(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044136
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】計測装置、計測システム、蒸着装置、計測方法、および成膜方法
(51)【国際特許分類】
C23C 14/56 20060101AFI20240326BHJP
C23C 14/24 20060101ALI20240326BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20240326BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20240326BHJP
【FI】
C23C14/56 G
C23C14/24 J
H05B33/10
H05B33/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149508
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】591065413
【氏名又は名称】キヤノントッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】中村 論
(72)【発明者】
【氏名】樽茶 友昭
【テーマコード(参考)】
3K107
4K029
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC45
3K107FF15
3K107GG04
3K107GG32
3K107GG42
3K107GG54
4K029AA09
4K029AA24
4K029BA62
4K029BB03
4K029BC07
4K029BD01
4K029CA01
4K029DA03
4K029DB06
4K029DB14
4K029EA00
4K029HA01
4K029JA01
4K029KA02
4K029KA03
4K029KA09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】真空チャンバ内で搬送中の搬送対象物の搬送状況を検出することができる計測装置、計測システム、蒸着装置、計測方法、および成膜方法を提供する。
【解決手段】インライン型の蒸着装置200に用いられる計測装置であって、蒸着装置は、真空に維持される搬送空間を形成するチャンバと、チャンバ内で搬送対象物を搬送する搬送手段と、を備え、計測装置は、チャンバ外に配置され、搬送対象物がチャンバ内で搬送手段によって搬送されている間に、搬送手段の搬送方向に対する幅方向における搬送対象物の位置を計測する第1の計測手段を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インライン型の蒸着装置に用いられる計測装置であって、
前記蒸着装置は、
真空に維持される搬送空間を形成するチャンバと、
前記チャンバ内で搬送対象物を搬送する搬送手段と、
を備え、
前記計測装置は、前記チャンバ外に配置され、搬送対象物が前記チャンバ内で前記搬送手段によって搬送されている間に、前記搬送手段の搬送方向に対する幅方向における前記搬送対象物の位置を計測する第1の計測手段を備えることを特徴とする計測装置。
【請求項2】
前記第1の計測手段は、前記幅方向における前記第1の計測手段と前記搬送対象物との間の距離に応じて出力値が変化するレーザ測距計を備え、前記出力値に基づいて前記搬送対象物の前記幅方向における位置を検出することを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
複数の第1の計測手段と、
前記複数の第1の計測手段の計測結果に基づいて、前記搬送手段によって形成される搬送面における前記搬送方向に対する搬送対象物の角度を判定する第1の判定手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項4】
前記複数の第1の計測手段は、前記搬送方向で隣り合う2つの前記第1の計測手段の間隔が、前記搬送対象物の前記搬送方向における長さの半分以下となるように配置されることを特徴とする請求項3に記載の計測装置。
【請求項5】
前記蒸着装置は、複数の前記チャンバを有し、
複数の前記チャンバのそれぞれに、前記搬送方向で隣り合う2つの前記第1の計測手段の間隔が前記搬送対象物の前記搬送方向における長さ以下となるように、前記複数の第1の計測手段が配置されることを特徴とする請求項3に記載の計測装置。
【請求項6】
前記第1の計測手段が同一の搬送対象物について複数回計測した計測結果に基づいて、前記搬送手段によって形成される搬送面における前記搬送方向に対する搬送対象物の角度を判定する第2の判定手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項7】
前記蒸着装置は、前記チャンバ内で前記幅方向における搬送対象物の位置を規制するガイド手段を備え、
前記搬送対象物は、前記幅方向における前記ガイド手段の位置を計測する第2の計測手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項8】
前記蒸着装置は、前記幅方向における前記ガイド手段の位置を調整する第1の調整手段を有し、
前記第1の計測手段の計測結果と、前記第2の計測手段の計測結果とから前記第1の調整手段を制御する第1の制御手段を備えることを特徴とする請求項7に記載の計測装置。
【請求項9】
2つの前記ガイド手段が前記幅方向において搬送対象物を挟むように配置され、
前記第1の制御手段は、前記幅方向における前記2つのガイド手段の間隔が所定の範囲内になるように前記第1の調整手段を調整することを特徴とする請求項8に記載の計測装置。
【請求項10】
前記第1の制御手段は、前記搬送対象物と前記ガイド手段との間隔が所定の範囲内になるように前記第1の調整手段を調整することを特徴とする請求項8に記載の計測装置。
【請求項11】
前記搬送対象物は、前記搬送方向に対する高さ方向における前記搬送手段の位置を計測する第3の計測手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項12】
前記搬送手段は前記搬送対象物を載置して搬送する複数の搬送ローラを備え、
前記蒸着装置は、前記複数の搬送ローラの前記高さ方向における位置を調整する第2の調整手段を有し、
前記第3の計測手段に基づいて前記第2の調整手段の前記高さ方向における位置を制御する第2の制御手段を備えることを特徴とする請求項11に記載の計測装置。
【請求項13】
前記搬送手段は、前記搬送方向に向かって左右に配置され、前記搬送対象物を載置して搬送する複数の搬送ローラを備え、
前記第1の計測手段の計測結果に基づいて前記搬送方向に向かって左右に配置された前記複数の搬送ローラの駆動状態を制御する第3の制御手段を有することを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項14】
インライン型の蒸着装置と、計測装置と、計測キャリアと、を含む計測システムであって、
前記蒸着装置は、
真空に維持される搬送空間を形成するチャンバと、
前記チャンバ内で搬送対象物を搬送する搬送手段と、
前記チャンバ内で前記搬送手段によって搬送される搬送対象物の搬送方向に対する幅方向の位置を規制するガイド手段と、
前記幅方向における前記ガイド手段の位置を調整する第1の調整手段と、
を備え、
計測キャリアは、
