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特開2024-44714データ処理装置、物理量計測装置、データ処理システム、及び、データ処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044714
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】データ処理装置、物理量計測装置、データ処理システム、及び、データ処理方法
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20240326BHJP
   G08C 15/06 20060101ALI20240326BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H04Q9/00 311J
G08C15/06 G
G05B23/02 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150424
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100214248
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 純
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】坂巻 裕太
(72)【発明者】
【氏名】山田 泰雅
(72)【発明者】
【氏名】関口 孝志
【テーマコード(参考)】
2F073
3C223
5K048
【Fターム(参考)】
2F073AA11
2F073AA12
2F073AB01
2F073BB01
2F073BB04
2F073BB07
2F073BC01
2F073CC03
2F073CD11
2F073DD07
2F073DE01
2F073FF01
2F073FG01
2F073FG02
2F073FG04
3C223AA01
3C223AA02
3C223AA05
3C223AA06
3C223AA11
3C223BA03
3C223BB06
3C223BB12
3C223CC02
3C223DD03
3C223EB01
3C223EB07
3C223FF02
3C223FF12
3C223FF13
3C223GG01
5K048AA16
5K048BA34
5K048EB10
5K048HA01
5K048HA02
(57)【要約】
【課題】監視周期が異なる第1の監視処理及び第2の監視処理を実現しつつ、消費電力の低減を可能とするデータ処理装置を提供する。
【解決手段】データ処理装置31は、計測対象の物理量を物理量データとして繰り返し取得し、その物理量データに対して所定の演算を行うことにより処理データを生成する演算処理部320と、処理データが生成される毎に処理データを順次送信する通信処理部321とを備える。演算処理部320は、所定の開始条件が満たされたとき、所定のデータ点数の物理量データに対して演算を行い、第1の処理データを生成する第1の演算処理を実行し、第1の演算処理の実行後に所定の終了条件が満たされていないとき、所定の待機時間の経過後に、最新時点の物理量データと、過去時点の物理量データとからなるデータ点数分の物理量データに対して演算を行い、第2の処理データを生成する第2の演算処理を、終了条件が満たされるまで繰り返し実行する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測対象の物理量を物理量データとして繰り返し取得し、その取得した前記物理量データに対して所定の演算を行うことにより処理データを生成する演算処理部と、
前記演算処理部により前記処理データが生成される毎に前記処理データをデータ収集装置に順次送信する通信処理部と、を備え、
前記演算処理部は、
所定の開始条件が満たされたとき、前記物理量データを所定のデータ点数だけ繰り返し取得し、その取得した前記データ点数分の前記物理量データに対して前記演算を行うことにより第1の前記処理データを生成する第1の演算処理を実行し、
前記第1の演算処理の実行後に所定の終了条件が満たされていないとき、所定の待機時間だけ待機状態に移行し、前記待機時間の経過後に最新時点の前記物理量データを取得し、その取得した前記最新時点の前記物理量データと、前記最新時点よりも過去に取得した過去時点の前記物理量データとからなる前記データ点数分の前記物理量データに対して前記演算を行うことにより第2の前記処理データを生成する第2の演算処理を、前記終了条件が満たされるまで繰り返し実行する、
データ処理装置。
【請求項2】
前記演算処理部は、
前記終了条件が満たされたとき、前記第2の演算処理を終了し、前記待機状態よりも消費電力が少ないスリープ状態に移行し、
前記開始条件が満たされたとき、前記スリープ状態から復帰し、前記第1の演算処理を開始する、
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記演算処理部は、
前記データ収集装置との通信を開始したとき、前記開始条件が満たされたものとして、前記第1の演算処理を開始し、
前記データ収集装置との通信を終了したとき、前記終了条件が満たされたものとして、前記第2の演算処理を終了する、
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のデータ処理装置と、
計測対象の物理量を計測する物理量センサと、を備える物理量計測装置であって、
前記演算処理部は、
前記物理量センサにより計測された前記物理量を前記物理量データとして取得する、
物理量計測装置。
【請求項5】
前記物理量計測装置は、
前記データ処理装置及び前記物理量センサを内蔵し、ポンプ装置に取付可能な筐体をさらに備え、
前記物理量センサは、
前記物理量計測装置が取り付けられた前記ポンプ装置に起因する前記物理量を計測する、
請求項4に記載の物理量計測装置。
【請求項6】
請求項4に記載の1又は複数の物理量計測装置と、
