(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044109
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】廃プラスチックのリサイクル方法
(51)【国際特許分類】
C08J 11/12 20060101AFI20240326BHJP
B29B 7/48 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
C08J11/12 ZAB
B29B7/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149454
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】春成 武
(72)【発明者】
【氏名】神谷 晃基
【テーマコード(参考)】
4F201
4F401
【Fターム(参考)】
4F201AA03
4F201AA04
4F201AR06
4F201BC01
4F201BC03
4F201BC25
4F201BD05
4F201BK02
4F201BK13
4F201BK26
4F201BP16
4F201BP20
4F201BP23
4F401AA09
4F401AD07
4F401BA06
4F401CA70
4F401CA79
4F401CB26
4F401DC06
(57)【要約】
【課題】 本発明は、廃プラスチックを簡便かつ効率的に熱分解させ、プラスチックスやゴムの成形助剤、滑剤、離型剤、インキおよび塗料添加剤、顔料分散剤、ホットメルト接着剤用途などに有用である高品質な熱分解ワックスとしてリサイクルする方法を提供する。
【解決手段】 廃プラスチックを押出機に供給し、該押出機内で熱分解させることにより熱分解ワックスとしてリサイクルする方法。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃プラスチックを押出機に供給し、該押出機内で熱分解させることにより熱分解ワックスとしてリサイクル方法。
【請求項2】
廃プラスチックが、ポリオレフィン系樹脂である、請求項1に記載のリサイクル方法。
【請求項3】
ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン系樹脂である、請求項2に記載のリサイクル方法。
【請求項4】
押出機が、2軸以上8軸以下の多軸スクリュ押出機である、請求項1に記載のリサイクル方法。
【請求項5】
押出機が、タンデム式押出機である、請求項1に記載のリサイクル方法。
【請求項6】
押出機の熱分解領域でのシリンダ温度330~480℃、熱分解後のワックスを押し出す押出機の先端温度100~300℃の条件にて廃プラスチックを押出機内で熱分解させる、請求項1~5のいずれかに記載のリサイクル方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃プラスチックのリサイクル方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラスチックは、その有用性から、幅広い製品や容器包装に利用されている。一方、カーボンニュートラルの実現、海洋プラスチックごみ問題や気候変動問題への対応強化が求められる中、プラスチックの循環を促進する重要性が高まっている。廃プラスチック(以下、廃プラと略記することもある。)を熱分解して合成したナフサを原料に、ナフサクラッカーと重合プラントを使ってポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等を製造するケミカルリサイクルは、劣化した廃プラもリサイクルが可能であり、またモノマーやオリゴマー原料からプラスチックを合成するため、リサイクル品はバージン品と同等の品質になる利点を有する。一方、リサイクルのプロセスが長く、複雑であることから、経済合理性に乏しい課題が指摘されている。
【0003】
ここで、分子量1万以下の低分子量ポリマーは、分子量数万から数十万の一般的なポリマーとは異なる物理的、化学的性質を示す。なかでも低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンなどのポリオレフィンワックスは、生産されるプラスチックの多くを占めるポリオレフィンだけでなく、ポリ塩化ビニルなどの樹脂とも高い相容性を示し、顔料分散剤や成形加工助剤、インキまたは塗料の添加剤、ホットメルト接着剤の添加剤など幅広い用途に使用されている。