前記ガイド手段と前記計測キャリアとの間の距離を計測する第2の計測手段と、
前記第2の計測手段の計測結果を出力する出力手段と、
を備え、
前記計測装置は、
前記搬送手段の搬送方向に対する幅方向における前記搬送対象物の位置を計測する第1の計測手段と、
前記第1の計測手段の計測結果と、前記第2の計測手段の計測結果とに基づいて前記第1の調整手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする計測システム。
【請求項15】
前記第1の計測手段は、前記チャンバ外に配置され、搬送対象物が前記チャンバ内で前記搬送手段によって搬送されている間に、前記搬送手段の搬送方向に対する幅方向における前記搬送対象物の位置を計測することを特徴とする請求項14に記載の計測システム。
【請求項16】
2つの前記ガイド手段が前記幅方向において搬送対象物を挟むように配置され、
前記制御手段は、前記2つのガイド手段のそれぞれに対する前記第2の計測手段の計測結果に基づいて前記2つのガイド手段のいずれかの位置を調整するよう前記第1の調整手段を制御することを特徴とする請求項14に記載の計測システム。
【請求項17】
前記出力手段は、無線通信を介して外部装置へ前記第2の計測手段の計測結果を送信することを特徴とする請求項14に記載の計測システム。
【請求項18】
前記計測キャリアは、前記第2の計測手段および前記出力手段に電力を供給するバッテリを備えることを特徴とする請求項14に記載の計測システム。
【請求項19】
前記計測キャリアは、前記搬送方向に対する高さ方向における前記搬送手段の位置を計測する第3の計測手段を備えることを特徴とする請求項14に記載の計測システム。
【請求項20】
前記搬送手段は搬送対象物を載置して搬送する複数の搬送ローラを備え、
前記計測装置は、前記第3の計測手段に基づいて前記複数の搬送ローラのうちの少なくとも何れかの前記高さ方向における位置を調整する第2の調整手段を有することを特徴とする請求項19に記載の計測システム。
【請求項21】
インライン型の蒸着装置であって、
前記蒸着装置は、
真空に維持される搬送空間を形成するチャンバと、
前記チャンバ内で搬送対象物を搬送する搬送手段と、
計測装置と、
を備え、
前記計測装置は、前記チャンバ外に配置され、搬送対象物が前記チャンバ内で前記搬送手段によって搬送されている間に、前記搬送手段の搬送方向に対する幅方向における前記搬送対象物の位置を計測する第1の計測手段を備えることを特徴とする蒸着装置。
【請求項22】
インライン型の蒸着装置に用いられる計測方法であって、
前記蒸着装置は、
真空に維持される搬送空間を形成するチャンバと、
前記チャンバ内で搬送対象物を搬送する搬送手段と、
を備え、
前記チャンバ外に配置された計測装置を用いて、搬送対象物が前記チャンバ内で前記搬送手段によって搬送されている間に、前記搬送手段の搬送方向に対する幅方向における前記搬送対象物の位置を計測する第1の計測工程を備えることを特徴とする計測方法。
【請求項23】
成膜方法であって、
請求項22に記載の計測方法によって位置を計測された前記搬送対象物が基板を搬送する搬送工程と、
前記搬送工程において搬送された前記基板に成膜を行う成膜工程と、
を備えることを特徴とする成膜方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インライン式の成膜装置のための計測装置、計測システム、蒸着装置、計測方法、および成膜方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機ELディスプレイの製造では、TFT(薄膜トランジスタ)を形成した基板上に有機材料が成膜される。有機材料の成膜方法としては、真空蒸着が主流となっており、TFTが形成された面を下向きにして基板の下方から蒸着材料を上向きに成膜する方法が使用される。TFTを形成した基板には、複数のパネル領域が配置されることがあり、マザーガラスと呼ばれうる。近年、マザーガラスのサイズが大きくなっているため、従来のガラス基板を静止させた状態での成膜方法から基板を移動させながら成膜するインライン成膜装置が検討されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、インライン型の成膜装置においては搬送中のマザーガラスなどの搬送物の蛇行を抑制する目的で搬送路の側方にサイドローラが設けられる。しかしながら、大気環境下でサイドローラの位置を調整しても、真空環境下で真空チャンバの歪みが生じることでサイドローラの位置が変化してしまう場合があり、真空環境下で搬送物が適切に搬送されない場合が生じうる。
【0005】
上記の課題を鑑み、本発明は、真空チャンバ内で搬送中の搬送対象物の搬送状態を検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明によれば、インライン型の蒸着装置に用いられる計測装置であって、
前記蒸着装置は、
真空に維持される搬送空間を形成するチャンバと、
前記チャンバ内で搬送対象物を搬送する搬送手段と、
を備え、
前記計測装置は、前記チャンバ外に配置され、搬送対象物が前記チャンバ内で前記搬送手段によって搬送されている間に、前記搬送手段の搬送方向に対する幅方向における前記搬送対象物の位置を計測する第1の計測手段を備えることを特徴とする計測装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、真空チャンバ内で搬送中の搬送対象物の搬送状態を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る生産ラインの一例を示す概略図
【
図3】(A)は計測キャリアの構成図、(B)は計測キャリアの断面図、(C)は計測キャリアのレーザ光の入出力部を示す図
【
図4】計測キャリアおよび制御装置の構成例を示すブロック図
【
図5】(A)はYZ平面における搬送体センサの計測概念図、(B)はXY平面における搬送物センサの計測概念図
【
図6】(A)、(B)は搬送体センサの配置例を示す図
【
図8】(A)は計測キャリアによるサイドローラの計測概念図、(B)は計測キャリアによる反射部材の計測概念図
【
図10】(A)、(B)は左右のサイドローラセンサの計測結果の一例を示す図
【
図11】サイドローラの位置調整処理例を示すフローチャート
【
図12】計測キャリアによる搬送ローラの計測概念図
【
図13】搬送ローラの位置調整処理例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
<第1実施形態>
図1を参照して、本実施形態に係る生産ラインの一例を説明する。
【0011】
図1に示す生産ラインにおいて基板投入部11よりガラス基板7(以下、基板7と略する場合がある)を投入する。ガラス基板7は投入時に下面が成膜面となるようにして基板投入部11に投入される。基板投入部11に投入されたガラス基板7は基板投入部11に接続された不図示の真空ポンプにより所定の圧力以下となるまで減圧される。本実施形態では、基板投入部11は5.0×10
-4Pa以下になるまで減圧処理を行う。そのため、基板投入部11のチャンバの内容量は少ない方が排気にかかる時間が少なくて済むため、本実施形態では基板投入部11においてガラス基板の回転は行われないものとする。このため、ガラス基板7は基板投入部11に成膜面を下面にして投入される。
【0012】
