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特開2024-44631ウェアラブルデバイス、ウェアラブルデバイスの作動方法、及びウェアラブルデバイスプログラム。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044631
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】ウェアラブルデバイス、ウェアラブルデバイスの作動方法、及びウェアラブルデバイスプログラム。
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20240326BHJP
   G16H 10/00 20180101ALI20240326BHJP
【FI】
A61B5/00 102A
G16H10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150278
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001988
【氏名又は名称】弁理士法人小林国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】位田 憲昭
【テーマコード(参考)】
4C117
5L099
【Fターム(参考)】
4C117XA05
4C117XB01
4C117XB03
4C117XB04
4C117XB07
4C117XB09
4C117XC13
4C117XD15
4C117XE13
4C117XE15
4C117XE23
4C117XE26
4C117XE30
4C117XE36
4C117XE37
4C117XE43
4C117XE44
4C117XE45
4C117XE56
4C117XH11
4C117XJ34
4C117XJ42
4C117XP03
4C117XQ18
5L099AA22
(57)【要約】
【課題】装着者が意識の無い状態でも、健常時に収集したデータを、安全かつ速やかに提供することができるウェアラブルデバイス、ウェアラブルデバイスの作動方法、及びウェアラブルデバイスプログラムを提供する。
【解決手段】ウェアラブルデバイスであるスマートウォッチ10は、装着者の健常時における生体情報を少なくとも含む装着中データを収集し、装着者の事前承認により、装着中データの出力を制御する承認情報を記憶し、医療診断情報を生成する医療機器に対するデータ提供依頼を受け付け、承認情報及びデータ提供依頼に基づいて、装着中データを医療機器に提供する。医師は、医療機器が取得した装着中データや、検査データを用いて、医療診断を行う。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
装着者の健常時における生体情報を少なくとも含む装着中データを収集し、
前記装着者の事前承認により、前記装着中データの出力を制御する承認情報を記憶し、
医療診断情報を生成する医療機器に対するデータ提供依頼を受け付け、
前記承認情報及び前記データ提供依頼に基づいて、前記医療機器に前記装着中データを提供するウェアラブルデバイス。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記装着中データを測定項目ごとに分類し、
前記測定項目ごとにデータ提供の可否を設定した前記承認情報を記憶する請求項1記載のウェアラブルデバイス。
【請求項3】
前記プロセッサは、
有効期限を設定した前記承認情報を記憶し、
前記有効期限の終了時に報知を行い、
前記有効期限の更新操作を受け付ける請求項1記載のウェアラブルデバイス。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記医療機器から医療機器情報を取得し、
前記承認情報及び前記医療機器情報に基づいて、前記医療機器に前記装着中データを提供する請求項1記載のウェアラブルデバイス。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記医療機器情報から前記医療機器の所属情報を取得し、
前記所属情報に応じて、前記装着中データを提供する請求項4記載のウェアラブルデバイス。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記医療機器情報から機械学習を行う前記医療機器を判別し、
前記機械学習を用いた医療診断情報の生成に対して、前記装着中データを提供する請求項4記載のウェアラブルデバイス。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記医療機器情報から機械学習を行う前記医療機器を判別し、
前記機械学習における再学習処理に対して、前記装着中データを提供する請求項4記載のウェアラブルデバイス。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記装着者の生体認証を行い、
前記生体認証によって装着者と判断された場合に、前記事前承認を受け付ける請求項1記載のウェアラブルデバイス。
【請求項9】
前記プロセッサは、
前記生体認証により、前記承認情報を画面表示する請求項8記載のウェアラブルデバイス。
【請求項10】
前記プロセッサは、
前記事前承認に代えて、前記装着者とは異なる代理人による代理承認により、前記承認情報の作成を行う請求項1記載のウェアラブルデバイス。
【請求項11】
前記プロセッサは、
前記承認情報を作成できる外部入力装置を事前登録し、
前記外部入力装置からの前記承認情報を受け付け、
前記装着中データを提供する請求項1記載のウェアラブルデバイス。
【請求項12】
前記プロセッサは、
前記装着中データを外部記憶装置に保存し、
前記承認情報及び前記データ提供依頼に応じて、前記外部記憶装置から前記医療機器に前記装着中データを提供させる請求項1記載のウェアラブルデバイス。
【請求項13】
前記プロセッサは、
前記承認情報に基づいて、生体認証又は医療従事者による特定操作により、前記外部記憶装置に対するアクセス許可と、アクセス手段の画面表示を行う請求項12記載のウェアラブルデバイス。
【請求項14】
装着者の健常時における生体情報を少なくとも含む装着中データを収集するステップと、
前記装着者の事前承認により、前記装着中データの出力を制御する承認情報を記憶するステップと、
医療診断情報を生成する医療機器に対するデータ提供依頼を受け付けるステップと、
前記承認情報及び前記データ提供依頼に基づいて、前記医療機器に前記装着中データを提供するステップとを備えるウェアラブルデバイスの作動方法。
【請求項15】
装着者の健常時における生体情報を少なくとも含む装着中データを収集する機能と、
前記装着者の事前承認により、前記装着中データの出力を制御する承認情報を記憶する機能と、
医療診断情報を生成する医療機器に対するデータ提供依頼を受け付ける機能と、
前記承認情報及び前記データ提供依頼に基づいて、前記医療機器に前記装着中データを提供する機能をウェアラブルデバイスが備えるコンピュータに実行させるウェアラブルデバイスプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェアラブルデバイス、ウェアラブルデバイスの作動方法、及びウェアラブルデバイスプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートウォッチ等のウェアラブルデバイスは、デバイス装着者の生体情報を測定し、記録することができる。病院等で医療診断を受ける際に、医師は疾病や怪我がある診断時の生体情報と、健常な状態で収集された生体情報を組み合わせて、より正確な診断が可能となる場合がある。また、病院側は、ウェアラブルデバイスが継続的に測定した生体情報に基づき、疾病や怪我などの異常が発生したと思われる正確な時刻等の情報を取得することが容易になる。
