IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社KOKUSAI ELECTRICの特許一覧

特開2024-44002基板処理装置、半導体装置の製造方法、及びプログラム
<>
  • 特開-基板処理装置、半導体装置の製造方法、及びプログラム 図1
  • 特開-基板処理装置、半導体装置の製造方法、及びプログラム 図2
  • 特開-基板処理装置、半導体装置の製造方法、及びプログラム 図3
  • 特開-基板処理装置、半導体装置の製造方法、及びプログラム 図4
  • 特開-基板処理装置、半導体装置の製造方法、及びプログラム 図5
  • 特開-基板処理装置、半導体装置の製造方法、及びプログラム 図6
  • 特開-基板処理装置、半導体装置の製造方法、及びプログラム 図7
  • 特開-基板処理装置、半導体装置の製造方法、及びプログラム 図8
  • 特開-基板処理装置、半導体装置の製造方法、及びプログラム 図9
  • 特開-基板処理装置、半導体装置の製造方法、及びプログラム 図10
  • 特開-基板処理装置、半導体装置の製造方法、及びプログラム 図11
  • 特開-基板処理装置、半導体装置の製造方法、及びプログラム 図12
  • 特開-基板処理装置、半導体装置の製造方法、及びプログラム 図13
  • 特開-基板処理装置、半導体装置の製造方法、及びプログラム 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044002
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】基板処理装置、半導体装置の製造方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20240326BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
G05B19/418 Z
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149293
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹林 由梨
(72)【発明者】
【氏名】森 真一朗
(72)【発明者】
【氏名】川崎 潤一
【テーマコード(参考)】
3C100
【Fターム(参考)】
3C100AA22
3C100AA29
3C100AA57
3C100BB13
3C100BB15
3C100BB33
3C100EE06
(57)【要約】
【課題】障害発生の原因を早急に特定し復旧することを支援する技術を提供する。
【解決手段】基板の処理条件を定義したレシピと、装置より報告される装置情報と、前記装置の障害発生時に生成される障害情報とを記憶する記憶部と、指定された前記レシピに基づいて前記基板の処理が可能な処理容器と、前記装置の障害発生時に、前記障害発生前の予め定義された第1の期間に報告された第1の装置情報と、前記レシピとを、障害データとして、前記障害情報に含まれる障害発生時刻とともに前記記憶部に記憶させ、さらに前記障害発生時から予め定義された第2の期間に報告される第2の装置情報を、前記障害データに追加する制御を行うことが可能な制御部と、を含む。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の処理条件を定義したレシピと、装置より報告される装置情報と、前記装置の障害発生時に生成される障害情報とを記憶する記憶部と、
指定された前記レシピに基づいて前記基板の処理が可能な処理容器と、
前記装置の障害発生時に、
前記障害発生前の予め定義された第1の期間に報告された第1の装置情報と、前記レシピとを、障害データとして、前記障害情報に含まれる障害発生時刻とともに前記記憶部に記憶させ、
さらに前記障害発生時から予め定義された第2の期間に報告される第2の装置情報を、前記障害データに追加する制御を行うことが可能な制御部と、
を含む基板処理装置。
【請求項2】
前記装置情報は、前記装置の稼働中に報告されるプロセス系情報、および搬送系情報のうち少なくともいずれかを有する、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記プロセス系情報は、温度、ガス、および圧力のうち少なくともいずれかに変化があった場合に報告される情報を含む、
請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記搬送系情報は、前記装置の機構部の動作に変化があった場合に報告される情報を含む、
請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第1の期間及び前記第2の期間はパラメータにより設定可能であり、
前記制御部は、前記障害発生時に、前記パラメータより設定された前記第1の期間及び前記第2の期間を参照し、前記第1の装置情報及び前記第2の装置情報を取得する、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記記憶部は、前記基板の処理実行時に指定された前記レシピと前記基板の処理実行開始時刻とをさらに記憶する、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記記憶部に記憶された前記装置情報は、報告されてから前記第1の期間を超えた前記第1の装置情報を用いて更新される、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記障害発生から前記第2の期間を超えた場合に前記第2の装置情報を前記障害データに追加する、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項9】
さらに、前記障害データを表示することが可能な操作表示部を含み、
前記制御部は、指定した前記障害発生時刻に該当する前記障害データを取得し、前記第1の期間と前記第2の期間の前記レシピ及び前記第1の装置情報と、前記第2の装置情報と、前記障害情報とを前記操作表示部の同一画面に表示する、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記操作表示部は、日時を指定することが可能であって、
前記制御部は、指定された前記日時に従い、前記障害データを切り替えて表示する、
請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記操作表示部は、対象となる障害発生部位の表示を切り替え可能である、
請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記操作表示部は、前記障害発生時刻の前記障害データを優先的に表示する、
請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記障害情報に含まれる情報を参照して、障害発生部位を特定し、
前記操作表示部は、特定した前記障害発生部位を優先的に表示する、
請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記障害情報に含まれる情報を参照して、障害発生部位を特定し、
前記操作表示部は、特定した前記障害発生部位に関連する情報を優先的に表示する、