前記物理量計測装置と通信可能に構成された1又は複数の前記データ収集装置と、を備えるデータ処理システムであって、
前記データ収集装置は、
第1の監視周期に基づいて、前記処理データを収集する第1の収集処理部と、
前記第1の監視周期よりも短い第2の監視周期に基づいて、前記処理データを収集する第2の収集処理部と、を備え、
前記第1の収集処理部は、
前記物理量計測装置との通信を開始し、前記物理量計測装置から第1の前記処理データを受信し、前記物理量計測装置との通信を終了する第1の監視処理を、前記第1の監視周期に従って繰り返し実行することにより、前記処理データを収集し、
前記第2の収集処理部は、
前記物理量計測装置との通信を開始し、前記物理量計測装置から第1の前記処理データを受信するとともに、第2の前記処理データを前記第2の監視周期に従って繰り返し受信し、前記物理量計測装置との通信を終了する第2の監視処理を実行することにより、前記処理データを収集する、
データ処理システム。
【請求項7】
コンピュータを用いてデータを処理するデータ処理方法であって、
計測対象の物理量を物理量データとして繰り返し取得し、その取得した前記物理量データに対して所定の演算を行うことにより処理データを生成する演算処理工程と、
前記演算処理工程により前記処理データが生成される毎に前記処理データをデータ収集装置に順次送信する通信処理工程と、を備え、
前記演算処理工程は、
所定の開始条件が満たされたとき、前記物理量データを所定のデータ点数だけ繰り返し取得し、その取得した前記データ点数分の前記物理量データに対して前記演算を行うことにより第1の前記処理データを生成する第1の演算処理を実行し、
前記第1の演算処理の実行後に所定の終了条件が満たされていないとき、所定の待機時間だけ待機状態に移行し、前記待機時間の経過後に最新時点の前記物理量データを取得し、その取得した前記最新時点の前記物理量データと、前記最新時点よりも過去に取得した過去時点の前記物理量データとからなる前記データ点数分の前記物理量データに対して前記演算を行うことにより第2の前記処理データを生成する第2の演算処理を、前記終了条件が満たされるまで繰り返し実行する、
データ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ処理装置、物理量計測装置、データ処理システム、及び、データ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、監視対象物に計測装置を取り付けて、監視対象装置の状態を監視することが行われている。例えば、特許文献1には、監視対象物の振動等を測定する測定センサと、測定センサによる測定を所定の測位サイクルで行う測定制御手段と、測定センサによる測定データを診断装置に送信する通信処理手段とを備える通信機能付き測定器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-225080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された通信機能付き測定器では、測定制御手段が、常時はスリープ状態にあり、測定サイクルにより設定された時点に至ると、自動起動して測定用センサに計測させて、その測定データを通信処理手段により送信させるものである。
【0005】
ここで、特定時点の測定データでは、測定センサの測定環境や監視対象物の運転状況等の影響を受けて突発値が含まれる可能性があるため、複数時点の測定データに対して移動平均等の演算を行うことが有効である。また、監視対象物の状態(異常や故障等)を判定する際に、その判定する状態に応じて、例えば、測定サイクルを時間単位や日単位で設定するような傾向監視(第1の監視処理)と、測定サイクルを秒単位や分単位で設定するようなリアルタイム監視(第2の監視処理)とを使い分けたり、併用したりすることが必要である。しかしながら、特許文献1に開示された通信機能付き測定器では、複数時点の測定データに対して移動平均等の演算を行うことや、複数の測定サイクルで監視するようなことは開示されていない。
【0006】
本発明は、上述した課題に鑑み、監視周期が異なる第1の監視処理及び第2の監視処理を実現しつつ、消費電力の低減を可能とするデータ処理装置、物理量計測装置、データ処理システム、及び、データ処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係るデータ処理装置は、
計測対象の物理量を物理量データとして繰り返し取得し、その取得した前記物理量データに対して所定の演算を行うことにより処理データを生成する演算処理部と、
前記演算処理部により前記処理データが生成される毎に前記処理データをデータ収集装置に順次送信する通信処理部と、を備え、
前記演算処理部は、
所定の開始条件が満たされたとき、前記物理量データを所定のデータ点数だけ繰り返し取得し、その取得した前記データ点数分の前記物理量データに対して前記演算を行うことにより第1の前記処理データを生成する第1の演算処理を実行し、
前記第1の演算処理の実行後に所定の終了条件が満たされていないとき、所定の待機
時間だけ待機状態に移行し、前記待機時間の経過後に最新時点の前記物理量データを取得し、その取得した前記最新時点の前記物理量データと、前記最新時点よりも過去に取得した過去時点の前記物理量データとからなる前記データ点数分の前記物理量データに対して前記演算を行うことにより第2の前記処理データを生成する第2の演算処理を、前記終了条件が満たされるまで繰り返し実行する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るデータ処理装置によれば、所定の開始条件が満たされると、演算処理部が、データ点数分の物理量データに対して演算を行うことにより第1の処理データを生成する第1の演算処理を実行し、通信処理部によりその第1の処理データを送信する。このとき、所定の終了条件が満たされることで、第2の演算処理は実行されない。これにより、1回分の処理データだけが送信されるので、例えば、傾向監視(第1の監視処理)に利用することができる。また、第1の監視処理では、待機時間による待機状態に移行しないため、待機時間分の消費電力の低減が図られる。