【0003】
例えば、特許文献1では、モバイルデバイスの向きの変化、デバイスの高度、加速度、心拍数を測定し、ユーザが転倒したことを検知する。そして、転倒を検知した場合、医師等の他者に通知することが記載されている。特許文献2では、機械学習を用いて被験者の医用画像から異常の有無を判断する学習済みモデルにおいて、非画像入力として、被験者の体格指数や血圧、心拍数、呼吸速度なども入力して判断する学習済みモデルが記載されている。特許文献3では、ユーザの健康又はフィットネスのレベルに関する情報等の個人情報データの収集/共有を、ユーザに告知して同意を得た後に行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-37048号公報
【特許文献2】特開2022-25095号公報
【特許文献3】特開2022-3554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ウェアラブルデバイスが記録した生体情報は、個人情報に当てはまるものも含まれるため、他者のデータ閲覧や他者へのデータ提供等にはデバイス装着者本人の承認が必要である。一方、医療従事者による閲覧や医療従事者へのデータ提供を、必要となる度に承認することは面倒であり、手間がかかる。また、デバイス装着者が外出先で意識を失って倒れ、病院に救急搬送されてきた場合などに閲覧や提供の許可を求められても、承認ができないという問題がある。
【0006】
本発明は、装着者が意識の無い状態でも、健常時に収集したデータを、安全かつ速やかに提供することができるウェアラブルデバイス、ウェアラブルデバイスの作動方法、及びウェアラブルデバイスプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、プロセッサを備えたウェアラブルデバイスであって、プロセッサは、装着者の健常時における生体情報を少なくとも含む装着中データを収集し、装着者の事前承認により、装着中データの出力を制御する承認情報を記憶し、医療診断情報を生成する医療機器に対するデータ提供依頼を受け付け、承認情報及びデータ提供依頼に基づいて、医療機器に装着中データを出力する。
【0008】
第2態様に係るウェアラブルデバイスは、第1態様に係るウェアラブルデバイスにおいて、装着中データを測定項目ごとに分類し、測定項目ごとにデータ提供の可否を設定した承認情報を記憶する。
【0009】
第3態様に係るウェアラブルデバイスは、第1態様又は第2態様に係るウェアラブルデバイスにおいて、有効期限を設定した承認情報を記憶し、有効期限の終了時に報知を行い、有効期限の更新操作を受け付ける。
【0010】
第4態様に係るウェアラブルデバイスは、第1態様から第3態様の何れか1つの態様に係るウェアラブルデバイスにおいて、医療機器から医療機器情報を取得し、承認情報及び医療機器情報に基づいて、医療機器に装着中データを提供する。
【0011】
第5態様に係るウェアラブルデバイスは、第4態様に係るウェアラブルデバイスにおいて、医療機器情報から医療機器の所属情報を取得し、所属情報に応じて、装着中データを提供する。
【0012】
第6態様に係るウェアラブルデバイスは、第4態様又は第5態様の何れか1つの態様に係るウェアラブルデバイスにおいて、医療機器情報から機械学習を行う医療機器を判別し、機械学習を用いた医療診断情報の生成に対して、装着中データを提供する。
【0013】
第7態様に係るウェアラブルデバイスは、第4態様から第6態様の何れか1つの態様に係るウェアラブルデバイスにおいて、医療機器情報から機械学習を行う医療機器を判別し、機械学習における再学習処理に対して、装着中データを提供する。
【0014】
第8態様に係るウェアラブルデバイスは、第1態様から第7態様の何れか1つの態様に係るウェアラブルデバイスにおいて、装着者の生体認証を行い、装着者と判断した場合に、事前承認を受け付ける。
【0015】
第9態様に係るウェアラブルデバイスは、第8態様に係るウェアラブルデバイスにおいて、生体認証により、承認情報を画面表示する。
【0016】
第10態様に係るウェアラブルデバイスは、第1態様から第9態様の何れか1つの態様に係るウェアラブルデバイスにおいて、事前承認に代えて、装着者とは異なる代理人による代理承認により、承認情報の作成を行う。
【0017】
第11態様に係るウェアラブルデバイスは、第1態様から第10態様の何れか1つの態様に係るウェアラブルデバイスにおいて、承認情報を作成できる外部入力装置を事前登録し、外部入力装置からの承認情報を受け付け、装着中データを提供する。
【0018】
第12態様に係るウェアラブルデバイスは、第1態様から第11態様の何れか1つの態様に係るウェアラブルデバイスにおいて、装着中データを外部記憶装置に保存し、承認情報及びデータ提供依頼に応じて、外部記憶装置から医療機器に装着中データを提供させる。
【0019】
第13態様に係るウェアラブルデバイスは、第12態様に係るウェアラブルデバイスにおいて、承認情報に基づいて、生体認証又は医療従事者による特定操作により、外部記憶装置に対するアクセス許可と、アクセス手段の画面表示を行う。
【0020】
第14態様に係るウェアラブルデバイスの作動方法は、装着者の健常時における生体情報を少なくとも含む装着中データを収集するステップと、装着者の事前承認により、装着中データの出力を制御する承認情報を記憶するステップと、医療診断情報を生成する医療機器に対するデータ提供依頼を受け付けるステップと、承認情報及びデータ提供依頼に基づいて、医療機器に装着中データを提供するステップとを備える。
【0021】
第15態様に係るウェアラブルデバイスプログラムは、装着者の健常時における生体情報を少なくとも含む装着中データを収集する機能と、装着者の事前承認により、装着中データの出力を制御する承認情報を記憶する機能と、医療診断情報を生成する医療機器に対するデータ提供依頼を受け付ける機能と、承認情報及びデータ提供依頼に基づいて、医療機器に装着中データを提供する機能とをウェアラブルデバイスが備えるコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、装着者が意識の無い状態でも、健常時に収集したデータを、安全かつ速やかに提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】スマートウォッチの外観図である。
図2】スマートウォッチ本体の裏面の外観図である。
図3】スマートウォッチ本体の機能を示すブロック図である。
図4】スマートウォッチと医療機器の間で、データ提供依頼と装着中データの提供を行う関係を示す説明図である。
図5】スマートウォッチで測定した装着中データと、医療施設で生成した医療診断情報を医療機器に提供する説明図である。
図6】生体情報の認証を受け付ける生体認証画面の説明図である。
図7】事前承認を行う承認情報登録画面の初期状態の説明図である。
図8】事前承認において使用用途設定を行う際の承認情報登録画面の説明図である。
図9】事前承認において装着中データの提供先設定を行う際の承認情報登録画面の説明図である。
図10】事前承認において提供する装着中データの内容の個別承認を行う際の承認情報登録画面の説明図である。
図11】承認情報登録画面で設定する、承認情報の有効期限の詳細設定を示す説明図である。
図12】承認情報の有効期限終了の報知と、更新を促す画面を示す説明図である。
図13】緊急医療モードにおいて、スマートウォッチと医療機器が接続した状態を示す説明図である。
図14】データ提供依頼及び装着中データの提供の一連の流れを示すフローチャートである。
図15】第2実施形態において、(A)は設定モードにおける外部機器情報の登録を、(B)は緊急医療モードにおけるデータ提供依頼の動きを、(C)はデータ提供の動きを表す説明図である。