【0004】
ポリオレフィンワックスの合成方法は重合法と熱分解法があり、熱減成された低分子量ポリオレフィン(例えば、特許文献1参照。)が提案されている。熱分解法は重合法と比較して製造コストが低く少量生産にも適しているなどの商業的な利点だけでなく、廃棄されたプラスチックを使用することができるなど、近年重要視されているリサイクルの観点からも有用な手法である。しかし、ポリオレフィンは他のポリマーと比較して熱分解温度が高く、ワックスを得るためには長時間、高温下で熱分解させる必要があるため、熱分解プロセスにおいて多くのエネルギーを要する。そのため、熱分解反応を促進する方法がいくつか提案されており、酸素及び過酸化物を添加する方法(例えば、特許文献2)、メルカプタン系有機化合物を添加する方法(例えば、特許文献3)、接触触媒と反応させる方法(例えば、特許文献4)などが提案されている。また、オレフィン系重合体を定量的に移送する定量移送手段と該定量移送手段に連結されたスクリュ型押出機とからなる熱分解反応器を複数段連結して構成される熱分解装置に供給することを特徴とする熱分解ワックスの製造方法(例えば、特許文献5)が提案されている。さらに、連続式廃プラスチック油化還元装置(例えば、特許文献6)、あるいは二軸スクリュ押出式の廃プラスチックの処理方法(例えば、特許文献7)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-158329号公報
【特許文献2】特公昭51-48196号公報
【特許文献3】特開平9-40801号公報
【特許文献4】特表2019-515060号公報
【特許文献5】特開平4-304205号公報
【特許文献6】WO2019/004462号公報
【特許文献7】特開2008-302555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に提案された管状反応器内でポリオレフィンを熱減成して得られる低分子ポリオレフィンにおいては、反応器内面に生じた熱劣化物が混入し、品質の低下した低分子ポリオレフィンとなる問題があった。さらに、特許文献2に提案の方法により得られるポリプロピレンにおいては、酸素と過酸化物によってポリプロピレンの分解が促進されるため、ポリプロピレンの酸化が起こり易く、本来ポリプロピレンが有する低極性といった特徴が損なわれる問題があった。また、特許文献3に提案の方法により得られる油状物おいては、合成重合体の熱分解においてメルカプタン系有機化合物を分解促進剤として用いるため、メルカプタン系有機化合物が残留することによる人体への有害性や臭気が問題となった。さらに、特許文献4に提案の方法により得られるワックスにおいては、接触触媒を用いてプラスチックをワックスへと転換するため、高価な触媒を用いることによるコスト上昇あるいは触媒残渣の混入による色相の悪化が問題となった。また、特許文献5に提案の方法は、高分解度の熱分解ワックスを得ることができるものであるが、廃棄プラスチックの使用については何ら言及されていない。そして、特許文献6に提案のプラスチック油化還元装置については、得られる生成油の特徴や熱分解ワックスについて何ら記載されていない。さらに特許文献7に提案の二軸スクリュ押出式の廃プラスチックの処理方法については、ペレットを含む成形品を得るための方法であり、熱分解ワックスについて何ら記載されていない。
【0007】
そこで、本発明は、廃プラスチックを、特に好ましくは廃棄されるポリエチレン系樹脂を簡便かつ効率的に熱分解させ、高品質な熱分解ワックスとしてリサイクルする方法を提供することを目的とするものであり、さらに詳しくは、プラスチックスやゴムの成形助剤、滑剤、離型剤、インキおよび塗料添加剤、顔料分散剤、ホットメルト接着剤用途などに有用である熱分解ワックスとしてリサイクルする方法を提供することにある。
【0008】
成形済、使用済等の樹脂、成形体の再利用、再生、原材料化、油化等の再利用効率を高めることは、包摂的で持続可能な産業化を推進化に寄与するものであり、近年叫ばれているSDGs等持続可能な社会に必要なテクノロジーの1つである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、廃プラスチックを押出機に供給し、該押出機内で熱分解させることにより簡便かつ効率的に高品質な熱分解ワックスとしてリサイクルできることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明の各態様は、以下に示す[1]~[6]である。