請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記操作表示部はレシピ編集機能を有し、前記障害データの表示中に指定された部位に該当する、前記レシピの項目の編集を可能とする、
請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記障害情報に含まれる情報を参照して、障害発生部位を特定し、
前記制御部は、特定した前記障害発生部位に関連する第3の期間の装置情報を取得し、時系列で前記操作表示部に表示する、
請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項17】
前記操作表示部は、表示した時系列の情報から指定された時間に関連するレシピ情報を表示することが可能である、
請求項16に記載の基板処理装置。
【請求項18】
基板の処理条件を定義したレシピにより前記基板の処理を行う工程と、
前記レシピと、前記基板の処理中に報告される装置情報と、障害発生時に報告される障害情報とを記憶する工程と、
前記障害発生時に、前記障害発生前の予め定義された第1の期間の前記装置情報と、前記レシピとを、障害データとして、前記障害情報に含まれる障害発生時刻とともに記憶する工程と、
前記障害発生時から予め定義された第2の期間に報告される前記装置情報を前記障害データに追加する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項19】
基板の処理条件を定義したレシピにより前記基板の処理を行う手順と、
前記レシピと、前記基板の処理中に報告される装置情報と、障害発生時に報告される障害情報とを記憶する手順と、
前記障害発生時に、前記障害発生前の予め定義された第1の期間の前記装置情報と、前記レシピとを、障害データとして、前記障害情報に含まれる障害発生時刻とともに記憶する手順と、
前記障害発生時から予め定義された第2の期間に報告される前記装置情報を前記障害データに追加する手順と、
を基板処理装置に実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置において、装置障害発生後、原因の特定から障害の解決にかかる時間の縮小は、装置の生産性向上の為、重要な課題である。従来技術では、障害発生時その時刻の装置データを障害情報として保存し、使用者に提供することで原因の特定を行えるようにすることがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、障害を検知したら、解析項目に対応するモニタデータを取得し、アラームの発生履歴を表示する領域と、解析項目に対応するモニタデータを表示する領域と、をそれぞれ有する表示画面を表示する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-150540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術では、装置障害が発生した場合、使用者が確認できる情報が、障害発生時刻の装置データのみであることがある。このため、発生障害に関する情報が不十分であり、障害発生の原因の特定に時間がかかる、という課題がある。
【0006】
本開示は、障害発生の原因を早急に特定し復旧することを支援することができる構成を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、
基板の処理条件を定義したレシピと、装置より報告される装置情報と、前記装置の障害発生時に生成される障害情報とを記憶する記憶部と、指定された前記レシピに基づいて前記基板の処理が可能な処理容器と、前記装置の障害発生時に、前記障害発生前の予め定義された第1の期間に報告された第1の装置情報と、前記レシピとを、障害データとして、前記障害情報に含まれる障害発生時刻とともに前記記憶部に記憶させ、さらに前記障害発生時から予め定義された第2の期間に報告される第2の装置情報を、前記障害データに追加する制御を行うことが可能な制御部と、
を含む構成が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、障害発生の原因を早急に特定し復旧することを支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態に好適に用いられる基板処理装置を示す斜視図である。
図2】本開示の一実施形態に好適に用いられる基板処理装置を示す側断面図である。
図3】本開示の一実施形態に好適に用いられる制御システムの機能構成を示す図である。
図4】本開示の一実施形態の障害解析処理のロジックを示すフロー図である。
図5】本開示の一実施形態の装置情報更新処理のロジックを示すフロー図である。
図6】本開示の一実施形態の障害情報確認処理のロジックを示すフロー図である。
図7】本開示の一実施形態の装置情報の例を示す図である。
図8】本開示の一実施形態の障害情報の例を示す図である。
図9】本開示の一実施形態の障害データの例を示す図である。
図10】本開示の一実施形態の装置情報の時系列の例を示す図である。
図11】本開示の一実施形態の障害データ表示画面の例を示す図である。
図12】本開示の一実施形態の経過時間情報表示領域の他の例を示す図である。
図13】本開示の一実施形態のレシピのダウンロード履歴の例を示す図である。
図14】本開示の一実施形態の障害情報表示領域の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の一態様について、主に図1図14を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0011】
(基板処理装置の概要)
以下、図面を参照しつつ本開示の一実施形態について説明する。先ず、図1図2に於いて、本開示が実施される基板処理装置1について説明する。
【0012】
基板処理装置1は筐体2を備え、該筐体2の正面壁3の下部にはメンテナンス可能な様に設けられた開口部としての正面メンテナンス口4が開設され、該正面メンテナンス口4は正面メンテナンス扉5によって開閉される。
【0013】
筐体2の正面壁3にはポッド搬入搬出口6が筐体2の内外を連通する様に開設されており、ポッド搬入搬出口6はフロントシャッタ7によって開閉され、ポッド搬入搬出口6の正面前方側にはロードポート8が設置されており、該ロードポート8は載置されたポッド9を位置合せする様に構成されている。
【0014】
該ポッド9は密閉式の基板搬送容器であり、図示しない工程内搬送装置によってロードポート8上に搬入され、又、該ロードポート8上から搬出される様になっている。
【0015】
筐体2内の前後方向の略中央部に於ける上部には、回転式ポッド棚11が設置されており、該回転式ポッド棚11は複数個のポッド9を格納する様に構成されている。
【0016】
回転式ポッド棚11は垂直に立設されて間欠回転される支柱12と、該支柱12に上中下段の各位置に於いて放射状に支持された複数段の棚板13とを備えており、該棚板13はポッド9を複数個載置した状態で格納する様に構成されている。
【0017】
回転式ポッド棚11の下方には、ポッドオープナ14が設けられ、該ポッドオープナ14はポッド9を載置し、又該ポッド9の蓋を開閉可能な構成を有している。
【0018】