図16】第3実施形態において、(A)は設定モードにおける外部機器情報の登録及び承認情報の送信を、(B)は通常モードにおける装着中データ保存の動きを、(C)は緊急医療モードにおけるデータ提供依頼及びデータ提供の動きを表す説明図である。
図17】第3実施形態において、外部記憶装置へのアクセス許可画面を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1実施形態]
図1に示すように、スマートウォッチ10は、腕時計型のウェアラブルデバイスであり、スマートウォッチ本体11と、ベルト12で構成される。スマートウォッチ本体11は、ベルト12と物理的に接続され、且つ、ベルト12の長さを調節することにより、ユーザである装着者の腕に適切な強さで固定される。スマートウォッチ本体11における装着時に外側となり、装着者が目視できる本体表面11aには、ディスプレイ13及びカメラ14を少なくとも備える。ディスプレイ13は、位置入力機能を備えるタッチスクリーンであることが好ましい。カメラ14は本体表面11a上に備わっていればよく、図1に示したような下端以外の、上端や右端に位置していてもよい。操作ボタン15は本体表面11a、又は本体測面の任意の位置に備わることが好ましい。操作ボタン15には、電源のオンオフ操作の受け付け通常モードと緊急医療モードの切り替え操作を受け付けることができる。操作ボタン15は、複数個備わってもよい。また、図示しないがスピーカー及びマイクも備える。
【0025】
図2に示すように、スマートウォッチ本体11の装着者の腕に接触する本体裏面11bには、装着者の生体情報を測定する生体情報センサ16が備わる。図2ではベルト12は省略している。生体情報センサ16は、発光部17と、受光部18とを少なくとも1つずつ有している。発光部17は、緑色LED発光などの特殊光を発光し、受光部18は、特殊光が装着者の腕部に照射した際の戻り光を受光する。生体情報センサ16は、受光した光を解析して装着者の心拍、血圧、酸素飽和度などの生体情報をリアルタイムで取得する。
【0026】
スマートウォッチ10は、生体情報センサ16に加えて、加速度センサ、振動センサ、及び温度センサなども備え、移動情報等を含む複数の種類のデータを組み合わせて運動量を推定してもよい。以下に説明するスマートウォッチ10の各種機能は、ベルト12により正常に装着者の腕に装着されている状態におけるスマートウォッチ本体11で実現する。
【0027】
図3に示すように、本発明のウェアラブルデバイス本体11は、所定の機能を実現するためのアプリケーションプログラムがインストールされたパーソナルコンピュータ、又はワークステーション等のコンピュータである。コンピュータには、プロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、メモリ、及びストレージ等が備えられ、ストレージに記憶されたプログラム等により、データ取得部20、データ解析部21、データ記憶部22、データ照合部23、出力制御部24、通信部25、入力受信部26、及びモード切替部27の各種機能が実現する。ウェアラブルデバイス12は、以上の機能を用いて、データ提供依頼に応じて装着者の意識が無い状態でもデータ提供を行う。
【0028】
データ取得部20は、生体情報センサ16などの各種センサの測定により、スマートウォッチ10を装着した装着者の、健常時における生体情報を含む装着中データを取得し、データ解析部21に送信する。生体情報は、脈拍、心拍数、血圧、血中酸素濃度などである。また、温度センサによる体温や、振動センサや加速度センサなどから装着者の移動情報を取得してもよい。
【0029】
データ解析部21は、データ取得部20が取得した、各種データの解析や抽出を行い、数値化する。また、カメラ14で撮影した画像情報の変換や解析を行う画像処理機能も有する。画像処理は、静止画や動画の作成に加えて、顔認証における顔情報の抽出や、虹彩認証における虹彩情報の抽出を行う。抽出は、撮像対象特有の特徴を検出し、後述する生体認証に用いることができる情報を特定する。声認証における音声情報も、個人の特徴であり、認証に用いることができる情報を抽出する。更に複数の種類のデータを複合して、消費カロリーなどの情報を、装着中データに含まれるデータとして取得してもよい。解析して得られたデータは、データ記憶部22又はデータ照合部23に送信する。
【0030】
データ記憶部22は、データ解析部21から受信したデータや、通信部25、又は入力受信部26を介して入力されたデータを、記憶メモリ(図示しない)等に記憶する。生体情報を日時と結びつけて記憶する測定データ記憶部30、承認情報の設定、及び個人情報の閲覧や出力の際に行う生体認証情報を記憶する生体認証情報記憶部31、あらかじめ装着者が入力した緊急時のデータ提供の承認情報を記憶する承認情報記憶部32、及びあらかじめ登録した、医療施設の医療機器や、装着者及びその家族などの端末を記憶する外部機器情報記憶部33にそれぞれ振り分ける。
【0031】
データ照合部23は、医療施設からデータ提供依頼があった場合に、依頼内容と、測定データ記憶部30に記憶した装着中データ、及び承認情報記憶部32に記憶した承認情報を照合し、出力するデータを選別する。選別済みのデータは出力制御部24に送信する。データ照合部23は、一時記憶メモリを備え、入力された情報を一時保存することが好ましい。
【0032】
出力制御部24は、ディスプレイ13に表示する内容の制御、通信部25が外部機器へデータを送信する内容の制御、及びスピーカーが出力する音声の内容の制御を行う。データ提供依頼に応じて提供する装着中データの無線または有線の通信での提供及び、データ提供を行う旨をディスプレイ13に表示することが好ましい。装着者の指示に応じて取得した生体情報の過去データ又はリアルタイムデータをディスプレイ13に出力し、任意に確認可能にする。
【0033】
通信部25は、有線又は無線によって外部装置との通信処理を行い、外部装置との間で情報のやり取りを行うインターフェースである。医療施設等による装着中データのデータ提供依頼を受信する。また、出力制御部24からデータ提供依頼に応じて提供する装着中データを医療施設などに送信する。
【0034】
入力受信部26は、各種の操作入力を受け付ける入力インターフェースである。入力受信部26には、スマートウォッチ本体11に備え付けられているディスプレイ13として本体表面11aに備え付けられているタッチスクリーン、操作ボタン15、及びマイク(図示しない)からの入力を受信し、認識する。なお、ディスプレイ13はタッチスクリーンの機能を備えなくても良いが、その場合、ユーザ入力を行うための操作ボタン15は複数個設けられる。
【0035】
モード切替部27は、設定モード、通常モード、及び緊急医療モードに切り替えてスマートウォッチ10の機能を実現する。設定モードでは、初期設定時又はユーザ操作により切り替わり、承認情報の設定を行う。通常モードは初期設定後の基本状態であり、装着中データの収集を行う。緊急医療モードは、装着者の異常検知、又は特定操作により切り替わり、装着中データの提供を行う。
【0036】
測定データ記憶部30では、各種センサで取得し、解析した情報を、スマートウォッチの基本機能である年月日・時刻情報と紐づけて装着中データとして記憶する。装着中データは、装着者がスマートウォッチ10を装着している状態で取得した、健常時のデータに加え、怪我や病気により体調が変化した状態のデータを含む。また、各種センサから取得した情報以外にも、装着者の生年月日や身長、体重などの身体特徴情報、及び服用薬歴、病歴、通院歴、かかりつけの病院、主治医などの医療記録も記憶できる。また、消費カロリーや運動量など、複数の測定情報から算出した情報を記憶してもよい。
【0037】
生体認証情報記憶部31は、顔認証情報、指紋認証情報、声認証、虹彩認証情報などの生体認証情報を記憶する。装着者は、スマートウォッチ10の購入時に生体認証情報を登録し、生体認証情報記憶部31に記憶させる。スマートウォッチ10は、個人情報である生体情報を含む装着中データのデータ提供の事前承認を行う際に、承認操作を行う人物が装着者本人であるかを確認する装着者の生体認証を行う。