一方、第1の演算処理の実行後に所定の終了条件が満たされていないと、演算処理部が、所定の待機時間だけ待機状態に移行し、最新時点の物理量データを含むデータ点数分の物理量データに対して演算を行うことにより第2の処理データを生成する第2の演算処理を、終了条件が満たされるまで繰り返し実行し、通信処理部によりその第2の処理データを順次送信する。これにより、処理データが繰り返し送信されるので、例えば、リアルタイム監視(第2の監視処理)に利用することができる。その際、通常の動作状態よりも消費電力が少ない待機状態に待機時間だけ移行し、待機時間の経過に合わせて物理量データが取得されて演算が行われるので、無用な物理量データの取得や演算が回避されることによる消費電力の低減と、待機状態への移行による消費電力の低減とが図られる。したがって、監視周期が異なる第1の監視処理及び第2の監視処理を実現しつつ、消費電力の低減を図ることができる。
【0009】
上記以外の課題、構成及び効果は、後述する発明を実施するための形態にて明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】データ処理システム1の一例を示す全体構成図である。
図2】物理量計測装置3の一例を示すブロック図である。
図3】データ収集装置4の一例を示すブロック図である。
図4】各装置を構成するコンピュータ900の一例を示すハードウエア構成図である。
図5】物理量計測装置3(データ処理装置31)及びデータ収集装置4による第1の監視動作の一例を示すフローチャートである。
図6】物理量計測装置3(データ処理装置31)及びデータ収集装置4による第2の監視動作の一例を示すフローチャートである。
図7】物理量計測装置3(データ処理装置31)及びデータ収集装置4による第2の監視動作の一例を示すフローチャート(図6の続き)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明を実施するための実施形態について説明する。以下では、本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0012】
図1は、データ処理システム1の一例を示す全体構成図である。データ処理システム1は、ポンプ装置2にて計測対象の物理量を計測したときの物理量データを処理し、ポンプ装置2を管理するためのシステムとして機能する。
【0013】
データ処理システム1は、その主要な構成として、監視対象のポンプ装置2と、ポンプ装置2に取付可能な物理量計測装置3と、物理量計測装置3と通信可能に構成されたデータ収集装置4と、データ収集装置4と通信可能に構成されたデータ管理装置5と、データ管理装置5と通信可能に構成された端末装置6とを備える。各装置2~6は、例えば、汎用又は専用のコンピュータ(後述の図4参照)で構成されるとともに、ネットワーク7を介して各種のデータを相互に送受信可能に構成される。なお、各装置2~6の数は、図1の例に限られず、1つでもよいし、複数でもよい。
【0014】
ポンプ装置2は、任意の流体を移送する装置であり、例えば、インフラ設備(上水道、下水道等)やプラント設備(石油精製、発電、製造、化学プロセス等)に設置されて使用される。ポンプ装置2は、ポンプ部20と、ポンプ装置2の駆動源となるモータ21と、モータ21が発生した駆動力をポンプ部20に伝達する伝達部22と、ポンプ装置2の動作を制御するポンプ制御盤23とを備える。
【0015】
ポンプ部20は、例えば、羽根車、回転軸、軸受、メカニカルシール、グランドパッキン、ケーシング、配管等で構成される。モータ21は、例えば、インバータモータ等の任意の形式のモータで構成される。伝達部22は、例えば、カップリング、継手、ジョイント、軸受等で構成される。ポンプ制御盤23は、例えば、組込型コンピュータで構成され、ユーザ(ポンプ装置2の設置作業者や管理者等)により運転条件が設定された設定値と、ポンプ部20及びモータ21の各部に設けられたセンサ類(不図示)の検出値とに基づいて、モータ21の回転動作を制御する。なお、ポンプ装置2は、各装置3~6と通信可能に構成されていてもよい。
【0016】
物理量計測装置3は、ポンプ装置2に起因する物理量を計測する装置であり、例えば、ポンプ部20、モータ21又は伝達部22の任意の位置に取り付けられる。物理量計測装置3は、計測対象の物理量を計測する物理量センサ30と、物理量センサ30により物理量を計測したときの物理量データを処理するデータ処理装置31と、物理量センサ30及びデータ処理装置31を内蔵し、ポンプ装置2に取付可能な筐体300とを備える。
【0017】
物理量センサ30による計測対象の物理量は、例えば、加速度(振動)、速度、変位、環境音等である。物理量センサ30は、例えば、加速度を計測可能な加速度センサ、速度を計測可能な速度センサ、変位を計測可能な変位センサ、環境音を計測可能なマイクロホン等で構成される。なお、計測対象の物理量は、上記の例に限られず、例えば、圧力、荷重、温度、電流値、電圧値等の物理量でもよく、その場合には、圧力センサ、荷重センサ、温度センサ、電流センサ、電圧センサ等の物理量センサ30が用いられる。また、物理量センサ30は、複数の物理量をそれぞれ計測するための複数のセンサを含むものでもよい。
【0018】
データ処理装置31は、物理量センサ30により計測された物理量を示すアナログ信号がデジタル信号に変換された物理量データを処理するための装置である。なお、データ処理装置31は、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路を備えていてもよいし、物理量センサ30からデジタル信号に変換後の物理量データを取得するものでもよい。
【0019】
筐体300の取付位置は、計測対象の物理量に応じて決められる。なお、ポンプ装置2には、1つの物理量計測装置3が取り付けられてもよいし、図1に示すように、複数の物理量計測装置3が取り付けられてもよい。複数の物理量計測装置3が取り付けられる場合には、共通の物理量を計測するものでもよいし、異なる物理量を計測するものでもよい。
【0020】