本実施形態におけるガラス基板7は第六世代と呼ばれる基板サイズであり、具体的には1850mm×1500mm×0.5tの無アルカリガラスである。ガラス基板7はマスク8の上に積載されており、マスク8のサイズは2050mm×1700mm×50mmである。ガラス基板7には有機ELディスプレイであればTFT回路が形成されている。有機EL照明であれば電極が形成されている。
【0013】
基板投入部11にて所定の圧力以下となるまで不図示の真空ポンプにて排気が行われたら、基板搬送部12内に設置されている真空搬送用ロボット24にてガラス基板7を搬送する。具体的には、基板投入部11と基板搬送部12の間にあるゲートバルブと呼ばれる開閉可能な板状の弁を開け、真空搬送用ロボット24が基板投入部11にあるガラス基板7を受け取ることで搬送を行う。この時、基板搬送部12内の圧力は基板投入部11より低い1.0×10-4Pa以下である。ガラス基板7を受け取った真空搬送用ロボット24は基板搬送部12内にガラス基板7を引き込む。基板搬送部12にガラス基板7を引き込んで所定の位置に達してから、基板投入部11と基板搬送部12の間に設けられた開閉可能な板状の弁を閉じる。基板搬送部12には必要に応じてガラス基板7をストックするバッファ部やガラス基板7の成膜面を活性化する前処理部を設けてもよいが、本実施形態では省略する。
【0014】
次に基板搬送部12に引き込まれたガラス基板7を基板マスク合体部13へ引き渡す。まず基板マスク合体部13にマスクリターン部21もしくはマスク投入部20からマスク8を投入する。続いて、基板搬送部12と基板マスク合体部13との間に設けられた開閉可能な板状の弁を開け、真空搬送用ロボット24は、ガラス基板7を基板マスク合体部13の不図示の基板受けへと受け渡す。ガラス基板7の受け渡しが完了したら、真空搬送用ロボット24は基板搬送部12内の所定位置に戻り、基板搬送部12と基板マスク合体部13の間に設けられた開閉可能な板状の弁を閉じる。続いて、基板マスク合体部13は基板受けに配置されたガラス基板7をマスク8上に移動する。
【0015】
ガラス基板7をマスク8上に配置する際に、基板マスク合体部13はガラス基板7とマスク8を位置合わせする不図示のアライメント機構により位置合わせ処理を実行する。位置合わせ処理では、ガラス基板7とマスク8を基板マスク合体部13内でそれぞれをセンタリングしてから合体させる方法や、ガラス基板7とマスク8に位置合わせ用のマークを設けて画像処理によるアライメント動作を行う方法を採用することができる。
【0016】
続いて、マスク8上に置かれたガラス基板7の上に、マスク8とガラス基板7とを密着させるための部材を置く。具体的には、マグネットを利用したものやガラス基板の形状を整える機構を有した部材である。マスク8とガラス基板7とを合体させたものを以下ではマスク済み基板9と称する。マスク8は開口を有し、これによってマスク済み基板9の下方から後述する蒸着部から有機材料(以下、蒸着材料とも称する)を放出することで、後述する成膜部15においてガラス基板7上の所定の位置に有機材料を蒸着することができる。
【0017】
マスク済み基板9を積載した状態で基板マスク合体部13、追付き部14、成膜部15、引離し部16、基板マスク分離部17を搬送ローラによる搬送を行う。
【0018】
基板マスク合体部13は、マスク済み基板9を追付き部14へ移動する。基板マスク合体部13からマスク8の下面に接触する搬送ローラが所定の間隔で配置されており、マスク済み基板9の搬送動作を行う。追付き部14においては、先行するマスク済み基板9の間隔を狭める動作を行う。具体的には先行するマスクが成膜速度で搬送されている状態において、成膜速度以上の速度で間隔を狭め、間隔が近くなったら成膜速度とすることで、間隔を狭めることができる。搬送方向で前後のマスク済み基板9の間隔を狭めることができれば、成膜材料の無駄を減らすことができる。しかしながら、マスク済み基板9同士が接触してしまうとパーティクルの発生や、基板7とマスク8との位置ずれや歪みの原因となってしまう。このため、追付き部14は最小限の間隔が確保されていることが好ましい。基板マスク合体部13から搬送ローラ4によってマスク済み基板9を搬送する。
【0019】
追付き部14でマスク済み基板9の間隔を狭めた状態を維持して成膜部15へとマスク済み基板9を搬送していく。搬送中はマスク済み基板9の姿勢を検出して、後述するマスク済み基板9の姿勢制御を行いながら成膜処理を実行する。成膜部15においては不図示の成膜源が設置されていて、蒸着であれば蒸着源、スパッタであればターゲット、化学蒸着法(CVD)であれば電極と成膜ガスの流路が設けられる。本実施形態においては蒸着における例を挙げるがスパッタやCVDにおいても同様に、後述する搬送及び蛇行の制御を行うことができる。
【0020】
成膜部15では一般的に複数層の膜を成膜する。成膜源は固定で、マスク済み基板9を搬送することで、所望の膜をガラス基板に蒸着することができる。単色発光の有機ELデバイスであれば、発光エリアの開口があるマスクを使用する。複数色発光の有機ELデバイスであれば、各色に成膜したいエリアの開口があるマスクを使用することになる。インライン成膜方式では照明用途も含めて単色発光デバイスが主流である。単色発光の有機ELデバイスにおいても、一般的にホール輸送層、発光層、電子輸送層などの複数層の成膜を行う。マスク済み基板9の搬送速度に合わせて各層の成膜レートを調整して所望の膜を所望の膜厚で成膜をすることで有機ELデバイスの成膜を行う。
【0021】
成膜部15にて成膜処理が終了して、マスク済み基板9が引離し部16へ搬送されると、次の基板マスク分離部17にて停止して処理を行う必要があるため、搬送方向で前後のマスク済み基板9の間隔をあける。引離し時は、引離し部16に設けられた不図示の位置確認センサを使用し、マスク済み基板9が所定の位置を過ぎると、マスク済み基板9が乗っている引離し部16の搬送ローラのみの回転速度を上げる。これによって搬送方向で上流のマスク済み基板9との距離を広げることができる。
【0022】
続いて、引離し部16はマスク済み基板9を基板マスク分離部17へと搬送する。基板マスク分離部17に滞留中の基板7またはマスク8がなければ、引き離し速度のままマスク済み基板9を基板マスク分離部17へ搬送してもよい。
【0023】
基板マスク分離部17は、搬送されたマスク済み基板9のマスク8とガラス基板7とを密着させるための部材を取り外し、基板マスク分離部17内部の機構によりガラス基板7を持ち上げる。持ち上げたガラス基板7は基板搬送部18に設置されている真空搬送用ロボット25にて基板搬送部18へと搬送される。マスク8はマスクリターン部21にて基板マスク合体部13へ送るかマスク排出部23へと搬送される。
【0024】
基板搬送部18へガラス基板7を搬送する際は、基板マスク分離部17と基板搬送部18の間に設けられた開閉可能な板状の弁を開ける。真空搬送用ロボット25が基板マスク分離部17の向きになるように旋回動作を行い、基板マスク分離部17に置かれたガラス基板7の下面にアームを伸ばしてからすくい上げるようにしてガラス基板7を受け取る。ガラス基板7を受け取った真空搬送用ロボット25は基板搬送部18内にガラス基板7を引き込む。基板搬送部18にガラス基板7を引き込んで所定の位置に達してから、基板マスク分離部17と基板搬送部18の間に設けられた開閉可能な板状の弁を閉じる。基板搬送部18には必要に応じて成膜後のガラス基板7をストックするバッファ部や有機膜が劣化することを防止する封止部を設けてもよいが、本実施形態では省略する。
【0025】
