)等を挙げることができる。
【0040】
(人工組織)
本発明の一態様に係る椎間板治療剤に含まれる人工組織は、滑膜由来の間葉系幹細胞が三次元構造を形成したスキャフォールドフリーの人工組織である。人工組織は、組織再生材料(TEC;Tissue Engineered Construct)であり得る。細胞懸濁液を患部に投与することにより細胞を移植する場合、投与される細胞が移植箇所から離脱しやすく、移植箇所に留まらないという報告がある。しかしながら、本発明の一態様に係る椎間板治療剤は、三次元構造であるスキャフォールドフリーの人工組織を含有しているので、細胞が移植箇所に生着しやすく、長時間治療効果を発揮させることができる。
【0041】
また、三次元構造を形成したスキャフォールドフリーの人工組織は、従来公知の方法で間葉系幹細胞の細胞塊を三次元構造に加工したものを用いればよい。本明細書において人工組織に対して「三次元構造」という場合、マトリクスが三次元的に配向され、また、細胞が三次元に配列しており、細胞間の結合及び配向を保持している細胞を含む三次元方向に広がる物体を指す。
【0042】
人工組織としては、椎間板の治療に適した面積、厚み、強度を適宜設定すればよく、当業者は適宜、その大きさを設定することができる。この大きさは、移植される環境に応じて設定することができる。サイズの小さな人工組織では、注射針で体腔内に注入するといったことも可能であるといったメリットがある。また、サイズの大きな人工組織では、例えば手術時にピンセントで把持し易いなど、ハンドリングが容易であることなどから、充分な細胞数を投与しやすいというメリットがある。
【0043】
人工組織が移植される場合は、少なくとも一定の大きさを有することが好ましい。そのような大きさは、例えば、三次元構造を形成した人工組織の面積について1cm以上であり、好ましくは2cm以上であり、より好ましくは3cm以上である。さらに好ましくは4cm以上であり、5cm以上であり、6cm以上であり、7cm以上であり、8cm以上であり、9cm以上であり、10cm以上であり、15cm以上であり、あるいは20cm以上であり、また、例えば、40cm以下、30cm以下、20cm以下であり得るが、それらに限定されず、面積は、用途に応じて1cm以下、又は、40cm以上であり得る。
【0044】
人工組織の容積で表す場合は、上記大きさは、好ましくは2mm以上であり、より好ましくは40mm以上であり、また、例えば、40cm以下、又は、20cm以下であり得るがそれに限定されず、2mm以下でもあり得る。
【0045】
移植可能な人工組織において十分な厚みは、移植を目的とする部分に依存して変動するが、当業者は適宜、その厚みを設定することができる。この厚みは、移植される環境に応じて設定することができる。人工組織の厚みは、2mm以上、より好ましくは3mm以上、さらに好ましくは5mm以上であることが意図される。人工組織が軟骨に適用される場合、例えば1mm以上であり得、好ましくは2mm以上、より好ましくは3mm以上、さらに好ましくは5mm以上であり得る。また、いずれの場合も1mm以下であってもよく、10mm以下であっても、5mm以下であってもよい。
【0046】
人工組織を構成する細胞の数は、適宜選択すればよいが、例えば、50~200個の塊であってもよく、100万個~1億個の塊であってもよい。またその塊は、小さな塊であってもよく、大きな塊であってもよい。
【0047】
(スキャフォールドフリー)
本明細書において「スキャフォールドフリー(足場フリー、基盤材料なし;scaffold-free)」とは、人工組織を生産するときに従来使用されている材料(基盤材料=スキャフォールド)を実質的に含まないことをいう。そのようなスキャフォールドの材料としては、例えば、化学高分子化合物、セラミック、あるいは多糖類、コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸などの生物製剤などを挙げることができるがそれらに限定されない。スキャフォールドとは、実質的に固形であり、細胞又は組織を支持することができる強度を含む材料をいう。
