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特開2024-4481超悪玉コレステロール低減剤、sdLDL血症の予防又は治療剤、酸化悪玉コレステロール低減剤、及び潜在性動脈硬化症の予防又は治療剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004481
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】超悪玉コレステロール低減剤、sdLDL血症の予防又は治療剤、酸化悪玉コレステロール低減剤、及び潜在性動脈硬化症の予防又は治療剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/062 20060101AFI20240109BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20240109BHJP
   A23L 7/104 20160101ALI20240109BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20240109BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20240109BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
A61K36/062
A23L33/10
A23L7/104
A23L5/00 J
A61P9/10 101
A61P3/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104556
(22)【出願日】2023-06-26
(31)【優先権主張番号】P 2022103351
(32)【優先日】2022-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】浅野 幸一
【テーマコード(参考)】
4B018
4B023
4B035
4C087
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LB10
4B018MD49
4B018MD58
4B018MD80
4B018ME04
4B023LC09
4B023LE30
4B023LG01
4B023LG03
4B023LG05
4B023LG06
4B023LG10
4B023LK18
4B023LP08
4B023LP16
4B035LC06
4B035LG33
4B035LG34
4B035LG50
4B035LP03
4B035LP42
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC10
4C087MA43
4C087MA52
4C087NA14
4C087ZA45
4C087ZC33
(57)【要約】
【課題】本発明は超悪玉コレステロール及び/又は酸化悪玉コレステロールを低減できるコレステロール低減剤を提供することを目的とする。
【解決手段】紅麹及び/又はその加工物は、超悪玉コレステロール及び酸化悪玉コレステロールの低減剤の有効成分となる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紅麹及び/又はその加工物を含む、超悪玉コレステロール低減剤。
【請求項2】
超悪玉コレステロール値が10mg/dL以上の対象に適用される、請求項1に記載の超悪玉コレステロール低減剤。
【請求項3】
超悪玉コレステロール値が20mg/dL以上の対象に適用される、請求項1に記載の超悪玉コレステロール低減剤。
【請求項4】
LDLコレステロール値(mg/dL)に対する超悪玉コレステロール値(mg/dL)の比率が0.1以上である、請求項1に記載の超悪玉コレステロール低減剤。
【請求項5】
LDLコレステロール値が160mg/dL未満の対象に適用される、請求項1に記載の超悪玉コレステロール低減剤。
【請求項6】
中性脂肪値が正常値より高い対象に適用される、請求項1に記載の超悪玉コレステロール低減剤。
【請求項7】
紅麹及び/又はその加工物を含む、sdLDL血症の予防又は治療剤。
【請求項8】
紅麹及び/又はその加工物を含む、酸化悪玉コレステロール低減剤。
【請求項9】
酸化悪玉コレステロール値が30U/L以上の対象に適用される、請求項8に記載の酸化悪玉コレステロール低減剤。