基板搬送部18から基板排出部19へとガラス基板7を搬送する際は、基板搬送部18と基板排出部19の間に設けられた開閉可能な板状の弁を開ける。真空搬送用ロボット25が基板排出部19の向きになるように旋回動作を行い、基板排出部19内に設けられたガラス基板積載部にガラス基板7を搬送する。真空搬送用ロボット25が基板搬送部18内の所定の位置に達してから、基板搬送部18と基板排出部19の間に設けられた開閉可能な板状の弁を閉じる。
【0026】
基板排出部19では、後工程が真空環境であれば大気圧に戻す動作は行わない。後工程によっては、窒素雰囲気にするための窒素ベントや大気ベントを行ってもよい。
【0027】
以上、本実施形態を実施するための形態を記載した。なお、上述の形態では、ガラス基板7、または、ガラス基板7とマスク8とが重ねあわされたものを、搬送体(搬送対象物)として搬送している。これら以外にも、ガラス基板7を保持する基板キャリアを搬送体として用いてもよいし、後述するように計測キャリアを搬送体として用いてもよい。本実施形態では、チャンバによって形成される搬送空間は、真空に維持された状態で搬送対象物を搬送するものとして説明を行う。
【0028】
インライン成膜方式の搬送においては、マスク上にガラス基板を積載して搬送する。搬送対象物の搬送前に搬送ローラの位置を調整しても、真空状況下では調整時の位置から搬送ローラが移動してしまう場合がある。このため、真空状況下において搬送対象物が蛇行せずに正しく搬送されているか検出することが必要である。
【0029】
以下の実施形態では、真空状況下において搬送対象物の搬送状況を検出する方法について説明する。
【0030】
また、搬送中のガラス基板などの搬送体の蛇行を抑制する目的で、搬送方向からガイド機能をするサイドローラが設けられている。ここで、蛇行した搬送体がサイドローラに強く接触すると、接触によってパーティクルの発生や基板とマスクのズレが発生する場合がある。このため、搬送体とサイドローラとの接触の発生を防ぐ方法として、搬送ローラの駆動を制御して、蛇行を抑えることで搬送体とサイドローラとの接触を防ぐ方法も検討されている。しかしながら真空状況下では大気状態と比べてチャンバが変形する場合があり、、このような場合、大気状態において調整された搬送制御を行っても蛇行が発生する場合がある。これによって、蛇行した搬送体がサイドローラに強く接触してしまう場合がある。また、真空状況下では待機状態と比べてサイドローラの位置が変化する場合があり、サイドローラによっては搬送体に接触しやすい位置に変化してしまう場合がある。
【0031】
以下の実施形態では、真空状況下でもサイドローラと搬送体との接触を防ぐ方法について説明する。
【0032】
<計測システム>
図2は本実施形態に係る計測システムの一例を示す概略図である。
図2に示す蒸着装置200は、チャンバ壁106を有するチャンバ内で、複数の搬送ローラ101によって搬送対象物を搬送するインライン型の成膜装置の一例である。なお、本実施形態では、蒸着装置200は、成膜部15に配置され、マスク済み基板9、マスク8、及び後述する計測キャリア100を含む搬送対象物を搬送するものとして説明を行う。しかしながら、追着き部14、引離し部16、およびマスクリターン部21の少なくともいずれかの搬送装置にも適用可能である。
図2の例では、搬送対象物として計測キャリア100が搬送される。
【0033】
搬送ローラ101は、搬送モータ102によって駆動される本実施形態に係る搬送部の一例である。チャンバ壁106にはチャンバ窓108が設けられ、チャンバの外側に搬送体センサ107が設置される。搬送体センサ107の位置はチャンバ内が大気中であっても真空中であってもその影響を受けることなく位置は変動しない。一例では、搬送体センサ107はチャンバとは異なる支持部材1072によって支持されることで、真空状態か大気状態化によらず位置が変動しないように配置される。チャンバ窓108は、チャンバを真空状況に保ちながら搬送体センサ107による搬送体の計測を可能にするように、光を透過するアクリルやガラスなどの部材を含んで構成される。搬送体センサ107は、発光部と受光部とを備え、発光部から出力されたレーザ光が計測方向(矢印1071)に位置する物体によって反射した反射光を受光部で検出することで物体との距離を計測する光学式の測距センサの一例である。搬送体センサ107によって、計測キャリア100などの搬送体が搬送体センサ107の計測方向に位置することを検出し、搬送体までの距離を特定することができる。これによって、
図5(B)を参照して後述するように、搬送体センサ107の検出結果に応じて搬送体の蛇行を検出することができる。
【0034】
図2では、搬送体センサ107は計測キャリア100の搬送方向に向かって左側(L側)を計測しているが、搬送方向に向かって右側(R側)で計測してもよいし、左右両方で計測してもよい。
【0035】
上述したように、
図2では、チャンバ内のマスク済み基板9の搬送路上に、搬送路のサイドローラ105L、105R(以下、区別せずサイドローラ105と参照する場合がある)の距離を計測するための計測工具として計測キャリア100を搬送する。サイドローラ105は、搬送体に当接することで搬送体の蛇行を規制するガイドユニットの一例である。サイドローラ105は、アクチュエータ110Lおよび110R(以下、区別せずアクチュエータ110と参照する場合がある)を用いて位置が調整される。アクチュエータ110は、サイドローラ105のY方向の位置を調整するための位置調整ユニットの一例である。
【0036】
また、サイドローラ105に対応付けて反射部材109が設けられる。反射部材109は、計測キャリア100のサイドローラセンサ104に対向する位置に配置され、サイドローラセンサ104から出力されたレーザ光を反射する。これによって、
図2では反射部材109は搬送方向でサイドローラ105と重ならない位置に配置されるものとして図示しているが、反射部材109の配置はこれに限定されない。例えば、反射部材109は、搬送方向でサイドローラ105と重なり、鉛直方向(Z方向)で異なる位置に配置されてもよい。すなわち、反射部材109は、サイドローラセンサ104によって距離が計測された場合に、サイドローラ105までの距離が特定可能であればよく、サイドローラセンサ104とサイドローラ105との配置は任意に変更することができる。
【0037】
本実施形態に係る制御装置201は、搬送体センサ107と接続されることで計測装置として機能する。また、制御装置201は、搬送体センサ107およびアクチュエータ110に接続され、搬送体センサ107の計測結果およびサイドローラセンサ104の計測結果に基づいてサイドローラ105の位置を調節する。また、制御装置201は、搬送モータ102に接続され、搬送体センサ107の計測結果に基づいて搬送体の蛇行を検出し、蛇行を抑えるよう搬送モータ102を制御してもよい。
【0038】
<計測キャリアの構成>
計測キャリア100は、サイドローラセンサ104L、104Rを備える計測ボックス103L、103Rによってサイドローラ105L、105Rまでの距離計測を行う本実施形態に係る搬送対象物の一例である。以下、サイドローラセンサ104L、104Rを区別せずサイドローラセンサ104と参照し、計測ボックス103L、103Rを区別せず計測ボックス103と参照する場合がある。各サイドローラについて計測動作を実行し、計測キャリア100の搬送方向(
図2のX方向)からみて左右のサイドローラ間距離を計測することができる。
【0039】
なお、
図2において計測キャリア100は計測ボックス103L、103Rをそれぞれ1つずつ有するものとして図示しているが、複数の計測ボックス103L、103Rを備えてもよい。
【0040】