【0038】
承認情報記憶部32は、あらかじめ装着者が入力したデータ提供の承認情報を記憶する。承認情報は、提供するデータの範囲や、使用用途、及び提供先の医療施設や医療機器情報が含まれる。例えば、装着中データのうち、血圧のみのデータ提供の承認や、指定した医療施設へのデータ提供の承認など任意に承認情報を設定し、記憶できる。また、装着者の身体特徴情報、及び医療記録も生体情報と同様に個人情報に該当しうるため、生体情報と同様にデータ提供の承認を行うことが好ましい。
【0039】
外部機器情報記憶部33は、通信部25を介して認識した、通信機能を有する医療機器や、装着者が許可を出したPC(personal computer)やスマートフォンなどの情報通信端末、及び記憶装置などの外部機器の情報を記憶する。これによって、記憶した外部機器と接続し、データ通信を自動で行える。また、医療機器と電気的に接続した場合、医療機器から医療機器情報を取得してもよい。医療機器情報は、医療機器が所属する医療施設や管理する医師などの所属情報、装着中データの使用用途や、取り扱う情報の種類などである。
【0040】
図4に示すように、スマートウォッチ10は、医療施設における医療機器35からデータ提供依頼を受けた場合、装着中データを医療機器35に送信することができる。具体的には、装着者の健常時における生体情報を少なくとも含む装着中データの収集及び保管を行うスマートウォッチ10が、電気的に接続した医療機器35から、データ提供依頼を受信する。スマートウォッチ10は、データ提供依頼に応じて提供可能な装着中データの提供を行う。提供可能な装着中データは、事前に装着者によって承認情報記憶部32に記憶された承認情報によりデータ提供を行うことが承認されているデータである。スマートウォッチ10が接続する医療機器35は、医療診断情報を生成する装置、または医療診断情報の通信を行う医療施設に備わるPCである。
【0041】
図5に示すように、スマートウォッチ10の機能を用いてデータ提供した装着中データを医療施設における医療診断情報の生成に用いることができる。データ提供の際には、個人情報である装着中データのデータ提供の承認を必要とする。提供された装着者データと、医療施設での各種医療検査によって測定・取得された装着者の検査データ(例えば頭部のCT画像やMRI画像)と合わせて、治療対象の領域の特定、病名の特定、及び治療方針の決定などに使用される。例えば、医師は医療診断情報である、装着中データと検査データを用いて、対象領域を「被殻」、病名を「脳出血」、治療方針を「手術」と診断する。脳出血では血圧の変化が起きるため、医師は装着中データにおける健常時から変化した際の血圧データを得ることで出血時刻を特定することが可能となり、診断内容がより正確になる。医療診断情報は、機械学習を用いた機器を用いて生成してもよい。
【0042】
次に、第1実施形態におけるスマートウォッチ10の動作について説明する。スマートウォッチ10などのウェアラブルデバイスは、装着者の健常時のデータを収集し、保管可能なデバイスであって、装着者の事前承認により、装着中データの出力を制御する承認情報を設定し、記憶させる設定モードと、装着者の健常時における生体情報を少なくとも含む装着中データを収集する通常モードと、記憶した承認情報及び認識したデータ提供依頼に基づいて、医療施設等の医療診断情報を生成する医療機器35に装着中データを提供する緊急医療モードとを備える。
【0043】
設定モードでは、装着者は、スマートウォッチ10の購入時に、装着者情報の登録、生体認証方法の決定、生体認証情報の登録、及び承認情報の設定を行うことが好ましい。設定モードで登録した内容は、装着者が任意のタイミングで更新又は変更できる。
【0044】
装着者情報は、装着者の生年月日や身長、体重、血液型、緊急連絡先、病歴、アレルギー情報などのデータ提供を行う際に、装着中データと関連付けることが好ましい情報であり、装着者の健康に関する情報や緊急時に必要となりうる情報である。
【0045】
生体認証情報は、ディスプレイ13のロック画面の解除や個人情報の閲覧や出力を許可する際の生体認証に用いる情報であり、スマートウォッチ10を操作している人物が、登録した人物であるかの確認に用いる。生体認証では、データ解析部21で解析した個人の特徴と、生体認証情報記憶部31に記憶した各生体認証情報と照合し、本人か否かを判断する。具体的には、照合結果が一致又は閾値以上の一致率となった場合に、操作者が、生体認証情報記憶部31に記憶した生体認証情報を持つ人物であると判断する。
【0046】
図6に示すように、生体認証情報を登録する際は、生体認証画面40をディスプレイ13に表示する。生体認証画面40では、認証方法を選択する認証方法切替欄41と、認証方法に応じて装着者に生体認証情報の入力を促すメッセージを表示する。例えば、認証方法が顔認証である場合、認証方法切替欄41には「顔認証」と表示し、カメラ14を用いた認証を促す旨のメッセージを表示する。また、生体認証画面40に切り替わった際にカメラ14が起動し、装着者の顔を撮影し、データ解析部21で顔の特徴となる部分を抽出し、生体認証情報記憶部31に記憶される。生体認証情報は、複数の種類を登録することもできる。また、装着者本人に加えて、保護者などの代理人の生体認証情報を登録してもよい。
【0047】
生体認証情報記憶部31に登録した生体情報を用いて生体認証を行う場合は、図6と同様に、生体認証画面40がディスプレイ13に表示され、生体情報の入力を受け付ける。装着者は表示された認証方法で生体認証を行う。生体認証の結果、本人と判断された場合は、本人と判断された旨の表示を行い、次の画面、例えば事前承認を受け付ける承認情報登録画面43へ切り替わる。本人と判断されなかった場合は、再度の入力を受け付ける。
【0048】
なお、生体認証において、本人と判断されなかった結果が5回や10回など一定回数に達した場合、30分や1時間など一定期間、生体認証機能をロックしてもよい。また、複数の生体認証情報を登録している場合は、認証方法切替欄41を操作し、別の認証方法で生体認証を行ってもよい。顔認証の他の認証方法には、指紋認証、虹彩認証、声認証などがある。
【0049】
認証方法が指紋認証である場合、スマートウォッチ10は、本体表面11a又は本体側面に指紋センサ(図示しない)を備え、装着者は指紋センサにあらかじめ登録した指を接触させて、指紋の生体情報の入力を行う。登録する指は、スマートウォッチ10を装着していない手の親指や人差し指であることが好ましい。また、複数の指を用いるものであってもよい。
【0050】
認証方法が虹彩認証である場合、スマートウォッチ10は、顔認証と同様にカメラ14に対して自身の顔との距離を調整する。虹彩を撮影するため、装着者はカメラ14をのぞき込むような距離に近づき、虹彩を撮影させる。カメラ14が装着者の顔を撮影し、データ解析部21で虹彩の特徴となる部分を抽出し、虹彩の生体情報の入力を行う。
【0051】
認証方法が声認証である場合、スマートウォッチ10は、マイク(図示しない)を備え、装着者はマイクに向かってあらかじめ登録した特定フレーズを発話して音声入力し、声認証を行う。登録する特定フレーズは、人物の識別が可能な、単語または文章が好ましい。特定フレーズは、例えば「承認」、「開けゴマ」、「本日は晴天なり」などである。入力された音声に対して、データ解析部21で音声の特徴となる部分を抽出し、声の生体情報の入力を行う。
【0052】
承認情報は、身に着けたスマートウォッチ10に記憶され、装着者が意識を喪失した状態で病院等の医療施設に搬送された際に、装着中データの提供依頼に対して提供するデータの条件を設定した情報である。装着者があらかじめ設定モードで承認情報を設定することで事前承認とする。承認情報は、特に制限を設けずにデータ提供を承認してもよいし、承認するデータ提供の内容を個別に指定してもよい。具体的には、装着中データの測定項目、提供先の医療施設、提供データの使用用途等である。また、装着者本人に代えて、保護者などの代理人が承認情報を設定してもよい。