ロードポート8と回転式ポッド棚11、ポッドオープナ14との間には、ポッド搬送機構(容器搬送機構)15が設置されており、該ポッド搬送機構15は、ポッド9を保持して昇降可能、水平方向に進退可能となっており、ロードポート8、回転式ポッド棚11、ポッドオープナ14との間でポッド9を搬送する様に構成されている。
【0019】
筐体2内の前後方向の略中央部に於ける下部には、サブ筐体16が後端に亘って設けられている。該サブ筐体16の正面壁17にはウェーハ(以後、基板と称する。)18をサブ筐体16内に対して搬入搬出する為の基板搬入搬出口19が一対、垂直方向に上下2段に並べられて開設されており、上下段の基板搬入搬出口19に対してポッドオープナ14がそれぞれ設けられている。
【0020】
該ポッドオープナ14はポッド9を載置する載置台21と、ポッド9の蓋を開閉する開閉機構22とを備えている。ポッドオープナ14は載置台21に載置されたポッド9の蓋を開閉機構22によって開閉することにより、ポッド9の基板出入口を開閉する様に構成されている。
【0021】
サブ筐体16はポッド搬送機構15や回転式ポッド棚11が配設されている空間(ポッド搬送空間)から気密となっている移載室23を構成している。該移載室23の前側領域には基板移載機構24が設置されており、該基板移載機構24は、基板18を載置する所要枚数(図示では5枚)の基板載置プレート25を具備し、該基板載置プレート25は水平方向に直動可能、水平方向に回転可能、又昇降可能となっている。基板移載機構24はボート26に対して基板18を装填及び払出しする様に構成されている。
【0022】
移載室23の後側領域には、ボート26を収容して待機させる待機部27が構成され、該待機部27の上方には縦型の処理炉28が設けられている。該処理炉28は内部に処理室29を形成し、該処理室29の下端部は炉口部となっており、該炉口部は炉口シャッタ31により開閉される様になっている。なお、処理炉28が、処理容器の一例である。
【0023】
筐体2の右側端部とサブ筐体16の待機部27の右側端部との間にはボート26を昇降させる為のボートエレベータ32が設置されている。該ボートエレベータ32の昇降台に連結されたアーム33には蓋体としてのシールキャップ34が水平に取付けられており、該シールキャップ34はボート26を垂直に支持し、該ボート26を処理室29に装入した状態で炉口部を気密に閉塞可能となっている。
【0024】
ボート26は、複数枚の基板18をその中心に揃えて水平姿勢で多段に保持する様に構成されている。
【0025】
ボートエレベータ32側と対向した位置にはクリーンユニット35が配設され、該クリーンユニット35は、清浄化した雰囲気若しくは不活性ガスであるクリーンエア36を供給する供給ファン及び防塵フィルタで構成されている。基板移載機構24とクリーンユニット35との間には、基板18の円周方向の位置を整合させる基板整合装置としてのノッチ合せ装置(図示せず)が設置されている。
【0026】
クリーンユニット35から吹出されたクリーンエア36は、ノッチ合せ装置(図示せず)及び基板移載機構24、ボート26に流通された後に、図示しないダクトにより吸込まれて、筐体2の外部に排気がなされるか、若しくはクリーンユニット35によって移載室23内に吹出されるように構成されている。
【0027】
次に、基板処理装置1の作動について説明する。
【0028】
ポッド9がロードポート8に供給されると、ポッド搬入搬出口6がフロントシャッタ7によって開放される。ロードポート8上のポッド9はポッド搬送機構15によって筐体2の内部へポッド搬入搬出口6を通して搬入され、回転式ポッド棚11の指定された棚板13へ載置される。ポッド9は回転式ポッド棚11で一時的に保管された後、ポッド搬送機構15により棚板13からいずれか一方のポッドオープナ14に搬送されて載置台21に移載されるか、若しくはロードポート8から直接載置台21に移載される。
【0029】
この際、基板搬入搬出口19は開閉機構22によって閉じられており、移載室23にはクリーンエア36が流通され、充満している。例えば、移載室23にはクリーンエア36として窒素ガスが充満することにより、酸素濃度が20ppm以下と、筐体2の内部(大気雰囲気)の酸素濃度よりも遙かに低く設定されている。
【0030】
載置台21に載置されたポッド9はその開口側端面がサブ筐体16の正面壁17に於ける基板搬入搬出口19の開口縁辺部に押付けられると共に、蓋が開閉機構22によって取外され、ウェーハ出入口が開放される。
【0031】
ポッド9がポッドオープナ14によって開放されると、基板18はポッド9から基板移載機構24によって取出され、ノッチ合せ装置(図示せず)に移送され、該ノッチ合せ装置にて基板18を整合した後、基板移載機構24は基板18を移載室23の後方にある待機部27へ搬入し、ボート26に装填(チャージング)する。
【0032】
該ボート26に基板18を受渡した基板移載機構24はポッド9に戻り、次の基板18をボート26に装填する。
【0033】
一方(上段又は下段)のポッドオープナ14に於ける基板移載機構24により基板18のボート26への装填作業中に、他方(下段又は上段)のポッドオープナ14には回転式ポッド棚11から別のポッド9がポッド搬送機構15によって搬送されて移載され、他方のポッドオープナ14によるポッド9の開放作業が同時進行される。
【0034】
複数の基板18がボート26に装填されると炉口シャッタ31によって閉じられていた処理炉28の炉口部が炉口シャッタ31によって開放される。続いて、ボート26はボートエレベータ32によって上昇され、処理室29に搬入(ローディング)される。
【0035】
ローディング後は、シールキャップ34によって炉口部が気密に閉塞される。なお、本実施形態において、このタイミングで(すわなち、ローディング後)、処理室29が不活性ガスに置換されるパージ工程(プリパージ工程)を有する。
【0036】
処理室29が所望の圧力(真空度)となる様にガス排気機構(図示せず)によって真空排気される。又、処理室29が所望の温度分布となる様にヒータ駆動部(図示せず)によって所定温度迄加熱される。
【0037】
又、ガス供給機構(図示せず)により、所定の流量に制御された処理ガスが供給され、処理ガスが処理室29を流通する過程で、基板18の表面と接触し、基板18の表面上に所定の処理が実施される。更に、反応後の処理ガスは、ガス排気機構により処理室29から排気される。
【0038】
予め設定された処理時間が経過すると、ガス供給機構により不活性ガス供給源(図示せず)から不活性ガスが供給され、処理室29が不活性ガスに置換されると共に、処理室29の圧力が常圧に復帰される(アフターパージ工程)。そして、ボートエレベータ32によりシールキャップ34を介してボート26が降下される。
【0039】
処理後の基板18の搬出については、上記説明と逆の手順で、基板18及びポッド9は筐体2の外部へ払出される。未処理の基板18が、更にボート26に装填され、基板18のバッチ処理が繰返される。
【0040】
(制御システムの機能構成)
次に、図3を参照して、主コントローラ201を中心とした制御システムの機能構成について説明する。図3に示すように、制御システムは、主コントローラ201と、プロセス系コントローラ210と、搬送系コントローラ230と、を備えている。また、主コントローラ201は、データ収集コントローラとして機能する。主コントローラ201は、基板処理装置1で生成される装置データを収集して、該装置データの健全性を監視する。
【0041】