サイドローラセンサ104は、発光部と受光部とを備え、発光部から出力されたレーザ光が計測方向(矢印1041、1042)に位置する物体によって反射した反射光を受光部で検出することで物体との距離を計測する光学式の測距センサの一例である。本実施形態では、サイドローラセンサ104から出力されたレーザ光は、サイドローラ105L、105R、および反射部材109の少なくとも何れかによって反射される。すなわち、サイドローラセンサ104は、サイドローラセンサ104からサイドローラ105L、105R、および反射部材109の少なくとも何れかまでの距離を計測する。
【0041】
図3(A)は、計測キャリア100の構成を示す上方図である。計測キャリア100は、搬送路に配された左右の搬送ローラ101にそれぞれ接触する左右の搬送板301L、301Rを連結部材302で搬送方向前後において連結したフレーム構造になっている。
【0042】
左右の搬送板301L、301R(総称して搬送板301と呼ぶ)は、搬送ローラ101に当接して搬送される被搬送部である。搬送板301には、それぞれ搬送方向に向かって外側に位置する物体の搬送方向に向かって左右(Y方向)の距離を計測する左右の計測ボックス103L、103Rが配置される。
【0043】
図3(B)に計測キャリア100のXY面における断面図を示す。測距ユニット303は、筐体330と、筐体330内に配置されたサイドローラセンサ104を備える。筐体330は、真空環境においても筐体330内を大気圧の状態に維持するように密閉される。サイドローラセンサ104は増幅回路を含む。サイドローラセンサ104は、計測キャリア100の搬送方向に向かって左右の側方に位置する物体との距離を計測する光学式の測距センサの一例である。レーザ測距計は、発光部と受光部とを備え、発光部から出力されたレーザ光が計測キャリア100の側方に位置する物体によって反射した反射光を受光部で検出することで、サイドローラセンサ104と物体との間の距離を計測することができる。
【0044】
筐体330には、サイドローラセンサ104から出力されたレーザ光が透過可能な透過窓331が設けられる。これによって、点線332に示すように、レーザ光を筐体330の外側に照射することができる。
【0045】
なお、本実施形態では、サイドローラセンサ104から出力されたレーザ光が搬送板301によって遮蔽されないように、搬送板301には切り欠き311が設けられる。
【0046】
図3(C)に透過窓331のY方向から見た図を示す。透過窓331は、サイドローラセンサ104の発光部から照射されたレーザ光を透過する第1透過部351と、物体で反射したレーザ光をサイドローラセンサ104の受光部に透過する第2透過部352とを備える。
【0047】
図4は計測キャリア100および制御装置201の構成図である。計測ボックス103L内にはサイドローラセンサ104L、無線通信部131L、およびバッテリ132Lが配されている。計測ボックス103R内にはサイドローラセンサ104R、無線通信部131R、およびバッテリ132Rが配されている。無線通信部131Lおよび131Rを介して、サイドローラセンサ104L、104Rの計測結果が制御装置201へと無線送信される。以下、無線通信部131Lおよび131Rを区別せずに無線通信部131と参照し、バッテリ132Lおよび132Rを区別せずにバッテリ132と参照する場合がある。
【0048】
計測キャリア100が真空中を移動している間、外部からの電源供給が行えない。このため、バッテリ132L、132Rが配され、それぞれサイドローラセンサ104L、104R、並びに無線通信部131L、131Rへ電源供給を行う。
【0049】
なお、
図4においては計測ボックス103Lおよび103Rのそれぞれがバッテリ132、無線通信部131を有するものとして図示している。一方、計測ボックス103Lと103Rとがフレキ管(不図示)を通して配線を行うことで接続される場合は、計測ボックス103Lおよび103Rのいずれか一方にのみバッテリ132、無線通信部131が配置されてもよい。
【0050】
無線通信部131からチャンバ壁106の外側の制御装置201の無線通信部212へ、サイドローラセンサ104によって計測された第1計測データを送信する。搬送体センサ107から制御装置201へも搬送体までの距離を示す情報を含む第2計測データが送信される。制御装置201の制御部211で第1計測データおよび第2計測データの演算処理を行い、サイドローラ105の移動調整量を算出し、その算出結果を出力部213を介してアクチュエータ110へ送信する。これによって、制御装置201はサイドローラ105の位置を調整することができる。
【0051】
<姿勢計測処理>
続いて、
図5(A)および
図5(B)を参照して本実施形態に係る搬送対象物の姿勢計測処理について説明する。
図5(A)及び
図5(B)の例では、マスク済み基板9が搬送対象物として矢印に沿って搬送されるものとして説明する。
【0052】
図5(A)はYZ平面における搬送システムの断面図である。搬送体センサ107は、搬送板301にレーザ光を照射して、距離500を検出することができる。
【0053】
図5(B)はXY平面における搬送システムの断面図である。制御装置201は、搬送方向で異なる位置に設けられた搬送体センサ107から取得した距離データを取得する。
図5(B)の例では、上流側の搬送体センサ107が検出したマスク済み基板9までの距離を距離501とする。同様に、搬送方向において第2~第4の搬送体センサ107のそれぞれが検出したマスク済み基板9までの距離を距離502~504とする。
【0054】
なお、距離501、502は同一の時刻t1に取得され、距離503、504は時刻t1より後の時刻t2に取得されるものとする。
【0055】
ここで、距離501と距離502とから、マスク済み基板9が搬送方向に対して傾いている角度を特定することができる。すなわち、制御装置201は、同一の時刻に、複数の搬送体センサ107から搬送体の異なる複数の部分までの距離を計測することで、搬送方向に対して搬送対象物が幅方向で傾いている角度Θを検出することができる。
【0056】
また、制御装置201は、マスク済み基板9の搬送方向に向かって幅方向(Y方向)の寸法に関する情報を有している場合、マスク済み基板9の幅方向における位置を特定することができる。具体的には、制御装置201は、距離503と504とから、マスク済み基板9が幅方向において左右の搬送ローラ101の中心から、マスク済み基板9の幅方向における中心までの距離dを特定することができる。
【0057】
このように、本実施形態に係る制御装置201は、搬送体センサ107の計測結果に基づいて、搬送対象物の搬送方向に対して幅方向の傾き、位置を含む姿勢を検出することができる。
【0058】
続いて
図6(A)および
図6(B)を参照して搬送体センサ107の配置例について説明する。
図6(A)および
図6(B)の例では、搬送対象物が計測キャリア100であるものとして説明を行う。
【0059】
図6(A)に示す例では、搬送体センサ107によって搬送体の計測が行われる計測箇所の間隔601は、矢印600で示す計測キャリア100の搬送方向の長さLの半分以下(L/2以下)の長さである。これによって、搬送路のいずれの箇所に計測キャリア100が位置する場合であっても、2つの搬送体センサ107Lによって計測キャリア100までの距離を計測することができる。これによって計測キャリア100の搬送時にいずれのタイミングでも計測キャリア100の搬送方向に対する角度を検出することができる。
【0060】