【請求項10】
LDLコレステロール1mg当たりの酸化悪玉コレステロールが0.03U以上である、請求項8に記載の酸化悪玉コレステロール低減剤。
【請求項11】
心疾患危険因子がない対象に適用される、請求項8に記載の酸化悪玉コレステロール低減剤。
【請求項12】
LDLコレステロール値が160mg/dL未満の対象に適用される、請求項8に記載の酸化悪玉コレステロール低減剤。
【請求項13】
紅麹及び/又はその加工物を含む、潜在性動脈硬化症の予防又は治療剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超悪玉コレステロール及び/又は酸化悪玉コレステロールの低減に用いられる、コレステロール低減剤に関する。
【背景技術】
【0002】
悪玉コレステロール(LDL-C)の中で、25.5nmよりも小さい粒子径を有するものを特に超悪玉コレステロール(sdLDL-C)という。超悪玉コレステロールは、動脈壁の中に係留されやすく、かつ酸化変性を受けやすいため、動脈硬化惹起性が強い(非特許文献1)。sdLDL血症は虚血性心疾患発症の危険因子となる(非特許文献2)。このため、超悪玉コレステロールは、動脈硬化の早期発見のマーカーとして使用されている(非特許文献3)。
【0003】
超悪玉コレステロールの具体的な血中濃度に関しては、50mg/dl以上の人がハイリスクであることはほぼ間違いない(非特許文献4)が、基準値は未だ明確に定められていない。
【0004】
一方、酸化変性を受けたLDLは酸化悪玉コレステロール(酸化LDL-C)といい、マクロファージに取り込まれて細胞を泡沫細胞へと変化させ、動脈硬化を惹起する(非特許文献1)。このため、酸化LDL-Cは動脈硬化の早期段階のバイオマーカー(非特許文献5)、つまり潜在的動脈硬化症の診断マーカー(非特許文献6)として使用されている。なお、最近、潜在性動脈硬化症は心血管危険因子がなくても高率に認められることも報告されている(非特許文献7)。
【0005】
酸化悪玉コレステロールのカットオフ値は、男性45才未満で46~82U/L、男性45才以上で61~105U/L、女性55才未満で46~82U/L、女性55才以上で61~105U/Lである(非特許文献8)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】日本内科学会雑誌 第102巻 第12号, 2013, p.3117-3124
【非特許文献2】虚血性心疾患の一次予防ガイドライン(2012年改訂版), p.22
【非特許文献3】“sd LDL-C (健診)”,[online],株式会社エスアールエル,[令和4年1月22日検索],インターネット<URL:https://test-guide.srl.info/hachioji/test/detail/042770102>
【非特許文献4】第111回健康セミナー平成30年5月14日開催“脂質異常症と動脈硬化”, [online], 関西労働保健協会, [令和4年1月22日検索],インターネット<URL:https://www.krk-osaka.or.jp/about/detail_9.html>
【非特許文献5】糖尿病 53(4):231~233,2010
【非特許文献6】研究成果報告書 課題番号23390178 “酸化LDLコレステロールと潜在性動脈硬化症、生活機能の関連についての地域疫学研究”,[online],平成27年6月1日, KAKEN[令和4年1月22日検索],インターネット<URL:https://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/download.php/KAKEN_23390178seika.pdf?file_id=107522>
【非特許文献7】J Am Coll Cardiol 2017; 70: 2979-2991
【非特許文献8】“酸化LDL(MDA-LDL)”,[online],株式会社エスアールエル,[令和4年1月22日検索],インターネット<URL:https://test-guide.srl.info/hachioji/test/detail/001160802>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
循環器系疾患及びその予防においては、悪玉コレステロールの低減が重要視されてきた。一方、超悪玉コレステロールや酸化悪玉コレステロールに対して効率的にアプローチできれば、循環器系疾患及びその予防により有効と考えられる。