【0048】
従来、細胞を付着又は保持させて、その生育を可能とするための、細胞及び組織の足場となる材料、即ちスキャフォールドを人為的に加えることで三次元構造体状に加工した「スキャフォールド型」の細胞製剤が主流である。しかし、最近では人為的に素材を加えるリスクを懸念し、スキャフォールドを人為的に加えずに、例えば細胞自身を刺激して自らの足場となるような環境を自ら産生させる等といった方法で製造される「スキャフォールドフリー型」の細胞製剤の開発が進められている。
【0049】
人工組織がスキャフォールドフリーの三次元構造体であることにより、椎間板治療剤に含まれる間葉系幹細胞以外の素材を少なくすることができる。また、人工組織がスキャフォールドフリーの三次元構造体であることにより、成分が既知であること、生物的汚染及び免疫原性のある物質の混在等のリスクを最小限度にすること、体内に存在しない物質を最小限度にすることを実現できる。例えば、スキャフォールドとしてコラーゲン等の天然物が用いられることがある。このような天然物は、成分がロット毎に異なる。しかし、スキャフォールドフリーの三次元構造体であることにより、成分が既知となるため、安全性及び品質安定性に優れる。また、前記のような天然物は、生物的汚染及び免疫原性のある物質が含まれるリスクがある。人工組織がスキャフォールドフリーの三次元構造体であることにより、このようなリスクを低減できる。
【0050】
本発明の一態様に係る椎間板治療剤に含まれる、滑膜由来の間葉系幹細胞を含む三次元構造体であるスキャフォールドフリーの人工組織を得る方法としては、例えば、従来公知の低接着プレート、マイクロパターン表面プレート等を用いる方法、及び、ハンギングドロップ法を採用できる。また、日本国特許第4522994号公報に記載の方法を用いて人工組織を作製してもよい。また、市販の物を用いてもよく、例えば、gMSC(登録商標)1(株式会社ツーセル製)を好適に用いることができる。
【0051】
(細胞外マトリクス)
本発明の一態様に係る椎間板治療剤は、間葉系幹細胞由来の細胞外マトリクスをさらに含有していてもよい。本明細書において「細胞外マトリクス」は、細胞外基質とも称される、上皮細胞及び非上皮細胞を問わず体細胞の間に存在する物質を意味している。
【0052】
細胞外マトリクスは、細胞が産生する生体物質の一つであり、組織の支持だけでなく、全ての体細胞の生存に必要な内部環境の構成に関与することが知られている。代表的な細胞外マトリクスとしては、例えば、コラーゲン、エラスチン、ビトロネクチン、フィブロネクチン、ラミニン、トロンボスポンディン、プロテオグリカン類(例えば、デコリン、バイグリカン、フィブロモジュリン、ルミカン、ヒアルロン酸、アグリカンなど)などを挙げることができるがそれらに限定されず、細胞接着を担う細胞外マトリクスであれば、種々のものが本発明において利用され得る。
【0053】
細胞外マトリクスには、好ましくは、コラーゲン、ビトロネクチン、及びフィブロネクチンからなる群より選択される少なくとも1つが含まれる。椎間板治療剤において、細胞外マトリクスは、人工組織と一体化して三次元構造を形成していてもよいし、人工組織から独立して椎間板治療剤中に存在していてもよい。椎間板治療剤は、さらに、人工組織を安定的に保持するための試薬、バッファー等を含んでいてもよい。
【0054】
〔椎間板の治療方法〕