データ収集装置4は、ポンプ装置2の設置場所に所在するユーザ(ポンプ装置2の管理者や点検・修理作業者等)により使用されて、物理量計測装置3(具体的には、データ処理装置31)からデータを収集する装置であり、例えば、スマートフォンやタブレット等の携帯型コンピュータで構成される。データ収集装置4のユーザが、例えば、物理量計測装置3から所定の距離内に接近したときに、物理量計測装置3との間で通信が確立されることで、物理量計測装置3からデータを収集する。また、データ収集装置4は、アプリケーションやブラウザ等のプログラムがインストールされて、各種の入力操作を受け付けるとともに、物理量計測装置3から収集したデータを表示画面に表示したり、そのデータをデータ管理装置5に送信したりする。
【0021】
データ管理装置5は、データ収集装置4により収集されたデータを管理するためのデータベース50を備え、例えば、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータで構成される。データ管理装置5は、データ収集装置4から受信したデータをデータベース50に格納したり、そのデータが所定の通知条件を満たすときに、通知情報を端末装置6に送信したり、データベース50に格納したデータの参照要求を端末装置6から受け付けたときに、データベース50の参照情報を端末装置6に送信したりする。
【0022】
端末装置6は、ポンプ装置2の設置場所から離れた遠隔地に所在するユーザ(ポンプ装置2の管理者や点検・修理作業者等)により使用される装置であり、例えば、据置型コンピュータや携帯型コンピュータで構成される。端末装置6は、アプリケーションやブラウザ等のプログラムがインストールされて、各種の入力操作を受け付けるとともに、各種の情報(通知情報やデータベース50の参照情報)を表示画面に表示する。なお、端末装置6は、データ収集装置4を兼用するものでもよい。
【0023】
ネットワーク7は、任意の通信規格に従って有線通信又は無線通信、あるいは、有線通信と無線通信の組合せにより構成される。具体的には、例えば、インターネット等の標準化された通信網、又はローカルネットワーク等の建物内で管理される通信網、あるいは、これらの通信網の組合せを利用することができる。また、無線通信の通信規格としては、典型的には国際規格が用いられる。国際規格の通信手段として、IEEE802.15.4、IEEE802.15.1、IEEE802.15.11a、11b、11g、11n、11ac、11ad、ISO/IEC14513-3-10、IEEE802.15.4g等の方式がある。また、Bluetooth(登録商標)、BluetoothLowEnergy、Wi-Fi、ZigBee(登録商標)、Sub-GHz、EnOcean(登録商標)、LTE等の方式を用いることもできる。
【0024】
図2は、物理量計測装置3の一例を示すブロック図である。物理量計測装置3は、その主要な構成要素として、上記の物理量センサ30の他に、データ処理装置31を構成する制御部32、通信部33、記憶部34及び電源35を備える。
【0025】
制御部32は、例えば、記憶部34に記憶されたデータ処理プログラム340を実行することにより、演算処理部320、及び、通信処理部321として機能する。通信部33は、ネットワーク7を介して、例えば、データ収集装置4との間で各種のデータを送受信する通信インターフェースとして機能する。記憶部34は、物理量計測装置3の動作で使用される各種のプログラム(データ処理プログラム340等)やデータ(設定情報341等)を記憶する。設定情報341には、例えば、物理量計測装置3が動作する際に制御部32により参照される設定パラメータ(データ点数Dn、待機時間Wt等)が記憶されるとともに、例えば、データ収集装置4を介して設定可能に構成される。電源35は、例えば、一次電池、二次電池、太陽電池、燃料電池等で構成され、物理量計測装置3の各部に電力を供給する。なお、電源35は、ポンプ装置2から電力供給を受けるものでもよい。
【0026】
演算処理部320は、物理量センサ30により計測された計測対象の物理量を物理量データDとして繰り返し取得し、その取得した物理量データDに対して所定の演算を行うことにより処理データRpを生成する。物理量データDに対する演算は、例えば、計測時点が異なる所定のデータ点数分の物理量データDに対して移動平均を求めるものであり、例えば、単純移動平均や加重移動平均等である。
【0027】
演算処理部320は、所定の開始条件が満たされたとき、物理量データDを所定のデータ点数Dnだけ繰り返し取得し、その取得したデータ点数分の物理量データD1に対して演算を行うことにより第1の処理データRp1を生成する第1の演算処理を実行する。第1の監視処理では、後述する第2の演算処理のように、待機時間による待機状態に移行しないため、データ点数分の物理量データDが取得されて演算が行われるので、待機時間分の消費電力の低減が図られる。
【0028】
また、演算処理部320は、第1の演算処理の実行後に所定の終了条件が満たされていないとき、所定の待機時間Wtだけ待機状態に移行し、待機時間Wtの経過後に最新時点の物理量データDnewを取得し、その取得した最新時点の物理量データDnewと、最新時点よりも過去に取得した過去時点の物理量データDpassとからなるデータ点数分の物理量データD2に対して演算を行うことにより第2の処理データRp2を生成する第2の演算処理を、終了条件が満たされるまで繰り返し実行する。
【0029】
待機時間Wtは、例えば、後述する第2の監視周期S2から物理量データDの取得時間と、第2の処理データRp2の演算時間とを減算した時間を目安にして設定される。第2の演算処理では、通常の動作状態よりも消費電力が少ない待機状態に待機時間Wtだけ移行し、待機時間Wtの経過に合わせて物理量データDが取得されて演算が行われるので、無用な物理量データDの取得や演算が回避されることによる消費電力の低減と、待機状態への移行による消費電力の低減とが図られる。
【0030】