ここで、装置データは、基板処理装置1が基板18を処理するときの処理温度、処理圧力、処理ガスの流量など基板処理に関するデータ(例えば、実測値等)や、製品基板の品質に関するデータ(例えば、成膜した膜厚、及び該膜厚の累積値等)や、基板処理装置1の構成部品(例えば、石英反応管、ヒータ、バルブ、マスフローコントローラ(MFC)等)に関するデータ(例えば、設定値、実測値、使用回数、使用時間等)のように、基板処理装置1が基板18を処理する際に各構成部品を動作させることにより発生する装置情報を含み、また、基板処理装置1で発生する色々な装置イベントに関するイベントデータを含む。例えば、色々なアラームを発生させるアラーム情報が、イベントデータに含まれる。本明細書における処理温度とはウェーハ18の温度または処理室29内の温度のことを意味し、処理圧力とは処理室29内の圧力のことを意味する。また、処理ガスとは処理室29内においてウェーハ18の表面上に所定の処理を行うガスのことを意味する。これらは、以下の説明においても同様である。
【0042】
また、特定間隔の実測値データ、例えば、レシピ開始から終了までの特定間隔(例えば、1秒など)データとしての生波形データや、レシピ内の各ステップで特定間隔の実測値データを加工して作成される統計量データは、レシピ実行中に収集されるデータとしてプロセスデータと称することがある。このプロセスデータは装置データに含まれる。尚、統計量データには、最大値、最小値、平均値等が含まれる。また、レシピが実行されていない時、例えば、装置に基板が投入されていないアイドル時に生成される色々な装置イベントを示すイベントデータも、装置データに含まれる。イベントデータとして、例えば、メンテナンス履歴を示すデータが含まれる。
【0043】
また、例えば、基板の搬送を行う場合に発生する搬送データも装置データに含まれる。
【0044】
主コントローラ201は、例えば100BASE-T等のLAN(Local Area Network)により、プロセス系コントローラ210及び搬送系コントローラ230と電気的に接続されているため、各装置データの送受信や各ファイルのダウンロード及びアップロード等が可能な構成となっている。
【0045】
主コントローラ201には、外部記憶装置としての記録媒体(例えばUSBメモリ等)が挿脱される装着部としての外部記憶部221が設けられている。また、主コントローラ201には、外部上位コンピュータ202と、例えば、通信ネットワークを介して接続可能な外部通信部229が設けられている。このため、基板処理装置1がクリーンルーム内に設置されている場合であっても、外部上位コンピュータ202がクリーンルーム外の事務所等に配置されることが可能である。また、外部上位コンピュータ202は、基板処理装置1とLAN回線で接続され、主コントローラ201から装置データを収集する機能を有するように構成してもよい。
【0046】
主コントローラ201は、装置データを収集し、装置の稼働状態を定量化して画面に表示するように構成されている。また、主コントローラ201は、各機能を実行するように構成されている。主コントローラ201についての詳細な説明は、後述する。
【0047】
プロセス系コントローラ210は、処理炉28内の温度、ガス、および圧力情報のうち少なくともいずれかを有するプロセス系情報であるプロセスデータを報告する。具体的には、プロセス系コントローラ210は、温度制御コントローラ211、圧力制御コントローラ212、及びガス流量制御コントローラ213を備えている。これら温度制御コントローラ211、圧力制御コントローラ212、及びガス流量制御コントローラ213は、サブコントローラを構成し、プロセス系コントローラ210と電気的に接続されているため、各装置データの送受信や各ファイルのダウンロード及びアップロード等が可能となっている。なお、プロセス系コントローラ210とサブコントローラは、別体で図示されているが、一体構成でも構わない。
【0048】
搬送系コントローラ230は、基板の搬送を行う搬送系情報である搬送データを報告する。搬送系コントローラ230は、搬送制御コントローラ231、回転制御コントローラ232、及び昇降制御コントローラ233を備えている。これら搬送制御コントローラ231、回転制御コントローラ232、及び昇降制御コントローラ233は、サブコントローラを構成し、搬送系コントローラ230と電気的に接続されているため、各装置データの送受信や各ファイルのダウンロード及びアップロード等が可能となっている。なお、搬送系コントローラ230とサブコントローラは、別体で図示されているが、一体構成でも構わない。
【0049】
搬送制御コントローラ231には、ポッド搬送機構15を制御するための駆動センサが接続されている。搬送制御コントローラ231は、ポッド搬送機構15の動作を制御するように構成されている。
【0050】
回転制御コントローラ232には、回転式ポッド棚11を制御するための駆動センサが接続されている。回転制御コントローラ232は、回転式ポッド棚11の動作を制御するように構成されている。
【0051】
昇降制御コントローラ233には、ボートエレベータ32を制御するための駆動センサが接続されている。昇降制御コントローラ233は、ボートエレベータ32の動作を制御するように構成されている。
【0052】
温度制御コントローラ211には、主にヒータ及び温度センサ等に接続されている。温度制御コントローラ211は、処理炉28のヒータの温度を制御することで処理炉28内の温度を調節するように構成されている。なお、温度制御コントローラ211は、サイリスタのスイッチング(オンオフ)制御を行い、ヒータ素線に供給する電力を制御するように構成されている。
【0053】
圧力制御コントローラ212には、主に圧力センサ、圧力バルブとしてのAPCバルブ(図示せず)及び真空ポンプ(図示せず)に接続されている。圧力制御コントローラ212は、圧力センサにより検知された圧力値に基づいて、処理室29内の圧力が所望のタイミングにて所望の圧力となるように、APCバルブの開度及び真空ポンプのスイッチング(オンオフ)を制御するように構成されている。
【0054】
ガス流量制御コントローラ213は、MFCにより構成され、ガス流量センサに接続されている。
【0055】
プロセス系コントローラ210及び搬送系コントローラ230の各々は、それぞれの制御の他に、ステータス、センサ情報に基づいて検知した障害を表す障害情報、また接続されている各センサの値を装置情報として主コントローラ201へリアルタイムに報告できるように構成されている。
【0056】
なお、本実施形態にかかる主コントローラ201、プロセス系コントローラ210、及び搬送系コントローラ230は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、汎用コンピュータに、上述の処理を実行するためのプログラムを格納した記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、CDROM、USBメモリなど)から当該プログラムをインストールすることにより、所定の処理を実行する各コントローラを構成することができる。
【0057】
そして、これらのプログラムを供給するための手段は任意である。上述のように所定の記録媒体を介して供給できる他、例えば、通信回線、通信ネットワーク、通信システムなどを介して供給してもよい。この場合、例えば、通信ネットワークの掲示板に当該プログラムを掲示し、このプログラムを、ネットワークを介して搬送波に重畳して提供してもよい。そして、このように提供されたプログラムを起動し、OS(Operation System)の制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、所定の処理を実行することができる。