[1]廃プラスチックを押出機に供給し、該押出機内で熱分解させることにより熱分解ワックスとしてリサイクル方法。
[2]廃プラスチックが、ポリオレフィン系樹脂である、[1]に記載のリサイクル方法。
[3]ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン系樹脂である、[2]に記載のリサイクル方法。
[4]押出機が、2軸以上8軸以下の多軸スクリュ押出機である、[1]~[3]のいずれかに記載のリサイクル方法。
[5]押出機が、タンデム式押出機である、[1]~[3]のいずれかに記載のリサイクル方法。
[6]押出機の熱分解領域でのシリンダ温度330~480℃、熱分解後のワックスを押し出す押出機の先端温度100~300℃の条件にて廃プラスチックを押出機内で熱分解させる、[1]~[5]のいずれかに記載のリサイクル方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、廃プラスチックを簡便かつ効率的に熱分解させ、プラスチックスやゴムの成形助剤、滑剤、離型剤、インキおよび塗料添加剤、顔料分散剤、ホットメルト接着剤用途などに有用である高品質な熱分解ワックスとしてリサイクルする方法を提供することができ、その産業的価値は極めて高いものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0013】
本発明のリサイクル方法は、廃プラスチックを押出機に供給し、該押出機内で熱分解させることにより熱分解ワックスとしてリサイクルするものである。
【0014】
廃プラスチックは、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、エチレン―酢酸ビニル共重合体(以下、EVAと略記することもある。)、ケン化EVA等のポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやプリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニルなどの塩素性樹脂、6ナイロン、66ナイロンなどのポリアミド系樹脂、ポリスチレンなどのスチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂などの廃棄されるプラスチックを挙げることができ、さらにこれらの廃棄プラスチックの混合物であってもかまわない。また、該プラスチックの形態はペレット、パウダーなどに限らず、フィルム、シート、ボトル、繊維、パイプ、射出成型品などの成形品およびその破砕物であっても良く、使用済み品、規格外品、廃棄品などと称される廃プラスチックを挙げることができる。なお、該廃プラスチックが樹脂組成物である場合、各成分が互いに溶け合って混合された状態であっても、各成分がペレットや端材のような固形分の状態で物理的に混合した状態であってもかまわない。これら廃プラスチックの中でも、特に顔料分散剤や成形加工助剤、インキまたは塗料の添加剤、ホットメルト接着剤の添加剤など幅広い用途に使用でき、分子量の制御が容易であることから、ポリエチレン樹脂を主成分としたポリエチレン系樹脂であることが好ましく、該ポリエチレン樹脂の含有量としては、安定した品質の熱分解ワックスとなることから、該ポリエチレン樹脂が70重量%以上含まれることが好ましく、特に該ポリエチレン樹脂が80重量%以上であることが好ましい。
【0015】
該押出機としては、特に限定されるものではなく、例えば単軸スクリュ押出機、同方向回転2軸スクリュ押出機、異方向回転2軸スクリュ押出機、スクリュが押出機のシリンダ内に3本以上、並列して配置された4軸ないしは8軸などの多軸スクリュ押出機、さらにタンデム式押出機として、2台以上の押出機を直列に連結したもの、一方の押出機の出口と他方の押出機の入口とを連結してL字状に配置したもの、一方の押出機の出口と他方の押出機の側面とを連結してT字状に配置したものなどを挙げることができる。また、該タンデム式押出機を構成する各押出機としては、単軸スクリュ押出機あるいは2軸以上8軸以下の多軸スクリュ押出機などを挙げることができ、これら押出機を2台以上組み合わせてタンデム式押出機とすることができる。これら押出機の中でも、とりわけ品質の安定した熱分解ワックスが得られ、押出時のトルクや吐出量の安定性に優れることから、同方向回転2軸スクリュ押出機、4軸~8軸の多軸スクリュ押出機、タンデム式押出機であることが好ましい。