データ点数Dnが、例えば、「4点」の場合には、第2の演算処理で演算が行われるデータ点数分の物理量データD2は、最新時点の1点の物理量データDnewと、最新時点から遡って直近の過去時点である3点分の物理量データDpass1、Dpass2、Dpass3とからなる。データ点数分の物理量データD2に対する演算として、演算処理部320が、例えば、最新時点の物理量データDnewを取得する毎に移動平均を求める場合には、過去時点の物理量データDpass(Dpass1、Dpass2、Dpass3)を記憶部34に記憶しておき、移動平均を求める際に記憶部34を参照するようにすればよい。その際、記憶部34に記憶された物理量データDpassは、記憶部34の記憶容量等を考慮して、その取得した時点が古い順に削除されるようにすればよい。
【0031】
開始条件及び終了条件は、例えば、データ収集装置4との通信状態や物理量計測装置3の電源のオンオフ状態に基づいて定められる。例えば、データ収集装置4との通信状態として、演算処理部320は、データ収集装置4との通信が開始したとき、開始条件が満たされたものとして、第1の演算処理を開始し、データ収集装置4との通信が終了したとき、終了条件が満たされたものとして、第2の演算処理を終了する。また、物理量計測装置3の電源のオンオフ状態として、演算処理部320は、物理量計測装置3の電源がオンされたとき、開始条件が満たされたものとして、第1の演算処理を開始し、物理量計測装置3の電源がオフされたとき、終了条件が満たされたものとして、第2の演算処理を終了する。
【0032】
なお、演算処理部320は、終了条件が満たされたとき、第2の演算処理を終了し、待機状態よりも消費電力が少ないスリープ状態に移行し、開始条件が満たされたとき、スリープ状態から復帰し、第1の演算処理を開始するようにしてもよい。
【0033】
通信処理部321は、演算処理部320により処理データRpが生成される毎に処理データRpをデータ収集装置4に順次送信する。演算処理部320が、第1の演算処理にて第1の処理データRp1を生成した場合には、通信処理部321は、第1の処理データRp1を送信し、第2の演算処理にて第2の処理データRp2を生成した場合には、通信処理部321は、第2の処理データRp2を送信する。
【0034】
通信処理部321により送信された処理データRpは、データ収集装置4により受信されると、データ収集装置4によりデータ管理装置5にさらに送信されることで、データベース50に格納される。また、処理データRpは、データ収集装置4の表示画面に表示されてもよい。なお、処理データRpには、通信処理部321又はデータ収集装置4により、例えば、ポンプ装置2及び物理量計測装置3の少なくとも一方を識別するための識別情報(ポンプ装置2の装置ID、物理量計測装置3の装置ID等)が付加されてもよく、その場合には、処理データRp及び識別情報が関連付けられた状態でデータベース50に格納されるようにしてもよい。
【0035】
図3は、データ収集装置4の一例を示すブロック図である。データ収集装置4は、その主要な構成要素として、制御部40、通信部41、記憶部42、入力部43及び出力部44を備える。
【0036】
制御部40は、例えば、記憶部42に記憶されたデータ収集プログラム420を実行することにより、第1の収集処理部400、及び、第2の収集処理部401として機能する。通信部41は、ネットワーク7を介して、例えば、物理量計測装置3やデータ管理装置5との間で各種のデータを送受信する通信インターフェースとして機能する。記憶部42は、データ収集装置4の動作で使用される各種のプログラム(データ収集プログラム420等)やデータ(設定情報421等)を記憶する。設定情報421には、例えば、データ収集装置4が動作する際に制御部40により参照される設定パラメータ(第1の監視周期S1、第2の監視周期S2等)が記憶されるとともに、例えば、データ収集装置4を介して設定可能に構成される。入力部43及び出力部44は、ユーザの入力操作を受け付けるとともに、各種の情報を表示画面や音声を介して出力することでユーザインターフェースとして機能する。
【0037】
第1の収集処理部400は、第1の監視周期S1に基づいて、処理データRp1を収集する第1の監視動作を行う。例えば、第1の収集処理部400は、物理量計測装置3との通信を開始し、物理量計測装置3から第1の処理データを受信し、物理量計測装置3との通信を終了する第1の監視処理を、第1の監視周期S1に従って繰り返し実行することにより、処理データRp1を収集する。第1の監視周期S1は、例えば、傾向監視(第1の監視処理)に適した値として、時間単位や日単位で設定される。
【0038】
第2の収集処理部401は、第1の監視周期S1よりも短い第2の監視周期S2(<S1)に基づいて、処理データRp1、Rp2を収集する第2の監視動作を行う。例えば、第2の収集処理部401は、物理量計測装置3との通信を開始し、物理量計測装置3から第1の処理データRp1を受信するとともに、第2の処理データRp2を第2の監視周期S2に従って繰り返し受信し、物理量計測装置3との通信を終了する第2の監視処理を実行することにより、処理データRp1、Rp2を収集する。第2の監視周期S2は、例えば、リアルタイム監視(第2の監視処理)に適した値として、秒単位や分単位で設定される。
【0039】
図4は、各装置を構成するコンピュータ900の一例を示すハードウエア構成図である。ポンプ装置2(主にポンプ制御盤23)、物理量計測装置3(主にデータ処理装置31
)、データ管理装置5、及び、端末装置6の各々は、汎用又は専用のコンピュータ900により構成される。
【0040】
コンピュータ900は、図4に示すように、その主要な構成要素として、バス910、プロセッサ912、メモリ914、入力デバイス916、出力デバイス917、表示デバイス918、ストレージ装置920、通信I/F(インターフェース)部922、外部機器I/F部924、I/O(入出力)デバイスI/F部926、及び、メディア入出力部928を備える。なお、上記の構成要素は、コンピュータ900が使用される用途に応じて適宜省略されてもよい。
【0041】