【0008】
そこで、本発明の目的は、超悪玉コレステロール及び/又は酸化悪玉コレステロールを低減できる剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、鋭意検討を行ったところ、紅麹及び/又はその加工物が、超悪玉コレステロール及び酸化悪玉コレステロールを低減できることを見出した。本発明は、この知見に基づいて完成されたものである。
【0010】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 紅麹及び/又はその加工物を含む、超悪玉コレステロール低減剤。
項2. 超悪玉コレステロール値が10mg/dL以上の対象に適用される、項1に記載の超悪玉コレステロール低減剤。
項3. 超悪玉コレステロール値が20mg/dL以上の対象に適用される、項1又は2に記載の超悪玉コレステロール低減剤。
項4. LDLコレステロール値(mg/dL)に対する超悪玉コレステロール値(mg/dL)の比率が0.1以上である、項1~3のいずれかに記載の超悪玉コレステロール低減剤。
項5. LDLコレステロール値が160mg/dL未満の対象に適用される、項1~4のいずれかに記載の超悪玉コレステロール低減剤。
項6. 中性脂肪値が正常値より高い対象に適用される、項1~5のいずれかに記載の超悪玉コレステロール低減剤。
項7. 紅麹及び/又はその加工物を含む、sdLDL血症の予防又は治療剤。
項8. 紅麹及び/又はその加工物を含む、酸化悪玉コレステロール低減剤。
項9. 酸化悪玉コレステロール値が30U/L以上の対象に適用される、項8に記載の酸化悪玉コレステロール低減剤。
項10. LDLコレステロール1mg当たりの酸化悪玉コレステロールが0.03U以上である、項8又は9に記載の酸化悪玉コレステロール低減剤。
項11. 心疾患危険因子がない対象に適用される、項8~10のいずれかに記載の酸化悪玉コレステロール低減剤。
項12. LDLコレステロール値が160mg/dL未満の対象に適用される、項8~11のいずれかに記載の酸化悪玉コレステロール低減剤。
項13. 紅麹及び/又はその加工物を含む、潜在性動脈硬化症の予防又は治療剤。
項14. 超悪玉コレステロール及び/又は酸化悪玉コレステロールを低減すべき対象に紅麹及び/又はその加工物を投与する工程を含む、超悪玉コレステロール及び/又は酸化悪玉コレステロールの低減方法。
項15. 超悪玉コレステロール低減剤及び/又は酸化悪玉コレステロール低減剤の製造における紅麹及び/又はその加工物の使用。
項16. 超悪玉コレステロール及び/又は酸化悪玉コレステロールの低減のために使用される、紅麹及び/又はその加工物。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、超悪玉コレステロール及び/又は酸化悪玉コレステロールを低減できる剤が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の超悪玉コレステロール低減剤及び酸化悪玉コレステロール低減剤は、紅麹及び/又はその加工物を含み、それぞれ、超悪玉コレステロール及び酸化悪玉コレステロールの低減に用いられることを特徴とする。超悪玉コレステロールは、sdLDL-Cとも呼ばれる。超悪玉コレステロール低減剤は、sdLDL-C低減剤と同義である。酸化悪玉コレステロールは、酸化LDL-Cとも呼ばれる。酸化悪玉コレステロール低減剤は、酸化LDL-C低減剤と同義である。本明細書において、超悪玉コレステロール低減剤と酸化悪玉コレステロール低減剤とを包括して「コレステロール低減剤」とも記載する。以下、本発明のコレステロール低減剤について詳述する。
【0013】
紅麹及び/又はその加工物
本発明のコレステロール低減剤は、紅麹及び/又はその加工物を有効成分として含有する。紅麹は、穀類に紅麹菌を付着させ、発酵させた麹である。
【0014】
本発明で使用される紅麹の製造に使用される紅麹菌は、ベニコウジカビ科(Monascaceae)に属する糸状菌であればよい。ベニコウジカビ科に属する糸状菌としては、例えば、モナスカス属(Monascus)、及びバシペトスポラ属(BasIpetospora) に属する糸状菌が挙げられ、好ましくはモナスカス属(Monascus)が挙げられる。
【0015】