【0016】
また、本発明のリサイクル方法に用いられる押出機は、熱分解した低分子量のガス成分を効率的に押出機外に排出するため、真空ベント口が設置されたものであることが好ましい。さらに、廃棄プラスチックを十分に熱分解させることができ、品質の安定した熱分解ワックスが得られることから、スクリュ長さ(L)とスクリュ直径(D)の比(L/D)は30以上、特に40以上のスクリュであることが好ましい。
【0017】
また、本発明のリサイクル方法において、押出機に供給し、該押出機内で熱分解させる条件としては、原料の廃プラスチックや押出機の種類、あるいは所望とする熱分解ワックスの分子量などにより適宜調整されるべきものであるが、熱分解を短時間で行い、かつ得られる熱分解ワックスの臭気を抑えることが容易となることから、例えば、熱分解領域でのシリンダ温度は、330~480℃の範囲を挙げることができ、365~475℃であることがさらに好ましく、特に好ましくは380~450℃の範囲である。さらに、熱分解領域における熱分解時間、すなわちポリエチレン系樹脂の押出機内における滞留時間としては、1~30分の範囲を挙げることができ、2~20分であることがさらに好ましく、特に好ましくは3~15分の範囲である。さらに、熱分解後のワックスを押し出す際の押出機の先端温度は分子量をより精密に制御することが容易となることから、100~300℃以下の範囲を挙げることができ、100~280℃であることがさらに好ましく、特に好ましくは100~250℃の範囲である。また、得られる熱分解ワックスの臭気を抑え、かつ分子量の制御が容易となることから、熱分解させる際の押出機内は水素、ヘリウム、アルゴン、窒素、炭酸ガス等の不活性ガスにより置換されていることが好ましく、特に窒素ガスにより置換されていることが好ましい。そして、押出機より押し出された熱分解後のワックスはホットカット、ミストカット、アンダーウォーターカット等の方法あるいはスチールベルト上で冷却した後、カッティングするなどの方法によりペレットとすることが可能である。
【実施例0018】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによりなんら制限されるものではない。
【0019】
~熱分解ワックスのGPC測定~
以下の測定装置および器具を用い、以下の条件で測定を行った。
【0020】
装置:HLC-8321GPC/HT(検出器:RI方式)(東ソー株式会社製)
カラム:以下の(i)のカラムを1本、(ii)のカラムを3本、直列で使用
(i)TSKgel guArdColumuH(HR)(30)HT
(7.5mmI.D.)×7.5cm)(東ソー株式会社製)×1本
(ii)TSKgel GMH(HR)-H(20)HT
(7.5mmI.D.)×30cm)(東ソー株式会社製)×3本
溶離液:1,2,4-トリクロロベンゼン(BHT:0.05wt%含有)
(富士フィルム和光純薬株式会社製)
流速:1.0mL/分
注入量:0.3mL
カラム温度:140℃
システム温度:40℃
試料濃度:1mg/mL
検量線:東ソー株式会社製、標準ポリスチレンを用いた5次近似曲線。但し、分子量はQファクターを用いてPE換算分子量とした。そして、熱分解ワックスの数平均分子量(Mn)が500以上10,000以下のものを広範囲な用途に使用できる品質の優れるワックスであると判断した。
【0021】
実施例1
押出機として、スクリュ径12mm、スクリュ長さLとスクリュ直径Dの比(L/D)85の同方向回転2軸スクリュ押出機を用いた。また、揮発ガスを押出機外へ除去するため、真空ベント口を2か所設置した(押出機A-1)。そして、廃プラスチックとして、数平均分子量14,000の直鎖状低密度ポリエチレン製フィルムを粉砕機にて粉砕、減容した後、一定流量の窒素ガスと共に該押出機A-1に供給し、該第一押出機のニーディングゾーンのシリンダ温度を430℃に加熱した条件で原料供給速度2kg/hrにて溶融混錬することで熱分解させた。次いで、該溶融混錬したポリエチレン樹脂を該押出機の先端のシリンダ温度を180℃に加熱した条件にて、窒素雰囲気下に設置されたスチールベルト上に押出して冷却した後、カッティングすることでペレット状のポリエチレンワックスを1.6kg/hrの速度で得た。そして、得られたポリエチレンワックスを用いてGPC測定を行った結果、数平均分子量は5,000であった。