プロセッサ912は、1つ又は複数の演算処理装置(CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)、NPU(Neural Processing Unit)等)で構成され、コンピュータ900全体を統括する制御部として動作する。メモリ914は、各種のデータ及びプログラム930を記憶し、例えば、メインメモリとして機能する揮発性メモリ(DRAM、SRAM等)と、不揮発性メモリ(ROM)、フラッシュメモリ等とで構成される。
【0042】
入力デバイス916は、例えば、キーボード、マウス、テンキー、電子ペン等で構成され、入力部として機能する。出力デバイス917は、例えば、音(音声)出力装置、バイブレーション装置等で構成され、出力部として機能する。表示デバイス918は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー、プロジェクタ等で構成され、出力部として機能する。入力デバイス916及び表示デバイス918は、タッチパネルディスプレイのように、一体的に構成されていてもよい。ストレージ装置920は、例えば、HDD、SSD等で構成され、記憶部として機能する。ストレージ装置920は、オペレーティングシステムやプログラム930の実行に必要な各種のデータを記憶する。
【0043】
通信I/F部922は、インターネットやイントラネット等のネットワーク940(図1のネットワーク7と同じであってもよい)に有線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って他のコンピュータとの間でデータの送受信を行う通信部として機能する。外部機器I/F部924は、カメラ、プリンタ、スキャナ、リーダライタ等の外部機器950に有線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って外部機器950との間でデータの送受信を行う通信部として機能する。I/OデバイスI/F部926は、各種のセンサ、アクチュエータ等のI/Oデバイス960に接続され、I/Oデバイス960との間で、例えば、センサによる検出信号やアクチュエータへの制御信号等の各種の信号やデータの送受信を行う通信部として機能する。メディア入出力部928は、例えば、DVDドライブ、CDドライブ等のドライブ装置、メモリカードスロット、USBコネクタで構成され、DVD、CD、メモリカード、USBメモリ等のメディア(非一時的な記憶媒体)970に対してデータの読み書きを行う。
【0044】
上記構成を有するコンピュータ900において、プロセッサ912は、ストレージ装置920に記憶されたプログラム930をメモリ914に呼び出して実行し、バス910を介してコンピュータ900の各部を制御する。なお、プログラム930は、ストレージ装置920に代えて、メモリ914に記憶されていてもよい。プログラム930は、インストール可能なファイル形式又は実行可能なファイル形式でメディア970に記録され、メディア入出力部928を介してコンピュータ900に提供されてもよい。プログラム930は、通信I/F部922を介してネットワーク940経由でダウンロードすることによりコンピュータ900に提供されてもよい。また、コンピュータ900は、プロセッサ912がプログラム930を実行することで実現する各種の機能を、例えば、FPGA(F
ield-Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウエアで実現するものでもよい。
【0045】
コンピュータ900は、例えば、据置型コンピュータや携帯型コンピュータで構成され、任意の形態の電子機器である。コンピュータ900は、クライアント型コンピュータでもよいし、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータでもよいし、例えば、制御盤、コントローラ(マイコン、プログラマブルロジックコントローラ、シーケンサを含む)等と呼ばれる組込型コンピュータでもよい。
【0046】
(データ処理方法)
図5は、物理量計測装置3(データ処理装置31)及びデータ収集装置4による第1の監視動作の一例を示すフローチャートである。図6及び図7は、物理量計測装置3(データ処理装置31)及びデータ収集装置4による第2の監視動作の一例を示すフローチャートである。図5乃至図7に示す一連の処理(データ処理方法)は、例えば、データ収集装置4に対するユーザの入力操作に基づいて実行されてもよいし、データ管理装置5からのデータ収集装置4に対する実行指令に基づいて実行されてもよい。
【0047】
(第1の監視動作)
以下では、データ収集装置4が、第1の監視動作を開始するように指示する入力操作を受け付けた場合について、図5を参照して説明する。
【0048】
まず、データ収集装置4の第1の収集処理部400は、上記の入力操作を受け付けると、図5に示すステップS100にて、物理量計測装置3との通信を開始するための通信開始要求を物理量計測装置3に送信する。
【0049】
そして、ステップS200にて、物理量計測装置3の演算処理部320は、データ収集装置4から通信開始要求を受信すると、データ収集装置4との間で通信を開始し、ステップS210にて、開始条件が満たされものと判断する。その際、制御部32がスリープ状態である場合には、ステップS211にて、スリープ状態から復帰する。
【0050】
次に、ステップS220~S221にて、演算処理部320は、第1の演算処理を実行する。具体的には、演算処理部320は、ステップS220にて、物理量データDを所定のデータ点数Dn(本実施形態では、Dn=「4点」)だけ繰り返し取得する。そして、ステップS221にて、その取得した4点の物理量データD1に対して、例えば、移動平均を求める演算を行うことにより第1の処理データRp1を生成する。
【0051】
次に、ステップS230にて、通信処理部321は、ステップS220~S221(第1の演算処理)で生成した第1の処理データRp1をデータ収集装置4に送信する。
【0052】
そして、ステップS110にて、第1の収集処理部400は、データ収集装置4から第1の処理データRp1を受信すると、その第1の処理データRp1を出力する出力処理として、例えば、データ管理装置5のデータベース50に格納したり、データ収集装置4の表示画面に表示したりする。
【0053】