モナスカス属に属する糸状菌としては、例えば、モナスカス・ピローサス(M. pilosus)、モナスカス・パープレウス(M. purpureus)、モナスカス・プビゲレス(M. pubigerus)、モナスカス・アンカ(M. anka)、モナスカス・セロルベセンス(M. serorubescens)、モナスカス・ルベルス(M. rubellus)、モナスカス・カオリアング(M. kaoliang)、モナスカス・ルビギノサス(M. rubiginosus)、モナスカス・メイジャー(M. major)、モナスカス・ルバー(M. ruber)、モナスカス・パキシイ(M. paxii)、モナスカス・フリギノサス(M. fuliginosus)、モナスカス・ビトレウス(M. vitreus)、モナスカス・バルケリ(M. barkeri)、モナスカス・エスピー(Monascus sp.)、これらの変種又は変異株が挙げられる。本発明で使用される紅麹は、1種の紅麹菌を使用して製造されたものであってもよく、2種以上の紅麹菌を組み合わせて製造されたものであってもよい。これらの紅麹菌の中でも、好ましくはモナスカス・ピローサスが挙げられる。
【0016】
本発明で使用される紅麹の原料として使用される穀類の種類については、可食性があり、紅麹菌による発酵が可能であることを限度として特に制限されないが、例えば、白米や玄米等の米類;小麦、大麦、ライ麦、燕麦等の麦類、大豆(白大豆、黒大豆、青大豆等)、これらの脱脂大豆、これらの胚軸等の豆類等が挙げられる。本発明で使用される紅麹は、1種の穀類を使用して製造されたものであってもよく、2種以上の穀類を組み合わせて製造されたものであってもよい。これらの穀類の中でも、好ましくは米類、より好ましくは白米が挙げられる。
【0017】
紅麹は、紅麹菌及び穀類を用いて、慣用の方法によって製造することができる。具体的には、蒸煮(炊き上げ、蒸し上げ)された穀類に紅麹菌を接種し、20~40℃程度の好気的条件で静置培養することによって紅麹を製造することができる。また、原料として使用される穀類は、必要に応じて、蒸煮前又は蒸煮後に細切又は粉砕処理に供していてもよい。
【0018】
本発明では、発酵後の紅麹をそのまま使用してもよく、また、発酵後の紅麹を、加熱、乾燥、破砕、粉砕、磨砕、抽出等の内1種以上の処理に供された紅麹の加工物を使用してもよい。
【0019】
紅麹の加工物としては、具体的には、乾燥紅麹、乾燥紅麹の粉末物、乾燥紅麹の細粒物、紅麹のペースト;並びに、紅麹エキスの乾燥物及び紅麹エキスの濃縮エキス等が挙げられる。これらの紅麹の加工物の中でも、好ましくは乾燥紅麹、乾燥紅麹の粉末物、乾燥紅麹の細粒物、紅麹のペースト、より好ましくは乾燥紅麹の粉末物、乾燥紅麹の細粒物、更に好ましくは乾燥紅麹の粉末物が挙げられる。また、紅麹の加工物に含まれる紅麹菌及び酵素は、生菌又は活性を維持した状態であってもよく、また、加熱処理等により失活されていてもよい。
【0020】
紅麹及び/又はその加工物にはモナコリンKが含まれる。紅麹及び/又はその加工物の総量100重量部当たりのモナコリンKの含有比率としては、例えば0.5~5重量部、好ましくは1~4重量部、より好ましくは2~3重量部が挙げられる。
【0021】
紅麹の加工物は、商業的に入手したものを使用することもできる。例えば、乾燥米紅麹の粉末物は、商品名「V.紅麹3P-D」、「V.紅麹3P-D20」(いずれも小林バリューサポート株式会社製)として販売されており、本発明ではこれらの市販品を使用することができる。
【0022】
本発明のコレステロール低減剤において、紅麹及び/又はその加工物は、それ自体が単独で有効成分として用いられる。
【0023】
本発明のコレステロール低減剤に含まれる、紅麹及び/又はその加工物の具体的な量については、対象者の体格、年齢、症状、コレステロール低減剤の剤型などを勘案し、1日当たりの紅麹及び/又はその加工物の摂取・投与量を踏まえて適宜決定すればよいが、総量で、例えば0.0001~100量%、好ましくは0.001~100重量%が挙げられる。
【0024】
その他の成分
本発明のコレステロール低減剤は、上記の有効成分の他に、必要に応じて、他の栄養成分及び/又は薬理成分を含有していてもよい。このような栄養成分及び薬理成分としては、飲食品及び/又は医薬品に使用可能なものであれば特に制限されないが、例えば、ビタミン、ミネラル、糖質、脂肪酸、香料、調味剤、植物エキス、抗酸化剤等が挙げられる。これらの成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの成分の含有量については、使用する栄養成分及び/又は薬理成分の種類並びにコレステロール低減剤の用途等に応じて適宜設定される。