【0022】
実施例2
押出機として、スクリュ径12mm、スクリュ長さLとスクリュ直径Dの比(L/D)70の同方向回転2軸スクリュ押出機を第一押出機とし、スクリュ径20mm、L/D45の単軸スクリュ押出機を第二押出機として、該第一押出機の出口と第二押出機の入口とを連結してL字状に配置したタンデム式押出機を用いた。また、揮発ガスを押出機外へ除去するため、真空ベント口を第一押出機に2か所および第二押出機に1か所設置した(押出機A-2)。そして、廃プラスチックとして、数平均分子量20,000の高密度ポリエチレン製ボトルを粉砕機にて粉砕、減容した後、一定流量の窒素ガスと共に該押出機A-2に供給し、該第一押出機のニーディングゾーンのシリンダ温度を430℃に加熱した条件で原料供給速度2.5kg/hrにて溶融混錬することで熱分解させた。次いで、該溶融混錬したポリエチレン樹脂を該第一押出機の出口と連結された第二押出機に供給し、該第二押出機の先端のシリンダ温度を160℃に加熱した条件にて、窒素雰囲気下に設置されたスチールベルト上に押出して冷却した後、カッティングすることでペレット状のポリエチレンワックスを2kg/hrの速度で得た。そして、得られたポリエチレンワックスを用いてGPC測定を行った結果、数平均分子量は4,000であった。
【0023】
実施例3
押出機として、スクリュ径12mm、スクリュ長さLとスクリュ直径Dの比(L/D)40の同方向回転4軸押出機を用いた。また、揮発ガスを押出機外へ除去するため、真空ベント口を2か所設置した(押出機A-3)。そして、廃プラスチックとして、数平均分子量12,000の低密度ポリエチレン製フィルムを粉砕機にて粉砕、減容した後、一定流量の窒素ガスと共に該押出機A-3に供給し、該押出機のニーディングゾーンのシリンダ温度を400℃に加熱した条件で原料供給速度3kg/hrにて溶融混錬することで熱分解させた。次いで、該溶融混錬したポリエチレン樹脂を該押出機の先端のシリンダ温度を200℃に加熱した条件にて、窒素雰囲気下に設置されたスチールベルト上に押出して冷却した後、カッティングすることでペレット状のポリエチレンワックスを2.5kg/hrの速度で得た。そして、得られたポリエチレンワックスを用いてGPC測定を行った結果、数平均分子量は3,000であった。
【0024】
比較例1
廃プラスチックとして、数平均分子量14,000の直鎖状低密度ポリエチレン製フィルムを用い、粉砕機にて粉砕、減容した。次いで、得られた粉砕後の廃プラスチック2kgを攪拌機が装備された15リットルオートクレーブ内に一定流量の窒素ガスと共に供給し、該オートクレーブ内を撹拌した。そして、該オートクレーブを室温から10℃/分の速度で昇温し、420℃に達した後、90分間保持した。その後、オートクレーブ内に窒素ガスを供給しながら120分間冷却し、140℃に達した時点でオートクレーブからポリエチレンワックス1.5kgを抜き出した。そして、得られたポリエチレンワックスを用いてGPC測定を行った結果、数平均分子量は1,500であった。該ポリエチレンワックス1.5kgを得るために要した時間は280分であった。
【0025】
比較例2
廃プラスチックとして、数平均分子量20,000の高密度ポリエチレン製ボトルを用い、粉砕機にて粉砕、減容した。次いで、得られた粉砕後の廃プラスチック2.5kgを攪拌機が装備された15リットルオートクレーブ内に一定流量の窒素ガスと共に供給し、該オートクレーブ内を撹拌した。そして、該オートクレーブを室温から10℃/分の速度で昇温し、430℃に達した後、10分間保持した。その後、オートクレーブ内に窒素ガスを供給しながら60分間冷却し、220℃に達した時点でオートクレーブからポリエチレンワックス1.8kgを抜き出した。そして、得られたポリエチレンワックスを用いてGPC測定を行った結果、数平均分子量は13,000であった。該ポリエチレンワックス1.8kgを得るために要した時間は120分であった。
本発明は、廃プラスチックを簡便かつ効率的に熱分解させ、プラスチックスやゴムの成形助剤、滑剤、離型剤、インキおよび塗料添加剤、顔料分散剤、ホットメルト接着剤用途などに有用である高品質な熱分解ワックスとしてリサイクルする方法を提供するものである。