本発明の一態様に係る椎間板の治療方法は、滑膜由来の間葉系幹細胞が三次元構造を形成したスキャフォールドフリーの人工組織を投与する工程を含む。椎間板の治療方法において投与する人工組織を形成する間葉系幹細胞は、無血清培養されたものであってもよい。また、椎間板の治療方法において投与する人工組織を形成する間葉系幹細胞は、ヒトの前記滑膜由来であってもよい。さらに、椎間板の治療方法において投与する人工組織は、間葉系幹細胞由来の細胞外マトリクスをさらに含有していてもよい。すなわち、椎間板の治療方法における人工組織の一態様は、本発明の一態様に係る椎間板治療剤に含まれる人工組織であるため、人工組織についての説明は、椎間板治療剤における人工組織の説明を援用する。
【0055】
投与する工程においては、人工組織を治療部位に移植する、人工組織を含む注入液を治療部位に注入する等により、人工組織を投与することができる。投与する工程においては、人工組織を単独で、又は、他の治療剤と組み合わせて投与してもよい。
【0056】
投与する工程における人工組織の投与量は、治療目的、対象疾患(種類、重篤度など)、患者の年齢、体重、性別、既往歴、組織の形態又は種類などを考慮して、当業者が適宜決定することができる。投与する工程における人工組織の投与頻度もまた、治療目的、対象疾患(種類、重篤度など)、患者の年齢、体重、性別、既往歴、及び治療経過などを考慮して、当業者が適宜決定することができる。投与頻度としては、例えば、毎日~数ヶ月に1回(例えば、1週間に1回~1ヶ月に1回)の投与が挙げられる。投与する工程における人工組織の投与量及び投与頻度は、治療経過に応じて適宜調整してもよい。
【0057】
投与する工程において人工組織を投与する治療部位は、椎間板の損傷部位又は欠損部位である。椎間板の損傷部位又は欠損部位に人工組織を投与することにより、椎間板の再生が促され、椎間板の損傷又は欠損を治療することができる。
【0058】
〔椎間板の治療における使用のための間葉系幹細胞〕
本発明の一態様に係る間葉系幹細胞は、椎間板の治療における使用のための間葉系幹細胞であって、滑膜由来であり、三次元構造であるスキャフォールドフリーの人工組織を形成している。椎間板の治療における使用のための間葉系幹細胞は、無血清培養されたものであってもよい。また、椎間板の治療における使用のための間葉系幹細胞は、ヒトの前記滑膜由来であってもよい。さらに、椎間板の治療における使用のための間葉系幹細胞は、間葉系幹細胞由来の細胞外マトリクスをさらに含有していてもよい。すなわち、椎間板の治療における使用のための間葉系幹細胞は、本発明の一態様に係る椎間板治療剤に含まれる人工組織を形成する間葉系幹細胞であるため、間葉系幹細胞についての説明は、椎間板治療剤における間葉系幹細胞及び人工組織の説明を援用する。
【0059】
椎間板の治療における使用のための間葉系幹細胞は、椎間板の損傷部位又は欠損部位の治療に用いることができる。椎間板の治療における使用のための間葉系幹細胞は、治療が必要な部位に投与することにより、椎間板の損傷又は欠損を治療する。椎間板の損傷部位又は欠損部位に椎間板の治療における使用のための間葉系幹細胞を投与することによって、投与部位における椎間板の再生が促され、椎間板の損傷又は欠損を治療することができる。
【0060】
〔椎間板治療薬を製造するための間葉系幹細胞の使用〕
本発明の一態様に係る椎間板治療薬を製造するための間葉系幹細胞の使用は、椎間板治療薬を製造するための間葉系幹細胞の使用であって、前記間葉系幹細胞は、滑膜由来であり、三次元構造であるスキャフォールドフリーの人工組織を形成している。椎間板治療薬を製造するための間葉系幹細胞の使用において、間葉系幹細胞は、無血清培養されたものであってもよい。また、椎間板治療薬を製造するための間葉系幹細胞の使用において、間葉系幹細胞は、ヒトの前記滑膜由来であってもよい。さらに、椎間板治療薬を製造するための間葉系幹細胞の使用において、人工組織は、間葉系幹細胞由来の細胞外マトリクスをさらに含有していてもよい。すなわち、椎間板治療薬を製造するための間葉系幹細胞の使用における人工組織の一態様は、本発明の一態様に係る椎間板治療剤に含まれる人工組織であるため、人工組織についての説明は、椎間板治療剤における人工組織の説明を援用する。