【0025】
更に、本発明のコレステロール低減剤は、所望の製剤形態に調製するために、必要に応じて、基剤及び/又は添加剤等が含まれていてもよい。このような基剤及び添加剤としては、食品及び/又は医薬品に使用可能なものであれば特に制限されないが、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤等が挙げられる。これらの成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの成分の含有量については、使用する基剤及び/又は添加剤の種類並びにコレステロールの用途等に応じて適宜設定される。
【0026】
剤型・製剤形態
本発明のコレステロール低減剤の剤型については特に限定されず、固体状、半固体状、又は液体状のいずれであってもよい。これらの剤型の中でも、好ましくは固体状が挙げられる。また、固形状である場合の本発明のコレステロール低減剤のより具体的な剤型としては、顆粒剤、細粒剤、散剤、錠剤、カプセル剤(ハードカプセル剤)等が挙げられる。
【0027】
本発明のコレステロール低減剤の形態として、具体的には、飲食品及び内服用医薬品(内服用の医薬部外品を含む)が挙げられる。
【0028】
本発明のコレステロール低減剤を食品の製剤形態にする場合、前記有効成分を、そのままで又は他の食品素材や添加成分と組み合わせて所望の形態に調製すればよい。このような食品としては、一般の食品の他、特定保健用食品、栄養補助食品、機能性表示食品、病者用食品等が挙げられる。これらの飲食品の形態として、特に制限されないが、具体的には顆粒剤、細粒剤、散剤、錠剤、カプセル剤等のサプリメント等が挙げられる。
【0029】
本発明のコレステロール低減剤を内服用の医薬品の製剤形態にする場合、前記有効成分を、そのままで又は他の添加成分と組み合わせて所望の形態に調製すればよい。このような内服用の医薬品としては、具体的には、顆粒剤、細粒剤、散剤、錠剤、カプセル剤等が挙げられる。
【0030】
用途
本発明の超悪玉コレステロール低減剤は、超悪玉コレステロールの低減に用いられる。本発明の酸化悪玉コレステロール低減剤は、酸化悪玉コレステロールの低減に用いられる。
【0031】
本発明の超悪玉コレステロール低減剤の適用対象の超悪玉コレステロール値としては特に限定されず、例えば、10mg/mL以が挙げられる。超悪玉コレステロールの低減効果をより一層高める観点から、当該適用対象の超悪玉コレステロール値としては、好ましくは20mg/mL以上、より好ましくは22mg/mL以上又は25mg/mL以上、さらに好ましくは30mg/mL以上、よりさらに好ましくは35mg/mL以上、一層好ましくは42mg/mL以上、特に好ましくは48mg/dL以上又は50mg/dL以上が挙げられる。当該対象の超悪玉コレステロール値の上限としては特に限定されないが、例えば70mg/mL以下又は60mg/mL以下が挙げられる。
【0032】
本発明の超悪玉コレステロール低減剤の適用対象の、LDLコレステロール値(mg/dL)に対する超悪玉コレステロール値(mg/dL)の比率としては特に限定されず、例えば、0.1以上が挙げられる。超悪玉コレステロールの低減効果をより一層高める観点から、当該比率としては、好ましくは0.15以上、より好ましくは0.18以上、0.2以上、又は0.22以上、さらに好ましくは0.26以上又は0.3以上、一層好ましくは0.38以上又は0.4以上が挙げられる。当該比率の上限としては特に限定されないが、例えば0.45以下が挙げられる。
【0033】
本発明の超悪玉コレステロール低減剤の適用対象のLDLコレステロール値の下限値としては特に限定されず、例えば70mg/dL以上が挙げられ、LDLコレステロール値の下がりすぎを抑制する観点から、好ましくは95mg/dL以上、より好ましくは100mg/dL以上、さらに好ましくは110mg/dL以上、一層好ましくは120mg/dL以上が挙げられる。
【0034】
本発明の超悪玉コレステロール低減剤の適用対象のLDLコレステロール値の上限値としては特に限定されず、例えば160mg/dL未満が挙げられ、LDLコレステロール値の下がりすぎを抑制する観点から、好ましくは155mg/dL未満、より好ましくは153mg/dL未満、さらに好ましくは150mg/dL未満又は145mg/dL未満、一層好ましくは140mg/dL未満が挙げられる。
【0035】