【0058】
(主コントローラ201の構成)
次に、主コントローラ201の構成を、図3を参照しながら説明する。
【0059】
主コントローラ201は、装置コントローラ制御部(制御部)220と、ハードディスクである装置コントローラ記憶部(記憶部)222と、各種情報を表示する表示部及び操作者からの各種指示を受け付ける入力部を含む操作表示部227と、基板処理装置1内外と通信する装置コントローラ通信部(通信部)228と、外部と通信する外部通信部229と、記録媒体を接続可能な外部記憶部221とを含むように構成される。ここで、操作者とは、装置オペレータのほか、装置管理者、装置エンジニア、保守員、作業者を含む。制御部220は、処理部としてのCPU(中央処理装置)224や、一時記憶部としてのメモリ(例えば、RAM、ROM等)226を含み、時計機能(図示せず)を備えたコンピュータとして構成されている。
【0060】
記憶部222には、基板の処理条件及び処理手順が定義されたレシピ等の各レシピファイル、これら各レシピファイルを実行させるための制御プログラムファイル、レシピを実行するためのパラメータが定義されたパラメータファイル、また、エラー処理プログラムファイル及びエラー処理のパラメータファイルの他、プロセスパラメータを入力する入力画面を含む各種画面ファイル、各種アイコンファイル等(いずれも図示せず)が格納されている。
【0061】
また、記憶部222には、各コントローラから出力されたセンサ情報を含む装置情報、及び各コントローラがセンサ情報に基づいて検知した障害を表す障害情報をそれぞれ記憶する。また、記憶部222は、後述する障害データ及び更新装置情報をそれぞれ記憶している。
【0062】
また、操作表示部227の操作画面には、基板搬送系や基板処理系への動作指示を入力したりする入力部としての各操作ボタンを設けることも可能である。
【0063】
操作表示部227には、基板処理装置1を操作するための操作画面が表示されるように構成されている。操作表示部227は、操作画面を介して基板処理装置1内で生成される装置データに基づいた情報を操作画面に表示する。操作表示部227の操作画面は、例えば液晶を用いたタッチパネルである。操作表示部227は、操作画面からの作業者の入力データ(入力指示)を受け付け、入力データを主コントローラ201に送信する。また、操作表示部227は、メモリ(RAM)226等に展開されたレシピ、若しくは記憶部222に格納された複数のレシピのうち任意の基板処理レシピ(プロセスレシピともいう)を実行させる指示(制御指示)を受け付け、制御部220に送信するよう構成されている。
【0064】
通信部228は、スイッチングハブ等と接続されている。主コントローラ201は、ネットワークを介して外部のコンピュータや基板処理装置1内の他のコントローラ(すわなち、プロセス系コントローラ210、温度制御コントローラ211、圧力制御コントローラ212、ガス流量制御コントローラ213、搬送系コントローラ230、搬送制御コントローラ231、回転制御コントローラ232、及び昇降制御コントローラ233)と、各種データを送受信するように構成されている。
【0065】
制御部220は、障害発生時に、報告された装置情報と、障害発生前の予め定義された第1の期間に報告された更新装置情報と、レシピとを、障害データとして障害発生時刻とともに記憶部222に記憶させる制御を行う。制御部220は、さらに障害発生時から予め定義された第2の期間に報告される更新装置情報を、障害データに追加する制御を行う。なお、第1の期間の更新装置情報は、第1の装置情報の一例であり、第2の期間の更新装置情報は、第2の装置情報の一例である。
【0066】
具体的には、制御部220は、障害発生時、下位コントローラであるプロセス系コントローラ210や搬送系コントローラ230から報告される装置情報を元に障害情報(図8)及び障害データ(図9)を作成する。
【0067】
また障害発生後予め指定した第2の期間の終了時刻に到達後、更新装置情報(図10)を障害データ(図9)に追加する。
【0068】
ここで、図8では、記憶部222の障害情報格納領域に、障害情報が格納されている例を示している。また、図8は、障害情報が、発生時刻、識別子、及びレシピ情報で構成される例を示している。図9では、記憶部222の障害データ格納領域に、障害データが格納されている例を示している。図9は、障害データが、取得開始時刻、取得終了時刻、初期データである装置情報、追加データである第1の期間の更新装置情報、及び追加データである第2の期間の更新装置情報で構成される例を示している。図10では、記憶部222の更新装置情報格納領域に、装置情報が格納されている例を示している。図10は、更新装置情報が、各時刻の装置情報で構成される例を示している。
【0069】
より具体的には、障害発生時刻をTとすると、取得開始時刻はT-aであり、取得終了時刻はT+aである。また、初期データである装置情報は、T-a時点での全ての装置情報であり、追加データである更新装置情報は、T-a~T+aまでに変化した装置情報になる。
【0070】
なお、本明細書における「T-a~T+a」のような数値範囲の表記は、下限値および上限値がその範囲に含まれることを意味する。よって、例えば、「T-a~T+a」とは「T-a以上T+a以下」を意味する。他の数値範囲についても同様である。
【0071】
また、制御部220は、初期データである装置情報として、常にT-a時点での全ての装置情報を、記憶部222に保存、整理する処理を行っている。例えば、記憶部222に記憶された装置情報は、報告されてからa秒間に相当する第1の期間を超えた装置情報を用いて更新される。これにより、初期データである装置情報として、常にT-a時点での全ての装置情報を、記憶部222に記憶しておくことができる。
【0072】
また、制御部220は、追加データである更新装置情報として、報告されてからa秒間に相当する第2の期間を超えた場合に、装置情報を障害データに追加する。これにより、追加データである第2の期間の更新装置情報を、障害データに追加することができる。
【0073】
なお、本実施形態では、装置情報は、処理炉内の温度、ガス、および圧力情報を表すプロセス系情報、および基板の搬送を行う搬送系情報を有し、また、装置情報は、毎秒全て保存はせず、変化があった装置情報のみ保存される。すわなち、保存されるプロセス系情報は、温度、ガス、および圧力のうち少なくともいずれかに変化があった場合に報告される情報を示す。また、保存される搬送系情報は、装置の機構部の動作に変化があった場合に報告される情報を示す。これにより、保存されるデータ量を抑制することができる。
【0074】
また、操作表示部227は、障害データを表示することが可能に構成されている。
【0075】
また、操作表示部227は、第1の期間及び第2の期間を、パラメータにより設定可能に構成されている。これにより、制御部220は、障害発生時に、パラメータより設定された第1の期間及び第2の期間を参照し、第1の期間の更新装置情報及び第2の期間の更新装置情報を取得する。このように、障害発生の原因を特定するための第1の期間の更新装置情報及び第2の期間の更新装置情報の量を調整することができる。