次に、ステップS111にて、第1の収集処理部400は、物理量計測装置3との通信を終了するための通信終了要求を物理量計測装置3に送信する。そして、ステップS120にて、第1の収集処理部400は、第1の監視周期S1による監視時点が到来したか否かを監視し、次の監視時点が到来したと判断した場合には、上記のステップS100に戻る。
【0054】
一方、ステップS240にて、演算処理部320は、データ収集装置4から通信終了要求を受信すると、データ収集装置4との間で通信を終了する。次に、ステップS250にて、演算処理部320は、データ収集装置4から通信終了要求を受信したか否かに応じて終了条件が満たされたか否かを判断するが、通信終了要求を受信したため、ステップS251にて、終了条件が満たされたと判断する。そして、ステップS252にて、演算処理部320は、スリープ状態に移行し、新たな通信開始要求を受信するまでスリープ状態を維持する。
【0055】
以上のようにして、演算処理部320は、通信開始要求を受信する毎にスリープ状態から復帰して第1の処理データRp1を生成する第1の演算処理を実行し、通信処理部321により第1の処理データRp1を繰り返し送信する。一方、第1の収集処理部400は、第1の監視処理により第1の監視周期S1が経過する毎に通信開始要求を繰り返し送信することにより、処理データRp1を収集する。なお、ステップS200~S221、ステップS240~S252が演算処理工程、ステップS230が通信処理工程に相当する。
【0056】
(第2の監視動作)
以下では、データ収集装置4が、第2の監視動作を開始するように指示する入力操作を受け付けた場合について、図6及び図7を参照して説明する。なお、図6及び図7に示す各ステップにおいて、図5と同様の処理を行うステップに対して図5と同一のステップ番号を付与している。
【0057】
まず、データ収集装置4の第2の収集処理部401は、上記の入力操作を受け付けると、図6に示すステップS100にて、物理量計測装置3との通信を開始するための通信開始要求を物理量計測装置3に送信する。
【0058】
そして、ステップS200にて、物理量計測装置3の演算処理部320は、データ収集装置4から通信開始要求を受信すると、データ収集装置4との間で通信を開始し、ステップS210にて、開始条件が満たされものと判断する。その際、制御部32がスリープ状態である場合には、ステップS211にて、スリープ状態から復帰する。
【0059】
次に、ステップS220にて、演算処理部320は、物理量データDを所定のデータ点数Dn(本実施形態では、Dn=「4点」)だけ繰り返し取得し、ステップS221にて、その取得した4点分の物理量データD1に対して演算を行うことにより第1の処理データRp1を生成する。そして、ステップS230にて、通信処理部321は、ステップS220~S221(第1の演算処理)で生成した第1の処理データRp1をデータ収集装置4に送信する。
【0060】
そして、ステップS110にて、第2の収集処理部401は、データ収集装置4から第1の処理データRp1を受信すると、その第1の処理データRp1を出力する出力処理を行う。ここで、図6の破線で示すステップS111、S240は、実際には実行されない処理であり、第2の収集処理部401は、第1の処理データRp1の出力処理を行った後に、通信終了要求を物理量計測装置3に送信しない。
【0061】
そのため、ステップS250にて、演算処理部320は、データ収集装置4から通信終了要求を受信したか否かに応じて終了条件が満たされたか否かを判断するが、通信終了要求を受信しないため、終了条件が満たされていないと判断し、ステップS260に進む。
【0062】
そして、ステップS260~S262にて、演算処理部320は、第2の演算処理を実
行する。具体的には、演算処理部320は、ステップS260にて、所定の待機時間Wtだけ待機状態に移行する。そして、その待機時間Wtの経過後に、ステップS261にて、最新時点の物理量データDnewを取得し、ステップS262にて、その取得した最新時点の1点の物理量データDnewと、最新時点よりも過去に取得した過去時点の3点の物理量データDpsas(Dpsas1、Dpsas2、Dpsas3)とからなる4点分の物理量データD2(Dnew、Dpsas1、Dpsas2、Dpsas3)に対して演算を行うことにより第2の処理データRp2を生成する。なお、過去時点の物理量データDpsasは、3回分前までに取得した物理量データDであり、記憶部34から読み出される。そして、最新時点の物理量データDnewは、記憶部34に記憶されて、次回の第2の演算処理では、過去時点の物理量データDpsasとして読み出される。
【0063】
次に、ステップS270にて、通信処理部321は、ステップS260~S262(第2の演算処理)で生成した第2の処理データRp2をデータ収集装置4に送信する。
【0064】
そして、ステップS130にて、第2の収集処理部401は、データ収集装置4から第2の処理データRp2を受信すると、その第2の処理データRp2を出力する出力処理を行う。
【0065】
一方、ステップS290にて、演算処理部320は、データ収集装置4から通信終了要求を受信したか否かに応じて終了条件が満たされたか否かを監視する。
【0066】
ここで、図7の破線で示すステップS131、S280が実行されない場合について説明すると、ステップS290にて、演算処理部320は、通信終了要求を受信しないため、終了条件が満たされていないと判断し、ステップS260に戻る。そして、ステップS260~S262(第2の演算処理)を実行し、ステップS270にて、第2の処理データRp2をデータ収集装置4に送信する処理を終了条件が満たされるまで繰り返し実行する。そのため、ステップS130にて、第2の収集処理部401は、データ収集装置4から第2の処理データRp2を繰り返し受信する。
【0067】
一方、図7の破線で示すステップS131、S280が実行される場合について説明すると、ステップS131にて、第2の収集処理部401は、通信終了要求を物理量計測装置3に送信する。ここで、第2の収集処理部401は、例えば、第2の監視動作を終了するように指示する入力操作を受け付けたり、第2の監視動作による監視期間が終了したりした場合には、通信終了要求を物理量計測装置3に送信するようにすればよい。