本発明の超悪玉コレステロール低減剤の適用対象のLDLコレステロール値の具体的な範囲としては特に限定されず、例えば70mg/dL以上160mg/dL未満、好ましくは95mg/dL以上160mg/dL未満が挙げられる。LDLコレステロール値の下がりすぎを抑制する観点から、超悪玉コレステロール低減剤の適用対象のLDLコレステロール値としては、好ましくは100mg/dL以上160mg/dL未満、より好ましくは110mg/dL以上155mg/dL未満、さらに好ましくは120mg/dL以上150mg/dL未満又は120mg/dL以上145mg/dL未満、一層好ましくは120mg/dL以上140mg/dL未満が挙げられる。
【0036】
本発明の超悪玉コレステロール低減剤は、中性脂肪値が正常値より高い対象に適用されてもよいし、中性脂肪値が正常値の対象に適用されてもよい。本発明の超悪玉コレステロール低減剤が中性脂肪値が正常値より高い対象に適用される場合、当該中性脂肪値としては、好ましくは150mg/dL以上が挙げられ、より好ましくは200mg/dL以上が挙げられる。当該当該中性脂肪値の上限としては特に限定されないが、例えば320mg/dL以下、250mg/dL以下、又は200mg/dL以下が挙げられる。
【0037】
本発明の超悪玉コレステロール低減剤の具体的な用途の例として、sdLDL血症、高トリグリセリド血症、III型高脂血症、II型糖尿病、内臓脂肪型肥満の予防又は治療が挙げられ、好ましくはsdLDL血症、高トリグリセリド血症又はIII型高脂血症の予防又は治療が挙げられ、より好ましくはsdLDL血症の予防又は治療が挙げられる。つまり、本発明の超悪玉コレステロール低減剤は、好ましくはsdLDL血症の予防又は治療剤であってもよい。
【0038】
本発明の酸化悪玉コレステロール低減剤の適用対象の酸化悪玉コレステロール値としては、特に限定されず、例えば30U/L以上が挙げられる。酸化悪玉コレステロールの低減効果をより一層高める観点から、当該対象の酸化悪玉コレステロール値としては、好ましくは46U/L以上、好ましくは55U/L以上、より好ましくは70U/L以上、さらに好ましくは82U/L以上、一層好ましくは100U/L以上、特に好ましくは130U/L以上が挙げられる。当該適用対象の酸化悪玉コレステロール値の上限としては特に限定されず、例えば150U/L以下が挙げられる。
【0039】
本発明の酸化悪玉コレステロール低減剤の適用対象の、LDLコレステロール1mg当たりの酸化悪玉コレステロールとしては、特に限定されず、例えば0.03U以上、好ましくは0.065U以上、0.085U以上、0.095U以上、又は0.1U以上が挙げられる。当該比率の上限としては特に限定されず、例えば0.15U以下又は0.12U以下が挙げられる。
【0040】
本発明の酸化悪玉コレステロール低減剤の適用対象のLDLコレステロール値としては特に限定されず、例えば70mg/dL以上が挙げられ、LDLコレステロール値の下がりすぎを抑制する観点から、好ましくは100mg/dL以上、より好ましくは110mg/dL以上、さらに好ましくは120mg/dL以上が挙げられる。適用対象のLDLコレステロール値のより具体的な例としては、好ましくは100mg/dL以上160mg/dL未満、より好ましくは110mg/dL以上155mg/dL未満、さらに好ましくは120mg/dL以上150mg/dL未満が挙げられる。
【0041】
本発明の酸化悪玉コレステロール低減剤は、中性脂肪値が正常値より高い対象に適用されてもよいし、中性脂肪値が正常値の対象に適用されてもよい。本発明の酸化悪玉コレステロール低減剤が中性脂肪値が正常値より高い対象に適用される場合、当該中性脂肪値としては、好ましくは150mg/dL以上が挙げられ、より好ましくは200mg/dL以上が挙げられる。当該中性脂肪値の上限としては特に限定されないが、例えば250mg/dL以下が挙げられる。
【0042】
本発明の酸化悪玉コレステロール低減剤は、心疾患危険因子がない対象に対して適用することもできる。心疾患危険因子がないとは、本発明の酸化悪玉コレステロール低減剤の服用時において非喫煙であり、無治療血圧140/90mmHg未満、空腹時血糖(FBG)値126mg/dL未満、総コレステロール(TC)値240mg/dL未満、LDLコレステロール値160mg/dL未満、HDLコレステロール値40mg/dL以上であることをいう。
【0043】
本発明の酸化悪玉コレステロール低減剤の具体的な用途の例として、潜在性動脈硬化症の予防又は治療が挙げられる。つまり、本発明の酸化悪玉コレステロール低減剤は、潜在性動脈硬化症の予防又は治療剤であってもよい。