【0053】
設定モードにおいて、承認情報の登録は、その前に生体認証で本人と判断されることを必須とすることが好ましく、購入時の初期設定では先に装着者の生体認証情報の登録を行い、生体認証を実行可能な状態で承認情報の登録を行う。承認情報を登録する際は、承認情報登録画面43から承認する内容を設定する。少なくとも承認情報登録画面43を開く時に生体認証を行う。また、承認情報の入力内容を確定する時にも生体認証を行ってもよい。初期設定後に承認情報の変更等を行う場合は、例えば通常モードのメニュー画面から所定の操作で設定モードに切り替え、承認情報登録画面43を表示させる。
【0054】
図7に示すように、承認情報の登録においては、ディスプレイ13上の承認情報登録画面43では、提供する際の装着中データの使用用途の設定、データ提供先の設定、提供するデータの測定項目ごとの設定、登録した承認情報の有効期限の設定を受け付け、設定内容を表示する。承認情報登録画面43は、使用用途設定欄44、提供先設定欄45、提供データ設定欄46、有効期限設定欄47を有し、各設定欄には、設定内容が表示される。
【0055】
図7に示した承認情報登録画面43における各設定欄の表示は、購入時の初期状態の設定内容であり、装着者は、それぞれの設定欄を選択して詳細な設定を行う。初期状態では、使用用途設定欄44では、提供するデータの使用用途指定を「なし」、提供先設定欄45では、データ提供をする医療施設等の提供先の設定を「全医療施設」、提供データ設定欄46では、提供する装着中データの測定項目を「全承認」、有効期限設定欄47では、承認情報の有効期限を「6ヶ月」と設定される。設定を変更しない場合は、確定ボタン48を選択し、事前承認情報として承認情報記憶部32に記憶する。
【0056】
承認情報として設定した、装着中データの使用用途、提供先、及び装着中データの測定項目は、後述する緊急医療モードにおいて、データ提供依頼と共に受信した医療機器情報と照合する。照合結果により、データ提供の可否を判別し、データ提供依頼の内容から提供する装着中データを選別する。
【0057】
図8に示すように、使用用途設定欄44から、装着中データの使用用途の設定ができる。装着者は、使用用途設定を「あり」を選択することで、使用用途設定欄44の表示内容を詳細設定ができるように変更させ、使用用途の項目を個別に承認するか否かを設定できる。使用用途は、例えば、少なくとも機械学習ではない医療診断情報の生成である「通常診断情報生成」、機械学習を用いた医療診断情報の生成である「機械学習診断情報生成」、及び医療診断情報とは異なり、医療機器における機械学習の再学習処理に装着中データを提供する「再学習データ」がある。機械学習については後述する。この中から通常診断情報及び機械学習診断情報の生成に対するデータ提供を承認し、機械学習の再学習処理にはデータ提供を承認しない場合は、「通常診断情報生成」と「機械学習診断情報生成」の項目を選択する。選択した項目は強調表示を行い、選択していない項目と明確に区別する表示を行う。なお、使用用途の設定は上記内容に限定されず、他の用途を設定しても良い。「再学習データ」では、更に再学習処理の学習内容の項目に応じてデータ提供の設定を可能にしてもよい。
【0058】
機械学習を用いる医療機器35は、ニューラルネットワークからなるコンピュータアルゴリズムを有し、学習内容に応じて入力されたデータの病変の検出や病変種の分類などの推論を行う。機械学習には大量のデータが必要となり、病院等の医療施設に設置した機器から自動的にデータを取得し学習に加えることで、学習精度向上が見込まれる。再学習処理は、収集した(提供した)データを、機械学習の用いる医療機器35の精度向上のための学習に用いることであり、学習に用いたデータや学習結果は、医療機器35を製造するメーカにフィードバックされうる。そのため、「再学習データ」の使用用途への設定は、装着中データを、医療施設全体だけではなく、医療機器35を製造するメーカに提供することを含む。
【0059】
また、図8に示した使用用途の設定に関して「再学習データ」を選択した場合に、学習内容とは別に、機械学習を用いた医療機器35を販売する、特定の医療機器メーカを指定してデータ提供を行うか否か設定してもよい。例えば、スマートウォッチ10に販売時からあらかじめ複数の医療機器メーカが、リスト化して登録され、装着者がリストから選択することで設定する。
【0060】
図9に示すように、提供先設定欄45では、提供先指定を「全医療施設」に代えて、個別にデータ提供先を設定できる。装着中データの提供先の設定は、「ABC病院」及び「XYZ診療所」というように医療施設名で指定できる。提供先の医療施設名は、スマートウォッチ10に販売時からあらかじめリスト化して登録され、装着者がリストから選択することで決定してもよい。リストは、通信部25を介したダウンロード等で定期的に最新のリストに更新されることが好ましい。また、スマートウォッチ10が備える地図アプリ等と連動して提供先を設定してもよいし、テキスト入力から検索できる医療施設検索機能を備えてもよい。
【0061】
図10に示すように、提供データ設定欄46では、データ提供する装着中データの測定項目を設定する。スマートウォッチ10は、取得時に装着中データを測定項目ごとに分類し、測定データ記憶部30に記憶している。提供する装着中データは、「個別承認」と選択することで、測定項目ごとにデータ提供を承認するか否か設定できる。測定項目は、例えば心拍、血圧、酸素飽和度などがあり、個別に選択できる。測定項目は、各センサで測定した心拍や血圧などの生体情報以外にも、複数の生体情報及び装着者情報から算出した消費カロリーなどがある。
【0062】
また、提供する装着中データの測定項目の設定は、提供先ごとに個別に設定してもよい。例えば、「通常診断情報生成」と「機械学習診断情報生成」に提供する装着中データの測定項目は「全承認」であっても「再学習データ」に提供する装着中データは、「個別承認」を行い、詳細にデータ提供する内容を設定してもよい。
【0063】
承認情報の設定は、装着者のデータ提供の意思を測定項目ごとに表明したデータを記憶し、データ提供依頼の際に、データ照合部23で依頼内容と照合し、データ提供を行ってもよい。
【0064】
図11に示すように、承認情報には有効期限を設定する。有効期限設定欄47では、有効期限を設定した承認情報を記憶し、有効期限の期限切れの報知を行う。また、有効期限の更新操作を受け付ける。有効期限は、例えば6か月間を初期状態で設定し、有効期限が終了した際に、有効期限終了の報知を行う。有効期限の期間や報知のタイミングは任意に設定可能であり、終了時に加えて、期限が切れる3日前や7日前に有効期限終了予定の報知を行う設定をしてもよい。また、承認情報の有効期限を1日単位で設定してもよい。例えば、テキスト入力で「100日間」と入力や、カレンダー機能と連動して有効期限終了日の指定を行う。有効期限が切れた場合は、承認情報を全てリセットする。装着者は、報知に応じて、事前承認情報の更新操作又は再設定を行う。
【0065】
図8から図11では、選択した項目を判別するために、楕円で囲って強調表示をしているが、文字の太さや色の変更など他の方法で選択した項目を強調表示してもよい。入力が終わったら確定ボタン48を選択し、入力した設定内容が承認情報として承認情報記憶部32に記憶される。確定ボタン48の選択は、各設定欄で入力が終了した際に行ってもよいし、承認情報登録画面43での入力が終了する際に纏めて行ってもよい。1つの設定欄での入力が終了し、他の設定欄で入力を行う場合は、スワイプ操作を含むスクロール操作で、ディスプレイ13の表示を移動させる。なお、スクロールバー(図示しない)を承認情報登録画面43に設けて、スクロール操作を受け付けてもよい。