図6(B)は、2つの搬送体センサ107間の距離が計測キャリア100の搬送方向の長さLの半分(L/2)よりも長くなった場合における搬送対象物の姿勢推定方法を示す図である。
【0061】
計測箇所611~613は搬送体センサ107が設置された計測箇所である。搬送対象物の姿勢推定は、蒸着装置1の入口側の計測箇所611に設置された搬送体センサ107の計測結果をR1とし、、出口側の計測箇所612に設置された搬送体センサ107の計測結果をR2とする。この場合、R1とR2との差分を取得することで、搬送体が斜行または蛇行していることを検出することができる。また、計測箇所613と計測箇所611との距離をD1とし、計測箇所613と計測箇所612との距離をD2とすると、計測箇所613における搬送体までの距離R3は(R1+R2)*D1/(D1+D2)と推定することができる。このため、計測箇所613における計測結果がR3と所定の値以上異なる場合に、予定されている搬送方向と異なる位置に搬送体が搬送されていることを検出することができる。
【0062】
なお、
図6(B)の例では、2か所に設置された搬送体センサ107の計測結果から中間地点に設置された搬送体センサ107の出力を予想し、予想値から所定値以上異なる計測結果が得られたことを検出する場合について説明した。しかしながら、1つの搬送体センサ107から搬送体までの距離が所定の値の範囲内にない場合に搬送体が正常に搬送されていないことを検出するなど、1つの搬送体センサの計測結果から搬送体の搬送状態を判定してもよい。
【0063】
図7に、1つの搬送体センサ107で継続的に距離を計測した計測結果を示す。
図7の例では、搬送対象物が搬送されている間に複数回計測を繰り返す。なお、搬送対象物が搬送されている間に搬送対象物までの距離を複数回計測されればよく、例えば100ミリ秒間隔など所定の周期で断続的に計測されてもよいし、継続的に計測が行われてもよい。なお、
図7では、搬送体センサ107から搬送対象物までの距離が小さくなるにつれて出力が大きくなるものとする。
【0064】
搬送体が搬送体センサ107の計測方向1071に位置しない場合は、搬送体センサ107は値v0未満の値を出力する。そして、搬送対象物が搬送体センサ107の計測方向1071に搬送されると、値v0以上の値を出力する。このため、制御装置201は、搬送体センサ107の出力値が変化した後の時刻t1における値v1と、時刻t1の後の時刻t2における値v2とを得る。
【0065】
ここで、制御装置201は、搬送ローラ101の回転速度を搬送モータ102を介して取得し、時間差Δt=t2-t1と、搬送モータ102の外周の長さとに基づいて、時間Δtの間に搬送対象物が搬送された距離を特定することができる。また、出力値v1とv2との差分Δvによって、搬送体センサ107から搬送対象物までの距離の差を判定することができる。これによって、制御装置201は搬送対象物の搬送方向に対する角度を特定することができる。
【0066】
以上説明したように、本実施形態では、チャンバ外に配置された搬送体センサ107の計測結果に基づいて、搬送対象物の搬送状態を検出することで、搬送対象物が適切に搬送されているか否かを判定することができる。
【0067】
<サイドローラ位置調整処理>
続いて、
図8(A)および
図8(B)を参照して本実施形態に係るサイドローラの位置の調整処理について説明する。本処理例では、計測キャリア100が搬送対象物として搬送される。
【0068】
図8(A)はYZ平面における計測キャリア100およびサイドローラ105の断面図である。計測キャリア100は、計測ボックス103L内のサイドローラセンサ104Lにより、サイドローラ105Lまでの距離を計測し、距離計測値800Lを得る。同様に、サイドローラセンサ104Rによりサイドローラ105Rまでの距離を計測し、距離計測値800Rを得る。距離計測値800Lおよび800R、並びに制御装置201に格納されているサイドローラセンサ104までの距離801に基づいて、制御装置201は左右のサイドローラ105間の距離を特定することができる。
【0069】
図8(B)はYZ平面における計測キャリア100および反射部材109の断面図である。計測キャリア100は、計測ボックス103L内のサイドローラセンサ104Lにより、反射部材109Lまでの距離を計測し、距離計測値810Lを得る。同様に、サイドローラセンサ104Rにより反射部材109Rまでの距離を計測し、距離計測値810Rを得る。距離計測値810Lおよび810R、並びに制御装置201に格納されているサイドローラセンサ104までの距離801に基づいて、制御部211は反射部材間の距離を特定することができる。上述したように、反射部材109はサイドローラ105と対応付けて配置される。このため、制御部211は反射部材109間の距離から、反射部材109とサイドローラ105との位置のずれに基づいて、サイドローラ105間の距離を特定することができる。
【0070】
このように、計測キャリア100が搬送されながらサイドローラ105または反射部材109の位置の計測を行い、計測結果を制御装置201に送信することで、各サイドローラ105の位置を計測することができる。なお、計測はサイドローラ毎に停止させながら計測してもよいし、搬送しながら計測してもよい。ここで、計測キャリア100は無線通信部131を介して制御装置201は、時系列に沿ってサイドローラセンサ104の計測結果を送信する。これによって、制御装置201は、各サイドローラ105についてのサイドローラセンサ104からの距離を特定することができる。一例では、計測キャリア100は、計測結果を、サイドローラセンサ104の識別子(104Lまたは104R)、および計測時刻を対応付けて制御装置201に送信してもよい。一例では、制御装置201は、サイドローラセンサ104から送信された計測結果に含まれる計測時刻から、前回の計測時刻からの時刻差を計測し、搬送ローラ101の回転速度に基づいて隣接するサイドローラ105間の距離を特定してもよい。
【0071】
図9を参照して、サイドローラセンサ104Lおよび104Rの計測結果の一例を示す。計測キャリア100が搬送方向に搬送されている間、サイドローラセンサ104は所定の時間間隔で計測キャリア100の側方に位置する物体との距離を検出する。サイドローラセンサ104で検出した計測キャリア100の側方に位置する物体との距離を検出した時間と対応付けてプロットすることで、波形900、910のような波形を得ることができる。波形900は、反射部材109が配置されていない場合のサイドローラセンサ104の出力波形であり、波形910は、反射部材109が配置されている場合のサイドローラセンサ104の出力波形である。なお、
図9ではサイドローラセンサ104の出力波形は、出力値が大きいほど距離が近いものとして説明を行うが、距離と出力値との対応が取れていれば他の形態にも適用可能である。
【0072】
出力波形900、910に示すように、サイドローラセンサ104がサイドローラ105の側方を通過することで、サイドローラセンサ104の出力値は極大値を取る。このため、サイドローラセンサ104の出力値の極大値901~903に示すように、サイドローラセンサ104から計測キャリア100の側方に位置する物体との距離の極小値を取得することで、サイドローラ105の位置を特定することができる。
【0073】
または、サイドローラセンサ104の出力値が極大値911~913を取った後、所定のサンプル数以上、出力値が所定の範囲内になる区間914~916を検出することで反射部材109の位置を特定することができる。
【0074】
図10(A)及び