【0044】
用量・用法
本発明のコレステロール低減剤は経口投与によって使用される。本発明のコレステロール低減剤の用量については、本発明の効果が得られる量であれば特に限定されず、投与対象者の年齢、性別、体質、症状の程度等に応じて適宜設定されるが、例えば、ヒト(体重約60kgの大人の場合)1人に対して1日当たり、紅麹及び/又はその加工物の量(乾燥重量換算量)で例えば10~5000mg、好ましくは50~1000mg、より好ましくは100~500mg、さらに好ましくは200~400mgが挙げられ;モナコリンK換算量で例えば0.25~130g、好ましくは1.5~25g、より好ましくは2.5~13g、さらに好ましくは5.5~10gが挙げられる。本発明のコレステロール低減剤は、上記の用量を、1日1~3回、好ましくは1回の頻度で服用することができる。服用回数、タイミングについては、特に制限されない。
【0045】
本発明のコレステロール低減剤の服用期間としては、例えば3週間以上、好ましくは4週間以上が挙げられる。
【実施例0046】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0047】
試験例1
乾燥米紅麹の粉末物(商品名「3P-D20」、小林バリューサポート株式会社製)を超悪玉コレステロール低減剤として使用した。当該乾燥米紅麹の粉末物は、モナスカス・ピローサスで白米を発酵させた紅麹の乾燥粉末物であり、加熱処理により紅麹菌及び酵素は失活した状態になっている。
【0048】
12人の被験者を、試験群及び対照群(各N=6)に分け、試験開始日から4週間の間、試験群には超悪玉コレステロール低減剤を1日当たり300mg(モナコリンK換算量で7.8mg)となる量で、対照群にはプラセボ(マルチトール及びクチナシ色素の混合物)を1日あたり300mg、1日1回、食後に摂取させた。試験期間中の食事は、通常食とした。
【0049】
本発明の超悪玉コレステロール低減剤又はプラセボの摂取前(0W)及び摂取4週間後(4W)において、中性脂肪TG(mg/dL)、悪玉コレステロールLDL-C(mg/dL)、及び超悪玉コレステロールsdLDL-C(mg/dL)を測定した。さらに、下記式に基づいてsdLDL-C低減率を導出した。
【0050】
【数1】
【0051】
TG、LDL-C、及びsdLDL-Cの測定結果と、0WにおけるLDLコレステロール値(mg/dL)に対する超悪玉コレステロール値(mg/dL)の比率と、sdLDL-Cの低減量と、sdLDL-C低減率とを表1に示す。
【0052】
【表1A】
【0053】
【表1B】
【0054】
表1Aが示す通り、試験群では、本発明の超悪玉コレステロール低減剤の摂取により、sdLDL-Cが顕著に低減した。また、摂取前の被験者の超悪玉コレステロール値が高いほど、sdLDL-C低減率が大きくなる傾向がみられた。さらに、LDLコレステロール値に対する超悪玉コレステロール値の比率が高いほど、sdLDL-C低減率が大きくなる傾向も見られた。一方、表1Bが示す通り、対照群では超悪玉コレステロールの低減は確認できず、むしろ悪化した。
【0055】
試験例2
(1)試験例1と同じ乾燥米紅麹の粉末物を、酸化悪玉コレステロール低減剤として使用した。5人の被験者(いずれも、心疾患危険因子は無かった。なお、5人のうち被験者A,Cは、試験例1での被験者と同じである。)に対して、試験例1と同様の条件の食事コントロールのもと、酸化悪玉コレステロール低減剤を摂取させた。
【0056】
本発明の酸化悪玉コレステロール低減剤の摂取前(0W)及び摂取4週間後(4W)において、中性脂肪TG(mg/dL)、悪玉コレステロールLDL-C(mg/dL)、及び酸化悪玉コレステロールоxLDL-C(mg/dL)を測定した。TG、LDL-C、оxLDL-Cの測定結果と、0WにおけるLDLコレステロール1mg当たりのоxLDL-Cの量(U)と、оxLDL-Cの低減量とを表2に示す。
【0057】
【表2】
【0058】
表2が示す通り、本発明の酸化悪玉コレステロール低減剤の摂取により、оxLDL-Cが顕著に低減した。また、摂取前の被験者の酸化悪玉コレステロールの比率が高いほど、оxLDL-C低減量の程度が大きくなる傾向がみられた。
【0059】
(2)さらに、摂取前の酸化悪玉コレステロール量が30程度以上の被験者についても上述と同様に試験したところ、酸化悪玉コレステロール値の低減効果が確認できた。