【0076】
また、操作表示部227は、障害発生前の第1の期間と障害発生時からの第2の期間のレシピ、装置情報、及び障害情報を、同一画面に表示可能に構成されている。
【0077】
具体的には、図11に示すように、障害データ表示画面300が、障害情報表示領域302と、第1の期間及び第2の期間のレシピを表示するレシピ情報表示領域304と、経過時間情報表示領域306と、を有している。また、障害データ表示画面300が、第1の期間及び第2の期間の温度情報を表示する温度情報表示領域308と、第1の期間及び第2の期間のガス情報を表示するガス情報表示領域310と、第1の期間及び第2の期間の圧力情報を表示する圧力情報表示領域312とを有している。より具体的には、経過時間情報表示領域306は、スライダーバーを有し、当該スライダーバーの操作を受け付け、障害情報の表示時刻をシフト可能に構成されている。なお、図11に示す障害データ表示画面300は一例であり、これに限定されるものではない。また、図12に示すように、各時刻を表示した経過時間情報表示領域306Aであってもよい。また、ガス情報表示領域310には、各ガス流量センサによって検知されたガス流量が表示されている。
【0078】
経過時間情報表示領域306のスライダーバーの操作を受け付けると、バーの位置と表示する装置情報の時刻を同期させる。目的の時刻に対応する装置情報をシフトする方法は、初期データと追加データとの間でデータを出し入れすることで行う。このように、障害発生の原因を特定するための時刻の装置情報を、簡易な操作で表示させることができる。
【0079】
また、操作表示部227は、指定の障害の選択を受け付け可能に、発生障害履歴一覧の画面を表示する。指定の障害が選択されると、制御部220は、その障害情報の障害発生時刻を元に、記憶部222内に蓄積された障害データの中から、
取得開始時刻<=障害発生時刻<取得終了時刻
に該当する障害データを取得し、障害データ表示画面300を表示する。
【0080】
また、操作表示部227は、障害発生時に実行していたレシピの設定内容を、障害データ表示画面300または発生障害履歴一覧の画面から、編集、及び確認することが可能に構成されている。これにより、レシピを探す時間と手間を省ける。また、レシピを削除していても確認できる。レシピの設定ミスを発見した場合、そのまま編集し保存できる。
【0081】
この機能は、レシピのダウンロード履歴(図13)をタイムスタンプとともに記憶部222に記憶しておくことで実現している。また、ダウンロード履歴において、基板の処理実行時に指定されたレシピと基板の処理実行開始時刻とをさらに記憶するようにしてもよい。
【0082】
ここで、実行レシピ情報の取得方法について説明する。制御部220から下位コントローラに実行レシピをダウンロードする際、その設定内容とダウンロード時刻を、記憶部222に蓄積する。
【0083】
障害データ表示画面300または発生障害履歴一覧の画面から、指定の障害が選択されると、その障害情報の障害発生時刻を元に、記憶部222に蓄積されたレシピの中から、
ダウンロード時刻<障害発生時刻
に該当するものの中で最新のものを、その障害の実行レシピとして取得する。レシピ内容とダウンロード時刻を、ダウンロード履歴として記憶部222に蓄積するため、既に編集・削除されたレシピであっても実行時の設定内容を参照することが可能となる。
【0084】
また、操作表示部227は、対象となる障害発生部位の表示を切り替え可能にしてもよい。このとき、操作表示部227は、障害発生時刻の障害データを優先的に表示するようにしてもよい。このように、障害発生の原因を特定するための障害発生部位の情報や、障害発生時刻の障害データを、簡易な操作で表示させることができる。
【0085】
また、制御部220は、障害情報に含まれる情報より、障害発生部位を特定し、操作表示部227は、特定した障害発生部の優先表示や、特定した障害発生部位に関連する情報の優先表示を行っても良い。これにより、障害発生の原因を早急に特定し復旧することを更に支援することができる。
【0086】
具体的には、制御部220は、発生した障害の識別子を元に、関連するデータを自動で抽出する。より具体的には、発生した障害の識別子をキーに、関連する装置情報の個別の識別子を事前に定義することで関連データを抽出する。
【0087】
抽出したデータを、障害発生前10分間分をトレースチャートとして操作表示部227の障害データ表示画面300の障害情報表示領域302に表示してもよい。このとき、チャート下部には、その期間に発生した障害、イベント、実行ステップを時系列でアイコン表示する。アイコンを選択することで詳細情報とリンクする。
【0088】
また、操作表示部227は、図14に示すように、障害情報表示領域において、発生障害に関連するタブやリストをハイライト表示する。これにより、一目で異常のあるデータを確認できるため、解析のしやすさをサポートすることができる。
【0089】
このハイライト表示は、各障害に割り当てられる固有の識別子を利用して実現する。予め、各モニタ画面及び画面内の表示項目に対してそのデータと関連する障害の識別子を定義しておく。これを障害定義ファイルとする。障害データ表示時にその障害情報の識別子を取得し、障害定義ファイルと突き合わせを行う。結果関連項目として得られる画面及び画面内の表示項目をハイライト表示する。
【0090】
図14では、発生障害に関連するタブ「PM」、タブ「Gas」、リスト中の項目「MFC3」がハイライト表示されている例を示している。
【0091】
また、制御部220は、特定した障害発生部位に関連する第3の期間の装置情報を取得し、時系列で操作表示部227に表示するようにしてもよい。具体的には、発生した障害発生部位の識別子をキーに、関連する第3の期間の個別の識別子を事前に定義することで、関連する第3の期間の装置情報を抽出する。このとき、操作表示部227は、表示した時系列の装置情報から時間の指定を受け付け、指定された時間に関連するレシピ情報を表示するようにしてもよい。これにより、障害発生の原因を早急に特定し復旧することを更に支援することができる。
【0092】
また、主コントローラ201は、図示しないネットワークを介して外部の上位コンピュータに対して基板処理装置1の状態など装置データを送信する。なお、基板処理装置1の基板処理は、記憶部222に記憶されている各レシピファイル、各パラメータファイル等に基づいて、制御システムにより制御される。
【0093】
(基板処理方法)
次に、本実施形態に係る基板処理装置1を用いて実施する、所定の処理工程を有する基板処理方法について説明する。ここで、所定の処理工程は、半導体デバイスの製造工程の一工程である基板処理工程(ここでは成膜工程)を実施する場合を例に挙げる。
【0094】
基板処理工程の実施にあたって、実施すべき基板処理に対応する基板処理レシピ(プロセスレシピ)が、例えば、プロセス系コントローラ210内のRAM等のメモリに展開される。そして、必要に応じて、主コントローラ201からプロセス系コントローラ210へ動作指示が与えられる。このようにして実施される基板処理工程は、搬入工程と、成膜工程と、搬出工程と、回収工程とを少なくとも有する。
【0095】
(移載工程)
主コントローラ201からは、搬送系コントローラ230に対して、基板移載機構24の駆動指示が発せられる。そして、搬送系コントローラ230からの指示に従いつつ、基板移載機構24は載置台21上のポッド9からボート26への基板18の移載処理を開始する。この移載処理は、予定された全ての基板18のボート26への装填が完了するまで行われる。