【0061】
間葉系幹細胞の使用により製造される椎間板治療薬は、滑膜由来の間葉系幹細胞が三次元構造を形成したスキャフォールドフリーの人工組織と共に、薬学的に受容可能なキャリアなどをさらに含み得る。椎間板治療薬に含まれる薬学的に受容可能なキャリアとしては、当該分野において公知の任意の物質が挙げられる。薬学的に受容可能なキャリアとしては、抗酸化剤、保存剤、着色料、風味料、及び希釈剤、乳化剤、懸濁化剤、溶媒、フィラー、増量剤、緩衝剤、送達ビヒクル、希釈剤、賦形剤及び/又は薬学的アジュバントが挙げられるがそれらに限定されない。
【0062】
間葉系幹細胞の使用により製造される椎間板治療薬は、椎間板の損傷部位又は欠損部位の治療に用いることができる。椎間板治療薬は、治療が必要な部位に投与することにより、椎間板の損傷又は欠損を治療する。椎間板の損傷部位又は欠損部位に椎間板治療薬を投与することによって、投与部位における椎間板の再生が促され、椎間板の損傷又は欠損を治療することができる。
【0063】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る椎間板治療剤は、滑膜由来の間葉系幹細胞が三次元構造を形成したスキャフォールドフリーの人工組織を含有する。
【0064】
本発明の態様2に係る椎間板治療剤は、前記態様1において、前記間葉系幹細胞は、無血清培養されたものであってもよい。
【0065】
本発明の態様3に係る椎間板治療剤は、前記態様1又は2において、前記間葉系幹細胞は、ヒトの前記滑膜由来であってもよい。
【0066】
本発明の態様4に係る椎間板治療剤は、前記態様1から3のいずれかにおいて、前記間葉系幹細胞由来の細胞外マトリクスをさらに含有していてもよい。
【0067】
本発明の態様5に係る椎間板の治療方法は、滑膜由来の間葉系幹細胞が三次元構造を形成したスキャフォールドフリーの人工組織を投与する工程を含む。
【0068】
本発明の態様6に係る椎間板の治療方法は、前記態様5において、前記間葉系幹細胞は、無血清培養されたものであってもよい。
【0069】
本発明の態様7に係る椎間板の治療方法は、前記態様5又は6において、前記間葉系幹細胞は、ヒトの前記滑膜由来であってもよい。
【0070】
本発明の態様8に係る椎間板の治療方法は、前記態様5から8のいずれかにおいて、前記人工組織が、前記間葉系幹細胞由来の細胞外マトリクスをさらに含有していてもよい。
【0071】
本発明の態様9に係る間葉系幹細胞は、椎間板の治療における使用のための間葉系幹細胞であって、滑膜由来であり、三次元構造であるスキャフォールドフリーの人工組織を形成している。
【0072】
本発明の態様10に係る間葉系幹細胞は、前記態様9において、無血清培養されたものであってもよい。
【0073】
本発明の態様11に係る間葉系幹細胞は、前記態様9又は10において、ヒトの前記滑膜由来であってもよい。
【0074】
本発明の態様12に係る間葉系幹細胞は、前記態様9から11のいずれかにおいて、前記間葉系幹細胞由来の細胞外マトリクスをさらに含有していてもよい。
【0075】
本発明の態様13に係る間葉系幹細胞の使用は、椎間板治療薬を製造するための間葉系幹細胞の使用であって、前記間葉系幹細胞は、滑膜由来であり、三次元構造であるスキャフォールドフリーの人工組織を形成している。
【0076】
本発明の態様14に係る間葉系幹細胞の使用は、前記態様13において、前記間葉系幹細胞は、無血清培養されたものであってもよい。
【0077】
本発明の態様15に係る間葉系幹細胞の使用は、前記態様13又は14において、前記間葉系幹細胞は、ヒトの前記滑膜由来であってもよい。