【0066】
通常モードには、設定モードの承認情報登録画面43における設定が完了し、承認情報が承認情報記憶部32に記憶されたら切り替わる。通常モードのスマートウォッチ10は、設定モードで設定した事前承認情報を記憶した状態で、スマートウォッチ10の各機能の使用及び装着者の装着中データの収集を行う。装着者は必要に応じて通常モードから任意のタイミングで生体認証を行い、設定モードに切り替えて承認情報登録画面43を表示し、承認情報の確認や変更を行うことができる。また、測定データ記憶部30に記憶した測定中データなどを画面表示し、確認できる。
【0067】
装着中データの収集は、収集開始時から継続して測定データ記憶部30に装着中データを記憶することが好ましい。一方、データ容量の圧迫を抑えるためなど、最新の24時間や48時間のみの装着中データを測定データ記憶部30に記憶してもよい。
【0068】
図12に示すように、通常モードにおいて、設定した有効期限の終了時に報知を行う場合は、有効期限の終了を示すメッセージ、更新ボタン50及び無視ボタン51をディスプレイ13に表示する。更新ボタン50と無視ボタン51は、装着者の選択を受け付け、更新ボタン50が選択された場合は、生体認証情報の要求を行い、生体認証で本人と判断されると、有効期限の更新を行う。更新後の有効期限に変更がない場合は、そのまま確定ボタン48を選択し、通常モードの報知前の画面に戻る。装着者が無視ボタン51を選択した際は、有効期限の更新を行わず、承認情報がリセットされ、報知前の画面に戻る。リセットされた承認情報は、装着者が手動で設定モードから改めて設定する。
【0069】
有効期限の終了前に報知を行う場合は、有効期限の終了予定を示すメッセージ、終了予定日、更新ボタン50及び無視ボタン51を表示する。更新ボタン50を選択した場合は、終了時の報知と同様に更新を行い、無視ボタン51を選択した場合は、更新を行わず、有効期限の終了時に再び報知を行う。
【0070】
緊急医療モードは、装着者の医学的な緊急時、例えば、外出先で怪我又は急病により意識を失って倒れ、最寄りの救急病院等の医療施設へされた場合に使用する。緊急医療モードへの切り替えは、例えば、医療従事者による特定操作や、スマートウォッチ10の異常検知により切り替わる。緊急医療モードでは、通常モードにおける装着中データの記憶範囲の設定に関わらず、自動的に装着中データを収集及び記憶することが好ましい。
【0071】
特定操作は、スマートウォッチ10に対応し、非接触で認識できる非接触デバイス(図示しない)などの機器による接続や、スマートウォッチ10に対する特定コマンドの入力である。非接触デバイスは、例えば、医療施設のPCに有線接続されているIC(Integrated Circuit)チップリーダーであり、スマートウォッチ10を一定距離に近づけることでスマートウォッチ10に備わるICチップを認識する。認識によりスマートウォッチ10は、緊急医療モードへの切り替えと共に自動的に接続する。また、接続時に、ウェアラブルデバイスメーカが医療施設、特に救急病院ごとに配布し、管理されている各医療施設固有の情報を有する。また、非接触デバイスは医療施設のPCに接続された二次元コードリーダーであり、スマートウォッチ10の緊急医療モードへの切り替えと共に、ディスプレイ13に表示させ、二次元コードを読み込ませることで接続させてもよい。
【0072】
スマートウォッチ10が非接触デバイスと接続すると、医療施設に対するデータ提供を患者が事前に承認していたか否かの判定が行われる。判定は、スマートウォッチ10が、接続時に医療機器情報として、各医療施設固有の情報などを外部機器情報記憶部33に記憶し、記憶した医療機器情報が、承認情報における「提供先設定」におけるデータ提供先に含まれているか否かのデータ照合部23の照合結果に基づいて行われる。例えば、医療機器情報として取得した、医療施設の施設名が「提供先設定」に含まれている場合や、「提供先設定」が「全医療施設」と設定されている場合は、スマートウォッチ10が、データ提供を承認していると判定し、データ提供依頼を受け付ける。
【0073】
また、生体情報センサ16が装着者の異常を検知した場合には、自動で切り替わってもよい。異常検知は、例えば、過剰な又は不安定な心拍の検出、所定の範囲内に収まらない血圧、血中酸素濃度の低下などのデータ取得である。この場合、異常検知により緊急医療モードに切り替わる場合、ドライブレコーダーのように、最新の数分間の装着中データは常に一時保存しておき、異常検知時に一時保存した装着中データを恒久的に保存してもよい。
【0074】
図13に示すように、緊急医療モードのスマートウォッチ10が、医療機器と接続した場合は、ディスプレイ13に緊急医療モード画面53を展開し、接続情報を表示することが好ましい。接続情報は、接続している医療機器名やそのIDなどであり、医療従事者が一目で接続対象の機器を判別できればよい。接続情報は、医療機器35の製品情報であってもよく、医療施設で独自に設定したものでもよい。
【0075】
医療機器35と接続中のスマートウォッチ10は、医療機器35からのデータ提供依頼を受け付け、データ提供依頼と、承認情報を照合する。照合結果に応じて、データ提供依頼に含まれており、かつ承認情報において提供を承認されている装着中データを、医療機器35に送信するデータ提供を行う。データ提供は、例えば、心拍や血圧の最近24時間の記録などの測定したデータに加え、装着者があらかじめスマートウォッチ10に記憶させた、生年月日や血液型、病歴などのデータもデータ提供依頼に応じて提供してもよい。データ提供依頼の依頼内容は、特に指定のない場合、スマートウォッチ10が測定した全ての生体情報を要求する。
【0076】
医療機器35と接続中のスマートウォッチ10は、データ提供依頼を、医療機器35からではなく、医療従事者がスマートウォッチ10を操作して実行してもよい。この場合、医療従事者は、なりすまし防止のための認証を行う。例えば、スマートウォッチメーカが医療従事者の顔や指紋をあらかじめデータベース(サーバ)等に保存しておき、医療施設名と医療従事者の認証ができたら、データを送信するようにしてもよい。
【0077】
データ提供後は、一定期間経過後、又はユーザ操作により通常モードに切り替わる。なお、データ提供依頼に含まれており、かつ承認情報において提供を承認されている内容であっても、測定データ記憶部30に記憶されていないデータである場合は、その旨をメッセージ表示などで放置することが好ましい。
【0078】
スマートウォッチ10が装着中データを記憶していない場合や、又は承認情報と医療機器情報を照合して提供できる装着中データが無い場合、医療従事者の認証ができなかった場合などに、データ提供ができない旨のメッセージ表示を行ってもよい。承認情報とデータ提供依頼の照合結果は、承認情報を登録していない場合も含まれる。
【0079】
緊急医療モードかつ、医療機器35と接続したスマートウォッチ10は、医療機器35から所属情報や、装着中データの使用用途を含む医療機器情報を取得する。データ提供依頼を受け付けたスマートウォッチ10は、承認情報及び医療機器情報に基づいて、提供可能な装着中データを照合し、医療機器35に装着中データを提供する。なお、医療機器情報の取得と、データ提供依頼の受け付けの順番は、どちらが先であっても良いし、同時であってもよい。
【0080】
取得した医療機器情報における所属情報に応じた装着中データの提供の判断は、承認情報において、データ提供の提供先指定を行っている場合に実施する。例えば、図9に示すように、装着中データの提供先を「ABC病院」及び「XYZ診療所」に指定していた場合、取得した所属情報が「ABC病院」で提供先指定内容に合致するならば、他の承認情報と、データ提供依頼の内容の照合結果に従って、装着中データを提供する。取得した所属情報が「DEF病院」であり、事提供先指定内容に合致しないならば、データ提供を行わない。提供先指定が「なし」の場合は、所属情報に関係なく、データ提供が行える。なお、所属情報に応じて装着中データの提供の可否の判断は、データ提供依頼の依頼内容の照合よりも前に行うことが好ましい。