【0096】
(搬入工程)
基板18がボート26に装填されると、ボート26は、搬送系コントローラ230からの指示に従って動作するボートエレベータ32によって上昇されて、処理炉28内に形成される処理室29に装入(ボートロード)される。ボート26が完全に装入されると、ボートエレベータ32のシールキャップ34は、処理炉28のマニホールドの下端を気密に閉塞する。
【0097】
(成膜工程)
その後は、処理室29内は、圧力制御コントローラ212からの指示に従いつつ、所定の成膜圧力(真空度)となるように真空排気装置(図示せず)によって真空排気される。また、処理室29内は、温度制御コントローラ211からの指示に従いつつ、所定の温度となるようにヒータによって加熱される。続いて、搬送系コントローラ230からの指示に従いつつ、回転機構によるボート26及び基板18の回転を開始する。そして、所定の圧力、所定の温度に維持された状態で、ボート26に保持された複数枚の基板18に所定のガス(処理ガス)を供給して、基板18に所定の処理(例えば成膜処理)がなされる。
【0098】
(搬出工程)
ボート26に載置された基板18に対する成膜工程が完了すると、搬送系コントローラ230からの指示に従いつつ、その後、回転機構によるボート26及び基板18の回転を停止させ、ボートエレベータ32によりシールキャップ34を下降させてマニホールドの下端を開口させるとともに、処理済の基板18を保持したボート26を処理炉28の外部に搬出(ボートアンロード)する。
【0099】
(回収工程)
そして、処理済の基板18を保持したボート26は、クリーンユニット35から吹出されるクリーンエア36によって極めて効果的に冷却される。そして、例えば150℃以下に冷却されると、ボート26から処理済の基板18を脱装してポッド9に移載した後に、新たな未処理基板18のボート26への移載が行われる。
【0100】
(障害解析処理)
次に、主コントローラ201が実行する障害解析処理の処理フローを、図4を主に用いて説明する。障害解析処理は、基板処理装置1が稼働している際に、繰り返し実行される。
【0101】
障害発生前後の予め指定した秒数分(第1の期間及び第2の期間)の装置データを保存する処理を説明する。
【0102】
まず、ステップS100において、主コントローラ201が起動される。主コントローラ201の制御部220は、起動時に現時点での全ての装置情報を連想配列(図7)に記録する。これを初期データとする。図7では、記憶部222の装置情報格納領域に、装置情報の連想配列が格納されている例を示している。
【0103】
そして、ステップS110において、主コントローラ201は、装置情報更新処理を行う。
【0104】
そして、ステップS120において、主コントローラ201は、障害情報確認処理を行う。
【0105】
ステップS130において、主コントローラ201が停止される。
【0106】
上記ステップS110の処理は、図5に示す装置情報更新処理により実現される。
【0107】
ステップS200において、制御部220は、下位コントローラ(すわなち、プロセス系コントローラ210や搬送系コントローラ230)から報告される装置情報の変化を常に監視し、装置情報に変化があったか否かを判定する。装置情報に変化がなかった場合には、装置情報を更新しないと判断し、ステップS220へ移行する。一方、装置情報に変化があった場合には、装置情報を更新すると判断し、ステップS210へ移行する。
【0108】
ステップS210において、変化があった装置情報を時系列順の配列(図10)に追加する。これを追加データとする。なお、下位コントローラに報告される装置情報の中には、現在時刻を表すタイムスタンプも含まれる。通常運用時(すわなち、障害が発生していない時)、追加データの配列にはa秒間分(第1の期間)の装置情報が保存される。
【0109】
a秒間(第1の期間)以上の装置情報が溜まった場合は、余剰データ(第1の期間の最も古い日時の装置情報)を初期データ(図7)の配列に追加していくため(すわなち、既に同じ種別があれば上書きする)、初期データは、常に現在時刻のa秒前のデータに更新される。
【0110】
ステップS220において、障害データを更新するか否かを判定する。
障害が発生し、まだ、障害データに、第2の期間の更新装置情報が追加されていない場合には、障害データを更新すると判断し、ステップS230へ移行する。この時、障害データには、初期データ(装置情報)と追加データ(第1の期間の更新装置情報)が格納されている。
【0111】
ステップS230において、取得終了時刻に到達したか否かを判定する。取得終了時刻に到達した場合には、ステップS240へ移行する。一方、取得終了時刻に到達していない場合には、装置情報更新処理を終了する。これにより、第2の期間の更新装置情報について取得終了時刻に到達するまで更新装置情報が更新される。
【0112】
ステップS240において、第2の期間の更新装置情報を障害データに追加し、装置情報更新処理を終了する。このとき、障害データは大きなサイズのデータであるため、圧縮を行い、記憶部222に記憶する。
【0113】
上記ステップS120の処理は、図6に示す障害情報確認処理により実現される。
【0114】
ステップS300において、障害が発生したか否かを判定する。障害が発生していない場合には、障害情報確認処理を終了する。一方、障害が発生している場合には、ステップS310へ移行する。
【0115】
ステップS310において、制御部220は、下位コントローラから報告される情報を元に障害情報を作成する。
【0116】
ステップS320において、制御部220は、上記ステップS310で作成された障害情報を含む障害データを生成する。このとき、障害発生時刻から取得開始時刻と取得終了時刻を計算し、初期データ(装置情報)と追加データ(第1の期間の更新装置情報)を障害データに格納する。そして、障害情報確認処理を終了する。
【0117】
そして、操作表示部227は、障害データを表示するように操作を受け付けると、発生障害履歴一覧の画面を表示する。指定の障害が選択されると、制御部220は、その障害情報の障害発生時刻を元に、記憶部222内に蓄積された障害データの中から、該当する障害データを取得し、図11に示すような障害データ表示画面300を表示する。
【0118】
また、操作表示部227は、障害データ表示画面300において、経過時間情報表示領域306のスライダーバーの操作を受け付けると、バーの位置と表示する装置情報の時刻を同期させる。
【0119】
また、操作表示部227は、障害データ表示画面300または発生障害履歴一覧の画面において、障害発生時に実行していたレシピの設定内容を編集及び確認するように操作を受け付けると、障害発生時に実行していたレシピの設定内容を編集可能に表示させる。
【0120】
(実施例1)
次に、障害発生の前後5秒間の装置情報を障害データとして保存する例について説明する。実施例1では、装置稼働時、MFC3のガス流量偏差エラーが、ガス流量制御コントローラ213から主コントローラ201に報告される例について説明する。
【0121】
この異常は障害報告の3秒前に、レシピ設定ミスによりMFC3の一次供給元側のバルブを操作したことによる流量異常が直接的な原因であったとする。
【0122】