図10(B)に、各サイドローラ105について特定されたサイドローラセンサ104までの距離の例を示す。
【0075】
図10(A)は搬送方向に向かって左側のサイドローラセンサ104Lからサイドローラ105Lまでの距離X1を示し、
図10(B)は搬送方向に向かって右側のサイドローラセンサ104Rからサイドローラ105Rまでの距離X2を示す。上述したように、制御装置201は計測キャリア100から送信された計測結果に基づいて、搬送方向における位置と対応付けてサイドローラ105までの距離X1およびX2を特定することができる。
【0076】
また、サイドローラセンサ104Lと104Rとの間の距離をセンサ間距離Xと定義すると、サイドローラ間距離DはD=X+X1+X2として特定することができる。距離Xは計測キャリア100の設計または製造に応じて固定値であり、計測毎に変動するものではないため、事前に計測することで定数として扱うことが出来る。これによって、制御装置201は搬送方向における同一の位置にあるサイドローラ105間の距離を特定することができる。
【0077】
これによって、搬送方向における特定の位置における2つのサイドローラ105間の距離が、所定の閾値より小さいことを検出し、当該2つのサイドローラ105間を広げるようアクチュエータ110を制御することができる。
【0078】
例えば、制御装置201は、サイドローラ105間の距離が所定の閾値より小さいサイドローラ105について、サイドローラセンサ104までの距離が近いサイドローラ105を、サイドローラセンサ104までの距離が離れるように制御することができる。
【0079】
図11はサイドローラ105の自動調整を行う際に計測キャリア100及び制御装置201によって実行される処理を示すフローチャートである。
図11に示す処理は、制御装置201の制御部211のプロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することで実現される。
【0080】
S1で、制御装置201は大気中で自動でサイドローラ初期調整を行う。また、チャンバ壁106外にある搬送体センサ107及びチャンバ壁106内にある反射部材109を調整する。例えば、制御装置201は、サイドローラ105の位置を初期位置に移動させる。あるいは、搬送されていない状態における搬送体センサ107の出力を取得し、
図7の搬送体検出に使用する閾値v0を取得してもよい。なお、S1では、サイドローラ105は手動で調整されてもよいし、反射部材109の位置も手動で調整されてもよい。続いて搬送路上に計測キャリア100を載置し、最初の計測開始位置へと搬送する(S2)。
【0081】
続いて、制御装置201は搬送体センサ107から、搬送される計測キャリア100までの距離の計測結果を取得する(S3)。S3では、搬送体センサ107から有線通信または無線通信を介して計測データを取得する。続いて、制御装置201は搬送体センサ107の計測結果から、搬送体の姿勢を特定する(S4)。S4の処理は
図5(A)~
図7を参照して説明したものと同様のため説明を省略する。
【0082】
続いて、計測キャリア100は
図8(A)~
図10を参照して説明した方法でサイドローラ位置の計測を実行する(S5)。そして制御装置201は無線通信部212を介して計測キャリア100からサイドローラセンサ104の計測結果を取得し、計測キャリア100からサイドローラ105までの距離に基づいてサイドローラの位置を特定する(S6)。
【0083】
続いて、制御装置201は、サイドローラの位置が許容範囲内にあるかを判定する(S7)。S7では、計測キャリア100Lおよび100Rの端部からサイドローラ105Lおよび105Rまでの距離が所定の許容範囲内にあるか否かを判定する。あるいは、サイドローラ105Lと105Rとの距離が所定の許容範囲内にあるか否かを判定する。
【0084】
サイドローラ105の位置が許容範囲内にあると判定すると(S7でYes)制御装置201は処理をS9に進める。サイドローラ105の位置が所定の許容範囲内にないと判定すると、制御装置201は処理をS8に進め、サイドローラ位置の調整を実行する。
【0085】
S8では、例えば、計測キャリア100Lおよび100Rの端部からの距離が所定の許容範囲内にないと判定されたサイドローラ105Lおよび105Rについて、距離が所定の許容範囲内になるよう出力部213を介してアクチュエータ110を制御する。また、制御装置201は、所定の許容範囲内にないと判定されたサイドローラ105Lと105Rについて、例えば計測キャリア100からの距離が大きいサイドローラ105のアクチュエータ110を制御してもよい。
【0086】
続いて制御装置201は搬送システム内のすべてのサイドローラの計測を終了したか否かを判定する(S9)。すべてのサイドローラの計測を終了している場合は(S9でYes)
図11に示す処理を終了し、終了していない場合は計測キャリア100を次のサイドローラ105の位置に搬送する(S10)。そして、S10の後、S3~S9の処理を繰り返す。
図11の処理を終了すると、搬送システム1は計測キャリア100を排出する。
【0087】
なお、制御装置201は、S4で計測キャリア100の姿勢を特定した後、計測キャリア100の姿勢が所定の許容範囲内にない場合に、搬送モータ102の駆動状態を制御して計測キャリア100の姿勢を修正してもよい。例えば、
図7のように搬送対象物が搬送方向に向かって左側を向いている場合は、左側の搬送モータ102の搬送速度を上昇させるように搬送モータ102の駆動状態を制御することで、搬送方向に向かって右側に搬送対象物の搬送方向を修正することができる。
【0088】
<搬送ローラの位置調整>
続いて、搬送ローラの位置の調整方法について説明する。上述したように、複数の搬送ローラ101は搬送面を形成するように配置されるが、真空状況下ではチャンバのゆがみなどによって搬送ローラ101の位置が変化しうる。このため、本実施形態に係る搬送システムは、搬送ローラ101の鉛直方向(Z方向)における位置を調整する。
【0089】
図12に、搬送対象物を搬送する搬送システムによって形成される搬送路の水平面基準からのずれを計測するための計測キャリア100による搬送ローラ101の高さの計測方法を示す。
図12では、真空チャンバ2内に備えられた複数の搬送ローラ101によって形成される搬送路に沿って、計測装置である計測キャリア100が搬送方向(X方向)へ搬送される。計測キャリア100は、計測ボックス103L、103Rのそれぞれに角度センサ1200L、1200Rを備える。隣接する二つの搬送ローラ101の上に、計測キャリア100の当接部1202が当接する位置に計測キャリア100を停止させ、その時の計測キャリア100の傾きを計測キャリア100に設けられた角度センサ1200L、1200Rにて計測する。これによって、隣接する2つの搬送ローラ101の距離から搬送ローラ101の高さの差を算出することができる。続いて計測キャリア100を次の搬送ローラ101までの距離に相当する1ピッチ分移動させ、次の搬送ローラ101に当接部1202が当接すると、計測キャリア100の傾きを計測する。これを順次行うことでインライン式成膜装置の複数の搬送ローラ101の高さを計測することができる。そして、搬送ローラ101の高さを調整するための調整ユニット1201を制御することで、搬送ローラ101の高さを水平面基準で一定の高さに調整することができる。
【0090】