【0068】
そして、ステップS280にて、演算処理部320は、データ収集装置4から通信終了要求を受信すると、データ収集装置4との間で通信を終了し、ステップS290にて、データ収集装置4から通信終了要求を受信したか否かに応じて終了条件が満たされたか否かを判断するが、通信終了要求を受信したため、ステップS251にて、終了条件が満たされたと判断する。そして、ステップS252にて、演算処理部320は、スリープ状態に移行する。
【0069】
以上のようにして、演算処理部320は、第1の処理データRp1を生成する第1の演算処理を実行した後、第2の監視周期S2に対応する待機時間Wtによる待機状態に移行し、第2の処理データRp2を生成する第2の演算処理を繰り返し実行することにより、通信処理部321により第2の処理データRp2を繰り返し送信する。一方、第2の収集処理部401は、物理量計測装置3から第1の処理データRp1を受信するとともに、第2の処理データRp2を第2の監視周期S2に従って繰り返し受信する第2の監視処理を実行することにより、第2の監視周期S2が経過する毎に処理データRp1、Rp2を収集する。なお、ステップS200~S221、ステップS240~S262、S280~
S290が演算処理工程、ステップS230、S270が通信処理工程に相当する。
【0070】
本発明に係る物理量計測装置3(データ処理装置31)によれば、所定の開始条件が満たされると、演算処理部320が、データ点数分の物理量データD1に対して演算を行うことにより第1の処理データRp1を生成する第1の演算処理を実行し、通信処理部321によりその第1の処理データRp1を送信する。このとき、所定の終了条件が満たされることで、第2の演算処理は実行されない。これにより、1回分の処理データRp1だけが送信されるので、例えば、傾向監視(第1の監視処理)に利用することができる。また、第1の監視処理では、待機時間Wtによる待機状態に移行しないため、待機時間分の消費電力の低減が図られる。一方、第1の演算処理の実行後に所定の終了条件が満たされていないと、演算処理部320が、所定の待機時間Wtだけ待機状態に移行し、最新時点の物理量データDnewを含むデータ点数分の物理量データD2に対して演算を行うことにより第2の処理データRp2を生成する第2の演算処理を、終了条件が満たされるまで繰り返し実行し、通信処理部321によりその第2の処理データRp2を順次送信する。これにより、処理データRp2が繰り返し送信されるので、例えば、リアルタイム監視(第2の監視処理)に利用することができる。その際、通常の動作状態よりも消費電力が少ない待機状態に待機時間Wtだけ移行し、待機時間Wtの経過に合わせて物理量データDが取得されて演算が行われるので、無用な物理量データDの取得や演算が回避されることによる消費電力の低減と、待機状態への移行による消費電力の低減とが図られる。したがって、監視周期が異なる第1の監視処理及び第2の監視処理を実現しつつ、消費電力の低減を図ることができる。
【0071】
(他の実施形態)
本発明は上述した実施形態に制約されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本発明の技術思想に含まれるものである。
【0072】
上記実施形態では、データ処理装置31が、ポンプ装置2とは別体の装置である物理量計測装置3で実現される場合について説明したが、データ処理装置31の機能の一部又は全部(特に制御部32の機能)が、ポンプ装置2のポンプ制御盤23に組み込まれることによりポンプ装置2で実現されていてもよい。その場合には、物理量センサ30と、ポンプ制御盤23とを有線又は無線により接続し、各種のデータを送受信するようにすればよい。また、ポンプ装置2が、物理量センサ30を備えるようにしてもよい。
【0073】
上記実施形態では、物理量計測装置3により送信された処理データRp1、Rp2は、データ収集装置4を中継してデータ管理装置5に受信されて、記憶装置としてのデータベース50に格納される場合について説明したが、処理データRp1、Rp2の送信先の装置や格納先の記憶装置は適宜変更されてもよい。例えば、処理データRp1、Rp2は、データ管理装置5や端末装置6に送信されてもよいし、データ収集装置4や端末装置6が備える記憶装置に格納されてもよい。
【0074】
上記実施形態では、物理量計測装置3(データ処理装置31)が、図5乃至図7に示すフローチャートに従って動作する場合について説明したが、各ステップの実行順序を適宜変更してもよいし、一部のステップを省略してもよい。
【0075】
上記実施形態では、物理量計測装置3は、ポンプ装置2に取り付けられる場合について説明したが、例えば、冷凍機、気体機械、工作機械、プレス機器、搬送機器、診断機器等の各種の装置に取り付けられてもよい。その場合には、物理量センサ30は、各種の装置に起因する物理量を計測するようにすればよい。
【符号の説明】
【0076】
1…データ処理システム、2…ポンプ装置、3…物理量計測装置、
4…データ収集装置、5…データ管理装置、6…端末装置、7…ネットワーク
20…ポンプ部、21…モータ、22…伝達部、23…ポンプ制御盤、
30…物理量センサ、31…データ処理装置、32…制御部、33…通信部、
34…記憶部、35…電源、40…制御部、41…通信部、42…記憶部、
43…入力部、44…出力部、50…データベース、
320…演算処理部、321…通信処理部、340…データ処理プログラム、
341…設定情報、400…第1の収集処理部、401…第2の収集処理部、
420…データ収集プログラム、421…設定情報、
D1、D2、Dnew、Dpass、Dpass1、Dpass2、Dpass3…物理量データ、Dn…データ点数、
Rp…処理データ、Rp1…第1の処理データ、Rp2…第2の処理データ、
S1…第1の監視周期、S2…第2の監視周期、Wt…待機時間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7