【0081】
また、取得した医療機器情報から、提供先の医療機器35における装着中データの使用用途に関して、医療機器35が機械学習診断情報を生成するか否かの判別をする。医療機器35が機械学習診断情報を生成する場合には、データ提供依頼において、機械学習を用いた医療診断情報(機械学習診断情報)の生成に対する装着中データの提供依頼と、機械学習における再学習処理に用いる装着中データの提供依頼が発生しうる。そのため、スマートウォッチ10は、承認情報の設定内容が図8に示すように、承認情報の使用用途に「機械学習診断情報生成」が承認されている場合は、機械学習を用いた医療診断情報の生成に対して装着中データの提供を行う。また、使用用途に「再学習データ」が承認されている場合は、機械学習における再学習処理に対してデータ提供を行う。
【0082】
なお、医療診断情報の生成に対するデータ提供依頼と、機械学習の再学習処理に対するデータ提供依頼は同時に行われる場合もあれば、個別で行われる場合もある。同時の場合、かつ事前承認情報が診療のみ承認をしている場合は、提供する装着中データが機械学習の再学習処理には使用承認されていない旨をディスプレイ13の表示などで伝達する。もしくは、提供する装着中データに「診療目的のみ」などの文言のタグ付けや、データ名への追加記載を行う。
【0083】
次に、スマートウォッチ10の装着中に記録した生体データを、ユーザが意識喪失等の状態であっても、医療従事者に提供する一連の流れについて、図14に示すフローチャートに沿って、説明する。
【0084】
スマートウォッチ10は、装着者による事前承認操作を受け付け、緊急時に装着者の装着中データを医療施設に提供することを承認する承認情報の登録を、あらかじめ記憶する。(ステップST110)。事前承認操作後のスマートウォッチ10は、通常モードで装着者の健常時における生体情報を少なくとも含む装着中データを収集し、記憶する(ステップST120)。装着者が病気や怪我等で意識喪失し、医療施設に搬送される(ステップST130)。装着者の意識喪失時に、生体情報センサ16が取得した生体情報の異常を検知してもよい。
【0085】
生体情報センサ16による異常検知、又は搬送先の医療従事者等による入力操作等によって、スマートウォッチ10は、通常モードから緊急医療モードへ切り替わる(ステップST140)。医療施設に備わる医療機器35、又は医療従事者等の特定操作によって、緊急医療モードのスマートウォッチ10は、医療診断情報の生成を行う医療機器35に対して、記憶した装着中データのデータ提供依頼を受け付ける(ステップST150)。スマートウォッチ10は、データ提供依頼の内容と、事前に記憶した承認情報を照合する(ステップST160)。照合結果に基づいて、提供可能な装着中データの有無を選別する(ステップST170)。
【0086】
提供可能な装着中データがある場合(ステップST170でY)では、データ提供依頼に対し、医療機器35に装着中データを提供する(ステップST180)。データ提供後は、一定期間経過後、又はユーザ操作により通常モードに切り替わる。
【0087】
提供可能な生体情報がない場合(ステップST170でN)は、通常モードに切り替えることが好ましい。
【0088】
第1実施形態の変形例として、事前承認に代えて、装着者とは異なる代理人による代理承認により、承認情報の作成を行う場合について説明する。代理人は、あらかじめ設定モードで代理人の生体認証情報を生体認証情報記憶部31に記憶させる。代理人は、装着者の家族や保護者、又は装着者の親族、パートナー、親友などである。例えば、装着者が未成年であり、保護者が装着者の個人情報の管理を行っている場合などでは、承認情報の登録を、保護者が代理人として代理承認する。
【0089】
代理人は、初期設定時などのタイミングで、装着者が行う場合と同様に生体認証情報の登録を行い、生体認証を可能とした状態で、承認情報登録画面から承認情報を登録する。代理人が登録した承認情報は、装着者本人によって閲覧が可能であっても、編集は受け付けないように設定してもよい。
【0090】
また、代理承認は、承認情報を承認情報記憶部32に記憶させて事前の代理承認としても良いが、事前に登録した承認情報が無い状態であっても、生体認証で代理人と判断できればリアルタイムで代理承認を行い、データ提供依頼に応じて装着中データのデータ提供を行ってもよい。例えば、装着者が救急病院等に搬送された際に、保護者が同伴して、医療施設でスマートウォッチ10を操作し、承認情報の作成を行うこともできる。
【0091】
承認情報は、データ提供の際であっても医療従事者に開示しなくてもよい。例えば生体認証情報を登録した、装着者及び代理人のみが、ディスプレイ13に画面表示した承認情報を閲覧できてもよい。
【0092】
[第2実施形態]
第2実施形態では、スマートウォッチ10が、設定モードにおける事前の承認情報の登録に代えて、PCやスマートフォン等の外部入力装置60で作成された承認情報を用いてデータ提供を行う。外部入力装置60は、装着者本人が操作するものであっても良いし、装着者とは異なる代理人が操作する代理承認であってもよい。その他については、第1実施形態と同様である。
【0093】
図15に示すように、第2実施形態では、設定モードにおいて、スマートウォッチ10は、外部機器情報記憶部33に、承認情報の作成及び送信が可能である外部入力装置60を事前登録する(図15(A)参照)。緊急医療モードにおいて、スマートウォッチ10は、医療機器35からデータ提供依頼の受信に応じて、外部入力装置60にデータ提供依頼を転送する(図15(B)参照)。外部入力装置60は、データ提供依頼の受信により、承認情報を作成する。スマートウォッチ10は、外部入力装置60からの承認情報を受け付け、更に承認情報と、データ提供依頼、記憶した測定中データとをデータ照合部23で照合し、提供可能な装着中データを選別し、医療機器35に提供する(図15(C)参照)。
【0094】
外部入力装置60における承認情報の作成及び送信は、例えば、外部入力装置60からインターネット経由でアクセス認証用サーバに接続し、装着中データの各項目に対するアクセス許可を少なくとも設定し、設定内容を承認情報として、スマートウォッチ10に送信する。この場合、スマートウォッチ10は、アクセス認証用サーバから承認情報を受信する。
【0095】
外部入力装置60を用いた承認は、スマートウォッチ10よりも操作しやすいユーザインターフェースや大きい画面を用いるため、搬送先の医療施設等で装着者が意識を喪失しておらず、データ提供の同意できる状態であっても、操作ミスの低減や、画面表示の内容の確認がしやすくなるため、速やかなデータ提供ができる。また、代理承認である場合は、代理人が装着者と同じ場所にいる必要はなく、遠隔で外部入力装置60を操作してデータ提供の承認ができる。例えば、装着者が意識喪失して救急病院等に搬送された際に、連絡を受けた保護者が、遠隔で自身の情報端末から代理承認を行う。
【0096】
[第3実施形態]
第3実施形態では、データ記憶部22に代えて、サーバ等の外部記憶装置70に装着中データをアップロードして保存し、緊急医療モードでは医療施設における医療機器35は、外部記憶装置70からデータ提供を受ける。装着中データはクラウド上に記憶させていてもよい。その他については、第1実施形態と同様である。
【0097】
図16に示すように、第3実施形態では、設定モードのスマートウォッチ10が、保存機能を実現する保存メモリ71を有する外部記憶装置70を登録し、データ転送を可能にする(図16(A)参照)。通常モードのスマートウォッチ10から、外部記憶装置70は、最新の装着中データを受信して、保存メモリ71に保存する(図16(B)参照)。装着中データの送信は、手動で行っても良いし、自動で行ってもよい。緊急医療モードのスマートウォッチ10は、搬送先の医療施設で外部記憶装置70へのアクセス手段とアクセス許可を伝達し、医療機器35は、外部記憶装置70に接続し、データ提供依頼を送信する。外部記憶装置70は、受信したデータ提供依頼と、記憶した承認情報を照合し、照合結果に応じて保存メモリ71に保存した装着中データを医療機器35に提供する(図16(C)参照)。