【0078】
本発明の態様16に係る間葉系幹細胞の使用は、前記態様13から15のいずれかにおいて、前記人工組織は、前記間葉系幹細胞由来の細胞外マトリクスをさらに含有していてもよい。
【実施例0079】
〔ヒト滑膜gMSC(登録商標)1とラット滑膜TECとの椎間板治療効果の比較〕
(gMSC(登録商標)1及びラット滑膜TECの移植)
オスの10週齢SDラットを実験に用いた。無血清培養されたヒト滑膜由来の間葉系幹細胞が三次元構造を形成したスキャフォールドフリーの人工組織として、gMSC(登録商標)1(株式会社ツーセル製)を用いた。ラット滑膜由来の間葉系幹細胞が三次元構造を形成したスキャフォールドフリーの人工組織として、ラット滑膜由来の間葉系幹細胞を用いて、日本国特許第4522994号公報に記載の方法により生成したラット滑膜TECを用いた。
【0080】
ラットの背側に約1cmの縦皮膚切開を加え線維輪を露出させ、線維輪を縦に切開して内部の髄核を全て摘出した。髄核摘出部位にgMSC(登録商標)1を移植した。何も移植せずに線維輪及び皮膚を閉創した髄核摘出群、摘出した髄核を再移植して閉創した髄核再移植群、及びラット滑膜TECを移植したTEC群をそれぞれ作成した。皮切と線維輪の展開のみを行い、髄核摘出をしないSham群も作成した。
【0081】
(椎間板高及びCTスコアの評価)
移植から6週間後に、三種混合麻酔を用いてラットを麻酔し、尾椎側面X線写真を撮影した。椎間板高をDisk Height Index(DHI)を用いて評価した。DHIは図1に示す部位を測定し、以下の式1により算出した。
【数1】

ラットを安楽死させた後、手術したラット尾椎椎間を摘出してEx vivo CTを撮影し、CTスコアによる終板損傷の評価を行った。CTスコアは、図2に示す基準により評価した。
【0082】
(ラット椎間板ヒトビメンチン免疫染色)
パラフィン組織切片(5μm厚)を脱パラフィンした後、EDTA(AbcamTris-EDTAバッファー ab93684、80℃、15分)で抗原賦活化し、一次抗体はAbcam Anti-Vimentin antibody(ab16700、200倍希釈、室温1時間)、二次抗体はシンプルステインラットMAX-PO(ニチレイ、室温30分)を反応させ、DAB発色した(室温5分)。ヘマトキシリン溶液で核染色を行い封入した。
【0083】
(結果)
髄核摘出群、TEC群、及びgMSC(登録商標)1群の手術部位のX線写真を図3に示す。図3に示すように、gMSC(登録商標)1群は、TEC群と同様に終板変性が抑制されていた。
【0084】
各群のDHI及びCTスコアを図4に示す。図4に示すように、TEC群及びgMSC(登録商標)1群は椎間板高が維持されており、終板損傷スコアも良好であった。また、gMSC(登録商標)1群は、少なくとも椎間板高の維持効果において、TEC群よりも優れていた。
【0085】
gMSC(登録商標)1群のビメンチン染色結果を図5に示す。図5に示すように、術後6週において、肥厚した線維輪が確認され、また、ヒトビメンチン陽性細胞が確認された。gMSC(登録商標)1由来の細胞の生存が術後6週においても確認され、生着が良好であり、周囲線維輪の肥大及び椎間板構造の維持効果が示された。
【0086】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態又は各実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。異なる実施形態又は実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明を用いれば、間葉系幹細胞を用いた利用価値の高い移植治療剤を提供することができるので、間葉系幹細胞を用いた移植治療等の再生医療に好適に利用可能である。

図1
図2
図3
図4
図5