角度センサは、水平面(XY面)に対する傾斜角度を計測する角度計(水準器)を収納した金属製の筐体によって構成され、真空環境下でも計測キャリア100の傾斜角度を計測することができる。一例では、角度センサは計測キャリア100の当接部1202、および連結部材302の長手方向中央部に配置される。左右の当接部1202に取り付けられた角度センサ1200L、1200Rは、左右の搬送板301それぞれの搬送方向における傾斜角を計測する。連結部材302に配置された角度センサ(不図示)は、左右の搬送板301間の傾斜角を計測する。
【0091】
なお、角度センサはサイドローラセンサ104と同様、バッテリ132から供給される電力で動作し、無線通信部131を介して計測データを制御装置201に送信する。
【0092】
図13は、搬送システムが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図13に示す処理は、計測キャリア100が計測した搬送ローラ101の高さに関する情報に基づいて、制御装置201が搬送ローラ101の高さの調整量を決定する。
【0093】
まず、手動または自動で搬送ローラの高さを初期位置に調整する(S21)。自動で搬送ローラの高さを調整する場合は、制御装置201が調整ユニット1201を制御することで搬送ローラ101の高さを初期位置に設定する。続いて搬送路上に計測キャリア100を載置し、当接部1202が当接する最初の計測開始位置へと計測キャリア100を搬送する(S22)。続いて
図12を参照して説明したように、計測キャリア100は、隣接する2つの搬送ローラ101の傾斜角度を計測し(S23)、計測した傾斜角度に基づいて搬送ローラ101の高さの差を計算する(S24)。なお、隣接する2つの搬送ローラ101間の傾斜角度の計測及び高さの差の計算は、左右の搬送板301のそれぞれで行われ、また左右の搬送板301間、すなわち搬送方向に交差する方向において行われてもよい。これによって搬送方向及び搬送方向に交差する左右の搬送ローラ101間の高さをそろえることができる。
【0094】
計測キャリア100は無線通信部131を備え、搬送ローラ101の高さデータを無線通信部131を介して搬送ローラ101の高さデータを制御装置201に送信する(S25)。
【0095】
制御装置201は、無線通信部212で受信した搬送ローラ101の高さデータを制御部211へ転送する。そして制御部211は、計測結果すなわち搬送ローラ101の高さが許容範囲内か、許容範囲外かを判定する(S26)。その搬送ローラ101の高さが許容範囲外である場合は(S26でNo)、調整対象の搬送ローラ101に対して高さの調整量に対応する駆動信号を計算し、調整ユニット1201を駆動して搬送ローラ101の高さを調整する(S27)。調整対象の搬送ローラ101の高さが許容範囲内である場合は(S26でYes)、処理をS28に進める。
【0096】
搬送ローラ101の高さを調整した後、まだ計測あるいは調整すべき搬送ローラ101が残っているか否かを判定し(S28)、すべての搬送ローラ101の計測/調整が完了していれば(YES)フローを終了する。一方、まだ計測すべき搬送ローラ101が残っている場合は、計測キャリア100を搬送ローラ101の1つ分の距離を移動し(S29)、次の搬送ローラ101の高さ計測を行う(S23へと復帰)。このサイクルを繰り返すことにより搬送路全体の搬送ローラ101の高さの調整を行う。
【0097】
なお、
図13の例では搬送ローラ101の計測と、調整とを並行して進めるものとして説明を行った。しかしながら、全ての搬送ローラ101の計測を行い、全ての搬送ローラ101の高さの計測を行った後に、搬送ローラ101の高さの調整を行ってもよい。
【0098】
以上説明したように、本実施形態に係る計測システムによれば、真空中であっても搬送中のサイドローラの位置を制御することが可能となり、トレイがサイドローラに強く衝突する事を抑制する事が可能となる。これによって、パーティクルの発生や基板とトレイのズレを減少させることができるため、歩留まり低下を防ぎ生産性を向上させることができる。また、大気だけでなく真空中であっても計測および調整することが出来ることから装置立上げ時の調整の手戻り削減や既に稼働が開始された装置の維持及び保守作業時間を削減する事ができる。
【0099】
<その他の実施形態>
本実施形態では、制御装置201が搬送ローラ101の回転速度に対応付けて搬送対象物の搬送方向における位置を推定するものとして説明を行った。しかしながら、制御装置201は、
図7を参照して説明した搬送体センサ107の計測結果に基づいて、搬送対象物の搬送方向における位置を特定してもよい。この場合、制御装置201は、搬送対象物の位置を、搬送体センサ107のインデックスMと対応付けて、搬送対象物がM個目の搬送体センサ107とN+1個目の搬送体センサ107との間にあるとして特定することができる。あるいは、搬送対象物が計測キャリア100である場合、制御装置201は、サイドローラセンサ104の計測結果に基づいて、計測キャリア100の搬送方向における位置を特定してもよい。この場合、あるいは、搬送を開始した後に検出したサイドローラ105の数や反射部材109の数を制御装置201に送信することで、制御装置201は搬送方向における搬送対象物の位置を特定することができる。さらに、搬送対象物が搬送ローラ101などの所定のマーカの検出を行うセンサを有している計測キャリア100である場合、制御装置201は、搬送対象物の搬送方向における位置を、計測キャリア100のセンサの出力に基づいて特定してもよい。例えば、制御装置201は、搬送ローラ101の検出を行う計測キャリア100から検出した搬送ローラ101の個数を取得することで、搬送対象物がN個目の搬送ローラ101とN+1個目の搬送ローラ101との間にあることを特定することができる。計測キャリア100は、搬送ローラ101を検出するセンサの出力に基づいて、通過した搬送ローラ101の個数を制御装置201に送信することができる。
【0100】
また、本実施形態では、搬送体センサ107の計測結果に基づいて搬送対象物の搬送状態を検出するものとして説明を行ったが、別のセンサの計測結果に基づいて搬送状態を検出してもよい。例えば、サイドローラセンサ104で反射部材109を検出し、検出した結果にさらに基づいて姿勢計測してもよい。この場合、搬送体センサ107の計測結果に基づいて、搬送体センサ107に対する計測キャリア100の相対的な姿勢を特定し、サイドローラセンサ104の計測結果に基づいて計測キャリア100に対するサイドローラ105の相対的な配置を特定できる。これによって、真空状況でも位置の変化がない搬送体センサ107に対して、チャンバの変形の影響を受けうるサイドローラ105の位置の変化を検出することができる。
【0101】
なお、本発明は大気及び真空環境下を限定したものでなく、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定するものではない。
【0102】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0103】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0104】
100:計測キャリア、 101:搬送ローラ、 102:搬送モータ、 103L、103R:計測ボックス、 104L、104R:サイドローラセンサ、 105L、105R:サイドローラ、 106:チャンバ壁、 107:搬送体センサ、 108:チャンバ窓、 109:反射部材、 110L、110R:アクチュエータ、 131L、131R:無線通信部、 132L、132R:バッテリ、 201:制御装置、 211:制御部、 212:無線通信部、 213:出力部