【0098】
設定モードにおいて、スマートウォッチ10が、通信部25を介して外部機器情報記憶部33に外部記憶装置70の情報を記憶させ、かつ外部記憶装置70への装着中データを送信し、保存させる設定を行う。自動で装着中データを保存させる場合は、データ保存の頻度を例えば3日などの一定期間ごとに設定する。また、承認情報記憶部32で記憶した承認情報を外部記憶装置70に送信し、保存させる。外部記憶装置70は、何らかのデバイスから接続された際に、インターフェースとなる専用サイトを備えることが好ましい。スマートウォッチ10は、外部機器情報の取得及び承認情報の送信が終わり次第、設定モードから通常モードへ切り替える。
【0099】
通常モードにおいて、スマートウォッチ10は、装着者の装着中データを収集し、自動又は手動で外部記憶装置70に送信する。送信した装着中データはデータ記憶部22から削除してもよい。例えば、データ容量の圧迫に応じて測定部が古い装着中データの削除や、測定日から1ヶ月経過した装着中データの削除などを行う。また、必要に応じてスマートウォッチ10から外部記憶装置70に保存した装着中データの確認を行ってもよい。
【0100】
緊急医療モードにおいて、スマートウォッチ10が医療従事者による特定操作を受けた場合には、外部記憶装置70に対するアクセス許可を行い、外部記憶装置70へのアクセス手段を画面表示する。アクセス許可は、特定操作を受けてから60分間などの一時的な期間において、医療機器35からのアクセスの許可を発行する。アクセス手段の画面表示では、外部記憶装置70へのURL(Uniform Resource Locator)や装着者IDなどの情報が含まれる二次元コードの表示を行う。画面表示はディスプレイ13で行っても良いし、スマートウォッチ10に接続した医療機器35に表示させてもよい。また、装着者が意識を失っていない場合などでは、医療従事者の特定操作の代わりに、装着者が生体認証を行い、直接アクセス許可及びアクセス手段の提示を行ってもよい。
【0101】
図17に示すように、アクセス手段として、ディスプレイ13にはアクセス許可画面72が展開され、二次元コード73、及びアクセス許可の期間をカウントダウンで表すアクセス許可期間表示欄74を表示する。医療従事者は、二次元コード73を読み込むことで外部記憶装置70にアクセスする専用サイトに接続することができる。二次元コード73には、外部記憶装置70へのURL、装着者のID、承認情報、及び保存された装着中データの概要が含まれていることが好ましい。また、URL、ID、承認情報の文字列の画面表示や、医療機器35に送信する方法で専用サイトに接続させてもよい。二次元コード73の読み込みにより取得した承認情報や装着中データの概要から、医療従事者が必要とする装着中データを取得できるか否か判断してもよい。なお、アクセス許可期間は、承認情報の設定時に任意に期間を設定してもよい。例えば、10分間などの期間に設定することが好ましい。
【0102】
専用サイトでは、医療従事者の生体認証と病院名の特定を連動させることが好ましい。医療従事者の顔や指紋などによる生体認証の受け付け、病院名が特定されると、外部記憶装置70が、承認情報に基づいて、データ提供依頼に基づいてデータ提供を制御する。これにより、やスマートウォッチ10に記憶した装着中データのバックアップ又はスマートウォッチ10に記憶しきれない大量のデータの保存をした状態で、装着中データの医療機器35へのデータ提供ができる。
【0103】
スマートウォッチ10には、外部記憶装置70に保存前の装着中データが記憶されている。そのため、第1実施形態と組み合わせてスマートウォッチ10からも装着中データを取得することができる。
【0104】
また、第2実施形態における承認情報の作成及び送信を行う外部入力装置60と、第3実施形態における装着中データを保存する外部記憶装置70を組み合わせてもよい。その場合、外部入力装置60と外部記憶装置70は、同一のサーバ等であってもよい。
【0105】
ウェアラブルデバイスは、スマートウォッチ10に限らず、上記実施形態を実現する機能を有していればよく、指に装着する端末や、首に装着する端末であってもよいし、それらを組み合わせてもよい。
【0106】
上記実施形態において、データ取得部20、データ解析部21、データ記憶部22、データ照合部23、出力制御部24、通信部25、入力受信部26、及びモード切替部27といった各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造は、次に示すような各種のプロセッサ(processor)である。各種のプロセッサには、ソフトウエア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical Processing Unit)、FPGA (Field Programmable Gate Array)などの製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるPLD(Programmable Logic Device)、各種の処理を実行するために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路などが含まれる。
【0107】
1つの処理部は、これら各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合せ(例えば、複数のFPGA、CPUとFPGAの組み合わせ、またはCPUとGPUの組み合わせ等)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアントやサーバなどのコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウエアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)などに代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサを1つ以上用いて構成される。
【0108】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた形態の電気回路(circuitry)である。また、記憶部のハードウェア的な構造はHDD(hard disc drive)やSSD(solid state drive)等の記憶装置である。
【符号の説明】
【0109】
10 スマートウォッチ
11 スマートウォッチ本体
11a 本体表面
11b 本体裏面
12 ベルト
13 ディスプレイ
14 カメラ
15 操作ボタン
16 生体情報センサ
17 発光部
18 受光部
20 データ取得部
21 データ解析部
22 データ記憶部
23 データ照合部
24 出力制御部
25 通信部
26 入力受信部
27 モード切替部
30 測定データ記憶部
31 生体認証情報記憶部
32 承認情報記憶部
33 外部機器情報記憶部
35 医療機器
40 生体認証画面
41 認証方法選択欄
43 承認情報登録画面
44 使用用途設定欄
45 提供先設定欄
46 提供データ設定欄
47 有効期限設定欄
48 確定ボタン
50 更新ボタン
51 無視ボタン
53 緊急医療モード画面
60 外部入力装置
70 外部記憶装置
71 保存メモリ
72 アクセス許可画面
73 二次元コード
74 アクセス許可期間表示欄
ST ステップ
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