従来技術では、3秒前の装置情報を障害データ表示画面で確認できないためこの原因を特定することができない。
【0123】
一方、本実施形態に係る基板処理装置1の主コントローラ201では、障害データ表示画面300において、上記図14に示すように関連画面(本実施例ではガス情報表示領域)を優先して表示し、該当箇所(本実施例ではMFC3のデータ)をハイライト表示するため、障害の発生個所を容易に把握できる。
【0124】
また障害発生の前後5秒前の装置情報から、使用者は一次供給側のバルブの設定値を遡って確認すれば障害の直接的原因(例えば、設定値ミス)を特定できる。さらに同画面内で実行レシピ情報を確認及び編集できるため該当箇所を正しい値に設定し直すことで本問題は解決に至る。
【0125】
(実施例2)
次に、装置稼働時、R軸アンロックエラーが、搬送制御コントローラ231から主コントローラ201に報告される例について説明する。
【0126】
この異常はロック機構への供給エア不足による機構のズレが原因であったとする。本実施形態に係る基板処理装置1の主コントローラ201では、障害データ表示画面300に関連画面(本実施例では駆動センサのセンサ情報の表示領域(図示省略))を優先して表示し、該当箇所(本実施例ではR軸のロック機構の駆動センサのセンサ情報)をハイライト表示するため障害の発生個所を容易に把握できる。
【0127】
また障害発生の前後5秒前の装置データから、センサの消灯タイミングやエア不足による異常の傾向であるふらつきを確認できる。
【0128】
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果が得られる。
【0129】
本実施形態に係る基板処理装置は、障害発生時に、障害発生前の予め定義された第1の期間に報告された第1の装置情報と、レシピとを、障害データとして障害発生時刻とともに記憶部222に記憶させる。また、基板処理装置は、さらに障害発生時から予め定義された第2の期間に報告される第2の装置情報を、障害データに追加する制御を行う。これにより、障害発生の原因を早急に特定し復旧することを支援することができる。
【0130】
また、発生した障害情報に対する装置情報を障害発生前後の予め定義された時間分保存するため、発生した障害情報に対するデータの管理が容易となる。また障害発生前後の予め定義された時間分のデータを表示することで、障害発生前後の装置情報の変化を確認することが可能となり、障害発生の原因の特定を支援することができる。
【0131】
また、保存された障害データは外部通信部229を介して外部上位コンピュータ202や、外部記憶部221を介して記録媒体に保存もできるため、外部上位コンピュータ202や、記録媒体に保存すれば、主コントローラ内の記憶部222の容量の圧迫を回避できる。
【0132】
また、従来であれば、障害情報に関連した装置情報は画面表示時に記憶部222からデータを取得するため、時間がかかっていた。本実施形態によれば障害発生時及び障害発生後に関連する装置情報を収集するため、画面表示時は収集したデータの範囲で装置情報を表示することが可能となり、画面表示時の待ち時間を回避することができる。
【0133】
また、収集した障害データは、障害発生時前後の予め定義された期間の装置情報を有しているため、障害発生前または障害発生後の装置の状態を確認することが可能であり、発生した障害の原因の追究が可能となる。その結果、障害の原因の特定までの期間を短くすることが可能となり、ダウンタイムの削減に貢献できる。
【0134】
また、障害の原因を特定した後、対象となる項目を障害データ表示画面から当該レシピの編集を行うことが可能となるため、修正の誤りを回避することができる。
【0135】
また、障害に関連した時系列での装置情報の表示も行うことが可能となるため、障害発生前の異常点を容易に確認することができる。
【0136】
また、使用者は障害報告の前後数秒間の装置情報とレシピ情報を同画面内で参照できるようになり、障害の原因を早急に特定できる。また、障害画面から実行レシピを直接編集できるため障害解決にかかる時間を縮小し装置ダウンタイムを低減する効果が得られる。
【0137】
以上、実施形態に係る基板処理装置を例示して説明した。実施形態は、基板処理装置の機能をコンピュータに実行させるためのプログラムの形態としてもよい。実施形態は、これらのプログラムを記憶したコンピュータが読み取り可能な非一時的記憶媒体の形態としてもよい。
【0138】
その他、上記実施形態で説明した基板処理装置の構成は、一例であり、主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更してもよい。
【0139】
また、上記実施形態で説明したプログラムの処理の流れも、一例であり、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【0140】
また、上記実施形態では、プログラムを実行することにより、実施形態に係る処理がコンピュータを利用してソフトウェア構成により実現される場合について説明したが、これに限らない。実施形態は、例えば、ハードウェア構成や、ハードウェア構成とソフトウェア構成との組み合わせによって実現してもよい。
【0141】
上記実施形態に於ける基板処理装置は、半導体製造装置だけではなく、LCD(Liquid Crystal Display)装置の様なガラス基板を処理する装置でも適用可能である。又、露光装置、リソグラフィ装置、塗布装置、プラズマを利用した処理装置等の各種基板処理装置にも適用可能である。
【0142】
また、障害データ及び装置情報を、主コントローラ201が有する記憶部222に記憶する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。外部記憶部221に接続したUSBやCD,DVD等に、障害データ及び装置情報を記憶してもよい。また、ネットワークを通じて外部通信部229に接続される外部上位コンピュータ202に障害データ及び装置情報を送信してもよい。
【0143】
上記実施形態では、一度に複数枚の基板を処理するバッチ式の基板処理装置を用いて膜を形成する例について説明した。本開示は上述の実施形態に限定されず、例えば、一度に1枚または数枚の基板を処理する枚葉式の基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用することができる。また、上述の実施形態では、ホットウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する例について説明した。本開示は上述の実施形態に限定されず、コールドウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用することができる。
【0144】
これらの基板処理装置を用いる場合においても、上述の実施形態と同様な処理手順、処理条件にて各処理を行うことができ、上述の実施形態と同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0145】
装置で発生した障害の原因の解析を支援する機能に関するものであり、各種基板処理装置に適用できる。
【符号の説明】
【0146】
1 基板処理装置
28 処理容器
201 主コントローラ
220 制御部
222 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14